JP2021132924A - 眼科用レーザ治療装置 - Google Patents

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太知 大嶽
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宗之 足立
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Abstract

【課題】スポット内の組織に与えるエネルギーの分布をより適切な分布とすることが可能な眼科用レーザ治療装置を提供する。【解決手段】眼科用レーザ治療装置1は、患者眼の組織に治療レーザ光を照射する。眼科用レーザ治療装置1は、治療レーザ光源11、照射光学系20、および光渦発生部28を備える。治療レーザ光源11は、可視光である治療レーザ光を出射する。照射光学系20は、治療レーザ光源11によって出射された治療レーザ光を、患者眼に照射する。光渦発生部28は、治療レーザ光の光路上に設けられている。光渦発生部28は、入射する治療レーザ光の等位相面を螺旋状に変化させる。つまり、光渦発生部28は光渦を発生させる。【選択図】図1

Description

本開示は、患者眼の組織(例えば、眼底または線維柱体等)に治療レーザ光を照射することで組織を治療する眼科用レーザ治療装置に関する。
治療レーザ光を患者眼の組織にスポット状に照射して組織を治療する場合に、治療レーザ光のスポット内の各地点において、エネルギー(本実施形態では、典型的には熱。以降では、組織に与えられるエネルギーを「熱」として説明する場合がある)は周囲に拡散する。パワー密度が均一なトップハットビームを治療レーザ光として使用する場合、スポット内の中心部には周辺部から拡散された熱も集中するので、スポット内の周辺部に加えられる熱よりも、中心部に加えられる熱の方が高くなり易い。その結果、スポット内の組織に与える熱の分布を適切な分布とすることが困難となる。
特許文献1に記載の眼科用レーザ治療装置は、複数の回折光学素子を選択的に光路上に切り替え配置する切り替え手段を備える。回折光学素子によって、レーザ光のビームプロファイルが、周辺に比べて中央の強度が低いビームプロファイルに成形される。これにより、ビーム特性の向上を図っている。
特開2008−245833号公報
特許文献1に記載の回折光学素子を使用する方法では、周辺に比べて中央の強度が低いビームプロファイルを成形することが試みられている。しかし、実際には特許文献1に記載の方法でも、スポット内の組織に与える熱の分布が適切な分布となり難いという課題を十分に解決するまでには至っていない。
本開示の典型的な目的は、スポット内の組織に与えるエネルギーの分布をより適切な分布とすることが可能な眼科用レーザ治療装置を提供することである。
本開示における典型的な実施形態が提供する眼科用レーザ治療装置は、患者眼の組織に治療レーザ光を照射する眼科用レーザ治療装置であって、可視光である治療レーザ光を出射する治療レーザ光源と、前記治療レーザ光源によって出射された治療レーザ光を前記患者眼に照射する照射光学系と、を備え、治療レーザ光の光路上に、治療レーザ光の等位相面を螺旋状に変化させる光渦発生部を備える。
本開示に係る眼科用レーザ治療装置によると、スポット内の組織に与えるエネルギーの分布がより適切な分布となる。
眼科用レーザ治療装置1の概略構成を示す図である。 光渦発生部28として使用される螺旋位相板28Aの斜視図である。 光渦発生部を使用せずに治療レーザ光を照射した豚眼の眼底の断層画像の一例である。 図3の実験条件における治療レーザ光のビームプロファイルを示す図である。 光渦発生部を使用して治療レーザ光を照射した豚眼の眼底の断層画像の一例である。 図5の実験条件における治療レーザ光のビームプロファイルを示す図である。
<概要>
本開示で例示する眼科用レーザ治療装置は、治療レーザ光源、照射光学系、および光渦発生部を備える。治療レーザ光源は、可視光である治療レーザ光を出射する。照射光学系は、治療レーザ光源によって出射された治療レーザ光を患者眼に照射する。光渦発生部は、治療レーザ光の光路上に設けられており、治療レーザ光の等位相面を螺旋状に変化させる(つまり、光渦を発生させる)。
