(実施形態)
以下、本発明の実施形態を、図面を参照しつつ説明する。なお、一つの実施形態に対して適用可能な各種の変形例の説明は、当該実施形態に関する一連の説明の途中に挿入されると、当該実施形態の理解が妨げられるおそれがある。このため、変形例については、当該実施形態に関する一連の説明の途中ではなく、その後にまとめて説明する。
(第一実施形態:構成)
図1を参照すると、車両1は、いわゆる普通自動車であって、箱状の車体の内部空間である車室内に運転席2等の乗員座席を複数備えている。運転席2に搭乗する乗員を、以下「ドライバ」と称する。
運転席2の前方には、アクセルペダル3と、ブレーキペダル4と、フットレスト5とが設けられている。また、運転席2の斜め前方には、シフトレバー6が設けられている。アクセルペダル3、ブレーキペダル4、およびフットレスト5は、運転席2の前方に設けられたダッシュボード7の下方に配置されている。ダッシュボード7から運転席2に向かう後方に延設された不図示のステアリングコラムには、ステアリングホイール8が取り付けられている。ダッシュボード7の上方には、フロントウィンドシールド9が設けられている。
車両1には、車載システム10が搭載されている。図2は、車載システム10のブロック構成を概略的に示す。以下、図1および図2を参照しつつ、車載システム10の概略構成について説明する。
車載システム10は、車両1に搭載されることで、当該車両1における運転自動化システムとしての機能を奏するように構成されている。本実施形態においては、車載システム10は、自動運転可能な構成を有している。すなわち、車両1は、車載システム10を搭載することで自動運転可能に構成されている。車載システム10を搭載する車両1を、以下「自車両」と称することがある。
「自動運転」とは、SAE Internationalによって公開された規格「SAE J3016」における、運転自動化システムが全ての動的運転タスクを担当すなわち実行する、レベル3~5に該当する運転自動化レベルをいうものとする。SAEはSociety of Automotive Engineersの略である。「動的運転タスク」とは、道路交通において自車両を操作する際にリアルタイムで行う必要がある全ての操作上および戦術上の機能であって、戦略上の機能を除いたものである。「戦略上の機能」は、行程計画、経由地選択、等である。「SAE J3016」におけるレベルXを、以下単に「レベルX」と称する。Xは0~5のうちのいずれかである。
「SAE J3016」において、レベル0~5の内容は、具体的には、以下の通りである。なお、各レベルに併記した、運転自動化レベルの名称は、「SAE J3016」に記載されたものではなく、本明細書にて便宜的に用いるためのものである。以下のレベル内容説明において、「OEDR」はObject and Event Detection and Responseの略であり、「対象物および事象の検知および応答」とも称される。OEDRには、運転環境の監視が含まれる。運転環境の監視には、対象物および事象の、検知、認識、および分類が含まれる。また、運転環境の監視には、対象物および事象に対して、必要に応じて応答する準備が含まれる。「限定領域」は、或る運転自動化システムまたはその機能が作動するように設計されている特定の条件であり、運行設計領域あるいはODDとも称される。ODDはOperational Design Domainの略である。限定領域は、例えば、地理的、環境的、速度的、および時間的等の、複数の制約条件のうちの、少なくとも1つを含む。
・レベル0:手動運転…ドライバが全ての動的運転タスクを実行する。
・レベル1:運転支援…運転自動化システムが、動的運転タスクのうちの、縦方向の車両運動制御サブタスク(すなわち、発進、加減速、および停止)と、横方向の車両運動制御サブタスク(すなわち操舵)とのうちの、いずれか一方を、特定の限定領域において持続的に実行する。但し、運転自動化システムは、縦方向の車両運動制御サブタスクと横方向の車両運動制御サブタスクとの両方を同時には実行しない。
・レベル2:高度運転支援…運転自動化システムが、動的運転タスクのうちの、縦方向の車両運動制御サブタスクおよび横方向の車両運動制御サブタスクを、特定の限定領域において持続的に実行する。ドライバは、動的運転タスクのサブタスクであるOEDRを実行して運転自動化システムを監督することが期待される。
・レベル3:条件付自動運転…運転自動化システムが全ての動的運転タスクを特定の限定領域において持続的に実行する。原則的に、ドライバには、自車両周辺の監視等のOEDRを実行する義務はない。但し、当該運転自動化レベルが継続困難となった場合、運転自動化システムは充分な時間的余裕をもってドライバに運転交代を要請する。ドライバは、その要請に適切に対応する必要がある。
・レベル4:高度自動運転…運転自動化システムが全ての動的運転タスクを特定の限定領域において持続的に実行する。限定領域において、当該運転自動化レベルが継続困難となった場合の対応は、運転自動化システムが実行する。
・レベル5:完全自動運転…運転自動化システムが全ての動的運転タスクを、特定の限定領域に限定されず無制限に、持続的に実行する。当該運転自動化レベルが継続困難となった場合の対応も、特定の限定領域に限定されず無制限に、運転自動化システムが実行する。
本実施形態においては、車載システム10は、自車両にてレベル0~3の運転自動化レベルを実現可能に構成されている。説明を簡略化するため、本実施形態は、以下に定義する「高速自動運転」と「渋滞自動運転」との双方が可能であるという、道路交通制度を前提としたものとする。具体的には、車載システム10は、レベル3に相当する「高速自動運転」および「渋滞自動運転」を実行可能に構成されている。「高速自動運転」は、特定道路区間を限定領域として所定の高速度域での走行が可能となる自動運転である。「高速自動運転」は、「高速度域自動運転」とも称され得る。「特定道路区間」は、あらかじめレベル3の自動運転可能に設定された道路区間であって、典型的には、例えば、高速道路等の専用道路に設定された所定区間である。所定の高速度域は、例えば、60km/h以上且つ法定速度以下である。「渋滞自動運転」は、渋滞中に所定速度以下で前走車に追従走行するという、渋滞走行あるいは渋滞区間を限定領域として実行される自動運転である。以下、本明細書においては、特に補足説明しない限り、高速自動運転と渋滞自動運転とを含むレベル3の自動運転を総称する場合に、「自動運転」という表現を用いる。
(システム全体構成)
図2に示されているように、車載システム10は、車載通信回線10Aおよびこの車載通信回線10Aを介して相互に接続された複数のノード等を含む車載ネットワークであって、自車両運転時の各種車両制御およびこれに伴う各種情報提示動作等を実行可能に構成されている。車載システム10は、CAN(国際登録商標:国際登録番号1048262A)等の所定の通信規格に準拠するように構成されている。CAN(国際登録商標)はController Area Networkの略である。
車載システム10は、車両状態センサ11と、外界状態センサ12と、周辺監視センサ13と、ロケータ14と、DCM15と、ナビゲーション装置16と、ドライバ状態検出部17と、運転制御装置18と、HMI装置20とを備えている。DCMはData Communication Moduleの略である。車両状態センサ11~HMI装置20は、車載通信回線10Aに接続されている。
HMI装置20は、ドライバを含む自車両乗員により認識可能に情報提示するように、自車両に搭載されている。具体的には、HMI装置20は、メータパネル21、HUD装置22、CID装置23、端末装置24、等のHMIデバイスにより、自車両乗員に各種の情報および/または娯楽を提供するように構成されている。HMIデバイスは、画像表示および/または音声出力による乗員への情報提示と、乗員からの各種入力操作の受け付けとのうちの、少なくともいずれか一方を実行するための電子機器である。HUDはヘッドアップディスプレイの略である。CIDはCenter Information Displayの略である。
HMI装置20は、HMIデバイスにおける画像および/または音声の出力を制御するように構成されたHMI制御装置25を備えている。すなわち、HMI制御装置25は、車内インフォテインメントシステムを構成するHMI装置20の動作を制御するように構成されている。メータパネル21、HUD装置22、およびCID装置23は、車載通信回線10Aとは異なるサブ通信回線を介して、HMI制御装置25と情報通信可能に接続されている。HMI制御装置25は、車載通信回線10Aに接続されたノードとして設けられている。HMI装置20およびHMI制御装置25の構成の詳細については後述する。
(各種センサ)
車両状態センサ11は、自車両の運転状態に関連する諸量に対応する出力を発生するように設けられている。「運転状態に関連する諸量」は、例えば、アクセル開度、制動量、シフトポジション、操舵角、等の、ドライバまたは運転自動化システムによる運転操作状態に関連する諸量を含む。また、「運転状態に関連する諸量」は、例えば、車速、角速度、前後方向加速度、左右方向加速度、等の、自車両の挙動に関連する物理量を含む。すなわち、車両状態センサ11は、アクセル開度センサ、操舵角センサ、車輪速センサ、角速度センサ、加速度センサ、等の、車両運転制御に必要な周知のセンサ類を、図示および説明の簡略化のために総称したものである。車両状態センサ11は、車載通信回線10Aを介して、運転制御装置18等の各部に検出出力を提供可能に設けられている。
外界状態センサ12は、自車両の運転環境のうち、主として自然環境に関連する諸量に対応する出力を発生するように設けられている。「自然環境に関連する諸量」は、例えば、外気温、降雨量、照度、等の物理量を含む。すなわち、外界状態センサ12は、外気温センサ、雨滴センサ、照度センサ、等の周知のセンサ類を、図示および説明の簡略化のために総称したものである。外界状態センサ12は、車載通信回線10Aを介して、運転制御装置18等の各部に検出出力を提供可能に設けられている。
周辺監視センサ13は、自車両の運転環境のうち、主として自然環境以外を検知するように設けられている。具体的には、周辺監視センサ13は、自車両周囲の所定の検知範囲における、移動物体および静止物体を検知可能に構成されている。「移動物体」は、歩行者、サイクリスト、動物、および運転中の他車両を含む。「静止物体」は、路上落下物、ガードレール、縁石、駐停車車両、道路標識、および道路標示に加えて、道路脇の構造物(例えば、壁、建物、等。)を含む。周辺監視センサ13は「ADASセンサ」とも称され得る。ADASはAdvanced Driver-Assistance Systemsの略である。
本実施形態においては、周辺監視センサ13は、移動物体および静止物体を検知するための構成として、フロントカメラ131とレーダセンサ132とを有している。フロントカメラ131は、自車両の前方および前側方の画像を撮影するように設けられている。フロントカメラ131は、デジタルカメラ装置であって、CCDあるいはCMOS等の画像センサを備えている。CCDはCharge Coupled Deviceの略である。CMOSはComplementary MOSの略である。
レーダセンサ132は、レーダ波を送受信するように構成された、ミリ波レーダセンサ、サブミリ波レーダセンサ、またはレーザレーダセンサであって、自車両における車体の前面部に装着されている。レーダセンサ132は、反射点の、位置および相対速度に対応する信号を出力するように構成されている。「反射点」は、自車両の周囲に存在する物体の表面上における、レーダ波を反射したと推定される点である。「相対速度」は、反射点すなわちレーダ波を反射した物体の、自車両に対する相対速度である。
