JP2021130964A - 耐火構造および壁 - Google Patents

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Abstract

【課題】軽量で他の材料との組み合わせ自由度の高い耐火性に優れた耐火構造および壁を提供する。【解決手段】複数枚の軽量気泡コンクリート製パネル15が隣接して配置され、隣接する軽量気泡コンクリート製パネル15の端面15a間に熱膨張材21が設けられていることを特徴とする。軽量気泡コンクリート製パネル15は、内部に金属の補強材Sを有することが好ましく、補強材Sは、メタルラスであることが好ましい。【選択図】図1A

Description

本発明は、耐火構造および壁に関する。
従来、サンドイッチパネルは軽量性や施工性を特長として建築分野で広く使われるようになってきたが、耐火性を要求された場合の芯材として、ロックウールが提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、ロックウールを芯材として耐火性を実現するには、ロックウールの密度を上げる必要があり重量が嵩むことが問題となっていた。
ロックウールは水蒸気や気体の透過性が高く、さらに大きな吸湿性と吸水性を有する。そのため、一旦壁体内に入った水蒸気や水分が壁体内を自由に移動してしまい、内部結露が生じやすいという問題点もあった。
また、特許文献2には、無機材が添加されたフェノール樹脂フォームからなる芯材を金属材からなる表面材と裏面材とで挟み込んだ耐火パネルが提案されている。しかしながら、当該耐火パネルは耐火性が不十分である。
そこで、特許文献3には、金属材からなる表面材と裏面材との間に、有機断熱ボード層および無機ボード層を積層接着した断熱耐火サンドイッチパネルが提案されている。
特許第3657692号公報 特許第3306439号公報 特開2007−132102号公報
しかしながら、特許文献3に記載された断熱耐火サンドイッチパネルを以てしても、壁としての耐火性が依然として不十分であった。
また、軽量気泡コンクリート製パネルは、平成17年6月1日 国土交通省告示第569号において、厚さ75mm以上で壁としての耐火性能を有するものと定められているが、その前提としてALC構造設計基準に基づいて建物躯体に強固に取り付ける必要があり、厚く重量が重たい上、他の材料との組み合わせ等の自由度を欠いたものであった。また、厚さ50mmで壁としての耐火性能に関する大臣認定を取得しているが、その場合は軽量気泡コンクリート製パネルの端面間を耐火接着剤により接合し、隙間がまったく生じないように構築する必要があった。
そこで、本発明の目的は、軽量で他の材料との組み合わせ自由度の高い耐火性に優れた耐火構造および壁を提供することにある。
[1]複数枚の軽量気泡コンクリート製パネルが隣接して配置され、隣接する前記軽量気泡コンクリート製パネルの端面間に熱膨張材が設けられていることを特徴とする耐火構造。
[2]前記軽量気泡コンクリート製パネルは、内部に金属の補強材を有する、前記[1]に記載の耐火構造。
[3]前記金属の補強材は、メタルラスである、前記[2]に記載の耐火構造。
[4]前記複数枚の軽量気泡コンクリート製パネルの表面および裏面に、1枚の板材で構成される表面材および裏面材が、それぞれ固定されて耐火パネルを構成している、前記[1]〜[3]のいずれか一項に記載の耐火構造。
[5]前記表面材および前記裏面材は金属材からなる、前記[4]に記載の耐火構造。
[6]前記表面材および裏面材は所定の温度で固定状態が解除され、前記耐火パネルから前記表面材および裏面材が剥離するように固定される、前記[4]または[5]に記載の耐火構造。
[7]前記耐火パネルが幅方向に複数枚配置され、隣接する前記耐火パネルの端面において、前記軽量気泡コンクリート製パネルの端面間に熱膨張材が設けられている、前記[4]〜[6]のいずれか一項に記載の耐火構造。
[8]前記[1]〜[7]のいずれか一項に記載の耐火構造を有する壁。
本発明によれば、軽量で簡易な構造の耐火性に優れた耐火構造および壁を提供できる。
本発明による耐火構造の好適な一例を示す図である。 本発明による耐火構造の好適な別の例を示す図である。 耐火パネルの好適な一例の全体図である。 図2Aに示した耐火パネルの幅方向側の端部の断面図である。 複数枚の軽量気泡コンクリート製パネルで構成された耐火パネルの芯材を示す図である。 本発明による耐火構造を有する間仕切壁の一例の全体図である。 図4Aに示した間仕切壁の目地部の鉛直方向断面図である。 図4Aに示した間仕切壁の幅方向断面図である。 本発明による耐火構造を有する間仕切壁の目地部の一例の幅方向断面図である。 本発明による耐火構造を有する間仕切壁の目地部の別の例の幅方向断面図である。 本発明による耐火構造を有する間仕切壁の目地部のさらに別の例の幅方向断面図である。 有機断熱ボード層を有する耐火パネルの一例を示す図である。
以下、図面を参照して、本発明による耐火構造について説明する。図1Aは、本発明による耐火構造の好適な一例を示している。図1Aに示した耐火構造100は、複数枚の軽量気泡コンクリート製パネル15が隣接して配置されている。ここで、隣接する軽量気泡コンクリートパネル15の端面15a間に熱膨張材21が設けられていることを特徴とする。
−軽量気泡コンクリート製パネル−
軽量気泡コンクリート製パネル15を構成する軽量気泡コンクリートは、一般に、珪石や珪砂を主成分とする珪酸質原料および石灰質原料に、水および発泡剤を添加したスラリーを発泡、半硬化させ、得られる半硬化体を例えばオートクレーブにて高温高圧水蒸気養生を行うことによって製造される。
