JP2021146841A - 車両盗難防止装置 - Google Patents

Abstract

【課題】簡便な構成でありながら信頼性の高い車両盗難防止装置を提供する。【解決手段】車両１における車輪の向きを変更操作するステアリングホイールＨが取り付けられるシャフト２と、シャフト２の上下角度を調節するチルト駆動部４と、シャフト２の前後位置を調節する伸縮駆動部５と、を備え、シャフト２が予め設定されたチルト位置及び伸縮位置にあるとき、互いに係合してシャフト２の回転を阻止する係合部６および被係合部７をシャフト２と車両１とに振り分け配置したロック機構Ｒが設けられている車両盗難防止装置Ｕ。【選択図】図１

Description

本発明は、車両の駐車時にステアリングホイールのシャフトが回転しないようにロックする車両盗難防止装置に関する。

このような車両盗難防止装置としては例えば特許文献１に示すものがある。この技術は、ステアリングシャフトの回転を制御するロック機構と、車両のステアリングホイールに設置された複数のタッチセンサーと、これらタッチセンサーの操作に基いて、ロック機構を解除し、ステアリングシャフトの回転を可能にする制御を行なう制御装置とを備えている。

ここでは、例えば四個の静電容量式のタッチセンサーがステアリングホイールにほぼ等間隔で配置されている。タッチセンサーは革パッドなどで覆われ、その位置が視認できないように構成されている。車両の運転終了および運転開始に際して、予め記憶させた順番で運転者が各タッチセンサーに触れることで制御部から動作信号が出され、ロック動作およびロック解除動作が行われる。

ステアリングシャフトには電子キーが設けられており、制御装置からの動作信号によってステアリングシャフトに対してロック動作およびロック解除動作が行われる。ただし、電子キーの詳細構造は本特許文献１には記載されていない。尚、運転終了時においては、車両のドアロックに連動してステアリングシャフトをロックすることが可能である。

このように従来の車両盗難防止装置は、運転者だけがタッチセンサーの場所や操作方法を把握する構成として盗難防止効果を得ようとするものである。

特開２０１９-１５６３０２号公報

しかし、上記従来の車両盗難防止装置では、ステアリングシャフトに対してロック動作を行う電子キーを新たに装着しなければならい。この電子キーは、ステアリングシャフトの回転を防止するためにステアリングシャフトに係合する動作部材や、当該動作部材を駆動させる機構が必要となる。

電子キーは、ステアリンングシャフトの回転を確実に止める必要があるため所定の強度を備えていなければならない。そのためには電子キーの動作部材等のサイズも一定の大きさにならざるを得ない。その一方で、電子キーの設置スペースを確保する必要があるが、ステアリングシャフトの近傍にはアクセルペダルやブレーキペダルなどが配置されており、電子キーの形状やサイズが制限される。さらに、ステアリングホイールと電子キーとの間に新たな配線の敷設も必要となる。

このように、別途の駆動装置などが必要な車両盗難防止装置にあっては装置構成が複雑になる。また、新たに追加された当該装置の駆動状態は他の装置と同様に健全に維持されなくてはならず、車両全体における管理対象が増えることとなる。それに伴って車両の製造コストも上昇する。

このような実情に鑑み、従来から、簡便な構成でありながら信頼性の高い車両盗難防止装置が求められている。

（特徴構成）
本発明に係る車両盗難防止装置は、車両における車輪の向きを変更操作するステアリングホイールが取り付けられるシャフトと、
前記シャフトの上下角度を調節するチルト駆動部と、
前記シャフトの前後位置を調節する伸縮駆動部と、を備え、
前記シャフトが予め設定されたチルト位置及び伸縮位置にあるとき、互いに係合して前記シャフトの回転を阻止する係合部および被係合部を前記シャフトと前記車両とに振り分け配置したロック機構が設けられている点に特徴を有する。

（効果）
本構成のように、車両に既に設けられているチルト駆動部と伸縮駆動部とを用いるロック機構を備えるものであれば、係合部と被係合部とを係合させるために別途の駆動部を設ける必要がない。よって、従来のステアリング構造を大幅に変更することなく車両盗難防止装置を得ることができる。

