JP2021130209A - 記録方法及びインクジェット記録装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】視認性が十分で良好な画質の画像が得られる記録方法を提供する。【解決手段】記録媒体に記録を行う記録方法であって、記録媒体が、非白色記録媒体であり、白色色材を含む白色インクを記録媒体に付着する白色インク付着工程と、非白色色材を含む非白色インクを記録媒体に付着する非白色インク付着工程と、を備え、白色インク付着工程及び非白色インク付着工程を、記録ヘッドを記録媒体に対して走査させて行い、白色インク付着工程と、非白色インク付着工程とを、同一の走査で、記録媒体の同一の領域に対して行い、白色インク付着工程と非白色インク付着工程とにより、白色インク及び非白色インクを付着させた領域において、単位面積当たりの、白色色材の付着量Aと非白色色材の付着量Bの質量比(A/B)が、0.03以上0.99以下である。【選択図】図2

Description

本発明は、記録方法及びインクジェット記録装置に関する。
産業用途、商業用途において、有色又は透明な媒体に対して各種の印刷が行われている。媒体としては、軟包装、ラベル、サイン、段ボール等であり、視認性に優れた画像とすることが求められている。
例えば、特許文献1には、白色インクを付着させた後、白色インクの上にカラーインクを付着させるインクジェット記録方法が開示されている。同文献には、これにより白色画像が背景画像となりカラー画像の視認性の高い記録ができる旨の記載がある。
特開2010−158884号公報
しかしながら、例えば非白色の記録媒体に対して記録を行う場合に、カラーインクの画像の視認性が不十分であった。また、カラーインクの画像の埋まりが不十分であった。
本発明に係る記録方法の一態様は、
記録媒体に記録を行う記録方法であって、
前記記録媒体が、非白色記録媒体であり、
白色色材を含む白色インクを前記記録媒体に付着する白色インク付着工程と、
非白色色材を含む非白色インクを前記記録媒体に付着する非白色インク付着工程と、を備え、
前記白色インク付着工程及び前記非白色インク付着工程を、記録ヘッドを前記記録媒体に対して走査させて行い、
前記白色インク付着工程と、前記非白色インク付着工程とを、同一の走査で、前記記録媒体の同一の領域に対して行い、
前記白色インク付着工程と前記非白色インク付着工程とにより、前記白色インク及び前記非白色インクを付着させた領域において、単位面積当たりの、前記白色色材の付着量Aと前記非白色色材の付着量Bの質量比(A/B)が、0.03以上0.99以下である。
本発明に係るインクジェット記録装置の一態様は、
記録媒体を搬送する搬送手段と、
白色色材を含む白色インク及び非白色色材を含む非白色インクを吐出して前記記録媒体に付着させる記録ヘッドと、
前記記録媒体に対して前記記録ヘッドを走査させる走査手段と、
前記搬送手段、前記記録ヘッド及び前記走査手段を制御する制御部と、
を有し、
前記制御部が、
前記白色インク及び前記非白色インクを、
前記走査手段による同一の走査で、前記記録媒体の同一の領域に対して付着させ、
前記同一の領域で、単位面積当たりの、前記白色色材の付着量Aと前記非白色色材の付
着量Bの質量比(A/B)が、0.03以上0.99以下となるように付着させる。
実施形態の記録方法に用い得るインクジェット記録装置の一例の概略図。 実施形態の記録方法に用い得るインクジェット記録装置の一例のキャリッジ周辺の概略図。 実施形態の記録方法に用いるインクジェット記録装置の一例のブロック図。 実施例に係る記録ヘッドのノズル列の構成を示す模式図。
以下に本発明の実施形態について説明する。以下に説明する実施形態は、本発明の例を説明するものである。本発明は以下の実施形態になんら限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形形態も含む。なお以下で説明される構成の全てが本発明の必須の構成であるとは限らない。
1.記録方法
本実施形態に係る記録方法は、非白色の記録媒体に記録を行う。また本実施形態に係る記録方法は、白色色材を含む白色インクを記録媒体に付着する白色インク付着工程と、非白色色材を含む非白色インクを記録媒体に付着する非白色インク付着工程と、を備える。
本実施形態によれば、埋まりが優れ、視認性が優れる記録方法等とすることができる。さらには、印刷速度や、濃度ムラ低減や、画質差低減も、優れたものにすることもでき好ましい。
なお、埋まりが優れるは、非白色インクを用いて記録した画像が、インクにより地を充分に埋めることができており、地が見えにくいことを言う。また、視認性が優れるとは、非白色インクを用いて記録した画像が、十分な発色が得られ確認しやすい画像であることをいう。
