本発明の好ましい実施の形態を説明する前に、当該実施の形態に係る三相電動機の作用効果を説明するための参考例を図1〜図5に基づいて説明する。なお、後述の本発明の好ましい各実施の形態の説明において、参考例と同様の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略するものとする。
図1は、本発明を説明するための参考例において分布巻の2層巻の重ね巻によりコイルを巻かれた三相電動機1Pをステータ軸方向の反リード側から見た平面図である。図2は、本発明を説明するための参考例において分布巻の2層巻の重ね巻によりコイルを巻かれた三相電動機をステータの周方向に展開した様子を示す側面図である。図3は、図2におけるU相コイルのみを示した図である。図4は、図2におけるV相コイルのみを示した図である。図5は、図2におけるW相コイルのみを示した図である。なお、図1において、接続部材10c、20c、30cは、三相電動機1Pにおいて、リード側すなわち図の奥行き方向の向こう側に位置しているが、各サブコイルの導線端部同士の接続関係を示すために、実線で示されている。また、図1の点線は、各サブコイルの、実際には直線状には配置されていない導線端部を模式的に示したものである。また、図1において、サブコイルは、1本の実線で囲うように描かれている太い曲線で示されているが、サブコイルを構成する複数本の導線を簡略化して示されたものである。
三相電動機1Pは、各相のコイルが分布巻の2層巻の重ね巻により巻かれる三相電動機である。三相電動機1Pは、ステータSTと、ロータ(図示せず)と、U相コイル10と、V相コイル20と、W相コイル30と、を備える。三相電動機1Pは、それに求められる機能及び特性に応じて、極数を決められている。すなわち、ステータSTの中で、N極とS極とを1つずつ有する三相電動機1Pの場合、極数は2である。
ステータSTは、固定子とも呼ばれるものであり、U相コイル10、V相コイル20及びW相コイル30と相まって、ロータを径方向内側で回転させるための回転磁界を作り出すものである。ステータSTは、略円筒状であるが、径方向内側円筒面から径方向外側円筒面に向かってスリット状に切り欠かれ周方向に並んだ複数個のスロットslを有する。
三相電動機の場合、複数個のスロットslの個数は、3の倍数である。すなわち、複数個のスロットslの個数は、2以上の任意の整数をNとして、3N個である。すなわち、ステータSTは、3N個のスロットslを有する。そして、図1に示される三相電動機1Pは、12個のスロットのステータSTを備えているので、N=4とする三相電動機である。
ステータSTは、軸方向の一端側を電源側すなわちリード側とし、軸方向の他端側を反リード側とする。
3N個のスロットslは、三相電動機1PではN=4であることから、12個のスロットslである。3N個のスロットslには、周方向に順番に第1のスロットsl1、第2のスロットsl2、第3のスロットsl3、というように以下では名称を付する。
図示されていないが、ロータは、ステータSTの径方向内側で周方向に回転することにより、三相電動機1Pから動力を出力するものである。三相電動機1Pでは、ロータは、通常、永久磁石である。
U相コイル10、V相コイル20及びW相コイル30は、それぞれ、図示されていない三相交流電源に接続され、当該三相交流電源によってU相コイル10、V相コイル20及びW相コイル30にそれぞれ一相分の交流電流が流されることにより、ステータST内に変動する磁界を発生させるものである。U相コイル10、V相コイル20及びW相コイル30は、それぞれ、ステータSTに分布巻の2層巻の重ね巻により巻かれている。その際、U相コイル10、V相コイル20及びW相コイル30は、それぞれ、ステータSTが有する3N個のスロットslのうちから極数に応じて選ばれる複数個のスロットslに挿入される。具体的には、U相コイル10は、N=4、極数=2の場合、第1のスロットsl1、第2のスロットsl2、第7のスロットsl7及び第8のスロットsl8に挿入される。V相コイル20は、N=4、極数=2の場合、第3のスロットsl3、第4のスロットsl4、第9のスロットsl9及び第10のスロットsl10に挿入される。W相コイル30は、N=4、極数=2の場合、第5のスロットsl5、第6のスロットsl6、第11のスロットsl11及び第12のスロットsl12に挿入される。
U相コイル10は、NU個のU相用サブコイル10sと、(NU−1)個のU相用接続部材10cと、を有する。NUは、2以上かつN以下の任意の整数である。なお、本参考例では、NU=Nである。
NU個のU相用サブコイル10sは、三相電動機1PにおいてN=4であることから、4個のU相用サブコイル10sである。4個のU相用サブコイル10sは、互いに直列に繋ぎ合わされることでU相コイル10を構成する。それぞれのU相用サブコイル10sは、分布巻の2層巻の重ね巻において、個別に導線を巻かれて、極数に応じて選ばれた複数個のスロットのうちの挿入されるべき2個のスロットslの間を巻き回されるような形状に作られたコイルの束である。すなわち、それぞれのU相用サブコイル10sは、2個のスロットslに挿入される。それぞれのU相用サブコイル10sの巻き数は、1以上の任意の整数をMとしてU相コイル10の総巻き数をN×Mとした場合、M巻きである。本参考例では、M=2とする。4個のU相用サブコイル10sは、電源端子に接続されるU相コイル10の2つの導線端部のうちの一端側から他端側に向かって、繋ぎ合わされる順番に、第1のU相用サブコイル10s1、第2のU相用サブコイル10s2、第3のU相用サブコイル10s3、第4のU相用サブコイル10s4である。
(NU−1)個のU相用接続部材10cは、三相電動機1PにおいてN=4であることから、3個のU相用接続部材10cである。3個のU相用接続部材10cは、4個のU相用サブコイル10sのそれぞれの導線端部同士を繋ぎ合わせるためのものである。U相用接続部材10cは、例えば、導線端部同士を圧着接続することができるスリーブである。3個のU相用接続部材10cは、第1のU相用接続部材10c1と、第2のU相用接続部材10c2と、第3のU相用接続部材10c3と、である。第1のU相用接続部材10c1は、第1のU相用サブコイル10s1の巻き終りの導線端部と第2のU相用サブコイル10s2の巻き始めの導線端部とを直列に繋ぎ合わせるものである。第2のU相用接続部材10c2は、第2のU相用サブコイル10s2の巻き終りの導線端部と第3のU相用サブコイル10s3の巻き始めの導線端部とを直列に繋ぎ合わせるものである。第3のU相用接続部材10c3は、第3のU相用サブコイル10s3の巻き終りの導線端部と第4のU相用サブコイル10s4の巻き始めの導線端部とを直列に繋ぎ合わせるものである。
図1、図2及び図3に示すように、第1のU相用サブコイル10s1は、第1のスロットsl1の中の径方向内側と第7のスロットsl7の中の径方向外側とに挿入されている。第1のU相用サブコイル10s1の巻き数は、2巻である。第1のU相用サブコイル10s1の巻き始めの導線端部すなわちU相コイル10の巻き始めの導線端部は、リード側に位置する電源端子に接続されている。
第2のU相用サブコイル10s2は、第1のU相用サブコイル10s1に周方向に沿うように延びて、第2のスロットsl2の中の径方向内側と第8のスロットsl8の中の径方向外側とに挿入されている。第2のU相用サブコイル10s2の巻き数は、2巻である。
第1のU相用サブコイル10s1の巻き終りの導線端部は、巻き始めの導線端部がリード側に位置し第1のU相用サブコイル10s1の巻き数が整数であることから、リード側に位置する。したがって、当該巻き終りの導線端部と繋ぎ合わされることとなる第2のU相用サブコイル10s2の巻き始めの導線端部も、リード側に位置する。したがって、それらの導線端部同士を直列に繋ぎ合わせる第1のU相用接続部材10c1は、リード側に位置する。
第3のU相用サブコイル10s3は、第1のU相用サブコイル10s1と周方向の反対向きに延びて、第1のスロットsl1の中の径方向外側と第7のスロットsl7の中の径方向内側とに挿入されている。第3のU相用サブコイル10s3の巻き数は、2巻である。
第2のU相用サブコイル10s2の巻き終りの導線端部は、巻き始めの導線端部がリード側に位置し第2のU相用サブコイル10s2の巻き数が整数であることから、リード側に位置する。したがって、当該巻き終りの導線端部と繋ぎ合わされることとなる第3のU相用サブコイル10s3の巻き始めの導線端部も、リード側に位置する。したがって、それらの導線端部同士を直列に繋ぎ合わせる第2のU相用接続部材10c2は、リード側に位置する。
第4のU相用サブコイル10s4は、第3のU相用サブコイル10s3に周方向に沿うように延びて、第2のスロットsl2の中の径方向外側と第8のスロットsl8の中の径方向内側とに挿入されている。第4のU相用サブコイル10s4の巻き数は、2巻である。
