JP2021145563A - 脂質代謝改善用組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】体内において有用な生理機能を有するDHA含量を向上させる脂質代謝改善用組成物を提供する。【解決手段】スフィンゴイド塩基を有効成分とする生体内の脂質代謝改善用組成物。脂質代謝改善用組成物は、酸化されやすく、食品素材として扱いにくい多価不飽和脂肪酸を摂取することなく、体内での有用な効果が知られているDHAを増加させることができる。また脂質代謝改善用組成物は、体重増加を抑制する作用があることより、脂肪蓄積および体重増加に起因する疾患について、予防、症状の緩和、治療を図ることができる。【選択図】図1

Description

本発明は、脂質代謝改善用組成物に関する。本発明は、スフィンゴイド塩基を有効成分とし、経口摂取により生体内の肝臓脂質の脂肪酸組成を改良させる脂質代謝改善用組成物、ドコサヘキサエン酸(DHA)比率を増加させる脂質代謝改善用組成物、および、体重増加を抑制する脂質代謝改善用組成物に関するものである。
また本発明は上述の脂質代謝改善用組成物の用途にも関する。
近年、食生活や生活習慣の変化に伴い、日本や先進各国では、糖尿病、高血圧、高脂血症、動脈硬化などの生活習慣病を有する人が増加している。これらの疾病の主たる要因のひとつは、生体における過剰な脂肪蓄積と考えられている。内臓における過剰な脂肪蓄積と、それを基盤にしたインスリン抵抗性および糖代謝異常、脂質代謝異常、高血圧を複数合併している状態は、メタボリックシンドロームと呼ばれ、広く認識されている。
多価不飽和脂肪酸は、分子内に2個以上の不飽和結合を含む脂肪酸であり、リノール酸やα-リノレン酸は必須脂肪酸であり、我々の生体に必須な脂肪酸である。これらの脂肪酸やこれらの脂肪酸が変換されて生じるアラキドン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、DHA等は、これまでに複数の研究により、生体に対して有益な機能を有していることが明らかになっている。例えば、EPAやDHAが血小板凝集抑制作用、血中中性脂肪低下作用、血中コレステロール低下作用等を有していることが知られている。また、これらの多価不飽和脂肪酸は、生体内で種々の代謝を受け、プロスタグランジン等の生理活性物質に変換されて、生体の機能維持に貢献している。
DHAは、生体内では、脳、心臓、神経、網膜、精子、母乳等の細胞膜リン脂質に多く存在しており、その形態から膜の流動性に寄与しているといわれている。DHAは、脳、網膜、神経といった組織を構成する成分であることから、これらの部位の発育や機能維持に重要であると考えられている。また、コレステロール低下作用、抗アレルギー作用、抗炎症作用、抗糖尿病作用など、さまざまな機能が報告されている。
DHAは、生体内でα-リノレン酸から種々の酵素の作用により、EPA、ドコサペンタエン酸等を経て合成される。生体内でのDHAの合成は、種々の合成阻害因子によって、制御されており、DHAの原料であるα-リノレン酸やEPAを摂取するより、直接DHAを摂取した方が生体内でのDHA含量を増加させるには効率的であることがわかっている。
しかし、DHAの摂取については、課題が存在する。多価不飽和脂肪酸は、二重結合を多数有するために、非常に酸化されやすく、空気中や溶液中の酸素と反応してパーオキサイド等の生体にとって有害な過酸化物を生じる。この酸化反応は、油脂等に含有される微量の金属や光等によって進行し、酸化臭などの異臭を発生させる。この異臭により、風味劣化が生じることが、多価不飽和脂肪酸配合食品の製造における重要な問題であり、種々の酸化防止剤を用いても、これらの異風味の発生および過酸化物の生成等の品質低下を抑制するのは困難である。
