JP2021142862A - タイヤ - Google Patents

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JP2021142862A JP2020042323A JP2020042323A JP2021142862A JP 2021142862 A JP2021142862 A JP 2021142862A JP 2020042323 A JP2020042323 A JP 2020042323A JP 2020042323 A JP2020042323 A JP 2020042323A JP 2021142862 A JP2021142862 A JP 2021142862A
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智江 ▲高▼田
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亜希子 河村
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亜希子 河村
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Abstract

【課題】燃費性能に優れ、環境への負荷を低減したタイヤを提供する。【解決手段】ポリフェノール類と、アルデヒド類と、を含む接着剤組成物で処理した有機繊維コードを具えるタイヤにおいて、トレッド部3に、天然ゴム及び合成イソプレンゴムからなる群から選択される少なくとも1種のイソプレン系ゴムを40質量%以上含むゴム成分(A)と、熱可塑性樹脂(B)と、シリカを50質量%以上含む充填剤(C)と、を含み、前記熱可塑性樹脂(B)の含有量が、前記ゴム成分(A)100質量部に対して5〜50質量部であり、0℃におけるtanδが0.5以下であり、30℃におけるtanδと60℃におけるtanδとの差が0.070以下であり、動歪1%、0℃における貯蔵弾性率が20MPa以下であるトレッドゴムを具えることを特徴とする、タイヤである。【選択図】図1

Description

本発明は、タイヤに関するものである。
昨今の環境問題への関心の高まりに伴う世界的な二酸化炭素排出規制の動きに関連して、自動車の低燃費化に対する要求が強まりつつある。このような要求に対応するため、タイヤ性能についても転がり抵抗の低減が求められている。
ここで、タイヤの転がり抵抗に寄与するタイヤのトレッドゴム用のゴム組成物の開発にあたっては、通常走行時のタイヤの温度が60℃程度になることに鑑み、60℃付近での損失正接(tanδ)を指標とすることが一般に有効であり、具体的には、60℃付近でのtanδが低いゴム組成物をトレッドゴムに用いることで、タイヤの発熱を抑制して転がり抵抗を低減し、結果として、タイヤの燃費性能を向上させることができる(特許文献1)。
一方、タイヤのカーカス、ベルト補強層等には、補強コード材として、有機繊維コードが使用されており、該有機繊維コードと、ゴムとの接着性を改良して、タイヤの耐久性を向上させるために、種々の接着剤組成物が提案されている。例えば、該接着剤組成物として、レゾルシンや、ホルマリン、ゴムラテックス等を含むRFL(レゾルシン・ホルマリン・ラテックス)接着剤を用い、該RFL接着剤を熱硬化させることにより接着力を確保する技術が、知られている(特許文献2〜4)。また、接着剤組成物については、レゾルシンとホルマリンを初期縮合させたレゾルシンホルマリン樹脂を用いる技術(特許文献5、6)や、エポキシ樹脂でポリエステル繊維等からなるタイヤコードを前処理することにより、接着力の向上を図る技術が知られている。
ここで、上述した接着剤組成物に一般的に用いられているレゾルシンは、環境面の観点から、使用量の削減が求められている。そのため、レゾルシンを含まず、環境への配慮がなされた接着剤組成物や、接着方法がいくつか提案されている(特許文献7)。
特開2012−092179号公報 特開昭58−2370号公報 特開昭60−92371号公報 特開昭60−96674号公報 特開昭63−249784号公報 特公昭63−61433号公報 特開2010−255153号公報
しかしながら、本発明者らが検討したところ、上記特許文献1のように、60℃付近でのtanδが低いゴム組成物をトレッドゴムに用いたタイヤであっても、燃費性能が十分とは言えず、依然として改良の余地があることが分かった。
また、上述のレゾルシンを含有しない接着剤組成物は、硬化に時間を要するため、生産性に問題があり、また、タイヤの耐久性に関わる接着性の点でも更なる改善が求められている。
そこで、本発明は、上記従来技術の問題を解決し、燃費性能に優れ、環境への負荷を低減したタイヤを提供することを課題とする。
上記課題を解決する本発明の要旨構成は、以下の通りである。
本発明のタイヤは、ポリフェノール類と、アルデヒド類と、を含む接着剤組成物で処理した有機繊維コードを具え、
トレッド部に、天然ゴム及び合成イソプレンゴムからなる群から選択される少なくとも1種のイソプレン系ゴムを40質量%以上含むゴム成分(A)と、熱可塑性樹脂(B)と、シリカを50質量%以上含む充填剤(C)と、を含み、前記熱可塑性樹脂(B)の含有量が、前記ゴム成分(A)100質量部に対して5〜50質量部であり、0℃におけるtanδが0.5以下であり、30℃におけるtanδと60℃におけるtanδとの差が0.070以下であり、動歪1%、0℃における貯蔵弾性率が20MPa以下であるトレッドゴムを具えることを特徴とする。
かかる本発明のタイヤは、燃費性能に優れ、環境への負荷が低減されている。
本発明のタイヤにおいて、前記トレッドゴムは、0℃におけるtanδと30℃におけるtanδとの差が0.30以下であることが好ましい。この場合、タイヤのウェット性能を向上させつつ、燃費性能の温度依存性を低減できる。
本発明のタイヤにおいて、前記トレッドゴムは、0℃におけるtanδと60℃におけるtanδとの差が0.35以下であることが好ましい。この場合、タイヤの燃費性能の温度依存性を低減できる。
本発明のタイヤにおいて、前記トレッドゴムは、更に、軟化剤(D)を含み、該軟化剤(D)の含有量が、前記ゴム成分100質量部に対して1〜5質量部であることが好ましい。この場合、トレッドゴムの原材料となるゴム組成物の混練を容易としつつ、トレッドゴムの剛性を十分に確保できる。
ここで、前記軟化剤(D)が、鉱物又は石油由来の軟化剤であることが好ましい。この場合、トレッドゴムの原材料となるゴム組成物の混練が更に容易となる。
本発明のタイヤにおいて、前記トレッドゴムは、前記シリカの含有量が、前記ゴム成分100質量部に対して40〜70質量部であることが好ましい。この場合、タイヤの通常走行時の燃費性能が向上し、また、タイヤのウェット性能も向上させることができる。
本発明のタイヤの好適例においては、前記充填剤(C)が、更にカーボンブラックを含み、該カーボンブラックの含有量が、前記ゴム成分100質量部に対して1〜10質量部である。この場合、タイヤの燃費性能とウェット性能を高いレベルで両立できる。
本発明のタイヤの他の好適例においては、前記熱可塑性樹脂(B)が、C系樹脂、C系樹脂、C−C系樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂、ロジン樹脂、アルキルフェノール樹脂及びテルペンフェノール樹脂からなる群から選択される1種以上の樹脂である。この場合、タイヤのウェット性能を更に向上させることができる。
本発明のタイヤの他の好適例においては、前記ゴム成分(A)が、スチレン−ブタジエン共重合体ゴムを10〜30質量%含む。この場合、タイヤの乾燥路面での制動性能と、操縦安定性を向上させつつ、タイヤの燃費性能を向上させることができる。
本発明のタイヤの他の好適例においては、前記充填剤(C)が、前記シリカを90質量%以上含む。この場合、タイヤの通常走行時の燃費性能が更に向上する
本発明のタイヤにおいて、前記トレッドゴムは、更に、スチレン・アルキレンブロック共重合体(E)を含み、
前記スチレン・アルキレンブロック共重合体(E)は、スチレン単位の総含有量が30質量%以上であることが好ましい。この場合、タイヤのドライハンドリング性を向上させることができる。
ここで、前記スチレン・アルキレンブロック共重合体(E)のアルキレンブロックが、−[CH−CH(C)]−単位(a)と、−(CH−CH)−単位(b)と、を有し、前記単位(a)の含有量が、全アルキレンブロック[単位(a)+単位(b)]の総質量に対して、40質量%以上であることが好ましい。この場合、タイヤのドライハンドリング性を更に向上させることができる。
また、前記単位(a)の含有量が、全アルキレンブロック[単位(a)+単位(b)]の総質量に対して、50質量%以上であることが好ましい。この場合、タイヤのドライハンドリング性を更に向上させることができる。
また、前記スチレン・アルキレンブロック共重合体(E)は、スチレン単位の総含有量が50質量%以上であることが好ましい。この場合、タイヤのドライハンドリング性を更に向上させることができる。
また、前記スチレン・アルキレンブロック共重合体(E)が、スチレン・エチレンブチレン・スチレンブロック共重合体であることが好ましい。この場合、タイヤのドライハンドリング性を更に向上させることができる。
本発明のタイヤの他の好適例においては、前記ゴム成分(A)が、結合スチレン量が15%以下のスチレン−ブタジエン共重合体ゴムを含む。この場合、タイヤのウェット性能が向上する。
ここで、前記ゴム成分(A)が、前記結合スチレン量が15%以下のスチレン−ブタジエン共重合体ゴムを10質量%以上含むことが好ましい。この場合、タイヤのウェット性能を向上させつつ、タイヤの燃費性能を更に向上させることができる。
また、前記ゴム成分(A)が、結合スチレン量が30%以上のスチレン−ブタジエン共重合体ゴムを含むことが好ましい。この場合、タイヤの燃費性能を更に向上させることができる。
また、前記ゴム成分(A)が、前記結合スチレン量が30%以上のスチレン−ブタジエン共重合体ゴムを5質量%以上含むことが好ましい。この場合、タイヤの燃費性能を更に向上させることができる。
本発明のタイヤは、一対のビード部間にトロイド状に延在するカーカスを具え、
前記カーカスが、前記有機繊維コードを含むことが好ましい。この場合、タイヤの耐久性が向上する。
本発明のタイヤは、トレッド部に配置したベルトと、該ベルトのタイヤ半径方向外側に配置したベルト補強層と、を具え、
前記ベルト補強層が、前記有機繊維コードを含むことも好ましい。この場合も、タイヤの耐久性が向上する。
本発明のタイヤの他の好適例においては、前記ポリフェノール類が、3つ以上の水酸基を有する。この場合、タイヤの耐久性が更に向上する。
本発明のタイヤの他の好適例においては、前記アルデヒド類が、芳香族環を有する。この場合、タイヤの耐久性が更に向上する。
本発明のタイヤの他の好適例においては、前記アルデヒド類が、2つ以上のアルデヒド基を有する。この場合、タイヤの耐久性が更に向上する。
本発明のタイヤの他の好適例においては、前記接着剤組成物が、更にイソシアネート化合物を含む。この場合、タイヤの耐久性が更に向上する。
ここで、前記イソシアネート化合物が、(ブロックド)イソシアネート基含有芳香族化合物であることが好ましい。この場合、タイヤの耐久性が更に向上する。
本発明のタイヤの他の好適例においては、前記接着剤組成物が、更にゴムラテックスを含む。この場合、タイヤの耐久性が更に向上する。
