JP2021141709A - モータ異常検知装置、モータ異常検知装置の制御方法、及び画像形成装置 - Google Patents

モータ異常検知装置、モータ異常検知装置の制御方法、及び画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】従来のモータ異常検知装置においては、モータドライバ毎にコンパレータを設け、システムの規模とコストの増大を抑えるために、複数のコンパレータの出力をワイヤードOR接続する構成を採用していた。しかし、このような構成では、過電流が発生した場合、過電流がどのモータに関連して発生したかを特定することができなかった。【解決手段】本発明では、アナログFPGAに用意されたリソースを使用して、電流検出抵抗に接続されるコンパレータの入力側や出力側にアナログスイッチを設け、アナログスイッチのオンとオフを制御する。これにより、コストの増大をもたらすことなく、過電流が発生した要因となった箇所を特定することができるモータ異常検知装置を提供することができる。【選択図】図15

Description

本発明は、モータ駆動電流の異常を検知するモータ異常検知装置、モータ異常検知装置の制御方法、及び画像形成装置に関する。
プリンタやADF(オートドキュメントフィーダー)を搭載する画像形成装置は、その内部で、DCブラシモータやステッピングモータなどのDCモータを多数使用している。
例えば、プリンタでは、紙送り機構として、紙搬送用モータ、排紙用モータ、定着駆動用モータ、ドラム駆動用モータ、両面駆動用モータなど、ブラシレスモータより安価なステッピングモータを使用するケースは少なくない。また、画像形成装置では、内部の各種センサにより取得したセンサ状態に基づく装置制御により、各モータの機能制御を実行する。このため、画像形成装置内のさまざまな箇所に配置された複数のステッピングモータと制御基板とがケーブルを通じて接続されるように構成される。更に、画像形成装置においては、トナーの補給やシートの排出などのために、DCブラシモータなどの安価なモータが使われるケースも多い。
また、ステッピングモータやDCブラシモータなどのDCモータの制御には、多くの場合、半導体により形成された、安価で耐熱性能に優れた、定電流チョッピングなどのモータドライバICが用いられるようになってきている。このようなモータドライバは、モータ駆動中、内部あるいは外部の駆動電流の経路上にされた低抵抗の抵抗素子に発生する電圧を内部のコンパレータでモニターし、内部のシーケンサで駆動電流が一定電流になるように制御を行っている。
しかしながら、モータ回転中の温度上昇に伴い、巻き線内でレアショートが発生したり、モータドライバや外部のプリント基板などの異常により過電流が発生したりした場合、モータを損傷させてしまうおそれがある。そのため、モータドライバでは、モータ駆動電流にチョッピング制御電流以上の過電流が発生したことを検知した場合、モータドライバ内部に設けられたシーケンサがモータ駆動電流を遮断するような、過電流検知機能を備えるものが多い。
また、モータドライバによりチョッピング制御を行う場合、駆動電流のオフ/オンに伴い、モータ巻線を経由する駆動電流が流れるルートで瞬間的に過電流が流れるチョッピングノイズが発生することがある。このため、モータドライバでは、チョッピングノイズの発生時間を予め想定することで、モータドライバ内部のコンパレータでの誤検知を防止する機能を有するものも多い。
例えば、特許文献1では、モータ駆動電流のチョッピング制御において、モータにかかる負荷に応じて、駆動電流検出用のコンパレータのリファレンス側に設けたフィルタを切り替えるように構成したモータ駆動装置を有する画像形成装置が開示されている。
しかし、市販のモータドライバや、特許文献1に記載のモータドライバでは、モータドライバ自体が、駆動電流による発熱やチョッピング電圧などの繰り返しストレスにより、劣化や破壊に至る可能性がある。そのため、駆動電流検出用の抵抗に発生する電圧をモータドライバ外部のアナログコンパレータやADコンバータでモニターすることで異常を検知する回路を備え、テストモード等において異常を検知する自己診断機能を有する装置がある。
また、過電流検知回路では、複数あるモータの相電流の異常をモータ駆動中に検知するために、上述のように、モータドライバとは別に、相電流毎に設けたコンパレータを使用することが行われている。コンパレータを使用する理由は、迅速に過電流を検知することができ、モータドライバが駆動電流を遮断するまでの時間を短縮することができるためである。
特開2001−346397号公報
ところで、画像形成装置のようなシステムにおいては、上述のように、紙送り機構などのために、多数のモータが内蔵されている。このように多数のモータが存在する場合、モータドライバの外部に、モータの相電流毎に多数のコンパレータを必要とする。しかし、各コンパレータに対応して、システムへのインタフェースとして多数の入出力ポートを設けると、構成上、コストが増大してしまう。
このため、従来、複数のコンパレータの出力をワイヤードOR接続することにより、システムの規模とコストの増大を抑える構成が採用されている。
しかし、このような構成では、過電流が発生した場合、過電流がどのモータに関連して発生したかを特定することができなかった。また、モータ電流の異常が、コンパレータの入力側の要因による異常か、コンパレータの出力側の要因による異常かを判別することもできなかった。更に、コンパレータ自体の性能異常や、コンパレータ外部のリファレンス電圧の異常などの判別をすることもできなかった。
そこで、本発明は、上記のような事情に鑑み、コストの増大をもたらすことなく、過電流が発生した場合の異常の原因を特定することができるモータ異常検知装置を提供することを目的とする。
本発明は、モータを駆動する複数のモータドライバ毎に設けられ前記モータの駆動電流を検出する抵抗のそれぞれに発生する電圧が入力され、前記電圧の異常を示す信号を出力する信号処理回路を有するモータ異常検知装置であって、前記信号処理回路は、前記信号が、複数の前記抵抗に発生する電圧のうち、いずれの抵抗に基づくものであるかを特定する手段を有することを特徴とする。
本発明によれば、コストの増大をもたらすことなく、過電流が発生する要因となった箇所を特定することができるモータ異常検知装置を提供することができる。
画像形成装置の構成を示す図である。 比較例におけるモータ異常検知装置を示す図である。 モータドライバの内部構成を示す図である。 実施形態1におけるモータ異常検知装置の一例を示す図である。 モータ異常検知装置をDCブラシモータに適用した例を示す図である。 モータ異常検知装置をステッピングモータに適用した例を示す図である。 実施形態1におけるモータ異常検知装置の他の例を示す図である。 実施形態1におけるモータ異常検知装置の更に他の例を示す図である。 セレクタ信号の制御シーケンスの一例である。 実施形態1におけるモータ異常検知装置の更に他の例を示す図である。 ラッチ回路の動作テーブル例である。 実施形態1におけるモータ異常検知装置の更に他の例を示す図である。 セレクタ信号の制御シーケンスの他の例である。 セレクタ信号の制御シーケンスの更に他の例である。 実施形態2におけるモータ異常検知装置の一例を示す図である。 実施形態2におけるモータ異常検知装置の他の例を示す図である。 実施形態2におけるモータ異常検知装置の更に他の例を示す図である。 実施形態2におけるモータ異常検知装置の更に他の例を示す図である。 実施形態2におけるモータ異常検知装置の更に他の例を示す図である。
