JP2021132458A - 電磁誘導型発電装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】電磁誘導型発電装置において、送配電線に流れる電流が非常に大きい場合であっても確実に発電量を抑制する。【解決手段】電磁誘導型発電装置1は、送配電線4に取り付け可能な磁性コア41と、磁性コアに巻回された発電コイル42と、スイッチング電源回路10とを備える。スイッチング電源回路は、発電コイルの両端に現れる交流電力を脈流電力に整流する整流回路11と、脈流電力を直流電力に変換するスイッチング回路部20と、直流電力の電圧レベルがしきい値を超えたことに応答して、整流回路に入力される交流電力又は整流回路から出力される脈流電力を遮断する遮断スイッチ30とを含む。これにより、送配電線に流れる電流が非常に大きい場合であっても、確実に発電量を抑制することが可能となる。【選択図】図1

Description

本発明は、送配電線監視システムに使用される電磁誘導型発電装置に関する。
送配電線に取り付けられてその状態をモニタリングする監視装置が知られている。この監視装置を用いた送配電線監視システムは、送配電線の状態を監視しそのデータを送信する子機と、鉄塔に設置され気象状況などを送信する子機と、それらのデータを蓄積して送配電線電流容量を制御する監視センターにすべてのデータを送信する親機とからなる。この送配電線監視システムは、送配電線の電流、電圧、張力、電線傾斜角、高さ、温度、コロナ放電、電線周囲の気象や環境状態を監視し、送配電線の保守、送配電線電流や外部環境要因による電線温度変化を随時演算し、送配電容量を動的に算出・管理するダイナミックレーティング(Dynamic Line Rating)に使用されている。
例えば、特許文献1には、送電線の異常振動を検出するための振動検出装置が記載されている。振動検出装置の電源には、送電線の周囲に発生する磁界の変化による電磁誘導を利用した発電装置、あるいは太陽光発電装置が用いられている。
また特許文献2には、電磁誘導方式の電源装置を用いた監視カメラシステムが記載されている。この監視カメラシステムは、送・配電線路に着脱可能に設けられ、電磁誘導方式で電力を生成する発電用CTコアと、発電用CTコアから発生した交流電力を直流電力に変換する電力変換部と、動画を撮影するカメラモジュールと、カメラモジュールの出力データを外部に伝送する無線通信モジュールとを備えている。
特開2007−93342号公報 特表2016−517261号公報 特許第6351884号公報
図8に示すように、送配電線に流れる電流は電力需要により大きく変動する。送配電線に流れる電流が変動しても監視装置が安定的に動作するためには、送配電線に流れる電流が最小値Iのときでも監視装置が動作可能な最低限の電圧Vminが常に発電されるように電磁誘導型発電装置を設計する必要がある。
一方、送配電線に流れる電流で発電する電磁誘導型発電装置では、送配電線の電流の増加と共に二次電流も増加する。そのため、図8に示すように、送配電線に流れる電流が非常に大きい場合には、発電される電力も非常に大きくなる。このように発電量が増加しているにもかかわらず、監視装置が一定の消費電力で動作している場合には、余分な電力が大量に発生することなるため、熱に変換するなど、何らかの方法で余剰電力を消費する必要がある。
しかしながら、余剰電力を熱に変換する場合、監視装置の不要な温度上昇を招くことになり、監視装置内の部品や素子の劣化が加速するおそれがある。また例えば、高圧送電線には数千アンペア以上の大電流が流れる場合があるが、大電流によって発生した余剰電力をすべて熱に変換することは極めて困難である。さらに監視装置が架空送電線や地中送電線に設置される場合、その設置やメンテナンスは非常に困難である。そのため、そのような場所に設置される監視装置には、一度設置したら例えば10年以上の長期間にわたって安定的に動作することが求められていることから、高温化等による監視装置の特性劣化を極力防止することが望ましい。
