JP2021140051A - 三次元磁気センサを用いたトナー濃度の検出 - Google Patents
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Abstract
【課題】現像剤のトナー濃度を低コストで安定して検知する手段の提供。【解決手段】本開示は、現像剤のトナー濃度を検出する画像形成装置を提供する。画像形成装置は、トナー及びキャリアを含む現像剤を格納する容器と、容器内に配置された磁石と、磁石により生成された磁束のx、y及びz方向の磁束密度成分を検知する三次元磁気センサと、検知されたx、y及びz方向の磁束密度成分の合成値に基づいて、容器内の現像剤のトナー濃度を判定するプロセッサとを含む。【選択図】図2
Description
画像形成装置では、良好な画像を安定して形成するために、現像剤のトナー濃度を一定に維持することが求められる。そのため、画像形成装置によっては、透磁率センサや光学センサのようなセンサを用いて、現像剤のトナー濃度を検知するものがある。
本開示は、現像剤のトナー濃度を検出する画像形成装置を提供する。画像形成装置は、トナー及びキャリアを含む現像剤を格納する容器と、前記容器内に配置された磁石と、前記磁石により生成された磁束のx、y及びz方向の磁束密度成分を検知する三次元磁気センサと、前記検知されたx、y及びz方向の磁束密度成分の合成値に基づいて、前記容器内の前記現像剤のトナー濃度を判定するプロセッサとを含む。
一態様において、前記画像形成装置は、前記容器内に配置された攪拌搬送装置をさらに含み、前記磁石は、前記撹拌搬送装置に結合され、前記三次元磁気センサは、前記撹拌搬送装置に対向して配置されている場合がある。前記三次元磁気センサは、前記容器内に検知面を有する場合がある。あるいは、前記三次元磁気センサは、前記容器の外部に配置され、前記磁石により生成された前記磁束の前記x、y及びz方向の磁束密度成分を前記容器の壁を通して検知する場合がある。前記プロセッサは、前記撹拌搬送装置の1以上の回転の間に検知された前記磁束の前記x、y及びz方向の前記磁束密度成分の合成値のピーク値又はピーク値の平均値に基づいて、前記容器内の前記現像剤のトナー濃度を判定する場合がある。
前記磁石は、前記撹拌搬送装置の回転方向の両端に磁極を有する両面単極着磁型の磁石である場合がある。前記磁石は、前記撹拌搬送装置の回転軸の半径方向の両端に磁極を有する両面単極着磁型の磁石である場合がある。前記磁石は、前記撹拌搬送装置の回転方向の前縁部又は後縁部に複数の磁極を有する片面多極着磁型の磁石である場合がある。
前記撹拌搬送装置は、第1の撹拌搬送装置と、前記第1の撹拌搬送装置よりも低い位置に配置された第2の撹拌搬送装置とを含み、前記三次元磁気センサは、前記第2の撹拌搬送装置に対向して配置されている場合がある。
他の態様において、前記画像形成装置は、前記容器内に配置された攪拌搬送装置と、前記容器内に配置され、前記容器の開口部を通して前記現像剤を感光体に供給する現像ローラとをさらに含み、前記現像ローラは、前記磁石を含み、前記三次元磁気センサは、前記現像ローラに対向して配置されている場合がある。
前記三次元磁気センサは、前記現像ローラの回転方向において、層規制部材の下流側に配置されている場合がある。前記三次元磁気センサは、前記容器内に検知面を有する場合がある。あるいは、前記三次元磁気センサは、前記容器の外部に配置され、前記磁石により生成された前記磁束の前記x、y及びz方向の磁束密度成分を前記容器の壁を通して検知する場合がある。前記プロセッサは、前記現像ローラの1以上の回転の間に検知された前記磁束の前記x、y及びz方向の前記磁束密度成分の合成値の平均値に基づいて、前記容器内の前記現像剤のトナー濃度を判定する場合がある。
本開示は、現像剤のトナー濃度を検出する画像形成装置を製造する方法を提供する。この方法は、トナー及びキャリアを含む現像剤を格納する容器を設け、前記容器内に磁石を配置し、前記磁石により生成された磁束のx、y及びz方向の磁束密度成分を検知する三次元磁気センサを設け、前記検知された前記x、y及びz方向の磁束密度成分の合成値に基づいて、前記容器内の前記現像剤のトナー濃度を判定するプロセッサを設けることを含む。
以下、図面を参照して、本開示の種々の例について詳しく説明する。