光渦とは、螺旋状の等位相面、およびトポロジカルチャージ(軌道角運動量)を持つ光波である。螺旋状等位相面によりビーム断面内位相分布が方位角に依存して変化するので、ビーム断面の中心で位相が打ち消し合い、光の強度が他の部位に比べて低くなる(位相が打ち消し合うことにより生じる暗点を位相特異点という)。従って、ビーム断面の治療レーザ光の強度分布はドーナツ型となる。光渦発生部を経た治療レーザ光(光渦レーザ)を組織に照射すると、スポット内の周辺部から拡散されたエネルギー(本実施形態では、典型的には熱)が集まるスポット中心部では、照射される治療レーザ光の強度が低いので、スポット内の組織に与えられる熱の分布が均一になり易い。従って、より適切に組織が治療される。
眼科用レーザ治療装置は、治療レーザ光源によって出射された治療レーザ光を平行光とするコリメート部をさらに備えてもよい。光渦発生部は、治療レーザ光の光路のうち、コリメート部によって治療レーザ光が平行光とされる光路に設けられていてもよい。この場合には、治療レーザ光が集光または発散される光路に光渦発生部を設ける場合に比べて、より容易に光渦発生部を光路上に設置することができる。
ただし、治療レーザ光が集光または発散される光路に光渦発生部を設ける場合でも、治療レーザ光のビームプロファイルは適切に制御される。
照射光学系は、治療レーザ光を走査し、患者眼の組織上で治療レーザ光が照射される位置を切り替える走査部を備えてもよい。光渦発生部は、治療レーザ光の光路のうち、走査部よりも治療レーザ光源側(上流側)に配置されてもよい。この場合、光渦発生部の位置を固定した状態で、治療レーザ光(光渦レーザ)が走査部によって適切に走査される。
光渦発生部は、入射波面の位相を段階的にシフトし螺旋状に変化させる素子である螺旋位相板であってもよい。この場合、螺旋位相板を治療レーザ光の光路に配置するだけで、光渦レーザを容易に発生させることができる。
ただし、光渦発生部は螺旋位相板に限定されない。例えば、モードコンバータとして一対の円筒レンズを使用し、位相差を一軸方向にのみ与えることで、光渦を発生させてもよい。この場合、適切な位相差が与えられるように、一対の円筒レンズを対称に配置する。また、ホログラム回折格子を用いて光渦を発生させてもよい。さらに、ビーム進行方向に対して垂直な面内において、軸対称な位置で位相を打ち消し位相特異点を形成する軸対称偏光素子によって、光渦を発生させてもよい。
眼科用レーザ治療装置は、治療レーザ光源から出射された治療レーザ光を照射光学系に導光する光ファイバをさらに備えてもよい。治療レーザ光源はシングルモードレーザ光源であってもよい。また、光ファイバはシングルモードファイバであってもよい。この場合には、マルチモードファイバを使用する場合とは異なり、モード間の干渉に起因する治療レーザ光のスペックルの問題が生じにくい。よって、より適切に治療が実行される。
ただし、治療レーザ光源がマルチモードレーザ光源であってもよい。また、光ファイバがマルチモードファイバであってもよい。この場合でも、光渦発生部を使用することで、スポット内の組織に与えられる熱の分布は適切な分布となり易い。
治療レーザ光源が出射する治療レーザ光の出力は、50〜1500mWであってもよい。また、治療レーザ光のパルス幅は0.001〜3secであってもよい。この場合、患者眼の眼底の光凝固治療が、光渦発生部によって発生する光渦レーザによってより適切に実行される。
<実施形態>
以下、本発明の典型的な実施形態の1つについて、図面を参照して説明する。まず、図1を参照して、本実施形態の眼科用レーザ治療装置1の概略構成について説明する。本実施形態の眼科用レーザ治療装置1は、光源ユニット10、照射光学系20、観察光学系38、照明光学系39、制御ユニット40、および操作部50を備える。
(光源ユニット)
光源ユニット10は、治療レーザ光源11、エイミング光源12、ビームスプリッタ13、集光レンズ14、第1シャッタ15、および第2シャッタ16を備える。
