JP2021145577A - ゲル状組成物 - Google Patents

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Yusuke Shimotori
佑介 霜鳥
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Abstract

【課題】もっちりとした食感を有し、製造適性も良好なゲル状組成物の提供。【解決手段】ローカストビーンガム、寒天、ゼラチン及びカラギナンを含むゲル状組成物であって、前記ゲル状組成物の総質量に対して、前記ローカストビーンガムの含有量が0.04〜0.90質量%、前記寒天の含有量が0.05〜0.50質量%、前記ゼラチンの含有量が0.50〜2.00質量%、前記カラギナンの含有量が0.05〜1.00質量%であり、前記カラギナンの含有量に対する前記ローカストビーンガムの含有量の質量比を表す、ローカストビーンガム/カラギナンが0.40〜0.90であるゲル状組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、ゲル状組成物に関する。
例えばプリンやゼリー等のゲル状食品は、プルプルとした弾力があって比較的軟らかい食感の製品や、焼きプリンのような弾力がなくて比較的硬い食感の製品など、食感が異なる製品が上市されている。
特許文献1には、タンパク質を含むゲル状食品において、エンドウ豆タンパク質を用いることによって、乳タンパク質又は大豆タンパク質を用いる場合に比べて、ゲルの硬度を高くした例が記載されている。
特開2019−170326号公報
食品の分野において、食感の違いは製品の差別化を図るのに有効である。例えば、パンやドーナツ等の焼成食品において、もっちり又はもちもちと表現されるような、弾力がありながら比較的硬くて噛みごたえもある食感の食品の人気が高まっている。
本発明は、もっちりとした食感を有するゲル状組成物の提供を目的とする。
[1] ローカストビーンガム、寒天、ゼラチン及びカラギナンを含むゲル状組成物であって、前記ゲル状組成物の総質量に対して、前記ローカストビーンガムの含有量が0.04〜0.90質量%、前記寒天の含有量が0.05〜0.50質量%、前記ゼラチンの含有量が0.50〜2.00質量%、前記カラギナンの含有量が0.05〜1.00質量%であり、前記カラギナンの含有量に対する前記ローカストビーンガムの含有量の質量比を表す、ローカストビーンガム/カラギナンが0.40〜0.90であるゲル状組成物。
[2] 前記ゲル状組成物の総質量に対して、前記寒天及び前記ゼラチンの合計の含有量が0.80〜2.10質量%である、[1]のゲル状組成物。
[3] 前記ローカストビーンガム及び前記カラギナンの合計の含有量に対する、前記寒天及び前記ゼラチンの合計の含有量の質量比を表す、(寒天+ゼラチン)/(ローカストビーンガム+カラギナン)が2.00〜8.50である、[1]又は[2]のゲル状組成物。
[4] 前記カラギナンが、カッパーカラギナン及びイオタカラギナンの一方又は両方である、[1]〜[3]のいずれかのゲル状組成物。
本発明のゲル状組成物は、もっちりとした食感を有する。
本明細書において、固形分の含有量は、固形分(質量%)=100−水分(質量%)で算出した値である。水分の含有量は、常圧加熱乾燥法(乾燥助剤添加法)により測定した値である。
<ゲル状組成物>
本実施形態のゲル状組成物は、ローカストビーンガム、寒天、ゼラチン及びカラギナンを含む。
寒天はゲル化に寄与する。寒天としては特に限定されず、市販品から適宜選択して用いることができる。寒天は1種でもよく2種以上を併用してもよい。
寒天のゼリー強度は、日寒水式によって測定される値である。すなわち、日本寒天製造水産組合が採用した日寒水式ゼリー強度測定器を用いて測定される値であり、濃度1.5質量%の寒天水溶液を調製し、20℃で15時間放置して凝固させたゲルについて、その表面1cm当たり20秒間耐えうる最大荷重(g)をゼリー強度(単位:g/cm)とする。寒天のゼリー強度は10〜1500g/cm程度が好ましい。
寒天の凝固点および寒天の融点は特に限定されない。通常、寒天の凝固点は40〜50℃程度、融点は80〜90℃程度である。
寒天を2種以上併用する場合、各寒天のゼリー強度、凝固点および融点が、それぞれ上記の好ましい範囲内となるように選択して用いることが好ましい。
ゼラチンはゲル化に寄与する。
