(実施形態)
以下、本発明の実施形態を、図面を参照しつつ説明する。なお、一つの実施形態に対して適用可能な各種の変形例の説明は、当該実施形態に関する一連の説明の途中に挿入されると、当該実施形態の理解が妨げられるおそれがある。このため、変形例については、当該実施形態に関する一連の説明の途中ではなく、その後にまとめて説明する。
(第一実施形態:構成)
図1を参照すると、車両1は、いわゆる普通自動車であって、箱状の車体の内部空間である車室内に運転席2等の乗員座席を複数備えている。運転席2に搭乗する乗員を、以下「ドライバ」と称する。また、ドライバが運転席2にて標準運転姿勢を取った状態にて、ドライバの顔および胸部が向く方向を、以下「前方」と称する。「標準運転姿勢」とは、前進中且つ直進中の車両1において左右両眼球および左右両肩の配列方向を車幅方向と略平行にしたドライバが、運転席2にて適切に手動運転可能に着座した場合の、当該ドライバの運転姿勢をいうものとする。「運転姿勢」とは、ドライバが後述するレベル0〜2のうちのいずれか1つに相当する運転自動化レベルに適切に対応可能な、ドライバの乗車姿勢をいうものとする。ドライバの「乗車姿勢」は、運転席2における着座姿勢、足のアクセルペダル3等との位置関係、ステアリングホイール8の把持および操作の状態、視線方向、等を含む。
運転席2の前方には、アクセルペダル3と、ブレーキペダル4と、フットレスト5とが設けられている。また、運転席2の斜め前方には、シフトレバー6が設けられている。アクセルペダル3、ブレーキペダル4、およびフットレスト5は、運転席2の前方に設けられたダッシュボード7の下方に配置されている。ダッシュボード7から運転席2に向かう後方に延設された不図示のステアリングコラムには、ステアリングホイール8が取り付けられている。ダッシュボード7の上方には、フロントウィンドシールド9が設けられている。なお、図1は、車両1がいわゆる右ハンドルのオートマチック車である場合の、車室内の構造を示している。この場合、標準運転姿勢は、ドライバの背部が背もたれから離れないように運転席2に着座しつつ両手でステアリングホイール8を把持し右足をアクセルペダル3またはブレーキペダル4に載置している姿勢である。背部は、人体における、肩甲骨に対応する肩部から腰椎に至る部分である。
車両1には、車載システム10が搭載されている。車載システム10を搭載する当該車両1を、以下「自車両」と称することがある。図2は、車載システム10のブロック構成を概略的に示す。以下、図1および図2を参照しつつ、車載システム10の概略構成について説明する。
車載システム10は、自車両に搭載されることで、当該自車両における運転自動化システムとしての機能を奏するように構成されている。「運転自動化システム」は、自動運転に満たない運転支援を実行する「運転支援システム」と、自動運転を実行可能な「自動運転システム」とを、総称したものである。本実施形態においては、自車両は、車載システム10を搭載することで、運転支援および自動運転を実行可能に構成されている。
「自動運転」とは、SAE Internationalによって公開された規格「SAE J3016」における、運転自動化システムが全ての動的運転タスクを担当すなわち実行する、レベル3〜5に該当する運転自動化レベルをいうものとする。SAEはSociety of Automotive Engineersの略である。「動的運転タスク」とは、道路交通において車両1を操作する際にリアルタイムで行う必要がある全ての操作上および戦術上の機能であって、戦略上の機能を除いたものである。「戦略上の機能」は、行程計画、経由地選択、等である。「SAE J3016」におけるレベルXを、以下単に「レベルX」と称する。Xは0〜5のうちのいずれかである。以下、上記Xの数値が大きいほど、あるいは、運転自動化システムが担当すなわち実行する動的運転タスクが増えるほど、「運転自動化レベルが高い」と表現する。これに対し、上記Xの数値が小さいほど、あるいは、運転自動化システムが担当すなわち実行する動的運転タスクが減るほど、「運転自動化レベルが低い」と表現する。
「SAE J3016」において、レベル0〜5の内容は、具体的には、以下の通りである。なお、各レベルに併記した、運転自動化レベルの名称は、「SAE J3016」に記載されたものではなく、本明細書にて便宜的に用いるためのものである。以下のレベル内容説明において、「OEDR」はObject and Event Detection and Responseの略であり、「対象物および事象の検知および応答」とも称される。OEDRには、運転環境の監視が含まれる。運転環境の監視には、対象物および事象の、検知、認識、および分類が含まれる。また、運転環境の監視には、対象物および事象に対して、必要に応じて応答する準備が含まれる。「限定領域」は、或る運転自動化システムまたはその機能が作動するように設計されている特定の条件であり、運行設計領域あるいはODDとも称される。ODDはOperational Design Domainの略である。限定領域は、例えば、地理的、環境的、速度的、および時間的等の、複数の制約条件のうちの、少なくとも1つを含む。
・レベル0:手動運転…ドライバが全ての動的運転タスクを実行する。
・レベル1:運転支援…運転自動化システムが、動的運転タスクのうちの、縦方向の車両運動制御サブタスクと、横方向の車両運動制御サブタスク(すなわち操舵制御)とのうちの、いずれか一方を、特定の限定領域において持続的に実行する。縦方向の車両運動制御サブタスクは、発進、加減速、および停止の制御を含む。但し、運転自動化システムは、縦方向の車両運動制御サブタスクと横方向の車両運動制御サブタスクとの両方を同時には実行しない。
・レベル2:高度運転支援…運転自動化システムが、動的運転タスクのうちの、縦方向の車両運動制御サブタスクおよび横方向の車両運動制御サブタスクを、特定の限定領域において持続的に実行する。ドライバは、動的運転タスクのサブタスクであるOEDRを実行して運転自動化システムを監督することが期待される。
・レベル3:条件付自動運転…運転自動化システムが全ての動的運転タスクを特定の限定領域において持続的に実行する。原則的に、ドライバには、自車両周辺の監視等のOEDRを実行する義務はない。但し、当該運転自動化レベルが継続困難となった場合、運転自動化システムは充分な時間的余裕をもってドライバに運転交代を要請する。「運転交代」とは、ドライバが、自動運転が終了して運転自動化レベルが低下する際に、低下先の運転自動化レベルに対応した運転姿勢を取り、同運転自動化レベルに対応した周辺監視等の動的運転タスクの権限移譲を運転自動化システム側から受けることをいう。すなわち、運転交代は、自動運転機能の少なくとも一部の、ドライバへの引継挙動である。ドライバは、運転交代の要請に適切に対応する必要がある。
・レベル4:高度自動運転…運転自動化システムが全ての動的運転タスクを特定の限定領域において持続的に実行する。限定領域において、当該運転自動化レベルが継続困難となった場合の対応は、運転自動化システムが実行する。
・レベル5:完全自動運転…運転自動化システムが全ての動的運転タスクを、特定の限定領域に限定されず無制限に、持続的に実行する。当該運転自動化レベルが継続困難となった場合の対応も、特定の限定領域に限定されず無制限に、運転自動化システムが実行する。
本実施形態においては、車載システム10は、自車両にてレベル0〜3の運転自動化レベルを実現可能に構成されている。具体的には、車載システム10は、レベル1に相当するACCおよびLKAを実行可能に構成されている。ACCはアダプティブ・クルーズ・コントロールすなわち車間距離制御である。LKAはLane Keeping Assistanceの略であり、車線維持支援制御である。また、車載システム10は、レベル2に相当する「ハンズオフ運転」および「高度安全運転支援」を実行可能に構成されている。「ハンズオフ運転」は、ドライバが運転自動化システムからの介入要求等に対して適切に対応することを条件として、運転自動化システムが自動的に発進、操舵、加減速、および停止制御を実行することである。「高度安全運転支援」は、ドライバが自車両を運転することを前提としつつ、並行して作動する運転自動化システムが、衝突可能性がある場面等において適時に運転支援動作を実行することである。さらに、車載システム10は、レベル3に相当する「渋滞時自動運転」を実行可能に構成されている。「渋滞時自動運転」は、渋滞中に所定速度以下で前走車に追従走行するという、渋滞区間を限定領域として実行されるレベル3の自動運転である。「渋滞」とは、東日本高速道路株式会社および警視庁の定義に基づけば、閾値速度以下で低速走行あるいは停止発進を繰り返す車列が、所定程度継続した状態をいう。閾値速度は、例えば、一般道路および幹線道路においては20km/hであり、高速道路においては40km/hである。「所定程度」は、例えば、1km以上且つ15分以上である。一方、渋滞ではない状態を「非渋滞」と称する。以下、本明細書においては、特に補足説明しない限り、渋滞時自動運転を含むレベル3の自動運転を総称する場合に、「自動運転」という表現を用いる。また、「ハンズオフ運転」を単に「レベル2」と称し、「高度安全運転支援」を「レベル2[Gモード]」と称する。
(システム全体構成)
図2に示されているように、車載システム10は、車載通信回線10Aおよびこの車載通信回線10Aを介して相互に接続された複数のノード等を含む車載ネットワークであって、自車両運転時の各種車両制御およびこれに伴う各種表示動作等を実行可能に構成されている。車載システム10は、CAN(国際登録商標:国際登録番号1048262A)等の所定の通信規格に準拠するように構成されている。CAN(国際登録商標)はController Area Networkの略である。
車載システム10は、車両状態センサ11と、外界状態センサ12と、周辺監視センサ13と、ロケータ14と、DCM15と、ナビゲーション装置16と、ドライバ状態検出部17と、運転制御装置18と、HMI装置20とを備えている。DCMはData Communication Moduleの略である。車両状態センサ11〜HMI装置20は、車載通信回線10Aに接続されている。
HMI装置20は、少なくともドライバを含む自車両乗員により認識可能に情報提示するように設けられている。すなわち、HMI装置20は、自車両乗員により視認可能に画像表示するとともに、かかる自車両乗員により聴取可能に音声出力するように構成されている。
具体的には、HMI装置20は、メータパネル21、HUD装置22、CID装置23、および端末装置24を含む、画像および/または音声の入出力機器により、自車両乗員に各種の情報および/または娯楽を提供するように構成されている。HUDはヘッドアップディスプレイの略である。CIDはCenter Information Displayの略である。端末装置24は、ドライバを含む自車両乗員によって自車両内に持ち込まれた、携帯型あるいはウェアラブル型の電子機器であって、例えば、携帯電話、タブレット端末、ノートパソコン、携帯ゲーム機、スマートウォッチ、等である。以下、メータパネル21、HUD装置22、CID装置23、および端末装置24を総称したものとして、「表示デバイス」あるいは「情報提示デバイス」という表現を用いることがある。
HMI装置20は、情報提示デバイスにおける画像および/または音声の出力を制御するように構成されたHMI制御装置25を備えている。すなわち、HMI制御装置25は、車内インフォテインメントシステムを構成するHMI装置20の動作を制御するように構成されている。メータパネル21、HUD装置22、およびCID装置23は、車載通信回線10Aとは異なるサブ通信回線を介して、HMI制御装置25と情報通信可能に接続されている。端末装置24は、自車両に持ち込まれた場合に、Bluetooth(登録商標)、TransferJet(登録商標)、等の近距離無線通信によりHMI制御装置25と情報通信可能に接続されるようになっている。HMI制御装置25は、車載通信回線10Aに接続されたノードとして設けられている。HMI装置20およびHMI制御装置25の構成の詳細については後述する。
(各種センサ)
車両状態センサ11は、自車両の運転状態に関連する諸量に対応する出力を発生するように設けられている。「運転状態に関連する諸量」は、例えば、アクセル開度、制動量、シフトポジション、操舵角、等の、ドライバまたは運転自動化システムによる運転操作状態に関連する諸量を含む。また、「運転状態に関連する諸量」は、例えば、車速(すなわち自車両の走行速度)、角速度、前後方向加速度、左右方向加速度、等の、自車両の挙動に関連する物理量を含む。すなわち、車両状態センサ11は、アクセル開度センサ、操舵角センサ、車輪速センサ、角速度センサ、加速度センサ、等の、車両運転制御に必要な周知のセンサ類を、図示および説明の簡略化のために総称したものである。車両状態センサ11は、車載通信回線10Aを介して、運転制御装置18等の各部に検出出力を提供可能に設けられている。
外界状態センサ12は、自車両の運転環境のうち、主として自然環境に関連する諸量に対応する出力を発生するように設けられている。「自然環境に関連する諸量」は、例えば、外気温、降雨量、照度、等の物理量を含む。すなわち、外界状態センサ12は、外気温センサ、雨滴センサ、照度センサ、等の周知のセンサ類を、図示および説明の簡略化のために総称したものである。外界状態センサ12は、車載通信回線10Aを介して、運転制御装置18等の各部に検出出力を提供可能に設けられている。
周辺監視センサ13は、自車両の運転環境のうち、主として、外界状態センサ12により検知可能なもの以外を検知するように設けられている。具体的には、周辺監視センサ13は、自車両周囲の所定の検知範囲における、移動物体および静止物体を検知可能に構成されている。「移動物体」は、歩行者、サイクリスト、動物、および運転中の他車両を含む。「静止物体」は、路上落下物、ガードレール、縁石、駐停車車両、道路標識、および道路標示に加えて、道路脇の構造物(例えば、壁、建物、等。)を含む。周辺監視センサ13は「ADASセンサ」とも称され得る。ADASはAdvanced Driver-Assistance Systemsの略である。
本実施形態においては、周辺監視センサ13は、移動物体および静止物体を検知するための構成として、フロントカメラ131とレーダセンサ132とを有している。フロントカメラ131は、自車両の前方および前側方の画像を撮影するように設けられている。フロントカメラ131は、デジタルカメラ装置であって、CCDあるいはCMOS等の画像センサを備えている。CCDはCharge Coupled Deviceの略である。CMOSはComplementary MOSの略である。
レーダセンサ132は、レーダ波を送受信するように構成された、ミリ波レーダセンサ、サブミリ波レーダセンサ、またはレーザレーダセンサであって、自車両における車体の前面部に装着されている。レーダセンサ132は、反射点の、位置および相対速度に対応する信号を出力するように構成されている。「反射点」は、自車両の周囲に存在する物体の表面上における、レーダ波を反射したと推定される点である。「相対速度」は、反射点すなわちレーダ波を反射した物体の、自車両に対する相対速度である。
(ロケータ)
ロケータ14は、いわゆる複合測位により、自車両の高精度な位置情報等を取得するように構成されている。具体的には、ロケータ14は、GNSS受信器141と、慣性取得部142と、高精度地図DB143と、ロケータECU144とを有している。GNSSはGlobal Navigation Satellite Systemの略である。DBはデータベースの略である。ECUはElectronic Control Unitの略である。「高精度な位置情報」とは、例えば、レベル2以上の運転自動化レベルに利用可能な程度、具体的には、誤差が10cm未満となるような程度の、位置精度を有する位置情報である。
GNSS受信器141は、複数の測位衛星すなわち人工衛星から送信された測位信号を受信するように設けられている。本実施形態においては、GNSS受信器141は、GPS、QZSS、GLONASS、Galileo、IRNSS、北斗衛星導航系統、等の衛星測位システムのうちの少なくとも1つにおける測位衛星からの測位信号を受信可能に構成されている。GPSはGlobal Positioning Systemの略である。QZSSはQuasi-Zenith Satellite Systemの略である。GLONASSはGlobal Navigation Satellite Systemの略である。IRNSSはIndian Regional Navigation Satellite Systemの略である。
慣性取得部142は、自車両に作用する加速度および角速度を取得するように構成されている。本実施形態においては、慣性取得部142は、ロケータ14における箱状の筐体内に内蔵された3軸ジャイロセンサおよび3軸加速度センサとして設けられている。
高精度地図DB143は、高精度地図情報を書き換え可能に記憶するとともに電源遮断中にも記憶内容を保持するように、不揮発性リライタブルメモリを主体に構成されている。不揮発性リライタブルメモリは、例えば、ハードディスク、EEPROM、フラッシュROM、等である。EEPROMはElectronically Erasable and Programmable ROMの略である。ROMはRead Only Memoryの略である。高精度地図情報は、高精度地図データとも称され得る。高精度地図情報には、従来のカーナビゲーションシステムにて用いられていた数メートル程度の位置誤差に対応する地図情報よりも、高精度な地図情報が含まれている。具体的には、高精度地図DB143には、ADASIS規格等の所定の規格に準拠して、三次元道路形状情報、レーン数情報、規制情報、等の、レベル2以上の運転自動化レベルに利用可能な情報が格納されている。ADASISはAdvanced Driver Assistance Systems Interface Specificationの略である。
ロケータECU144は、図示しないCPU、ROM、RAM、入出力インタフェース、等を備えた、いわゆる車載マイクロコンピュータとして構成されている。CPUはCentral Processing Unitの略である。RAMはRandom Access Memoryの略である。ロケータECU144は、GNSS受信器141にて受信した測位信号、慣性取得部142にて取得した加速度および角速度、車両状態センサ11から取得した車速、等に基づいて、自車両の位置および方角等を逐次決定するように構成されている。そして、ロケータ14は、ロケータECU144による位置および方角等の決定結果を、車載通信回線10Aを介して、ナビゲーション装置16、運転制御装置18、およびHMI制御装置25等の各部に提供可能に設けられている。
(DCM)
DCM15は、車載通信モジュールであって、LTEあるいは5G等の通信規格に準拠した無線通信により、自車両周囲の基地局との間で情報通信可能に設けられている。LTEはLong Term Evolutionの略である。5Gは5th Generationの略である。
具体的には、例えば、DCM15は、クラウド上のプローブサーバから最新の高精度地図情報を取得するように構成されている。また、DCM15は、取得した最新の高精度地図情報を、ロケータECU144と連携することで、高精度地図DB143に格納するようになっている。さらに、DCM15は、渋滞情報等の交通情報を、上記のプローブサーバおよび/または所定のデータベースから取得するように構成されている。「渋滞情報」は、渋滞区間の位置および長さを含む。具体的には、渋滞情報は、渋滞先頭位置、渋滞最後尾位置、概算渋滞距離、概算渋滞時間、等を含む。交通情報は「道路交通情報」とも称される。
(ナビゲーション装置)
ナビゲーション装置16は、自車両の現在位置から所定の目的地までの走行予定経路を取得するように設けられている。本実施形態においては、ナビゲーション装置16は、自車両のドライバ等により設定された目的地と、ロケータ14から取得した高精度地図情報と、ロケータ14から取得した自車両の位置情報および方角情報とに基づいて、走行予定経路を算出するように構成されている。また、ナビゲーション装置16は、算出結果である経路情報を含む各種情報を、運転制御装置18およびHMI制御装置25等の各部に車載通信回線10Aを介して提供可能に設けられている。すなわち、ナビゲーション装置16は、地図表示および経路表示等のためナビゲーション画面表示を、HMI装置20にて表示させるようになっている。
