JP2021138787A - ポリウレタン樹脂組成物、ポリウレタン樹脂、成形品および繊維強化プラスチック - Google Patents
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Abstract
【課題】ポリウレタン樹脂に優れた難燃性を付与できるポリウレタン樹脂組成物、優れた難燃性を有するポリウレタン樹脂、成形品および繊維強化プラスチックを提供する。【解決手段】ポリウレタン樹脂組成物に、ポリフェニルメタンポリイソシアネートを含有するポリイソシアネート成分と、ポリエーテルポリオールを含有するポリオール成分と、難燃剤とを含有させる。ポリエーテルポリオールに、5価以上の多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物を含有させる。難燃剤に、25℃において液状のリン含有難燃剤を含有させる。【選択図】なし
Description
本発明は、ポリウレタン樹脂組成物、ポリウレタン樹脂、成形品および繊維強化プラスチックに関する。
硬質ポリウレタン樹脂は、金属と比べて軽量であり、機械強度などの各種物性に優れる。そのため、硬質ポリウレタン樹脂は、各種産業製品(例えば、自動車の外板部材(例えば、外板パネルなど)、自動車の構造部材(例えば、車体フレームなど)など)に好適に用いられる。硬質ポリウレタン樹脂は、ポリウレタン樹脂組成物を硬化させることにより製造される。
そのようなポリウレタン樹脂組成物として、例えば、ポリフェニルメタンポリイソシアネートを含有するポリイソシアネート成分と、ポリオキシプロピレンジオールを含有するポリオール成分とを含有するポリウレタン樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献1の実施例参照。)。
ポリウレタン樹脂には、用途に応じて難燃性が要求される場合がある。
しかし、特許文献1に記載のポリウレタン樹脂組成物を硬化させてポリウレタン樹脂を製造しても、ポリウレタン樹脂に十分な難燃性を付与できない。そこで、ポリウレタン樹脂組成物に難燃剤を添加することが検討されるが、ポリウレタン樹脂組成物に難燃剤を添加しても、ポリウレタン樹脂の難燃性の向上を図るには限度がある。
そこで、本発明は、ポリウレタン樹脂に優れた難燃性を付与できるポリウレタン樹脂組成物、優れた難燃性を有するポリウレタン樹脂、成形品および繊維強化プラスチックを提供する。
本発明[1]は、ポリフェニルメタンポリイソシアネートを含有するポリイソシアネート成分と、ポリエーテルポリオールを含有するポリオール成分と、難燃剤とを含有し、前記ポリエーテルポリオールは、5価以上の多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物を含有し、前記難燃剤は、25℃において液状のリン含有難燃剤を含有する、ポリウレタン樹脂組成物を含む。
本発明[2]は、前記ポリエーテルポリオールは、6価以上の多価アルコールのプロピレンオキサイド付加物を含有する、上記[1]に記載のポリウレタン樹脂組成物を含む。
本発明[3]は、前記ポリオール成分における、前記5価以上の多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物の含有割合は、5質量%以上である、上記[1]または[2]に記載のポリウレタン樹脂組成物を含む。
本発明[4]は、前記ポリオール成分の平均官能基数は、2.1以上5以下である、上記[1]〜[3]のいずれか一項に記載のポリウレタン樹脂組成物を含む。
本発明[5]は、前記25℃において液状のリン含有難燃剤は、脂肪族縮合リン酸エステルを含む、上記[1]〜[4]のいずれか一項に記載のポリウレタン樹脂組成物を含む。
本発明[6]は、有機金属触媒と、反応遅延剤とをさらに含有する、上記[1]〜[5]のいずれか一項に記載のポリウレタン樹脂組成物を含む。
本発明[7]は、前記反応遅延剤は、下記一般式(1)に示す反応遅延剤を含み、前記有機金属触媒1molに対する前記反応遅延剤のmol比が、0.50以上2.50以下である、上記[6]に記載のポリウレタン樹脂組成物を含む。
(一般式(1)中、Aは、脂肪族環または芳香族環を示す。R1は、環Aを構成する炭素数1の炭化水素基を示す。R2は、環Aに結合する炭素数1の脂肪族炭化水素基を示す。環Aが脂肪族環である場合、環Aに含まれる窒素原子には、水素原子またはアルキル基が結合する。R3は、環Aに結合する水素原子またはカルボキシル基を示す。mは、1または2であり、nは、0または1であり、nおよびmの総和は、2以下である。−COOHは、nが1である場合、環Aのα位のR1に結合するR2を介して、環Aに結合し、nが0である場合、環Aのα位またはβ位のR1に直接結合する。)。
本発明[8]は、前記一般式(1)に示す反応遅延剤は、ピコリン酸である、上記[7]に記載のポリウレタン樹脂組成物を含む。
本発明[9]は、前記反応遅延剤の含有割合は、前記ポリオール成分100質量部に対して、0.05質量部以上1.4質量部以下である、上記[6]〜[8]のいずれか一項に記載のポリウレタン樹脂組成物を含む。
本発明[10]は、前記有機金属触媒の含有割合は、前記ポリオール成分100質量部に対して、0.001質量部以上10質量部以下である、上記[6]〜[9]のいずれか一項に記載のポリウレタン樹脂組成物を含む。
本発明[11]は、前記ポリオール成分の水酸基の総和に対する、前記ポリイソシアネート成分のイソシアネート基の総和の割合は、前記ポリオール成分の水酸基の総和を100として、75以上400以下である、上記[1]〜[10]のいずれか一項に記載のポリウレタン樹脂組成物を含む。
本発明[12]は、上記[1]〜[11]のいずれか一項に記載のポリウレタン樹脂組成物の硬化物を含む、ポリウレタン樹脂を含む。
本発明[13]は、上記[12]に記載のポリウレタン樹脂を含む、成形品を含む。
本発明[14]は、繊維と、前記繊維に含浸されている、上記[1]〜[11]のいずれか一項に記載のポリウレタン樹脂組成物の硬化物と、を備える、繊維強化プラスチックを含む。
本発明のポリウレタン樹脂組成物では、ポリエーテルポリオールが、5価以上の多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物を含み、難燃剤が、25℃において液状のリン含有難燃剤を含有する。つまり、本発明のポリウレタン樹脂組成物は、特定のポリエーテルポリオールと、特定の難燃剤との組み合わせを含む。そのため、本発明のポリウレタン樹脂組成物は、ポリウレタン樹脂に優れた難燃性を付与できる。
本発明のポリウレタン樹脂、成形品および繊維強化プラスチックは、上記のポリウレタン樹脂の硬化物を含むので、優れた難燃性を有することができる。
<ポリウレタン樹脂組成物>
本発明のポリウレタン樹脂組成物は、必須成分として、ポリイソシアネート成分と、ポリオール成分と、難燃剤とを含有する。
本発明のポリウレタン樹脂組成物は、必須成分として、ポリイソシアネート成分と、ポリオール成分と、難燃剤とを含有する。
ポリイソシアネート成分は、ポリフェニルメタンポリイソシアネート(p−MDI)を含有する。
ポリフェニルメタンポリイソシアネートは、公知の方法で製造され、具体的には、例えば、アニリンとホルマリンとの縮合反応により得られるポリメリックメチレンジアニリンを、ホスゲン化することによって製造される。なお、ポリフェニルメタンポリイソシアネートは、一般に、ポリメリックMDI、クルードMDI、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートなどとも表記される。
ポリフェニルメタンポリイソシアネートは、通常、ジフェニルメタンジイソシアネート(モノマー)と、ジフェニルメタンジイソシアネートの縮合体(オリゴマー、ポリマー)とを含有する。つまり、ポリフェニルメタンポリイソシアネートは、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)と、ジフェニルメタンジイソシアネートの縮合体とを含む組成物である。
ジフェニルメタンジイソシアネートとして、例えば、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネートなどが挙げられる。
ポリフェニルメタンポリイソシアネートのイソシアネート基含有率(イソシアネート基濃度)は、例えば、10質量%以上、好ましくは、20質量%以上、例えば、50質量%以下、好ましくは、40質量%以下である。なお、イソシアネート基含有率は、電位差滴定装置を用いて、JIS K−1603(2007年)に準拠したn−ブチルアミン法により測定できる(以下同様)。
