以下、図面を参照しながら、医用画像処理装置、X線診断装置及び医用画像処理プログラムの実施形態について詳細に説明する。
(第1の実施形態)
第1の実施形態では、医用画像処理装置30を含んだ医用画像処理システム1を例として説明する。例えば、医用画像処理システム1は、図1に示すように、X線診断装置10、画像保管装置20及び医用画像処理装置30を備える。X線診断装置10、画像保管装置20及び医用画像処理装置30は、ネットワークNWを介して接続される。なお、図1は、第1の実施形態に係る医用画像処理システム1の構成の一例を示すブロック図である。
X線診断装置10は、被検体PからX線画像を収集する装置である。例えば、X線診断装置10は、血管内に医用デバイスが挿入された被検体Pから2次元X線画像を収集し、収集した2次元X線画像を画像保管装置20又は医用画像処理装置30に対して送信する。なお、X線診断装置10については後述する。
画像保管装置20は、各種の医用画像を保管する。例えば、画像保管装置20は、被検体Pの血管を含む3次元血管画像を保管する。例えば、画像保管装置20は、3次元血管画像として、血管内に造影剤を注入した状態の被検体Pから収集された3次元X線画像を保管する。なお、3次元血管画像は、X線診断装置10により収集されたものであってもよいし、他の装置により収集されたものであってもよい。また、例えば、画像保管装置20は、X線診断装置10により被検体Pから収集された2次元X線画像を保管する。例えば、画像保管装置20は、サーバ装置等のコンピュータ機器によって実現される。
医用画像処理装置30は、X線診断装置10又は画像保管装置20から取得した画像に基づく各種の処理を実行する。例えば、医用画像処理装置30は、図1に示すように、入力インタフェース31と、ディスプレイ32と、メモリ33と、処理回路34とを有する。
入力インタフェース31は、ユーザからの各種の入力操作を受け付け、受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路34に出力する。例えば、入力インタフェース31は、マウスやキーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック、操作面へ触れることで入力操作を行うタッチパッド、表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチスクリーン、光学センサを用いた非接触入力回路、音声入力回路等により実現される。なお、入力インタフェース31は、医用画像処理装置30本体と無線通信可能なタブレット端末等で構成されることにしても構わない。また、入力インタフェース31は、モーションキャプチャによりユーザからの入力操作を受け付ける回路であっても構わない。一例を挙げると、入力インタフェース31は、トラッカーを介して取得した信号やユーザについて収集された画像を処理することにより、ユーザの体動や視線等を入力操作として受け付けることができる。また、入力インタフェース31は、マウスやキーボード等の物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、医用画像処理装置30とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を処理回路34へ出力する電気信号の処理回路も入力インタフェース31の例に含まれる。
ディスプレイ32は、各種の情報を表示する。例えば、ディスプレイ32は、処理回路34による制御の下、X線診断装置10により収集された2次元X線画像と、3次元血管画像とを重畳させて表示する。また、例えば、ディスプレイ32は、入力インタフェース31を介してユーザから各種の指示や設定等を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)を表示する。例えば、ディスプレイ32は、液晶ディスプレイやCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイである。ディスプレイ32は、デスクトップ型でもよいし、医用画像処理装置30本体と無線通信可能なタブレット端末等で構成されることにしても構わない。また、例えば、ディスプレイ32は、プロジェクター等でも構わない。例えば、ディスプレイ32は、スクリーンや壁、床、被検体Pの体表面等に対して投影を行なうプロジェクターであってもよい。一例を挙げると、ディスプレイ32は、プロジェクションマッピングによって、任意の平面や物体、空間等への投影を行うこともできる。
メモリ33は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等により実現される。例えば、メモリ33は、医用画像処理装置30に含まれる回路がその機能を実現するためのプログラムを記憶する。また、メモリ33は、X線診断装置10又は画像保管装置20から取得した各種の画像を記憶する。なお、メモリ33は、医用画像処理装置30とネットワークNWを介して接続されたサーバ群(クラウド)により実現されることとしてもよい。
処理回路34は、制御機能34a、画像取得機能34b、デバイス情報取得機能34c、表示制御機能34d及び送信機能34eを実行することで、医用画像処理装置30全体の動作を制御する。ここで、画像取得機能34bは、画像取得部の一例である。また、デバイス情報取得機能34cは、デバイス情報取得部の一例である。また、表示制御機能34dは、表示制御部の一例である。また、送信機能34eは、送信部の一例である。
例えば、処理回路34は、制御機能34aに対応するプログラムをメモリ33から読み出して実行することにより、入力インタフェース31を介してユーザから受け付けた各種の入力操作に基づいて、画像取得機能34b、デバイス情報取得機能34c、表示制御機能34d、送信機能34eといった各種の機能を制御する。
また、例えば、処理回路34は、画像取得機能34bに対応するプログラムをメモリ33から読み出して実行することにより、血管内に医用デバイスが挿入された被検体Pから取得された2次元X線画像と、被検体Pの血管を含む3次元血管画像とを取得する。また、例えば、処理回路34は、デバイス情報取得機能34cに対応するプログラムをメモリ33から読み出して実行することにより、被検体Pの血管内に挿入された医用デバイスの3次元空間上の位置情報を取得する。また、例えば、処理回路34は、表示制御機能34dに対応するプログラムをメモリ33から読み出して実行することにより、デバイス情報取得機能34cが取得した位置情報に基づいて、3次元血管画像の表示態様を決定し、決定した表示態様において、3次元血管画像と2次元X線画像とを重畳させてディスプレイ32に表示させる。また、例えば、処理回路34は、送信機能34eに対応するプログラムをメモリ33から読み出して実行することにより、X線診断装置10に対して各種のデータを送信する。なお、画像取得機能34b、デバイス情報取得機能34c、表示制御機能34d及び送信機能34eによる処理については後述する。
次に、図2を用いて、X線診断装置10の構成について説明する。図2は、第1の実施形態に係るX線診断装置10の構成の一例を示すブロック図である。なお、本実施形態においては、X線診断装置10がバイプレーンのX線診断装置である場合を一例として説明する。例えば、X線診断装置10は、X線高電圧装置101と、第1のX線管102aと、第2のX線管102bと、第1のX線絞り器103aと、第2のX線絞り器103bと、天板104と、第1のアーム105aと、第2のアーム105bと、第1のX線検出器106aと、第2のX線検出器106bと、メモリ107と、ディスプレイ108と、入力インタフェース109と、処理回路110とを備える。
X線高電圧装置101は、処理回路110による制御の下、第1のX線管102a及び第2のX線管102bに高電圧を供給する。例えば、X線高電圧装置101は、変圧器(トランス)及び整流器等の電気回路を有し、第1のX線管102a及び第2のX線管102bに印加する高電圧を発生する高電圧発生装置と、第1のX線管102a及び第2のX線管102bが照射するX線に応じた出力電圧の制御を行うX線制御装置とを有する。高電圧発生装置は、変圧器方式であってもよいし、インバータ方式であってもよい。
第1のX線管102a及び第2のX線管102bは、熱電子を発生する陰極(フィラメント)と、熱電子の衝突を受けてX線を発生する陽極(ターゲット)とを有する真空管である。第1のX線管102a及び第2のX線管102bは、X線高電圧装置101から供給される高電圧を用いて、陰極から陽極に向けて熱電子を照射することにより、X線を発生する。
第1のX線絞り器103a及び第2のX線絞り器103bは、それぞれ、X線の照射範囲を絞り込むコリメータと、X線を調節するフィルタとを有する。
第1のX線絞り器103aにおけるコリメータは、例えば、スライド可能な4枚の絞り羽根を有し、これら絞り羽根をスライドさせることで、第1のX線管102aが発生したX線を絞り込んで被検体Pに照射させる。ここで、絞り羽根は、鉛などで構成された板状部材であり、X線の照射範囲を調整するために第1のX線管102aのX線照射口付近に設けられる。同様に、第2のX線絞り器103bにおけるコリメータは、絞り羽根をスライドさせることで、第2のX線管102bが発生したX線を絞り込んで被検体Pに照射させる。
