JP2021131344A - 二次電池の副反応電流値の測定方法、寿命推定方法、検査方法 - Google Patents

二次電池の副反応電流値の測定方法、寿命推定方法、検査方法 Download PDF

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Abstract

【課題】二次電池の副反応電流値をより正確に測定する。【解決手段】二次電池の副反応電流値の測定方法では、二次電池を特定の条件で保存する保存のステップ(S4)と、保存した二次電池の保存前後の電池満容量の低下量Qlossを測定する電池容量低下量測定のステップ(S1、S6、S9)と、前記保存した二次電池の保存前後の自己放電容量QSDを測定する自己放電量測定のステップ(S2、S5、S7)と、前記測定結果と、予め取得した副反応速度と使用環境の関係を用いて、想定される使用環境下における負極の副反応電流値を算出するステップ(S8)と、正極の副反応電流値を算出するステップ(S10)に基づいて、当該正負極の副反応電流値をそれぞれ切り分けて測定し、二次電池の副反応電流値を正確に測定する。【選択図】図3

Description

本発明は、二次電池の副反応電流値の測定方法、寿命推定方法、検査方法に係り、詳細には、正極及び負極の劣化速度を推定して二次電池の寿命をより正確に推定するための副反応電流値の測定方法、寿命推定方法、検査方法に関する。
周知のように、携帯用の電子機器の電源として、また、電気自動車やハイブリッド自動車などの電源として、リチウムイオン二次電池等の二次電池が用いられている。
二次電池は、種々の理由から劣化するが、製品として出荷される二次電池が想定される使用環境において使用者の要求する寿命を満足するかを予め推定する寿命推定技術が必要不可欠となる。
そこで、特許文献1に開示された発明では、図7に示すように総走行距離に基づいて、走行距離の√で電池全体の劣化速度を規定することで二次電池の寿命の推定が可能となっている。
特開2007−195312号公報
しかしながら、例えば、車両に搭載される二次電池の劣化は、車両の走行距離といった要因に加えて、使用環境の温度、使用される二次電池のSOCの状態なども劣化要因として寄与する。
また、劣化の機序においても、正負極の活物質の劣化・分解、被膜の形成、電解質の劣化・消耗、リチウム金属の析出、微小金属の生成、セパレータの劣化など多岐にわたる。
特許文献1に記載された発明では走行距離の√に従わない劣化現象が考慮されていないという問題があった。
また特許文献1では、電池全体の劣化を推定しているため、二次電池を構成する正極と負極上の劣化を切り分けて推定することができない。その結果、寿命の推定の精度を高くできないという問題があった。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、二次電池を構成する正極と負極上の劣化速度を切り分けて推定でき、二次電池の寿命をより正確に推定し、これに基づいて出荷の可否を検査することができる二次電池の副反応電流値の測定方法、寿命推定方法、検査方法を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明の副反応電流値の測定方法では、二次電池を特定の条件で保存する保存のステップと、前記保存した二次電池の保存前後の電池満容量の容量低下量Qlossを測定する電池容量低下量測定のステップと、前記保存した二次電池の保存前後の自己放電容量QSDを測定する自己放電容量測定のステップと、前記容量低下量Qloss及び自己放電容量QSDから、前記保存時の特定条件における正極及び負極の副反応電流値を求める副反応電流値測定のステップとを備えたことを特徴とする。
また、前記保存のステップは、満充電を超えない任意のセル電圧V1に設定し、任意の温度T1で任意の保存期間t1保存することが好ましい。
前記副反応電流値測定のステップは、前記自己放電容量QSDを、前記保存期間t1で除することで、負極の副反応電流ISR(NE)0を求めることができる。また、前記副反応電流値測定のステップは、前記負極の副反応電流ISR(NE)0から、前記容量低下量Qlossを前記保存期間t1で除した商を引いた差から、正極の副反応電流ISR(PE)0を求めることができる。
前記電池容量低下量測定のステップは、前記保存前後の完全放電状態から満充電の電池満容量の差により容量低下量Qlossを求めることも好ましい。
前記自己放電量測定のステップは、前記保存前の完全放電状態から任意のセル電圧V1までの電池容量と、前記保存後の完全放電状態までの残存容量の差から自己放電容量QSDを求めることも好ましい。
前記完全放電状態は、セルSOCが0%を完全放電状態と判断することもできる。また、前記完全放電状態は、セル電圧が3.0Vを完全放電状態と判断することもできる。
前記二次電池は、リチウムイオン二次電池に好適に適用できる。
また、これらの副反応電流値の測定方法を用いて、特定条件での正極及び負極の副反応電流値を求める副反応電流値測定のステップと、前記副反応電流値測定のステップにより予め取得した前記正極及び負極の副反応電流値と、使用環境の経時データとの関係を用いて、想定される使用環境下における正極の劣化量と、負極の劣化量とをそれぞれ算出する劣化量算出のステップと、当該劣化量に基づいて二次電池の寿命を推定する寿命推定のステップとを備えた二次電池の寿命推定方法を実施することができる。
この二次電池の寿命推定方法において、前記劣化量算出のステップは、前記使用環境の経時データは、温度、正負極電位、積算劣化量のいずれかを含むことが好ましい。
さらに、このような二次電池の寿命推定方法を用いる寿命推定のステップと、前記二次電池の寿命推定方法により推定された二次電池の推定寿命と、予め設定された期待寿命とを比較して、前記推定寿命が前記期待寿命以上である場合に合格とする検査のステップとを備えた二次電池の検査方法を実施することができる。