ポリイソシアネート成分におけるポリフェニルメタンポリイソシアネートの含有割合は、ポリイソシアネート成分の総量に対して、例えば、10質量%以上、好ましくは、30質量%以上、例えば、100質量%以下、好ましくは、90質量%以下、より好ましくは、70質量%以下、さらに好ましくは、50質量%以下である。
ポリイソシアネート成分は、ポリフェニルメタンポリイソシアネートに加えて、好ましくは、ポリフェニルメタンポリイソシアネートのカルボジイミド誘導体を含有する。
ポリフェニルメタンポリイソシアネートのカルボジイミド誘導体は、例えば、上記したポリフェニルメタンポリイソシアネートを、公知の方法で脱炭酸縮合させることにより製造される。
ポリフェニルメタンポリイソシアネートのカルボジイミド誘導体は、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネートのカルボジイミド誘導体、および/または、ジフェニルメタンジイソシアネートの縮合体のカルボジイミド誘導体を含有する。つまり、ポリフェニルメタンポリイソシアネートのカルボジイミド誘導体は、ジフェニルメタンジイソシアネートのカルボジイミド誘導体、または、ジフェニルメタンジイソシアネートの縮合体のカルボジイミド誘導体からなってもよく、ジフェニルメタンジイソシアネートのカルボジイミド誘導体と、ジフェニルメタンジイソシアネートの縮合体のカルボジイミド誘導体とを含む組成物であってもよい。
ポリフェニルメタンポリイソシアネートのカルボジイミド誘導体のイソシアネート基含有率は、例えば、5質量%以上、好ましくは、15質量%以上、例えば、45質量%以下、好ましくは、35質量%以下である。
ポリフェニルメタンポリイソシアネートのカルボジイミド誘導体のカルボジイミド基含有率は、例えば、10質量%以上、好ましくは、20質量%以上、例えば、50質量%以下、好ましくは、40質量%以下である。なお、カルボジイミド基含有率は、13C−NMRにより測定できる。
ポリイソシアネート成分におけるポリフェニルメタンポリイソシアネートのカルボジイミド誘導体の含有割合は、例えば、0質量%以上、好ましくは、5質量%以上、より好ましくは、20質量%以上、さらに好ましくは、30質量%以上、とりわけ好ましくは、50質量%以上、例えば、90質量%以下、好ましくは、70質量%以下、より好ましくは、60質量%以下である。
ポリフェニルメタンポリイソシアネートのカルボジイミド誘導体の含有割合は、ポリフェニルメタンポリイソシアネート100質量部に対して、例えば、0質量部以上、好ましくは、80質量部以上、より好ましくは、105質量部以上、例えば、140質量部以下、好ましくは、120質量部以下である。
ポリイソシアネート成分は、さらに、脂環族ポリイソシアネートを含有することができる。
つまり、ポリイソシアネート成分は、ポリフェニルメタンポリイソシアネートのみからなってもよく、ポリフェニルメタンポリイソシアネートおよびポリフェニルメタンポリイソシアネートのカルボジイミド誘導体からなってもよく、ポリフェニルメタンポリイソシアネートおよび脂環族ポリイソシアネートからなってもよく、ポリフェニルメタンポリイソシアネート、ポリフェニルメタンポリイソシアネートのカルボジイミド誘導体および脂環族ポリイソシアネートからなってもよい。
脂環族ジイソシアネートとして、例えば、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,3−シクロペンテンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート(1,3−または1,4−シクロヘキサンジイソシアネートもしくはその混合物)、1,3−または1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンもしくはその混合物(H6XDI)、2,5−または2,6−ジ(イソシアナトメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタンもしくはその混合物(ビス(イソシアナトメチル)ノルボルナン、NBDI)、3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソホロンジイソシアネート)(IPDI)、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)(4,4’−、2,4’−または2,2’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート、これらのTrans,Trans−体、Trans,Cis−体、Cis,Cis−体、もしくはその混合物))(H12MDI)、メチルシクロヘキサンジイソシアネート(メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート)などが挙げられる。
脂環族ポリイソシアネートは、単独使用または2種類以上併用することができる。
脂環族ポリイソシアネートのなかでは、好ましくは、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、2,5−ジ(イソシアナトメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,6−ジ(イソシアナトメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、イソホロンジイソシアネートが挙げられ、より好ましくは、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(1,4−H6XDI)が挙げられる。
脂環族ポリイソシアネートのイソシアネート基含有率は、例えば、20質量%以上、好ましくは、30質量%以上、例えば、60質量%以下、好ましくは、50質量%以下である。
ポリイソシアネート成分における脂環族ポリイソシアネートの含有割合は、例えば、0質量%以上、好ましくは、1質量%以上、より好ましくは、5質量%以上、例えば、40質量%以下、好ましくは、25質量%以下である。
また、ポリイソシアネート成分において、ポリフェニルメタンポリイソシアネート由来のイソシアネート基と、脂環族ポリイソシアネート由来のイソシアネート基との総量に対する、脂環族ポリイソシアネート由来のイソシアネート基の割合は、例えば、10mol%以上、好ましくは、15mol%以上、より好ましくは、20mol%以上、例えば、70mol%以下、好ましくは、60mol%以下、より好ましくは、50mol%以下である。
脂環族ポリイソシアネート由来のイソシアネート基の割合が上記範囲であれば、適度なポットライフを有するとともに、ポリイソシアネート成分とポリオール成分との相溶性に優れ、かつ、機械物性および耐熱性に優れ、さらには、耐熱性にも優れるポリウレタン樹脂および成形品を製造することができる。
また、ポリイソシアネート成分のイソシアネート基の総量に対する、脂環族ポリイソシアネート由来のイソシアネート基の割合は、例えば、5mol%以上、好ましくは、10mol%以上、例えば、60mol%以下、好ましくは、40mol%以下である。
なお、脂環族ポリイソシアネートの反応速度は、ポリフェニルメタンポリイソシアネートの反応速度、および、ポリフェニルメタンポリイソシアネートのカルボジイミド誘導体の反応速度と比較して遅い。
そのため、ポリウレタン樹脂組成物が脂環族ポリイソシアネートを含有する場合、ポリウレタン樹脂組成物において、ポットライフと硬化時間とをバランスよく安定して確保するために、好ましくは、ポリオール成分の水酸基の総量に対する、脂環族ポリイソシアネート由来のイソシアネート基の割合を所定の範囲に調整する。
ポリオール成分の水酸基の総量に対する、脂環族ポリイソシアネート由来のイソシアネート基の割合(NCO/OH)は、例えば、0.28以上、好ましくは、0.30以上、より好ましくは、0.35以上、例えば、0.5以下、好ましくは、0.45以下である。
ポリオール成分の水酸基の総和に対する脂環族ポリイソシアネート由来のイソシアネート基の割合が上記下限以上であれば、ポリウレタン樹脂組成物の硬化時間の低減を確実に図ることができる。ポリオール成分の水酸基の総和に対する脂環族ポリイソシアネート由来のイソシアネート基の割合が上記上限以下であれば、ポリウレタン樹脂組成物のポットライフの向上を確実に図ることができながら、ポリウレタン樹脂組成物の硬化時間の低減を確実に図ることができる。
