JP2021150059A - 電極、電池、及び電池パック - Google Patents

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Abstract

【課題】出力性能およびサイクル寿命性能に優れた電池を実現できる電極、並びに出力性能およびサイクル寿命性能に優れた電池および電池パックを提供すること。【解決手段】実施形態によれば、活物質と導電剤とを含む活物質含有層を具備する電極が提供される。活物質は、酸化物を含み針形状を有する一次粒子、及びこの一次粒子を含んだ二次粒子を含む。導電剤は、繊維状炭素質材料を含む。一次粒子の最長径ALの平均長さLPと、繊維状炭素質材料の最長寸法の平均長さLCとが、1.5<LC/LP<30の関係を満たす。【選択図】 図1

Description

本発明の実施形態は、電極、電池、及び電池パックに関する。
非水電解質電池などの二次電池は、近年、ハイブリッド自動車や電気自動車のほか、電動航空機や電力貯蔵用などの大型システムへの適用が期待されている。そのため、二次電池には、大容量性能および大電流出力性能に加え、高温環境下における長寿命性などの向上が求められている。
非水電解質電池に用いられる電極活物質として、大容量性能に優れる活物質としては、ニッケル酸リチウム(LiNiO2)、硫黄系正極材料、ニオブチタン酸化物、Si系負極材料などが挙げられる。
特開2019−169399号公報 特開2015−159010号公報 国際公開WO2012/124240号 特開2014−67546号公報 特開2015−57767号公報 特開2017−162804号公報
出力性能およびサイクル寿命性能に優れた電池を実現できる電極、並びに出力性能およびサイクル寿命性能に優れた電池および電池パックを提供することを目的とする。
実施形態によれば、活物質と導電剤とを含む活物質含有層を具備する電極が提供される。活物質は、酸化物を含み針形状を有する一次粒子、及びこの一次粒子を含んだ二次粒子を含む。導電剤は、繊維状炭素質材料を含む。一次粒子の最長径Aの平均長さLと、繊維状炭素質材料の最長寸法の平均長さLとが、1.5<L/L<30の関係を満たす。
他の実施形態によれば、正極と負極と電解質とを具備する電池が提供される。正極および負極の少なくとも一方は、上記実施形態に係る電極を含む。
実施形態に係る電極の一例を概略的に示す一部切欠平面図。 実施形態に係る電極が含むことができる活物質が含む酸化物の二次粒子の一例を示す模式図。 図2に示す二次粒子が含む一次粒子を示す模式図。 一例の活物質含有層の断面の抵抗領域のマッピング画像の模式図。 実施形態に係る電池の一例を示す一部切欠き斜視図。 図5に示す電池のA部の拡大断面図。 実施形態に係る電池の他の例を示す一部切欠き斜視図。 実施形態に係る電池のさらに他の例を示す一部切欠き斜視図。 図8に示す電池のB部の拡大断面図。 実施形態に係る電池が具備することができる電極群の他の一例の概略断面図。 実施形態に係る電池パックの一例を示す分解斜視図。 図11に示す電池パックの電気回路の一例を示すブロック図。
電池の一例として、例えば、非水電解質電池は、一対の電極である正極及び負極と、電解液として非水電解質とを備え得る。電極は、例えば、集電体と、集電体上に設けられた活物質含有層とを含み得る。活物質含有層は、例えば、リチウム(Li)イオンを吸蔵放出可能な活物質と、活物質同士、並びに活物質と集電体とを結着させる結着剤と、活物質含有層の集電性能を高めるための導電剤とを含み得る。
大容量性能に優れる活物質には、電子伝導性が低いという課題や、充放電時の体積変化が大きいという課題がある。電子伝導性の低い活物質を用いた電極の導電性を確保するために、活物質を微細化する手法がある。しかし、活物質を微細化すると比表面積が大きくなり、充放電の回数を繰り返すにつれて電解液との副反応による劣化が起こってしまう。また高圧でプレスをかけ、電極活物質や導電剤などの電極構成材料の密着性を高める手法がある。しかし、この手法では、電極活物質含有層における電極活物質の充填率が高くなり電極活物質間の空隙がつぶれてしまうため、活物質含有層内に電解液を充分に含浸させることが困難となる。この結果、電極における電子伝導性は向上するものの、電解質と電極活物質との接触面積が著しく小さくなりLiイオンの拡散抵抗が大きくなるため、高出力の二次電池を得るのが困難であった。
また、Liの挿入脱離に伴う体積変化の大きい活物質粒子を用いた電極では、充放電サイクルの繰り返しによって活物質粒子の割れや導電剤との剥離が生じやすい。その結果、体積変化が大きい活物質を用いた場合には、サイクル寿命性能が劣化するという面で課題があった。
以上説明した事情等により、出力性能及び寿命性能にともに優れた電池を実現することは困難であった。
以下に、実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、実施の形態を通して共通の構成には同一の符号を付すものとし、重複する説明は省略する。また、各図は実施の形態の説明とその理解とを促すための模式図であり、その形状や寸法、比などは実際の装置と異なる個所があるが、これらは以下の説明と公知の技術とを参酌して、適宜設計変更することができる。
[第1の実施形態]
第1の実施形態によれば、活物質含有層を具備する電極が提供される。活物質含有層は、活物質と導電剤とを含む。活物質は、酸化物を含み針形状を有する一次粒子、及びこの一次粒子を含んだ二次粒子を含む。導電剤は、繊維状炭素質材料を含む。一次粒子の最長径Aの平均長さLと、繊維状炭素質材料の最長寸法の平均長さLとが、1.5<L/L<30の関係を満たす。
ここでいう酸化物の一次粒子の針(ピン)形状とは、先の細ったニードル状の形状に限られない。例えば、活物質一次粒子についての針形状には、細長い柱形状、細長いロッド形状、ヘアピン形状、針金形状等が含まれる。また、柱状の針形状には、例えば、円柱形状や角柱形状が含まれる。活物質として含む酸化物の針形状の一次粒子は、例えば、5以上のアスペクト比を有し得る。
活物質が含む酸化物の一次粒子がこのような針形状を有するため、当該一次粒子およびこれら一次粒子を含む二次粒子は、適度な比表面積を有することができる。また、粒子内に空隙を有する二次粒子を得ることができる。さらに、これら活物質一次粒子および活物質二次粒子を電極活物質として含む活物質含有層では、活物質粒子間の距離が短いため電極が電子伝導性にも優れるとともに、活物質が電極反応に寄与する面積が大きく、また電極への電解質の浸透も良好でありリチウムイオン伝導性に優れる。これらの結果、活物質が針形状を有する一次粒子を含むことにより、優れた出力性能を得ることができる。
繊維状炭素質材料を含んだ導電剤を活物質含有層に含むことで、活物質へのLiイオンの挿入および脱離に伴って活物質含有層に体積変化、ひいては電極に体積変化があっても、電極内の導電接点を保ちやすい。このため、活物質粒子に体積変化があっても活物質と導電剤との剥離が起きにくく、サイクル寿命性能の劣化を抑制できる。また、この電極は低プレス荷重でプレスした場合でも高密度化が可能であるため、体積エネルギー密度を向上できる。
活物質の酸化物の一次粒子の最長径Aの平均長さLと、繊維状炭素質材料の最長寸法の平均長さLとが1.5<L/L<30の関係を満たすことで、上記効果を得ることができる。当該比L/Lが1.5を超えていることで、電極に十分な導電性を付与することができる。比L/Lが30未満である電極では、活物質酸化物の一次粒子径と繊維状炭素質材料の長さとの間でバランスが保てており、良好なサイクル寿命性能を維持できる。活物質粒子が小さすぎると、サイクル寿命性能が低下し得る。繊維状炭素質材料が長すぎると、繊維状炭素質材料が凝集し得る。繊維状炭素質材料の凝集が生じると、電極内の電流の分布が不均一になり得、その場合にサイクル寿命性能が低下し得る。
電極は、集電体をさらに含むことができる。活物質含有層を集電体上に設けることができる。活物質含有層は、集電体の片面又は両面に形成され得る。活物質含有層は、活物質および導電剤に加え、任意に結着剤を含むことができる。
一例の電極を、図面を参照して説明する。
図1は、実施形態に係る電極の一例を概略的に示す一部切欠平面図である。ここで、電極の例として一例の正極を図示する。
図1に示す電極100は、集電体100aと、集電体100aの表面に設けられた活物質含有層100bとを具備する。活物質含有層100bは、集電体100aの主面上に担持されている。
また、集電体100aは、その表面に活物質含有層100bが設けられていない部分を含んでいる。この部分は、例えば、電極集電タブ100cとして働く。図示する例では、電極集電タブ100cは、活物質含有層100bよりも幅の狭い狭小部となっている。電極集電タブ100cの幅は、このように活物質含有層100bの幅より狭くてもよく、或いは、活物質含有層100bの幅と同じであってもよい。集電体100aの一部である電極集電タブ100cの代わりに、別体の導電性の部材を電極100に電気的に接続し、電極集電タブとして用いてもよい。
電極が含むことのできる一例の活物質を、図面を参照して説明する。
図2は、実施形態に係る電極が含むことができる活物質が含む酸化物の二次粒子の一例を示す模式図である。図3は、図2に示す二次粒子が含む一次粒子を示す模式図である。
図2に示す二次粒子102は、活物質としての酸化物の一次粒子101を複数含んでいる。二次粒子102は、例えば、複数の一次粒子101が凝集したものであり得る。二次粒子102において、少なくとも一部の一次粒子101同士が焼結している状態にあり得る。
一次粒子101のアスペクト比の平均値AAVGが5以上15以下であることが望ましい。ここでいうアスペクト比は、一次粒子101の最長径Aに対する、この最長径Aと交差する最短径Aの比A/Aを示す。1つの一次粒子についてのアスペクト比A/Aは、例えば、図3に示すような針(ピン)形状の一次粒子の長手方向に沿った径である最長径Aと、それと交差する短手方向に沿った径である最短径Aとの比であり得る。アスペクト比の平均値AAVGが5<AAVG<15の範囲内にあることがより好ましい。一次粒子の平均アスペクト比が15未満である酸化物は粒子強度が高く、機械的な要因による粒子割れへの耐性を持つ。一次粒子101についてのアスペクト比A/Aの平均値AAVGの測定方法は、後述する。
一次粒子の最長径Aが0.7μm以上10μm以下であることが好ましい。一次粒子の最短径Aが0.2μm以上1μm以下であることが好ましい。
活物質が含む酸化物の平均二次粒子径が1μm以上50μm以下であることが好ましい。酸化物の平均二次粒子径をこの範囲にすることにより、電極製造時の生産性を向上させると共に、良好な性能の電池を得ることができる。
活物質が含む酸化物の二次粒子において、少なくとも一部の一次粒子同士が焼結していることが望ましい。一次粒子同士が焼結した箇所を含む二次粒子では、通常の造粒粒子と比較して一次粒子間の結着が強く、充放電に伴う体積変化による粒子割れを抑制することが可能である。そのため、互いに焼結している一次粒子を含む二次粒子を含んでいる活物質では、寿命性能を高めることができる。加えて、一次粒子同士が焼結していると、電極密度が上がりやすい。
一次粒子同士が焼結していることには、次の利点もある。
一般的な二次粒子の造粒法としては、合成後の活物質に結着剤を混ぜる流動層造粒法、噴霧乾燥造粒法、転動層造粒法などが挙げられる。しかし、結着剤を用いる造粒手法では、活物質粒子間に電気抵抗の高い結着剤が存在するために活物質の粒界抵抗が増加してしまう。また、凝集法としては、粒子同士の摩擦による静電凝集法がある。しかし、静電凝集法で得られた活物質二次粒子を用いた場合は、電極作製用スラリーを調製する際の分散工程で強いシェア(shear)がかかると、一次粒子同士の結着部分が剥離してしまう可能性がある。
一次粒子同士が焼結している箇所には、それら一次粒子間に結着剤が存在しない。そのため、互いに焼結した一次粒子を含む二次粒子では、一般的な結着剤を用いた造粒粒子よりも粒界抵抗が低い。また、一次粒子同士が焼結する箇所を含むため、このような二次粒子は一次粒子が凝集しただけの二次粒子状活物質よりも機械的強度が高く、電極作製時の分散工程でもその構造を保つことができる。
