JP2021146590A - 成形機 - Google Patents

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Abstract

【課題】フィードバック制御の応答性を適正値に調整する成形機を提供する。【解決手段】成形機は、成形動作において、サーボアンプに目標値を与えてサーボモータを動作させて(S31)、センサで検出した実測値が発振しているか否かを判定し(S32)、実測値が発振していると判定した場合に(S32:Yes)、目標値に対する応答性を減じる向きに変更した制御パラメータで(S34)、再び成形動作を実行し(S35)、1回目の成形動作で実測値が発振し(S32:Yes)、且つN(Nは2以上の整数)回目の成形動作で実測値が発振しなかった場合に(S36:No)、N回目の成形動作で用いた制御パラメータで、成形品を成形するためにサーボモータを実動作させる(S37)。【選択図】図5

Description

本発明は、成形材料を金型に射出して成形品を成形する成形機に関する。
従来より、サーボモータを駆動することによって、型締した金型のキャビティ内に、加熱シリンダ内で溶融した成形材料を射出する射出成形機が知られている(例えば、特許文献1、2を参照)。
また、このような射出成形機には、サーボモータの駆動を制御するサーボアンプが搭載されている。サーボアンプは、制御装置から取得した目標値(例えば、目標速度、目標圧力、目標トルクなど)と、センサで検出した実測値との差が0に近づくように、制御パラメータに従ってサーボモータに供給する電力を増減させるフィードバック制御を実行する。
特開平06−055598号公報 特開2007−130978号公報
ここで、フィードバック制御の応答性が低いと、制御装置の指令に対する追従性が不足する。一方、フィードバック制御の応答性が高過ぎると、サーボモータが発振する。そして、フィードバック制御の応答性の適正値は、成形材料種類、成形品の形状(厚み等)などによって変化するので、その調整には経験や技術が必要になる。このような課題は、金型内に溶湯金属を射出して成形品を成形する電動ダイカストマシンにも生じ得る。
本発明は、このような従来技術の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、サーボモータを搭載した成形機において、フィードバック制御の応答性を適正値に調整する技術を提供することにある。
本発明は、前記課題を解決するため、金型の開閉及び型締を行う型締装置と、型締された前記金型のキャビティ内に計量された成形材料を射出する射出装置と、型開された前記金型から成形品を突き出すエジェクタ装置と、前記型締装置、前記射出装置、及び前記エジェクタ装置を制御して成形品を成形する成形動作を繰り返し実行する制御装置とを備える成形機において、前記型締装置、前記射出装置、及び前記エジェクタ装置それぞれは、サーボモータと、前記サーボモータの動作によって変化する物理量の実測値を検出するセンサと、前記制御装置から取得した目標値と、前記センサで検出した前記実測値との差が0に近づくように、制御パラメータに従って前記サーボモータに供給する電力を増減させるフィードバック制御を実行するサーボアンプとを備え、前記制御装置は、前記成形動作において、前記サーボアンプに前記目標値を与えて前記サーボモータを動作させて、前記センサで検出した前記実測値が発振しているか否かを判定し、前記実測値が発振していると判定した場合に、前記目標値に対する応答性を減じる向きに前記制御パラメータを変更して、再び前記成形動作を実行し、1回目の前記成形動作で前記実測値が発振し、且つN(Nは2以上の整数)回目の前記成形動作で前記実測値が発振しなかった場合に、N回目の前記成形動作で用いた前記制御パラメータで、(N+1)回目以降の前記成形動作を実行することを特徴とする。
本発明によると、成形機に搭載されるサーボモータのフィードバック制御の応答性を適正値に調整することができる。
本実施形態に係る射出成形機の側面図である。 射出成形機のハードウェアブロック図である。 自動成形処理のフローチャートである。 チューニング指示処理のフローチャートである。 パラメータ決定処理のフローチャートである。 サーボモータの理想的な挙動と現実の挙動との関係を示す図である。