また、ポリオール成分の水酸基の総和に対する、ポリイソシアネート成分のイソシアネート基の総和の割合(イソシアネートインデックス、(NCO/OH)×100)は、ポリオール成分の水酸基の総和を100として、例えば、75以上、好ましくは、90以上、より好ましくは、100以上、さらに好ましくは、200以上、例えば、500以下、好ましくは、400以下、より好ましくは、350以下である。
ポリオール成分は、ポリエーテルポリオールを含有する。
ポリエーテルポリオールは、5価以上の多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物を含有する。
ポリエーテルポリオールが5価以上の多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物を含有すると、後述するポリウレタン樹脂に優れた難燃性を付与することができる。
5価以上の多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物は、1つ以上のオキシアルキレン基と、5つ以上の水酸基とを含有するオキシアルキレンポリオールであって、5価以上の多価アルコールを開始剤とするアルキレンオキサイドの付加重合物である。
なお、多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物の官能基数は、開始剤(多価アルコール)の官能基数に応じて決定され、開始剤(多価アルコール)の官能基数と同じとなる。
5価以上の多価アルコールとして、例えば、5価アルコール(例えば、フラクトース、キシリトール、グルコースなど)、6価アルコール(例えば、ソルビトール、ジペンタエリスリトール、マンニトール、アリトール、イジトール、ダルシトール、アルトリトール、イノシトールなど)、7価アルコール(例えば、ベイセイトールなど)、8価アルコール(例えば、ショ糖など)などが挙げられる。
5価以上の多価アルコールは、単独使用または2種類以上併用できる。
5価以上の多価アルコールのなかでは、好ましくは、6価以上の多価アルコールが挙げられ、より好ましくは、6価アルコールが挙げられ、さらに好ましくは、ソルビトールが挙げられる。
言い換えれば、ポリエーテルポリオールは、好ましくは、6価以上の多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物を含有し、より好ましくは、6価アルコールのアルキレンオキサイド付加物を含有する。
アルキレンオキサイドとして、例えば、炭素数2以上20以下のアルキレンオキサイドが挙げられ、具体的には、エチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドが挙げられる。
アルキレンオキサイドは、単独使用または2種類以上併用できる。そのため、5価以上の多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物は、2種以上のアルキレンオキサイドのランダムおよび/またはブロック共重合体を含む。
アルキレンオキサイドのなかでは、好ましくは、炭素数2以上8以下のアルキレンオキサイドが挙げられ、より好ましくは、プロピレンオキサイドが挙げられる。
そのため、ポリエーテルポリオールは、さらに好ましくは、5価以上の多価アルコールのプロピレンオキサイド付加物を含有し、とりわけ好ましくは、6価以上の多価アルコールのプロピレンオキサイド付加物を含有し、特に好ましくは、6価の多価アルコールのプロピレンオキサイド付加物を含有する。
ポリエーテルポリオールが5価以上(好ましくは、6価以上)の多価アルコールのプロピレンオキサイド付加物を含有すると、後述するポリウレタン樹脂の難燃性をより向上できる。
また、5価以上の多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物は、プロピレンオキサイドおよびエチレンオキサイドの付加物であってもよい。
5価以上の多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物の数平均分子量は、例えば、500以上、好ましくは、700以上、例えば、1600以下、好ましくは、900以下である。
5価以上の多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物の平均水酸基価は、例えば、300mgKOH/g以上、好ましくは、350mgKOH/g以上、例えば、1200mgKOH/g以下、好ましくは、1000mgKOH/g以下、より好ましくは、600mgKOH/g以下である。なお、平均水酸基価は、公知の滴定法から求めることができる(以下同様)。
ポリオール成分における、5価以上の多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物の含有割合は、例えば、1質量%以上、好ましくは、5質量%以上、より好ましくは、10質量%以上、さらに好ましくは、25質量%以上、例えば、100質量%以下、好ましくは、90質量%以下、より好ましくは、80質量%以下、さらに好ましくは、70質量%以下、とりわけ好ましくは、60質量%以下である。
5価以上の多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物の含有割合が上記下限以上であれば、後述するポリウレタン樹脂に優れた難燃性を安定して付与することができる。5価以上の多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物の含有割合が上記上限以下であれば、繊維へポリウレタン樹脂組成物を含浸させるために、ポリウレタン樹脂組成物を適度な粘度範囲に収めることができる。
ポリエーテルポリオールは、5価以上の多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物に加えて、好ましくは、4価以下の多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物を含有する。
言い換えれば、ポリエーテルポリオールは、5価以上の多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物のみからなってもよく、5価以上の多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物および4価以下の多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物からなってもよい。
4価以下の多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物は、1つ以上のオキシアルキレン基と、4つ以下の水酸基とを含有するオキシアルキレンポリオールであって、4価以下の多価アルコールを開始剤とする、上記したアルキレンオキサイドの付加重合物である。
4価以下の多価アルコールとして、例えば、4つ以下の水酸基を有し、数平均分子量が60以上500未満である低分子量ポリオールが挙げられ、好ましくは、2価の低分子量ポリオール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ビスフェノールAなど)が挙げられ、より好ましくは、プロピレングリコールが挙げられる。
そのため、ポリエーテルポリオールは、最も好ましくは、6価の多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物および2価の多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物を含有する。
4価以下の多価アルコールは、単独使用または2種類以上併用できる。
4価以下の多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物の数平均分子量は、例えば、5価以上の多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物の数平均分子量よりも小さい。4価以下の多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物の数平均分子量は、例えば、90以上、好ましくは、200以上、例えば、500以下、好ましくは、400以下である。
