JP2021154655A - 液圧転写におけるフィルム残渣排出装置 並びにこれを適用した液圧転写装置 - Google Patents

液圧転写におけるフィルム残渣排出装置 並びにこれを適用した液圧転写装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 液圧転写において比較的簡素な構造で、被転写体の没入によって生じるフィルム残渣を、転写処理エリアから移送中に詰まらせることなく確実に回収することができる、新規なフィルム残渣排出手法の開発を技術課題とする。【解決手段】 本発明は、液圧転写装置1に具えられ、被転写体Wを転写液中に没入させた後、転写に使用されず液面上に浮遊するフィルム残渣F′を、被転写体Wを転写液中に没入させてから引き上げるまでの実質的な転写処理エリアARから回収・除去する装置であり、転写槽2には、実質的な転写位置となる没入ゾーンZ2を挟むように対向して設けられる両側壁22に寄った位置に回収口72が設けられ、この回収口72に誘導したフィルム残渣F′を転写液Lとともにスクリューコンベヤ73により移送して回収することを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、転写インクによってあらかじめ適宜の転写パターン(表面インク層)が施されて成る転写フィルムを、液面上で浮遊支持しながら、ここに被転写体を押し当てて転写液中に没入させることにより、その液圧を利用して転写フィルム上の転写パターンを被転写体に転写する液圧転写に関するものであって、特に被転写体を転写液中に没入させた際、液面上に浮遊し、転写に用いられなかった不要な残留フィルムや、このものが細かな紐屑状または糸屑状となって転写液中に浮遊するフィルムカス等のフィルム残渣を、転写槽の実質的な転写処理エリアから効率的に除去するようにした新規なフィルム残渣排出装置、並びにこれを適用した液圧転写装置に係るものである。
水溶性フィルム(担持シート)の上に、あらかじめ非水溶性の適宜の転写パターンを施して成る転写フィルムを転写槽(転写液)に浮かばせ、転写フィルム(水溶性フィルム)を転写液(端的には水)で湿潤させた状態で、被転写体をこの転写フィルムに接触させながら転写槽内の液中に押し入れ、液圧を利用してフィルム上の転写パターンを被転写体の表面に転写形成する液圧転写が知られている。なお、転写フィルムには、上述したように、水溶性フィルム上に転写パターンがインクによって事前に形成(印刷)されており、転写パターンのインクは乾燥状態にある。このため転写に際しては、転写フィルム上の転写パターンに活性剤や溶剤類を塗布して、転写パターンを印刷直後と同様の湿潤つまり付着性を発現させた状態に戻す必要があり、これは活性化と称される。
そして、転写後、転写槽から取り出された被転写体は、半溶解状の水溶性フィルムが水洗浄等によって除去されたのち乾燥され、被転写体上に転写形成された装飾層の保護を図るためにトップコートが施されたり、活性エネルギー線の照射または/および加熱による硬化処理に供されたりするのが一般的であった。
ところで、液圧転写では、被転写体の没入時(転写時)に、被転写体が液面上に浮遊した転写フィルムを突き破って液中に没する動作となるため、没入後に液面上に残った残留フィルムは、もはや転写に使用されない不要なものとなる。また、被転写体が液面上の転写フィルムを突き破ることによって、微細なフィルムカス(例えば水溶性フィルムとインクが混ざり合った紐屑状ないしは糸屑状のもの)が転写液中に大量に分散・放出されるため、これが転写液中に滞留するものであった。更に、被転写体の没入(転写)は、通常、治具に取り付けられた状態で行われるため、没入の際、治具や被転写体に付いた余剰フィルムが液中で剥離し放出されることもあった。そのため転写液から引き上げる被転写体の意匠面には、このような残留フィルム、フィルムカス、余剰フィルム等のフィルム残渣が付着することがあった。
そして、例えば被転写体の意匠面に、上記のようなフィルム残渣が付着した状態で、上記のようなトップコートや硬化処理が行われると、フィルム残渣が付着した部位だけは、装飾層(転写パターン・表面保護層)の柄が歪む不良や、柄が抜け落ちる不良等が生じることがあった。このようなことから、被転写体が没入した液圧転写後、速やかにフィルム残渣を回収し、フィルム残渣を意匠面に極力付着させないことが重要となっており、既に幾つかの手法が案出されている(例えば特許文献1・2参照)。
なお、柄歪み不良や、柄の抜け落ち不良等を起こした物品(液圧転写品)は、一旦、トップコートや硬化処理が施されているために、柄歪みや抜け落ちによる凹凸が際立ち、もう一度、転写をやり直すことができず(再生不可)、このため上記不良は量産性を著しく損ね、不良率そのものを下げる根本的な解決手法が強く望まれていた。
ここで引用文献2によるフィルム残渣回収手法は、転写槽の両サイドにオーバーフロー槽を設け、ここに液圧転写後の残留フィルムを液流方向に分断した残留フィルム(例えば二つに分断)を移送し、効率的に回収するものであり、一定の効果・成果を得ている。
なお、当該手法では、オーバーフロー槽に回収した残留フィルムの処理方法については目的に応じて選択されるが、一般的にはバキューム機構に接続された簡易的な蛇腹状のホースで吸引して回収する構成が採用されている。
しかしながら、このような手法には以下のような問題があり、更なる改善が要求されていた。具体的にはオーバーフロー槽に誘導される残留フィルムは、活性剤が表面に塗布され、且つ水溶性フィルムが転写液で膨潤した糊のような状態であり、ベタツキを維持していることや、槽の両サイドのフィルム保持機構にあたる部分でフィルムの両端がカールしたり、両側に広がるフィルムに押されて集まり紐状となって端部がつながった塊を形成したりすることが多く、このため一気に大量に吸引されることが多かった。また、残留フィルムのベタツキによって、蛇腹状のホース内壁等に残留フィルムが付着し易い状態であった。このため残留フィルムがオーバーフロー槽の入口に引っ掛かったり、蛇腹状のホース内に詰まることがあった。
また、たとえオーバーフロー槽に誘導される時点では、比較的短寸の紐屑状の状態で吸引されても、これがホース内で一旦滞留すると、この滞留部位で徐々に成長するようになり(あたかも血管内の動脈硬化のよう)、次第に大きな塊となり、結果的にホースを詰まらせることもあった。
そのため、このような詰まりが生じないように、定期的に残留フィルムの引っ掛かりや詰まりがないかをチェックし、もし停留している塊を発見したら、回収を阻害する前に除去する必要があった。もちろん、このような作業を行っていても、ホースに詰まりが生じることはあり得、その場合には、液圧転写ラインの稼働をストップさせて、ホース内の詰まりを完全に取り除く作業が行われることがあり、このような定期的なチェック作業や詰まりを完全に取り除く作業が、極めて煩わしいものであった。
特開2005−027057号公報 特開2012−121284号公報
本発明は、このような背景を認識してなされたものであって、液圧転写において比較的簡素な構造で、被転写体の没入によって生じる残留フィルム等のフィルム残渣を、転写槽の転写処理エリアから移送中に詰まらせることなく確実に回収することができる、新規なフィルム残渣排出手法の開発を技術課題としたものである。
まず請求項1記載の液圧転写におけるフィルム残渣排出装置は、
水溶性フィルムに少なくとも転写パターンが乾燥状態で形成されて成る転写フィルムを、転写槽内の液面上で浮遊支持し、その上方から被転写体を押し付け、これによって生じる液圧によって、被転写体に転写パターンを転写する装置に具えられ、
被転写体を転写液中に没入させた後、転写に使用されず液面上に浮遊するフィルム残渣を、被転写体を転写液中に没入させてから引き上げるまでの実質的な転写処理エリアから回収・除去する排出装置であって、
前記転写槽には、実質的な転写位置となる没入ゾーンを挟むように対向して設けられる両側壁に寄った位置に回収口が設けられ、この回収口に誘導したフィルム残渣を転写液とともにスクリューコンベヤにより移送して、前記フィルム残渣を回収する構成であることを特徴として成るものである。
また請求項2記載の液圧転写におけるフィルム残渣排出装置は、前記請求項1記載の要件に加え、