二次粒子の断面にて、一次粒子同士の接触面が0.1μm以上10μm以下である部分が含まれていることが好ましい。
活物質についての、Liの挿入・脱離に伴う体積変化率は、例えば、1%以上800%以下であり得る。Liの挿入および脱離の際に体積が1%以上増減する活物質を用いた電極において繊維状炭素質材料を導電剤に用いることで、上述したサイクル寿命性能が向上する効果が見られる。また、Liの挿入および脱離の際の体積の増減が800%以下であり活物質を用いた電極において繊維状炭素質材料を用いることで、上述したサイクル寿命性能が向上する効果が見られる。Liの挿入・脱離に伴う体積変化率が3%以上200%以下である活物質がより好ましい。
活物質含有層に含まれている活物質の電気抵抗の平均値が0.5MΩ以上200GΩ以下であることが望ましい。平均抵抗値がこの範囲である活物質を主の構成部材として含んだ活物質含有層に繊維状炭素質材料を含む導電剤を含ませた場合に、導電性を付与して出力性能を向上させることができる。ここでいう活物質含有層の主の構成部材とは、例えば、活物質含有層の断面において、その断面面積の50%以上95%以下を占める部材のことを言う。活物質が、活物質含有層の断面面積の50%以上95%以下を占めることが望ましい。従って、活物質含有層はその断面において、当該断面の面積の50%以上95%以下を占めており、平均抵抗値が0.5MΩ以上200GΩ以下である領域を含み得る。活物質含有層の断面面積の50%以上95%以下を占める領域の平均抵抗値が1GΩ以下であることが好ましい。
活物質含有層が含む一次粒子が針形状を有する活物質としての酸化物の例には、Li又はLiイオンを挿入及び脱離させることができる化合物を挙げることができる。酸化物は、例えば、ニオブチタン複合酸化物、リチウムコバルト複合酸化物、リチウムマンガン複合酸化物、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物、及び酸化ケイ素を含む。これら酸化物のうち、ニオブチタン複合酸化物および/又は酸化ケイ素を含む電極は、例えば、負極として使用され得る。対して、リチウムコバルト複合酸化物、リチウムマンガン複合酸化物、及びリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物の何れか1以上を含む電極は、例えば、正極として使用され得る。
ニオブチタン複合酸化物の例には、単斜晶型ニオブチタン複合酸化物が含まれる。単斜晶型ニオブチタン複合酸化物の例として、LixTi1-yM1yNb2-zM2z7+δで表される化合物が挙げられる。ここで、M1は、Zr,Si,及びSnからなる群より選択される少なくとも1つである。M2は、V,Ta,及びBiからなる群より選択される少なくとも1つである。組成式中のそれぞれの添字は、0≦x≦5、0≦y<1、0≦z<2、−0.3≦δ≦0.3である。単斜晶型ニオブチタン複合酸化物の具体例として、LixNb2TiO7(0≦x≦5)が挙げられる。
単斜晶型ニオブチタン複合酸化物の他の例として、Lix2Ti1-y2M3y2+z2Nb2-z27-δで表される化合物が挙げられる。ここで、M3は、Mg,Fe,Ni,Co,W,Ta,及びMoより選択される少なくとも1つである。組成式中のそれぞれの添字は、0≦x2<5、0≦y2<1、0≦z2<2、−0.3≦δ≦0.3である。
ニオブチタン複合酸化物の他の例として、直方晶型(orthorhombic)Na含有ニオブチタン複合酸化物を挙げることができる。直方晶型Na含有ニオブチタン複合酸化物としては、一般式Li2+tNa2-vM4uTi6-v-wNbvM5w14+σで表される化合物を挙げることができる。一般式において、M4は、Cs、K、Sr、Ba及びCaからなる群より選択される少なくとも1つであり、M5は、Zr,Sn,V,Ta,Mo,W,Fe,Co,Mn,及びAlからなる群より選択される少なくとも1つであり0≦t<2、0≦u<2、0<v<2、0≦w<3、−0.5≦σ≦0.5である。M5が、Sn,V,Ta,Mo,W,Fe,Co及びMnからなる群より選択される少なくとも1つであることが好ましい。
リチウムコバルト複合酸化物の例は、LiaCoO2で表され、0<a≦1である化合物を含む。リチウムコバルト複合酸化物の具体的な例として、LiCoO2で表されるコバルト酸リチウムを挙げることができる。
リチウムマンガン複合酸化物の例は、LiaMn24又はLiaMnO2で表され、0<a≦1である化合物を含む。リチウムマンガン複合酸化物は、スピネル型結晶構造を有することがより好ましい。
酸化ケイ素の例は、SiOjで表され、0≦j≦0.8である化合物を含む。
リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物の例は、LiaNi1-b-cCobMnc2で表され、0<a≦1、0<b<1、0<c<1、b+c<1である化合物を含む。
上記酸化物の他、負極に用いられる電極に活物質(負極活物質)として含ませることができる酸化物として、例えば、ラムスデライト構造を有するチタン酸リチウム(例えばLi2+hTi37、0≦h≦3)、単斜晶型二酸化チタン(TiO2)、アナターゼ型二酸化チタン、ルチル型二酸化チタン、ホランダイト型チタン複合酸化物、及び直方晶型チタン含有複合酸化物が挙げられる。
直方晶型チタン含有複合酸化物の例として、Li2+dM62-eTi6-fM7g14+σで表される化合物が挙げられる。ここで、M6は、Sr,Ba,Ca,Mg,Na,Cs,Rb及びKからなる群より選択される少なくとも1つでる。M7はZr,Sn,V,Nb,Ta,Mo,W,Y,Fe,Co,Cr,Mn,Ni,及びAlからなる群より選択される少なくとも1つである。組成式中のそれぞれの添字は、0≦d≦6、0≦e<2、0≦f<6、0≦g<6、−0.5≦σ≦0.5である。直方晶型チタン含有複合酸化物の具体例として、Li2+dNa2Ti614(0≦d≦6)が挙げられる。
上記酸化物の他、正極に用いられる電極に活物質(正極活物質)として含ませることができる酸化物として、例えば、二酸化マンガン(MnO2)、酸化鉄、酸化銅、酸化ニッケル、リチウムニッケル複合酸化物(例えばLipNiO2;0<p≦1)、リチウムニッケルコバルト複合酸化物(例えばLipNi1-qCoq2;0<p≦1、0<q<1)、リチウムマンガンコバルト複合酸化物(例えばLipMnqCo1-q2;0<p≦1、0<q<1)、スピネル構造を有するリチウムマンガンニッケル複合酸化物(例えばLipMn2-hNih4;0<p≦1、0<h<2)、オリビン構造を有するリチウムリン酸化物(例えばLipFePO4;0<p≦1、LipFe1-sMnsPO4;0<p≦1、0<s≦1、LipCoPO4;0<p≦1)、硫酸鉄(Fe2(SO4)3)、及びバナジウム酸化物(例えばV25)が含まれる。
活物質は、上記酸化物の1つの一次粒子と二次粒子を含むものであり得る。或いは、活物質は、上記酸化物の2つ以上の一次粒子と二次粒子を含むものであり得る。
導電剤が含む繊維状炭素質材料の例は、カーボンファイバー、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブを含む。カーボンファイバーは、例えば、気相成長カーボン繊維(Vapor Grown Carbon Fiber;VGCF)を含む。カーボンナノチューブ(CNT)には、例えば、単層カーボンナノチューブ(Single-Walled Carbon Nanotube;SWCNT)及び多層カーボンナノチューブ(Multi-Walled Carbon Nanotube;MWCNT)が含まれる。繊維状炭素質材料の最長寸法、つまり一本の繊維の一端から他端までの繊維長に沿った寸法は、例えば、5μm以上20μm以下であり得る。繊維状炭素質材料は、2nm以上50nm以下の繊維径(繊維の太さ)を有し得る。繊維状炭素質材料のアスペクト比(最長寸法/繊維径)が100以上10000以下であることが好ましい。繊維状炭素質材料は、1種類用いてもよいし、又は2種類以上用いてもよい。導電剤が繊維状炭素質材料としてカーボンナノチューブを含むことが望ましい。
導電剤は、繊維状炭素質材料に加え、他の導電性材料を含み得る。他の導電性材料は、集電性能をさらに高めるために必要に応じて用いられる。導電性材料は、負極活物質と集電体との接触抵抗を抑える作用をさらに有し得る。当該導電性材料は、例えば、繊維状ではない炭素材料である。当該炭素材料は、導電性が高いことが好ましい。このような炭素材料の例は、例えば、アセチレンブラック、カーボンブラック、黒鉛、及びグラフェンなどを含む。他の導電性材料は、1種類用いてもよいし、又は2種類以上用いてもよい。
活物質含有層における繊維状炭素質材料の含有量が、活物質含有層の質量に対し0.1質量%以上5質量%以下であることが望ましい。繊維状炭素質材料の含有量が0.1質量%以上であることで、十分な導電性を付与できる。含有量が5質量%以下であることで、繊維状炭素質材料による活物質含有層内の導電パスを確保できる。繊維状炭素質材料の含有量が多すぎると繊維状炭素質材料の凝集が生じてしまい、活物質含有層における導電性が制限される。また、繊維状炭素質材料の含有量を5質量%以下に留めることで、繊維状炭素質材料と電解質との副反応を低減し、サイクルを繰り返すことに伴う電池性能の低下を抑制できる。加えて、電極作製時の合剤スラリーの流動性やプレス成型性の観点からも、5質量%以下の含有量が望ましい。
活物質含有層の密度が2.5 g/cm3以上3.5 g/cm3以下であることが望ましい。密度が2.5 g/cm3以上であると、活物質と導電剤との密着性が良くなるため高い出力性能が得られる。また、電解質に露出される活物質の表面積が多すぎないため、充放電サイクルを繰り返した際の副反応を低減し、電池性能の低下を抑えることができる。密度が3.5 g/cm3以下であると、液状の電解質(電解液)が活物質含有層内へ十分に含浸することができ、良好なLi拡散性が得られるため、高い出力性能が得られる。また、電極内で均一に充放電反応が行われるため、サイクル寿命性能も良好になる。
活物質含有層は、必要に応じて、結着剤を更に含むことができる。
結着剤は、分散された活物質の間隙を埋め、また、活物質と集電体とを結着させるために配合される。結着剤の例には、ポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoro ethylene;PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(polyvinylidene fluoride;PVdF)、フッ素系ゴム、スチレンブタジエンゴム(styrene-butadiene rubber;SBR)、ポリアクリル酸化合物、イミド化合物、カルボキシメチルセルロース(carboxymethyl cellulose;CMC)、及びCMCの塩が含まれる。これらの1つを結着剤として用いてもよく、或いは、2つ以上を組み合わせて結着剤として用いてもよい。
活物質含有層中の活物質、導電剤及び結着剤の配合割合は、電極の用途に応じて適宜変更することができる。例えば、電極を二次電池の負極として用いる場合は、負極活物質、導電剤及び結着剤を、それぞれ、68質量%以上97.9質量%以下、0.1質量%以上30質量%以下及び2質量%以上30質量%以下の割合で配合することが好ましい。電極を二次電池の正極として用いる場合は、正極活物質、導電剤及び結着剤を、それぞれ、79.9質量%以上97.9質量%以下、0.1質量%以上15質量%以下、及び2質量%以上20質量%以下の割合で配合することが好ましい。
導電剤の量を0.1質量%以上とすることにより、活物質含有層の集電性能を向上させることができる。但し、ここでいう導電剤の配合割合は、繊維状炭素質材料と他の導電性材料との合計量に対応し、繊維状炭素質材料については先に説明した範囲の含有量で含むことが望ましい。結着剤の量を2質量%以上とすることにより、活物質含有層と集電体との結着性が十分となり、優れたサイクル性能を期待できる。また、結着剤の量を2質量%以上にすることにより、十分な電極強度が得られる。一方、導電剤及び結着剤のそれぞれの配合割合を上記範囲の上限以下にすることが高容量化を図る上で好ましい。加えて、結着剤は、絶縁体として機能し得る。そのため、結着剤の量を上記範囲の上限以下にすると、電極に含まれる絶縁体の量が減るため、内部抵抗を減少できる。