スフィンゴイド塩基は、スフィンゴ脂質の骨格構造の長鎖塩基である。スフィンゴ脂質は、動物や植物や微生物に広く存在し、スフィンゴイド塩基を骨格構造とし、それに脂肪酸が結合したセラミド、さらにセラミドにリン酸や糖が結合したスフィンゴミエリン(SPM)やグルコシルセラミド等が存在する。近年、スフィンゴイド塩基は様々な生理活性および食品化学的活性を有することが報告されている。特許文献1には、スフィンゴイド塩基が血糖の組織取り込みを調節するホルモンの分泌促進作用を有することを記載している。特許文献2には、スフィンゴイド塩基とカルボニル化合物の複合体が多価不飽和脂肪酸に対する酸化抑制作用を有することを記載している。
スフィンゴ脂質は、様々な食品中に含まれており、経口摂取されると、消化管内で加水分解され、一部はスフィンゴイド塩基まで消化されることが知られている。加水分解されたスフィンゴイド塩基は、腸管上皮細胞を介して体内へ吸収されるといわれている。
スフィンゴイド塩基は、動物や植物や微生物のそれぞれの由来によって、構造が異なり、体内の吸収されやすさが異なる。動物に由来する主要なスフィンゴイド塩基が体内へ吸収されやすいことが知られている。
酸化されやすく、劣化が早いために食品素材として扱いにくいDHAなどの多価不飽和脂肪酸を直接摂取することなく、生体内のDHA含量を増加させる方法については、特許文献3および4にて開示されている。特許文献3,4ともに、乳由来リン脂質(特にスフィンゴミエリン)によりDHA含量を増加させることが示されている。
スフィンゴ脂質による内臓脂肪蓄積抑制、脂質生成抑制に関しては、先行技術があり、特許文献5,6に開示されている。特許文献5には、スフィンゴ脂質またはリゾスフィンゴ脂質により哺乳類の脂質生成(リポゲネシス)を抑制することが示されている。特に、スフィンゴシンが好ましいと記載されているが、脂肪酸組成改良作用やDHA含量増加作用や体重増加抑制作用といった脂質代謝改善作用については記載されていない。特許文献6には、スフィンゴシンを有するリン脂質及びその誘導体、特にスフィンゴミエリンによって内臓脂肪蓄積抑制や、血中アディポネクチン濃度の増加を促進あるいは血中アディポネクチン濃度の減少を抑制することが示されている。特に、スフィンゴミエリンが好ましいと記載されているが、下記実施例にて述べるが、本特許のスフィンゴイド塩基はスフィンゴミエリンよりもより強い脂質代謝改善作用(脂肪酸組成改良作用、DHA含量増加作用、体重増加抑制作用)を有することが明らかになっている。
特許第6169978号公報 特許第6232008号公報 特許第3195594号公報 特開2013−181024号公報 特開平1−279837号公報 特開2007−320900号公報
本発明は、上記した技術の現状に鑑み、体内において有用な生理機能を有するDHA含量を向上させる脂質代謝改善用組成物を提供することを課題とする。
本発明は以下の内容に関する。
[1]スフィンゴイド塩基を有効成分とする生体内の脂質代謝改善用組成物。
[2]前記脂質代謝改善作用が、脂肪酸組成改良作用である[1]に記載の脂質代謝改善用組成物。
[3]前記脂質代謝改善作用が、DHA含量増加作用である[1]又は[2]に記載の脂質代謝改善用組成物。
[4]前記脂質代謝改善作用が、体重増加抑制作用である[1]〜[3]のいずれかに記載の脂質代謝改善用組成物。
[5]前記スフィンゴイド塩基が、乳および乳素材から調製して得られる乳由来スフィンゴイド塩基である[1]〜[4]のいずれかに記載の脂質代謝改善用組成物。
[6][1]〜[5]のいずれか1項に記載の脂質代謝改善用組成物を含有する飲食品又は医薬品、飼料。
[7]スフィンゴイド塩基を有効成分とする生体内の脂質代謝改善用組成物を、脂質代謝疾患の患者に適用する脂質代謝改善用組成物の使用方法。
[8]脂質代謝改善用組成物の製造におけるスフィンゴイド塩基の使用方法。
本発明による脂質代謝改善用組成物は、体内の脂肪酸組成を改良でき、酸化されやすく、食品素材として扱いにくい多価不飽和脂肪酸を摂取することなく、体内での有用な効果が知られているDHAを増加させることができる。また脂質代謝改善用組成物は、体重増加を抑制する作用があることより、脂肪蓄積および体重増加に起因する疾患について、予防、症状の緩和、治療を図ることができる。