(ロケータ)
ロケータ14は、いわゆる複合測位により、自車両の高精度な位置情報等を取得するように構成されている。具体的には、ロケータ14は、GNSS受信器141と、慣性取得部142と、高精度地図DB143と、ロケータECU144とを有している。GNSSはGlobal Navigation Satellite Systemの略である。DBはデータベースの略である。ECUはElectronic Control Unitの略である。「高精度な位置情報」とは、例えば、レベル2以上の運転自動化レベルに利用可能な程度、具体的には、誤差が10cm未満となるような程度の位置精度を有する位置情報である。
GNSS受信器141は、複数の測位衛星すなわち人工衛星から送信された測位信号を受信するように設けられている。本実施形態においては、GNSS受信器141は、GPS、QZSS、GLONASS、Galileo、IRNSS、北斗衛星導航系統、等の衛星測位システムのうちの少なくとも1つにおける測位衛星からの測位信号を受信可能に構成されている。GPSはGlobal Positioning Systemの略である。QZSSはQuasi-Zenith Satellite Systemの略である。GLONASSはGlobal Navigation Satellite Systemの略である。IRNSSはIndian Regional Navigation Satellite Systemの略である。
慣性取得部142は、自車両に作用する加速度および角速度を取得するように構成されている。本実施形態においては、慣性取得部142は、ロケータ14における箱状の筐体内に内蔵された3軸ジャイロセンサおよび3軸加速度センサとして設けられている。
高精度地図DB143は、高精度地図情報を書き換え可能に記憶するとともに電源遮断中にも記憶内容を保持するように、不揮発性リライタブルメモリを主体に構成されている。不揮発性リライタブルメモリは、例えば、ハードディスク、EEPROM、フラッシュROM、等である。EEPROMはElectronically Erasable and Programmable ROMの略である。ROMはRead Only Memoryの略である。高精度地図情報は、高精度地図データとも称され得る。高精度地図情報には、数メートル程度の位置誤差に対応する従来のカーナビゲーションシステムにて用いられていた地図情報よりも、高精度な地図情報が含まれている。具体的には、高精度地図DB143には、ADASIS規格等の所定の規格に準拠して、三次元道路形状情報、レーン数情報、規制情報、等の、レベル2以上の運転自動化レベルに利用可能な情報が格納されている。ADASISはAdvanced Driver Assistance Systems Interface Specificationの略である。
ロケータECU144は、図示しないCPU、ROM、RAM、入出力インタフェース、等を備えた、いわゆる車載マイクロコンピュータとして構成されている。CPUはCentral Processing Unitの略である。RAMはRandom Access Memoryの略である。ロケータECU144は、GNSS受信器141にて受信した測位信号、慣性取得部142にて取得した加速度および角速度、車両状態センサ11から取得した車速、等に基づいて、自車両の位置および方角等を逐次決定するように構成されている。そして、ロケータ14は、ロケータECU144による位置および方角等の決定結果を、車載通信回線10Aを介して、ナビゲーション装置16、運転制御装置18、およびHMI制御装置25等の各部に提供可能に設けられている。
(DCM)
DCM15は、車載通信モジュールであって、LTEあるいは5G等の通信規格に準拠した無線通信により、自車両周囲の基地局との間で情報通信可能に設けられている。LTEはLong Term Evolutionの略である。5Gは5th Generationの略である。
具体的には、例えば、DCM15は、不図示のクラウド上のプローブサーバから最新の高精度地図情報を取得するように構成されている。また、DCM15は、取得した最新の高精度地図情報を、ロケータECU144と連携することで、高精度地図DB143に格納するようになっている。さらに、DCM15は、渋滞情報等の交通情報を、上記のプローブサーバおよび/または所定のデータベースから取得するように構成されている。「渋滞情報」は、渋滞区間の位置および長さを含む。具体的には、渋滞情報は、渋滞先頭位置、渋滞最後尾位置、概算渋滞距離、概算渋滞時間、等を含む。交通情報は「道路交通情報」とも称される。
(ナビゲーション装置)
ナビゲーション装置16は、自車両の現在位置から所定の目的地までの走行予定経路を取得するように設けられている。本実施形態においては、ナビゲーション装置16は、自車両のドライバ等により設定された目的地と、ロケータ14から取得した高精度地図情報と、ロケータ14から取得した自車両の位置情報および方角情報とに基づいて、走行予定経路を算出するように構成されている。また、ナビゲーション装置16は、走行予定経路の算出結果である経路情報を含む各種情報を、運転制御装置18およびHMI制御装置25等の各部に車載通信回線10Aを介して提供可能に設けられている。すなわち、ナビゲーション装置16は、地図表示および経路表示等のためナビゲーション画面を、HMI装置20に表示させるようになっている。
(ドライバ状態検出部)
ドライバ状態検出部17は、ドライバ状態を検出するように設けられている。「ドライバ状態」は、自車両における運転席2に搭乗しているドライバの状態であり、視線方向、姿勢、挙動、心理状態、等のうちの少なくともいずれか1つを含む。また、ドライバ状態検出部17は、ドライバ状態の検出結果を、運転制御装置18およびHMI制御装置25等の各部に車載通信回線10Aを介して提供可能に設けられている。
本実施形態においては、ドライバ状態検出部17は、視線検出部171と、姿勢検出部172と、操作状態検出部173とを備えている。視線検出部171は、CCDあるいはCMOS等の画像センサを備えた車内カメラによる撮影画像に基づく画像認識により、ドライバの顔の向きおよび/または視線方向を検出するように設けられている。すなわち、視線検出部171は、ドライバの脇見運転等に関する警告等を行うDSM装置と同様の構成を有している。DSMはDriver Status Monitorの略である。
姿勢検出部172は、上記の車内カメラ、および/または、運転席2の内部に備えられた着座圧力センサ等の物理量センサを用いて、運転席2におけるドライバの着座姿勢を検出するように設けられている。操作状態検出部173は、ドライバの足のアクセルペダル3、ブレーキペダル4、およびフットレスト5への載置状態、ならびに、アクセルペダル3およびブレーキペダル4の操作状態を検出するように設けられている。また、操作状態検出部173は、ドライバによる、ステアリングホイール8の把持状態および操作状態を検出するように設けられている。
(運転制御装置)
運転制御装置18は、運転自動化システムを制御する「自動運転ECU」あるいは「運転支援ECU」としての構成を有している。すなわち、運転制御装置18は、車両状態センサ11、外界状態センサ12、周辺監視センサ13、ロケータ14、等から取得した信号および情報に基づいて、自車両の運転を制御するように設けられている。具体的には、運転制御装置18は、所定の運転制御動作を実行するように構成されている。「所定の運転制御動作」は、本実施形態においては、レベル1~3に対応する、車両制御動作すなわち動的運転タスク実行動作を含む。
本実施形態においては、運転制御装置18は、自車両における運転自動化レベルを、レベル0~3のうちのいずれかに設定可能に構成されている。また、運転制御装置18は、高速自動運転の実行条件が成立した場合に高速自動運転を実行するとともに、渋滞自動運転の実行条件が成立した場合に渋滞自動運転を実行するように構成されている。
運転制御装置18は、図示しないCPU、ROM、不揮発性リライタブルメモリ、RAM、入出力インタフェース、等を備えた、いわゆる車載マイクロコンピュータとしての構成を有している。具体的には、運転制御装置18は、車載マイクロコンピュータ上にて実現される機能構成あるいは機能部として、走行状況取得部181と、自動化レベル決定部182と、車両制御部183とを有している。
走行状況取得部181は、自車両の走行状況を取得するように設けられている。「走行状況」には、車両状態センサ11、外界状態センサ12、周辺監視センサ13、等によって検出あるいは取得される、運転状態および運転環境が含まれる。また、走行状況取得部181は、自車両の現在位置およびその周辺の高精度地図情報と、自車両が現在走行中の道路における交通情報とを取得するように設けられている。すなわち、走行状況取得部181は、レベル1~3に対応する車両制御に必要な情報を、車両状態センサ11、外界状態センサ12、周辺監視センサ13、ロケータ14、DCM15、等から取得するようになっている。
自動化レベル決定部182は、走行状況取得部181により取得した走行状況に基づいて、運転自動化レベルを決定するように設けられている。そして、運転制御装置18は、自動化レベル決定部182による運転自動化レベルの決定結果を、HMI制御装置25等の各部に車載通信回線10Aを介して提供可能に構成されている。
車両制御部183は、運転自動化レベルに応じた車両運動制御サブタスクを実行するように設けられている。すなわち、車両制御部183は、自動化レベル決定部182により決定した運転自動化レベルに基づいて、自車両における縦方向および/または横方向の運動制御を実行するようになっている。
(HMI装置)
HMI装置20は、ダッシュボード7に設けられた表示デバイス(例えば、メータパネル21、CID装置23、等)を備えた、いわゆる「ダッシュボードHMI」としての構成を有している。また、HMI装置20は、音声による情報提示を実行するための不図示のスピーカを備えている。
メータパネル21は、メータ211と、メータディスプレイ212と、メータスイッチ213とを有している。メータ211は、自車両の車速、エンジン回転数、冷却水温、燃料残量、等のメータ表示を実行するように設けられている。
メータディスプレイ212は、メータパネル21の車幅方向における中央部に設けられた情報表示部あるいは情報表示領域であって、日時、外気温、走行距離、ラジオ受信局、等の各種情報表示を実行可能に設けられている。本実施形態においては、メータディスプレイ212は、略矩形状の表示可能領域を備えた、液晶ディスプレイまたは有機ELディスプレイ等のフラットパネルディスプレイとしての構成を有している。ELはエレクトロ ルミネッセンスの略である。メータスイッチ213は、メータ211および/またはメータディスプレイ212における表示状態あるいは表示内容に関する各種操作、例えば、トリップメータのリセット操作等を受け付け可能に設けられている。
HUD装置22は、ドライバの前方に文字および/または記号を含む表示画像を表示するように設けられている。本実施形態においては、HUD装置22は、表示画像を構成する表示画像光をフロントウィンドシールド9における所定の投影範囲PAに投影することで、表示画像をAR表示するように構成されている。ARはAugmented Realityの略である。