本発明の二次電池の副反応電流値の測定方法、寿命推定方法、検査方法では、二次電池を構成する正極と負極上の劣化速度を切り分けて推定でき、二次電池の寿命をより正確に推定し、これを検査するために実施することができる。
本実施形態のリチウムイオン二次電池の寿命推定装置の構成を示すブロック図。 本実施形態のリチウムイオン二次電池の各セルの構成の一例を示す斜視図。 本実施形態の副反応電流値の測定フローチャート。 本実施形態の出荷検査法方法における入力データの一覧表。 本実施形態の出荷検査法方法のフローチャート。 他の実施形態のリチウムイオン二次電池が搭載される車両の模式図。 従来技術の寿命推定に係る処理の流れを示すフローチャート。
(第1の実施形態)
図1〜図5を参照して、本発明の二次電池の副反応電流値の測定方法、寿命推定方法、検査方法を、車載用のリチウムイオン二次電池1を例に具体化した実施形態を一例に説明する。
<第1の実施形態の概略>
従来技術で述べた通り、車載用リチウムイオン二次電池の生産・出荷時に、想定される使用環境において使用者の要求する寿命を満足するかを推定する寿命推定技術が必要不可欠である。
そこで本実施形態の寿命推定方法においては、本発明者は、リチウムイオン二次電池1の寿命をより正確に推定するため、その前提としてリチウムイオン二次電池1の副反応電流値の測定(図3参照)により一定条件の場合の基準となる副反応電流値を求めることとした。具体的には、特定の温度、開始電圧、期間の条件で保存し、そのリチウムイオン二次電池1固有の正極の副反応電流値と負極の副反応電流値の変化を切り分けて測定することを見出した。この正極の副反応電流値ISR(PE)0と負極の副反応電流値ISR(NE)0の変化から、単位時間(h)当たりの変化を推定し、これを所定の保存条件におけるそのリチウムイオン二次電池1固有の劣化の速度と把握することができる。
一方で、リチウムイオン二次電池1の正極の副反応電流値ISR(PE)0と負極の副反応電流値ISR(NE)0について、予め環境温度Tや、セル電圧Vにより所定条件で保存した場合との比較で、どのような変化があるかの関係をマップとして測定しておく。
また、予め、対象となる車載のリチウムイオン二次電池1において、環境温度Tやセル電圧Vが、その使用開始から想定される寿命tmax(保証期間等に応じて設定。例えば10年)まで、どのように変化するかの経時データTD、経時データVDを想定して作成する。
そして、そのリチウムイオン二次電池1の固有の劣化の速度、及び想定される環境温度Tの経時データTDやセル電圧Vの経時データVDなどの使用環境の変化、及びその使用環境における劣化への影響を読み出す。これらを統合して正極と負極の副反応電流値を求め、リチウムイオン二次電池1の容量低下量Qlossを算出する。そこから、そのリチウムイオン二次電池1固有の劣化の速度と、その劣化の速度から想定された寿命tmax時に、そのリチウムイオン二次電池1が、どの程度劣化が蓄積されているかを推定することができることを見出した。
すなわち、環境温度Tやセル電圧Vの影響を考慮しながら所定条件下の正極の副反応電流値ISR(PE)0と負極の副反応電流値ISR(NE)0を補正し、生産時t0から想定した寿命tmax時までの劣化を、所定の時間t2毎に算出して積算する。このことで想定された寿命tmax時の劣化状態がわかる。
そして、予めユーザにより閾値として設定された容量低下量である<ユーザ要求>と、そのリチウムイオン二次電池1の寿命tmax時の予測された容量低下量とを比較して、そのリチウムイオン二次電池1が寿命tmaxまでを電気容量を有するか否か判定することにより、製品として出荷することの可否を検査する。
<リチウムイオン二次電池1>
次に、検査の対象であるリチウムイオン二次電池1について説明する。車載のリチウムイオン二次電池1は、図2に示すようなセル1Aが複数組み合わされたものである。セル1Aは、ケース12の中に正極シート15と負極シート16と、これを隔離するセパレータ17が捲回された電極体14を備え、電解液が充填される。正極にはコバルト酸リチウムなど、負極にはグラファイトなどの活物質を含む。
このような車両に搭載されるリチウムイオン二次電池1の劣化は、正負極の活物質の劣化・分解、被膜の形成、電解質の劣化・消耗、リチウム金属の析出、微小金属の生成、セパレータの劣化など多岐にわたる。そのため、車両の走行距離といった要因に加えて、使用環境の温度、使用される二次電池のSOCの状態などの履歴も劣化要因として寄与する。
<リチウムイオン二次電池の寿命推定装置>
図1は、リチウムイオン二次電池1の寿命推定装置2の構成を示すブロック図である。本実施形態のリチウムイオン二次電池1の寿命推定装置2は、周知の充放電装置3、セル電圧測定器4、セル電流測定器5、温度計6、保温装置7を備える。また、これらを制御するインタフェースを備えた周知のコンピュータからなる制御装置8を備える。制御装置8は、CPU81とメモリ82を備える。メモリ82は、RAM、ROMを備える。
これらは、リチウムイオン二次電池1の寿命推定装置2として、リチウムイオン二次電池1を特定の条件で保存する保存手段として機能する。また保存したリチウムイオン二次電池1の保存前後の電池満容量の容量低下量Qlossを測定する電池容量低下量測定手段として機能する。また、保存したリチウムイオン二次電池1の保存前後の自己放電容量QSDを測定する自己放電量測定手段として機能する。また、測定した容量低下量Qloss及び自己放電容量QSDと、予め取得した副反応速度と使用環境の関係を用いて、想定される使用環境下における正極の劣化量と、負極の劣化量とをそれぞれ算出する劣化量算出手段として機能する。そして当該劣化量に基づいてリチウムイオン二次電池1の寿命を推定する寿命推定手段として機能する。さらに、リチウムイオン二次電池の出荷検査装置として実施できる。
