JP2021138848A - パンクシーリング剤 - Google Patents

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直哉 市川
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Abstract

【課題】良好な初期シール性能、シール保持性能を確保しつつ、低温での注入性、耐熱性が改善されたタイヤのパンクシーリング剤を提供する。【解決手段】天然ゴムラテックス及び凍結防止剤を含むパンクシーリング剤であって、前記天然ゴムラテックスに含まれる全ゴム粒子数100%中の80%以上は、粒子径0.5μm以下の微細ゴム粒子であるパンクシーリング剤。【選択図】なし

Description

本発明は、タイヤパンク時に、タイヤホイールの空気バルブからパンクシーリング剤と高圧空気とを順次タイヤ内に注入する方式のパンク処置システムにおいて、使用するパンクシーリング剤に関する。
パンクしたタイヤを応急的に補修する処置システムとして、例えば、パンクシーリング剤を収容した耐圧容器とコンプレッサーなどの高圧空気源とを用い、空気バルブを経てタイヤ内にシーリング剤を注入した後、引き続いて連続的に高圧空気を注入し、走行可能な圧力までタイヤをポンプアップするもの(以下に一体型タイプという場合がある)が知られている(特開2001−198986号公報の図1参照)。
このようなパンクシーリング剤として、ゴム粒子中に粒子径が0.5μm以下の微細ゴム粒子を含み、かつ該微細ゴム粒子の粒子数を全ゴム粒子数の55%以上とした天然ゴムラテックス等を含む保管性能に優れたパンクシーリング剤、等が提案されている(特許文献1参照)。
近年、パンクシーリング剤には、初期シール性能、シール保持性能、低温での注入性等の注入性、耐熱性等をバランス良く改善することが要求されている。
特開2005−120273号公報
本発明は、前記課題を解決し、良好な初期シール性能、シール保持性能を確保しつつ、低温での注入性、耐熱性が改善されたタイヤのパンクシーリング剤を提供することを目的とする。
本発明は、天然ゴムラテックス及び凍結防止剤を含むパンクシーリング剤であって、前記天然ゴムラテックスに含まれる全ゴム粒子数100%中の80%以上は、粒子径0.5μm以下の微細ゴム粒子であるパンクシーリング剤に関する。
前記天然ゴムラテックスは、スラッジの含有量が0.1質量%以下であることが好ましい。
前記天然ゴムラテックスは、金属含有量が0.1質量%以下であることが好ましい。
前記天然ゴムラテックスは、ゴム固形分含有量が20〜55質量%であることが好ましい。
前記天然ゴムラテックスは、クラリファイアーを用いて調製したものであることが好ましい。
前記天然ゴムラテックスは、該天然ゴムラテックスに含まれるゴム固形分100質量%に対して、ノニオン界面活性剤を0.1〜10質量%添加して安定化させた安定化天然ゴムラテックスであることが好ましい。
粘着付与樹脂を含むことが好ましい。
本発明は、天然ゴムラテックス及び凍結防止剤を含むパンクシーリング剤であって、前記天然ゴムラテックスに含まれる全ゴム粒子数100%中の80%以上は、粒子径0.5μm以下の微細ゴム粒子であるパンクシーリング剤であるので、良好な初期シール性能、シール保持性能を確保しつつ、低温での注入性、耐熱性を改善できる。
クラリファイアー(清澄機)の断面模式図である。
本発明のパンクシーリング剤は、天然ゴムラテックス及び凍結防止剤を含み、かつ、前記天然ゴムラテックスに含まれる全ゴム粒子数100%中の80%以上が粒子径0.5μm以下の微細ゴム粒子であるものである。
市販されている天然ゴムラテックスは、固形分が約40%の樹液として採取され、遠心分離やクリーミング等の方法で、固形分60%まで濃縮精製し、製造されている。そして、濃縮時に微粒子のラテックス粒子が漿液側に含まれて排出されることで、粒子径分布が採取された状態より均一になり、また、水溶性の含有成分が漿液とともに失われる。