(ドライバ状態検出部)
ドライバ状態検出部17は、ドライバ状態を検出するように設けられている。「ドライバ状態」は、自車両における運転席2に搭乗しているドライバの状態であり、視線方向、姿勢、身体運動、心理状態、等のうちの少なくともいずれか1つを含む。また、ドライバ状態検出部17は、ドライバ状態の検出結果を、運転制御装置18およびHMI制御装置25等の各部に車載通信回線10Aを介して提供可能に設けられている。
本実施形態においては、ドライバ状態検出部17は、視線検出部171と、姿勢検出部172と、操作状態取得部173とを備えている。視線検出部171は、CCDあるいはCMOS等の画像センサを備えた車内カメラによる撮影画像に基づく画像認識により、ドライバの顔の向きおよび/または視線方向を検出するように設けられている。すなわち、視線検出部171は、ドライバの脇見運転等に関する警告等を行うDSM装置と同様の構成を有している。DSMはDriver Status Monitorの略である。
姿勢検出部172は、上記の車内カメラ、および/または、運転席2の内部に備えられた着座圧力センサ等の物理量センサを用いて、運転席2におけるドライバの着座姿勢を検出するように設けられている。操作状態取得部173は、ドライバの足のアクセルペダル3、ブレーキペダル4、およびフットレスト5への載置状態、ならびに、アクセルペダル3およびブレーキペダル4の操作状態を取得するように設けられている。また、操作状態取得部173は、ドライバによる、ステアリングホイール8の把持状態および操作状態を取得するように設けられている。さらに、操作状態取得部173は、HMI装置20における入力操作状態をHMI制御装置25から取得するように設けられている。
(運転制御装置)
運転制御装置18は、「自動運転ECU」あるいは「運転支援ECU」としての構成を有している。すなわち、運転制御装置18は、車両状態センサ11、外界状態センサ12、周辺監視センサ13、ロケータ14、等から取得した信号および情報に基づいて、自車両の運転を制御するように設けられている。具体的には、運転制御装置18は、所定の運転制御動作を実行するように構成されている。「所定の運転制御動作」は、本実施形態においては、レベル1〜3に対応する、車両制御動作すなわち動的運転タスク実行動作を含む。本実施形態においては、運転制御装置18は、自車両における運転自動化レベルを、レベル0、レベル1[ACC]、レベル1[LKA]、レベル2、レベル2[Gモード]、および渋滞時自動運転のうちのいずれかに設定可能に構成されている。
運転制御装置18は、図示しないCPU、ROM、不揮発性リライタブルメモリ、RAM、入出力インタフェース、等を備えた、いわゆる車載マイクロコンピュータとしての構成を有している。具体的には、運転制御装置18は、車載マイクロコンピュータ上にて実現される、以下の機能構成あるいは機能部を有している。すなわち、運転制御装置18は、走行状況取得部181と、渋滞状態判定部182と、第一挙動取得部183と、自動化レベル決定部184と、車両制御部185と、表示指令送信部186とを有している。
走行状況取得部181は、少なくとも自車両の走行状況を取得するように設けられている。「走行状況」には、車両状態センサ11、外界状態センサ12、周辺監視センサ13、等によって検出あるいは取得される、運転状態および運転環境が含まれる。また、走行状況取得部181は、自車両の現在位置およびその周辺の高精度地図情報と、自車両が現在走行中およびその周辺の道路における交通情報とを取得するように設けられている。すなわち、走行状況取得部181は、レベル1〜3に対応する車両制御に必要な情報を、車両状態センサ11、外界状態センサ12、周辺監視センサ13、ロケータ14、DCM15、等から取得するようになっている。
渋滞状態判定部182は、走行状況取得部181による取得結果に基づいて、渋滞時自動運転の開始条件である渋滞突入と、渋滞時自動運転の終了条件である渋滞解消とを判定するように設けられている。渋滞状態判定部182における判定対象である「渋滞突入」とは、自車両の走行状況が、現時点または現時点から所定時間あるいは所定走行距離以内において、非渋滞から渋滞に変更することをいう。また、渋滞状態判定部182における判定対象である「渋滞解消」とは、自車両の走行状況が、現時点または現時点から所定時間あるいは所定走行距離以内において、渋滞から非渋滞に変更することをいう。「所定時間」は、例えば、30秒程度である。「所定走行距離」は、例えば、300m程度である。具体的には、渋滞状態判定部182は、周辺監視センサ13により取得された前走車の存在状態および車間距離と、ロケータ14等により取得された自車両の現在位置および渋滞情報とに基づいて、渋滞突入および渋滞解消を判定するようになっている。
本発明における「挙動取得部」としての第一挙動取得部183は、ドライバ挙動を取得するように設けられている。「ドライバ挙動」は、自車両のドライバの挙動であって、視線方向、姿勢、身体運動、および各種操作状態を含む。具体的には、第一挙動取得部183は、ドライバ状態検出部17によるドライバ状態の検出結果と、操作状態取得部173による各種操作状態の取得結果とに基づいて、ドライバ挙動を取得すなわち検出するようになっている。
自動化レベル決定部184は、走行状況取得部181により取得された走行状況と、渋滞状態判定部182による判定結果と、第一挙動取得部183により取得されたドライバ挙動とに基づいて、運転自動化レベルを決定するように設けられている。そして、運転制御装置18は、自動化レベル決定部184による運転自動化レベルの決定結果を、HMI制御装置25等の各部に車載通信回線10Aを介して提供可能に設けられている。自動化レベル決定部184による運転自動化レベルの決定の詳細については、後述の動作概要および動作例にて詳述する。
車両制御部185は、自動化レベル決定部184により決定した運転自動化レベルに応じた車両運動制御サブタスクを実行するように設けられている。すなわち、車両制御部185は、自動化レベル決定部184により決定した運転自動化レベルに応じて、自車両における縦方向および/または横方向の運動制御を実行するようになっている。なお、上記の通り、縦方向の運動制御は、発進制御、加減速制御、および停止制御を含む。
表示指令送信部186は、HMI装置20を制御するHMI制御装置25に表示指令情報を送信することで、レベル関連情報の提示をHMI装置20に実行させるように設けられている。「レベル関連情報」とは、運転自動化レベルの実行予定、実行、あるいは移行に関連する情報である。
(HMI装置)
HMI装置20は、自車両に関する各種情報をドライバに少なくとも視覚的に提示するとともに、提示内容に対応するドライバの入力操作を受け付け可能に設けられている。本実施形態においては、渋滞時自動運転可能な自車両に搭載されたHMI装置20は、渋滞時自動運転等に関する各種の情報提示とドライバによる入力操作の受け付けとを実行可能に構成されている。「情報提示」は、例えば、各種案内、入力操作指示、入力操作内容報知、警告、等である。
上記の通り、HMI装置20は、ダッシュボード7に設けられた、メータパネル21、HUD装置22、およびCID装置23を備えている。すなわち、本実施形態においては、HMI装置20は、いわゆる「ダッシュボードHMI」としての構成を有している。また、HMI装置20は、音声による情報提示を実行するための不図示のスピーカを備えている。
メータパネル21は、メータ211と、メータディスプレイ212と、メータスイッチ213とを有している。メータ211は、自車両の車速、エンジン回転数、冷却水温、燃料残量、等のメータ表示を実行するように設けられている。メータディスプレイ212は、メータパネル21の車幅方向における略中央部に設けられた情報表示部あるいは情報表示領域であって、日時、外気温、走行距離、ラジオ受信局、等の各種情報表示を実行可能に設けられている。本実施形態においては、メータディスプレイ212は、略矩形状の表示可能領域を備えた、液晶ディスプレイまたは有機ELディスプレイである画像表示機器としての構成を有している。ELはエレクトロ ルミネッセンスの略である。メータスイッチ213は、メータ211および/またはメータディスプレイ212における表示状態あるいは表示内容に関する各種操作を受け付け可能に設けられている。
HUD装置22は、ドライバの前方に文字および/または記号を含む表示画像を表示するように設けられている。本実施形態においては、HUD装置22は、AR技術を用いてドライバの前方に虚像表示画像を形成することで、自車両の進行先の路面を含む前景に表示画像を重畳表示するように構成されている。ARはAugmented Realityの略である。「重畳表示」とは、前景に含まれる重畳対象物(例えば建物)の関連情報(例えば建物名)を、重畳対象物と重なるように表示したり重畳対象物の近傍に表示したりすることで、重畳対象物と関連情報とを互いに関連付けつつ表示することをいう。前方路面に対する、経路表示、進行方向表示、交通情報表示、等も、「重畳表示」に該当する。具体的には、HUD装置22は、表示画像を構成する表示画像光をフロントウィンドシールド9における所定の投影範囲PAに投影して、表示画像光のフロントウィンドシールド9による反射光をドライバに視認させることで、表示画像をAR表示するようになっている。
CID装置23は、ダッシュボード7の車幅方向における略中央部に設けられている。CID装置23は、ナビゲーション装置16による地図表示および経路表示等のためナビゲーション画面を表示可能に設けられている。また、CID装置23は、かかるナビゲーション画面とは異なる情報および内容も表示可能に設けられている。具体的には、CID装置23は、例えば、「コンフォート」、「ノーマル」、「スポーツ」、「サーキット」、等の走行モード設定に関連する表示を実行可能に構成されている。
また、CID装置23は、自動運転中にドライバが利用可能なセカンドタスクに関連する表示を実行可能に設けられている。具体的には、CID装置23は、例えば、セカンドタスクとしての映像コンテンツ視聴を実行可能に構成されている。
CID装置23は、CIDディスプレイ231と、入力デバイス232と、CIDスイッチ233とを有している。CIDディスプレイ231は、ダッシュボード7の車幅方向における略中央位置すなわち運転席2と助手席との間の位置にて、少なくともドライバから視認可能に設けられている。CIDディスプレイ231は、液晶ディスプレイまたは有機ELディスプレイである画像表示機器としての構成を有している。CIDディスプレイ231は、セカンドタスクが映像コンテンツの視聴である場合に、かかる映像コンテンツにおける映像を画像表示するように構成されている。
入力デバイス232は、透明なタッチパネルであって、CIDディスプレイ231の上に重ねられることでCIDディスプレイ231を覆うように設けられている。すなわち、入力デバイス232は、CIDディスプレイ231における表示をドライバ等に視認させつつ、かかる表示に対応したドライバ等による入力操作を受け付け可能に構成されている。CIDスイッチ233は、CIDディスプレイ231および入力デバイス232の周囲に配置された複数の手動操作スイッチを有している。
HMI装置20は、メータスイッチ213およびCIDスイッチ233に加えて、ステアリングスイッチ等を有している。ステアリングスイッチは、ステアリングホイール8におけるスポーク部等に設けられている。HMI装置20は、ドライバによる入力操作の受け付け結果を、車載通信回線10Aを介して、運転制御装置18等の各部に提供可能に設けられている。
(HMI制御装置)
HMI制御装置25は、HMI装置20に含まれる、メータパネル21、HUD装置22、等の、動作を制御する、HCUとしての構成を有している。HCUはHMI Control Unitの略である。
HMI制御装置25は、図示しないCPU、ROM、不揮発性リライタブルメモリ、RAM、入出力インタフェース、等を備えた、いわゆる車載マイクロコンピュータとしての構成を有している。具体的には、HMI制御装置25は、マイクロコンピュータ上にて実現される、以下の機能構成あるいは機能部を有している。すなわち、HMI制御装置25は、車両情報取得部251と、運転環境取得部252と、第二挙動取得部253と、自動化レベル取得部254と、操作受付部255と、操作通知部256と、表示制御部257とを有している。
車両情報取得部251は、自車両の運転状態に関連する情報を取得するように設けられている。具体的には、車両情報取得部251は、車両状態センサ11によって検出あるいは取得される、自車両の運転状態に関連する諸量を、車両状態センサ11から取得するようになっている。
運転環境取得部252は、自車両の運転環境に関連する情報を取得するように設けられている。具体的には、運転環境取得部252は、外界状態センサ12によって検出あるいは取得された、自車両周囲の自然環境に関連する諸量を、外界状態センサ12から取得するようになっている。また、運転環境取得部252は、周辺監視センサ13による物体検知結果を、周辺監視センサ13から取得するようになっている。また、運転環境取得部252は、自車両の現在位置と、走行予定経路と、走行予定経路における渋滞情報を含む交通情報とを、ロケータ14およびナビゲーション装置16から取得するようになっている。さらに、運転環境取得部252は、渋滞状態判定部182による渋滞突入または渋滞解消の判定結果を、運転制御装置18から取得するようになっている。
本発明における「挙動取得部」としての第二挙動取得部253は、ドライバ挙動を取得するように設けられている。具体的には、第二挙動取得部253は、第一挙動取得部183と同様に、ドライバ状態検出部17によるドライバ状態の検出結果と、操作状態取得部173による各種操作状態の取得結果とに基づいて、ドライバ挙動を取得するようになっている。
自動化レベル取得部254は、運転制御装置18における運転自動化レベルの決定結果を取得するように設けられている。具体的には、自動化レベル取得部254は、自動化レベル決定部184による運転自動化レベルの決定結果を、運転制御装置18から受信するようになっている。
操作受付部255は、ドライバを含む自車両乗員による、HMI装置20における入力操作を受け付けるように設けられている。具体的には、操作受付部255は、メータスイッチ213、入力デバイス232、CIDスイッチ233、端末装置24、等による入力操作の受け付けの状況あるいは結果をモニターするようになっている。
操作通知部256は、操作受付部255における入力操作の受け付けの状況あるいは結果を、運転制御装置18に通知するように設けられている。具体的には、本発明における「加速承認通知部」に対応する操作通知部256は、加速承認挙動の取得状況を、運転制御装置18に通知するようになっている。「加速承認挙動」は、自車両の加速を承認する、ドライバ挙動すなわち入力操作である。
表示制御部257は、HMI装置20による画像および/または音声の出力動作を制御するように設けられている。すなわち、表示制御部257は、メータパネル21、HUD装置22、CID装置23、等における、画像出力および音声出力を制御することで、ドライバを含む自車両乗員に対する各種情報の提示を行うようになっている。「各種情報」には、運転状態情報、運転環境情報、レベル関連情報、経路情報、渋滞情報、各種メッセージ、等が含まれる。また、表示制御部257は、ドライバが端末装置24を用いたセカンドタスクを実行中に、当該端末装置24と連携することで、当該端末装置24にて各種情報の提示を行わせるようになっている。
本実施形態においては、表示制御部257は、自動化レベル取得部254にて取得した運転自動化レベルに応じて、HMI装置20における情報提示動作を制御するように構成されている。すなわち、表示制御部257は、自動化レベル決定部184により決定され車載システム10により実行中あるいは実行予定の運転自動化レベルに応じた情報提示を、HMI装置20に含まれるメータパネル21等の情報提示デバイスにて実行させるようになっている。
具体的には、表示制御部257は、セカンドタスク制御部258と、注意情報提示部259とを有している。セカンドタスク制御部258は、自動運転中のHMI装置20におけるセカンドタスク実行状態を制御するように設けられている。注意情報提示部259は、ドライバに注意喚起するための注意情報を、情報提示デバイスにて画面表示および音声により提示させるように設けられている。
(動作概要)
以下、本実施形態に係る運転制御装置18およびHMI制御装置25の動作、ならびに、これらにより実行される制御方法および制御プログラムの概要について、本実施形態により奏される効果とともに説明する。
運転制御装置18において、走行状況取得部181は、自車両の走行状況を含む各種情報を取得する。具体的には、走行状況取得部181は、自車両の運転状態および運転環境を、車両状態センサ11、外界状態センサ12、および周辺監視センサ13から取得する。また、走行状況取得部181は、自車両の現在位置およびその周辺の高精度地図情報と、走行予定経路と、走行予定経路における交通情報とを、ロケータ14およびナビゲーション装置16から取得する。
渋滞状態判定部182は、走行状況取得部181による取得結果に基づいて、渋滞突入および渋滞解消を判定する。具体的には、渋滞状態判定部182は、周辺監視センサ13により取得された前走車の存在状態および車間距離と、ロケータ14等により取得された自車両の現在位置および渋滞情報とに基づいて、渋滞突入および渋滞解消を判定する。
第一挙動取得部183は、ドライバ状態検出部17によるドライバ状態の検出結果と、操作状態取得部173による各種操作状態の取得結果とに基づいて、ドライバ挙動を取得する。ドライバ挙動には、ドライバの乗車姿勢、運転操作状態、および、HMI装置20における入力操作状態が含まれる。「乗車姿勢」には、ドライバの運転席2における着座姿勢、ドライバの視線方向、ドライバの足のアクセルペダル3、ブレーキペダル4、およびフットレスト5への載置状態、ならびに、ステアリングホイール8の把持状態が含まれる。「運転操作状態」には、アクセルペダル3およびブレーキペダル4の操作状態、ならびに、ステアリングホイール8の操作状態が含まれる。
自動化レベル決定部184は、走行状況取得部181により取得された走行状況と、渋滞状態判定部182による判定結果と、第一挙動取得部183により取得されたドライバ挙動とに基づいて、運転自動化レベルを決定する。具体的には、自動化レベル決定部184は、走行状況取得部181により取得された走行状態等の各種情報に基づいて、レベル1〜3に相当する運転自動化レベルの開始条件の成否を判定する。所定の運転自動化レベルの開始条件が成立した場合、自動化レベル決定部184は、当該運転自動化レベルが実行可能であることを判定する。そして、ドライバ挙動としての承認操作があった場合、自動化レベル決定部184は、当該運転自動化レベルの実行を決定する。車両制御部185は、自動化レベル決定部184によって実行が決定された運転自動化レベルに応じて、車速制御、操舵制御、制動制御、等を実行する。
また、実行中の所定の運転自動化レベルの終了条件が成立した場合、あるいは、当該運転自動化レベルの継続条件が不成立となった場合、自動化レベル決定部184は、運転自動化レベルの移行を決定する。すなわち、自動化レベル決定部184は、実行中の所定の運転自動化レベルの終了と、実行可能な次の運転自動化レベルとを決定する。すると、車両制御部185は、自動化レベル決定部184によって決定された運転自動化レベルの移行態様に応じて、車速制御、操舵制御、制動制御、等を実行する。
表示指令送信部186は、HMI装置20を制御するHMI制御装置25に表示指令情報を送信することで、レベル関連情報の提示動作をHMI装置20に実行させる。これにより、HMI装置20は、ドライバを含む自車両乗員に、実行中あるいはこれから実行予定の運転自動化レベルを、画像表示および/または音声で通知する。
すなわち、HMI装置20において、車両情報取得部251は、自車両の運転状態に関連する情報を取得する。運転環境取得部252は、自車両の運転環境に関連する情報を取得する。第二挙動取得部253は、ドライバ挙動を取得する。自動化レベル取得部254は、運転制御装置18における運転自動化レベルの決定結果を取得する。操作受付部255は、ドライバを含む自車両乗員による、HMI装置20における入力操作を受け付ける。操作通知部256は、操作受付部255における入力操作の受け付けの状況あるいは結果を、運転制御装置18に通知する。表示制御部257は、車両情報取得部251〜自動化レベル取得部254における取得結果と、操作受付部255における入力操作の受け付けの状況あるいは結果とに基づいて、HMI装置20による画像および/または音声の出力動作を制御する。
