JP2021147406A - 成形材料及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の目的は、比較的高密度の樹脂をマトリクス樹脂として用いても、ボイドの少ない繊維強化複合材料を得ることができる成形材料を提供することである。【解決手段】強化繊維に、密度1.70g/cm3以上の樹脂が含浸した成形材料であって、その吸水率が20%以下である成形材料である。樹脂は、350℃での粘度が1012Pa・s以下の樹脂であることが好ましい。このような成形材料は、密度1.70g/cm3以上の樹脂粒子を分散媒中に分散した分散液であって、分散液が0.1wt%水溶液の23℃での静的表面張力が25mN/m未満の分散剤が添加された分散液に強化繊維を浸漬し、強化繊維に粒子状の樹脂を付着させる付着させる成形材料の製造方法によって得られる。【選択図】なし

Description

本発明は、強化繊維に樹脂が含浸した成形材料及びその製造方法に関する。
強化繊維とマトリクス樹脂とからなる繊維強化複合材料(単に複合材料またはFRPともいう)は、軽量、高強度、高弾性率等の特長を有し、航空機、スポーツ・レジャー、一般産業に広く応用されている。繊維強化複合材料のマトリクス樹脂としては、従来、エポキシ樹脂やビニルエステル樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアミド樹脂などが使用されてきた。
繊維強化複合材料が使用される分野が広がるにつれ、複合材料に求められる性能も多様化している。特に、防食性、耐薬品性、耐熱性、耐摩耗性などが高い水準で求められる分野において、フッ素樹脂などの比較的高融点、高密度の樹脂がマトリクス樹脂として提案されている。(例えば、特許文献1、2)
しかし、このような高融点、高密度の樹脂をマトリクス樹脂として用いると、強化繊維に含侵させにくく、複合材料にマトリクス樹脂が繊維に十分含侵していないボイドと呼ばれる小領域が生じるという問題がある。複合材料中のボイドは、複合材料の破壊の起点になりやすく、複合材料の機械特性の低下につながる。
例えば、特許文献1では、プレート上で、溶融させたフッ素樹脂と強化繊維を積層し一体化しているが、このような方法では、樹脂が強化繊維層の内部まで十分含侵せずボイドが生じてしまう。
一方、特許文献2では、粉末状のフッ素樹脂を強化繊維に付着させた後、樹脂を溶融一体化する方法を用いている。粉末状の樹脂は、強化繊維層の比較的内部まで入り込むことができるが、高密度の粉末を用いた場合、粉末が沈降しやすく、強化繊維に均一に付着させることが困難である。強化繊維に樹脂が均一に付着しないと、複合材料中の樹脂の存在量にばらつきが生じ、ボイドが生じてしまう。
そのため、比較的高密度の樹脂をマトリクス樹脂として用いても、ボイドの少ない繊維強化複合材料を得ることができる成形材料が求められている。
特表2007−517100号公報 特開2018−178073号公報
本発明の目的は、比較的高密度の樹脂をマトリクス樹脂として用いても、ボイドの少ない繊維強化複合材料を得ることができる成形材料およびその製造方法を提供することである。
上記目的を達成する本発明の成形材料は、強化繊維に、密度1.70g/cm以上の樹脂が含浸した成形材料であって、その吸水率が20%以下である成形材料である。本発明において樹脂は、350℃での粘度が1012Pa・s以下の樹脂であることが好ましい。
本発明のもう一つの態様である成形材料の製造方法は、強化繊維に密度1.70g/cm以上の樹脂が含浸した成形材料の製造方法であって、樹脂粒子を分散媒中に分散した分散液に強化繊維を浸漬し、強化繊維に粒子状の樹脂を付着させる付着工程を有し、前記分散液が、0.1wt%水溶液の23℃での静的表面張力が25mN/m未満の分散剤が添加された分散液である成形材料の製造方法である。本発明において、分散剤はフッ素基を含む界面活性剤であることが好ましく、また、分散液中の分散剤の添加量が、分散媒に対して0.1〜20wt%であることが好ましい。