本発明で使用する天然ゴムラテックスは、粒子径0.5μm以下の微細ゴム粒子を非常に多量に含むものであって、例えば、通常の濃縮精製から採取後の精製方法を変更して調製でき、具体的には、クラリファイアー(清澄機)を用いた調製法等で作製できる。通常の濃縮精製の場合、漿液に微細ゴム粒子と水溶性の成分が除去されるのに対し、クラリファイアーによる処理では、スラッジのみの除去が可能で、微細ゴム粒子も処理後のラテックスに残存する。そのため、濃縮精製のようなゴム粒子の粒子径分布の均一化がなく、均一化に起因する粘度等のコロイド特性の変化が抑制される。よって、通常の濃縮精製した汎用ラテックスと異なって、フィールドラテックスの採取時の粒子分布が維持され、微細ゴム粒子比率が高くなるため、低温注入性等が向上する。
更に、前記天然ゴムラテックスは、水溶性の成分も含んでいるので、耐劣化性の低下も抑制される。従って、本発明のパンクシーリング剤は、注入性、特に低温での注入性に優れ、耐熱性にも優れている。加えて、良好な初期シール性能、シール保持性能も有している。
本発明では、スムーズにパンクシーリング剤をタイヤ内に注入できること、走行により速やかにパンク穴にパンクシーリング剤が入り込み、タイヤの変形による機械的刺激を受けて固まってパンク穴を塞ぐこと(初期シール性能)、ある程度の走行距離までシール性が保持されること(シール保持性能)等の性能の観点から、天然ゴムラテックスを主成分とするパンクシーリング剤が使用される。
特に、この天然ゴムラテックスから蛋白質を除去した所謂脱蛋白天然ゴムラテックスは、より少ないアンモニアで腐敗が抑えられるため、アンモニアに起因するスチールコードへの腐食損傷及び刺激臭の発生を防止するという観点からも、より好ましく使用できる。脱蛋白天然ゴムラテックスは、例えば、特開平10−217344号公報に記載のように、天然ゴムラテックスに蛋白分解酵素を添加して、蛋白質を分解させた後、洗浄することによって調製できる。
前記天然ゴムラテックスは、該天然ゴムラテックスに含まれる全ゴム粒子数100%中の80%以上が粒子径0.5μm以下の微細ゴム粒子である。すなわち、本発明では、天然ゴムラテックスとして、粒子径0.5μm以下の微細ゴム粒子を全ゴム粒子数に対して80%以上含有させた微粒子ゴムラテックスを採用する。なお、微細ゴム粒子の粒子数の全ゴム粒子数に対する割合を、便宜上、粒子数%とも称する。
なお、ゴムラテックス中に分散するゴム粒子の粒子径、及び粒子径の分布は、光散乱光度計を用いて測定でき、その測定結果から、粒子径0.5μm以下の微細ゴム粒子の粒子数%を求めることができる。
粒子径0.5μm以下の微細ゴム粒子の粒子数%は、良好な低温での注入性、耐熱性が得られる観点から、80%以上であるが、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上で、100%でもよい。
前記天然ゴムラテックスは、ゴムの劣化抑制の観点から、スラッジの含有量が0.1質量%以下であることが好ましい。スラッジとは、天然ゴムラテックス中に含まれている沈殿物であり、具体的には、フィールドラテックスに含まれる金属化合物(金属酸化物等)、リン化合物、窒素化合物等である。前記スラッジの含有量は少ないほど好適で、好ましくは0.05質量%以下、より好ましくは0.02質量%以下である。
前記天然ゴムラテックスは、ゴムの劣化抑制の観点から、金属含有量が0.1質量%以下であることが好ましい。金属含有量は、前記スラッジの含有量は少ないほど好適で、好ましくは0.05質量%以下、より好ましくは0.02質量%以下である。なお、前記天然ゴムラテックス中の金属としては、マグネシウム、銅、マンガン、鉄等が挙げられる。これらの各金属の含有量についても、望ましくは上記範囲である。