具体的には、例えば、HMI装置20は、現在実行中の運転自動化レベルを、メータディスプレイ212等にて表示する。また、HMI装置20は、運転自動化レベルの変更が発生する場合、かかるレベル変更に関連する情報提示動作を実行する。例えば、渋滞時自動運転が可能となった場合、HMI装置20は、渋滞時自動運転が可能になったこと、および、渋滞時自動運転開始の承認操作を受け付けるための承認操作指示とを、メータディスプレイ212等にて表示する。一方、渋滞時自動運転が終了する場合、HMI装置20は、渋滞時自動運転の終了に関する情報を、メータディスプレイ212等にて表示する。
<表示例>
図3〜図8は、メータパネル21におけるメータディスプレイ212、HUD装置22における投影範囲PA、およびCID装置23におけるCIDディスプレイ231による表示例を示す。なお、図示の都合上、図3等において、メータディスプレイ212、投影範囲PA、およびCIDディスプレイ231は、実際にドライバから見た位置関係とは異なり、これらを集約して図示している。
<<手動運転中>>
図3は、手動運転中の表示例を示す。図3に示されているように、手動運転中においては、メータディスプレイ212における上端部の、横長状の帯状領域であるレベル情報表示領域DA1には、実行中の運転自動化レベルを明示する「手動運転中」というレベル関連情報が表示される。また、レベル情報表示領域DA1の下方に位置する、メータディスプレイ212における表示可能領域の大部分を占める運転情報表示領域DA2には、経路情報等の各種情報が表示される。図3は、一具体例として、800m先の交差点を右折する旨の経路情報と、ラジオ受信局と、外気温と、現在の日時とを、運転情報表示領域DA2にて表示する例を示す。
HUD装置22における投影範囲PAには、現在の自車両の車速と、現在走行中の道路における最高速度等の規制情報とが表示される。CIDディスプレイ231における上部に設けられた情報表示領域DB1には、「手動運転中」というレベル関連情報が表示される。情報表示領域DB1の下方に位置する、CIDディスプレイ231における表示可能領域の大部分を占める画面領域DB2には、ナビゲーション画面GAが表示される。この場合、ナビゲーション画面GAは、画面領域DB2におけるほぼ全面を占める通常サイズにて表示される。
<<渋滞時自動運転中>>
図4は、渋滞時自動運転を安定的に実行中のセカンドタスクとして、CID装置23にて映像コンテンツを視聴中の表示例を示す。「渋滞時自動運転を安定的に実行中」とは、渋滞時自動運転の開始直後ではなく、且つ、渋滞時自動運転の終了直前でもない状況である。具体的には、「渋滞時自動運転を安定的に実行中」とは、例えば、現在実行中の渋滞時自動運転にてセカンドタスクが利用可能となった時点から、現在実行中の渋滞時自動運転の可能区間の残距離が所定距離以下になるまでの間の状況をいう。
図4に示されているように、渋滞時自動運転中におけるメータディスプレイ212にて、レベル情報表示領域DA1には、「渋滞時自動運転中」というレベル関連情報が表示される。また、運転情報表示領域DA2には、自動運転中における自車両の走行中の車線等を示すグラフィック表示等が表示される。
HUD装置22における投影範囲PAには、現在の自車両の車速と、現在走行中の道路における最高速度等の規制情報とが表示される。CIDディスプレイ231における情報表示領域DB1には、「渋滞時自動運転中」というレベル関連情報が表示される。
自動運転中は、車載システム10による運転交代要求あるいは運転介入要求があるまで、ドライバによる操舵制御操作および加減速制御操作は原則として要求されない。したがって、渋滞時自動運転中にて、ドライバは、手動運転可能な乗車姿勢である手動運転姿勢を取ることは要求されない。レベル0の手動運転に対応可能な「手動運転姿勢」は、上記の標準運転姿勢とほぼ同様の姿勢であり、標準運転姿勢に対して乗車姿勢に関する所定の許容誤差を含む。
また、自動運転中は、車載システム10による運転交代要求あるいは運転介入要求があるまで、ドライバには、自車両周辺の監視等を行う義務はない。したがって、渋滞時自動運転が安定的に実行されている間、ドライバは、セカンドタスクを自由に実行あるいは利用することが可能となる。なお、セカンドタスクには、端末装置24の操作も含まれる。
セカンドタスクとしてCID装置23にて映像コンテンツを視聴中、CIDディスプレイ231における画面領域DB2には、映像コンテンツ画面であるセカンドタスク画面GBが表示される。この場合、セカンドタスク画面GBは、画面領域DB2におけるほぼ全面を占める通常サイズにて表示される。
<<渋滞解消の注意喚起>>
渋滞解消により、渋滞時自動運転は終了する。運転制御装置18にて、渋滞状態判定部182が渋滞解消を判定すると、表示指令送信部186は、渋滞解消時に必要な情報提示をHMI装置20にて行わせるための表示指令情報を、HMI装置20に送信する。HMI装置20は、受信した表示指令情報に基づいて、渋滞時自動運転の終了に関する各種情報を提示する。
渋滞時自動運転の終了により、自車両の運転自動化レベルは、レベル2以下に低下する。このとき、ドライバには、運転交代が要求される。また、渋滞時自動運転が終了して、低い運転自動化レベルに移行する際に、渋滞中の低車速から車速が上昇することがあり得る。
しかしながら、セカンドタスクを利用中のドライバにおいては、意識が自車両の運転状態および運転環境から離れていたり、乗車姿勢が運転姿勢から離れていたりする。このため、渋滞時自動運転が終了して運転自動化レベルが低下する際に、低下先の運転自動化レベルに対応した運転交代をスムーズに行うことが求められる。また、渋滞解消により自車両の車速を渋滞中の低車速から上昇させる際に、ドライバに不安感あるいは不快感を可及的に与えないようにすることが求められる。
そこで、表示制御部257すなわち注意情報提示部259は、渋滞時自動運転の終了条件である渋滞解消が判定された場合に、ドライバに注意喚起するための注意情報をHMI装置20により提示する。この場合の注意情報は、渋滞が解消すること、渋滞解消により渋滞時自動運転が終了すること、および、渋滞時自動運転の終了により運転交代が必要であること、のうちの少なくともいずれか1つを内容として含む、文字情報および/または音声情報である。
図5は、セカンドタスクとしてCID装置23にて映像コンテンツを視聴中に渋滞解消が検出されたことで自動運転からレベル2[Gモード]に移行する場合の表示例を示す。図5において、「Lv」は「レベル」の略記である。また、「レベル2[Gモード]」は、「Lv2−G」と略記されている。図6等においても同様である。
この場合、図5に示されているように、メータディスプレイ212にて、レベル情報表示領域DA1には、「渋滞解消 自動運転終了」という文字情報が表示される。この文字情報は、渋滞解消を注意喚起する注意情報と、運転自動化レベルの推移あるいは変化を明示するレベル関連情報とを含む。また、運転情報表示領域DA2には、「運転姿勢(Lv2−G)準備」、「前方注意!」、「ハンドル持て!」、および「足をペダルにセット!」という文字情報を含む第一注意情報表示GCが表示される。この第一注意情報表示GCに含まれる文字情報は、ドライバに運転交代を要求あるいは注意喚起する注意情報を含む。HUD装置22における投影範囲PAにも、「運転姿勢(Lv2−G)準備」という注意情報が表示される。
CIDディスプレイ231における情報表示領域DB1には、「渋滞解消検出」という渋滞解消を注意喚起する注意情報が表示される。画面領域DB2には、「→→→→前方注意→→→→」という第二注意情報表示GDが、セカンドタスク画面GBの上方にて表示される。かかる第二注意情報表示GDは、ドライバに、運転環境の監視に関する権限移譲を促しあるいは注意喚起するための表示である。あるいは、かかる第二注意情報表示GDは、運転操作に関わる情報を表示する表示機器である、HUD装置22およびメータディスプレイ212への目視を促すための表示である。このとき、第二注意情報表示GDの表示および視認性向上のため、セカンドタスク画面GBは、図4に示された通常サイズよりも縮小された縮小サイズで表示される。
適切な注意情報の提示態様は、ドライバ挙動によって異なり得る。具体的には、例えば、ドライバがCID装置23を用いたセカンドタスクを実行中の場合、図5に示された例のように、CID装置23により注意情報を提示することが効果的である。これに対し、例えば、ドライバが端末装置24を用いたセカンドタスクを実行中の場合、CID装置23による注意情報の提示が必ずしも効果的であるとは限らない。
そこで、表示制御部257すなわち注意情報提示部259は、第二挙動取得部253にて取得したドライバ挙動に応じた提示態様で、注意情報を提示する。すなわち、注意情報提示部259は、第二挙動取得部253にて取得したドライバ挙動に応じて、注意情報の提示態様を変更する。具体的には、第二挙動取得部253は、ドライバ挙動としての、ドライバの視線方向を取得する。そして、注意情報提示部259は、第二挙動取得部253にて取得したドライバの視線方向に応じて、注意情報を提示する情報提示デバイスを変更する。
具体的には、ドライバの視線がCID装置23を向いていると判定された場合、注意情報提示部259は、注意情報をCID装置23に提示させる。これに対し、ドライバの視線が端末装置24を向いていると判定された場合、注意情報提示部259は、注意情報を端末装置24に提示させる。なお、ドライバの視線が端末装置24を向いている場合とは、少なくとも次の条件X1および条件X2が成立する場合をいう。条件X1:端末装置24の操作が行われていることが、近距離無線通信により、HMI制御装置25によって検知されること。条件X2:ドライバの視線が、メータパネル21、HUD装置22における投影範囲PA、およびCID装置23のいずれにも向いていないこと。
図6は、セカンドタスクとして端末装置24を操作中に渋滞解消が検出されたことで自動運転からレベル2[Gモード]に移行する場合の表示例を示す。この場合の、メータディスプレイ212およびHUD装置22による情報提示内容は、図5の場合と同様である。
図6の例においては、セカンドタスクは、CID装置23を用いたものではなく、端末装置24を用いたものである。このため、この例においては、画面領域DB2には、ナビゲーション画面GAが表示される。ナビゲーション画面GAは、通常サイズにて表示される。また、情報表示領域DB1には、「→→→前方注意→→→」という第二注意情報表示GDが、ナビゲーション画面GAの上方にて表示される。一方、端末装置24においては、HMI制御装置25との連携により、「渋滞解消 自動運転終了 前方注意」という注意情報の提示動作が実行される。
<<加速承認>>
渋滞解消に伴い、自車両の車速が上昇し得る。具体的には、例えば、渋滞解消に伴って運転自動化レベルを渋滞時自動運転からレベル2[Gモード]に移行させる際に、運転制御装置18により加速制御が実行され得る。このとき、加速制御の実行に先立ち、自車両の加速を承認する加速承認をドライバに要求することが好適である。これにより、不意な加速によってドライバに不安感あるいは不快感を与えることを可及的に回避することが可能となる。
そこで、注意情報提示部259は、渋滞解消をドライバに注意喚起するための注意情報に加えて、加速制御が実行されることを注意喚起するための注意情報を、HMI装置20により提示する。すなわち、注意情報提示部259は、渋滞解消に関する注意情報の提示後にドライバによる加速承認を受け付けるために、必要な情報提示を、HMI装置20にて実行させる。
図7は、セカンドタスクとしてCID装置23にて映像コンテンツを視聴中に渋滞解消が検出されたことで自動運転からレベル2[Gモード]に移行する際に、ドライバによる加速承認を受け付けるための表示例を示す。すなわち、図7は、図5に示された表示例に続く、後の時刻の表示例に対応する。
この場合、図7に示されているように、メータディスプレイ212にて、レベル情報表示領域DA1には、「渋滞解消 Lv2−G準備」という文字情報が表示される。この文字情報は、渋滞解消を注意喚起する注意情報と、運転自動化レベルの推移あるいは変化を明示するレベル関連情報と、運転交代を促す注意情報とを含む。また、運転情報表示領域DA2には、「加速します」という加速に関する注意情報を含む第一注意情報表示GCが表示される。
さらに、運転情報表示領域DA2には、「承認」という文字列を有する承認ボタンを示す入力要求表示GEが表示される。承認ボタンは、例えば、メータスイッチ213あるいはステアリングスイッチ等を用いることで選択および入力の操作が可能である。操作受付部255は、承認ボタンの操作を受け付ける。HUD装置22における投影範囲PAにも、「Lv2−G移行 加速承認?」という、運転自動化レベルの移行通知とともに承認ボタン操作を促す注意情報が表示される。
操作通知部256は、操作受付部255により受け付けられた、承認ボタンの操作状態を、運転制御装置18に通知する。すなわち、加速承認通知部としての操作通知部256は、加速承認挙動の取得状況を、運転制御装置18に通知する。加速承認挙動は、ドライバによる加速承認に相当するドライバ挙動であって、具体的には承認ボタンの操作挙動である。
第一挙動取得部183は、操作通知部256から通知された、承認ボタンの操作状態を取得する。すなわち、第一挙動取得部183は、渋滞解消を注意喚起するための注意情報と、加速に関する注意情報とが、HMI装置20により提示された後に、加速承認挙動を取得する。
加速承認挙動が取得された場合、ドライバは、加速承認のための承認ボタンをすでに操作している。よって、この場合、自車両にて加速制御が実行されることについてのドライバの心の準備ができていることが想定される。これに対し、ドライバが承認ボタンの操作を実行しないために加速承認挙動が取得されなかった場合に、加速承認挙動が取得された場合と同程度の加速制御が実行されると、不意な加速によりドライバに不安感あるいは不快感を与えることとなり得る。
そこで、運転制御装置18における車両制御部185は、加速承認挙動が取得されなかった場合、加速承認挙動が取得された場合よりも加速態様を緩やかにするように、自車両の加速態様を制御する。すなわち、加速承認挙動の取得状況は、運転制御装置18にて、加速承認挙動が取得された場合よりも取得されなかった場合の方が加速態様を緩やかにする運転制御の、実行条件に含まれる。
上記の通り、本実施形態は、自動運転終了および加速制御に関する、注意情報提示および承認ボタン表示を、運転姿勢にてドライバの視界に入る正面表示デバイスを用いて実行している。「正面表示デバイス」は、ドライバの前方正面すなわちドライバに対して自車両の進行先側に配置された表示デバイスであって、具体的にはメータパネル21およびHUD装置22である。また、本実施形態は、セカンドタスク画面GBを有するCIDディスプレイ231にて、正面表示デバイスに視線誘導するような第二注意情報表示GDを表示させている。これにより、ドライバの注意が前方に向けられるとともにドライバの乗車姿勢が運転姿勢に近づけられ、以て運転交代準備が良好に促進され得る。
このように、本実施形態によれば、ドライバに不安感あるいは不快感を可及的に与えないようにすることが可能となる。また、自動運転終了および加速制御に関する、ドライバの意識が、良好に高められる。したがって、本実施形態によれば、運転交代をよりいっそうスムーズに行うことが可能となる。
<<セカンドタスク終了>>
渋滞解消により渋滞時自動運転が終了して運転自動化レベルが低下すると、セカンドタスクは利用不可となる。このため、渋滞時自動運転の終了に際して、セカンドタスクを終了させる必要がある。
一方、上記の通り、渋滞解消により渋滞時自動運転が終了する際の、ドライバの意識は、そのときのドライバ挙動によって異なる。このため、セカンドタスクの利用態様等のドライバ挙動を考慮することで、よりスムーズな運転交代を実現することが可能となり得る。
例えば、適切なセカンドタスクの終了タイミングは、ドライバ挙動によって異なり得る。そこで、本実施形態においては、表示制御部257すなわちセカンドタスク制御部258は、第二挙動取得部253にて取得した注意情報提示後のドライバ挙動に応じた終了タイミングで、セカンドタスクを終了させる。
具体的には、例えば、運転交代準備ができていない場合、ドライバにはセカンドタスクよりも運転交代準備を優先させる必要がある。一方、運転交代準備ができている場合、可能な限り遅くまでセカンドタスクを利用可能としても、運転交代に支障はない。さらに、ドライバ以外の自車両乗員が存在し且つCID装置23以外に当該乗員が映像コンテンツ等を視聴可能な表示デバイスが搭載されていない場合、映像コンテンツ等のセカンドタスクコンテンツを可能な限り遅くまで視聴できることが好ましい。
そこで、セカンドタスク制御部258は、第二挙動取得部253にて取得した注意情報提示後のドライバ挙動が引継挙動である場合、非引継挙動である場合よりも、セカンドタスクを遅く終了させる。「引継挙動」とは、運転交代挙動の少なくとも一部であって、典型的には運転姿勢を取る挙動である。これにより、運転交代準備ができていない場合にドライバに運転交代動作を促すことができるとともに、運転交代準備ができている場合における利便性が向上する。
例えば、図5に示された表示の後、引継挙動が検知されることで運転交代準備ができていると判定された場合、表示態様が図5から図7に変化する。この場合、図5および図7に示されているように、加速承認操作の受け付け中も、セカンドタスク画面GBの表示が維持される。
一方、図5に示された表示の後、引継挙動が検知されず運転交代準備ができていないと判定された場合、表示態様が図5から図7ではなく図8に変化する。この場合、加速承認操作の受け付け開始時点で、セカンドタスクが終了され、CIDディスプレイ231における画面領域DB2の表示がセカンドタスク画面GBからナビゲーション画面GAに切り替わる。また、情報表示領域DB1には、「→→渋滞解消 前方注意→→」という、渋滞解消および運転交代を注意喚起する注意情報を含む第二注意情報表示GDが表示される。なお、メータディスプレイ212およびHUD装置22による情報提示内容は、図7の場合と同様である。
(動作例)
以上に説明した制御動作あるいは制御方法、および、これらに対応する制御プログラムの、一具体例について、図9A、図9B、および図10に示されたフローチャートと図9Cに示されたタイムチャートとを用いて説明する。なお、図示されたフローチャートにおいて、「S」は「ステップ」の略記である。また、本実施形態に係る装置構成、制御動作、制御方法、および制御プログラムを、以下単に「本実施形態」と総称することがある。
図9A、図9B、図9C、および図10に示された動作例は、渋滞時自動運転が開始してから渋滞解消により終了してレベル2[Gモード]に移行する場合を示す。本動作例においては、まず、ステップ901にて、車載システム10は、自車両が渋滞区間に突入したか否かを判定する。
自車両が渋滞区間に突入した場合(すなわちステップ901=YES)、処理がステップ902以降に進行する。一方、自車両が渋滞区間に突入していない場合(すなわちステップ901=NO)、ステップ902以降の処理がスキップされ、本動作が一旦終了する。
ステップ902にて、車載システム10は、渋滞時自動運転を開始する。すると、セカンドタスクが利用可能となる。ドライバがセカンドタスクの利用を希望する場合、ドライバによるHMI装置20の操作により、ステップ903にてセカンドタスクが開始する。
ステップ904にて、車載システム10は、渋滞解消の有無を判定する。渋滞解消の有無は、例えば、以下の(A)〜(C)の要素を考慮して判定される。(A)自車両の周囲における、前走車を含む走行中の他車両の存在状態。(B)自車両が所定の基準速度(例えば40km/h)以上に加速することが予想されるか否か。(C)自車両にて渋滞情報が取得されており、且つ、取得された渋滞情報が渋滞区間内に自車両が存在することを示しているか否か。
渋滞解消が判定されない間は、ステップ904の判定結果が「NO」となり、処理はステップ905には進行しない。一方、渋滞解消が判定された場合(すなわちステップ904=YES)、処理がステップ905に進行する。