一方、特許文献3には、発電コイルと整流回路の間にインピーダンス不整合手段を設け、インピーダンス不整合手段によって無効電力を制御することによって、送電線に流れる電流量にかかわらず安定した発電動作を行う方法が提案されている。しかしながら、特許文献3に記載された方法では、スイッチング電源回路の他に、複数のキャパシタ及び複数のスイッチからなるインピーダンス不整合手段が必要であり、回路規模が大きくなるという問題があった。また、特許文献3に記載された方法では、送配電線に流れる電流が非常に大きい場合には、十分に発電量を抑制することができなかった。
したがって、本発明の目的は、回路規模の増大を抑えつつ、送配電線に流れる電流が非常に大きい場合であっても確実に発電量を抑制することが可能な電磁誘導型発電装置を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明による電磁誘導型発電装置は、送配電線に取り付け可能な磁性コアと、磁性コアに巻回された発電コイルと、発電コイルの両端に現れる交流電力を脈流電力に整流する整流回路、脈流電力を直流電力に変換するスイッチング回路部、及び直流電力の電圧レベルがしきい値を超えたことに応答して、整流回路に入力される交流電力又は整流回路から出力される脈流電力を遮断する遮断スイッチとを含むスイッチング電源回路と備えることを特徴とする。
本発明によれば、直流電力の電圧レベルがしきい値を超えた場合に交流電力又は脈流電力を遮断していることから、送配電線に流れる電流が非常に大きい場合であっても、確実に発電量を抑制することが可能となる。
本発明において、遮断スイッチは、発電コイルと整流回路の間に接続されていても構わないし、整流回路とスイッチング回路部の間に接続されていても構わない。前者によれば、整流回路の前段に遮断スイッチが設けられることから、送配電線に流れる電流が非常に大きい場合において、整流回路に流れる電流をカットすることができる。また、後者によれば、遮断スイッチとして複雑な回路を用いる必要がなくなる。
本発明において、スイッチング回路部は、直流電力の電圧レベルに基づいてスイッチング動作を停止しても構わない。これによれば、スイッチング動作を停止させることによって無効電力を増加させることができるため、送配電線に流れる電流量にかかわらず安定した発電動作すなわち有効電力の供給を行うことが可能となる。しかも、スイッチング動作を停止させる期間の長さによって、無効電力の量を微調整できることから、無効電力をより細かく制御することが可能となる。
本発明において、スイッチング回路部は、直流電力の電圧レベルがしきい値よりも低い第1の所定値を超えたことに応答して、スイッチング動作を間欠的に行うことにより無効電力を増加させても構わない。これによれば、直流電力の電圧レベルが第1の所定値を超えると有効電力が減少することから、送配電線に流れる電流量が比較的大きいものの、遮断スイッチをオフさせるほど大きくない場合に、発電量を抑えることが可能となる。
本発明において、スイッチング回路部は、直流電力の電圧レベルが第1の所定値を超えたことに応答して、脈流電力の電圧レベルが第2の所定値を超える期間にスイッチング動作を停止させることにより無効電力を増加させても構わない。これによれば、負荷に流れる電流量が大きくなる期間にスイッチング動作が停止することから、発電量を効果的に抑えることが可能となる。
本発明において、スイッチング電源回路は、直流電力の電圧レベルを変換し、電圧変換された直流電力をIoTデバイスに供給する電圧変換回路をさらに含み、スイッチング回路部は、電圧変換回路の電力損失及びIoTデバイスが消費する負荷電力と有効電力が等しくなるよう、無効電力を調整しても構わない。これによれば、余剰電力が発生しないことから、発熱を最小限に抑えることが可能となる。
本発明において、磁性コアは、第1の送配電線に取り付け可能な第1の磁性コアと、第2の送配電線に取り付け可能な第2の磁性コアを含み、発電コイルは、第1の磁性コアに巻回された第1の発電コイルと、第2の磁性コアに巻回された第2の発電コイルを含み、スイッチング電源回路は、第1及び第2の発電コイルの両端に現れる交流電力を合成して直流電力に変換しても構わない。これによれば、一方の送配電線から電力供給されない場合であっても、安定した発電動作すなわち有効電力の供給を継続することが可能となる。