図1Aは実施例1の動物実験の摂餌量の変化を示す図である。図1Bは実施例1の動物実験の体重の変化を示す図である。
以下に、実施形態を挙げて本発明の説明を行うが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
〈脂質代謝改善用組成物〉
本発明者らは、体内において脂質代謝を改善するような食品素材の探索を鋭意進めてきた。その結果、スフィンゴイド塩基に体内の脂肪酸組成を改良する作用、DHA含量を増加させる作用、および、体重増加を抑制する作用を見出して、上記課題の解決、本発明の完成に至った。
すなわち、脂質代謝改善用組成物中に含まれるスフィンゴイド塩基を摂取することにより、酸化されやすく、食品素材として扱いにくい多価不飽和脂肪酸を摂取することなく、従来知られていた乳由来リン脂質より、生体内のDHA含量を効果的に増加させることができる。
なお、本発明によれば、メタボリックシンドロームにつながる体重増加を抑制し、体内の脂質代謝が改善される。ここでいう、メタボリックシンドロームとは、内臓脂肪型肥満をきっかけに脂質異常、高血糖、高血圧となる状態をいう。
本発明は、スフィンゴイド塩基を有効成分とする脂肪酸組成改良作用、および、またはDHA増大作用、および、または体重増加抑制作用を有する脂質代謝改善用組成物に関する。
本発明に用いるスフィンゴイド塩基は、特に制限はなく、例えば、動物や植物や微生物等由来、化学的な合成品等も使用可能である。スフィンゴイド塩基構造において、二重結合の位置や数に特に制限はない。
材料の由来の観点からは、動物由来、特に乳由来のものが好ましい。例えば、スフィンゴシン、ジヒドロスフィンゴシンなどが挙げられる。
炭素数や構造の観点からは、動物由来やヒトの臓器に見られるような炭素原子数16〜19(16、17、18、19)のスフィンゴイド塩基が好ましい。
本発明におけるスフィンゴイド塩基は、代表的には長鎖アミノアルコールの一種であるスフィンゴイド塩基である。本発明において利用可能なスフィンゴイド塩基は、例えば、ジヒドロスフィンゴシン、スフィンゴシン、N,N−ジメチルスフィンゴシン、フィトスフィンゴシン、4−スフィンゲニン、8−スフィンゲニン、4−ヒドロキシ−8−スフィンゲニン、4,8−スフィンガジエニン、9−メチル−4,8−スフィンガジエニン、4,8,10−スフィンガトリエニン、9−メチル−4,8,10−スフィンガトリエニンなどが挙げられるが、これに限定されず、スフィンゴイド塩基骨格を有する化合物であればよい。スフィンゴイド塩基構造において、二重結合の位置や数に格別の制限はない。
スフィンゴイド塩基の調製方法は、どのようなものでもよい。例えば、動物や植物に広く存在するスフィンゴ脂質を加水分解することでも調製が可能である。また、酵母等の微生物を用いた発酵により調製することも可能である。
本発明の脂質代謝改善用組成物は、スフィンゴイド塩基、もしくはその混合物をそのまま脂質代謝改善用組成物として用いる事も可能であるが、スフィンゴイド塩基を含有する組成物の他に脂質、タンパク質、糖類、ビタミン類、ミネラル類やフレーバー等、他の飲食品や飼料に通常使用される原材料等を混合し、常法に従い、粉末剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、ドリンク剤等に製剤化して用いることもできる。さらに、これらを製剤化した後に、これを栄養剤やヨーグルト、乳飲料、ウエハース等の飲食品や飼料に配合することも可能である。n-3系脂肪酸を含有する大豆油などの植物性油脂を同時に摂取することで、油脂中に含まれるα-リノレン酸などをDHAに変換することとなる。