ここで、前記ゴムラテックスが、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、ハロゲン化ブチルゴム、アクリロニリトル−ブタジエンゴム(NBR)及びビニルピリジン−スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(Vp)からなる群から選択される少なくとも一種を含むことが好ましい。この場合、タイヤの耐久性が更に向上する。
本発明によれば、燃費性能に優れ、環境への負荷を低減したタイヤを提供することができる。
本発明のタイヤの一実施態様の断面図である。
以下に、本発明のタイヤを、その実施形態に基づき、詳細に例示説明する。
本発明のタイヤは、ポリフェノール類と、アルデヒド類と、を含む接着剤組成物で処理した有機繊維コードを具え、
トレッド部に、天然ゴム及び合成イソプレンゴムからなる群から選択される少なくとも1種のイソプレン系ゴムを40質量%以上含むゴム成分(A)と、熱可塑性樹脂(B)と、シリカを50質量%以上含む充填剤(C)と、を含み、前記熱可塑性樹脂(B)の含有量が、前記ゴム成分(A)100質量部に対して5〜50質量部であり、0℃におけるtanδが0.5以下であり、30℃におけるtanδと60℃におけるtanδとの差が0.070以下であり、動歪1%、0℃における貯蔵弾性率が20MPa以下であるトレッドゴムを具えることを特徴とする。
本発明のタイヤにおいては、有機繊維コードが、ポリフェノール類と、アルデヒド類と、を含む接着剤組成物で処理されており、レゾルシンが使用されていないため、環境への負荷を低減することができる。また、ポリフェノール類と、アルデヒド類と、を含む接着剤組成物で処理することで、有機繊維コードとゴムとの接着性を向上させることができるため、本発明のタイヤは、十分な耐久性を有する。
また、本発明のタイヤのトレッドゴムにおいては、ゴム成分(A)中のイソプレン系ゴムの含有率を40質量%以上とすることで、低温、特には0℃での損失正接(tanδ)が低下し、0℃におけるtanδが0.5以下となることで、タイヤの低温での燃費性能が向上する。
また、本発明のタイヤのトレッドゴムにおいては、配合する充填剤(C)中のシリカの含有率を50質量%以上とすることで、60℃におけるtanδが低下し、タイヤの通常走行時の燃費性能が向上する。
また、本発明のタイヤのトレッドゴムにおいては、30℃におけるtanδと60℃におけるtanδとの差を0.070以下とすることで、tanδの温度依存性が小さくなり、広い温度領域に渡って、タイヤの燃費性能を改善することが可能となる。
従って、本発明のタイヤは、燃費性能に優れ、環境への負荷が低減されている。
また、本発明のタイヤのトレッドゴムにおいては、熱可塑性樹脂(B)を規定量配合することで、低歪領域での弾性率の低下を抑制しつつ、高歪領域での弾性率を低下させることができる。そのため、本発明のタイヤにおいては、走行時の歪が大きい路面との接地面近傍のトレッドゴムの変形体積を大きくしつつ、走行時の歪が小さい路面との接地面から遠い部分のトレッドゴムの剛性を確保できる。
また、湿潤路面での摩擦係数(μ)は、トレッドゴム全体の剛性と、トレッドゴムの変形量と、損失正接(tanδ)との積に比例するため、本発明のタイヤは、低温での損失正接(tanδ)の低下を、トレッドゴム全体の剛性を確保しつつトレッドゴムの変形量を増加させることで補い、湿潤路面での摩擦係数(μ)を十分に維持することができる。そのため、本発明のタイヤは、低温での損失正接(tanδ)が低いことで、低温での燃費性能が高く、且つ、湿潤路面での摩擦係数(μ)が高いことで、ウェット性能も十分に確保することができる。
本発明のタイヤにおいて、前記有機繊維コードの適用部位は、特に限定されない。例えば、タイヤのカーカス、ベルト、ベルト補強層等に使用でき、これらの中でも、カーカス及び/又はベルト補強層に使用することが好ましい。
本発明の一好適態様のタイヤは、一対のビード部間にトロイド状に延在するカーカスを具え、該カーカスが、前記有機繊維コードを含む。この場合、カーカスの耐久性が向上するため、タイヤの耐久性が更に向上する。
また、本発明の他の一好適態様のタイヤは、トレッド部に配置したベルトと、該ベルトのタイヤ半径方向外側に配置したベルト補強層と、を具え、該ベルト補強層が、前記有機繊維コードを含むことも好ましい。この場合、ベルト補強層の耐久性が向上するため、タイヤの耐久性が更に向上する。
以下に、本発明のタイヤの一実施態様を図面に基づき、詳細に説明する。
図1は、本発明のタイヤの一実施態様の断面図である。図1に示すタイヤは、一対のビード部1と、一対のサイドウォール部2と、トレッド部3と、ビード部1に埋設されたビードコア4間にトロイド状に延在させたカーカス(好ましくはラジアルカーカス)5と、トレッド部3に配置した(より詳しくは、カーカス5のクラウン部のタイヤ半径方向外側に配置した)2枚のベルト層からなるベルト6と、該ベルト6のタイヤ半径方向外側でベルト6の全体を覆うように配置したベルト補強層7Aと、該ベルト補強層7Aの両端部のみを覆うように配置した一対のベルト補強層7Bとを具える。
図示例のタイヤにおいて、カーカス5は、一枚のカーカスプライから構成されており、また、ビード部1内に夫々埋設した一対のビードコア4間にトロイド状に延在する本体部と、各ビードコア4の周りでタイヤ幅方向の内側から外側に向けて半径方向外方に巻上げた折り返し部とからなるが、本発明のタイヤにおいて、カーカス5のプライ数及び構造は、これに限られるものではない。ここで、カーカス5を構成するカーカスプライは、複数の補強コードを被覆ゴムで被覆してなり、該補強コードとしては、前記接着剤組成物で処理した有機繊維コードが用いられることが好ましい。なお、タイヤのその他の部位(例えば、後述するベルト補強層)に、前記接着剤組成物で処理した有機繊維コードが用いられる場合、カーカス5を構成するカーカスプライの補強コードは、前記接着剤組成物で処理した有機繊維コード以外のコードであってもよい。
また、図示例のタイヤのベルト6は、二枚のベルト層から構成されており、各ベルト層は、通常、タイヤ赤道面に対して傾斜して延びるコードのゴム引き層、好ましくは、スチールコードのゴム引き層からなり、更に、二枚のベルト層が、該ベルト層を構成するコードが互いにタイヤ赤道面を挟んで交差するように積層されてベルト6を構成している。
なお、図中のベルト6は、二枚のベルト層からなるが、本発明のタイヤにおいて、ベルト6を構成するベルト層の枚数は、一枚以上であればよく、これに限られるものではない。
また、図示例のタイヤにおいて、ベルト補強層7A,7Bは、タイヤ周方向に対し実質的に平行に配列した補強コードのゴム引き層からなる。該ベルト補強層7A,7Bは、補強コードを被覆ゴムでゴム引きして準備した幅狭のストリップ(ゴム−コード複合体)をタイヤ周方向に連続して螺旋状に巻回して形成されている。この場合、タイヤ周方向にジョイント部がないため、タイヤのユニフォミティーが良好となり、また、ジョイント部がないため、ジョイント部への歪集中も防止できる。ベルト補強層7A,7Bの補強コードとしては、そのいずれかの補強層において、好ましくは両方の補強層において、前記接着剤組成物で処理した有機繊維コードが用いられることが好ましい。なお、タイヤのその他の部位(例えば、上述のカーカス)に、前記接着剤組成物で処理した有機繊維コードが用いられる場合、ベルト補強層7A,7Bの補強コードは、前記接着剤組成物で処理した有機繊維コード以外のコードであってもよい。
なお、図示例のタイヤは、ベルト補強層7A及び7Bを具えるが、ベルト補強層7A及び7Bのいずれか一方が省略されたタイヤも本発明のタイヤの一実施態様であり、また、ベルト補強層7A及び7Bの両方が省略されたタイヤも本発明のタイヤの一実施態様である。また、図示例のタイヤにおいては、ベルト補強層7A,7Bはそれぞれ一層であるが、二層以上であってもよい。
<接着剤組成物>
本発明のタイヤは、ポリフェノール類と、アルデヒド類と、を含む接着剤組成物で処理した有機繊維コードを具える。
カーカスや、ベルト補強層等に用いられる有機繊維コードをコーティングする接着剤組成物を、特定のポリフェノール類及びアルデヒド類を含有する接着剤組成物から構成することで、環境への負荷を考慮してレゾルシンを用いない場合であっても、良好な接着性を実現できる。
(ポリフェノール類)
前記接着剤組成物は、樹脂成分としてポリフェノール類を含む。接着剤組成物中にポリフェノール類を含むことで、樹脂組成物の接着性を高めることができる。
ここで、前記ポリフェノール類については、水溶性のポリフェノール類であり、レゾルシン(レゾルシノール)以外のポリフェノールであれば限定はされず、芳香族環の数や、水酸基の数についても、適宜選択することができる。
また、前記ポリフェノール類は、より優れた接着性を実現する観点からは、2つ以上の水酸基を有することが好ましく、3つ以上の水酸基を有することがより好ましい。3つ以上の水酸基を有することにより、水分を含む接着剤組成物液に、前記ポリフェノール類又は前記ポリフェノール類の縮合物が、より溶解することで接着剤組成物内に均一に分布できるので、より優れた接着性を実現できる。
更に、前記ポリフェノール類が、複数個(2個以上)の芳香環を含むポリフェノール類の場合、それらの芳香環では、各々、2個又は3個の水酸基がオルト、メタ又はパラ位に存在する。
上述した3つ以上の水酸基を有するポリフェノール類としては、例えば、下記構造式(1)で示されるフロログルシノール、下記構造式(2)で示されるモリン(即ち、2’,4’,3,5,7−ペンタヒドロキシフラボン)、下記構造式(3)で示されるフロログルシド(即ち、2,4,6,3,’5’−ビフェニルペントール)等が挙げられる。これらポリフェノール類は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
Figure 2021142862
前記接着剤組成物中のポリフェノール類の含有量は、後述するアルデヒド類との固形分としての質量比が好適範囲となるように、適宜調整することが好ましい。
(アルデヒド類)
前記接着剤組成物は、上述したポリフェノール類に加えて、樹脂成分としてアルデヒド類を含む。接着剤組成物中にアルデヒド類を含有することで、上述したポリフェノール類と共に高い接着性を実現できる。
ここで、前記アルデヒド類については、特に限定はされず、要求される性能に応じて、適宜選択することができる。なお、本発明では、前記アルデヒド類が発生源であるアルデヒド類の誘導体も、アルデヒド類の範囲に含まれる。
前記アルデヒド類としては、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ブチルアルデヒド、アクロレイン、プロピオンアルデヒド、クロラール、ブチルアルデヒド、カプロアルデヒド、アリルアルデヒド等のモノアルデヒドや、グリオキザール、マロンアルデヒド、スクシンアルデヒド、グルタルアルデヒド、アジポアルデヒド等の脂肪族ジアルデヒド類、芳香族環を有するアルデヒド、ジアルデヒドデンプン等が挙げられる。これらのアルデヒド類は、一種類を用いても、複数種を混合して用いてもよい。
これらの中でも、前記アルデヒド類は、芳香族環を有するアルデヒド類を含有することが好ましい。より優れた接着性を得ることができるためである。
なお、前記アルデヒド類については、ホルムアルデヒドを含まないことが好ましい。ここで、「ホルムアルデヒドを含まない」とは、アルデヒド類の総質量中の、ホルムアルデヒドの含有量が0.5質量%未満であることを意味する。