前記回収口は、前記フィルム残渣を転写液とともに回収するフィルム用回収口と、このフィルム用回収口の上流側に設けられ、転写槽の両側壁付近を流れてくる活性剤成分を多く含む転写液を回収する活性剤用回収口とを具えることを特徴として成るものである。
また請求項3記載の液圧転写におけるフィルム残渣排出装置は、前記請求項2記載の要件に加え、
前記転写槽には、転写槽に供給された転写フィルムの両サイドに接触してこれを保持し、少なくとも前記没入ゾーンまで転写フィルムを液流と同調して移送するフィルム保持機構が具えられ、このフィルム保持機構の下流端が、側面視状態で前記回収口に掛かる構成であることを特徴として成るものである。
また請求項4記載の液圧転写におけるフィルム残渣排出装置は、前記請求項1から3のいずれか1項記載の要件に加え、
前記スクリューコンベヤは、前記フィルム残渣を吐出する移送終端部が、転写槽の転写液面より高い位置に設けられる構成であることを特徴として成るものである。
また請求項5記載の液圧転写におけるフィルム残渣排出装置は、前記請求項1から4のいずれか1項記載の要件に加え、
前記スクリューコンベヤは、転写槽の下流端部に設けられたオーバーフロー槽に、前記フィルム残渣を吐出する構成であることを特徴として成るものである。
また請求項6記載の液圧転写におけるフィルム残渣排出装置は、前記請求項1から5のいずれか1項記載の要件に加え、
前記スクリューコンベヤは、移送中、回転するスクリューによって前記フィルム残渣を細切れ状に分断する構成であることを特徴として成るものである。
また請求項7記載の液圧転写装置は、
転写液を貯留する転写槽と、
この転写槽に転写フィルムを供給する転写フィルム供給装置と、
転写槽の液面上で活性化状態となった転写フィルムに対して上方から被転写体を押し付ける被転写体搬送装置とを具え、
水溶性フィルムに少なくとも転写パターンが乾燥状態で形成されて成る転写フィルムを、転写槽内の液面上で浮遊支持し、その上方から被転写体を押し付け、これによって生じる液圧によって、被転写体に転写パターンを転写する装置において、
この装置は、請求項1から6のいずれか1項記載のフィルム残渣排出装置を具えたことを特徴として成るものである。
これら各請求項記載の発明の構成を手段として前記課題の解決が図られる。
まず請求項1または7記載の発明によれば、転写槽の両側壁付近に設けられた回収口にフィルム残渣を誘導し、ここからフィルム残渣を転写液とともにスクリューコンベヤにより移送して回収するため、移送途中でフィルム残渣を詰まらせてしまうことがなく、液圧転写処理を継続して行うことができる。この点、従来は、フィルム残渣を回収するための移送経路途中で詰まりが生じることがあったため、フィルム残渣が停留して塊状になっていないかを定期的に点検・除去する作業が必要であり、また詰まりが生じた場合には、液圧転写ラインの稼働をストップさせて、経路内の詰まりを完全に取り除く作業が行われることもあったが、本発明では、このようなフィルム残渣の塊の発生確認や除去作業をなくすことができる。
また請求項2または7記載の発明によれば、転写槽の両側壁付近に設けられる回収口は、上流側の活性剤用回収口と、下流側のフィルム用回収口とを具えるため、活性剤成分を多く含む転写液と、フィルム残渣(転写液含む)とを分けて回収することができる。なお、回収口は分けても取り込んだ内部では、双方を合流させることができる。そのため上流側つまり先に回収した高濃度の活性剤成分を多く含む転写液中に、下流側つまり後から回収する、紐状の塊を成すことが多いフィルム残渣を取り込むことができ、これによりフィルム残渣を活性剤成分に対し全体的に接触させるような合流形態が採れ、フィルム残渣の落下衝撃も相まって、塊状のフィルム残渣の分解を促進させることができる。
また請求項3または7記載の発明によれば、フィルム保持機構の下流端が、側面視状態で回収口に掛かるように設けられるため、フィルム保持機構があるうちに回収口の上流側では活性剤成分を多く含む転写液を落とし込みつつ、回収口の下流側では、フィルム保持機構による作用が解除され転写フィルムの端部が広がろうとする流れとの相乗で、フィルム残渣を多く含む転写液の落とし込みが安定して行え、またこのような分離回収を維持することができる。
また請求項4または7記載の発明によれば、スクリューコンベヤは、移送方向に向かって上向きに傾斜設置する形態が採られるため、フィルム残渣及び転写液とともに移送されるエアが吐出口方向に抜け易くなるため、エアの逆流による移送状態の乱れが抑制され、安定した移送が実現できる。
また、移送に伴い、フィルム残渣を転写液面より高い位置へ引き上げるため、吐出時には、スクリューの回転数により、吸引する転写液量を調整することができる。また、スクリューコンベヤの移送終端部にスクリューを回転駆動させるモータを設ける場合には、このモータを転写液中に没しさせない構造が採り易く、スクリューコンベヤの設置が容易となる。更には、既存の液圧転写装置にスクリューコンベヤを後付けで取り付ける場合において、スクリューコンベヤの移送終端部が、転写槽の側面の縁の上から跨いで設置でき、転写槽や後述のオーバーフロー槽へ排出のための孔を空けずに転写槽外へとフィルム残渣を排出することができる。
また請求項5または7記載の発明によれば、スクリューコンベヤは、転写槽の下流端部に設けられたオーバーフロー槽にフィルム残渣を吐出する構成であるため、フィルム残渣を最終的に吐出する排出部を新たに設ける必要がなく、構成部材の共用が図れ、設備全体の構造や保守をシンプルなものにすることができる。
また請求項6または7記載の発明によれば、フィルム残渣が、例えば当初、紐状の塊状態で吸い込まれても、スクリューコンベヤによる移送中、回転するスクリューによって細切れ状に分断されるため、フィルム残渣がスクリューに巻き付き難くなり、スクリューコンベヤ内の流量が安定化し、フィルム残渣を適度に分断しながら移送することができる。
本発明のフィルム残渣排出装置を適用した液圧転写装置の一例を示す斜視図である。 同上平面図(a)、並びに側面図(b)である。 液圧転写装置における被転写体搬送装置を主に示す側面図である。 スクリューコンベヤによってフィルム残渣を移送する様子を示す側面図である。 回収口を構成するオーバーフロー槽の構成を異ならせた二種の改変例を示す平面図である。
本発明を実施するための形態は、以下の実施例に述べるものをその一つとするとともに、更にその技術思想内において改良し得る種々の手法をも含むものである。
本発明の、液圧転写におけるフィルム残渣排出装置7(以下、単にフィルム残渣排出装置7とする)は、被転写体Wを転写液中に没入させることに伴い、転写に使用されず液面上に浮遊する残留フィルム等のフィルム残渣F′を、被転写体Wが没入している間に、実質的な転写処理エリアARから回収・除去する装置である。そして、このフィルム残渣排出装置7は、転写槽2の両側壁付近に寄せるようにしたフィルム残渣F′を転写液Lとともに回収し、スクリューコンベヤ73により移送して回収することが大きな特徴である。
ここで上記フィルム残渣F′とは、上述したように転写液面上に浮遊し、転写に用いられなかった不要な残留フィルムはもちろん、被転写体Wの没入によって転写液中で屑紐状または糸屑状になったフィルムカスをも含むものである。また、液圧転写においては被転写体Wを治具に取り付けた状態で没入させることが多く、そのため治具や被転写体Wに付着したフィルムが剥離して液中に放出される余剰フィルムも上記フィルム残渣F′に含まれる。更に、例えば被転写体Wが開口部を有している場合には、転写液中からの引き上げに伴い、開口部に転写液Lの膜が張られることが多く、これが弾けて液面上等に泡となって漂うことがあり、このような泡も被転写体Wの意匠面に付着すると転写不良になり得るため、このような泡も広義的にフィルム残渣F′に含まれるものとする。
また、転写処理エリアARとは、被転写体Wを転写液中に没入させてから引き上げるまでの実質的な転写領域を指すものである(図1参照)。
以下、液圧転写装置1について説明しながら、併せてフィルム残渣排出装置7について説明するが、まず本発明に適用される転写フィルムFから説明する。
転写フィルムFは従来公知の市販されているものが適用できる。具体的には、転写フィルムFとして、水溶性フィルム(例えばPVA;ポリビニルアルコール)上に転写インクによる転写パターンが形成されたフィルムが一般的である。