ステップ905にて、車載システム10は、ドライバがCIDディスプレイ231を視認中であるか否かを判定する。ドライバがCIDディスプレイ231を視認中である場合(すなわちステップ905=YES)、処理がステップ906およびステップ907に進行する。
ステップ906にて、車載システム10は、注意情報をCID装置23にて提示する。ステップ907にて、車載システム10は、注意情報をメータパネル21およびHUD装置22にて提示する。
ドライバがCIDディスプレイ231を視認中ではない場合(すなわちステップ905=NO)、処理がステップ908に進行する。ステップ908にて、車載システム10は、ドライバが端末装置24を視認中であるか否を判定する。
ドライバが端末装置24を視認中である場合(すなわちステップ908=YES)、処理がステップ909に進行した後にステップ907に進行する。ステップ909にて、車載システム10は、注意情報を端末装置24にて提示する。ドライバが端末装置24を視認中ではない場合(すなわちステップ908=NO)、ステップ909の処理がスキップされ、処理がステップ907に進行する。
このように、本実施形態においては、ドライバがCIDディスプレイ231を視認中である場合、HMI制御装置25は、注意情報を、メータパネル21、HUD装置22、およびCID装置23にて提示する。一方、ドライバが端末装置24を視認中である場合、HMI制御装置25は、注意情報を、メータパネル21、HUD装置22、および端末装置24にて提示する。ドライバがCIDディスプレイ231も端末装置24もともに視認中ではない場合、ドライバが前方を視認中である可能性が高い。このため、この場合、HMI制御装置25は、注意情報を、メータパネル21およびHUD装置22にて提示する。
ステップ907の処理の後、処理がステップ910に進行する。ステップ910にて、車載システム10は、ドライバが引継挙動によりレベル2[Gモード]に対応する所定の運転姿勢を取ったか否かを判定する。
注意情報の提示によりドライバが運転姿勢を取った場合(すなわちステップ910=YES)、処理がステップ911およびステップ912に進行する。ステップ911にて、車載システム10は、図10に示された速度回復処理を開始する。速度回復処理については後述する。
ステップ912にて、車載システム10は、自車両の車速Vが所定値V0以上となったか否かを判定する。所定値V0は、例えば、40km/hである。車速Vが所定値V0未満である間は、ステップ912の判定結果が「NO」となり、処理はステップ913には進行しない。一方、車速Vが所定値V0以上となると、ステップ912の判定結果が「YES」となり、処理がステップ913以降に進行する。
ステップ913にて、車載システム10は、セカンドタスクを終了させる。ステップ914にて、車載システム10は、速度回復処理を終了する。ステップ915にて、車載システム10は、レベル2[Gモード]を開始する。
一方、注意情報が提示されてもドライバが運転姿勢を取らなかった場合(すなわちステップ910=NO)、処理がステップ916およびステップ917に進行した後、処理がステップ914およびステップ915に進行する。ステップ916にて、車載システム10は、セカンドタスクを終了させる。ステップ917にて、車載システム10は、速度回復処理を開始する。
このように、本実施形態は、注意情報の提示によりドライバが運転姿勢を取った場合、速度回復処理により自車両の車速Vが所定値V0以上となってからセカンドタスクを終了させる。一方、本実施形態は、注意情報が提示されてもドライバが運転姿勢を取らなかった場合、速度回復処理により自車両の車速Vが所定値V0以上となることを待たず、直ちにセカンドタスクを終了させる。図9Cは、注意情報の提示によりドライバが運転姿勢を取ったか否かによる、セカンドタスク終了タイミングおよび速度回復タイミングの違いを、視覚的にわかりやすく示すための説明図である。図9Cにおいて、縦軸は車速を示し、横軸は時間経過を示す。また、横軸の時間経過に対応して、速度回復開始タイミングに対応するステップが破線の四角で囲まれて示されるとともに、セカンドタスク終了タイミングに対応するステップが実線の四角で囲まれて示されている。図9Cに示されているように、注意情報の提示によりドライバが運転姿勢を取った場合(すなわちステップ910=YES→ステップ911およびステップ913)と、注意情報が提示されてもドライバが運転姿勢を取らなかった場合(すなわちステップ910=NO→ステップ916およびステップ917)とで、セカンドタスク終了タイミングが異なる。具体的には、前者の場合は、後者の場合よりも遅くまでセカンドタスクを利用することができる。
図10は、渋滞解消時の速度回復処理を示す。速度回復処理が開始すると、まず、ステップ1001にて、車載システム10は、加速承認要求をドライバに提示する。「加速承認要求」は、ドライバに加速承認挙動を促すことである。具体的には、「加速承認要求」は、図7および図8に示されているように、「加速します」という第一注意情報表示GCにあわせて、「承認」という文字列を有する承認ボタンを示す入力要求表示GEを表示することを含む。
次に、ステップ1002にて、車載システム10は、加速承認挙動すなわち承認ボタンの操作挙動が取得されたか否かを判定する。加速承認挙動が取得された場合(すなわちステップ1002=YES)、ステップ1003およびステップ1004の処理が実行される。
ステップ1003にて、車載システム10は、速度回復処理における加速態様すなわち加速度合を、通常態様に設定する。ステップ1004にて、車載システム10は、自車両の車速Vが所定値V1以上となったか否かを判定する。所定値V1は、例えば、60km/hである。車速Vが所定値V1未満である間は、ステップ1004の判定結果が「NO」となり、速度回復処理は終了しない。一方、車速Vが所定値V1以上となると、ステップ1004の判定結果が「YES」となり、速度回復処理が終了する(すなわち図9Bにおけるステップ914)。
加速承認挙動が取得されなかった場合(すなわちステップ1002=NO)、処理がステップ1005およびステップ1006に進行する。ステップ1005にて、車載システム10は、速度回復処理における加速態様を、通常態様よりも緩く設定する。ステップ1006にて、車載システム10は、自車両の車速Vが所定値V1以上となったか否かを判定する。
自車両の車速Vが所定値V1未満である場合(すなわちステップ1006=NO)、処理がステップ1007に進行する。ステップ1007にて、車載システム10は、加速承認挙動が取得されたか否かを判定する。加速承認挙動が取得された場合(すなわちステップ1007=YES)、処理がステップ1003に進行する。一方、加速承認挙動が取得されなかった場合(すなわちステップ1007=NO)、処理がステップ1006に戻る。加速承認操作がなされないまま、車速Vが所定値V1に到達すると(すなわちステップ1006=YES)、速度回復処理が終了する(すなわち図9Bにおけるステップ914)。
このように、ドライバによる加速承認操作がなされない間は、通常態様よりも緩い加速態様にて、速度回復処理が継続する。一方、ドライバによる加速承認操作がなされると、加速態様が通常態様に設定され、通常態様にて速度回復処理が実行される。
(第二実施形態)
以下、第二実施形態について、図11を参照しつつ説明する。なお、以下の第二実施形態の説明においては、主として、上記第一実施形態と異なる部分について説明する。また、第一実施形態と第二実施形態とにおいて、互いに同一または均等である部分には、同一符号が付されている。したがって、以下の第二実施形態の説明において、第一実施形態と同一の符号を有する構成要素に関しては、技術的矛盾または特段の追加説明なき限り、上記第一実施形態における説明が適宜援用され得る。後述の第三実施形態等においても同様である。
本実施形態に係る車載システム10の構成は、上記第一実施形態と同様である。すなわち、本実施形態に係る車両1および車載システム10は、図1および図2に示された構成を有している。但し、本実施形態は、動作態様およびこれに対応する機能構成が上記第一実施形態とは若干異なる。
上記の通り、セカンドタスクを利用中のドライバにおいては、意識が自車両の運転から乖離したり、乗車姿勢が運転姿勢から乖離したりする。かかる乖離の度合いは、セカンドタスクの種類によって異なり得る。例えば、端末装置24を用いたセカンドタスクの方が、CID装置23を用いたセカンドタスクよりも、ドライバの視界が自車両前方からよりいっそう離れるとともに、乗車姿勢も運転姿勢からよりいっそう離れる。特に、端末装置24を用いたゲーム操作中は、ドライバの意識および視界が、運転から完全に離れる。
そこで、本実施形態においては、セカンドタスク制御部258は、HMI装置20におけるセカンドタスクを実行する表示デバイスに応じて、セカンドタスクの終了タイミングを変更する。具体的には、例えば、セカンドタスク制御部258は、端末装置24を用いたセカンドタスクを、CID装置23を用いたセカンドタスクよりも早く終了させる。
図11は、本実施形態に対応する動作例を示すフローチャートである。図11に示されたフローチャートは、図9Bに示されたフローチャートの一部を変容したものである。すなわち、図11におけるステップ910の判定内容は、図9Bと同様である。また、ステップ911〜ステップ917の処理内容は、図9Bと同様である。
本実施形態においては、ステップ910の判定結果が「YES」の場合の処理が、上記第一実施形態とは異なる。具体的には、ステップ910とステップ911との間に、ステップ1101の処理が挿入されている。ステップ1101にて、車載システム10は、セカンドタスクを実行する表示デバイスがCID装置23であるか否かを判定する。セカンドタスクを実行する表示デバイスがCID装置23である場合(すなわちステップ1101=YES)、処理がステップ911に進行する。一方、セカンドタスクを実行する表示デバイスがCID装置23ではない場合(すなわちステップ1101=NO)、処理がステップ916に進行する。
すなわち、本実施形態は、セカンドタスクを実行する表示デバイスがCID装置23である場合、速度回復処理により自車両の車速Vが所定値V0以上となってからセカンドタスクを終了させる。一方、本実施形態は、セカンドタスクを実行する表示デバイスがCID装置23ではない場合、速度回復処理により自車両の車速Vが所定値V0以上となることを待たず、直ちにセカンドタスクを終了させる。
このように、本実施形態においては、実行中のセカンドタスクの種類に応じて、セカンドタスクの終了タイミングが設定される。したがって、本実施形態によれば、自動運転終了の際の、ドライバへの権限移譲を、よりいっそうスムーズに行うことが可能となる。
(第三実施形態)
以下、第三実施形態について、図12を参照しつつ説明する。本実施形態に係る車載システム10の構成は、上記第一実施形態および第二実施形態と同様である。本実施形態は、動作態様およびこれに対応する機能構成が上記第一実施形態および第二実施形態とは若干異なる。
渋滞解消およびこれに伴う自動運転終了に関する注意情報の提示により、ドライバが運転姿勢を取った場合、ドライバの意識はそのまま運転に向かうことが多い。この場合、セカンドタスクを直ちに終了させても、ドライバに違和感あるいは不快感を与える可能性は低い。そこで、本実施形態は、注意情報の提示によりドライバが運転姿勢を取った場合、セカンドタスクを直ちに終了させる。
図12は、本実施形態に対応する動作例を示すフローチャートである。図12に示されたフローチャートは、図9Bに示されたフローチャートの一部を変容したものである。すなわち、図12におけるステップ910の判定内容は、図9Bと同様である。また、ステップ914、およびステップ915の処理内容は、図9Bと同様である。
注意情報の提示によりドライバが運転姿勢を取った場合(すなわちステップ910=YES)、処理がステップ1201およびステップ1202に進行した後、処理がステップ914およびステップ915に進行する。ステップ1201にて、車載システム10は、セカンドタスクを終了させる。ステップ1202にて、車載システム10は、自車両の車速Vが所定値V0以上となったか否かを判定する。車速Vが所定値V0未満である間は、ステップ1202の判定結果が「NO」となり、処理はステップ914には進行しない。車速Vが所定値V0以上となると、ステップ1202の判定結果が「YES」となり、処理がステップ914以降に進行する。
一方、注意情報が提示されてもドライバが運転姿勢を取らなかった場合(すなわちステップ910=NO)、処理がステップ1203およびステップ1204に進行した後、処理がステップ914およびステップ915に進行する。ステップ1203にて、車載システム10は、自車両の車速Vが所定値V0以上となったか否かを判定する。車速Vが所定値V0未満である間は、ステップ1203の判定結果が「NO」となり、処理はステップ1204には進行しない。一方、車速Vが所定値V0以上となると、ステップ1203の判定結果が「YES」となり、処理がステップ1204以降に進行する。ステップ1204にて、車載システム10は、セカンドタスクを終了させる。
(第四実施形態)
以下、第四実施形態について、図13〜図15を参照しつつ説明する。本実施形態に係る車載システム10の構成は、上記第一実施形態等と同様である。本実施形態は、動作態様およびこれに対応する機能構成が上記第一実施形態等とは若干異なる。
上記の通り、渋滞解消に伴う速度回復の際にドライバによる加速承認がなされた場合、車両制御部185は、ドライバを含む自車両乗員に不安感等を与えることなく、自車両の車速を比較的早期に所定の目的車速まで回復させることができる。一方、かかる加速承認がなされなかった場合、加速承認がなされた場合よりも速度回復すなわち加速の態様を緩やかにすることで、ドライバを含む自車両乗員に不安感等を可及的に与えないようにすることができる。
このため、加速承認により車速の早期回復が実行される場合、ドライバの意識および乗車姿勢を早期に運転に対応させることが望ましい。そこで、セカンドタスク制御部258は、注意情報提示後に自車両の加速を承認する加速承認挙動が第二挙動取得部253にて取得された場合、当該加速承認挙動が取得されなかった場合よりもセカンドタスクを早く終了させる。
図13は、本実施形態に対応する動作例を示すフローチャートである。本動作例においては、まず、ステップ1301にて、車載システム10は、自車両が渋滞区間に突入したか否かを判定する。ステップ1301の判定内容は、図9Aにおけるステップ901と同様である。
自車両が渋滞区間に突入した場合(すなわちステップ1301=YES)、処理がステップ1302以降に進行する。一方、自車両が渋滞区間に突入していない場合(すなわちステップ1301=NO)、ステップ1302以降の処理がスキップされ、本動作が一旦終了する。
ステップ1302にて、車載システム10は、渋滞時自動運転を開始する。すると、セカンドタスクが利用可能となる。ドライバがセカンドタスクの利用を希望する場合、ドライバによるHMI装置20の操作により、ステップ1303にてセカンドタスクが開始する。
ステップ1304にて、車載システム10は、渋滞解消の有無を判定する。ステップ1304の判定内容は、図9Aにおけるステップ904と同様である。渋滞解消が判定されない間は、ステップ1304の判定結果が「NO」となり、処理はステップ1305には進行しない。一方、渋滞解消が判定された場合(すなわちステップ1304=YES)、処理がステップ1305に進行する。
ステップ1305にて、車載システム10は、加速承認要求をドライバに提示する。図14は、セカンドタスクとしてCID装置23にて映像コンテンツを視聴中に渋滞解消が検出されたことで自動運転からレベル2[Gモード]に移行する場合の表示例を示す。
図14に示されているように、メータディスプレイ212にて、レベル情報表示領域DA1には、「渋滞解消 自動運転終了」という文字情報が表示される。この文字情報は、渋滞解消を注意喚起する注意情報と、レベル関連情報とを含む。また、運転情報表示領域DA2には、「加速します」という第一注意情報表示GCと、承認ボタンを示す入力要求表示GEとが表示される。HUD装置22における投影範囲PAには、「運転姿勢(Lv2−G)準備」という文字情報と、投影範囲PAよりも下方のメータディスプレイ212に視線誘導する「↓↓↓加速承認↓↓↓」という注意情報とが表示される。
CIDディスプレイ231における情報表示領域DB1には、「渋滞解消 Lv2−G準備」という文字情報が表示される。画面領域DB2には、正面表示デバイスに視線誘導しつつ承認ボタン操作を促す「→→→加速承認?→→→」という第二注意情報表示GDが、セカンドタスク画面GBの上方にて表示される。このとき、第二注意情報表示GDの、表示、および、視認性向上のため、セカンドタスク画面GBは、縮小サイズで表示される。
再び図13を参照すると、ステップ1306にて、車載システム10は、加速承認挙動が取得されたか否かを判定する。加速承認挙動が取得された場合(すなわちステップ1306=YES)、処理がステップ1307およびステップ1308に進行する。ステップ1307にて、車載システム10は、セカンドタスクを終了させる。ステップ1308にて、車載システム10は、加速態様を通常態様に設定して、速度回復処理を開始する。
速度回復処理の開始により、自車両の車速が、渋滞走行中の低速域から上昇する。車速が所定値(例えば60km/h)に到達すると、ステップ1309にて、車載システム10は、渋滞時自動運転を終了する。
加速承認挙動が取得されなかった場合(すなわちステップ1306=NO)、処理がステップ1310〜ステップ1313に進行する。ステップ1310にて、車載システム10は、速度回復処理における加速態様を、通常態様よりも緩く設定する。
ステップ1311にて、車載システム10は、セカンドタスク終了予告を提示する。ステップ1312にて、車載システム10は、運転姿勢を取ることをドライバに促す運転姿勢指示を提示する。図15は、ステップ1311およびステップ1312に対応する表示例を示す。
図15に示されているように、メータディスプレイ212にて、レベル情報表示領域DA1には、「渋滞解消 自動運転終了」という文字情報が表示される。また、運転情報表示領域DA2には、「前方注意!」、「ハンドル持て!」、および「足をペダルにセット!」という、運転姿勢指示のための第一注意情報表示GCが表示される。HUD装置22における投影範囲PAには、「運転姿勢(Lv2−G)準備」いう文字情報が表示される。
CIDディスプレイ231における情報表示領域DB1には、「渋滞解消 Lv2−G準備」という文字情報が表示される。画面領域DB2には、「→→→あと5秒→→→」という、セカンドタスク終了までの所要時間情報を含むセカンドタスク終了予告と、「ハンドル持て!」という運転姿勢指示とを含む、第二注意情報表示GDが、セカンドタスク画面GBの上方にて表示される。このとき、第二注意情報表示GDの、表示、および、視認性向上のため、セカンドタスク画面GBは、上記の縮小サイズあるいはさらに小さい最小サイズで表示される。
再び図13を参照すると、ステップ1313にて、車載システム10は、加速承認挙動が取得されたか否かを判定する。加速承認挙動が取得された場合(すなわちステップ1313=YES)、処理がステップ1307に進行する。一方、加速承認挙動が取得されなかった場合(すなわちステップ1313=NO)、処理がステップ1314に進行する。
ステップ1314にて、車載システム10は、ステップ1305の処理によって加速承認要求がドライバに提示されてから所定時間が経過したか否かを判定する。所定時間経過前は(すなわちステップ1314=NO)、処理がステップ1313に戻る。すなわち、加速承認がなされた場合よりも緩慢な加速状態のまま、加速承認の受け付け終了が所定時間待機される。
一方、加速承認がなされないまま所定時間が経過すると(すなわちステップ1314=YES)、処理がステップ1315に進行する。ステップ1315にて、車載システム10は、セカンドタスクを終了させる。その後、処理がステップ1309に進行する。
(第五実施形態)
以下、第五実施形態について、図16を参照しつつ説明する。本実施形態に係る車載システム10の構成は、上記第四実施形態と同様である。本実施形態は、動作態様およびこれに対応する機能構成が上記第四実施形態とは若干異なる。