本発明の成形材料によれば、比較的高密度の樹脂をマトリクス樹脂として用いても、ボイドの少ない繊維強化複合材料を得ることができる。
本発明の成形材料の製造方法によれば、比較的高密度の樹脂をマトリクス樹脂として用いても、ボイドの少ない繊維強化複合材料を与える成形材料を得ることができる。
本発明の成形材料は、強化繊維に、密度1.70g/cm以上の樹脂が含浸した成形材料であって、その吸水率が20%以下である成形材料である。成形材料の吸水率が20%以下であると、成形材料中に含まれるボイドが少ないため、樹脂が繊維に十分含侵し、機械物性に優れた繊維強化複合材料を得ることができる。成形材料の吸水率は、0.1〜10%であることがより好ましく、0.5〜7%であることが特に好ましい。
本発明で用いる樹脂は、350℃での粘度が1012Pa・s以下の樹脂であることが好ましい。樹脂の粘度がこの範囲であると、樹脂が繊維により含侵しやすいため、機械物性により優れた繊維強化複合材料を得ることができる。350℃での粘度は、10〜1012Pa・sであることがより好ましく、10〜1010Pa・sであることが特に好ましい。
このような本発明の成形材料によれば、密度1.70g/cm以上の比較的高密度の樹脂をマトリクス樹脂として用いても、ボイドの少ない繊維強化複合材料を得ることができる。
上記のような本発明の成形材料の製造方法は、例えば、樹脂からなるフィルムに強化繊維を熱融着させる方法(ホットメルト法)、樹脂の溶液またはエマルジョンに強化繊維を浸漬、乾燥後に樹脂を溶融させる方法、樹脂粉末の床中に強化繊維を通し、樹脂を付着させた後、加熱融着させる方法、樹脂粉末のサスペンジョンの中に強化繊維を浸漬して加熱溶融させる方法(パウダーサスペンジョン法)、などが例示される。本発明の成形材料は、特に、本発明のもう一つの態様である成形材料の製造方法によって得ることができる。
本発明の成形材料の製造方法は、強化繊維に密度1.70g/cm以上の樹脂が含浸した成形材料の製造方法であって、樹脂粒子を分散媒中に分散した分散液に強化繊維を浸漬し、強化繊維に粒子状の樹脂を付着させる付着工程を有する成形材料の製造方法である。樹脂粒子を分散媒中に分散した分散液に強化繊維を浸漬し、強化繊維に粒子状の樹脂を付着させると、樹脂粒子が強化繊維束の比較的内部まで均一に付着させることができる。その結果、得られる成形材料では、樹脂が含侵していない領域が減少するため、繊維強化複合材料の吸水率を低くすることができる。
さらに本発明においては、前記分散液は、0.1wt%水溶液の23℃での静的表面張力が25mN/m未満の分散剤が添加された分散液である。このような分散液を用いると、密度1.70g/cm以上の比較的高密度の樹脂からなる粒子を用いても、分散液中で樹脂粒子が沈降しにくく、分散液中での粒子の存在密度が安定する。そのため、樹脂粒子を強化繊維に均一に付着させることができる。そのため、本発明の成形材料の製造方法によれば、比較的高密度の樹脂をマトリクス樹脂として用いても、ボイドの少ない繊維強化複合材料を与える成形材料を得ることができる。
分散剤の静的表面張力は、22mN/m以下であること好ましく、15〜22mN/mであることがより好ましく、18〜20mN/mであることがとくに好ましい。また、本発明において、分散剤はフッ素基を含む界面活性剤であることが好ましい。
分散液中の分散剤の添加量は、分散液の安定性の観点から、分散媒に対して0.1〜20wt%であることが好ましく、1〜15wt%であることがより好ましく、3〜12wt%であることがより好ましい。
上記のような、本発明の成形材料の製造方法によれば、比較的高密度の樹脂をマトリクス樹脂として用いても、ボイドの少ない繊維強化複合材料を与える成形材料を得ることができる。以下、本発明の成形材料およびその製造方法についてさらに詳しく説明する。
(1) 成形材料