また、前記芳香環を有するアルデヒド類は、1分子内に、少なくとも1つの芳香環を含み、少なくとも1つのアルデヒド基を有する芳香族アルデヒドである。前記芳香環を有するアルデヒド類は、環境への負荷が少なく、また、優れた機械的強度、電気絶縁性、耐酸性、耐水性、耐熱性等を備えた、比較的安価な樹脂を形成することができる。
また、前記アルデヒド類は、より優れた接着性を実現する観点からは、2つ以上のアルデヒド基を有することが好ましい。前記アルデヒド類が、複数のアルデヒド基により架橋し、縮合することによって、熱硬化性樹脂の架橋度を高くすることができるため、接着性をより高めることができる。
さらに、前記アルデヒド類が、2つ以上のアルデヒド基を有する場合、1つの芳香族環において、2つ以上のアルデヒド基が存在することがより好ましい。なお、各アルデヒド基は、1つの芳香族環において、オルト、メタ又はパラの位置に存在することができる。
このようなアルデヒド類としては、例えば、下記構造式(4):
Figure 2021142862
で表される1,4−ベンゼンジカルボアルデヒド、更には、1,2−ベンゼンジカルボアルデヒド、1,3−ベンゼンジカルボアルデヒド、2−ヒドロキシベンゼン−1,3,5−トリカルボアルデヒド、これらの化合物の混合物等が挙げられる。
これらの中でも、より優れた接着性を実現できる観点から、前記芳香族環を有するアルデヒド類として、1,4−ベンゼンジカルボアルデヒドを少なくとも用いることが好ましい。
また、前記芳香族環を有するアルデヒド類については、ベンゼン環を有するものだけでなく、複素芳香族化合物も含まれる。
前記複素芳香族化合物であるアルデヒド類としては、例えば、下記一般式(5)で示されるフラン環を有するアルデヒド類が挙げられる。
Figure 2021142862
式中、Xは、Oであり、Rは、−H、−CHO又は−CHOHを示す。
上記のフラン環を有するアルデヒド類として、例えば、下記一般式(6)で示されるフランカルボアルデヒド、下記一般式(7)で示されるフランジカルボアルデヒド等が挙げられる。
Figure 2021142862
また、前記フランカルボアルデヒドとしては、下記構造式(8)で表される2−フランカルボアルデヒド、更には、3−フランカルボアルデヒドが挙げられる。
また、前記フランジカルボアルデヒドとしては、下記構造式(9)で表される2,5−フランジカルボアルデヒド、更には、2,3−フランジカルボアルデヒド、2,4−フランジカルボアルデヒド、3,4−フランジカルボアルデヒドが挙げられる。
更に、他のフラン環を有するアルデヒド類としては、下記構造式(10)で表される5−ヒドロキシメチル−2−フランカルボアルデヒドが挙げられる。
Figure 2021142862
なお、前記接着剤組成物では、前記ポリフェノール類及び前記アルデヒド類が縮合された状態であり、前記ポリフェノール類と前記アルデヒド類との質量比(アルデヒド類の含有量/ポリフェノール類の含有量)は、0.1以上、3以下であることが好ましく、0.25以上、2.5以下であることがより好ましい。前記ポリフェノール類と前記アルデヒド類との間では、縮合反応が起こるが、上記質量比の好適範囲内であれば、その生成物である樹脂の硬度、接着性がより適したものになるからである。
また、前記接着剤組成物中の、前記ポリフェノール類及び前記アルデヒド類の合計含有量は、3〜30質量%であることが好ましく、5〜25質量%であることがより好ましい。該好適範囲内であれば、作業性等を悪化させることなく、より優れた接着性を確保できるためである。
なお、前記ポリフェノール類及び前記アルデヒド類の質量比並びに合計含有量は、乾燥物の質量での値(固形分比)である。
(イソシアネート化合物)
前記接着剤組成物は、上述したポリフェノール類及びアルデヒド類に加えて、イソシアネート化合物を更に含むことが好ましい。接着剤組成物がイソシアネート化合物を含む場合、ポリフェノール類及びアルデヒド類との相乗効果によって、接着剤組成物の接着性を大きく高めることができる。
ここで、前記イソシアネート化合物は、接着剤組成物の被着体である樹脂材料(即ち、有機繊維コード)への接着を促進する作用を有する化合物であって、極性官能基としてイソシアネート基を有する化合物である。
前記イソシアネート化合物の種類については、特に限定はされないが、接着性をより向上できる観点から、(ブロックド)イソシアネート基含有芳香族化合物であることが好ましい。前記接着剤組成物中に、前記イソシアネート化合物を含ませると、被着体繊維と接着剤組成物の界面近傍の位置に(ブロックド)イソシアネート基含有芳香族化合物が分布し、接着を促進する効果が得られ、この作用効果により、有機繊維コードとの接着をより高度化することができる。
前記(ブロックド)イソシアネート基含有芳香族化合物は、(ブロックド)イソシアネート基を有する芳香族化合物である。また、「(ブロックド)イソシアネート基」とは、ブロックドイソシアネート基又はイソシアネート基を意味し、イソシアネート基の他、イソシアネート基に対するブロック化剤と反応して生じたブロックドイソシアネート基、イソシアネート基に対するブロック化剤と未反応のイソシアネート基、又はブロックドイソシアネート基のブロック化剤が解離して生じたイソシアネート基等を含む。
さらに、前記(ブロックド)イソシアネート基含有芳香族化合物は、芳香族類がアルキレン鎖で結合された分子構造を含むことが好ましく、芳香族類がメチレン結合した分子構造を含むことがより好ましい。芳香族類がアルキレン鎖で結合された分子構造としては、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリフェニレンポリメチレンポリイソシアネート、又はフェノール類とホルムアルデヒドとの縮合物等にみられる分子構造が挙げられる。
なお、前記(ブロックド)イソシアネート基含有芳香族化合物としては、例えば、芳香族ポリイソシアネートと熱解離性ブロック化剤を含む化合物、ジフェニルメタンジイソシアネート又は芳香族ポリイソシアネートを熱解離性ブロック化剤でブロック化した成分を含む水分散性化合物、水性ウレタン化合物等が挙げられる。
前記芳香族ポリイソシアネートと熱解離性ブロック化剤とを含む化合物としては、ジフェニルメタンジイソシアネートと公知のイソシアネートブロック化剤を含むブロックドイソシアネート化合物等が好適に挙げられる。上記ジフェニルメタンジイソシアネート又は芳香族ポリイソシアネートを熱解離性ブロック化剤でブロック化した成分を含む水分散性化合物としては、ジフェニルメタンジイソシアネート又はポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートを、イソシアネート基をブロックする公知のブロック化剤でブロックした反応生成物が挙げられる。具体的には、エラストロンBN69(第一工業製薬(株)製)、エラストロンBN77(第一工業製薬(株)製)、メイカネートTP−10(明成化学工業(株)製)等の市販のブロックドポリイソシアネート化合物を用いることができる。
前記水性ウレタン化合物は、芳香族類がアルキレン鎖で結合された分子構造、好ましくは芳香族類がメチレン結合した分子構造を含有する有機ポリイソシアネート化合物(α)と、複数の活性水素を有する化合物(β)と、イソシアネート基に対する熱解離性ブロック化剤(γ)とを反応させて得られる。また、水性ウレタン化合物は、その可撓性のある分子構造から、接着改良剤としての作用のみならず、可撓性のある架橋剤として接着剤の高温時流動化を抑止する作用も有する。
なお、「水性」とは、水溶性または水分散性であることを示し、「水溶性」とは必ずしも完全な水溶性を意味するのではなく、部分的に水溶性のもの、あるいは、前記接着剤組成物の水溶液中で相分離しないものを意味する。
ここで、前記水性ウレタン化合物としては、例えば、下記一般式(11):
Figure 2021142862
[式中、Aは芳香族類がアルキレン鎖で結合された分子構造を含有する有機ポリイソシアネート化合物(α)の活性水素が脱離した残基を示し、Yはイソシアネート基に対する熱解離性ブロック化剤(γ)の活性水素が脱離した残基を示し、Zは化合物(δ)の活性水素が脱離した残基を示し、Xは複数の活性水素を有する化合物(β)の活性水素が脱離した残基であり、nは2〜4の整数であり、p+mは2〜4の整数(m≧0.25)である。]で表される水性ウレタン化合物が好ましい。
なお、前記芳香族類がアルキレン鎖で結合された分子構造を含有する有機ポリイソシアネート化合物(α)としては、メチレンジフェニルポリイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート等が挙げられる。
また、前記複数の活性水素を有する化合物(β)は、好ましくは2〜4個の活性水素を有し、平均分子量が5,000以下の化合物である。かかる化合物(β)としては、(i)2〜4個の水酸基を有する多価アルコール類、(ii)2〜4個の第一級及び/又は第二級アミノ基を有する多価アミン類、(iii)2〜4個の第一級及び/又は第二級アミノ基と水酸基を有するアミノアルコール類、(iv)2〜4個の水酸基を有するポリエステルポリオール類、(v)2〜4個の水酸基を有するポリブタジエンポリオール類及びそれらと他のビニルモノマーとの共重合体、(vi)2〜4個の水酸基を有するポリクロロプレンポリオール類及びそれらと他のビニルモノマーとの共重合体、(vii)2〜4個の水酸基を有するポリエーテルポリオール類であって、多価アミン、多価フェノール及びアミノアルコール類のC2〜C4のアルキレンオキサイド重付加物、C3以上の多価アルコール類のC2〜C4のアルキレンオキサイド重付加物、C2〜C4のアルキレンオキサイド共重合物、又はC3〜C4のアルキレンオキサイド重合物等が挙げられる。
さらに、前記イソシアネート基に対する熱解離性ブロック化剤(γ)は、熱処理によりイソシアネート基を遊離することが可能な化合物であり、公知のイソシアネートブロック化剤が挙げられる。
さらにまた、前記化合物(δ)は、少なくとも1つの活性水素とアニオン性及び/又は非イオン性の親水性基を有する化合物である。少なくとも1つの活性水素とアニオン性の親水基を有する化合物としては、例えば、タウリン、N−メチルタウリン、N−ブチルタウリン、スルファニル酸等のアミノスルホン酸類、グリシン、アラニン等のアミノカルボン酸類等が挙げられる。一方、少なくとも1つの活性水素と非イオン性の親水基を有する化合物としては、例えば、親水性ポリエーテル鎖を有する化合物類が挙げられる。
また、前記接着剤組成物における、前記イソシアネート化合物の含有量は、特に限定はされないが、より確実に優れた接着性を確保する観点から、5〜65質量%の範囲であることが好ましく、10〜45質量%であることがより好ましい。
なお、前記イソシアネート化合物の含有量は、乾燥物の質量での値(固形分比)である。
(ゴムラテックス)
前記接着剤組成物は、上述したポリフェノール類、アルデヒド類及びイソシアネート化合物に加えて、実質的にはゴムラテックスを更に含むことができる。接着剤組成物がゴムラテックスを含むことで、ゴム部材との接着性をより高めることができるためである。
前記ゴムラテックスは、ゴム成分の微粒子を水等に分散させたものである。なお、ゴムラテックス中のゴム成分の濃度は、10〜60質量%の範囲が好ましく、20〜50質量%の範囲が更に好ましい。
ここで、前記ゴムラテックスのゴム成分については、特に限定はされず、天然ゴム(NR)の他、イソプレンゴム(IR)、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、ハロゲン化ブチルゴム、アクリロニリトル−ブタジエンゴム(NBR)、ビニルピリジン−スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(Vp)等の合成ゴムを用いることができる。これらのゴム成分は、一種単独で用いてもよいし、二種以上をブレンドして用いてもよい。