第3のU相用サブコイル10s3の巻き終りの導線端部は、巻き始めの導線端部がリード側に位置し第3のU相用サブコイル10s3の巻き数が整数であることから、リード側に位置する。したがって、当該巻き終りの導線端部と繋ぎ合わされることとなる第4のU相用サブコイル10s4の巻き始めの導線端部も、リード側に位置する。したがって、それらの導線端部同士を直列に繋ぎ合わせる第3のU相用接続部材10c3は、リード側に位置する。
第4のU相用サブコイル10s4の巻き終りの導線端部すなわちU相コイル10の巻き終りの導線端部は、第4のU相用サブコイル10s4の巻き始めの導線端部がリード側に位置し第4のU相用サブコイル10s4の巻き数が整数であることから、リード側に位置する。
次に、U相コイル10と同様の説明となるが、V相コイル20について説明する。
V相コイル20は、NV個のV相用サブコイル20sと、(NV−1)個のV相用接続部材20cと、を有する。NVは、2以上かつN以下の任意の整数である。なお、本参考例では、NV=Nである。
NV個のV相用サブコイル20sは、三相電動機1PにおいてN=4であることから、4個のV相用サブコイル20sである。4個のV相用サブコイル20sは、互いに直列に繋ぎ合わされることでV相コイル20を構成する。それぞれのV相用サブコイル20sは、分布巻の2層巻の重ね巻において、個別に導線を巻かれて、極数に応じて選ばれた複数個のスロットのうちの挿入されるべき2個のスロットslの間を巻き回されるような形状に作られたコイルの束である。すなわち、それぞれのV相用サブコイル20sは、2個のスロットslに挿入される。それぞれのV相用サブコイル20sの巻き数は、V相コイル20の総巻き数をN×Mとした場合、M巻きである。本参考例では、M=2とする。4個のV相用サブコイル20sは、電源端子に接続されるV相コイル20の2つの導線端部のうちの一端側から他端側に向かって、繋ぎ合わされる順番に、第1のV相用サブコイル20s1、第2のV相用サブコイル20s2、第3のV相用サブコイル20s3、第4のV相用サブコイル20s4である。
(NV−1)個のV相用接続部材20cは、三相電動機1PにおいてN=4であることから、3個のV相用接続部材20cである。3個のV相用接続部材20cは、4個のV相用サブコイル20sのそれぞれの導線端部同士を繋ぎ合わせるためのものである。V相用接続部材20cは、例えば、導線端部同士を圧着接続することができるスリーブである。3個のV相用接続部材20cは、第1のV相用接続部材20c1と、第2のV相用接続部材20c2と、第3のV相用接続部材20c3と、である。第1のV相用接続部材20c1は、第1のV相用サブコイル20s1の巻き終りの導線端部と第2のV相用サブコイル20s2の巻き始めの導線端部とを直列に繋ぎ合わせるものである。第2のV相用接続部材20c2は、第2のV相用サブコイル20s2の巻き終りの導線端部と第3のV相用サブコイル20s3の巻き始めの導線端部とを直列に繋ぎ合わせるものである。第3のV相用接続部材20c3は、第3のV相用サブコイル20s3の巻き終りの導線端部と第4のV相用サブコイル20s4の巻き始めの導線端部とを直列に繋ぎ合わせるものである。
図1、図2及び図4に示すように、第1のV相用サブコイル20s1は、第3のスロットsl3の中の径方向内側と第9のスロットsl9の中の径方向外側とに挿入されている。第1のV相用サブコイル20s1の巻き数は、2巻である。第1のV相用サブコイル20s1の巻き始めの導線端部すなわちV相コイル20の巻き始めの導線端部は、リード側に位置する電源端子に接続されている。
第2のV相用サブコイル20s2は、第1のV相用サブコイル20s1に周方向に沿うように延びて、第4のスロットsl4の中の径方向内側と第10のスロットsl10の中の径方向外側とに挿入されている。第2のV相用サブコイル20s2の巻き数は、2巻である。
第1のV相用サブコイル20s1の巻き終りの導線端部は、巻き始めの導線端部がリード側に位置し第1のV相用サブコイル20s1の巻き数が整数であることから、リード側に位置する。したがって、当該巻き終りの導線端部と繋ぎ合わされることとなる第2のV相用サブコイル20s2の巻き始めの導線端部も、リード側に位置する。したがって、それらの導線端部同士を直列に繋ぎ合わせる第1のV相用接続部材20c1は、リード側に位置する。
第3のV相用サブコイル20s3は、第1のV相用サブコイル20s1と周方向の反対向きに延びて、第3のスロットsl3の中の径方向外側と第9のスロットsl9の中の径方向内側とに挿入されている。第3のV相用サブコイル20s3の巻き数は、2巻である。
第2のV相用サブコイル20s2の巻き終りの導線端部は、巻き始めの導線端部がリード側に位置し第2のV相用サブコイル20s2の巻き数が整数であることから、リード側に位置する。したがって、当該巻き終りの導線端部と繋ぎ合わされることとなる第3のV相用サブコイル20s3の巻き始めの導線端部も、リード側に位置する。したがって、それらの導線端部同士を直列に繋ぎ合わせる第2のV相用接続部材20c2は、リード側に位置する。
第4のV相用サブコイル20s4は、第3のV相用サブコイル20s3に周方向に沿うように延びて、第4のスロットsl4の中の径方向外側と第10のスロットsl10の中の径方向内側とに挿入されている。第4のV相用サブコイル20s4の巻き数は、2巻である。
第3のV相用サブコイル20s3の巻き終りの導線端部は、巻き始めの導線端部がリード側に位置し第3のV相用サブコイル20s3の巻き数が整数であることから、リード側に位置する。したがって、当該巻き終りの導線端部と繋ぎ合わされることとなる第4のV相用サブコイル20s4の巻き始めの導線端部も、リード側に位置する。したがって、それらの導線端部同士を直列に繋ぎ合わせる第3のV相用接続部材20c3は、リード側に位置する。
第4のV相用サブコイル20s4の巻き終りの導線端部すなわちV相コイル20の巻き終りの導線端部は、第4のV相用サブコイル20s4の巻き始めの導線端部がリード側に位置し第4のV相用サブコイル20s4の巻き数が整数であることから、リード側に位置する。
次に、U相コイル10及びV相コイル20と同様の説明となるが、W相コイル30について説明する。
W相コイル30は、NW個のW相用サブコイル30sと、(NW−1)個のW相用接続部材30cと、を有する。NWは、2以上かつN以下の任意の整数である。なお、本参考例では、NW=Nである。
NW個のW相用サブコイル30sは、三相電動機1PにおいてN=4であることから、4個のW相用サブコイル30sである。4個のW相用サブコイル30sは、互いに直列に繋ぎ合わされることでW相コイル30を構成する。それぞれのW相用サブコイル30sは、分布巻の2層巻の重ね巻において、個別に導線を巻かれて、極数に応じて選ばれた複数個のスロットのうちの挿入されるべき2個のスロットslの間を巻き回されるような形状に作られたコイルの束である。すなわち、それぞれのW相用サブコイル30sは、2個のスロットslに挿入される。それぞれのW相用サブコイル30sの巻き数は、W相コイル30の総巻き数をN×Mとした場合、M巻きである。本参考例では、M=2とする。4個のW相用サブコイル30sは、電源端子に接続されるW相コイル30の2つの導線端部のうちの一端側から他端側に向かって、繋ぎ合わされる順番に、第1のW相用サブコイル30s1、第2のW相用サブコイル30s2、第3のW相用サブコイル30s3、第4のW相用サブコイル30s4である。
(NW−1)個のW相用接続部材30cは、三相電動機1PにおいてN=4であることから、3個のW相用接続部材30cである。3個のW相用接続部材30cは、4個のW相用サブコイル30sのそれぞれの導線端部同士を繋ぎ合わせるためのものである。W相用接続部材30cは、例えば、導線端部同士を圧着接続することができるスリーブである。3個のW相用接続部材30cは、第1のW相用接続部材30c1と、第2のW相用接続部材30c2と、第3のW相用接続部材30c3と、である。第1のW相用接続部材30c1は、第1のW相用サブコイル30s1の巻き終りの導線端部と第2のW相用サブコイル30s2の巻き始めの導線端部とを直列に繋ぎ合わせるものである。第2のW相用接続部材30c2は、第2のW相用サブコイル30s2の巻き終りの導線端部と第3のW相用サブコイル30s3の巻き始めの導線端部とを直列に繋ぎ合わせるものである。第3のW相用接続部材30c3は、第3のW相用サブコイル30s3の巻き終りの導線端部と第4のW相用サブコイル30s4の巻き始めの導線端部とを直列に繋ぎ合わせるものである。
図1、図2及び図5に示すように、第1のW相用サブコイル30s1は、第5のスロットsl5の中の径方向内側と第11のスロットsl9の中の径方向外側とに挿入されている。第1のW相用サブコイル30s1の巻き数は、2巻である。第1のW相用サブコイル30s1の巻き始めの導線端部すなわちW相コイル30の巻き始めの導線端部は、リード側に位置する電源端子に接続されている。
第2のW相用サブコイル30s2は、第1のW相用サブコイル30s1に周方向に沿うように延びて、第6のスロットsl6の中の径方向内側と第12のスロットsl12の中の径方向外側とに挿入されている。第2のW相用サブコイル30s2の巻き数は、2巻である。