また、シャフトの回転を阻止するために、従来技術のように、シャフトに係合する移動部材を装着するものでは、移動に係る部材のサイズが制限されるなど、ロック機構を構成する各部材の強度保持が不十分となる。しかし本構成のように、車両に設けた被係合部にシャフトに設けた係合部を係合させるものであれば、係合部および被係合部ともにシンプルで高強度な構成とすることができ、耐久性の高い車両盗難防止装置を得ることができる。

（特徴構成）
本発明に係る車両盗難防止装置は、前記車両に配置された前記被係合部に、前記係合部が係合する切欠部が形成されており、前記切欠部が、前記係合部と前記被係合部とが係合した状態で、前記シャフトの長手方向に沿って前記ステアリングホイールに向く方向および前記シャフトの径方向の双方に開口するように構成することができる。

（効果）
本構成であれば、チルト駆動部および伸縮駆動部の何れか一方が駆動することで係合部と被係合部との係合が解除される。よって、仮にチルト駆動部あるいは伸縮駆動部に不具合が生じた場合でも、車両の走行が可能であり、不具合の早期復旧を図ることができる。

（特徴構成）
本発明に係る車両盗難防止装置には、前記シャフトの回転位相に基づいて決定される前記係合部の回転位相に拘らず、前記係合部と前記被係合部とを係合させるシンクロ機構を設けることができる。

（効果）
本構成であれば、例えば駐車時にシャフトが何れの回転位相にあっても係合部と被係合部とが確実に係合し、ステアリングホイールのロック機構を機能させることができる。

（特徴構成）
本発明に係る車両盗難防止装置は、前記係合部が前記シャフトに外挿された歯車であり、前記被係合部がラックであって、前記シンクロ機構として、前記シャフトに対する前記歯車の取付部および前記車両に対する前記ラックの取付部の少なくとも何れか一方に、前記歯車あるいは前記ラックの中立位置を保持する弾性部材を設けておくと好都合である。

（効果）
本構成であれば、シャフトの回転位相に起因した歯車の位相がラックの位置と適正でない場合でも、歯車がラックに押し付けられるに連れてラックの位置が弾性部材の付勢力に抗って歯車の位相に適合した位置に移動する。よって、歯車とラックとの所定深さの噛み合い状態が得られる。また、弾性部材の付勢力によって歯車とラックとはガタ付きなく当接するから、車両の駐車時においてシャフトのガタ付きも生じない。よって、質感の良い車両盗難防止装置を得ることができる。

第１実施形態に係る車両盗難防止装置の構成および動作態様を示す説明図 第１実施形態に係るロック機構の詳細を示す斜視図 第２実施形態に係るロック機構の詳細を示す斜視図

〔第１実施形態〕
（概要）
本発明の車両盗難防止装置Ｕは、車両１の車輪の向きを変更操作するステアリングホイールＨが取り付けられたシャフト２の姿勢変化を利用してロック機構を構成するものである。本発明の第１実施形態につき図１および図２を参照しながら説明する。

図１には、ステアリングホイールＨのチルト姿勢と伸縮位置を変更できる機構を示す。シャフト２の姿勢は、枢支点３を中心に上下方向の角度を変化させるチルト駆動部４と、インナーシャフト２１に対しシャフト２の長手方向に沿ってシャフト２の前後位置を変更する伸縮駆動部５とで調整する。図１（ａ）は、ロック機構Ｒの係合が解除された運転中の状態を示し、図１（ｂ）は、駐車時などにおいてロック機構Ｒがロックされた状態を示す。

本実施形態では、例えばシャフト２と車両１とに亘ってロック機構Ｒを備えている。これは、チルト駆動部４と伸縮駆動部５によって車両１に対するシャフト２の相対位置が変化し、シャフト２が予め設定されたチルト位置及び伸縮位置にあるとき、互いに係合してシャフト２の回転を規制するものである。ロック機構Ｒは、例えば、シャフト２に設けた係合部６と、車両１に設けられた被係合部７とで構成される。

係合部６は、例えば歯車６１で構成し、シャフト２のうち枢支点３に対してステアリングホイールＨの側に外挿した状態に設ける。歯車６１の内側には例えばキー溝６２を備えておき、シャフト２との間にキー部材（図外）を係合させてシャフト２に固定する。係合部６を歯車６１で構成するのは、駐車時にステアリングホイールＨが何れの回転位相にある場合でも被係合部７に確実に係合可能にするためである。