また、転写パターンとしては、従来より公知、市販されているパターンいずれも問わない。すなわち迷彩模様のパターン、木目模様のパターン、金属(光沢)模様のパターン、大理石模様などの岩石の表面を模した石目模様のパターン、布目や布状の模様を模した布地模様のパターン、タイル張り模様・レンガ積み模様などのパターン、幾何学模様、ホログラム効果を有するパターン等の各種パターンが挙げられ、更にはこれらを適宜複合したものでも構わない。なお、上記幾何学模様については、図形はもちろん文字や写真を施したパターンも含むものである。
また転写インクは、水溶性フィルム上に乾燥状態で付着形成されており、転写を行う直前に活性剤の塗布によって転写可能な状態とするものである(いわゆる活性化)。
以下、本発明のフィルム残渣排出装置7を適用した液圧転写装置1について説明する。
液圧転写装置1は、一例として図1〜図3に示すように、転写液Lを貯留する転写槽2と、転写フィルムFを転写槽2におけるフィルム展開ゾーンZ1に連続供給する転写フィルム供給装置3と、転写フィルムFを転写可能な状態にする活性剤塗布装置4と、転写槽2に浮遊支持された転写フィルムFの上方から適宜の姿勢で被転写体Wを没入させ、且つ出液させる(引き上げる)被転写体搬送装置5とを具えて成る。
また転写槽2は、転写液面上に供給された転写フィルムFの両サイドを保持するフィルム保持機構6を具えるとともに、上述したフィルム残渣排出装置7が設けられる。
以下、液圧転写装置1を構成する各装置等について説明する。
まず転写槽2について説明する。
転写槽2は、液圧転写を行うにあたり、転写フィルムFを浮遊支持する部位であり、転写液Lをほぼ一定の液レベル(水位)で貯留できる転写槽本体としての処理槽21を主な構成部材とする。このため処理槽21は天面が開口され、前後左右が壁面で囲まれた有底状を成し、特に処理槽21の左右両サイドを構成する両側壁に符号22を付すものである。
ここで本明細書では、処理槽21において転写フィルムFが転写液面上に繰り出されてから転写されるまでの領域をフィルム展開ゾーンZ1と称しており、このフィルム展開ゾーンZ1に対し、被転写体Wを転写液L中に投入させる領域を没入ゾーンZ2とし、ここで実質的に転写が行われる。すなわち、液圧転写においては、被転写体Wの没入と同時に転写が実行・完了するものであるため、上記没入ゾーンZ2が実質的な転写ゾーンとなる。
また、本実施例では後述するように転写フィルムFを転写液面上に繰り出してから、活性剤を塗布し、転写フィルムFを転写可能な状態とするものであり(いわゆる水上活性)、この領域を活性化ゾーンZ3とする。更に、被転写体Wが転写液中から引き上げられる領域を出液ゾーンZ4とするものである。なお、他の活性化手法として、活性剤を塗布してから転写液面上に転写フィルムFを繰り出す手法もあり、この場合には転写フィルムFが着液する上流先端部から活性化ゾーンZ3と考えればよい。
因みに、被転写体Wを転写液Lに没入させる角度や姿勢は、被転写体Wが没入し始めてから没入し終わるまで必ずしも一定に維持するとは限らないし、これは出液についても同様であり、被転写体Wが出液し始めてから出液し終わるまで必ずしも一定に維持するとは限らない。
なお、転写槽2(処理槽21)は、液圧転写を行うにあたり被転写体Wを移動させる没入から出液方向が長手方向となるように形成される。また、転写槽2(特に液面上)には上流側から下流側に向かう流れ(液流)が形成され、これによって転写フィルムFを上流側から下流側に供給するものである。このため、本明細書では、上記「(転写槽2の)長手方向」とは、転写槽2の液面上に形成される液流方向にも相当する。また転写槽2に形成される転写液Lの流れ方向下流側を下流端部(末端)、上流側を上流端部(先端)等と称することがある。更に、転写槽2の幅方向を左右と称することがある。
次に、転写槽2内の液面付近(表層部分)において形成される液流、すなわち転写液Lを上流側から下流側に流す液流について説明する。
処理槽21(転写槽2)において転写フィルムFが着液する上流先端部には、下流側に向かう水流が形成され、これを先端給水23とする。この先端給水23は、例えば水吹き出し口から水を下流側に向けて出水することによって形成される。
また、転写槽2の下流端部には、オーバーフロー槽24が設けられる。このオーバーフロー槽24は、例えば図1・図2に示すように、上流側の前方壁面の少なくとも一部が、転写液面より低くなるように欠き取り状に形成され、この欠き取り部分から転写液Lをオーバーフロー槽24内に落とし込むように形成される。
また、この欠き取り部分には、上流側に向かって張り出す誘導板25が設けられることが好ましい。この誘導板25は、張出先端は下向きに傾斜するように形成されるものの、全体的には転写液面下で上流側に向かってほぼ水平に伸びるように形成され、これによりオーバーフロー槽24内に誘導される転写液Lは、当該部位で流速が増強され、案内導入されるように槽内に取り込まれる。すなわち、誘導板25によって、転写液表層の転写液Lがスムーズにオーバーフロー槽24内に取り込まれるものである。もちろん、このような誘導板25は、必ずしもオーバーフロー槽24に設けられる必要はない。
なお、オーバーフロー槽24に回収された転写液Lは、浄化された後、その一部を任意で転写槽2の上流部分から循環供給することにより前記先端給水23を形成し、転写液Lの液面付近に上記液流(上流側から下流側に向かう液流)を形成するものである。因みに回収した転写液Lを浄化するには、例えば沈殿槽やフィルタリング等によって、転写液L中に分散・滞留するフィルムカス等の夾雑物たるフィルム残渣F′を回収液(懸濁液)から除去する手法が挙げられる。
また、このようなことからフィルム残渣排出装置7で回収・除去したフィルム残渣F′についても、このオーバーフロー槽24に吐出されるが、これについては後述する。そしてフィルム残渣排出装置7で回収・除去したフィルム残渣F′をオーバーフロー槽24に吐出すること、すなわちオーバーフロー槽24をフィルム残渣F′の最終的な排出部とすることにより、オーバーフロー槽24とは別に当該排出部を設置する必要がなくなり、液圧転写装置1の設備全体の構造や保守をシンプルに行うことができるという効果を奏する。
また、処理槽21の両側壁22の内側には、フィルム保持機構6としてのベルト61が設けられるものであって、これは液面上に供給された転写フィルムFの両サイドを保持することで、転写フィルムFを転写液Lの液流と同調した速度で、上流側から下流側に移送する意図である。もちろん、転写液面上に供給された転写フィルムF(特に水溶性フィルム)は、着液以降、徐々に周囲に延展して行くため(伸びて行くため)、上記フィルム保持機構6(ベルト61)は、このフィルムの伸びを両サイドから規制する作用も担う。すなわち、活性剤塗布装置4より上流側のフィルム保持機構6(ベルト61)は、着液後、転写フィルムFの伸びをほぼ一定に維持した状態で、転写フィルムFを少なくとも活性化ゾーンZ3まで移送する作用を担うものである。また活性剤塗布装置4より下流側のフィルム保持機構6(ベルト61)は、活性化によって一気に伸展した転写フィルムFを少なくとも没入ゾーンZ2まで移送する作用を担うものであり、これにより没入ゾーンZ2では転写フィルムFの伸びが毎回同じ程度に維持され、連続して精緻な転写が行えるものである。
そして本実施例では、フィルム保持機構6としてのベルト61は、一例として図1・図2(a)に示すように、無端状に巻回されて成るものである。ここで特に活性剤塗布装置4より下流側のベルト61を巻回する一対のプーリを、上流側プーリ62と下流側プーリ63として区別する。
上流側プーリ62・下流側プーリ63は、どちらも回転軸がほぼ鉛直方向に設定され、フィルムの保持作用を担うベルト61そのものの幅方向が転写液Lの深さ(高さ)方向になるように設定されており、これは転写槽2内の液レベルが変化しても、ベルト61の幅寸法で対応し、機構全体を上下動させなくても済むように考慮したためである(転写槽2の液レベル変化に対応し易い構造)。
なお、フィルム保持機構6としては、上記ベルト61の他、チェーンや比較的太いロープ・ワイヤ等も適用することができる。