第1のX線絞り器103a及び第2のX線絞り器103bにおけるフィルタは、被検体Pに対する被曝線量の低減とX線画像の画質向上を目的として、その材質や厚みによって透過するX線の線質を変化させ、被検体Pに吸収されやすい軟線成分を低減したり、X線画像データのコントラスト低下を招く高エネルギー成分を低減したりする。また、フィルタは、その材質や厚み、位置などによってX線の線量及び照射範囲を変化させ、被検体Pへ照射されるX線が予め定められた分布になるようにX線を減衰させる。
例えば、第1のX線絞り器103a及び第2のX線絞り器103bは、モータ及びアクチュエータ等の駆動機構を有し、後述する処理回路110による制御の下、駆動機構を動作させることによりX線の照射を制御する。例えば、第1のX線絞り器103a及び第2のX線絞り器103bは、処理回路110から受け付けた制御信号に応じて駆動電圧を駆動機構に付加することにより、コリメータの絞り羽根の開度を調整して、被検体Pに対して照射されるX線の照射範囲を制御する。また、例えば、第1のX線絞り器103a及び第2のX線絞り器103bは、処理回路110から受け付けた制御信号に応じて駆動電圧を駆動機構に付加することにより、フィルタの位置を調整することで、被検体Pに対して照射されるX線の線量の分布を制御する。
天板104は、被検体Pを載せるベッドであり、図示しない寝台駆動装置の上に配置される。なお、被検体Pは、X線診断装置10に含まれない。例えば、寝台駆動装置は、モータ及びアクチュエータ等の駆動機構を有し、後述する処理回路110による制御の下、駆動機構を動作させることにより、天板104の移動・傾斜を制御する。例えば、寝台駆動装置は、処理回路110から受け付けた制御信号に応じて駆動電圧を駆動機構に付加することにより、天板104を移動させたり、傾斜させたりする。
第1のX線検出器106a及び第2のX線検出器106bは、例えば、マトリクス状に配列された検出素子を有するX線平面検出器(Flat Panel Detector:FPD)である。第1のX線検出器106aは、第1のX線管102aから照射されて被検体Pを透過したX線を検出して、検出したX線量に対応した検出信号を処理回路110へと出力する。同様に、第2のX線検出器106bは、第2のX線管102bから照射されて被検体Pを透過したX線を検出して、検出したX線量に対応した検出信号を処理回路110へと出力する。なお、第1のX線検出器106a及び第2のX線検出器106bは、グリッド、シンチレータアレイ及び光センサアレイを有する間接変換型の検出器であってもよいし、入射したX線を電気信号に変換する半導体素子を有する直接変換型の検出器であっても構わない。
第1のアーム105aは、第1のX線管102a及び第1のX線検出器106aを保持する。具体的には、第1のアーム105aは、第1のX線管102aと第1のX線検出器106aとを被検体Pを挟んで対向するように保持する。第1のアーム105aは、Cアーム又はC型アームとも呼ばれる。
例えば、第1のアーム105aは、モータ及びアクチュエータ等の駆動機構を有し、後述する処理回路110による制御の下、駆動機構を動作させることにより、回転したり移動したりする。例えば、第1のアーム105aは、処理回路110から受け付けた制御信号に応じて駆動電圧を駆動機構に付加することにより、第1のX線管102a及び第1のX線検出器106aを被検体Pに対して回転・移動させ、撮影位置及び撮影角度を制御する。
なお、以下では、X線診断装置10の構成のうち、第1のアーム105a、及び、第1のアーム105aにより保持される構成を、第1の撮影系とも記載する。第1の撮影系には、例えば、第1のアーム105a、第1のX線管102a、第1のX線絞り器103a、及び、第1のX線検出器106aが含まれる。第1の撮影系における撮影位置及び撮影角度は、第1のアーム105aの配置により制御される。
第2のアーム105bは、第2のX線管102b及び第2のX線検出器106bを保持する。具体的には、第2のアーム105bは、第2のX線管102bと第2のX線検出器106bとを被検体Pを挟んで対向するように保持する。第2のアーム105bは、Ωアーム又はΩ型アームとも呼ばれる。
例えば、第2のアーム105bは、モータ及びアクチュエータ等の駆動機構を有し、後述する処理回路110による制御の下、駆動機構を動作させることにより、回転したり移動したりする。例えば、第2のアーム105bは、処理回路110から受け付けた制御信号に応じて駆動電圧を駆動機構に付加することにより、第2のX線管102b及び第2のX線検出器106bを被検体Pに対して回転・移動させ、撮影位置及び撮影角度を制御する。
なお、以下では、X線診断装置10の構成のうち、第2のアーム105b、及び、第2のアーム105bにより保持される構成を、第2の撮影系とも記載する。第2の撮影系には、例えば、第2のアーム105b、第2のX線管102b、第2のX線絞り器103b、及び、第2のX線検出器106bが含まれる。第2の撮影系における撮影位置及び撮影角度は、第2のアーム105bの配置により制御される。
メモリ107は、例えば、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等により実現される。例えば、メモリ107は、処理回路110によって収集されたX線画像を受け付けて記憶する。また、メモリ107は、処理回路110によって読み出されて実行される各種機能に対応するプログラムを記憶する。なお、メモリ107は、X線診断装置10とネットワークを介して接続されたサーバ群(クラウド)により実現されることとしてもよい。
ディスプレイ108は、各種の情報を表示する。例えば、ディスプレイ108は、処理回路110による制御の下、操作者の指示を受け付けるためのGUIを表示する。例えば、ディスプレイ108は、液晶ディスプレイやCRTディスプレイである。なお、ディスプレイ108はデスクトップ型でもよいし、処理回路110と無線通信可能なタブレット端末等で構成されることにしても構わない。また、例えば、ディスプレイ108は、プロジェクター等でも構わない。例えば、ディスプレイ108は、スクリーンや壁、床、被検体Pの体表面等に対して投影を行なうプロジェクターであってもよい。一例を挙げると、ディスプレイ108は、プロジェクションマッピングによって、任意の平面や物体、空間等への投影を行うこともできる。
入力インタフェース109は、操作者からの各種の入力操作を受け付け、受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路110に出力する。例えば、入力インタフェース109は、マウスやキーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック、操作面へ触れることで入力操作を行うタッチパッド、表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチスクリーン、光学センサを用いた非接触入力回路、音声入力回路等により実現される。なお、入力インタフェース109は、処理回路110と無線通信可能なタブレット端末等で構成されることにしても構わない。また、入力インタフェース109は、モーションキャプチャによりユーザからの入力操作を受け付ける回路であっても構わない。一例を挙げると、入力インタフェース109は、トラッカーを介して取得した信号やユーザについて収集された画像を処理することにより、ユーザの体動や視線等を入力操作として受け付けることができる。また、入力インタフェース109は、マウスやキーボード等の物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、X線診断装置10とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を処理回路110へ出力する電気信号の処理回路も入力インタフェース109の例に含まれる。
処理回路110は、制御機能110a、収集機能110b、表示制御機能110c及び送信機能110dを実行することで、X線診断装置10全体の動作を制御する。なお、収集機能110bは、収集部の一例である。また、表示制御機能110cは、表示制御部の一例である。また、送信機能110dは、送信部の一例である。
例えば、処理回路110は、制御機能110aに対応するプログラムをメモリ107から読み出して実行することにより、入力インタフェース109を介してユーザから受け付けた各種の入力操作に基づいて、収集機能110b、表示制御機能110c、送信機能110d等の各種の機能を制御する。
また、例えば、処理回路110は、収集機能110bに対応するプログラムをメモリ107から読み出して実行することにより、2次元X線画像を収集する。例えば、収集機能110bは、寝台駆動装置の動作を制御することで、天板104を移動させたり、傾斜させたりする。また、収集機能110bは、X線高電圧装置101、第1の撮影系及び第2の撮影系を制御して、天板104に載置された被検体Pから2次元X線画像を収集する。
ここで、収集機能110bは、第1の撮影系及び第2の撮影系をそれぞれ制御し、撮影系ごとに2次元X線画像を収集することができる。例えば、収集機能110bは、X線高電圧装置101を制御し、第1のX線管102aに供給する電圧を調整することで、第1のX線管102aから被検体Pに対して照射されるX線量やオン/オフを制御する。また、収集機能110bは、第1のX線絞り器103aの動作を制御し、コリメータが有する絞り羽根の開度を調整することで、被検体Pに対して照射されるX線の照射範囲を制御する。また、収集機能110bは、第1のX線絞り器103aの動作を制御し、フィルタの位置を調整することで、X線の線量の分布を制御する。また、収集機能110bは、第1のアーム105aの動作を制御することで、第1のアーム105aの配置を制御する。即ち、収集機能110bは、第1のアーム105aの動作を制御することで、第1の撮影系における撮影位置及び撮影角度を制御する。また、収集機能110bは、第1のX線検出器106aから受信した検出信号に基づいて2次元X線画像を生成し、生成した2次元X線画像をメモリ107に格納する。