第1のW相用サブコイル30s1の巻き終りの導線端部は、巻き始めの導線端部がリード側に位置し第1のW相用サブコイル30s1の巻き数が整数であることから、リード側に位置する。したがって、当該巻き終りの導線端部と繋ぎ合わされることとなる第2のW相用サブコイル30s2の巻き始めの導線端部も、リード側に位置する。したがって、それらの導線端部同士を直列に繋ぎ合わせる第1のW相用接続部材30c1は、リード側に位置する。
第3のW相用サブコイル30s3は、第1のW相用サブコイル30s1と周方向の反対向きに延びて、第5のスロットsl5の中の径方向外側と第11のスロットsl11の中の径方向内側とに挿入されている。第3のW相用サブコイル30s3の巻き数は、2巻である。
第2のW相用サブコイル30s2の巻き終りの導線端部は、巻き始めの導線端部がリード側に位置し第2のW相用サブコイル30s2の巻き数が整数であることから、リード側に位置する。したがって、当該巻き終りの導線端部と繋ぎ合わされることとなる第3のW相用サブコイル30s3の巻き始めの導線端部も、リード側に位置する。したがって、それらの導線端部同士を直列に繋ぎ合わせる第2のW相用接続部材30c2は、リード側に位置する。
第4のW相用サブコイル30s4は、第3のW相用サブコイル30s3に周方向に沿うように延びて、第6のスロットsl6の中の径方向外側と第12のスロットsl12の中の径方向内側とに挿入されている。第4のW相用サブコイル30s4の巻き数は、2巻である。
第3のW相用サブコイル30s3の巻き終りの導線端部は、巻き始めの導線端部がリード側に位置し第3のUW相用サブコイル30s3の巻き数が整数であることから、リード側に位置する。したがって、当該巻き終りの導線端部と繋ぎ合わされることとなる第4のW相用サブコイル30s4の巻き始めの導線端部も、リード側に位置する。したがって、それらの導線端部同士を直列に繋ぎ合わせる第3のW相用接続部材30c3は、リード側に位置する。
第4のW相用サブコイル30s4の巻き終りの導線端部すなわちW相コイル30の巻き終りの導線端部は、第4のW相用サブコイル30s4の巻き始めの導線端部がリード側に位置し第4のW相用サブコイル30s4の巻き数が整数であることから、リード側に位置する。
以上説明した参考例の三相電動機1Pでは、分布巻の2層巻の重ね巻により巻かれる三相電動機におけるコイルの巻線作業の困難性が解消される。具体的には、次のとおりである。重ね巻では、2つのサブコイルを1つのスロットに挿入するときに、最初に挿入したサブコイルを一旦取り出し、もう1つのサブコイルをスロット外側に挿入し、最初に挿入したサブコイルを再度スロット内側に挿入するという挿入手順を手作業で行う。そして、このような手順を他のスロットでも行わなければならないため、サブコイルの導線の端部同士が繋がったままであると、ステータへのコイルの巻線作業が分布巻の他の巻き方に比べてより困難となる。しかし、三相電動機1Pでは、U相コイル10、V相コイル20及びW相コイル30は、それぞれ、4個のサブコイル10s1、10s2、10s3、10s4、4個のサブコイル20s1、20s2、20s3、20s4及び4個のサブコイル30s1、30s2、30s3、30s4が3個の接続部材10c1、10c2、10c3、3個の接続部材20c1、20c2、20c3及び3個の接続部材30c1、30c2、30c3によってそれぞれの導線端部同士を互いに直列に繋ぎ合わされて構成されているので、サブコイルの導線端部同士が繋がったままの一相分のコイル10、20、30をステータSTのスロットslに挿入する必要がなく、前記4個のサブコイルを極数に応じて選ばれる複数個のスロットに順次挿入してから、前記4個のサブコイルの導線の端部同士を前記3個の接続部材で繋ぎ合わせればよいので、サブコイルの導線の端部同士が繋がったままの状態で一相分のコイル10、20、30をステータSTのスロットslに挿入する作業手順において生じる作業の困難性を解消することができる。
しかし、巻き数が整数巻であるサブコイルのみにより構成されるU相コイル10、V相コイル20及びW相コイル30がそれぞれ分布巻の2層巻の重ね巻により巻かれているので、U相コイル10、V相コイル20及びW相コイル30のそれぞれについて、接続部材10c、20c、30cが全てリード側に位置している。このため、一定の大きさ及び剛性を有する接続部材がリード側で軸方向に重なり合い三相電動機1Pのコイルエンドの高さを大きくしているという課題を有している。
これに対して以下に説明する本発明の好ましい第1の実施の形態、コイル巻線方法、第2の実施の形態及び第3の実施の形態では、本明細書に記載の発明が解決しようとする課題と、コイルエンドの高さを大きくしているというもう1つの課題と、を共に解決することができる。
本発明の第1の実施の形態に係る三相電動機を図6〜図9に基づいて説明する。なお、上記の参考例と異なる点について主に説明する。
図6に示される三相電動機1Aは、ステータSTと、ロータ(図示せず)と、U相コイル10Aと、V相コイル20Aと、W相コイル30Aと、を備える。三相電動機1Aにおいて、極数は2であり、N=4である。ステータSTは、12個のスロットslを有する。なお、本第1の実施の形態においても、NU=NV=NW=Nである。
U相コイル10A、V相コイル20A及びW相コイル30Aは、それぞれ、ステータSTに分布巻の2層巻の重ね巻により巻かれている。その際、U相コイル10A、V相コイル20A及びW相コイル30Aは、それぞれ、ステータSTが有する12個のスロットslのうちから極数に応じて選ばれる複数個のスロットslに挿入される。具体的には、U相コイル10Aは、参考例のU相コイル10と同じスロットに挿入される。V相コイル20Aは、参考例のV相コイル20と同じスロットに挿入される。W相コイル30Aは、参考例のW相コイル30と同じスロットに挿入される。
U相コイル10Aは、参考例のU相コイル10と同様に、NU=N個すなわち4個のU相用サブコイル10Asと、(NU−1)=(N−1)個すなわち3個のU相用接続部材10Acと、を有する。
それぞれのU相用サブコイル10Asの巻き数は、1以上の任意の整数をMとしてU相コイル10Aの総巻き数をN×Mとした場合、平均M巻きである。本第1の実施の形態では、M=2とする。4個のU相用サブコイル10Asは、電源端子に接続されるU相コイル10Aの2つの導線端部のうちの一端側から他端側に向かって、繋ぎ合わされる順番に、第1のU相用サブコイル10As1、第2のU相用サブコイル10As2、第3のU相用サブコイル10As3、第4のU相用サブコイル10As4である。
3個のU相用接続部材10Acは、参考例の3個のU相用接続部材10cと同様に、4個のU相用サブコイル10Asのそれぞれの導線端部同士を繋ぎ合わせるためのものである。3個のU相用接続部材10Acは、第1のU相用接続部材10Ac1と、第2のU相用接続部材10Ac2と、第3のU相用接続部材10Ac3と、である。
図6及び図7に示すように、第1のU相用サブコイル10As1は、第1のスロットsl1の中の径方向内側と第7のスロットsl7の中の径方向外側とに挿入されている。第1のU相用サブコイル10As1の巻き数は、1.5巻すなわちM−0.5巻である。第1のU相用サブコイル10As1の巻き始めの導線端部すなわちU相コイル10Aの巻き始めの導線端部は、リード側に位置する電源端子に接続されている。
図6及び図7に示すように、第2のU相用サブコイル10As2は、第2のスロットsl2の中の径方向内側と第8のスロットsl8の中の径方向外側とに挿入されている。第2のU相用サブコイル10As2の巻き数は、2.5巻すなわちM+0.5巻である。
図6及び図7に示すように、第1のU相用サブコイル10As1の巻き終りの導線端部は、巻き始めの導線端部がリード側に位置し第1のU相用サブコイル10As1の巻き数が半整数であることから、反リード側に位置する。したがって、当該巻き終りの導線端部と繋ぎ合わされることとなる第2のU相用サブコイル10As2の巻き始めの導線端部も、反リード側に位置する。したがって、それらの導線端部同士を直列に繋ぎ合わせる第1のU相用接続部材10Ac1は、反リード側に位置する。
図6及び図7に示すように、第3のU相用サブコイル10As3は、第1のU相用サブコイル10As1と周方向の反対向きに延びて、第1のスロットsl1の中の径方向外側と第7のスロットsl7の中の径方向内側とに挿入されている。第3のU相用サブコイル10As3の巻き数は、1.5巻すなわちM−0.5巻である。
図6及び図7に示すように、第2のU相用サブコイル10As2の巻き終りの導線端部は、巻き始めの導線端部が反リード側に位置し第2のU相用サブコイル10As2の巻き数が半整数であることから、リード側に位置する。したがって、当該巻き終りの導線端部と繋ぎ合わされることとなる第3のU相用サブコイル10As3の巻き始めの導線端部も、リード側に位置する。したがって、それらの導線端部同士を直列に繋ぎ合わせる第2のU相用接続部材10Ac2は、リード側に位置する。