1.1.白色インク付着工程
白色インク付着工程は、白色インクを記録媒体へ付着させる工程である。以下、白色インクの説明を行う。記録媒体への付着の手法等については後述する。
白色インク及び非白色インクは、それぞれ色材を含むこと以外は、どのようなインクであってもよい。インクとしては、例えば、蒸発しうる溶媒成分を含むインクが挙げられる。この場合、記録媒体に付着したインクから溶媒成分が乾燥して蒸発し、色材などの成分が記録媒体に残ることにより記録が行われる。また、この場合に、本実施形態のインクによれば、発色性や埋まりなどがより優れる点で好ましい。このようなインクとしては、溶媒成分として水を少なくとも含む水系インク、溶媒成分として有機溶剤を含有しインク中の水の含有量が2質量%以下である溶剤系インクなどが挙げられる。このようなインクにおいて、溶媒成分はインク中に10質量%以上が好ましく、99質量%以下が好ましい。又は、インクは、紫外線などの光の照射によりインクに含む成分を硬化させて記録が行われる光硬化型インクであってもよい。
1.1.1.白色色材
白色インクは、白色色材を含有する。白色色材は、例えば、金属酸化物、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等の金属化合物が挙げられる。金属酸化物としては、例えば二酸化チタン、酸化亜鉛、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム等が挙げられる。また、白色色材には、中空構造を有する粒子を用いてもよく、中空構造を有する粒子としては、公知のものを用いることができる。白色色材の材質は、後述する無機微粒子とは異なることが好まし
い。
白色色材としては、上記例示した中でも、白色度及び耐擦性が良好であるという観点から、二酸化チタンを用いることが好ましい。白色色材は、1種単独でも、2種以上を併用してもよい。
白色色材の体積基準の平均粒子径(D50)(「体積平均粒子径」ともいう。)は、後述する無機微粒子の体積平均粒子径よりも大きくなるように設定される。白色色材の体積平均粒子径は、好ましくは30.0nm以上600.0nm以下であり、より好ましくは100.0nm以上500.0nm以下、さらに好ましくは150.0nm以上400.0nm以下である。白色色材の体積平均粒子径が上記範囲であれば、粒子が沈降しにくく、分散安定性を良好にすることができ、また、インクジェット記録装置に適用した際にノズルの目詰まり等を生じにくくすることができる。また、白色色材の体積平均粒子径が前記範囲内であれば、画像の視認性の向上に十分に寄与できる。
白色色材の体積平均粒子径は、粒度分布測定装置により測定することができる。粒度分布測定装置としては、例えば、動的光散乱法を測定原理とする粒度分布計(例えば、「ナノトラックシリーズ」マイクロトラックベル社製)が挙げられる。体積平均粒子径はD50値とする。
なお、本明細書において、白色インク、白色色材等という際の「白色」という語句は、完全な白のみを指すものではなく、白と視認できる範囲であれば、有彩色や無彩色に着色した色や光沢を帯びた色も含む。また、インクや顔料の名称が、白色のインクや白色の顔料であることを窺わせるもので呼称、販売されるものを含む。
より定量的には「白色」は、記録物が、例えばCIELABにおいて、Lが100である色のみならず、Lが60以上100以下であり、a及びbがそれぞれ±10以下の色も含まれる。
より具体的には、例えば、白色インクは、透明フィルム製の記録媒体の記録媒体表面が、該インクにより十分に被覆される量で記録された場合に、記録物の記録部分の明度(L)及び色度(a、b)を、CIELABに準拠した分光測光器を用いて測色した場合に、上記の範囲であるものが好ましい。十分に被覆される量で記録された記録物は、例えば、15mg/inchの付着量である。さらに好ましくは、80≦L≦100、−4.5≦a≦2、−10≦b≦2.5である。透明フィルム製の記録媒体としては、例えばLAGジェットE−1000ZC(リンテック社製)が挙げられる。CIELABに準拠した分光測光器としては、例えばSpectrolino(商品名、GretagMacbeth社製)があげられ、測定条件をD50光源、観測視野を2°、濃度をDIN NB、白色基準をAbs、フィルターをNo、測定モードをReflectance、として設定して計測する。