本発明の成形材料は、強化繊維に、密度1.70g/cm以上の樹脂が含浸した成形材料である。
(1−1) 強化繊維
本発明で用いる強化繊維としては、特に制限はなく、例えば、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、炭化ケイ素繊維、ポリエステル繊維、セラミック繊維、アルミナ繊維、ボロン繊維、金属繊維、鉱物繊維、岩石繊維及びスラッグ繊維などが挙げられる。
これらの強化繊維の中でも、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維が好ましい。比強度、比弾性率が良好で、軽量かつ高強度の繊維強化複合材料が得られる点で、炭素繊維がより好ましい。引張強度に優れる点でポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維が特に好ましい。
強化繊維にPAN系炭素繊維を用いる場合、その引張弾性率は、100〜600GPaであることが好ましく、200〜500GPaであることがより好ましく、230〜450GPaであることが特に好ましい。また、引張強度は、2000MPa〜10000MPaであることが好ましく、3000〜8000MPaであることがより好ましい。炭素繊維の直径は、4〜20μmが好ましく、5〜10μmがより好ましい。このような炭素繊維を用いることにより、得られる繊維強化複合材料の機械的性質を向上できる。
強化繊維の形状は特に制限はなく、例えば、ストランド状、テープ状、シート状などの形状の強化繊維を用いることができる。シート状の強化繊維基材としては、例えば、多数本の強化繊維を一方向に引き揃えたシートや、平織や綾織などの二方向織物、多軸織物、不織布、マット、ニット、組紐、強化繊維を抄紙した紙を挙げることができる。
本発明においては、強化繊維を連続繊維として用いることが好ましい。また、強化繊維が一方向引揃えられたストランド、テープ、一方向シートを用いると、より機械物性に優れた繊維強化複合材料が得られるため好ましい。強化繊維基材の厚さは、0.01〜3mmが好ましく、0.1〜1.5mmがより好ましい。
(1−2) 樹脂
本発明で用いる樹脂は、密度1.70g/cm以上の樹脂であれば、特に制限なく用いることができる。本発明で用いる樹脂は、熱可塑性樹脂であってもよく、熱硬化性樹脂であってもよいが、溶融成形可能な樹脂であることが好ましく、熱可塑性樹脂であることがより好ましい。
密度1.70g/cm以上の樹脂としては、例えば、フッ素樹脂、塩素樹脂などのハロゲン化樹脂などが挙げられる。ハロゲン化樹脂の中でも、耐薬品性の観点から、フッ素樹脂を用いることが好ましい。フッ素樹脂としては、公知のフッ素樹脂を用いることができ、例えば、テトラフルオロエチレン/フルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン、エチレン/クロロトリフルオロエチレン共重合体等が挙げられる。フッ素樹脂は、必要に応じてカルボニル基含有基、ヒドロキシ基、エポキシ基およびイソシアネート基等の官能基を有していてもよい。
本発明で用いる樹脂の形態としては、粒子形態が好ましい。フッ素樹脂粒子としては、市販品を用いてもよい。市販のフッ素系ポリマー粒子であるフッ素樹脂粒子の具体例としては、ダイキン工業(株)製「ルブロンL−2」、ダイキン工業(株)製「ルブロンL−5」、ダイキン工業(株)製「ルブロンL−5F」、ダイキン工業(株)製「ポリフロン」シリーズ、旭硝子(株)製「FluonPTFE L−170JE」、旭硝子(株)製「FluonPTFEL−172JE」、旭硝子(株)製「FluonPTFE L−173JE」、(株)喜多村製「KTL−500F」、(株)喜多村製「KTL−2N」、(株)喜多村製「KTL−1N」、三井・デュポン フロロケミカル(株)「TLP10F−1」が挙げられる。