初期シール性能、シール保持性能、注入性の点から、パンクシーリング剤の全質量100質量%中、天然ゴムラテックスのゴム固形分の配合量A(パンクシーリング剤中のゴム固形分量)は、好ましくは5〜35質量%、より好ましくは8〜28質量%、更に好ましくは12〜25質量%の範囲である。下限以上にすることで、良好なパンクシール性能、シール保持性能、注入性が得られ、上限以下にすることで、良好な保管性能が得られる傾向がある。
前記天然ゴムラテックスは、必要に応じて、乳化剤である界面活性剤を少量添加した水性媒体中に、ゴム固形分を微粒子状に乳化分散させたものである。前記天然ゴムラテックスのゴム固形分含有量(天然ゴムラテックス100質量%中のゴム粒子の含有量)は、良好な低温での注入性、耐熱性が得られる観点から、20〜55質量%が好ましく、30〜50質量%がより好ましく、35〜45質量%が更に好ましい。このように、本発明では、比較的濃度が低い天然ゴムラテックスが好適であり、これにより、前述の効果を奏する。
前記天然ゴムラテックスとして、ノニオン界面活性剤を添加して安定化させた安定化天然ゴムラテックスを好適に使用できる。安定化させる界面活性剤としては、ノニオン性界面活性剤が好ましい。この場合、良好な低温での注入性、耐熱性が得られる。
ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル及び/又はポリオキシアルキレンアルケニルエーテルが好ましい。
ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル等のノニオン性界面活性剤は、エチレンオキサイド構造及び/又はプロピレンオキサイド構造を有することが好ましく、エチレンオキサイド構造を有するものがより好ましい。また、エチレンオキサイド構造及び/又はプロピレンオキサイド構造を有するノニオン性界面活性剤では、エチレンオキサイド(EO)及びプロピレンオキサイド(PO)の平均付加モル数(EO及びPOの平均付加モル数の合計)が10以上であることが好ましく、13以上であることがより好ましい。また、該平均付加モル数は、好ましくは80以下、より好ましくは60以下、更に好ましくは40以下である。
また、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルにおけるアルキル基の炭素数、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテルにおけるアルケニル基の炭素数は、10以上であることが好ましく、12以上であることがより好ましい。また、該炭素数は、好ましくは20以下、より好ましくは18以下である。
ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテルとしては、下記式(1)で表される化合物が挙げられる。
−O−(AO)−H (1)
(式(1)において、Rは炭素数4〜24のアルキル基又は炭素数4〜24のアルケニル基を表す。平均付加モル数nは1〜80を表す。AOは同一又は異なって炭素数2〜4のオキシアルキレン基を表す。)
の炭素数は、好ましくは8以上、より好ましくは10以上、更に好ましくは12以上である。またRの炭素数は、好ましくは22以下、より好ましくは20以下、更に好ましくは18以下である。
nは、好ましくは10以上、より好ましくは13以上である。またnは、好ましくは60以下、より好ましくは50以下、更に好ましくは40以下である。
AOは、好ましくは炭素数2〜3のオキシアルキレン基(オキシエチレン基(EO)、オキシプロピレン基(PO))である。(AO)が2種以上のオキシアルキレン基を含む場合、オキシアルキレン基の配列はブロックでもランダムでもよい。R、nが上記範囲である場合やAOがEO、POである場合、本発明の効果が良好に発揮される。
ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテルとしては、下記式(2)で表される化合物が好適に使用される。
−O−(EO)(PO)−H (2)