以下、本発明に係る射出成形機10を図面に基づいて説明する。射出成形機10は、金型内に計量された成形材料を射出して、射出成形品を成形する装置である。但し、成形機の具体例は射出成形機10に限定されず、金型内に溶湯金属(成形材料)を射出して、成形品を成形する電動ダイカストマシンでもよい。
図1は、本実施形態に係る射出成形機10の側面図である。図2は、射出成形機10のハードウェアブロック図である。図1及び図2に示すように、射出成形機10は、型締装置20と、射出装置30と、エジェクタ装置40と、制御装置60とを主に備える。
型締装置20は、金型21の開閉及び型締を行う。具体的には、型締装置20は、固定側金型22を支持する固定ダイプレート23と、可動側金型24を支持する可動ダイプレート25とを主に備える。固定側金型22及び可動側金型24は、射出成形機10の左右方向(水平方向)において、互いに対面するように支持されている。
可動ダイプレート25は、型開閉モータ28の駆動力がトグルリンク機構26を通じて伝達されることによって、タイバー27に沿って左右方向に移動する。可動ダイプレート25が左方向に移動すると、固定側金型22と可動側金型24とが離間する。一方、可動ダイプレート25が右方向に移動すると、固定側金型22と可動側金型24とが当接して、金型21の内部にキャビティ(内部空間)が形成される。そして、可動ダイプレート25を右方向に移動させる向きの圧力がさらに加わると、固定側金型22及び可動側金型24が型締される。
射出装置30は、成形材料を可塑化し、計量し、射出する。本実施形態に係る射出装置30は、型締装置20と水平方向(型締装置20の右方)に離間して配置されている。射出装置30は、加熱シリンダ31と、スクリュー32と、ホッパ33と、ホッパブロック34とを主に備える。
加熱シリンダ31は、射出成形機10の左右方向に延びる円筒形状の部材である。加熱シリンダ31は、スクリュー通路35と、ノズル36とを主に備える。また、加熱シリンダ31の外周面には、加熱シリンダ31を加熱するバンドヒータ(図示省略)が取り付けられている。
スクリュー通路35は、加熱シリンダ31の内部を軸方向(長手方向)に延びる直線状の空間である。スクリュー通路35は、加熱シリンダ31の先端(前端)に設けられたノズル36を通じて、加熱シリンダ31の外部に連通している。換言すれば、スクリュー通路35は、ノズル36から軸方向に沿って延びる空間である。
スクリュー32は、円柱形状の部材である。スクリュー32の外周面には、螺旋溝が形成されている。スクリュー32は、射出成形機10の左右方向の移動(以下、「進退」と表記する。)及び回転が可能な状態で、加熱シリンダ31の内部空間に収容されている。スクリュー32は、射出モータ37の駆動力が伝達されて進退し、計量モータ38の駆動力が伝達されて回転する。
ホッパ33は、原料となる成形材料を貯留する漏斗形状の部材である。ホッパブロック34は、加熱シリンダ31及びホッパ33を支持する部材である。ホッパ33に貯留された成形材料は、下端に設けられた開口を通じて加熱シリンダ31のスクリュー通路35に供給される。この射出成形機10で使用される成形材料は、例えば、繊維を含む円柱状に成形されている。
エジェクタ装置40は、型開された可動側金型24から射出成形品を突き出す装置である。エジェクタ装置40は、可動側金型24内に設けられたエジェクタピン(図示省略)と、エジェクタピンを出没させるエジェクタモータ41(図2参照)とを主に備える。エジェクタピンは、エジェクタモータ41の駆動力が伝達されて可動側金型24の内面側に突出することによって、射出成形品を金型から離形させる。
図2に示すように、制御装置60は、演算手段であるCPU(Central Processing Unit)61、各種プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)62、及び演算手段の作業領域となるRAM(Random Access Memory)63を備える。そして、ROM62に記憶されたプログラムをCPU61が読み出して実行することによって、後述する各処理を実現してもよい。