白色インクにおける白色色材の含有量(固形分)は、白色インクの全質量に対して、0.5質量%以上20.0質量%以下が好ましく、より好ましくは1.0質量%以上20.0質量%以下であり、さらにより好ましくは3.0質量%以上15.0質量%以下であり、よりさらに好ましくは7.0質量%以上10.0質量%以下である。白色色材の含有量が上記範囲内であれば、十分な視認性の画像を得ることができる。
本実施形態の記録方法では、白色色材は、画像の背景の隠蔽を目的とするというよりも、むしろ、得られる画像の視認性そのものを高める目的で使用される。そのため、白色インクにおける白色色材の含有量は、背景隠蔽を目的とした場合に比べて、より少なくする
ことができる。これにより画像の十分な視認性が得られるとともに、白色色材の分散安定性を良好にしやすく、沈降させ難くすることができる。さらに埋まりや、画質差低減も、より優れ好ましい。このような観点からは、白色インクにおける白色色材の含有量の上限は、10.0質量%以下が好ましく、より好ましくは8.0質量%以下、さらに好ましくは7.0質量%以下であり、特に好ましくは5.0質量%以下である。
白色色材は、分散媒中に安定的に分散できることが好適であり、そのために分散剤を使用して分散させてもよい。分散剤としては、樹脂分散剤等が挙げられ、上記の白色色材を含む白色インク中での白色色材の分散安定性を良好とできるものから選択される。また、白色色材は、例えば、オゾン、次亜塩素酸、発煙硫酸等により、顔料表面を酸化、あるいはスルホン化して顔料粒子の表面を修飾することにより、自己分散型の顔料として使用してもよい。
樹脂分散剤としては、ポリ(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸−アクリルニトリル共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、酢酸ビニル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、酢酸ビニル−(メタ)アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−(メタ)アクリル酸共重合体等の(メタ)アクリル系樹脂及びその塩;スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体等のスチレン系樹脂及びその塩;イソシアネート基とヒドロキシル基とが反応したウレタン結合を含む高分子化合物(樹脂)であって直鎖状及び/又は分岐状であってもよく、架橋構造の有無を問わないウレタン系樹脂及びその塩;ポリビニルアルコール類;ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体及びその塩;酢酸ビニル−マレイン酸エステル共重合体及びその塩;並びに;酢酸ビニル−クロトン酸共重合体及びその塩等の水溶性樹脂を挙げることができる。これらの中でも、疎水性官能基を有するモノマーと親水性官能基を持つモノマーとの共重合体、疎水性官能基と親水性官能基とを併せ持つモノマーからなる重合体が好ましい。共重合体の形態としては、ランダム共重合体、ブロック共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体のいずれの形態でも用いることができる。
スチレン系樹脂分散剤の市販品としては、例えば、X−200、X−1、X−205、X−220、X−228(星光PMC社製)、ノプコスパース(登録商標)6100、6110(サンノプコ株式会社製)、ジョンクリル67、586、611、678、680、682、819(BASF社製)、DISPERBYK−190(ビックケミー・ジャパン株式会社製)、N−EA137、N−EA157、N−EA167、N−EA177、N−EA197D、N−EA207D、E−EN10(第一工業製薬製)等が挙げられる。
また、アクリル系樹脂分散剤の市販品としては、BYK−187、BYK−190、BYK−191、BYK−194N、BYK−199(ビックケミー株式会社製)、アロンA−210、A6114、AS−1100、AS−1800、A−30SL、A−7250、CL−2東亜合成株式会社製)等が挙げられる。
さらに、ウレタン系樹脂分散剤の市販品としては、BYK−182、BYK−183、BYK−184、BYK−185(ビックケミー株式会社製)、TEGO Disperse710(Evonic Tego Chemi社製)、Borchi(登録商標)Gen1350(OMG Borschers社製)等が挙げられる。
分散剤は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。分散剤の合計の含有量は