また、収集機能110bは、X線高電圧装置101を制御し、第2のX線管102bに供給する電圧を調整することで、第2のX線管102bから被検体Pに対して照射されるX線量やオン/オフを制御する。また、収集機能110bは、第2のX線絞り器103bの動作を制御し、コリメータが有する絞り羽根の開度を調整することで、被検体Pに対して照射されるX線の照射範囲を制御する。また、収集機能110bは、第2のX線絞り器103bの動作を制御し、フィルタの位置を調整することで、X線の線量の分布を制御する。また、収集機能110bは、第2のアーム105bの動作を制御することで、第2のアーム105bの配置を制御する。即ち、収集機能110bは、第2のアーム105bの動作を制御することで、第2の撮影系における撮影位置及び撮影角度を制御する。また、収集機能110bは、第2のX線検出器106bから受信した検出信号に基づいて2次元X線画像を生成し、生成した2次元X線画像をメモリ107に格納する。
なお、収集機能110bは、生成した2次元X線画像について各種画像処理を行なってもよい。例えば、収集機能110bは、第1の撮影系を用いて収集された2次元X線画像、及び、第2の撮影系を用いて収集された2次元X線画像のそれぞれに対して、画像処理フィルタによるノイズ低減処理や散乱線補正を実行する。
また、例えば、処理回路110は、メモリ107から表示制御機能110cに相当するプログラムを読み出して実行することにより、ディスプレイ108にGUIやX線画像を表示させる。また、例えば、処理回路110は、メモリ107から送信機能110dに相当するプログラムを読み出して実行することにより、収集機能110bにより収集された2次元X線画像を画像保管装置20又は医用画像処理装置30に対して送信する。
以上、X線診断装置10、画像保管装置20及び医用画像処理装置30を含んだ医用画像処理システム1について説明した。かかる構成の下、医用画像処理システム1における医用画像処理装置30は、処理回路34による処理によって、血管内に挿入された医用デバイスの位置の把握を容易にする。以下、処理回路34が行なう処理について詳細に説明する。
被検体Pに対する手技の開始に先立って、画像取得機能34bは、まず、被検体Pの血管を含む3次元血管画像を取得する。例えば、画像取得機能34bは、X線診断装置10において被検体Pに対する回転撮影を実行することにより収集された3次元血管画像を取得する。
例えば、収集機能110bは、第1の撮影系又は第2の撮影系を用いた回転撮影により、3次元血管画像を収集する。また、送信機能110dは、収集された3次元血管画像を画像保管装置20に送信して保管させる。そして、画像取得機能34bは、画像保管装置20において保管されている3次元血管画像を、ネットワークNWを介して取得する。或いは、画像取得機能34bは、画像保管装置20を介さず、X線診断装置10から3次元血管画像を直接取得することとしても構わない。
一例を挙げると、X線診断装置10における収集機能110bは、まず、第2のアーム105bを移動させることにより、第1の撮影系を用いて回転撮影を実行する際に第1の撮影系と第2の撮影系との接触(干渉)が生じない位置まで、第2の撮影系を退避させる。次に、収集機能110bは、第1のアーム105aを回転させることにより、第1のX線管102a及び第1のX線検出器106aを被検体Pの周囲で回転移動させながら、所定のフレームレートで第1のX線管102aからX線を照射させる。ここで、収集機能110bは、被検体Pの血管内に造影剤が注入されたタイミングで、被検体Pに対してX線を照射させる。なお、被検体Pに対する造影剤の注入は、図示しないインジェクタを制御することにより収集機能110bが行なってもよいし、医師等のユーザがマニュアルで行ってもよい。また、第1のX線検出器106aは、検出したX線量に対応した検出信号を出力し、収集機能110bは、第1のX線検出器106aから受信した検出信号に基づいて複数の投影データを生成する。以下、血管内に造影剤が注入された被検体Pから収集された投影データを、コントラスト画像とも記載する。即ち、収集機能110bは、回転撮影を実行することによって、所定のフレームレートで複数のコントラスト画像を収集する。そして、収集機能110bは、収集した複数のコントラスト画像から3次元X線画像を再構成する。かかる3次元X線画像は、被検体Pの血管を含む3次元血管画像の一例である。
別の例を挙げると、収集機能110bは、血管内に造影剤が注入されていない状態の被検体Pに対する回転撮影を実行して、所定のフレームレートで複数の投影データ(以下、マスク画像とも記載する)を収集する。また、収集機能110bは、血管内に造影剤が注入された状態の被検体Pに対する回転撮影を実行して、所定のフレームレートで複数のコントラスト画像を収集する。また、収集機能110bは、複数のマスク画像と複数のコントラスト画像との間で差分処理を行ない、複数の差分画像を生成する。そして、収集機能110bは、複数の差分画像から、3次元X線画像を再構成する。かかる3次元X線画像は、被検体Pの血管を造影するとともに骨や軟組織等の背景成分を除去した画像であり、3次元血管画像の一例である。
或いは、収集機能110bは、マスク画像から3次元X線画像を再構成し、コントラスト画像から3次元X線画像を再構成し、更に、再構成した2つの3次元X線画像を差分する。このように差分して生成された3次元X線画像は、被検体Pの血管を造影するとともに骨や軟組織等の背景成分を除去した画像であり、3次元血管画像の一例である。
なお、X線診断装置10において回転撮影を実行することにより3次元血管画像が収集される場合について説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、3次元血管画像は、X線診断装置10と異なるX線診断装置において回転撮影を実行することにより収集されてもよい。また、例えば、3次元血管画像は、X線診断装置10と別種のモダリティにより収集されてもよい。一例を挙げると、3次元血管画像は、X線CT(Computed Tomography)装置により収集されたX線CT画像であってもよいし、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置により収集されたMR画像であってもよい。
手技を行なう際、被検体Pは、X線診断装置10における天板104に載置される。また、被検体Pの血管内には、医用デバイスが挿入される。ここで、医用デバイスの例には、カテーテルやガイドワイヤ、その他手技の種類に応じて使用される各種の医用デバイスが含まれる。
例えば、心臓PCI(Percutaneous Coronary Intervention:経皮的冠動脈形成術)においては、カテーテルやガイドワイヤの他、血管の狭窄部を拡張するためのバルーンや、血管の狭窄部に留置されるステントが被検体Pの血管内に挿入される。即ち、心臓PCIが実行される場合、医用デバイスの例にはバルーンやステントが含まれる。また、例えば、僧帽弁閉鎖不全症の治療においては、カテーテルやガイドワイヤの他、僧帽弁の先端に留めるためのクリップ形状のデバイスが被検体Pの血管内に挿入される。即ち、僧帽弁閉鎖不全症の治療が実行される場合、医用デバイスの例には、かかるクリップ形状のデバイスが含まれる。
ユーザは、被検体Pの血管内に挿入した医用デバイスを操作して、手技を実行する。ここで、医用画像処理装置30は、手技をサポートするため、X線診断装置10によって被検体Pから収集された2次元X線画像をユーザに提示する。
以下、2次元X線画像を収集してから表示するまでの一連の処理について、図3を用いて説明する。図3は、第1の実施形態に係る処理の一例を示す図である。例えば、医用画像処理装置30における画像取得機能34bは、まず、図3に示す3次元血管画像I1を取得する。3次元血管画像I1は、例えば、X線診断装置10によって収集された3次元X線画像である。或いは、3次元血管画像I1は、X線診断装置10以外の他のX線診断装置によって収集された3次元X線画像であってもよいし、X線CT装置やMRI装置等の別種のモダリティにより収集された3次元画像であってもよい。
次に、X線診断装置10における収集機能110bは、天板104に載置された被検体Pから、X線画像I22を収集する。X線画像I22は、マスク画像であり、被検体Pの血管内に医用デバイスD1が挿入される前に収集された2次元X線画像である。また、送信機能110dは、X線画像I22を、医用画像処理装置30に対して送信する。
次に、X線診断装置10における収集機能110bは、天板104に載置された被検体Pから、X線画像I21を収集する。X線画像I21は、被検体Pの血管内に医用デバイスD1が挿入されている間に収集された2次元X線画像である。換言すると、X線画像I21は、被検体Pに対する手技を実行している間に収集された2次元X線画像である。図3に示すように、X線画像I21には、骨や軟組織等の背景成分の他、被検体Pの血管内に挿入された医用デバイスD1が描出されることとなる。また、送信機能110dは、X線画像I21を、医用画像処理装置30に対して送信する。