(第1の実施委形態の作用)
<副反応電流値の測定フローチャート>
次に、図3のフローチャートを参照して、本実施形態のリチウムイオン二次電池の寿命推定方法の前提である副反応電流値の測定について説明する。この副反応電流値の測定により、このリチウムイオン二次電池1の劣化速度の個体差がわかる。
ここでまず、このフローチャートの説明に先立って、説明で用いる用語について予め説明する。
「T1(°C)」は、任意の保存温度(例えば50°C)である。
「t1(h)」は、任意の保存期間(例えば24時間))である。
「V1(V)」は、セル電圧が完全放電の電圧3.0(V)(この実施形態では、セルSOC0%の完全放電状態のセル電圧を「下限電圧」という。)から、満充電の4.1(V)(セルSOC0〜100%)の間で任意に設定した電圧(例えば3.8(V))で、本実施形態では、「上限電圧」という。本実施形態では、自己放電容量の測定に用いられるとともに、保存の任意の初期セル電圧でもある。
「Q1(Ah)」は、セル電圧を下限電圧3.0(V)から満充電のセル電圧4.1(V)(ここでは、セルSOC100%の電圧)の電池容量を測定した保存前電池満容量である。
「Q2(Ah)」下限電圧3.0(V)から上限電圧V1=3.8(V)で測定した保存前の区間容量である。
「Q3(Ah)」は、上限電圧V1から下限電圧3.0(V)まで放電した保存後の残存容量である。
「Q4(Ah)」は、下限電圧3.0(V)から、満充電の4.1(V)で測定した保存後電池満容量である。
「QSD(Ah)」は、保存前の区間容量Q2と保存後の残存容量Q3の差から求めた保存期間中の自己放電容量である。
「Qloss(Ah)」は、保存前電池満容量Q1から保存後電池満容量の差から求めた容量低下量である。
「ISR(NE)0(A)」は、自己放電容量QSD(Ah)÷保存期間t1(h)で求めた負極の副反応電流(速度)である。
「ISR(PE)0(A)」は、負極の副反応電流(速度)ISR(NE)0から、容量低下量Qloss(Ah)÷保存期間t1(h)の商との差から求めた正極の副反応電流(速度)である。
本実施形態では以上のように規定する。
<副反応電流値の測定フローチャートの手順>
次に、これらの定義を用いて、リチウムイオン二次電池1の副反応電流値の測定の手順を図3のフローチャートに沿って説明する。
まず、副反応電流値の測定の処理を開始すると(START)、完全放電時のセルSOC0%の下限電圧3.0(V)からセルSOC100%の4.1(V)の満充電まで充電して保存前の電池満容量Q1(Ah)を測定する(S1)。
次に、下限電圧3.0(V)から上限電圧V1=3.8(V)までの電圧区間において充電することで保存前の区間容量Q2(Ah)を測定する(S2)。
続いて、上限電圧V1=3.8(V)に電圧を調整する。そして、任意の温度T1(例えば50°C)で任意の期間t1(例えば24時間)保存する(S4)。この手順が「保存のステップ」に相当する。したがって、この保存は、開始セル電圧、保存温度T1、保存期間t1が常に一定な条件で行われる。
保存後、上限電圧V1=3.8(V)に設定し、ここから下限電圧3.0(V)まで放電し、保存後の残存容量Q3(Ah)を測定する(S5)。続いて、下限電圧3.0(V)から、セルSOC100%までの満充電を行い、保存後の電池満容量Q4(Ah)を測定する。この場合は、電圧でなくセルSOCで規定する。保存後は、活物質・電解質の劣化、被膜の形成などの理由から保存前より最高電圧が低下することがあるので、保存前と同一の電圧とならない場合があるからである。
そして、保存前の区間容量Q2(Ah)と、保存後の残存容量Q3(Ah)との差を求める。保存前の区間容量Q2に対し、保存後の残存容量Q3は、自己放電による容量の低下がある。つまり同じ電圧区間でこれらを求めることで保存期間t1の自己放電量を求めることができる。この手順により、保存期間t1に減少した電気容量から自己放電容量QSDを算出する(S7)。この手順が、「自己放電量測定のステップ」に相当する。
次に、自己放電容量QSD(Ah)を保存期間t1(h)で除して、負極の副反応電流(速度)ISR(NE)0(A)を算出する(S8)。
また、容量低下量Qloss(Ah)を、保存前の電池満容量Q1(Ah)と保存後の電池満容量Q4(Ah)との差から算出する(S9)。
最後に、負極の副反応電流(速度)ISR(NE)0(A)と、容量低下量Qloss(Ah)を保存期間t1(h)で除した商(A)との差から、正極の副反応電流(速度)ISR(PE)0(A)を算出する(S11)。
以上で、本実施形態の所定の保存区間におけるリチウムイオン二次電池の負極の副反応電流(速度)ISR(NE)0(A)と正極の副反応電流(速度)ISR(PE)0(A)の測定の手順が終了する(END)。
このような手順により、保存を開始する上限電圧V1(V)、保存温度T1(°C)、保存期間t1(h)の条件での正極の副反応電流(速度)ISR(PE)0(A)と、負極の副反応電流(速度)ISR(NE)0(A)とが測定できる。すなわち、基準となる劣化の速度が判明する。
<リチウムイオン二次電池の製品の出荷検査方法>
次に、図3に示したリチウムイオン二次電池1の副反応電流値の測定の手順を利用して行うリチウムイオン二次電池1の製品の出荷検査方法の一実施形態を、図5に示すフローチャートを参照して説明する。
まず、図5の説明に先立って図4を参照して、このようなリチウムイオン二次電池1の処理の前提となるデータ等を説明する。
図4は、図5に示すリチウムイオン二次電池1の製品の出荷検査方法において用いるデータ等を示す。リチウムイオン二次電池1の製品の出荷検査方法において入力されるデータは、(i)想定される使用環境入力の経時データ、(ii)事前取得マップ入力のデータ、(iii)測定した副反応電流ISR(A)のデータなどがある。
<(i)想定される使用環境の経時データ>