上述のように製造された軽量気泡コンクリートは、内部に気泡と細孔を含むため、極めて軽量でありながら、高い耐火性および断熱性を備え、強度も比較的高いなど、優れた性能を有している。そのため、軽量気泡コンクリートで構成された軽量気泡コンクリート製パネル15は、軽量性、耐火性、断熱性、加工性および経済性に優れたパネルである。
−熱膨張材−
熱膨張材21としては、シート状や紐状の熱膨張材、耐火塗料などを使用できる。熱膨張性シート材としては、150〜200℃程度で膨張を開始し、300℃で5〜15倍程度、600℃で10〜30倍程度に膨張し、加熱温度である900℃程度でも消失しない無機材料を半分程度以上含むシート状に成形されたものを、所定寸法に加工して用いることができる。組成としては、例えば膨張層を形成するホウ酸等の無機充填材に膨張材である膨張黒鉛を加え、さらに鉱油、カーボンブラック等の添加剤とブチルゴム等のバインダーを加えて、シート状に成形したものなどを用いることができる。また、無機充填材としてホウ酸を用いる場合には、酸化アルミニウムをホウ酸に対して重量比で0.45〜1.5程度加え、かつケイ酸化合物、マグネシウム塩およびカルシウム塩の合計含有量をホウ酸に対して重量比で10%未満とすることにより、膨張後の熱膨張性シート材の形状保持能力を高めることができ、好ましい。
上述のような軽量気泡コンクリート製パネル15を複数枚用意して隣接して配置し、パネル15の端面15a間に熱膨張材21を設けて耐火構造100を構成することにより、パネル15を一枚一枚強固に躯体に固定する必要がなく、またパネル15の端面15a間を耐火接着剤で強固に接着する必要もなく、使い勝手のよい耐火構造の壁を得ることができる。軽量気泡コンクリートは、100〜500℃で特に激しく収縮する特性を有するが、熱膨張材21が100〜500℃で膨張するため、軽量気泡コンクリート製パネル15の端面15a間に隙間ができるのを防ぎ、優れた耐火性を実現することができる。
なお、熱膨張材21は、必ずしも軽量気泡コンクリート製パネル15の全厚に装填する必要はなく、想定する軽量気泡コンクリート製パネル15の端面15a間の隙間と熱膨張材21の膨張率などを考慮して決めればよい。熱膨張材21の厚さは1〜3mm、幅は15〜50mm程度のものが好ましいが、図1Bに示す耐火構造200のように、熱膨張材21は、軽量気泡コンクリート製パネル15の厚み方向に2つに分けて設けることもできる。これにより、パネル1の厚み方向中央位置に1個の熱膨張材21を設ける場合よりも、耐火性を維持しつつ、熱膨張材21の量を減らすことができる。熱膨張材21を2つ以上に分けて設ける場合、それらが加熱され膨張した際に必ずしも隙間なく連続する必要はなく、より効果的な位置に配置すればよい。また、熱膨張材21は、長さ方向(パネルの長さ方向)には全長に亘って装填するのが好ましい。熱膨張材21は、必ずしも隙間なく連続して装填される必要はないが、熱膨張材21が加熱され膨張した際に、長さ方向に切れ目が生じ加熱側から非加熱側に貫通した隙間ができることを防ぐのが耐火性能上重要である。なお、熱膨張材21は、その厚さ方向(パネルの幅方向)だけでなく、幅方向(パネルの厚さ方向)や長さ方向にも膨張するが、その膨張倍率は、厚さ方向の1/2〜1/4程度となるため、この点をよく考慮して設計すべきである。また、軽量気泡コンクリート製パネル15の長さ方向における端面に装填する熱膨張材21についても、軽量気泡コンクリート製パネル15の幅方向の端面15aと同様に考えればよい。
軽量気泡コンクリート製パネル15と熱膨張材21とは、スプレー糊や両面テープなどや、ステープル留めにより固着させることができる。スプレー糊や両面テープの糊は、アクリル系やブチル系のものを用いることができる。中でも、コストと耐火性への影響を最小限にできることから、糊はアクリル系のものを用いることが好ましい。また、両面テープの基材としては、セルロース系、アクリル系、ポリエステル系、ポリエチレンテレフタレート(PET)、不織布、金属箔などを用いることができる。
また、図1Aおよび図1Bに示すように、軽量気泡コンクリート製パネル15が金属の補強材Sを有することが好ましい。これにより、図1Aに示した耐火構造100または図1Bに示した耐火構造200を有する間仕切壁が加熱されている間に、軽量気泡コンクリート製パネル15に大きな亀裂が生じず、多くの細かい亀裂が様々な方向に分散して発生する。こうした亀裂は、加熱終了後の温度低下時にも完全に閉じることはないため、軽量気泡コンクリート製パネル15の温度低下に伴う収縮量を小さくすることができ、隣接する軽量気泡コンクリート製パネル15間の隙間の発生を抑え、耐火性をさらに向上させることができる。熱膨張材21は、温度低下に伴う収縮により生じる隣接する軽量気泡コンクリート製パネル15間の隙間を塞ぐことはできないため、加熱終了直後に裏面温度が上昇しないようにするために、温度低下時のパネル15間の隙間を小さくすることが重要である。
−補強材−
補強材Sとしては、表面を特殊防錆処理を施した鉄筋マットやメタルラス(スチール製の金網)、ガラスファイバーネットなどを用いることができる。中でも、補強材Sとしては、メタルラスを用いることが好ましい。
メタルラスは、鉄筋に比べて線材間のピッチを細かく配置することができ、また金網のメッシュは菱形や6角形などの多角形で構成されるため、加熱時に軽量気泡コンクリート製パネル15に発生する亀裂をより細かく、亀甲状等に様々な方向に向かったものとすることができる。そのため、軽量気泡コンクリート製パネル15全体としての収縮を抑え、隣接する軽量気泡コンクリート製パネル15間の隙間の発生を抑えることができる。
