JP2021152239A - 合成皮革用ポリウレタンおよびそれを用いた合成皮革積層体 - Google Patents

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亮 山下
Akira Yamashita
亮 山下
一彰 白井
Kazuaki Shirai
一彰 白井
貴之 山中
Takayuki Yamanaka
貴之 山中
芳和 金森
Yoshikazu Kanamori
芳和 金森
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Abstract

【課題】柔軟性や各種細菌への撥菌性及び耐薬品性を改善した合成皮革用ポリウレタンと、このポリウレタンを用いた合成皮革積層体を提供する。【解決手段】1分子中にイソシアネート基を2個以上含有するイソシアネート化合物(I)と、ポリオール及びポリアミンからなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物(II)と、1分子中に2個以上の水酸基を含有するポリオール(III)を反応させて得られる合成皮革用ポリウレタン。該ポリオール(III)がポリカーボネートポリオール(A)を含み、該ポリカーボネートポリオール(A)はオキシアルキレングリコールとしてジエチレングリコール及びトリエチレングリコールに由来する構造単位を含み、モル比で該ジエチレングリコールが該トリエチレングリコールよりも多い。このポリウレタンを用いた合成皮革積層体。【選択図】なし

Description

本発明は、原料に特定の構造のポリカーボネートポリオールを用いることで、柔軟性や各種細菌への撥菌性及び耐薬品性を改善した合成皮革用ポリウレタンと、このポリウレタンを用いた合成皮革積層体に関する。
従来、工業規模で生産されているポリウレタンの主たるソフトセグメント部の原料は、ポリテトラメチレンエーテルグリコールに代表されるエーテルタイプ、アジペート系エステルに代表されるポリエステルポリオールタイプ、ポリカプロラクトンに代表されるポリラクトンタイプ又はポリカーボネートジオールに代表されるポリカーボネートタイプに分けられる(非特許文献1)。
例えばポリテトラメチレンエーテルグリコールを用いたエーテルタイプの合成皮革用ポリウレタンが提案されている(特許文献1)。
また、ポリカーボネートジオールを用いたポリカーボネートタイプの合成皮革用ポリウレタンが提案されている(特許文献2)。
エーテルタイプのポリウレタンは、柔軟性および伸縮性には優れるものの、耐薬品性が劣るとされている。一方、ポリカーボネートジオールに代表されるポリカーボネートタイプのポリウレタンは、耐薬品性において最良な耐久グレードとされており、品質の高い合成皮革用の樹脂として広く利用されている。
さらには近年、自動車の共同使用(カーシェアリング)が進む中で、自動車の内装に用いられる各種部材の清潔性維持が強く求められている。清潔性と関連のある細菌の繁殖については、細菌が感染症を起こす第一歩となる宿主への付着を抑えることにある。また、自然界のほぼすべての細菌は何らかの固体表面に付着して生息しており、それら固体表面に付着している細菌は感染源となりヒトの感染症を引き起こす可能性があるとされている。従って、細菌が付着しても水で濯ぐことで除去できる(以下、撥菌性と呼ぶ)合成皮革の開発は、感染症予防に役立つものと考えられる(非特許文献2)。
しかしながら、現在広く市販されているポリカーボネートジオールは、主に1,6−ヘキサンジオールから合成されるポリカーボネートジオールであるが、これにより得られた合成皮革は各種耐久性が高いものの、前記撥菌性が不十分である課題を持つ。
また、原料としてポリカーボネートポリオールを用いて、耐薬品性の高い合成皮革が提案されているが(特許文献3)、撥菌性を目的とした具体的な組成や効果は明示されていない。
特開2015−189886号公報 特開2013−108196号公報 特開2019−044280号公報
"ポリウレタンの基礎と応用"96頁〜106頁 松永勝治 監修、(株)シーエムシー出版、2006年11月発行 "高分子論文集"74巻2017年発行6号631頁〜634頁 公益社団法人高分子学会出版
合成皮革用ポリウレタンにあっては、その用途において、特に柔軟性や耐薬品性および撥菌性の更なる向上が望まれているが、特許文献1,2等で提案される従来の方法では、柔軟性、耐薬品性と撥菌性の両立が困難であった。
本発明は、柔軟性、耐薬品性と共に撥菌性を改善した合成皮革用ポリウレタンと、このポリウレタンを用いた合成皮革積層体を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、原料として特定のポリカーボネートポリオールを用いてポリウレタンを製造することにより、上記課題を解決することができることを見出した。
本発明はこのような知見に基づいて達成されたものであり、以下を要旨とする。
[1] 1分子中にイソシアネート基を2個以上含有するイソシアネート化合物(I)と、ポリオール及びポリアミンからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物(II)と、1分子中に2個以上の水酸基を含有するポリオール(III)を反応させて得られる合成皮革用ポリウレタンであって、
該ポリオール(III)がポリカーボネートポリオール(A)を含み、
該ポリカーボネートポリオール(A)はオキシアルキレングリコールとしてジエチレングリコール及びトリエチレングリコールに由来する構造単位を含み、モル比で該ジエチレングリコールが該トリエチレングリコールよりも多いことを特徴とする合成皮革用ポリウレタン
[2] 前記ポリオール(III)は、前記ポリカーボネートポリオール(A)を90質量%以上含有することを特徴とする[1]に記載の合成皮革用ポリウレタン。
[3] 前記ポリカーボネートポリオール(A)を構成するジオール中の、前記ジエチレングリコール及びトリエチレングリコールの合計の含有率が70質量%以上である[1]または[2]に記載の合成皮革用ポリウレタン。
[4] 前記ポリカーボネートポリオール(A)の数平均分子量が、250〜5,000である[1]〜[3]のいずれかに記載の合成皮革用ポリウレタン。
[5] 前記ポリカーボネートポリオール(A)の1分子に含まれる水酸基の平均官能基数が1.8以上、2.5以下である[1]〜[4]のいずれかに記載の合成皮革用ポリウレタン。
[6] 前記ポリカーボネートポリオール(A)に含まれる全水酸基数に対する1級水酸基の比率が、95モル%以上である[1]〜[5]のいずれかに記載の合成皮革用ポリウレタン。
[7] 前記イソシアネート化合物(I)が、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−もしくは2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート及びイソホロンジイソシアネートからなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物である[1]〜[6]のいずれかに記載の合成皮革用ポリウレタン。
[8] 前記ポリオール及びポリアミンからなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物(II)が、1,4−ブタンジオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、エチレンジアミン、イソホロンジアミン及びヘキサメチレンジアミンからなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物である[1]〜[7]のいずれかに記載の合成皮革用ポリウレタン。
[9] 撥菌性を有することを特徴とする[1]〜[8]のいずれかに記載の合成皮革用ポリウレタン
[10] 基布、接着層、中間層、及び表皮層が、この順番で積層された合成皮革積層体であって、前記中間層、及び表皮層の少なくとも一方に[1]〜[9]のいずれかに記載の合成皮革用ポリウレタンを含む合成皮革積層体。
本発明によれば、原料に特定の構造のポリカーボネートポリオールを用いることで、柔軟性、耐薬品性と撥菌性を改善した合成皮革用ポリウレタンと、このポリウレタンを用いた合成皮革積層体を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
[合成皮革用ポリウレタンの原料化合物]
本発明の合成皮革用ポリウレタンの製造に用いる原料化合物について以下に説明する。
<イソシアネート化合物(I)>
本発明の合成皮革用ポリウレタンの製造原料として使用されるイソシアネート化合物(I)は、イソシアネート基を2以上有するものであればよく、芳香族又は脂肪族、脂環族の各種公知のイソシアネート化合物が挙げられる。