以下に、図面を参照して、本発明を実施するための各実施例について説明する。ただし、以下に説明する実施例はあくまで例示であり、本発明の範囲をそれらに限定する趣旨のものではない。また、以下の各実施例で説明されている特徴の組み合わせのすべてが本発明の解決手段に必須のものとは限らない。
<実施形態1>
図1は、本実施形態のモータ異常検知装置を内蔵した画像形成装置100の構成を示した図である。
画像形成装置100は、電子写真方式である。画像形成装置100は、画像形成のための感光体109、一次帯電器111、電位センサ112、露光器121、現像器122、転写部108、クリーナー107、及び定着器113を備える。画像形成装置100は、シート110の給送のために、シート110を収納する給紙カセット120、給紙ローラ119、及び搬送ローラ117、118を備える。
シート110が給送、排送される搬送経路やカセットには、複数のセンサ101、102、103、104、105、106が設けられる。シート110の搬送方向に沿って、初段のセンサ104、2段目のセンサ105、3段目のセンサ106が所定の間隔で配置される。画像形成装置100は、ステッピングモータ114、116と、DCブラシモータ115、135を備える。画像形成装置100は、不図示のコントローラにより動作が制御される。
一次帯電器111は、感光体109の表面を一様に帯電する。表面が一様に帯電された感光体109は、露光器121により画像信号に応じて露光されることで、画像信号に応じた静電潜像を形成する。現像器122は、静電潜像を現像して感光体109の表面にトナー像を形成する。電位センサ112は、静電潜像の電位を測定するために、露光器121による露光位置と、現像器122による現像位置との間に設けられている。
感光体109の表面に形成されたトナー像は、転写部108によって、給紙カセット120から給紙されたシート110に転写される。転写後に感光体109に残留する転写残トナーは、クリーナー107により回収される。トナー像が転写されたシート110は、定着器113によりトナー像が定着されて画像形成装置100から排出される。これにより、画像が印字された成果物が得られる。
シート110の給紙動作について説明する。コントローラは、給紙動作を開始する際に、給紙カセット120におけるシート110の有無をセンサ103により検知する。コントローラは、給紙カセット120にシート110がある場合、給紙ローラ119により給紙カセット120に収納されているシート110の給送を開始する。給紙ローラ119は、DCブラシモータ115によりを駆動される。給紙ローラ119は、シート110を1枚ずつ給紙カセット120から搬送ローラ117へ搬送する。
センサ104は、搬送経路の給紙ローラ119と搬送ローラ117との間に設けられる。センサ104は、給紙ローラ119から搬送ローラ117までの搬送経路にある検知位置を、シート110が通過したか否かを検知する。コントローラは、センサ104の検知結果に応じて、シート110が所定タイミング以内に該検知位置を通過したか否かを検知する。
搬送ローラ117は、ステッピングモータ116により駆動される。コントローラは、センサ104がシート110を検知するとステッピングモータ116により搬送ローラ117を駆動する。搬送ローラ117は、回転することで給紙ローラ119から搬送されたシート110を搬送ローラ117へ搬送する。
センサ105は、搬送経路の搬送ローラ117と搬送ローラ118との間に設けられる。センサ106は、搬送ローラ117から搬送ローラ118までの搬送経路にある検知位置を、シート110が通過したか否かを検知する。コントローラは、センサ106の検知結果に応じて、シート110が所定タイミング以内に該検知位置を通過したか否かを検知する。
搬送ローラ118は、ステッピングモータ114により駆動される。コントローラは、センサ106がシート110を検知すると、ステッピングモータ114により搬送ローラ118を駆動する。搬送ローラ118は、回転することで搬送ローラ117から搬送されたシート110を転写部108へ搬送する。搬送ローラ118がシート110を転写部108へ搬送するタイミングは、感光体109に形成されたトナー像が転写部108に搬送されるタイミングに応じて調整される。これにより、シート110と感光体109に形成されたトナー像とが、転写部108を重なって通過し、トナー像の転写が行われる。コントローラは、感光体109上のトナー像がシート110に重なって転写部108を通過するように、搬送ローラ118によるシート110の搬送速度を制御してもよい。
排紙トレーセンサ101は、シート110が、定着器113を通って排出され、排紙トレー123上に排出されたか否かを検知する。また、排紙トレーセンサ101は、画像形成装置100のジョブが一定時間発生せず、低消費電力モードを維持している間においても、ユーザーが排出トレー123にアクセスし、排出されたシート110を除去したことを素早く検知できる仕組みを備える。なお、低消費電力モード時において排出トレー123上からシート110が除去された場合、ユーザーが機器に対し何らかの操作を行う可能性があるため、画像形成装置100は低消費電力モードから通常スタンバイモードへ復帰する。
DCブラシモータ135は、感光体109へのトナー像形成に使用するためのトナーを、ユーザーがセットする不図示のトナー補給容器から定量的に現像器122へ運搬するために使用される。
カセット状態検知センサ102は、例えばシート110を補充する場合に、ユーザーがカセット120を機外に引き出した際に反応する。カセット状態検知センサ102は、排紙トレーセンサ101と同様に、画像形成装置100のジョブが一定時間発生せず、低消費電力モードを維持している間においても素早く検知できる仕組みを備える。低消費電力モード時においてカセット120を引き抜くなどのユーザー操作が発生した場合、次のジョブ投入に備え、画像形成装置100は低消費電力モードから通常スタンバイモードへ復帰する。
センサ101、102、103、104、105、106は、例えばフォトインタラプタにより構成される。この場合、センサ101、102、103、104、105、106は、それぞれ、発光部(例えばLED(Light Emitting Diode))と、発光部から放出された光を受光する受光部(例えばフォトトランジスタ)を備える。シート110が搬送経路の検知位置に設けられる遮蔽物を押してLEDとフォトトランジスタとの間の光路を遮蔽することで、センサ101、102、103、104、105、106は、シート110の有無を検知することができる。