4価以下の多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物の平均水酸基価の範囲は、例えば、5価以上の多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物の平均水酸基価の範囲と同じである。4価以下の多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物の平均水酸基価は、好ましくは、5価以上の多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物の平均水酸基価と同じである。
ポリオール成分における、4価以下の多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物の含有割合は、例えば、0質量%以上、好ましくは、10質量%以上、より好ましくは、20質量%以上、さらに好ましくは、30質量%以上、とりわけ好ましくは、40質量%以上、例えば、90質量%以下、好ましくは、85質量%以下、より好ましくは、75質量%以下である。
4価以下の多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物の含有割合は、5価以上の多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物100質量部に対して、例えば、0質量部以上、好ましくは、80質量部以上、より好ましくは、100質量部以上、例えば、600質量部以下、好ましくは、500質量部以下、より好ましくは、300質量部以下、さらに好ましくは、250質量部以下である。
ポリエーテルポリオールは、さらに、ポリテトラメチレンエーテルグリコールを含有してもよい。ポリテトラメチレンエーテルグリコールとして、例えば、テトラヒドロフランのカチオン重合により得られる開環重合物や、テトラヒドロフランの重合単位に後述する2価アルコールを共重合した非晶性ポリテトラメチレンエーテルグリコールなどが挙げられる。
ポリテトラメチレンエーテルグリコールの含有割合は、5価以上の多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物100質量部に対して、例えば、0質量部以上、例えば、10質量部以下、好ましくは、5質量部以下である。
また、ポリオール成分は、ポリエーテルポリオール以外のその他のポリオールを含有することもできる。
その他のポリオールとして、例えば、高分子量ポリオール(ポリエーテルポリオールを除く)、低分子量ポリオール(ポリエーテルポリオールを除く)が挙げられる。
高分子量ポリオールは、水酸基を2つ以上有する数平均分子量500以上10000以下の化合物であって、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエステルアミドポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリウレタンポリオール、エポキシポリオール、植物油ポリオール、ポリオレフィンポリオール、アクリルポリオール、ビニルモノマー変性ポリオールが挙げられる。
低分子量ポリオールは、水酸基を2つ以上有する分子量60以上500未満の化合物であって、例えば、2価アルコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ブチレングリコール、水素化ビスフェノールA、ビスフェノールA、ジエチレングリコールなど)、3価アルコール(例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリイソプロパノールアミンなど)、4価アルコール(例えば、ペンタエリスリトール、ジグリセリンなど)、上記した5価アルコール、上記した6価アルコール、上記した7価アルコール、上記した8価アルコールなどが挙げられる。
その他のポリオールは、単独使用または2種類以上併用できる。
その他のポリオールの含有割合は、5価以上の多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物100質量部に対して、例えば、0質量部以上、例えば、10質量部以下、好ましくは、5質量部以下である。
このようなポリオール成分を複数種混合して用いる場合のポリオール成分全体としての平均官能基数は、例えば、2.0を超過し、好ましくは、2.1以上、より好ましくは、2.3以上、さらに好ましくは、2.4以上、例えば、6.0以下、好ましくは、5.0以下、より好ましくは、4.0以下、さらに好ましくは、3.0以下である。なお、ポリオール成分の平均官能基数は、仕込み成分から算出することができる。
ポリオール成分の平均官能基数が上記下限以上であると、後述するポリウレタン樹脂に優れた難燃性をより安定して付与することができる。ポリオール成分の平均官能基数が上記上限以下であると、繊維へポリウレタン樹脂組成物を含浸させるために、ポリウレタン樹脂組成物を適度な粘度範囲に収めることができる。
ポリオール成分の平均水酸基価は、例えば、300mgKOH/g以上、好ましくは、350mgKOH/g以上、例えば、1200mgKOH/g以下、好ましくは、1000mgKOH/g以下、より好ましくは、600mgKOH/g以下である。
難燃剤は、必須成分として、25℃において液状のリン含有難燃剤を含有する。なお、「25℃において液状」とは、25℃において流動性を有する液体状態であることを示す。
リン含有難燃剤として、例えば、リン酸エステル、縮合リン酸エステルなどが挙げられる。
リン酸エステルとして、例えば、含ハロゲンリン酸エステル、非ハロゲンリン酸エステルなどが挙げられる。
含ハロゲンリン酸エステルとして、例えば、トリス(クロロエチル)ホスフェート、トリス(クロロプロピル)ホスフェート、トリス(ジクロロプロピル)ホスフェートなどが挙げられる。
非ハロゲンリン酸エステルとして、例えば、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、ジブチルホスフェート、モノブチルホスフェート、トリス(2−エチルヘキシル)ホスフェート、ジ(2−エチルヘキシル)ホスフェート、モノ(2−エチルヘキシル)ホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリスイソデシルホスフェート、ジイソデシルホスフェート、モノイソデシルホスフェートなどが挙げられる。
縮合リン酸エステルとして、例えば、芳香族縮合リン酸エステル、脂肪族縮合リン酸エステルが挙げられる。
芳香族縮合リン酸エステルとして、例えば、含ハロゲン芳香族縮合リン酸エステル、非ハロゲン芳香族縮合リン酸エステル(例えば、レゾルシノルビス(ジフェニル)ホスフェート、ビスフェノールAビス(ジフェニル)ホスフェートなど)などが挙げられる。
脂肪族縮合リン酸エステルとして、例えば、含ハロゲン脂肪族縮合リン酸エステル(例えば、2,2−ビス(クロロメチル)トリメチレンビス(ビス(2−クロロエチル)ホスフェート、ポリオキシアルキレンビスジクロロアルキルホスフェートなど)、非ハロゲン脂肪族縮合リン酸エステル(例えば、ポリリン酸エステル、二リン酸エステルなど)などが挙げられる。
リン含有難燃剤は、単独使用または2種類以上併用できる。
リン含有難燃剤のなかでは、好ましくは、脂肪族縮合リン酸エステルが挙げられ、環境負荷の観点からより好ましくは、非ハロゲン脂肪族縮合リン酸エステルが挙げられる。
言い換えれば、リン含有難燃剤は、好ましくは、脂肪族縮合リン酸エステル(非ハロゲン脂肪族縮合リン酸エステル)を含む。リン含有難燃剤が脂肪族縮合リン酸エステル(非ハロゲン脂肪族縮合リン酸エステル)を含むと、後述するポリウレタン樹脂の難燃性をより向上できる。
難燃剤におけるリンの含有割合は、例えば、5質量%以上、好ましくは、10質量%以上、例えば、25質量%以下、好ましくは、20質量%以下である。
リン含有難燃剤の含有割合は、ポリオール成分100質量部に対して、例えば、35質量部以上、好ましくは、50質量部以上、例えば、70質量部以下、好ましくは、60質量部以下である。
リン含有難燃剤の含有割合は、5価以上の多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物100質量部に対して、例えば、30質量部以上、好ましくは、80質量部以上、例えば、1500質量部以下、好ましくは、350質量部以下である。
また、ポリウレタン樹脂組成物は、好ましくは、任意成分として、有機金属触媒と、反応遅延剤とをさらに含有する。