この場合、第1の発電コイルの両端に現れる交流電力と第2の発電コイルの両端に現れる交流電力の位相が互いに異なっていても構わない。これによれば、位相の異なる交流電力が合成されることから、より安定した直流電力を得ることが可能となる。
さらに本発明による送配電線監視システムは、上述した本発明の特徴を有する電磁誘導型発電装置と、直流電力によって送配電線の監視動作を行うIoTデバイスとを備えることを特徴とする。本発明によれば、送配電線に流れる一次電流が非常に小さいときでも所望の電力を発電でき、センサ、制御回路、通信手段などを含むIoTデバイスに対して安定的に電力を供給することができる。また一次電流が非常に大きいときには、二次巻線からの出力電圧の増加は一次電流に比例せず、出力電圧の増加が抑制されるので、余剰電力の発生を抑えることができ、余剰電力を熱に変換することによる不要な温度上昇を防止することができる。これにより、電力供給を受けるIoTデバイスの性能の低下等を防止することができる。
本発明によれば、回路規模の増大を抑えつつ、送配電線に流れる電流が非常に大きい場合であっても確実に発電量を抑制することが可能な電磁誘導型発電装置及びこれを用いた送配電線監視システムを提供することができる。
図1は、本発明の第1の実施形態による送配電線監視システム1Aの構成を概略的に示す図である。 図2は、スイッチング動作を継続した場合におけるインダクタ電流Iの変化を示す波形図である。 図3は、入力電圧Vin及び入力電流Iinの変化を示す波形図である。 図4は、スイッチング動作を間欠的に行った場合におけるインダクタ電流Iの変化を示す波形図である。 図5は、遮断スイッチ30の機能を説明するための波形図である。 図6は、本発明の第2の実施形態による送配電線監視システム2Aの構成を概略的に示す図である。 図7は、本発明の第3の実施形態による送配電線監視システム3Aの構成を概略的に示す図である。 図8は、従来の電磁誘導型発電装置の動作を示す説明図であって、送配電線に流れる電流と電磁誘導型発電装置の出力電圧との関係を示すグラフである。
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態による送配電線監視システム1Aの構成を概略的に示す図である。
図1に示すように、第1の実施形態による送配電線監視システム1Aは、送配電線4に流れる電流によって発電する電磁誘導型発電装置1と、電磁誘導型発電装置1から電力の供給を受けて送配電線4の監視動作を行うIoTデバイス5とを備えている。電磁誘導型発電装置1はIoTデバイス5の電源となるものであり、IoTデバイス5は電磁誘導型発電装置1の出力端子に接続されている。IoTデバイス5の種類は特に限定されず、送配電線4の物理的又は電気的な状態を計測する各種センサモジュールであってもよく、遠隔監視カメラなどであってもよい。IoTデバイス5は通信機能を有し、センサやカメラで収集したデータをサーバに向けて送信することができる。
送配電線4は架空送電線であることが好ましく、送電電圧が66kV以上の高圧送電線であることがさらに好ましい。架空送電線は地上から数十メートル以上の高所に架設されているため、また地中送電線は、洞道、トンネル及びマンホール内に架設されているため、電磁誘導型発電装置1とIoTデバイス5からなる送配電線監視システム1Aの設置やメンテナンスが極めて困難であり、さらに送配電線4に流れる電流の変動範囲(ダイナミックレンジ)が例えば50A〜3000Aと非常に広く、本発明の効果が顕著だからである。送配電線4には商用周波数(50Hz又は60Hz)の交流電流が流れており、送配電線4の周囲には交番磁界が発生している。交番磁界の大きさは、送配電線4に流れる電流の大きさによって変化する。
電磁誘導型発電装置1は、送配電線4に取り付けられるカレントトランス40と、カレントトランス40に接続されたスイッチング電源回路10とを備えている。カレントトランス40は、一次巻線としての送配電線4に取り付けられた磁性コア41と、磁性コア41を介して送配電線4に磁気結合された発電コイル42からなる。磁性コア41は例えば分割型トロイダルコアであり、送配電線4がトロイダルコアの中空部を貫通するように当該送配電線4に取り付けられている。発電コイル42は磁性コア41に所定のターン数で巻回された二次巻線であり、発電コイル42の両端は、スイッチング電源回路10の一対の入力端子に接続されている。