例えば、キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、トルエンジイソシアネート(2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート)、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4,4’−ジベンジルジイソシアネート、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、フェニレンジイソシアネート及びm−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート化合物;テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート及びダイマー酸のカルボキシル基をイソシアネート基に転化したダイマージイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート化合物;1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1−メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1−メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート及び1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,5−ペンタメチレンジイソシアネートなどの脂環族ジイソシアネート化合物等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも得られるポリウレタンの物性のバランスが好ましい点、耐候性に優れる点で、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−もしくは2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートが好ましく、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートがより好ましい。
<鎖延長剤>
本発明の合成皮革用ポリウレタンの製造原料として使用される鎖延長剤は、イソシアネート基と反応する活性水素を少なくとも2個有する低分子量化合物であり、ポリオール及びポリアミンからなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物(II)から選ばれる。
その具体例としては、ポリオールとしては、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール等の直鎖ジオール類;2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2,4−ヘプタンジオール、1,4−ジメチロールヘキサン、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、ダイマージオール等の分岐鎖を有するジオール類;ジエチレングリコール、プロピレングリコール等のエーテル基を有するジオール類;1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−ジヒドロキシエチルシクロヘキサン等の脂環構造を有するジオール類、キシリレングリコール、1,4−ジヒドロキシエチルベンゼン、4,4’−メチレンビス(ヒドロキシエチルベンゼン)等の芳香族基を有するジオール類;グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等のポリオール類;
ポリアミンとしては、N−メチルエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン等のヒドロキシアミン類;エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、ヘキサメチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、ジエチレントリアミン、イソホロンジアミン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、2−ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、2−ヒドロキシプロピルエチレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシプロピルエチレンジアミン、4,4’−ジフェニルメタンジアミン、メチレンビス(o−クロロアニリン)、キシリレンジアミン、ジフェニルジアミン、トリレンジアミン、ヒドラジン、ピペラジン、N,N’−ジアミノピペラジン等のポリアミン類;等を挙げることができる。
これらの鎖延長剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。併用する場合は主成分の鎖延長剤は好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上、最も好ましくは98モル%以上であり、主成分の鎖延長剤が70モル%未満では、機械物性等の諸物性が低下することもある。
これらの中でも、取り扱いが容易であり、反応の制御容易性の観点から、エチレンジアミン、イソホロンジアミン、ヘキサメチレンジアミンが好ましい。
また、得られるポリウレタンのソフトセグメントとハードセグメントの相分離性に優れることによる柔軟性に優れる点、工業的に安価に多量に入手が可能な点で、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、プロピレングリコール、1,6−ヘキサンジオールが好ましい。
<ポリカーボネートポリオール(A)>
本発明の合成皮革用ポリウレタンの製造原料として用いるポリオール(III)は、下記式(A1)で表されるオキシアルキレングリコールに由来する構造単位を有するポリカーボネートポリオール(A)(以下、「本発明のポリカーボネートポリオール」と称す場合がある)を含むものである。
Figure 2021152239
(上記式(A1)中、mは2〜4の整数を表し、RA1は炭素数2〜5の分岐を含んでいてもよい炭素鎖を表す。式(A1)に含まれるm個のRA1は同一であってもよく異なるものであってもよい。)
ポリカーボネートポリオール(A)の製造原料ジオールは、ジエチレングリコール及びトリエチレングリコールが用いられる。ポリカーボネートポリオール(A)の製造原料ジオール中のジエチレングリコール及びトリエチレングリコールの合計の含有割合が70質量%以上、特に80〜100質量%、とりわけ90〜100質量%であることが、柔軟性、耐薬品性及び撥菌性の観点から好ましい。
ポリカーボネートポリオール(A)としてジエチレングリコールとトリエチレングリコールとを併用して用いることは、ポリカーボネートポリオール鎖中の構造単位の規則性を乱すことで水素結合による凝集を防ぎ、柔軟性を高められるために、本発明に好ましい態様である。その場合、ジエチレングリコールとトリエチレングリコールとの使用割合は、モル比でジエチレングリコールがトリエチレングリコールよりも多いことが好ましく、より好ましくはモル比でジエチレングリコール:トリエチレングリコール=60:40〜90:10であり、70:30〜85:15の範囲にあるとさらに好ましい。
ポリカーボネートポリオール(A)に含まれるジエチレングリコール及びトリエチレングリコールに由来する構造単位以外の構造単位には、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール等に由来する構造単位が挙げられる。
ポリカーボネートポリオール(A)の製造原料に多価アルコールが含まれていても良く、例えば、グリセロール、トリメチロールメタン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、1,2,4−ブタントリオール、1,2,3−ヘキサントリオール、1,2,4−ヘキサントリオール、トリス(ヒドロキシメチル)アミン、トリス(ヒドロキシエチル)アミン、トリス(ヒドロキシプロピル)アミン、ペンタエリトリトール、ジグリセロール、トリグリセロール、ポリグリセロール、ビス(トリメチロールプロパン)、トリス(ヒドロキシメチル)イソシアヌレート、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、グルコースなどの糖類、ソルビトールなどの糖誘導体といったものが挙げられる。本発明のポリカーボネートポリオール(A)には、これらの多価アルコールの1種のみが含まれていてもよく、2種以上が含まれていてもよい。
本発明のポリカーボネートポリオールの製造に使用可能なカーボネート化合物としては、本発明の効果を損なわない限り限定されないが、ジアルキルカーボネート、ジアリールカーボネート、またはアルキレンカーボネートが挙げられる。これらは1種であっても複数種であってもよい。このうち反応性の観点からジアリールカーボネートが好ましい。
カーボネート化合物の具体例としては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、エチレンカーボネート等が挙げられ、ジフェニルカーボネートが好ましい。
ポリカーボネートポリオール(A)は、下記式(A2)で表される繰り返し単位を、好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上、さらに好ましくは99質量%以上含有する。
Figure 2021152239
(式(A2)中、m、RA1は式(A1)におけると同義である。)
<ポリカーボネートポリオール(A)の製造>
ポリカーボネートポリオール(A)を製造する場合には、重合を促進するために必要に応じてエステル交換触媒を用いることができる。エステル交換触媒としては、一般にエステル交換能があるとされている化合物であれば制限なく用いることができる。