また、メタルラスを構成する線材の径が小さく、線材が直線状に長く繋がらず線材の交点で線材の軸方向にあそびを有するため、壁の加熱終了後に温度が降下した際に、線材の収縮によって軽量気泡コンクリート製パネル15に与える収縮力が小さく、加熱によって軽量気泡コンクリート製パネル15に生じた亀裂を閉じさせず、隣接する軽量気泡コンクリート製パネル15間の隙間の発生を抑えることができる。
さらに、メタルラスの線材は、幅方向に対して25〜75°の方向に配置されるため、軽量気泡コンクリート製パネル15に与える幅方向の収縮力を緩和させることができる。具体的なメタルラスの仕様としては、JISA55052014 表4 に規定されるALCパネル用ラスを用いると、上記のような効果が大きく好ましい。
メタルラスを補強材Sとしてパネル15の厚さ方向の中央に配した軽量気泡コンクリート製パネル15としては、厚さ37mmや50mmのものがよく用いられるが、強度を向上させるため、より厚い軽量気泡コンクリート製パネル15が必要となることがある。このような場合には、メタルラスで補強された二枚の軽量気泡コンクリート製パネル15が厚さ方向に一体化した形のものを製造することも可能である。その場合、二段に補強材Sが入ることによって、軽量気泡コンクリート製パネルの曲げ強度が向上するとともに、メタルラスが軽量気泡コンクリート製パネル15の表層近くに配されるため、前述のメタルラスの効果が維持され、加熱時に軽量気泡コンクリート製パネル15に入る亀裂を細かく分散させたり、加熱終了後の温度低下時に亀裂を閉じさせたりするのを防ぐ効果を維持することができる。さらに、軽量気泡コンクリート製パネル15の3枚分の厚さで内部に2〜3段のメタルラスが配置されたものを作ることもできる。
上記補強材Sは、軽量気泡コンクリート製パネル15の短尺方向(幅方向)、長尺方向の端面まで到達する長さを有していてもよいし、端面まで到達しない長さであってもよい。
軽量気泡コンクリート製ボード15としては、上記補強材Sで補強した比重0.3〜0.7程度のものが好ましく、比重0.35程度のものが断熱性および軽量性がさらに優れ好ましい。また、軽量気泡コンクリート製ボード15は、その製造方法の特徴から内部にメタルラスや鉄筋マットなどの補強材Sを容易に配置できる。
図2Aは、耐火パネル1の好適な一例の全体図を示しており、図2Bは、図2Aに示した耐火パネル1の幅方向側の端部の断面図を示している。図2Aに示した耐火パネル1は、複数枚の軽量気泡コンクリート製パネル15の表面および裏面に、1枚の板材で構成される表面材11および裏面材12が、それぞれ固定されて構成されている。軽量気泡コンクリート製パネル15は、金属の補強材Sを有している。
図2Bに示すように、耐火パネル1において、芯材である軽量気泡コンクリート製パネル15の表面材11側および裏面材12側の角部に、側壁Dsと底面Dbとで区画された凹部(第1の凹部)D1が設けられている。そして、耐火パネル1の表面材11(裏面材12)の幅方向側の端部は、耐火パネル1の内部方向に向かった第1の折り曲げ部11a(12a)を有する。そして、表面材11(裏面材12)と軽量気泡コンクリート製パネル15との間には、接着剤からなる接着層が形成されており、接着剤の一部が第1の折り曲げ部11a(12a)と軽量気泡コンクリート製パネル15との間に入り込み、表面材11(裏面材12)と軽量気泡コンクリート製パネル15との一体性を向上させている。
−表面材および裏面材−
表面材11および裏面材11は、金属材や石膏ボードなどで構成することができるが、金属材で構成することが好ましい。さらに、表面材11および裏面材12を、例えば上下端など部分的に躯体に固定することにより、表面材11(裏面材12)が加熱された際に、軽量気泡コンクリート製パネル15から剥離して、加熱側に大きく膨張して変形するように構成することができる。表面材11および裏面材12を金属材で構成する場合、金属材をプレス成形、押出成形、ロール成形等によって所定の断面形状に形成したものを使用することができる。
金属材としては、例えば、溶融55%アルミニウム−亜鉛めっき鋼板、溶融亜鉛めっき鋼板、塗装溶融55%アルミニウム−亜鉛めっき鋼板(塗装:ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、シリコン系樹脂、アミノ・アルキド系樹脂、塩化ビニル系樹脂、フッ素系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂)、塗装溶融亜鉛めっき鋼板(塗装:ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、シリコン系樹脂、アミノ・アルキド系樹脂、塩化ビニル系樹脂、フッ素系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂)、塗装ステンレス鋼板(塗装:ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、シリコン系樹脂、アミノ・アルキド系樹脂、塩化ビニル系樹脂、フッ素系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂)、塩化ビニル樹脂フィルム張/金属板、高耐候性圧延鋼材(塗装:エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂)、両面ポリエステル樹脂系塗装/溶融アルミニウムめっき鋼板、フェライト系ステンレス鋼板、両面アクリル樹脂系塗装/亜鉛合金板などを用いることができる。なお、前記の金属板の塗装は表面だけでなく有機断熱ボードと接着される面にも施されることが一般的であり、この場合には接着剤の常温時の接着性と加熱時の初期の燃焼性の点から樹脂を選択し、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂およびアクリル樹脂などを用いることが好ましい。