スイッチング電源回路10は、発電コイル42の両端に現れる交流電力すなわち皮相電力を直流電力に変換する回路であり、整流回路11、分圧回路12,13、制御回路14、コンパレータ15、電圧変換回路16、スイッチング回路部20及び遮断スイッチ30を有している。スイッチング回路部20は、チョークコイル21、ダイオード22、トランジスタ23及びコンデンサ24を含む。図1に示すように、チョークコイル21とダイオード22は直列に接続され、トランジスタ23及びコンデンサ24は並列に接続されている。遮断スイッチ30は、フォトトライアック31と発光ダイオード32からなり、発電コイル42と整流回路11の間に接続されている。整流回路11は、発電コイル42の両端に現れる交流電圧Vinを脈流電圧Vpに変換する。整流回路11から出力される脈流電圧Vpは、スイッチング回路部20を構成するチョークコイル21及びトランジスタ23により商用周波数より高い周波数により高周波スイッチングされ、ダイオード22及びコンデンサ24によって直流電圧Voutに変換され、さらに直流電圧Voutは電圧変換回路16により所望の直流電圧に変換され、IoTデバイス5に出力される。
分圧回路12は、出力電圧Voutを分圧することによって検出電圧Vd1を生成する。制御回路14は、分圧回路12から出力される検出電圧Vd1に基づいてスイッチング信号S1を生成する。スイッチング信号S1はトランジスタ23に供給され、これによってトランジスタ23のオンオフが制御される。
分圧回路13は、出力電圧Voutを分圧することによって検出電圧Vd2を生成する。コンパレータ15は、分圧回路13から出力される検出電圧Vd2と基準電圧Vrefを比較し、これに基づいて遮断信号S2を生成する。遮断信号S2は、遮断スイッチ30に含まれる発光ダイオード32のカソードに供給される。発光ダイオード32のアノードには電源電圧Vccが供給されている。このため、検出電圧Vd2が基準電圧Vref以下である場合、つまり、出力電圧Voutがしきい値以下である場合には、発光ダイオード32に電流が流れ、発光する。これにより、フォトトライアック31がオンし、発電コイル42と整流回路11が短絡される。一方、検出電圧Vd2が基準電圧Vrefを超えた場合、つまり、出力電圧Voutがしきい値を超えた場合には、発光ダイオード32に電流が流れなくなり、発光が停止する。これにより、フォトトライアック31がオフし、発電コイル42と整流回路11の間が遮断される。
図2はインダクタ電流Iの変化を示す波形図であり、図3は入力電圧Vin及び入力電流Iinの変化を示す波形図である。図2及び図3に示す波形図は、いずれも遮断スイッチ30がオンしている状態を示している。以下に説明する図4についても同様である。
制御回路14は、図2に示すように、インダクタ電流Iの波形の包絡線が脈流となるようスイッチング制御を行う。制御回路14によるトランジスタ23のオンオフ制御は、電流臨界モード制御であっても構わないし、電流連続モード制御であっても構わない。その結果、図3に示すように、時間的に変化する入力電圧Vinに対して、入力電流Iinは同位相の電流が流れ、力率が改善された状態が得られる。したがって、送配電線4に流れる電流が小さい場合には、スイッチング動作によって略力率1、すなわち力率を高めることにより、効率よく発電を行うことができる。
これに対し、送配電線4に流れる電流が大きい場合、力率が高められた状態を維持すると、出力電圧Voutが高くなりすぎ、電圧変換回路16及びIoTデバイス5の過電圧による破壊や、消費されない余剰電力によって発熱が生じてしまう。これを防止すべく、送配電線4に流れる電流が大きい場合には、スイッチング動作を停止させることによって無効電力を増やし、有効電力を減らすことで、出力電圧Voutの上昇を防止する。制御回路14がトランジスタ23のスイッチング動作を停止させるか否かは、分圧回路12から出力される検出電圧Vd1に基づいて決定される。例えば、検出電圧Vd1が所定値以下であればスイッチング動作を実行し、検出電圧Vd1が所定値を超えた場合にはスイッチング動作を停止しても構わない。