エステル交換触媒の例を挙げると、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム等の長周期型周期表(以下、単に「周期表」と記載する。)第1族金属(水素を除く)の化合物;マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等の周期表第2族金属の化合物;チタン、ジルコニウム等の周期表第4族金属の化合物;ハフニウム等の周期表第5族金属の化合物;コバルト等の周期表第9族金属の化合物;亜鉛等の周期表第12族金属の化合物;アルミニウム等の周期表第13族金属の化合物;ゲルマニウム、スズ、鉛等の周期表第14族金属の化合物;アンチモン、ビスマス等の周期表第15族金属の化合物;ランタン、セリウム、ユーロピウム、イッテルビウム等のランタナイド系金属の化合物等が挙げられる。これらのうち、エステル交換反応速度を高めるという観点から、周期表第1族金属(水素を除く)の化合物、周期表第2族金属の化合物、周期表第4族金属の化合物、周期表第5族金属の化合物、周期表第9族金属の化合物、周期表第12族金属の化合物、周期表第13族金属の化合物、周期表第14族金属の化合物が好ましく、周期表第1族金属(水素を除く)の化合物、周期表第2族金属の化合物がより好ましく、周期表第2族金属の化合物がさらに好ましい。周期表第1族金属(水素を除く)の化合物の中でも、リチウム、カリウム、ナトリウムの化合物が好ましく、リチウム、ナトリウムの化合物がより好ましく、ナトリウムの化合物がさらに好ましい。周期表第2族金属の化合物の中でも、マグネシウム、カルシウム、バリウムの化合物が好ましく、カルシウム、マグネシウムの化合物がより好ましく、マグネシウムの化合物がさらに好ましい。これらの金属化合物は主に、水酸化物や塩等として使用される。塩として使用される場合の塩の例としては、塩化物、臭化物、ヨウ化物等のハロゲン化物塩;酢酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩等のカルボン酸塩;炭酸塩、硝酸塩等の無機酸塩;メタンスルホン酸やトルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等のスルホン酸塩;リン酸塩やリン酸水素塩、リン酸二水素塩等のリン含有の塩;アセチルアセトナート塩;等が挙げられる。触媒金属は、さらにメトキシドやエトキシドの様なアルコキシドとして用いることもできる。
これらのうち、好ましくは、周期表第2族金属から選ばれた少なくとも1種の金属の酢酸塩や硝酸塩、硫酸塩、炭酸塩、リン酸塩、水酸化物、ハロゲン化物、アルコキシドが用いられ、より好ましくは周期表第2族金属の酢酸塩や炭酸塩、水酸化物が用いられ、さらに好ましくはマグネシウム、カルシウムの酢酸塩や炭酸塩、水酸化物が用いられ、特に好ましくはマグネシウム、カルシウムの酢酸塩が用いられ、最も好ましくは酢酸マグネシウムが用いられる。
本発明のポリカーボネートポリオールの製造において、カーボネート化合物の使用量は、特に限定されないが、通常原料ジヒドロキシ化合物の合計1モルに対するモル比率で、下限が好ましくは0.35、より好ましくは0.50、さらに好ましくは0.60であり、上限は好ましくは1.00、より好ましくは0.98、さらに好ましくは0.97である。カーボネート化合物の使用量が上記上限超過では得られるポリカーボネートポリオールの末端基が水酸基でないものの割合が増加したり、分子量が所定の範囲とならない場合があり、前記下限未満では所定の分子量まで重合が進行しない場合がある。
本発明のポリカーボネートポリオールを製造するにあたって、前述のエステル交換触媒を用いる場合、その使用量は、得られるポリカーボネートポリオール中に残存しても性能に影響の生じない量であることが好ましい。
エステル交換触媒の使用量は、原料ジヒドロキシ化合物の質量に対する金属の質量比として、上限が500質量ppmであることが好ましく、100質量ppmであることがより好ましく、50質量ppmであることがさらに好ましく、10質量ppmであることが特に好ましい。一方、下限は十分な重合活性が得られる量として、0.01質量ppmであることが好ましく、0.1質量ppmであることがより好ましく、1質量ppmであることがさらに好ましい。
エステル交換反応の際の反応温度は、実用的な反応速度が得られる温度であれば任意に採用することができる。通常反応温度の下限は70℃であることが好ましく、100℃であることがより好ましく、130℃であることがさらに好ましい。反応温度の上限は、通常250℃であることが好ましく、230℃であることがより好ましく、200℃であることがさらに好ましい。反応温度を上記上限以下とすることにより、得られるポリカーボネートポリオールが着色するなどの品質上の問題が生じるのを防ぐことができる。
さらには、ポリカーボネートポリオールを製造するエステル交換反応の全工程を通じて反応温度を180℃以下とすることが好ましく、170℃以下とすることがより好ましく、160℃以下とすることがさらに好ましい。全工程を通じて反応温度を180℃以下とすることにより、条件によって着色し易くなるのを防ぐことができる。
反応は常圧で行なうこともできるが、エステル交換反応は平衡反応であり、生成する軽沸成分を系外に留去することで反応を生成系に偏らせることができる。従って、通常、反応後半には、減圧条件を採用して軽沸成分を留去しながら反応することが好ましい。或いは、反応の途中から徐々に圧力を下げて生成する軽沸成分を留去しながら反応させていくことも可能である。特に反応の終期において減圧度を高めて反応を行うと、副生したモノアルコール、フェノール類および環状カーボネートなどを留去することができるので好ましい。
この際の反応終了時の反応圧力は、上限が10kPaであることが好ましく、5kPaであることがより好ましく、1kPaであることがさらに好ましい。
軽沸成分の留出を効果的に行うために、反応系へ、窒素、アルゴンおよびヘリウムなどの不活性ガスを流通しながら該反応を行うこともできる。
エステル交換反応の際に低沸のカーボネート化合物やジヒドロキシ化合物を使用する場合は、反応初期はカーボネート化合物やジヒドロキシ化合物の沸点近辺で反応を行い、反応が進行するにつれて、徐々に温度を上げて、さらに反応を進行させる、という方法も採用可能である。このようにすることで、反応初期の未反応のカーボネート化合物の留去を防ぐことができる。
さらにこれら原料の留去を防ぐ目的で、反応器に還流管をつけて、カーボネート化合物とジヒドロキシ化合物を還流させながら反応を行うことも可能であり、この場合、仕込んだ原料が失われず試剤の量比を正確に合わせることができる。
重合反応は、バッチ式または連続式で行うことができるが、製品の安定性等から連続式で行うことが好ましい。使用する装置は、槽型、管型および塔型のいずれの形式であってもよく、各種の撹拌翼を具備した公知の重合槽等を使用することができる。装置昇温中の雰囲気は特に制限はないが、製品の品質の観点から、窒素ガス等の不活性ガス中、常圧または減圧下で行うのが好ましい。
重合反応は、生成するポリカーボネートポリオールの分子量を測定しながら、目的の分子量となったところで終了する。重合に必要な反応時間は、使用するジヒドロキシ化合物、カーボネート化合物、および触媒の使用の有無および種類により大きく異なるので、一概に規定することは出来ないが、通常50時間以下であることが好ましく、20時間以下であることがより好ましく、10時間以下であることがさらに好ましい。
重合反応の際に触媒を用いた場合、通常得られたポリカーボネートポリオールには触媒が残存し、残存する触媒により、ポリウレタン化反応の制御が出来なくなる場合がある。この残存する触媒の影響を抑制するために、使用されたエステル交換触媒とほぼ等モルのリン系化合物等の触媒失活剤を添加し、エステル交換触媒を不活性化することが好ましい。さらには触媒失活剤添加後、後述のように加熱処理等により、エステル交換触媒を効率的に不活性化することができる。
エステル交換触媒の不活性化に使用されるリン系化合物としては、例えば、リン酸、亜リン酸などの無機リン酸や、リン酸ジブチル、リン酸トリブチル、リン酸トリオクチル、リン酸トリフェニル、亜リン酸トリフェニルなどの有機リン酸エステル等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
前記リン系化合物の使用量は、特に限定はされないが、使用されたエステル交換触媒とほぼ等モルであればよく、具体的には、使用されたエステル交換触媒1モルに対して上限が好ましくは5モル、より好ましくは2モルであり、下限が好ましくは0.8モル、より好ましくは1.0モルである。これより少ない量のリン系化合物を使用した場合は、反応生成物中のエステル交換触媒の不活性化が十分でなく、得られたポリカーボネートポリオールを合成皮革用ポリウレタンの製造用原料として使用する時、該ポリカーボネートポリオールのイソシアネート基に対する反応性を十分に低下させることができない場合がある。また、この範囲を超えるリン系化合物を使用すると得られたポリカーボネートポリオールが着色してしまう可能性がある。
リン系化合物を添加することによるエステル交換触媒の不活性化は、室温でも行うことができるが、加熱処理するとより効率的である。この加熱処理の温度は、特に限定はされないが、上限が好ましくは180℃、より好ましくは150℃、さらに好ましくは120℃、特に好ましくは100℃であり、下限は、好ましくは50℃、より好ましくは60℃、さらに好ましくは70℃である。これより低い温度の場合は、エステル交換触媒の不活性化に時間がかかり効率的でなく、また不活性化の程度も不十分な場合がある。一方、180℃を超える温度では、得られたポリカーボネートポリオールが着色することがある。
リン系化合物と反応させる時間は特に限定するものではないが、通常1〜5時間である。
なお、ポリカーボネートポリオールに残存する触媒量は、ポリウレタン化反応の制御の観点から金属換算量で100質量ppm以下、特に10質量ppm以下であることが好ましい。一方で、必要な触媒量として金属換算量で0.01質量ppm以上、特に0.1質量ppm以上、とりわけ5質量ppm以上であることが好ましい。