ただし、搬送経路を搬送/排出されるシート110を検知位置で検知する、あるいはカセットの有無を検知することができれば、センサ101、102、103、104、105、106は上述の構成に限られるものではない。例えば、搬送経路を挟んでLEDとフォトトランジスタとが対向して配置され、シート110が搬送経路を通過する際に光路が遮蔽される構成であってもよい。また、LEDの光を搬送経路のシート110が反射することでフォトトランジスタへの光路を形成する構成であってもよい。
本実施形態では、制御基板ユニット124内にモータドライバ125、205、207が備えられている。
モータドライバ125からは、ステッピングモータ116を駆動するために、A相モータ駆動信号126及び127が、それぞれ、コネクタ130を経由し、ステッピングモータ116のA相信号線ケーブル132及び131に入力される。同様に、モータドライバ125からは、B相モータ駆動信号128及び129が、それぞれ、コネクタ130を経由し、ステッピングモータ116のB相信号線ケーブル133及び134に入力される。
同様に、DCブラシモータ115は、モータドライバ207で駆動され、また、DCブラシモータ135は、モータドライバ205で駆動される。
まず、図2を用いて、本実施形態の比較例にかかるモータ異常検知装置について説明する。
図2に示すモータ異常検知装置は、モータドライバ125によりステッピングモータ116が駆動されている際に、モータドライバ125の外部に接続される電流検出抵抗202にかかる電圧をコンパレータ209で検出するように構成される。モータドライバ125の内部の構成については、図3で説明するため、ここでは説明を省略する。
コンパレータ209の+側入力端子には、リファレンス電圧218が入力される。また、コンパレータ209の−側入力端子には、電流検出抵抗202とモータドライバ125の接続部の電圧が入力される。そして、コンパレータ209は、+側入力端子と−側入力端子に入力される電圧を比較する。
電流検出抵抗202とモータドライバ125の接続部には、(電流検出抵抗202の抵抗値)×(電流検出抵抗202に流れる電流値)として、電位が発生する。
ステッピングモータ116の駆動中にモータ巻き線のレアショートなどによる異常な過電流が生じた場合、電流検出抵抗202に流れる電流が増加し、電流検出抵抗202とモータドライバ125の接続部の電圧も上昇する。そして、コンパレータの−側入力端子の電位が、リファレンス電圧218以上になると、コンパレータ209の出力214はLOWレベルに変化する。
なお、コンパレータ209はオープンコレクタとなっている。コンパレータ209の−側入力端子の電圧がリファレンス電圧218以下の場合は、出力214はオープン状態となり、ロジック電源によりプルアップされた抵抗213によりHIレベルとなっている。
ステッピングモータ116は2相の巻き線構成からなる。電流検出抵抗202とコンパレータ209を用いてA相側の過電流が検知されるのと同様に、電流検出抵抗204とコンパレータ210を用いてB相側の過電流が検知される。
リファレンス電圧218は、モータドライバ125が持つ定電流制御等のチョッピングノイズの影響を考慮し、異常と判断する過電流の値として予め設定しておく。コンパレータ209と210のいずれか一方が過電流を検知した場合、コンパレータ209及び210の出力214及び215は、ワイヤードOR接続のためLOWレベルとなる。
図2において、電流検出抵抗とコンパレータとは、モータドライバ毎に設けられる。すなわち、図1に示したDCブラシモータ115を駆動するモータドライバ205については、電流検出抵抗206とコンパレータ211を用いて過電流の検知が行われる。
同様に、図1に示したDCブラシモータ135を駆動するモータドライバ207については、電流検出抵抗208とコンパレータ212を用いて過電流の検知が行われる。
図3は、図2で説明したモータドライバ125の内部構成の詳細を示す図である。
モータドライバ125は、ステッピングモータ116のA相を駆動するためのモータドライバ201と、ステッピングモータ116のB相を駆動するためのモータドライバ203と、を有する。なお、以下では、モータドライバ201及び203を、適宜、モータドライバ125と区別するために、「モータドライバ部」ということもある。
ステッピングモータ116のA相側において、巻き線には、接続コネクタ130を経由し、ケーブル132を介してOUTPUT A信号126が、ケーブル131を介してOUTPUT /A信号127が、それぞれ、入力される。
OUTPUT A信号126及びOUTPUT /A信号127は、モータドライバ部201内のFET&シーケンス部138を介して、モータドライバ125から出力される。
ステッピングモータ116のB相側においても、A相側と同様に、巻き線には、接続コネクタ130を経由し、ケーブル133を介してOUTPUT B信号128が、ケーブル134を介してOUTPUT /B信号129が、それぞれ、入力される。
OUTPUT B信号128及びOUTPUT /B信号129は、モータドライバ部201内のFET&シーケンス部138を介して、モータドライバ125から出力される。
モータドライバ125の外部に外付けされる電流検出抵抗202には、ステッピングモータ116のA相側の駆動電流が流れる。モータドライバ部201において、コンパレータ137は、電流検出抵抗202へ発生する電圧が、予め設定されたリファレンス電圧発生部139の電圧以上であるか否かを、抵抗136を介して検出する。コンパレータ137の出力は、FET&シーケンス部138を介して、ステッピングモータ駆動中の定電流制御に使用される。
モータドライバ125の外部に外付けされる電流検出抵抗204には、ステッピングモータ116のB相側の駆動電流が流れる。モータドライバ部203の構成や機能は、上述したモータドライバ部201と同様である。
なお、図2で説明したコンパレータ209〜212は、モータドライバ125の外部に配置され、モータドライバ125の異常検知や自己診断の用途として使用される。これに対して、モータドライバ125内部のコンパレータ137は、モータ電流制御用であり、使用用途が異なる。
次に、図4を用いて、本実施形態のモータ異常検知装置の一構成例について説明する。
図4の例において、モータドライバ201、203、205、207と各モータドライバに外付けされる電流検出抵抗202、204、206、208の構成は、図2及び図3で説明した比較例と同様である。ただし、本実施形態のモータ異常検知装置では、信号処理回路としてアナログFPGA236が用いられる。
FPGAは、Field-Programmable Gate Arrayの略であり、設計者が内部の回路構成を変更可能な集積回路であるPLD(Programmable Logic Device)の一種である。アナログFPGAにおいては、コンパレータやアナログスイッチなどの予め用意されたアナログリソースから使用するリソースを選択することができ、更に、デジタル系のリソースと併せて使用することもできる。