治療レーザ光源11は、患者眼Eの組織を治療するための治療レーザ光を出射する。エイミング光源12は、治療スポットの位置(つまり、治療レーザ光が照射される位置)を示すエイミング光を出射する。本実施形態では、可視のレーザ光を出射する光源が、エイミング光源12として用いられる。術者は、治療する部位にエイミング光の照準を合わせた状態で、治療レーザ光の照射指示を眼科用レーザ治療装置1に入力することで、患者眼Eの所望の部位に治療レーザ光を照射させる。
ビームスプリッタ13は、治療レーザ光とエイミング光を合波する。本実施形態のビームスプリッタ13は、治療レーザ光の大部分を反射し、且つエイミング光の一部を透過することで、治療レーザ光とエイミング光を合波する。集光レンズ14は、ビームスプリッタ13から入射するレーザ光を集光し、光ファイバ19の入射端面に入射させる。
光ファイバ19は、光源ユニット10から出射されたレーザ光(治療レーザ光源11から出射された治療レーザ光、および、エイミング光源12から出射されたエイミング光)を、照射光学系20に導光する。なお、眼科用レーザ治療装置1は、治療レーザ光とエイミング光を合波せずに、別々の光路から患者眼Eに照射してもよい。
第1シャッタ15および第2シャッタ16は、異常時に光路を遮断することで、患者および術者等に対する安全性を高める。第1シャッタ15は、治療レーザ光源11とビームスプリッタ13の間の光路に設けられている。第2シャッタ16は、治療レーザ光およびエイミング光が共に導光される光路に設けられている。
本実施形態の治療レーザ光源11は、可視光である治療レーザ光を出射する。一例として、本実施形態の治療レーザ光源11は、中心波長がイエローの波長(577nm±20nm)の治療レーザ光を出射する。しかし、治療レーザ光源が出射する可視レーザ光の波長を変更することもできる。例えば、治療レーザ光源は、中心波長がグリーンの波長(532nm±20nm)の治療レーザ光を出射してもよいし、中心波長がレッドの波長(647nm±20nm)の治療レーザ光を出射してもよい。また、出射する可視レーザ光の波長が互いに異なる複数の治療レーザ光源が使用されてもよい。
また、本実施形態の治療レーザ光源11は、患者眼Eの組織(本実施形態では眼底組織)に凝固斑を生じさせるエネルギーの治療レーザ光(光凝固治療用のレーザ光)を出射する。その結果、治療レーザ光による熱エネルギーが組織に加えられることで、組織が治療される。
ただし、治療レーザ光源11は、組織に凝固斑を生じさせるエネルギーよりも低いエネルギーを各スポットに加える治療レーザ光(低侵襲治療用のレーザ光)を出射してもよい。また、治療レーザ光源11は、光凝固治療用のレーザ光と、低侵襲治療用のレーザ光を共に出射してもよい。例えば、治療レーザ光源11は、治療レーザ光の出力、および、各スポットに治療レーザ光を照射する照射時間の少なくともいずれかを、光凝固治療用のレーザ光を出射する場合に比べて小さくすることで、低侵襲治療用のレーザ光を出射してもよい。また、眼科用レーザ治療装置1は、出力および照射時間(パルス幅)の少なくともいずれかが小さい治療レーザ光を、複数のスポットの各々に断続的に複数回照射することで、低侵襲治療を実行してもよい。
本実施形態の治療レーザ光源11は、マルチモードのレーザ光を出射することが可能なマルチモードレーザ光源(例えば、半導体レーザ光源またはファイバレーザ光源等)である。また、本実施形態の光ファイバ19は、マルチモードファイバである。なお、マルチモードレーザ光源とマルチモードファイバの組み合わせの代わりに、シングルモードレーザ光源(例えば、半導体レーザ光源またはファイバレーザ光源等)とシングルモードファイバの組み合わせを用いてもよい。この場合には、マルチモードファイバを使用する場合に比べて、モード間の干渉に起因する治療レーザ光のスペックルの問題が生じにくい。従って、光渦発生部28によって生じる治療レーザ光の品質(例えば、エネルギー分布のムラ等)が向上し易い。
<照射光学系>