但し、制御装置60の具体的な構成はこれに限定されず、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field−Programmable Gate Array)などのハードウェアによって実現されてもよい。
制御装置60は、射出成形機10全体の動作を制御する。より詳細には、型開閉モータ28、射出モータ37、計量モータ38、及びエジェクタモータ41の駆動を制御する。射出モータ37は、サーボアンプ64の制御に従って駆動(回転)する。また、図示は省略するが、型開閉モータ28、計量モータ38、及びエジェクタモータ41についても同様に、サーボアンプによって駆動が制御される。すなわち、型締装置20、射出装置30、及びエジェクタ装置40それぞれは、サーボモータと、サーボモータの駆動を制御するサーボアンプとを備える。
サーボアンプ64は、フィードバック制御によって射出モータ37の駆動を制御する。フィードバック制御とは、制御装置60から取得した目標値(例えば、目標速度、目標圧力、目標トルク等)と、センサ(ロータリエンコーダ65、ロードセル66)で検出した実測値との差が0に近づくように、制御パラメータに従って射出モータ37に供給する電力(例えば、電流値)を増減させる処理である。
より詳細には、サーボアンプ64は、1回のフィードバック制御(PID制御)において、実測値が目標値より低いときに射出モータ37に供給する電力を増加させ、実測値が目標値より高いときに射出モータ37に供給する電力を減少させる。1回のフィードバック制御における電力の変動幅(増加幅、減少幅)を決定するための制御パラメータを、「比例制御ゲイン」と呼ぶ。例えば、比例制御ゲインのPゲインを大きくするほど応答性が向上し、Pゲインを小さくするほど応答性が低下する。
また、サーボアンプ64は、前述したフィードバック制御を、所定の時間間隔毎に繰り返し実行する。フィードバック制御の実行間隔(換言すれば、単位時間当たりのフィードバック制御の実行回数)を決定するための制御パラメータを、「応答周波数」と呼ぶ。すなわち、応答周波数を大きくするほど応答性が向上し、応答周波数を小さくするほど応答性が低下する。
ロータリエンコーダ65は、スクリュー32の前進速度を、物理量の実測値として検出するセンサである。より詳細には、ロータリエンコーダ65は、射出モータ37の回転に応じたパルス信号を制御装置60及びサーボアンプ64に出力する。そして、制御装置60及びサーボアンプ64は、単位時間当たりに出力されるパルス信号の数によって、スクリュー32の前進速度を特定する。
ロードセル66は、スクリュー32に負荷される圧力を、物理量の実測値として検出するセンサである。より詳細には、ロードセル66は、スクリュー32に負荷される圧力に応じた圧力信号を、制御装置60及びサーボアンプ64に出力する。すなわち、ロータリエンコーダ65及びロードセル66は、射出モータ37の動作によって変化する物理量の実測値を検出するセンサである。
さらに、制御装置60には、表示入力装置(入力装置)67が接続されている。表示入力装置67は、オペレータに報知すべき各種情報を表示するディスプレイ、及びオペレータによる操作を受け付けるボタン、スイッチ、ダイヤルなどを備えるユーザインタフェースである。また、表示入力装置67は、ディスプレイに重畳されたタッチパネルを備えてもよい。表示入力装置67は、オペレータの入力操作を受け付けて、受け付けた入力操作に対応する入力信号を制御装置60に出力する。
図3は、自動成形処理のフローチャートである。自動成形処理は、ステップS11〜S16の工程を含む成形動作を繰り返し実行することによって、複数の射出成形品を連続して成形する処理である。制御装置60は、自動成形処理の開始指示を成形条件と共に表示入力装置67を通じて受け付けたことに応じて、自動成形処理を開始する。なお、自動成形処理の開始時点において、スクリュー通路35のスクリュー32より前方の空間には、計量された成形材料が貯留されているものとする。
