JP2021152309A - 断熱材の評価方法および断熱材の評価システム - Google Patents
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Abstract
Description
また特許文献2に示すように、先端にスプレーノズルとレンジファインダとを備えた遠隔操作可能なロボットアームであって、レンジファインダで塗布する前後の材料(対象物)の厚みを測定するものが知られている。
一方、本出願人が提案している被覆材の厚さ計測方法は、各壁に設けられた断熱材の全面の厚さを測定するものである。それにより各断熱材の施工厚さを細部まで確認することができる。しかし、取得した断熱材全面の詳細な厚さデータから、どのように建物の断熱性能を評価するかについては、これまで検討されていない。
そこで、断熱材の全面の厚さに基づいて、断熱材の単独の施工厚さだけでなく、建物の断熱性能をより正確に評価するための手法が必要である。
本発明は、複数の対象面に施工された複数の断熱材を評価する断熱材の評価方法および断熱材の評価システムを提供することを目的としている。
ここで「断熱材の全面の厚さ」とは、対象面に施工された断熱材の全領域における各点の厚さの集合をいう。
本発明の断熱材の評価方法であって、複数の断熱材が部屋に設けられた複数の対象面に施工されたものであるのが好ましい。
本発明の断熱材の評価方法であって、複数の断熱材が構造物内に設けられた複数の対象面に施工されたものであるのが好ましい。
本発明の断熱材の評価方法であって、各断熱材の平均厚さに基づいて各断熱材の熱抵抗値または熱貫流率を計算する工程を有することが好ましい。各断熱材の全面の厚さに基づいて算出した平均厚さから断熱性を定量するため、より正確かつ客観的に建物の断熱性能を評価することが可能である。
本発明の断熱材の評価方法であって、各断熱材の面積を取得する工程をさらに有し、平均厚さを算出する工程は、各断熱材の全面の厚さと面積に基づいて平均厚さを算出するものであるのが好ましい。
一方、ステレオカメラは、2台のカメラによって撮像した対象面の画像から三角測量の原理で三次元形状を算出するものであり、2台のカメラ画像のマッチング精度を高めるために別途プロジェクターで計測用パターンを投影する手法や2台のカメラのうち片方を、パターン光を投影するプロジェクターに置き換えた手法も存在する(アクティブステレオ法)。そして、広い対象面を一度に撮像することができるアクティブステレオ方式のハンディステレオカメラが知られている。
現場での使用を考慮するといずれかの方式のハンディ三次元スキャナーあるいはハンディステレオカメラが好ましい。特に、データ処理量を抑えられ、三次元形状の計測時間を短くできるハンディ三次元スキャナーが好ましい。
施工形状の表現方法としては、計算機上で処理可能なものであれば特に限定されないが、例えば、(X,Y,Z)の三次元直交座標系の座標値の集合(いわゆる点群データ)で表現した画像が挙げられる。
また算出される三次元形状には対象の色情報を含めるのが好ましい。例えば、三次元計測にカラーカメラを用いる場合は、三次元座標と同時にカラー画像も取得することができ、色情報を付加した点群データを生成できる。
記憶部31は、三次元計測装置10が取得した断熱材の表面の三次元形状を記憶する。また後述するようにデータ処理部32によって算出される断熱材の全領域における各点の厚さ(断熱材の全面の厚さ)、および、それらを平均した断熱材毎の平均厚さを記憶する。また部屋にある全ての断熱材の平均厚さ、建物にある全ての断熱材の平均厚さを記憶する。さらにその他、必要な各種データを記憶する。