照射光学系20は、光源ユニット10から入射したレーザ光(本実施形態では、光ファイバ19を経て入射した治療レーザ光およびエイミング光)を、患者眼Eの組織(本実施形態では眼底)に照射する。本実施形態の照射光学系20は、スリットランプ(図示せず)に装着されたデリバリである。照射光学系20は、リレーレンズ21、ズームレンズ22、コリメータレンズ23、光渦発生部28、ミラー24、走査部30、対物レンズ25、および反射ミラー26を備える。
ズームレンズ22は、リレーレンズ21から入射したレーザ光(本実施形態では治療レーザ光およびエイミング光)のスポットサイズを変更するために、レーザ光の光軸方向に移動する。ズームレンズ22の位置は、エンコーダ22Aによって検出される。後述する制御ユニット40のCPU41は、エンコーダ22Aによって検出されるズームレンズ22の位置に基づいて、組織に照射される治療レーザ光およびエイミング光のスポットサイズを検出する。なお、レーザ光のスポットサイズを変更するための構成を変更することも可能である。例えば、眼科用レーザ治療装置1は、倍率が異なる複数のレンズを備え、レーザ光の光軸に挿入するレンズを切り換えることでスポットサイズを変更してもよい。
ズームレンズ22を経たレーザ光は、コリメータレンズ23によってコリメートされて下流側へ導光される。つまり、コリメータレンズ23は、治療レーザ光源によって出射された治療レーザ光を平行光とするコリメート部の一例である。コリメータレンズ23を経たレーザ光は、光渦発生部28およびミラー24を介して走査部30に入射する。光渦発生部28の詳細については後述する。
走査部30は、レーザ光(本実施形態では治療レーザ光およびエイミング光)を走査することで、組織におけるレーザ光の照射位置を移動させる(切り替える)。走査部30を経たレーザ光は、対物レンズ25を通り、反射ミラー26によって反射され、コンタクトレンズCLを介して患者眼Eの組織に照射される。
本実施形態の走査部30は、第1ガルバノミラー(ガルバノスキャナ)31および第2ガルバノミラー35を備える。第1ガルバノミラー31は、ミラー32およびアクチュエータ33を備える。ミラー32の揺動軸はy軸方向に延びており、ミラー32はレーザ光をx方向に走査する。第2ガルバノミラー35は、ミラー36およびアクチュエータ37を備える。ミラー36の揺動軸はz軸方向に延びており、ミラー36はレーザ光をy方向に走査する。アクチュエータ33,37にはモータおよびポテンショメータが内蔵されている。後述するCPU41は、ポテンショメータによって検出される位置情報に基づいて、2つのミラー32,36の各々を独立して揺動させる。その結果、レーザ光が二次元で走査される。なお、走査部30の具体的な構成は変更してもよい。例えば、ポリゴンミラー、MEMSスキャナ等を走査部30に用いてもよい。
光渦発生部28について詳細に説明する。光渦発生部28は、治療レーザ光の光路に配置されており、治療レーザ光の等位相面を螺旋状に変化させる(つまり、光渦を発生させる)。光渦とは、螺旋状の等位相面、およびトポロジカルチャージ(軌道角運動量)を持つ光波である。光渦では、螺旋状等位相面によりビーム断面内位相分布が方位角に依存して(1波長伝播する毎に位相が2πの整数倍)変化するので、ビーム断面の中心では位相が打ち消し合い、光の強度が他の部位(ビーム断面の周辺部等)に比べて低くなる。従って、ビーム断面における治療レーザ光の強度分布はドーナツ型(つまり、周辺部に比べて中央部のエネルギーが低くなる)。光渦のスポットを組織に照射すると、スポット内の中心部には周辺部から拡散されたエネルギー(典型的には熱)も加わるが、治療レーザ光の中心部のエネルギーは周辺部のエネルギーよりも低いので、スポット内の組織に与えられる熱の分布が適切な分布となり易い(つまり、スポット内の組織に与えられる熱の分布が均一になり易い)。よって、より適切に治療が行われる。