第4のU相用サブコイル10As4は、第2のスロットsl2の中の径方向外側と第8のスロットsl8の中の径方向内側とに挿入されている。第4のU相用サブコイル10As4の巻き数は、2.5巻すなわちM+0.5巻である。
図6及び図7に示すように、第3のU相用サブコイル10As3の巻き終りの導線端部は、巻き始めの導線端部がリード側に位置し第3のU相用サブコイル10As3の巻き数が半整数であることから、反リード側に位置する。したがって、当該巻き終りの導線端部と繋ぎ合わされることとなる第4のU相用サブコイル10As4の巻き始めの導線端部も、反リード側に位置する。したがって、それらの導線端部同士を直列に繋ぎ合わせる第3のU相用接続部材10Ac3は、反リード側に位置する。
ここで、第1のU相用サブコイル10As1、第2のU相用サブコイル10As2、第3のU相用サブコイル10As3及び第4のU相用サブコイル10As4の巻き数の関係をまとめると、4個のサブコイル10Asのうちの2個のサブコイル10As1、10As3のそれぞれの巻き数が1.5巻すなわちM−0.5巻であり、4個のサブコイル10Asのうちの他の2個のサブコイル10As2、10As4のそれぞれの巻き数が2.5巻すなわちM+0.5巻である。
さらに、3個のU相用接続部材の位置をまとめると、4個のサブコイル10Asのうちの2個のサブコイルのそれぞれの巻き数がM+0.5巻であり他の2個のサブコイルのそれぞれの巻き数がM−0.5巻であることから、2個のU相用接続部材10Ac1、10Ac3は、反リード側に位置している。
次に、V相コイル20Aについて説明する。なお、U相コイル10Aと同様の説明は、省略する。
V相コイル20Aは、NV=N個すなわち4個のV相用サブコイル20Asと、(NV−1)=(N−1)個すなわち3個のV相用接続部材20Acと、を有する。
4個のV相用サブコイル20Asは、電源端子に接続されるV相コイル20Aの2つの導線端部のうちの一端側から他端側に向かって、繋ぎ合わされる順番に、第1のV相用サブコイル20As1、第2のV相用サブコイル20As2、第3のV相用サブコイル20As3、第4のV相用サブコイル20As4である。それぞれのV相用サブコイル20Asの巻き数は、1以上の任意の整数をMとしてV相コイル20Aの総巻き数をN×Mとした場合、平均M巻すなわち平均2巻である。
3個のV相用接続部材20Acは、第1のV相用接続部材20Ac1と、第2のV相用接続部材20Ac2と、第3のV相用接続部材20Ac3と、である。
図6及び図8に示すように、第1のV相用サブコイル20As1、第2のV相用サブコイル20As2、第3のV相用サブコイル20As3及び第4のV相用サブコイル20As4は、それぞれ、第1のU相用サブコイル10As1、第2のU相用サブコイル10As2、第3のU相用サブコイル10As3及び第4のU相用サブコイル10As4と同じ巻き数、すなわち、1.5巻き、2.5巻き、1.5巻き及び2.5巻きを有する。
そして、第1のV相用サブコイル20As1、第2のV相用サブコイル20As2、第3のV相用サブコイル20As3及び第4のV相用サブコイル20As4は、それぞれ、第1のU相用サブコイル10As1、第2のU相用サブコイル10As2、第3のU相用サブコイル10As3及び第4のU相用サブコイル10As4が挿入されるスロットからスロット個数2個分ずれたスロットに挿入される。
さらに、図6及び図8に示すように、第1のV相用接続部材20Ac1、第2のV相用接続部材20Ac2及び第3のV相用接続部材20Ac3は、それぞれ、それらが互いに直列に繋ぎ合わせるV相用サブコイル20Aの巻き数の関係から、反リード側、リード側及び反リード側に位置する。
ここで、第1のV相用サブコイル20As1、第2のV相用サブコイル20As2、第3のV相用サブコイル20As3及び第4のV相用サブコイル20As4の巻き数の関係をまとめると、4個のサブコイル20Asのうちの2個のサブコイル20As1、20As3のそれぞれの巻き数が1.5巻すなわちM−0.5巻であり、4個のサブコイル20Asのうちの他の2個のサブコイル20As2、20As4のそれぞれの巻き数が2.5巻すなわちM+0.5巻である。
さらに、3個のV相用接続部材の位置をまとめると、4個のサブコイル20Asのうちの2個のサブコイルのそれぞれの巻き数がM+0.5巻であり他の2個のサブコイルのそれぞれの巻き数がM−0.5巻であることから、2個のV相用接続部材20Ac1、20Ac3は、反リード側に位置している。
次に、W相コイル30Aについて説明する。なお、U相コイル10A及びU相コイル20Aと同様の説明は、省略する。
W相コイル30Aは、NW=N個すなわち4個のW相用サブコイル30Asと、(NW−1)=(N−1)個すなわち3個のW相用接続部材30Acと、を有する。
4個のW相用サブコイル30Asは、電源端子に接続されるW相コイル30Aの2つの導線端部のうちの一端側から他端側に向かって、繋ぎ合わされる順番に、第1のW相用サブコイル30As1、第2のW相用サブコイル30As2、第3のW相用サブコイル30As3、第4のW相用サブコイル30As4である。それぞれのW相用サブコイル30Asの巻き数は、1以上の任意の整数をMとしてW相コイル30Aの総巻き数をN×Mとした場合、平均M巻すなわち平均2巻である。
3個のW相用接続部材30Acは、第1のW相用接続部材30Ac1と、第2のW相用接続部材30Ac2と、第3のW相用接続部材30Ac3と、である。
図6及び図9に示すように、第1のW相用サブコイル30As1、第2のW相用サブコイル30As2、第3のW相用サブコイル30As3及び第4のW相用サブコイル30As4は、それぞれ、第1のV相用サブコイル20As1、第2のV相用サブコイル20As2、第3のV相用サブコイル20As3及び第4のV相用サブコイル20As4と同じ巻き数、すなわち、1.5巻き、2.5巻き、1.5巻き及び2.5巻きを有する。
そして、第1のW相用サブコイル30As1、第2のW相用サブコイル30As2、第3のW相用サブコイル30As3及び第4のW相用サブコイル30As4は、それぞれ、第1のV相用サブコイル20As1、第2のV相用サブコイル20As2、第3のV相用サブコイル20As3及び第4のV相用サブコイル20As4が挿入されるスロットからスロット個数2個分ずれたスロットに挿入される。
さらに、図6及び図9に示すように、第1のW相用接続部材30Ac1、第2のW相用接続部材30Ac2及び第3のW相用接続部材30Ac3は、それぞれ、それらが互いに直列に繋ぎ合わせるW相用サブコイル30Aの巻き数の関係から、反リード側、リード側及び反リード側に位置する。
ここで、第1のW相用サブコイル30As1、第2のW相用サブコイル30As2、第3のW相用サブコイル30As3及び第4のW相用サブコイル30As4の巻き数の関係をまとめると、4個のサブコイル30Asのうちの2個のサブコイル30As1、30As3のそれぞれの巻き数が1.5巻すなわちM−0.5巻であり、4個のサブコイル30Asのうちの他の2個のサブコイル30As2、30As4のそれぞれの巻き数が2.5巻すなわちM+0.5巻である。
さらに、3個のW相用接続部材の位置をまとめると、4個のサブコイル30Asのうちの2個のサブコイルのそれぞれの巻き数がM+0.5巻であり他の2個のサブコイルのそれぞれの巻き数がM−0.5巻であることから、2個のW相用接続部材30Ac1、30Ac3は、反リード側に位置している。
次に本発明の第1の実施の形態に係る三相電動機1Aについて、コイル巻線方法を説明する。なお、第1の実施の形態において、N=4であり、M=2である。
(準備工程)
まず、ステータSTと、U相コイル10A、V相コイル20A及びW相コイル30Aのそれぞれについて4個のサブコイルと、U相コイル10A、V相コイル20A及びW相コイル30Aのそれぞれについて3個の接続部材と、を準備する工程を行う(以下、「準備工程」という。)。
ステータSTは、3N個のスロットすなわち12個のスロットを有する。
U相コイル10Aについて4個のサブコイルは、上記第1の実施の形態と同じ、4個のU相用サブコイル10Asである。
U相コイル10Aについて3個の接続部材は、上記第1の実施の形態と同じ、3個のU相用接続部材10Acである。
同様に、V相コイル20Aについて4個のサブコイルは、上記第1の実施の形態と同じ、4個のV相用サブコイル20Asである。
V相コイル20Aについて3個の接続部材は、上記第1の実施の形態と同じ、3個のV相用接続部材20Acである。
同様に、W相コイル30Aについて4個のサブコイルは、上記第1の実施の形態と同じ、4個のW相用サブコイル30Asである。
W相コイル30Aについて3個の接続部材は、上記第1の実施の形態と同じ、3個のW相用接続部材30Acである。
4個のU相用サブコイル10Asのうち、第1のU相用サブコイル10As1及び第3のU相用サブコイル10As1すなわち2個のU相用サブコイル10Asのそれぞれの巻き数は、1.5巻すなわちM−0.5巻であり、第2のU相用サブコイル10As2及び第4のU相用サブコイル10As4すなわち他の2個のU相用サブコイル10Asのそれぞれの巻き数は、2.5巻すなわちM+0.5巻である。