集電体には、活物質にリチウムイオンが挿入及び脱離される電位において電気化学的に安定である材料が用いられる。例えば、電極が負極として用いられる場合は、集電体は、銅、ニッケル、ステンレス又はアルミニウム、或いは、Mg、Ti、Zn、Mn、Fe、Cu、及びSiから選択される一以上の元素を含むアルミニウム合金から作られることが好ましい。集電体の厚さは、5μm以上20μm以下であることが好ましい。このような厚さを有する集電体は、電極の強度と軽量化のバランスをとることができる。
電極が正極として用いられる場合は、集電体は、アルミニウム箔、又は、Mg、Ti、Zn、Ni、Cr、Mn、Fe、Cu及びSiから選択される一以上の元素を含むアルミニウム合金箔であることが好ましい。アルミニウム箔又はアルミニウム合金箔の厚さは、5μm以上20μm以下であることが好ましく、15μm以下であることがより好ましい。アルミニウム箔の純度は99質量%以上であることが好ましい。アルミニウム箔又はアルミニウム合金箔に含まれる鉄、銅、ニッケル、及びクロムなどの遷移金属の含有量は、1質量%以下であることが好ましい。
<製造方法>
次に、第1の実施形態に係る電極の製造方法を説明する。
電極は、例えば次の方法により作製することができる。まず、活物質、導電剤及び結着剤を溶媒に懸濁してスラリーを調製する。このスラリーを、集電体の片面又は両面に塗布する。次いで、塗布したスラリーを乾燥させて、活物質含有層と集電体との積層体を得る。その後、この積層体にプレスを施す。このようにして、電極を作製する。
スラリーを調製する際、溶媒とこの溶媒中に分散している導電剤とを含んだ分散液を用いてもよい。この分散液に活物質および結着剤を加え、スラリーを調製する。得られたスラリーを代わりに用い、上記手順で電極を作製する。
或いは、電極は、次の方法により作製してもよい。まず、活物質、導電剤及び結着剤を混合して、混合物を得る。次いで、この混合物をペレット状に成形する。次いで、これらのペレットを集電体上に配置することにより、電極を得ることができる。
活物質は、例えば、固相合成法により生成することができる。
具体的には、先ず、目的とする組成の元素を含んだ酸化物とフラックスとを目的組成となるように混合した原料粉末を調製する。例えば、ニオブチタン複合酸化物を合成する場合は、チタンを含む酸化物と、ニオブを含む酸化物または水酸化物と、フラックスとを目的組成となるように混合した原料粉末を調製する。この原料粉末には、任意元素を含む化合物を更に加えてもよい。チタン又はニオブを含む酸化物としては、例えば、二酸化チタン、五酸化ニオブを用いることができる。各元素の化合物としては、例えば、水酸化物、硫化物、酸化物、塩又はこれらの混合物を用いることができる。
フラックス(焼結助剤)は、構成元素間の結晶化を促進する触媒としてはたらき、特定の面方向の成長を促す。すなわち、このようなフラックスを加えない場合、酸化物の一次粒子が等方成長して、その形状は不定形のブロック状になり得る。これに対して、特定の面のみの成長を促すフラックスを加えることにより、アスペクト比が高い一次粒子を得ることができる。原料粉末中に、例えば、リチウムイオン(Li+)、ナトリウムイオン(Na+)、カリウムイオン(K+)、リン酸イオン(PO4 -)、及びモリブデン(Mo)等のイオンを含ませると、それらイオンはこのようなフラックスとして機能する。リチウムイオン源としては、例えば、塩化リチウム、硝酸リチウム、硫酸リチウム、又は炭酸リチウムを用いる。ナトリウムイオン源としては、例えば、塩酸ナトリウムを用いる。カリウムイオン源としては、例えば、炭酸カリウムや塩化カリウムを用いる。リン酸イオン源としては、例えば、リン酸(H3PO4)を用いる。モリブデン源としては、例えば、三酸化モリブデン(MoO3)やモリブデン酸を用いる。なお、フラックスは、後述する1回目の焼成後の粉末を粉砕する際に加えてもよい。フラックス源は、一種の化合物を単体で用いてもよい。或いは、二種以上の化合物の混合物をフラックスとして用いることができる。具体例として、LiCl-KCl混合フラックスを挙げることができる。
ここで、フラックスを用いる場合、合成される酸化物の結晶構造内に、その元素が取り込まれることもある。すなわち、酸化物の結晶構造内の構成元素の一部は、カリウム、リン及びモリブデンにより置換され得る。これは、フラックスにより焼結した原料中にカリウム、リン及びモリブデンが拡散され、結晶面に残留するためである。
ただし、後述する2回目の本焼成後の粉末を、水を用いて洗浄することにより、結晶中に残留した水溶性のカリウム、リン及びモリブデンの化合物を除去することができる。
次に、この原料混合物を600℃以上800℃以下の温度で、仮焼成を行う。仮焼成を行うことで、原料に含まれる塩や水酸化物を分解し、原料粉末同士の反応性を向上することが出来る。仮焼成後は、ボールミルを用いて粉砕することが好ましい。粉砕処理により原料がより均等に混合され、目的とする結晶相が得られやすくなる。
次に、仮焼成後の粉末を白金るつぼに移し、1回目の本焼成に供する。1回目の本焼成に際しては、焼成温度を900℃以上1500℃以下とすることが好ましく、焼成時間を1時間以上5時間以下とすることが好ましい。1回目の本焼成を行うことにより、先ず目的とする結晶相を得ることができる。1回目の本焼成後に得られた粉末は、再びボールミルを用いて粉砕されることが好ましい。粉砕処理により一次粒子が分割され特定面の結晶成長を促しやすくなる。
次に、この粉末を2回目の本焼成に供して、活物質を得る。2回目の焼成処理に際しては、大気中で長時間にわたって焼成することが好ましい。具体的には、昇温速度は、例えば、1℃/min以上10℃/min以下とし、好ましくは、2℃/min以上5℃/min以下とする。また、焼成温度は、例えば、1000℃以上1800℃以下とし、好ましくは、1100℃以上1400℃以下とする。また、焼成温度での焼成時間は、例えば、5時間以上60時間以下とし、好ましくは、10時間以上20時間以下とする。更に好ましくは、2回目の焼成後に得られた粉末を白金プレート上で急冷する。急冷処理により特定面の成長を促進することができる。このような条件下で活物質前駆体を焼成することにより、一次粒子のアスペクト比が高い活物質を得ることができる。
次に得られた活物質について、純水などを用いて十分に洗浄する。これは添加したフラックス分に含まれる水溶性の残留物や、不純物を除去するためである。この洗浄処理により、カリウム、リン及びモリブデンなどのフラックス成分を、化学式中にほぼ含まないニオブチタン複合酸化物を得ることができる。この洗浄処理を省略することもできるが、その場合は、フラックス分に含まれる水溶性の残留物や、不純物が活物質中に不純物元素として取り込まれる可能性が高い。
洗浄後、アニール処理を行うことが好ましい。アニール処理による結晶成長を実施することにより、アスペクト比を調製することができる。例えば、昇温速度を10℃/minとして950℃まで加熱し、到達温度で10時間加熱を継続した後、室温まで5時間かけて徐冷することでアニール処理を行う。
上述の焼成処理において、酸化物粒子同士が焼結した塊状生成物が得られる。この塊状生成物を粉砕分級することで任意の粒子サイズの二次粒子状酸化物を得ることができる。 塊状生成物に対し、解砕処理を行ってもよい。比較的高温の焼成で得られた生成物であれば一次粒子の成長が進んでいるため、解砕処理によって二次粒子を粉砕せずに一次粒子同士の焼結を解くことができる。
<測定方法>
次に、第1の実施形態に係る電極を測定する方法を説明する。具体的には、活物質の一次粒子の寸法測定、繊維状炭素質材料の最長寸法(L)及び含有量の測定、一次粒子同士の焼結の有無の確認、活物質含有層内の平均抵抗値の測定、活物質組成の測定、及び活物質の体積変化率の測定のそれぞれを行う方法を説明する。活物質一次粒子の寸法測定は、一次粒子の最長径(A)の平均長さ(L)の測定、及び一次粒子のアスペクト比(A/A)の平均値(AAVG)を含む。
測定対象としての電極が電池に組み込まれている場合、次のような前処理を行う。
先ず、電池内から電極を取り出して、測定試料を得る。この際、電極内の活物質からリチウムイオンが完全に離脱した状態に近い状態にする。例えば、負極を測定する場合は、電池を完全に放電した状態にする。例えば、電池を25℃環境において0.1C電流で定格終止電圧又は電池電圧が1.0Vに到達するまで放電させることを複数回繰り返し、放電時の電流値が定格容量の1/100以下となるようにすることで、電池を放電状態にすることができる。なお、放電状態でも残留したリチウムイオンが存在することもあるが、以下に説明するX線回折測定の結果に大きな影響は与えない。
次に、アルゴンで満たしたグローブボックスなどのドライ雰囲気中で電池を分解して電極を取り出す。取り出した電極を、適切な溶媒で洗浄して減圧乾燥に供する。溶媒としては、例えば、メチルエチルカーボネートなどを用いる。減圧乾燥は、100℃及びゲージ圧−75kPaの雰囲気下で行う。洗浄乾燥後の電極について、その表面にリチウム塩などの白色析出物がないことを確認する。このようにして、洗浄後の電極試料を得る。
(活物質の一次粒子の寸法測定)
活物質が含む酸化物の一次粒子の寸法は、走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope;SEM)を用いた観察により測定する。
具体的には、上記前処理により得られた電極試料から活物質を抽出し、測定する。電極試料が集電体を含む場合は、活物質含有層を集電体から剥ぎ取る。例えば、ガラスビーカー内のメチルエチルカーボネート溶液中に電極試料を入れ、超音波洗浄機中で振動させることで、電極集電体から活物質含有層を剥離させることができる。活物質含有層をN−メチルピロリドン(N-methyl pyrrolidone;NMP)等の溶媒に浸漬させて、溶媒中に活物質粒子を分散させる。活物質粒子を含んだ分散液に対し遠心分離を行い、分離した活物質粒子を乾燥させることで活物質の粉末試料を得る。
SEMとしては、株式会社日立ハイテクノロジーズ製の電界放出型走査型電子顕微鏡(Field Emission Scanning Electron Microscope;FE-SEM)SU8000を用いる。活物質の粉末試料の電子顕微鏡写真を撮影する。撮影は、10000倍の倍率で行う。取得した写真から活物質の一次粒子を30個以上無作為に抽出し、個々の一次粒子の最長径を画像処理ソフトウェアで測定する。画像解析には、日鉄テクノロジー株式会社製の画像解析ソフトウェア「粒子解析」ver.3.5を用いる。測定した最長径の平均値を算出して、一次粒子の最長径Aの平均長さLを得る。
活物質が含む一次粒子のアスペクト比は、次のようにして得る。活物質粉末試料の上記電子顕微鏡写真から、活物質の一次粒子を30個以上無作為に抽出し、個々の一次粒子の最長径(A)及び最短径(A)を画像処理ソフトウェアで測定する。画像解析には、上記「粒子解析」ver.3.5を用いる。個々の一次粒子についてアスペクト比(A/A)を算出し、その平均値(AAVG)を算出する。
(繊維状炭素質材料の最長寸法および含有量の測定)
活物質が含む酸化物の繊維状炭素質材料の最長寸法は、SEM観察により測定する。SEMとしては、上記FE-SEM SU8000を用いる。
具体的には、上記前処理により得られた電極試料から繊維状炭素質材料を抽出し、測定する。電極試料が集電体を含む場合は、活物質含有層を集電体から剥ぎ取る。例えば、ガラスビーカー内のメチルエチルカーボネート溶液中に電極試料を入れ、超音波洗浄機中で振動させることで、電極集電体から活物質含有層を剥離させることができる。活物質含有層をN−メチルピロリドン(N-methyl pyrrolidone;NMP)等の溶媒に浸漬させて、溶媒中に活物質含有層の構成材料を分散させた後、乾燥する。得られた合剤を界面活性剤を含んだ水溶液に入れ、超音波分散処理および遠心分離処理を行う。界面活性剤としては、例えば、ドデシル硫酸ナトリウム(sodium dodecyl sulfate;SDS、又はNaDS)を用いることができる。得られた分散液をカバーガラス等にスピンコートすることで、繊維状炭素質材料を独立した状態で抽出できる。