ゼラチンは、動物の皮や骨に多く含まれる不溶性タンパク質を、酸処理またはアルカリ処理して可溶化したものである。ゼラチンとしては特に限定されず、市販品から適宜選択して用いることができる。ゼラチンは1種でもよく2種以上を併用してもよい。
ゼラチンのゼリー強度は、JIS K 6503「にかわおよび工業用ゼラチン」に規定されている測定方法で測定されるゼリー強度である。すなわち、濃度6.67質量%のゼラチン水溶液を調製し、規定の容器に入れ10℃の恒温槽で16〜18時間冷却して試料を得る。得られた試料の表面を、直径1/2インチ(12.7mm)のプランジャーで4mm押し下げるのに必要な荷重のグラム数をゼリー強度(単位:ブルームまたはg)とする。ゼラチンのゼリー強度は、100〜300ブルーム(100〜300g)程度が好ましい。
ゼラチンのゲル化温度およびゼラチンゲルの融点は特に限定されない。通常、ゼラチンのゲル化温度は15〜20℃程度、融点は25〜30℃程度である。
ゼラチンを2種以上併用する場合、各ゼラチンのゼリー強度、ゲル化温度および融点が、それぞれ上記の好ましい範囲内となるように選択して用いることが好ましい。
ローカストビーンガムとカラギナンは相乗効果を示し、増粘及びゲル化に寄与する。
カラギナンとして、カッパーカラギナン、イオタカラギナン、及びラムダカラギナンからなる群より選ばれる1種以上が好ましい。
もっちりとした食感に優れるゲル組成物が得られやすい点で、カッパーカラギナン及びイオタカラギナンの一方又は両方を用いることが好ましい。
本実施形態のゲル状組成物は、ゲル状組成物の総質量に対して、ローカストビーンガムを0.04〜0.90質量%、寒天を0.05〜0.50質量%、ゼラチンを0.50〜2.00質量%、カラギナンを0.05〜1.00質量%含み、カラギナンの含有量に対するローカストビーンガムの含有量の質量比(ローカストビーンガム/カラギナン質量比)は0.40〜0.90である。上記範囲内であると、製造適性の低下を抑えつつ、もっちりとした食感を実現できる。
寒天、ゼラチンの含有量は、寒天及びゼラチンの合計の含有量(寒天+ゼラチン)が0.80〜2.10質量%となる範囲が好ましい。
ローカストビーンガム、カラギナン、寒天、ゼラチンの含有量は、ローカストビーンガム及びカラギナンの合計の含有量に対する、寒天及びゼラチンの合計の含有量の質量比((寒天+ゼラチン)/(ローカストビーンガム+カラギナン)質量比)が2.00〜8.50となる範囲が好ましい。
より好ましい組成は、ゲル状組成物の総質量に対して、ローカストビーンガム0.06〜0.20質量%、寒天は0.07〜0.30質量%、ゼラチンは0.60〜1.80質量%、前記ローカストビーンガム/カラギナン質量比は0.50〜0.90である。
前記(寒天+ゼラチン)は1.00〜1.80質量%がより好ましい。
前記(寒天+ゼラチン)/(ローカストビーンガム+カラギナン)質量比は3.00〜6.50がより好ましい。
さらに好ましい組成は、ゲル状組成物の総質量に対して、ローカストビーンガム0.08〜0.14質量%、寒天は0.12〜0.18質量%、ゼラチンは0.70〜1.70質量%、前記ローカストビーンガム/カラギナン質量比は0.60〜0.90である。
前記(寒天+ゼラチン)は1.20〜1.60質量%がさらに好ましい。
前記(寒天+ゼラチン)/(ローカストビーンガム+カラギナン)質量比は3.50〜6.00がさらに好ましい。
本実施形態のゲル状組成物は、前記ローカストビーンガム、寒天、ゼラチン及びカラギナン以外に水を含む。
ゲル状組成物の固形分の含有量は14.00〜27.00質量%が好ましく、15.00〜26.00質量%がより好ましい。上記範囲の下限値以上であると、ゲル状組成物が適度な硬さになりやすく、もっちりとした食感が得られやすい。上限値以下であると、ゲル状組成物が適度な軟らかさになりやすく、もっちりとした食感が得られやすい。
本実施形態のゲル状組成物は、前記ローカストビーンガム、寒天、ゼラチン、カラギナン及び水以外の任意成分を、本発明の効果を損なわない範囲内で含有させることができる。
任意成分としては、食品に配合可能な各種成分を使用できる。例えば、乳成分、卵成分、糖類、でんぷん類、呈味成分(糖類以外の甘味料、塩、酸味料、酒類、抹茶、果実由来成分等)、保水剤、乳化剤、pH調整剤、酸化防止剤、消泡剤、色素、香料、前記ローカストビーンガム、寒天及びカラギナン以外の他の増粘多糖類等が挙げられる。