同様に、4個のV相用サブコイル20Asのうち、2個のV相用サブコイル20Asのそれぞれの巻き数は、1.5巻すなわちM−0.5巻であり、他の2個のV相用サブコイル20Asのそれぞれの巻き数は、2.5巻すなわちM+0.5巻である。
同様に、4個のW相用サブコイル30Asのうち、2個のW相用サブコイル30Asのそれぞれの巻き数は、1.5巻すなわちM−0.5巻であり、他の2個のW相用サブコイル30Asのそれぞれの巻き数は、2.5巻すなわちM+0.5巻である。
(サブコイル挿入工程)
次に、4個のU相用サブコイル10As、4個のV相用サブコイル20As、4個のW相用サブコイル30AsをステータSTの3N個のスロットslのうちから極数に応じて選ばれる複数個のスロットに順次挿入する工程(以下、「サブコイル挿入工程」という。)を説明する。
図10から図21までは、本発明の第1の実施の形態に係る三相電動機1Aの12スロットのステータSTのスロットslにU相用サブコイル10As、V相用サブコイル20As、W相用サブコイル30Asを順次挿入する工程を示す。図10から図21までの順次挿入する全ての工程についての説明は、一部省略することとするが、代表的な部分について、説明する。
図10に示すように、第1のU相用サブコイル10As1は、第1のスロットsl1の中の径方向内側と第7のスロットsl7の中の径方向外側とに挿入されて、ステータSTの軸方向の両端面で周方向に沿いながら湾曲して、ステータSTに巻かれる。
同様に、図11に示されるように、第2のU相用サブコイル10As2は、第2のスロットsl2の中の径方向内側と第8のスロットsl8の中の径方向外側とに挿入されて、ステータSTの軸方向の両端面で周方向に、かつ、第1のU相用サブコイル10As1に沿いながら湾曲して、ステータSTに巻かれる。この時、第2のU相用サブコイル10As2の挿入に際して、先に挿入された第1のU相用サブコイル10As1が干渉することはない。
以下、図12から図15まで同様に、第1のV相用サブコイル20As1、第2のV相用サブコイル20As2、第1のW相用サブコイル30As1及び第2のW相用サブコイル30As2のそれぞれのサブコイルが順次挿入される。このとき、挿入に際して、先に挿入されたサブコイルが干渉することはない。
一方、図16に示すように、第3のU相用サブコイル10As3は、第7のスロットsl7の中の径方向内側と第1のスロットsl1の中の径方向外側とに挿入されて、ステータSTの軸方向の両端面で周方向に沿いながら湾曲して、ステータSTに巻かれる。この時、先に第1のスロットsl1の中の径方向内側に挿入された第1のU相用サブコイル10As1が、この位置に留まっていると、第1のスロットsl1の中の径方向外側に挿入されようとする第3のU相用サブコイル10As3の挿入に干渉することとなる。
しかし、第1のU相用サブコイル10As1は、未だその導線端部が繋ぎ合わされていないので、一旦、第1のスロットsl1から出されることができ、これにより、上記の干渉を防止することができる。
同様に、図17に示されるように、第4のU相用サブコイル10As4が第8のスロットsl8の中の径方向内側と第2のスロットsl2の中の径方向外側とに挿入されるが、第4のU相用サブコイル10As4を挿入する工程において、先に挿入された第1のU相用サブコイル10As1及び第2のU相用サブコイル10As2が、この位置に留まっていると、干渉することとなる。しかし、第1のU相用サブコイル10As1及び第2のU相用サブコイル10As2は、未だそれらの導線端部が繋ぎ合わされていないので、一旦、挿入されているスロットslから出されることにより、上記の干渉を防止することができる。
以下、図18から図21までに示されるサブコイル挿入工程において、先に挿入されたサブコイルを一旦スロットから出すことによって、後から挿入するサブコイルへの干渉を防止することができる。
このようにして、本コイル巻線方法によれば、サブコイルの導線の端部同士が繋がったままの状態で一相分のコイル10A、20A、30AをステータSTのスロットslに挿入する作業手順において生じる作業の困難性を解消することができるという効果が理解される。
(サブコイル繋ぎ合わせ工程)
次に、4個のU相用サブコイル10As、4個のV相用サブコイル20As、4個のW相用サブコイル30Asを、それぞれの相についてそれぞれのサブコイルの導線端部同士を互いに直列に繋ぎ合わせることによって、U相コイル10A、V相コイル20A、W相コイル30Aを構成する工程(以下、「サブコイル繋ぎ合わせ工程」という。)を説明する。
U相コイル10Aについては、第1の実施の形態の説明と重複するので、詳細には延べないが、第1のU相用サブコイル10As1の巻き終りの導線端部と第2のU相用サブコイル10As2の巻き始めの導線端部とが反リード側に位置するので、それらの導線端部同士を反リード側で第1のU相用接続部材10Ac1で直列に繋ぎ合わせる。
同様に、第2のU相用サブコイル10As2の巻き終りの導線端部と第3のU相用サブコイル10As3の巻き始めの導線端部とがリード側に位置するので、それらの導線端部同士をリード側で第2のU相用接続部材10Ac2で直列に繋ぎ合わせる。
同様に、第3のU相用サブコイル10As3の巻き終りの導線端部と第4のU相用サブコイル10As4の巻き始めの導線端部とが反リード側に位置するので、それらの導線端部同士を反リード側で第3のU相用接続部材10Ac3で直列に繋ぎ合わせる。
これにより、4個のU相用サブコイル10Asは、第1のU相用接続部材10Ac1、第2のU相用接続部材10Ac2及び第3のU相用接続部材10Ac3で繋ぎ合わされることで、1つのU相コイル10Aを構成する。
V相コイル20Aについても、同様に、第1のV相用サブコイル20As1の巻き終りの導線端部と第2のV相用サブコイル20As2の巻き始めの導線端部とが反リード側に位置するので、それらの導線端部同士を反リード側で第1のV相用接続部材20Ac1で直列に繋ぎ合わせる。
同様に、第2のV相用サブコイル20As2の巻き終りの導線端部と第3のV相用サブコイル20As3の巻き始めの導線端部とがリード側に位置するので、それらの導線端部同士をリード側で第2のV相用接続部材20Ac2で直列に繋ぎ合わせる。
同様に、第3のV相用サブコイル20As3の巻き終りの導線端部と第4のV相用サブコイル20As4の巻き始めの導線端部とが反リード側に位置するので、それらの導線端部同士を反リード側で第3のV相用接続部材20Ac3で直列に繋ぎ合わせる。
これにより、4個のV相用サブコイル20Asは、第1のV相用接続部材20Ac1、第2のV相用接続部材20Ac2及び第3のV相用接続部材20Ac3で繋ぎ合わされることで、1つのV相コイル20Aを構成する。
W相コイル30Aについても、同様に、第1のW相用サブコイル30As1の巻き終りの導線端部と第2のW相用サブコイル30As2の巻き始めの導線端部とが反リード側に位置するので、それらの導線端部同士を反リード側で第1のW相用接続部材30Ac1で直列に繋ぎ合わせる。
同様に、第2のW相用サブコイル30As2の巻き終りの導線端部と第3のW相用サブコイル30As3の巻き始めの導線端部とがリード側に位置するので、それらの導線端部同士をリード側で第2のW相用接続部材30Ac2で直列に繋ぎ合わせる。
同様に、第3のW相用サブコイル30As3の巻き終りの導線端部と第4のW相用サブコイル30As4の巻き始めの導線端部とが反リード側に位置するので、それらの導線端部同士を反リード側で第3のW相用接続部材30Ac3で直列に繋ぎ合わせる。
これにより、4個のW相用サブコイル30Asは、第1のW相用接続部材30Ac1、第2のW相用接続部材30Ac2及び第3のW相用接続部材30Ac3で繋ぎ合わされることで、1つのW相コイル30Aを構成する。
三相電動機1A及び上記コイル巻線方法によれば、U相コイル10A、V相コイル20A及びW相コイル30Aについて、それぞれ、4個のサブコイル10As1、10As2、10As3、10As4、4個のサブコイル20As1、20As2、20As3、20As4及び4個のサブコイル30As1、30As2、30As3、30As4の導線端部同士が繋がったままの一相分のコイル10A、20A、30AをステータSTのスロットslに挿入する必要がなく、前記4個のサブコイルを極数に応じて選ばれる複数個のスロットslに順次挿入してから、前記4個のサブコイルの導線の端部同士を3個の接続部材で繋ぎ合わせればよいので、サブコイルの導線の端部同士が繋がったままの状態で一相分のコイル10A、20A、30AをステータSTのスロットslに挿入する作業手順において生じる作業の困難性を解消することができる。
上記効果は、U相コイル10A、V相コイル20A及びW相コイル30Aについて、導線の端部同士が繋ぎ合わされていない前記4個のサブコイルを極数に応じて選ばれる複数個のスロットslに順次挿入する工程を詳細に示す図10から図21までによって、より明らかとなる。