表面材11および裏面材12の寸法は、設計に応じて適切に設定することができ、例えば、長さは0.6〜12m、幅は300〜1000mmとすることができる。また、表面材11および裏面材12の厚みは、強度や重量、経済性の点で、0.3〜1.6mmとすることが可能であるが、より好ましくは0.4〜1.0mmである。
耐火パネル1が長尺の場合、その芯材は、図3に示すように、長尺方向に複数枚の軽量気泡コンクリート製パネル15を並べて構成することができ、パネル1の長さを超える分については切断して長さを合わせることができる。また、耐火パネル1の芯材は、幅方向に複数枚の軽量気泡コンクリート製パネル15を並べて構成することができ、パネル1の幅を超える分については切断して幅を合わせることができる。このように、耐火パネル1の芯材は、その面内方向に隣接する複数枚の軽量気泡コンクリート製パネル15で構成することができる。
図3に示したように、長尺の耐火パネル1の芯材を複数枚の軽量気泡コンクリート製パネル15で構成する場合、隣接する軽量気泡コンクリート製パネル15の端面15a間に、上述した熱膨張材21が設けられている。金属材からなる長尺の表面材11および裏面材12の間に、図3に示した軽量気泡コンクリート製パネル15で構成された芯材を配置することによって、優れた耐火性を有する長尺の耐火パネル1を構成することができる。この耐火パネル1においては、表面材11の加熱直後に表面材11が軽量気泡コンクリート製パネル15から剥がれるため、パネル1全体が大きく変形するのを抑制して耐火性を維持することができる。また、隣接する軽量気泡コンクリート製パネル15を強固に接合していないため、火災時や平常時に荷重を受け耐火パネルに大きな変形が生じるときにパネル15の端面15a間に大きな割れ等の損傷が生じるのを防ぐことができる。
なお、図3に示した耐火パネル1の芯材を構成する複数枚の軽量気泡コンクリート製パネル15は、縦目地がずれるように配置されているが、縦目地が一直線に並ぶように配置してもよい。
図4Aは、本発明による耐火構造を有する間仕切壁の好適な一例の全体図を示している。また、図4Bは、図4Aに示した間仕切壁の目地部での鉛直方向断面図を示しており、図4Cは、図4Aに示した間仕切壁の幅方向(短尺方向)断面図を示している。
図4A〜4Cに示した間仕切壁2は、上述のような複数枚の長尺の耐火パネル1が幅方向(短尺方向)に隣接されて配置されてなる間仕切壁であり、建物の階間、すなわち床スラブ22、23の間に架け渡され、その上下端で固定されている。間仕切壁2は、床スラブの他に、天井や床に配される耐火被覆された鉄骨梁などに固定されてもよい。また、床面にも断熱材を配置する必要のある用途の場合には、該間仕切壁の両面に床スラブ面から断熱材を積み上げた後、該断熱材上にコンクリートを打設して床面として仕上げることも多い。
間仕切壁2の下部は、下部留付材25aおよび下部アンカー材25bにより下部取付材25cを介して床スラブ23に固定されている。図示されていないが、間仕切壁2の上部も同様に、上部留付材24aおよび上部アンカー材24bにより上部取付材24cを介して床スラブ22に固定されている。また、間仕切壁2と床スラブ22との間の目地には上部目地材26が充填されており、間仕切壁2と床スラブ23との間の目地には、下部目地材27が充填されている。
上部アンカー材24bおよび下部アンカー材25bは、通常の間仕切壁の設計荷重である、地震時に働く1G程度の慣性力に耐えるものを選択するが、一般的には径がM8〜10程度、埋め込み長さが30〜70mm程度のコンクリート用アンカー材を、負担できる耐力に応じて必要本数配置されている。
また、上部目地材26および下部目地材27は、火災時に壁材に変位や回転が生じた場合に火炎や熱を貫通させる隙間を生じさせず、また壁材のファイヤーストップ材としての機能を損なう欠損や脱落を生じさせず、さらに平常時には熱貫流を小さくするための材料である。上部目地材26および下部目地材27としては、セラミックファイバー、アルカリアースシリケートブランケット(生体溶解性繊維)などを用いることができる。
図5は、本発明による耐火構造を有する間仕切壁の目地部の一例の幅方向断面図を示している。図5に示した間仕切壁の目地部50においては、図2Bに示したように、隣接する耐火パネル1a、1bの各々の表面材11および裏面材12に隣接する軽量気泡コンクリート製パネル15の表面材11側および裏面材12側の角部に、側壁Dsと底面Dbとで区画された第1の凹部D1が長尺方向に沿って設けられており、隣接する耐火パネル1a、1b間の軽量気泡コンクリート製パネル15の表面側および裏面側において、隣接する2つの凹部D1で構成された凹部15bが形成されている。
そして、隣接する耐火パネル1a、1bの双方の表面材11の端部および裏面材12の端部の各々は、上記第1の凹部D1において、側壁Dsに沿って底面Dbに向かって延在する第1の折り曲げ部11a、12aを有する。
さらに、目地部50にシーリング材28が打設されている。これにより、隣接する耐火パネル1a、1bがより強固に一体化するため、目地部50に隙間が生じにくくなる。また、後述のように芯材の裏面側に有機系断熱材(有機断熱ボード層)を用いるような場合には、温度が低下しても酸素濃度が上昇することにより発火することがあり、特に裏面側からの酸素の流入を防ぐ必要がある。このような現象に対し、隣接する耐火パネル1a、1bにおける軽量気泡コンクリート製パネル15の凹部15bにシーリング材28を打設することが極めて有用である。