この経時データは、検査時t0(リチウムイオン二次電池1の出荷時。)〜寿命tmaxまでの間、このリチウムイオン二次電池1がどのような環境で使用されるかを時間t2(例えば24時間(1日))毎に想定した経時データである。「寿命tmax」は、このリチウムイオン二次電池1が所定の性能を有して使用が想定される期間、言い換えれば、製品として想定される「寿命」であり、例えば本実施形態では、87600時間(10年)である。内容は、使用される地域や季節から想定される環境温度や、搭載される車種や用途などから想定されるセル電圧の制御から推定されるセル電圧のデータである。
前述のとおり、従来のように走行距離だけではリチウムイオン二次電池の劣化は正確に推定できない。そこで、この経時データは、単に走行距離からはわからない車両が使用される地域の気温や季節の変動、使用者の運転状況などの影響を、このリチウムイオン二次電池1の劣化の推定に反映させるためのデータである。なお、経時データは、過去の車両の運転情報をもとにしたり、過酷な条件での走行を想定したりして、作成すればよい。
<(i)−1:環境温度Tの経時データTD(時間t2毎)>
正極及び負極の劣化速度は、いずれも温度により変化する。特にリチウムイオン二次電池では、高温時には反応速度が高くなり、劣化が著しく進む。気温の高い地域で炎天下にさらされたような場合は、リチウムイオン二次電池1の被膜が形成されるなど劣化が著しくなる。また、寒冷地で極端に温度が低下したような場合も、金属リチウムの析出などリチウムイオン二次電池1の劣化が進む。このような酷寒や酷暑の環境温度Tの変化の情報は、劣化判断の重要な判断要素である。
<(i)−2:セル電圧Vの経時データVD(時間t2毎)>
また、正極及び負極の劣化速度は、セル電圧Vにより変化する。リチウムイオン二次電池では、セルSOC0%の完全放電(本実施形態では3.0(V)以下)や、セルSOC100%以上の過充電(本実施形態では、4.1(V)以上)では、劣化が著しく進む。また、日常的に高いセルSOCに継続的に置かれた場合も、劣化が進みやすい。このため、営業車と自家用車、乗用車とトラックなど、用途や車種などにより極端に高いセル電圧Vや極端に低いセル電圧Vに置かれる可能性の情報は、劣化判断の重要な判断要素である。
<(ii)事前取得マップ入力>
ここでは、以下のマップが事前に作成される。
上述のようにリチウムイオン二次電池1が置かれた環境温度Tの経時データTDやセル電圧Vの経時データVDは、劣化判定の重要な情報である。
次に、このような経時データTDや経時データVDに基づいて、環境温度Tや、セル電圧Vが、リチウムイオン二次電池1に対してどの程度劣化に対して影響があるかを知る必要がある。そこで、環境温度Tやセル電圧Vにより、所定条件で保存した場合の基準となる負極の副反応電流(速度)ISR(NE)0や、正極の副反応電流(速度)ISR(PE)0にどの程度影響を与えるのか、補正された値を事前にマップとして作成した。
<(ii)−1:環境温度−負極の副反応電流(速度)ISR(NE)0
<(ii)−2:環境温度−正極の副反応電流(速度)ISR(PE)0
検査の対象となるリチウムイオン二次電池1の劣化判断の基準となる負極の副反応電流(速度)ISR(NE)0及び正極の副反応電流(速度)ISR(PE)0は、図3のフローチャートで求めた所定条件、すなわち保存温度T1における副反応電流(速度)である。しかしながら、正極及び負極の劣化速度は、アレニウスの法則から温度が上昇すると反応が速くなるため、劣化も進み副反応電流が大きくなる。特にリチウムイオン二次電池では、高温時には劣化が著しく進む。また、極端な低温などもリチウム析出などが生じやすくなる。正極と負極では、その活物質の違いから影響は異なる。そのため、同じ所定の時間t2でも、その時間帯の環境温度Tによっては、劣化の速度が大きく変わる。また、正極と負極でもその影響が異なる。
そこで、温度−負極の副反応電流(速度)ISR(NE)0及び(ii)−2:温度−正極の副反応電流(速度)ISR(PE)0を予めその関係をマップとして準備した。まず、負極の副反応電流(速度)ISR(NE)0及び正極の副反応電流(速度)ISR(PE)0を基準とする。そしてこのマップを用いて、その時間帯の環境温度Tを引数として、それぞれその環境温度Tの影響を考慮しながら変換する。そのようにして、正極と負極を切り分けて補正された負極の副反応電流(速度)ISR(NE)0及び正極の副反応電流(速度)ISR(PE)0を求める。
<(ii)−3:負極電位VNE−負極の副反応電流(速度)ISR(NE)0
<(ii)−4:正極電位VPE−正極の副反応電流(速度)ISR(PE)0
この検査において、負極の副反応電流(速度)ISR(NE)0及び正極の副反応電流(速度)ISR(PE)0は、所定条件、すなわち保存を開始する上限電圧V1(実施形態では、3.8(V))、保存期間t1、保存温度T1における副反応電流(速度)を基準にしている。しかしながら、正極及び負極の劣化速度は、セル電圧Vにより変化する。リチウムイオン二次電池では、セルSOC0%の過放電(本実施形態では3.0(V)以下)や、セルSOC100%以上の過充電(本実施形態では、4.1(V)以上)では、劣化が著しく進む。また、常時高いセルSOCに維持された場合も劣化が進む。
正極と負極では、その活物質の違いから影響は異なる。そのため、同じ所定の時間t2でも、その時間帯のセル電圧Vによっては、劣化の速度が大きく変わることになる。また、正極と負極でもその影響が異なる。負極の副反応電流(速度)ISR(NE)0及び正極の副反応電流(速度)ISR(PE)0は、SEI被膜等の被膜の形成により大きくなるものと考えられている。そして、これらの被膜の形成はターフェル(Tafel)の式により計算することができる。これは、正極及び負極を切り分けて計算することができる。このように負極電位VNE及び正極電位VPEは、被膜形成電位と密接な関係がある。