さらに、三相電動機1A及び上記コイル巻線方法によれば、U相コイル10A、V相コイル20A及びW相コイル30Aのそれぞれについて3個の接続部材のうちの2個の接続部材が反リード側に位置することにより、コイルエンドの高さを低減することができる。すなわち、三相電動機1A及び上記コイル巻線方法によれば、U相コイル10A、V相コイル20A及びW相コイル30Aのそれぞれについて、4個のサブコイルのうちの全てのサブコイルの巻き数が半整数であることにより、3個の接続部材のうちの2個の接続部材は、反リード側に位置するので、3個の接続部材がリード側と反リード側とに分散する。したがって、三相電動機1A及び上記コイル巻線方法によれば、コイルエンドの高さを低減することができる。これに対し、参考例の三相電動機1Pのように全てのサブコイルの巻き数が整数である場合には、サブコイルの巻き始めの導線端部と巻き終りの導線端部とがリード側に位置することとなるため、導線端部同士を繋ぎ合わせる全ての接続部材もリード側に位置することとなる。この場合には、一定の大きさ及び剛性を有する接続部材がリード側で軸方向に重なり合い三相電動機のコイルエンドの高さが大きくなる。
また、上記作用効果を言い換えると、三相電動機1AのU相コイル10A、V相コイル20A及びW相コイル30Aのそれぞれについて、4個のサブコイルのうちの2個のサブコイルのそれぞれの巻き数がM−0.5であり4個のサブコイルのうちの他の2個のサブコイルのそれぞれの巻き数がM+0.5であることにより、3個の接続部材のうちの2個の接続部材は、反リード側に位置する。すなわち、U相コイル10A、V相コイル20A及びW相コイル30Aの全てのコイルにおける計9個の接続部材のうち3個の接続部材がリード側に位置し6個の接続部材が反リード側に位置して、一定の大きさ及び剛性を有する計9個の接続部材がリード側と反リード側とに分散するので、コイルエンドの高さを低減することができる。
したがって、三相電動機1A及び上記コイル巻線方法によれば、上記2つの課題を共に解決することができる。
以上が第1の実施の形態及びコイル巻線方法の説明であるが、本発明は、第1の実施の形態に限定されず、例えば、U相コイル、V相コイル及びW相コイルの全てのサブコイルの巻き数が半整数である必要はなく、一部のサブコイルの巻き数が半整数であるものについても、成立する。
そこで次に、一部のサブコイルの巻き数が半整数であるものとして、本発明の好ましい第2の実施の形態を図22から図25に基づいて説明する。なお、第1の実施の形態と同様の説明は、省略する。
図22に示される三相電動機1Bは、ステータSTと、ロータ(図示せず)と、U相コイル10Bと、V相コイル20Bと、W相コイル30Bと、を備える。三相電動機1Bにおいて、極数は2であり、N=4であり、M=2である。ステータSTは、12個のスロットslを有する。なお、本第2の実施の形態においても、NU=NV=NW=Nである。
V相コイル20B及びW相コイル30Bは、第1の実施の形態のV相コイル20A及びW相コイル30Aと、全く同じ構成を有している。
U相コイル10Bは、第1のU相用サブコイル10Bs1の巻き数と第2のU相用サブコイル10Bs2の巻き数と第1のU相用接続部材10Bc1とについてのみ、第1の実施の形態のU相コイル10Aと異なる構成を有している。
すなわち、第1のU相用サブコイル10Bs1の巻き数は、2巻であり、第2のU相用サブコイル10Bs2の巻き数も、2巻である。
これにともない、図22及び図23に示すように、第1のU相用サブコイル10Bs1の巻き終りの導線端部は、巻き始めの導線端部がリード側に位置し第1のU相用サブコイル10Bs1の巻き数が整数であることから、リード側に位置する。したがって、当該巻き終りの導線端部と繋ぎ合わされることとなる第2のU相用サブコイル10Bs2の巻き始めの導線端部も、リード側に位置する。したがって、それらの導線端部同士を直列に繋ぎ合わせる第1のU相用接続部材10Bc1は、リード側に位置する。なお、第2のU相用サブコイル10Bs2の巻き終りの導線端部も、第2のU相用サブコイル10Bs2の巻き数が整数であることから、リード側に位置する。
三相電動機1Bは、U相コイル10Bの上記の点を除いて、第1の実施の形態の三相電動機1Aと同じ構成を有している。
三相電動機1Bによれば、U相コイル10B、V相コイル20B及びW相コイル30Bは、それぞれ、4個のサブコイル10Bs1、10Bs2、10Bs3、10Bs4、4個のサブコイル20Bs1、20Bs2、20Bs3、20Bs4及び4個のサブコイル30Bs1、30Bs2、30Bs3、30Bs4が3個の接続部材10Bc1、10Bc2、10Bc3、3個の接続部材20Bc1、20Bc2、20Bc3及び3個の接続部材30Bc1、30Bc2、30Bc3によってそれぞれの導線端部同士を互いに直列に繋ぎ合わされて構成されているので、サブコイルの導線端部同士が繋がったままの一相分のコイル10B、20B、30BをステータSTのスロットslに挿入する必要がなく、前記4個のサブコイルを極数に応じて選ばれる複数個のスロットslに順次挿入してから、前記4個のサブコイルの導線の端部同士を前記3個の接続部材で繋ぎ合わせればよいので、サブコイルの導線の端部同士が繋がったままの状態で一相分のコイル10B、20B、30BをステータSTのスロットslに挿入する作業手順において生じる作業の困難性を解消することができる。
さらに、三相電動機1Bによれば、計9個の接続部材のうちの5個の接続部材が反リード側に位置することにより、コイルエンドの高さを低減することができる。すなわち、三相電動機1Bによれば、図10に示されるように、U相コイル10Bについて4個のサブコイルのうちの2個のサブコイルが半整数であることにより3個の接続部材10Bc1、10Bc2、10Bc3のうちの1個の接続部材10Bc3が反リード側に位置し、V相コイル20B及びW相コイル30Bのそれぞれについて4個のサブコイルのうちの全てのサブコイルの巻き数が半整数であることにより3個の接続部材のうちの2個の接続部材が反リード側に位置するので、複数個の接続部材がリード側と反リード側とに分散する。したがって、三相電動機1Bによれば、コイルエンドの高さを低減することができる。これに対し、参考例の三相電動機1Pのように全てのサブコイルの巻き数が整数である場合には、全ての接続部材がリード側に位置することとなる。この場合には、一定の大きさ及び剛性を有する接続部材がリード側で軸方向に重なり合い三相電動機のコイルエンドの高さが大きくなる。
また、上記作用効果を言い換えると、三相電動機1BのU相コイル10Bについて4個のサブコイルのうちの1個のサブコイル10Bs3の巻き数がM−0.5であり他の1個のサブコイル10Bs4の巻き数がM+0.5であり、V相コイル20B及びW相コイル30Bのそれぞれについて4個のサブコイルのうちの2個のサブコイルのそれぞれの巻き数がM−0.5であり4個のサブコイルのうちの他の2個のサブコイルのそれぞれの巻き数がM+0.5であることにより、U相コイル10B、V相コイル20B及びW相コイル30Bの全てのコイルにおける計9個の接続部材のうち4個の接続部材がリード側に位置し5個の接続部材が反リード側に位置して、一定の重さ、大きさ及び剛性を有する9個の接続部材がリード側と反リード側とに分散するので、コイルエンドの高さが低減されるとともに、三相電動機1Bの重心がステータ軸方向の中心寄りとなり三相電動機1Bが安定することができる。
さらに、上記作用効果を言い換えると、N=4を前提として、U相コイル10Bについて、NU−1=N−1=3が奇数であるので、(NU−1)個の接続部材すなわち3個の接続部材のうち、(NU−2)/2個の接続部材すなわち1個の接続部材10Bc3は、反リード側に位置する。一方、V相コイル20B及びW相コイル30Bのそれぞれについて、(NV−1)=(NW−1)=(N−1)個の接続部材すなわち3個の接続部材のうち、NV/2=NW/2=N/2個の接続部材すなわち2個の接続部材は、反リード側に位置する。これにより、U相コイル10B、V相コイル20B及びW相コイル30Bの全てのコイルにおいて、一定の重さ、大きさ及び剛性を有する計9個の接続部材のうちの約半数ずつの接続部材がリード側と反リード側とに分散するので、コイルエンドの高さが低減されるとともに、三相電動機1Bの重心がステータ軸方向の中心寄りとなり三相電動機1Bが安定することができる。
したがって、三相電動機1Bによれば、上記2つの課題を共に解決することができる。
以上が第1の実施の形態、コイル巻線方法及び第2の実施の形態の説明であるが、本発明は、それらに限定されず、例えば、ステータのスロット数が12スロットである必要はなく、24スロットであるものについても、成立する。
そこで次に、ステータのスロット数が24スロットであるものとして、本発明の好ましい第3の実施の形態を図26から図29に基づいて説明する。なお、第1の実施の形態及び第2の実施の形態と同様の説明は、省略する。