アナログFPGAは、予め用意されたアナログリソースの範囲内で構成される場合、回路構成が変わっても同一コストであり、回路構成をシステム設計に合わせ容易に変更できる柔軟性を持ち合わせている。
また、アナログFPGAでは、コンパレータ専用のICやアナログスイッチ専用のICなどの複数個のICデバイスをプリント配線板上に搭載し、ICデバイス間をパターン配線するなどの構成をとっても、入出力端子のパターン配線を変更する必要はない。しかし、従来のICデバイス間でのパターン配線は不要であり、複数のICデバイスのパッケージ間の実装用スペースが不要となるため、プリント配線板の面積を小さくできる可能性がある。
このため、アナログFPGAを採用することにより、従来、コストアップの観点からICデバイスを増やしたり、プリント配線板のスペースや密度をアップしたりすることが困難であったという問題を改善し、容易に機能の向上を図ることができる。
本実施形態では、アナログFPGAはアナログコンパレータやアナログスイッチなどの最低限のリソースを用意していることを想定しており、従来の同様の過電流検知機能を提供することが可能である。
次に、アナログFPGA236の構成について説明する。図4において、アナログFPGA236は、1つの半導体パッケージにより構成される。アナログFPGA236は、アナログコンパレータである2つのコンパレータ223及び224を有する。また、アナログFPGA236は、各コンパレータ223及び224の入力側に、セレクタ信号217により制御されるアナログスイッチであるスイッチ219〜222を有する。
コンパレータ223の−側入力端子には、スイッチ219を介して、アナログFPGA236の外部に配置されたモータドライバ201の駆動電流を検出する電流検出抵抗202とGND間に発生した電圧が入力される。
図4の例では、スイッチ219は、セレクタ信号217により切替が行われる。すなわち、セレクタ信号217がHIレベルの時、スイッチ219はオンとなり、電流検出抵抗202に発生した電圧がコンパレータ223の−側入力端子へ印加される。一方、セレクタ信号217がLOWIレベルの時には、スイッチ219はオフとなり、電流検出抵抗202に発生した電圧はコンパレータ223の−側入力端子には印加されない。
なお、コンパレータ223の−や+の入力側はGNDに対し高抵抗であり、スイッチ219が数十Ωのオン抵抗値を持っていても電圧降下は少ないため、影響はほぼない。
更に、本実施形態では、モータドライバ203の駆動電流を検出する電流検出抵抗204に発生する電圧を、スイッチ220を介してスイッチ219とワイヤードOR接続し、コンパレータ223の−側入力端子へ入力させる。なお、スイッチ220は、スイッチ219とは逆に、セレクタ信号がLOWレベルの時にオンする構成であり、スイッチ219とスイッチ220の両方が同時にオンになり影響し合うことを防いでいる。このように、スイッチ219とスイッチ220のいずれか一方をオンにすることにより、コンパレータ223の−側入力端子に異常な電圧が入力された場合、その異常がモータドライバ部201又は203のいずれの要因によるものかを特定することができる。
リファレンス電圧218は、モータ駆動時の過電流により電流検出抵抗に発生する電圧が過大に上昇すること想定して、モータドライバやモータなどの保護のために必要な基準電圧として予め設定しておく。また、セレクタ信号は、論理的な制御機能を有するシステム内のCPUやASIC(いずれも不図示)などにより、HIレベルあるいはLOWレベルに制御可能である。
同様に、モータドライバ205と電流検出抵抗206、モータドライバ207と電流検出抵抗208の各ペアに対し、アナログFPGA236のリソースであるスイッチ221、222とコンパレータ224により、過電流の検知機能が構成される。アナログFPGA236内のコンパレータ223と224の出力は、上述のように、オープンコレクタ出力であり、ワイヤードOR接続され、更に、プルアップ抵抗213によりロジック電源にプルアップされており、過電流検知時にLOWレベルとなる。
図4の例では、アナログFPGA236の最低限のリソースとしては、モータドライバの2つの電流検出抵抗に対して、アナログスイッチが2つとアナログコンパレータが1つである。アナログFPGA236のリソースとしてアナログコンパレータやアナログスイッチなどが豊富に用意されているケースでは、より多数のモータドライバの電流検出抵抗の電圧をモニターすることが可能である。
次に、図5を用いて、アナログFPGA236を用いた本実施形態のモータ異常検知装置をDCブラシモータに適用した例について説明する。
図5に、DCブラシモータ115及び135をそれぞれ駆動するモータドライバ207及び205の内部構成を示す。モータドライバ207及び205は、それぞれ、HIサイドFET225とLOWサイドFET226とが接続されたシーケンサ&FET部138を有する。
HIサイドFET225とLOWサイドFET226が共にオン状態となると、電源からDCブラシモータ115の巻き線へ駆動電流が流れる。その時の駆動電流は、モータドライバ207の外部の電流検出抵抗208からGNDへ流れ込む。なお、電流検出抵抗208の抵抗は小さく、モータ駆動の妨げにはならない。また、電流検出抵抗208の端子間には、(電流検出抵抗208の抵抗値)×(電流検出抵抗208に流れる電流値)の電圧が発生する。
更に、HIサイドFET225及びLOWサイドFET226には、それぞれ、並列に仮想的なダイオード227及び228が存在する。仮想ダイオード227及び228は、HIサイドFET225とLOWサイドFET226がオン状態からオフ状態になった際に、DCブラシモータ115のインダクタンスにより発生する逆起電力を電源やGNDへ逃がす機能を有する。
特に、HIサイドFET225とLOWサイドFET226は、いずれか一方を常時オンとし、更に、オンとオフを繰り返す定電流チョッピング制御を行う際においては、サージの影響を極力回避するために有効な手段となる。定電流チョッピング制御では、図3で説明したモータドライバ125内部のコンパレータ137からの論理出力に同期し、シーケンサ&FET部138内のHIサイドFET225あるいはLOWサイドFET226の一方がオンとオフを繰り返す。
DCブラシモータ135を駆動するモータドライバ205は、モータドライバ207と同様に、シーケンサ&FET部138を有する。また、モータドライバ205の外部には、DCブラシモータ135の駆動電流を検出する電流検出抵抗206が接続される。
ここで、電流検出抵抗208に発生する電圧は、アナログFPGA内の抵抗231を経由し、コンパレータ234の−側入力端子へ入力される。なお、図5においては、アナログスイッチに置き換えて、抵抗231を用いた例を示している。また、抵抗232は、抵抗231と同様の抵抗値を有し、電流検出抵抗206に接続される。
アナログスイッチの場合、オン抵抗は、上述したように、数十Ω程度の抵抗値であるのに対して、オフ抵抗は数百KΩ〜数MΩ以上という極めて高い抵抗値を有する。