脂質代謝改善用組成物の経口投与による有効量は、その製剤形態、投与方法、使用目的、及びこれを適用される患者の年齢、体重、病状により適宜規定され一定でない。マウスを用いた動物実験の結果、マウス体重1kg当たり、脂質代謝改善用組成物(スフィンゴイド塩基含有組成物)をスフィンゴイド塩基含有量換算で1~5000mg、好ましくは100〜1000mg経口摂取することにより、脂質代謝改善作用を有することが明らかになった。従って、外挿法によると、通常、成人一日当たり、スフィンゴイド塩基として1~5000mg、好ましくは100〜1000mg摂取することにより脂質代謝改善作用が期待できる。この必要量を確保できるように、飲食品に配合するか、又は医薬、飼料として投与することが好ましい。なお、投与は必要に応じて一日数回に分けて行うことも可能である。
また、本発明の脂質代謝改善用飲食品は、通常の飲食品、例えばヨーグルト、乳飲料、ウエハースやデザート等に本発明の脂質代謝改善用組成物を配合すればよい。
スフィンゴイド塩基量は、脂質代謝改善用組成物を薄層クロマトグラフィ(TLC)により成分を分離した後、デンシトメーターまたは画像解析ソフト等を用いて、スフィンゴイド塩基の純度を計算して算出した。
脂質代謝改善用組成物の投与方法は経口投与に限らず、例えば体の一部に塗布したり、または注射、点滴、シール剤(パッチ)を貼付する形式などで投与してもよい。その際の脂質代謝改善用組成物の投与量は上述の経口投与の場合と同様である。
〈その他の態様〉
上記のように、本発明は実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
脂質代謝改善用組成物について中心に説明してきたが、それらに限定されることはない。本発明は、例えば、スフィンゴイド塩基を有効成分とする生体内の脂質代謝改善用組成物を、脂質代謝疾患の患者に適用する脂質代謝改善用組成物の使用方法にも関する。つまり、メタボリックシンドロームと相称されることもある、脂質代謝疾患の予防・治療に有効な体重増加を抑制する方法が提供される。
脂質代謝疾患の患者とは、例えば、脂質異常症(高脂血症)が挙げられる。脂質異常症とは、血液中にふくまれるコレステロールや中性脂肪(トリグリセライド)などの脂質が、一定の基準よりも多い状態のことをいう。
血液中に余分な脂質が多くなると、動脈硬化を起こしやすくなり、心筋梗塞や脳卒中などのリスクが高くなるという報告がある。高血圧の人が脂質異常症を伴うと、血管壁が傷つきやすいため動脈硬化がさらに進行しやすくなる。また糖尿病の人は、インスリンが不足すると中性脂肪が体内で利用されにくくなり、血中に中性脂肪が増え脂質異常症を伴いやすく、動脈硬化を進行させやすいという報告もある。このように脂質異常症は、種々の疾患と複雑に関係していることから、脂質異常症が改善されることで、関連の疾患の予防、症状の緩和、治療にも寄与するものと期待される。
また本発明は脂質代謝改善用組成物の製造におけるスフィンゴイド塩基の使用方法にも関する。
以下に、実施例を示し、より詳細に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。
[実施例1]
乳リン脂質素材を出発原料として、酸加水分解により、スフィンゴイド塩基(SPG)の高濃度画分を取得した。また、対照として用いるため、乳中の主要なスフィンゴ脂質であるSPMを、乳リン脂質素材より取得した。手順を下記に示す。
1)乳リン脂質素材の加水分解
乳リン脂質濃縮素材であるミルクセラミドMC−5(雪印メグミルク株式会社製)をエタノールに溶解し、エタノール可溶性画分を分取した。エタノール可溶性画分に塩酸を加えて、0.2M塩酸/エタノール溶液とした。この塩酸/エタノール溶液を75℃12時間加熱し、加水分解反応を行った。
2)調製したスフィンゴイド塩基のカラムによる精製
カラムにはシリカゲル60(Merck)を充填し、展開溶媒としてクロロホルム/アセトン/メタノール/酢酸/水(10/4/2/2/1, v/v/v/v/v)を用いた。スフィンゴイド塩基フラクションを回収後、TLCによりその純度を調べたところ、約86.4%であった。
3)対照のスフィンゴミエリンの抽出および精製