渋滞解消に伴う速度回復の際にドライバによる加速承認がなされた場合、ドライバは、運転交代について十分な認識を有していることが想定される。よって、この場合、ドライバに対して、運転交代に関するこれ以上の注意喚起がなされなくても特段の不都合はない。これに対し、加速承認がなされていない場合、ドライバの運転意識が低く、ドライバに対して運転交代に関する継続的な注意喚起が必要である。
そこで、セカンドタスク制御部258は、注意情報提示後に自車両の加速を承認する加速承認挙動が第二挙動取得部253にて取得されなかった場合、当該加速承認挙動が取得された場合よりも、セカンドタスク実行状態を制限する。セカンドタスク実行状態の「制限」は、例えば、セカンドタスク画面GBの縮小、セカンドタスク画面GB内への注意情報のスーパーインポーズ、セカンドタスク終了タイミングの早期化、等のうちの少なくとも1つを含む。
図16は、本実施形態に対応する動作例を示すフローチャートである。図16に示されたフローチャートは、図13に示されたフローチャートの一部を変容したものである。すなわち、図16におけるステップ1301〜ステップ1305の処理内容は、図13と同様である。また、ステップ1306の判定内容は、図13と同様である。
本実施形態においては、加速承認挙動が取得された場合(すなわちステップ1306=YES)、処理がステップ1607およびステップ1608に進行する。ステップ1607にて、車載システム10は、加速態様を通常態様に設定して、速度回復処理を開始する。車速が所定の基準速度(例えば40km/h)に達すると、ステップ1608にて、セカンドタスクが終了する。その後、車速が所定値(例えば60km/h)に到達すると、ステップ1609にて、車載システム10は、渋滞時自動運転を終了する。
一方、加速承認挙動が取得されなかった場合(すなわちステップ1306=NO)、処理がステップ1610〜ステップ1614に進行した後、処理がステップ1609に進行する。ステップ1610にて、車載システム10は、速度回復処理における加速態様を、通常態様よりも緩く設定して、速度回復処理を開始する。
ステップ1611にて、車載システム10は、セカンドタスク画面GBのサイズを縮小する。具体的には、ステップ1611の処理前にてセカンドタスク画面GBのサイズが通常サイズであった場合、ステップ1611の処理によりセカンドタスク画面GBを通常サイズから縮小サイズに縮小する。一方、ステップ1611の処理前にてセカンドタスク画面GBのサイズが縮小サイズであった場合、ステップ1611の処理によりセカンドタスク画面GBを縮小サイズから最小サイズに縮小する。
ステップ1612にて、車載システム10は、セカンドタスク終了予告を提示する。ステップ1613にて、車載システム10は、運転姿勢を取ることをドライバに促す運転姿勢指示を提示する。すなわち、ステップ1612およびステップ1613の処理内容は、それぞれ、図13におけるステップ1311およびステップ1312と同様である。
車速が所定の基準速度(例えば40km/h)に達すると、ステップ1614にて、セカンドタスクが終了する。その後、車速が所定値(例えば60km/h)に到達すると、ステップ1609にて、車載システム10は、渋滞時自動運転を終了する。
(第六実施形態)
以下、第六実施形態について、図17A、図17B、および図18を参照しつつ説明する。本実施形態に係る車載システム10の構成は、上記第五実施形態と同様である。本実施形態は、動作態様およびこれに対応する機能構成が上記第五実施形態とは若干異なる。
上記各実施形態においては、レベル3の自動運転として、渋滞時自動運転のみ実行可能な例について説明した。これに対し、本実施形態においては、限定領域としての特定道路区間において、渋滞時自動運転と高速自動運転との双方を実行可能な例を示す。「高速自動運転」は、所定の高速度域での走行が可能となる自動運転である。「高速自動運転」は、「高速度域自動運転」とも称され得る。「特定道路区間」は、あらかじめSAEレベル3の自動運転可能に設定された道路区間であって、典型的には、例えば、高速道路等の専用道路に設定された所定区間である。所定の高速度域は、例えば、60km/h以上且つ法定速度以下である。
図17A、図17B、および図18に示された動作例は、特定道路区間にて交通状況に応じてレベル3の自動運転としての渋滞時自動運転または高速自動運転を実行し、特定道路区間の終了によりレベル3からレベル2[Gモード]に移行する場合を示す。図中、渋滞時自動運転を「渋滞AD」と略記し、高速自動運転を「高速AD」と略記する。
本動作例においては、まず、ステップ1701にて、車載システム10は、自車両が特定道路区間に進入したか否かを判定する。自車両が特定道路区間に進入した場合(すなわちステップ1701=YES)、処理がステップ1702以降に進行する。一方、自車両が特定道路区間に進入していない場合(すなわちステップ1701=NO)、ステップ1702以降の処理がスキップされ、本動作が一旦終了する。
ステップ1702にて、車載システム10は、渋滞時自動運転の開始条件が成立したか否かを判定する。渋滞時自動運転の開始条件は、自車両が渋滞区間に突入したことを少なくとも含む。渋滞時自動運転の開始条件が成立していない場合(すなわちステップ1702=NO)、処理がステップ1703に進行する。
ステップ1703にて、車載システム10は、ステップ1701にて判定した特定道路区間への進入以外の、高速自動運転の開始条件が成立したか否かを判定する。特定道路区間への進入以外の、高速自動運転の開始条件は、例えば、自車両の現在位置が、事故あるいは工事等の阻害事由発生による規制区間内ではないことを含む。渋滞時自動運転の開始条件も高速自動運転の開始条件も成立しない場合(すなわちステップ1703=NO)、これ以降の処理が全てスキップされ、本動作が一旦終了する。
渋滞時自動運転の開始条件が成立した場合(すなわちステップ1702=YES)、処理がステップ1704〜ステップ1706に進行する。ステップ1704にて、車載システム10は、渋滞時自動運転を開始する。すると、セカンドタスクが利用可能となる。ドライバがセカンドタスクの利用を希望する場合、ドライバによるHMI装置20の操作により、ステップ1705にてセカンドタスクが開始する。
ステップ1706にて、車載システム10は、残距離Dが所定値Dthよりも長いか否かを判定する。残距離Dは、自車両の現在位置から、現在自車両が走行中の自動運転可能区間における終点までの走行予定距離である。本実施形態においては、低速走行である渋滞時自動運転は、規制区間においても利用可能である。このため、渋滞時自動運転における自動運転可能区間は、自車両の現在位置から、現在自車両が走行中の特定道路区間における最終到達点までの走行予定区間である。「最終到達点」は、現在自車両が走行中の特定道路区間の終点と、当該特定道路区間を含む専用道路等からの自車両の退出予定位置とのうちの、自車両に近い方である。「退出予定位置」は、例えば、退出予定の出口インターチェンジあるいはジャンクションである。
残距離Dが所定値Dthよりも長い場合(すなわちステップ1706=YES)、処理がステップ1707に進行する。ステップ1707にて、車載システム10は、渋滞解消の有無を判定する。ステップ1707における判定内容は、図9Aにおけるステップ904と同様である。渋滞解消が判定されない間は、ステップ1707の判定結果が「NO」となり、処理がステップ1706に戻る。すなわち、残距離Dが所定値Dth以下とならず且つ渋滞が解消しない間、ステップ1706=YES→ステップ1707=NO→ステップ1706…というようにステップ1706およびステップ1707の処理が繰り返されつつ、渋滞時自動運転が継続する。
一方、高速自動運転の開始条件が成立した場合(すなわちステップ1703=YES)、処理がステップ1708〜ステップ1710に進行する。ステップ1708にて、車載システム10は、高速自動運転を開始する。すると、セカンドタスクが利用可能となる。ドライバがセカンドタスクの利用を希望する場合、ドライバによるHMI装置20の操作により、ステップ1709にてセカンドタスクが開始する。
ステップ1710にて、車載システム10は、残距離Dが所定値Dthよりも長いか否かを判定する。本実施形態においては、高速自動運転は、規制区間においては利用不可である。このため、高速自動運転における自動運転可能区間は、現在自車両が走行中の特定道路区間から規制区間を控除したものである。したがって、例えば、自車両が規制区間に到達予定である場合、高速自動運転における残距離Dは、自車両の現在位置から、自車両の進行先に存在する直近の規制区間の始点までの走行予定距離となる。
残距離Dが所定値Dthよりも長い場合(すなわちステップ1710=YES)、処理がステップ1711に進行する。ステップ1711にて、車載システム10は、渋滞時自動運転の開始条件が成立したか否かを判定する。ステップ1711における判定内容は、ステップ1702と同様である。渋滞時自動運転の開始条件が成立しない間、すなわち、高速自動運転中にて渋滞に巻き込まれない間は、ステップ1711の判定結果が「NO」となり、処理がステップ1710に戻る。すなわち、残距離Dが所定値Dth以下とならず且つ渋滞区間に突入しない間、ステップ1710=YES→ステップ1711=NO→ステップ1710…というようにステップ1710およびステップ1711の処理が繰り返されつつ、高速自動運転が継続する。
高速自動運転中に自車両が渋滞区間に突入しようとする場合、ドライバにその旨を注意喚起する必要がある。そこで、高速自動運転中に渋滞時自動運転の開始条件が成立すると、ステップ1711の判定結果が「YES」となり、処理がステップ1712に進行する。
ステップ1712にて、車載システム10は、ドライバがCIDディスプレイ231を視認中であるか否かを判定する。ステップ1712における判定内容は、図9におけるステップ905と同様である。
ドライバがCIDディスプレイ231を視認中である場合(すなわちステップ1712=YES)、処理がステップ1713に進行する。ステップ1713にて、車載システム10は、自車両の渋滞区間突入に関する注意情報を、CID装置23にて提示する。この場合、注意情報は、CIDディスプレイ231にて画面表示されるとともに、音声でも出力される。
一方、ドライバがCIDディスプレイ231を視認中ではない場合(すなわちステップ1712=NO)、処理がステップ1714に進行する。ステップ1714にて、車載システム10は、自車両の渋滞区間突入に関する注意情報を、HMI装置20に備えられている不図示のスピーカにて音声で提示する。なお、この場合、ドライバがセカンドタスクとして端末装置24を操作中の場合、かかる端末装置24に設けられた画面および/または音声出力機器による注意情報の提示も実行され得る。
ドライバ挙動すなわちドライバの視線方向に応じた態様で、ステップ1713またはステップ1714にて注意情報を提示した後、処理がステップ1715に進行する。ステップ1715にて、車載システム10は、渋滞時自動運転を開始する。すると、処理がステップ1706に進行する。残距離Dが所定値Dth以下とならず且つ渋滞が解消しない間、ステップ1706およびステップ1707の処理が繰り返されつつ、渋滞時自動運転が継続する。
渋滞解消が判定された場合(すなわちステップ1707=YES)、処理がステップ1716に進行する。ステップ1716にて、車載システム10は、ドライバがCIDディスプレイ231を視認中であるか否かを判定する。ステップ1716における判定内容は、ステップ1712と同様である。
ドライバがCIDディスプレイ231を視認中である場合(すなわちステップ1716=YES)、処理がステップ1717に進行する。ステップ1717にて、車載システム10は、渋滞解消に関する注意情報を、CID装置23にて提示する。この場合、注意情報は、CIDディスプレイ231にて画面表示されるとともに、音声でも出力される。
一方、ドライバがCIDディスプレイ231を視認中ではない場合(すなわちステップ1716=NO)、処理がステップ1718に進行する。ステップ1718にて、車載システム10は、渋滞解消に関する注意情報を、HMI装置20に備えられている不図示のスピーカにて音声で提示する。なお、この場合、ドライバがセカンドタスクとして端末装置24を操作中の場合、かかる端末装置24に設けられた画面および/または音声出力機器による注意情報の提示も実行され得る。
ドライバ挙動すなわちドライバの視線方向に応じた態様で、ステップ1717またはステップ1718にて注意情報を提示した後、処理がステップ1719に進行する。ステップ1719にて、車載システム10は、速度回復処理を実行する。かかる速度回復処理については後述する。
速度回復処理が終了すると、処理がステップ1720およびステップ1721に進行する。ステップ1720にて、車載システム10は、高速自動運転を開始する。ステップ1721にて、車載システム10は、高速自動運転における残距離Dが所定値Dth以下であるか否かを判定する。残距離Dが所定値Dthよりも長い場合(すなわちステップ1721=NO)、処理がステップ1711に進行する。残距離Dが所定値Dth以下とならず且つ渋滞区間に突入しない間、ステップ1710およびステップ1711の処理が繰り返されつつ、高速自動運転が継続する。
残距離Dが所定値Dth以下となった場合、自動運転がまもなく終了して運転交代が必要である旨をドライバに注意喚起する必要がある。そこで、ステップ1706、ステップ1710、およびステップ1721にて、残距離Dが所定値Dth以下であると判定された場合、処理がステップ1722に進行する。
ステップ1722にて、車載システム10は、ドライバがCIDディスプレイ231を視認中であるか否かを判定する。ステップ1716における判定内容は、ステップ1712と同様である。
ドライバがCIDディスプレイ231を視認中である場合(すなわちステップ1722=YES)、処理がステップ1723に進行する。ステップ1723にて、車載システム10は、自動運転終了および運転交代に関する注意情報を、CID装置23にて提示する。この場合、注意情報は、CIDディスプレイ231にて画面表示されるとともに、音声でも出力される。
一方、ドライバがCIDディスプレイ231を視認中ではない場合(すなわちステップ1722=NO)、処理がステップ1724に進行する。ステップ1724にて、車載システム10は、自動運転終了および運転交代に関する注意情報を、HMI装置20に備えられている不図示のスピーカにて音声で提示する。なお、この場合、ドライバがセカンドタスクとして端末装置24を操作中の場合、かかる端末装置24に設けられた画面および/または音声出力機器による注意情報の提示も実行され得る。
ドライバ挙動すなわちドライバの視線方向に応じた態様で、ステップ1723またはステップ1724にて注意情報を提示した後、処理がステップ1725およびステップ1726に進行する。ステップ1725にて、車載システム10は、セカンドタスクを終了させる。ステップ1726にて、車載システム10は、レベル2[Gモード]を開始する。
図18は、図17Aにおけるステップ1719の速度回復処理の内容を示す。図18を参照すると、まず、ステップ1801にて、車載システム10は、加速承認要求をドライバに提示する。ステップ1801の処理内容は、図10におけるステップ1001と同様である。
次に、ステップ1802にて、車載システム10は、加速承認挙動が取得されたか否かを判定する。加速承認挙動が取得された場合(すなわちステップ1802=YES)、処理がステップ1803〜ステップ1805に進行する。
ステップ1803にて、車載システム10は、セカンドタスクの実行状態を通常状態に設定する。具体的には、例えば、実行中のセカンドタスクとして、CID装置23にて映像コンテンツを視聴中である場合、セカンドタスク画面GBが通常サイズに設定される。すなわち、処理がステップ1803に進行した場合、セカンドタスクの実行には制限が加えられない。
ステップ1804にて、車載システム10は、速度回復処理における加速態様を、通常態様に設定する。ステップ1805にて、車載システム10は、自車両の車速Vが所定値VH以上となったか否かを判定する。所定値VHは、例えば、60km/hである。車速Vが所定値VH未満である間は、ステップ1805の判定結果が「NO」となり、速度回復処理は終了しない。一方、車速Vが所定値VH以上となると、ステップ1805の判定結果が「YES」となり、速度回復処理が終了する。
加速承認挙動が取得されなかった場合(すなわちステップ1802=NO)、処理がステップ1806〜ステップ1808に進行する。ステップ1806にて、車載システム10は、セカンドタスクの実行を制限しつつ、加速承認要求の提示を継続する。具体的には、例えば、実行中のセカンドタスクとして、CID装置23にて映像コンテンツを視聴中である場合、セカンドタスク画面GBが縮小サイズまたは最小サイズに設定される。
ステップ1807にて、車載システム10は、速度回復処理における加速態様を、通常態様よりも緩く設定する。ステップ1808にて、車載システム10は、自車両の車速Vが所定値VH以上となったか否かを判定する。
車速Vが所定値VH未満である場合(すなわちステップ1808=NO)、処理がステップ1809に進行する。ステップ1809にて、車載システム10は、加速承認挙動が取得されたか否かを判定する。加速承認挙動が取得された場合(すなわちステップ1809=YES)、処理がステップ1803に進行する。一方、加速承認挙動が取得されなかった場合(すなわちステップ1809=NO)、処理がステップ1808に戻る。
このように、ドライバによる加速承認操作がなされない間は、通常態様よりも緩い加速態様での速度回復処理が、セカンドタスクの実行制限および加速承認要求の提示とともに継続される。一方、ドライバによる加速承認操作がなされると、加速態様およびセカンドタスクの実行態様が通常態様に設定され、速度回復処理が継続される。
ドライバによる加速承認操作がなされないまま、自車両の車速Vが所定値VHに到達すると(すなわちステップ1808=YES)、速度回復処理が終了する。このとき、ステップ1810にて、セカンドタスク実行状態が通常状態に戻される。
(変形例)
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。故に、上記実施形態に対しては、適宜変更が可能である。以下、代表的な変形例について説明する。以下の変形例の説明においては、上記実施形態との相違点を主として説明する。また、上記実施形態と変形例とにおいて、相互に同一または均等である部分には、同一符号が付されている。したがって、以下の変形例の説明において、上記実施形態と同一の符号を有する構成要素に関しては、技術的矛盾または特段の追加説明なき限り、上記実施形態における説明が適宜援用され得る。
本発明は、上記実施形態にて示された具体的な装置構成に、何ら限定されるものではない。すなわち、例えば、車載システム10を搭載する車両1は、普通自動車に限定されない。具体的には、かかる車両1は、貨物トラック等の大型自動車であってもよい。車輪数についても特段の限定はなく、三輪自動車であってもよいし、貨物トラック等の六輪または八輪自動車であってもよい。車両1の種類は、内燃機関のみを備えたコンベンショナル自動車であってもよいし、内燃機関を備えない電気自動車または燃料電池車であってもよいし、いわゆるハイブリッド車であってもよい。車両1における車体の形状および構造も、箱状すなわち平面視における略矩形状に限定されない。車両1の用途、運転席2すなわちステアリングホイール8の位置、乗員数、等についても、特段の限定はない。運転席2の存在も、必須ではない。すなわち、ドライバは、動的運転タスクを担当あるいは実行する自車両乗員であればよい。換言すれば、ドライバが運転操作を実行可能であれば、ドライバの着座位置についても、特段の限定はない。また、ステアリングホイール8に代えて、あるいはこれとともに、ジョイスティック等の任意の操作デバイスが用いられ得る。
車載システム10を構成する通信規格としては、CAN(国際登録商標)以外のもの、例えば、FlexRay(国際登録商標)等も採用され得る。また、車載システム10を構成する通信規格は、一種類に限定されない。例えば、車載システム10は、LIN等の通信規格に準拠したサブネットワーク回線を有していてもよい。LINはLocal Interconnect Networkの略である。