また、前記ゴムラテックスについては、前記イソシアネート化合物を配合する前に、前記フェノール類及び前記アルデヒド類と混合させることが好ましい。
さらに、前記接着剤組成物中の前記ゴムラテックスの含有量は、固形分(ゴム成分)として、20〜70質量%であることが好ましく、25〜60質量%であることがより好ましい。
(接着剤組成物の製造方法)
前記接着剤組成物の製造方法は、特に限定はされないが、例えば、前記ポリフェノール類、前記アルデヒド類、前記ゴムラテックス等の原材料を混合し、熟成する方法、又は、前記ポリフェノール類と前記アルデヒド類とを混合して熟成した後に、前記ゴムラテックスを更に加えて熟成する方法、等が挙げられる。また、前記イソシアネート化合物を含む場合には、前記ゴムラテックスを加え、熟成した後に、イソシアネート化合物を加えることができる。
また、前記ポリフェノール類及びアルデヒド類は、水に溶解させて、水溶液として使用することが好ましい。この際、ポリフェノール類及びアルデヒド類が水に溶解し難い場合は、水の温度を、好ましくは40℃以上、より好ましくは60℃以上に加温することが好ましい。或いは、水に、水酸化ナトリウム水溶液、アンモニア水溶液等を加えて、アルカリ性にすることも好ましい。
<ゴム−有機繊維コード複合体>
本発明のタイヤは、前記接着剤組成物がコーティングされた有機繊維コードを有しており、前記接着剤組成物がコーティングされた有機繊維コードは、コーティングゴム等のゴム部材と接着し、ゴム−有機繊維コード複合体を形成している。
得られたゴム−有機繊維コード複合体は、前記接着剤組成物を用いているため、環境への負荷が小さい。
ここで、本発明のタイヤにおいて、前記ゴム−有機繊維コード複合体は、例えば、前記カーカス5、前記ベルト6、前記ベルト補強層7A,7B、フリッパー等のベルト周り補強層(図示せず)等として用いることが可能である。
これらの中でも、前記ゴム−有機繊維コード複合体は、カーカス5及び/又はベルト補強層7A,7Bに用いられることが好ましい。前記接着剤組成物がコーティングされた有機繊維コードの環境への負荷低減や、有機繊維とゴム部材との優れた接着性等を、より効果的に発揮できるためである。
なお、前記ゴム−有機繊維コード複合体において、前記接着剤組成物は、前記有機繊維コードの少なくとも一部を覆っていればよいが、ゴムと有機繊維コードとの接着性をより向上できる点からは、前記接着剤組成物が前記有機繊維コードの全面にコーティングされていることが好ましい。
また、有機繊維コードの少なくとも一部に、上記の接着剤組成物をコーティングする方法としては、特に限定されず、例えば、浸漬、塗布、吹き付け等が挙げられる。また、上述した接着剤組成物が溶媒を含有する場合には、コーティング後、乾燥処理により溶媒を除去することができる。
前記有機繊維コードの材質については、特に限定はされず、用途によって適宜選択することができる。有機繊維コードとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステルからなる繊維コード、6−ナイロン、6,6−ナイロン、4,6−ナイロン等の脂肪族ポリアミドからなる繊維コード、ポリケトンからなる繊維コード、パラフェニレンテレフタルアミド等の芳香族ポリアミドからなる繊維コード、レーヨン等のセルロース系繊維コードが挙げられる。
前記有機繊維コードの形態としては、特に限定されず、モノフィラメント、又は、複数の単繊維フィラメントを撚り合わせてなる有機繊維コードを用いることができる。この場合の単繊維フィラメントの平均径は、ゴム物品に十分に高い補強性をもたらす観点から、2μm以上であることが好ましく、15μm以上であることがより好ましく、また、50μm以下であることが好ましい。
前記ゴム−有機繊維コード複合体において、前記有機繊維コードは、上記の接着剤組成物によるコーティングの前処理として、イソシアネート化合物及び/又はエポキシ化合物を含有する溶液で処理されていてもよい。
なお、有機繊維コードに前処理を施さずに、上述の接着剤組成物で有機繊維コードを直接処理する処理形態を「1浴処理」と呼ぶことがあり、一方、有機繊維コードに前処理を施した後、上述の接着剤組成物で有機繊維コードを処理する処理形態を「2浴処理」と呼ぶことがある。
ここで、前処理用の溶液に用いるイソシアネート化合物としては、上述の接着剤組成物に含有させることができるイソシアネート化合物を同様に使用することができる。該イソシアネート化合物は、接着剤組成物の被着体である有機繊維コードへの接着を促進する作用を有する。
前処理用の溶液中の、前記イソシアネート化合物の含有量は、特に限定されるものではないが、固形分の比として、5〜50質量%の範囲が好ましい。イソシアネート化合物の含有量が5質量%以上であれば、前記接着剤組成物からなる接着剤層の強度、耐薬品性が向上し、有機繊維コードとの密着性・接着性も向上する。また、イソシアネート化合物の含有量が50質量%以下であれば、前記接着剤層の高温での凝集破壊抗力を十分に確保することができ、高温での接着力も十分となる。
また、上述の前処理用の溶液に用いるエポキシ化合物としては、1分子内に少なくとも1つのエポキシ基を有する種々の化合物を使用できる。該エポキシ化合物は、上述の接着剤組成物の架橋剤として作用し、優れた接着性、耐熱性、耐久性、強度、可撓性、電気的絶縁性等を有する。
前記エポキシ化合物は、特に限定されるものではないが、1分子内にエポキシ基を2つ以上有する化合物であることが好ましく、4つ以上有する化合物であることがより好ましい。エポキシ化合物が、1分子内にエポキシ基を2つ以上有すると、当該化合物がエポキシ基による架橋剤として効果的に機能を発揮し、4つ以上有すると、より密に架橋が行われ、可撓性もより付与される。
また、前記エポキシ化合物は、特に限定されるものではないが、1分子内にエポキシ基を10個以下有することが好ましい。この場合、架橋密度が過度になりすぎず、靭性も備えるようになる。
前記エポキシ化合物として、具体的には、ジエチレングリコール・ジグリシジルエーテル、ポリエチレン・ジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコール・ジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコール・ジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオール・ジグリシジルエーテル、グリセロール・ポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパン・ポリグリシジルエーテル、ポリグリセロール・ポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリチオール・ポリグリシジルエーテル、ジグリセロール・ポリグリシジルエーテル、ソルビトール・ポリグリシジルエーテル等の多価アルコール類とエピクロルヒドリンとの反応生成物が挙げられる。前記エポキシ化合物として、これらの化合物を使用すると、有機繊維コードとゴムとの間の接着性を更に向上させることができる。
上述の前処理用の溶液中の、前記エポキシ化合物の含有量は、特に限定されるものではないが、固形分の比として、50質量%〜95質量%の範囲が好ましい。50質量%以上であれば、前記接着剤組成物からなる接着剤層中でエポキシ樹脂による架橋がより形成され、高温での凝集破壊抗力、接着力がより向上し、可撓性もより付与される。また、95質量%以下であれば、前記接着剤層で形成される樹脂架橋は十分であり、靭性もより備えるようになる。
前記ゴム−有機繊維コード複合体のゴム部材としては、少なくともゴム成分を含む、種々のゴム組成物(原材料)を使用することができ、該ゴム組成物を加硫して得られる加硫ゴムから、前記ゴム部材を形成することが好ましい。該ゴム組成物は、例えば、天然ゴムや合成ゴム(ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、イソプレンゴム等)からなるゴム成分に対して、カーボンブラック、シリカ等の充填剤、硫黄、過酸化物等の架橋剤、架橋促進剤等を配合して、混練り、熱入れ、押出等することにより製造することができる。
前記ゴム−有機繊維コード複合体は、例えば、前記有機繊維コードの少なくとも一部を上記の接着剤組成物でコーティングし、該接着剤組成物でコーティングされた有機繊維コードを、前記ゴム部材の原材料となる未加硫状態のゴム組成物で被覆して、未加硫ゴム−有機繊維コード複合体を作製し、その後、加硫することで、製造することができる。
<トレッドゴム>
本発明のタイヤは、トレッド部3に、天然ゴム及び合成イソプレンゴムからなる群から選択される少なくとも1種のイソプレン系ゴムを40質量%以上含むゴム成分(A)と、熱可塑性樹脂(B)と、シリカを50質量%以上含む充填剤(C)と、を含み、前記熱可塑性樹脂(B)の含有量が、前記ゴム成分(A)100質量部に対して5〜50質量部であり、0℃におけるtanδが0.5以下であり、30℃におけるtanδと60℃におけるtanδとの差が0.070以下であり、動歪1%、0℃における貯蔵弾性率が20MPa以下であるトレッドゴムを具える。
本発明のタイヤのトレッドゴムは、低温での燃費性能を向上させる観点から、0℃におけるtanδが0.5以下であり、好ましくは0.45以下、より好ましくは0.4以下である。なお、0℃におけるtanδの下限は特に限定されるものではないが、通常、0℃におけるtanδは、0.15以上である。トレッドゴムの0℃におけるtanδが0.5を超えると、タイヤの低温での燃費性能を十分に改善することができない。
なお、本発明のタイヤのトレッドゴムは、30℃におけるtanδが0.4以下であることが好ましく、より好ましくは0.35以下であり、また、通常は0.1以上である。更に、本発明のタイヤのトレッドゴムは、60℃におけるtanδが0.35以下であることが好ましく、より好ましくは0.3以下であり、また、通常は0.05以上である。この場合、広い温度範囲に渡って、タイヤの燃費性能を改善できる。
本発明のタイヤのトレッドゴムは、燃費性能の温度依存性を低減する観点から、30℃におけるtanδと60℃におけるtanδとの差が0.070以下であり、好ましくは0.060以下、より好ましくは0.055以下、さらにより好ましくは0.050以下である。なお、30℃におけるtanδと60℃におけるtanδとの差の下限は特に限定されるものではなく、該差は0でもよい。ゴム組成物の30℃におけるtanδと60℃におけるtanδとの差が0.070を超えると、タイヤの燃費性能の温度依存性を十分に低減することができない。
また、本発明のタイヤのトレッドゴムは、ウェット性能の向上及び燃費性能の温度依存性を低減する観点から、0℃におけるtanδと30℃におけるtanδとの差が0.30以下であることが好ましく、0.14〜0.30であることが更に好ましく、より一層好ましくは0.15〜0.25、特に好ましくは0.16〜0.20以下である。
また、本発明のタイヤのトレッドゴムは、燃費性能の温度依存性を低減する観点から、0℃におけるtanδと60℃におけるtanδとの差が0.35以下であることが好ましく、より好ましくは0.24以下、より一層好ましくは0.23以下であり、該差は0でもよい。