一方、抵抗231及び232が、それぞれ、仮に100KΩであった場合、DCブラシモータ115の駆動中は、電流検出抵抗208に発生する電圧のおおよそ1/2がコンパレータ234の−側入力端子へ印加される。これは、DCブラシモータ135は駆動せず、LOWサイドFET228がオフ状態であるため、電流検出抵抗208に発生した電圧が、抵抗231と抵抗232と抵抗206経由でGNDへ接続され、分圧されるためである。すなわち、DCブラシモータ115と135とを同時に駆動することはできない。このため、DCブラシモータ115と135を同時に駆動するためには、抵抗231と232をアナログスイッチにして、オン時に低抵抗となり、かつ、オフ時に高抵抗となるように制御する必要がある。
次に、図6を用いて、アナログFPGA236を用いた本実施形態のモータ異常検知装置をDCブラシモータに適用した例について説明する。
本実施形態では、ステッピングモータ116は、図3で説明したように、A相とB相の2相の巻き線構成からなる。また、図6では、図5で説明したシーケンサ&FET部138と同一の構成を有するモータドライバが使用される。シーケンサ&FET部138は、ステッピングモータのA相及びB相の巻き線に対し、それぞれ2つずつ必要であり、その構成からHブリッジと呼ばれる。
シーケンサ&FET部138は、図5で説明したように、HIサイドFET225、LOWサイドFET226、仮想ダイオード227、仮想ダイオード228で構成される。モータ駆動電流用の電流検出抵抗202は、2つのシーケンサ&FET部138で共有して使用される。
ステッピングモータ116を駆動するために、Hブリッジ内のHIサイドFET225及びLOWサイドFET226は、それぞれ、図3で説明したコンパレータ137の論理出力によって制御される。また、過電流検知用のコンパレータ234の構成は、図5と同様である。
図5及び図6の例では、コンパレータ234は、アナログFPGA236の外部にある2つの駆動電流用の電流検出抵抗202及び204に対して、1つで足りる。このため、アナログFPGA236内でアナログコンパレータのリソースを使用する際に、モニターしたい電流検出抵抗の数が多い場合は、特に有用な構成となる。
なお、アナログFPGA236のリソースとしてアナログコンパレータの数に限りがある場合には、アナロコンパレータに代えて、アナログスイッチなどの他のリソースを使用してもよい。この場合、アナログFPGA236をTRIステート入力として、複数の電流検出抵抗に発生する電圧をモニターすることが可能である。
次に、図7を用いて、本実施形態のモータ異常検知装置に用いられるアナログFPGA236の他の例について説明する。
図7の例では、アナログFPGA236の外部からの入力信号241、243、246、247に対し、チョッピングノイズをマスクする機能を有する。
図7では、セレクタ信号242と244は2本あり、図4に比べて1本多い。そして、セレクタ信号242及び244を用いて、アナログFPGA236内のすべてのスイッチ237〜240でオフすることにより、電源立ち上げ直後の不安定な状態で発生する可能性があるチョッピングノイズの影響を除去することが可能である。
このように、アナログFPGAでは、使用環境や用途、機能に対応して、容易に構成の変更が可能であるというメリットを有する。
次に、図8を用いて、本実施形態のモータ異常検知装置に用いられるアナログFPGA236の更に他の例について説明する。
図8の例では、セレクタ信号を制御するためのデジタルリソースであるカウンタタイマー248がアナログFPGA236内部に設けられている。
入力信号241、243、246、247としては、アナログFPGA236の外部の電流検出抵抗の電圧が入力される。図8では、各入力信号241、243、246、247のオン及びオフは、スイッチ237〜240によって制御される。これらの制御は、アナログFPGA236内のデジタルリソースであるカウンタタイマー248からのセレクタ信号249及び250によって行われる。
図9は、図8の例において用いられるセレクタ信号の制御シーケンスの例を示す。
図9に示すように、セレクタ信号249とセレクタ信号250は、論理が反転したトグル状の信号である。各コンパレータ223及び224への入力信号241、243、246、247は、スイッチ237〜240を介して、セレクタ信号249と250によって切り替えられる。
上述のとおり、アナログFPGAは、カウンタタイマーなどのデジタルリソースも用意することができる。例えば、デジタルリソースとして、デジタルFPGAのセル構成を司るLUTなどを用意することもできる。なお、LUTは、Lookup Tableの略であり、論理的に柔軟な論理回路を構成可能で、FPGAに予め用意されたリソースにより構成される論理要素である。複数のLUTを使用し、カウンタタイマーなどを構成することは容易であることから、アナログFPGAを用いることにより、柔軟性に富んだ論理回路を構成することが可能である。
図10は、本実施形態のモータ異常検知装置に用いられるアナログFPGA236の更に他の例である。
図10の例では、図8の構成に加えて、更に、コンパレータ223及び224の出力側に、LUTから構成されるラッチ回路253を備えている。ラッチ回路253を用いることにより、図9に示すように、カウンタタイマー248からのセレクタ信号249及び250がトグル状に変化した場合、コンパレータからの出力もトグル状となる。これにより、アナログFPGA236からの出力信号がアナログFPGA236の後段に接続される回路に入力される場合に、後段の回路による出力信号の取得を確実に行うことが可能である。
アナログFPGA236の後段に接続される回路への出力信号の入力は、ラッチあるいは割り込み入力機能を使用する場合には、確実に行われる。それ以外の例えばCPUを使用した制御回路では、アナログFPGA236からのコンパレータ出力を入力ポートで受けるなどするが、CPUはその内部の制御ソフトウェアによって、ラウンドロビン方式で、入力ポートを監視し、変化を検知する必要がある。入力ポートにトグル状の過電流検知出力信号が入力された場合、ラウンドロビンの間隔が出力信号のトグル周波数に近い場合や、それ以上である場合、出力信号の取りこぼしや、過電流検知判定までの遅延が発生してしまう。
そのため、図10の例のように、アナログFPGA236内でラッチ回路253を使用してコンパレータの出力をラッチあるいは論理的に固定することにより、後段の回路によるアナログFPGA236からの出力信号の取得を確実に行うことが可能である。
ここで、図11に、ラッチ回路253の動作の一例を示すテーブルを示す。
図11に示すように、ラッチ回路253は、コンパレータ223の出力251とコンパレータ224の出力252のいずれか一方がLOWレベルの場合、LOWレベルをラッチして、アナログFPGA236からの出力信号254を後段の回路に出力する。コンパレータ出力251と252が共にHIレベルの場合は、以前の状態を保持し、そのままのレベルとなる。