なお、図3においては一例として、X線画像I21及びX線画像I22がF(Frontal)側の画像であるものとして説明する。収集機能110bは、第1の撮影系を用いてX線画像I21及びX線画像I22を収集してもよいし、第2の撮影系を用いてX線画像I21及びX線画像I22を収集してもよい。
画像取得機能34bは、例えばネットワークNWを介して、X線診断装置10からX線画像I21及びX線画像I22を取得する。また、画像取得機能34bは、図3に示すように、X線画像I21とX線画像I22との差分処理を行なって、X線画像I23を生成する。X線画像I23は、DSA(Digital Subtraction Angiography)画像であり、医用デバイスD1以外の背景成分が除去される。
次に、表示制御機能34dは、3次元血管画像I1とX線画像I23とを重畳させてディスプレイ32に表示させる。例えば、表示制御機能34dは、まず、図3に示すように、3次元血管画像I1に対するレンダリング処理を行なってレンダリング画像I11を生成する。なお、レンダリング処理の種類については特に限定されるものではない。例えば、表示制御機能34dは、X線画像I21及びX線画像I22が収集された際のX線照射方向に沿って3次元血管画像I1に対するボリュームレンダリング処理を実行し、レンダリング画像I11を生成する。3次元血管画像I1は、被検体Pの血管B1が造影された画像であり、3次元血管画像I1に基づくレンダリング画像I11においても、血管B1が造影されることとなる。そして、表示制御機能34dは、レンダリング画像I11とX線画像I23とを重畳させた重畳画像I31をディスプレイ32に表示させる。
例えば、表示制御機能34dは、レンダリング画像I11の透過度を調整してX線画像I23に重畳させる。これにより、重畳画像I31を参照したユーザは、レンダリング画像I11における血管B1と、X線画像I23における医用デバイスD1との双方を視認することができる。
ここで、手技が実行されている間、収集機能110bは、図3のX線画像I21を繰り返し収集する。即ち、収集機能110bは、時系列の複数のX線画像I21を収集する。また、画像取得機能34bは、X線画像I21が収集されるごとにX線画像I23を順次生成し、表示制御機能34dは、X線画像I23が生成されるごとに重畳画像I31を順次生成してディスプレイ32に表示させる。これにより、ユーザは、血管B1に対する医用デバイスD1の現在の位置を確認しながら、手技を実行することができる。
しかしながら、手技の対象部位によっては血管B1が複雑に分布し、重畳画像I31を参照しても、医用デバイスD1がいずれの血管内に位置しているのか把握できない場合がある。例えば、図4に示すように、血管B1の分布によっては、複数の血管が互いに重なって重畳画像I31上に表示されてしまう場合がある。ここで、これら複数の血管に対して更に医用デバイスD1が重なる場合、医用デバイスD1が手前側の血管内に位置しているのか、奥側の血管内に位置しているのか把握できない場合がある。なお、図4は、第1の実施形態に係る血管B1及び医用デバイスD1の一例を示す図である。
そこで、医用画像処理装置30は、医用デバイスD1の3次元空間上の位置情報を取得し、位置情報に基づいて3次元血管画像I1の表示態様を決定し、決定した表示態様において3次元血管画像I1とX線画像I23とを重畳させることにより、血管内に挿入された医用デバイスD1の位置の把握を容易にする。以下、この点について図5を用いて説明する。図5は、第1の実施形態に係る処理の一例を示す図である。
例えば、画像取得機能34bは、まず、図5に示す3次元血管画像I1を取得する。また、画像取得機能34bは、マスク画像であるX線画像I22及びX線画像I25を取得する。また、画像取得機能34bは、血管内に医用デバイスD1が挿入された被検体Pから収集されたX線画像I21及びX線画像I24を取得する。また、送信機能110dは、X線画像I21、X線画像I22、X線画像I24及びX線画像I25を、医用画像処理装置30に対して送信する。
ここで、図5に示すように、X線画像I21及びX線画像I22がF側の画像であるのに対して、X線画像I24及びX線画像I25はL(Lateral)側の画像である。例えば、第1の撮影系を用いてX線画像I21及びX線画像I22を収集する場合、収集機能110bは、第2の撮影系を用いてX線画像I24及びX線画像I25を収集することができる。例えば、収集機能110bは、第1の撮影系及び第2の撮影系を用いて、X線画像I21及びX線画像I24を略同時に収集することができる。
画像取得機能34bは、X線画像I21及びX線画像I22を取得し、X線画像I21とX線画像I22との差分処理を行なって、X線画像I23を生成する。同様に、画像取得機能34bは、X線画像I24及びX線画像I25を取得し、X線画像I24とX線画像I25との差分処理を行なって、X線画像I26を生成する。X線画像I23及びX線画像I26はDSA画像であり、医用デバイスD1以外の背景成分が除去される。
次に、デバイス情報取得機能34cは、図5に示すように、X線画像I23及びX線画像I26に基づいて、3次元X線画像I27を生成する。例えば、デバイス情報取得機能34cは、X線画像I23及びX線画像I26のそれぞれに現れた医用デバイスD1の3次元空間における位置をエピポーララインに基づいて特定することにより、3次元X線画像I27を生成する。
なお、図5においてはX線画像I23及びX線画像I26に基づいて3次元X線画像I27を生成するものとして説明するが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、デバイス情報取得機能34cは、X線画像I21及びX線画像I24のそれぞれに現れた医用デバイスD1の3次元空間における位置をエピポーララインに基づいて特定することにより、3次元X線画像I27を生成することとしてもよい。即ち、デバイス情報取得機能34cは、医用デバイスD1が描出された2次元X線画像であって、撮影角度が異なる少なくとも2つの2次元X線画像に基づいて、3次元X線画像I27を生成することができる。
次に、デバイス情報取得機能34cは、3次元X線画像I27に基づいて、医用デバイスD1の3次元空間上の位置情報を取得する。即ち、デバイス情報取得機能34cは、バイプレーンのX線診断装置10を用いて収集された2方向のX線画像に基づいて、医用デバイスD1の3次元空間上の位置情報を取得する。例えば、デバイス情報取得機能34cは、3次元X線画像I27に基づいて、医用デバイスD1の先端A1を、医用デバイスD1の3次元空間上の位置情報として取得する。
一例を挙げると、デバイス情報取得機能34cは、医用デバイスD1の3次元空間上の位置情報として、医用デバイスD1の先端A1を、3次元血管画像I1において特定する。例えば、3次元血管画像I1に骨や軟組織等の背景成分が現れている場合、デバイス情報取得機能34cは、3次元血管画像I1から、複数の解剖学的特徴点を抽出する。また、デバイス情報取得機能34cは、X線画像I21及びX線画像I24のそれぞれから複数の解剖学的特徴点を抽出する。そして、デバイス情報取得機能34cは、3次元血管画像I1から抽出した複数の解剖学的特徴点と、X線画像I21及びX線画像I24から抽出した複数の解剖学的特徴点とを照らし合わせることにより、3次元血管画像I1の収集時における被検体Pと、天板104に載置された後の被検体Pとを位置合わせする。これにより、デバイス情報取得機能34cは、3次元X線画像I27と3次元血管画像I1とを位置合わせして、医用デバイスD1の先端A1を3次元血管画像I1において特定することができる。
なお、3次元血管画像I1がDSA画像であって背景成分が除去されている場合、デバイス情報取得機能34cは、3次元血管画像I1を生成するために収集された複数のコントラスト画像を取得し、取得した複数のコントラスト画像に基づく3次元画像から、複数の解剖学的特徴点を抽出することができる。また、X線画像I21及びX線画像I24から解剖学的特徴点を抽出するものとして説明したが、デバイス情報取得機能34cは、X線画像I22及びX線画像I25から複数の解剖学的特徴点を抽出することとしてもよい。
次に、表示制御機能34dは、医用デバイスD1の3次元空間上の位置情報に基づいて、3次元血管画像I1の表示態様を決定する。例えば、表示制御機能34dは、3次元血管画像I1のうち医用デバイスD1の先端A1が位置する部分の血管に、ユーザが視認しやすいよう色付けしたリングL1を配置する。以下、3次元血管画像I1に対してリングL1を配置した3次元画像を、3次元血管画像I12とも記載する。
一例を挙げると、表示制御機能34dは、3次元血管画像I1において、先端A1を通り且つ血管B1の断面積を最小化する平面を特定する。そして、表示制御機能34dは、特定した平面において血管B1の輪郭と重なるようにリングL1を配置して、3次元血管画像I12を生成する。即ち、表示制御機能34dは、3次元血管画像I1のうち医用デバイスD1の先端A1が位置する部分の血管にリングL1を表示させる。或いは、表示制御機能34dは、特定した平面において、血管B1の輪郭の外側又は内側にリングL1を配置して、3次元血管画像I12を生成する。即ち、表示制御機能34dは、3次元血管画像I1のうち医用デバイスD1の先端A1が位置する部分の周辺にリングL1を表示させる。