シーリング材28と軽量気泡コンクリート製パネル15との間には、シーリング材28の三面接着を防止するためのボンドブレーカー29が敷設されている。なお、ボンドブレ−カー29の代わりに発泡樹脂製のバックアップ材を用いることも可能であるが、これらの材料は耐火試験における裏面温度の規定値である180+雰囲気温度付近で、収縮する性状を持つものが多く、加熱反対側でのシーリングの底面側からの付着切れを招き、耐火性を低下させるおそれがあるため、注意を要する。
また、表面材11は加熱中に大きく膨張するため、表面材11と軽量気泡コンクリート製パネル15とを早期に剥離させ、これらの材料が表面材11の変形に追随して損傷を受けるのを防ぐことが肝要である。本発明では芯材の表面材11側に第1の凹部D1を設け、加熱側の第1の折り曲げ部11aと芯材とを縁切りしているため、表面材11と芯材表面の接着さえ剥離すれば、両者を分離させることができ、好ましい。特に、加熱直後は表面材11の平面部分は急激に温度上昇するが、第1の折り曲げ部11aなどパネル1の内部に入った部分では、シーリング材28の燃焼の影響等も相まって、温度の上昇が遅れ気味である。
なお、図5に示すように、熱膨張材21は、耐火パネル1の厚み方向に複数個(図示例では2個)充填してもよい。
図6は、本発明による耐火構造を有する間仕切壁の目地部の別の例の幅方向断面図を示している。図6に示した目地部60のように、隣接する2枚の耐火パネル1a、1bの一方(図6においては、耐火パネル1b)の軽量気泡コンクリート製パネル15の端面15aに凹部(第2の凹部)D2が設けられており、熱膨張材21が第2の凹部D2に収容され、寄せて配置されていることが好ましい。これにより、互いに隣接する耐火パネル1a、1bの間に熱膨張材21を配置する際に、設けた第2の凹部D2に熱膨張材21を充填すればよいため、施工性を大きく向上させることができる。なお、図6に示すように、軽量気泡コンクリート製パネル15と熱膨張材21との間には、隙間(例えば、幅方向に1mm程度)が空いていてもよい。また、図5に示したように、複数個の熱膨張材21を設けてもよい。
上述のように、間仕切壁2は、その上下端で躯体に固定されるため、間仕切壁2の表面材11(裏面材12)が加熱された際に、表面材11(裏面材12)が膨張して、表面材11(裏面材12)と軽量気泡コンクリート製パネル15とを剥離させることができ、軽量気泡コンクリート製パネル15が変形して破損することなく、間仕切壁2の耐火性を保持できる。このように、本発明による耐火構造により、高い耐火性を有する間仕切壁2を実現することができる。
図7は、本発明による耐火構造を有する間仕切壁の目地部のさらに別の例の幅方向断面図を示している。図7に示した目地部70においては、表面材11に隣接する耐火パネル1aの軽量気泡コンクリート製パネル15のうち、一方のみに第1の凹部D1が形成されており、この第1の凹部D1が凹部15bを構成している。そして、図5に示した目地部50と同様に、熱膨張材21は、間仕切用パネル1a、1bの軽量気泡コンクリート製パネル15の端面15a間に設けられている。
なお、図5〜図7に示した耐火構造において、第1の折り曲げ部11aと側壁Dsとの間に隙間を設けることが好ましい。これにより、軽量気泡コンクリート製パネル15の表面に接着剤を塗布し、表面材11および裏面材12を配置してプレスした際に、接着剤が軽量気泡コンクリート製パネル15の端部に溜まることがなく、接着面全体に均等に塗布させて、全面に亘って確実な接着効果を得ることができる。
また、図5〜図7においては、第1の凹部D1のパネル厚み方向の断面の形状は矩形であるが、これに限定されず、曲面で構成された形状、例えば円形や楕円形とすることもできる。この場合にも、一方(他方)の間仕切用パネルの表面材11の第1の折り曲げ部11a(12a)は、第1の凹部D1の内部に向かって延在するように構成する。
上記表面材11(裏面材12)と軽量気泡コンクリート製パネル15とを接着する接着剤は、有機系接着剤、両面テープ等を用いることができる。
−有機系接着剤−
上記接着剤として有機系接着剤を用いると、表面材11(裏面材12)が加熱された際に、200〜450℃程度で有機系接着剤が燃焼して接着性が失われ、表面材11(裏面材12)と軽量気泡コンクリート製パネル15とを良好に剥離させることができる。その結果、軽量気泡コンクリート製パネル15および裏面材12が表面材11の変形に追随することなく、これらに大きな変形、亀裂が入ったり、材料間もしくは材料内部の剥離が生じたりすることを防ぎ、これらの材料の一体性と平面性が維持され、耐火性を発揮することができる。
有機系接着剤としては、ウレタン樹脂系(主成分:ウレタン樹脂、溶剤:エステル類、ケトン類)、エポキシ樹脂系(主成分:(主剤)エポキシ樹脂、(硬化剤)変性ポリアミン、変性ポリチオール、溶剤:エステル類、ケトン類、アルコール類)、酢酸ビニル樹脂系(主成分:酢酸ビニル樹脂、溶剤:アルコール類、エステル類、ケトン類)、変性シリコン系のものを用いることができる。中でも、低温下での使用に適することから、有機系接着剤としてウレタン樹脂系やエポキシ樹脂系のものを用いることが好ましい。
接着剤の塗布量は、多すぎると、火災時に加熱された場合に剥離するまでの間の時間が長くなるため、好ましくなく、概ね一層当たり100〜500g/mが好ましく、175〜400g/mが特に好ましいが、軽量気泡コンクリート製パネル15の表面の平坦さ、塗布後のプレスの圧力・時間および耐火パネルとしての目標性能に応じて決定する。