モータを駆動するシステムでは、モータあるいはモータドライバが破損し定常の電流以上の過電流が持続的に流れると、最悪の場合、発煙や発火などの致命的な状態に陥ることがある。このため、モータ自体の構造上の安全策とモータドライバが持つ安全装置の他に、システムの電源がオフするまで過電流検知状態をラッチする仕組みを備えることは、システムを確実に保護するために必要不可欠である。
図10の例によれば、ラッチ回路253が出力信号254のLOWをラッチするため、システムの電源がオフするまで過電流検知状態が保持され、過電流検知の取りこぼしや遅延を発生させない安全なシステムを構築することができる。
図12は、本実施形態のモータ異常検知装置に用いられるアナログFPGA236の更に他の例である。
図12の例では、外部からの入力信号241、243、246、247が4つあるのに対して、アナログFPGA236内のコンパレータ256は1つのみである。
上述のとおり、入力信号241、243、246、247からは、アナログFPGA236の外部にあるモータの駆動電流用の電流検出抵抗に発生する電圧が入力される。そして、アナログFPGA236内において、入力信号241はスイッチ237へ、入力信号243はスイッチ238へ、入力信号246はスイッチ239へ、入力信号247へはスイッチ240へ、それぞれ、接続される。
各スイッチ237〜240は、オン状態では数十Ω程度の低抵抗であり、各入力信号をコンパレータ256の−側入力端子へ入力させる。また、各スイッチ237〜240は、スイッチがオフ状態では数百KΩ〜数MΩ以上の高抵抗となり、コンパレータ256との接続を切断する。
各スイッチ237〜240のオンやオフの制御は、アナログFPGA236の内部に設けられたカウンタタイマー248からのセレクタ信号258〜261により行われる。
図12において、セレクタ信号258〜259はカウンタタイマー248からパルス信号として継続的に出力され、HIレベル期間のみ、セレクタ信号が入力されるスイッチはオン状態(低抵抗)になる。そのため、各セレクタ信号のHIレベルの期間がオーバーラップ(重複)しないようにすることで、各入力信号によるコンパレータ256の−側入力端子への干渉による影響を防ぐことができる。
ここで、図13に、図12の例において用いられるセレクタ信号の制御シーケンスの一例を示す。
図13に示すように、入力信号241が過電流の状態となりリファレンス電圧245を超えた場合(t11の時点)、セレクタ信号258のHIレベル期間に同期して、コンパレータ256の出力信号257がLOWレベルとなる(t12の時点)。そして、入力信号241に関連するモータやモータドライバでの過電流状態が継続する限り、コンパレータ256の出力257(出力信号254)のLOW期間は、セレクタ信号258のHI期間に同期する。
出力信号254が入力される後段の回路における出力信号の取りこぼしや遅延を防ぐために、図10で説明したラッチ回路253などのラッチ部をコンパレータ256の出力端子側に接続させることも可能である。
但し、近年のモータドライバによる過電流検知のスピードは高速化されており、過電流検知時間が1m秒に満たない状態でモータドライブ用フロントエンドのFETをオフするものもある。その場合、カウンタタイマー248から発生されるセレクタ信号258〜261のパルス周波数を10KHz〜数MHzと高速化させる必要がある。すなわち、図13に示したセレクタ信号258〜261のオン期間の合計時間230をモータドライバによる過電流検知時間より短くする必要がある。
また、モータ数が増え、セレクタ信号が増えても、各セレクタ信号のオン期間の合計時間を短くすることにより、モータドライバによる過電流検知時間より短くする必要がある。
なお、近年では、アナログFPGAについても、内部を数MHz以上のクロック周波数で動作させる高速なものもあるため、上記に対する対応は容易に行える環境になってきている。
図14は、図13に示したセレクタ信号258〜261の制御シーケンスを改善し、各セレクタ信号258〜261のHI期間をオーバーラップさせた場合の制御シーケンスを示す。
各セレクタ信号のHI期間をオーバーラップさせることにより、各セレクタ信号のHI期間を短くしすぎることなく、コンパレータ256の−側入力端子に各入力信号が印加する時間をオーバーラップさせる。これにより、アナログFPGA236の後段における出力信号257の取得を確実に行うことができる。
本実施形態におけるモータの異常検知は、システムが自己診断を行う場合などの実使用状態以外でのテストモードにおいて行うことができるが、以下に述べるように、図14に示した方式は特にテストモードで行うことが有効である。
2以上のセレクタ信号がオーバーラップすると、セレクタ信号がオーバーラップして入力したアナログスイッチが数十Ωの導通状態となる。例えば、セレクタ信号258とセレクタ信号259とセレクタ信号260が同時にHIとなっている期間では、数十Ωのアナログスイッチが3個の合成抵抗ができてしまうことから、モータ駆動中に、電流検出抵抗の抵抗値が見かけ上で低下してしまう。これにより、モータ駆動電流自体も低下してしまう。
しかし、モータ巻き線のレアショートやモータドライバの破損による過電流が発生した場合、モータドライバが過電流を検知するまでの時間が1m秒未満であるため、電流検出抵抗の抵抗値の低下に影響されない。
これを応用し、過電流状態か否かをテストするテストモードでは、まず、入力信号241と関連するモータ巻き線へ駆動電流を流すことでモータを定電流駆動する。他のモータ巻き線に対しては、モータドライバのLOWサイドFET226をオフすることにより、駆動電流を流さないようにする。
この場合、入力信号241による電圧が過電流によりリファレンス電圧245を超えた時点(図14におけるt21)において、コンパレータ256の出力信号257はLOWレベルに変化する。その後、セレクタ信号258のHI期間に同期して、出力信号257はLOWレベルとなる。
その際、入力信号241以外の入力信号に関連するスイッチ238、239、240も間欠的にオン状態にされる。これは、入力信号241に関連するモータ巻き線以外でも意図しないモータドライバの破壊やソフトウェアの暴走などにより、過電流が発生していないかを検知するためである。
上述したように、各セレクタ信号のオン期間がオーバーラップする期間では、駆動対象となるモータの定電流制御の電流値は通常より低下している。このため、リファレンス電圧を可変にし、テストモード時のみ下げることで、過電流の検知感度を向上させることが可能となる。
また、セレクタ信号258が他のセレクタ信号とオーバーラップしていない期間(図14におけるt22からt23の期間)において、出力信号257はHIレベルとなる。この期間では、例えば、アナログFPGA236内に出力信号257を高速にモニターし演算するプロセッサを搭載することで、どの入力信号において過電流検知が発生しているかを判別することが可能である。
以上のとおり、本実施形態によれば、アナログFPGAを用いたモータ異常検知装置において、アナログFPGA内において、コンパレータの入力側にアナログスイッチを設けてオンとオフを制御するように構成した。これにより、コストの増大をもたらすことなく、過電流が発生したモータの相を特定することが可能である