本発明で用いる樹脂としては、25℃で固体の樹脂であることが好ましい。樹脂の融点は、100℃以上340℃以下であることがより好ましく、150℃以上330℃以下が好ましく、200℃以上330℃以下がより好ましい。融点がこの範囲であると、成形性良く、耐熱性に優れた繊維強化複合材料を得ることができる。
また、本発明で用いる樹脂としては、350℃での粘度が、1012Pa・s以下であることが好ましい。350℃での粘度が、この範囲であると、樹脂が繊維に含侵しやすく、機械特性に優れた複合材料を得やすくなる。350℃での粘度は、10〜1012Pa・sであることがより好ましく、10〜1012Pa・sであることが特に好ましい。
マトリックス樹脂は、樹脂成分として、高密度の樹脂と、比較的密度の低い樹脂や、本発明の効果を損なわない範囲において、他の成分を含んでいてもよい。本発明でいう樹脂の密度は、これらの成分を混合したマトリクス樹脂組成物としての密度である。
(1−3) 添加剤
本発明の成形材料には、所望物性を付与するための添加剤を任意に配合することができる。添加剤としては、例えば、導電性粒子、酸化防止剤、光安定剤、難燃剤、可塑剤、無機系充填剤、内部離型剤、架橋剤、硬化剤、反応促進剤などが挙げられる。これらの添加剤は、特に制限はないが、樹脂中に分散されていることが好ましい。
(2) 成形材料の製造方法
本発明の成形材料の製造方法は、強化繊維に、上記の樹脂を含浸させる成形材料の製造方法である。
(2−1) 樹脂組成物の製造方法
本発明に用いる樹脂は、密度1.70g/cm以上の樹脂であればよいが、必要に応じて、2種類以上の樹脂や、添加剤などのその他の成分を混合した、樹脂組成物として用いてもよい。
樹脂組成物とする場合、これらの混合の順序は問わない。また、混合方法も特に限定なく、従来公知の方法、例えば、粉体混合法、溶液法、融液法あるいはマスターバッチ法などをとることができる。混合装置としては、従来公知の混練装置を使用して添加する方法ことができる。混練に際しては、溶液状態での混練法あるいは溶融状態での混練法が、均一混練性の観点より好ましい。
混練装置としては、特に限定なく、従来公知の縦型の反応容器、混合槽、混練槽あるいは一軸または多軸の横型混練装置、例えば一軸あるいは多軸のエクストルーダー、ニーダーなどが例示される。溶融温度は、樹脂の種類や混合比率、添加剤の有無や種類に応じて適宜調整される。
(2−2) 成形材料の製造方法
本発明では、樹脂粒子を分散媒中に分散した分散液(サスペンジョン溶液)に強化繊維を浸漬し、強化繊維に粒子状の樹脂を付着させる付着工程を有する、パウダーサスペンジョン法を用いる。パウダーサスペンジョン法を用いることで、樹脂を強化繊維層の内部まで均一に含浸させることができ、吸水率を低くすることができる。
パウダーサスペンジョン法では、樹脂を粉末状で用いる。樹脂粉末は、強化繊維への良好な沈着(繊維間あるいは繊維表面に樹脂粉末が保持された状態)を考慮すると、樹脂粉末の粒子径は50μm以下で、取扱性の点からは1μmを下回らないのが良く、平均粒子径が5〜50μmの範囲のものが好ましい。上記粒度範囲の樹脂粉末は、下述の液体に分散させたとき、その分散性(サスペンジョン中の樹脂粉末の分散性)が安定しやすく、長時間生産においても、強化繊維に樹脂粉末を安定的に沈着できる、得られる成形材料の吸水率をより低くしやすい。なお、本発明において、平均粒子径は、レーザー回折・散乱法を用いて測定される粒度分布の累積50体積%粒子径(D50)の値を言う。