図1は、本開示の一例による、画像形成装置1を示している。画像形成装置1は、4つのトナー色(マゼンタ、イエロー、シアン及びブラック)の各々について、トナーボトルN、現像装置20、感光体ドラム40、帯電ローラ41、及びクリーニングユニット43を含む。画像形成装置1は、記録媒体搬送ユニット70と、転写装置30と、露光ユニット42と、定着装置50と、排出装置60とを含む。転写装置30は、中間転写ベルト31と、中間転写ベルト31を循環運動可能に懸架する懸架ローラ34、35、36、37と、4つの感光体ドラム40にそれぞれ対応する4つの一次転写ローラ32と、用紙Pを中間転写ベルト31に対して押圧しながら中間転写ベルト31の動きに従動して回転する二次転写ローラ33とを含む。懸架ローラ37は、中間転写ベルト31を矢印で示された方向に循環運動させる駆動ローラである。画像形成装置1は、画像形成装置1の種々の構成要素の動作を制御するプロセッサ80と、プロセッサ80により実行される種々の制御命令や関連データを記憶するメモリ82とを含む。プロセッサ80は、コントローラ80であってもよい。
画像形成装置1は、各感光体ドラム40を対応する帯電ローラ41によって帯電させ、その上に、対応する色の画像データに従って露光ユニット42により静電潜像を形成した後、その静電潜像を、対応する現像装置20によって対応するトナーボトルNからのトナーで現像し、トナー像を形成する。4つの感光体ドラム40上にそれぞれ形成された4色のトナー画像は、次に、一次転写ローラ32によって中間転写ベルト31上に順番に積層され、一つのトナー画像に合成される。中間転写ベルト31上に合成されたトナー画像は、その後、二次転写ローラ33によって用紙P上に転写され、加熱ローラ52と加圧ローラ54からなる定着装置50によって用紙P上に定着される。用紙Pは、記録媒体搬送ユニット70によって、カセットKから一枚ずつ搬送経路P1に沿って搬送され、二次転写ローラ33による前記トナー画像の転写を受けた後、排出ローラ62、64からなる排出装置60によって排出される。
図2及び図3は、画像形成装置1において実施可能な、一例による現像装置100を示している。現像装置100は、現像剤(図示せず)を格納する容器101と、容器101内に配置された第1の撹拌搬送装置110及び第2の撹拌搬送装置120とを含む。現像剤は、トナーと磁性キャリアとを含む。
第1の撹拌搬送装置110は、現像剤を攪拌しながら方向D1に搬送し、隔壁102の開口部103を通して現像剤を第2の撹拌搬送装置120に受け渡す。第2の撹拌搬送装置120は、現像剤を攪拌しながら方向D1とは反対の方向D2に搬送し、隔壁102の開口部104を通して現像剤を第1の撹拌搬送装置110に受け渡す。このようにして、現像剤は、容器101内で循環的に搬送される。
現像装置100は、容器101内に、第1の撹拌搬送装置110に対向して配置された現像ローラ130を含む。現像ローラ130は、磁石を含むコア128と、コア128の周りに配置された回転可能なスリーブ129とを含む。現像ローラ130は、第1の撹拌搬送装置110から現像剤の一部を磁力で吸着し、吸着した現像剤を、容器101の開口部105を通して感光体ドラム40に供給する。
第1の撹拌搬送装置110は、回転軸112と、回転軸112の周りに延びるオーガー114とを含む。オーガー114は、代わりに、スクリュー114であってもよい。第2の撹拌搬送装置120は、回転軸122と、回転軸122の周りに延びるオーガー124とを含む。オーガー124は、代わりに、スクリュー124であってもよい。
容器101内の現像剤のトナー濃度を検出するために、現像装置100は、磁石140と、三次元(3D)磁気センサ160とを有する。本明細書において、「トナー濃度」とは、現像剤中のトナーの重量パーセント濃度を意味する。特定方向の磁束密度成分のみを検知する一次元の磁気センサを使用した場合であっても、原理的には、検知された特定方向の磁束密度成分からトナー濃度を判定することは可能である。しかしながら、その場合、センサや磁石の取付けの位置や角度が僅かでもずれると、検知される磁束密度成分は大きく低下することになり、トナー濃度を正確に検知することが難しくなる。本開示によれば、三次元磁気センサにより検知されたx、y及びz方向の磁束密度成分の合成値に基づいてトナー濃度を判定することで、磁石140及び/又は三次元磁気センサ160の取付けの位置や角度の誤差による影響を大幅に低減することが可能となる。
図4(a)〜図4(c)は、磁石140の詳細を示している。図4(b)は、図4(a)におけるA−A線端面図である。図4(c)は、図4(b)における磁石140付近の拡大図である。オーガー124は、回転軸122に沿って真っ直ぐに延びる攪拌板124aを含み、磁石140は、撹拌板124aの一方の面に両面粘着テープで接着されている。磁石140は、両面粘着テープの代わりに、接着剤や他の接着手段で接着されてもよい。磁石140を例えばこのような形で第2の撹拌搬送装置120に結合することにより、現像剤の撹拌や搬送に大きな影響を及ぼすことなく、磁束を生成することができる。