まず、制御装置60は、型開閉モータ28を駆動することによって、型締装置20に金型21を型閉及び型締させる(S11)。これにより、金型21の内部にキャビティが形成される。ステップS11は、型締工程の一例である。
次に、制御装置60は、射出モータ37を駆動することによって、スクリュー32を目標速度で前進させる(S12)。これにより、目標速度で前進するスクリュー32によって、スクリュー通路35に貯留された成形材料が金型21のキャビティに射出される。ステップS12は、射出工程の一例である。
次に、制御装置60は、予め定められた目標圧力でスクリュー32が成形材料を押圧するように、射出モータ37に電力を供給する(S13)。これにより、キャビティ内の射出成形品に圧力が付与される。その結果、キャビティ内に成形材料が隙間なく充填されるので、成形不良を防止することができる。ステップS14は、保圧工程の一例である。さらに、制御装置60は、予め定められた保圧時間が経過するまで(S14:No)、保圧工程(S13)を継続する。
次に、制御装置60は、保圧時間が経過したタイミングで(S14:Yes)、計量モータ38を駆動することによって、スクリュー32を回転させる(S15)。これにより、ホッパ33からスクリュー通路35に供給された成形材料が、螺旋溝を通じてスクリュー32の前方に移動する。また、成形材料はスクリュー通路35を前方に移動する過程で溶融されて、スクリュー通路35のスクリュー32より前方の空間に成形材料として貯留される。ステップS15は、計量工程の一例である。
次に、制御装置60は、保圧工程(S14)が終了してから予め定められた時間(以下、「冷却期間」と表記する。)が経過するまで、金型21の型開を待機する。この冷却期間は、金型21内に射出された成形材料が冷えて凝固するのに必要な時間である。
次に、制御装置60は、冷却期間が経過したタイミングで、型開閉モータ28を駆動することによって、型締装置20に金型21を型開させる(S16)。また、制御装置60は、型開された金型21内の射出成形品を、エジェクタ装置40により可動側金型24より離形させ、ロボットアーム(図示省略)に取り出させる。ステップS16は、型開工程の一例である。
次に、制御装置60は、予め定められた数の射出成形品を既に成形したか否か(すなわち、成形完了したか否か)を判断する(S17)。そして、制御装置60は、成形完了していないと判断した場合に(S17:No)、ステップS11以降の処理を再び実行する。一方、制御装置60は、成形完了したと判断した場合に(S17:Yes)、自動成形処理を終了する。
次に、図4〜図6を参照して、サーボアンプ64に設定された制御パラメータをチューニング(最適化)する処理を説明する。図4は、チューニング指示処理のフローチャートである。図5は、パラメータ決定処理のフローチャートである。図6は、サーボモータの理想的な挙動(破線)と現実の挙動(実線)との関係を示す図である。
チューニング指示処理は、チューニングの対象となるサーボモータを、オペレータに指定させる処理である。制御装置60は、例えば、自動成形処理の実行中において、表示入力装置67に表示された[チューニング]ボタンが押下された場合に、図4に示すチューニング指示処理を実行する。
次に、制御装置60は、[全チューニング]ボタンと、[指定チューニング]ボタンとを表示入力装置67に表示させ、いずれか一方が押下されるまで以降の処理の実行を待機する(S22)。[全チューニング]ボタンは、射出成形機10に搭載された複数のサーボモータ全てのチューニングを指示(全チューニング指示)するためのボタンである。[指定チューニング]ボタンは、射出成形機10に搭載された複数のサーボモータのうちの一部のチューニングを指示(指定チューニング指示)するためのボタンである。
そして、制御装置60は、[全チューニング]ボタンが押下された場合(S22:全)、全てのサーボモータに対して、図5に示すパラメータ決定処理を実行する(S23)。一方、制御装置60は、[指定チューニング]ボタンが押下された場合(S22:指定)、表示入力装置67を通じて指定されたサーボモータのみに対して(S24)、図5に示すパラメータ決定処理を実行する(S25)。