車両状態センサ11、外界状態センサ12、および周辺監視センサ13についても、上記の例示に限定されない。例えば、周辺監視センサ13は、ソナーすなわち超音波センサを含んだ構成であってもよい。あるいは、周辺監視センサ13は、ミリ波レーダセンサ、サブミリ波レーダセンサ、レーザレーダセンサ、および超音波センサのうちの2種類以上を備えていてもよい。各種センサの設置個数についても特段の限定はない。
ロケータ14についても、上記の例示に限定されない。例えば、ロケータ14は、ジャイロセンサおよび加速度センサを内蔵した構成ではなくてもよい。具体的には、慣性取得部142は、車両状態センサ11としてロケータ14の外部に設けられた角速度センサおよび加速度センサからの出力信号を受信するようになっていてもよい。
DCM15は、省略され得る。すなわち、交通情報は、ナビゲーション装置16によって取得され得る。あるいは、ナビゲーション装置16は、ロケータ14およびDCM15を含んだ構成を有していてもよい。
ナビゲーション装置16は、車載通信回線10Aとは異なるサブ通信回線を介して情報通信可能に、HMI制御装置25と接続されていてもよい。
ナビゲーション装置16は、HMI装置20とは別の、ナビゲーション画面表示専用の表示画面を有していてもよい。あるいは、ナビゲーション装置16は、HMI装置20の一部を構成するものとして設けられていても良い。具体的には、例えば、ナビゲーション装置16は、CID装置23と一体化されてもよい。
ドライバ状態検出部17は、車載通信回線10Aとは異なるサブ通信回線を介して情報通信可能に、HMI制御装置25と接続されていてもよい。
ドライバ状態検出部17は、視線検出部171と、姿勢検出部172と、操作状態取得部173とを備えた構成に限定されない。すなわち、例えば、視線検出部171の構成を用いた画像認識により、姿勢検出部172に対応する機能が奏され得る。また、ドライバ状態検出部17は、ドライバの脈拍等の生体情報を検出する生体情報センサを備えていてもよい。この場合、生体情報センサにおける検出電極等の構成部分は、操作状態取得部173におけるステアリングホイール8の把持状態を検出する構成部分と共用化され得る。
上記実施形態において、車載システム10すなわち運転制御装置18は、レベル1〜3に対応する車両制御動作を実行可能に構成されている。しかしながら、本発明は、かかる態様に限定されない。すなわち、例えば、本発明は、レベル1〜5に対応する車両制御動作を実行可能な場合にも、好適に適用され得る。
HMI装置20は、メータパネル21とHUD装置22とCID装置23とを備えた構成に限定されない。すなわち、例えば、メータパネル21とCID装置23とは、一体化され得る。あるいは、例えば、HUD装置22は、省略され得る。
メータ211とメータディスプレイ212とは、1つの画像表示機器によって実現され得る。この場合、メータ211は、液晶ディスプレイまたは有機ELディスプレイである1つの画像表示機器における左右両端部の表示領域として設けられ得る。すなわち、メータ211は、タコメータ、スピードメータ、水温計、等に対応する、ベゼル、指針、目盛、等を、画像表示することによって実現され得る。また、メータディスプレイ212は、かかる画像表示機器における、メータ211以外の表示領域として設けられ得る。
HUD装置22は、フロントウィンドシールド9における所定の投影範囲PAに画像を投影する構成に限定されない。具体的には、HUD装置22は、例えば、ダッシュボード7にて立設された板状部材であるコンバイナに画像を投影する構成を有していてもよい。
入力デバイス232は、CIDディスプレイ231と重畳されるタッチパネルに代えて、あるいはこれとともに、ドライバの手元で操作されるポインティングデバイス等を有していてもよい。入力デバイス232は、ドライバの発話を検出する音声入力装置を有していてもよい。
上記実施形態において、運転制御装置18およびHMI制御装置25は、CPU等を備えた、いわゆる車載マイクロコンピュータとしての構成を有していた。しかしながら、本発明は、かかる構成に限定されない。
例えば、運転制御装置18の全部または一部は、上記のような動作を可能に構成されたデジタル回路、例えばASICあるいはFPGAを備えた構成であってもよい。ASICはApplication Specific Integrated Circuitの略である。FPGAはField Programmable Gate Arrayの略である。すなわち、運転制御装置18において、車載マイクロコンピュータ部分とデジタル回路部分とは併存し得る。HMI制御装置25についても同様である。
上記実施形態にて説明した、各種の動作、手順、あるいは処理を実行可能とする、本発明に係るプログラムは、DCM15等によるV2X通信を介して、ダウンロードあるいはアップグレードされ得る。V2XはVehicle to Xの略である。あるいは、かかるプログラムは、車両1の製造工場、整備工場、販売店、等に設けられた端末機器を介して、ダウンロードあるいはアップグレードされ得る。かかるプログラムの格納先は、メモリーカード、光学ディスク、磁気ディスク、等であってもよい。
このように、上記の各機能構成および方法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つあるいは複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサおよびメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、上記の各機能構成および方法は、一つ以上の専用ハードウエア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、上記の各機能構成および方法は、一つあるいは複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサおよびメモリと一つ以上のハードウエア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移的実体的記憶媒体に記憶されていてもよい。すなわち、上記の各機能構成および方法は、これを実現するための手順を含むコンピュータプログラム、あるいは、当該プログラムを記憶した非遷移的実体的記憶媒体としても表現可能である。
本発明は、上記実施形態にて示された具体的な機能構成および動作例に限定されない。すなわち、例えば、渋滞時自動運転が終了する際に、レベル2の開始条件が成立していれば、レベル2に移行してもよい。また、渋滞時自動運転および/または高速自動運転は、レベル4に該当するものであってもよい。
運転自動化のレベルあるいはカテゴリも、「SAE J3016」に規定されたものに限定されない。具体的には、「SAE J3016」においては、運転自動化レベルが高いほど、レベル数値が大きくなるように規定されている。しかしながら、本発明は、かかる態様に限定されない。すなわち、例えば、最高の運転自動化レベルを「レベル1」として、運転自動化レベルが低下するほどレベル数値が大きくなるように規定された規格に対しても、本発明は同様に適用され得る。
渋滞突入あるいは渋滞解消の判定条件は、適宜変更され得る。すなわち、例えば、渋滞突入判定のための車速条件と、渋滞解消判定のための車速条件とは、同一であってもよいし、異なっていてもよい。「所定時間」および「所定走行距離」についても同様である。
説明を簡略化するため、上記の各実施形態は、「高速自動運転」と「渋滞時自動運転」との双方が可能であるという道路交通制度を前提としたものであった。しかしながら、各国の道路交通制度においては、自動運転の種類、自動運転中の最高速度、等の自動運転の実行条件について、国内事情等に応じた適宜の考慮がなされ得る。このため、上記実施形態は、各国の道路交通制度に沿った仕様に適宜変容され得る。
例えば、渋滞時自動運転は、特定道路区間のみで実行可能であってもよい。あるいは、渋滞時自動運転は、特定道路区間の設定の有無にかかわらず、自動運転可能道路にて実行可能であってもよい。「自動運転可能道路」は、法定最高速度が60km/hを超える自動車専用道路であって、典型的には高速道路がこれに含まれる。
上記の各実施形態に記載された具体例において、渋滞時自動運転は、自車両が渋滞区間に突入して自車両の車速Vが渋滞判定の閾値速度(例えば40km/h)以下となってから、速度回復処理により車速Vが所定値V1(例えば60km/h)に到達するまで継続可能である。すなわち、渋滞時自動運転は、車速Vが渋滞時自動運転の上限速度まで回復する前の、渋滞の一時的解消状態をも含めて、60km/h未満あるいは60km/h以下という低速度域で実行可能である。このような低速度域での自動運転は、渋滞の有無にかかわらず実行され得る。すなわち、例えば、上記の各実施形態における渋滞時自動運転は、自動運転可能道路にて60km/h以下の車速範囲で実行可能な「低速自動運転」と同視され得る。「低速自動運転」は、渋滞の発生の有無にかかわらず実行され得るものであってもよい。
したがって、日本国特許出願第2020−25305号あるいはこれを優先権主張の基礎とする本願による開示は、以下の構成を有する運転制御装置(18)およびHMI制御装置(25)を含む。
・所定速度以下の低速走行中にて前走車に追従走行する低速自動運転可能な車両(1)の運転を制御するように構成された運転制御装置(18)は、
前記低速自動運転中の渋滞解消を判定する、渋滞状態判定部(182)と、
前記車両のドライバの挙動を取得する、挙動取得部(183)と、
前記車両における加減速制御を実行する、車両制御部(185)と、
を備え、
前記車両制御部は、前記渋滞状態判定部により前記渋滞解消が判定された後に前記車両の加速を承認する加速承認挙動が、前記挙動取得部にて取得されなかった場合、当該加速承認挙動が取得された場合よりも前記車両の加速態様を緩やかにするように、前記加速態様を制御する。
・所定速度以下の低速走行中にて前走車に追従走行する低速自動運転可能な車両(1)のドライバにより認識可能に情報提示するHMI装置(20)を制御するように構成されたHMI制御装置(25)は、
前記低速自動運転中の渋滞解消が判定された場合に、前記ドライバに注意喚起するための注意情報を提示する、注意情報提示部(259)と、
前記ドライバの挙動を取得する、挙動取得部(253)と、
前記挙動取得部にて取得した前記注意情報提示後の前記挙動に応じた終了タイミングで前記HMI装置におけるセカンドタスクを終了させる、セカンドタスク制御部(258)と、
を備える。
・所定速度以下の低速走行中にて前走車に追従走行する低速自動運転可能な車両(1)のドライバにより認識可能に情報提示するHMI装置(20)を制御するように構成されたHMI制御装置(25)は、
前記ドライバの挙動を取得する、挙動取得部(253)と、
前記低速自動運転中の渋滞解消が判定された場合に、前記ドライバに注意喚起するための注意情報を、前記挙動取得部にて取得した前記挙動に応じた提示態様で提示する、注意情報提示部(259)と、
を備える。
渋滞状態判定部182は、ロケータ14、ナビゲーション装置16、あるいはHMI制御装置25に設けられていてもよい。この場合、運転制御装置18には、ロケータ14に設けられた渋滞状態判定部182から判定結果を取得する渋滞状態取得部が、渋滞状態判定部182に代えて設けられ得る。
第一挙動取得部183は、第二挙動取得部253における取得すなわち検出の結果をHMI制御装置25から受信するようになっていてもよい。その逆に、第二挙動取得部253は、第一挙動取得部183における取得すなわち検出の結果を運転制御装置18から受信するようになっていてもよい。
画面表示例も、上記の各具体例に限定されない。具体的には、例えば、図5等における第二注意情報表示GDをアニメーション表示することで、視線誘導効果をよりいっそう高めることが可能となる。アニメーション表示においては、例えば、複数の「→」における他のものよりも高輝度のものを、視線誘導方向すなわち正面表示デバイスに向かう右方向に移動させることが可能である。あるいは、例えば、「前方注意」という文字列を、視線誘導方向に移動させることが可能である。
図7および図8の例における、セカンドタスク表示態様も、適宜変更され得る。すなわち、例えば、運転交代準備が整っている図7の場合において、セカンドタスク画面GBは、通常サイズで表示されてもよい。一方、運転交代準備が整っていない図8の場合において、ナビゲーション画面GAに代えて、縮小サイズのセカンドタスク画面GBが表示されてもよい。すなわち、運転交代準備の度合いに応じて、セカンドタスク画面GBのサイズが設定されてもよい。
各フローチャートについても、適宜変容可能である。例えば、図9B等におけるステップ912の所定値V0は、セカンドタスクの種類に応じて可変であってもよい。すなわち、ドライバの意識がより運転から離れるセカンドタスクが、より早く終了するように、所定値V0が設定され得る。
具体的には、例えば、図9Bにおいて、端末装置24を用いたセカンドタスクの場合の所定値V0は、CID装置23を用いたセカンドタスクの場合の所定値V0よりも低い値であってもよい。この場合、端末装置24を用いたセカンドタスクの方が、CID装置23を用いたセカンドタスクよりも早く終了する。ドライバの意識がより運転から離れる、端末装置24を用いたセカンドタスクを、より早く終了させることで、より確実な権限移譲が可能となる。
あるいは、例えば、図11において、映像コンテンツが映画の場合の所定値V0は、映像コンテンツが映画以外の場合の所定値V0よりも低い値であってもよい。この場合、映画の方が映画以外よりもセカンドタスクが早く終了する。ドライバの意識がより運転から離れる、映画視聴のセカンドタスクを、より早く終了させることで、より確実な権限移譲が可能となる。
図9B等におけるステップ916の、セカンドタスク終了のタイミングは、セカンドタスクの種類に応じて設定されてもよい。すなわち、ドライバの意識がより運転から離れるセカンドタスクが、より早く終了するように、セカンドタスク終了のタイミングが設定され得る。
具体的には、例えば、図9Bにおいて、端末装置24を用いたセカンドタスクの方が、CID装置23を用いたセカンドタスクよりも早く終了するように、セカンドタスク終了のタイミングが設定され得る。ドライバの意識がより運転から離れる、端末装置24を用いたセカンドタスクを、より早く終了させることで、より確実な権限移譲が可能となる。
あるいは、例えば、図11において、端末装置24の種類および/または端末装置24を用いたセカンドタスクの種類に応じて、セカンドタスク終了のタイミングが設定されてもよい。すなわち、例えば、端末装置24が携帯電話である場合よりも、端末装置24が携帯型ゲーム機である場合の方が、セカンドタスクが早く終了するように、セカンドタスク終了のタイミングが設定され得る。また、携帯電話にて通話している場合よりも、携帯電話にてテキスト入力している場合の方が、セカンドタスクが早く終了するように、セカンドタスクの終了タイミングが設定され得る。例えば、セカンドタスクの終了タイミングは、セカンドタスク種類と終了タイミングとの関係を規定したルックアップテーブル等に基づいて設定され得る。
ドライバ以外には自車両乗員が存在しない場合、ドライバの意識がセカンドタスクから運転に移った時点でセカンドタスクを直ちに終了させても、利便性に影響はない。むしろ、この場合、ドライバの意識がセカンドタスクから運転に移った後で、映像コンテンツ再生等のセカンドタスクコンテンツを継続しても無駄である。
そこで、ドライバ以外の自車両乗員が存在する場合は図9Aから図9Bに処理が進行する一方、ドライバ以外の自車両乗員が存在しない場合は図9Aから図12に処理が進行するようにしてもよい。この場合、図9Aにおけるステップ907の処理の後に、「ドライバのみ?」という判定ステップが設けられる。この例においては、かかる判定ステップの判定結果が「NO」の場合、処理が図9Bに進行する。一方、かかる判定ステップの判定結果が「YES」の場合、処理が図12に進行する。
速度回復処理における加速承認要求は、複数回に分けて段階的に行われてもよい。具体的には、例えば、40km/hまでの速度回復のための1回目の加速承認要求と、50km/hまでの速度回復のための2回目の加速承認要求と、60km/hまでの速度回復のための3回目の加速承認要求とが、段階的に行われ得る。この場合、図9Bにおけるステップ911は、40km/hまでの速度回復のための「第一速度回復処理」と、50km/hまでの速度回復のための「第二速度回復処理」と、60km/hまでの速度回復のための「第三速度回復処理」とに三分割される。「第一速度回復処理」において、図10におけるV1=40km/hである。「第二速度回復処理」において、図10におけるV1=50km/hである。「第三速度回復処理」において、図10におけるV1=60km/hである。
(他の実施形態)
他の実施形態として、以下のようなものが可能である。ドライバが、渋滞解消時において(すなわちステップ904=YES)、ドライバ要件を満たせていない場合があり得る。このドライバ要件は、運転姿勢(すなわちステップ910=YES)、ハンドルの保持、周辺監視状況といった、運転交代までにドライバが運転操作可能な状態となるために必要な要件である。この場合、速度回復処理(すなわちステップ917)において、ドライバ加速承認要求の有無(すなわちステップ1002における判定結果)に関わらず、自車両の加速を緩やかにすることが可能である。これにより、運転交代に余裕をもたせることができる。
また、さらなる他の実施形態について、図1および図2に示された装置構成図と、図19〜図30に示されたタイムチャートとを用いて説明する。図19〜図30における縦軸および横軸は、図9Cと同様である。以下、複数の追加実施形態の各々について、渋滞解消に伴う速度回復によりレベル3の自動運転(すなわち渋滞時自動運転または低速自動運転)を終了してレベル2に移行するシーンを具体例として説明する。
図19〜図30を参照すると、以下の追加実施形態において、説明を簡略化する都合上、渋滞開始の判定条件に含まれる渋滞判定速度をVJ(例えば10km/h)とする。また、自動運転の上限速度をVH(例えば60km/h)とする。上限速度VHは、図9Cおよび図10における所定値V1に相当する。すなわち、自動運転中は、自車両の車速が、上限速度VH以下に制限される。そして、自動運転は、自車両の車速を上限速度VHよりも高く設定するために、加速制御により車速が上限速度VH以上の領域に到達すると終了する。T0は、渋滞解消の判定時刻であり、図9A〜図10の例におけるステップ911の処理時点に相当する。T1は、自動運転の終了時刻、すなわち、レベル3からレベル2への運転自動化レベルの移行時刻である。
(追加実施形態1)
図19および図20は、本追加実施形態の動作に対応するタイムチャートである。図19および図20に示されているように、時刻T0にて渋滞解消が判定されて速度回復処理が開始すると、自車両の車速が上昇する。そして、時刻T1にて車速が上限速度VHに到達すると、レベル3の自動運転が終了して、運転自動化レベルがレベル3からレベル2に移行する。
図19の例においては、自車両の車速は、以下の経緯で変化するものとする。自車両の車速は、まず、時刻T0にて上昇が始まり、時刻T11にて基準速度VKに到達する。基準速度VKは、渋滞判定速度VJよりも高く、且つ「所定速度」としての上限速度VHよりも低い速度であって、「中間速度」あるいは「セカンドタスク終了速度」とも称され得る。具体的には、基準速度VKは、例えば、渋滞判定速度VJと上限速度VHとの平均速度あるいはこれよりも高い速度であって、典型的には40km/hである。基準速度VKは、図9Bおよび図9Cにおける所定値V0に相当する。
自車両の車速は、時刻T11以降も上昇が続くものの、上限速度VHに到達する前に、時刻T12にて一旦ピークを迎えた後に低下に転じる。本例においては、時刻T12におけるピーク速度VPは、上限速度VHよりも低い速度であって、具体的には基準速度VKと上限速度VHとの間の速度である。
時刻T12以降は、自車両の車速は、時刻T13にて極小速度VLに到達するまで低下する。本例においては、極小速度VLは、渋滞判定速度VJよりも高く、且つ基準速度VKよりも低い速度である。自車両の車速は、時刻T13以降は再び上昇に転じ、時刻T1にて上限速度VHに到達する。自車両の車速が上限速度VHに到達すると、自動運転が終了し、運転自動化レベルがレベル2に切り替わる。