乳成分の例としては、生乳、牛乳、部分脱脂乳、脱脂乳、濃縮乳、脱脂濃縮乳、全脂練乳、脱脂練乳、全脂粉乳、脱脂粉乳、乳清(ホエー)、乳清蛋白質濃縮物(WPC)、乳清蛋白質分離物(WPI)、全乳蛋白質濃縮物(TMP)等の乳類;チーズ、バター、クリーム、無糖れん乳、加糖れん乳、バターオイル、バターミルク、バターミルクパウダー等が挙げられる。
前記他の増粘多糖類の例としては、ジェランガム、キサンタンガム、タマリンドシードガム、タラガム等が挙げられる。
ゲル状組成物の総質量に対して、他の増粘多糖類の含有量は0.03質量%以下が好ましく、0.02質量%以下がより好ましく、0.01質量%以下がさらに好ましい。ゼロでもよい。
本実施形態のゲル状組成物は、後述の測定方法で測定した硬度が70g以上であり、破断距離が4.5mm以上であることが好ましい。ゲル状組成物が硬いと硬度は大きくなる傾向があり、弾力があると破断距離は大きくなる傾向がある。硬度及び破断距離が上記下限値以上であると、もっちりとした食感が得られやすい。
ゲル状組成物の硬度および破断距離は、下記破断試験を用いた、以下の方法で測定する。
破断試験:レオメーターを用い、治具として直径20mmの円形プランジャー(D20)を用いる。芯温が一定となるように温度調整したゲル状組成物に、前記円形プランジャーを陥入速度80mm/min、HOLD6gの条件で、陥入させたときのゲル状組成物の硬度と破断点を測定する。測定温度(芯温)は10℃とする。
ここで、HOLDとは、ゲルが破断する前の測定値と破断した後の測定値の差が一定以上(この場合6g)開いた時点の荷重量を表示するモードである。この場合、破断時点の測定値(単位:g)、すなわち測定値が6g以上降下する直前の値を硬度(単位:g)とする。さらに、破断する前の測定値と破断した後の測定値の差が6g以上開いた時点の治具の陥入量を破断距離(mm)とする。
硬度の上限は食感が硬すぎず、もっちりする点で230g以下が好ましい。
破断距離の上限は噛み切ることができ、もっちりする点で15mm以下が好ましい。
これらの観点から、前記硬度は70〜220gがより好ましく、80〜210gがさらに好ましく、85〜200gが特に好ましい。
これらの観点から、前記破断距離は4.5〜14.5mmがより好ましく、5.0〜14.0mmがさらに好ましく、5.2〜13.6mmが特に好ましい。
<ゲル状組成物の製造方法>
ゲル状組成物は、前記ローカストビーンガム、寒天、ゼラチン、カラギナン、水、及び必要に応じた任意成分を含む混合液を調製し、これをゲル化させる方法で製造できる。
具体的には、まず水に全原料を投入して撹拌して混合して混合液を調製する。全成分を溶解させるために、必要に応じて加温してもよい。
混合液は、必要に応じて加熱殺菌処理する。加熱殺菌の処理温度は80℃以上が好ましい。該加熱処理温度の上限はないが、風味の観点からは160℃以下が好ましく、150℃以下がより好ましい。処理時間は、殺菌効果が得られ、かつ混合液中の成分が熱変性を生じない時間に設定することが好ましい。
加熱殺菌処理の前または後に、混合液を均質化することが好ましい。均質化は10〜30MPa程度の圧力下で行うことが好ましい。
次いで混合液を容器に充填する。
充填時の混合液の粘度が低すぎるとノズルから液ダレが起き、高すぎると容器充填時に液はねが起きるという不都合が生じる。これらの不都合が生じないように、充填時の温度及び粘度を適宜調整することが好ましい。
次いで、混合液を冷却してゲル化させる。冷却温度はゼラチンのゲル化温度以下とする。例えば20℃以下が好ましく、10℃以下がより好ましい。冷却温度の下限値は凍結防止の点から1℃以上が好ましい。冷却時間は、充分にゲル化するように適宜設定できる。例えば24時間以上が好ましく、48時間以上がより好ましい。
混合液の組成と、該混合液をゲル化して得られるゲル状組成物の組成とは、熱による変性を除いて同じである。
本実施形態のゲル状組成物の具体的な製品としては、もっちりとした食感のプリン、ゼリー等が挙げられる。
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
<使用原料>
・植物油脂(やし油、パーム油を含む):太陽油脂社製。
・加糖卵黄:太陽化学社製。
・もち米でんぷん:松谷化学社製。
・ローカストビーンガム:三栄源エフ・エフ・アイ社製、商品名「ビストップD/2050」。