有機金属触媒は、公知のウレタン化触媒であって、例えば、有機錫化合物、有機鉛化合物、有機ニッケル化合物、有機銅化合物、有機ビスマス化合物、カリウム塩などが挙げられる。
有機錫化合物として、例えば、酢酸錫、オクチル酸錫、オレイン酸錫、ラウリル酸錫、モノブチル錫トリオクテート、ジブチル錫ジアセテート、ジメチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジメルカプチド、ジブチル錫マレエート、ジブチル錫ジネオデカノエート、ジオクチル錫ジメルカプチド、ジオクチル錫ジラウリレート、ジブチル錫ジクロリドなどが挙げられる。
有機鉛化合物として、例えば、オクタン酸鉛、ナフテン酸鉛などが挙げられる。有機ニッケル化合物として、例えば、ナフテン酸ニッケルなどが挙げられる。有機コバルト化合物として、例えば、ナフテン酸コバルトなどが挙げられる。有機銅化合物として、例えば、オクテン酸銅などが挙げられる。有機ビスマス化合物として、例えば、オクチル酸ビスマス、ネオデカン酸ビスマスなどが挙げられる。
カリウム塩として、例えば、炭酸カリウム、酢酸カリウム、オクチル酸カリウムなどが挙げられる。
有機金属触媒は、単独使用または2種以上併用することができる。
このような有機金属触媒のなかでは、好ましくは、有機錫化合物およびカリウム塩が挙げられ、より好ましくは、有機錫化合物およびカリウム塩の併用が挙げられ、さらに好ましくは、モノブチル錫トリオクテートおよびオクチル酸カリウムの併用が挙げられる。
有機錫化合物およびカリウム塩が併用される場合、カリウム塩の含有割合は、有機錫化合物1質量部に対して、例えば、1質量部以上、好ましくは、5質量部以上、例えば、30質量部以下、好ましくは、20質量部以下である。
有機金属触媒(有効成分量100%換算)の含有割合は、ポリオール成分100質量部に対して、例えば、0.001質量部以上、好ましくは、0.01質量部以上、より好ましくは、0.1質量部以上、例えば、10質量部以下、好ましくは、5質量部以下、より好ましくは、3質量部以下である。
反応遅延剤は、例えば、下記一般式(1)に示される複素環化合物を含む。
(一般式(1)中、Aは、脂肪族環または芳香族環を示す。R1は、環Aを構成する炭素数1の炭化水素基を示す。R2は、環Aに結合する炭素数1の脂肪族炭化水素基を示す。環Aが脂肪族環である場合、環Aに含まれる窒素原子には、水素原子またはアルキル基が結合する。R3は、環Aに結合する水素原子またはカルボキシル基を示す。mは、1または2であり、nは、0または1であり、nおよびmの総和は、2以下である。−COOHは、nが1である場合、環Aのα位のR1に結合するR2を介して、環Aに結合し、nが0である場合、環Aのα位またはβ位のR1に直接結合する。)。
一般式(1)において、R1は、環Aを構成する炭素数1の炭化水素基を示し、具体的には、メチレン基(−CH2−)またはメチン基(−CH=)を示す。また、一般式(1)中において、mは、1または2である。
そのため、一般式(1)において、Aは、mが1である場合、5員複素脂肪族環(ピロリジン環)または5員複素芳香族環(ピロール環)であり、mが2である場合、6員複素脂肪族環(ピペリジン環)または6員複素芳香族環(ピリジン環)である。
一般式(1)において、R2は、環Aに結合する炭素数1の脂肪族炭化水素基を示し、具体的には、メチレン基(−CH2−)を示す。一般式(1)において、R2は、R1に結合しており、R2の結合箇所は、環Aのα位(2位)またはβ位(3位)である。また、一般式(1)において、nは、0または1であり、nおよびmの総和は、2以下である。
そのため、一般式(1)において、カルボキシル基(−COOH)は、nが1である場合、環Aのα位の炭素原子(R1)に結合するメチレン基(R2)を介して、環Aに結合し、nが0である場合、環Aのα位またはβ位の炭素原子(R1)に直接結合する。
一般式(1)において、環Aが脂肪族環である場合、環Aに含まれる窒素原子には、環Aを構成する炭素原子に加えて、水素原子またはアルキル基が結合する。アルキル基として、例えば、炭素数1〜12のアルキル基などが挙げられ、好ましくは、炭素数1〜4のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基など)が挙げられる。環Aが脂肪族環である場合、環Aに含まれる窒素原子には、好ましくは、水素原子が結合する。
なお、環Aが芳香族環である場合、環Aに含まれる窒素原子には、環Aを構成する炭素原子以外の原子が結合しない。
一般式(1)において、R3は、環Aに結合する水素原子またはカルボキシル基を示し、好ましくは、水素原子を示す。
上記一般式(1)に示される反応遅延剤として、具体的には、下記一般式(2)に示される反応遅延剤、ニコチン酸、2,6−ピリジンジカルボン酸、プロリンなどが挙げられる。一般式(1)に示される反応遅延剤は、単独使用または2種以上併用することができる。
このような一般式(1)に示される反応遅延剤のなかでは、好ましくは、下記一般式(2)に示される反応遅延剤が挙げられる。
(一般式(2)中、A、R2およびnは、上記一般式(1)A、R2およびnと同意義を示す。)
上記一般式(2)に示される反応遅延剤として、具体的には、ピコリン酸(一般式(2)において、A:芳香族環、n=0)、2−ピリジニル酢酸(一般式(2)において、A:芳香族環、n=1)、2−ピペリジンカルボン酸(一般式(2)において、A:脂肪族環、n=1)などが挙げられる。上記一般式(2)に示される反応遅延剤は、単独使用または2種以上併用することができる。
上記一般式(2)に示される反応遅延剤として、具体的には、ピコリン酸(一般式(2)において、A:芳香族環、n=0)、2−ピリジニル酢酸(一般式(2)において、A:芳香族環、n=1)、2−ピペリジンカルボン酸(一般式(2)において、A:脂肪族環、n=1)などが挙げられる。上記一般式(2)に示される反応遅延剤は、単独使用または2種以上併用することができる。
このような一般式(2)に示される反応遅延剤のなかでは、好ましくは、ピコリン酸が挙げられる。つまり、反応遅延剤は、好ましくは、ピコリン酸を含み、より好ましくは、ピコリン酸からなる。
有機金属触媒1molに対する反応遅延剤のmol比は、例えば、0.30以上、好ましくは、0.50以上、例えば、2.5以下、好ましくは、2.0以下、より好ましくは、1.0以下、さらに好ましくは、0.8以下である。
また、有機金属触媒がカリウム塩を含む場合、カリウム塩1molに対する反応遅延剤のmol比は、例えば、0.32以上、好ましくは、0.52以上、例えば、2.6以下、好ましくは、2.1以下、より好ましくは、1.1以下、さらに好ましくは、0.82以下である。
反応遅延剤のmol比が上記下限以上であれば、ポリウレタン樹脂組成物のポットライフの向上を図ることができる。反応遅延剤のmol比が上記上限以下であれば、ポリウレタン樹脂組成物の硬化時間の低減を図ることができる。
また、ポリイソシアネート成分のイソシアネート基1molに対する、反応遅延剤のmol比は、例えば、0.1×10−3以上、好ましくは、1.0×10−3以上、例えば、7.0×10−3以下、好ましくは、5.0×10−3以下である。
また、反応遅延剤の含有割合は、ポリオール成分100質量部に対して、例えば、0.05質量部以上、好ましくは、0.20質量部以上、例えば、1.4質量部以下、好ましくは、1.3質量部以下、より好ましくは、1.0質量部以下、さらに好ましくは、0.6質量部以下である。
また、ポリウレタン樹脂組成物は、任意成分として、さらに、公知の添加剤を適宜の割合で含有することができる。
公知の添加剤として、例えば、国際公開第2017/014178号の[0090]段落〜[0138]段落および[0142]段落に記載の添加剤が挙げられ、具体的には、安定剤、離型剤、フィラー、衝撃吸収性微粒子、加水分解防止剤、脱水剤、消泡剤、顔料、染料、滑剤、可塑剤、ブロッキング剤などが挙げられる。
このようなポリウレタン樹脂組成物は、例えば、ポリイソシアネート成分を含むA剤と、ポリオール成分を含むB剤とを有する二液型樹脂材料として構成される。難燃剤、有機金属触媒、反応遅延剤および公知の添加剤のそれぞれは、A剤およびB剤のいずれに含有されてもよいが、好ましくは、B剤に含有される。
このようなポリウレタン樹脂組成物では、ポリオール成分が含有するポリエーテルポリオールが、5価以上の多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物を含み、難燃剤が、25℃において液状のリン含有難燃剤を含有する。そのため、ポリウレタン樹脂組成物は、後述するポリウレタン樹脂に優れた難燃性を付与できる。