本発明のタイヤのトレッドゴムは、ウェット性能の観点から、動歪1%、0℃における貯蔵弾性率(E’)が20MPa以下であり、好ましくは18MPa以下、より好ましくは16MPa以下、また、好ましくは3MPa以上、より好ましくは5MPa以上である。動歪1%、0℃における貯蔵弾性率が20MPa以下であれば、低温でのトレッドゴムの柔軟性が高く、トレッドゴムの接地性能が良くなり、タイヤのウェット性能を向上させることができる。
本発明のタイヤのトレッドゴムは、ウェット性能の観点から、引張強さ(Tb)が20MPa以上であることが好ましく、より好ましくは23MPa以上である。トレッドゴムの引張強さが20MPa以上であると、トレッドゴム全体としての剛性が向上できる。
(ゴム成分)
本発明のタイヤのトレッドゴムのゴム成分(A)は、天然ゴム及び合成イソプレンゴムからなる群から選択される少なくとも1種のイソプレン系ゴムを40質量%以上、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上含む。なお、ゴム成分(A)中のイソプレン系ゴムの含有率の上限は特に限定されず、ゴム成分(A)の全量がイソプレン系ゴムであってもよい。ゴム成分(A)中のイソプレン系ゴムの含有率が40質量%以上であれば、トレッドゴムの低温での損失正接(tanδ)が小さくなり、タイヤの低温での燃費性能を改善することができる。
前記ゴム成分(A)としては、天然ゴム(NR)及び合成イソプレンゴム(IR)の他、ポリブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、スチレン−イソプレン共重合体ゴム(SIR)等の合成ジエン系ゴムを含んでもよく、また、他の合成ゴムを含んでもよい。これらゴム成分(A)は、1種単独で用いてもよいし、2種以上のブレンドとして用いてもよい。
本発明のタイヤの一実施態様においては、前記ゴム成分(A)が、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)を10〜30質量%含むことが好ましく、10〜20質量%含むことが更に好ましい。SBRを配合することで、ゴム組成物のガラス転移点(Tg)を高め、乾燥路面での制動性能と、操縦安定性を向上させることができる。ゴム成分(A)中のSBRの含有量が10質量%以上であれば、上記の効果が充分に得られ、た、ゴム成分(A)中のSBRの含有量が30質量以下であると、上述のイソプレン系ゴムの効果が発揮されて、タイヤの燃費性能が向上する。
本発明のタイヤの一実施対応においては、前記ゴム成分(A)が、結合スチレン量が15%以下のスチレン−ブタジエン共重合体ゴム(低StSBR)を含む。
スチレン−ブタジエン共重合体ゴムの結合スチレン量とは、スチレン−ブタジエン共重合体ゴムに含まれるスチレン単位の割合を意味する。
ゴム成分が低StSBRを含有することで、ウェットグリップ性に優れる。低StSBRの結合スチレン量は、14%以下であることが好ましく、13%以下であることがより好ましく、12%以下であることが更に好ましい。また、低StSBRの結合スチレン量は、5%以上であることが好ましく、7%以上であることがより好ましく、8%以上であることが更に好ましい。
ゴム成分(A)中の低StSBRの含有量は、ウェットグリップ性を向上させ、転がり抵抗をより低くする観点から、10質量%以上であることが好ましく、15質量%以上であることがより好ましく、20質量%以上であることがより好ましく、23質量%以上であることがより好ましく、28質量%以上であることがより好ましく、28質量%以上であることがより好ましく、31質量%以上であることが更に好ましい。また、ゴム成分(A)中の低StSBRの含有量は、60質量%以下であることが好ましく、58質量%以下であることがより好ましく、53質量%以下であることがより好ましく、48質量%以下であることがより好ましく、45質量%以下であることが更に好ましい。
また、前記ゴム成分(A)は、更に、結合スチレン量が30%以上のスチレン−ブタジエン共重合体ゴム(高StSBR)を含むことが好ましい。ゴム成分(A)が、低StSBRに加え、更に高StSBRを含有することで、転がり抵抗をより低くすることができる。
転がり抵抗をより低くする観点から、高StSBRの結合スチレン量は、35%以上であることがより好ましく、38%以上であることがより好ましく、39%以上であることが更に好ましい。また、高StSBRの結合スチレン量は、60%以下であることがより好ましく、50%以下であることがより好ましく、45%以下であることがより好ましく、43%以下であることがより好ましく、42%以下であることが更に好ましい。
ゴム成分(A)中の高StSBRの含有量は、5質量%以上であることが好ましく、110質量%以上であることがより好ましく、15質量%以上であることがより好ましい。ゴム成分(A)中の高StSBRの含有量は、50質量%以下であることが好ましく、40質量%以下であることがより好ましい。
SBRの結合スチレン量は、SBRの重合に用いる単量体の量、重合度等により調整することができる。また、SBRの結合スチレン量は、赤外法(モレロ法)で求めることができる。
(熱可塑性樹脂)
本発明のタイヤのトレッドゴムは、熱可塑性樹脂(B)を含む。トレッドゴムが熱可塑性樹脂(B)を含有することで、低歪領域での弾性率の低下を抑制しつつ、高歪領域での弾性率を低下させることができる。そのため、熱可塑性樹脂(B)をトレッドゴムに適用することで、走行時の歪が大きい路面との接地面近傍のトレッドゴムの変形体積を大きくしつつ、走行時の歪が小さい路面との接地面から遠い部分のトレッドゴムの剛性を確保でき、その結果として、湿潤路面での摩擦係数(μ)が高くなり、タイヤのウェット性能を向上させることができる。
前記熱可塑性樹脂(B)の配合量は、前記ゴム成分(A)100質量部に対して5〜50質量部であり、好ましくは5〜40質量部であり、より好ましくは8〜30質量部、より一層好ましくは10〜20質量部である。熱可塑性樹脂(B)の配合量がゴム成分(A)100質量部に対して5質量部以上であれば、トレッドゴムの高歪領域での弾性率を低下させることができ、また、50質量部以下であれば、トレッドゴムの低歪領域での弾性率の低下を抑制できる。
前記熱可塑性樹脂(B)としては、ウェット性能の観点から、C系樹脂、C系樹脂、C−C系樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂、ロジン樹脂、アルキルフェノール樹脂及びテルペンフェノール樹脂が好ましく、これら熱可塑性樹脂(B)は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、熱可塑性樹脂(B)は、水添C系樹脂、水添C系樹脂、水添C−C系樹脂、水添ジシクロペンタジエン樹脂、水添ロジン樹脂、水添アルキルフェノール樹脂及び水添テルペンフェノール樹脂であってもよい。
前記C系樹脂とは、C系合成石油樹脂を指し、該C系樹脂としては、例えば、石油化学工業のナフサの熱分解によって得られるC留分を、AlClやBFなどのフリーデルクラフツ型触媒を用いて重合して得られる脂肪族系石油樹脂が挙げられる。前記C留分には、通常1−ペンテン、2−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、2−メチル−2−ブテン、3−メチル−1−ブテン等のオレフィン系炭化水素、2−メチル−1,3−ブタジエン、1,2−ペンタジエン、1,3−ペンタジエン、3−メチル−1,2−ブタジエン等のジオレフィン系炭化水素等が含まれる。なお、前記C系樹脂としては、市販品を利用することができ、例えば、エクソンモービル社製脂肪族系石油樹脂である「エスコレッツ(登録商標)1000シリーズ」、日本ゼオン株式会社製脂肪族系石油樹脂である「クイントン(登録商標)100シリーズ」の内「A100、B170、M100、R100」等が挙げられる。なお、前記C系樹脂は、水添されていてもよい。
前記C系樹脂は、例えば、石油化学工業のナフサの熱分解により、エチレン、プロピレン等の石油化学基礎原料と共に副生するC留分であるビニルトルエン、アルキルスチレン、インデンを主要なモノマーとする炭素数9の芳香族を重合した樹脂である。ここで、ナフサの熱分解によって得られるC留分の具体例としては、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、γ−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、インデン等が挙げられる。該C系樹脂は、C留分と共に、C留分であるスチレン等、C10留分であるメチルインデン、1,3−ジメチルスチレン等、更にはナフタレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、p−tert−ブチルスチレン等をも原料として用い、これらのC〜C10留分等を混合物のまま、例えばフリーデルクラフツ型触媒により共重合して得られる。また、前記C系樹脂は、水酸基を有する化合物、不飽和カルボン酸化合物等で変性された変性石油樹脂であってもよい。なお、前記C系樹脂としては、市販品を利用することができ、例えば、未変性C系石油樹脂としては、商品名「ネオポリマーL−90」、「ネオポリマー120」、「ネオポリマー130」、「ネオポリマー140」(JX日鉱日石エネルギー株式会社製)等が挙げられる。なお、前記C系樹脂は、水添されていてもよい。
前記C−C系樹脂とは、C−C系合成石油樹脂を指し、該C−C系樹脂としては、例えば、石油由来のC−C11留分を、AlClやBFなどのフリーデルクラフツ触媒を用いて重合して得られる固体重合体が挙げられ、より具体的には、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、インデンなどを主成分とする共重合体などが挙げられる。該C−C系樹脂としては、C以上の成分の少ない樹脂が、ゴム成分(A)との相溶性の観点から好ましい。ここで、「C以上の成分が少ない」とは、樹脂全量中のC以上の成分が50質量%未満、好ましくは40質量%以下であることを言うものとする。前記C−C系樹脂しては、市販品を利用することができ、例えば、商品名「クイントン(登録商標)G100B」(日本ゼオン株式会社製)、商品名「ECR213」(エクソンモービルケミカル社製)等が挙げられる。なお、前記C−C系樹脂は、水添されていてもよい。
前記ジシクロペンタジエン樹脂は、シクロペンタジエンを二量体化して得られるジシクロペンタジエンを主原料に製造された石油樹脂である。前記ジシクロペンタジエン樹脂としては、市販品を利用することができ、例えば、日本ゼオン株式会社製脂環式系石油樹脂である商品名「クイントン(登録商標)1000シリーズ」の内「1105、1325、1340」等が挙げられる。なお、前記ジシクロペンタジエン樹脂は、水添されていてもよい。
前記ロジン樹脂は、マツ科の植物の樹液である松脂(まつやに)等のバルサム類を集めてテレピン精油を蒸留した後に残る残留物で、ロジン酸(アビエチン酸、パラストリン酸、イソピマール酸等)を主成分とする天然樹脂、及びそれらを変性、水素添加等で加工した変性樹脂、水添樹脂である。例えば、天然樹脂ロジン、その重合ロジンや部分水添ロジン;グリセリンエステルロジン、その部分水添ロジンや完全水添ロジンや重合ロジン;ペンタエリスリトールエステルロジン、その部分水添ロジンや重合ロジンなどが挙げられる。天然樹脂ロジンとして、生松ヤニやトール油に含まれるガムロジン、トール油ロジン、ウッドロジンなどがある。前記ロジン樹脂としては、市販品を利用することができ、例えば、商品名「ネオトール105」(ハリマ化成株式会社製)、商品名「SNタック754」(サンノプコ株式会社製)、商品名「ライムレジンNo.1」、「ペンセルA」及び「ペンセルAD」(荒川化学株式会社製)、商品名「ポリペール」及び「ペンタリンC」(イーストマンケミカル株式会社製)、商品名「ハイロジン(登録商標)S」(大社松精油株式会社製)等が挙げられる。なお、前記ロジン樹脂は、水添されていてもよい。