カバーガラス上の繊維状炭素質材料の電子顕微鏡写真を撮影する。撮影は、10000倍の倍率で行う。取得した写真から、繊維長の両端が明確である繊維状炭素質材料の繊維のうち30個以上を無作為に抽出し、個々の繊維の最長寸法を画像処理ソフトウェアで測定する。画像解析には、伯東株式会社 システムプロダクツカンパニー製の画像解析ソフトウェア「Image Pro」ver.10 を用いる。測定した最長寸法の平均値を算出して、繊維状炭素質材料の最長寸法の平均長さLを得る。
活物質含有層中の繊維状炭素質材料の含有量は、次のとおり測定できる。具体的には、上記前処理により得られた電極試料を用いて活物質含有層の質量および単離した繊維状炭素質材料の質量を測定し、質量比を算出する。
先ず、電極試料が集電体を含む場合は、活物質含有層を集電体から剥ぎ取る。例えば、ガラスビーカー内のメチルエチルカーボネート溶液中に電極試料を入れ、超音波洗浄機中で振動させることで、電極集電体から活物質含有層を剥離させることができる。分離した活物質含有層を乾燥させた後、質量を測定する。
上述した手順により、カバーガラス上に繊維状炭素質材料を孤立分散させることができる。抽出した繊維状炭素質材料の質量を測定する。
単独の繊維状炭素質材料の質量を活物質含有層の質量で除することにより、繊維状炭素質材料の含有量を算出する。
(一次粒子同士の焼結の有無の確認)
活物質の二次粒子が焼結されている一次粒子を含むものであるか否かは、活物質含有層に対し透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope;TEM)による断面観察を行うことで、確認する。
具体的には、上記前処理により得られた電極試料の活物質含有層の一部について、断面ミリングを行い、断面を露出させる。断面ミリングには、イオンミリング装置を用いる。得られた断面を、TEMを用いて観察する。TEM観察は、一枚の視野の中に含まれる粒子(一次粒子および/又は二次粒子)の個数が少なくとも30個以上となるように撮影倍率を調整して行う。5枚の視野を観察した際に、一次粒子同士の焼結点が10か所以上観察された場合に焼結ありと判断する。ここで、単に一次粒子同士が点で接触しているだけでなく、一次粒子が面で接触し、連続している粒子として観察される部分を、一次粒子同士の焼結点と見なす。例えば、一次粒子の接触面が0.1μm以上続いている箇所を、焼結点と判断する。
(活物質含有層内の電気的抵抗値の測定)
活物質含有層における電気的抵抗値は、走査型プローブ顕微鏡(Scanning Probe Microscope;SPM)を用いて測定できる。測定装置には、株式会社日立ハイテクサイエンス製E-sweepを用いる。
具体的には、先ず、上記前処理により得られた電極試料に樹脂を埋め込み、研磨することで活物質含有層の断面を露出させる。得られた測定サンプルをSPMを用いて測定する。測定サンプルとホルダーの接続は、測定サンプルが含む集電体のうち表面上に活物質含有層が形成されていない部分をそのままホルダーにねじ止めすることによって行う。集電体の両面に活物質含有層が設けられている場合は、片側の活物質含有層を、例えば、スパチュラを用いて剥がし集電体を露出させる。測定条件としては、印加電圧を0.2V〜0.5Vとし、保護抵抗を10MΩとする。また、探針は先端径が20nmであるものを用いる。走査範囲は100 μm×100 μm として測定を行う。抵抗領域に基づいて分離マッピングを行う。得られたマッピング画像において、活物質含有層の断面面積の50%以上95%以下を占めている部分を活物質に対応する領域と見なす。当該領域の抵抗成分の平均抵抗値を求めることで、電極が含む活物質の抵抗値を知ることができる。
図4に、一例の活物質含有層の断面の抵抗領域のマッピング画像の模式図を示す。当該マッピング画像は、第1領域111、第2領域112、第3領域113、第4領域114、及び第5領域120を含む。これらの領域のうち、第1領域111による断面占有比率が最も高く、断面面積の50%以上を占めている。第1領域111における抵抗成分の平均抵抗値は比較的低い。これらのことから、第1領域111は、活物質が存在する領域と判断できる。マッピング画像には、第1領域111よりもやや平均抵抗値が高い第2領域112が含まれ得る。このような領域にも、活物質が存在し得る。第2領域112には、導電性が十分に付与されていない活物質が含まれ得る。第3領域113及び第5領域120は、他の領域と比較して平均抵抗値が高い領域である。これらの領域には、電気的に絶縁された状態にある活物質、劣化した活物質、結着剤、又は試料加工時に用いた樹脂が含まれ得る。これら抵抗成分は、各領域の分布に基づいて特定する。例えば、第3領域113は、絶縁されているか劣化している活物質を含み得る。第5領域120は、結着剤または埋め込み樹脂を含み得る。第4領域114では、マッピング画像において平均抵抗値が最も低く、導電剤を含む領域であると判断できる。
(活物質組成の測定)
電極が含む活物質の組成は、X線回折(X‐Ray Diffraction;XRD)測定および誘導結合プラズマ(Inductively Coupled Plasma:ICP)発光分光法を組合わせることで、求めることができる。
具体的には、上記前処理により得られた電極試料を粉末X線回折装置のホルダーの面積とほぼ同じ面積に切断して、測定試料を得る。次いで、この測定試料を、ガラスホルダーに直接貼り付けて、粉末X線回折装置に設置し、Cu−Kα線を用いて回折パターン(XRDパターン;X‐Ray Diffraction pattern)を取得する。この回折パターンをリートベルト法により解析することにより、活物質の結晶構造を確認することができる。
X線回折測定の装置としては、例えばRigaku社製SmartLabを用いる。測定条件は以下の通りとする:
X線源:Cuターゲット
出力:45kV 200mA
ソーラスリット:入射及び受光共に5°
ステップ幅(2θ):0.02deg
スキャン速度:20deg/分
半導体検出器:D/teX Ultra 250
試料板ホルダー:平板ガラス試料板ホルダー(厚さ0.5mm)
測定範囲:5°≦2θ≦90°。
その他の装置を使用する場合は、上記と同等の測定結果が得られるように、粉末X線回折用標準Si粉末を用いた測定を行い、ピーク強度及びピークトップ位置が上記装置と一致する条件に調整して測定を行う。
上記粉末X線回折測定の条件は、リートベルト解析に適用できるXRDパターンを取得できる条件とする。リートベルト解析用のデータを収集するには、具体的にはステップ幅が回折ピークの最小半値幅の1/3−1/5となるようにし、最強度反射のピーク位置における強度が5000cps以上となるように適宜、測定時間またはX線強度を調整する。
なお、電極に含まれ得る活物質以外の成分に由来するピークをあらかじめ把握しておくことが望ましい。活物質以外の成分としては、例えば、電極集電体である金属箔や、導電剤及び結着剤が含まれ得る。なお、集電体のピークと活物質のピークが重なる場合、集電体から活物質含有層を剥離して測定に供することが望ましい。これは、ピーク強度を定量的に測定する際、重なったピークを分離するためである。例えば、溶媒中で電極集電体に超音波を照射することにより活物質含有層を剥離することができる。
続いて、ICP測定を行うことで活物質の組成を確認する。電極試料が集電体を含む場合は、上述した方法により集電体と活物質含有層とを分離する。例えば、ガラスビーカー内のメチルエチルカーボネート溶液中に電極を入れ、超音波洗浄機中で振動させることで、電極集電体から活物質含有層を剥離させることができる。
次に、このようにして得られた活物質含有層を大気中で短時間加熱して(例えば、500℃で1時間程度)、結着剤や導電剤などの不要な成分を焼失させて、活物質試料を得る。次いで、この活物質試料を酸で溶解して、液体試料を得る。酸としては塩酸、硝酸、硫酸、フッ化水素などを使用できる。次いで、この液体試料をICP分析に供することにより、活物質の組成を確認することができる。
(活物質の体積変化率の測定)
電極が含む活物質のリチウムイオンの挿入・脱離による体積変化率は、X線回折測定により測定できる。リチウムイオンが挿入されている状態と、リチウムが脱離されている状態とのそれぞれの状態にて、電極中の活物質のXRD測定を用いた評価し、その結果から体積変化率を算出する。
具体的には、上記前処理により得られた電極試料を作用極として、例えば、三電極式ビーカーセルを作製し、電極の充放電を行うことでリチウムイオンが挿入されている状態およびリチウムイオンが脱離されている状態に調整する。ビーカーセルの対極及び参照極としては、金属リチウム箔を用いる。
放電状態および充電状態のそれぞれの状態にて、上述した活物質組成の測定と同様の手順で電極試料に含まれる活物質の結晶構造を測定する。得られたXRDスペクトルから放電状態および充電状態のそれぞれにおける格子体積を算出する。リチウムイオンが脱離されている状態の格子体積とリチウムイオンが挿入されている状態の格子体積との差を、リチウムイオンが挿入されている状態の格子体積で除した値の絶対値を求めることで、体積変化率を算出する(体積変化率=|[(Liイオン脱離状態の格子体積)−(Liイオン挿入状態の格子体積)]/(Liイオン挿入状態の格子体積)|×100%)。
第1の実施形態に係る電極は、針形状を有する酸化物の一次粒子、及びこの一次粒子を含んだ二次粒子を含む活物質と、繊維状炭素質材料を含む導電剤とを含む活物質含有層を具備する。当該電極は、一次粒子の最長径Aの平均長さLと、繊維状炭素質材料の最長寸法の平均長さLとが、1.5<L/L<30の関係を満たす。この電極は、出力性能およびサイクル寿命性能に優れた電池および電池パックを提供することができる。
[第2の実施形態]
第2の実施形態によると、正極と負極と電解質とを具備する電池が提供される。正極および負極の少なくとも一方は、第1の実施形態に係る電極を含む。正極および負極のそれぞれが、第1の実施形態に係る電極を各々含んでもよい。
第2の実施形態に係る電池は、正極と負極との間に配されたセパレータを更に具備することもできる。負極、正極及びセパレータは、電極群を構成することができる。電解質は、電極群に保持され得る。
また、第2の実施形態に係る二次電池は、電極群及び電解質を収容する外装部材を更に具備することができる。
さらに、第2の実施形態に係る二次電池は、負極に電気的に接続された負極端子及び正極に電気的に接続された正極端子を更に具備することができる。
第2の実施形態に係る電池は、例えば、二次電池であり得る。具体的には、実施形態に係る電池は、例えば、リチウムイオン二次電池であり得る。また、電池は、非水電解質を含んだ非水電解質電池を含む。
以下、負極、正極、電解質、セパレータ、外装部材、負極端子及び正極端子について詳細に説明する。
1)負極
負極は、第1の実施形態に係る電極であり得る。或いは、第1の実施形態に係る電極を正極として含む電池においては、負極は第1の実施形態に係る電極とは異なる電極であり得る。
第1の実施形態に係る電極の負極として使用される形態については詳細が重複するため、説明を省略する。以下、第1の実施形態に係る電極とは異なる負極の詳細を説明する。
負極は、負極集電体と、負極活物質含有層とを含むことができる。負極活物質含有層は、負極集電体の片面又は両面に形成され得る。負極活物質含有層は、負極活物質と、任意に導電剤及び結着剤を含むことができる。
負極集電体は、第1の実施形態で説明した集電体であり得る。重複する説明を省略する。
負極活物質としては、第1の実施形態の電極が負極として使用される場合に含むことのできる活物質として挙げた酸化物を用いることができる。第1の実施形態で例示した化合物の他にも、負極活物質として、例えば、金属、合金、他の金属酸化物、金属硫化物、金属窒化物、黒鉛質材料、及び炭素質材料からなる群より選択される少なくとも1つを使用することができる。第1の実施形態で示した酸化物以外の金属酸化物としては、例えば、スピネル構造を有するチタン酸リチウム(例えば、Li4+hTi512、0≦h≦3)を用いることができる。金属硫化物の例は、例えばTiS2のような硫化チタン、例えばMoS2のような硫化モリブデン、例えばFeS、FeS2及びLikFeS2(0.9≦k≦1.2)のような硫化鉄を含む。黒鉛質材料及び炭素質材料としては、例えば、天然黒鉛、人造黒鉛、コークス、気相成長炭素繊維、メソフェーズピッチ系炭素繊維、球状炭素、樹脂焼成炭素を挙げることができる。なお、複数の異なった負極活物質を混合して用いることも可能である。