また、本実施例では、活性化ゾーンZ3において、フィルム保持機構6による規制を一旦解除するようにしている。すなわち活性化ゾーンZ3の前後で、フィルム保持機構6を作用的に分断するように構成しており、これは活性化ゾーンZ3における活性剤の塗布を受けて、転写フィルムFが一挙に周囲に伸展する(拡がる)ことに因み、この急激な伸展を妨げないようにするためである。もちろん、急激な伸展後の転写フィルムFは、上述したように活性化ゾーンZ3の下流側に設けられたフィルム保持機構6で伸びが規制された状態で、没入ゾーンZ2に移送されるものである。なお、活性化ゾーンZ3より上流側のフィルム保持機構6は、転写フィルムFが安定して流れれば、省略しても構わない。
次に転写フィルム供給装置3について説明する。
転写フィルム供給装置3は、上述したように転写槽2(処理槽21)に転写フィルムFを連続して供給する装置であり、一例として図1〜図3に示すように、ロール巻きされた原反ロール状のフィルムロール31を、一対の送り出しローラ32で挟み込んで、このものの回転によって転写フィルムFを転写槽2(フィルム展開ゾーンZ1)に繰り出すものである。なお、転写フィルムFに活性剤を塗布してから、これを転写液面上に繰り出す転写手法にあっては、図示は省略するが、この転写フィルム供給装置3において、活性剤をロールコート等で転写フィルムFに塗布してから処理槽21に供給するものである。
次に活性剤塗布装置4について説明するものであり、ここでは上述した水上活性を例に挙げて説明する。
活性剤塗布装置4は、転写フィルムFを転写可能な状態に活性化する装置であり、本実施例では転写フィルムFを転写液面上に誘導(供給)した状態、換言すれば転写フィルムFが液面上に浮遊した状態で活性剤を塗布するものである。すなわち、転写槽2の液面上に繰り出される前の転写フィルムFは、水溶性フィルム上に転写パターンがインクによって事前に形成(印刷)されており、転写パターンのインクは乾燥状態にある。このため転写に際しては、転写フィルムF上の転写パターンに活性剤や溶剤類を塗布して、転写パターンを印刷直後と同様の湿潤つまり付着性を発現させた状態に戻す必要があり、これが活性化と称され、これを行うのが当該活性剤塗布装置4である。
活性剤を塗布する手法としては、一例として本出願人が既に特許取得に至っている特許第3845078号の静電スプレーによる手法が適用できる。この手法は、例えば図1〜図3に示すように、転写液面上の転写フィルムF(転写パターン)に対し、スプレーガン(スプレーノズル)41から活性剤を散布する塗布手法であって、転写液面上を移送される転写フィルムFに対し、スプレーガン41が転写フィルムFを横切るように往復動(いわゆるトラバース)しながら活性剤をスプレーするものである。その際、スプレーガン41の噴出口で活性剤を帯電させるとともに、転写液面上に浮遊する転写フィルムFを、転写液L及び転写槽2を介して接地するものであり、これにより活性剤を転写フィルムFに均一に塗布することができる。
また、スプレーガン41は、転写フィルムFの幅寸法よりも大きなストロークで往復動し、活性剤を転写フィルムFの幅寸法を越えて散布するように構成される。これは、転写フィルムFにおいて活性剤が散布されない部位が存在しないようにし、転写フィルムFを均等に伸展させるためである。従って、転写フィルムFの外方には、余剰もしくは不要な活性剤(転写フィルムFのインクを活性化する本来の目的として使用されなかった活性剤)が必然的に転写液面上に散布される(浮遊する)ものである。このように転写フィルムFは、両端まで均一に活性剤が塗布されるものであり、このため活性剤は、必然的に転写フィルムFの両端縁より若干外側まで吹き付けられるものである。
また、このようなことから、本実施例では往復動するスプレーガン(噴出口)41の前後と両側部とがフード42で覆われ、特に余剰・不要な活性剤が活性化ゾーンZ3の外部に飛び散るのを防止し、作業環境を悪化させないようにしている。もちろんフード42は、液面上の転写フィルムFから幾らかの隙間をあけて設けられるため、この隙間からも極力、活性剤が漏出しないようにすることが好ましい。
なお、液面上の余剰・不要な活性剤成分は、転写液Lとともに排水(回収)され、またフード42内を浮遊飛散する余剰・不要な活性剤も、上記排水によってフード42内に生じる空気流により同時に吸引され、転写液Lと混合排出される。また、回収された転写液Lは、不要な活性剤成分を含む空気と混合処理された後、廃棄される。ここで図中符号43が、液面上の余剰・不要な活性剤成分を、転写液Lとともに回収する取り込み口である。因みに、フード42の内面に付着した活性剤が水滴状に集まり、転写フィルムFの上に垂れて柄を乱さないように、フード42の下端を外側に向けて傾斜させて垂れないようにし、その液は転写槽2外へ排出するか、フィルム保持機構6よりも外側に落ちるようにすることが望ましい。
また活性化ゾーンZ3において転写フィルムFの幅寸法を越えた両サイド部分の液面上では、上記取り込み口43でも回収し切れない活性剤成分が転写液面上に残留・浮遊する。この活性剤成分は比較的濃度の高いものであり、そのため風送などにより、例えば図1・図2(a)に示すように、側壁22とフィルム保持機構6との間に送り込み、その勢いを利用して更に下流側に送ることが好ましい。これにより、当該活性剤成分を多く含む転写液Lを、後述するフィルム残渣排出装置7のオーバーフロー槽721で効率的に回収することができる。
因みに、上述したように本実施例では、活性剤塗布装置4として転写フィルムFを液面上に供給してから活性化させる水上活性化タイプを例示したが、転写フィルムFを活性化するタイミングは、転写槽2に供給される前に活性化するものでも構わない。そして、この場合には、上述した転写フィルム供給装置3に活性化機構が組み込まれ、転写フィルムFは、転写液Lに着液する前に、活性剤が塗布され、転写槽2に繰り出される。
次に被転写体搬送装置5について説明する。
被転写体搬送装置5は、被転写体Wを適宜の姿勢で転写液L中に没入させ、また転写液L中から引き上げるものであり、通常は転写用治具52(以下、単に治具52とする)を介して被転写体Wの取り付けを図るものである。すなわち、液圧転写を行うにあたっては、予め被転写体Wを治具52に取り付けておき、この治具52を治具ホルダに着脱してコンベヤ51へのセッティングを行うものである。以下、コンベヤ51について更に説明する。
コンベヤ51は、一例として図3に示すように、平行に配置された一対のリンクチェーン53にリンクバーを横架するとともに、このリンクバーに所定の間隔で治具ホルダを配設して成り、被転写体Wを治具52とともに連続的に転写液L中に没入・出液させるものである。なお、没入側における被転写体W(治具52)のコンベヤ51への取り付けや、転写後の出液側における被転写体W(治具52)のコンベヤ51からの取り外しは、ロボットにより自動で行うことも可能であるし、作業者による手作業で行うことも可能である。また、コンベヤ51による被転写体Wの搬送速度(特に没入ゾーンZ2における速度)は、転写フィルムFの液面上の移送速度とほぼ同調するように設定されるのが一般的である。
またコンベヤ51は、一例として上記図3に示すように、側面から視て逆三角形の搬送軌道を描く通常の三角コンベヤが適用され、被転写体Wの没入つまり転写が、下部の頂点部分で行われ、言わば短時間または瞬間的な没入・転写となる。なお、三角コンベヤ(コンベヤ51)は、全体的に傾倒自在に構成され、これにより被転写体Wの没入角が適宜変更できるように構成されることが好ましい。
また被転写体搬送装置5は、必ずしも上述したコンベヤ51に限定されるものではなく、例えばロボットを適用することも可能である(多関節形ロボットであり、いわゆるマニピュレータ)。
次にフィルム残渣排出装置7について説明する。
フィルム残渣排出装置7は、上述したように被転写体Wを転写液中に没入させることによって生じる残留フィルム等のフィルム残渣F′を、転写槽2の転写処理エリアARから回収・除去する装置であり、一例として図1・図2に示すように、液流方向に直交する両サイド(ここでは側壁22付近)に寄せたフィルム残渣F′をスクリューコンベヤ73で移送し回収するものである。ここでフィルム残渣排出装置7によって回収・除去対象となるのは、主に転写後の液面に浮遊する残留フィルムであるが、フィルムカスや残余フィルムあるいは泡なども回収されるため、その意味で「フィルム残渣(排出装置)」と称したものである。