従来の眼科用レーザ治療装置では、スポット内の中心部の組織に与えられる熱が、周辺部の組織に与えられる熱よりも高くなり易かった。この場合、例えば、スポットの中心部の組織に対して、治療に必要な熱の閾値を大幅に超える熱が加えられる一方で、スポットの周辺部の組織に対しては治療に必要な熱が加えられ難かった。その結果、所謂焼けムラ等が生じ易く、治療レーザ光のエネルギーが効率よく組織に加えられ難い可能性があった。本開示における眼科用レーザ治療装置1によると、スポット内の組織に加えられる熱の分布が均一になり易いので、スポット内の組織の広い範囲に、治療に必要な熱が適切に加えられる。
なお、従来の眼科用レーザ治療装置では、治療レーザ光のエネルギーが、スポット内の中心部の組織に集中して加えられ易いことが考慮されたうえで、治療レーザ光源11が出射する治療レーザ光の出力およびパルス幅が設定されていた。その結果、スポットの周辺部において治療に必要な熱が加えられ難い可能性もあった。これに対し、本開示における眼科用レーザ治療装置1では、スポット内の組織に加えられる熱の分布が均一になり易い。従って、本開示における眼科用レーザ治療装置1では、従来の眼科用レーザ治療装置で実行されていた治療と同様の治療を実行する場合には、従来の眼科用レーザ治療装置におけるエネルギーよりも高いエネルギーで治療レーザ光を治療レーザ光源11に出射させることで、治療に必要な熱をスポット内の組織の広い範囲に均一に加えることが可能である。つまり、従来の眼科用レーザ治療装置と、本開示の眼科用レーザ治療装置1で、スポットの中央部の加熱を同等にしようとすると、本開示の眼科用レーザ治療装置1では、従来の眼科用レーザ治療装置よりも高いエネルギーの治療レーザ光をスポットに照射することがある。その結果、スポットの中央部に加えて、スポットの周辺部でも均一に適切な熱が加えられる。
従って、本実施形態の眼科用レーザ治療装置1によって患者眼の眼底の光凝固治療が実行される場合、治療レーザ光源11に出射させる治療レーザ光の出力は50〜1500mW、パルス幅は0.001〜3secとされる。その結果、光凝固治療に必要な熱が、スポット内の組織の広い範囲に適切に加えられる。所謂焼けムラ等も生じにくい。
光渦発生部28は、治療レーザ光の光路のうち、コリメータレンズ23によって治療レーザ光が平行光とされる(コリメートされる)光路上に設けられている。従って、治療レーザ光が集光または発散される光路上に光渦発生部28が設けられる場合に比べて、より容易に光渦発生部28を光路上に設置することができる。
本実施形態の眼科用レーザ治療装置1は、光渦発生部28の光学部材(光路上に設置される部材。本実施形態では螺旋位相板。)の、治療レーザ光の光軸に対する位置(光軸に交差する方向の位置)を調整する位置調整部29を備える。位置調整部29は、治療レーザ光の光軸に対する光渦発生部28の位置を、ユーザによる手動操作、またはアクチュエータによって調整する。よって、光渦発生部28の中心と、治療レーザ光の光軸とを適切に一致させ易い。
光渦発生部28は、治療レーザ光の光路のうち、走査部30よりも光路の上流側(つまり、治療レーザ光源11側)に配置される。従って、光渦発生部28の位置を固定した状態で、治療レーザ光が走査部30によって適切に組織上で走査される。
本実施形態の眼科用レーザ治療装置1では、光渦発生部28として螺旋位相板28Aが用いられる。図2に示すように、螺旋位相板28Aでは、レーザ光の光軸に沿う方向における素子の厚みが周方向で変化している。螺旋位相板28Aは、入射する光の波面を段階的にシフトして螺旋状に変化させる素子である。螺旋位相板28Aを治療レーザ光の光路に配置することで、光渦レーザを容易に発生させることができる。なお、治療レーザ光の波長に対応する仕様の螺旋位相板28Aを使用することで、組織に照射される治療レーザ光の品質が向上する。ただし、前述したように、光渦発生部28の構成を変更することも可能である。例えば、螺旋位相板28Aの代わりに、一対の円筒レンズ、ホログラム回折格子、または軸対称偏光素子等が使用されてもよい。
<観察光学系・照明光学系>
