JP2021134234A - 耐火材料 - Google Patents
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Abstract
【課題】水にさらされても機能が損なわれにくい耐火材料を提供する。【解決手段】耐火材料は、炭化剤と、無機酸類とを含有する。炭化剤は、アミノ基と、アセン類を有さない芳香環骨格とを有する有機化合物を含有する。【選択図】なし
Description
本開示は、耐火材料に関し、詳しくは炭化剤と無機酸類とを含有する耐火材料に関する。
建築物に耐火性を付与するための耐火材料として、例えば特許文献1には、温度上昇により不燃性ガスを発生する発泡剤と、炭化して多孔質な炭化層を形成するペンタエリスリトールなどの炭化剤と、これらを結合する結合材とを含有する発泡耐火塗料が開示されている。このような耐火材料は、火災の炎などにさらされた場合に発泡して断熱層を形成し、この断熱層が火災の炎などから建築物などを保護できるとされている。ペンタエリスリトールなどの炭化剤は水溶性であるため、耐火材料が水にさらされると炭化剤が溶出してしまうことがあり、そうすると耐火材料の機能が損なわれる。
そこで、特許文献1の開示では、構造物の表面に構造物側から発泡耐火塗料より形成される発泡耐火塗料層と、結露防止塗料より形成される結露防止塗料層とが積層されている耐火被覆構造を構成することで、発泡耐火塗料層が水にさらされないようにしている。
特許文献1の開示のように耐火材料が水にさらされないように結露防止塗料層などを設けると、そのための施工の手間が増えてしまう。
本開示の課題は、水にさらされても機能が損なわれにくい耐火材料を提供することである。
本開示の一態様に係る耐火材料は、炭化剤と、無機酸類とを含有し、前記炭化剤は、アミノ基と、アセン類を有さない芳香環骨格とを有する有機化合物を含有する。
本開示の一態様によれば、耐火材料が水にさらされても耐火材料の機能が損なわれにくい。
以下、本開示に係る耐火材料の実施形態について説明する。
耐火材料は、炭化剤と無機酸類とを含有する。炭化剤は、アミノ基と、アセン類を有さない芳香環骨格とを有する有機化合物を含有する。この耐火材料が火災の炎などにさらされるなどして加熱されると、炭化剤が無機酸類と反応してガスを発し、かつ炭化することで、耐火材料から多孔質の炭化層が作製される。このため例えば耐火材料が建築物に設けられると、火災時などには、耐火材料から作製された炭化層が、火災の炎などから建築物を保護できる。また、本実施形態では、上述のとおり炭化剤がベンゾピラン誘導体を含有するので、炭化剤は水に溶出しにくい。そのため耐火材料が水にさらされても、炭化剤は水に溶出しにくく、そのため耐火材料の機能が損なわれにくい。
このため、本実施形態では、例えば炭化剤に防水などのための被覆を施したり、耐火材料を防水性のシートなどで覆ったりするなどのように、防水のための要素を付与しなくても、耐火材料は耐水性を有することができる。
また、防水性のシートなどが不要であることで、防水性のシートなどによって耐火材料の可撓性などが損なわれることがない。さらに、防水性のシートなどによって透湿性が損なわれることもない。
耐火材料の構成について更に具体的に説明する。
耐火材料は、例えばシート材(耐火シート)であってもよく、塗料(耐火塗料)であってもよい。耐火材料が耐火シートである場合、建築物などの対象に耐火シートを設けることで、この耐火シートにより建築物などの対象を保護できる。耐火材料が耐火塗料である場合には、耐火塗料を建築物などの対象の表面上に膜状に成形することで耐火塗膜を作製し、この耐火塗膜により建築物などの対象を保護できる。なお、耐火材料は前記のシート材及び塗料のみには制限されず、種々の形態を有しうる。
耐火材料が含有する炭化剤は、上述のとおり、アミノ基と、アセン類を有さない芳香環骨格とを有する有機化合物(以下、有機化合物(A)ともいう)を含有する。この有機化合物(A)は加熱されると炭化しやすいため、耐火材料から多孔質な炭化層が作製されやすい。また、有機化合物(A)は芳香環骨格を有するため、有機化合物(A)は水に溶出しにくい。また、有機化合物(A)における芳香環骨格はアセン類を有さないため、有機化合物(A)は耐火材料及び炭化層を剛直化させにくい。このため、加熱された耐火材料が膨張して炭化層が形成される過程における膨張率が高まりやすい。さらに、有機化合物(A)はアミノ基を有することで、無機酸類と反応して発泡を生じさせやすい。