CID装置23は、ダッシュボード7の車幅方向における略中央部に設けられている。CID装置23は、ナビゲーション装置16による地図表示および経路表示等のためナビゲーション画面を表示可能に設けられている。また、CID装置23は、かかるナビゲーション画面とは異なる情報および内容も表示可能に設けられている。具体的には、CID装置23は、例えば、「コンフォート」、「ノーマル」、「スポーツ」、「サーキット」、等の走行モードに関連する表示および設定を実行可能に構成されている。
また、CID装置23は、自動運転中にドライバが利用可能なセカンドタスクに関連する表示を実行可能に設けられている。具体的には、例えば、CID装置23は、セカンドタスクとしての映像コンテンツ視聴のための画面表示を実行可能に構成されている。
CID装置23は、CIDディスプレイ231と、入力デバイス232と、CIDスイッチ233とを有している。CIDディスプレイ231は、ダッシュボード7の車幅方向における略中央位置、すなわち、運転席2と助手席との間の位置にて、少なくともドライバから視認可能に設けられている。CIDディスプレイ231は、液晶ディスプレイまたは有機ELディスプレイ等のフラットパネルディスプレイとしての構成を有している。CIDディスプレイ231は、セカンドタスクが映像コンテンツの視聴である場合に、かかる映像コンテンツにおける映像を画像表示するように構成されている。
入力デバイス232は、透明なタッチパネルであって、CIDディスプレイ231の上に重ねられることでCIDディスプレイ231を覆うように設けられている。すなわち、入力デバイス232は、CIDディスプレイ231における表示をドライバ等に視認させつつ、かかる表示に対応したドライバ等による入力操作を受け付け可能に構成されている。CIDスイッチ233は、CIDディスプレイ231および入力デバイス232の周囲に配置された複数の手動操作スイッチを有している。
HMI装置20は、メータスイッチ213およびCIDスイッチ233に加えて、ステアリングスイッチ等を有している。ステアリングスイッチは、ステアリングホイール8におけるスポーク部等に設けられている。HMI装置20は、ドライバによる入力操作の受け付け結果を、車載通信回線10Aを介して、運転制御装置18等の各部に提供可能に設けられている。
端末装置24は、ドライバを含む自車両乗員によって自車両内に持ち込まれた、携帯型あるいはウェアラブル型の電子機器であって、例えば、携帯電話、タブレット端末、ノートパソコン、携帯ゲーム機、スマートウォッチ、等である。端末装置24は、自車両に持ち込まれた場合に、Bluetooth(登録商標)、TransferJet(登録商標)、等の近距離無線通信によりHMI制御装置25と情報通信可能に接続されるようになっている。すなわち、セカンドタスクには、ドライバによる端末装置24の操作も含まれる。
(HMI制御装置)
HMI制御装置25は、HMI装置20に含まれるメータパネル21等のHMIデバイスの動作を制御する、HCUとして設けられている。HCUはHMI Control Unitの略である。
HMI制御装置25は、図示しないCPU、ROM、不揮発性リライタブルメモリ、RAM、入出力インタフェース、等を備えた、いわゆる車載マイクロコンピュータとしての構成を有している。具体的には、HMI制御装置25は、マイクロコンピュータ上にて実現される、以下の機能構成あるいは機能部を有している。すなわち、HMI制御装置25は、車両情報取得部251と、運転環境取得部252と、自動化レベル取得部253と、加減速状況取得部254と、ドライバ状態取得部255と、操作受付部256と、表示制御部257とを有している。
車両情報取得部251は、自車両の運転状態に関連する情報を取得するように設けられている。具体的には、車両情報取得部251は、車両状態センサ11によって検出あるいは取得される、自車両の運転状態に関連する諸量を、車両状態センサ11から取得するようになっている。
運転環境取得部252は、自車両の運転環境に関連する情報を取得するように設けられている。具体的には、運転環境取得部252は、外界状態センサ12によって検出あるいは取得された、自車両周囲の自然環境に関連する諸量を、外界状態センサ12から取得するようになっている。また、運転環境取得部252は、周辺監視センサ13による物体検知結果を、周辺監視センサ13から取得するようになっている。さらに、運転環境取得部252は、自車両の現在位置と、走行予定経路と、走行予定経路における渋滞情報を含む交通情報とを、ロケータ14およびナビゲーション装置16から取得するようになっている。
自動化レベル取得部253は、運転制御装置18における運転自動化レベルの決定結果を取得するように設けられている。具体的には、自動化レベル取得部253は、自動化レベル決定部182による運転自動化レベルの決定結果を、運転制御装置18から取得するようになっている。
加減速状況取得部254は、自動運転中の自車両における加減速制御の実行状況である加減速状況を取得するように設けられている。具体的には、加減速状況取得部254は、加減速制御の実行あるいは実行予定に関する情報を、運転制御装置18から受信するようになっている。なお、「実行」と「実行予定」との相違は、実行中であるか実行前であるかである。加減速制御の実行あるいは実行予定に関する情報は、例えば、加減速制御の理由、加減速度合、加減速制御の実行開始までの時間、加減速制御の実行終了までの時間、等である。
ドライバ状態取得部255は、ドライバ状態を取得するように設けられている。ドライバ状態取得部255による取得対象としてのドライバ状態には、セカンドタスク実行状態が含まれる。「セカンドタスク実行状態」は、セカンドタスクの実行の有無、セカンドタスク実行中のHMIデバイス、セカンドタスクコンテンツの種類、等を含む。具体的には、ドライバ状態取得部255は、ドライバ状態検出部17によるドライバ状態の検出結果を、ドライバ状態検出部17から取得するようになっている。また、ドライバ状態取得部255は、自動運転中における、CID装置23および端末装置24によるセカンドタスク実行状態をモニターするようになっている。
操作受付部256は、ドライバを含む自車両乗員による、HMI装置20における入力操作を受け付けるように設けられている。具体的には、操作受付部256は、表示制御部257により提示された各種情報に対応する、メータスイッチ213、入力デバイス232、CIDスイッチ233、端末装置24、等による入力操作の受け付けの状態あるいは結果をモニターするようになっている。
表示制御部257は、HMI装置20による画像および/または音声の出力動作を制御するように設けられている。すなわち、表示制御部257は、HMIデバイスにおける画像出力および音声出力を制御することで、ドライバを含む自車両乗員に対する各種情報の提示を行うようになっている。また、表示制御部257は、CID装置23を用いて実行されるセカンドタスクにおける画像表示および/または音声出力を制御するようになっている。さらに、表示制御部257は、ドライバが端末装置24を用いたセカンドタスクを実行中に、当該端末装置24と連携することで、当該端末装置24にて各種情報の提示を行うようになっている。
本実施形態においては、表示制御部257は、加減速情報提示部258とセカンドタスク制御部259とを有している。
加減速情報提示部258は、加減速状況に関する情報である加減速情報を、当該加減速状況に応じた態様で提示するように設けられている。具体的には、加減速情報提示部258は、加減速情報としての実行情報と理由情報とを提示するようになっている。実行情報は、加減速制御の実行または実行予定に対応する情報である。実行予定の加減速制御の実行開始までの時間は、実行情報に含まれる。理由情報は、加減速制御の理由あるいは原因に対応する情報である。
加減速制御の理由あるいは原因は、例えば、他車両の割り込み、合流地点、制限速度変更、前走車減速、渋滞区間突入、渋滞解消、路上障害物検知、緊急車両接近、等である。「他車両の割り込み」は、自車両が走行中の車線である自車線における自車両の前方に、隣接車線に存在する他車両が車線変更してくることである。
加減速情報提示部258は、乗員により視認可能に画像表示する表示デバイスであるCID装置23にてセカンドタスクを実行中の場合、かかるCID装置23における加減速情報の表示態様を加減速状況に応じて設定するようになっている。具体的には、加減速情報提示部258は、加減速制御における加減速の度合が大きくなるにしたがって、加減速情報をより目立つようにCID装置23に表示させるようになっている。
セカンドタスク制御部259は、自動運転中のHMI装置20におけるセカンドタスクの実行状態を制御するように設けられている。本実施形態においては、セカンドタスク制御部259は、セカンドタスクの実行を、加減速状況に応じて制限するようになっている。具体的には、セカンドタスク制御部259は、加減速制御における加減速の度合が大きくなるにしたがって、セカンドタスクの実行をより制限するようになっている。そして、セカンドタスク制御部259は、加減速状況が急加減速制御の実行または実行予定である場合、セカンドタスクの実行を停止するようになっている。
(第一実施形態:動作概要)
以下、本実施形態に係るHMI制御装置25の動作、ならびに、これにより実行される制御方法および制御プログラムの概要について説明する。
運転制御装置18において、走行状況取得部181は、自車両の走行状況を含む各種情報を取得する。具体的には、走行状況取得部181は、自車両の運転状態および運転環境を、車両状態センサ11、外界状態センサ12、および周辺監視センサ13から取得する。また、走行状況取得部181は、自車両の現在位置およびその周辺の高精度地図情報と、走行予定経路と、走行予定経路における交通情報とを、ロケータ14およびナビゲーション装置16から取得する。
自動化レベル決定部182は、走行状況取得部181により取得した走行状況等に基づいて、車載システム10により実行する運転自動化レベルを決定する。車両制御部183は、実行中の運転自動化レベルに応じて、車速制御、操舵制御、等を実行する。
HMI装置20は、ドライバを含む自車両乗員に、実行中あるいはこれから実行予定の運転自動化レベルを、画像表示および/または音声で通知する。具体的には、例えば、HMI装置20は、現在実行中の運転自動化レベルを、メータディスプレイ212等にて表示する。また、自動運転が可能となった場合、HMI装置20は、自動運転が実行可能となったこと、および、自動運転開始の承認操作を受け付けるための承認操作指示を、メータディスプレイ212等にて表示する。ドライバによる承認操作が受け付けられることで、自動運転が開始される。
自動運転中は、車載システム10による運転交代要求あるいは運転介入要求があるまで、ドライバには自車両周辺の監視等を行う義務はない。また、自動運転中は、運転交代要求あるいは運転介入要求があるまで、ドライバによる操舵制御操作および加減速制御操作は原則として要求されない。このため、自動運転中は、車載システム10による運転交代要求あるいは運転介入要求があるまで、ドライバの意識が自車両の運転状態および運転環境から離れても差し支えない。
よって、自動運転が安定的に実行されている期間において、ドライバは、セカンドタスクを自由に実行することが可能となる。「自動運転が安定的に実行されている期間」とは、例えば、自動運転障害事由がなく、且つ、これに伴う、急加減速等の緊急時車両制御、運転交代要求、および運転介入要求がない期間をいう。「自動運転障害事由」は、例えば、限定領域の終了、路上障害物等の交通障害の検知、等である。