負極活物質は、粒子として負極活物質含有層に含まれ得る。第1の実施形態に係る電極ではない負極が含む負極活物質粒子の形状は、第1の実施形態で説明した針形状に限定されず、例えば、球状、楕円形状、扁平形状、繊維状等にすることができる。負極活物質粒子の一次粒子の平均粒子径は、5μm以下であることが好ましい。一次粒子の平均粒子径が5μm以下であると、電極反応に寄与する有効面積を十分に確保することができ電池において良好な大電流放電性能を得ることができる。
導電剤としては、第1の実施形態で説明した繊維状炭素質材料および/又はその他の導電性材料を用いることができる。結着剤としては、第1の実施形態で説明した結着剤と同様のものを用いることができる。
負極活物質含有層中の負極活物質、導電剤及び結着剤の配合割合は、電極の用途に応じて適宜変更することができる。例えば、電極を二次電池の負極として用いる場合は、負極活物質、導電剤及び結着剤を、それぞれ、68質量%以上96質量%以下、2質量%以上30質量%以下及び2質量%以上30質量%以下の割合で配合することが好ましい。上記配合割合にすることによって、第1の実施形態で説明したと同様の効果が得られる。
負極活物質含有層の密度(集電体を含まず)は、2.5g/cm3以上3.5g/cm3以下であることが好ましい。負極活物質含有層の密度がこの範囲内にある負極は、エネルギー密度と電解質の保持性とに優れている。負極活物質含有層の密度は、2.6g/cm3以上3g/cm3以下であることがより好ましい。
負極は、例えば、負極活物質を用いて、第1の実施形態に係る電極と同様の方法により作製することができる。
2)正極
正極は、第1の実施形態に係る電極であり得る。或いは、第1の実施形態に係る電極を負極として含む電池においては、正極は第1の実施形態に係る電極とは異なる電極であり得る。
第1の実施形態に係る電極の正極として使用される形態については詳細が重複するため、説明を省略する。以下、第1の実施形態に係る電極とは異なる正極の詳細を説明する。
正極は、正極集電体と、正極活物質含有層とを含むことができる。
正極集電体は、第1の実施形態で説明した集電体であり得る。重複する説明を省略する。
正極は、正極集電体と、正極活物質含有層とを含むことができる。正極活物質含有層は、正極集電体の片面又は両面に形成され得る。正極活物質含有層は、正極活物質と、任意に導電剤及び結着剤を含むことができる。
正極活物質としては、例えば、第1の実施形態の電極が正極として使用される場合に含むことのできる活物質として挙げた酸化物を用いることができる。
正極活物質としてより好ましい化合物の例には、スピネル構造を有するリチウムマンガン複合酸化物(例えばLiaMn24;0<a≦1)、リチウムニッケル複合酸化物(例えばLipNiO2;0<p≦1)、リチウムコバルト複合酸化物(例えばLipCoO2;0<p≦1)、リチウムニッケルコバルト複合酸化物(例えばLipNi1-qCoq2;0<p≦1、0<q<1)、スピネル構造を有するリチウムマンガンニッケル複合酸化物(例えばLipMn2-hNih4;0<p≦1、0<h<2)、リチウムマンガンコバルト複合酸化物(例えばLipMnqCo1-q2;0<p≦1、0<q<1)、リチウムリン酸鉄(例えばLipFePO4;0<p≦1)、及び、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(LiaNi1-b-cCobMnc2;0<a≦1、0<b<1、0<c<1、b+c<1)が含まれる。これらの化合物を正極活物質に用いると、正極電位を高めることができる。
電池の電解質として常温溶融塩を用いる場合、リチウムリン酸鉄、LimVPO4F(0≦m≦1)、リチウムマンガン複合酸化物、リチウムニッケル複合酸化物、リチウムニッケルコバルト複合酸化物、又はこれらの混合物を含む正極活物質を用いることが好ましい。これらの化合物は常温溶融塩との反応性が低いため、サイクル寿命を向上させることができる。常温溶融塩の詳細については、後述する。
正極活物質は、粒子として正極活物質含有層に含まれ得る。第1の実施形態に係る電極ではない正極が含む正極活物質粒子の形状は、第1の実施形態で説明した針形状に限定されず、例えば、球状、楕円形状、扁平形状、繊維状等にすることができる。正極活物質の一次粒子径は、100nm以上1μm以下であることが好ましい。一次粒子径が100nm以上の正極活物質は、工業生産上の取り扱いが容易である。一次粒子径が1μm以下の正極活物質は、リチウムイオンの固体内拡散をスムーズに進行させることが可能である。
正極活物質の比表面積は、0.1m2/g以上10m2/g以下であることが好ましい。0.1m2/g以上の比表面積を有する正極活物質は、Liイオンの吸蔵・放出サイトを十分に確保できる。10m2/g以下の比表面積を有する正極活物質は、工業生産の上で取り扱い易く、かつ良好な充放電サイクル性能を確保できる。
導電剤としては、第1の実施形態で説明した繊維状炭素質材料および/又はその他の導電性材料を用いることができる。結着剤としては、第1の実施形態で説明した結着剤と同様のものを用いることができる。
正極活物質含有層において、正極活物質及び結着剤は、それぞれ、80質量%以上98質量%以下、及び2質量%以上20質量%以下の割合で配合することが好ましい。導電剤を加える場合には、正極活物質、結着剤及び導電剤は、それぞれ、77質量%以上95質量%以下、2質量%以上20質量%以下、及び3質量%以上15質量%以下の割合で配合することが好ましい。上記配合割合にすることによって、第1の実施形態で説明したと同様の効果が得られる。
正極活物質含有層の密度(集電体を含まず)は、2.6g/cm3以上3.5g/cm3以下であることが好ましい。正極活物質含有層の密度がこの範囲内にある正極は、エネルギー密度と電解質の保持性とに優れている。正極活物質含有層の密度は、2.8g/cm3以上3.3g/cm3以下であることがより好ましい。
正極は、例えば、正極活物質を用いて、第1の実施形態に係る電極と同様の方法により作製することができる。
3)電解質
電解質としては、例えば液状非水電解質又はゲル状非水電解質を用いることができる。液状非水電解質は、溶質としての電解質塩を有機溶媒に溶解することにより調製される。電解質塩の濃度は、0.5mol/L以上2.5mol/L以下であることが好ましい。
電解質塩の例には、過塩素酸リチウム(LiClO4)、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4)、六フッ化砒素リチウム(LiAsF6)、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCF3SO3)、及びビストリフルオロメチルスルホニルイミドリチウム(LiN(CF3SO2)2)のようなリチウム塩、及び、これらの混合物が含まれる。電解質塩は、高電位でも酸化し難いものであることが好ましく、LiPF6が最も好ましい。
有機溶媒の例には、プロピレンカーボネート(propylene carbonate;PC)、エチレンカーボネート(ethylene carbonate;EC)、ビニレンカーボネート(vinylene carbonate;VC)のような環状カーボネート;ジエチルカーボネート(diethyl carbonate;DEC)、ジメチルカーボネート(dimethyl carbonate;DMC)、メチルエチルカーボネート(methyl ethyl carbonate;MEC)のような鎖状カーボネート;テトラヒドロフラン(tetrahydrofuran;THF)、2メチルテトラヒドロフラン(2-methyl tetrahydrofuran;2MeTHF)、ジオキソラン(dioxolane;DOX)のような環状エーテル;ジメトキシエタン(dimethoxy ethane;DME)、ジエトキシエタン(diethoxy ethane;DEE)のような鎖状エーテル;γ-ブチロラクトン(γ-butyrolactone;GBL)、アセトニトリル(acetonitrile;AN)、及びスルホラン(sulfolane;SL)が含まれる。これらの有機溶媒は、単独で、又は混合溶媒として用いることができる。
ゲル状非水電解質は、液状非水電解質と高分子材料とを複合化することにより調製される。高分子材料の例には、ポリフッ化ビニリデン(polyvinylidene fluoride;PVdF)、ポリアクリロニトリル(polyacrylonitrile;PAN)、ポリエチレンオキサイド(polyethylene oxide;PEO)、又はこれらの混合物が含まれる。
或いは、非水電解質としては、液状非水電解質及びゲル状非水電解質の他に、リチウムイオンを含有した常温溶融塩(イオン性融体)、高分子固体電解質、及び無機固体電解質等を用いてもよい。
常温溶融塩(イオン性融体)は、有機物カチオンとアニオンとの組合せからなる有機塩の内、常温(15℃以上25℃以下)で液体として存在し得る化合物を指す。常温溶融塩には、単体で液体として存在する常温溶融塩、電解質塩と混合させることで液体となる常温溶融塩、有機溶媒に溶解させることで液体となる常温溶融塩、又はこれらの混合物が含まれる。一般に、二次電池に用いられる常温溶融塩の融点は、25℃以下である。また、有機物カチオンは、一般に4級アンモニウム骨格を有する。
高分子固体電解質は、電解質塩を高分子材料に溶解し、固体化することによって調製される。
無機固体電解質は、リチウムイオン伝導性を有する固体物質である。
4)セパレータ
セパレータは、例えば、ポリエチレン(polyethylene;PE)、ポリプロピレン(polypropylene;PP)、セルロース、若しくはポリフッ化ビニリデン(polyvinylidene fluoride;PVdF)を含む多孔質フィルム、又は合成樹脂製不織布から形成される。安全性の観点からは、ポリエチレン又はポリプロピレンから形成された多孔質フィルムを用いることが好ましい。これらの多孔質フィルムは、一定温度において焼結し、電流を遮断することが可能なためである。
5)外装部材
外装部材としては、例えば、ラミネートフィルムからなる容器、又は金属製容器を用いることができる。
ラミネートフィルムの厚さは、例えば、0.5mm以下であり、好ましくは、0.2mm以下である。
ラミネートフィルムとしては、複数の樹脂層とこれらの樹脂層間に介在した金属層とを含む多層フィルムが用いられる。樹脂層は、例えば、ポリプロピレン(polypropylene;PP)、ポリエチレン(polyethylene;PE)、ナイロン、及びポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate;PET)等の高分子材料を含んでいる。金属層は、軽量化のためにアルミニウム箔又はアルミニウム合金箔からなることが好ましい。ラミネートフィルムは、熱融着によりシールを行うことにより、外装部材の形状に成形され得る。
金属製容器の壁の厚さは、例えば、1mm以下であり、より好ましくは0.5mm以下であり、更に好ましくは、0.2mm以下である。
金属製容器は、例えば、アルミニウム又はアルミニウム合金等から作られる。アルミニウム合金は、マグネシウム、亜鉛、及びケイ素等の元素を含むことが好ましい。アルミニウム合金は、鉄、銅、ニッケル、及びクロム等の遷移金属を含む場合、その含有量は100質量ppm以下であることが好ましい。
外装部材の形状は、特に限定されない。外装部材の形状は、例えば、扁平型(薄型)、角型、円筒型、コイン型、又はボタン型等であってもよい。外装部材は、電池寸法や電池の用途に応じて適宜選択することができる。
6)負極端子