反応生成物は、該生成物中のポリマー末端に水酸基を有さない不純物、フェノール類、原料ジヒドロキシ化合物、カーボネート化合物、副生する軽沸の環状カーボネートおよび添加した触媒などを除去する目的で精製することができる。
その際の精製は、軽沸化合物については、蒸留で留去する方法が採用できる。蒸留の具体的な方法としては、減圧蒸留、水蒸気蒸留および薄膜蒸留など特にその形態に制限はなく、任意の方法を採用することが可能であるが、中でも薄膜蒸留が効果的である。
薄膜蒸留条件としては特に制限はないが、薄膜蒸留時の温度は、上限が250℃であることが好ましく、200℃であることがより好ましい。また、下限が120℃であることが好ましく、150℃であることがより好ましい。
薄膜蒸留時の温度の下限を上記の値とすることにより、軽沸成分の除去効果が十分となる。また、上限を250℃とすることにより、薄膜蒸留後に得られるポリカーボネートポリオールが着色するのを防ぐことができる。
薄膜蒸留時の圧力は、上限が500Paであることが好ましく、150Paであることがより好ましく、70Paであることがさらに好ましく、60Paであることが特に好ましい。薄膜蒸留時の圧力を上記上限値以下とすることにより、軽沸成分の除去効果が十分に得られる。
また、薄膜蒸留直前のポリカーボネートポリオールの保温の温度は、上限が250℃であることが好ましく、150℃であることがより好ましい。また、下限が80℃であることが好ましく、120℃であることがより好ましい。
薄膜蒸留直前のポリカーボネートポリオールの保温の温度を上記下限以上とすることにより、薄膜蒸留直前のポリカーボネートポリオールの流動性が低下するのを防ぐことができる。一方、上記上限以下とすることにより、薄膜蒸留後に得られるポリカーボネートポリオールが着色するのを防ぐことができる。
また、水溶性の不純物を除くために、水、アルカリ性水、酸性水およびキレート剤溶解溶液などで洗浄してもよい。その場合水に溶解させる化合物は任意に選択できる。
原料として例えばジフェニルカーボネート等のジアリールカーボネートを使用した場合、ポリカーボネートポリオール製造中にフェノール類が副生する。フェノール類は一官能性化合物なので、合成皮革用ポリウレタンを製造する際の阻害因子となる可能性がある上、フェノール類によって形成されたウレタン結合は、その結合力が弱いために、その後の工程等で熱によって解離してしまい、イソシアネートやフェノール類が再生されて不具合を起こす可能性がある。また、フェノール類は刺激性物質でもあるため、ポリカーボネートポリオール中のフェノール類の残存量は、より少ない方が好ましい。ポリカーボネートポリオール中のフェノール類の残存量は、具体的にはポリカーボネートポリオールに対する質量比として好ましくは1000ppm以下、より好ましくは500ppm以下、さらに好ましくは300ppm以下、中でも100ppm以下であることが好ましい。ポリカーボネートポリオール中のフェノール類を低減するためには、前述するようにポリカーボネートポリオールの重合反応の圧力を絶対圧力として1kPa以下の高真空としたり、ポリカーボネートポリオールの重合反応後に薄膜蒸留等を行ったりすることが有効である。
ポリカーボネートポリオール中には、製造時の原料として使用したカーボネート化合物が残存することがある。ポリカーボネートポリオール中のカーボネート化合物の残存量は限定されるものではないが、少ないほうが好ましく、ポリカーボネートポリオールに対する質量比として上限が好ましくは5質量%、より好ましくは3質量%、さらに好ましくは1質量%である。ポリカーボネートポリオールのカーボネート化合物含有量が多すぎるとポリウレタン化の際の反応を阻害する場合がある。一方、その下限は特に制限はないが、好ましくは0.1質量%、より好ましくは0.01質量%、さらに好ましくは0質量%である。
ポリカーボネートポリオールには、製造時に使用したジヒドロキシ化合物が残存する場合がある。ポリカーボネートポリオール中のジヒドロキシ化合物の残存量は、限定されるものではないが、少ないほうが好ましく、ポリカーボネートポリオールに対する質量比として1質量%以下が好ましく、より好ましくは0.1質量%以下であり、さらに好ましくは0.05質量%以下である。ポリカーボネートポリオール中のジヒドロキシ化合物の残存量が多いと、合成皮革用ポリウレタンとした際のソフトセグメント部位の分子長が不足し、所望の物性が得られない場合がある。
本発明のポリカーボネートポリオール中に含まれる分子鎖末端がアルキルオキシ基ないしアリールオキシ基となっている構造の割合は、その末端基の数として全末端数の5モル%以下、特に3モル%以下、とりわけ1モル%以下であることが好ましい。アルキルオキシ末端基またはアリールオキシ末端基の割合が多いとポリウレタン化反応を行なう際に重合度が上がらないなどの問題が生じる場合がある。
本発明のポリカーボネートポリオールは、上述のように分子鎖の末端がアルキルオキシ基またはアリールオキシ基である数の割合が5モル%以下で、分子鎖の両末端基は基本的には水酸基であり、ポリウレタン化反応の際はこの水酸基がイソシアネート化合物と反応できる構造となっていることが好ましい。特にイソシアネート化合物との反応性の観点から、分子鎖の末端が1級の水酸基である数の割合が95モル%以上であることが好ましく、より分子量が大きく強度が高いポリウレタンを合成するためには1級の水酸基である割合が98モル%以上であることがより好ましい。
本発明のポリカーボネートポリオールの水酸基価は、下限は通常20mg−KOH/g、好ましくは22.4mg−KOH/g、より好ましくは28.1mg−KOH/g、更に好ましくは37.4mg−KOH/gで、上限は通常450mg−KOH/g、好ましくは448.8mg−KOH/g、より好ましくは374.0mg−KOH/g、更に好ましくは280.5mg−KOH/gである。水酸基価が上記下限未満では、粘度が高くなりすぎポリウレタン化の際のハンドリングが困難となる場合があり、上記上限超過では得られる合成皮革用ポリウレタンの柔軟性が不足する場合がある。
ポリカーボネートポリオールの水酸基価は、具体的には、後述の実施例の項に記載される方法で測定される。
また、本発明のポリカーボネートポリオールの水酸基価から求めた数平均分子量(Mn)の下限は好ましくは250であり、より好ましくは300、さらに好ましくは400である。一方、上限は好ましくは5,000であり、より好ましくは4,000、さらに好ましくは3,000である。ポリカーボネートポリオールの数平均分子量(Mn)が前記下限未満では、得られる合成皮革用ポリウレタンの柔軟性が十分に得られない場合がある。一方前記上限超過では粘度が上がり、ポリウレタン化の際のハンドリングを損なう可能性がある。
ポリカーボネートポリオールの水酸基価から求めた数平均分子量(Mn)は、具体的には、後述の実施例の項に記載される方法で測定される。
本発明のポリカーボネートポリオールの1分子中に含まれる水酸基の平均官能基数は1.8〜2.5の範囲が好ましく、より好ましくは1.85〜2.2、さらに好ましくは1.9〜2.05である。前記下限未満では、ポリウレタン化時の分子量が十分に伸びず、強度などの物性が不十分となる。一方で、前記上限超過ではポリウレタン化時の架橋反応が進み、ハンドリングを損なう可能性がある。
ポリカーボネートポリオールの1分子中に含まれる水酸基の平均官能基数は通常400MHz以上のNMR(核磁気共鳴スペクトル)装置による測定で確認することが出来る。
本発明の合成皮革用ポリウレタンの製造原料としての本発明のポリカーボネートポリオールは、1種のみを用いてもよく、繰り返し単位やそのモル比、物性等の異なるものを2種以上用いてもよい。
<ポリカーボネートポリオール(A)以外のポリオール>
本発明の合成皮革用ポリウレタンを製造する際のポリウレタン形成反応においては、ポリオール(III)としてポリカーボネートポリオール(A)以外のポリオールを、物性に影響の無い範囲で併用してもよい。
ここで、本発明のポリカーボネートポリオール(A)以外のポリオールとは、通常のポリウレタン製造の際に用いるものであれば特に限定されず、例えばポリエステルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリアルキレンエーテルグリコール、ポリカーボネートポリオール(A)以外のポリカーボネートポリオールが挙げられる。ここで、ポリオール(III)に対する、ポリカーボネートポリオール(A)の質量割合は90%以上が好ましく、95%以上がさらに好ましく、最も好ましくは98%以上である。本発明のポリカーボネートポリオールの質量割合が少ないと、本発明の特徴である合成皮革用ポリウレタンを用いた合成皮革積層体の柔軟性や耐久性と撥菌性が失われる可能性がある。
[合成皮革用ポリウレタン]
本発明の合成皮革用ポリウレタンは、1分子中にイソシアネート基を2個以上含有するイソシアネート化合物(I)と、ポリオール及びポリアミンからなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物(II)と、1分子中に2個以上の水酸基を含有するポリオール(III)を反応させて得られる合成皮革用ポリウレタンであって、該ポリオール(III)がポリカーボネートポリオール(A)を含み、該ポリカーボネートポリオール(A)はオキシアルキレングリコールとしてジエチレングリコール及びトリエチレングリコールに由来する構造単位を含むことを特徴とする、
本発明の合成皮革用ポリウレタンは前述の、ポリカーボネートポリオール(A)を含むポリオール(III)と、ポリイソシアネート化合物と、鎖延長剤である化合物(I)とを用いること以外は、通常のポリウレタン化反応により製造することができる。