図26に示される三相電動機1Cは、ステータSTと、ロータ(図示せず)と、U相コイル10Cと、V相コイル20Cと、W相コイル30Cと、を備える。三相電動機1Cにおいて、極数は4であり、N=8であり、M=2である。ステータSTは、3N個すなわち24個のスロットslを有する。なお、本第3の実施の形態においても、NU=NV=NW=Nである。
U相コイル10C、V相コイル20C及びW相コイル30Cは、それぞれ、ステータSTが有する24個のスロットslのうちから極数に応じて選ばれる複数個のスロットslに挿入される。具体的には、U相コイル10Cは、第1のスロットsl1、第2のスロットsl2、第7のスロットsl7、第8のスロットsl8、第13のスロットsl13、第14のスロットsl14、第19のスロットsl19及び第20のスロットsl20に挿入される。V相コイル20Cは、第3のスロットsl3、第4のスロットsl4、第9のスロットsl9、第10のスロットsl10、第15のスロットsl15、第16のスロットsl16、第21のスロットsl21及び第22のスロットsl22に挿入される。W相コイル30Cは、第5のスロットsl5、第6のスロットsl6、第11のスロットsl11、第12のスロットsl12、第17のスロットsl17、第18のスロットsl18、第23のスロットsl23、第24のスロットsl24に挿入される。
U相コイル10Cは、NU=N個すなわち8個のU相用サブコイル10Csと、(NU−1)=(N−1)個すなわち7個のU相用接続部材10Ccと、を有する。それぞれのU相用サブコイル10Csの巻き数は、U相コイル10Aの総巻き数をN×Mとした場合、平均M巻きすなわち平均2巻である。
8個のU相用サブコイル10Csは、電源端子に接続されるU相コイル10Cの2つの導線端部のうちの一端側から他端側に向かって、繋ぎ合わされる順番に、第1のU相用サブコイル10Cs1、第2のU相用サブコイル10Cs2、第3のU相用サブコイル10Cs3、第4のU相用サブコイル10Cs4、第5のU相用サブコイル10Cs5、第6のU相用サブコイル10Cs6、第7のU相用サブコイル10Cs7、第8のU相用サブコイル10Cs8である。そして、8個のU相用サブコイル10Csの巻き数について、第1のU相用サブコイル10Cs1、第3のU相用サブコイル10Cs3、第5のU相用サブコイル10Cs5及び第7のU相用サブコイル10Cs7のそれぞれの巻き数は、15巻すなわちM−0.5巻であり、第2のU相用サブコイル10Cs2、第4のU相用サブコイル10Cs4、第6のU相用サブコイル10Cs6及び第8のU相用サブコイル10Cs8のそれぞれの巻き数は、2.5巻すなわちM+0.5巻である。
7個のU相用接続部材10Ccは、第1のU相用接続部材10Cc1、第2のU相用接続部材10Cc2、第3のU相用接続部材10Cc3、第4のU相用接続部材10Cc4、第5のU相用接続部材10Cc5、第6のU相用接続部材10Cc6、第7のU相用接続部材10Cc7である。
図26及び図27に示すように、U相コイル10Cについて、第1のU相用サブコイル10Cs1から第4のU相用サブコイル10Cs4までの、スロットslへの挿入位置、挿入順序、並びに、第1のU相用接続部材10Cc1、第2のU相用接続部材10Cc2及び第3のU相用接続部材10Cc3による接続位置は、全て、第1の実施の形態のU相コイル10Aと同じ構成を有している。
すなわち、第1のU相用接続部材10Cc1及び第3のU相用接続部材10Cc3は、反リード側に位置している。第2のU相用接続部材10Cc2は、リード側に位置している。
続いて、U相コイル10Cについて、第5のU相用サブコイル10Cs5から第8のU相用サブコイル10Cs8までの、スロットslへの挿入位置、挿入順序、並びに、第4のU相用接続部材10Cc4、第5のU相用接続部材10Cc5、第6のU相用接続部材10Cc6及び第7のU相用接続部材10Cc7による接続位置について、詳細に説明する。
図26及び図27に示すように、第5のU相用サブコイル10Cs5は、第13のスロットsl13の中の径方向内側と第19のスロットsl19の中の径方向外側とに挿入されている。第5のU相用サブコイル10Cs5の巻き始めの導線端部は、リード側に位置する。
図26及び図27に示すように、第4のU相用サブコイル10Cs4の巻き終りの導線端部は、巻き始めの導線端部が反リード側に位置し第4のU相用サブコイル10Cs4の巻き数が半整数であることから、リード側に位置する。したがって、当該巻き終りの導線端部と繋ぎ合わされることとなる第5のU相用サブコイル10Cs5の巻き始めの導線端部も、リード側に位置する。したがって、それらの導線端部同士を直列に繋ぎ合わせる第4のU相用接続部材10Cc4は、リード側に位置する。
図26及び図27に示すように、第6のU相用サブコイル10Cs6は、第14のスロットsl14の中の径方向内側と第20のスロットsl20の中の径方向外側とに挿入されている。
図26及び図27に示すように、第5のU相用サブコイル10Cs5の巻き終りの導線端部は、巻き始めの導線端部がリード側に位置し第5のU相用サブコイル10Cs5の巻き数が半整数であることから、反リード側に位置する。したがって、当該巻き終りの導線端部と繋ぎ合わされることとなる第6のU相用サブコイル10Cs6の巻き始めの導線端部も、反リード側に位置する。したがって、それらの導線端部同士を直列に繋ぎ合わせる第5のU相用接続部材10Cc5は、反リード側に位置する。
図26及び図27に示すように、第7のU相用サブコイル10Cs7は、第13のスロットsl13の中の径方向外側と第19のスロットsl19の中の径方向内側とに挿入されている。
図26及び図27に示すように、第6のU相用サブコイル10Cs6の巻き終りの導線端部は、巻き始めの導線端部が反リード側に位置し第6のU相用サブコイル10Cs6の巻き数が半整数であることから、リード側に位置する。したがって、当該巻き終りの導線端部と繋ぎ合わされることとなる第7のU相用サブコイル10Cs7の巻き始めの導線端部も、リード側に位置する。したがって、それらの導線端部同士を直列に繋ぎ合わせる第6のU相用接続部材10Cc6は、リード側に位置する。
図26及び図27に示すように、第8のU相用サブコイル10Cs8は、第14のスロットsl14の中の径方向外側と第20のスロットsl20の中の径方向内側とに挿入されている。
図26及び図27に示すように、第7のU相用サブコイル10Cs7の巻き終りの導線端部は、巻き始めの導線端部がリード側に位置し第7のU相用サブコイル10Cs7の巻き数が半整数であることから、反リード側に位置する。したがって、当該巻き終りの導線端部と繋ぎ合わされることとなる第8のU相用サブコイル10Cs8の巻き始めの導線端部も、反リード側に位置する。したがって、それらの導線端部同士を直列に繋ぎ合わせる第7のU相用接続部材10Cc7は、反リード側に位置する。なお、第8のU相用サブコイル10Cs8の巻き終りの導線端部すなわちU相コイル10Cの巻き終りの導線端部は、第8のU相用サブコイル10Cs8の巻き数が半整数であることから、リード側に位置する。
ここで、7個のU相用接続部材の位置をまとめると、8個のサブコイル10Asのうちの4個のサブコイルのそれぞれの巻き数がM+0.5巻であり他の4個のサブコイルのそれぞれの巻き数がM−0.5巻であることから、4個のU相用接続部材10Cc1、10Cc3、10Cc5、10Cc7は、反リード側に位置している。
次に、V相コイル20Cについて説明する。なお、U相コイル10Cと同様の説明は、省略する。
V相コイル20Cは、NV=N個すなわち8個のV相用サブコイル20Csと、(NV−1)=(N−1)個すなわち7個のV相用接続部材20Ccと、を有する。それぞれのV相用サブコイル20Csの巻き数は、V相コイル20Cの総巻き数をN×Mとした場合、平均M巻きすなわち平均2巻である。
8個のV相用サブコイル20Csは、電源端子に接続されるV相コイル20Cの2つの導線端部のうちの一端側から他端側に向かって、繋ぎ合わされる順番に、第1のV相用サブコイル20Cs1、第2のV相用サブコイル20Cs2、第3のV相用サブコイル20Cs3、第4のV相用サブコイル20Cs4、第5のV相用サブコイル20Cs5、第6のV相用サブコイル20Cs6、第7のV相用サブコイル20Cs7、第8のV相用サブコイル20Cs8である。そして、8個のV相用サブコイル20Csの巻き数について、第1のV相用サブコイル20Cs1、第3のV相用サブコイル20Cs3、第5のV相用サブコイル20Cs5及び第7のV相用サブコイル20Cs7のそれぞれの巻き数は、15巻すなわちM−0.5巻であり、第2のV相用サブコイル20Cs2、第4のV相用サブコイル20Cs4、第6のV相用サブコイル20Cs6及び第8のV相用サブコイル20Cs8のそれぞれの巻き数は、2.5巻すなわちM+0.5巻である。