図20の例においては、自車両の車速は、以下の経緯で変化するものとする。まず、時刻T0にて上昇が始まり、上限速度VHに到達する前に、時刻T14にて一旦ピークを迎えた後に低下に転じる。本例においては、時刻T14におけるピーク速度VPは、基準速度VKよりも低い。時刻t14以降にて低下に転じた自車両の車速は、時刻T15にて渋滞判定速度VJまで低下した後、時刻T16にて極小速度VLに到達する。本例においては、極小速度VLは、渋滞判定速度VJよりも低い。自車両の車速は、時刻T16以降は再び上昇に転じ、時刻T17にて渋滞判定速度VJまで上昇する。すなわち、時刻T15〜T17にて、自車両は、発生した再渋滞区間にて渋滞走行する。時刻T16以降上昇に転じた、自車両の車速は、時刻T18にて基準速度VKに到達する。その後、時刻T1にて自車両の車速が上限速度VHに到達すると、自動運転が終了し、運転自動化レベルがレベル2に切り替わる。
本追加実施形態においては、上記第一実施形態と同様に、セカンドタスク制御部258は、第二挙動取得部253にて取得した注意情報提示後のドライバ挙動が引継挙動である場合、非引継挙動である場合よりも、セカンドタスクを遅く終了させる。すなわち、セカンドタスク制御部258は、引継挙動によりドライバが運転姿勢を取った場合、渋滞解消時の速度回復で自車両の車速が所定の基準速度VKに達するまでセカンドタスクの継続を許可する。
具体的には、ドライバが運転姿勢を取っていなかった場合、セカンドタスク制御部258は、時刻T0にてセカンドタスクを終了させる。これに対し、ドライバが運転姿勢を取っていた場合、セカンドタスク制御部258は、時刻T0よりも後の時刻T11あるいは時刻T18までセカンドタスクの実行を許可し、時刻T11あるいは時刻T18にてセカンドタスクを終了させる。これにより、運転交代準備ができていない場合にドライバに運転交代動作を促すことができるとともに、運転交代準備ができている場合における利便性が向上する。
図19および図20の例のように、時刻T0にて渋滞解消が判定されて速度回復処理が開始されてから、自車両の車速が上限速度VHに到達して自動運転を終了する時刻T1までの間に、自車両にて加速制御が断続的に繰り返される場合があり得る。この点、本追加実施形態においては、セカンドタスク制御部258は、時刻T0あるいは時刻T11にてセカンドタスクを一旦終了させた後はセカンドタスクを再許可せず、自動運転を終了する時刻T1までセカンドタスクの終了を維持する。すなわち、セカンドタスク制御部258は、渋滞解消に伴ってセカンドタスクを終了させた後、上限速度VHまで自車両の車速が上昇して自動運転が終了する前に再度渋滞が発生しても、セカンドタスクの実行を不許可とする。これにより、短時間のセカンドタスク再開とその再終了とによる煩わしさを回避することが可能となり、利便性が向上する。
(追加実施形態2)
上記追加実施形態1は、渋滞解消に起因して自動運転を終了する場合、一旦セカンドタスクを終了させたら、その後の速度変化履歴にかかわらず(すなわちピーク速度VPが基準速度VKを超えるか否かおよび再渋滞の有無に関係なく)セカンドタスク終了を維持する。しかしながら、自動運転中に一旦渋滞が解消されてから再渋滞が発生した場合に、セカンドタスクを再度利用可能とすべきか否かは、各国における交通事情あるいはユーザーニーズ等に応じて異なり得る。
この点、本追加実施形態は、渋滞解消に伴ってセカンドタスクを一旦終了させた後の速度変化履歴に応じて、再渋滞時のセカンドタスク実行を許可するものである。具体的には、本追加実施形態は、ピーク速度VPが基準速度VKを超えるか否かによって、再渋滞中にセカンドタスクを再度利用可能とするか否かを区別する。より詳細には、セカンドタスク制御部258は、渋滞解消時の速度回復で自車両の車速が基準速度VKに到達した場合、その後に上限速度VH度まで車速が上昇して自動運転が終了する前に再度渋滞が発生しても、セカンドタスクの実行を不許可とする。
図21および図22は、本追加実施形態に対応する速度変化履歴の例を示す。図21および図22の例においては、自車両の車速は、以下の経緯で変化するものとする。自車両の車速は、まず、時刻T0にて上昇が始まり、時刻T21にて一旦ピーク速度VPに到達した後に低下に転じ、時刻T22にて極小速度VLに到達する。時刻T22の周囲の時間帯TJ1〜TJ2にて、渋滞判定速度VJ以下の極低速走行すなわち渋滞走行となる。自車両の車速は、時刻T22以降は再び上昇に転じ、時刻T23にて基準速度VKに到達する。その後、時刻T1にて自車両の車速が上限速度VHに到達すると、自動運転が終了し、運転自動化レベルがレベル2に切り替わる。
図21の例においては、ピーク速度VPが基準速度VKよりも高い。すなわち、時刻T21よりも前の時刻TKにて、自車両の車速が基準速度VKに到達する。このため、ドライバが運転姿勢を取っているか否かに応じて、遅くとも時刻TK、早ければ時刻T0にて、セカンドタスクが終了する。一方、図22の例においては、ピーク速度VPが基準速度VKよりも低い。このため、ドライバが運転姿勢を取っていれば、時刻T23までセカンドタスクの継続が可能である。
図21の例のように、渋滞解消により時刻T0から速度回復を開始して、時刻TKにて基準速度VKまで加速できたような場合、その後にセカンドタスクを或る程度の時間楽しめるような長さの再渋滞が生じる可能性が低くなる。このため、この場合、時刻T0あるいは時刻TKにてセカンドタスクを終了させた後、自動運転終了までセカンドタスク終了を維持しても、ドライバは特に不快とは思わない可能性が高い。これに対し、図22の例のように、基準速度VKまで速度回復することなく再度減速が生じた場合、その後にセカンドタスクを或る程度の時間楽しめるような長さの再渋滞が生じる可能性が高くなる。
そこで、本実施形態は、ピーク速度VPが基準速度VKを超えた場合、すなわち、セカンドタスクを一旦終了させた後に自車両の車速が一度でも基準速度VKを超えた場合、再渋滞TJ1〜TJ2におけるセカンドタスクの実行を不許可とする。具体的には、ピーク速度VPが基準速度VKを超えた図21の例においては、短時間の再渋滞TJ1〜TJ2におけるセカンドタスクの実行が不許可とされる。これにより、短時間のセカンドタスク再開とその再終了とによる煩わしさを回避することができる。これに対し、ピーク速度VPが基準速度VKを超えない図22の例においては、比較的長時間の再渋滞TJ1〜TJ2が発生し、これに伴いセカンドタスクの実行が許可される。なお、時刻TJ2あるいはその所定時間前の時点でドライバが運転姿勢を取っていない場合、時刻TJ2にてセカンドタスクは再度終了する。これに対し、時刻TJ2あるいはその所定時間前の時点でドライバが運転姿勢を取っている場合、時刻T23までセカンドタスクが継続可能である。
(追加実施形態3)
本追加実施形態も、上記追加実施形態2と同様に、ピーク速度VPが基準速度VKを超えるか否かによって、再渋滞中にセカンドタスクを再度利用可能とするか否かを区別する。但し、本追加実施形態は、上記追加実施形態2とは逆に、ピーク速度VPが基準速度VKに到達しなかった場合、その後に上限速度VHまで車速が上昇して自動運転が終了する前に再度渋滞が発生しても、セカンドタスクの実行を不許可とする。
図23〜図25は、本追加実施形態に対応する速度変化履歴の例を示す。図23〜図25の例においては、自車両の車速は、以下の経緯で変化するものとする。自車両の車速は、まず、時刻T0にて上昇が始まり、時刻T31にて一旦ピーク速度VPに到達した後に低下に転じ、時刻T32にて極小速度VLに到達する。自車両の車速は、時刻T32以降は再び上昇に転じ、時刻T33にて基準速度VKに到達する。その後、時刻T1にて自車両の車速が上限速度VHに到達すると、自動運転が終了し、運転自動化レベルがレベル2に切り替わる。
図23の例においては、ピーク速度VPは、基準速度VKよりも低い。また、極小速度VLは、渋滞判定速度VJよりも高い。さらに、ピーク速度VPから極小速度VLまでの低下幅も小さい。そして、時刻T32以降、自車両の車速は、時刻T33まで比較的緩やかに上昇する。この例において、引継挙動によりドライバが運転姿勢を取っている場合、セカンドタスク制御部258は、時刻T0以降も、自車両の車速が基準速度VKに到達する時刻T33までの間、セカンドタスクの継続を許可する。これに対し、ドライバが運転姿勢を取っていなかった場合、セカンドタスク制御部258は、時刻T0にてセカンドタスクを終了させ、時刻T1までセカンドタスクの終了状態を維持する。
図24および図25の例においては、時刻T32の周囲の時間帯TJ1〜TJ2にて、渋滞判定速度VJ以下の渋滞走行が生じている。但し、図24の例においては、ピーク速度VPが基準速度VKよりも低い。これに対し、図25の例においては、ピーク速度VPが基準速度VKよりも高い。
図25の例のように、基準速度VKに達するまで速度回復したにもかかわらず、その後に渋滞判定速度VJ以下まで減速するというシーンについては、例えば、一旦渋滞が解消した後、再び長期の渋滞に突入する場合が考えられる。そこで、図24の例においては、再渋滞すなわち時間帯TJ1〜TJ2におけるセカンドタスクの実行が不許可とされる。これに対し、図25の例においては、再渋滞すなわち時間帯TJ1〜TJ2におけるセカンドタスクの実行が許可される。このように、基準速度VK以上となることを再度のセカンドタスク許可条件とすることで、実際の渋滞シーンに適合したセカンドタスクの実施をドライバに提供することができ、利便性が向上する。なお、時刻TJ2あるいはその所定時間前の時点でドライバが運転姿勢を取っていない場合、時刻TJ2にてセカンドタスクが再度終了する。これに対し、時刻TJ2あるいはその所定時間前の時点でドライバが運転姿勢を取っている場合、時刻T33までセカンドタスクが継続可能である。
(追加実施形態4)
本追加実施形態は、上記追加実施形態2および3とは異なり、速度変化履歴によらず、再渋滞中にてセカンドタスクを再度利用可能とする。すなわち、セカンドタスク制御部258は、渋滞解消に伴ってセカンドタスクを終了させた後、上限速度VHまで自車両の車速が上昇して自動運転が終了する前に再度渋滞が発生した場合、セカンドタスクの実行を許可する。
図26および図27は、本追加実施形態に対応する速度変化履歴の例を示す。図26および図27の例においては、自車両の車速は、以下の経緯で変化するものとする。自車両の車速は、まず、時刻T0にて上昇が始まり、時刻T41にて一旦ピーク速度VPに到達した後に低下に転じ、時刻T42にて極小速度VLに到達する。時刻T42の周囲の時間帯TJ1〜TJ2にて、渋滞判定速度VJ以下の渋滞走行となる。自車両の車速は、時刻T42以降は再び上昇に転じ、時刻T43にて基準速度VKに到達する。その後、時刻T1にて自車両の車速が上限速度VHに到達すると、自動運転が終了し、運転自動化レベルがレベル2に切り替わる。
本追加実施形態においては、少なくとも、再渋滞区間にて渋滞走行中の時間帯TJ1〜TJ2にて、セカンドタスクの実行が可能となる。具体的には、図26および図27の例において、ドライバが運転姿勢を取らなかったことで時刻T0にて一旦セカンドタスクが終了させられても、時刻TJ1にて、セカンドタスクの実行が再度可能となる。また、図27の例において、ドライバが運転姿勢を取っていて自車両の車速が時刻TKにて基準速度VKに到達して一旦セカンドタスクが終了させられても、時刻TJ1にて、セカンドタスクの実行が再度可能となる。そこで、表示制御部257は、時刻TJ1あるいはその所定時間前に、再渋滞に関する情報提示を実行する。
なお、時刻TJ2あるいはその所定時間前の時点でドライバが運転姿勢を取っていない場合、時刻TJ2にてセカンドタスクが再度終了する。これに対し、時刻TJ2あるいはその所定時間前の時点でドライバが運転姿勢を取っている場合、時刻T43までセカンドタスクが継続可能である。また、図26の例において、ドライバが運転姿勢を取っている場合、時刻T0〜T43の間、セカンドタスクの実行が可能である。
ここで、図26の例においては、ピーク速度VPは、基準速度VKよりも低い。すなわち、この例の場合、時刻T0から開始された速度回復により、自車両の車速が基準速度VKには到達していない。このような、比較的緩やかな速度回復の場合、自車両が再度低速走行あるいは渋滞走行となる可能性が高い。よって、自車両の車速が基準速度VKに到達する時刻T43までドライバが運転姿勢を取らない可能性が高い。
これに対し、図27の例においては、ピーク速度VPは、基準速度VKよりも高い。この例の場合、時刻T0から開始される速度回復に際しての運転交代要求により、自車両の車速が基準速度VKに到達した段階で、ドライバが運転姿勢を取っている可能性が高い。しかしながら、図27に示されているように、ピーク速度VPに到達した時刻T41以降の速度低下が比較的急峻な場合、自車両が再度低速走行あるいは渋滞走行となる可能性が高い。このように再渋滞に突入する可能性が高い中で、運転姿勢を取り続けることは、ドライバにとって利便性が悪い。
そこで、図27の例のように、ピーク速度VPが基準速度VK以上である場合、表示制御部257は、ピーク速度VPに到達して減速に転じてから基準速度VKまで減速した時刻TRにて、所定の情報提示を実行する。かかる所定の情報提示は、一旦減速したもののセカンドタスク実行許可は再渋滞発生まで待機される旨の情報提示を含む。また、かかる所定の情報提示は、現段階ではドライバはまだ運転姿勢を取らなくてもよい旨の情報提示を含む。
すなわち、表示制御部257は、自車両の車速が基準速度VKを超えた後で再度基準速度VK以下となった場合、直ちにはセカンドタスクの実施は許可されず再渋滞によりセカンドタスクの実施が許可される旨を、ドライバに報知する。具体的には、表示制御部257は、例えば、「一旦減速しましたが再渋滞発生までセカンドタスクは実行できません」という情報を、メータディスプレイ212等への表示、および/または、音声により報知する。また、表示制御部257は、「次に報知するまでリラックスしてください」という情報を、メータディスプレイ212等への表示、および/または、音声により報知する。これにより、ドライバにとっての利便性を高めることが可能となる。
(追加実施形態5)
以下の追加実施形態は、上記追加実施形態4の一部を変容したものである。すなわち、以下の追加実施形態は、時刻T0にて一旦渋滞が解消して速度回復が開始してからの再渋滞の発生状況に応じて、再渋滞中にてセカンドタスクを再度利用可能とする。なお、説明の簡略化のため、以下の追加実施形態の説明においては、ドライバが運転姿勢を取っていないために時刻T0にてセカンドタスクが終了しているものとする。
今回の自動運転の開始の契機となった渋滞(すなわち後述の第一渋滞)が解消されて速度回復が開始しても、上記の通り、再渋滞が発生する可能性がある。但し、かかる再渋滞は、非常に短時間で再度解消される可能性もある。このため、再渋滞のたびにセカンドタスクを直ちに利用可能とすると、短時間のセカンドタスク再開とその再終了とによりドライバが煩わしさを感じることが懸念される。
そこで、以下の追加実施形態は、再渋滞時のセカンドタスク実行許可に、所定の制限条件を付加する。具体的には、本追加実施形態においては、セカンドタスク制御部258は、第一渋滞が解消されたことに伴ってセカンドタスクを終了させた後、第二渋滞が発生しても、セカンドタスクの実行を不許可とする。「第一渋滞」は、自動運転中における最初の渋滞である。なお、「第一渋滞」は、自動運転の開始前からのものであってもよいし、自動運転の開始後からのものであってもよい。「第二渋滞」は、第一渋滞の次回の渋滞である。換言すれば、「第二渋滞」は、第一渋滞の解消後、上限速度VHまで自車両の車速が上昇して自動運転が終了する前に、第一渋滞の次に発生した渋滞である。一方、セカンドタスク制御部258は、第二渋滞の解消後上限速度VHまで自車両の車速が上昇して自動運転が終了する前に、再度渋滞が発生した場合、セカンドタスクの実行を許可する。
図28は、本追加実施形態に対応する動作を説明するためのタイムチャートである。図28の例においては、自車両の車速は、以下の経緯で変化するものとする。まず、自車両の車速は、時刻T0にて上昇が始まり、時刻T51にて一旦ピーク速度VP1に到達した後に低下に転じ、時刻T52にて極小速度に到達する。VP1<VHである。時刻T52の周囲の時間帯TJ1〜TJ2にて、渋滞判定速度VJ以下の渋滞走行となる。自車両の車速は、時刻T52以降は再び上昇に転じ、T53にてピーク速度VP2に到達した後に再び低下に転じ、時刻T54にて極小速度に到達する。VP2<VHである。時刻T54の周囲の時間帯TJ3〜TJ4にて、渋滞判定速度VJ以下の渋滞走行となる。自車両の車速は、時刻T54以降は再び上昇に転じ、時刻T55にて基準速度VKに到達する。その後、時刻T1にて自車両の車速が上限速度VHに到達すると、自動運転が終了し、運転自動化レベルがレベル2に切り替わる。
本追加実施形態は、第二渋滞TJ1〜TJ2の発生に際してはセカンドタスクの実行を許可しない一方、第三渋滞TJ3〜TJ4の発生に際してはセカンドタスクの実行を許可する。このように、本追加実施形態は、第一渋滞の解消後、一旦渋滞判定速度VJ以下となっただけでは、セカンドタスクの再度の許可はしないようにする。これにより、再渋滞が確かな渋滞であると判断できたタイミングからセカンドタスクを再度許可することで、ドライバに煩わしさを感じさせることを可及的に回避することが可能となる。
(追加実施形態6)
本追加実施形態は、上記追加実施形態5の一部を変容したものである。すなわち、本追加実施形態も、上記追加実施形態5と同様に、再渋滞時のセカンドタスク実行許可に、所定の制限条件を付加する。但し、かかる制限条件が、上記追加実施形態5とは異なる。
図29は、本追加実施形態に対応する動作を説明するためのタイムチャートである。図29の例においては、自車両の車速は、以下の経緯で変化するものとする。自車両の車速は、まず、時刻T0にて上昇が始まり、時刻T61にて一旦ピーク速度VP1に到達した後に低下に転じ、時刻T62にて極小速度に到達する。VK<VP1<VHである。時刻T62の周囲の時間帯TJ1〜TJ2にて、渋滞判定速度VJ以下の渋滞走行となる。自車両の車速は、時刻T62以降は再び上昇に転じ、T63にてピーク速度VP2に到達した後に再び低下に転じ、時刻T64にて極小速度に到達する。VK<VP2<VHである。時刻T64の周囲の時間帯TJ3〜TJ4にて、渋滞判定速度VJ以下の渋滞走行となる。自車両の車速は、時刻T64以降は再び上昇に転じ、時刻T65にて基準速度VKに到達する。その後、時刻T1にて自車両の車速が上限速度VHに到達すると、自動運転が終了し、運転自動化レベルがレベル2に切り替わる。
渋滞解消に伴う速度回復により基準速度VKを超えた後に再渋滞が発生した場合、かかる再渋滞は比較的早期に解消される可能性が高い。そこで、セカンドタスク制御部258は、一旦セカンドタスクを終了させた後、セカンドタスクの実行を許可する場合に、待機時間ΔTを設ける。
すなわち、セカンドタスク制御部258は、自車両の車速が渋滞判定速度VJ以下となった場合、即座にはセカンドタスクの実行を許可しない。セカンドタスク制御部258は、渋滞判定速度VJ以下の状態が所定時間(すなわち待機時間ΔT)継続した時刻TDにて、セカンドタスクの実行を許可する。これにより、短時間のセカンドタスク再開とその再終了との繰り返しによる煩わしさを回避することが可能となり、利便性が向上する。
なお、本追加実施形態は、上記追加実施形態5と同様に、第二渋滞TJ1〜TJ2の発生に際してはセカンドタスクの実行を許可しない一方、第三渋滞TJ3〜TJ4の発生に際してはセカンドタスクの実行を許可する。このため、図29に示されている典型例においては、待機時間ΔTは、第二渋滞に対しては設けられず、第三渋滞に対して設けられている。
また、再渋滞回数が多くなるほど再渋滞解消が早期となる可能性を考慮して、本追加実施形態においては、セカンドタスク制御部258は、自動運転中における渋滞回数の増加に応じて、待機時間を長く設定する。すなわち、セカンドタスク制御部258は、第N渋滞に対する待機時間ΔTを、第M渋滞に対する待機時間ΔTよりも長く設定する。N=M+1である。具体的には、セカンドタスク制御部258は、再渋滞の回数を計数するカウンタの値が大きくなるほど、待機時間ΔTをより長く設定する。かかるカウンタは、自動運転の終了時にリセットされ、自動運転の開始時点で初期値に設定される。
(追加実施形態7)
本追加実施形態は、上記追加実施形態6の一部を変容したものである。図30は、本追加実施形態に対応する動作を説明するためのタイムチャートである。図30の例における車速変動態様は、図29の例と同様である。すなわち、図30における時刻T71〜T75は、それぞれ、図29における時刻T61〜T65に対応する。