<鎖停止剤>
本発明の合成皮革用ポリウレタンを製造する際には、得られる合成皮革用ポリウレタンの分子量を制御する目的で、必要に応じて1個の活性水素基を持つ鎖停止剤を少量添加使用することもできる。これらの鎖停止剤としては、一個の水酸基を有するメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール等の脂肪族モノオール類やモルフォリン等のモノアミン類が例示される。
これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
<触媒>
本発明の合成皮革用ポリウレタンを製造する際に、ウレタン化反応のために触媒を使用してもよい。ウレタン化反応触媒としては、例えば、有機スズ系化合物、有機亜鉛系化合物、有機ビスマス系化合物、有機チタン系化合物、有機ジルコニウム系化合物、アミン系化合物等を挙げることができる。ウレタン化反応触媒は、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。ウレタン化反応触媒を使用する場合、合成皮革用ポリウレタンの質量に対して、0.1〜100質量ppmとなるように調整することが推奨される。0.1質量ppm以上のウレタン化反応触媒を使用すれば、合成皮革用性ポリウレタンの分子量が充分に高い水準で維持され、合成皮革用ポリウレタン本来の物性が効果的に発揮されやすくなる。
前記ウレタン化反応触媒の中でも、有機スズ系化合物が好ましい。有機スズ系化合物としては、例えば、スズ含有アシレート化合物、スズ含有メルカプトカルボン酸塩等が挙げられ、具体的には、オクチル酸スズ、モノメチルスズメルカプト酢酸塩、モノブチルスズトリアセテート、モノブチルスズモノオクチレート、モノブチルスズモノアセテート、モノブチルスズマレイン酸塩、モノブチルスズマレイン酸ベンジルエステル塩、モノオクチルスズマレイン酸塩、モノオクチルスズチオジプロピオン酸塩、モノオクチルスズトリス(イソオクチルチオグリコール酸エステル)、モノフェニルスズトリアセテート、ジメチルスズマレイン酸エステル塩、ジメチルスズビス(エチレングリコールモノチオグリコレート)、ジメチルスズビス(メルカプト酢酸)塩、ジメチルスズビス(3−メルカプトプロピオン酸)塩、ジメチルスズビス(イソオクチルメルカプトアセテート)、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジオクトエート、ジブチルスズジステアレート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズマレイン酸塩、ジブチルスズマレイン酸塩ポリマー、ジブチルスズマレイン酸エステル塩、ジブチルスズビス(メルカプト酢酸)、ジブチルスズビス(メルカプト酢酸アルキルエステル)塩、ジブチルスズビス(3−メルカプトプロピオン酸アルコキシブチルエステル)塩、ジブチルスズビスオクチルチオグリコールエステル塩、ジブチルスズ(3−メルカプトプロピオン酸)塩、ジオクチルスズマレイン酸塩、ジオクチルスズマレイン酸エステル塩、ジオクチルスズマレイン酸塩ポリマー、ジオクチルスズジラウレート、ジオクチルスズビス(イソオクチルメルカプトアセテート)、ジオクチルスズビス(イソオクチルチオグリコール酸エステル)、ジオクチルスズビス(3−メルカプトプロピオン酸)塩等が挙げられる。
特に本発明においては、脂肪族イソシアネート化合物及び/又は脂環族イソシアネート化合物を原料として使用する場合は、芳香族イソシアネート化合物より反応性が低いため、スズ系等の触媒を使用するのが好ましく、特に反応性の低い4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートを用いる場合は触媒を使用することがさらに好ましい。
例えば、ポリオール(III)とポリイソシアネート化合物(I)及び鎖延長剤である化合物(II)をワンショットで連続的に反応(一段法)させることにより、本発明の合成皮革用ポリウレタンを効率よく製造することができる。
また、ポリオール(III)と過剰のポリイソシアネート化合物(I)とをまず反応させて末端にイソシアネート基を有するプレポリマーを製造し、さらに鎖延長剤である化合物(II)と反応させて(二段法)重合度を上げて、本発明の合成皮革用ポリウレタンを製造することもできる。
ポリオール(III)と、前述のポリイソシアネート化合物(I)と鎖延長剤である化合物(II)とを反応させて本発明の合成皮革用ポリウレタンを製造する方法としては、一般的に実験ないし工業的に用いられる製造方法が使用できる。
<一段法>
一段法とは、ワンショット法とも呼ばれ、ポリカーボネートポリオールと必要に応じて用いられるその他のポリオール、ポリイソシアネート化合物、及び鎖延長剤を一括に仕込むことで反応を行う方法である。
<一段法>
二段法は、プレポリマー法ともよばれ、主に以下の方法がある。
(a) 予めポリオールと過剰のイソシアネート化合物とを、イソシアネート化合物/ポリオールの反応当量比が1を超える量から10.0以下で反応させて、分子鎖末端がイソシアネート基であるプレポリマーを製造し、次いでこれに鎖延長剤を加えることによりポリウレタンを製造する方法。
(b) 予めイソシアネート化合物と過剰のポリオールとを、イソシアネート化合物/ポリオールの反応当量比が0.1以上から1.0未満で反応させて分子鎖末端が水酸基であるプレポリマーを製造し、次いでこれに鎖延長剤として末端がイソシアネート基のイソシアネート化合物を反応させてポリウレタンを製造する方法。
二段法は無溶媒でも溶媒共存下でも実施することができる。
二段法による合成皮革用ポリウレタンの製造は以下に記載の(1)〜(3)のいずれかの方法によって行うことができる。
(1) 溶媒を使用せず、まず直接ポリイソシアネート化合物とポリオールとを反応させてプレポリマーを合成し、そのまま鎖延長反応に使用する。
(2) (1)の方法でプレポリマーを合成し、その後溶媒に溶解し、以降の鎖延長反応に使用する。
(3) 初めから溶媒を使用し、イソシアネート化合物とポリオールとを反応させ、その後鎖延長反応を行う。
(1)の方法の場合には、鎖延長反応にあたり、鎖延長剤を溶媒に溶かしたり、溶媒に同時にプレポリマー及び鎖延長剤を溶解したりするなどの方法により、ポリウレタンを溶媒と共存する形で得ることが重要である。
また、合成皮革用ポリウレタンの製造には必要に応じて、触媒や安定剤等を添加することもできる。
<反応モル比>
上記いずれの製造方法による場合においても、本発明の合成皮革用ポリウレタンを製造する際のウレタン化反応には、ポリオール(III)、イソシアネート化合物(I)及び鎖延長剤として化合物(II)の反応モル比が、ポリオール(III):イソシアネート化合物(I):鎖延長剤である化合物(II)=1:1.5〜4:0.5〜3のモル比となるように反応させることが好ましい。この際、原料のモル比は生成物のモル比に反映される。
ポリオール(III)1モル比に対するイソシアネート化合物(I)のモル比が1.5未満では得られる合成皮革用ポリウレタンの強度が不十分であり、4を超えると得られる合成皮革用ポリウレタンの柔軟性が不十分となる。イソシアネート化合物(I)はポリオール(III)1モルに対して1.5〜4モル、特に2〜3モル用いることが好ましい。
また、ポリオール(III)1モル比に対する鎖延長剤として化合物(II)のモル比が0.5未満では得られる合成皮革用ポリウレタンの強度が不十分であり、3を超えると得られる合成皮革用ポリウレタンの柔軟性が不十分となる。鎖延長剤として化合物(II)はポリオール(III)1モルに対して0.5〜3モル、特に1〜2モル用いることが好ましい。
<分子量>
本発明の合成皮革用ポリウレタンの分子量は、用途に応じて適宜調整され、特に制限はないが、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)として5万〜50万であることが好ましく、10万〜30万であることがより好ましい。重量平均分子量(Mw)が上記下限よりも小さいと十分な強度や硬度が得られない場合があり、上記上限よりも大きいと加工性などハンドリング性を損なう傾向がある。
<添加剤>
本発明の合成皮革用ポリウレタンは、充填剤、可塑剤、着色剤(染料、顔料)、安定剤(例えば、酸化防止剤、UV安定剤、熱安定剤等)、難燃剤、架橋剤、反応促進剤、補強剤等を、本発明の合成皮革用ポリウレタンの特性を損なわない範囲で、添加、混合して合成皮革用ポリウレタン組成物として用いることができる。
充填剤としては、例えば、タルク、炭酸カルシウム、白亜、硫酸カルシウム、粘土、カオリン、シリカ、ガラス、ヒュームドシリカ、マイカ、珪灰石、長石、アルミニウムシリケート、カルシウムシリケート、アルミナ、アルミナ三水和物等のアルミナ水和物、ガラス微小球、セラミック微小球、熱可塑性樹脂微小球、バライト、木粉、ガラス繊維、カーボンファイバー、マーブルダスト、セメントダスト、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化アンチモン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、二酸化チタン、チタン酸塩、これらの組合せ等が挙げられる。充填剤は、好ましくはタルク、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、シリカ、ガラス、ガラス繊維、アルミナ、二酸化チタンまたはこれらの組合せであり、より好ましくはタルク、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、ガラス繊維またはこれらの組合せである。充填剤として、Zweifel Hansらの文献「プラスチック添加剤ハンドブック(Plastics Additives Handbook)」Hanser Gardner Publications, Cincinnati, Ohio、5版、17章、901−948ページ(2001)に記載されているものを使用できる。