フィルム残渣排出装置7は、被転写体Wの没入によって孔Fhが開けられたフィルム残渣F′を液流方向に割くように分断する(ここでは二つに分ける)分割手段71と、フィルム残渣F′を取り込むために転写槽2の両サイド付近に設けられた回収口72と、この回収口72で取り込んだフィルム残渣F′を後段の吐出口735まで移送するスクリューコンベヤ73とを具えて成る。なおスクリューコンベヤ73で移送されるフィルム残渣F′は、上述したように、最終的に転写槽2の下流端部のオーバーフロー槽24内に吐出され、当該オーバーフロー槽24で回収された転写液Lとともに浄化処理される。
以下、フィルム残渣排出装置7の各構成部について説明する。
まず分割手段71について説明する。
分割手段71は、被転写体Wを没入させた後のフィルム残渣F′を速やかに分断する(分岐させる)ものであり、ここではフィルム残渣F′に対して非接触でありながら確実に分断が行える送風手法を採用する。具体的には、一例として図1・図2(a)に示すように、送風機711を処理槽21の一方の側壁22上に設け、ここから液面上に残留するフィルム残渣F′に送風するものである。ここで、上記説明では単に「送風機(711)」と記載したが、この文言には、送風機に接続される延長ダクトやノズル等を含むものである。
また、上記説明では、フィルム残渣F′の分断を速やかに行うように記載したが、分割手段71の分断作用(ここでは風量)が転写位置たる没入ゾーンZ2の転写フィルムFに変形(返り波等による柄歪み)、応力等などの悪影響を生じさせては、転写そのものが精緻に行えなくなるため、分割手段71の作用が及ぶ範囲は、没入ゾーンZ2の転写フィルムFに悪影響を及ぼさないように(例えば、ある程度の距離をおいて)設けられる。別の言い方をすれば、分割手段71としての送風機711の風量(風力)は、没入ゾーンZ2に悪影響を及ぼさないことを考慮して比較的弱く設定される。そのため、分割手段71としての送風機711は、没入ゾーンZ2の前後移動に応じて、設置位置が転写槽2の長手方向に沿って自由に移動できることが好ましく、これにより没入ゾーンZ2に悪影響を及ぼさずに、分断作用を発揮する適切な位置設定が容易となる。
ここで上記送風機711によるフィルム残渣F′の分断状況について説明する。フィルム残渣F′は、送風機711からの送風により左右に分かれるものであり、とりわけフィルム残渣F′において分断が始まる地点を分断開始地点Pとする。またフィルム残渣F′は、この分断開始地点Pから送風により略円弧状または略V字状に分かれ、あたかもラインにように見えるため、このフィルム別れ線を分断ラインFLと定義する。もちろん分断ラインFLのエッジ付近は、次第に少しずつ溶解、ばらけながら送風や液流により両サイドに寄って行く。
因みに、本実施例では、上記分割手段71としての送風機711が、分断後のフィルム残渣F′を、両サイドに寄せる作用も担っている。もちろん、転写槽2に形成されている液流も、当該作用を補うものである。
また、本実施例では、分割手段71としての送風機711を一方の側壁22上に設け、フィルム残渣F′を二分割することから、両サイドへの分割比率は5:5ではなく、一例として約8:2〜7:3程度の割合である。もちろんフィルム残渣F′を分割するには、両サイドにほぼ均等に分けることも可能であるが、この場合には、転写槽2の幅中央に分割手段71(送風機711)を設置するのが一般的と考えられ、転写槽2の幅中央に位置する被転写体搬送装置5との設置態様を考慮する必要がある。
なお、分割手段71としての送風機711は、必ずしも一基に限定されるものではなく、二基以上を組み合わせて用いることも可能である。また、フィルム残渣F′は、必ずしも二つに分ける必要はなく、三つ以上に分けてもよく、その場合には両サイド付近での回収(取り込み)も三箇所以上の複数箇所とすることが可能である。このように転写フィルムFの性状や分割・回収の状況等によって、フィルム残渣F′は種々の分割形態・回収形態が採り得るものである。
また、フィルム残渣F′を送風によって分断する上記手法は、フィルム残渣F′を非接触状態で分断でき(送風機711自体をフィルムに直接触れさせずに分断でき)、転写位置たる没入ゾーンZ2に浮遊状態で存在する転写フィルムFに対し、変形等の悪影響を及ぼし難い点で優れている。
次に、回収口72について説明する。
回収口72は、没入ゾーンZ2を挟むように転写槽2において対向して設けられる両側壁22付近に設けられ、両側壁22付近に押しやった分断状態のフィルム残渣F′を取り込む部位であり、本実施例では、側壁22付近に寄って来るフィルム残渣F′を落とし込んで回収するオーバーフロー槽721によって構成される。
オーバーフロー槽721は、転写槽2の液流方向に直交する壁面の少なくとも一部が、転写液面よりも低く欠き取られたように形成され、側壁22付近に寄ってくるフィルム残渣F′を、この欠き取り部から転写液Lとともに取り込むように形成されている。
また、この欠き取り部分には、槽中央に向かって液流方向に直交するように張り出す誘導板722を設けることが好ましい。この誘導板722は、張出先端が下向きに傾斜するように形成されるものの、全体的には転写液面下でほぼ水平に伸びるように形成され、これによりオーバーフロー槽721内に誘導される転写液Lの流速が増強され、フィルム残渣F′を回収口72で引っ掛けて塞ぐことなく、転写液Lとともにスムーズにオーバーフロー槽721内に取り込むことができる。もちろん、上記誘導板722も、先に述べた誘導板25と同様、必ずしもオーバーフロー槽721に設けられる必要はない。
ここで本実施例では、一例として図1・図2(a)に示すように、誘導板722を含め、回収口72を構成するオーバーフロー槽721は、フィルム保持機構6と側壁22との間に設けられる。また、回収口72は、液流方向に適宜の長さを有するように形成され、フィルム保持機構6の下流側プーリ63が、回収口72に掛かるように形成される。すなわち側面視状態でフィルム保持機構6の下流端が、回収口72とオーバーラップするように形成されている。
以下、このような構成の意図について説明する。
まず回収口72の上流側、より詳細にはフィルム保持機構6の下流側プーリ63より上流側では、活性化ゾーンZ3において転写フィルムFの外側に散布された、比較的濃度の高い活性剤成分を含む転写液Lを効率よく回収することができる。換言すれば、誘導板722において下流側プーリ63より上流側の部位は、フィルム保持機構6の外側を通って流れてきた活性剤成分を多く含む転写液Lを効率良く回収するのに適しており、ここを活性剤用回収口72Fとする。
一方、回収口72の下流側、より詳細にはフィルム保持機構6の下流側プーリ63より下流側では、フィルム残渣F′を効率的に回収することができる。特に、ここで回収されるフィルム残渣F′は、転写後、間もないため、まだ比較的硬い性状であり、このため塊状となって回収口72たるオーバーフロー槽721に取り込まれることが多く、ここをフィルム用回収口72Bとする。
すなわち側面視状態でフィルム保持機構6の下流端を、回収口72とオーバーラップさせることにより、フィルム用回収口72Bで回収されるフィルム残渣F′が、上流側の活性剤用回収口72Fに逆上って行かず、少なくとも回収口72の上流側の部分にはフィルム残渣F′が絶対に接触しないから、確実に回収口72を塊状のフィルム残渣F′で塞がれることのない構造にでき、これにより上流側に位置する活性剤用回収口72Fを塞いだり、引っ張り込んだりすることを防止できる。従って、上流側では活性剤成分を多く含む転写液Lの落とし込み、及び下流側ではフィルム残渣F′を多く含む転写液Lの落とし込みが、安定して行え、またこのような分離回収を維持することができるものである。
このように本実施例では、回収口72そのものは、実質的に同一であるものの、上流側と下流側とで、主に回収するものを異ならせることができる。もちろん、活性剤用回収口72Fとフィルム用回収口72Bとが、作用上、上流側と下流側とに分かれると言っても、オーバーフロー槽721内部では双方は接触・合流する。ただし、比較的濃度の高い活性剤成分を含む転写液Lが先に回収され、その後にフィルム残渣F′が落ち込むことから、オーバーフロー槽721内で接触・合流する際には、フィルム残渣F′の落下衝撃も相まって、フィルム残渣F′が濃い活性剤成分と充分に混合し、また撹拌効果も見込めるため、塊状のフィルム残渣F′を早期に軟化させ、分断・分解し易くする効果が期待できる。もちろん活性剤用回収口72Fから回収した活性剤混入濃度の高い転写液Lと、フィルム用回収口72Bから回収したフィルム残渣F′とは、必ずしもオーバーフロー槽721内で接触・合流させる必要はなく、両者を混合させず、別々に回収することも可能である。具体的にはフィルム用回収口72Bで転写液Lとともに回収したフィルム残渣F′は、スクリューコンベヤ73で移送し、活性剤用回収口72Fからの活性剤混入濃度が高い転写液Lだけを別途分離して回収することができる。