無効電力の調整は、電圧変換回路16の電力損失及びIoTデバイス5が消費する負荷電力と有効電力が等しくなるよう、制御回路14によって制御することが好ましい。これによれば、余剰電力が発生しないことから、発熱を最小限に抑えることが可能となる。
スイッチング動作の停止及び再開は、単純に、検出電圧Vd1が所定値を超えているか否かに基づいて行っても構わないし、検出電圧Vd1が所定値を超えたことに応答してスイッチング動作を間欠的に行うことによって無効電力を増加させても構わない。この場合、図4に示すように、脈流電圧Vpのピーク近傍においてスイッチング動作を停止させても構わない。これによれば、インダクタ電流Iが大きくなる期間にスイッチング動作が停止することから、無効電力がより増加し、有効電力を効果的に抑えることができる。スイッチング動作を停止させる期間は、脈流電圧Vpが所定値を超える期間に設定すれば良く、検出電圧Vd1のレベルに応じてこの所定値を変化させることにより、スイッチング動作が停止する期間を微調整することが可能である。
そして、送配電線4に流れる電流がさらに大きくなり、スイッチング動作の制御だけでは出力電圧Voutの上昇が抑えられなくなると、遮断スイッチ30による配線の遮断を行う。つまり、出力電圧Voutがしきい値を超えると、検出電圧Vd2が基準電圧Vrefを超え、遮断信号S2がハイレベルとなる。これにより、発光ダイオード32の発光が停止し、フォトトライアック31がオフする。その結果、発電コイル42と整流回路11の間が遮断されるため、整流回路11に電力供給されなくなり、出力電圧Voutが低下する。出力電圧Voutのしきい値、つまり遮断信号S2がローレベルからハイレベルに変化する際の出力電圧Voutの電圧は、検出電圧Vd1が所定値に達する出力電圧Voutの電圧よりも高い。
図5は、遮断スイッチ30の機能を説明するための波形図である。
図5に示すように、時刻t1以前の期間においては、遮断信号S2がローレベルであることから、発光ダイオード32は発光しており、これによりフォトトライアック31はオンしている。このため、発電コイル42の両端に現れる交流電圧Vinと、整流回路11に供給される交流電圧Vin'の波形は一致する。
そして、時刻t1において検出電圧Vd2が基準電圧Vrefを超えると、遮断信号S2がハイレベルに変化する。これに応答して、発光ダイオード32の発光が停止するが、フォトトライアック31は直ちにはオフせず、交流電圧Vinがゼロクロスする時刻t2においてオフする。フォトトライアック31がオフすると、発電コイル42と整流回路11の間が遮断されるため、整流回路11に供給される交流電圧Vin'はほぼゼロとなる。これにより、スイッチング電源回路10に電力が供給されない状態となるため、出力電圧Voutは低下を始める。
その後、時刻t3において検出電圧Vd2が基準電圧Vref以下に戻ると、遮断信号S2が再びローレベルに変化する。これに応答して、発光ダイオード32の発光が再開し、フォトトライアック31が再びオンする。このように、時刻t1から時刻t3の期間に遮断信号S2がハイレベルになると、時刻t2から時刻t3の期間Tだけスイッチング電源回路10に電力が供給されない状態となる。
以上説明したように、本実施形態による送配電線監視システム1Aは、IoTデバイス5に電力を供給する電磁誘導型発電装置1を備え、電磁誘導型発電装置1は、送配電線4に流れる電流が小さい場合には、スイッチング動作により力率を高めることによって効率よく発電を行い、送配電線4に流れる電流が大きい場合には、スイッチング動作を停止させることによって無効電力を増加させている。これにより、送配電線4に流れる電流量にかかわらず安定した有効電力を得ることが可能となる。しかも、無効電力の調整をスイッチング動作の制御によって行っていることから、進相コンデンサ及びコンデンサ容量切替手段などによる回路規模の増大を抑えつつ、無効電力をより細かく制御することが可能となる。そして、送配電線4に流れる電流がさらに大きくなると、遮断スイッチ30によって発電コイル42と整流回路11の間が遮断されるため、出力電圧Voutの上昇を確実に防止することが可能となる。