このため、本実施形態では、水にさらされても機能が損なわれにくい耐火材料が得られる。
有機化合物(A)の、より具体的な好ましい構造について説明する。上記のとおり、有機化合物(A)は、アセン類を有さない芳香環骨格を有する。芳香環骨格は、アセン類に限らず、縮合環を有さなければ、より好ましい。芳香環骨格は、例えば二以上の芳香環を有し、芳香環同士が単結合又は二価の有機基で結合している構造を有する。二価の有機基は、例えばメチレン基などのアルキレン基である。芳香環骨格がこのような構造を有すると、加熱された耐火材料が、より膨張しやすくなる。
芳香環骨格は、例えばベンゼン環と複素環とのうち少なくとも一方を有する。芳香環骨格は、窒素を有する複素環を有することが好ましい、その場合複素環がピリジミン環を含むことが好ましい。この場合、有機化合物(A)のうち無機酸類との未反応物が残存しても、未反応物が分解してガスを発生することで、加熱された耐火材料が、より膨張しやすくなる。
アミノ基は、例えば、芳香環骨格中の芳香環に直接又は間接的に結合している。すなわち、芳香環骨格中の芳香環に、アミノ基を有する置換基が結合していることが好ましい。この場合、アミノ基が無機酸類と反応しやすいことから、加熱された耐火材料が、より膨張しやすくなる。
有機化合物(A)は、水酸基を有さないことが好ましい。水酸基は無機酸類と反応しやすいものの、有機化合物(A)の水溶性を高めてしまう。有機化合物(A)が水酸基を有さなければ、有機化合物(A)が更に水に溶出しにくくなる。
有機化合物(A)は、メトキシ基、エトキシ基などのアルコキシ基を有してもよい。有機化合物(A)が上記のように水酸基を有すると上記のように有機化合物(A)の水溶性が高められてしまうが、水酸基がアルキル基で封鎖されてアルコキシル基になっている場合には、有機化合物(A)の水溶性は高まりにくい。また、アルコキシル基は無機酸類と反応しうる。このため、有機化合物(A)の水への溶出を抑制しながら、加熱された耐火材料が、より膨張しやすくなる。
有機化合物(A)がトリメトプリムを含有すれば、特に好ましい。トリメトプリムは下記の化学式に示す構造を有する。この場合、耐火材料が加熱された場合の膨張性の向上と、有機化合物(A)の水への溶出の抑制とが、バランスよく実現されうる。
有機化合物(A)の、25℃での水への溶解度は、0.5g/100mL以下であることが好ましい。この場合、有機化合物(A)の水への溶出が特に抑制される。この有機化合物(A)の溶解度は、上記の有機化合物(A)の構造によって実現されうる。水への溶解度の具体的な測定方法は、後掲の実施例の説明において詳述する。
有機化合物(A)0.14gと無機酸類0.17gとの混合物を空気雰囲気下で400℃で10分間加熱した場合の、混合物の膨張率は、5倍以上であることが好ましい。この場合、耐火材料が加熱されると、多孔質な炭化層が特に作製されやすくなる。この膨張率の具体的な測定方法は、後掲の実施例の説明において詳述する。なお、この混合物中の有機化合物(A)と無機酸類との各々の量は、有機化合物(A)と無機酸類との組み合わせの特性を定義するための要素であり、耐火材料中での有機化合物(A)と無機酸類との各々の配合量が上記と同じでなくてもよい。
耐火材料全体に対する炭化剤の割合は、耐火材料中の炭化剤以外の成分の種類などに応じて変動しうるため、一概に規定されないが、例えば5質量%以上70質量%以下である。
なお、炭化剤は、有機化合物(A)のみを含有してもよく、有機化合物(A)以外の成分を更に含有してもよい。例えば炭化剤は、ペンタエリスリトールなどのような従来から使用されている成分を更に含有してもよい。ただし、耐火材料の耐水性を高めるためには、炭化剤全体に対する有機化合物(A)の割合は50質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であれば更に好ましい。炭化剤が有機化合物(A)のみを含有すれば特に好ましい。
無機酸類は、上述のとおり炭化剤と反応してガスを発生させる成分である。無機酸類は、例えばリン酸アンモニウム、ポリリン酸アンモニウムなどのリン化合物、ホウ酸亜鉛、及びホウ酸ソーダなどのホウ素化合物などからなる群から選択される少なくとも一種の成分を含有する。なお、無機酸類が含有しうる成分は前記のみには制限されない。