磁石140は、オーガー124の回転方向の両端に磁極を有する両面単極着磁型の磁石である。NとSの磁極は、図4(c)に示したものとは逆であってもよい。両面単極着磁型の磁石140は、磁石140や三次元磁気センサ160の取付けの位置や角度の誤差の影響を受けにくい点で、片面単極着磁型の磁石よりも有利である。中でも、オーガー124の回転方向の両端に磁極を有する磁石140は、磁石からの距離による磁束密度の減衰が少ない点で有利である。
三次元磁気センサ160は、図2に示されるように、容器101内に検知面164を有する形で、第2の撹拌搬送装置120に対向して配置されている。図示の例では、三次元磁気センサ160は、ベース部材162に接着され、容器101の壁に形成された開口部に嵌め込まれている。検知面164を容器101内に配置することにより、磁石140から検知面164までの距離が短縮され、トナー濃度を高精度で検知することが可能となる。また、検知面164を容器101内に配置することにより、オーガー124の回転時に、磁石140に吸着された現像剤で検知面164を掃除することができ、安定した磁束密度の検知が可能となる。さらに、第1の撹拌搬送装置110よりも低い位置に配置された第2の撹拌搬送装置120はその周りに現像剤が滞留しやすいため、三次元磁気センサ160を第2の撹拌搬送装置120に対向して配置することで、トナー濃度を高精度で検知することが可能となる。ただし、図13を参照して後述するように、三次元磁気センサは、容器201の外部に配置されてもよい。
三次元磁気センサ160は、磁石140により当該センサの位置に生成された磁束のx、y及びz方向(すなわち、互いに直交する三軸に沿った方向)の磁束密度成分を検知し、検知されたx、y及びz方向の磁束密度成分を示す信号(例えば、電圧信号)をプロセッサ80に出力する。x、y及びz方向の磁束密度成分を検知するそのような三次元磁気センサの一例は、AKM(旭化成マイクロデバイス)社から市販されているAK09970Nである。ただし、他の三次元磁気センサを使用してもよい。
プロセッサ80は、三次元磁気センサ106によって検知されたx、y及びz方向の磁束密度成分の合成値(すなわち、合成ベクトルの大きさ)を計算し、合成値に基づいて、容器101内の現像剤のトナー濃度を判定する。x、y及びz方向の磁束密度成分をBx、By、Bz[mT]とした場合、x、y及びz方向の磁束密度成分の合成値B[mT](以下単に、「磁束密度」と呼ぶ)は、B=(Bx2+By2+Bz2)1/2で計算することができる。
磁石140から三次元磁気センサ160までの距離が一定であると仮定した場合、三次元磁気センサ160で検知された磁束の磁束密度が大きくなるほど、容器101内の現像剤のトナー濃度は、高くなる。磁束密度とトナー濃度との間のこの相関関係が分かっていれば、三次元磁気センサ160で検知された磁束の磁束密度から、容器101内の現像剤のトナー濃度を判定することができる。しかしながら、磁石140をオーガー124に結合した場合、三次元磁気センサ160から磁石140までの距離は、オーガー124の回転に伴って周期的に変化する。そのため、容器101内のトナー濃度を、三次元磁気センサ160で検知された磁束密度から単純に判定することはできない。そこで、本開示では、プロセッサ80は、この距離の変動を実質的に無効化するために、オーガー124の回転中に検知された磁束密度の「ピーク値」に着目して、容器101内の現像剤のトナー濃度を判定する。磁束密度のピーク値は、回転する磁石140が三次元磁気センサ160に最も近い位置にあるときの磁束密度に相当する。
トナー濃度の判定に先立って、メモリ82には、現像装置100に取り付けられた磁石140及び三次元磁気センサ160を使用して測定された磁束密度(ピーク値)とトナー濃度との間の相関関係(例えば、後述する図5、図8又は図11に示されるような相関関係)を示すデータが、予め記憶される。この相関関係は、例えば、工場で測定され、メモリ82に記憶される場合がある。ただし、三次元磁気センサ160は、地磁気や周囲温度、及びトナーボトル内の現像剤の量等の影響を受けることがある。そのため、これらの影響を排除するために、画像形成装置1は、画像形成装置1の設置場所が変更されたり、トナーボトルが交換されたときは、メモリ82に記憶された相関関係を、キャリブレーションすることができる。キャリブレーションは、例えば、容器101に現像剤が入っていない状態、及び容器101に所定のトナー濃度の現像剤が入っている状態の各々において、三次元磁気センサ160の出力をプロセッサ80で取得することにより実施される。ただし、キャリブレーションの方法は、この方法に限られない。