断熱材の表面の三次元形状に基づいて断熱材の全面の厚さを算出する方法としては、例えば、特願2019−39920号に示すように、対象面に施工された断熱材の表面の三次元形状(三次元座標)及び対象面からの所定の距離にある3点以上の基準三次元座標を含む施工形状を取得し、取得した基準三次元座標に基づいて対象面から所定の距離にある仮想平面を算出し、断熱材の表面の三次元座標と仮想平面とを比較することにより断熱材の全面の厚さを算出する方法が挙げられる。また特願2018−208451号に示すように、三次元計測装置によって断熱材の施工前の対象面の三次元形状を取得し、施工後の断熱材の表面の三次元形状を取得し、それらの差によって断熱材の厚さを求める方法が挙げられる。
またデータ処理部32は、断熱材の全面の厚さを表す断熱材の厚さの分布を色または濃淡で示した断熱材画像を算出する。このとき、所定の範囲に含まれない断熱材の部位がある場合、例えば、当該領域を赤色等の色で断熱材画像に示す。そして、部屋における全ての断熱材の平均厚さ、および、建物における全ての断熱材の平均厚さを算出する。さらに断熱材毎の平均厚さを求めてもよい。
表示部20は、データ処理部32によって作成された断熱材画像やデータベースの閲覧画面を表示する二次元モニターである。表示部20としては、現場での使用を考慮するとタブレット型のモニターが好ましい。
部屋にある全ての断熱材の平均厚さが得られるため、当該部屋の断熱材の材料の施工量がわかり、部屋の断熱性を客観的に評価することができる。
建物にある各壁、各部屋、および、全ての断熱材の平均厚さが得られるため、建物の断熱性能を正確に評価することができる。また、建物全体の断熱材の材料の施工量がわかり、材料の管理および材料費の算出が容易にかつ、正確にできる。さらに、実際に使用された断熱材の材料の使用量と、実際に施工された材料の施工量を比較することにより、施工者の技術等を客観的に評価することができる。
断熱材の評価方法は、各断熱材の全面の厚みを取得する工程(工程110)と、各断熱材の全面の厚みが所定の範囲にあるか判定する工程(工程120)と、断熱材の全面の厚みが所定の範囲に無いと判定した場合、当該断熱材の仕上げ処理を行う工程(工程130)と、断熱材の全面の厚みが所定の範囲にあると判定した場合、当該断熱材の全面の厚さを記憶する工程(工程140)と、各断熱材の平均厚さを算出する工程(工程150)と、全ての断熱材の平均厚さを算出する工程(工程160)とを有する。
各断熱材の全面の厚みの算出方法は、例えば、図2bに示すように、基準マーカーを設置する工程(工程111)と、断熱材の表面の三次元形状及び基準マーカーを含む施工形状を取得する工程(工程112)と、仮想平面を複数算出する工程(工程113)と、断熱材の表面上の各点Pを選択する工程(工程114)と、各点Pに最も近い仮想平面を選択する工程(工程115)と、各点Pの厚さを選択した仮想平面に基づいて算出する工程(工程116)とを有する。そして、工程114から工程116を断熱材の全領域で行うことにより、断熱材の全面の厚さを算出することができる。
基準マーカーとしては、特に限定されないが、例えば、ピンNの頭に設けた基準マーカーMが挙げられる。図3bに示すように、このピンNを断熱材Cに刺して、ピンNの先端を壁Wに当接させることにより、基準マーカーMを断熱材C上に設置させることができる。この基準マーカーM上の任意の点が、壁から所定の距離Lだけ離れた基準三次元座標となる。
三次元計測装置10を用いて断熱材Cの表面を直接測定して、基準マーカーMが設置された断熱材Cの表面の三次元形状を含む施工形状Aを取得する。
施工形状Aから基準マーカーMを選択する方法は、施工形状の中から色や形状の特徴に基づいて指定する。このような認識は、作業者が手動で画面上の基準マーカーの位置を指示してもよく、コンピューターの処理部に自動的に認識させてもよい。
基準マーカーMから基準点を抽出する方法は、特に限定されるものではなく、基準マーカーMの三次元座標に基づいて予め設定された条件に基づいて決定する。例えば、各基準マーカーMの重心座標などが挙げられる。