(式(2)において、Rは炭素数8〜22のアルキル基又は炭素数8〜22のアルケニル基を表す。EOはオキシエチレン基、POはオキシプロピレン基を表す。平均付加モル数xは1〜60、平均付加モル数yは0〜20である。)
の炭素数の好ましい数値範囲は、上記Rと同様である。Rは直鎖状又は分岐状のいずれであってもよいが、直鎖状のアルキル基又はアルケニル基が好ましい。xは、好ましくは10以上、より好ましくは13以上である。またxは、好ましくは50以下、より好ましくは40以下である。yは、好ましくは10以下、より好ましくは4.5以下、更に好ましくは2.0以下である。また、yは0であってもよい。R、x、yが上記範囲である場合、本発明の効果が良好に発揮される。
EOとPOの配列はブロックでもランダムでもよい。EOとPOの配列がブロックである場合、EOのブロックの数、POのブロックの数は、各平均付加モル数が上記範囲内である限り、それぞれ1個でも2個以上でもよい。また、EOからなるブロックの数が2個以上である場合、各ブロックにおけるEOの繰り返し数は、同一でも異なってもよい。POのブロックの数が2個以上である場合も、各ブロックにおけるPOの繰り返し数は、同一でも異なってもよい。EOとPOの配列がランダムである場合は、各平均付加モル数が上記範囲内である限り、EOとPOとが交互に配列されても無秩序に配置されてもよい。
ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルケニルエーテル(例えば、式(2)のy=0の化合物)が好適に使用される。この場合、好ましいEOの平均付加モル数、アルキル基、アルケニル基は、上記と同様である。
ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテルとしては、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンミリスチルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンミリスチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンラウリルエーテル等が挙げられる。なかでも、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテルが好ましい。
ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル等のノニオン性界面活性剤のHLB値(グリフィン法で算出)は、好ましくは12以上、より好ましくは13以上である。また、該HLB値は、好ましくは19以下、より好ましくは17以下である。
ノニオン性界面活性剤の市販品としては、エマルゲン320P(式(2):R=ステアリル基、x=13、y=0)、エマルゲン420(式(2):R=オレイル基、x=20、y=0)、エマルゲン430(式(2):R=オレイル基、x=30、y=0)、エマルゲン150(式(2):R=ラウリル基、x=40、y=0)、エマルゲン109P(式(2):R=ラウリル基、x=9、y=0)、エマルゲン120(式(2):R=ラウリル基、x=12、y=0)、エマルゲン220(式(2):R=セチル基、x=12、y=0)等が挙げられる(いずれも花王(株)製)。
前記安定化天然ゴムラテックスの場合、天然ゴムラテックスに含まれるゴム固形分100質量%に対するノニオン界面活性剤の配合量B’は、低温での注入性、耐熱性の観点から、0.1〜10質量%が好ましく、0.3〜5質量%がより好ましく、0.5〜3質量%が更に好ましい。
パンクシーリング剤の全質量100質量%に対するノニオン性界面活性剤Bの配合量は、0.01〜1.0質量%が好ましい。下限以上にすることで、良好な注入性が得られ、上限以下にすることで、良好なシール性が得られる傾向がある。該配合量は、0.05〜0.5質量%がより好ましく、0.1〜0.3質量%が更に好ましい。