より詳細には、制御装置60は、射出成形機10に搭載された複数のサーボモータそれぞれに対応するボタン(例えば、[型開閉モータ]ボタン、[射出モータ]ボタン、[計量モータ]ボタン、[エジェクタモータ]ボタン)を表示入力装置67に表示させ、オペレータに押下させる(S24)。また図示は省略するが、制御装置60は、チューニングするサーボモータの動作の種類(例えば、図3のS11〜S13、S15、S16)を、オペレータに指定させてもよい。
パラメータ決定処理は、成形動作(図3のステップS11〜S16)を繰り返し実行する過程で実行される。ここでは、ステップS22で[指定チューニング]ボタンが押下され、ステップS24で[射出モータ]ボタンが押下された場合において、スクリュー32を目標速度で前進させる際(S12)の応答周波数を決定する処理を説明する。
まず、制御装置60は、1回目(すなわち、N=1)の成形動作のステップS12において、目標速度を目標値としてサーボアンプ64に与えて、サーボアンプ64に射出モータ37を動作させる(S31)。なお、サーボアンプ64は、ステップS31において、制御パラメータ(比例制御ゲイン、応答周波数)の初期値で射出モータ37をフィードバック制御する。
ここで、図6に破線で示す射出モータ37の理想的な挙動(制御装置60から与えられた目標値)は、前進速度が目標速度まで上昇する立上り区間と、前進速度が目標速度で一定する定常区間と、前進速度が目標速度から0に向かって下降する立下り区間とを含む。しかしながら、図6に実線で示す射出モータ37の現実の挙動(センサで検出した実測値)は、理想的な挙動と乖離している。
そのため、サーボアンプ64は、図6の実線を破線に近づけるために、フィードバック制御を実行する。しかしながら、フィードバック制御の応答性が低いと、図6の左上図のように、実線と破線との乖離が大きいままである。一方、フィードバック制御の応答性が高すぎると、図6の右下図のように、射出モータ37の現実の速度が目標速度を挟んで激しく上下する(以下、このような挙動を「発振する」と表記する)。
そこで、制御装置60は、サーボアンプ64が射出モータ37を動作させている間、ロータリエンコーダ65から出力されるパルス信号に基づいて、射出モータ37の現実の速度(実測値)が発振しているか否かを判定する(S32)。
次に、制御装置60は、1回目の成形動作で発振している判定した場合に(S32:Yes)、ステップS33〜S37の処理を実行する。まず、制御装置60は、変数Nに1を加算する(S33)。次に、制御装置60は、現在の応答周波数より小さい応答周波数を、新たな応答周波数としてサーボアンプ64に設定する(S34)。
すなわち、制御装置60は、ステップS34において、フィードバック制御の応答性を減じる向きに応答周波数を変更する。一例として、制御装置60は、現在の応答周波数から固定値を減じて、新たな応答周波数を決定してもよい。他の例として、制御装置60は、現在の応答周波数に固定値(<1)を乗じて、新たな応答周波数を決定してもよい。
次に、制御装置60は、ステップS13〜S16、S11の処理を実行して、再びステップS12に戻ってくるまで、パラメータ決定処理の実行を待機する。そして、制御装置60は、N回目の成形動作のステップS12において、射出モータ37を再び動作させる(S35)。ステップS35の処理は、制御パラメータが変更されている点を除いて、ステップS31と共通する。すなわち、サーボアンプ64は、ステップS35において、直前のステップS34で変更された応答周波数に従って、射出モータ37をフィードバック制御する。
次に、制御装置60は、N回目の成形動作で、射出モータ37の現実の速度(実測値)が発振しているか否かを判定する(S36)。ステップS36の処理は、ステップS32と共通する。そして、制御装置60は、N回目の成形動作で発振していると判定した場合(S36:Yes)、ステップS33以降の処理を再び実行する。一方、制御装置60は、N回目の成形動作で発振していないと判定した場合(S36:No)、N回目の成形動作で用いた応答周波数を、(N+1)回目以降の成形動作で用いる応答周波数に決定する(S37)。