図3は、一典型例として、高速自動運転が安定的に実行されている期間に、セカンドタスクとしてCID装置23による映像コンテンツの視聴を実行中の、CIDディスプレイ231における表示例を示す。この場合、表示制御部257すなわちセカンドタスク制御部259は、CIDディスプレイ231における画像表示可能な画面領域Dの大部分にて、映像コンテンツの映像画面であるセカンドタスク画面DAを表示させる。具体的には、例えば、セカンドタスク制御部259は、セカンドタスク画面DAの表示サイズを、画面領域Dの幅(すなわち水平方向寸法)とほぼ同幅、且つ、画面領域Dの高さ(すなわち上下方向寸法)の80~90%程度の高さに設定する。このように、画面領域Dのほぼ全幅を占めるようなセカンドタスク画面DAの最大表示サイズを、以下「通常サイズ」と称する。
一方、表示制御部257は、画面領域Dにおけるセカンドタスク画面DAの上方にて、運転情報表示DBを表示させる。運転情報表示DBは、運転自動化レベルの実行状態あるいは実行予定等の、自車両の運転状態に関する各種情報の表示を含む。この場合、表示制御部257は、運転情報表示DBの表示サイズを、画面領域Dにおけるセカンドタスク画面DA以外の領域のほぼ全面を占めるように設定する。具体的には、例えば、この場合の運転情報表示DBの表示サイズは、画面領域Dの幅の90%程度の幅、且つ、画面領域Dの高さの10~20%程度の高さに設定される。
(加減速制御時:緩)
例えば、自車線における自車両の前走車の減速に伴い、自車両が緩やかに減速する場合がある。このような緩やかな速度変化については、乗員を不用意に驚かせる可能性は低く、セカンドタスク利用を制限してまでわざわざ乗員への情報提示を行う必要性も低い。そこで、この場合、表示制御部257は、CIDディスプレイ231には、加減速情報を表示させない。また、セカンドタスク制御部259は、セカンドタスク画面DAの表示サイズを、図3に示された通常サイズから縮小させない。この場合、セカンドタスク制御部259は、セカンドタスクを通常通り実行し、特段のセカンドタスク実行制限は行わない。
一方、ドライバは、セカンドタスク実行中であっても、前方確認あるいは運転状態確認を行う可能性がある。そこで、表示制御部257すなわち加減速情報提示部258は、図4に示されているように、メータディスプレイ212にて「前方低速車あり 減速します」という加減速情報表示DCを表示させる。かかる加減速情報表示DCは、「減速します」という実行情報の表示と、「前方低速車あり」という理由情報の表示とを含む。また、加減速情報提示部258は、かかる加減速情報を、HUD装置22にも表示させる。
(加減速制御時:中)
図5は、他の一典型例として、高速自動運転可能な特定道路区間にて渋滞自動運転が安定的に実行されている期間に、セカンドタスクとしてCID装置23による映像コンテンツの視聴を実行中の、CIDディスプレイ231における表示例を示す。この場合も、セカンドタスク制御部259は、CIDディスプレイ231にてセカンドタスク画面DAを通常サイズで表示させる。この場合、セカンドタスクは、通常通り実行され、特段の実行制限は受けない。
その後、渋滞が解消すると、運転制御装置18は、渋滞自動運転を終了して、運転自動化レベルを渋滞自動運転から高速自動運転に移行させる。かかる運転自動化レベルの移行に伴い、運転制御装置18は、自車両にて速度回復のための加速制御を実行する。このときの速度変化の度合は、上記のような前走車の減速に伴う緩やかな減速の例よりは若干大きいものの、ドライバに大きな不安感あるいは大きな驚きを与える程度までは大きくない。但し、セカンドタスクに意識が集中しているドライバが、少しの不安を感じたり少し驚いたりする可能性はある。
そこで、このように加減速度合が中程度である場合、加減速情報提示部258は、図6に示されているように、CIDディスプレイ231にて加減速情報を運転情報表示DBとして表示させる。これにより、ドライバを含む乗員への注意喚起が良好になされるとともに、加減速によって乗員に不安感あるいは不快感を可及的に与えないようにすることが可能となる。
具体的には、図6の例においては、加減速情報提示部258は、画面領域Dにおけるセカンドタスク画面DAの上方にて、「渋滞解消 間もなく速度回復します」という加減速情報を表示させる。かかる加減速情報は、「間もなく速度回復します」という実行情報と、「渋滞解消」という理由情報とを含む。なお、かかる加減速情報は、図4の例と同様に、メータディスプレイ212およびHUD装置22によっても表示される。
また、加減速情報提示部258は、タイマー表示DDを、CIDディスプレイ231にて運転情報表示DBとして表示させる。タイマー表示DDは、加減速情報として実行予告された加減速制御が開始されるまでの待ち時間の経過を、容易に視覚的に把握できるように表示するグラフィック表示である。すなわち、タイマー表示DDは、加減速制御の実行開始までの時間を提示するための情報表示であって、加減速制御開始時刻よりも所定時間前に表示開始され、時間経過とともに表示態様が変更するように表示される。図6は、タイマー表示DDとして、横方向に配列した10個のブロックにおける表示色および/または表示輝度が1秒毎に1個ずつ変化する、10秒計の表示例を示す。
加減速度合が中程度である場合、セカンドタスク制御部259は、セカンドタスク画面DAの表示サイズを、通常サイズから若干(例えば10%程度)縮小する。一方、加減速情報提示部258は、運転情報表示DBおよびタイマー表示DDの視認性を向上するため、運転情報表示DBの高さを若干(例えば10%程度)拡大する。
例えば、路肩の非常停車帯に停車車両が存在することで自車両が減速する場合があり得る。この場合、渋滞解消による速度回復時よりも比較的大きな度合の減速が生じ得る。そこで、この場合、図7に示されているように、セカンドタスク制御部259は、セカンドタスク画面DAの表示サイズを、通常サイズから所定程度(例えば30%程度)縮小する。また、加減速情報提示部258は、「あとXX秒後に減速します」という加減速情報とタイマー表示DDとを有する運転情報表示DBを、画面領域Dにて表示させる。さらに、加減速情報提示部258は、かかる運転情報表示DBとセカンドタスク画面DAとの間にて、「停車帯車両あり 前方注意!」という理由情報を示す加減速情報表示DCを表示させる。
(加減速制御時:急)
例えば、高速自動運転中の自車両の前方路面にて、先行する貨物車両からの落下物等の障害物を検出する場合があり得る。この場合、緊急ブレーキによる急減速が生じ得るため、かかる急減速を乗員に確実に認識させる必要がある。
そこで、この場合、セカンドタスク制御部259は、セカンドタスクの実行を停止する。これにより、図3の例にて示されていたセカンドタスク画面DAは、図8に示されているように、CIDディスプレイ231における画面領域Dから消去される。一方、加減速情報提示部258は、加減速情報表示DCを、CIDディスプレイ231における画面領域Dの大部分にて表示させる。
図8の例においては、加減速情報表示DCは、「緊急ブレーキ!」および「あとXX秒後に減速します」という実行情報の表示を含む。また、加減速情報表示DCは、「落下物を検知」というテキスト表示と前方落下物を示すグラフィック表示とからなる、理由情報の表示を含む。さらに、加減速情報表示DCは、横方向に配列した5個のブロックにおける表示色および/または表示輝度が1秒毎に1個ずつ変化する5秒計のタイマー表示DDを含む。
(動作例)
図9のフローチャートは、HMI制御装置25の一動作例、すなわち、HMI制御装置25のCPUによって実行されるHMI制御方法およびHMI制御プログラムの一具体例を示す。なお、図示されたフローチャートにおいて、「S」は「ステップ」の略記である。以下、HMI制御装置25のCPUを、単に「CPU」と略称する。また、本実施形態に係る装置構成、制御方法、および制御プログラムを、以下単に「本実施形態」と総称することがある。
CPUは、図9に示された制御ルーチンを、所定時間間隔で繰り返し起動する。かかるルーチンが起動されると、最初に、ステップ901にて、CPUは、現在自動運転中であるか否かを判定する。
現在自動運転中ではない場合(すなわちステップ901=NO)、CPUは、ステップ902以降の処理を全てスキップして、本ルーチンを一旦終了する。一方、現在自動運転中である場合(すなわちステップ901=YES)、CPUは、処理をステップ902以降に進行させる。
ステップ902にて、CPUは、現在セカンドタスクを実行中であるか否かを判定する。現在セカンドタスクを実行中ではない場合(すなわちステップ902=NO)、CPUは、ステップ903以降の処理を全てスキップして、本ルーチンを一旦終了する。
現在セカンドタスクを実行中である場合(すなわちステップ902=YES)、CPUは、処理をステップ903に進行させる。ステップ903にて、CPUは、現在加減速中であるか否かを判定する。
現在加減速中である場合(すなわちステップ903=YES)、CPUは、処理をステップ904に進行させる。ステップ904にて、CPUは、現在実行中の加減速制御における制御量を車両制御部183から取得し、取得値を変数Rの値として設定する。
現在定速走行中であって加減速中ではない場合(すなわちステップ903=NO)、CPUは、処理をステップ905に進行させる。ステップ905にて、CPUは、加減速制御が実行予定であるか否かを判定する。加減速制御が実行予定ではない場合(すなわちステップ905=NO)、CPUは、これ以降の処理を全てスキップして、本ルーチンを一旦終了する。
加減速制御が実行予定である場合(すなわちステップ905=YES)、CPUは、処理をステップ906に進行させる。ステップ906にて、CPUは、制御予定量すなわち現在実行予定の加減速制御における制御量を車両制御部183から取得し、取得値を変数Rの値として設定する。
CPUは、ステップ904またはステップ906にて変数Rの値を設定した後、処理をステップ907に進行させる。ステップ907にて、CPUは、変数Rと所定値RHとを比較する。
R≦RHである場合(すなわちステップ907=NO)、CPUは、処理をステップ908に進行させる。ステップ908にて、CPUは、変数Rと所定値RMとを比較する。RM<RHである。
R≦RMである場合(すなわちステップ908=NO)、実行中あるいは実行予定の加減速制御における制御量は小さく、これによる加減速は緩やかである。そこで、この場合、CPUは、処理をステップ909に進行させる。ステップ909にて、CPUは、セカンドタスクの実行を制限せず、自動運転が安定的に実行されている状態における通常通りのセカンドタスク実行を許可する。
RM<R≦RHである場合(すなわちステップ908=YES)、実行中あるいは実行予定の加減速制御における制御量は中程度である。そこで、この場合、CPUは、処理をステップ910に進行させる。ステップ910にて、CPUは、セカンドタスクの実行を所定程度制限する。すなわち、CPUは、変数Rの値に応じてセカンドタスク画面DAの表示サイズを縮小する。これに併せて、CPUは、セカンドタスク画面DAを有する画面領域Dにて実行情報および理由情報を表示させるとともに、必要に応じて音声による情報提示を実行する。
R>RHである場合(すなわちステップ907=YES)、急加減速を実行中あるいは実行予定である。そこで、この場合、CPUは、処理をステップ911に進行させる。ステップ911にて、CPUは、セカンドタスクの実行を停止する。これに併せて、CPUは、画面領域Dにて実行情報および理由情報を表示させるとともに、必要に応じて音声による情報提示を実行する。