なお、必要に応じて前記天然ゴムラテックスの他、更にブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、エチレン−酢酸ビニルゴム、クロロプレンゴム、ビニルピリジンゴム、ブチルゴムなどの合成ゴムラテックス等をブレンドしてもよい。
前述の微細ゴム粒子の粒子数%が80%以上の天然ゴムラテックス(微粒子ゴムラテックス)は、例えば、図1の断面模式図で示されるクラリファイアー1(清澄機)を用いて製造できる。クラリファイアー1は、微粒子を懸濁する液を、静澄液と固形分とに分離する機械であり、本発明では、農園で採取されたフィールドラテックスを、ゴム粒子が分散した天然ゴムラテックス(清澄液)と、金属化合物等を含むスラッジ(固形分)とに分離できる。
図1のクラリファイアー1は、回転筒11及び多数の分離板12が遠心力で高速回転可能なように配された装置(遠心分離機)である。通路13から導入されたフィールドラテックスは、回転筒11の中心部から分離板12の微小隙間に入り、ゴム粒子が分離板12に捉えられ、出口14から微細ゴム粒子を80%以上含む天然ゴムラテックス(清澄液)として分離される。一方、分離板12にて遠心分離されたスラッジ(固形分)は、外周部のスラッジ分溜り(図示せず)に溜められた後、スラッジ排出口(図示せず)から排出される。
図1に示すクラリファイアー等により、微細ゴム粒子の粒子数%が80%以上でかつ、スラッジや金属含有量が少ない天然ゴムラテックスを製造できる。クラリファイアー(清澄機)としては、従来公知の装置を使用でき、例えば、分離板型クラリファイアー(分離板型固定壁式、分離板型噴嘴式、分離板型噴嘴三相式、分離板型弁排出式等)、円筒型クラリファイアー(円筒型円筒式、円筒型多筒式、螺旋排出式、往復弁式等)、特殊型クラリファイアー(円錐双胴式、星型胴式等)、等が挙げられる。
通常の遠心分離機は、軽液、重液、固形物に分け、軽液が固形分60%のラテックスとして排出される。一方、図1のクラリファイアー等による処理では、図1のように、遠心力がかけられるものの、出口14が1個のため、固形分(スラッジ)は除かれるが、それ以外の成分は、そのまま出口14から排出される。よって、ゴム粒子の粒度分布が維持され、前述の作用効果が得られる。
クラリファイアー等による遠心分離処理において、その遠心力、遠心分離処理時間、遠心分離処理温度は、ゴム粒子を回収できるよう適宜設定すれば良い。分離効率等の観点から、遠心力は、300〜10000G(×g)が好ましく、1000〜5000Gがより好ましく、1500〜4000Gが更に好ましい。遠心分離処理の時間は、0.5〜20分が好ましく、1〜10分がより好ましい。温度は、通常、5〜50℃、好ましくは10〜40℃である。
本発明において使用する凍結防止剤としては特に制限はなく、エチレングリコール、プロピレングリコール(1,2−プロパンジオール)、1,3−プロパンジオール等を使用できる。なかでも、低温での注入性、耐熱性の観点から、プロピレングリコール(1,2−プロパンジオール)、1,3−プロパンジオールが好ましく、1,3−プロパンジオールが特に好ましい。
パンクシーリング剤の全質量100質量%中、凍結防止剤の配合量Cは、20〜70質量%が好ましく、30〜60質量%がより好ましく、35〜55質量%が更に好ましい。下限以上にすることで、良好な低温注入性が得られ、上限以下にすることで、良好なパンクシーリング性が得られる傾向がある。
凍結防止剤の配合量C’は、パンクシーリング剤の液体成分100質量%中、30〜80質量%が好ましく、40〜70質量%がより好ましく、45〜60質量%が更に好ましい。下限以上にすることで、良好な低温注入性が得られ、上限以下にすることで、良好なパンクシーリング性が得られる傾向がある。ここで、液体成分とは、水及び凍結防止剤をいう。よって、配合量は、凍結防止剤の質量/水及び凍結防止剤の合計質量×100(質量%)を意味する。