別の例を挙げると、表示制御機能34dは、医用デバイスD1のうち先端A1から所定の長さの部分を直線で近似し、近似した直線と直交し且つ先端A1を通る平面を特定する。そして、表示制御機能34dは、特定した平面において血管B1の輪郭と重なるようにリングL1を配置して、3次元血管画像I12を生成する。或いは、表示制御機能34dは、特定した平面において、血管B1の輪郭の外側又は内側にリングL1を配置して、3次元血管画像I12を生成する。即ち、表示制御機能34dは、医用デバイスD1の3次元空間上の位置情報に加えて医用デバイスD1の3次元空間上の角度情報を取得し、医用デバイスD1の位置情報及び角度情報に基づいてリングL1を配置する。
次に、表示制御機能34dは、図5に示すように、3次元血管画像I12に対するレンダリング処理を行なってレンダリング画像I13を生成する。ここで、3次元血管画像I12は、血管B1が造影されるとともに、リングL1が配置された画像である。従って、3次元血管画像I12に基づくレンダリング画像I13には、血管B1及びリングL1が描出されることとなる。そして、表示制御機能34dは、レンダリング画像I13とX線画像I23とを重畳させた重畳画像I32をディスプレイ32に表示させる。
ここで、手技が実行されている間、収集機能110bは、図5のX線画像I21及びX線画像I24を繰り返し収集する。即ち、収集機能110bは、時系列の複数のX線画像I21及びX線画像I24を収集する。また、画像取得機能34bは、X線画像I21及びX線画像I24が収集されるごとにX線画像I23及びX線画像I26を順次生成する。また、デバイス情報取得機能34cは、X線画像I23及びX線画像I26が生成されるごとに、医用デバイスD1の3次元空間上の位置情報を取得する。
また、表示制御機能34dは、X線画像I23及びX線画像I26が生成されるごとに、デバイス情報取得機能34cが取得した位置情報に基づいて、3次元血管画像I1の表示態様を決定する。例えば、表示制御機能34dは、X線画像I23及びX線画像I26が生成されるごとに、デバイス情報取得機能34cが取得した位置情報に基づいてリングL1を配置した3次元血管画像I12を生成し、3次元血管画像I12に基づくレンダリング画像I13を生成し、レンダリング画像I13とX線画像I23とを重畳させた重畳画像I32を生成して、ディスプレイ32に表示させる。そして、ユーザは、重畳画像I32を参照することにより、血管B1に対する医用デバイスD1の現在の位置を確認しながら手技を実行することができる。
ここで、重畳画像I32は、血管B1及び医用デバイスD1に加えて、リングL1を表示する画像となる。以下、重畳画像I32の表示例について図6A及び図6Bを用いて説明する。図6A及び図6Bは、第1の実施形態に係る表示例を示す図である。なお、図6Bは、図6Aに対して血管B1の形状を簡略化した図である。また、図6A及び図6Bにおいては、リングL1の一例として、リングL11を示す。
図6A及び図6Bに示すリングL11を参照することにより、ユーザは、医用デバイスD1の位置を容易に把握することができる。特に、図6Bに示すように、複数の血管が重なって重畳画像I32上に表示されてしまう場合であっても、リングL11を参照することにより、ユーザは、医用デバイスD1がいずれの血管内に位置しているのか容易に把握することができる。具体的には、図6Bに示す場合、リングL11が奥側の血管に対して配置されていることから、ユーザは、医用デバイスD1が奥側の血管内に位置していることを容易に把握することができる。
また、図6A及び図6Bに示すリングL11を参照することにより、ユーザは、医用デバイスD1の角度についても把握することができる。例えば、図6Aの場合、リングL11と医用デバイスD1とが交差していないことから、ユーザは、医用デバイスD1が奥側を向いていることを直感的に理解することができる。特に、医用デバイスD1の位置情報及び角度情報に基づいてリングL1を配置していた場合、表示制御機能34dは、角度情報に応じてリングL11の角度を変化させて表示させることができるため、ユーザは、医用デバイスD1の角度をより正確に把握することができる。
更に、リングL1を参照することにより、ユーザは、医用デバイスD1の奥行き方向の移動を把握することも可能となる。即ち、医用デバイスD1を操作して先端位置を移動させた際、上下方向及び左右方向の移動は比較的把握しやすいものの、奥行き方向の移動については把握しにくい場合が多い。これに対して、医用画像処理装置30は、リングL1を表示させることにより、奥行き方向の移動についても容易に把握することを可能とする。以下、重畳画像I32の表示例について図7A及び図7Bを用いて説明する。図7A及び図7Bは、第1の実施形態に係る表示例を示す図である。なお、図7Bは、図7Aに対して、血管B1の形状を簡略化した図である。
図7A及び図7Bは、ユーザが医用デバイスD1をより奥まで挿入する操作を行ない、医用デバイスD1の先端位置が先端A12から先端A13まで移動した場合を示す。ここで、表示制御機能34dは、医用デバイスD1の先端位置が先端A12である時にはリングL12を表示させ、医用デバイスD1の先端位置が先端A13である時にはリングL13を表示させる。なお、図7Aにおいては、先端位置が先端A12である時の医用デバイスD1及びリングL12を実線で示し、先端位置が先端A13である時の医用デバイスD1及びリングL13を破線で示す。また、図7Aにおいては、1つの画像上にリングL12及びリングL13を示すが、これらは順次表示されるものである。即ち、表示制御機能34dは、リングL12を表示させた後、リングL12に代えてリングL13を表示させる。
図7A及び図7Bに示されるようにリングL12及びリングL13が表示されることで、ユーザは、医用デバイスD1が手前側を向いているのか奥側を向いているのか把握することができる。例えば、図7Aの場合、リングL12が医用デバイスD1と交差するように表示されていることから、ユーザは、医用デバイスD1が手前側を向いていることを直感的に理解することができる。更に、医用デバイスD1の先端位置が先端A12から先端A13まで移動してリングL13が表示された際には、手前側を向いている医用デバイスD1が先端方向に移動していることから、ユーザは、医用デバイスD1が手前側に移動したことを直感的に理解することができる。
なお、図7A及び図7Bに示したように、リングL1と医用デバイスD1とは交差するケースがある。ここで、表示制御機能34dは、リングL1を医用デバイスD1より手前に表示してもよいし、医用デバイスD1をリングL1より手前に表示してもよい。リングL1を手前に表示する場合、リングL1と医用デバイスD1との位置関係を直感的に理解することができるため、ユーザは、医用デバイスD1の位置をより容易に把握することが可能となる。一方で、医用デバイスD1を手前に表示する場合、リングL1によって医用デバイスD1が隠れるということがないため、ユーザは、医用デバイスD1の全体形状を視認することが可能となる。表示制御機能34dは、リングL1及び医用デバイスD1のいずれを手前に表示するかについてユーザからの選択を受け付けてもよい。また、手技の間、表示制御機能34dは、ユーザからの要求に応じて、リングL1及び医用デバイスD1のいずれを手前に表示するか適宜切り替えることとしてもよい。
また、図6A及び図7AにおいてはリングL1の奥側の部分(血管B1の影となる部分)を示していないが、図6B及び図7Bに示したように、リングL1の奥側の部分についても表示することとしてもよい。例えば、表示制御機能34dは、リングL1の奥側の部分を、手前側の部分と異なる色や透過度で表示する。一例を挙げると、表示制御機能34dは、リングL1の奥側の部分を、手前側の部分よりも薄い色や高い透過度で表示する。
なお、手技において医用デバイスD1を移動させる際、血管B1の損傷を回避する観点からは、医用デバイスD1の先端A1が血管B1の中央に位置していることが好ましい。そこで、表示制御機能34dは、医用デバイスD1の先端A1が血管B1の中央に位置しているか、血管B1の壁面近傍に位置しているかに応じて、表示を変更してもよい。
例えば、図5に示したように、デバイス情報取得機能34cは、3次元X線画像I27に基づいて、医用デバイスD1の先端A1を、医用デバイスD1の3次元空間上の位置情報として取得する。また、表示制御機能34dは、デバイス情報取得機能34cが取得した位置情報に基づいて、3次元血管画像I1に対してリングL1を配置するとともに、医用デバイスD1の先端A1から血管壁面までの距離を算出する。例えば、表示制御機能34dは、先端A1を通る複数方向の直線のそれぞれに沿って血管壁面までの距離を算出し、血管壁面までの距離が最短となる方向を特定する。また、表示制御機能34dは、特定した方向における血管壁面までの距離を、医用デバイスD1の先端A1から血管壁面までの距離として特定する。
そして、表示制御機能34dは、医用デバイスD1の先端A1から血管壁面までの距離に応じてリングL1の色を変化させて表示させる。例えば、医用デバイスD1の先端A1から血管壁面までの距離が大きい場合は、図8の左図に示すように、医用デバイスD1の先端A1が血管B1の略中央に位置していると言える。一方で、医用デバイスD1の先端A1から血管壁面までの距離が小さい場合は、図8の中図に示すように、医用デバイスD1の先端A1が血管B1の壁面近傍に位置していると言える。そこで、表示制御機能34dは、図8の左図及び中図に示すように、医用デバイスD1の先端A1から血管壁面までの距離に応じて、リングL1の色を変化させて表示させる。なお、図8は、第1の実施形態に係る表示例を示す図である。