そこで、負極電位VNE−負極の副反応電流(速度)ISR(NE)0及び(ii)−2:正極電位VPE−正極の副反応電流(速度)ISR(PE)0を予めその関係をマップとして準備した。ここで、図3のフローチャートで求めた所定条件、すなわち保存温度T1における負極の副反応電流(速度)ISR(NE)0及び正極の副反応電流(速度)ISR(PE)0を基準とする。そしてこのマップを用いて、その時間帯のセル電圧Vを引数として、補正された負極の副反応電流(速度)ISR(NE)0及び正極の副反応電流(速度)ISR(PE)0を正極と負極に切り分けて変換している。
<(ii)−5:∫ISR(NE)dt−ISR(NE)t
<(ii)−6:∫ISR(PE)dt−ISR(PE)t
リチウムイオン二次電池1は、劣化が蓄積されると副反応電流が大きくなるが、その環境温度Tやセル電圧Vなどの履歴により、その劣化はそれぞれ固有の値となる。そこで、ここでは、そのような履歴を有する副反応電流を時間t毎に積分して、これを微分することで劣化の速度を導き出す。そのようにすることで、経時データTDや経時データVDに示す履歴を持つ検査対象となるリチウムイオン二次電池1のその時間t2の時点での固有の劣化速度を導き出すためのマップである。
<(ii)−5:∫ISR(NE)dt−ISR(NE)t
前述のとおり、時間t2毎に、負極の副反応電流∫ISR(NE)dtから、そのリチウムイオン二次電池1固有の環境の履歴に由来する負極の副反応電流ISR(NE)tを導く。すなわちその検査対象となるリチウムイオン二次電池1の固有の負極の劣化の速度を求めるためのマップである。このマップによりその時間t2の時点で求めた蓄積された負極の副反応電流ISR(NE)tに基づいて、容量低下量Qlossを2t毎に算出する。
<(ii)−6:∫ISR(PE)dt−ISR(PE)t
同様に、時間t2毎に、正極の副反応電流∫ISR(PE)dtから、そのリチウムイオン二次電池1固有の環境の履歴に由来する正極の副反応電流ISR(PE)tを導く。すなわちその検査対象となるリチウムイオン二次電池1の固有の正極の劣化の速度を求めるためのマップである。このマップにより求めたその時間t2の時点でもとめた蓄積された正極の副反応電流ISR(PE)tに基づいて、容量低下量Qlossを2t毎に算出する。
<(iii)測定した負極と正極の副反応電流(速度)ISR(NE)0/ISR(PE)0
ここでは、この検査対象となるリチウムイオン二次電池1が、特定の条件で保存を行った場合の正極の副反応電流(速度)ISR(PE)0と、負極の副反応電流(速度)ISR(NE)0とを、図3に示す手順で測定した結果である。検査対象となるリチウムイオン二次電池1固有の検査の基準となる基本的なデータである。
<(iii)−1:負極の副反応電流(速度))ISR(NE)0
図3の手順で求めた負極の副反応電流、すなわち初期セルSOCと、保存温度T1、保存期間t1の条件での負極の劣化の速度であり、この検査方法の基準となる値である。
この検査は、この基準値を経時データTD、経時データVDを参照して補正して、より正確な劣化の推定する基本となるデータである。
<(iii)−2:正極の副反応電流(速度))ISR(PE)0
図3の手順で求めた正極の副反応電流、すなわち初期セルSOCと、保存温度T1、保存期間t1の条件での正極の劣化の速度であり、この検査方法の基準となる値である。
この検査は、この基準値を経時データTD、経時データVDを参照して補正して、より正確な劣化の推定する基本となるデータである。
<出荷検査法方法の実施例フローチャート>
次に、図3で求めた負極の副反応電流(速度)ISR(NE)0及び正極の副反応電流(速度)ISR(PE)0を基準として、図4に示すようなデータ、マップ等を用いて行う出荷検査方法の一実施形態を、図5のフローチャートを参照して説明する。
<経時データTD、経時データVDの読み出し>
まず、t0から、時間t2毎に記憶されているそのときの時間t2の処理に必要な該当する環境温度Tを経時データTDから読み出すとともに、該当するセル電圧を経時データVDから読み出す(S11)。この読み出しは、最初はt0から時間t2まで、次に前の時間t2の終わりから、その次の時間t2までのように、順次時間t2毎に読み出されてS11〜S50までの処理が繰り返される。
<負極の副反応電流(速度)ISR(NE)tを算出>
ここでは、まず、負極の劣化の速度に相当する負極の副反応電流(速度)ISR(NE)tを算出する(S25)。
まず、経時データVDから読み出したその時間t2の時間のセル電圧から<負極電位VNE>を算出する(S20)。
次に、基準となる図3の手順で求めた<(iii)−1:負極の副反応電流(速度)ISR(NE)0>を読み出す。また、補正の基準となるマップ(ii)-1<環境温度>−<負極の副反応電流(速度)ISR(NE)0>及び、マップ(ii)-3<負極電位VNE>−<負極の副反応電流(速度)ISR(NE)0>から<負極の副反応電流(速度)ISR(NE)0>を読み出す(S21)。
これらのデータからその時間t2における<負極の副反応電流(速度)ISR(NE)t>と<時間t2>の積を算出する(S22)。このS22の積を積分して<∫ISR(NE)dt>を算出する(S23)。マップ(ii)−5<∫ISR(NE)dt−ISR(NE)t>から、<ISR(NE)t>を読み出し(S24)、その時間t2の時点の<負極の副反応電流(速度)ISR(NE)t>を算出する(S25)。
<正極の副反応電流(速度)ISR(PE)tを算出>
一方、正極の副反応電流(速度)ISR(PE)tをS20〜25の処理と並行して算出する(S30〜35)。そのために、まず<t0>から<tmax>までの任意の<時間t2毎>に入力した後(S11)、(i)−2<セル電圧の経時データVD(時間t2毎)>のセル電圧から<正極電位VPE>を算出する(S30)。