パンクシーリング剤には、粘着付与剤を配合してもよい。粘着付与剤は、ゴムラテックスとタイヤとの接着性を高め、パンクシール性能を向上させるために用いられるものであり、例えば、乳化剤を少量含む水性媒体中に、粘着付与樹脂を微粒子状に乳化分散させた粘着付与樹脂エマルジョン(水中油滴型エマルジョン)を使用できる。粘着付与樹脂エマルジョンの固形分である粘着付与樹脂としては、前記ゴムラテックスを凝固させないもの、例えば、テルペン系樹脂、フェノール系樹脂、ロジン系樹脂が好ましく使用できる。他に好ましい樹脂としては、ポリビニルエステル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリジンも挙げられる。
粘着付与樹脂(粘着付与剤中の固形分)の配合量Dは、パンクシーリング剤の全質量100質量%中、2〜15質量%が好ましく、4〜12質量%がより好ましく、6〜10質量%が更に好ましい。い。下限以上にすることで、良好なパンクシール性能及びシール保持性能が得られ、上限以下にすることで、保管中のゴム粒子の凝集の抑制等、良好な保管性能が得られると共に、粘度上昇を抑制し、パンクシーリング剤の空気バルブからの注入性が確保される傾向がある。
前記配合量A、Dの和(A+D(固形分))は、パンクシーリング剤の全質量100質量%中、10〜40質量%の範囲にすることが好ましい。下限は15質量%以上がより好ましく、17質量%以上が更に好ましく、上限は35質量%以下がより好ましく、30質量%以下が更に好ましい。
本発明のパンクシーリング剤は、本発明の効果を阻害しない範囲で、他の成分を更に配合してもよい。本発明のパンクシーリング剤は、一般的な方法で製造される。すなわち、前記各成分等を公知の方法により混合すること等により製造できる。
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
(製造例1)
農園で採取されたフィールドラテックス(固形分40質量%)1000gにアンモニアが0.5質量%になるように添加し、10分間撹拌した。撹拌後、図1に示される遠心分離機を用いて2000Gの遠心力で、3分間缶処理を行い(温度:常温)、スラッジを取り除き、天然ゴムラテックス1(固形分40質量%)を得た。
(製造例2)
農園で採取されたフィールドラテックス(固形分40質量%)1000gにアンモニアが0.5質量%になるように添加し、その後、ノニオン界面活性剤エマルゲン120(花王社製)4gを添加して10分間撹拌した。撹拌後、図1に示される遠心分離機を用いて2000Gの遠心力で、3分間缶処理を行い(温度:常温)、スラッジを取り除き、天然ゴムラテックス2(固形分40質量%)を得た。
(製造例3)
農園で採取されたフィールドラテックス(固形分40%)1000gに、防腐剤、ノニオン界面活性剤エマルゲン120(花王社製)4gを添加して10分間撹拌した。撹拌後、図1に示される遠心分離機を用いて2000Gの遠心力で、3分間缶処理を行い(温度:常温)、スラッジを取り除き、天然ゴムラテックス3(固形分40質量%)を得た。
得られた各天然ゴムラテックスについて、微細ゴム粒子の粒子数%、スラッジの含有量、金属含有量を下記方法にて評価し、結果を表1に示した。
(1)天然ゴムラテックスの微細ゴム粒子の粒子数%の測定方法
各天然ゴムラテックスにおいて、粒子径0.5μm以下の微細ゴム粒子の粒子数%を、光散乱光度計を用いて測定した。
(2)スラッジ含有量の測定方法
各天然ゴムラテックス約50グラムを遠心管に測り取り、キャップをして約2,300rpmで20分間遠心分離し、表面クリーミングを除いた後、上清のラテックスをスラッジの上部に約10mmが残るようになるまでピペットで除いた。その後、遠心管の上端までアンモニア−アルコール溶液で満たした。上清溶液が透明になるまでこの工程を繰り返した。最後の遠心分離の後、可能な限り排水し、残った残渣をビーカーに移した。残渣をホットプレート上で蒸発させ、その後70℃で乾燥させて秤量した。ラテックス中のスラッジ量(質量%)は、(乾燥後残渣の重量/ラテックス重量)×100で算出した。
(3)金属含有量の測定方法