図1の説明に戻る。観察光学系38は、ユーザ(例えば術者等)が患者眼Eを観察するために用いられる。本実施形態の観察光学系38は、対物レンズ、変倍光学系、保護フィルタ、正立プリズム群、視野絞り、および接眼レンズ等を備える。照明光学系39は、患者眼Eを照明する。本実施形態の照明光学系39は、照明光源、コンデンサレンズ、スリット、および投影レンズ等を備え、スリット光によって患者眼Eを照明する。本実施形態では、観察光学系38および照明光学系39は、スリットランプである照射光学系20に搭載されている。
<制御ユニット>
制御ユニット40は、CPU(プロセッサ)41、ROM42、RAM43、および不揮発性メモリ44等を備える。CPU41は、眼科用レーザ治療装置1における各種制御を司るコントローラ(制御部)の一例である。ROM42には、各種プログラム、初期値等が記憶されている。RAM43は、各種情報を一時的に記憶する。不揮発性メモリ44は、電源の供給が遮断されても記憶内容を保持できる非一過性の記憶媒体である。例えば、制御ユニット40に着脱可能に装着されるUSBメモリ、フラッシュROM等を、不揮発性メモリ44として使用することができる。
制御ユニット40には、治療レーザ光源11、エイミング光源12、エンコーダ22A、アクチュエータ33,37、フットスイッチ46、および操作部50等が接続されている。フットスイッチ46は、術者によって踏み込まれることで、治療レーザ光の照射の開始指示を制御ユニット40に入力する。なお、制御ユニット40に照射開始指示を入力するための構成は変更してもよい。例えば、手で操作されるボタン、タッチパネル等を、照射開始指示の入力手段として用いてもよい。操作部50は、術者が眼科用レーザ治療装置1に対して各種指示を入力するために、術者によって操作される。本実施形態では、タッチパネル式のディスプレイ52が操作されることで各種指示が入力される。しかし、キーボード、マウス、ボタン等が操作部50に用いられてもよいことは言うまでもない。
<比較試験>
図3〜図6を参照して、従来の眼科用レーザ治療装置による治療効果と、本開示の眼科用レーザ治療装置1による治療効果を比較するための試験の結果について説明する。図3および図5の画像は、共に、中心波長がグリーン(532nm)である治療レーザ光源11を使用して、豚眼の眼底に治療レーザ光を照射し、照射部位をOCT装置によって撮影した断層画像である。図3の実験条件と、図5の実験条件では、光渦発生部28が治療レーザ光の光軸上に配置されているか否かのみが異なる。
図3に示す試験では、本開示で例示した光渦発生部28を治療レーザ光の光路上に配置せずに、治療レーザ光を豚眼の眼底に照射した。図3に示す試験では、治療レーザ光源11の出力を450mW、パルス幅を0.03secとした。なお、図4は、図3の実験条件における治療レーザ光のビームプロファイルを示しており、治療レーザ光の光軸は図4の画像の中心を通る。
図3に示す画像では、スポット中心部に位置する網膜組織では、網膜の深部に位置するRPE層と、網膜の表面部近傍に位置する内境界膜が、共に盛り上がった。また、スポット中心部での組織の盛り上がり具合は、スポット周辺部での組織の盛り上がり具合よりも大きくなった。これは、スポット中心部に位置する組織の発熱が、スポット周辺部の組織の発熱よりも高くなり易いからであると考えられる。図3に示す方法では、スポット内の組織の広い範囲に適切な熱を加えて治療を行うことは困難となり易い。
図5に示す試験では、本開示で例示した光渦発生部(螺旋位相板)28を前述した位置(図1参照)に配置し、治療レーザ光を光渦レーザに変換して豚眼の眼底に照射した。図5に示す試験では、治療レーザ光源11の出力を450mW、パルス幅を0.07secとした。また、図5に示す試験で使用された螺旋位相板28Aのトポロジカルチャージのチャージ数mは、16とした。なお、光が1波長伝播する毎に、等位相面は2π×mだけビーム断面内を回転する。図6は、図5の実験条件における治療レーザ光のビームプロファイルを示しており、治療レーザ光の光軸は画像の中心を通る。