すなわち、制御装置60は、1回目の成形動作で実測値が発振した場合(S32:Yes)、発振が収まるまで(S36:No)、応答性を減じる向きに制御パラメータを徐々に変更しながら成形動作を繰り返し実行する(S34、S35)。これにより、図6の右上図ように、実測値の発振がなくなって、目標値により近い実測値となる。そして、制御装置60は、発振が収まったタイミングの制御パラメータを、(N+1)回目以降の成形動作で用いる制御パラメータに決定する(S37)。そして、制御装置60は、パラメータ決定処理を終了する。
一方、制御装置60は、1回目の成形動作で発振していないと判定した場合に(S32:No)、ステップS38〜S42の処理を実行する。まず、制御装置60は、変数Nに1を加算する(S38)。次に、制御装置60は、現在の応答周波数より大きい応答周波数を、新たな応答周波数としてサーボアンプ64に設定する(S39)。
すなわち、制御装置60は、ステップS39において、フィードバック制御の応答性を高める向きに応答周波数を変更する。一例として、制御装置60は、現在の応答周波数に固定値を加えて、新たな応答周波数を決定してもよい。他の例として、制御装置60は、現在の応答周波数に固定値(>1)を乗じて、新たな応答周波数を決定してもよい。
次に、制御装置60は、ステップS13〜S16、S11の処理を実行して、再びステップS12に戻ってくるまで、パラメータ決定処理の実行を待機する。そして、制御装置60は、N回目の成形動作のステップS12において、射出モータ37を再び動作させる(S40)。ステップS40の処理は、制御パラメータが変更されている点を除いて、ステップS31と共通する。すなわち、サーボアンプ64は、ステップS40において、直前のステップS39で変更された応答周波数に従って、射出モータ37をフィードバック制御する。
次に、制御装置60は、N回目の成形動作で、射出モータ37の現実の速度(実測値)が発振しているか否かを判定する(S41)。ステップS41の処理は、ステップS32と共通する。そして、制御装置60は、N回目の成形動作で発振していないと判定した場合(S41:No)、ステップS38以降の処理を再び実行する。一方、制御装置60は、N回目の成形動作で発振していると判定した場合(S41:Yes)、(N−1)回目の成形動作で用いた応答周波数を、(N+1)回目以降の成形動作で用いる応答周波数に決定する(S42)。
すなわち、制御装置60は、1回目の成形動作で実測値が発振しない場合(S32:No)、発振が発生するまで(S41:Yes)、応答性を高める向きに制御パラメータを徐々に変更しながら成形動作を繰り返し実行する(S39、S40)。これにより、図6の右上図ように、目標値により近い実測値となる。そして、制御装置60は、発振が発生する直前の制御パラメータを、(N+1)回目以降の成形動作で用いる制御パラメータに決定する(S42)。そして、制御装置60は、パラメータ決定処理を終了する。
そして、制御装置60は、N回目の成形動作で制御パラメータを決定した(すなわち、パラメータ決定処理が終了した)後も、成形動作を継続する。但し、(N+1)回目以降の成形動作では、パラメータ制御処理が実行されず、ステップS37、S42で決定された制御パラメータが用いられる。なお、Nは2以上の整数であって、パラメータ決定処理を実行する度に変化する値である。
上記の実施形態によれば、例えば、以下の作用効果を奏する。
上記の実施形態によれば、発振が起きない範囲で最も応答性の高い制御パラメータを得ることができる。その結果、成形材料の種類、射出成形品の形状(厚み等)が変化しても、フィードバック制御の応答性を適正値に設定することができる。
また、上記の実施形態によれば、スクリュー32の前進速度の発振の有無に応じて、射出工程における応答周波数を調整したので、適正な速度で成形材料をキャビティ内に射出することができる。その結果、射出成形品の品質を維持することができる。
なお、パラメータ決定処理でチューニングするのは、射出工程(S12)における応答周波数に限定されない。すなわち、射出工程(S12)でチューニングする制御パラメータは、応答周波数に限定されず、比例制御ゲインであってもよい。