負極端子は、負極に用いた負極活物質のリチウムイオン吸蔵放出電位において電気化学的に安定であり、且つ導電性を有する材料から形成することができる。具体的には、負極端子の材料としては、銅、ニッケル、ステンレス若しくはアルミニウム、又は、Mg,Ti,Zn,Mn,Fe,Cu,及びSiからなる群より選択される少なくとも1種の元素を含むアルミニウム合金が挙げられる。負極端子の材料としては、アルミニウム又はアルミニウム合金を用いることが好ましい。負極端子は、負極集電体との接触抵抗を低減するために、負極集電体と同様の材料からなることが好ましい。
7)正極端子
正極端子は、正極に用いた正極活物質のリチウムイオン吸蔵放出電位において電気的に安定であり、且つ導電性を有する材料から形成することができる。正極端子の材料としては、アルミニウム、或いは、Mg、Ti、Zn、Mn、Fe、Cu及びSiからなる群より選択される少なくとも1種の元素を含むアルミニウム合金が挙げられる。正極端子は、正極集電体との接触抵抗を低減するために、正極集電体と同様の材料から形成されることが好ましい。
次に、実施形態に係る電池の例を、図面を参照しながら更に詳細に説明する。
図5は、実施形態に係る電池の一例を示す一部切欠き斜視図である。図6は、図5に示す電池のA部の拡大断面図である。
図5及び図6に示す電池10は、図5に示す外装容器7と、図5及び図6に示す電極群1と、図示しない電解質とを具備する。電極群1及び電解質は、外装容器7内に収納されている。電解質(図示しない)は、電極群1に保持されている。
外装容器7は、2つの樹脂層とこれらの間に介在した金属層とを含むラミネートフィルムからなる。即ち、電池10は、ラミネートフィルム製の外装容器7からなる外装部材を具備する。
図5に示すように、電極群1は、扁平状の捲回型電極群である。扁平状で捲回型である電極群1は、図6に示すように、負極2と、正極3と、セパレータ4とを含む。セパレータ4は、負極2と正極3との間に介在している。
負極2は、負極集電体2aと負極活物質含有層2bとを含む。負極2のうち、捲回型の電極群1の最外殻に位置する部分は、図6に示すように負極集電体2aの内面側のみに負極活物質含有層2bが形成されている。負極2におけるその他の部分では、負極集電体2aの両面に負極活物質含有層2bが形成されている。
正極3は、正極集電体3aと、その両面に形成された正極活物質含有層3bとを含んでいる。
図5に示すように、電池10において、負極2には帯状の負極端子5が電気的に接続されている。より具体的には、負極端子5が負極集電体2aに接続されている。また、正極3には帯状の正極端子6が電気的に接続されている。より具体的には、正極端子6が正極集電体3aに接続されている。これらの負極端子5及び正極端子6は、外装容器7の開口部から外部に延出されている。外装容器7の内面には、熱可塑性樹脂層が設置されており、これが熱融着されていることにより、開口部が閉じられている。
次に、実施形態に係る電池の他の例を、図7を参照しながら詳細に説明する。図7は、実施形態に係る電池の他の例を示す一部切欠き斜視図である。
図7に示す電池10は、外装部材が金属製容器17a及び封口板17bから構成されている点で、図5及び図6に示す電池10と異なる。
扁平型の電極群1は、図5及び図6に示す電池10における電極群1と同様に、負極と、正極と、セパレータとを含む。また、図5と図7との間で、電極群1は同様な構造を有している。ただし図7では、後述するとおり負極端子5及び正極端子6に代わって、負極リード15a及び正極リード16aが、それぞれ、負極及び正極に電気的に接続されている。
図7に示す電池10では、このような電極群1が、金属製容器17aの中に収容されている。金属製容器17aは、図示しない電解質をさらに収容している。金属製容器17aは、金属製の封口板17bにより封止されている。金属製容器17aと封口板17bとは、例えば、外装部材としての外装缶を構成する。
負極リード15aは、その一端が負極集電体に電気的に接続され、他端が負極端子15に電気的に接続されている。正極リード16aは、その一端が正極集電体に電気的に接続され、他端が封口板17bに固定された正極端子16に電気的に接続されている。正極端子16は、封口板17bに絶縁部材17cを介して固定されている。正極端子16と封口板17bとは、絶縁部材17cにより電気的に絶縁されている。
図8及び図9に、電池のさらに他の例として、スタック型の電極群を含む電池を示す。図8は、実施形態に係る電池のさらに他の例を示す一部切欠き斜視図である。図9は、図8に示す電池のB部の拡大断面図である。
図8及び図9に示す例の電池10は、図8及び図9に示す電極群1と、図8及び図9に示す外装容器7と、図8及び図9に示す正極端子6と、図8に示す負極端子5とを具備している。
図8及び図9に示す電極群1は、複数の正極3と、複数の負極2と、1枚のセパレータ4とを備える。
各正極3は、図9に示すように、正極集電体3aと、この正極集電体3aの両面に形成された正極活物質含有層3bとを備えている。また、図9に示すように、正極集電体3aは、表面に正極活物質含有層3bが形成されていない部分を含んでいる。この部分は、正極集電タブ3cとして働く。正極集電タブ3cは、例えば、図5に示した正極集電タブ3cと同様に、正極活物質含有層3bよりも幅の狭い狭小部であり得る。
各負極2は、負極集電体2aと、この負極集電体2aの両面に形成された負極活物質含有層2bとを備えている。また、負極集電体2aは、表面に負極活物質含有層2bが形成されていない部分を含んでいる(図示せず)。この部分は、負極集電タブとして働く。
図9に一部を示すように、セパレータ4は九十九折にされている。九十九折にされたセパレータ4の互いに対向する面によって規定される空間には、正極3又は負極2がそれぞれ配置されている。それにより、正極3と負極2とは、図9に示すように、正極活物質含有層3bと負極活物質含有層2bとがセパレータ4を間に介在させて対向するように積層されている。かくして、電極群1が形成されている。
電極群1の正極集電タブ3cは、図9に示すように、正極活物質含有層3b及び負極活物質含有層2bのそれぞれの端部よりも外まで延出している。これらの正極集電タブ3cは、図9に示すように、1つにまとめられて、正極端子6に接続されている。また、図示はしていないが、電極群1の負極集電タブも正極活物質含有層3b及び負極活物質含有層2bのそれぞれの他方の端部よりも外まで延出している。これらの負極集電タブは、図示していないが、1つにまとめられて、図8に示す負極端子5に接続されている。
このような電極群1は、図8及び図9に示すように、ラミネートフィルム製の外装容器7からなる外装部材に収容されている。
外装容器7は、アルミニウム箔71とその両面に形成された樹脂フィルム72及び73とからなるアルミニウム含有ラミネートフィルムから形成されている。外装容器7を形成するアルミニウム含有ラミネートフィルムは、折り曲げ部7dを折り目として、樹脂フィルム72が内側を向くように折り曲げられて、電極群1を収容している。また、図8及び図9に示すように、外装容器7の周縁部7bにおいて、樹脂フィルム72の互いに向き合った部分が、間に正極端子6を挟み込んでいる。同様に、外装容器7の周縁部7cにおいて、樹脂フィルム72の互いに向き合った部分が、間に負極端子5を挟み込んでいる。正極端子6及び負極端子5は、外装容器7から、互いに反対の向きに延出している。
正極端子6及び負極端子5を挟み込んだ部分を除く外装容器7の周縁部7a、7b及び7cにおいて、樹脂フィルム72の互いに対向した部分が熱融着されている。
また、電池10では、正極端子6と樹脂フィルム72との接合強度を向上させるために、図9に示すように、正極端子6と樹脂フィルム72との間に絶縁フィルム9が設けられている。また、周縁部7bにおいて、正極端子6と絶縁フィルム9とが熱融着されており、樹脂フィルム72と絶縁フィルム9とが熱融着されている。同様に、図示していないが、負極端子5と樹脂フィルム72との間にも絶縁フィルム9が設けられている。また、周縁部7cにおいて、負極端子5と絶縁フィルム9とが熱融着されており、樹脂フィルム72と絶縁フィルム9とが熱融着されている。すなわち、図8に示す電池10では、外装容器7の周縁部7a、7b及び7cの全てがヒートシールされている。
外装容器7は、図示していない電解質を更に収容している。電解質は、電極群1に含浸されている。
図8及び図9に示す電池10では、図9に示すように、電極群1の最下層に複数の正極集電タブ3cをまとめている。同様に、図示していないが、電極群1の最下層に複数の負極集電タブをまとめている。しかしながら、例えば、図10に示すように、電極群1の中段付近に複数の正極集電タブ3c及び複数の負極集電タブ2cを、それぞれ1つにまとめて、正極端子6及び負極端子5のそれぞれに接続することもできる。
第2の実施形態に係る電池は、正極と負極とを含む。正極、負極、又は両方は、第1の実施形態に係る電極を含む。従って、実施形態に係る電池は優れた出力性能およびサイクル寿命性能を示すことができる。
[第3の実施形態]
第3の実施形態によると、電池パックが提供される。この電池パックは、第2の実施形態に係る電池を含む。
実施形態に係る電池パックは、複数の電池を備えることもできる。複数の電池は、電気的に直列に接続することもできるし、又は電気的に並列に接続することもできる。或いは、複数の電池を、直列及び並列の組み合わせで電気的に接続することもできる。
実施形態に係る電池パックは、例えば、電池を5つ具備することもできる。これらの電池は、直列に接続されることができる。また、直列に接続された電池は、組電池を構成することができる。即ち、実施形態に係る電池パックは、組電池を具備することもできる。
実施形態に係る電池パックは、複数の組電池を具備することができる。複数の組電池は、直列、並列、又は直列及び並列の組み合わせで電気的に接続することができる。
以下に、実施形態に係る電池パックの一例を、図11及び図12を参照しながら説明する。図11は、実施形態に係る電池パックの一例を示す分解斜視図である。図12は、図11に示す電池パックの電気回路の一例を示すブロック図である。
図11及び図12に示す電池パック20は、複数個の単電池21を備える。単電池21は、例えば、図5を参照しながら説明した実施形態に係る一例の扁平型の電池10であり得る。
複数の単電池21は、外部に延出した負極端子5及び正極端子6が同じ向きに揃えられるように積層され、粘着テープ22で締結されることにより、組電池23を構成している。これらの単電池21は、図12に示すように互いに電気的に直列に接続されている。
プリント配線基板24は、単電池21の負極端子5及び正極端子6が延出する側面に対向するように配置されている。プリント配線基板24には、図12に示すようにサーミスタ25、保護回路26及び外部機器への通電用端子27が搭載されている。なお、プリント配線基板24には、組電池23と対向する面に、組電池23の配線との不要な接続を回避するために絶縁板(図示せず)が取り付けられている。
正極側リード28は、組電池23の最下層に位置する正極端子6に接続され、その先端はプリント配線基板24の正極側コネクタ29に挿入されて電気的に接続されている。負極側リード30は、組電池23の最上層に位置する負極端子5に接続され、その先端はプリント配線基板24の負極側コネクタ31に挿入されて電気的に接続されている。これらのコネクタ29及び31は、プリント配線基板24に形成された配線32及び33を通して保護回路26に接続されている。
サーミスタ25は、単電池21の温度を検出し、その検出信号は保護回路26に送信される。保護回路26は、所定の条件で保護回路26と外部機器への通電用端子27との間のプラス側配線34a及びマイナス側配線34bを遮断できる。所定の条件の一例としては、サーミスタ25の検出温度が所定温度以上になったときを挙げられる。また、所定の条件の他の例とは、単電池21の過充電、過放電、又は過電流等を検出したときが挙げられる。この過充電等の検出は、個々の単電池21もしくは組電池23全体について行われる。なお、個々の単電池21を検出する場合、電池電圧を検出してもよいし、正極電位又は負極電位を検出してもよい。後者の場合、個々の単電池21中に参照極として用いるリチウム電極が挿入される。図11及び図12の電池パック20は、単電池21それぞれに電圧検出のための配線35が接続されている。これら配線35を通して検出信号が保護回路26に送信される。