なお、各仮想平面は3点の基準三次元座標に基づいて算出することが好ましい。3点の基準三次元座標に基づいて仮想平面を算出する場合は、3点を頂点とする平面を一意に求めることができるからである。しかし、4点以上の基準三次元座標から1つの仮想平面を算出してもよい。その場合、対象面の不陸、三次元計測装置の計測誤差や、基準マーカーMの壁Wに対する傾き等の影響で、各基準点の三次元座標が平面に乗らない場合がある。その場合、複数の基準点の三次元座標に対して平面をフィッティングすればよい。これには既知の手法を用いることができる。例えば、最小二乗法で複数の基準点の三次元座標に対して最小二乗平面を求めればよい。
算出する仮想平面の数および大きさは、特に限定されるものではない。壁Wの大きさや用いる基準マーカー等に応じて適宜設定することができる。
この方式で被覆材の全領域における厚さを算出することができる。各点の間隔は、三次元計測装置10あるいは表示部20の解像度に応じて決定される。このような計算は、被覆材の表面の点群座標および仮想表面の点群座標を減算して求めてもよく、点群からメッシュに変換して面同士の計算によって差分を計算してもよい。
被覆材の表面の各点の厚みを、対象面からの距離が既知である複数の仮想平面のうち最も近いものに基づいて算出するため、対象面に不陸があったり、三次元計測装置の計測誤差があったりしても、その影響を最小限にすることができる。
工程110によって算出された断熱材の全面の厚さが所定の範囲から外れていないか判定する。また、外れている部位がある場合、その座標(位置)を特定し、施工不良箇所として認定する。
例えば、断熱材の厚さの分布を色または濃淡で示した断熱材画像を算出し、その断熱材画像において施工不良箇所を色または濃淡で示して表示してもよい。施工不良箇所が所定の範囲あるいは基準とした仕様厚さからどれだけずれているかの数値を示しても良い。
詳しくは、断熱材を施工した壁に関連付けて、施工形状、断熱材の全面の厚さおよび断熱材の平均厚さをデータベースとして記憶させる。例えば、図4aでは、対象面である部屋Rの各壁(東壁W1〜西壁W4)と、断熱材の情報とを関連付けて記憶させている。断熱材の情報としては、施工形状を現した施工画像、断熱材の全体の厚さを分布した断熱材画像および断熱材の平均厚さを挙げている。また検査結果、施工日、断熱材の材料の製品名、吹付け条件等の断熱材に関する各種データを記憶させている。
建築物の3DCADデータが存在する場合は、当該3DCADデータに関連付けて記憶することが好ましい。特に、近年提唱されているBIM(Building Information Modeling)と関連付けて記憶することでより効率的な工程管理・施工管理が可能である。特に、ビルや集合住宅のように対象面が多数ある場合、管理しやすい。なお、仕上げ前の三次元形状も一緒に保存してもよい。これにより、作業の過程を追跡することができる。
なお、厚さの検査を行わない場合は、工程120および130は省略してもよい。
部屋Rにある各断熱材の全面の厚さに基づいて、部屋の壁毎の断熱材の平均厚さ、部屋にある全ての断熱材の平均厚さおよび建物における全ての断熱材の平均厚さのうち、少なくとも1つの平均厚さを算出する。例えば、ある壁の断熱材の平均厚さを算出する場合、当該壁に含まれる断熱材の各点Pの厚さを総和した値を、その点数で割ったものを当該壁の断熱材の平均厚さとすればよい。部屋の断熱材の平均厚さを算出する場合も同様に、当該部屋に含まれる断熱材の各点Pの厚さを総和した値を、その点数で割ったものを当該部屋の断熱材の平均厚さとすればよい。または、当該部屋に含まれる各壁の断熱材の平均厚さを壁の面積によって加重平均して当該部屋の断熱材の平均厚さとしてもよい。部屋の建物における全ての断熱材の平均厚さも同様の手法で算出することができる。平均厚さを算出する方法としてはこれに限らず、例えば、厚さデータから対象面における断熱材の体積を求め、それを当該対象面の面積で割って平均厚さを推定してもよい。
このとき断熱材を施工した対象面の面積を施工形状から取得してもよい。施工形状に含まれる断熱材の表面の三次元形状から、断熱材を施工した対象面の面積を求めることができる。