なお、図8の左図及び中図においてはリングL1全体の色を変化させるものとして説明したが、表示制御機能34dは、リングL1の色を局所的に変化させることとしてもよい。例えば、表示制御機能34dは、図8の右図に示すように、医用デバイスD1の先端A1から血管壁面までの距離に応じてリングL1の各位置の色を変化させて表示させる。これにより、ユーザは、医用デバイスD1と血管壁面との間の距離を広げるために、医用デバイスD1をいずれの方向に移動させればよいか理解することができる。なお、図8の右図では3色での表示を行なう場合を示すが、表示制御機能34dは、2色での表示を行なってもよいし、4色以上の多階調で表示を行なってもよい。また、先端A1から血管壁面までの距離を色で表現する場合について説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、表示制御機能34dは、先端A1から血管壁面までの距離を、リングL1の太さや大きさ、形状などを変えることで表現しても構わない。
また、これまで、3次元血管画像I1の表示態様の説明で、デバイスが1本の場合について説明してきたが、実際の手技では、デバイスが同時に複数本入ることがある。このような場合、表示制御機能34dは、デバイスの数に応じて、リングを複数個同時に表示しても構わない。もしくは、表示制御機能34dは、デバイスが複数本入っていても、リングを表示させるデバイスは動作中の注目デバイスのみに自動で絞ることとしても構わない。もしくは、表示制御機能34dは、リングを表示させるデバイスを、ユーザが任意に選択できるようにしても構わない。
また、これまで、3次元血管画像I1の表示態様としてリングL1の配置や色について説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、表示制御機能34dは、医用デバイスD1の3次元空間上の位置情報に基づいて、3次元血管画像I1のうち、医用デバイスD1の先端A1が位置する部分の血管に、リング以外の形状の図形を色付けして表示させてもよい。また、例えば、表示制御機能34dは、医用デバイスD1の3次元空間上の位置情報に基づいて、3次元血管画像I1のうち、医用デバイスD1の先端A1が位置する部分の血管に相当するボクセルの色を変化させてもよい。即ち、表示制御機能34dは、医用デバイスD1の先端が位置する部分の血管について、リングL1を用いて色付け表示してもよいし、リングL1を用いずに色付け表示してもよい。
或いは、表示制御機能34dは、医用デバイスD1の3次元空間上の位置情報に基づいて、3次元血管画像I1のうち、医用デバイスD1の先端A1が位置する部分の周辺に、リング以外の形状の図形を色付けして表示させてもよい。また、例えば、表示制御機能34dは、医用デバイスD1の3次元空間上の位置情報に基づいて、3次元血管画像I1のうち、医用デバイスD1の先端A1が位置する部分の周辺のボクセルの色を変化させてもよい。即ち、表示制御機能34dは、医用デバイスD1の先端が位置する部分の周辺について、リングL1を用いて色付け表示してもよいし、リングL1を用いずに色付け表示してもよい。
また、例えば、表示制御機能34dは、医用デバイスD1の3次元空間上の位置情報に基づいて、3次元血管画像I1のうち、医用デバイスD1が位置している血管と他の血管との間で透過度を変化させてもよい。例えば、図6Bに示した場合において、表示制御機能34dは、手前側の血管の透過度を大きくし、医用デバイスD1が位置している奥側の血管の透過度を小さくして表示させることとしてもよい。一例を挙げると、図6Bに示した場合において、表示制御機能34dは、手前側の血管を表示させないこととしてもよい。これにより、ユーザは、医用デバイスD1がいずれの血管内に位置しているのかより容易に把握することが可能となる。
例えば、表示制御機能34dは、医用デバイスD1が位置している血管と他の血管との間で透過度を変化させるとともに、医用デバイスD1の先端が位置する部分の血管又は医用デバイスD1の先端が位置する部分の周辺を色付け表示させる。或いは、表示制御機能34dは、医用デバイスD1の先端が位置する部分の血管又は医用デバイスD1の先端が位置する部分の周辺を色付け表示させることなく、医用デバイスD1が位置している血管と他の血管との間で透過度を変化させる。
次に、医用画像処理装置30による処理の手順の一例を、図9を用いて説明する。図9は、第1の実施形態に係る医用画像処理装置30の処理の一連の流れを説明するためのフローチャートである。ステップS101、ステップS102及びステップS106は、画像取得機能34bに対応する。ステップS103は、デバイス情報取得機能34cに対応する。ステップS104及びステップS105は、表示制御機能34dに対応する。
まず、処理回路34は、3次元血管画像I1を取得する(ステップS101)。次に、処理回路34は、2方向のX線画像を取得する(ステップS102)。例えば、処理回路34は、図5に示したX線画像I21とX線画像I24とを取得する。次に、処理回路34は、医用デバイスD1の位置情報を取得する(ステップS103)。例えば、処理回路34は、図5に示した3次元X線画像I27に基づいて、医用デバイスD1の位置情報を取得する。
次に、処理回路34は、医用デバイスD1の位置情報に基づいて、3次元血管画像I1の表示態様を決定する(ステップS104)。例えば、処理回路34は、医用デバイスD1の位置情報に基づいて、3次元血管画像I1のうち医用デバイスD1の先端A1が位置する部分の血管又は先端A1が位置する部分の周辺に、色付けしたリングL1を表示させる。
次に、処理回路34は、決定した表示態様において、被検体Pから収集された2次元X線画像と、3次元血管画像I1とを重畳表示させる(ステップS105)。例えば、処理回路34は、図5に示したように、F側のDSA画像であるX線画像I23と、3次元血管画像I1に基づいて生成したレンダリング画像I13とを重畳表示させる。
ここで、処理回路34は、次の画像があるか否かを判定し(ステップS106)、次の画像がある場合には、再度ステップS102に移行して2方向のX線画像を取得する(ステップS106肯定)。一方で、次の画像が無い場合には(ステップS106否定)、処理回路34は、処理を終了する。
上述したように、第1の実施形態によれば、画像取得機能34bは、血管内に医用デバイスD1が挿入された被検体Pから収集された2次元X線画像と、被検体Pの血管を含む3次元血管画像I1とを取得する。また、デバイス情報取得機能34cは、医用デバイスD1の3次元空間上の位置情報を取得する。また、表示制御機能34dは、医用デバイスD1の位置情報に基づいて、3次元血管画像I1の表示態様を決定し、決定した表示態様において3次元血管画像I1と2次元X線画像とを重畳させて表示させる。従って、第1の実施形態に係る医用画像処理装置30は、血管内に挿入された医用デバイスD1の位置の把握を容易にすることができる。
また、上述したように、第1の実施形態によれば、画像取得機能34bは、時系列の複数の2次元X線画像を取得する。また、デバイス情報取得機能34cは、時系列の複数の2次元X線画像のそれぞれについて、医用デバイスD1の3次元空間上の位置情報を取得する。また、表示制御機能34dは、時系列の複数の2次元X線画像のそれぞれに対して表示態様を決定する。更に、表示制御機能34dは、時系列の複数の2次元X線画像を順次表示させるとともに、2次元X線画像のそれぞれに対して決定した表示態様において、3次元血管画像I1と2次元X線画像とを重畳させて表示させる。従って、第1の実施形態に係る医用画像処理装置30は、血管内に挿入された医用デバイスD1の現在の位置の把握を容易にすることができる。更に、医用画像処理装置30は、ユーザにより操作された医用デバイスD1について、奥側に移動したか手前側に移動したかを容易に把握することを可能とする。
なお、図5においては、重畳画像I32の表示を行なうものとして説明したが、表示制御機能34dは、更に、各種の画像を表示させることとしてもよい。例えば、表示制御機能34dは、重畳画像I32に加えて、L側のDSA画像であるX線画像I26をディスプレイ32に表示させてもよい。同様に、表示制御機能34dは、X線画像I21やX線画像I23、X線画像I24等の画像を更に表示させることとしてもよい。
ここで、図5に示した通り重畳画像I32の表示を行なう場合、F側と比較してL側のX線画像に対する注目度は低い場合が多い。即ち、X線画像I24やX線画像I26といったL側のX線画像は、医用デバイスD1の3次元空間上の位置情報を取得する際には使用されるものの、ユーザが注目する対象とはならない場合が多い。そこで、医用画像処理装置30は、L側のX線画像の収集に関する被ばく量を低減するように制御を行なってもよい。