<実施形態2>
実施形態1では、上述のとおり、アナログFPGAを用いたモータ異常検知装置において、アナログスイッチをコンパレータの入力側に設けるように構成した。
これに対して、実施形態2では、コンパレータの出力側にアナログスイッチを設けることにより、実施形態1と同様に、過電流が発生したモータの相を特定できるように構成する。
図15は、本実施形態のモータ異常検知装置の一構成例である。
図15の例では、実施形態1と同様に、アナログFPGA236内のコンパレータ209により、モータドライバ201でモータを駆動する駆動電流を検出する電流検出抵抗202に発生する電圧がリファレンス電圧245以上であるか否かを比較する。更に、図15の例では、コンパレータ209の出力信号270に対しスイッチ265を設けて、アナログFPGA236の外部から、出力信号269を後段の回路に出力するか否かを制御する。
図15において、モータドライバ203、205、207と、電流検出抵抗204、206、208と、入力信号243,246、248と、コンパレータ210〜212と、スイッチ266〜268は、上述の構成と同様である。
図2に示した比較例と比較すると、図15の例では、各コンパレータの出力端子側に、それぞれ、スイッチ265〜268が追加されている。そして、入力信号241、243、246、248のいずれかが過電流状態になった場合、各スイッチ265〜268のオン状態とオフ状態を組み合わせることにより、どの入力信号が過電流状態となったかを判定することができる。
入力信号241、243、246、248のいずれかが過電流状態となり、出力信号269がLOWレベルなった場合、例えば、スイッチ265をオン状態に、スイッチ266〜268をオフ状態にする。そして、出力信号269のLOWレベルが変化するか否かを確認する。
各スイッチを上述の状態にしたことにより出力信号269がLOWからHIレベルへ変化した場合、モータドライバ201に関連する入力信号241に異常の原因があったと判断することができる。
このように、各スイッチのオン状態とオフ状態を組み合わせることにより、過電流が発生しているモータやモータドライバを特定することが可能となる。さらに、このようにして特定された異常箇所をサービスマンやユーザーに迅速に通知することにより、部品交換等の時間を短縮でき、作業工数の削減によるコストダウンを図ることができる。
図16は、本実施形態のモータ異常検知装置の他の例である。図16の例では、テストモードにおいて、システムの動作確認を行う機能を有する。
図16の例では、モータドライバ201と電流検出抵抗202との間に発生する電圧が入力信号241としてアナログFPGA236へ取り込まれる。そして、入力信号241は、アナログFPGA236内において、コンパレータ209の入力端子側に設けられたアナログスイッチであるスイッチ274へ接続される。スイッチ274は、信号線284を介してコンパレータ209の−側入力端子へ接続される。
更に、スイッチ274のオン状態とオフ状態の制御は、セレクタ信号281を介してLUT268により行われる。LUTは、上述したように、Lookup Tableの略である。
LUT268は、セレクタ信号278〜281の制御を、アナログFPGA236の外部からの制御信号317〜319に従い行う。3本の制御信号317〜319の論理的な組み合わせにより、特定のセレクタ信号をHIレベルへ選択するなどの設定が可能である。
同様に、モータドライバ203と電流検出抵抗204との間に発生する電圧が入力信号243としてアナログFPGA236へ取り込まれる。そして、入力信号243は、アナログFPGA236内において、スイッチ275へ接続される。スイッチ275は、信号線285を介して信号線284に接続され、コンパレータ209の−側入力端子へ接続される。
スイッチ275のオン状態とオフ状態の制御は、セレクタ信号280を介してLUTにより行われる。コンパレータ209の+側入力端子には、リファレンス電圧245として、過電流と判断するための電圧が印加される。
コンパレータ209の出力信号289には、コンパレータ209の出力端子側に設けられたアナログスイッチであるスイッチ265が接続され、最終段の出力信号288として後段の回路に出力するか否かが制御可能とされる。スイッチ265の制御は、LUT268によりセレクタ信号283を介して行われる。
このように、図16の例では、1つのコンパレータ209に対する2つ入力信号241及び243をスイッチ274及び275で切り替え1つ出力信号289とし、かつ、出力信号289を出力するか否かをスイッチ265で制御するように構成される。
図16の例では、全体としては、2つのコンパレータ209及び210に4つの入力信号241、243、246、248が入力され、2つの出力信号289及び290をワイヤードOR接続し、出力信号288を後段の回路に出力するように構成される。なお、この回路に用いられるアナログスイッチなどの大部分は、アナログFPGA236内のリソースとして予め用意されている。
この構成によれば、どのモータやモータドライバなどが過電流の起因となっているかを特定することが可能となる。
例えば、テストモードとして、スイッチ274及び275をオン状態とし、その他のスイッチをオフ状態として、モータドライバ201を動作させたとする。このようなテストモードにおいて診断を行えば、他のモータドライバからの影響を完全に排除した診断が可能となるため、より信頼性の高いシステムを構築できる。
また、アナログFPGA内に予め組み込まれたリソースを使用することにより、プリント配線板でのICデバイスの数を増やすことがなく、配線数の削減やプリント配線板面積の縮小化を図ることもできる。また、アナログFPGAへの入力信号の増減や、内部リソースの増減などによる回路構成の変更も、アナログFPGAのリソース数の範囲内であれば、設定情報の書き換えだけで容易に対応であるというメリットもある。
図17は、図16に示したテストモードにおいて、更に、アナログFPGA内部において各入力信号が流れる各経路における動作確認を行うための手段を追加した例である。
アナログFPGA236へ入力される外部入力信号291は、コンパレータのリファレンス信号245の電圧より大きい電圧、又は、小さい電圧に設定可能である。
モータドライバ201に関する電流検出抵抗202に発生する入力信号241は、アナログFPGA236の内部でスイッチ296に接続される。そして、入力信号241は、スイッチ295を経由した外部入力信号291と接続され、更に、スイッチ274に接続される。
ここで、入力信号241がイッチ274を経由し、コンパレータ209を介して、後段の回路に出力するまでの動作確認をする場合について考える。
この場合、まず、スイッチ295をオン状態に、スイッチ296をオフ状態に、スイッチ274及び265をオン状態にする。また、これら以外のスイッチもオフ状態にする。そして、この状態において、外部入力信号291としてリファレンス電圧245より低い電圧及び高い電圧の両者の電圧を印加する。