、白色色材50質量部に対して、0.1質量部以上30質量部以下が好ましく、より好ましくは0.5質量部以上25質量部以下、さらにより好ましくは1質量部以上20質量部以下、よりさらに好ましくは1.5質量部以上15質量部以下である。分散剤の含有量が白色色材50質量部に対して0.1質量部以上であることにより、白色色材の分散安定性をさらに高めることができる。また、分散剤の含有量が白色色材50質量部に対して30質量部以下であれば、得られる分散体の粘度を小さく抑えることができる。
上記例示した分散剤のなかでも、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、及び、ウレタン系樹脂から選択される少なくとも一種であることがさらに好ましい。またこの場合、分散剤の重量平均分子量は、500以上であることがさらに好ましい。分散剤としてこのような樹脂分散剤を用いることにより、臭気が少なく、白色色材の分散安定性をさらに良好にすることができる。
白色色材の典型例としては、二酸化チタンが挙げられ、例えば、タイペークCR−50−2、CR−57、CR−58−2、CR−60−2、CR−60−3、CR−Super−70、CR−90−2、CR−95、CR953、PC−3、PF−690、PF−691、PF−699、PF−711、PF−728、PF−736、PF−737、PF−739、PF−740、PF−742、R−980、UT−771(いずれも石原産業株式会社製)等を例示できる。
1.1.2.その他の成分
白色インクは、白色色材の他に、樹脂粒子、有機溶剤、界面活性剤、水、ワックス、添加剤、樹脂分散剤、防腐剤・防かび剤、防錆剤、キレート化剤、粘度調整剤、酸化防止剤、防黴剤等の成分を含有してもよい。以下順次説明する。
(樹脂粒子)
白色インクは、樹脂粒子を含有してもよい。樹脂粒子は、記録媒体に付着させた白色インクによる画像の密着性などをさらに向上させることができる。樹脂粒子としては、例えば、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂(スチレンアクリル系樹脂を含む)、フルオレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ロジン変性樹脂、テルペン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、エポキシ系樹脂、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチレン酢酸ビニル系樹脂等からなる樹脂粒子が挙げられる。なかでも、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリオフレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂が好ましい。これらの樹脂粒子は、エマルジョン形態で取り扱われることが多いが、粉体の性状であってもよい。また、樹脂粒子は1種単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
ウレタン系樹脂とは、ウレタン結合を有する樹脂の総称である。ウレタン系樹脂には、ウレタン結合以外に、主鎖にエーテル結合を含むポリエーテル型ウレタン樹脂、主鎖にエステル結合を含むポリエステル型ウレタン樹脂、主鎖にカーボネート結合を含むポリカーボネート型ウレタン樹脂等を使用してもよい。また、ウレタン系樹脂として、市販品を用いてもよく、例えば、スーパーフレックス 460、460s、840、E−4000(商品名、第一工業製薬株式会社製)、レザミン D−1060、D−2020、D−4080、D−4200、D−6300、D−6455(商品名、大日精化工業株式会社製)、タケラック WS−6021、W−512−A−6(商品名、三井化学ポリウレタン株式会社製)、サンキュアー2710(商品名、LUBRIZOL社製)、パーマリンUA−150(商品名、三洋化成工業社製)などの市販品を用いてもよい。
アクリル系樹脂は、少なくとも(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステルなどのアクリル系単量体を1成分として重合して得られる重合体の総称であって、例えば、アクリル系単量体から得られる樹脂や、アクリル系単量体とこれ以外の単量体との共重合体
などが挙げられる。例えばアクリル系単量体とビニル系単量体との共重合体であるアクリル−ビニル系樹脂などが挙げられる。また例えば、ビニル系単量体としては、スチレンなどが挙げられる。