加減速状況に応じてステップ909~ステップ911のうちのいずれかの処理を実行した後、CPUは、処理をステップ912に進行させる。ステップ912にて、CPUは、メータディスプレイ212にて実行情報および理由情報を表示させる。その後、CPUは、本ルーチンを一旦終了する。
(第一実施形態:総括)
このように、本実施形態は、自動運転中の自車両における加減速制御の実行状況である加減速状況に関する加減速情報を、当該加減速状況に応じた態様で提示する。「態様」は、画面領域Dにおける、位置、サイズ、表示タイミング、表示色、表示輝度、セカンドタスク画面DAとのサイズ大小関係、セカンドタスク画面DAとの位置関係、等の複数の要素のうちの、少なくとも1つを含む。
これにより、ドライバ等の乗員への加減速情報の提示が、加減速度合等の加減速制御の実行状況に応じて適切に行われ得る。よって、自車両乗員の意識が自車両の運転状態および運転環境から離れている可能性がある自動運転中にて、自車両乗員に対し、不安感あるいは不快感を与える可能性がある加減速制御に関する情報を効果的に提示することができる。したがって、本実施形態によれば、自動運転中に実行される加減速によって乗員に不安感あるいは不快感を可及的に与えないようにすることが可能となる。
また、本実施形態は、セカンドタスクの実行を、加減速状況に応じて制限する。すなわち、本実施形態は、自動運転中に加減速制御が実行される場合に、セカンドタスクの実行制限を行うか否か、および、セカンドタスク実行制限の程度を、加減速状況に応じて判定する。具体的には、本実施形態は、加減速状況が急加減速制御の実行または実行予定である場合、セカンドタスクの実行を停止する。
本実施形態によれば、セカンドタスクの実行が、加減速状況に応じて適切に制限される。これにより、セカンドタスク実行中の自車両乗員に対し、不安感あるいは不快感を与える可能性がある加減速制御に関する情報を効果的に提示することができる。また、セカンドタスクによる利便性と、加減速に関する情報提示の必要性との調和を図ることが可能となる。具体的には、例えば、緩やかあるいは比較的小程度の加減速制御が実行される場合、セカンドタスク実行を可及的に阻害しない範囲で、加減速に関する情報を乗員に提示することができる。一方、例えば、中程度あるいは急な加減速制御が実行される場合、セカンドタスクにより注意散漫となっている乗員に対する注意喚起を効果的に行うことができる。
本実施形態は、CID装置23にてセカンドタスクを実行中の場合、CID装置23における加減速情報の表示態様を加減速状況に応じて設定する。これにより、セカンドタスク画面DAを含む画面領域Dを視認中のドライバ等の自車両乗員に対する、加減速制御に関する情報提示を、加減速状況に応じて適切に行うことが可能となる。
本実施形態は、加減速情報として、加減速制御の実行または実行予定に対応する実行情報と、加減速制御の理由に対応する理由情報とを提示する。実行情報は、例えば、加減速制御の実行開始までの時間を含む。これにより、自動運転中に実行される加減速によって乗員に不安感あるいは不快感を可及的に与えないような、効果的な情報提示を実行することが可能となる。
(第二実施形態)
以下、第二実施形態について、図10~図13を参照しつつ説明する。なお、以下の第二実施形態の説明においては、主として、上記第一実施形態と異なる部分について説明する。また、第一実施形態と第二実施形態とにおいて、互いに同一または均等である部分には、同一符号が付されている。したがって、以下の第二実施形態の説明において、第一実施形態と同一の符号を有する構成要素に関しては、技術的矛盾または特段の追加説明なき限り、上記第一実施形態における説明が適宜援用され得る。後述の第三実施形態等においても同様である。
本実施形態に係る車載システム10の構成は、上記第一実施形態と同様である。すなわち、本実施形態に係る車両1および車載システム10は、図1および図2に示された構成を有している。但し、本実施形態は、動作態様およびこれに対応する機能構成が上記第一実施形態とは若干異なる。
乗員に対する情報提示は、可及的に効果的に行うことが好ましい。この点、一度に提示される情報が多すぎると、自車両の運転状態あるいは運転環境に対する乗員の正しい認識形成が、かえって妨げられる可能性がある。これに対し、必要最小限の情報を適時に提示することで、自車両の運転状態あるいは運転環境に対する乗員の認識が効果的に高まることが期待できる。
そこで、本実施形態においては、加減速情報提示部258は、実行情報と理由情報とを、異なるタイミングで提示する。図10~図12は、一例として、図6の例と同様の、渋滞自動運転の終了および高速自動運転への移行に伴い、自車両にて速度回復のための加速制御が実行される場合の、情報提示例すなわち表示例を示す。
自動運転中に実行される加減速によって乗員に不安感あるいは不快感を可及的に与えないようにするという観点では、乗員にとっては、加減速制御に際し、実行予定報知および実行報知の方が実行理由報知よりも重要であると想定される。そこで、本実施形態は、実行予定報知および実行報知である実行情報提示を、理由情報提示よりも先行させる。
具体的には、加減速情報提示部258は、速度回復制御実行開始前にて、図10に示されているように、「あとXX秒後に速度回復します」という実行情報を、運転情報表示DBとして表示する。これに併せて、加減速情報提示部258は、タイマー表示DDを表示する。なお、必要に応じて、音声による情報提示も実行される。具体的には、例えば、実行情報の表示開始時点である、速度回復制御実行開始の10秒前にて、「あと10秒後に速度回復します」という実行情報が音声出力され得る。
上記の運転情報表示DB内の実行情報表示における「XX」が10から1までカウントダウンされた後、速度回復制御が開始する。速度回復制御中は、加減速情報提示部258は、図11に示されているように、「あとXX秒間加速します」という実行情報を、運転情報表示DBとして表示する。これに併せて、加減速情報提示部258は、速度回復制御終了までの時間に対応するタイマー表示DDを表示する。
速度回復制御が終了すると、加減速情報提示部258は、速度回復制御の理由情報を、速度回復制御の終了という実行情報とともに提示する。具体的には、加減速情報提示部258は、図12に示されているように、運転情報表示DBとして「渋滞解消時の加速を終了しました」という文字情報を表示する。これに併せて、加減速情報提示部258は、「渋滞解消時の加速を終了しました」という音声情報を出力する。
図13のフローチャートは、本実施形態に対応する、HMI制御装置25の一動作例、すなわち、HMI制御方法およびHMI制御プログラムの一具体例を示す。すなわち、図13のフローチャートは、図9のフローチャートを一部変容したものである。
CPUは、図13に示された制御ルーチンを、所定時間間隔で繰り返し起動する。かかるルーチンが起動されると、最初に、ステップ1301にて、CPUは、現在自動運転中であるか否かを判定する。
現在自動運転中ではない場合(すなわちステップ1301=NO)、CPUは、ステップ1302以降の処理を全てスキップして、本ルーチンを一旦終了する。一方、現在自動運転中である場合(すなわちステップ1301=YES)、CPUは、処理をステップ1302以降に進行させる。
ステップ1302にて、CPUは、現在セカンドタスクを実行中であるか否かを判定する。現在セカンドタスクを実行中ではない場合(すなわちステップ1302=NO)、CPUは、ステップ1303以降の処理を全てスキップして、本ルーチンを一旦終了する。
現在セカンドタスクを実行中である場合(すなわちステップ1302=YES)、CPUは、処理をステップ1303に進行させる。ステップ1303にて、CPUは、現在の状況が、加減速制御実行中であるか否かを判定する。加減速制御を実行中ではない場合(すなわちステップ1303=NO)、CPUは、処理をステップ1304に進行させる。
ステップ1304にて、CPUは、加減速制御が実行予定であるか否かを判定する。加減速制御が実行予定ではない場合(すなわちステップ1304=NO)、CPUは、処理をステップ1305に進行させる。ステップ1305にて、CPUは、現在の状況が、加減速制御の実行を終了した状況であるか否かを判定する。すなわち、CPUは、加減速制御の実行を終了した時点から所定時間経過したか否かを判定する。加減速制御の実行を終了した時点から所定時間経過する前は、ステップ1305における判定結果が「YES」となる。
ステップ1305における判定結果が「NO」である場合、現在の状況は、加減速制御実行中でもなく、加減速制御の実行を終了した状況でもなく、加減速制御が実行予定でもない。すなわち、現在の状況は、自動運転が安定的に実行されている状況である。そこで、この場合、CPUは、処理をステップ1306に進行させる。ステップ1306にて、CPUは、セカンドタスクの実行を制限せず、自動運転が安定的に実行されている状態における通常通りのセカンドタスク実行を許可する。その後、CPUは、本ルーチンを一旦終了する。
現在加減速中である場合(すなわちステップ1303=YES)、CPUは、処理をステップ1307に進行させる。ステップ1307にて、CPUは、現在実行中の加減速制御における制御量を車両制御部183から取得し、取得値を変数Rの値として設定する。
加減速制御が実行予定である場合(すなわちステップ1304=YES)、CPUは、処理をステップ1308に進行させる。ステップ1308にて、CPUは、制御予定量すなわち現在実行予定の加減速制御における制御量を車両制御部183から取得し、取得値を変数Rの値として設定する。
CPUは、ステップ1307またはステップ1308にて変数Rの値を設定した後、処理をステップ1309に進行させる。ステップ1309にて、CPUは、変数Rと所定値RHとを比較する。
R≦RHである場合(すなわちステップ1309=NO)、CPUは、処理をステップ1310に進行させる。ステップ1310にて、CPUは、変数Rと所定値RMとを比較する。
R≦RMである場合(すなわちステップ1310=NO)、CPUは、処理をステップ1311に進行させる。ステップ1311にて、CPUは、セカンドタスクの実行を制限せず、自動運転が安定的に実行されている状態における通常通りのセカンドタスク実行を許可する。
RM<R≦RHである場合(すなわちステップ1310=YES)、CPUは、処理をステップ1312に進行させる。ステップ1312にて、CPUは、セカンドタスクの実行を所定程度制限する。すなわち、CPUは、変数Rの値に応じてセカンドタスク画面DAの表示サイズを縮小する。これに併せて、CPUは、セカンドタスク画面DAを有する画面領域Dにて実行情報を表示するとともに、必要に応じて音声による情報提示を実行する。
R>RHである場合(すなわちステップ1309=YES)、CPUは、処理をステップ1313に進行させる。ステップ1313にて、CPUは、セカンドタスクの実行を停止する。これに併せて、CPUは、画面領域Dにて実行情報を表示するとともに、必要に応じて音声による情報提示を実行する。
加減速状況に応じてステップ1311~ステップ1313のうちのいずれかの処理を実行した後、CPUは、処理をステップ1314に進行させる。ステップ1314にて、CPUは、メータディスプレイ212にて実行情報および理由情報を表示する。その後、CPUは、本ルーチンを一旦終了する。