図5に示す画像では、網膜の深部に位置するRPE層が、スポットの中心部および周辺部で均一に盛り上がっている。これは、光渦発生部28によって生じた光渦レーザが組織に照射されることで、スポット内の組織に加えられる熱の分布が均一となったためであると考えられる。また、図5に示す画像では、網膜の表面部近傍に位置する内境界膜は盛り上がらずに、RPE層のみが盛り上がっている。つまり、光渦レーザを用いることで、スポット内の組織に加えられる熱の分布を均一にすることができるので、治療レーザ光のエネルギーを適切な値を調整することで、組織内の所望の部位(図5に示す例ではRPE層)に、適切なエネルギーを選択的に加えることが可能である。
例えば、図3と図5を比較すると、従来装置(図3参照)では治療レーザ光の照射により、スポットの中心部においてRPE層と内境界膜が共に盛り上がることで、スポット内の組織がドーム型に盛り上がっている。これに対し、本開示の装置(図5参照)では、治療レーザ光の照射によってRPE層が盛り上がりつつも、内境界膜の盛り上がりは僅かでる。また、本開示の装置(図5参照)によると、RPE層が盛り上がる量は、従来装置(図3参照)を使用した場合に比べて、スポット内で均一に近くなっている。以上の結果から、本開示の装置によると、眼底の特定の部位(例えばRPE層)を、選択的且つ均一に加熱し易いと考えられる。なお、図5においてRPE層のみが顕著に盛り上がっている理由は、例えば、RPE層が内境界膜よりも治療レーザ光を吸収し易い(つまり、治療レーザ光によって加熱され易い)ためと考えられる。
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲及びこれと均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 眼科用レーザ治療装置
11 治療レーザ光源
19 光ファイバ
20 照射光学系
23 コリメータレンズ
28 光渦発生部
28A 螺旋位相板
30 走査部

Claims (6)

  1. 患者眼の組織に治療レーザ光を照射する眼科用レーザ治療装置であって、
    可視光である治療レーザ光を出射する治療レーザ光源と、
    前記治療レーザ光源によって出射された治療レーザ光を前記患者眼に照射する照射光学系と、
    を備え、
    治療レーザ光の光路上に、治療レーザ光の等位相面を螺旋状に変化させる光渦発生部を備えたことを特徴とする眼科用レーザ治療装置。
  2. 請求項1に記載の眼科用レーザ治療装置であって、
    前記治療レーザ光源によって出射された治療レーザ光を平行光とするコリメート部をさらに備え、
    前記光渦発生部は、治療レーザ光の光路のうち、前記コリメート部によって治療レーザ光が平行光とされる光路に設けられることを特徴とする眼科用レーザ治療装置。
  3. 請求項1または2に記載の眼科用レーザ治療装置であって、
    前記照射光学系は、
    治療レーザ光を走査し、前記患者眼の組織上で治療レーザ光が照射される位置を切り替える走査部を備え、
    前記光渦発生部は、治療レーザ光の光路のうち前記走査部よりも前記治療レーザ光源側に配置されることを特徴とする眼科用レーザ治療装置。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載の眼科用レーザ治療装置であって、
    前記光渦発生部は、入射波面の位相を段階的にシフトし螺旋状に変化させる素子である螺旋位相板であることを特徴とする眼科用レーザ治療装置。
  5. 請求項1から4のいずれかに記載の眼科用レーザ治療装置であって、
    前記治療レーザ光源から出射された治療レーザ光を前記照射光学系に導光する光ファイバをさらに備え、
    前記治療レーザ光源はシングルモードレーザ光源であり、
    前記光ファイバはシングルモードファイバであることを特徴とする眼科用レーザ治療装置。
  6. 請求項1から5のいずれかに記載の眼科用レーザ治療装置であって、
    前記治療レーザ光源が出射する治療レーザ光の出力が50〜1500mWであり、パルス幅が0.001〜3secであることを特徴とする眼科用レーザ治療装置。

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