パウダーサスペンジョン法においては、用いられる樹脂粉末を分散させるための分散媒として、液体を用いることが好ましい。用いられる液体としては、水、アルコール類、ケトン類、ハロゲン化炭素水素類から選ばれた1種若しくは2種以上の溶媒又は混合溶媒が好ましい。アルコール類としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、メチルセルソルブ等が、ケトン類としては、アセトン、メチルエチルケトン等が、ハロゲン化炭化水素類としては、塩化メチレン、ジクロロエタン等が挙げられる。中でも好ましいのは、エタノール、イソプロピルアルコール、アセトンあるいはそれらと水との混合溶媒、又は水である。また、上記溶媒を含有し、好適な溶媒組成を有する市販品を使用することもでき、そのような市販品としてソルミックス(日本アルコール販売(株)製)が例示される。かかる液体は、強化繊維を浸漬させたとき繊維材料を適度に開繊させるという作用もあるので、サスペンジョン中の樹脂粉末を、繊維材料に均一に沈着させやすい。
樹脂粉末とそれを分散させるための液体(分散媒)との組み合わせは、分散媒が、樹脂に対して貧溶媒であることが好ましく、樹脂が溶媒に溶解しないものであるがより好ましい。
さらに本発明においては、分散液は、0.1wt%水溶液の23℃での静的表面張力が25mN/m未満の分散剤が添加された分散液である。分散剤の静的表面張力は、22mN/m以下であること好ましく、15〜22mN/mであることがより好ましく、18〜20mN/mであることがとくに好ましい。
本発明において、分散剤は既定の静的表面張力を有すれば特に制限はないが、フッ素基を含む界面活性剤であることが好ましい。フッ素基を含む界面活性剤としては、例えば1,1,2,2−テトラフルオロオクチル(1,1,2,2−テトラフルオロプロピル)エーテル、1,1,2,2−テトラフルオロオクチルヘキシルエーテル、オクタエチレングリコールジ(1,1,2,2−テトラフルオロブチル)エーテル、ヘキサエチレングリコール(1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロペンチル)エーテル、オクタプロピレングリコールジ(1,1,2,2−テトラフルオロブチル)エーテル、ヘキサプロピレングリコールジ(1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロペンチル)エーテル等のフルオロエーテル類;パーフルオロドデシルスルホン酸ナトリウム;1,1,2,2,8,8,9,9,10,10−デカフルオロドデカン、1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロデカン等のフルオロアルカン類;フルオロアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム類;フルオロアルキルオキシエチレンエーテル類;フルオロアルキルアンモニウムヨージド類;フルオロアルキルポリオキシエチレンエーテル類;パーフルオロアルキルポリオキシエタノール類;パーフルオロアルキルアルコキシレート類;フッ素系アルキルエステル類等を挙げることができる。
これらのフッ素系界面活性剤の市販品としては、エフトップ(登録商標)EF301、303、352(新秋田化成(株)製)、メガファック(登録商標)F171、172、173(DIC(株)製)、フロラードFC430、431(住友スリーエム(株)製)、アサヒガードAG(登録商標)710(旭硝子(株)製)、サーフロン(登録商標)S−382、SC−101、102、103、104、105、106(AGCセイミケミカル(株)製)、FTX−218((株)ネオス製)等を挙げることができる。
分散液中の分散剤の添加量は、分散液の安定性の観点から、分散媒に対して0.1〜20wt%であることが好ましく、1〜15wt%であることがより好ましく、3〜12wt%であることがより好ましい。
分散液中の樹脂粉末の濃度[樹脂質量/(液体質量+樹脂質量)×100]は、1〜50質量%であることが好ましく、1〜30質量%がより好ましく、1〜15質量%がさらに好ましい。
強化繊維を浸漬させるときのサスペンジョンの温度は、樹脂の分散状態が良好に保たれる限り特に制限はなく、また、用いられる樹脂や液体の種類、濃度によって異なるが、通常は5〜50℃、好ましくは5〜30℃、さらに好ましくは15〜30℃である。