無機酸類がポリリン酸アンモニウムを含有することが、特に好ましい。ポリリン酸アンモニウムは炭化剤と反応して水蒸気、アンモニアなどのガスを発生させうる。また、ポリリン酸アンモニウムは、重合体であるため水に溶出しにくく、そのため耐火材料の耐水性を損なわせにくい。ポリリン酸アンモニウムの重合度は20以上であることが好ましい。この場合、ポリリン酸アンモニウムは水に特に溶出しにくい。ポリリン酸アンモニウムの重合度は100以上であれば更に好ましい。重合度の上限に制限はないが、例えば10000以下である。
耐火材料中の無機酸類の量は炭化剤1mmolに対して0.01g以上1.0g以下であることが好ましい。無機酸類が0.01g以上であると、後述するように耐火材料が無機充填材を更に含有する場合に、灰化層が特に形成されやすくなるという利点がある。また無機酸類が1.0g以下であると炭化層が特に形成されやすいという利点がある。無機酸類が炭化剤1mmolに対して0.04g以上0.7g以下であればより好ましく、0.1g以上0.4g以下であれば更に好ましい。
耐火材料は、充填材を更に含有してもよい。耐火材料が充填材を含有すると、耐火材料中の炭化剤が無機酸類と反応してガスを発し、かつ炭化することで、多孔質な炭化層が作製された後、炭化層が更に加熱されることで炭化層中の炭素が酸化されて失われても、残留する灰分と充填材とが多孔質な層(灰化層)を構成しやすい。この灰化層が、引き続き、火災の炎などから建築物などを保護できる。このため、耐火材料によって、建築物などが火災の炎などから長時間保護されやすい。
充填材は、例えば無機充填材を含有する。無機充填材は、例えば酸化チタン、珪藻土、ゼオライト、シリカゲル、アルミナ、石灰、アロフェン、カオリン、ハロイサイト、軽石、白土、シラス、セライト、タルク、石膏、バーミキュライト、ベントナイト、アスベスト、ポゾラン、セメント、セピオライト、アルミナシリケート、シリカアルミネート、カルシウムシリケート、マグネシアシリケート、及びシリカマグネシアネートなどからなる群から選択される少なくとも一種の材料を含有する。無機充填材が酸化チタンを含有すると、灰化層が特に作製されやすくなる。なお、無機充填材が含有しうる材料は前記のみには制限されない。
耐火材料中の充填材の割合は耐火材料全体に対して3質量%以上30質量%以下であることが好ましい。この割合が3質量%以上であると灰化層が特に形成されやすいという利点がある。またこの割合が30質量%以下であると耐火材料の成形性が向上するという利点がある。充填材の割合が3質量%以上25質量%以下であればより好ましく、5質量%以上20質量%以下であれば更に好ましい。
耐火材料は、バインダーを更に含有してもよい。バインダーは耐火材料の成形性を高めることができる。
耐火材料がシート材である場合、バインダーは例えば熱可塑性樹脂を含有する。熱可塑性樹脂は、耐火材料をシート状に成形させやすくできる。さらに、熱可塑性樹脂は、シート材である耐火材料に可撓性を付与しやすく、そのため耐火材料の取扱性、並びに耐火材料を建築物などに設けるに当たっての施工性を、高めることができる。熱可塑性樹脂は、例えばポリエチレン樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂(EVA樹脂)、アクリル樹脂
、及びポリ塩化ビニル樹脂(PVC樹脂)などからなる群から選択される少なくとも一種の成分を含有する。
、及びポリ塩化ビニル樹脂(PVC樹脂)などからなる群から選択される少なくとも一種の成分を含有する。
耐火材料が塗料である場合、バインダーは適宜の反応硬化性樹脂、熱可塑性樹脂などを含有してよい。例えばバインダーは、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、塩化ビニル樹脂、シリコーン樹脂、酢酸ビニル樹脂、及びポリエステル樹脂などからなる群から選択される少なくとも一種の成分を含有する。
なお、バインダーが含みうる成分は上記のみには制限されない。
耐火材料中のバインダーの割合は耐火材料全体に対して10質量%以上50質量%以下であることが好ましい。この割合が15質量%以上であると耐火材料の成形性が向上するという利点がある。またこの割合が30質量%以下であると、炭化層及び灰化層が特に形成されやすくなるという利点がある。バインダーの割合が15質量%以上40質量%以下であればより好ましく、20質量%以上35質量%以下であれば更に好ましい。
耐火材料が塗料である場合、塗料は溶剤を含有してもよい。溶剤は例えば適宜の有機溶媒及び水などからなる群から選択される少なくとも一種の成分を含有する。溶剤の量は、例えば塗料である耐火材料が塗布されやすい粘度を有するように、適宜調整される。