続いて、基準となる図3の手順で求めた<(iii)−2:正極の副反応電流(速度)ISR(PE)0>を読み出す。また補正の基準となる<環境温度>−<正極の副反応電流(速度)ISR(PE)0>のマップ(ii)-2及び、<正極電位VPE>−<正極の副反応電流(速度)ISR(PE)0>のマップ(ii)−4のデータからその時間t2における<正極の副反応電流(速度)ISR(NE)0>を読み出す(S31)。
これらのデータからその時間t2におけるマップ(ii)-2及びマップ(ii)−4から読み出した<正極の副反応電流(速度)ISR(NE)t>及び、S22で読みだした<負極の副反応電流(速度)ISR(NE)t>と<時間t2>の積を読み込み、<正極の副反応電流(速度)ISR(PE)t>と<時間t2>の積を算出する(S32)。このS32の積を積分して<∫ISR(PE)dt>を算出する(S33)。マップ(ii)−6<∫ISR(PE)dt−ISR(PE)t>から<∫ISR(NE)dt−ISR(NE)t>から<ISR(NE)t>を読み出し(S34)、その時間t2の時点の<正極の副反応電流(速度)ISR(PE)t>を算出する(S35)。
<容量低下量Qlossを算出>
容量低下量Qlossは、負極の副反応電流ISR(NE)0と、正極の副反応電流ISR(NE)0とを、それぞれ環境温度Tによる増減、負極電位VNE及び正極電位VPEによる増減、積算された劣化によるその時点での増加の影響をそれぞれ受ける。そこで、Qloss算出のステップ(S40)では、これらの要素を統合して、その時点での容量低下量Qlossを算出する。
まず、S22で読み出した<負極の副反応電流(速度)ISR(NE)>と<時間t2>の積を読み込み、<正極の副反応電流(速度)ISR(PE)>と<時間t2>を算出する(S32)。次に、図3のS10にある<ISR(PE)0=ISR(NE)0-Qloss÷t1>の関係から、Qloss=t1(ISR(NE)0-ISR(PE)0)が導かれるので、t1をt2に置き換えて、容量低下量Qlossを求める。
一方、S25で求めた<負極の副反応電流(速度)ISR(NE)t>を入力する。
さらに、S35で求めた<正極の副反応電流(速度)ISR(PE)t>とからも、その副反応電流値から<容量低下量Qloss>を入力する。
S40では、このようにS32で求めた値と、S25で求めた値と、S35で求めた値とを統合し、その<時間t2>における容量低下量Qlossを求める。
<∫Qlossを算出>
S40で求めたその時間t2のQlossを<∫Qloss>を積算するとともに(S50)、再びS11に戻って、このS11〜S50の手順を、t0〜tmaxまで時間t2毎に順次繰り返し処理を行い、t0〜tmaxまで時間t2毎のQlossを積算する。
このように求めた<∫Qloss>は、検査対象であるリチウムイオン二次電池1の寿命tmaxまで、つまり本実施形態では10年後の劣化状態を意味することになる。
<t0〜tmaxまでの時間t2毎の処理の繰り返し>
S50で、その時間t2の処理が終了したら、時間t2毎の処理が寿命tmaxまで完了したかを判断し、まだ完了していない場合は(S51:NO)、S11に戻り、S11からS50までの処理を繰り返す。
処理がtmaxまで完了した場合は(S51:YES)、処理が完了したとして、それまで蓄積した容量低下量<∫Qloss>の値を取得する。
<検査の合否判定>
S51でt0〜tmaxまでの処理が終了した場合の寿命tmaxにおけるリチウムイオン二次電池1に蓄積された容量低下量<∫Qloss>と、この実施形態では保証期間などに基づき予めユーザにより設定された10年後の容量低下量である<ユーザ要求>とを比較する(S52)。
「∫Qloss<ユーザ要求」の場合は(S52:NO)、出荷の基準に電池が達しないとして、検査に不合格と判定し、出荷不可とする(S53)。「∫Qloss<ユーザ要求」の場合は(S52:YES)、電池の性能が出荷の基準に達したとして、検査が合格と判定し、出荷可能とする(S54)。
以上で、出荷検査法方法の実施が完了する。
この出荷検査により、製品となるリチウムイオン二次電池1の出荷において、寿命tmaxが保証期間を超えるという出荷の基準を満たしたものだけ出荷され、寿命tmax時に製品の基準を満たしていないと予想されるものが、出荷されることがない。
(第1の実施形態の効果)
以下本実施形態のリチウムイオン二次電池1の副反応電流値の測定方法、寿命推定方法、検査方法の効果を列記する。
(1)走行距離や使用時間だけでなく、環境温度Tや、セルSOCなど、多くの劣化要因を考慮して、寿命を正確に推定することができる。
(2)セル1A全体の評価だけでなく、正極、負極ごとに切り分けて劣化が判断できるため、より正確にリチウムイオン二次電池1の寿命を推定することができる。
(3)過去のユーザの使用状況がわからない場合であっても、経時データTD、経時データVDに基づいて正確にその状態を把握し、将来の寿命を推定できる。
(4)それぞれのリチウムイオン二次電池1の個々の特性に応じて、個別に正確な劣化の特性や状態を把握した上で、将来的な寿命を正確に予測することができる。
(5)この寿命推定方法によれば、製品としてリチウムイオン二次電池1の品質の信頼性を保証することができる。
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、電池を製造した時点で、出荷前に電池の寿命を判定する発明である。しかしながら、使用履歴のある中古のリチウムイオン二次電池1であっても、同様に、そのリチウムイオン二次電池1固有の劣化の速度と、残存する寿命までの電池の劣化を判定することもできることは言うまでもない。ここで、使用履歴のある二次電池の残余の寿命を「余寿命」という。「余寿命」の予測は、製造時点での寿命判定と異なり、そのリチウムイオン二次電池1の使用履歴を参照することで、そのリチウムイオン二次電池1の環境温度やセルSOCと劣化の関係がわかるため、同様な環境において使用した場合のそのリチウムイオン二次電池1の固有の余寿命を正確に予測することができる。