<ポリウレタン樹脂>
ポリウレタン樹脂を製造するには、ポリイソシアネート成分とポリオール成分とを反応(ウレタン化反応)させて、ポリウレタン樹脂組成物を硬化させる。つまり、ポリウレタン樹脂は、ポリウレタン樹脂組成物の硬化物を含み、好ましくは、ポリウレタン樹脂組成物の硬化物からなる。
ポリウレタン樹脂を製造するには、ポリイソシアネート成分とポリオール成分とを反応(ウレタン化反応)させて、ポリウレタン樹脂組成物を硬化させる。つまり、ポリウレタン樹脂は、ポリウレタン樹脂組成物の硬化物を含み、好ましくは、ポリウレタン樹脂組成物の硬化物からなる。
ポリウレタン樹脂の製造方法として、例えば、ワンショット法、プレポリマー法などの公知の方法が挙げられる。
ワンショット法では、例えば、ポリイソシアネート成分とポリオール成分とを一度に反応させる。
ワンショット法における反応温度は、例えば、25℃(室温)以上、好ましくは、35℃以上、例えば、250℃以下、好ましくは、200℃以下である。また、ワンショット法における反応時間は、例えば、5分以上、好ましくは、4時間以上、例えば、72時間以下、好ましくは、24時間以下である。
プレポリマー法では、例えば、まず、ポリイソシアネート成分とポリオール成分の一部とを反応させて、分子末端にイソシアネート基を有するイソシアネート基末端プレポリマーを合成する。次いで、得られたイソシアネート基末端プレポリマーと、ポリオール成分の残部とを反応させる。
イソシアネート基末端プレポリマーの合成における反応温度は、例えば、25℃(室温)以上、好ましくは、50℃以上、例えば、150℃以下、好ましくは、120℃以下である。また、イソシアネート基末端プレポリマーの合成における反応時間は、例えば、0.5時間以上、好ましくは、2時間以上、例えば、18時間以下、好ましくは、10時間以下である。
また、イソシアネート基末端プレポリマーとポリオール成分との反応温度の範囲は、例えば、ワンショット法における反応温度の範囲と同じであり、イソシアネート基末端プレポリマーとポリオール成分との反応時間の範囲は、例えば、ワンショット法における反応時間の範囲と同じである。
なお、ポリウレタン樹脂の製造方法は、例えば、バルク重合や溶液重合などを用いることができる。
このように製造されるポリウレタン樹脂は、高い剛性を有するとともに、ガラス転移温度が比較的高く、耐熱性に優れる。具体的には、ポリウレタン樹脂のガラス転移温度は、例えば、70℃以上、好ましくは、90℃以上、より好ましくは、110℃以上、さらに好ましくは、120℃以上、例えば、220℃以下である。なお、ガラス転移温度は、公知のDSC測定装置により測定できる。
また、成形品は、ポリウレタン樹脂組成物を硬化させるとともに成形する公知の方法(例えば、後述するRIM法など)により、製造される。そのため、成形品は、ポリウレタン樹脂を含む。
具体的には、ポリウレタン樹脂組成物をワンショット法により硬化させる場合、ポリイソシアネート成分(A剤)、および/または、ポリオール成分(B剤)を、好ましくは、加温して低粘度化させてから混合し、その後、必要に応じて脱泡した後、予備加熱した成形型(金型)に注入する。
また、ポリウレタン樹脂組成物をプレポリマー法により硬化させる場合、イソシアネート基末端プレポリマー、および/または、ポリオール成分(B剤)を、好ましくは、加温して低粘度化させてから混合し、その後、必要に応じて脱泡した後、予備加熱した成形型に注入する。
ポリウレタン樹脂組成物の各成分(A剤、B剤、イソシアネート基末端プレポリマー)の加温温度は、例えば、25℃以上、好ましくは、35℃以上、例えば、150℃以下、好ましくは、120℃以下である。
また、成形型の予備加熱温度は、例えば、50℃以上、好ましくは、60℃以上、例えば、200℃以下、好ましくは、180℃以下、さらに好ましくは、100℃以下である。
その後、ポリウレタン樹脂組成物を上記の反応条件にて反応させた後、脱型する。
これによって、所望形状に成形された成形品が製造される。なお、脱型後、成形品を、必要に応じて、室温にて、7日間以内程度で熱成させてもよい。
このように、ポリウレタン樹脂および成形品は、上記のポリウレタン樹脂組成物を硬化することにより製造される。そのため、上記の反応温度にポリウレタン樹脂組成物を加熱しても、ポリウレタン樹脂組成物が有するポットライフが経過するまで、ポリウレタン樹脂組成物の流動性を確保することができる。そして、ポットライフの経過後、ポリウレタン樹脂組成物を円滑に硬化させることができる。
そのため、ポリウレタン樹脂および成形品は、効率よく製造されることができる。このようなポリウレタン樹脂および成形品は、上記のポリウレタン樹脂組成物の硬化物を含有するので、優れた難燃性を有する。
<繊維強化プラスチック>
上記のポリウレタン樹脂および成形品の用途は、特に制限されないが、例えば、繊維強化プラスチック(FRP:Fiber Reinforced Plastics)、構造材用プラスチック、構造材芯材用プラスチックなどが挙げられる。
上記のポリウレタン樹脂および成形品の用途は、特に制限されないが、例えば、繊維強化プラスチック(FRP:Fiber Reinforced Plastics)、構造材用プラスチック、構造材芯材用プラスチックなどが挙げられる。
このような用途のなかでは、好ましくは、繊維強化プラスチックが挙げられる。
繊維強化プラスチックは、繊維をポリウレタン樹脂中に入れて強化したプラスチックであり、繊維と、繊維に含浸されているポリウレタン樹脂(ポリウレタン樹脂組成物の硬化物)とを備え、好ましくは、繊維とポリウレタン樹脂とからなる。
繊維として、例えば、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、ボロン繊維、金属繊維、セルロースナノファイバー、人工の蜘蛛の糸などが挙げられる。繊維は、単独使用または2種類以上併用することができる。
繊維として、好ましくは、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維が挙げられ、より好ましくは、炭素繊維が挙げられる。
炭素繊維は、特に制限されないが、例えば、ピッチ系炭素繊維、PAN(ポリアクリロニトリル)系炭素繊維、レーヨン系炭素繊維などが挙げられる。炭素繊維は、単独使用または2種類以上併用することができる。
炭素繊維として、好ましくは、PAN(ポリアクリロニトリル)系炭素繊維が挙げられる。
繊維束の形態は、特に制限されず、例えば、ラージトウ、レギュラートウなどが挙げられる。また、繊維の形態は、特に制限されず、例えば、紐状、織物状(平織物、一軸織物、多軸織物、ノンクリンプ織物など)、不織布状などが挙げられ、好ましくは、織物状が挙げられる。また、織物状の繊維を、複数枚(例えば、2〜20枚)重ねて用いることもできる。
繊維強化プラスチックにおいて、繊維含有率は、体積基準で、例えば、20体積%以上、好ましくは、30体積%以上、例えば、80体積%以下、好ましくは、70体積%以下である。
<繊維強化プラスチックの製造方法>
このような繊維強化プラスチックは、例えば、上記の繊維に、上記したポリウレタン樹脂組成物を含浸させ、硬化させることにより製造される。
このような繊維強化プラスチックは、例えば、上記の繊維に、上記したポリウレタン樹脂組成物を含浸させ、硬化させることにより製造される。
繊維強化プラスチックの製造方法として、例えば、RTM(Resin Transfer Molding)法、HP−RTM(High−Pressure Resin Transfer Molding)法、WCM(Wet Compression Molding)法、RIM(Reaction Injection Molding)法、プリプレグ法、ハンドレイアップ法、フィラメントワインディング法、プルトルージョン法などが挙げられる。
繊維強化プラスチックの製造方法のなかでは、好ましくは、RTM法、HP−RTM法、WCM法、および/または、RIM法が採用される。
すなわち、繊維強化プラスチックの製造方法は、好ましくは、金型内に繊維を配置する工程と、上記したポリウレタン樹脂組成物を、繊維に含浸させるように、金型内の繊維に供給する工程と、繊維に含浸したポリウレタン樹脂組成物を硬化させる工程と、を含む。
RTM法およびRIM法では、金型の内寸に合わせて予め裁断および成型した繊維を、金型内に配置し、金型を上記の予備加熱温度に加熱する。そして、ポリイソシアネート成分(A剤)およびポリオール成分(B剤)を混合した後、予備加熱された金型に注入し、繊維に含浸させて上記条件で硬化させる。