尚、上記実施形態においては、2つの分圧回路12,13を用いて検出電圧Vd1,Vd2をそれぞれ生成しているが、これらを共用することにより、分圧回路12,13の一方を省略しても構わない。この場合であっても、出力電圧Voutが所定値以下であればスイッチング動作を実行し、出力電圧Voutが所定値を超えた場合にはスイッチング動作を停止又は間欠的とし、さらに、出力電圧Voutが所定値よりも大きいしきい値を超えた場合には、遮断スイッチ30をオフさせれば良い。
<第2の実施形態>
図6は、本発明の第2の実施形態による送配電線監視システム2Aの構成を概略的に示す図である。
図6に示すように、第2の実施形態による送配電線監視システム2Aは、電磁誘導型発電装置1が電磁誘導型発電装置2に置き換えられている点において、第1の実施形態による送配電線監視システム1Aと相違する。電磁誘導型発電装置2は、スイッチング電源回路10がスイッチング電源回路10aに置き換えられている点において、電磁誘導型発電装置1と相違する。その他の基本的な構成は、第1の実施形態による送配電線監視システム1Aと同じであることから、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
本実施形態において用いるスイッチング電源回路10aは、遮断スイッチ30が整流回路11とスイッチング回路部20の間に設けられている点において、図1に示したスイッチング電源回路10と相違している。本実施形態においては、遮断スイッチ30が整流回路11の後段に設けられていることから、遮断スイッチ30としては、リレー回路や、トランスファゲートなどの比較的単純な半導体スイッチを用いることができる。そして、遮断スイッチ30がオフすると、整流回路11とスイッチング回路部20の間が遮断される。
本実施形態が例示するように、遮断スイッチ30を配置する位置は、整流回路11の前段である必要はなく、整流回路11の後段であっても構わない。
<第3の実施形態>
図7は、本発明の第3の実施形態による送配電線監視システム3Aの構成を概略的に示す図である。
図7に示すように、第3の実施形態による送配電線監視システム3Aは、2本の送配電線4A,4Bに流れる電流によって発電する電磁誘導型発電装置3と、電磁誘導型発電装置3から電力の供給を受けて送配電線4A,4Bの監視動作を行うIoTデバイス5とを備えている。送配電線4A,4Bにはそれぞれカレントトランス40A,40Bが割り当てられている。カレントトランス40A,40Bは、それぞれ磁性コア41A,41Bと、磁性コア41A,41Bに巻回された発電コイル42A,42Bを有し、発電コイル42Aの両端は、遮断スイッチ30Aを介してスイッチング電源回路10bに含まれる整流回路11Aに接続され、発電コイル42Bの両端は、遮断スイッチ30Bを介してスイッチング電源回路10bに含まれる整流回路11Bに接続される。
整流回路11A,11Bの出力は並列接続されており、これによりスイッチング電源回路10bは、発電コイル42A,42Bの両端に現れる交流電力を合成して直流電力に変換する。遮断スイッチ30Aはフォトトライアック31Aと発光ダイオード32Aからなり、遮断スイッチ30Bはフォトトライアック31Bと発光ダイオード32Bからなる。発光ダイオード32A,32Bには、遮断信号S2が共通に供給される。その他の基本的な構成は第1の実施形態による送配電線監視システム1Aと同じであることから、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
本実施形態によれば、スイッチング電源回路10bが2つの入力電源を有していることから、仮に、送配電線4A,4Bの一方に流れる電流が停止し、或いは、カレントトランス40A,40Bの一方が故障したとしても、発電動作すなわち有効電力の供給を継続することができる。これにより、より信頼性の高い送配電線監視システムを提供することが可能となる。そして、出力電圧Voutがしきい値を超えると、遮断スイッチ30A,30Bの両方がオフする。これにより、発電コイル42Aと整流回路11Aの間が遮断されるとともに、発電コイル42Bと整流回路11Bの間が遮断される。