一方、被係合部７は例えば複数の切欠部７１ｃを有するラック７１で構成する。例えば図２（ａ）（ｂ）に示すように、複数の歯を直線状に備えたものを用いるとよい。この被係合部７は、基部７２に対してラック７１がスライド移動可能なシンクロ機構Ｓが設けられている。具体的には、ラック７１に対して例えばアリ溝状の断面を有する凸部７１ａが形成され、基部７２には対応する凹部７２ａが形成されている。基部７２に対するラック７１のスライド移動距離を規定するために、基部７２の天井部にはスライド溝７２ｂが形成されている。これに対して、ラック７１の上面には、スライド溝７２ｂの内部を移動するコマ部材７１ｂが取り付けられている。

さらに、ラック７１と基部７２との間には、ラック７１の中立位置を規定する弾性部材７３が設けられている。具体的には、基部７２の両端面に板バネ７３ａを夫々固定し、板バネ７３ａの端部によってラック７１の端面を付勢する。これにより、ラック７１が中立位置を基準に自身の長手方向に所定の距離だけ移動可能なシンクロ機構Ｓが構成される。尚、板バネ７３ａの強さは適宜設定するとよい。

車両１の駐車時にステアリングホイールＨが左右の中立位置にない場合、歯車６１との係合に際してラック７１はスライド移動可能である。よって、歯車６１とラック７１の位相が合致していない場合でも両者は確実に係合することができる。また、板バネ７３ａを備えているから歯車６１とラック７１とがガタ付きなく当接し、ロック状態におけるステアリングホイールＨの姿勢が安定する。ラック７１のスライド移動距離は、凸部７１ｂと凹部７２ｂによって限定されるから、シャフト２のロック機能が確実に発揮される。

尚、弾性部材７３を用いず、ラック７１が基部７２に対して所定の距離だけ自由に移動できる構成であってもよい。この場合、駐車中にステアリングホイールＨを左右に回転させると歯車６１とラック７１とが当接・離間する音や振動が若干発生するが、ロック機能への影響はない。

このように、車両１に既に設けられているチルト駆動部４と伸縮駆動部５を用いてロック機構Ｒを構成することで、係合部６と被係合部７とを係合させるために別途の駆動部を設ける必要がない。また、例えば歯車６１およびラック７１は極めてシンプルな構造でありながら強度の確保が容易である。製作コストも簡単な構成のために安価である。本構成の車両盗難防止装置Ｕであれば、従来のステアリングコラム等の構造を大幅に変更することなく車両盗難防止装置Ｕを効率的に得ることができる。

（動作態様）
ロック機構Ｒのロック動作は、イグニッションキーのＯＦＦ操作によって開始される。具体的には、チルト駆動部４によってシャフト２が最上部に移動し、同時に伸縮駆動部５によってシャフト２が最奥部に移動する。通常は、この位置をロック位置とすることで、ステアリングホイールＨが邪魔にならず運転時の乗降動作が容易になる。尚、乗降動作の容易性を維持しつつシャフト２の移動時間を短縮させたい場合にはロック位置を別の位置に設定してもよい。

ロック位置の確認は、例えば、ステアリングホイールＨの位置を運転者ごとに記憶する機能が装備されている場合にはこれを利用すると良い。つまり、シャフト２の姿勢を検知すべくチルト駆動部４および伸縮駆動部５に備えられているセンサを利用する。一方、ステアリングホイールＨの位置記憶機能が装備されていな場合には、例えば、チルト駆動部４および伸縮駆動部５が移動端点まで駆動され、駆動モータが強制的に駆動停止された際の負荷の高まりなどを検出してロック動作を終了させてもよい。

車両１を走行させる際のロック解除動作は、イグニッションキーのＯＮ操作により開始される。このＯＮ操作により、まず、チルト駆動部４および伸縮駆動部５の駆動モータが健全か否かが確認する。例えば、制御部（図外）が、駆動回路の各部の抵抗値などを検出し、予め記憶してある初期値と比較することでモータ駆動回路の健全性を確認する。また、駆動モータに実際に電流を印加し、駆動モータの動作開始の状況を確認するものであってもよい。

駆動モータの正常性をチェックした後、シャフト２の位置を運転者に応じたチルト位置および伸縮位置に移動させる。運転者毎の記憶機能がない場合には、予め設定しておいた基本位置に移動させるとよい。