アクリル系単量体としてはアクリルアミド、アクリロニトリル等も使用可能である。アクリル系樹脂を原料とする樹脂エマルジョンには、市販品を用いてもよく、例えばFK−854(商品名、中央理科工業社製)、モビニール952B、718A(商品名、日本合成化学工業社製)、NipolLX852、LX874(商品名、日本ゼオン社製)等の中から選択して用いてもよい。
なお、本明細書において、アクリル系樹脂は、後述するスチレン・アクリル系樹脂であってもよい。また、本明細書において、(メタ)アクリルとの表記は、アクリル及びメタクリルの少なくとも一方を意味する。
スチレン・アクリル系樹脂は、スチレン単量体と(メタ)アクリル系単量体とから得られる共重合体であり、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。スチレン・アクリル系樹脂には、市販品を用いても良く、例えば、ジョンクリル62J、7100、390、711、511、7001、632、741、450、840、74J、HRC−1645J、734、852、7600、775、537J、1535、PDX−7630A、352J、352D、PDX−7145、538J、7640、7641、631、790、780、7610(商品名、BASF社製)、モビニール966A、975N(商品名、日本合成化学工業社製)、ビニブラン2586(日信化学工業社製)等を用いてもよい。
ポリオレフィン系樹脂は、エチレン、プロピレン、ブチレン等のオレフィンを構造骨格に有するものであり、公知のものを適宜選択して用いることができる。オレフィン樹脂としては、市販品を用いることができ、例えばアローベースCB−1200、CD−1200(商品名、ユニチカ株式会社製)等を用いてもよい。
また、樹脂粒子は、エマルジョンの形態で供給されてもよく、そのような樹脂エマルジョンの市販品の例としては、マイクロジェルE−1002、E−5002(日本ペイント社製商品名、スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン)、ボンコート4001(DIC社製商品名、アクリル系樹脂エマルジョン)、ボンコート5454(DIC社製商品名、スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン)、ポリゾールAM−710、AM−920、AM−2300、AP−4735、AT−860、PSASE−4210E(アクリル系樹脂エマルジョン)、ポリゾールAP−7020(スチレン・アクリル樹脂エマルジョン)、ポリゾールSH−502(酢酸ビニル樹脂エマルジョン)、ポリゾールAD−13、AD−2、AD−10、AD−96、AD−17、AD−70(エチレン・酢酸ビニル樹脂エマルジョン)、ポリゾールPSASE−6010(エチレン・酢酸ビニル樹脂エマルジョン)(昭和電工社製商品名)、ポリゾールSAE1014(商品名、スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、日本ゼオン社製)、サイビノールSK−200(商品名、アクリル系樹脂エマルジョン、サイデン化学社製)、AE−120A(JSR社製商品名、アクリル樹脂エマルジョン)、AE373D(イーテック社製商品名、カルボキシ変性スチレン・アクリル樹脂エマルジョン)、セイカダイン1900W(大日精化工業社製商品名、エチレン・酢酸ビニル樹脂エマルジョン)、ビニブラン2682(アクリル樹脂エマルジョン)、ビニブラン2886(酢酸ビニル・アクリル樹脂エマルジョン)、ビニブラン5202(酢酸アクリル樹脂エマルジョン)(日信化学工業社製商品名)、エリーテルKA−5071S、KT−8803、KT−9204、KT−8701、KT−8904、KT
−0507(ユニチカ社製商品名、ポリエステル樹脂エマルジョン)、ハイテックSN−2002(東邦化学社製商品名、ポリエステル樹脂エマルジョン)、タケラックW−6020、W−635、W−6061、W−605、W−635、W−6021(三井化学ポリウレタン社製商品名、ウレタン系樹脂エマルジョン)、スーパーフレックス870、800、150、420、460、470、610、700(第一工業製薬社製商品名、ウレタン系樹脂エマルジョン)、パーマリンUA−150(三洋化成工業株式会社製、ウレタン系樹脂エマルジョン)、サンキュアー2710(日本ルーブリゾール社製、ウレタン系樹脂エマルジョン)、NeoRez R−9660、R−9637、R−940(楠本化成株式会社製、ウレタン系樹脂エマルジョン)、アデカボンタイター HUX−380,290K(株式会社ADEKA製、ウレタン系樹脂エマルジョン)、モビニール966A、モビニール7320(日本合成化学株式会社製)、ジョンクリル7100、390、711、511、7001、632、741、450、840、74J、HRC−1645J、734、852、7600、775、537J、1535、PDX−7630A、352J、352D、PDX−7145、538J、7640、7641、631、790、780、7610(以上、BASF社製)、NKバインダーR−5HN(新中村化学工業株式会社製)、ハイドランWLS−210(非架橋性ポリウレタン:DIC株式会社製)、ジョンクリル7610(BASF社製)等の中から選択して用いてもよい。