耐火パネル1として大きな曲げ荷重が求められる場合には、母材破壊が生じるまで強固に接着されるように設計されることがあり、接着剤の塗布量としては、175g/m以上が好ましいが、接着剤は使用材料の中でも高価であるため、400g/m以下とするのが好ましい。
なお、接着剤を用いて軽量気泡コンクリート製パネル15と表面材11とを接着させる際に、接着剤を塗布する前に、軽量気泡コンクリート製パネル15の表面にプライマーを予め塗布しておくことが好ましい。これにより、プライマーを軽量気泡コンクリート製パネル15に含浸させて、軽量気泡コンクリート製パネル15と表面材11との接着強度を向上させることができる。
プライマーを塗布することにより、接着剤の塗布量をその分減じても同等の接着強度を得ることができるばかりでなく、軽量気泡コンクリート製パネル15の表面の粉じん等の清掃の手間を省いたり、軽量気泡コンクリート製パネル15の含水状態の影響を受けにくくしたり、接着強度のバラツキを小さくすることができる。さらに接着に関する材料費全体を圧縮することもできる。
上記プライマーとしては、エポキシ系、ウレタン系およびフェノール系などの熱硬化性樹脂を用いることにより、耐熱性を向上させることができる。一方、アクリル系のプライマーは熱可塑性ではあるが、比較的耐熱性は良好であり、作業性や価格面で特に優れるため、これらの性能を総合的に考慮して用いるのもよい。
軽量気泡コンクリート製パネル15を複層とする場合には、その相互間は耐火性に優れた無機系耐火接着剤で接合するのが好ましい。無機系耐火接着剤としては、ケイ酸ナトリウムを主成分とし、シリカ、カオリン、タルク、粘土鉱物などの無機成分を加えたものや、さらにスチレン・ブタジエン共重合体などの有機系の添加剤を加えて作業性を改善させたものを用いることができる。一方、無機系耐火接着剤を表面材11と軽量気泡コンクリート製パネル15との接着に用いると、耐熱性が高いため、表面材11が加熱された際に接着層では剥がれにくくなるため、金属製の表面材11、裏面材12を用いる場合で、特に長尺の場合には、使用を控えるべきである。
また、図8に示すように、表面材11と軽量気泡コンクリート製パネル15との間に、有機断熱ボードで構成された有機断熱ボード層13を配置することができる。これにより、軽量性を保持したまま、曲げ強度を向上させて、長尺で高耐力の耐火パネル1を構成することができる。
−有機断熱ボード層−
有機断熱ボード層13は、壁に断熱性を持たせるための層である。有機断熱ボード層13は、非加熱側に配置された場合、軽量気泡コンクリート製パネル15の温度が上昇した際に燃焼して消失しないことが肝要であり、150℃まで燃焼や極端な軟化が生じないものが好ましく、250℃まで燃焼しないものであればさらに好ましい。
こうした有機断熱ボード層13を構成する樹脂としては、ポリウレタン樹脂、イソシアヌレート樹脂、フェノール樹脂などの発泡体のほかポリイミド発泡体やPET樹脂発泡体などを用いることができる。ただし、軽量気泡コンクリート製パネル15を極力薄くして軽量化を図る場合には、加熱側の軽量気泡コンクリート製パネル15の被覆効果の点から、有機断熱ボード層13としては、構成する樹脂が熱硬化性樹脂からなる有機断熱ボード層を用いることが好ましい。これにより、表面材11が加熱された際に、表面材11と有機断熱ボード層13とが剥離した後、有機断熱ボード層13を軽量気泡コンクリート製パネル15の表面に留めておくことができる。
なお、図8においては、有機断熱ボード層を1枚で構成しているが、これに限定されず、有機断熱ボード層を2枚で構成し、これらの間に軽量気泡コンクリート製パネル15を挟み込んでもよい。また、例えば有機断熱ボード層を4枚で構成し、2枚目と3枚目の間に軽量気泡コンクリート製パネル15を挟み込んでもよい。
−−熱硬化性樹脂−−
上記熱硬化性樹脂としては、ポリウレタン樹脂、イソシアヌレート樹脂、フェノール樹脂などを用いることができる。中でも、高い難燃性を有することから、熱硬化性樹脂としてフェノール樹脂を用いることが好ましく、さらに加熱されて炭化する際に膨張性を有するものを選択するとなお好ましい。
有機断熱ボード層13は、熱硬化性樹脂や硬化剤、発泡剤などを一緒に混合して発泡して硬化し、得られた樹脂フォームをボード状にしたものを用いることができる。また、有機断熱ボード層13は、成形上の都合や表面材11(裏面材12)や軽量気泡コンクリート製パネル15との接着性などの点で、表裏面に面材を有するものを用いてもよい。
上記面材としては、ポリエステル不織布、ポリプロピレン不織布、アルミニウム箔、不燃性の加工紙、およびこれらの材料を組み合わせたものなどを用いることができる。当該面材を介して有機断熱ボード層13を軽量気泡コンクリート製パネル15に接着する場合には、耐火試験時に有機断熱ボード層13が軽量気泡コンクリート製パネル15の表面から長時間脱落しないようにすることが肝要である。よって、不燃性の面材や耐熱性接着剤を用いることが耐火性能上最も有利であるが、これらはいずれも高価であるため、耐火性を損なわない範囲で有機系の面材を使ってもよい。また、耐火試験時に軽量気泡コンクリート製パネル15から発生する水蒸気が面材と軽量気泡コンクリート製パネル15との間に集積された際に生じる接着剥離等への対策も重要であり、透湿性を有する面材を使うことも好ましい。これらの点から、有機系の面材の中ではポリエステル不織布が価格、耐熱性、透湿性を総合した性能を有しており、好ましい。
また、断熱性や強度、経済性の点で、有機断熱ボード層13の厚みは20〜150mm、より好ましくは30〜100mmとし、密度は20〜80、より好ましくは25〜50kg/mとする。