耐火材料は、発泡剤を更に含有してよい。発泡剤は、加熱されることで分解又は気化などすることでガスを発する材料である。耐火材料が発泡剤を含有すると、発泡剤は、耐火材料が加熱されることで炭化層が作製される際に耐火材料において発生するガスの量を、増大させることができる。このため、発泡剤は炭化層の多孔質性を高め、かつ炭化層の体積を増大させることができ、これにより炭化層の断熱性を高めることができる。
発泡剤は、例えばメラミン及びその誘導体、ジシアンジアミド及びその誘導体、アゾジカルボンアミド、尿素、並びにチオ尿素などからなる群から選択される少なくとも一種の成分を含有する。
耐火材料中の発泡剤の量は炭化剤1モルに対して0.5モル以上20.0モル以下であることが好ましい。この割合が0.5モル以上であると炭化層及び灰化層が特に形成されやすくなるという利点がある。またこの割合が20.0モル以下であると耐火材料の成形性が向上するという利点がある。発泡剤の量が炭化剤1モルに対して0.5モル以上10.0モル以下であればより好ましく、炭化剤1モルに対して1モル以上4モル以下であれば更に好ましい。
耐火材料は、上記の耐火材料の原料を混合し、更に必要に応じて成形することで作製される。例えば耐火材料が耐火シートである場合は、耐火材料は、上記の耐火材料の材料を混練してから、熱プレスなどを用いて圧縮成形することで作製される。なお、耐火材料の製造方法は、前記のみには制限されない。
以下、本開示の具体的な実施例について説明する。なお、本開示は下記の実施例のみには制限されない。
炭化剤及びその評価
トリメトプリムとペンタエリスリトールとの、炭化剤としての性能の評価を下記のとおり行った。
トリメトプリムとペンタエリスリトールとの、炭化剤としての性能の評価を下記のとおり行った。
1.発泡試験
0.14gのトリメトプリムと0.17gのポリリン酸アンモニウムとをメノウ乳鉢を用いて混合することで、粉末状の評価用のサンプルを作製した。このサンプルを、ねじ口試験管(φ18×高さ75mm)に投入し、ねじ口試験管中でのサンプルの高さを測定した。続いて、サンプルが入った状態でねじ口試験菅を空気雰囲気下、昇温速度20℃/minで400℃まで加熱し、続いて400℃の温度に10分間維持した。その結果、サンプルは炭化しかつ膨張することで、多孔質な炭化物となった。この場合の膨張率、すなわちねじ口試験管中での加熱前のサンプルの高さに対する炭化物の高さの倍率は、12.0倍であった。
0.14gのトリメトプリムと0.17gのポリリン酸アンモニウムとをメノウ乳鉢を用いて混合することで、粉末状の評価用のサンプルを作製した。このサンプルを、ねじ口試験管(φ18×高さ75mm)に投入し、ねじ口試験管中でのサンプルの高さを測定した。続いて、サンプルが入った状態でねじ口試験菅を空気雰囲気下、昇温速度20℃/minで400℃まで加熱し、続いて400℃の温度に10分間維持した。その結果、サンプルは炭化しかつ膨張することで、多孔質な炭化物となった。この場合の膨張率、すなわちねじ口試験管中での加熱前のサンプルの高さに対する炭化物の高さの倍率は、12.0倍であった。
また、トリメトプリムに代えて、トリメトプリムと同モル量のペンタエリスリトールとポリリン酸アンモニウム0.17gを用いて評価用のサンプルを作製し、サンプルを上記と同じ条件で加熱した場合も、サンプルは炭化しかつ発泡することで、多孔質な炭化物となった。この場合の膨張率は、5.0倍であった。
この結果から、本開示における炭化剤に含まれうるトリメトプリムは、一般的な炭化剤の成分であるペンタエリスリトールと同様に発泡でき、かつペンタエリスリトールよりも優れた膨張性を耐火材料に付与しうることが確認できた。
2.水溶性試験
500mgのトリメトプリムを、10mlの水(イオン交換水)中に入れて試験液を作製し、この試験液を25℃で30分間攪拌してから濾過した。これにより得られた濾液を110℃3時間の条件で加熱することで濾液中の水を蒸発させ、残渣(すなわち水中に溶解していたトリメトプリム)の重量を秤量した。この結果から、トリメトプリムの25℃における水に対する溶解度を算出したところ、0.41g/100mlであった。
500mgのトリメトプリムを、10mlの水(イオン交換水)中に入れて試験液を作製し、この試験液を25℃で30分間攪拌してから濾過した。これにより得られた濾液を110℃3時間の条件で加熱することで濾液中の水を蒸発させ、残渣(すなわち水中に溶解していたトリメトプリム)の重量を秤量した。この結果から、トリメトプリムの25℃における水に対する溶解度を算出したところ、0.41g/100mlであった。