図5は、磁石140を含む現像装置100において測定された磁束密度(ピーク値)とトナー濃度との間の相関関係の一例を示している。図示のように、トナー濃度が約0〜15%の範囲では、磁束密度(ピーク値)を、概ね一次関数で近似することができる。この相関関係は、一次関数f=ax+bの形でメモリ82に予め記憶されてもよいし、ルックアップテーブルの形でメモリ82に予め記憶されてもよい。三次元磁気センサ160によれば、磁束密度(ピーク値)とトナー濃度との間の相関関係が直線的であるため、対数特性を有する透磁率センサに比べて広範囲で正確にトナー濃度を検出することができる。
磁束密度(ピーク値)とトナー濃度との間の相関関係がメモリ82に記憶された後、プロセッサ80は、画像形成装置1の動作中に、例えば、オーガー124が1回転する間に三次元磁気センサ160によって検知された磁束密度の「ピーク値」から、メモリ82から読み出した磁束密度(ピーク値)とトナー濃度との間の相関関係に基づいて、容器101内の現像剤のトナー濃度を判定することができる。例えば、プロセッサ80は、オーガー124が1回転する間に、三次元磁気センサ160からの出力を一定の時間間隔でサンプリングし、サンプリングされたx、y、及びz方向の磁束密度成分から磁束密度の合成値を計算し、合成値のピーク値を判定することができる。また、相関関係がルックアップテーブルの形で記憶されている場合、プロセッサ80は、ルックアップテーブルに補間を適用して、トナー濃度を判定することができる。
図6は、磁石140を含む現像装置100において、オーガー124が1回転する間に三次元磁気センサ160によって検知された磁束の磁束密度の一例を示している。横軸は、回転軸122を中心とする磁石140の相対角度位置[deg]である。縦軸は、三次元磁気センサ160によって検知された磁束の磁束密度[mT]である。この例では、検知された磁束密度の「ピーク値」は、約8.5[mT]である。したがって、プロセッサ80は、例えば図5に一次関数で示したような相関関係から、トナー濃度は、約6.5[重量%]であるものと判定することができる。もし判定されたトナー濃度が所定の適正動作範囲(例えば、約6%〜12%)外であった場合、プロセッサ80は、トナー濃度を調節すべきことをトナー補給機構(図示せず)に命じることができる。
トナー濃度の検知精度を向上させるために、プロセッサ80は、オーガー124が複数回回転する間に三次元磁気センサ160によって検知された磁束密度のピーク値の平均値に基づいて、容器101内の現像剤のトナー濃度を判定してもよい。例えば、プロセッサ80は、各回転につき1つのピーク値を判定する場合がある。
図7(a)〜図7(c)は、現像装置100において実施可能な、他の例による磁石140Aを示している。図7(b)は、図7(a)におけるB−B線端面図である。図7(c)は、図7(b)における磁石140A付近の拡大図である。オーガー124は、回転軸122に沿って真っ直ぐに延びる攪拌板124aを含み、磁石140Aは、撹拌板124aの一方の面に両面粘着テープで接着されている。磁石140Aは、両面粘着テープの代わりに、接着剤や他の接着手段で接着されてもよい。磁石140Aを例えばこのような形で第2の撹拌搬送装置120に結合することにより、現像剤の撹拌や搬送に大きな影響を及ぼすことなく、磁束を生成することができる。
磁石140Aは、オーガー124の回転軸122の半径方向の両端に磁極を有する両面単極着磁型の磁石である。NとSの磁極は、図7(c)に示したものとは逆であってもよい。両面単極着磁型の磁石140Aは、磁石140Aや三次元磁気センサ160の取付けの位置や角度の誤差の影響を受けにくい点で、片面単極着磁型の磁石よりも有利である。
図8は、磁石140Aを含む現像装置100において測定された磁束密度(ピーク値)とトナー濃度との間の相関関係の一例を示している。図示のように、トナー濃度が約0〜15%の範囲では、磁束密度(ピーク値)を、概ね一次関数で近似することができる。この相関関係は、一次関数f=ax+bの形でメモリ82に予め記憶されてもよいし、ルックアップテーブルの形でメモリ82に予め記憶されてもよい。三次元磁気センサ160によれば、磁束密度(ピーク値)とトナー濃度との間の相関関係が直線的であるため、対数特性を有する透磁率センサに比べて広範囲で正確にトナー濃度を検出することができる。