仮に、夫々の駆動モータの少なくとも何れか一方に動作不良などが生じている場合には、健全な状態にある駆動部のみを動作させる。例えば、チルト駆動部４が正常な場合には、シャフト２の位置を低い位置に移動させる。これにより、歯車６１はラック７１から歯車６１の径方向に離脱する。また、伸縮駆動部５が正常な場合には、シャフト２を運転者の側に移動させる。これにより、歯車６１はラック７１から歯車６１の回転軸心の方向に沿って離脱する。

なお、チルト駆動部４および伸縮駆動部５の少なくとも何れか一方に不良が発生している場合には、制御部に不良状態が記憶され、次にイグニッションキーがＯＦＦされた際にシャフト２がロック位置に復帰しないように設定される。つまり、当該不具合が修理等によって解消されるまで、健全な駆動部のみについて通常の位置調整動作が可能となり、駐車時のロック動作は行われない。

〔第２実施形態〕
図３に示すように、シンクロ機構Ｓとしては、車両１に取り付けたラック７１が不動であり、シャフト２に取り付けた歯車６１が所定の角度範囲で回転するものであってもよい。この場合には、例えば歯車６１を、相対回転可能な内輪部６１ａと外輪部６１ｂとで構成する。内輪部６１ａには係合凸部６３を備え、外輪部６１ｂには係合凸部６３を所定角度に亘って回転移動可能に受け入れる係合溝部６４を形成しておく。

さらに内輪部６１ａと外輪部６１ｂとに亘って渦巻バネ７３ｂを固定しておき、内輪部６１ａに対して外輪部６１ｂが中立付勢されるように構成しておく。本構成によっても簡便で信頼性の高い車両盗難防止装置Ｕを得ることができる。
〔他の実施形態〕

車両１に配置された被係合部７としては、ラック７１ではなく、歯車６１などの係合部６が係合する切欠部７１ｃが一つだけ形成されていてもよい。この場合には、シャフト２の回転位相に拘らず歯車６１のいずれか一つの歯が切欠部７１ｃに係合するように、歯車６１の歯の間隔と切欠部７１ｃの形状を設定しておく。また、歯車６１の歯の先端形状をやや尖った形状とし、切欠部７１ｃに対して確実に係合するように構成しておくのが良い。尚、本構成においても、切欠部７１ｃにシンクロ機構Ｓを装備しておくのが望ましい。

本発明の車両盗難防止装置は、ステアリングホイールのシャフトについてチルト駆動部と伸縮駆動部とを備えた車両に広く適用可能である。

１ 車両
２ シャフト
４ チルト駆動部
５ 伸縮駆動部
６ 係合部
６１ 歯車
７ 被係合部
７１ ラック
７１ｃ 切欠部
７３ 弾性部材
Ｈ ステアリングホイール
Ｒ ロック機構
Ｓ シンクロ機構
Ｕ 車両盗難防止装置

Claims (4)

1. 車両における車輪の向きを変更操作するステアリングホイールが取り付けられるシャフトと、
   前記シャフトの上下角度を調節するチルト駆動部と、
   前記シャフトの前後位置を調節する伸縮駆動部と、を備え、
   前記シャフトが予め設定されたチルト位置及び伸縮位置にあるとき、互いに係合して前記シャフトの回転を阻止する係合部および被係合部を前記シャフトと前記車両とに振り分け配置したロック機構が設けられている車両盗難防止装置。
2. 前記車両に配置された前記被係合部に、前記係合部が係合する切欠部が形成されており、
   前記切欠部が、前記係合部と前記被係合部とが係合した状態で、前記シャフトの長手方向に沿って前記ステアリングホイールに向く方向および前記シャフトの径方向の双方に開口するように構成されている請求項１に記載の車両盗難防止装置。
3. 前記シャフトの回転位相に基づいて決定される前記係合部の回転位相に拘らず、前記係合部と前記被係合部とを係合させるシンクロ機構が設けられている請求項１または２に記載の車両盗難防止装置。
4. 前記係合部が前記シャフトに外挿された歯車であり、前記被係合部がラックであって、前記シンクロ機構として、前記シャフトに対する前記歯車の取付部および前記車両に対する前記ラックの取付部の少なくとも何れか一方に、前記歯車あるいは前記ラックの中立位置を保持する弾性部材が設けられている請求項３に記載の車両盗難防止装置。

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