正極端子6及び負極端子5が突出する側面を除く組電池23の三側面には、ゴム若しくは樹脂からなる保護シート36がそれぞれ配置されている。
組電池23は、各保護シート36及びプリント配線基板24と共に収容容器37内に収容される。即ち、収容容器37の長辺方向に沿う両方の内側面と短辺方向に沿う内側面それぞれに保護シート36が配置され、組電池23を介して反対側にある他方の短辺方向に沿う内側面にプリント配線基板24が配置される。組電池23は、保護シート36及びプリント配線基板24で囲まれた空間内に位置する。蓋38は、収容容器37の上面に取り付けられている。
なお、組電池23の固定には粘着テープ22に代えて、熱収縮テープを用いてもよい。この場合、組電池の両側面に保護シートを配置し、熱収縮テープを周回させた後、熱収縮テープを熱収縮させて組電池を結束させる。
図11及び図12では単電池21を電気的に直列接続した形態を示したが、電池容量を増大させるためには電気的に並列に接続してもよい。さらに、組み上がった電池パックを直列及び/又は並列に電気的に接続することもできる。
また、実施形態に係る電池パックの態様は用途により適宜変更される。実施形態に係る電池パックの用途としては、大電流の充放電におけるサイクル性能が望まれるものが好ましい。具体的な用途としては、デジタルカメラの電源用や、二輪乃至四輪のハイブリッド電気自動車、二輪乃至四輪の電気自動車、及びアシスト自転車等の車載用が挙げられる。実施形態に係る電池パックの用途としては、特に、車載用が好適である。
第3の実施形態に係る電池パックは、第2の実施形態に係る電池を備えている。従って、実施形態に係る電池パックは出力性能およびサイクル寿命性能を示すことができる。
[実施例]
以下に例を挙げ、上記実施形態を更に詳しく説明する。しかし、発明の主旨を超えない限り、本発明は以下に掲載される実施例に限定されるものでない。
各々の実施例にて調製した活物質について、目的とした組成が得られているかを、粉末X線回折(XRD)測定および先に説明したICP測定により確認した。また、得られた活物質粉末に含まれている一次粒子の長さ及びアスペクト比を、先に説明した方法により確認した。さらに、活物質粉末に含まれている二次粒子における一次粒子間の焼結を、先に説明した方法により確認した。
粉末XRD測定は、次のとおり行った。先ず、活物質の粉末を平均粒子径が10μm程度となるまで粉砕した。平均粒子径は、レーザー回折法によって求めた。次いで、粉砕した試料を、ガラス試料板上に形成された深さ0.2mmのホルダー部分に充填した。ガラス試料板として、Rigaku社製のガラス試料板を用いた。このとき、試料が十分にホルダー部分に充填されるように留意した。また、試料の充填不足により、ひび割れ及び空隙等が起きないように注意した。次いで、外部から別のガラス板を使い、試料を充分に押し付けて、試料の表面を平滑化した。この際、充填量の過不足により、ホルダーの基準面より凹凸が生じることのないように注意した。XRD測定装置および測定条件は、先に説明したとおりのものを使用した。
<実施例1>
(活物質粒子の調製)
先ず、二酸化チタン(TiO2)と五酸化ニオブ(Nb25)を、モル比1:1で混合し、原料混合粉末を調製した。次いで、フラックスとして塩化カリウムを原料混合粉末に対して0.2重量%加えて、混合した。
次に、この混合物に対し650℃で12時間に亘って仮焼成を行った。その後、仮焼成後の粉末を白金るつぼに移して、1回目の本焼成に供した。1回目の本焼成に際しては、仮焼成後の粉末を700℃で5時間焼成した。続いて、再びボールミルを用いて1時間粉砕した。この粉末を2回目の本焼成に供して、活物質を得た。2回目の本焼成に際しては、昇温速度は10℃/minとして、焼成温度850℃で10時間の焼成を行った。2回目の焼成後の粉末について、純水を用いて十分に洗浄した。
その後、次の条件でアニール処理を行った。先ず、昇温速度を10℃/minとして950℃まで加熱した。950℃に達してから10時間加熱を継続し、その後、室温まで5時間かけて徐冷することでアニール処理を行った。
こうして、Nb2TiO7で表される組成を有するニオブチタン複合酸化物の一次粒子および二次粒子を含んだ活物質粉末を得た。この活物質粉末に含まれている一次粒子の平均アスペクト比は、7だった。二次粒子には、一次粒子間の焼結が確認された。
(電極の作製)
導電剤としての単層カーボンナノチューブ(SWCNT)が溶媒としての純水に分散されている分散液を準備した。この分散液では、含まれている繊維状炭素質材料であるSWCNTの繊維長に沿った平均長さLは、先に調製した活物質粉末における一次粒子の最長径(A)の平均長さLに対する比L/Lが1.6だった。結着剤として、カルボキシメチルセルロース(CMC)とスチレンブタジエンゴム(SBR)との混合物を準備した。この混合物において、CMCとSBRとの質量比は、1:1であった。
上記活物質粉末と結着剤の混合物とを、導電剤を含んだ上記分散液へ活物質:結着剤:導電剤の混合割合が93.5質量部:2.5質量部:4質量部となる量で投入し、得られた混合物を撹拌して電極スラリーを得た。次いで、得られたスラリーを、集電体の片面に塗布し、塗膜を乾燥させることで活物質含有層を形成した。集電体としては、厚さ12μmのアルミニウム箔を用いた。次いで、集電体と活物質含有層とをロールプレス機にて圧延して、電極を得た。プレス圧力は実施例及び比較例を通じて共通のものとした。電極の密度は、2.8g/cmであった。
(非水電解質の調製)
電解質塩を有機溶媒に溶解させて、液状非水電解質を得た。電解質塩としては、LiPF6を用いた。非水電解質におけるLiPF6のモル濃度は、1mol/Lとした。有機溶媒としては、エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)との混合溶媒を用いた。ECとDECとの体積比は、1:2であった。
(評価用セルの作製)
上述した方法で得られた電極を作用極とし、金属リチウム箔を対極及び参照極とし、上記のとおり調製した非水電解質を用いて、三電極式ビーカーセルを作製した。
なお、本実施例において、この評価用の三電極式ビーカーセルでは、リチウム金属を対極としているため、実施例および比較例の電極電位は対極に比して貴となるため正極として作動する。このため、実施例および比較例の電極を負極として用いたときの充放電の定義は反対になる。ここで、混乱を避けるため、本実施例では、電極にリチウムイオンが挿入される方向を充電、脱離する方向を放電という呼称で統一する。
<実施例2>
2回目の本焼成を完了した直後の粉末を、25℃に調整した白金プレート上に速やかに移し、急冷処理を行ったことを除き、実施例1と同様にして活物質粉末を調製した。得られた活物質粉末に含まれている一次粒子の平均アスペクト比は、10だった。二次粒子には、一次粒子間の焼結が確認された。
導電剤を含む分散液として、先に調製した活物質粉末における一次粒子の最長径の平均長さLに対する比L/Lが10となる平均長さLを有するSWCNTが純水に分散されている分散液を準備した。
これらの活物質粉末および分散液を、実施例1でそれぞれ用いた活物質粉末および分散液の代わりに用い、電極スラリーを調製した。分散液への活物質粉末および結着剤の混合物の投入量は、活物質:結着剤:導電剤の混合割合が95.5質量部:2.5質量部:2質量部となる量に調整した。このスラリーを電極作製に用いたことを除き、実施例1と同様の手順により評価用セルを作製した。
<実施例3>
2回目の本焼成における焼成温度を1200℃に変更した。また、2回目の本焼成後の粉末に対し解砕処理を行った。これらの変更を除き、実施例1と同様にして活物質粉末を調製した。得られた活物質粉末に含まれている一次粒子の平均アスペクト比は、7だった。二次粒子には一次粒子間の焼結が確認されなかった。
導電剤を含む分散液として、先に調製した活物質粉末における一次粒子の最長径の平均長さLに対する比L/Lが10となる平均長さLを有するSWCNTが純水に分散されている分散液を準備した。
これらの活物質粉末および分散液を、実施例1でそれぞれ用いた活物質粉末および分散液の代わりに用い、電極スラリーを調製した。分散液への活物質粉末および結着剤の混合物の投入量は、活物質:結着剤:導電剤の混合割合が97.4質量部:2.5質量部:0.1質量部となる量に調整した。このスラリーを電極作製に用いたことを除き、実施例1と同様の手順により評価用セルを作製した。
<実施例4>
導電剤を含む分散液として、活物質粉末における一次粒子の最長径の平均長さLに対する比L/Lが25となる平均長さLを有するSWCNTが純水に分散されている分散液を準備した。この分散液を、実施例1で用いた分散液の代わりに用い、当該分散液への活物質粉末と結着剤の混合物との投入量を、活物質:結着剤:導電剤の混合割合が97.45質量部:2.5質量部:0.05質量部となる量に調整したことを除き、実施例1と同様に電極スラリーを調製した。このスラリーを電極作製に用いたことを除き、実施例1と同様の手順により評価用セルを作製した。
<実施例5>
導電剤を含む分散液として、活物質粉末における一次粒子の最長径の平均長さLに対する比L/Lが25となる平均長さLを有するSWCNTが純水に分散されている分散液を準備した。この分散液を、実施例1で用いた分散液の代わりに用い、当該分散液への活物質粉末と結着剤の混合物との投入量を、活物質:結着剤:導電剤の混合割合が90.5質量部:2.5質量部:7質量部となる量に調整したことを除き、実施例1と同様に電極スラリーを調製した。このスラリーを電極作製に用いたことを除き、実施例1と同様の手順により評価用セルを作製した。
<実施例6−9>
実施例6では、ニオブチタン複合酸化物の代わりにLiCoO2で表されるリチウムコバルト酸化物(コバルト酸リチウム)を含む活物質を準備した。実施例7では、ニオブチタン複合酸化物の代わりにLiMn24で表されるリチウムマンガン酸化物(マンガン酸リチウム)を含む活物質を準備した。実施例8では、ニオブチタン複合酸化物の代わりにLiNi0.5Co0.2Mn0.32で表されるリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物を含む活物質を準備した。実施例9では、SiOで表される酸化ケイ素を含む活物質を準備した。
各々の実施例での活物質の調製において、フラックスとして表1に示すフラックスを用い、1回目の本焼成および2回目の本焼成のそれぞれにおける焼成温度と焼成時間を表1に示す条件に設定した。得られた活物質粉末は、平均アスペクト比が表1に示す値である一次粒子と、これらの一次粒子を含む二次粒子を含んでいた。二次粒子には、一次粒子間の焼結が確認された。
各々の実施例にて、導電剤を含む分散液として、調製した活物質粉末における一次粒子の最長径の平均長さLに対する比L/Lが表2に示す値となる平均長さLを有するSWCNTが純水に分散されている分散液を準備した。
活物質粉末および分散液を、実施例1でそれぞれ用いた活物質粉末および分散液の代わりに用い、電極スラリーを調製した。分散液への活物質粉末および結着剤の混合物の投入量は、活物質:結着剤:導電剤の混合割合が95.5質量部:2.5質量部:2質量部となる量に調整した。このスラリーを電極作製に用いたことを除き、実施例1と同様の手順により評価用セルを各々作製した。
<比較例1,2>
導電剤を含む分散液として、調製した活物質粉末における一次粒子の最長径の平均長さLに対する比L/Lが表2に示す値となる平均長さLを有するSWCNTが純水に分散されている分散液を準備した。この分散液を、実施例1で用いた分散液の代わりに用い、当該分散液への活物質粉末と結着剤の混合物との投入量を、活物質:結着剤:導電剤の混合割合が95.5質量部:2.5質量部:2質量部となる量に調整したことを除き、実施例1と同様に電極スラリーを調製した。このスラリーを電極作製に用いたことを除き、実施例1と同様の手順により評価用セルを作製した。
<比較例3>
本焼成後の粉末に対して、二次粒子が粉砕されない様に次のとおり粉砕処理を行った。得られた焼結体を解砕し、ジェットミルを用いて供給圧0.2MPa、粉砕圧0.1MPaに調整した分散処理を1回行った。その後、処理後の粉末を乾式篩にかけた。また、アニール処理を省略した。これらを除き、実施例1と同様にして活物質粉末を調製した。得られた活物質粉末に含まれている一次粒子の平均アスペクト比は、3だった。二次粒子には、一次粒子間の焼結が確認された。