上記表面材11(裏面材12)と有機断熱ボード層13とを接着する接着剤は、前記表面材11と軽量気泡コンクリート製パネル15とを接着する接着剤と同様に、有機系接着剤や両面テープ等を用いることができる。有機系接着剤の塗布量は300g/m以下でもパネルの曲げ強度は十分確保できる。
軽量気泡コンクリート製パネル15と有機断熱ボード層13との接着については、耐火試験時に加熱側に有機断熱ボード層13が存在する際に、炭化した有機断熱ボード層13をできるだけ脱落させないように材料を選択することが肝要である。無機系接着剤を用いることにより、耐火性は向上するが、パネル1としての製作に手間を要する。有機系接着剤を用いる場合、耐火試験時には軽量気泡コンクリート製パネル15の加熱側表面温度が軽量気泡コンクリート製パネル15の結晶水が蒸発する間長く100℃に留まることを考慮し、少なくとも100℃で十分な接着力を維持し、さらに噴出する水蒸気により接着力の低下を招かない材料を選択する必要がある。このような性質を持つ材料として、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等を用いることが好ましい。また、表面材11(裏面材12)と有機断熱ボード層13との接着剤と同じものを用いると製作効率に優れ、好ましい。
ウレタン系樹脂やエポキシ樹脂等の有機系接着剤を用いる場合には、塗布量やプライマーのとの併用などについて、前記表面材11と軽量気泡コンクリート製パネル15との間に用いる接着剤と同様とすればよい。
さらに、複数枚の軽量気泡コンクリート製パネル15間の横目地と複数枚の有機断熱ボード13間の横目地とが長尺方向にずれて配置されていることが好ましい。これにより、耐火性をさらに向上させるとともに長尺で使用する場合に必要な曲げ強度を向上させることができる。上記横目地のずれは、有機断熱ボード層13の厚みの1〜3倍程度とすることが好ましい。また、耐火性・断熱性・気密性・遮音性および防湿性の点からも同程度のずれを設けることが好ましい。
また、軽量気泡コンクリート製パネル5の厚みが比較的小さい場合、上述のように接着剤を用いて軽量気泡コンクリート製パネル15と有機断熱ボード層13とを接着すると、火災などによって高温環境に置かれた際に、有機断熱ボード層13の反対側から加熱された場合に軽量気泡コンクリート製パネル15と有機断熱ボード層13との接着が維持できずに軽量気泡コンクリート製パネル15が脱落するおそれがある。このような場合には、有機断熱ボード層13と軽量気泡コンクリート製パネル15とを機械固定すれば、非加熱側の有機断熱ボード層14と軽量気泡コンクリート製パネル15との接着が切れた後にも、軽量気泡コンクリート製パネル15がすぐに脱落することなく耐火性を維持することができる。
具体的には、ビスVを用いて、有機断熱ボード層13と無機ボード層15とを機械固定することができる。これにより、高温環境に置かれた際に非加熱側の耐火性を維持することができる。
ビスVは、軽量気泡コンクリート製パネル層15を有機断熱ボード層13に固定するためのものである。軽量気泡コンクリート製パネル15が積み上げられており、その自重は下段に伝えられ、最終的には下部目地材を介して床スラブに伝えられるため、一体化のために所要の引抜耐力があればよいが、安全のために、一枚一枚の軽量気泡コンクリート製パネル15の自重を各々のビスVで負担できるようにすると、より好ましい。引抜耐力を確保するためには、ビスVの頭部の軸方向に直交する断面の面積が重要であるが、鉛直方向に働く自重を支持するためには、ビスVの軸方向断面が有機断熱ボード層13と接触する面積が重要である。その場合、軸部が径5〜8φ程度のものを用いることが好ましい。
また、有機断熱ボード層13に配置される部分は、ネジを設けずに線状のままにすると、鉛直方向の荷重負担のための接触状態がより好ましい。また、ビスVの頭部の形状も、軸方向に直交する面積だけでなく、サラ頭やなべ形状にして、軸方向の断面積を大きくするのが好ましい。
さらに、有機断熱ボード層13として、表面に不織布等の面材がついたものを用いた場合には、面材を極力残した状態でビスVを装着すると、引抜方向の頭部陥没強度ばかりでなく、鉛直方向の耐力も向上するため、好ましい。
図8に示したように、有機断熱ボード層13が1層構造を有する場合、すなわち、有機断熱ボード層13を軽量気泡コンクリート製パネル15の表面材11側に1枚だけ用いる場合は、表面材11と接触しないように頭部全体を少し沈ませる必要があるが、その場合には、ビスVは、サラ頭として面材ごと沈み込ませると、より好ましい。
また、特に有機断熱ボード層13を1枚だけ用いる場合で、ビス頭を沈み込ませて施工する場合、ビス頭と表面材11とが接着剤により接着されるようにすると、ビス頭の鉛直方向のズレや回転が生じにくくなり、鉛直方向の耐力が向上する。この場合、ビス頭は1〜5mm程度の沈み込みとするのが、表面材11と有機断熱ボード層13とを接着剤で貼り合せる場合に、接着剤が行きわたり易いため好ましい。しかし、表面材11と有機断熱ボード層13との貼り合せの際のプレスにより、有機断熱ボード層13にプレス圧による変形が生じるため、この分を考慮して、ビス頭を沈み込ませる量を決めるのが好ましい。
また、ビス頭が過剰に沈み込んだ場合には、有機断熱ボード層13に表面材11を接着する前に、ビス頭が沈んだ部分に予め接着剤を充填しておくとよい。また、万が一、表面材11とビス頭の接着が剥がれた際にも、せん断抵抗として作用させるために、ビス頭を緩やかな曲面状にしたり、大きめの溝をつけたりすることが好ましい。また、ビス頭表面を表面材11より粗面にすることによっても、ビス頭側に接着剤が残り、せん断抵抗として働くため有効である。