ここで、外部入力信号291としてリファレンス電圧245より低い電圧及び高い電圧の両者の電圧を印加した際における、最終段の出力信号288の信号レベルがHI又はLOWであるかを、それぞれ、検出する。これにより、入力信号241から出力信号288までのコンパレータ209を含めた経路における動作を確認することができる。
同様に、他の入力信号243、246、248に対しても、同様に制御することにより、アナログFPGA236内における各経路の動作確認を行うことができる。
図18は、図16に示した例に対して、更に、アナログFPGA236の外部から、DAコンバータ306とアナログバッファ312を介してリファレンス電圧245を入力させる例である。
DAコンバータ306は、信号線311によりアナログバッファ312に接続されている。また、DAコンバータ306は、信号線308により制御部307に接続されている。
制御部307は、信号線309を介してアナログFPGA236内のLUT268を制御する。制御部307によるLUT268の制御は論理信号やシリアル信号などを用いて行われ、信号線309は必要に応じた本数が備えられる。また、制御部307は、信号線310を介して最終段の出力信号288をモニターする。制御部307はDAコンバータ306を介してリファレンス電圧245を制御することができ、
例えば、テストモードにおいて、モータドライバ201を駆動した際に、電流検出抵抗202に発生する電圧が過電流ではない通常電流による電圧であったとする。この場合、制御部307によりリファレンス電圧245を通常電流で発生する電圧以下に制御することにより、過電流状態を作り出すことができる。これにより、コンパレータ209を含む経路についての動作確認をより適切に行うことが可能となる。
また、DAコンバータ306、アナログバッファ312、制御部307などは、アナログFPGAデバイスに予め用意されたリソースから構成可能であるため、コストの増大をもたらすことなく、回路構成をシステム設計に合わせて容易に変更することができる。
図19は、図18に示した例に対して、更に、DAコンバータ313とアナログバッファ316を設け、外部入力信号291を制御するように構成する例である。
上述のとおり、図17において、スイッチ295を用いて外部入力信号291を入力する例を示した。図19の例では、更に、DAコンバータ313からの制御信号315を用いて、外部入力信号291を制御する。
これにより、図18で説明したような、コンパレータ209の+側入力端子に入力されるリファレンス電圧245の変化に対応して、コンパレータ209の−側入力端子に入力される信号も制御することが可能となる。このため、コンパレータ209を含む経路について、コンパレータ209の反応性能やヒステリシス性能も含めた動作確認を行うことが可能となる。
また、DAコンバータ313などをアナログFPGA236に予め用意されたリソースから構成することにより、コストの増大をもたらすことなく、回路構成をシステム設計に合わせて容易に変更することができる。
以上のとおり、本実施形態によれば、実施形態1と同様に、コストの増大をもたらすことなく、過電流が発生したモータの相を特定することが可能である。
<その他の実施形態>
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
また、本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用しても、1つの機器からなる装置に適用してもよい。
本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形が可能であり、それらを本発明の範囲から除外するものではない。すなわち、上述した例及びその変形例を組み合わせた構成もすべて本発明に含まれるものである。
100 画像形成装置
114、116 ステッピングモータ
115、135 DCブラシモータ
201、203、205、207 モータドライバ
202、204、206、208 電流検出抵抗
223、224、234 コンパレータ
236 アナログFPGA

Claims (14)

  1. モータを駆動する複数のモータドライバ毎に設けられ前記モータの駆動電流を検出する抵抗のそれぞれに発生する電圧が入力され、前記電圧の異常を示す信号を出力する信号処理回路を有するモータ異常検知装置であって、
    前記信号処理回路は、前記信号が、複数の前記抵抗に発生する電圧のうち、いずれの抵抗に基づくものであるかを特定する手段を有する
    ことを特徴とするモータ異常検知装置。
  2. 前記信号処理回路はコンパレータを有し、
    前記コンパレータには、前記抵抗に発生する電圧と、基準電圧とが、入力される
    ことを特徴とする請求項1に記載のモータ異常検知装置。
  3. 前記特定する手段は、入力される信号のオンとオフを切り替える切替手段である
    ことを特徴とする請求項2に記載のモータ異常検知装置。
  4. 前記切替手段は、前記コンパレータの入力側に配置される
    ことを特徴とする請求項3に記載のモータ異常検知装置。
  5. 前記切替手段は、複数の前記抵抗に対してそれぞれ配置される
    ことを特徴とする請求項4に記載のモータ異常検知装置。
  6. 前記切替手段は、前記コンパレータの出力側に配置される
    ことを特徴とする請求項3に記載のモータ異常検知装置。
  7. 前記切替手段は、複数の前記コンパレータに対してそれぞれ配置される
    ことを特徴とする請求項6に記載のモータ異常検知装置。
  8. 前記信号処理回路は、1つの半導体パッケージ内に設けられる
    ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のモータ異常検知装置。
  9. 前記半導体パッケージは、回路構成を変更可能な集積回路を含む
    ことを特徴とする請求項8に記載のモータ異常検知装置。
  10. 前記集積回路は、アナログFPGAから構成される
    ことを特徴とする請求項9に記載のモータ異常検知装置。
  11. 前記モータは、DCモータである
    ことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載のモータ異常検知装置。
  12. 前記DCモータは、ステッピングモータである
    ことを特徴とする請求項11に記載のモータ異常検知装置。
  13. 請求項1乃至12のいずれか1項に記載のモータ異常検知装置を内蔵した
    ことを特徴とする画像形成装置。
  14. モータを駆動する複数のモータドライバ毎に設けられ前記モータの駆動電流を検出する抵抗のそれぞれに発生する電圧が入力され、前記電圧の異常を示す信号を出力する信号処理回路を有するモータ異常検知装置の制御方法であって、
    前記信号処理回路は、前記信号が、複数の前記抵抗に発生する電圧のうち、いずれの抵抗に基づくものであるかを特定する工程を有する
    ことを特徴とするモータ異常検知装置の制御方法。
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