第2の実施形態では、基本的な検査方法は共通している。第1の実施形態と異なる点は、経時データTD、経時データVDをこれまでの使用履歴により過去の実測値をデータとするとともに、将来の余寿命の経時データTD、経時データVDは、過去の履歴に基づいて想定する点で異なる。
<二次電池が搭載される車両の全体構成>
次に、このリチウムイオン二次電池1の使用履歴は、これが搭載された車両において収集することが可能である。そこで、本実施形態のリチウムイオン二次電池1が搭載される車両10について簡単に説明する。
図6は、第2の実施形態に係るリチウムイオン二次電池1が搭載された車両10の全体構成を概略的に示す図である。図6に示す車両10は、ハイブリッド車両である。車両10は、リチウムイオン二次電池の制御装置18と、PCU(パワーコントロールユニット:Power Control Unit)30と、モータジェネレータ41,42と、エンジン50と、動力分割装置60と、駆動軸70と、駆動輪80とを備える。リチウムイオン二次電池の制御装置18は、リチウムイオン二次電池1と、リチウムイオン二次電池1のセル電圧BV、電流BI、環境温度BTを監視する監視ユニット20と、経時データTD、経時データVDを記憶するメモリ102を備えたECU(電子制御装置:Electronic Control Unit)100とを備える。
<モータジェネレータ42>
モータジェネレータ42は、主として電動機として動作し、急加速時にはリチウムイオン二次電池1から供給された大電流で駆動輪80を駆動する。一方、車両の制動時や下り斜面では、モータジェネレータ42は、発電機として動作して大電流の回生発電を行ない、リチウムイオン二次電池1に大電流を供給する。
このような車載用のリチウムイオン二次電池1では、環境温度Tが低温から高温まで変化したり、ハイレートの充放電が行われたり、その充放電の状況から低いセルSOCから高いセルSOCまで変化したり、使用環境により劣化の進み方が異なることがある。
<リチウムイオン二次電池の監視ユニット20>
監視ユニット20は、電圧センサ21と、電流センサ22と、温度センサ23とを含む。電圧センサ21は、セルの電圧VBを検出する。電流センサ22は、リチウムイオン二次電池1に入出力される電流IBを検出する。温度センサ23は、ブロック毎の温度TBを検出する。各センサは、その検出結果を示す信号をECU100に出力する。これらの温度TB、セル電圧VB、電流IBは、このリチウムイオン二次電池1の履歴として、経時データTD、経時データVDが時間t2毎に環境温度T、セル電圧Vとして記憶される。
<過去の使用履歴における経時データTD、経時データVD>
第1の実施形態では、リチウムイオン二次電池1が製造された時点で、副反応電流値の測定が行われているが、第2の実施形態では、使用履歴のあるリチウムイオン二次電池について、副反応電流値の測定を行い、その時点からの余寿命を推定する。
この場合、経時データTD、経時データVDを、前述の車載のリチウムイオン二次電池1が監視ユニット20の電圧センサ21と、電流センサ22と、温度センサ23により、時間t2毎に収集、記憶しておく。すなわち、リチウムイオン二次電池1は、環境温度Tやセル電圧Vなどの使用状況の履歴から、そのリチウムイオン二次電池1が、どのような使用環境で使用していたかがわかる。過去の経時データTD、経時データVDは、現在のリチウムイオン二次電池1の副反応電流値の測定を行えば、必ずしも必要がない。
<余寿命の経時データTD、経時データVD>
このリチウムイオン二次電池1が同じ車両10に搭載されている場合は、このリチウムイオン二次電池1の余寿命を推定するには、その寿命tmaxまでの経時データTD、経時データVDとして、この過去の実績に基づく経時データTD、経時データVDを用いることで、同様な使用環境での正確な予測をすることができる。
(第2の実施形態の作用)
本実施形態の作用は、経時データTD、経時データVDとして、過去の使用履歴における経時データTD、経時データVDを参照する点で異なるが、図3に示す副反応電流値の測定方法自体は、同一の方法であり、図6に示す出荷検査方法も同一の方法である。
ただし、その結果は、厳密には出荷ではないが、そのリチウムイオン二次電子を搭載した車両において、中古車として再販売するときの合否判定として利用でき、ここでは図5のフローチャートにおける出荷の可否を再販売の可否と読み替えて参照する。
(第2の実施形態の効果)
第2の実施形態では、第1の実施形態の効果に加えて以下のような効果がある。
(6)余寿命の予測に用いる将来の経時データTD、経時データVDを、過去の使用履歴の実測値を、車両に蓄積しておき、これを参照することで、より正確な使用環境を予測することができる。その結果、より正確に余寿命を推定することができる。
(変形例)本発明は、上記各実施形態には限定されず、下記のように実施することもできる。
○本実施形態に係るリチウムイオン二次電池の制御装置18は、電動車両に搭載された構成を例に説明した。電動車両とは、代表的にはハイブリッド車両(プラグインハイブリッド車を含む)であるが、これに限定されるものではない。本実施形態に係るリチウムイオン二次電池の制御装置18は、リチウムイオン二次電池から供給される電力を用いて動力を発生させる車両全般に適用可能である。そのため、電動車両は、電気自動車または燃料電池車であってもよい。
〇また、本実施形態に係るリチウムイオン二次電池の寿命推定方法の用途は車両用に限定されず、たとえば建物に載置される定置用であってもよい。