以上の条件下で、通常、強化繊維基材に付着させる樹脂粉末の量は、強化繊維と樹脂粉末との合計量に対して、10〜70質量%の樹脂粉末が沈着するがであることが好ましく、成形材料の製造上は20〜60質量%がより好ましい。樹脂粉末の付着量は、成形材料としての繊維含有量が、繊維体積含有率(Vf)として、10〜80%となるように調節することが好ましく、30〜70%となるようにすることが好ましい。
このように樹脂粉末を付着させた強化繊維は、樹脂が分解または反応しない温度で乾燥される。乾燥温度は、80〜200℃であることが好ましく、乾燥時間は1〜20分間であることが製造上好ましい。
樹脂粉末の付着した強化繊維は、樹脂のガラス転移温度または融点以上の温度で加熱される。この処理により、樹脂粉末が、軟化または溶融し、強化繊維と樹脂が一体化し、成形材料が得られる。
樹脂粉末の付着した強化繊維の加熱方法は、特に制限はなく、加熱ローラー、加熱スリット、熱プレス装置、乾燥機などを用いることができる。
上記のような本発明の成形材料の製造方法によれば、密度1.70g/cm以上の樹脂を用いた場合でも、繊維に樹脂が十分含侵し、吸水率の低い成形材料を得ることができる。そのような成形材料を用いることで、機械強度に優れた繊維強化複合材料を得ることができる。
(3) 繊維強化複合材料
本発明の成形材料を加熱成形することで、繊維強化複合材料を得ることができる。繊維強化複合材料の成形方法としては、特に限定しないが、例えば、オートクレーブ成形、プレス成形、フィラメントワインディング成形、スタンピング成形などの生産性に優れた成形方法が挙げられ、これらを組み合わせて用いることができる。
本発明の成形材料を用いて得られる繊維強化複合材料は、機械強度に優れるため、自動車、航空機、電気・電子機器、スポーツ・レジャー用品などの用途に好適に適用できる。これらの中でも、産業用途に特に好適に用いることができる。
以下、実施例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。本実施例、比較例において使用する樹脂組成物の各成分や試験方法を以下に記載する。
〔成分〕
(樹脂)
・フッ素樹脂粒子:ポリフロン PTFE L−5(製品名)、平均粒径 5〜7μm、融点 326〜328℃、密度 2.13〜2.22g/cm、350℃の粘度 10〜1011Pa・s(カタログ値)、ダイキン工業株式会社製
(分散剤)
・分散剤1:フッ素系界面活性剤、S−611(製品名)、AGC株式会社製、静的表面張力:18mN/m(カタログ値)
・分散剤2:フッ素系界面活性剤、F−569(製品名)、DIC株式会社製、静的表面張力:19mN/m(カタログ値)
・分散剤3:炭化水素系界面活性剤、HC−WS70(製品名)、東ソー株式会社製、静的表面張力:25mN/m(カタログ値)
・分散剤4:フッ素系界面活性剤、F−410(製品名)、DIC株式会社製、静的表面張力:24mN/m(カタログ値)
(強化繊維)
・炭素繊維:テナックス(登録商標) HTS45 P12 12K 800tex、フィラメント数12,000本、引張強度4500MPa、引張弾性率240GPa、帝人株式会社製
[評価方法]
(1)樹脂粒子の平均粒子径
分散液中の樹脂粒子の平均粒子径は、日機装(株)株式会社製 レーザー回折・散乱式の粒度分析計マイクロトラックを用いて、粒度分布[累積10体積%粒径(D10)、累積50体積%粒径(D50)、累積90体積%粒径(D90)]の測定を実施し、累積50体積%粒径(D50)を平均粒子径として求めた。分散液を調整した直後と、室温で5分間静置した後の平均粒子径を求め、その変化率を算出し、分散液の安定性の指標とした。
(2)吸水率
各実施例で得られた成形材料を100×100mmにカットし、質量(W)を測定した。その後、デシケーター中で、成形材料を水中に沈め、減圧し、成形材料内部の空気と水を置換させた。成形材料を水中から取り出し、表面の水を拭き取り、成形材料の質量(W)を測定した。これらの測定値から下記式を用いて吸水率を算出した。