可塑剤としては、例えば、鉱油、アビエチン酸エステル、アジピン酸エステル、アルキルスルホン酸エステル、アゼライン酸エステル、安息香酸エステル、塩素化パラフィン、クエン酸エステル、エポキシド、グリコールエーテルおよびそのエステル、グルタル酸エステル、炭化水素油、イソ酪酸エステル、オレイン酸エステル、ペンタエリスリトール誘導体、リン酸エステル、フタル酸エステル、ポリブテン、リシノール酸エステル、セバシン酸エステル、スルホンアミド、トリメリト酸エステル、ピロメリト酸エステル、ビフェニル誘導体、ステアリン酸エステル、ジフランジエステル、フッ素含有可塑剤、ヒドロキシ安息香酸エステル、イソシアン酸エステル付加物、多環芳香族化合物、天然製品誘導体、シロキサン系可塑剤、タール系製品、チオエステル、チオエーテル、これらの組合せ等が挙げられる。合成皮革用ポリウレタン組成物中の可塑剤の含有量は、好ましくは0〜15質量%、より好ましくは0.5〜10質量%、さらに好ましくは1〜5質量%である。可塑剤として、George Wypychの文献「可塑剤のハンドブック(Handbook of Plasticizers)」ChemTec Publishing, Toronto- Scarborough, Ontario(2004)に記載されているものを使用できる。
着色剤(染料、顔料)としては、例えば、無機顔料、例えば、金属酸化物(例えば酸化鉄、酸化亜鉛、二酸化チタン)、混合金属酸化物、カーボンブラック、これらの組合せ等;有機顔料、例えば、アントラキノン、アンタントロン、アゾ化合物、モノアゾ化合物、アリールアミド、ベンゾイミダゾロン、BONAレーキ、ジケトピロロピロール、ジオキサジン、ジスアゾ化合物、ジアリリド化合物、フラバントロン、インダントロン、イソインドリノン、イソインドリン、モノアゾ塩、ナフトール、β−ナフトール、ナフトールAS、ナフトールレーキ、ペリレン、ペリノン、フタロシアニン、ピラントロン、キナクリドン、キノフタロン、これらの組合せ等;無機顔料および有機顔料の組合せ;等が挙げられる。合成皮革用ポリウレタン組成物中の着色剤の含有量は、好ましくは0〜10質量%、より好ましくは0.1〜5質量%、さらに好ましくは0.25〜2質量%である。着色剤としては、Zweifel Hansらの文献「プラスチック添加剤ハンドブック(Plastics Additives Handbook)」Hanser Gardner Publications, Cincinnati, Ohio、5版、15章、813−882ページ(2001)に記載されているものを使用できる。
酸化防止剤としては、例えば、アルキルジフェニルアミン、フェニル−α−ナフチルアミン、アルキル置換フェニル−α−ナフチルアミン、アラルキル置換フェニル−α−ナフチルアミン、アルキル化p−フェニレンジアミン、テトラメチル−ジアミノジフェニルアミン等の芳香族アミンまたはヒンダードアミン;2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール等のフェノール化合物;1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)ベンゼン;テトラキス[(メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート)]メタン(例えば、IRGANOX(商標)1010、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製);アクリロイル修飾フェノール;オクタデシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシシンナメート(例えば、IRGANOX(商標)1076、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製);亜リン酸エステル;亜ホスホン酸エステル;ヒドロキシルアミン;ベンゾフラノン誘導体;これらの組合せ;等が挙げられる。合成皮革用ポリウレタン組成物中の酸化防止剤の含有量は、好ましくは0〜5質量%、より好ましくは0.0001〜2.5質量%、さらに好ましくは0.001〜1質量%、特に好ましくは0.001〜0.5質量%である。酸化防止剤として、Zweifel Hansらの文献「プラスチック添加剤ハンドブック(Plastics Additives Handbook)」Hanser Gardner Publications, Cincinnati, Ohio、5版、1章、1−140ページ(2001)に記載されているものを使用できる。
UV安定剤としては、例えばベンゾフェノン、ベンゾトリアゾール、アリールエステル、オキサニリド、アクリル酸エステル、ホルムアミジン、カーボンブラック、ヒンダードアミン、ニッケルクエンチャー、ヒンダードアミン、フェノール化合物、金属塩、亜鉛化合物、これらの組合せ等が挙げられる。合成皮革用ポリウレタン組成物中のUV安定剤の含有量は、好ましくは0〜5質量%、より好ましくは0.01〜3質量%、さらに好ましくは0.1〜2質量%、特に好ましくは0.1〜1質量%である。UV安定剤として、Zweifel Hansらの文献「プラスチック添加剤ハンドブック(Plastics Additives Handbook)」Hanser Gardner Publications, Cincinnati, Ohio、5版、2章、141−426ページ(2001)に記載されているものを使用できる。
熱安定剤としては、例えば、リン系熱安定剤が挙げられ、その市販品としては、例えば、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製の商品名:イルガフォス38、同126、同P−EPQ等、旭電化工業社製の商品名:アデカスタブPEP−4C、同11C、同24、同36等が挙げられる。リン系熱安定剤を使用する場合、合成皮革用ポリウレタン組成物中の熱安定剤の含有量は、好ましくは0.05〜1質量%である。
難燃剤としては、例えば、ポリブロモジフェニルエーテル、エチレンビス臭素化フタルイミド、ビス(臭素化フェニル)エタン、ビス(臭素化フェニル)テレフタルアミド、パークロロペンタシクロデカン等のハロゲン系の有機難燃剤;リン系の有機難燃剤;窒素系の有機難燃剤;三酸化アンチモン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の無機系難燃剤;等が挙げられる。
架橋剤としては、例えば、アルキル過酸化物、アリール過酸化物、ペルオキシエステル、ペルオキシカーボネート、ジアシルペルオキシド、ペルオキシケタール、環式過酸化物等の有機過酸化物;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン等のシラン系化合物;トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トルアクリルホルマール等の分子内に炭素−炭素二重結合を複数個(好ましくは3個以上)有するラジカル架橋剤等が挙げられる。架橋剤として、Zweifel Hansらの文献「プラスチック添加剤ハンドブック(Plastics Additives Handbook)」Hanser Gardner Publications, Cincinnati, Ohio、5版、14章、725−812ページ(2001)に記載されているものを使用できる。中でも、ラジカル架橋剤が好ましく、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トルアクリルホルマールがより好ましく、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレートがさらに好ましい。
これらの添加剤は、単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で組み合わせて用いてもよい。
これらの添加剤の添加量は、本発明の合成皮革用ポリウレタンに対する質量比として、下限が、好ましくは0.01質量%、より好ましくは0.05質量%、さらに好ましくは0.1質量%、上限は、好ましくは10質量%、より好ましくは5質量%、さらに好ましくは1質量%である。添加剤の添加量が少な過ぎるとその添加効果を十分に得ることができず、多過ぎると合成皮革用ポリウレタンの加工の過程で析出したり、濁りを発生したりする場合がある。
[合成皮革]
本発明の合成皮革用ポリウレタンを用いた合成皮革の製造方法は、公知の方法を使用することができ、例えば、「人工皮革・合成皮革 日本繊維製品消費科学会(2010)」に示されるような方法で製造される。一般的に、合成皮革とは基材として織布や編布を示し、基材として不織布を用いる人工皮革とは別の構成体として区別されることもある。しかし、近年は不織布に強度を付与するため織布・編布を貼付するなど、その区別は厳密なものではなくなってきている。本発明における合成皮革用ポリウレタンは、人工皮革用ポリウレタンにも同等に適用することができ、且つ合成皮革と人工皮革と区別される組成物も含むものとし、本発明の効果はいずれに対しても発現する。
本発明の合成皮革用ポリウレタンを用いた合成皮革は、例えば、基材となる基布に対してポリウレタン樹脂を含有したミクロポーラス層を形成し、接着剤層を介して表皮層用ポリウレタン樹脂を積層する方法や、基材にポリウレタン等の樹脂を充填したものの上にポリウレタン樹脂を含有させたり、更にその上にミクロポーラス層を積層させたりして製造される。本発明の合成皮革用ポリウレタンは、上記の基材に塗布または含浸させても、接着剤層に含有させても、表皮層として使用しても良く、その他の層に用いても良い。尚、撥菌性の効果を高める目的から、本発明の合成皮革用ポリウレタンを表皮層に用いることが特に好ましい。