また、HP−RTM法では、上記RTM法において、金型内を減圧し、加圧したポリウレタン樹脂組成物(A剤およびB剤)を高速で型内に注入し、繊維に含浸させ、上記条件で硬化させる。具体的には、特表2015−533352号公報に記載されている製造方法となる。
WCM法では、上記HP−RTM法において、金型を上記の予備加熱温度に加熱した後、金型の内寸に合わせて予め裁断および成型した繊維を、金型内に配置し、その後、混合したポリウレタン樹脂組成物(A剤およびB剤)を、金型内を減圧することなく、金型に配置した繊維上に塗布(または滴下)して含浸させ、上記条件で硬化させる。
これら成形方法(RTM法、HP−RTM法、WCM法およびRIM法)における成形温度は、繊維に含浸したポリウレタン樹脂組成物を硬化させるときの温度であって、例えば、25℃(室温)以上、好ましくは、35℃以上、例えば、250℃以下、好ましくは、200℃以下、さらに好ましくは、150℃以下である。
また、上記の成形方法における成形時間は、繊維に含浸したポリウレタン樹脂組成物の硬化に要する時間であって、例えば、10秒以上、好ましくは、20秒以上、例えば、5分以下、好ましくは、3分以下である。
以上によって、繊維強化プラスチックが製造される。
このような繊維強化プラスチックは、繊維と、繊維に含浸されている上記のポリウレタン樹脂組成物の硬化物とを備えるので、優れた難燃性を有する。
このような繊維強化プラスチックは、例えば、乗物(自動車、航空機、自動二輪車、自転車)の部材(例えば、構造部材、内装材、外装材、ホイール、スポーク、座席シートテーブルなど)として、好適に用いられる。
また、繊維強化プラスチックは、上記の他、例えば、ヘルメットの外殻材、ロボット部材、船舶部材、ヨット部材、ロケット部材、事務用いす、ヘルスケア部材(介護用義足、介護用いす、ベッド、アイウェアフレームなど)、ウェアラブル部材の構造材、スポーツ用品(ゴルフクラブのシャフト、テニスラケットのフレーム、スキー板、スノーボードなど)、アミューズメント部材(ジェットコースターなど)、ビル・住宅などの建築資材、製紙用ロール、電子部品(スマートフォン、タブレットなど)の筐体、発電装置(火力発電、水力発電、風力発電、原子力発電)の構造体、タンクローリーなどの構造体などとして、好適に用いられる。
以下に実施例を示し、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、それらに限定されない。以下の記載において用いられる配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなどの具体的数値は、上記の「発明を実施するための形態」において記載されている、それらに対応する配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなど該当記載の上限値(「以下」、「未満」として定義されている数値)または下限値(「以上」、「超過」として定義されている数値)に代替することができる。なお、「部」および「%」は、特に言及がない限り、質量基準である。
<原料の準備>
<<ポリイソシアネート成分の準備>>
準備例1(イソシアネート(1))
商品名コスモネートM−200(三井化学SKCポリウレタン社製、ポリフェニルメタンポリイソシアネート、イソシアネート基含有率=31.2質量%)を、イソシアネート(1)として準備した。
<<ポリイソシアネート成分の準備>>
準備例1(イソシアネート(1))
商品名コスモネートM−200(三井化学SKCポリウレタン社製、ポリフェニルメタンポリイソシアネート、イソシアネート基含有率=31.2質量%)を、イソシアネート(1)として準備した。
準備例2(イソシアネート(2))
商品名コスモネートLK(三井化学SKCポリウレタン社製、ポリフェニルメタンポリイソシアネートのカルボジイミド誘導体、イソシアネート基含有率=28.3質量%、カルボジイミド基含有率=30質量%)を、イソシアネート(2)として準備した。
商品名コスモネートLK(三井化学SKCポリウレタン社製、ポリフェニルメタンポリイソシアネートのカルボジイミド誘導体、イソシアネート基含有率=28.3質量%、カルボジイミド基含有率=30質量%)を、イソシアネート(2)として準備した。
<<ポリオール成分の準備>>
準備例3(ポリオール(1))
商品名アクトコールDiol−280(三井化学SKCポリウレタン社製、4価以下の多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物(ポリオキシプロピレンポリオール)、数平均分子量=281、水酸基価400mgKOH/g、平均官能基数=2、25℃粘度=63mPa・s)を、ポリオール(1)として準備した。
準備例3(ポリオール(1))
商品名アクトコールDiol−280(三井化学SKCポリウレタン社製、4価以下の多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物(ポリオキシプロピレンポリオール)、数平均分子量=281、水酸基価400mgKOH/g、平均官能基数=2、25℃粘度=63mPa・s)を、ポリオール(1)として準備した。
準備例4(ポリオール(2))
商品名アクトコールSOR−400(三井化学SKCポリウレタン社製、6価以上の多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物(ポリオキシプロピレンポリオール)、数平均分子量=842、水酸基価400mgKOH/g、平均官能基数=6、25℃粘度=10500mPa・s)を、ポリオール(2)として準備した。
商品名アクトコールSOR−400(三井化学SKCポリウレタン社製、6価以上の多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物(ポリオキシプロピレンポリオール)、数平均分子量=842、水酸基価400mgKOH/g、平均官能基数=6、25℃粘度=10500mPa・s)を、ポリオール(2)として準備した。
<<有機金属触媒の準備>>
準備例5(有機金属触媒(1))
商品名SCAT−24(日東化成社製、モノブチル錫トリオクテート、分子量=605.43、錫含有量=1.65mmol/g)を、有機金属触媒(1)として準備した。
準備例5(有機金属触媒(1))
商品名SCAT−24(日東化成社製、モノブチル錫トリオクテート、分子量=605.43、錫含有量=1.65mmol/g)を、有機金属触媒(1)として準備した。
準備例6(有機金属触媒(2))
商品名ヘキソエートカリウム13%(東栄化工社製、オクチル酸カリウム、カリウム含有量=3.3mmol/g)を、有機金属触媒(2)として準備した。
商品名ヘキソエートカリウム13%(東栄化工社製、オクチル酸カリウム、カリウム含有量=3.3mmol/g)を、有機金属触媒(2)として準備した。
<<反応遅延剤の準備>>
準備例7(反応遅延剤(1))
ピコリン酸(一般式(1)に含まれる反応遅延剤)を、反応遅延剤(1)として準備した。
準備例7(反応遅延剤(1))
ピコリン酸(一般式(1)に含まれる反応遅延剤)を、反応遅延剤(1)として準備した。
<<難燃剤の準備>>
準備例8(難燃剤(1))
商品名ダイガード880(大八化学工業社製、非ハロゲン脂肪族縮合リン酸エステル、リン含有量15.5質量%、25℃で液状)を、難燃剤(1)として準備した。
準備例8(難燃剤(1))
商品名ダイガード880(大八化学工業社製、非ハロゲン脂肪族縮合リン酸エステル、リン含有量15.5質量%、25℃で液状)を、難燃剤(1)として準備した。
<<炭素繊維の準備>>
準備例9(炭素繊維(1))
商品名SIGRATEX C B300−090/ST(SGLカーボン社製、ノンクリンプ織物)を、炭素繊維(1)として準備した。
準備例9(炭素繊維(1))
商品名SIGRATEX C B300−090/ST(SGLカーボン社製、ノンクリンプ織物)を、炭素繊維(1)として準備した。
<ポリウレタン樹脂および繊維強化プラスチックの製造>
実施例1〜3および比較例1〜3
以下の方法により、ポリウレタン樹脂組成物を調製した。各成分の量は、表1に記載の通りである。
実施例1〜3および比較例1〜3
以下の方法により、ポリウレタン樹脂組成物を調製した。各成分の量は、表1に記載の通りである。
すなわち、表1に示した成分(原料)中、ポリイソシアネート成分および炭素繊維以外の各成分を秤量し、それらを、表1の配合処方に従って配合し、均一になるように攪拌混合することにより、B剤を調製した。なお、B剤の温度を40℃に調整した。