天然ゴムをアルミナ製るつぼに入れ、550℃の電気炉で4時間加熱した。天然ゴム中の灰分量(質量%)は、(残留物の重量/天然ゴム重量)×100で算出した。この灰分量から、各天然ゴムラテックス中の金属含有量を算出した。
Figure 2021138848
〔実施例及び比較例〕
製造例1〜3で作製された天然ゴムラテックス1〜3(固形分40質量%)、市販の天然ゴムラテックス(マレーシア産のHA型天然ゴムラテックス:ゴム固形分60質量%)を用い、表2の仕様に基づいて、パンクシーリング剤を作製した。
なお、各種薬品は、以下のとおりである。
天然ゴムラテックス1〜3:製造例1〜3
市販の天然ゴムラテックス:タイ産のHA型天然ゴムラテックス(固形分:60質量%)
粘着付与剤:テルペン樹脂の乳化液(固形分:50質量%)
エマルゲン120:花王社製ノニオン界面活性剤(上記式(2):R=ラウリル基、x=12、y=0)
得られた各パンクシーリング剤について、パンクシール性能(初期シール性能)、シール保持性能、−30℃粘度(低温注入性)、液化安定性を下記方法にて評価し、結果を表2に示した。
(1)パンクシール性能
タイヤサイズ185/65R14のタイヤに、直径4.0mmの釘で穴を開け、釘を抜いた後、500mlのパンクシーリング剤を注入し、かつエアーを200KPaまで昇圧した。その後、ドラム上で荷重(3.5kN)にて回転させ、パンク穴がシールされるまでの時間をエアー漏れの量で判断し、従来品を3とした5段階で指数評価した。値が大きいほど優れている。
(2)シール保持性能
前記タイヤを用い、シールされてから100km走行するまでにパンク穴からエアー漏れがあったかどうかを測定し、エアー漏れなし…○、エアー漏れあり…×、の2段階で評価した。
(3)−30℃粘度(低温注入性)
B型粘度計(ブルックフィールド粘度計)を用い、−30℃のパンクシーリング剤の粘度を測定した。
(4)液化安定性
作製したパンクシーリング剤を期間(10日間)、温度(70℃)の条件下で放置した後の状態変化を、液状のまま…◎、ややクリーム状に変化…○、クリーム状に変化…△、固化する…×、の4段階で目視評価した。
Figure 2021138848
表2のとおり、微細ゴム粒子の粒子数%が80%以上の天然ゴムラテックスを用いた実施例のパンクシーリング剤は、該粒子数%が80%未満の市販のラテックスを用いた比較例に比べ、−30℃粘度が低く、低温注入性に優れていた。また、温度70℃で10日間放置した後の性能も良好で、耐熱性にも優れており、良好なパンクシール性能、シール保持性能も維持されていた。
1 クラリファイアー
11 回転筒
12 分離板
13 通路
14 出口

Claims (7)

  1. 天然ゴムラテックス及び凍結防止剤を含むパンクシーリング剤であって、
    前記天然ゴムラテックスに含まれる全ゴム粒子数100%中の80%以上は、粒子径0.5μm以下の微細ゴム粒子であるパンクシーリング剤。
  2. 前記天然ゴムラテックスは、スラッジの含有量が0.1質量%以下である請求項1記載のパンクシーリング剤。
  3. 前記天然ゴムラテックスは、金属含有量が0.1質量%以下である請求項1又は2記載のパンクシーリング剤。
  4. 前記天然ゴムラテックスは、ゴム固形分含有量が20〜55質量%である請求項1〜3のいずれかに記載のパンクシーリング剤。
  5. 前記天然ゴムラテックスは、クラリファイアーを用いて調製したものである請求項1〜4のいずれかに記載のパンクシーリング剤。
  6. 前記天然ゴムラテックスは、該天然ゴムラテックスに含まれるゴム固形分100質量%に対して、ノニオン界面活性剤を0.1〜10質量%添加して安定化させた安定化天然ゴムラテックスである請求項1〜5のいずれかに記載のパンクシーリング剤。
  7. 粘着付与樹脂を含む請求項1〜6のいずれかに記載のパンクシーリング剤。
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