そして、図26及び図28に示すように、第1のV相用サブコイル20Cs1、第2のV相用サブコイル20Cs2、第3のV相用サブコイル20Cs3、第4のV相用サブコイル20Cs4、第5のV相用サブコイル20Cs5、第6のV相用サブコイル20Cs6、第7のV相用サブコイル20Cs7、第8のV相用サブコイル20Cs8は、それぞれ、第1のU相用サブコイル10Cs1、第2のU相用サブコイル10Cs2、第3のU相用サブコイル10Cs3、第4のU相用サブコイル10Cs4、第5のU相用サブコイル10Cs5、第6のU相用サブコイル10Cs6、第7のU相用サブコイル10Cs7、第8のU相用サブコイル10Cs8が挿入されるスロットからスロット個数2個分ずれたスロットに挿入される。
図26及び28に示すように、7個のV相用接続部材20Ccについて、8個のサブコイル20Csのうちの4個のサブコイルのそれぞれの巻き数がM+0.5巻であり他の4個のサブコイルのそれぞれの巻き数がM−0.5巻であることから、4個のV相用接続部材20Cc1、20Cc3、20Cc5、20Cc7は、反リード側に位置している。
次に、W相コイル30Cについて説明する。なお、U相コイル10Cと同様の説明は、省略する。
W相コイル30Cは、NW=N個すなわち8個のW相用サブコイル30Csと、(NW−1)=(N−1)個すなわち7個のW相用接続部材30Ccと、を有する。それぞれのW相用サブコイル30Csの巻き数は、W相コイル30Cの総巻き数をN×Mとした場合、平均M巻きすなわち平均2巻である。
8個のW相用サブコイル30Csは、電源端子に接続されるW相コイル30Cの2つの導線端部のうちの一端側から他端側に向かって、繋ぎ合わされる順番に、第1のW相用サブコイル30Cs1、第2のW相用サブコイル30Cs2、第3のW相用サブコイル30Cs3、第4のW相用サブコイル30Cs4、第5のW相用サブコイル30Cs5、第6のW相用サブコイル30Cs6、第7のW相用サブコイル30Cs7、第8のW相用サブコイル30Cs8である。そして、8個のW相用サブコイル30Csの巻き数について、第1のW相用サブコイル30Cs1、第3のW相用サブコイル30Cs3、第5のW相用サブコイル30Cs5及び第7のW相用サブコイル30Cs7のそれぞれの巻き数は、15巻すなわちM−0.5巻であり、第2のW相用サブコイル30Cs2、第4のW相用サブコイル30Cs4、第6のW相用サブコイル30Cs6及び第8のW相用サブコイル30Cs8のそれぞれの巻き数は、2.5巻すなわちM+0.5巻である。
そして、図26及び図29に示すように、第1のW相用サブコイル30Cs1、第2のW相用サブコイル30Cs2、第3のW相用サブコイル30Cs3、第4のW相用サブコイル30Cs4、第5のW相用サブコイル30Cs5、第6のW相用サブコイル30Cs6、第7のW相用サブコイル30Cs7、第8のW相用サブコイル30Cs8は、それぞれ、第1のV相用サブコイル20Cs1、第2のV相用サブコイル20Cs2、第3のV相用サブコイル20Cs3、第4のV相用サブコイル20Cs4、第5のV相用サブコイル20Cs5、第6のV相用サブコイル20Cs6、第7のV相用サブコイル20Cs7、第8のV相用サブコイル20Cs8が挿入されるスロットからスロット個数2個分ずれたスロットに挿入される。
図26及び29に示すように、7個のW相用接続部材30Ccについて、8個のサブコイル30Csのうちの4個のサブコイルのそれぞれの巻き数がM+0.5巻であり他の4個のサブコイルのそれぞれの巻き数がM−0.5巻であることから、4個のW相用接続部材30Cc1、30Cc3、30Cc5、30Cc7は、反リード側に位置している。
三相電動機1Cによれば、U相コイル10C、V相コイル20C及びW相コイル30Cは、それぞれ、8個のサブコイルが7個の接続部材によってそれぞれの導線端部同士を互いに直列に繋ぎ合わされて構成されているので、サブコイルの導線端部同士が繋がったままの一相分のコイル10C、20C、30CをステータSTのスロットslに挿入する必要がなく、前記8個のサブコイルを極数に応じて選ばれる複数個のスロットslに順次挿入してから、前記8個のサブコイルの導線の端部同士を前記7個の接続部材で繋ぎ合わせればよいので、サブコイルの導線の端部同士が繋がったままの状態で一相分のコイル10C、20C、30CをステータSTのスロットslに挿入する作業手順において生じる作業の困難性を解消することができる。
さらに、三相電動機1Cによれば、U相コイル10C、V相コイル20C及びW相コイル30Cのそれぞれについて7個の接続部材のうちの4個の接続部材が反リード側に位置することにより、コイルエンドの高さを低減することができる。すなわち、三相電動機1Cによれば、U相コイル10C、V相コイル20C及びW相コイル30Cのそれぞれについて、8個のサブコイルのうちの全てのサブコイルの巻き数が半整数であることにより、7個の接続部材のうちの4個の接続部材は、反リード側に位置するので、8個の接続部材がリード側と反リード側とに分散する。したがって、三相電動機1Cによれば、コイルエンドの高さを低減することができる。これに対し、参考例の三相電動機1Pのように全てのサブコイルの巻き数が整数である場合には、一定の大きさ及び剛性を有する全ての接続部材がリード側で軸方向に重なり合い三相電動機のコイルエンドの高さが大きくなる。
また、上記作用効果を言い換えると、三相電動機1CのU相コイル10C、V相コイル20C及びW相コイル30Cのそれぞれについて、8個のサブコイルのうちの4個のサブコイルのそれぞれの巻き数がM−0.5であり8個のサブコイルのうちの他の4個のサブコイルのそれぞれの巻き数がM+0.5であることにより、7個の接続部材のうちの4個の接続部材は、反リード側に位置する。すなわち、U相コイル10C、V相コイル20C及びW相コイル30Cの全てのコイルにおける計21個の接続部材のうち9個の接続部材がリード側に位置し12個の接続部材が反リード側に位置して、一定の大きさ及び剛性を有する計21個の接続部材がリード側と反リード側とに分散するので、コイルエンドの高さを低減することができる。
したがって、三相電動機1Cによれば、上記2つの課題を共に解決することができる。
(変形例)
以上が本発明に係る実施の形態及びコイル巻線方法の説明であるが、本発明の技術的範囲は、上記実施の形態及びコイル巻線方法に制限されるものではない。すなわち、本実施の形態及びコイル巻線方法について、様々な変更が許容されるものであるが、変更の一部の例を以下に記載する。
上記では、巻き数が半整数であるサブコイルの個数が複数個であるとして説明を行ったが、半整数であるサブコイルの個数は1個であってもよい。すなわち、U相コイル、V相コイル及びW相コイルの少なくとも1つについて、NU個のサブコイル、NV個のサブコイル及びNW個のサブコイルのうちの1個のサブコイルの巻き数が半整数であってもよい。この場合においても、当該サブコイルの巻き始めの導線端部と巻き終りの導線端部とがステータ軸方向の逆側に位置することとなるため、全ての接続部材がリード側に集中した場合のコイルエンドの高さに対してコイルエンドの高さを低減することができる。
上記では、サブコイルの平均巻き数2巻であるとして説明を行ったが、1以上の任意の整数をMとして平均巻き数Mであるサブコイルであってもよい。
上記第3の実施の形態では、U相コイル、V相コイル及びW相コイルのそれぞれについて、NU=NV=NW=N個すなわち8個のサブコイルのうちの4個のサブコイルの巻き数がM−0.5巻であり他の4個のサブコイルの巻き数がM+0.5巻であるとして説明を行ったが、1以上N/2以下の任意の整数をLとして、N個のサブコイルのうちのL個のサブコイルのそれぞれの巻き数がM−0.5でありN個のサブコイルのうちの他のL個のサブコイルのそれぞれの巻き数がM+0.5であってもよい。この場合でも、(N−1)個の接続部材すなわち7個の接続部材のうちのL個の接続部材は、反リード側に位置することができる。この関係は、他の実施の形態であっても成立し、2以上の任意の整数Nについての本発明において成立する。
ステータSTのスロットの個数は12個、24個に限定されず、2以上の任意の整数をNとして、3N個であるという条件を満たす範囲で自由に設定されることが可能である。当該個数は、12個よりも少ない個数、例えば6個であってもよい。
上記の3つの実施の形態及び変形例のいずれの説明でも、NU=NV=NW=Nであるとして説明されていたが、NU、NV及びNWは、それぞれ2以上かつN以下の任意の整数であればよい。
上記の3つの実施の形態及び変形例のいずれの説明でも、各相のコイルが分布巻の2層巻の重ね巻により巻かれる三相電動機を前提として説明されていたが、分布巻の他の巻き方においても、各相のコイルが複数のサブコイルと複数の接続部材とを有し、複数のサブコイルが極数に応じて選ばれる複数のスロットに挿入され、それぞれのサブコイルの導線端部同士がそれぞれの接続部材で接続され、複数のサブコイルのうちの少なくとも1個のサブコイルの巻き数が半整数であることにより複数の接続部材のうちの少なくとも1個の接続部材が反リード側に位置することにより、上記2つの課題は共に解消される。したがって、本発明は、分布巻の2層巻の重ね巻のみにより各相のコイルが巻かれる三相電動機に限定されず、分布巻により各相のコイルが巻かれる三相電動機であればよい。