磁束密度(ピーク値)とトナー濃度との間の相関関係がメモリ82に記憶された後、プロセッサ80は、画像形成装置1の動作中に、例えば、オーガー124が1回転する間に三次元磁気センサ160によって検知された磁束密度の「ピーク値」から、メモリ82から読み出した磁束密度(ピーク値)とトナー濃度との間の相関関係に基づいて、容器101内の現像剤のトナー濃度を判定することができる。例えば、プロセッサ80は、オーガー124が1回転する間に、三次元磁気センサ160からの出力を一定の時間間隔でサンプリングし、サンプリングされたx、y、及びz方向の磁束密度成分から磁束密度の合成値を計算し、合成値のピーク値を判定することができる。また、相関関係がルックアップテーブルの形で記憶されている場合、プロセッサ80は、ルックアップテーブルに補間を使用して、トナー濃度を判定することができる。
図9は、磁石140Aを含む現像装置100において、オーガー124が1回転する間に三次元磁気センサ160によって検知された磁束の磁束密度の一例を示している。横軸は、回転軸122を中心とする磁石140Aの相対角度位置[deg]である。縦軸は、三次元磁気センサ160によって検知された磁束の磁束密度[mT]である。この例では、検知された磁束密度の「ピーク値」は、約10.4[mT]である。したがって、プロセッサ80は、例えば図8に一次関数で示したような相関関係から、トナー濃度は、約8.0[重量%]であるものと判定することができる。もし判定されたトナー濃度が所定の適正動作範囲(例えば、約6%〜12%)から外れていた場合、プロセッサ80は、トナー濃度を調節すべきことをトナー補給機構(図示せず)に命じることができる。
トナー濃度の検知精度を向上させるために、プロセッサ80は、オーガー124が複数回回転する間に三次元磁気センサ160によって検知された磁束密度のピーク値の平均値に基づいて、容器101内の現像剤のトナー濃度を判定してもよい。例えば、プロセッサ80は、各回転につき1つのピーク値を判定する場合がある。
図10(a)〜図10(c)は、現像装置100において実施可能な、他の例による磁石140Bを示している。図10(b)は、図10(a)におけるC−C線端面図である。図10(c)は、図10(b)における磁石140B付近の拡大図である。オーガー124は、回転軸122に沿って真っ直ぐに延びる攪拌板124aを含み、磁石140Bは、撹拌板124aの一方の面に両面粘着テープで接着されている。磁石140Bは、両面粘着テープの代わりに、接着剤や他の接着手段で接着されてもよい。磁石140Bを例えばこのような形で第2の撹拌搬送装置120に結合することにより、現像剤の撹拌や搬送に大きな影響を及ぼすことなく、磁束を生成することができる。
磁石140Bは、オーガー124の回転方向の一端に磁極を有する片面多極着磁型の磁石である。磁石140Bは、オーガー124の回転方向の前縁部に沿ってNとSの磁極を交互に有している。あるいは、磁石304は、図10(c)に示したものとは反対に、オーガー124の回転方向の後縁部に沿ってNとSの磁極を交互に有していてもよい。片面多極着磁型の磁石140Bは、後述するピーク値の判定の際のピーク値のサンプリング誤差が比較的小さい点で有利である。
図11は、磁石140Bを含む現像装置100において測定された磁束密度(ピーク値)とトナー濃度との間の相関関係の一例を示している。図示のように、トナー濃度が約0〜15%の範囲では、磁束密度(ピーク値)を、概ね一次関数で近似することができる。この相関関係は、一次関数f=ax+bの形でメモリ82に予め記憶されてもよいし、ルックアップテーブルの形でメモリ82に予め記憶されてもよい。三次元磁気センサ160によれば、磁束密度(ピーク値)とトナー濃度との相関関係が直線的であるため、対数特性を有する透磁率センサに比べて広範囲で正確にトナー濃度を検出することができる。
磁束密度(ピーク値)とトナー濃度との間の相関関係がメモリ82に記憶された後、プロセッサ80は、画像形成装置1の動作中に、例えば、オーガー124が1回転する間に三次元磁気センサ160によって検知された磁束密度の「ピーク値」から、メモリ82から読み出した磁束密度(ピーク値)とトナー濃度との間の相関関係に基づいて、容器101内の現像剤のトナー濃度を判定することができる。例えば、プロセッサ80は、オーガー124が1回転する間に、三次元磁気センサ160からの出力を一定の時間間隔でサンプリングし、サンプリングされたx、y、及びz方向の磁束密度成分から磁束密度の合成値を計算し、合成値のピーク値を判定することができる。また、相関関係がルックアップテーブルの形で記憶されている場合、プロセッサ80は、ルックアップテーブルに補間を使用して、トナー濃度を判定することができる。