・寒天:伊那寒天社製、商品名「ウルトラ寒天S−7」、日寒水式によるゼリー強度(1.5%濃度)730g/cm、凝固点45℃、ゲルの融点90℃。
・ゼラチン:ルスロ社製、商品名「Rousselot 250PS」、JIS K 6503によるゼリー強度250ブルーム(250g)、ゲル化温度20℃、ゲルの融点25℃。
・カッパーカラギナン:三栄源エフ・エフ・アイ社製、商品名「カラギニンCSK−1」。
・イタオカラギナン:三栄源エフ・エフ・アイ社製、商品名「カラギニンCSI−1」。
・ラムダカラギナン:三栄源エフ・エフ・アイ社製、商品名「カラギニンCSL−1」。
・乳化剤:花王社製、商品名「ステップSS」、コハク酸モノグリセリド。
・消泡剤:シリコーン系消泡剤。
<例1〜11>
例1〜8は実施例、例9〜11は比較例である。
表1に示す配合で各原料を混合し、90℃で10分間加熱殺菌処理した後、均質機(三丸機械工業社製、製品名「Homogenizer」)を用いて15MPaの圧力で均質化し、混合液を得た。得られた混合液65gをプラスチック容器に充填し、庫内温度10℃の冷蔵庫内に24時間静置する方法で冷却してゲル化させ、ゲル状組成物を得た。
プラスチック容器としては、ポリプロピレン製のプリンカップ(シンギ社製、商品名「PP71−110」、容量110mL)を用いた。
得られたゲル状組成物について、下記の方法で硬度及び破断距離を測定した。また下記の方法で官能評価を行った。結果を表2に示す。
<測定方法及び評価方法>
[硬度及び破断距離の測定方法]
レオメーター(サン科学社製、製品名「SUN RHEO METER COMPACK−100II」)を用い、治具として直径20mmの円形プランジャー(D20)を陥入速度80mm/min、HOLD6g、測定温度10℃の条件でゲル状組成物(10℃)に陥入させたときのゲル状組成物の硬度(単位:g)を測定した。破断する前の測定値と破断した後の測定値の差が6g以上開いた時点の治具の陥入量を破断距離(mm)とした。
1種類のゲル状組成物につき、硬度及び破断距離の測定をそれぞれ3回行い、3回の平均値を測定結果とした。
[食感の官能評価方法]
各例で得られたゲル状組成物(10℃)を試食し、噛みごたえ、弾力、もっちりとした食感(もっちり感とも記す)のそれぞれについて下記の基準で評価した。
A:強い
B:やや強い
C:普通
D;やや弱い
E:弱い
Figure 2021145577
Figure 2021145577
表2の結果に示されるように、例1〜8で得られたゲル状組成物は、もっちり感が良好であった。
例9は、ローカストビーンガムの含有量が少ない例であり、硬度が不充分であり、ぬめぬめした食感であった。
例10は、ゼラチンの含有量が少ない例であり、もっちり感は不充分であった。例1と例11とを比べると、ゼラチンの含有量を高くすると、硬度及び破断距離の両方が大きくなることがわかる。
例11は、ローカストビーンガム/カラギナン質量比が0.9を超える例であり、硬度及び破断距離が不充分で、軟らかく噛みごたえがなく、もっちりしない食感であった。

Claims (4)

  1. ローカストビーンガム、寒天、ゼラチン及びカラギナンを含むゲル状組成物であって、
    前記ゲル状組成物の総質量に対して、前記ローカストビーンガムの含有量が0.04〜0.90質量%、前記寒天の含有量が0.05〜0.50質量%、前記ゼラチンの含有量が0.50〜2.00質量%、前記カラギナンの含有量が0.05〜1.00質量%であり、前記カラギナンの含有量に対する前記ローカストビーンガムの含有量の質量比を表す、ローカストビーンガム/カラギナンが0.40〜0.90であるゲル状組成物。
  2. 前記ゲル状組成物の総質量に対して、前記寒天及び前記ゼラチンの合計の含有量が0.80〜2.10質量%である、請求項1に記載のゲル状組成物。
  3. 前記ローカストビーンガム及び前記カラギナンの合計の含有量に対する、前記寒天及び前記ゼラチンの合計の含有量の質量比を表す、(寒天+ゼラチン)/(ローカストビーンガム+カラギナン)が2.00〜8.50である、請求項1又は2に記載のゲル状組成物。
  4. 前記カラギナンが、カッパーカラギナン及びイオタカラギナンの一方又は両方である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のゲル状組成物。
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