同じ方法でペンタエリスリトールの25℃における水に対する溶解度を算出したところ、5.29g/100mlであった。
この結果から、トリメトプリムの水に対する溶解度は、ペンタエリスリトールに比べて著しく低く、このことから、トリメトプリムは耐火材料の耐水性を高めうることが理解できる。
また、ポリリン酸アンモニウム(クラリアントケミカルズ株式会社製、品番AP422)の水に対する溶解度も同じ方法で算出したところ、0.37g/100mlと、著しく低かった。このことから、ポリリン酸アンモニウムも耐火材料の耐水性を高めうることが理解できる。
以上の実施形態及び実施例から明らかなように、本開示の第一の態様に係る耐火材料は、炭化剤と、無機酸類とを含有し、炭化剤は、アミノ基と、アセン類有さない芳香環骨格とを有する有機化合物を含有する。
第一の態様によると、耐火材料が加熱されると炭化しかつ膨張して多孔質な炭化層が作製されやすく、かつ耐火材料が水にさらされても耐火材料中の炭化剤は水に溶出しにくい。このため、耐火材料が水にさらされても耐火材料の機能が損なわれにくい。
本開示の第二の態様に係る耐火材料では、第一の態様において、芳香環骨格中の芳香環に、アミノ基を有する置換基が結合している。
第二の態様によると、耐火材料が加熱された場合の膨張率が、より高まりやすい。
本開示の第三の態様に係る耐火材料では、第一又は第二の態様において、芳香環骨格は、窒素を有する複素環を有する。
第三の態様によると、耐火材料が加熱された場合の膨張率が、より高まりやすい。
本開示の第四の態様に係る耐火材料は、第三の態様において、複素環は、ピリミジン環を含む。
第四の態様によると、耐火材料が加熱された場合の膨張率が、より高まりやすい。
本開示の第五の態様に係る耐火材料は、第一から第四のいずれか一の態様において、有機化合物は、水酸基を有さない。
第五の態様によると、耐火材料から炭化剤がより溶出しにくくなる。
本開示の第六の態様に係る耐火材料では、第一から第五のいずれか一の態様において、有機化合物の、25℃での水への溶解度は、0.5g/100mL以下である。
第六の態様によると、耐火材料から炭化剤がより溶出しにくくなる。
本開示の第七の態様に係る耐火材料は、第一から第六のいずれか一の態様において、有機化合物0.14gと無機酸類0.17gとの混合物を空気雰囲気下で400℃で10分間加熱した場合の膨張率は、5倍以上である。
第七の態様によると、耐火材料が加熱された場合に多孔質な炭化層が更に作製されやすくなる。
本開示の第八の態様に係る耐火材料は、第一から第七のいずれか一の態様において、有機化合物は、トリメトプリムを含有する。
第八の態様によると、耐火材料が加熱された場合の膨張性の向上と、有機化合物の水への溶出の抑制とが、バランスよく実現されうる。
本開示の第九の態様に係る耐火材料は、第一から第八のいずれか一の態様において、シート材である。
第九の態様によると、建築物などの対象に耐火材料を容易に設けることができ、この耐火材料により建築物などの対象を保護できる。
Claims (9)
- 炭化剤と、無機酸類とを含有し、
前記炭化剤は、アミノ基と、アセン類を有さない芳香環骨格とを有する有機化合物を含有する、
耐火材料。 - 前記芳香環骨格中の芳香環に、前記アミノ基を有する置換基が結合している、
請求項1に記載の耐火材料。 - 前記芳香環骨格は、窒素を有する複素環を有する、
請求項1又は2に記載の耐火材料。 - 前記複素環は、ピリミジン環を含む、
請求項3に記載の耐火材料。 - 前記有機化合物は、水酸基を有さない、
請求項1から4のいずれか一項に記載の耐火材料。 - 前記有機化合物の、25℃での水への溶解度は、0.5g/100mL以下である、
請求項1から5のいずれか一項に記載の耐火材料。 - 前記有機化合物0.14gと前記無機酸類0.17gとの混合物を空気雰囲気下で400℃で10分間加熱した場合の膨張率は、5倍以上である、
請求項1から6のいずれか一項に記載の耐火材料。 - 前記有機化合物は、トリメトプリムを含有する、
請求項1から7のいずれか一項に記載の耐火材料。 - シート材である、
請求項1から8のいずれか一項に記載の耐火材料。
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