なお、本実施例では、誘導板722において活性剤用回収口72Fとフィルム用回収口72Bとの境界部に、仕切り部材等を格別、設けていないが、より明確に回収対象物を区別したい場合等には、この境界部に仕切り板等を設けることも可能である。
次に、スクリューコンベヤ73について説明する。
スクリューコンベヤ73は、前記回収口72を構成するオーバーフロー槽721に落とし込んだフィルム残渣F′を転写液Lとともに、後段のオーバーフロー槽24まで移送するものであり、一例として図4に示すように、ケーシングたるトラフ731内で、スクリュー732を具えたシャフト733を回転させることで、フィルム残渣F′を移送するものである。
またスクリューコンベヤ73は、例えば図1の拡大図・図2(b)に示すように、移送開始部をオーバーフロー槽721内に収容した低い位置とする一方、移送終端部をオーバーフロー槽24よりも高い位置とした、傾斜状態に設置される。すなわち、スクリューコンベヤ73は、移送開始部は、転写液面よりも低い位置に設定され、移送終端部は、転写液面よりも高い位置に設定され、移送方向に向かって全体的に上向きに傾斜するように設けられる。ここで図中符号734が、スクリューコンベヤ73においてフィルム残渣F′の移送開始部となる受け入れ口であり、図中符号735が、上述したようにフィルム残渣F′の移送終端部となる吐出口である。特に受け入れ口734が、オーバーフロー槽721内の低い位置であると、フィルム残渣F′は、転写液Lとともにスクリュー732の側面側から取り込まれることとなる。これにより塊状のフィルム残渣F′は、連続回転するスクリュー732の先端エッジが後方に移動する際、この先端エッジに接触する機会を得て、適度に細切れ状に分断され、またこの分断が促進される。因みに、受け入れ口734の高さは、オーバーフロー槽721内の低い位置ではなく、もっと高い位置、具体的には転写液面と同じ高さとしてもよく、この場合には、スクリュー732の回転速度で、回収するフィルム残渣F′と転写液Lの量を制御する。
なお、スクリューコンベヤ73は、移送方向に向かって、ほぼ水平または下降するように配置することも可能である。その場合は、スクリューコンベヤ73内で移送される転写液Lは、移送に伴い加速する傾向となるが、この移送スピードは、スクリュー732の回転や先端エッジ間を狭くすることで調整し得るものである。
またスクリューコンベヤ73では、上述したようにフィルム残渣F′とともに回収口72たるオーバーフロー槽721に落とし込んだ転写液Lも一緒に移送される。更にスクリューコンベヤ73は、フィルム残渣F′や転写液Lを、転写液Lの液面下から液面上に上昇移送することから、エアを伴った移送形態となる。因みにスクリューコンベヤ73で移送される転写液Lは、一例として図4に示すように、吐出口735に向かって徐々に移送液量が減少して行く一方、エアは徐々に混入割合が増して行くものである。また、スクリューコンベヤ73が移送方向に向かって上向きとなるように傾斜配置されることにより、フィルム残渣F′及び転写液Lとともに移送されるエアが、吐出口735方向に抜け易くなり、このためエアの逆流による移送状態の乱れが抑制され、安定した移送が実現できる。また、スクリュー732の回転数で、吸引する転写液Lの液量が調整し易いものである。
ここで図中符号Mは、スクリュー732を回転させるためのモータであり、スクリューコンベヤ73の移送終端部に設けられている。そしてスクリューコンベヤ73の移送終端部を転写液面より上方に配置する構造により、このモータMを転写液Lに漬けない配置が採り易いものである。
次にフィルム残渣F′の移送状況について概略的に説明する。
スクリューコンベヤ73の受け入れ口734は、オーバーフロー槽721の底部付近に設けられ、ここでは紐状などの塊状態で取り込まれたフィルム残渣F′が、スクリュー732の回転により、転写液Lとともに吸い込まれるようにトラフ731内に送られる。また、スクリューコンベヤ73内では、フィルム残渣F′は、スクリュー732の回転によって、転写液Lやエアとの撹拌・混合作用を受け、次第に細かい糸屑状に分断されながら吐出口735へと移送される。実際、吐出時には、少なくとも最初に取り込まれた塊状で吐出されることはなく、細かく且つ短寸の糸屑状となって排出されることが、本出願人によって確認されている。もちろん、これは活性剤用回収口72Fから取り込んだ比較的濃度の高い活性剤による軟化・溶解・分解作用も寄与していると考えられる。
また本実施例では、上述したように転写槽2の下流端部にオーバーフロー槽24が設けられており、このオーバーフロー槽24、特に誘導板25によって転写槽2の表面に形成される表層流は、被転写体Wからすると、出液ゾーンZ4から引き上げられる被転写体Wの意匠面から離反する流れとなる。このため、オーバーフロー槽24によって形成される表層流は、転写液中から浮上してくる被転写体Wの意匠面に、フィルムカスや泡などのフィルム残渣F′を寄せ付けない流れを形成するものと言え、これを意匠面離反流とする。
この意匠面離反流は、転写液L中に分散・滞留する夾雑物たるフィルム残渣F′を極力、意匠面に寄せ付けない(付着させない)、または意匠面から離す流れを形成するものであるが、必ずしもこのような作用のみに限定されるものではない。具体的には、例えば先行して引き上げられた被転写体Wから落下した雫によって液面上に泡が生じることがあるが、このような泡等のフィルム残渣F′も、意匠面から遠ざけ、出液ゾーンZ4から除去する作用も担う。なお、意匠面離反流は、フィルム残渣F′を含まない綺麗な水、あるいは回収液からフィルム残渣F′を除去した浄化水(これらを総称して新水とする)を適用して形成することが好ましい。
また、本実施例では転写槽2の下流端部にオーバーフロー槽24を一基だけ設け、このオーバーフロー槽24で転写液Lを回収し、且つ意匠面離反流を形成するようにしたが、必ずしもこれに限定されるものではない。すなわち転写液Lを回収するためのオーバーフロー槽と、意匠面離反流形成用のオーバーフロー槽とを、転写槽2の下流端部に別々に設けることもでき、その場合には、フィルム残渣F′は、どちらのオーバーフロー槽に吐出するようにしても構わない。
更に、他の構成例として、スクリューコンベヤ73を下流のオーバーフロー槽24に向けてほぼ水平または下降するように配置した場合は、オーバーフロー槽24の水位を転写槽2の水位よりも低めに設定し、オーバーフロー槽24の内壁に孔を空けるようにしてスクリューコンベヤ73の吐出口735を連結すればよい。
本発明に係る液圧転写装置1は、以上のような基本構造を有するものであり、以下、この液圧転写装置1を適用した液圧転写の作動態様について説明する。なお、説明にあたっては、上述した水上活性を基本として説明する。
(1)転写フィルムの供給
液圧転写を行う際には、例えば図1〜図3に示すように、ロール巻きされた転写フィルムFが、転写フィルム供給装置3によって転写槽2のフィルム展開ゾーンZ1に連続供給される。
(2)転写フィルムの着液
このようにして転写槽2に繰り出された転写フィルムFは、転写槽2の上流側端部で転写液Lに着液する。その後、転写フィルムFは、転写液Lの水分を吸水して、膨潤・軟化しながら徐々に周囲に拡がって行く(展開して行く)。
なお、転写槽2には上述したように上流から下流に向かう表層流が形成されているため、転写フィルムFは、膨潤・軟化しながら下流側に移送される。
(3)活性剤の塗布
その後、転写フィルムFは、活性化ゾーンZ3に至り、ここで活性剤塗布装置4によって活性剤が塗布される。活性剤が塗布された転写フィルムFは、一挙に周囲に伸展し(拡がり)、転写可能な状態となる。
(4)転写(没入)