図12は、磁石140Bを有する現像装置100において、オーガー124が1回転する間に三次元磁気センサ160によって検知された磁束の磁束密度の一例を示している。横軸は、回転軸122を中心とする磁石140Bの相対角度位置[deg]である。縦軸は、三次元磁気センサ160によって検知された磁束の磁束密度[mT]である。この例では、磁束密度の「ピーク値」は、約3.1[mT]である。したがって、プロセッサ80は、例えば図11に一次関数で示したような相関関係から、トナー濃度は、約8.0[重量%]であるものと判定することができる。もし判定されたトナー濃度が所定の適正動作範囲(例えば、約6%〜12%)から外れていた場合、プロセッサ80は、トナー濃度を調節すべきことをトナー補給機構(図示せず)に命じることができる。
トナー濃度の検知精度を向上させるために、プロセッサ80は、オーガー124が複数回回転する間に三次元磁気センサ160によって検知された磁束密度のピーク値の平均値に基づいて、容器101内の現像剤のトナー濃度を判定してもよい。例えば、プロセッサ80は、各回転につき1つのピーク値を判定する場合がある。
図13は、画像形成装置1において実施可能な、他の例による現像装置200を示している。現像装置200は、現像装置100に類似しているが、三次元磁気センサ260が、容器201の外部に配置され、当該センサの位置に生成された磁束のx、y及びz方向の磁束密度成分を容器201の壁を通して検知する点で、現像装置100とは相違する。三次元磁気センサ260は、容器201の外面に固定部材262によって固定されている。固定部材262は、容器201の外面に形成された窪みに嵌め込まれている。あるいは、三次元磁気センサ260は、例えば両面粘着テープや接着剤によって容器201の外面に直接接着されてもよい。現像装置200は、三次元磁気センサ260の取付けが容易である点で有利である。現像装置200は、磁石140と同様の磁石240を有している。ただし、現像装置200は、磁石240の代わりに、図7に示した磁石140Aと同様の磁石240A(図示せず)、又は、図10に示した磁石140Bと同様の磁石240B(図示せず)を有していてもよい。現像装置100の構成要素に対応する現像装置200の構成要素には、現像装置100の構成要素の参照符号に「100」を加えた参照符号を付すことによって、重複する説明を省略する。
図14は、他の画像形成装置で実施される、他の例による現像装置300を示している。現像装置300は、現像装置100に類似しているが、三次元磁気センサ360が、現像ローラ330に対向して配置され、磁石340が、現像ローラ330に含まれる点で、現像装置100とは相違する。また、第1の撹拌搬送装置310、第2の撹拌搬送装置320、及び現像ローラ330の回転方向は、現像装置100におけるものとは反対である。現像装置100の構成要素に対応する現像装置300の構成要素には、現像装置100の構成要素の参照符号に「200」を加えた参照符号を付すことによって、重複する説明を省略する。
現像装置300は、容器301内に、第1の撹拌搬送装置310に対向して配置された現像ローラ330を含む。現像ローラ330は、円筒形のコア328と、コア328の周りに配置された回転可能なスリーブ329とを含む。現像ローラ330は、第1の撹拌搬送装置310から現像剤の一部を磁束で吸着し、吸着した現像剤を、容器301の開口部305を通して感光体ドラム370に供給する。この目的のために、コア328は、コア328の周りに、例えば図示のように5つの磁極(すなわち、第1搬送極、現像極、第2搬送極、剥離極、及び層規制極)を形成する複数の磁石340を含む。
現像装置300において、三次元磁気センサ360は、コア328内の磁石340によって生成された磁束の磁束密度を検知する。そのため、現像装置300は、トナー濃度を判定するために磁石を新設する必要がなく、製造コストを低減できる点で有利である。
三次元磁気センサ360は、現像ローラ330に対向して配置される。三次元磁気センサ360は、容器301の外部に配置され、磁石340により生成された磁束のx、y及びz方向の磁束密度成分を容器301の壁を通して検知する。三次元磁気センサ360は、容器301の外面に固定部材362によって固定されている。固定部材362は、容器301の外面に形成された窪みに嵌め込まれている。あるいは、三次元磁気センサ360は、例えば両面粘着テープや接着剤によって容器301の外面に直接接着されてもよい。