本追加実施形態においては、図30に示されているように、第二渋滞TJ1〜TJ2に対しても待機時間ΔTが設けられる。これによれば、第二渋滞が待機時間ΔTの間に終了するような短時間のものである場合、第二渋滞におけるセカンドタスクの実行が不許可とされる。一方、第二渋滞が所定程度長いものであると見込まれる場合、セカンドタスクの実行が許可される。これにより、再渋滞が確かな渋滞であると判断できたタイミングからセカンドタスクを再度許可することで、ドライバへの煩わしさを減らすことができる。すなわち、上記追加実施形態5と同様の効果が奏され得る。
また、本追加実施形態においては、図30に示されているように、第2渋滞に対する待機時間ΔTよりも、第3渋滞に対する待機時間ΔTの方が、長く設定される。すなわち、セカンドタスク制御部258は、上記追加実施形態6と同様に、第N渋滞に対する待機時間ΔTを、第M渋滞に対する待機時間ΔTよりも長く設定する。N=M+1である。これにより、再渋滞が確かな渋滞であると判断できたタイミングからセカンドタスクを再度許可することで、ドライバに煩わしさを感じさせることを可及的に回避することが可能となる。
(他の追加実施形態)
なお、上記の各追加実施形態対しても、適宜の変容がなされ得る。具体的には、例えば、渋滞判定速度VJまたは基準速度VKは、上記の閾値速度と同一であってもよい。
「取得」「算出」「推定」「検出」「検知」「決定」等の類似の表現は、技術的に矛盾しない範囲内において、相互に適宜置換可能である。「検出」あるいは「検知」と「抽出」とも、技術的に矛盾しない範囲内において、適宜置換可能である。また、各判定処理における不等号は、等号付きであってもよいし、等号無しであってもよい。すなわち、例えば、「所定値以上」は、「所定値を超える」に変更され得る。同様に、「所定値以下」は、「所定値未満」に変更され得る。
上記実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、構成要素の個数、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数値に限定される場合等を除き、その特定の数値に本発明が限定されることはない。同様に、構成要素等の形状、方向、位置関係等が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に特定の形状、方向、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、方向、位置関係等に本発明が限定されることはない。
変形例も、上記の例示に限定されない。例えば、複数の実施形態のうちの1つにおける全部または一部と、他の1つにおける全部または一部とが、技術的に矛盾しない限り、互いに組み合わされ得る。組み合わせる数についても特段の限定はない。同様に、複数の変形例のうちの1つにおける全部または一部と、他の1つにおける全部または一部とが、技術的に矛盾しない限り、互いに組み合わされ得る。さらに、上記実施形態の全部または一部と、上記変形例の全部または一部とが、技術的に矛盾しない限り、互いに組み合わされ得る。
(まとめ)
上記実施形態および変形例によって示された本開示は、HMI制御装置、HMI制御方法およびHMI制御プログラムに関する、以下の各観点を含む。なお、下記の各観点は、技術的に矛盾しない限り、互いに組み合わせて適用可能である。
HMI制御装置(25)は、渋滞中に所定速度以下で前走車に追従走行する渋滞時自動運転可能な車両(1)のドライバにより認識可能に情報提示するHMI装置(20)を制御するように構成されている。
HMI制御方法は、渋滞中に所定速度以下で前走車に追従走行する渋滞時自動運転可能な車両(1)のドライバにより認識可能に情報提示するHMI装置(20)を制御する方法である。
HMI制御プログラムは、渋滞中に所定速度以下で前走車に追従走行する渋滞時自動運転可能な車両(1)のドライバにより認識可能に情報提示するHMI装置(20)を制御するように構成されたHMI制御装置(25)により実行されるプログラムである。
第1の観点によれば、
前記HMI制御装置は、
前記渋滞時自動運転の終了条件である渋滞解消が判定された場合に、前記ドライバに注意喚起するための注意情報を提示する、注意情報提示部(259)と、
前記ドライバの挙動を取得する、挙動取得部(253)と、
前記挙動取得部にて取得した前記注意情報提示後の前記挙動に応じた終了タイミングで前記HMI装置におけるセカンドタスクを終了させる、セカンドタスク制御部(258)と、
を備えている。
また、前記HMI制御方法、および、前記HMI制御装置により実行される処理は、
前記渋滞時自動運転の終了条件である渋滞解消が判定された場合に、前記ドライバに注意喚起するための注意情報を提示する、注意情報提示処理と、
前記ドライバの挙動を取得する、挙動取得処理と、
前記挙動取得処理にて取得した前記注意情報提示後の前記挙動に応じた終了タイミングで前記HMI装置におけるセカンドタスクを終了させる、セカンドタスク制御処理と、
を有する。
第2の観点によれば、前記セカンドタスク制御部あるいは前記セカンドタスク制御処理は、前記注意情報提示後に前記車両の加速を承認する加速承認挙動が前記挙動取得処理にて取得された場合、当該加速承認挙動が取得されなかった場合よりも、前記セカンドタスクを早く終了させる。
第3の観点によれば、前記HMI制御装置は、加速承認通知部(256)をさらに備えている。また、前記HMI制御方法、および、前記HMI制御装置により実行される処理は、加速承認通知処理をさらに有する。前記加速承認通知部あるいは前記加速承認通知処理は、前記車両の運転を制御する運転制御装置(18)にて、前記加速承認挙動が取得された場合よりも取得されなかった場合の方が前記車両の加速態様を緩やかにする運転制御の実行条件に含まれる、前記加速承認挙動の取得状況を、前記運転制御装置に通知する。
第4の観点によれば、前記セカンドタスク制御部あるいは前記セカンドタスク制御処理は、前記挙動取得処理にて取得した前記注意情報提示後の前記挙動が自動運転機能の少なくとも一部の前記ドライバへの引継挙動である場合、同挙動が前記引継挙動とは異なる非引継挙動である場合よりも、前記セカンドタスクを遅く終了させる。
第5の観点によれば、前記セカンドタスク制御部あるいは前記セカンドタスク制御処理は、取得した前記注意情報提示後の前記挙動が自動運転機能の少なくとも一部の前記ドライバへの引継挙動である場合、渋滞解消時の速度回復で前記車両の走行速度が所定の基準速度に達するまで前記セカンドタスクの継続を許可する。
第6の観点によれば、前記セカンドタスク制御部あるいは前記セカンドタスク制御処理は、渋滞解消に伴って前記セカンドタスクを終了させた後、前記所定速度まで前記車両の走行速度が上昇して自動運転が終了する前に再度渋滞が発生しても、前記セカンドタスクの実行を不許可とする。
第7の観点によれば、前記セカンドタスク制御部あるいは前記セカンドタスク制御処理は、渋滞解消に伴って前記セカンドタスクを終了させた後、渋滞解消時の速度回復で前記車両の走行速度が前記所定速度よりも低い基準速度に到達した場合、その後に前記所定速度まで前記車両の走行速度が上昇して自動運転が終了する前に再度渋滞が発生しても、前記セカンドタスクの実行を不許可とする。
第8の観点によれば、前記セカンドタスク制御部あるいは前記セカンドタスク制御処理は、渋滞解消に伴って前記セカンドタスクを終了させた後、前記所定速度まで前記車両の走行速度が上昇して自動運転が終了する前に再度渋滞が発生した場合、前記セカンドタスクの実行を許可する。
第9の観点によれば、前記セカンドタスク制御部あるいは前記セカンドタスク制御処理は、自動運転中における最初の渋滞が解消されたことに伴って前記セカンドタスクを終了させた後、前記所定速度まで前記車両の走行速度が上昇して自動運転が終了する前に次回の渋滞が発生しても前記セカンドタスクの実行を不許可とする一方、かかる次回の渋滞の解消後前記所定速度まで前記車両の走行速度が上昇して自動運転が終了する前に再度渋滞が発生した場合、前記セカンドタスクの実行を許可する。
第10の観点によれば、前記セカンドタスク制御部あるいは前記セカンドタスク制御処理は、一旦前記セカンドタスクを終了させた後、前記セカンドタスクの実行を許可する場合に、待機時間を設ける。
第11の観点によれば、前記セカンドタスク制御部あるいは前記セカンドタスク制御処理は、自動運転中における渋滞回数の増加に応じて、前記待機時間を長く設定する。
第12の観点によれば、前記セカンドタスク制御部あるいは前記セカンドタスク制御処理は、前記HMI装置における前記セカンドタスクを実行する表示デバイス(23,24)に応じて前記終了タイミングを変更する。
第13の観点によれば、HMI制御装置(25)は、渋滞中に所定速度以下で前走車に追従走行する渋滞時自動運転可能な車両(1)のドライバにより認識可能に情報提示するHMI装置(20)を制御するように構成されている。
このHMI制御装置は、
前記ドライバの挙動を取得する、挙動取得部(253)と、
前記渋滞時自動運転の終了条件である渋滞解消が判定された場合に、前記ドライバに注意喚起するための注意情報を、前記挙動取得部にて取得した前記挙動に応じた提示態様で提示する、注意情報提示部(259)と、
を備えている。
HMI制御方法は、渋滞中に所定速度以下で前走車に追従走行する渋滞時自動運転可能な車両(1)のドライバにより認識可能に情報提示するHMI装置(20)を制御する方法である。
HMI制御プログラムは、渋滞中に所定速度以下で前走車に追従走行する渋滞時自動運転可能な車両(1)のドライバにより認識可能に情報提示するHMI装置(20)を制御するように構成されたHMI制御装置(25)により実行されるプログラムである。
前記HMI制御方法、および、前記HMI制御装置により実行される処理は、
前記ドライバの挙動を取得する、挙動取得処理と、
前記渋滞時自動運転の終了条件である渋滞解消が判定された場合に、前記ドライバに注意喚起するための注意情報を、前記挙動取得処理にて取得した前記挙動に応じた提示態様で提示する、注意情報提示処理と、
を有する。
第14の観点によれば、前記HMI制御装置は、前記渋滞時自動運転中の前記HMI装置におけるセカンドタスク実行状態を制御する、セカンドタスク制御部(258)をさらに備えている。前記セカンドタスク制御部は、前記注意情報提示後に前記車両の加速を承認する加速承認挙動が前記挙動取得部にて取得されなかった場合、当該加速承認挙動が取得された場合よりも、前記セカンドタスク実行状態を制限する。
また、前記HMI制御方法、および、前記HMI制御装置により実行される処理は、前記渋滞時自動運転中の前記HMI装置におけるセカンドタスク実行状態を制御する、セカンドタスク制御処理をさらに有する。前記セカンドタスク制御処理は、前記注意情報提示後に前記車両の加速を承認する加速承認挙動が前記挙動取得処理にて取得されなかった場合、当該加速承認挙動が取得された場合よりも、前記セカンドタスク実行状態を制限する。
第15の観点によれば、前記HMI制御装置は、加速承認通知部(256)をさらに備えている。また、前記HMI制御方法、および、前記HMI制御装置により実行される処理は、加速承認通知処理をさらに有する。前記加速承認通知部あるいは前記加速承認通知処理は、前記車両の運転を制御する運転制御装置(18)にて、前記加速承認挙動が取得された場合よりも取得されなかった場合の方が前記車両の加速態様を緩やかにする運転制御の実行条件に含まれる、前記加速承認挙動の取得状況を、前記運転制御装置に通知する。
第16の観点によれば、前記注意情報提示部あるいは前記注意情報提示処理は、前記挙動取得処理にて取得した前記挙動に応じて、前記注意情報の提示態様を変更する。
第17の観点によれば、前記挙動取得部あるいは前記挙動取得処理は、前記ドライバの視線方向を取得する。また、前記注意情報提示部あるいは前記注意情報提示処理は、前記挙動取得処理にて取得した前記視線方向に応じて、前記注意情報を提示する情報提示デバイス(21〜24)を変更する。
上記実施形態および変形例によって示された本開示は、HMI制御方法およびHMI制御プログラムに関する、以下の各観点を含む。なお、下記の各観点は、技術的に矛盾しない限り、互いに組み合わせて適用可能である。
HMI制御方法は、所定速度以下で前走車に追従走行する自動運転可能な車両(1)のドライバにより認識可能に情報提示するHMI装置(20)を制御する方法である。HMI制御プログラムは、所定速度以下で前走車に追従走行する自動運転可能な車両(1)のドライバにより認識可能に情報提示するHMI装置(20)を制御するように構成されたHMI制御装置(25)により実行されるプログラムである。
第1の観点によれば、前記HMI制御方法、および、前記HMI制御装置により実行される処理は、
渋滞解消が判定された場合に、前記ドライバに注意喚起するための注意情報を提示する、注意情報提示処理と、
前記ドライバの挙動を取得する、挙動取得処理と、
前記挙動取得処理にて取得した前記注意情報提示後の前記挙動に応じた終了タイミングで前記HMI装置におけるセカンドタスクを終了させる、セカンドタスク制御処理と、
を有する。
第2の観点によれば、前記セカンドタスク制御処理は、前記注意情報提示後に前記車両の加速を承認する加速承認挙動が前記挙動取得処理にて取得された場合、当該加速承認挙動が取得されなかった場合よりも、前記セカンドタスクを早く終了させる。
第3の観点によれば、前記HMI制御方法、および、前記HMI制御装置により実行される処理は、加速承認通知処理をさらに有する。前記加速承認通知処理は、前記車両の運転を制御する運転制御装置(18)にて、前記加速承認挙動が取得された場合よりも取得されなかった場合の方が前記車両の加速態様を緩やかにする運転制御の実行条件に含まれる、前記加速承認挙動の取得状況を、前記運転制御装置に通知する。
第4の観点によれば、前記セカンドタスク制御処理は、前記挙動取得処理にて取得した前記注意情報提示後の前記挙動が自動運転機能の少なくとも一部の前記ドライバへの引継挙動である場合、同挙動が前記引継挙動とは異なる非引継挙動である場合よりも、前記セカンドタスクを遅く終了させる。
第5の観点によれば、前記セカンドタスク制御処理は、取得した前記注意情報提示後の前記挙動が自動運転機能の少なくとも一部の前記ドライバへの引継挙動である場合、渋滞解消時の速度回復で前記車両の走行速度が所定の基準速度に達するまで前記セカンドタスクの継続を許可する。
第6の観点によれば、前記セカンドタスク制御処理は、渋滞解消に伴って前記セカンドタスクを終了させた後、前記所定速度まで前記車両の走行速度が上昇して自動運転が終了する前に再度渋滞が発生しても、前記セカンドタスクの実行を不許可とする。
第7の観点によれば、前記セカンドタスク制御処理は、渋滞解消に伴って前記セカンドタスクを終了させた後、渋滞解消時の速度回復で前記車両の走行速度が前記所定速度よりも低い基準速度に到達した場合、その後に前記所定速度まで前記車両の走行速度が上昇して自動運転が終了する前に再度渋滞が発生しても、前記セカンドタスクの実行を不許可とする。
第8の観点によれば、前記セカンドタスク制御処理は、渋滞解消に伴って前記セカンドタスクを終了させた後、前記所定速度まで前記車両の走行速度が上昇して自動運転が終了する前に再度渋滞が発生した場合、前記セカンドタスクの実行を許可する。
第9の観点によれば、前記セカンドタスク制御処理は、自動運転中における最初の渋滞が解消されたことに伴って前記セカンドタスクを終了させた後、前記所定速度まで前記車両の走行速度が上昇して自動運転が終了する前に次回の渋滞が発生しても前記セカンドタスクの実行を不許可とする一方、かかる次回の渋滞の解消後前記所定速度まで前記車両の走行速度が上昇して自動運転が終了する前に再度渋滞が発生した場合、前記セカンドタスクの実行を許可する。
第10の観点によれば、前記セカンドタスク制御処理は、一旦前記セカンドタスクを終了させた後、前記セカンドタスクの実行を許可する場合に、待機時間を設ける。
第11の観点によれば、前記セカンドタスク制御処理は、自動運転中における渋滞回数の増加に応じて、前記待機時間を長く設定する。
第12の観点によれば、前記セカンドタスク制御処理は、前記HMI装置における前記セカンドタスクを実行する表示デバイス(23,24)に応じて前記終了タイミングを変更する。
第13の観点によれば、前記HMI制御方法、および、前記HMI制御装置により実行される処理は、
前記ドライバの挙動を取得する、挙動取得処理と、
渋滞解消が判定された場合に、前記ドライバに注意喚起するための注意情報を、前記挙動取得処理にて取得した前記挙動に応じた提示態様で提示する、注意情報提示処理と、
を有する。
第14の観点によれば、前記HMI制御方法、および、前記HMI制御装置により実行される処理は、前記自動運転中の前記HMI装置におけるセカンドタスク実行状態を制御する、セカンドタスク制御処理をさらに有する。前記セカンドタスク制御処理は、前記注意情報提示後に前記車両の加速を承認する加速承認挙動が前記挙動取得処理にて取得されなかった場合、当該加速承認挙動が取得された場合よりも、前記セカンドタスク実行状態を制限する。
第15の観点によれば、前記HMI制御方法、および、前記HMI制御装置により実行される処理は、加速承認通知処理をさらに有する。前記加速承認通知処理は、前記車両の運転を制御する運転制御装置(18)にて、前記加速承認挙動が取得された場合よりも取得されなかった場合の方が前記車両の加速態様を緩やかにする運転制御の実行条件に含まれる、前記加速承認挙動の取得状況を、前記運転制御装置に通知する。
第16の観点によれば、前記注意情報提示処理は、前記挙動取得処理にて取得した前記挙動に応じて、前記注意情報の提示態様を変更する。
第17の観点によれば、前記挙動取得処理は、前記ドライバの視線方向を取得する。また、前記注意情報提示処理は、前記挙動取得処理にて取得した前記視線方向に応じて、前記注意情報を提示する情報提示デバイス(21〜24)を変更する。
上記実施形態および変形例によって示された本開示は、運転制御装置、運転制御方法および運転制御プログラムに関する、以下の各観点を含む。なお、下記の各観点は、技術的に矛盾しない限り、互いに組み合わせて適用可能である。
運転制御方法は、渋滞中に所定速度以下で前走車に追従走行する渋滞時自動運転可能な車両(1)の運転を制御する方法である。運転制御プログラムは、渋滞中に所定速度以下で前走車に追従走行する渋滞時自動運転可能な車両(1)の運転を制御するように構成された運転制御装置(18)により実行されるプログラムである。
第1の観点によれば、前記運転制御装置は、
前記渋滞時自動運転の終了条件である渋滞解消を判定する、渋滞状態判定部(182)と、
前記車両のドライバの挙動を取得する、挙動取得部(183)と、
前記車両における加減速制御を実行する、車両制御部(185)と、
を備え、
前記車両制御部は、前記渋滞状態判定部により前記渋滞解消が判定された後に前記車両の加速を承認する加速承認挙動が、前記挙動取得部にて取得されなかった場合、当該加速承認挙動が取得された場合よりも前記車両の加速態様を緩やかにするように、前記加速態様を制御する。
また、前記運転制御方法、および、前記運転制御装置により実行される処理は、
前記渋滞時自動運転の終了条件である渋滞解消を判定する、渋滞状態判定処理と、
前記車両のドライバの挙動を取得する、挙動取得処理と、
前記車両における加減速制御を実行する、車両制御処理と、
を有し、
前記車両制御処理は、前記渋滞状態判定処理により前記渋滞解消が判定された後に前記車両の加速を承認する加速承認挙動が、前記挙動取得処理にて取得されなかった場合、当該加速承認挙動が取得された場合よりも前記車両の加速態様を緩やかにするように、前記加速態様を制御する。
第2の観点によれば、前記挙動取得部あるいは前記挙動取得処理は、前記ドライバにより認識可能に情報提示するHMI装置(20)による、前記渋滞状態判定処理により前記渋滞解消が判定された場合に前記ドライバに注意喚起するための注意情報の提示後に、前記加速承認挙動を取得する。また、前記注意情報は、前記挙動に応じて提示態様が変更される。
第3の観点によれば、前記挙動としての、前記ドライバの視線方向に応じて、前記注意情報を提示する情報提示デバイス(21〜24)が変更される。
第4の観点によれば、前記注意情報提示後に前記加速承認挙動が前記挙動取得処理にて取得されなかった場合、当該加速承認挙動が取得された場合よりも、前記渋滞時自動運転中の前記HMI装置におけるセカンドタスク実行状態が制限される。