このようにして転写フィルムFが活性化され、転写可能な状態となった後、被転写体搬送装置5によって上方から被転写体Wが、適宜の姿勢で転写液L中に没入される。なお、液圧転写では、この際の没入時の液圧によって転写フィルムFが被転写体Wの意匠面に付き回るようになり転写が行われる。つまり液圧転写では、被転写体Wの没入と同時に転写が実行・完了となる。
もちろん、転写時の被転写体Wの姿勢や没入角は、意匠面の形状や凹凸などによって適宜変更可能である。
ここで本実施例では、実質的な転写位置となる没入ゾーンZ2が、その後に液中から引き上げられる出液ゾーンZ4とは幾らか離れており、被転写体Wを転写液L中に没入させている時間が比較的長いものである。
また、液面上の転写フィルムFは、上記図1に示すように、被転写体Wの没入によって突き破られて孔Fhが開いた状態となり、この液面に残されたフィルムが、転写に用いられなかったフィルム残渣F′である。そのため本実施例では、このフィルム残渣F′を、下流の出液ゾーンZ4まで到達させないように、転写後できるだけ早期に且つ確実に転写処理エリアARから回収・除去するものであり、以下この態様について説明する。
(5)フィルム残渣の分断
フィルム残渣F′を回収するにあたっては、まずフィルム残渣F′を没入ゾーンZ2の下流側、且つ出液ゾーンZ4の上流側において、液流方向に分断するものであり、これには図1・図2(a)に示すように、転写後のフィルム残渣F′にエアを吹き付けて分断する。
その後、エアによって分断されたフィルム残渣F′は、送風や液流等によって次第に両側壁22付近に寄るように送られ、例えば図2(a)に示すように、両側壁付近に設けた回収口72たるオーバーフロー槽721に取り込まれる。
(6)オーバーフロー槽での回収態様
オーバーフロー槽721には、上述したように転写液面よりも低い高さで、ほぼ水平に伸びる誘導板722が設けられている。この誘導板722は、液流方向において適宜の長さを有するように形成されており、側壁22とフィルム保持機構6との間に設けられている。また誘導板722は、側面視、フィルム保持機構6の下流端とオーバーラップするように形成されている。
このため活性剤塗布装置4において転写フィルムFの両サイドからはみ出して散布された比較的濃度の高い活性剤成分を含む転写液Lが、フィルム保持機構6の外側を通過した後、オーバーフロー槽721において上流側の活性剤用回収口72Fで効率的に回収される。一方、オーバーフロー槽721において下流側のフィルム用回収口72Bでは、フィルム残渣F′が転写液Lとともに効率的に回収される。
すなわち、本実施例では、側面視状態でフィルム保持機構6の下流端を、回収口72とオーバーラップさせているため、フィルム保持機構6とオーバーラップしている回収口72の上流側では、活性剤成分を多く含む転写液Lの取り込みが行われ、またフィルム保持機構6の先端とオーバーラップしていない回収口72の下流側では、転写フィルムFの端が広がろうとする流れとの相乗作用によってフィルム残渣F′を多く含む転写液Lの取り込みが安定して行え、またこのような分離回収を維持することができるものである。
更に、オーバーフロー槽721内部では比較的濃度の高い活性剤成分を含む転写液Lが先に回収され、その後にフィルム残渣F′が落ち込むことから、オーバーフロー槽721内で接触・合流する際には、フィルム残渣F′の落下衝撃も相まって、フィルム残渣F′が濃い活性剤成分を含む転写液Lに充分に接触する。従って、活性剤成分による溶解・混合効果が見込め、塊状のフィルム残渣F′を更に軟化させ、スクリューコンベヤ73内における塊状のフィルム残渣F′の分断・分解を促進する効果が期待できる。
(7)スクリューコンベヤ内での移送態様
次に、スクリューコンベヤ73によるフィルム残渣F′の移送態様について説明する。
フィルム残渣F′は、例えば紐状の塊状を成してオーバーフロー槽721内に落下して取り込まれる。ここでオーバーフロー槽721の底部は、受け入れ口734によってスクリュー732の移送開始端部に臨んでおり、このためオーバーフロー槽721内に取り込まれたフィルム残渣F′は、回転するスクリュー732の先端エッジに向かって衝突するような落下形態となる。従ってフィルム残渣F′は、スクリュー732のブレードの幅間隔で、紐状の塊が回転しつつ巻き込まれるように移送される(吸い込まれる)。
またフィルム残渣F′は、スクリューコンベヤ73内での移送中、スクリュー732が転写液Lの液流を加速することに伴い、トラフ731内のエアや転写液Lと充分に撹拌・混合され、またスクリュー732そのものの回転による切断・剪断作用も相まって、より細かく且つ短寸状に分断される。更に、スクリューコンベヤ73は、移送方向に向かって上昇するように配置されており、これによって一例として図4に示すように、スクリューコンベヤ73内で移送される転写液Lは、液量が徐々に減って行く一方、エアの混入量は徐々に増加して行くため、上記撹拌・混合作用がより一層、促進される。
そして、スクリューコンベヤ73の移送終端部の吐出口735まで移送されたフィルム残渣F′は、ここからオーバーフロー槽24に落とし込まれる。
このように、当初、塊状態でオーバーフロー槽721内に取り込まれたフィルム残渣F′は、スクリューコンベヤ73による移送を受けることで、絶えず分断化・分散化が促進される。また、このためスクリューコンベヤ73内では、スクリュー732へのフィルム残渣F′の巻き付きや付着が抑制され、従って移送に伴う詰まりもほとんど生じないものである。なお、フィルム残渣F′を適度に細かくしながら移送することで、流路の流量安定化という効果も奏する。
(8)被転写体の引き上げ
このような作業に伴い、出液ゾーンZ4においては、被転写体Wが、被転写体搬送装置5によって、転写液L中から引き上げられる。次いで、被転写体Wは、被転写体搬送装置5から取り外され、適宜、次工程の乾燥工程、トップコート工程等に送られる。
また本実施例では、転写槽2の下流端部に設けられたオーバーフロー槽24、特に誘導板25によって転写槽2の表面に形成される表層流は、単に転写液Lを回収するだけでなく、出液ゾーンZ4から引き上げられる被転写体Wに対して意匠面離反流を形成する。このため、転写液中から浮上してくる被転写体Wは、この意匠面離反流によって、意匠面にフィルムカスや泡などのフィルム残渣F′が寄せ付けられなくなり、意匠面にフィルム残渣F′が、ほぼ付着することなく、綺麗な液圧転写品が得られる。
〔他の実施例〕
本発明は以上述べた実施例を一つの基本的な技術思想とするものであるが、更に次のような改変が考えられる。
まず、上述した基本の実施例では、回収口72を構成するオーバーフロー槽721を、転写槽2の側壁22とフィルム保持機構6との間に設け、液流方向と直交する方向に一基の誘導板722を設け、この上流側と下流側とに、活性剤用回収口72Fとフィルム用回収口72Bとを前後に並べるように設けた。つまり、実質的には同一の誘導板722(オーバーフロー槽721の欠き取り部)において、活性剤用回収口72Fとフィルム用回収口72Bとを形成した。しかしながら、活性剤用回収口72Fは、必ずしもオーバーフロー槽721において槽中央側に向けて設けられる必要はなく、例えば図5(a)に示すように、オーバーフロー槽721の上流側壁面の高さを一部欠き取るようにして、上流に向けて設けることも可能である。
なお、上記図5(a)では、オーバーフロー槽721自体を転写槽2の側壁22とフィルム保持機構6との間に設け、槽中央に向けて水平に張り出すように設けた誘導板722をフィルム保持機構6と同じ部位まで伸びるように形成している。
また、上述した基本の実施例では、オーバーフロー槽721は、転写槽2の内側に設ける形態を基本的に説明したが、オーバーフロー槽721は、例えば図5(b)に示すように、転写槽2の外側に突出状態に設けることも可能である。
また、上述した基本の実施例では、例えば図2(a)に示すように、回収口72を構成するオーバーフロー槽721は、側壁22にほぼ接するように設けた。しかしながら、回収口72は、必ずしも側壁22に接するように設ける必要はなく、側壁22から幾らか離して設けることも可能である。すなわち、転写槽2の幅方向中央部は、被転写体Wを液流方向に沿って没入・出液させるため、当該幅方向中央部ではフィルム残渣F′を回収できないため、ここを除いた両サイドに寄った位置でフィルム残渣F′を回収すればよいものである。
1 液圧転写装置