例えば、図4aにおいて、部屋R1に含まれる4つの対象面(W1、W2、W3、W4)に関して取得した厚さデータの総和をデータ点数で割った値を部屋の平均厚さ32.5mmとして算出してもよいし、4つの対象面(W1、W2、W3、W4)に関する平均厚さを、壁の面積で加重平均した値を部屋の平均厚さ32.5mmとして算出してもよい。
また複数の部屋Rを有する建物の場合、図4bに示すように、建物全体にある全ての断熱材の平均厚さと、各部屋にある全ての断熱材の平均厚さを算出し、関連付けて記憶させるのが好ましい。このとき、建物全体の断熱材の厚さは、すべての部屋R1〜R4・・・に関して取得した厚さデータの総和をデータ点数で割った値を建物全体の平均厚さ32.4mmとして算出してもよいし、R1〜R4・・・の平均厚さを部屋の面積で加重平均した値を建物全体の平均厚さとして算出してもよい。
建物内の全ての断熱材の平均厚さから施工量を求めて、断熱材の材料の使用量と比較することにより、材料の管理および材料費の算出が容易にできる。さらに、実際に使用された断熱材の材料の使用量と、実際に施工された材料の施工量を比較することにより、建物における施工者の技術等を客観的に評価することができる。
工程110の断熱材の全面の厚さの算出方法では、仮想平面を求める方法を挙げているが、特願2018−208451号に示すように、断熱材の施工前の壁の位置座標または三次元形状と、施工後の断熱材の表面の位置座標または三次元形状を比較してもよい。この場合、基準マーカーを断熱材の上に設置をしなくてもよい。
本実施形態では、壁W1〜W4を挙げているが、断熱材を施工する対象面としては、壁以外に、床、屋根、天井、屋上などが挙げられる。このとき、壁と天井などとは規定される吹付け厚さが異なる場合がある。例えば、壁は30mmで天井は25mmといったように厚さを吹き分けることがある。このように、1つの部屋または建物について、規定吹付け厚さが異なる対象面が混在している場合でも、本発明によれば全体の平均厚さを自動的に算出することができる。
10 三次元計測装置
20 表示部
30 制御部
31 記憶部
32 データ処理部
A 施工形状
C、C1〜C4 断熱材
M 基準マーカー
N ピン
R 部屋
S1 平面
V、V1〜V4 仮想平面
W、W1〜W4 壁
Claims (7)
- 複数の対象面に施工された複数の断熱材を評価する方法であって、
各断熱材の全面の厚さを取得する工程と、
前記各断熱材の全面の厚さに基づいて前記各断熱材の平均厚さを算出する工程とを有する、
断熱材の評価方法。 - 前記各断熱材の全面の厚さを取得する工程が、前記各断熱材の三次元形状を算出することにより前記各断熱材の全面の厚さを取得する、
請求項1に記載の断熱材の評価方法。 - 前記複数の断熱材が、部屋内の複数の対象面に施工されたものである、
請求項1または2に記載の断熱材の評価方法。 - 前記複数の断熱材が、構造物内の複数の対象面に施工されたものである、
請求項1または2に記載の断熱材の評価方法。 - 前記各断熱材の平均厚さに基づいて前記各断熱材の熱抵抗値または熱貫流率を算出する工程をさらに有する、
請求項1〜4のいずれか一項に記載の断熱材の評価方法。 - 前記各断熱材の面積を取得する工程をさらに有し、
前記平均厚さを算出する工程は、前記各断熱材の全面の厚さと面積に基づいて平均厚さを算出する、
請求項1〜5のいずれか一項に記載の断熱材の評価方法。 - 複数の対象面に施工された複数の断熱材を評価するシステムであって、
断熱材の表面の三次元形状を取得する三次元計測装置と、
データ処理部とを備え、
前記データ処理部は、前記各断熱材の表面の三次元形状に基づいて前記各断熱材の全面の厚さを算出し、前記各断熱材の全面の厚さに基づいて前記各断熱材の平均厚さを算出する、
断熱材の評価システム。
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