乳リン脂質濃縮素材であるミルクセラミドMC−5(雪印メグミルク株式会社製)に重量の10倍量のメタノールを加え、一晩抽出した。抽出液に対して1/9倍量の2N水酸化カリウム水溶液を加え、よく攪拌し、40℃で1時間加熱した。反応液を4N含水メタノール性塩酸により中和後、クロロホルム/メタノール/水(10:5:3, v/v/v)を加え、分液ロートで脂質を抽出した。下層(クロロホルム層)を回収し、溶媒を除去後、得られた脂質画分をカラムクロマトグラフィーに供した。カラムにはシリカゲル60(Merck)を充填し、展開溶媒としてクロロホルム/メタノール/水(65/25/4, v/v/v)を用いた。得られたSPMはTLCで1スポットのみを示した。
動物実験については、下記の手順により行なった。
1)実験動物と飼料の調製
実験動物には日本クレア株式会社から購入したC57BL/6Jマウス (7週齢、雄)を用いた。餌料中の油脂以外の成分はオリエンタル酵母工業株式会社から購入した。餌料中の大豆油とラードは和光純薬工業株式会社より購入したものを用いた。試験餌料はAIN-93Gの組成に従って調製した(表1)。コントロールとして使用した試験餌料は高脂肪食であった(HFD群)。SPM、SPGを添加する場合には、ラードと置換した。SPM群は、飼料に対してSPM画分が1wt%となるように調製し、SPG群は、飼料に対してSPG画分が0.4 wt%となるように調製した。SPM画分中のSPG骨格部分とSPG画分のSPG部分が等量となるように調製した。2日ごとに飼料成分と脂質成分を混合し、実験試料の調製を行った。
Figure 2021145563
2)飼育実験
固形飼料MF(オリエンタル酵母工業株式会社)を用いて2週間予備飼育を行った後、成長に異常の無い個体を各群7匹ずつ、平均体重および体重のばらつきが同等になるように群分けを行った。飼育温度は23±1℃、湿度は45〜60%、明暗周期を12時間の条件下で滅菌ウッドチップの床敷を入れたプラスチックケージにて群ごとに飼育した。飼料及び水は自由摂取とし、4週間実験飼料を投与した。
図1A,図1Bに実験により得られた体重の変化を示した。
図1Aに示したように、SPMとSPGの投与による摂餌量の変化は見られなかったが、図1Bに示すように、体重はコントロール群(HFD群)と比較して、SPMとSPG投与による減少が観察された。特に、SPGの効果は顕著であり、SPMと比較しても有意に減少した。
3)肝臓脂質の抽出と分析
Folch法(Folch J et al., J Biol Chem 226:497-509 (1957))に従って肝臓から総脂質を抽出した。
4)肝臓中の脂肪酸分析
Prevot and Mordretの変法(Prevot AF and Mordret FX, Rev Fse Corps Gras, 23:409-423 (1976))に従い、試料脂質のメチルエステル化を行った。内部標準として23:0を加え、脂肪酸メチルエステルを調製し、ガスクロマトグラフィーによる分析を行った。
表2に実験により得られたマウス肝臓脂質の脂肪酸組成を示した。
Figure 2021145563
肝臓脂質の脂肪酸組成はSPMとSPGの投与により、HFD群と比較して違いが見られた。DHA (22:6n-3)は、HFD群とSPM群で比較すると、SPM群で増加傾向にあるものの、有意差はつかなかった。一方、SPG群では、HFD群およびSPM群と比較して有意に増加した。一方、ヒト生体内でDHAの生合成の原料となるα-リノレン酸(18:3n-3)は、HFD群と比較して、有意差はつかなかったものの、減少傾向にあり、体内での植物油由来のα-リノレン酸からDHAへの変換反応が亢進されている可能性が示唆された。
ヒト成人は、植物油由来のα-リノレン酸(18:3n-3)から体内でDHAを合成することができるが、その合成率は極めて低い。今日のように油脂、特に、畜肉油や植物油を多く摂取する機会が増えると、体内でのn-3系脂肪酸に対するn-6系脂肪酸の比率が増大する。したがって、n-3系脂肪酸を豊富に含む水産物の摂取が推奨されるわけだが、DHAなどの魚油の安定性の低さがこの障害となっている。ただ、体内でのα-リノレン酸からDHAへの変換反応が効率良く進めば、同時に摂取する大豆油などの植物油の脂肪酸への本発明による脂肪酸組成改良作用、および、DHA含量増加作用により、脂質代謝を改善することが可能である。