本発明の合成皮革用ポリウレタンを用いた合成皮革の実施形態としては、例えば、以下の(1)又は(2)の合成皮革積層体が挙げられる。
(1) 基布と、接着層と、中間層と、本発明の合成皮革用ポリウレタンを含む表皮層とがこの順番で積層された合成皮革積層体
(2) 基布と、接着層と、本発明の合成皮革用ポリウレタンを含む中間層と、表皮層とがこの順番で積層された合成皮革積層体
<基材>
基材としては、基布を用いることができ、具体的には、ポリエステル、ポリアミド、ポリアクリロニトリル、ポリオレフィン、ポリビニルアルコール等の合成繊維、綿、麻等の天然繊維、レーヨン、スフ、アセテート等の再生繊維等の単独又はこれらの混紡繊維、あるいは、少なくとも一成分を溶解したり、二成分繊維を分割したりすることにより極細繊維に変性された多成分繊維からなる、編布、織布、不織布などを用いることができる。
この基布は、起毛されていても良い。起毛は、片面起毛であっても両面起毛であってもよい。また、基布は単層のみならず、複数の繊維からなる多層構造であってもよい。また、基布として、表面に起毛を有するメリヤスを用いてもよい。
<ミクロポーラス層>
上記基材はミクロポーラス層を有していてもよい。湿式ミクロポーラス層は、一般的な基布含浸法により作製される。例えば、本発明の合成皮革用ポリウレタンを含有するジメチルホルムアミド溶液に基布を浸漬するか、或いは、基布に該溶液を塗布し、水中で凝固、脱溶媒させ、脱水後、120℃程度の熱風下で乾燥して表面平滑性に優れる湿式ミクロポーラス層を形成することができる。
湿式ミクロポーラス層の厚みは50〜400μmであることが好ましく、100〜300μmであることがより好ましい。この厚みの範囲で合成皮革として最適な柔軟性とボリューム感が達成される。
<接着層>
表皮層が接着剤を介して基材に貼り合わせられてなる場合、接着層に使用される接着剤としては、従来のポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂系などの接着剤を用いることができる。接着層にはまた、本発明の合成皮革用ポリウレタンを使用することもできる。この接着層に用いられる接着剤には、架橋剤、及び必要に応じて架橋促進剤が添加されていてもよい。
<中間層>
中間層は得られる合成皮革の風合い、または、用途などを考慮し、適宜設定することができる。中間層は例えば、末端イソシアネート基を有するポリウレタン樹脂および水を含む発泡層用配合液で形成される。末端イソシアネート基を有するポリウレタン樹脂は、ポリイソシアネート成分として、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)を用い、ポリオール成分として、例えば、ポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオール等を用い、これらを反応させて得ることができる。中間層を構成する中間層用配合液は、必要に応じて、例えば、整泡剤、泡化触媒、発泡核剤等を含んでいてもよい。中間層にはまた、本発明の合成皮革用ポリウレタンを使用することもできる。
<表皮層>
本発明の合成皮革用ポリウレタンは表皮層に使用することもできる。表皮層は、本発明の合成皮革用ポリウレタンを含む表皮層配合液を離型材の上に塗工し、加熱乾燥して所望の厚みに形成させることができる。その後、更に接着剤を塗布して接着剤層を形成させ、その上に起毛布等の基布を張り合わせ乾燥させてから、室温で数日熟成後、離型材を剥離することにより合成皮革が得られる。
本発明においては、このようにして製造した人工皮革または合成皮革に対して、液流染色機等で揉みシボ加工を行って、天然皮革調の皺を入れてもよい。
<用途>
本発明の合成皮革用ポリウレタンを用いた人工皮革または合成皮革は、自動車内装材用、家具用、衣料用、靴用、鞄用などに使用できる。
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、これらの実施例に限定されるものではない。
[ポリオールの評価方法]
<水酸基価・数平均分子量>
JIS K1557−1に準拠して、アセチル化試薬を用いた方法にて、ポリカーボネートジオール、ポリアルキレンエーテルグリコールの水酸基価を測定した。また、ポリエーテルポリカーボネートジオールの水酸基価はアメリカ材料試験協会(ASTM)に準じて、テトラヒドロフラン溶液としてp−トルエンスルホニルイソシアネートで、水酸基をウレタン化し、過剰のウレタン化試薬は水によって加水分解し、試料水酸基から生成したスルホニルアミドエステルを塩基で滴定して求めた。
得られた水酸基価から、下記式(I)により数平均分子量(Mn)を求めた。
数平均分子量=2×56.1/(水酸基価×10−3) …(I)
[合成皮革用ポリウレタンの評価方法]
<分子量>
ポリウレタンをジメチルアセトアミドに溶解し、濃度が0.14重量%になるようにジメチルアセトアミド溶液とした。GPC装置〔東ソー社製、製品名「HLC−8220」(カラム:TskgelGMH−XL・2本)〕を用いて、該ジメチルアセトアミド溶液を注入し、標準ポリスチレン換算で、ポリウレタンの重量平均分子量(Mw)を測定した。
<引張試験>
ポリウレタン溶液を9.5milのアプリケーターでフッ素樹脂シート(フッ素テープニトフロン900、厚さ0.1mm、日東電工株式会社製)上に塗布し、60℃で1時間、続いて100℃で0.5時間乾燥させた。さらに100℃の真空状態で0.5時間、80℃で15時間乾燥させた後、23℃、55%RHの恒温恒湿下で12時間以上静置し、得られたポリウレタンフィルムから3cm×3cmの試験片を切り出し、この試験片について、JIS K6301(2010)に準じ、引張試験機(オリエンテック社製、製品名「テンシロンUTM−III−100」)を用いて、チャック間距離50mm、引張速度500mm/分にて、温度23℃の温度条件、相対湿度55%で引張試験を実施し、試験片が100%伸長した時点での応力:100%モジュラスと、破断時の強度および伸度を測定した。この100%モジュラスが低いほど、フィルムが破断する伸度が長いほど柔軟性に優れている。
<撥菌性の評価>
あらかじめ黄色ブドウ球菌S209株(S.aureus 209P),大腸菌K12株(E.coli K12)を37℃で一晩培養し、OD600=0.5〜0.7となるようにリン酸緩衝生理食塩水(pH7.0)を用いて希釈培養液を調製した。前記ポリウレタンフィルムから3cm×3cmの試験片を切り出し、TPP製細胞培養フラスコ(コロナ処理済み)の内側に貼り付けた後、希釈培養液100ml添加し、37℃で1時間静置させて各種菌を付着させた後、希釈培養液を吸引除去後、リン酸緩衝生理食塩水(pH7.0)100mlにてポリウレタンフィルムを3回洗浄した。ポリウレタンフィルム表面の液滴を十分に除去した後、アデノシン三リン酸;ATP測定キット(Kikkoman ルシパックA3 Surface)の綿棒をイオン交換水にて湿らせてからフィルム表面を拭い、発光量(Relative Light Unit;RLU)により付着菌体量を比較した。
<耐オレイン酸性の評価>
前記ポリウレタンフィルムから3cm×3cmの試験片を切り出した。精密天秤で試験片の重量を測定した後、試験溶媒としてオレイン酸を50mlを入れた容量250mlのガラス瓶に投入して、80℃の窒素雰囲気下の恒温槽にて16時間静置した。試験後、試験片を取り出して、表裏を紙製ワイパーで軽く拭いた後、精密天秤で重量測定を行い、試験前からの重量変化率(増加率)を算出した。重量変化率が0%に近いほうが耐オレイン酸性が良好であることを示す。
<耐エタノール性の評価>
前記ポリウレタンフィルムから3cm×3cmの試験片を切り出した。精密天秤で試験片の重量を測定した後、試験溶媒としてエタノール50mlを入れた内径10cmφのガラス製シャーレに投入して約23℃の室温にて1時間浸漬した。試験後、試験片を取り出して紙製ワイパーで軽く拭いた後、精密天秤で重量測定を行い、試験前からの重量変化率(増加率)を算出した。重量変化率が0%に近いほうが耐エタノール性が良好であることを示す。
[合成例1]
撹拌機、留出液トラップ、及び圧力調整装置を備えた5Lガラス製セパラブルフラスコにジエチレングリコール(以下「DEG」と称する場合がある):1132.0g、トリエチレングリコール(以下「TEG」と称する場合がある):451.8g、ジフェニルカーボネート(以下「DPC」と称する場合がある):2616.2g、酢酸マグネシウム4水和物水溶液:7.0mL(濃度:8.4g/L、酢酸マグネシウム4水和物:58.7mg)を入れ、窒素ガス置換した。撹拌下、内温を160℃まで昇温して、内容物を加熱溶解した。その後、2分間かけて圧力を24kPaまで下げた後、フェノールを系外へ除去しながら90分間反応させた。次いで、圧力を9.3kPaまで90分間かけて下げ、さらに0.4kPaまで30分間かけて下げて反応を続けた後に、170℃まで温度を上げてフェノール及び未反応のジヒドロキシ化合物を系外へ除きながら120分間反応させて、ポリカーボネートジオール含有組成物を得た。その後、0.85重量%リン酸水溶液:2.7mLを加えて酢酸マグネシウムを失活させて、ポリカーボネートジオール含有組成物を得た。
得られたポリカーボネートジオール含有組成物を約20g/分の流量で薄膜蒸留装置に送液し、薄膜蒸留(温度:170℃、圧力:53〜67Pa)を行った。薄膜蒸留装置としては、直径50mm、高さ200mm、面積0.0314mの内部コンデンサー、ジャケット付きの柴田科学株式会社製、分子蒸留装置MS−300特型を使用した。