導電剤を含む分散液として、先に調製した活物質粉末における一次粒子の最長径の平均長さLに対する比L/Lが10となる平均長さLを有するSWCNTが純水に分散されている分散液を準備した。
これらの活物質粉末および分散液を、実施例1でそれぞれ用いた活物質粉末および分散液の代わりに用い、電極スラリーを調製した。分散液への活物質粉末および結着剤の混合物の投入量は、活物質:結着剤:導電剤の混合割合が95.5質量部:2.5質量部:2質量部となる量に調整した。このスラリーを電極作製に用いたことを除き、実施例1と同様の手順により評価用セルを作製した。
<比較例4>
2回目の本焼成の際の昇温速度を5℃/minに変更し、2回目の本焼成を完了した直後の粉末を、25℃に調整した白金プレート上に速やかに移し、急冷処理を行ったことを除き、実施例1と同様にして活物質粉末を調製した。得られた活物質粉末に含まれている一次粒子の平均アスペクト比は、20だった。二次粒子には、一次粒子間の焼結が確認されなかった。
導電剤を含む分散液として、先に調製した活物質粉末における一次粒子の最長径の平均長さLに対する比L/Lが1.5となる平均長さLを有するSWCNTが純水に分散されている分散液を準備した。
これらの活物質粉末および分散液を、実施例1でそれぞれ用いた活物質粉末および分散液の代わりに用い、電極スラリーを調製した。分散液への活物質粉末および結着剤の混合物の投入量は、活物質:結着剤:導電剤の混合割合が95.5質量部:2.5質量部:2質量部となる量に調整した。このスラリーを電極作製に用いたことを除き、実施例1と同様の手順により評価用セルを作製した。
下記表1に、実施例1−9及び比較例1−4で各々調製した活物質の詳細をまとめる。具体的には、活物質の組成、活物質の合成時の本焼成の条件、得られた活物質粉末における一次粒子の平均アスペクト比(A/Aの平均値AAVG)、二次粒子における一次粒子間の焼結の有無、先に説明した方法で測定した各活物質の電気的抵抗の値、及び先に説明した方法で測定した各活物質についてのLi挿入・脱離に伴う体積変化率を示す。活物質の組成については、“NTO”という表記はNb2TiO7で表されるニオブチタン複合酸化物を意味し、“LCO”という表記はLiCoO2で表されるリチウムコバルト酸化物(コバルト酸リチウム)を意味し、“LMO”という表記はLiMn24で表されるリチウムマンガン酸化物を意味し、“NCM”という表記はLiNi0.5Co0.2Mn0.32で表されるリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物を意味する。実施例9については、そのままの組成(SiO)を表記している。本焼成の条件としては、用いたフラックスの種類、1回目の本焼成についての焼成温度および焼成時間、並びに2回目の本焼成についての焼成温度および焼成時間を示す。
下記表2に、実施例1−9及び比較例1−4で各々作製した電極の詳細をまとめる。具体的には、活物質一次粒子の最長径Aの平均長さLと導電剤としての繊維状炭素質材料(SWCNT)の平均長さLとの比L/L、活物質含有層の質量に対する繊維状炭素質材料の配合量、及び電極密度を示す。
Figure 2021150059
Figure 2021150059
[評価試験]
実施例1−9及び比較例1−4で得られた各々の評価用セル(ビーカーセル)について、下記試験により出力性能及び寿命性能を評価した。
(出力性能評価)
先ず、1Cの電流値で所定の充電終止電圧に達するまで評価用セルを充電した。充電終止電圧に達した後、電流値が0.05Cとなるまでこの電圧を維持しながら評価用セルを更に充電した。電流値が0.05Cに達した後、0.2Cの電流値で、所定の放電終止電圧に達するまで評価用セルを放電した。放電終止電圧に達するまでの放電容量を測定して、低レート放電容量C0.2Cを得た。
次に、1Cの電流値で上記と同じ充電終止電圧に達するまで再び評価用セルを充電した。充電終止電圧に達した後、電流値が0.05Cとなるまでこの電圧を維持しながら評価用セルを更に充電した。電流値が0.05Cに達した後、5Cの電流値で、上記と同じ放電終止電圧に達するまで評価用セルを放電した。放電終止電圧に達するまでの放電容量を測定して、高レート放電容量C5Cを得た。
ここで、活物質としてNTOを用いた実施例1−5及び比較例1−4については、充電終止電圧を1.0Vに設定し、放電終止電圧を3.0Vに設定した。LCOを用いた実施例6については、充電終止電圧を4.2Vに設定し、放電終止電圧を3.0Vに設定した。LMOを用いた実施例7については、充電終止電圧を4.35Vに設定し、放電終止電圧を3.0Vに設定した。NCMを用いた実施例8については、充電終止電圧を4.2Vに設定し、放電終止電圧を3.0V電圧に設定した。SiOを用いた実施例9については、充電終止電圧を0.01Vに設定し、放電終止電圧を2.0Vに設定した。
放電容量C5Cを放電容量C0.2Cで除することにより、5C/0.2C放電容量維持率(=C5C/C0.2C×100%)を算出した。その結果を、下記表3に示す。
(寿命性能評価)
45℃の環境下で、次のとおり充放電サイクルを試験を行った。
先ず、1Cの電流値で所定の充電終止電圧に達するまで評価用セルを充電した。充電終止電圧に達した後、電流値が0.05Cとなるまでこの電圧を維持しながら評価用セルを更に充電した。電流値が0.05Cに達した後、1Cの電流値で、所定の放電終止電圧に達するまで評価用セルを放電した。放電終止電圧に達するまでの放電容量を測定して、1サイクル目の放電容量C1stを得た。1サイクル目と同様の充放電を30サイクル目まで繰り返した。30サイクル目の放電容量を測定し、放電容量C30thを得た。各サイクルにおける充電終止電圧と放電終止電圧は、出力性能評価について設定したと同様の値に設定した。
放電容量C1stを放電容量C30thで除することにより、30サイクル目の充放電の際の放電容量維持率(=C1st/C30th×100%)を算出した。その結果を、下記表3に示す。
Figure 2021150059
表3が示すとおり、実施例1−9で作製したビーカーセルでは、比較例1−4で作製したビーカーセルと同程度またはそれ以上の出力性能(5C/0.2C放電容量維持率)を示した。また、実施例1−9で得られたビーカーセルのサイクル寿命性能(45℃,30サイクル目放電容量維持率)は、比較例1−4で得られたビーカーセルのそれと比較して高かった。
実施例1−9では、活物質粉末に含まれている一次粒子について、針形状の活物質一次粒子が得られていた。これに対し、比較例3では針形状の一次粒子が得られていなかった。表3が示すとおり比較例3では、出力性能が著しく低く、サイクル寿命性能も低かった。出力性能が低かった理由は、針形状の一次粒子が得られなかったため、充放電のための活物質表面の面積が制限されてしまったためと考えられる。サイクル寿命性能が低かった理由は、針形状の一次粒子が得られなかったため、適度な空隙を有する二次粒子が形成されなかったことに起因すると考えられる。
実施例1−9では、活物質の一次粒子の最長径Aの平均長さLと繊維状炭素質材料の繊維の平均長さLとの間の比L/Lが1.5<L/L<30の範囲内であった。一方で、比較例1、2及び4では、当該比L/Lが上記範囲外の値であった。比較例1及び4における出力性能が実施例1−9における出力性能より低かった理由は、比L/Lが1.5以下であったことから、繊維状炭素質材料の長さが短すぎることに起因して導電性の付与が十分ではなかったためと考えられる。また、繊維状炭素質材料が短いので活物質の膨張収縮が繰り返されるにつれて活物質含有層中の導電パスが損なわれた結果、比較例4においてもサイクル寿命性能が低かったものと考えられる。比較例2におけるサイクル寿命性能が実施例1−9におけるサイクル寿命性能より低かった理由は、比L/Lが30を超過していたことから、繊維状炭素質材料が長すぎたことに起因すると考えられる。長すぎる繊維状炭素質材料の凝集が生じて電極中の電流の分布が不均一になった結果、サイクル寿命性能が低下したと考えられる。
以上説明した1以上の実施形態および実施例1によれば、電極が提供される。電極は、酸化物を含む活物質と、繊維状炭素質材料を含む導電剤とを含む活物質含有層を具備する。活物質は、針形状を有する酸化物の一次粒子、及びこの一次粒子を含んだ二次粒子を含む。電極では、一次粒子の最長径Aの平均長さLと、繊維状炭素質材料の最長寸法の平均長さLとが、1.5<L/L<30の関係を満たす。当該電極によれば、出力性能およびサイクル寿命性能に優れた電池および電池パックを提供することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1…電極群、2…負極、2a…負極集電体、2b…負極活物質含有層、2c…負極集電タブ、3…正極、3a…正極集電体、3b…正極活物質含有層、3c…正極集電タブ、4…セパレータ、5…負極端子、6…正極端子、7…外装容器、7a…周縁部、7b…周縁部、7c…周縁部、7d…曲げ部、9…絶縁フィルム、10…電池、15…負極端子、15a…負極リード、16…正極端子、16a…正極リード、17a…金属製容器、17b…封口板、17c…絶縁部材、20…電池パック、21…単電池、22…粘着テープ、23…組電池、24…プリント配線基板、25…サーミスタ、26…保護回路、27…通電用端子、28…正極側リード、29…正極側コネクタ、30…負極側リード、31…負極側コネクタ、32…配線、33…配線、34a…プラス側配線、34b…マイナス側配線、35…配線、36…保護シート、37…収容容器、38…蓋、71…アルミニウム箔、72…樹脂フィルム、73…樹脂フィルム、100…電極、100a…集電体、100b…活物質含有層、100c…電極集電タブ、101…一次粒子、102…二次粒子、111…第1領域、112…第2領域、113…第3領域、114…第4領域、120…第5領域。

Claims (11)

  1. 酸化物を含み針形状を有する一次粒子および前記一次粒子を含んだ二次粒子を含む活物質と、
    繊維状炭素質材料を含む導電剤と
    を含む活物質含有層を具備し、
    前記一次粒子の最長径Aの平均長さLと前記繊維状炭素質材料の最長寸法の平均長さLとが1.5<L/L<30の関係を満たす、電極。
  2. 前記一次粒子の前記最長径Aと、前記最長径Aと交差する最短径Aとのアスペクト比A/Aの平均値AAVGが5以上15以下である、請求項1に記載の電極。
  3. 前記アスペクト比A/Aの平均値AAVGが5<AAVG<15である、請求項2に記載の電極。
  4. 前記二次粒子において、少なくとも一部の前記一次粒子同士が焼結している、請求項1乃至3の何れか1項に記載の電極。
  5. 前記活物質のリチウムの挿入・脱離に伴う体積変化は1%以上800%以下である、請求項1乃至4の何れか1項に記載の電極。
  6. 前記活物質含有層はその断面において、前記断面の面積の50%以上95%以下を占めており、平均抵抗値が0.5MΩ以上200GΩ以下である領域を含む、請求項1乃至5の何れか1項に記載の電極。
  7. 前記酸化物は、ニオブチタン複合酸化物、リチウムコバルト複合酸化物、リチウムマンガン複合酸化物、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物、及び酸化ケイ素からなる群より選択される少なくとも1つを含む、請求項1乃至6の何れか1項に記載の電極。
  8. 前記活物質含有層における前記繊維状炭素質材料の含有量は、前記活物質含有層の質量に対し0.1質量%以上5質量%以下である、請求項1乃至7の何れか1項に記載の電極。
  9. 前記活物質含有層の密度は2.5 g/cm3以上3.5 g/cm3以下である、請求項1乃至8の何れか1項に記載の電極。
  10. 正極と、
    負極と、
    電解質とを具備し、
    前記正極および前記負極の少なくとも一方は請求項1乃至9の何れか1項に記載の電極を含む、電池。
  11. 請求項10に記載の電池を具備する、電池パック。
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