現在の状況が、加減速制御の実行を終了した状況である場合(すなわちステップ1305=YES)、CPUは、処理をステップ1315に進行させる。ステップ1315にて、CPUは、現在の状況が理由情報の報知タイミングであるか否かを判定する。理由情報の報知タイミングは、加減速制御の実行を終了した時点から所定の報知時間が経過するまでの期間である。
理由情報の報知タイミングである場合(すなわちステップ1315=YES)、CPUは、処理をステップ1316に進行させる。ステップ1316にて、CPUは、セカンドタスク画面DAを有する画面領域Dにて理由情報を表示するとともに、必要に応じて音声による情報提示を実行する。また、CPUは、ステップ1311と同様に、セカンドタスクの実行態様を通常態様に設定する。その後、CPUは、本ルーチンを一旦終了する。理由情報の報知タイミングが終了すると(すなわちステップ1315=NO)、CPUは、ステップ1316の処理をスキップして、本ルーチンを一旦終了する。
(第三実施形態)
以下、第三実施形態について、図14を参照しつつ説明する。本実施形態に係る車載システム10の構成は、上記第一実施形態および第二実施形態と同様である。本実施形態は、動作態様およびこれに対応する機能構成が上記第一実施形態および第二実施形態とは若干異なる。
ドライバによっては、比較的緩い加減速でも、不安に感じることがあり得る。ドライバの不安感等の心理状態は、視線方向の変化によって推測することが可能である。ドライバの視線方向は、ドライバ状態検出部17によって検出可能である。
そこで、本実施形態においては、加減速情報提示部258は、ドライバ状態取得部255にて取得したドライバ状態に応じた態様で、加減速情報を提示する。具体的には、例えば、加減速情報提示部258は、ドライバの不安感が大きいことが、ドライバ状態検出部17によって検知された場合、加減速度合に対応する変数Rと比較する所定値RHおよびRMを小さく設定する。視線方向変化と不安感との対応関係は、例えば、不揮発性リライタブルメモリにあらかじめ格納されたテーブルあるいはルックアップテーブルに記述され得る。なお、かかるテーブルあるいはルックアップテーブルは、実際の加減速に伴うドライバの視線方向変化の検知結果を学習することによって最適化され得る。
図14は、本実施形態に対応する、HMI制御装置25の一動作例、すなわち、HMI制御方法およびHMI制御プログラムの一具体例を示す。すなわち、図14は、本実施形態におけるHMI制御方法およびHMI制御プログラムを示すフローチャートの一部である。具体的には、図14に示されているステップ1401~ステップ1403の処理は、図9におけるステップ907の直前、あるいは、図13におけるステップ1309の直前に実行される。
ステップ1401にて、CPUは、ドライバ状態検出部17によるドライバ状態の検出結果を、ドライバ状態検出部17から取得する。その後、CPUは、処理をステップ1402に進行させる。
ステップ1402にて、CPUは、ステップ1401にて取得したドライバ状態に基づいて、調整値Kを決定する。0<K≦1である。その後、CPUは、処理をステップ1403に進行させる。
ステップ1403にて、CPUは、ROM等にあらかじめ記憶された所定値RHおよびRMを読み出してRAMに一時格納する。そして、CPUは、かかる一時格納値に調整値Kを乗じることで、所定値RHおよびRMを補正する。
(第四実施形態)
以下、第四実施形態について説明する。本実施形態に係る車載システム10の構成は、上記第一実施形態等と同様である。本実施形態は、動作態様およびこれに対応する機能構成が上記第一実施形態等とは若干異なる。
例えば、自車両が所定の道路形状を有する走行区間に接近したり進入したりする場合、および/または、かかる走行区間から離脱する場合に、加減速制御が実行され得る。あるいは、例えば、天候変化により、加減速制御が実行され得る。具体的には、例えば、降雨または降雪が検知されると、減速制御が実行され得る。あるいは、例えば、他車両との関係で、加減速制御が実行され得る。具体的には、例えば、他車両の割り込みの場合、後方から接近する緊急車両を追い越させる場合、等に、減速制御が実行され得る。一方、自車線における自車両の前走車が、加速したり隣接車線に車線変更したりした場合、加速制御が実行され得る。
上記のような加減速制御の理由は、道路形状と特定シーンとに分類することが可能である。「特定シーン」は、道路形状を含まない、自車両の走行環境(例えば、交通状況、天候、等。)である。加減速制御の理由が道路形状である場合、当該加減速制御は、比較的緩やかなものであり、またドライバ等の乗員にとって或る程度予測可能である。これに対し、加減速制御の理由が特定シーンである場合、当該加減速制御は、比較的急なものである可能性があり、また予測も困難である。
そこで、本実施形態においては、セカンドタスク制御部259は、加減速制御の理由の種別に応じて、セカンドタスクの実行制限態様を決定する。具体的には、セカンドタスク制御部259は、道路形状による加減速制御の場合よりも、特定シーンによる加減速制御の場合の方が、セカンドタスクの実行制限度合を大きくする。これにより、加減速制御の理由に応じた態様で、セカンドタスクが、より適切に制限され得る。
図15は、上記第一実施形態に対応する図9のフローチャートを、本実施形態に対応した態様に変容した場合の、変容部分およびその周辺部分を抜き出して示す。R>RHである場合(すなわち図9におけるステップ907=YES)、および、R≦RMである場合(すなわちステップ908=NO)における、その後の処理は、上記第一実施形態と同様である。
RM<R≦RHである場合、すなわち、実行中あるいは実行予定の加減速制御における制御量が中程度である場合(すなわちステップ908=YES)、CPUは、処理をステップ1501に進行させる。ステップ1501にて、CPUは、加減速制御の理由が特定シーンであるか道路形状であるかを判定する。
加減速制御の理由が特定シーンである場合(すなわちステップ1501=YES)、CPUは、処理をステップ1502に進行させる。例えば、上記の例示における、緊急車両の接近、他車両の割り込み、天候変化、等により自車両が減速する場合が、特定シーンによる加減速制御に該当する。ステップ1502にて、CPUは、セカンドタスクの実行制限度合すなわち実行制限量を「大」に設定する。具体的には、CPUは、セカンドタスク画面DAの表示サイズの縮小量あるいは縮小度合を大きくする。
加減速制御の理由が道路形状である場合(すなわちステップ1501=NO)、CPUは、処理をステップ1503に進行させる。例えば、自車両がカーブに進入する前に減速したり、カーブ通過後に加速したり、道路勾配に差し掛かることで加減速したりする場合が、道路形状による加減速制御に該当する。なお、上り勾配に差し掛かって減速した先行車両を先頭とする渋滞区間の最後尾に自車両が追いついた場合は、減速制御の直接的な理由が渋滞であるため、加減速制御の理由は「道路形状」ではなく「特定シーン」となる。ステップ1503にて、CPUは、セカンドタスクの実行制限量を「小」に設定する。具体的には、CPUは、セカンドタスク画面DAの表示サイズの縮小量あるいは縮小度合を小さくする。
このように、CPUは、加減速制御の理由の種別に応じて、ステップ1502またはステップ1503の処理を実行する。すなわち、CPUは、ステップ1502またはステップ1503の処理によって設定された制限態様に基づいて、セカンドタスクの実行を制限する。そして、CPUは、ステップ1504の処理を実行した後、処理をステップ912に進行させる。ステップ1504にて、CPUは、CID装置23における画面領域Dにて実行情報および理由情報を表示させるとともに、必要に応じて音声による情報提示を実行する。すなわち、ステップ1501~1504の処理内容は、図9におけるステップ910の処理内容の一具体例に対応する。
(第五実施形態)
以下、第五実施形態について説明する。本実施形態に係る車載システム10の構成は、上記第一実施形態等と同様である。本実施形態は、動作態様およびこれに対応する機能構成が上記第四実施形態とは若干異なる。
加減速制御の理由に関する上記の各具体例において、一般的に、加速制御の場合、ドライバ等の乗員にとって或る程度予測可能であり、加速度合いも比較的小さい。これに対し、減速制御の場合、ドライバ等の乗員にとって不意な減速がなされる可能性が高く、減速度合いも比較的大きくなり得る。このため、加速制御よりも減速制御の方が、ドライバ等の乗員に対する適切な注意喚起の必要性が高い。
そこで、本実施形態においては、加減速情報提示部258は、加減速状況に応じて、加減速情報の提示態様を決定する。具体的には、加減速情報提示部258は、加速時よりも減速時の方が、加減速情報をより強調した態様で提示する。また、セカンドタスク制御部259は、加減速制御が加速制御である場合よりも減速制御である場合の方が、セカンドタスクの実行制限度合を大きくする。
図16は、上記第一実施形態に対応する図9のフローチャートを、本実施形態に対応した態様に変容した場合の、変容部分およびその周辺部分を抜き出して示す。すなわち、図16は、図15の一部を変容したものである。
実行中あるいは実行予定の加減速制御における制御量が中程度である場合(すなわちステップ908=YES)、CPUは、処理をステップ1601に進行させる。ステップ1601にて、CPUは、加減速制御が加速制御である場合か減速制御である場合かを判定する。
減速シーンである場合(すなわちステップ1601=YES)、CPUは、ステップ1602およびステップ1603の処理を実行した後、処理をステップ912に進行させる。これに対し、加速シーンである場合(すなわちステップ1601=NO)、CPUは、ステップ1604およびステップ1605の処理を実行した後、処理をステップ912に進行させる。すなわち、ステップ1601~1605の処理内容は、図9におけるステップ910の処理内容の一具体例に対応する。
ステップ1602にて、CPUは、セカンドタスクの実行制限量を「大」に設定する。すなわち、ステップ1602の処理内容は、図15に示されたステップ1502の処理内容と同様である。ステップ1603にて、CPUは、CID装置23により、実行情報および理由情報を、強調された態様で提示する。具体的には、CPUは、CID装置23における画面領域Dにて、実行情報および理由情報を強調表示させる。また、CPUは、音声による警告あるいは報知を実行する。
ステップ1604にて、CPUは、セカンドタスクの実行制限量を「小」に設定する。すなわち、ステップ1604の処理内容は、図15に示されたステップ1503の処理内容と同様である。ステップ1605にて、CPUは、CID装置23により、実行情報および理由情報を、通常の態様で提示する。具体的には、CPUは、CID装置23における画面領域Dにて、実行情報および理由情報を通常表示させる。一方、CPUは、音声による警告あるいは報知は実行しない。
(第六実施形態)
以下、第六実施形態について説明する。本実施形態に係る車載システム10の構成は、上記第一実施形態等と同様である。本実施形態は、動作態様およびこれに対応する機能構成が上記第四実施形態等とは若干異なる。
例えば、着座姿勢が悪いドライバがセカンドタスクの実行により自車両周辺の監視を行っていない場合、当該ドライバは、不意の加減速により不快感を覚えることがあり得る。一方、自車両周辺を監視しているドライバは、上記のような特定シーンあるいは道路形状による加減速制御の可能性について或る程度予測可能であるため、不意の加減速により不快感を覚えるという事態は生じにくい。