合成例1で製造されたポリカーボネートポリオールを「PCP1」と称する。このPCP1の性状及び水酸基価基準の数平均分子量を表1に示す。
[合成例2]
用いる原料の構成を表1記載の量に変更した以外は合成例1と同様にしてポリカーボネートポリオールを得た。合成例2で製造されたポリカーボネートポリオールを「PCP2」と称する。このPCP2の性状及び物性の評価結果を表1に示す。
Figure 2021152239
[実施例1]
<ポリウレタンの製造>
合成例1で得られたPCP1を原料として用いて、以下の操作でポリウレタンを製造した。
(プレポリマー(PP)化反応)
60℃のオイルバス上に、熱電対、冷却管及び撹拌装置を具備したセパラブルフラスコを設置し、あらかじめ80℃に加温したPCP1を85.10g入れ、次いで、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(以下「H12MDI」と称することがある。)22.64gおよび、反応抑制剤としてトリイソオクチルフォスファイト(以下「TiOP」と称することがある。)0.35gを添加し、セパラブルフラスコ内を窒素雰囲気下、60rpmで撹拌しながら1時間程度で80℃に昇温した。80℃となった後、ウレタン化触媒としてネオスタンU−830(以下「U−830」と称することがある。日東化成株式会社製)0.0063g(PEPCD2とH12MDIの合計重量に対し50質量ppm)をセパラブルフラスコに添加し、発熱がおさまってからオイルバスを100℃まで昇温し、さらに2時間程度撹拌した。イソシアネート基の濃度を分析し、イソシアネート基が理論量消費されたことを確認し、プレポリマーを得た。
(鎖延長反応)
得られたプレポリマー(以下「PP」と称することがある)96.20gを脱水N,N−ジメチルホルムアミド(以下「DMF」と称することがある。和光純薬工業株式会社製)224.97gで希釈した。オイルバスの温度を55℃とし、約200rpmで撹拌しながらPPを溶解し、PPの溶液とした。次いで、オイルバスの温度を35℃とし、150rpmで撹拌し、PPの溶液中のイソシアネート基濃度を分析した。該分析により残存するイソシアネート量より算出した必要量のイソホロンジアミン(以下「IPDA」と略記することがある。東京化成工業株式会社製)5.629gを分割添加した。分割添加後、約1時間撹拌し、鎖停止剤としてモルフォリン(東京化成工業株式会社製)0.458gを添加した。モルフォリン添加後、さらに1時間撹拌して、重量平均分子量約15.9万のポリウレタンを得た。得られたポリウレタンの性状及び物性の評価結果を表2に示す。
[実施例2]
PCP1の代わりにPCP2を用い、表2記載の量に変更した以外は実施例1と同様にしてポリウレタンを得た。得られたポリウレタンの性状及び物性の評価結果を表2に示す。
[比較例1]
PCP1の代わりにT6002を用い、表2記載の量に変更した以外は実施例1と同様にしてポリウレタンを得た。得られたポリウレタンの性状及び物性の評価結果を表2に示す。
尚、T6002とは1,6−ヘキサンジオールに由来する構造単位のみを有し、水酸基価基準の数平均分子量(Mn)が2000である旭化成株式会社製ポリカーボネートジオールのことである。
[比較例2]
PCP1の代わりにPTMG#2000を用い、表2記載の量に変更した以外は実施例1と同様にしてポリウレタンを得た。得られたポリウレタンの性状及び物性の評価結果を表2に示す。
尚、PTMG#2000とは水酸基価基準の数平均分子量(Mn)が2000である三菱ケミカル株式会社製ポリテトラメチレンエーテルグリコールのことである。
Figure 2021152239
[実施例3]
合成例1で得られたPCP1を原料として用いて、以下の操作でポリウレタンを製造した。
60℃のオイルバス上に、熱電対、冷却管及び撹拌装置を具備したセパラブルフラスコを設置し、あらかじめ80℃に加温したPCP1を69.86g、1,4−ブタンジオール(以下、「1,4BG」と略記することがある。)を6.33g、脱水N,N−ジメチルホルムアミド(以下「DMF」と略記することがある。和光純薬工業株式会社製)を239.22g入れ、次いで、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(以下「MDI」と称することがある。)27.92gを添加し、セパラブルフラスコ内を窒素雰囲気下、60rpmで撹拌しながら1時間程度で80℃に昇温した。70℃となった後、ウレタン化触媒としてネオスタンU−830(以下「U−830」と称することがある。日東化成株式会社製)0.017gを添加し、70℃で、さらに2時間程度撹拌した。その後、MDIを分割添加して分子量を調整し、重量平均分子量約21.4万のポリウレタンを得た。このポリウレタンの性状及び物性の評価結果を表3に示す。
[実施例4]
PCP1の代わりにPCP2を用い、表3記載の量に変更した以外は実施例3と同様にしてポリウレタンを得た。得られたポリウレタンの性状及び物性の評価結果を表3に示す。
[比較例3]
PCP1の代わりにT6002を用い、表3記載の量に変更した以外は実施例3と同様にしてポリウレタンを得た。得られたポリウレタンの性状及び物性の評価結果を表3に示す。
尚、T6002とは1,6−ヘキサンジオールに由来する構造単位のみを有し、水酸基価基準の数平均分子量(Mn)が2000である旭化成株式会社製ポリカーボネートジオールのことである。
[比較例4]
PCP1の代わりにPTMG#2000を用い、表3記載の量に変更した以外は実施例3と同様にしてポリウレタンを得た。得られたポリウレタンの性状及び物性の評価結果を表3に示す。
尚、PTMG#2000とは水酸基価基準の数平均分子量(Mn)が2000である三菱ケミカル株式会社製ポリテトラメチレンエーテルグリコールのことである。
Figure 2021152239
表2、表3の結果から、特定のポリカーボネートポリオール(A)を含む実施例記載のポリウレタンは、引張試験から柔軟性に優れ、また耐薬品性と撥菌性に優れることがわかる。従って、本発明の合成皮革用ポリウレタンは合成皮革用として有用である。

Claims (10)

  1. 1分子中にイソシアネート基を2個以上含有するイソシアネート化合物(I)と、ポリオール及びポリアミンからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物(II)と、1分子中に2個以上の水酸基を含有するポリオール(III)を反応させて得られる合成皮革用ポリウレタンであって、
    該ポリオール(III)がポリカーボネートポリオール(A)を含み、
    該ポリカーボネートポリオール(A)はオキシアルキレングリコールとしてジエチレングリコール及びトリエチレングリコールに由来する構造単位を含み、モル比で該ジエチレングリコールが該トリエチレングリコールよりも多いことを特徴とする合成皮革用ポリウレタン。
  2. 前記ポリオール(III)は、前記ポリカーボネートポリオール(A)を90質量%以上含有することを特徴とする請求項1に記載の合成皮革用ポリウレタン。
  3. 前記ポリカーボネートポリオール(A)を構成するジオール中の、前記ジエチレングリコール及びトリエチレングリコールの合計の含有率が70質量%以上である請求項1または2に記載の合成皮革用ポリウレタン。
  4. 前記ポリカーボネートポリオール(A)の数平均分子量が、250〜5,000である請求項1〜3のいずれか1項に記載の合成皮革用ポリウレタン。
  5. 前記ポリカーボネートポリオール(A)の1分子に含まれる水酸基の平均官能基数が1.8以上、2.5以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載の合成皮革用ポリウレタン。
  6. 前記ポリカーボネートポリオール(A)に含まれる全水酸基数に対する1級水酸基の比率が、95モル%以上である請求項1〜5のいずれか1項に記載の合成皮革用ポリウレタン。
  7. 前記イソシアネート化合物(I)が、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−もしくは2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート及びイソホロンジイソシアネートからなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物である請求項1〜6のいずれか1項に記載の合成皮革用ポリウレタン。
  8. 前記ポリオール及びポリアミンからなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物(II)が、1,4−ブタンジオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、エチレンジアミン、イソホロンジアミン及びヘキサメチレンジアミンからなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物である請求項1〜7のいずれか1項に記載の合成皮革用ポリウレタン。
  9. 撥菌性を有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の合成皮革用ポリウレタン
  10. 基布、接着層、中間層、及び表皮層が、この順番で積層された合成皮革積層体であって、前記中間層、及び表皮層の少なくとも一方に請求項1〜9のいずれか1項に記載の合成皮革用ポリウレタンを含む合成皮革積層体。
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