[実施例2]
脂質代謝改善用組成物の製造
スフィンゴ脂質を含むリン脂質素材を出発原料として、酸加水分解を行うことにより、スフィンゴイド塩基の脂質代謝改善用組成物を製造できる。
1)乳リン脂質素材の加水分解
乳リン脂質濃縮素材であるミルクセラミドMC−5(雪印メグミルク株式会社製)をエタノールに溶解し、エタノール可溶性画分を分取した。エタノール可溶性画分に塩酸を加えて、0.2M塩酸/エタノール溶液とした。この塩酸/エタノール溶液を75℃12時間加熱し、加水分解反応を行った。
2)スフィンゴイド塩基濃縮組成物の調製
1)の加水分解液を水酸化ナトリウムを用いて中和し、エバポレータを用いてエタノールを除き、遠心を行った。中間層の固形物を回収し、スフィンゴイド塩基が濃縮された脂質代謝改善用組成物とした。
[実施例3]
脂質代謝改善用食品の製造
実施例2で得られた脂質代謝改善用組成物12gをマーガリン125gに混合して分散させた。これに小麦粉510g、砂糖200g、食塩5g、卵115g、水25g、ミネラル混合8gを配合したミックスを作成し、成形した後、焙焼して脂質代謝改善用ビスケットを製造した。このビスケットには、100gあたり脂質代謝改善用組成物が1.2g含まれており、スフィンゴイド塩基として、1gを含有していた。
[実施例4]
脂質代謝改善用錠剤の製造
実施例2で得られた脂質代謝改善用組成物10kgを含水結晶ブドウ糖73.5kg、大豆タンパク質10kg、ミネラル混合物5kg、シュガーエステル1kg、香料0.5kgと混合して、錠剤を製造した。この錠剤には、1gあたり脂質代謝改善用組成物が0.1g含まれており、スフィンゴイド塩基として、0.085gを含有していた。
[実施例5]
脂質代謝改善用動物用飼料の調製
実施例2で得られた脂質代謝改善用組成物0.5kgを大豆油4kgに混合して分散させた。この脂質代謝改善用組成物混合大豆油に、大豆粕12kg、脱脂粉乳14kg、コーン油2kg、パーム油23.2kg、トウモロコシ澱粉14kg、小麦粉9kg、ふすま2kg、ビタミン混合物5kg、セルロース2.8kg、ミネラル混合物2kg、脱イオン水9.5kgを配合し、120℃4分間殺菌して、本発明の動物用飼料100kgを製造した。この動物用飼料には、100gあたり脂質代謝改善用組成物が500mg含まれており、スフィンゴイド塩基として、425mgを含有していた。
本発明は、脂質代謝を改善する新たな解決手段として、スフィンゴイド塩基を有効成分とする脂質代謝改善用組成物、および該組成物を含む経口投与用の脂質代謝改善用飲食品、医薬品および、飼料、脂肪酸組成改良用飲食品、医薬品および、飼料、DHA含量増加用飲食品、医薬品および、飼料、体重増加抑制用飲食品、医薬品および、飼料を提供するものである。したがって、本発明の上記組成物、飲食品、医薬品および、飼料の経口投与による摂取により手軽にかつ安全な方法で脂質代謝改善、脂肪酸組成改良、DHA含量増加、体重増加抑制が期待できる。

Claims (6)

  1. スフィンゴイド塩基を有効成分とする生体内の脂質代謝改善用組成物。
  2. 前記脂質代謝改善作用が、脂肪酸組成改良作用である請求項1記載の脂質代謝改善用組成物。
  3. 前記脂質代謝改善作用が、DHA含量増加作用である請求項1又は2に記載の脂質代謝改善用組成物。
  4. 前記脂質代謝改善作用が、体重増加抑制作用である請求項1〜3のいずれか1項に記載の脂質代謝改善用組成物。
  5. 前記スフィンゴイド塩基が、乳および乳素材から調製して得られる乳由来スフィンゴイド塩基である請求項1〜4のいずれか1項に記載の脂質代謝改善用組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の脂質代謝改善用組成物を含有する飲食品又は医薬品、飼料。
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