そこで、本実施形態においては、セカンドタスク制御部259は、ドライバ状態に応じて、セカンドタスクの実行制限態様を決定する。具体的には、セカンドタスク制御部259は、ドライバ状態が良好な場合よりも不良な場合の方が、セカンドタスクの実行制限量を大きくする。ドライバ状態が「良好」な状態とは、ドライバが、運転姿勢すなわち即座に手動運転に移行可能な程度の着座姿勢を取っており、且つ自車両周辺を監視している状態をいう。これに対し、ドライバ状態が「不良」な状態とは、上記の運転姿勢または周辺監視の条件が満たされない状態をいう。
図17は、上記第一実施形態に対応する図9のフローチャートを、本実施形態に対応した態様に変容した場合の、変容部分およびその周辺部分を抜き出して示す。実行中あるいは実行予定の加減速制御における制御量が中程度である場合(すなわちステップ908=YES)、CPUは、処理をステップ1701およびステップ1702に進行させる。
ステップ1701にて、CPUは、ドライバ状態を取得する。ステップ1701の処理内容は、ステップ1401の処理内容と同様である。ステップ1702にて、CPUは、ドライバ状態を判定する。すなわち、CPUは、ドライバ状態が良好であるか不良であるかを判定する。
ドライバ状態が不良である場合(すなわちステップ1702=YES)、CPUは、処理をステップ1703に進行させる。ステップ1703にて、CPUは、セカンドタスクの実行制限量を「大」に設定する。すなわち、ステップ1703の処理内容は、図15に示されたステップ1502の処理内容と同様である。
ドライバ状態が良好である場合(すなわちステップ1702=NO)、CPUは、処理をステップ1704に進行させる。ステップ1704にて、CPUは、セカンドタスクの実行制限量を「小」に設定する。すなわち、ステップ1704の処理内容は、図15に示されたステップ1503の処理内容と同様である。
ドライバ状態に応じてステップ1703またはステップ1704の処理を実行した後、CPUは、処理をステップ1705に進行させる。ステップ1705にて、CPUは、CID装置23における画面領域Dにて実行情報および理由情報を表示させるとともに、必要に応じて音声による情報提示を実行する。その後、CPUは、処理をステップ912に進行させる。すなわち、ステップ1701~1705の処理内容は、図9におけるステップ910の処理内容の一具体例に対応する。
(第七実施形態)
以下、第七実施形態について説明する。本実施形態に係る車載システム10の構成は、上記第一実施形態等と同様である。本実施形態は、動作態様およびこれに対応する機能構成が上記第六実施形態とは若干異なる。
本実施形態においても、セカンドタスク制御部259は、上記第六実施形態と同様に、ドライバ状態に応じて、セカンドタスクの実行制限態様を決定する。具体的には、セカンドタスク制御部259は、ドライバが自車両周辺を監視していない場合よりも監視している場合の方が、セカンドタスクの制限度合を低くする。より詳細には、セカンドタスク制御部259は、ドライバが自車両周辺を監視していない場合よりも監視している場合の方が、セカンドタスクの制限をより早期に解除する。
図18は、上記第一実施形態に対応する図9のフローチャートを、本実施形態に対応した態様に変容した場合の、変容部分およびその周辺部分を抜き出して示す。ステップ912の処理が終了すると、CPUは、処理をステップ1801およびステップ1802に進行させる。
ステップ1801にて、CPUは、ドライバ状態を取得する。すなわち、ステップ1801の処理内容は、図14に示されたステップ1401および図17に示されたステップ1701の処理内容と同様である。ステップ1802にて、CPUは、ドライバ状態を判定する。すなわち、CPUは、ドライバ状態が良好であるか不良であるかを判定する。
ドライバ状態が良好である場合(すなわちステップ1802=YES)、CPUは、ステップ1803の処理を実行した後、本ルーチンを一旦終了する。ステップ1803にて、CPUは、セカンドタスクの制限を解除する。
ドライバ状態が不良である場合(すなわちステップ1802=NO)、CPUは、ステップ1804の処理を実行した後、本ルーチンを一旦終了する。ステップ1804にて、CPUは、ステップ1803とは異なる処理を実行する。具体的には、CPUは、セカンドタスクの制限を所定期間継続する。あるいは、CPUは、ドライバが所定の確認ボタンを押さないとセカンドタスクの制限が解除されないようにする。また、CPUは、CID装置23における画面領域Dに、周辺の交通情報を、通常よりも多く表示する。
(変形例)
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。故に、上記実施形態に対しては、適宜変更が可能である。以下、代表的な変形例について説明する。以下の変形例の説明においては、上記実施形態との相違点を主として説明する。また、上記実施形態と変形例とにおいて、相互に同一または均等である部分には、同一符号が付されている。したがって、以下の変形例の説明において、上記実施形態と同一の符号を有する構成要素に関しては、技術的矛盾または特段の追加説明なき限り、上記実施形態における説明が適宜援用され得る。
本発明は、上記実施形態にて示された具体的な装置構成に、何ら限定されるものではない。すなわち、例えば、車載システム10を搭載する車両1は、普通自動車に限定されない。具体的には、かかる車両1は、貨物トラック等の大型自動車であってもよい。車輪数についても特段の限定はなく、三輪自動車であってもよいし、貨物トラック等の六輪または八輪自動車であってもよい。車両1の種類は、内燃機関のみを備えたコンベンショナル自動車であってもよいし、内燃機関を備えない電気自動車または燃料電池車であってもよいし、いわゆるハイブリッド車であってもよい。車両1における車体の形状および構造も、箱状すなわち平面視における略矩形状に限定されない。車両1の用途、運転席2すなわちステアリングホイール8の車幅方向位置、乗員数、等についても、特段の限定はない。運転席2の存在も、必須ではない。すなわち、ドライバは、動的運転タスクを担当あるいは実行する自車両乗員であればよい。換言すれば、ドライバが運転操作を実行可能であれば、ドライバの着座位置についても、特段の限定はない。また、ステアリングホイール8に代えて、あるいはこれとともに、ジョイスティック等の任意の操作デバイスが用いられ得る。
車載システム10を構成する通信規格としては、CAN(国際登録商標)以外のもの、例えば、FlexRay(国際登録商標)等も採用され得る。また、車載システム10を構成する通信規格は、一種類に限定されない。例えば、車載システム10は、LIN等の通信規格に準拠したサブネットワーク回線を有していてもよい。LINはLocal Interconnect Networkの略である。
車両状態センサ11、外界状態センサ12、および周辺監視センサ13についても、上記の例示に限定されない。例えば、周辺監視センサ13は、ソナーすなわち超音波センサを含んだ構成であってもよい。あるいは、周辺監視センサ13は、ミリ波レーダセンサ、サブミリ波レーダセンサ、レーザレーダセンサ、および超音波センサのうちの2種類以上を備えていてもよい。各種センサの設置個数についても特段の限定はない。
ロケータ14についても、上記の例示に限定されない。例えば、ロケータ14は、ジャイロセンサおよび加速度センサを内蔵した構成ではなくてもよい。具体的には、慣性取得部142は、車両状態センサ11としてロケータ14の外部に設けられた角速度センサおよび加速度センサからの出力信号を受信するようになっていてもよい。
DCM15は、省略され得る。すなわち、交通情報は、ナビゲーション装置16によって取得され得る。あるいは、ナビゲーション装置16は、ロケータ14およびDCM15を含んだ構成を有していてもよい。
ナビゲーション装置16は、車載通信回線10Aとは異なるサブ通信回線を介して情報通信可能に、HMI制御装置25と接続されていてもよい。
ナビゲーション装置16は、HMI装置20とは別の、ナビゲーション画面表示専用の表示画面を有していてもよい。あるいは、ナビゲーション装置16は、HMI装置20の一部を構成するものとして設けられていてもよい。具体的には、例えば、ナビゲーション装置16は、CID装置23と一体化されてもよい。
ドライバ状態検出部17は、車載通信回線10Aとは異なるサブ通信回線を介して情報通信可能に、HMI制御装置25と接続されていてもよい。
ドライバ状態検出部17は、視線検出部171と、姿勢検出部172と、操作状態検出部173とを備えた構成に限定されない。すなわち、例えば、視線検出部171の構成を用いた画像認識により、姿勢検出部172に対応する機能が奏され得る。また、ドライバ状態検出部17は、ドライバの脈拍等の生体情報を検出する生体情報センサを備えていてもよい。この場合、生体情報センサにおける検出電極等の構成部分は、操作状態検出部173におけるステアリングホイール8の把持状態を検出する構成部分と共用化され得る。
上記実施形態において、車載システム10すなわち運転制御装置18は、レベル1~3に対応する車両制御動作を実行可能に構成されている。しかしながら、本発明は、かかる態様に限定されない。すなわち、例えば、本発明は、レベル1~5に対応する車両制御動作を実行可能な場合にも、好適に適用され得る。
また、上記実施形態において、車載システム10は、「高速自動運転」および「渋滞自動運転」を実行可能であった。しかしながら、本発明は、かかる態様に限定されない。すなわち、例えば、車載システム10は、高速自動運転のみ実行可能であってもよい。あるいは、車載システム10は、渋滞自動運転のみ実行可能であってもよい。
上記実施形態は、説明の便宜上、「高速自動運転」および「渋滞自動運転」の双方が可能であるという、道路交通制度を前提としたものである。しかしながら、各国の道路交通制度においては、自動運転の種類、自動運転中の最高速度、等の自動運転の実行条件について、国内事情等に応じた適宜の考慮がなされ得る。このため、上記実施形態は、各国の道路交通制度に沿った仕様に適宜変容され得る。
具体的には、例えば、本発明は、特定道路区間にて所定の低速度域(例えば60km/h以下)での走行を条件とした、SAEレベル3に対応する自動運転を実行可能な道路交通制度にも、好適に適用され得る。かかる自動運転は、「低速自動運転」と称され得る。かかる低速自動運転は、渋滞中も実行され得る。なお、「渋滞」とは、東日本高速道路株式会社および警視庁の定義に基づけば、閾値速度以下で低速走行あるいは停止発進を繰り返す車列が、所定程度継続した状態をいう。閾値速度は、例えば、一般道路および幹線道路においては20km/hであり、高速道路においては40km/hである。「所定程度」は、例えば、1km以上且つ15分以上である。
また、本発明における運転自動化のレベルあるいはカテゴリも、「SAE J3016」に規定されたものに限定されない。具体的には、「SAE J3016」においては、運転自動化レベルが高いほど、レベル数値が大きくなるように規定されている。しかしながら、本発明は、かかる態様に限定されない。すなわち、例えば、最高の運転自動化レベルを「レベル1」として、運転自動化レベルが低下するほどレベル数値が大きくなるように規定された規格に対しても、本発明は同様に適用され得る。
HMI装置20は、メータパネル21とHUD装置22とCID装置23とを備えた構成に限定されない。すなわち、例えば、メータパネル21とCID装置23とは、一体化され得る。あるいは、HUD装置22またはCID装置23は、省略され得る。CID装置23が省略される場合、セカンドタスクは、専ら端末装置24によって実行されるものであってもよい。あるいは、CIDディスプレイ231に代わる、セカンドタスク画面DAの表示用デバイスが、車体の天井等に設けられていてもよい。