画像形成装置のプロセッサは、三次元磁気センサ360で検知された磁束のx、y及びz方向の磁束密度成分の合成値(すなわち、合成ベクトルの大きさ)を計算し、合成値に基づいて、容器301内の現像剤のトナー濃度を判定する。上述のように、x、y及びz方向の磁束密度成分の合成値に基づいてトナー濃度を判定することにより、三次元磁気センサ360の取付けの位置や角度の誤差による影響を低減することが可能となる。トナー濃度の判定に先立って、画像形成装置のメモリには、現像装置300に取り付けられた磁石340及び三次元磁気センサ360を使用して測定された磁束密度とトナー濃度との相関関係(例えば、後述する図15に示されるような相関関係)を示すデータが、予め記憶される。
三次元磁気センサ360は、現像ローラ330の回転方向において、層規制部材350の下流側に配置されている。これによって、三次元磁気センサ360は、現像剤の搬送量が一定になった後の安定した状態で磁束密度を検知することができ、したがって、トナー濃度の検知精度を向上させることができる。例えば、三次元磁気センサ360は、現像ローラ330の回転方向において、層規制部材350の直後に配置される場合がある。
図15は、現像装置300を含む画像形成装置において測定された磁束密度とトナー濃度との間の相関関係の一例を示している。現像装置300では、磁石340と三次元磁気センサ360との間の距離が一定であるため、図示のように、磁束密度は、トナー濃度に比例して増大している。この相関関係は、例えば、工場で測定され、一次関数f=ax+bの形で、画像形成装置のメモリに記憶される場合がある。ただし、三次元磁気センサ360は、地磁気や周囲温度、及びトナーボトル内の現像剤の量等の影響を受ける場合がある。そのため、これらの影響を排除するために、画像形成装置は、画像形成装置の設置場所が変更されたり、トナーボトルが交換されたときは、メモリに記憶された相関関係を、キャリブレーションすることができる。キャリブレーションは、例えば、容器301に現像剤が入っていない状態、及び容器301に所定のトナー濃度の現像剤が入っている状態の各々において、三次元磁気センサ360の出力をプロセッサで取得することにより実施される。ただし、キャリブレーションの方法は、この方法に限られない。
磁束密度とトナー濃度との間の相関関係が画像形成装置のメモリに記憶された後、画像形成装置のプロセッサは、画像形成装置の動作中に、例えば、現像ローラ330が1回転する間に三次元磁気センサ160によって検知された磁束密度の「平均値」から、メモリから読み出した磁束密度とトナー濃度との間の相関関係に基づいて、容器301内のトナー濃度を判定することができる。例えば、プロセッサ80は、現像ローラ330が1回転する間に、三次元磁気センサ360からの出力をサンプリングし、サンプリングされたx、y、及びz方向の磁束密度成分から磁束密度の合成値を計算し、合成値の平均値を計算することができる。平均値を計算することにより、現像ローラ330の回転による振動の影響を低減または排除することができる。例えば、検知された磁束密度の平均値が、14.9[mT]であった場合、プロセッサは、例えば図15に一次関数で示されたような相関関係から、トナー濃度は、約8.5[重量%]であるものと判定することができる。もし判定されたトナー濃度が所定の適正動作範囲(例えば、約6%〜12%)から外れていた場合、プロセッサは、容器301内のトナー濃度を調節すべきことをトナー補給機構(図示せず)に命じることができる。
トナー濃度の検知精度を向上させるために、画像形成装置のプロセッサは、現像ローラ330が複数回回転する間に三次元磁気センサ360によって検知された磁束密度をサンプリングし、サンプリングされた磁束密度の平均値から、容器301内の現像剤のトナー濃度を判定してもよい。
また、他の例では、現像装置300は、容器301の外部に配置された三次元磁気センサ360の代わりに、容器301内に検知面を有する形で、現像ローラ330に対向して配置された三次元磁気センサ(図示せず)を有していてもよい。三次元磁気センサの検知面を容器301内に配置することにより、磁石340から三次元磁気センサの検知面までの距離が短縮され、精度の高いトナー濃度の検知が可能となる。
図16は、本開示の一例による、現像剤のトナー濃度を検出する画像形成装置の製造方法400を示すフロー図である。製造方法400は、ステップ402から開示され、ステップ404へ進み、そこで、トナー及びキャリアを含む現像剤を格納する容器を設ける。製造方法400は、次にステップ406へ進み、そこで、容器内に磁石を配置する。製造方法400は、次にステップ408へ進み、そこで、磁石により生成された磁束のx、y及びz方向の磁束密度成分を検知する三次元磁気センサを設ける。製造方法400は、次にステップ410へ進み、そこで、検知されたx、y及びz方向の磁束密度成分の合成値に基づいて容器内の現像剤のトナー濃度を判定するプロセッサを設ける。製造方法400は、次にステップ412へ進み、そこで終了する。