吸水率(%)=[(W−W)/W]×100
:吸水前の成形材料の質量(g)
:吸水後の成形材料の質量(g)
(実施例1)
分散媒として、混合溶剤ソルミックスAP−7(製品名、エタノールを主剤とする混合溶剤、日本アルコール販売株式会社アルコール販売(株)製)を用い、分散剤1を表1に記載の添加量で添加し、分散剤を含む分散媒溶液を調整した。次いで、フッ素樹脂粉末を分散媒溶液に分散させ、5.5質量%の濃度でフッ素樹脂粉末を含む分散液を調製した。得られた分散液の安定性を評価した。結果を表1に記載した。得られた分散液のD50経時変化率は0.54%と低く、安定した分散液であった。
強化繊維基材として、炭素繊維を平行に55本引き揃えてシート状にし、炭素繊維の目付が194g/mになるよう炭素繊維の引き揃えシートを調製した。得られた炭素繊維基材2枚を、上記分散液を満たした分散液浴槽中に導入し、15秒間浸漬した後、2枚の基材シートを重ねて1枚の積層シートとして分散液浴槽から導出した。得られた積層シートを150℃で5分間乾燥させた。積層シートに対して樹脂粉末は47質量%付着していた。
引き続いて、積層シートを表面温度が380℃のローラーに通し、樹脂を溶融させ含浸させることにより成形材料(繊維体積含有率(Vf)58%)を得た。得られた成形材料の吸水率を測定した。測定結果を表1に記載した。
実施例1で得られた成形材料は、吸水率が8%と低く、十分に樹脂が含侵した成形材料であった。
(実施例2〜7)
分散剤の種類と分散媒に対する添加量を表1に記載のように変更した以外は、実施例1と同様にして成形材料を得た。用いた分散液のD50経時変化率と、得られた成形材料の吸水率を表1に記載した。
静的表面張力が25mN/m未満の分散剤を用いて得られた実施例2〜7の分散液のD50経時変化率はいずれも低く、安定した分散液であった。また、実施例2〜7で得られた成形材料は、いずれも吸水率が低く、十分に樹脂が含侵した成形材料であった。
(比較例1)
分散剤を用いなかった以外は、実施例1と同様にして成形材料を得た。用いた分散液のD50経時変化率と、得られた成形材料の吸水率を表1に記載した。
分散剤を用いていない比較例1の分散液のD50経時変化率は1.62%と高く、不安定な分散液であった。そのため、得られた成形材料は、吸水率が45%と大変高く、ボイドの多い成形材料であった。
(比較例2)
分散剤として、静的表面張力が25mN/mの分散剤を用いた以外は、実施例1と同様にして成形材料を得た。用いた分散液のD50経時変化率と、得られた成形材料の吸水率を表1に記載した。
静的表面張力が25mN/mの分散剤を用いて得られた比較例2の分散液のD50経時変化率は2.07%と大変高く、不安定な分散液であった。そのため成形材料は、吸水率が53%と大変高く、ボイドの多い成形材料であった。
Figure 2021147406

Claims (5)

  1. 強化繊維に、密度1.70g/cm以上の樹脂が含浸した成形材料であって、その吸水率が40%以下であることを特徴とする成形材料。
  2. 樹脂が、350℃での粘度が1012Pa・s以下の樹脂である請求項1に記載の成形材料。
  3. 強化繊維に密度1.70g/cm以上の樹脂が含浸した成形材料の製造方法であって、樹脂粒子を分散媒中に分散した分散液に強化繊維を浸漬し、強化繊維に粒子状の樹脂を付着させる付着工程を有し、前記分散液が、さらに、0.1wt%水溶液の23℃での静的表面張力が25mN/m未満の分散剤が添加された分散液であることを特徴とする成形材料の製造方法。
  4. 分散剤がフッ素基を含む界面活性剤である請求項3に記載の成形材料の製造方法。
  5. 分散液中の分散剤の添加量が、分散媒に対して0.1〜20wt%である請求項3または4に記載の成形材料の製造方法。
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