メータ211とメータディスプレイ212とは、1つのディスプレイ装置によって実現され得る。この場合、メータ211は、液晶ディスプレイ等である1つのフラットパネルディスプレイにおける左右両端部の表示領域として設けられ得る。すなわち、メータ211は、タコメータ、スピードメータ、水温計、等に対応する、ベゼル、指針、目盛、等を、画像表示することによって実現され得る。また、メータディスプレイ212は、かかるフラットパネルディスプレイにおける、メータ211以外の表示領域として設けられ得る。
入力デバイス232は、CIDディスプレイ231と重畳されるタッチパネルに代えて、あるいはこれとともに、ドライバの手元で操作されるポインティングデバイス等を有していてもよい。入力デバイス232は、ドライバの発話を検出する音声入力装置を有していてもよい。
上記実施形態において、運転制御装置18およびHMI制御装置25は、CPU等を備えた、いわゆる車載マイクロコンピュータとしての構成を有していた。しかしながら、本発明は、かかる構成に限定されない。
例えば、運転制御装置18の全部または一部は、上記のような動作を可能に構成されたデジタル回路、例えばASICあるいはFPGAを備えた構成であってもよい。ASICはApplication Specific Integrated Circuitの略である。FPGAはField Programmable Gate Arrayの略である。また、運転制御装置18において、車載マイクロコンピュータ部分とデジタル回路部分とは併存し得る。HMI制御装置25についても同様である。
上記実施形態にて説明した、各種の動作、手順、あるいは処理を実行可能とする、本発明に係るプログラムは、DCM15等によるV2X通信を介して、ダウンロードあるいはアップグレードされ得る。V2XはVehicle to Xの略である。あるいは、かかるプログラムは、車両1の製造工場、整備工場、販売店、等に設けられた端末機器を介して、ダウンロードあるいはアップグレードされ得る。かかるプログラムの格納先は、メモリーカード、光学ディスク、磁気ディスク、等であってもよい。
このように、上記の各機能構成および方法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つあるいは複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサおよびメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、上記の各機能構成および方法は、一つ以上の専用ハードウエア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、上記の各機能構成および方法は、一つあるいは複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサおよびメモリと一つ以上のハードウエア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移的実体的記憶媒体に記憶されていてもよい。すなわち、上記の各機能構成および方法は、これを実現するための手順を含むコンピュータプログラム、あるいは、当該プログラムを記憶した非遷移的実体的記憶媒体としても表現可能である。
本発明は、上記実施形態にて示された具体的な機能構成および動作例に限定されない。すなわち、本発明は、レベル4以上の自動運転中の加減速制御時にも、良好に適用される。
上記各実施形態においては、自動運転中に実行される加減速制御は、渋滞発生、渋滞解消、障害物検知、等の、非計画的なものであった。しかしながら、本発明は、かかる態様に限定されない。すなわち、例えば、高速自動運転中の特定道路区間において、制限速度が変化する地点を通過する場合のような、計画的な加減速に対しても、本発明は良好に適用され得る。
上記具体例においては、セカンドタスクとして、CID装置23による映像コンテンツの視聴を実行中の例を示した。しかしながら、本発明は、かかる態様に限定されない。すなわち、本発明は、端末装置24を用いたセカンドタスクを実行中の場合にも、良好に適用され得る。
具体的には、例えば、セカンドタスクとして端末装置24による映像コンテンツの視聴あるいはゲームを実行中の場合、図3等に示された画面領域Dは、端末装置24における画像表示可能な領域に該当する。この場合、セカンドタスク画面DAの表示サイズ変更、および、加減速情報の表示は、端末装置24における画面領域Dにて実行され得る。
表示制御部257すなわち加減速情報提示部258は、ドライバの視線方向の検知結果に基づいて、加減速情報の表示場所を変更してもよい。具体的には、例えば、ドライバの視線方向がCIDディスプレイ231から端末装置24に変化したり、その逆に端末装置24からCIDディスプレイ231に変化したりする場合があり得る。この場合、加減速情報提示部258は、ドライバの視線方向の変化に対応して、加減速情報の表示先を、CIDディスプレイ231と端末装置24との間で切り換えるようにしてもよい。
図6の例において、セカンドタスク画面DAの表示サイズは、通常サイズであってもよい。図10~図12においても同様である。
加減速情報の表示態様の変化は、位置、大きさ、色、輝度、点滅態様のうちの少なくともいずれか1つを用いて行い得る。
加減速情報の提示態様判定、および/または、セカンドタスク制限判定に用いる、加減速状況は、加減速制御における制御量あるいは制御予定量に限定されない。すなわち、例えば、所定の交通障害(例えば障害物等)に対する回避制御および/または停止制御までの余裕度も考慮され得る。かかる余裕度は、例えば、周辺監視センサ13による障害物検知性能に応じて変化する。障害物検知性能は、標準的な検知環境(例えば晴天時等)における検知性能、および、自然環境(例えば雨天等)の影響を受ける。
具体的には、例えば、図9のフローチャートにおいて、余裕度が閾値以上であるか否かを判定するステップが、ステップ902とステップ903との間に挿入され得る。かかる余裕度判定ステップにおける判定結果が「YES」である場合、CPUは、処理をステップ903に進行させる。一方、かかる余裕度判定ステップにおける判定結果が「NO」である場合、CPUは、処理をステップ911に進行させる。
ステップ1315の処理は、省略され得る。すなわち、加減速制御の実行を終了した時点から所定時間経過する前である場合、ステップ1305における判定結果が「YES」となる。この場合、CPUは、処理をステップ1316に進行させてもよい。
ドライバ状態検出部17がドライバの脈拍等の生体情報を検出する生体情報センサを備えている場合、かかる生体情報は、ステップ1402における調整値Kの決定に用いられ得る。
加減速時のセカンドタスクの実行制限(例えば一時停止)は、ドライバによる承認の入力操作を条件としてもよい。
「取得」「算出」「推定」「検出」「検知」「決定」等の類似の表現は、技術的に矛盾しない範囲内において、相互に適宜置換可能である。「検出」あるいは「検知」と「抽出」とも、技術的に矛盾しない範囲内において、適宜置換可能である。
上記実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、構成要素の個数、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数値に限定される場合等を除き、その特定の数値に本発明が限定されることはない。同様に、構成要素等の形状、方向、位置関係等が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に特定の形状、方向、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、方向、位置関係等に本発明が限定されることはない。
変形例も、上記の例示に限定されない。例えば、複数の実施形態のうちの1つにおける全部または一部と、他の1つにおける全部または一部とが、技術的に矛盾しない限り、互いに組み合わされ得る。組み合わせる数についても特段の限定はない。同様に、複数の変形例のうちの1つにおける全部または一部と、他の1つにおける全部または一部とが、技術的に矛盾しない限り、互いに組み合わされ得る。さらに、上記実施形態の全部または一部と、上記変形例の全部または一部とが、技術的に矛盾しない限り、互いに組み合わされ得る。
(制御方法および制御プログラム)
上記実施形態および変形例によって示された本開示は、HMI制御方法およびHMI制御プログラムに関する、以下の各観点を含む。なお、下記の各観点は、技術的に矛盾しない限り、互いに組み合わせて適用可能である。
HMI制御方法は、自動運転可能な車両(1)の乗員により認識可能に情報提示するHMI装置(20)を制御する方法である。HMI制御プログラムは、自動運転可能な車両(1)の乗員により認識可能に情報提示するHMI装置(20)を制御するように構成されたHMI制御装置(25)により実行されるプログラムである。
第一の観点によれば、
前記HMI制御方法、および、前記HMI制御装置により実行される処理は、
自動運転中の前記車両における加減速制御の実行状況である加減速状況を取得する、加減速状況取得処理と、
前記加減速状況に関する加減速情報を、当該加減速状況に応じた態様で提示する、加減速情報提示処理と、
を含む。
第二の観点によれば、
前記HMI制御方法、および、前記HMI制御装置により実行される処理は、
自動運転中の前記HMI装置におけるセカンドタスクの実行状態を制御する、セカンドタスク制御処理をさらに含み、
前記セカンドタスク制御処理は、前記セカンドタスクの実行を、前記加減速状況に応じて制限する処理を含む。
第三の観点によれば、前記セカンドタスク制御処理は、前記加減速制御の理由の種別に応じて、前記セカンドタスクの実行制限態様を決定する処理を含む。
第四の観点によれば、前記セカンドタスク制御処理は、前記加減速制御が加速制御である場合よりも減速制御である場合の方が、前記セカンドタスクの実行制限度合を大きくする処理を含む。
第五の観点によれば、前記セカンドタスク制御処理は、前記乗員であるドライバの状態に応じて、前記セカンドタスクの実行制限態様を決定する処理を含む。
第六の観点によれば、前記セカンドタスク制御処理は、前記加減速状況が急加減速制御の実行または実行予定である場合、前記セカンドタスクの実行を停止する処理を含む。
第七の観点によれば、前記加減速情報提示処理は、前記乗員により視認可能に画像表示する表示デバイス(23)にて前記セカンドタスクを実行中の場合、前記表示デバイスにおける前記加減速情報の表示態様を前記加減速状況に応じて設定する処理を含む。
第八の観点によれば、前記加減速情報提示処理は、前記加減速情報としての、前記加減速制御の実行または実行予定に対応する実行情報と、前記加減速制御の理由に対応する理由情報とを提示する処理を含む。
第九の観点によれば、前記加減速情報提示処理は、前記実行情報と前記理由情報とを、異なるタイミングで提示する処理を含む。
第十の観点によれば、前記加減速情報提示処理は、前記加減速情報としての、前記加減速制御の実行開始までの時間を提示する処理を含む。
第十一の観点によれば、前記加減速情報提示処理は、前記乗員であるドライバの状態に応じた態様で、前記加減速情報を提示する処理を含む。
第十二の観点によれば、前記加減速情報提示処理は、前記加減速状況に応じて前記加減速情報の提示態様を決定する処理を含む。