ここで、送配電線4A,4Bの一方に流れる電流の位相は、互いに異なっていても構わない。この場合、発電コイル42Aの両端に現れる交流電力と発電コイル42Bの両端に現れる交流電力の位相がずれることから、脈流電圧Vpがより平滑となる。これにより、より安定した直流電力を得ることが可能となる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
1〜3 電磁誘導型発電装置
1A〜3A 送配電線監視システム
4,4A,4B 送配電線
5 IoTデバイス
10,10a,10b スイッチング電源回路
11,11A,11B 整流回路
12,13 分圧回路
13 分圧回路
14 制御回路
15 コンパレータ
16 電圧変換回路
20 スイッチング回路部
21 チョークコイル
22 ダイオード
23 トランジスタ
24 コンデンサ
30,30A,30B 遮断スイッチ
31,31A,31B フォトトライアック
32,32A,32B 発光ダイオード
40,40A,40B カレントトランス
41,41A,41B 磁性コア
42,42A,42B 発電コイル

Claims (9)

  1. 送配電線に取り付け可能な磁性コアと、
    前記磁性コアに巻回された発電コイルと、
    前記発電コイルの両端に現れる交流電力を脈流電力に整流する整流回路と、前記脈流電力を直流電力に変換するスイッチング回路部と、前記直流電力の電圧レベルがしきい値を超えたことに応答して、前記整流回路に入力される前記交流電力又は前記整流回路から出力される前記脈流電力を遮断する遮断スイッチとを含むスイッチング電源回路と、備えることを特徴とする電磁誘導型発電装置。
  2. 前記遮断スイッチは、前記発電コイルと前記整流回路の間に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の電磁誘導型発電装置。
  3. 前記遮断スイッチは、前記整流回路と前記スイッチング回路部の間に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の電磁誘導型発電装置。
  4. 前記スイッチング回路部は、前記直流電力の電圧レベルに基づいてスイッチング動作を停止することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電磁誘導型発電装置。
  5. 前記スイッチング回路部は、前記直流電力の電圧レベルが前記しきい値よりも低い第1の所定値を超えたことに応答して、前記スイッチング動作を間欠的に行うことにより無効電力を増加させることを特徴とする請求項4に記載の電磁誘導型発電装置。
  6. 前記スイッチング回路部は、前記直流電力の電圧レベルが前記第1の所定値を超えたことに応答して、前記脈流電力の電圧レベルが第2の所定値を超える期間に前記スイッチング動作を停止させることにより無効電力を増加させることを特徴とする請求項5に記載の電磁誘導型発電装置。
  7. 前記スイッチング電源回路は、前記直流電力の電圧レベルを変換し、電圧変換された直流電力をIoTデバイスに供給する電圧変換回路をさらに含み、
    前記スイッチング回路部は、前記電圧変換回路の電力損失及び前記IoTデバイスが消費する負荷電力と有効電力が等しくなるよう、無効電力を調整することを特徴とする請求項5又は6に記載の電磁誘導型発電装置。
  8. 前記磁性コアは、第1の送配電線に取り付け可能な第1の磁性コアと、第2の送配電線に取り付け可能な第2の磁性コアを含み、
    前記発電コイルは、前記第1の磁性コアに巻回された第1の発電コイルと、前記第2の磁性コアに巻回された第2の発電コイルを含み、
    前記スイッチング電源回路は、前記第1及び第2の発電コイルの両端に現れる交流電力を合成して直流電力に変換することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の電磁誘導型発電装置。
  9. 前記第1の発電コイルの両端に現れる交流電力と前記第2の発電コイルの両端に現れる交流電力の位相が互いに異なることを特徴とする請求項8に記載の電磁誘導型発電装置。
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