前記アルキルフェノール樹脂は、アルキルフェノールとホルムアルデヒドとの触媒下における縮合反応によって得られる。該アルキルフェノール樹脂としては、市販品を利用することができ、例えば、商品名「ヒタノール1502P」(日立化成株式会社製)、商品名「タッキロール201」(田岡化学工業株式会社製)、商品名「タッキロール250−I」(臭素化率4%の臭素化アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂、田岡化学工業株式会社製)、商品名「タッキロール250−III」(臭素化アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂、田岡化学工業株式会社製)、商品名「R7521P」、「SP1068」、「R7510PJ」、「R7572P」及び「R7578P」(スケネクタディ社製)、商品名「R7510PJ」(SI GROUP INC.製)等が挙げられる。なお、前記アルキルフェノール樹脂は、水添されていてもよい。
前記テルペンフェノール樹脂は、テルペン類と種々のフェノール類とを、フリーデルクラフツ型触媒を用いて反応させたり、又はさらにホルマリンで縮合する方法で得ることができる。原料のテルペン類としては特に制限はなく、α−ピネンやリモネン等のモノテルペン炭化水素が好ましく、α−ピネンを含むものがより好ましく、特にα−ピネンであることが好ましい。該テルペンフェノール樹脂としては、市販品を利用することができ、例えば、商品名「タマノル803L」、「タマノル901」(荒川化学工業株式会社製)、商品名「YSポリスターU」シリーズ、「YSポリスターT」シリーズ、「YSポリスターS」シリーズ、「YSポリスターG」シリーズ、「YSポリスターN」シリーズ、「YSポリスターK」シリーズ、「YSポリスターTH」シリーズ(ヤスハラケミカル株式会社製)等が挙げられる。なお、前記テルペンフェノール樹脂は、水添されていてもよい。
(充填剤)
本発明のタイヤのトレッドゴムは、充填剤(C)を含み、該充填剤(C)は、シリカを50質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、より一層好ましくは90質量%以上含む。なお、充填剤(C)中のシリカの割合の上限は特に限定されず、充填剤(C)の全量がシリカであってもよい。充填剤(C)中のシリカの割合が50質量%以上であれば、トレッドゴムの60℃におけるtanδが低下し、タイヤの通常走行時の燃費性能が向上する。
前記シリカとしては、特に制限はなく、例えば、湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム等が挙げられ、これらの中でも、湿式シリカが好ましい。これらシリカは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。前記湿式シリカのBET比表面積は、40〜350m/gであるのが好ましく、150〜300m/gであるのがより好ましく、200〜250m/gであるのが更に好ましい。BET比表面積がこの範囲であるシリカは、ゴム補強性とゴム成分中への分散性とを両立できるという利点がある。この観点から、BET比表面積が80〜300m/gの範囲にあるシリカが更に好ましい。
本発明のタイヤのトレッドゴムにおいて、前記シリカの含有量は、前記ゴム成分(A)100質量部に対して40〜70質量部の範囲が好ましく、45〜60質量部の範囲が更に好ましい。シリカの含有量がゴム成分(A)100質量部に対して40質量部以上であれば、トレッドゴムの60℃におけるtanδが低下し、タイヤの通常走行時の燃費性能が向上し、また、70質量部以下であれば、トレッドゴムの柔軟性が高く、トレッドゴムの変形体積が大きくなって、タイヤのウェット性能を向上させることができる。
本発明のタイヤのトレッドゴムにおいては、前記充填剤(C)が更にカーボンブラックを含むことが好ましく、また、該カーボンブラックの含有量は、前記ゴム成分(A)100質量部に対して1〜10質量部の範囲が好ましく、3〜8質量部の範囲が更に好ましい。カーボンブラックを1質量部以上配合することで、トレッドゴムの剛性が向上し、10質量部以下配合することで、損失正接(tanδ)の上昇を抑制できるため、タイヤの燃費性能とウェット性能を高いレベルで両立できる。
前記カーボンブラックとしては、特に限定されるものではなく、例えば、GPF、FEF、HAF、ISAF、SAFグレードのカーボンブラックが挙げられる。これらの中でも、タイヤのウェット性能を向上させる観点から、ISAF、SAFグレードのカーボンブラックが好ましい。これらカーボンブラックは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、前記充填剤(C)は、上述したシリカ、カーボンブラックの他、水酸化アルミニウム、アルミナ、クレー、炭酸カルシウム等を含んでもよい。
本発明のタイヤのトレッドゴムにおいて、前記充填剤(C)の含有量は、前記ゴム成分(A)100質量部に対して、好ましくは30〜100質量部、より好ましくは40〜80質量部である。トレッドゴム中の充填剤(C)の含有量が前記範囲内であれば、タイヤの低温環境下での燃費性能とウェット性能を更に向上させることができる。
(軟化剤)
本発明のタイヤのトレッドゴムは、加工性、作業性の観点から、更に、軟化剤(D)を含むことができ、該軟化剤(D)の含有量は、前記ゴム成分(A)100質量部に対して1〜5質量部の範囲が好ましく、1.5〜3質量部の範囲が更に好ましい。軟化剤(D)を1質量部以上配合することで、トレッドゴム用のゴム組成物の混練が容易となり、また、軟化剤(D)を5質量部以下配合することで、トレッドゴムの剛性の低下を抑制できる。
ここで、前記軟化剤(D)としては、鉱物由来のミネラルオイル、石油由来のアロマチックオイル、パラフィンオイル、ナフテンオイル、天然物由来のパームオイル等が挙げられるが、これらの中でも、タイヤのウェット性能の観点から、鉱物由来の軟化剤及び石油由来の軟化剤が好ましい。
(スチレン・アルキレンブロック共重合体)
本発明のタイヤのトレッドゴムは、スチレン単位の総含有量が30質量%以上であるスチレン・アルキレンブロック共重合体(E)を含むことが好ましい。該スチレン・アルキレンブロック共重合体(E)は、スチレン系モノマー由来のブロックと、アルキレンブロックとを有する共重合体であり、本発明においては、上述のゴム成分(A)と区別する。ここで、スチレン・アルキレンブロック共重合体(E)のスチレン単位の総含有量とは、当該スチレン・アルキレンブロック共重合体(E)の総質量に対する、スチレン系モノマー由来のブロックの合計含有量である。該スチレン・アルキレンブロック共重合体(E)は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、スチレン・アルキレンブロック共重合体(E)における、スチレン単位の総含有量が30質量%未満では、ゴム組成物をタイヤに適用した際に、タイヤの弾性率が十分に向上せず、タイヤのドライハンドリング性を十分に向上させることができない。
前記スチレン・アルキレンブロック共重合体(E)は、スチレン単位の総含有量が50質量%以上であることが好ましい。スチレン・アルキレンブロック共重合体(E)における、スチレン単位の総含有量が50質量%以上の場合、タイヤのドライハンドリング性を更に向上させることができる。
また、前記スチレン・アルキレンブロック共重合体(E)は、特に限定されるものではないが、スチレン単位の総含有量が60質量%以下であることが好ましい。
なお、前記スチレン・アルキレンブロック共重合体(E)のスチレン単位の(総)含有量と、後述するアルキレン単位の(総)含有量は、H−NMRの積分比により求める。
前記スチレン・アルキレンブロック共重合体(E)は、ガラス転移温度(Tg)が−30℃以下であることが好ましい。スチレン・アルキレンブロック共重合体(E)のガラス転移温度(Tg)が−30℃以下の場合、タイヤの低ロス性を更に向上させることができる。
なお、ガラス転移温度(Tg)は、ISO 22768:2006に従い、所定の温度範囲で昇温しながらDSC曲線を記録し、DSC微分曲線のピークトップ(Inflection point)とする。
前記スチレン・アルキレンブロック共重合体(E)のスチレンブロックは、スチレン系モノマーに由来する(スチレン系モノマーを重合した)単位を有する。このようなスチレン系モノマーとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン等が挙げられる。この中でも、スチレン系モノマーとしては、スチレンが好ましい。
前記スチレン・アルキレンブロック共重合体(E)のアルキレンブロックは、アルキレン(二価の飽和炭化水素基)単位を有する。このようなアルキレン単位としては、例えば、炭素数1〜20のアルキレン基が挙げられる。アルキレン単位は、直鎖構造でもよいし、分岐構造でもよいし、これらの組み合わせでもよい。直鎖構造のアルキレン単位としては、例えば、−(CH−CH)−単位(エチレン単位)、−(CH−CH−CH−CH)−単位(ブチレン単位)等が挙げられる。分岐構造のアルキレン単位としては、例えば、−[CH−CH(C)]−単位(ブチレン単位)、−[CH−CH(CH)]−単位(プロピレン単位)等が挙げられる。これらのうち、アルキレン単位としては、−[CH−CH(C)]−単位を有することが好ましい。
アルキレン単位の合計含有量は、適宜調節すればよいが、例えば、スチレン・アルキレンブロック共重合体(E)の総質量に対して、40〜70質量%であることが好ましい。
本発明のタイヤのトレッドゴムにおいては、前記スチレン・アルキレンブロック共重合体(E)のアルキレンブロックが、−[CH−CH(C)]−単位(a)と、−(CH−CH)−単位(b)と、を有し、前記単位(a)の含有量が、全アルキレンブロック[単位(a)+単位(b)]の総質量に対して、40質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、65質量%以上であることが更に好ましい。前記単位(a)の含有量が40質量%以上の場合、タイヤのドライハンドリング性を更に向上させることができる。
前記スチレン・アルキレンブロック共重合体(E)としては、スチレン・エチレンブチレン・スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン・エチレンプロピレン・スチレンブロック共重合体(SEPS)、スチレン・エチレン・エチレンプロピレン・スチレンブロック共重合体(SEEPS)等が挙げられ、これらの中でも、スチレン・エチレンブチレン・スチレンブロック共重合体が好ましい。スチレン・アルキレンブロック共重合体(E)がスチレン・エチレンブチレン・スチレンブロック共重合体の場合、タイヤのドライハンドリング性を更に向上させることができる。
なお、前記スチレン・エチレンブチレン・スチレンブロック共重合体のエチレンブチレンブロックは、上述したエチレン単位とブチレン単位を有するブロックである。