他の例として、制御装置60は、保圧処理(S13)において、スクリュー32に目標圧力を負荷するのに適した比例制御ゲインを決定してもよい。この場合、制御装置60は、図5のステップS31、S35、S40において、目標圧力を目標値としてサーボアンプ64に与えて、射出モータ37を動作させればよい。また、制御装置60は、ステップS32、S36、S41において、ロードセル66で検出された圧力が発振しているか否かを判定すればよい。また、制御装置60は、ステップS34において比例制御ゲインとして例えばPゲインを減少させ、ステップS39においてPゲインを増加させればよい。但し、圧力制御(S14)でチューニングする制御パラメータは、比例制御ゲインに限定されず、応答周波数であってもよい。
他の例として、制御装置60は、型締工程(S11)において、金型21を型締するのに適した制御パラメータを決定してもよい。他の例として、制御装置60は、計量工程(S15)において、成形材料を計量するのに適した制御パラメータを決定してもよい。他の例として、制御装置60は、型開工程(S16)において、金型21を型開するのに適した制御パラメータ、或いは射出成形品を突き出すのに適した制御パラメータを決定してもよい。さらに他の例として、制御装置は、射出成形機10に搭載された他のサーボモータの制御パラメータを最適化してもよい。
また、上記の実施形態によれば、定常区間で発振の有無を判定するので、立上り区間及び立下り区間で発振の有無を判定する場合と比較して、発振の有無を適切に判定することができる。その結果、制御パラメータを最適値に近づけることが可能となる。
また、上記の実施形態によれば、指定チューニング指示と、全チューニング指示とをオペレータに選択させることができる。そして、ステップS25では、オペレータが指定したサーボモータの動作のみが最適化される。一方、ステップS23では、射出成形機10に搭載された全てのサーボモータの動作が最適化される。この場合、制御装置60は、繰り返し実行するステップS11〜S16それぞれにおいて、制御パラメータの最適化を並列して実行すればよい。
さらに、パラメータ決定処理を実行するのは、自動成形処理中に限定されない。他の例として、制御装置60は、1つの成形品を成形する処理(すなわち、ステップS11〜S16を1回だけ実行する間)において、サーボモータがサーボON状態のときに、パラメータ決定処理を実行してもよい。つまり、制御装置60は、それぞれのサーボモータが位置決めをしているときの制御パラメータを最適化することもできる。
より詳細には、ステップS13でスクリュー32が振動していることに気づいたオペレータが、表示入力装置67を通じてパラメータ決定処理の実行を指示してもよい。この場合、図5のステップS31〜S37の処理が実行される。
上述した実施形態は、本発明の説明のための例示であり、本発明の範囲をそれらの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。当業者は、本発明の要旨を逸脱することなしに、他の様々な態様で本発明を実施することができる。
10…射出成形機、20…型締装置、21…金型、22…固定側金型、23…固定ダイプレート、24…可動側金型、25…可動ダイプレート、26…トグルリンク機構、27…タイバー、28…型開閉モータ、30…射出装置、31…加熱シリンダ、32…スクリュー,33…ホッパ,34…ホッパブロック,35…スクリュー通路,36…ノズル,37…射出モータ、38…計量モータ、40…エジェクタ装置、41…エジェクタモータ、60…制御装置、61…CPU、62…ROM、63…RAM、64…サーボアンプ、65…ロータリエンコーダ、66…ロードセル、67…表示入力装置(入力装置)

Claims (6)

  1. 金型の開閉及び型締を行う型締装置と、型締された前記金型のキャビティ内に計量された成形材料を射出する射出装置と、型開された前記金型から成形品を突き出すエジェクタ装置と、前記型締装置、前記射出装置、及び前記エジェクタ装置を制御して成形品を成形する成形動作を繰り返し実行する制御装置とを備える成形機において、