〇本実施形態では、二次電池は、リチウムイオン二次電池を例として説明したが、二次電池は、リチウムイオン二次電池に限定されるものではなく、ニッケル水素二次電池、さらに将来的に想定されるナトリウムイオン二次電池、リチウム空気二次電池なども排除するものではない。
〇本実施形態の二次電池の検査方法は、いつでも実施可能であるため、リチウムイオン二次電池の製造時の出荷可否の検査に用いることができるだけでなく、中古車両から回収したリチウムイオン二次電池の再販売時に行うことができる。また、他の目的において単に二次電池の劣化の判断に用いることができることは当然である。
○図3、図5に示すフローチャートは、一例であり、その順序を変更し、またステップの付加、削除もしくは変更をして実施することができる。
○図4に示す出荷検査法方法における入力データの一覧表は、一例であり、「想定される使用環境入力」、「事前取得マップ入力」などは、適宜変更することができる。
○また、本発明は、特許請求の範囲を逸脱しない限り、当業者により、その構成を付加、削除または変更をし、又はカテゴリーを変えて装置として実施することができることは言うまでもない。
1…リチウムイオン二次電池
1A…セル
2…リチウムイオン二次電池の寿命推定装置
3…充放電装置
4…セル電圧測定器
5…セル電流測定器
6…温度計
7…保温装置
8…制御装置
81…CPU
82…メモリ
10…車両
18…制御装置
20…監視ユニット
21…電圧センサ
22…電流センサ
23…温度センサ
30…PCU
41,42…モータジェネレータ
SR(NE)0…負極の副反応電流(速度)
SR(PE)0…正極の副反応電流(速度)
Q1…保存前電池満容量
Q2…保存前の区間容量
Q3…保存後の残存容量
Q4…保存後電池満容量。
QSD(Ah)…保存期間中の自己放電容量
loss(Ah)…容量低下量
T1(°C)…保存温度
t0(h)…使用開始時
t1(h)…保存期間
t2(h)…時間(経時データの処理単位)
tmax(h)…(想定される)寿命
V1(V)…(保存の初期電圧である)上限電圧

Claims (12)

  1. 二次電池を特定の条件で保存する保存のステップと、
    前記保存した二次電池の保存前後の電池満容量の容量低下量Qlossを測定する電池容量低下量測定のステップと、
    前記保存した二次電池の保存前後の自己放電容量QSDを測定する自己放電容量測定のステップと、
    前記容量低下量Qloss及び自己放電容量QSDから、前記保存時の特定条件における正極及び負極の副反応電流値を求める副反応電流値測定のステップと
    を備えたことを特徴とする副反応電流値の測定方法。
  2. 前記保存のステップは、
    満充電を超えない任意のセル電圧V1に設定し、任意の温度T1で任意の保存期間t1保存することを特徴とする請求項1に記載の副反応電流値の測定方法。
  3. 前記副反応電流値測定のステップは、
    前記自己放電容量QSDを、前記保存期間t1で除することで、負極の副反応電流ISR(NE)0を求めることを特徴とする請求項1又は2に記載の副反応電流値の測定方法。
  4. 前記副反応電流値測定のステップは、
    前記負極の副反応電流ISR(NE)0から、前記容量低下量Qlossを前記保存期間t1で除した商を引いた差から、正極の副反応電流ISR(PE)0を求めることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の副反応電流値の測定方法。
  5. 前記電池容量低下量測定のステップは、
    前記保存前後の完全放電状態から満充電までの電池満容量の差により容量低下量Qlossを求めることを特徴とする請求項1に記載の副反応電流値の測定方法。
  6. 前記自己放電容量測定のステップは、
    前記保存前の完全放電状態から任意のセル電圧V1までの電池容量と、前記保存後の完全放電状態までの残存容量の差から自己放電容量QSDを求めることを特徴とする請求項1に記載の副反応電流値の測定方法。
  7. 前記完全放電状態は、セルSOCが0%を完全放電状態と判断することを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の副反応電流値の測定方法。
  8. 前記完全放電状態は、セル電圧が3.0Vを完全放電状態と判断することを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の副反応電流値の測定方法。
  9. 前記二次電池は、リチウムイオン二次電池であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の副反応電流値の測定方法。
  10. 請求項1〜9のいずれか一項の副反応電流値の測定方法を用いて、特定条件での正極及び負極の副反応電流値を求める副反応電流値測定のステップと、
    前記副反応電流値測定のステップにより予め取得した前記正極及び負極の副反応電流値と、使用環境の経時データとの関係を用いて、想定される使用環境下における正極の劣化量と、負極の劣化量とをそれぞれ算出する劣化量算出のステップと、
    当該劣化量に基づいて二次電池の寿命を推定する寿命推定のステップと
    を備えたことを特徴とする二次電池の寿命推定方法。
  11. 前記劣化量算出のステップは、
    前記使用環境の経時データは、環境温度、正負極電位、積算劣化量のいずれかを含むことを特徴とする請求項10に記載の二次電池の寿命推定方法。
  12. 請求項10又は請求項11に記載の二次電池の寿命推定方法を用いる寿命推定のステップと、
    前記二次電池の寿命推定方法により推定された二次電池の推定寿命と、予め設定された期待寿命とを比較して、前記推定寿命が前記期待寿命以上である場合に合格とする検査のステップと
    を備えたことを特徴とする二次電池の検査方法。
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