例えば、送信機能34eは、デバイス情報取得機能34cが取得した医用デバイスD1の3次元空間上の位置情報に基づいて、L側のX線照射条件をX線診断装置10に対して送信する。一例を挙げると、送信機能34eは、医用デバイスD1がX線照射範囲に含まれることを条件としつつX線照射範囲を最小化するように、第2のX線絞り器103bにおけるコリメータの開口度を設定する。そして、送信機能34eは、設定した開口度をX線診断装置10に対して送信する。また、一例を挙げると、送信機能34eは、医用デバイスD1をX線画像上で識別できることを条件としつつX線量を最小化するように、第2のX線管102bにおける管電流値を設定する。また、送信機能34eは、第2のX線管102bにおける管電流導通時間(パルス幅)を設定することとしてもよい。即ち、PWM(Pulse Width Modulation)制御によって単位時間当たりのX線量を制御できるため、送信機能34eは、医用デバイスD1をX線画像上で識別できることを条件としつつX線量を最小化するように、第2のX線管102bにおける管電流導通時間を設定することとしてもよい。そして、送信機能34eは、設定した管電流値や管電流導通時間をX線診断装置10に対して送信する。
また、図5においては、3次元血管画像I1と、F側のDSA画像であるX線画像I23とを重畳させた重畳画像I32の表示を行なう場合について説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、表示制御機能34dは、X線画像I23に代えて、3次元血管画像I1と、L側のDSA画像であるX線画像I26との重畳画像を表示させることとしても構わない。この場合、送信機能34eは、デバイス情報取得機能34cが取得した医用デバイスD1の3次元空間上の位置情報に基づいて、F側のX線照射条件をX線診断装置10に対して送信することとしてもよい。或いは、表示制御機能34dは、3次元血管画像I1とX線画像I23との重畳画像I32、及び、3次元血管画像I1とX線画像I26との重畳画像の双方を表示させることとしても構わない。
また、図5においては、3次元血管画像I1と、DSA画像とを重畳させて表示させる場合について説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、表示制御機能34dは、3次元血管画像I1と、X線画像I21又はX線画像I24とを重畳させて表示させることとしても構わない。この場合、ディスプレイ32に表示される重畳画像には、医用デバイスD1や血管B1、リングL1に加えて、骨や軟組織等の背景成分も描出されることとなる。また、この場合、マスク画像であるX線画像I22及びX線画像I25については収集しないこととしてもよい。
(第2の実施形態)
さて、これまで第1の実施形態について説明したが、上述した実施形態以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。
例えば、上述した実施形態では、バイプレーンのX線診断装置10を用いて収集された2方向のX線画像に基づいて医用デバイスD1の3次元空間上の位置情報を取得する場合について説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、デバイス情報取得機能34cは、医用デバイスD1に設けられた位置センサを用いて、医用デバイスD1の3次元空間上の位置情報を取得することとしても構わない。また、デバイス情報取得機能34cは、磁気センサをはじめとした各種センサにて、デバイス先端位置を血管外側(体外含む)から取得しても構わない。
また、上述した実施形態では、医用デバイスD1の3次元空間上の位置情報に基づいて、3次元血管画像I1の表示態様を決定する場合について説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、表示制御機能34dは、医用デバイスD1の3次元空間上の位置情報に基づいて、2次元X線画像の表示態様を決定することとしてもよい。以下、この点について図10を用いて説明する。図10は、第2の実施形態に係る処理の一例を示す図である。
例えば、X線診断装置10における収集機能110bは、マスク画像であるX線画像I22及びX線画像I25を収集する。また、収集機能110bは、血管内に医用デバイスD1が挿入された被検体Pから、造影剤が注入されたタイミングで、X線画像I21’及びX線画像I24’を収集する。X線画像I21’は、X線画像I21と同様に医用デバイスD1を被検体Pの血管内に挿入した状態で収集されたF側のX線画像であり、血管B1が更に描出される点で相違する。また、X線画像I24’は、X線画像I24と同様に医用デバイスD1を被検体Pの血管内に挿入した状態で収集されたL側のX線画像であり、血管B1が更に描出される点で相違する。また、画像取得機能34bは、ネットワークNWを介して、X線画像I21’、X線画像I22、X線画像I24’及びX線画像I25を取得する。
次に、画像取得機能34bは、X線画像I21’とX線画像I22とを差分してX線画像I23’を生成する。また、画像取得機能34bは、X線画像I24’とX線画像I25とを差分してX線画像I26’を生成する。X線画像I23’及びX線画像I26’はDSA画像であり、医用デバイスD1及び血管B1以外の背景成分が除去される。
次に、デバイス情報取得機能34cは、図5に示すように、X線画像I23’及びX線画像I26’に基づいて、3次元X線画像I27’を生成する。例えば、デバイス情報取得機能34cは、X線画像I23’及びX線画像I26’のそれぞれに現れた医用デバイスD1及び血管B1の3次元空間における位置をエピポーララインに基づいて特定することにより、3次元X線画像I27’を生成する。
次に、デバイス情報取得機能34cは、3次元X線画像I27’に基づいて、医用デバイスD1の3次元空間上の位置情報を取得する。例えば、デバイス情報取得機能34cは、3次元X線画像I27’に基づいて、医用デバイスD1の先端A1を、医用デバイスD1の3次元空間上の位置情報として取得する。
次に、表示制御機能34dは、医用デバイスD1の3次元空間上の位置情報に基づいて、2次元X線画像の表示態様を決定する。なお、図10においては一例として、X線画像I23’の表示態様を決定する場合について説明する。例えば、表示制御機能34dは、医用デバイスD1の3次元空間上の位置情報に基づいて、X線画像I23’に対して、医用デバイスD1の奥行き方向の位置に関する情報を付加する。
一例を挙げると、表示制御機能34dは、まず、X線画像I23’において、医用デバイスD1の先端A1が位置する部分の血管を特定する。なお、3次元X線画像I27’はX線画像I23’に基づいて生成されるものであるため、3次元X線画像I27’に基づいて先端A1の位置を特定した場合、X線画像I23’における先端A1の位置は既知である。
また、X線画像I23’において複数の血管が重なっている場合、表示制御機能34dは、例えば血管Bの形状情報に基づいて、医用デバイスD1の先端A1が位置する部分の血管を特定することができる。以下、この点について、X線画像I23’において血管B11と血管B12とが重なっている場合について説明する。
例えば、表示制御機能34dは、まず、3次元X線画像I27’から、医用デバイスD1が位置している血管の形状情報を取得する。一例を挙げると、表示制御機能34dは、3次元X線画像I27’において医用デバイスD1が位置している血管以外の他の血管を背景色により置換し、置換後の3次元X線画像I27’に対するボリュームレンダリング処理を実行して、ボリュームレンダリング画像を生成する。別の例を挙げると、表示制御機能34dは、3次元X線画像I27’から、医用デバイスD1が位置している血管を含んだMPR(Multi Planar Reconstruction)画像を生成する。そして、表示制御機能34dは、ボリュームレンダリング画像やMPR画像等のレンダリング画像に基づいて、医用デバイスD1が位置している血管の形状情報を取得する。例えば、表示制御機能34dは、レンダリング画像上の血管の芯線の形状や、芯線上の各位置における血管の太さといった情報を、血管の形状情報として取得する。
次に、表示制御機能34dは、3次元X線画像I27’から取得した血管の形状情報に基づいて、X線画像I23’における血管B11及び血管B12のいずれの血管内に医用デバイスD1が位置しているのか特定する。例えば、表示制御機能34dは、血管B11及び血管B12のそれぞれについて血管の芯線の形状や芯線上の各位置における血管の太さ等の形状情報を算出し、3次元X線画像I27’から取得した血管の形状情報と比較することによって、血管B11及び血管B12のいずれの血管内に医用デバイスD1が位置しているのか特定する。
そして、表示制御機能34dは、X線画像I23’のうち医用デバイスD1の先端A1が位置する部分の血管に対して、医用デバイスの奥行き方向の位置に関する情報を付加する。例えば、表示制御機能34dは、図10に示すように、X線画像I23’のうち医用デバイスD1の先端A1が位置する部分の血管にリングL2を付加したX線画像I33を、ディスプレイ108に表示させる。なお、X線画像I23’において血管B11と血管B12とが重なっており、血管B11内に医用デバイスD1が位置していることを特定した場合、表示制御機能34dは、血管B11の方にのみリングL2を付加する。
なお、血管B1との区別が可能であれば、リングL2の色は特に限定されるものではない。一例を挙げると、表示制御機能34dは、リングL2を所定の色で色付けして表示させてもよい。