    前記型締装置、前記射出装置、及び前記エジェクタ装置それぞれは、
    サーボモータと、
    前記サーボモータの動作によって変化する物理量の実測値を検出するセンサと、
    前記制御装置から取得した目標値と、前記センサで検出した前記実測値との差が0に近づくように、制御パラメータに従って前記サーボモータに供給する電力を増減させるフィードバック制御を実行するサーボアンプとを備え、
    前記制御装置は、
    前記成形動作において、前記サーボアンプに前記目標値を与えて前記サーボモータを動作させて、前記センサで検出した前記実測値が発振しているか否かを判定し、
    前記実測値が発振していると判定した場合に、前記目標値に対する応答性を減じる向きに前記制御パラメータを変更して、再び前記成形動作を実行し、
    1回目の前記成形動作で前記実測値が発振し、且つN(Nは2以上の整数)回目の前記成形動作で前記実測値が発振しなかった場合に、N回目の前記成形動作で用いた前記制御パラメータで、(N+1)回目以降の前記成形動作を実行することを特徴とする成形機。
  2. 前記制御装置は、
    前記実測値が発振していないと判定した場合に、前記応答性を高める向きに前記制御パラメータを変更して、再び前記成形動作を実行し、
    1回目の前記成形動作で前記実測値が発振せず、且つN(Nは2以上の整数)回目の前記成形動作で前記実測値が発振した場合に、(N−1)回目の前記動作で用いた前記制御パラメータで、(N+1)回目以降の前記成形動作を実行することを特徴とする請求項1に記載の成形機。
  3. 前記射出装置は、前記サーボモータの駆動力が伝達されて、前記キャビティに連通する加熱シリンダ内を進退するスクリューを備え、
    前記センサは、前記スクリューの前進速度を、物理量の前記実測値として検出し、
    前記制御装置は、予め定められた目標速度で前記スクリューを前進させて、前記加熱シリンダ内に計量された成形材料を、前記キャビティ内に射出する射出工程において、
    前記目標速度を前記目標値として前記サーボアンプに与えて、前記スクリューを前進させ、
    前記センサで検出された前記スクリューの前進速度の発振の有無に応じて、前記制御パラメータを変更することを特徴とする請求項1または2に記載の成形機。
  4. 前記センサは、前記スクリューに負荷される圧力を、物理量の前記実測値として検出し、
    前記制御装置は、前記射出工程で前記キャビティ内に射出した成形材料を、予め定められた目標圧力で前記スクリューに押圧させる保圧工程において、
    前記目標圧力を前記目標値として前記サーボアンプに与えて、前記スクリューに成形材料を押圧させ、
    前記センサで検出された圧力の発振の有無に応じて、前記制御パラメータを変更することを特徴とする請求項3に記載の成形機。
  5. 前記動作は、前記物理量が前記目標値に向かって上昇する立上り区間と、前記物理量が前記目標値から下降する立下り区間と、前記立上り区間及び前記立下り区間の間の定常区間とを含み、
    前記制御装置は、前記定常区間における前記実測値が発振しているか否かを判定することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の成形機。
  6. 前記成形機に搭載された複数の前記サーボモータ全てのチューニングを指示する全チューニング指示、及び複数の前記サーボモータのうちの一部のチューニングを指示する指定チューニング指示を受け付ける入力装置を備え、
    前記制御装置は、
    前記入力装置を通じて前記全チューニング指示を受け付けた場合に、複数の前記サーボモータの全ての前記制御パラメータを調整し、
    前記入力装置を通じて前記指定チューニング指示を受け付けた場合に、前記入力装置を通じて指定された前記サーボモータのみの前記制御パラメータを調整することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の成形機。
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