一方、表面材11および裏面材12が薄い場合には、ビス頭の細かな挙動により、表面材11および裏面材12にゆがみが出にくくするために、あえてビス頭と表面材11および裏面材12とが接着されないように設計することもある。
引抜方向の頭部陥没強度を過度に大きくせずに、鉛直方向の耐力を向上させるためには、ビス頭の径を過度に大きくせずに厚くすることが肝要である。
これらを考慮すると、なべ頭のビスは、ねじ部外径4〜8φ、軸部径4〜8φ、頭部径9〜16φ、頭部厚さ4〜9mm程度のものを用いることが好ましく、サラ頭の場合には、ねじ部外径4〜8φ、軸部径4〜8φ、頭部径9〜16φ、サラ頭の角度が30〜60°程度のものを用いると好ましい。またビスVは、表面材11側と裏面材12側の両方から打たれるが、これらが干渉しないように、軽量気泡コンクリート製パネル15の厚さの1.5倍以上離して打つのが好ましく、2倍以上離して打つとさらに好ましい。なお、ビスVを用いると、打設時の軽量気泡コンクリート製パネル15に与える打撃等によるダメージが生じず、ビスVを打つ間隔を小さくすることができる。また、ビスVに設けられるねじ部は軽量気泡コンクリート製パネル15部分のみとし、有機断熱ボード層13の部分ねじのない軸部とし、当該軸部をねじ部外径同等とするのが最も強度上有利であるが、このようなねじは断熱材の厚さ毎に用意する必要があり、さらに特注となるためコスト高となる。従って、全ねじのビスVを使うことも多いが、この場合、有機断熱ボード層13とビスVの間に若干の遊びが生じるものの、実用上は問題ない。
以上、表面材11(裏面材12)と軽量気泡コンクリート製パネル15とが接着層16、17により固定されている場合を例として、本発明による耐火パネル1について説明したが、上記接着層16、17以外の別の固定材を用いて表面材11(裏面材12)と軽量気泡コンクリート製パネル15を固定し、所定の温度で両者の固定状態が解除されて剥離するように構成してもよい。具体的には、固定材16、17としては、耐熱テープを用いることができる。耐熱テープとしては、ポリイミド樹脂の基材にシリコーン系粘着剤を用いた両面テープなどを用いることができる。このような耐熱テープを用いた場合、200〜400℃において、表面材11(裏面材12)と有機断熱ボード層13(14)との固定状態が解除されて剥離させることができる。
また、固定材として、ビスを用いることができる。例えば、軽量気泡コンクリート製パネル15の表層に装着したねじ定着部材にねじを締結して固定すればよい。ねじ定着部材やファスナーをナイロン製とすれば、200〜400℃で消失し、加熱側に有機断熱ボード層13を配置する場合には、その表層部分や有機断熱ボード層13の表面側に貼られた面材が消失するように構成されていればよい。面材や表層部分とねじやファスナーとの締結が解除されることによって、200℃以上450℃以下で表面材11が有機断熱ボード層13から剥離して大きく変形させることが可能である。
なお、図4Aおよび図4Bにおいては、本発明による耐火構造を間仕切壁に適用した例を示したが、これに限定されず、軽量気泡コンクリート製パネル15の表面に金属材からなる表面材11および裏面材12を固定した耐火パネル1を、建物躯体(例えば、C型鋼)に固定して外壁として使用することができる。
また、図8に示した有機断熱ボード層13を有する耐火パネル1を、有機断熱ボード層13が屋外側に配された状態で上述のような建物躯体に固定して外壁として使用することもできる。
本発明によれば、軽量で他の材料との組み合わせ自由度の高い耐火性に優れた耐火構造および壁を提供できるため、建築業において有用である。
1,1a,1b 耐火パネル
2 間仕切壁
11 表面材
11a,12a 第1の折り曲げ部
12 裏面材
13 有機断熱ボード層
13b 有機断熱ボード
15 軽量気泡コンクリート製パネル
15a 端面
15b 凹部
16,17 接着層
21 熱膨張材
22,23 床スラブ
24a 上部留付材
24b 上部アンカー材
24c 上部取付材
25a 下部留付材
25b 下部アンカー材
25c 下部取付材
26 上部目地材
27 下部目地材
28 シーリング材
29 ボンドブレーカー
50,60 目地部
100,200 耐火構造
D1 第1の凹部
D2 第2の凹部
Db 底面
Ds 側壁
S 補強材
V ビス

Claims (8)

  1. 複数枚の軽量気泡コンクリート製パネルが隣接して配置され、隣接する前記軽量気泡コンクリート製パネルの端面間に熱膨張材が設けられていることを特徴とする耐火構造。
  2. 前記軽量気泡コンクリート製パネルは、内部に金属の補強材を有する、請求項1に記載の耐火構造。
  3. 前記金属の補強材はメタルラスである、請求項2に記載の耐火構造。
  4. 前記複数枚の軽量気泡コンクリート製パネルの表面および裏面に、1枚の板材で構成される表面材および裏面材が、それぞれ固定されて耐火パネルを構成している、請求項1〜3のいずれか一項に記載の耐火構造。
  5. 前記表面材および前記裏面材は金属材からなる、請求項4に記載の耐火構造。
  6. 前記表面材および裏面材は所定の温度で固定状態が解除され、前記耐火パネルから前記表面材および裏面材が剥離するように固定される、請求項4または5に記載の耐火構造。
  7. 前記耐火パネルが幅方向に複数枚配置され、隣接する前記耐火パネルの端面において、前記軽量気泡コンクリート製パネルの端面間に熱膨張材が設けられている、請求項4〜6のいずれか一項に記載の耐火構造。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の耐火構造を有する壁。
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