2 転写槽
21 処理槽
22 側壁
23 先端給水
24 オーバーフロー槽
25 誘導板

3 転写フィルム供給装置
31 フィルムロール
32 送り出しローラ

4 活性剤塗布装置
41 スプレーガン
42 フード
43 取り込み口

5 被転写体搬送装置
51 コンベヤ
52 治具
53 リンクチェーン

6 フィルム保持機構
61 ベルト
62 上流側プーリ
63 下流側プーリ

7 フィルム残渣排出装置
71 分割手段
72 回収口
72F 活性剤用回収口
72B フィルム用回収口
73 スクリューコンベヤ

711 送風機

721 オーバーフロー槽
722 誘導板

731 トラフ
732 スクリュー
733 シャフト
734 受け入れ口
735 吐出口

P 分断開始地点
FL 分断ライン
F 転写フィルム
F′ フィルム残渣
Fh 孔
L 転写液
M モータ
W 被転写体
Z1 フィルム展開ゾーン
Z2 没入ゾーン
Z3 活性化ゾーン
Z4 出液ゾーン
AR 転写処理エリア

Claims (7)

  1. 水溶性フィルムに少なくとも転写パターンが乾燥状態で形成されて成る転写フィルムを、転写槽内の液面上で浮遊支持し、その上方から被転写体を押し付け、これによって生じる液圧によって、被転写体に転写パターンを転写する装置に具えられ、
    被転写体を転写液中に没入させた後、転写に使用されず液面上に浮遊するフィルム残渣を、被転写体を転写液中に没入させてから引き上げるまでの実質的な転写処理エリアから回収・除去する排出装置であって、
    前記転写槽には、実質的な転写位置となる没入ゾーンを挟むように対向して設けられる両側壁に寄った位置に回収口が設けられ、この回収口に誘導したフィルム残渣を転写液とともにスクリューコンベヤにより移送して、前記フィルム残渣を回収する構成であることを特徴とする液圧転写におけるフィルム残渣排出装置。

  2. 前記回収口は、前記フィルム残渣を転写液とともに回収するフィルム用回収口と、このフィルム用回収口の上流側に設けられ、転写槽の両側壁付近を流れてくる活性剤成分を多く含む転写液を回収する活性剤用回収口とを具えることを特徴とする請求項1記載の液圧転写におけるフィルム残渣排出装置。

  3. 前記転写槽には、転写槽に供給された転写フィルムの両サイドに接触してこれを保持し、少なくとも前記没入ゾーンまで転写フィルムを液流と同調して移送するフィルム保持機構が具えられ、このフィルム保持機構の下流端が、側面視状態で前記回収口に掛かる構成であることを特徴とする請求項2記載の液圧転写におけるフィルム残渣排出装置。

  4. 前記スクリューコンベヤは、前記フィルム残渣を吐出する移送終端部が、転写槽の転写液面より高い位置に設けられる構成であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の液圧転写におけるフィルム残渣排出装置。

  5. 前記スクリューコンベヤは、転写槽の下流端部に設けられたオーバーフロー槽に、前記フィルム残渣を吐出する構成であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の液圧転写におけるフィルム残渣排出装置。

  6. 前記スクリューコンベヤは、移送中、回転するスクリューによって前記フィルム残渣を細切れ状に分断する構成であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載の液圧転写におけるフィルム残渣排出装置。

  7. 転写液を貯留する転写槽と、
    この転写槽に転写フィルムを供給する転写フィルム供給装置と、
    転写槽の液面上で活性化状態となった転写フィルムに対して上方から被転写体を押し付ける被転写体搬送装置とを具え、
    水溶性フィルムに少なくとも転写パターンが乾燥状態で形成されて成る転写フィルムを、転写槽内の液面上で浮遊支持し、その上方から被転写体を押し付け、これによって生じる液圧によって、被転写体に転写パターンを転写する装置において、
    この装置は、請求項1から6のいずれか1項記載のフィルム残渣排出装置を具えたことを特徴とする液圧転写装置。
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