上記の説明は、例示を目的とするものであり、本開示の範囲を制限するものではない。
1 画像形成装置
101、201、301 容器
110、210 第1の撹拌搬送装置
120、220 第2の撹拌搬送装置
130、230、330 現像ローラ
140、140A、140B、240、340 磁石
160、260、360 三次元磁気センサ
101、201、301 容器
110、210 第1の撹拌搬送装置
120、220 第2の撹拌搬送装置
130、230、330 現像ローラ
140、140A、140B、240、340 磁石
160、260、360 三次元磁気センサ
Claims (15)
- 現像剤のトナー濃度を検出する画像形成装置であって、
トナー及びキャリアを含む現像剤を格納する容器と、
前記容器内に配置された磁石と、
前記磁石により生成された磁束のx、y及びz方向の磁束密度成分を検知する三次元磁気センサと、
前記検知されたx、y及びz方向の磁束密度成分の合成値に基づいて、前記容器内の前記現像剤のトナー濃度を判定するプロセッサと
を含む、画像形成装置。 - 前記容器内に配置された攪拌搬送装置をさらに含み
前記磁石は、前記撹拌搬送装置に結合され、
前記三次元磁気センサは、前記撹拌搬送装置に対向して配置されている、請求項1に記載の画像形成装置。 - 前記三次元磁気センサは、前記容器内に検知面を有する、請求項2に記載の画像形成装置。
- 前記三次元磁気センサは、前記容器の外部に配置され、前記磁石により生成された前記磁束の前記x、y及びz方向の磁束密度成分を前記容器の壁を通して検知する、請求項2に記載の画像形成装置。
- 前記プロセッサは、前記撹拌搬送装置の1以上の回転の間に検知された前記磁束の前記x、y及びz方向の前記磁束密度成分の合成値のピーク値又はピーク値の平均値に基づいて、前記容器内の前記現像剤のトナー濃度を判定する、請求項2〜4の何れか一項に記載の画像形成装置。
- 前記磁石は、前記撹拌搬送装置の回転方向の両端に磁極を有する両面単極着磁型の磁石である、請求項2〜5の何れか一項に記載の画像形成装置。
- 前記磁石は、前記撹拌搬送装置の回転軸の半径方向の両端に磁極を有する両面単極着磁型の磁石である、請求項2〜5の何れか一項に記載の画像形成装置。
- 前記磁石は、前記撹拌搬送装置の回転方向の前縁部又は後縁部に複数の磁極を有する片面多極着磁型の磁石である、請求項2〜5の何れか一項に記載の画像形成装置。
- 前記撹拌搬送装置は、第1の撹拌搬送装置と、前記第1の撹拌搬送装置よりも低い位置に配置された第2の撹拌搬送装置とを含み、
前記三次元磁気センサは、前記第2の撹拌搬送装置に対向して配置されている、請求項2〜8の何れか一項に記載の画像形成装置。 - 前記容器内に配置された攪拌搬送装置と、
前記容器内に配置され、前記容器の開口部を通して前記現像剤を感光体に供給する現像ローラと
をさらに含み、
前記現像ローラは、前記磁石を含み、
前記三次元磁気センサは、前記現像ローラに対向して配置されている、請求項1に記載の画像形成装置。 - 前記三次元磁気センサは、前記現像ローラの回転方向において、層規制部材の下流側に配置されている、請求項10に記載の画像形成装置。
- 前記三次元磁気センサは、前記容器内に検知面を有する、請求項10または請求項11に記載の画像形成装置。
- 前記三次元磁気センサは、前記容器の外部に配置され、前記磁石により生成された前記磁束の前記x、y及びz方向の磁束密度成分を前記容器の壁を通して検知する、請求項10または請求項11に記載の画像形成装置。
- 前記プロセッサは、前記現像ローラの1以上の回転の間に検知された前記磁束の前記x、y及びz方向の前記磁束密度成分の合成値の平均値に基づいて、前記容器内の前記現像剤のトナー濃度を判定する、請求項10〜13の何れか一項に記載の画像形成装置。
- 現像剤のトナー濃度を検出する画像形成装置を製造する方法であって、
トナー及びキャリアを含む現像剤を格納する容器を設け、
前記容器内に磁石を配置し、
前記磁石により生成された磁束のx、y及びz方向の磁束密度成分を検知する三次元磁気センサを設け、
前記検知されたx、y及びz方向の磁束密度成分の合成値に基づいて、前記容器内の前記現像剤のトナー濃度を判定するプロセッサを設けること
を含む方法。
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