前記スチレン・アルキレンブロック共重合体(E)は、前記スチレンブロックとアルキレンブロック以外のその他の構成単位を含んでいてもよい。このようなその他の構成単位としては、例えば、−[CH−CH(CH=CH)]−単位等の不飽和結合を有する構成単位等が挙げられる。
前記スチレン・アルキレンブロック共重合体(E)の合成方法は、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、スチレン等のスチレン系モノマーと、1,3−ブタジエン等の共役ジエン化合物又はブテン等のオレフィンと、を共重合させ、前駆共重合体を得て、この前駆共重合体を水素添加することによって、スチレン・アルキレンブロック共重合体(E)を得ることができる。また、より具体的には、スチレン・エチレンブチレン・スチレンブロック共重合体(SEBS)は、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体(SBS)の水素添加によって得られ、スチレン・エチレンプロピレン・スチレンブロック共重合体(SEPS)は、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体(SBS)の水素添加によって得られる。
また、前記スチレン・アルキレンブロック共重合体(E)としては、市販品を用いてもよい。このような市販品としては、例えば、JSR社のJSR DYNARON(登録商標)8903P、9901P等が挙げられる。
本発明のタイヤのトレッドゴムにおけるスチレン・アルキレンブロック共重合体(E)の含有量は、特に限定されず、適宜調節すればよい。例えば、スチレン・アルキレンブロック共重合体(E)の含有量は、前記ゴム成分(A)100質量部に対して、5〜20質量部の範囲が好ましい。スチレン・アルキレンブロック共重合体(E)の配合量が、ゴム成分(A)100質量部に対して、5質量部以上であれば、ゴム組成物を適用したタイヤの弾性率を更に向上させ、ドライハンドリング性を更に向上させることができ、また、20質量部以下であれば、ゴム組成物の低ロス性が更に向上する。
(シランカップリング剤)
本発明のタイヤのトレッドゴムは、前記シリカの配合効果を向上させるために、更に、シランカップリング剤を含有することが好ましい。該シランカップリング剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシラン、3−トリメトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリエトキシシリルエチル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルベンゾリルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、ビス(3−ジエトキシメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、3−メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、ジメトキシメチルシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、ジメトキシメチルシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド等が挙げられる。これらシランカップリング剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、前記シランカップリング剤の含有量は、前記シリカ100質量部に対して2〜20質量部の範囲が好ましく、5〜15質量部の範囲が更に好ましい。シランカップリング剤の含有量がシリカ100質量部に対して2質量部以上であれば、シリカの配合効果が十分に向上し、また、シランカップリング剤の配合量がシリカ100質量部に対して20質量部以下であれば、ゴム成分(A)のゲル化の可能性が低い。
(脂肪酸金属塩)
本発明のタイヤのトレッドゴムは、更に、脂肪酸金属塩を含むことが好ましい。該脂肪酸金属塩に用いられる金属としては、Zn、K、Ca、Na、Mg、Co、Ni、Ba、Fe、Al、Cu、Mn等が挙げられ、Znが好ましい。一方、前記脂肪酸金属塩に用いられる脂肪酸としては、炭素数4〜30の飽和又は不飽和の直鎖、分岐もしくは環状構造を有する脂肪酸、あるいはそれらの混合物が挙げられ、これらの中でも、炭素数10〜22の飽和又は不飽和の直鎖脂肪酸が好ましい。炭素数10〜22の飽和直鎖脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等が挙げられ、また、炭素数10〜22の不飽和直鎖脂肪酸としては、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸等が挙げられる。前記脂肪酸金属塩は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記脂肪酸金属塩の含有量は、前記ゴム成分(A)100質量部に対して0.1〜10質量部の範囲が好ましく、0.5〜5質量部の範囲が更に好ましい。
(その他)
本発明のタイヤのトレッドゴムには、前記ゴム成分(A)、熱可塑性樹脂(B)、充填剤(C)、軟化剤(D)、スチレン・アルキレンブロック共重合体(E)、シランカップリング剤、脂肪酸金属塩の他、ゴム工業界で通常使用される配合剤、例えば、ステアリン酸、老化防止剤、酸化亜鉛(亜鉛華)、加硫促進剤、加硫剤等を、本発明の目的を害しない範囲内で適宜選択して配合してもよい。これら配合剤としては、市販品を好適に使用することができる。ただし、本発明のタイヤのトレッドゴムの動歪1%、0℃における貯蔵弾性率を低減する観点から、ノボラック型およびレゾール型フェノール樹脂、レゾルシン樹脂等の熱硬化性樹脂を配合しないことが好ましい。また、本発明のタイヤのトレッドゴムは、3種の加硫促進剤を含むことが好ましい。
(トレッドゴムの製造方法)
本発明のタイヤのトレッドゴム(トレッドゴム用ゴム組成物)は、例えば、加硫剤及び加硫促進剤を含む加硫系配合剤を除いて、前記天然ゴム及び合成イソプレンゴムからなる群から選択される少なくとも1種のイソプレン系ゴムを40質量%以上含むゴム成分(A)と、前記熱可塑性樹脂(B)と、前記シリカを50質量%以上含む充填剤(C)とを150〜165℃で混練する工程を経て製造することができる。
前記加硫系配合剤を除いて、150〜165℃で混練することで、早期加硫(スコーチ)を避けつつ、加硫系配合剤以外の配合剤をゴム成分(A)に均一に分散させることができ、各配合剤の配合効果が十分に発揮されて、トレッドゴムの0℃におけるtanδを低下させつつ、トレッドゴムの30℃におけるtanδと60℃におけるtanδとの差を小さくすることができる。
なお、トレッドゴムのtanδ、各温度でのtanδの差、貯蔵弾性率(E’)、引張強さ(Tb)は、上述の混練温度の他、ゴム成分(A)の種類やブレンド比、熱可塑性樹脂(B)の種類や配合量、充填剤(C)中のシリカ含有量やシリカの種類等、更には他の配合剤の種類及び量を調整することでも、変化させることができる。
また、前記トレッドゴムの製造においては、150〜165℃で混練した後、更に150℃未満の別の温度で混練を行ってもよい。
更に、前記トレッドゴムの製造においては、加硫系配合剤以外の配合剤をゴム成分(A)に十分均一に分散させた後、加硫剤及び加硫促進剤を含む加硫系配合剤を配合して、早期加硫(スコーチ)を防止できる温度、例えば、90〜120℃で混練することが好ましい。
なお、前記トレッドゴムの製造において、各温度での混練は、混練時間に制限はなく、混練装置の大きさ、原料の体積、原料の種類や状態等を勘案して、適宜設定することができる。
前記加硫剤としては、硫黄等が挙げられる。
前記加硫剤の含有量は、ゴム成分(A)100質量部に対し、硫黄分として0.1〜10.0質量部の範囲が好ましく、1.0〜4.0質量部の範囲が更に好ましい。加硫剤の含有量が硫黄分として0.1質量部以上であれば、加硫ゴムの破壊強度、耐摩耗性等を確保でき、また、10.0質量部以下であれば、ゴム弾性を十分に確保できる。特に、加硫剤の配合量を硫黄分として4.0質量部以下とすることで、タイヤのウェット性能をさらに向上でき、本願発明の効果を高める面から好ましい。
また、前記加硫促進剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、2−メルカプトベンゾチアゾール(M)、ジベンゾチアジルジスルフィド(DM)、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド(CZ)等のチアゾール系加硫促進剤、1,3−ジフェニルグアニジン(DPG)等のグアニジン系加硫促進剤等が挙げられる。なお、トレッドゴム用のゴム組成物は、3種の加硫促進剤を含むことが好ましい。
前記加硫促進剤の配合量は、前記ゴム成分(A)100質量部に対して0.1〜5.0質量部の範囲が好ましく、0.2〜3.0質量部の範囲が更に好ましい。
なお、前記トレッドゴムは、例えば、バンバリーミキサーやロール等を用いて、上述のように、ゴム成分(A)に、熱可塑性樹脂(B)及び充填剤(C)と、必要に応じて適宜選択した各種配合剤とを配合して混練した後、熱入れ、押出等することにより製造することができる。
<タイヤの製造方法>
本発明のタイヤは、適用するタイヤの種類に応じ、未加硫のゴム組成物を用いて成形後に加硫して得てもよく、又は予備加硫工程等を経た半加硫ゴムを用いて成形後、さらに本加硫して得てもよい。なお、本発明のタイヤには、当該タイヤのいずれかの箇所に、上述の接着剤組成物で処理した有機繊維コードが用いられ、また、トレッド部3に、上述のトレッドゴムを具えるが、その他の部材は、特に限定されず、公知の部材を使用することができる。
また、本発明のタイヤは、空気入りタイヤであることが好ましく、該空気入りタイヤに充填する気体としては、通常の或いは酸素分圧を調整した空気の他、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスを用いることができる。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
<接着剤組成物の調製>
まず、フロログルシノールを、100℃の水に溶解させ、濃度10質量%のフロログルシノール含有溶液を得る。
その後、10質量%フロログルシノール溶液33.5gを、高温下で維持して攪拌しながら、4%水酸化ナトリウム18.2gを加えた後、水206gで希釈し、25%アンモニア水を7.5g加える。上記溶液に、1,4−ベンゼンジカルボアルデヒド6.4gを漸次的に加え、フロログルシノール・1,4−ベンゼンジカルボアルデヒド含有溶液を得た後、50℃で4時間熟成を行い、フロログルシノール/1,4−ベンゼンジカルボアルデヒド樹脂を得る。
上記フロログルシノール・1,4−ベンゼンジカルボアルデヒド含有溶液の熟成により得たフロログルシノール/1,4−ベンゼンジカルボアルデヒド樹脂に、天然ゴム(NR)のラテックスと、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)のラテックスと、ビニルピリジン−スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(Vp)のラテックスと、を加え、27℃で24時間、ゴムの熟成を行う。さらに上記フロログルシノール/1,4−ベンゼンジカルボアルデヒド樹脂及びラテックスの混合液に、表1の配合比となるよう、イソシアネート化合物を加える。