別の例を挙げると、表示制御機能34dは、医用デバイスD1の先端A1についてX線画像I33の奥行き方向の位置を取得し、取得した奥行き方向の位置に応じて、リングL2の色を変化させてもよい。例えば、表示制御機能34dは、リングL2を青色と赤色との混合色とし、医用デバイスD1の先端A1が奥に位置しているほど青色の比率を高め、先端A1が手前に位置しているほど赤色の比率を高めるように、リングL2の色を変化させる。なお、表示制御機能34dは、医用デバイスD1の先端A1のX線画像I33の奥行き方向の位置を、例えば3次元X線画像I27’に基づいて取得することができる。これにより、ユーザは、医用デバイスD1について奥行き方向の位置を把握するとともに、医用デバイスD1を操作した際、奥側に移動しているのか手前側に移動しているのかを把握することも可能となる。
その他、リングL2については、上述したリングL1と同様の各種の色付けを行なうことができる。例えば、表示制御機能34dは、医用デバイスD1の先端A1から血管壁面までの距離を算出し、算出した距離に応じてリングL2の色を変化させてもよい。また、表示制御機能34dは、医用デバイスD1の3次元空間上の角度情報に基づいて、リングL2の角度を変化させて表示させてもよい。
なお、図10においては、医用デバイスD1の奥行き方向の位置に関する情報の例としてリングL2を示したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、表示制御機能110cは、リングL2に代えて、リング以外の形状の図形を表示させてもよい。また、表示制御機能110cは、リング等の図形を表示させることに代えて、X線画像I23’における一部ピクセルの値を変化させることとしてもよい。
また、図10においては、医用デバイスD1の奥行き方向の位置に関する情報をX線画像I23’に付加したX線画像I33を表示するものとして説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、表示制御機能110cは、医用デバイスD1の奥行き方向の位置に関する情報をX線画像I26’に付加したX線画像を表示させることとしてもよい。或いは、表示制御機能110cは、医用デバイスD1の奥行き方向の位置に関する情報をX線画像I23’に付加したX線画像I33と、医用デバイスD1の奥行き方向の位置に関する情報をX線画像I26’に付加したX線画像との双方を表示させることとしてもよい。
また、上述した実施形態では、医用画像処理装置30において各種のX線画像を表示するものとして説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、X線画像の表示は、X線診断装置10において行なわれてもよい。例えば、医用画像処理装置30における送信機能110dは、図5に示した重畳画像I32や図10に示したX線画像I33を、X線診断装置10に対して送信する。そして、X線診断装置10における表示制御機能110cは、重畳画像I32やX線画像I33等のX線画像を、ディスプレイ108に表示させる。
或いは、重畳画像I32やX線画像I33等の生成処理は、X線診断装置10において行なわれることとしてもよい。以下、この点について図11を用いて説明する。図11は、第2の実施形態に係るX線診断装置10の構成の一例を示すブロック図である。図11に示すX線診断装置10は、図2に示したX線診断装置10と同様の構成であり、処理回路110が画像取得機能110e及びデバイス情報取得機能110fを更に実行する点で相違する。画像取得機能110eは、画像取得機能34bと同様の機能である。また、デバイス情報取得機能110fは、デバイス情報取得機能34cと同様の機能である。更に、図11に示す表示制御機能110cは、表示制御機能34dと同様の処理を実行する。なお、画像取得機能110eは、画像取得部の一例である。また、デバイス情報取得機能110fは、デバイス情報取得部の一例である。
例えば、まず、画像取得機能110eは、図5に示した3次元血管画像I1を取得する。例えば、画像取得機能110eは、3次元血管画像I1として、X線診断装置10と異なるX線診断装置により収集された3次元X線画像や、CT画像、MR画像等を、ネットワークNWを介して取得する。或いは、収集機能110bは、被検体Pに対する回転撮影を実行し、3次元血管画像I1として3次元X線画像を収集する。
次に、収集機能110bは、図5に示したX線画像I22及びX線画像I25を収集する。また、収集機能110bは、X線画像I21及びX線画像I24を収集する。また、画像取得機能110eは、X線画像I21及びX線画像I22に基づくX線画像I23、及び、X線画像I24及びX線画像I25に基づくX線画像I26を生成する。また、デバイス情報取得機能110fは、X線画像I23及びX線画像I26に基づいて3次元X線画像I27を生成し、3次元X線画像I27に基づいて医用デバイスD1の3次元空間上の位置情報を取得する。
次に、表示制御機能110cは、医用デバイスD1の3次元空間上の位置情報に基づいて、3次元血管画像I1の表示態様を決定する。例えば、表示制御機能110cは、図5に示したように、3次元血管画像I1のうち医用デバイスD1の先端A1が位置する部分の血管にリングL1を付加した3次元血管画像I12を生成し、3次元血管画像I12に基づくレンダリング画像I13を生成する。そして、表示制御機能110cは、レンダリング画像I13とX線画像I23とを重畳させた重畳画像I32を、ディスプレイ108に表示させる。
別の例を挙げると、収集機能110bは、図10に示したX線画像I22及びX線画像I25を収集する。また、収集機能110bは、X線画像I21’及びX線画像I24’を収集する。また、画像取得機能110eは、X線画像I21’及びX線画像I22に基づくX線画像I23’、及び、X線画像I24’及びX線画像I25に基づくX線画像I26’を生成する。また、デバイス情報取得機能110fは、X線画像I23’及びX線画像I26’に基づいて3次元X線画像I27’を生成し、3次元X線画像I27’に基づいて医用デバイスD1の3次元空間上の位置情報を取得する。
次に、表示制御機能110cは、医用デバイスD1の3次元空間上の位置情報に基づいて、2次元X線画像に対して、医用デバイスD1の奥行き方向の位置に関する情報を付加する。例えば、表示制御機能110cは、図10に示したように、X線画像I23’のうち医用デバイスD1の先端A1が位置する部分の血管に色付けしたリングL2を付加したX線画像I33を生成する。そして、表示制御機能110cは、X線画像I33を、ディスプレイ108に表示させる。
また、上述した実施形態では、X線診断装置10がバイプレーンのX線診断装置であるものとして説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、X線診断装置10がシングルプレーンのX線診断装置である場合、図5に示したX線画像I21及びX線画像I24を略同時に収集することはできず、従って3次元X線画像I27を生成することはできない。かかる場合、デバイス情報取得機能34c又はデバイス情報取得機能110fは、例えば医用デバイスD1に設けられた位置センサを用いて、医用デバイスD1の3次元空間上の位置情報を取得することができる。また、デバイス情報取得機能34c又はデバイス情報取得機能110fは、磁気センサ等のセンサによって、医用デバイスD1の3次元空間上の位置情報を血管外側(体外含む)から取得することもできる。
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサが例えばCPUである場合、プロセッサは記憶回路に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。一方、プロセッサが例えばASICである場合、記憶回路にプログラムを保存する代わりに、当該機能がプロセッサの回路内に論理回路として直接組み込まれる。なお、実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、各図における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
上述した実施形態に係る各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。即ち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。更に、各装置にて行われる各処理機能は、その全部又は任意の一部が、CPU及び当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現されうる。
また、上述した実施形態で説明した医用画像処理方法は、予め用意された医用画像処理プログラムをパーソナルコンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することによって実現することができる。この医用画像処理プログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布することができる。また、この医用画像処理プログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、MO、DVD等のコンピュータで読み取り可能な非一過性の記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、血管内に挿入された医用デバイスの位置の把握を容易にすることができる。
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、実施形態同士の組み合わせを行なうことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。