別途用意したポリイソシアネート成分を、表1の配合処方に従って秤量し、それらを均一になるように攪拌混合することにより、A剤を調製した。なお、A剤の温度を40℃に調整した。
その後、B剤にA剤を加えて、それらを真空減圧により脱気しながら高速撹拌機(回転数5000rpm)によって5秒間攪拌して、ポリウレタン樹脂組成物を調製した。
そして、表1に示す炭素繊維を、予め90℃に加熱(予熱)した一面開放金型(厚み2mm、深さ100mm、幅300mm)に設置した後、ポリウレタン樹脂組成物を、手早く注入し、90℃において180秒で硬化させ、繊維強化プラスチック(成形品、厚み2mm、縦100mm、横300mm)を製造した。
<流動性評価>
実施例1〜3および比較例1〜3について、以下の通り評価を実施した。
実施例1〜3および比較例1〜3について、以下の通り評価を実施した。
<<ポットライフ(秒)>>
以下の方法により、上記したポリウレタン樹脂組成物のポットライフを測定した。その結果を表1に示す。
以下の方法により、上記したポリウレタン樹脂組成物のポットライフを測定した。その結果を表1に示す。
ポリウレタン樹脂組成物を、100mLのプラスチック製カップに挿入し、ポリウレタン組成物の粘度をB型粘度計で計測した。
なお、ポットライフの測定開始は、A剤(ポリイソシアネート成分)と、B剤(ポリオール成分)との混合を開始した瞬間とした。
また、ポットライフの測定終了は、ポリオール成分とイソシアネート成分の反応によりポリウレタン樹脂組成物の粘度増加が始まり、流動性が低下し始める時間(B型粘度計で500mPa・sを超えた時間)とした。なお、各成分の配合量は、表1に記載の通りである。
<<180秒脱型性>>
以下の方法により、上記したポリウレタン樹脂の180秒脱型性を評価した。その結果を表1に示す。
以下の方法により、上記したポリウレタン樹脂の180秒脱型性を評価した。その結果を表1に示す。
上記の一面開放金型にポリウレタン樹脂組成物を注入後、90℃において180秒で硬化させ、次いで、金型から硬化物を取り出し、このときの硬化物の状態を目視により観察した。
○:完全に硬化しており、未硬化部分がなかった。
△:未硬化部分は観測されないが、硬化が不十分であり、反りや折れ曲がりが起こった。
×:未硬化の液状樹脂部分、もしくは、金型内面に付着樹脂が観測された。
○:完全に硬化しており、未硬化部分がなかった。
△:未硬化部分は観測されないが、硬化が不十分であり、反りや折れ曲がりが起こった。
×:未硬化の液状樹脂部分、もしくは、金型内面に付着樹脂が観測された。
<<燃焼性評価>>
以下の方法により、上記した繊維強化プラスチックに対して、UL94Vの垂直燃焼試験を実施した。
以下の方法により、上記した繊維強化プラスチックに対して、UL94Vの垂直燃焼試験を実施した。
繊維強化プラスチックを、長さ125mm、幅13mmに切り出して試験片とし、クランプに垂直に取付け、20mm炎により10秒間の接炎を2回実施し、その燃焼挙動を調べた。試験はそれぞれ10回実施した。
<UL94判定>
判定基準に従い、各試験片について、V−0、V−1、V−2および規格外を判定した。その結果を表1に示す。
判定基準に従い、各試験片について、V−0、V−1、V−2および規格外を判定した。その結果を表1に示す。
<最長燃焼時間>
最長燃焼時間は、接炎後の燃焼時間が10回のうち最も長いものを表1に示す。
最長燃焼時間は、接炎後の燃焼時間が10回のうち最も長いものを表1に示す。
<燃焼状態の分類>
燃焼状態の分類は、試験片が燃えたが滴下が無かったものを○、試験片の炎がクランプまで上がったものを×として表1に示す。
燃焼状態の分類は、試験片が燃えたが滴下が無かったものを○、試験片の炎がクランプまで上がったものを×として表1に示す。
Claims (14)
- ポリフェニルメタンポリイソシアネートを含有するポリイソシアネート成分と、
ポリエーテルポリオールを含有するポリオール成分と、
難燃剤と、を含有し、
前記ポリエーテルポリオールは、5価以上の多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物を含有し、
前記難燃剤は、25℃において液状のリン含有難燃剤を含有することを特徴とする、ポリウレタン樹脂組成物。 - 前記ポリエーテルポリオールは、6価以上の多価アルコールのプロピレンオキサイド付加物を含有することを特徴とする、請求項1に記載のポリウレタン樹脂組成物。
- 前記ポリオール成分における、前記5価以上の多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物の含有割合は、5質量%以上であることを特徴とする、請求項1または2に記載のポリウレタン樹脂組成物。
- 前記ポリオール成分の平均官能基数は、2.1以上5以下であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリウレタン樹脂組成物。
- 前記25℃において液状のリン含有難燃剤は、脂肪族縮合リン酸エステルを含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のポリウレタン樹脂組成物。
- 有機金属触媒と、
反応遅延剤と、をさらに含有することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載のポリウレタン樹脂組成物。 - 前記反応遅延剤は、下記一般式(1)に示す反応遅延剤を含み、
前記有機金属触媒1molに対する前記反応遅延剤のmol比が、0.50以上2.50以下であることを特徴とする、請求項6に記載のポリウレタン樹脂組成物
- 前記一般式(1)に示す反応遅延剤は、ピコリン酸であることを特徴とする、請求項7に記載のポリウレタン樹脂組成物。
- 前記反応遅延剤の含有割合は、前記ポリオール成分100質量部に対して、0.05質量部以上1.4質量部以下であることを特徴とする、請求項6〜8のいずれか一項に記載のポリウレタン樹脂組成物。
- 前記有機金属触媒の含有割合は、前記ポリオール成分100質量部に対して、0.001質量部以上10質量部以下であることを特徴とする、請求項6〜9のいずれか一項に記載のポリウレタン樹脂組成物。
- 前記ポリオール成分の水酸基の総和に対する、前記ポリイソシアネート成分のイソシアネート基の総和の割合は、前記ポリオール成分の水酸基の総和を100として、75以上400以下であることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載のポリウレタン樹脂組成物。
- 請求項1〜11のいずれか一項に記載のポリウレタン樹脂組成物の硬化物を含むことを特徴とする、ポリウレタン樹脂。
- 請求項12に記載のポリウレタン樹脂を含むことを特徴とする、成形品。
- 繊維と、
前記繊維に含浸されている、請求項1〜11のいずれか一項に記載のポリウレタン樹脂組成物の硬化物と、を備えることを特徴とする、繊維強化プラスチック。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2020034615A JP2021138787A (ja) | 2020-03-02 | 2020-03-02 | ポリウレタン樹脂組成物、ポリウレタン樹脂、成形品および繊維強化プラスチック |
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JP2020034615A Pending JP2021138787A (ja) | 2020-03-02 | 2020-03-02 | ポリウレタン樹脂組成物、ポリウレタン樹脂、成形品および繊維強化プラスチック |
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Cited By (1)
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CN114920495A (zh) * | 2022-06-01 | 2022-08-19 | 煤炭科学技术研究院有限公司 | 一种矿用注浆加固充填剂及制备方法 |
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2020
- 2020-03-02 JP JP2020034615A patent/JP2021138787A/ja active Pending
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