接着剤組成物の固形成分の組成(質量%)と、溶液状態での組成(質量%)を表1に示す。
Figure 2021142862
*1: 富士フィルム和光純薬(株)製、10%水溶液として使用
*2: 東京化成工業(株)製、純度98%
*3: 関東化学(株)製、1N NaOH水溶液
*4: 関東化学(株)製、25%アンモニア水溶液
*5: Sime Darby社製、「HYTEX HA」
*6: JSR(株)製、「SBR ラテックス 2108」
*7: 日本A&L(株)製、「PYRATEX」
*8: 第一工業製薬(株)製、BN77、固形分濃度18%となるように希釈して使用
<接着性の確認>
タイヤ用ポリエステルコードを、上記の接着剤組成物で処理した後、天然ゴム、スチレン−ブタジエン共重合体からなるゴム成分、カーボンブラック、架橋剤を含む未加硫状態のゴム組成物に埋め込み、ゴム−有機繊維コード複合体を作製し、更に、160℃で20分間、20kgf/cmの加圧下で加硫する。
加硫物を室温まで冷却し、該加硫物からコードを掘り起こし、30cm/分の速度でコードを加硫物から剥離する時の抗力(N/本)を25±1℃の室温雰囲気温度にて測定する。測定される抗力は、15.6(N/本)となり、十分な接着力を有することが確認できる。
<タイヤの作製及び評価>
上記のゴム−有機繊維コード複合体を、タイヤのベルト補強層に使用し、更に、表2に示す配合処方のゴム組成物をトレッドゴムに用いて、図1に示す構造を有する、サイズ195/65R15の乗用車用ラジアルタイヤを作製し、下記の方法で損失正接(tanδ)及び貯蔵弾性率(E’)、並びに、引張強さ(Tb)を測定し、更に、下記の方法で、燃費性能を評価する。なお、ベルト補強層における、有機繊維コードの打ち込み本数は、50本/50mmである。
(1)損失正接(tanδ)及び貯蔵弾性率(E’)
作製した乗用車用ラジアルタイヤ(サイズ195/65R15)のトレッドゴムから、長さ50mm、幅5mm、厚み2mmのゴムシートを切り出し、上島製作所(株)製スペクトロメーターを用いて、初期荷重160mg、動歪1%、周波数52Hzの条件下で、0℃、30℃及び60℃における損失正接(tanδ)、並びに、0℃における貯蔵弾性率(E’)を測定する。
(2)引張強さ(Tb)
作製した乗用車用ラジアルタイヤ(サイズ195/65R15)のトレッドゴムから、DIN−53504 タイプS3Aの切抜刃でゴムシートを切り出し、JIS K6251−1993に準拠して、引張強さ(Tb)を測定する。
(3)燃費性能
供試タイヤを試験車に装着し、25〜30℃(常温)又は5〜10℃(低温)の環境下において、実車試験にて、燃費性能を測定し、比較例1のタイヤの低温での燃費性能を100として指数表示し、以下の指標に従い、評価する。
指数が120以上の場合: A
指数が110以上120未満の場合: B
指数が110未満の場合: C
Figure 2021142862
*9 天然ゴム:インドネシア製「SIR20」
*10 ポリブタジエンゴム:JSR株式会社製、商品名「BR01」
*11 カーボンブラック:N234(ISAF)、旭カーボン株式会社製、商品名「#78」
*12 シリカ:東ソー・シリカ工業株式会社製、商品名「ニプシルAQ」(BET表面積=205m/g)
*13 シランカップリング剤:ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、(平均硫黄鎖長:2.35)、Evonik社製シランカップリング剤、商品名「Si75」(登録商標)
*14 C系樹脂:JX日鉱日石エネルギー株式会社製、商品名「日石ネオポリマー(登録商標)140」
*15 石油系オイル::株式会社ジャパンエナジー製、商品名「プロセスX−140」
*16 老化防止剤:N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、大内新興工業株式会社製、商品名「ノクラック6C」
*17 加硫促進剤A:1,3−ジフェニルグアニジン、住友化学株式会社製、商品名「ソクシノール(登録商標)D−G」
*18 加硫促進剤B:ジベンゾチアジルジスルフィド、大内新興化学工業株式会社製、商品名「ノクセラー(登録商標)DM−P」
*19 加硫促進剤C:N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド、大内新興化学工業株式会社製、商品名「ノクセラー(登録商標)CZ−G」
表1から、本発明に従う実施例1のタイヤは、燃費性能が高いことが分かる。
1:ビード部、 2:サイドウォール部、 3:トレッド部、 4:ビードコア、 5:カーカス、 6:ベルト、 7A,7B:ベルト補強層

Claims (28)

  1. ポリフェノール類と、アルデヒド類と、を含む接着剤組成物で処理した有機繊維コードを具えるタイヤにおいて、
    トレッド部に、天然ゴム及び合成イソプレンゴムからなる群から選択される少なくとも1種のイソプレン系ゴムを40質量%以上含むゴム成分(A)と、熱可塑性樹脂(B)と、シリカを50質量%以上含む充填剤(C)と、を含み、前記熱可塑性樹脂(B)の含有量が、前記ゴム成分(A)100質量部に対して5〜50質量部であり、0℃におけるtanδが0.5以下であり、30℃におけるtanδと60℃におけるtanδとの差が0.070以下であり、動歪1%、0℃における貯蔵弾性率が20MPa以下であるトレッドゴムを具えることを特徴とする、タイヤ。
  2. 前記トレッドゴムは、0℃におけるtanδと30℃におけるtanδとの差が0.30以下である、請求項1に記載のタイヤ。
  3. 前記トレッドゴムは、0℃におけるtanδと60℃におけるtanδとの差が0.35以下である、請求項1又は2に記載のタイヤ。
  4. 前記トレッドゴムは、更に、軟化剤(D)を含み、該軟化剤(D)の含有量が、前記ゴム成分100質量部に対して1〜5質量部である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のタイヤ。
  5. 前記軟化剤(D)が、鉱物又は石油由来の軟化剤である、請求項4に記載のタイヤ。
  6. 前記トレッドゴムは、前記シリカの含有量が、前記ゴム成分100質量部に対して40〜70質量部である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のタイヤ。
  7. 前記充填剤(C)が、更にカーボンブラックを含み、該カーボンブラックの含有量が、前記ゴム成分100質量部に対して1〜10質量部である、請求項1〜6のいずれか一項に記載のタイヤ。
  8. 前記熱可塑性樹脂(B)が、C系樹脂、C系樹脂、C−C系樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂、ロジン樹脂、アルキルフェノール樹脂及びテルペンフェノール樹脂からなる群から選択される1種以上の樹脂である、請求項1〜7のいずれか一項に記載のタイヤ。
  9. 前記ゴム成分(A)が、スチレン−ブタジエン共重合体ゴムを10〜30質量%含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載のタイヤ。
  10. 前記充填剤(C)が、前記シリカを90質量%以上含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載のタイヤ。
  11. 前記トレッドゴムは、更に、スチレン・アルキレンブロック共重合体(E)を含み、
    前記スチレン・アルキレンブロック共重合体(E)は、スチレン単位の総含有量が30質量%以上である、請求項1〜10のいずれか一項に記載のタイヤ。
  12. 前記スチレン・アルキレンブロック共重合体(E)のアルキレンブロックが、−[CH−CH(C)]−単位(a)と、−(CH−CH)−単位(b)と、を有し、前記単位(a)の含有量が、全アルキレンブロック[単位(a)+単位(b)]の総質量に対して、40質量%以上である、請求項11に記載のタイヤ。
  13. 前記単位(a)の含有量が、全アルキレンブロック[単位(a)+単位(b)]の総質量に対して、50質量%以上である、請求項12に記載のタイヤ。
  14. 前記スチレン・アルキレンブロック共重合体(E)は、スチレン単位の総含有量が50質量%以上である、請求項11〜13のいずれか一項に記載のタイヤ。
  15. 前記スチレン・アルキレンブロック共重合体(E)が、スチレン・エチレンブチレン・スチレンブロック共重合体である、請求項11〜14のいずれか1項に記載のタイヤ。
  16. 前記ゴム成分(A)が、結合スチレン量が15%以下のスチレン−ブタジエン共重合体ゴムを含む、請求項1〜15のいずれか1項に記載のタイヤ。
  17. 前記ゴム成分(A)が、前記結合スチレン量が15%以下のスチレン−ブタジエン共重合体ゴムを10質量%以上含む、請求項16に記載のタイヤ。
  18. 前記ゴム成分(A)が、結合スチレン量が30%以上のスチレン−ブタジエン共重合体ゴムを含む、請求項16又は17に記載のタイヤ。
  19. 前記ゴム成分(A)が、前記結合スチレン量が30%以上のスチレン−ブタジエン共重合体ゴムを5質量%以上含む、請求項18に記載のタイヤ。
  20. 前記タイヤが、一対のビード部間にトロイド状に延在するカーカスを具え、
    前記カーカスが、前記有機繊維コードを含む、請求項1〜19のいずれか1項に記載のタイヤ。
  21. 前記タイヤが、トレッド部に配置したベルトと、該ベルトのタイヤ半径方向外側に配置したベルト補強層と、を具え、
    前記ベルト補強層が、前記有機繊維コードを含む、請求項1〜20のいずれか1項に記載のタイヤ。
  22. 前記ポリフェノール類が、3つ以上の水酸基を有する、請求項1〜21のいずれか1項に記載のタイヤ。
  23. 前記アルデヒド類が、芳香族環を有する、請求項1〜22のいずれか1項に記載のタイヤ。
  24. 前記アルデヒド類が、2つ以上のアルデヒド基を有する、請求項1〜23のいずれか1項に記載のタイヤ。
  25. 前記接着剤組成物が、更にイソシアネート化合物を含む、請求項1〜24のいずれか1項に記載のタイヤ。
  26. 前記イソシアネート化合物が、(ブロックド)イソシアネート基含有芳香族化合物である、請求項25に記載のタイヤ。
  27. 前記接着剤組成物が、更にゴムラテックスを含む、請求項1〜26のいずれか1項に記載のタイヤ。
  28. 前記ゴムラテックスが、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、ハロゲン化ブチルゴム、アクリロニリトル−ブタジエンゴム(NBR)及びビニルピリジン−スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(Vp)からなる群から選択される少なくとも一種を含む、請求項27に記載のタイヤ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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EP4219192A1 (en) * 2021-01-07 2023-08-02 Sumitomo Rubber Industries, Ltd. Pneumatic tire
WO2023248828A1 (ja) * 2022-06-24 2023-12-28 住友ゴム工業株式会社 タイヤ

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