樹脂粒子のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは−50℃以上200℃以下であり、より好ましくは0℃以上150℃以下であり、さらに好ましくは50℃以上100℃以下である。また50℃以上80℃以下が特に好ましい。樹脂粒子のガラス転移温度(Tg)が上記範囲内であることにより、耐久性及び耐目詰まり性により優れる傾向にある。ガラス転移温度の測定は、例えば、株式会社日立ハイテクサイエンス社製の示差走査熱量計「DSC7000」を用いて、JIS K7121(プラスチックの転移温度測定方法)に準じて行われる。
樹脂粒子の体積平均粒子径は、10nm以上300nm以下が好ましく、30nm以上300nm以下がより好ましく、30nm以上250nm以下がさらに好ましく、40nm以上220nm以下が特に好ましい。体積平均粒子径は、前述の方法で測定することができる。
白色インクに樹脂粒子を含有させる場合の含有量は、白色インクの全質量に対して、固形分として、0.1質量%以上20質量%以下、好ましくは1質量%以上15質量%以下、より好ましくは2質量%以上10質量%以下である。
(有機溶剤)
本実施形態に係る記録方法で用いる白色インクは、有機溶剤を含有してもよい。有機溶剤は水溶性を有することが好ましい。有機溶剤の機能の一つは、記録媒体に対する白色インクの濡れ性を向上させることや、白色インクの保湿性を高めることが挙げられる。また、有機溶剤は、浸透剤としても機能できる。
有機溶剤としては、エステル類、アルキレングリコールエーテル類、環状エステル類、含窒素溶剤、多価アルコール等を挙げることができる。含窒素溶剤としては環状アミド類、非環状アミド類などを挙げることができる。非環状アミド類としてはアルコキシアルキルアミド類などが挙げられる。
エステル類としては、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、メトキシブチルアセテート、等のグリコールモノアセテート類、エチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールジアセテート、プロピレングリコールジアセテート、ジプロピレングリコールジアセテート、エチレングリコールアセテートプロピオネート、エチレングリコールアセテートブチレート、ジエチレングリコールアセテートブチレート、ジエチレングリコールアセテートプロピオネート、ジエチレングリコールアセテートブチレート、プロピレングリコールアセテートプロピオネート、プロピレングリコールアセテートブチレート、ジプロピレングリコールアセテートブチレート、ジプロピレングリコールアセテートプロピオネート、等のグリコールジエステル類が挙げられる。
アルキレングリコールエーテル類としては、アルキレングリコールのモノエーテル又はジエーテルであればよく、アルキルエーテルが好ましい。具体例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチエレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル等のアルキレングリコールモノアルキルエーテル類、及び、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールメチルブチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル等のアルキレングリコールジアルキルエーテル類が挙げられる。
また、上記のアルキレングリコールは、モノエーテルよりも、ジエーテルのほうが、インク中の樹脂粒子を溶解又は膨潤させやすい傾向があり、形成される画像の耐擦性を向上させる点でより好ましい。
環状エステル類としては、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、β−ブチロラクトン、β−バレロラクトン、γ−バレロラクトン、β−ヘキサノラクトン、γ−ヘキサノラクトン、δ−ヘキサノラクトン、β−ヘプタノラクトン、γ−ヘプタノラクトン、δ−ヘプタノラクトン、ε−ヘプタノラクトン、γ−オクタノラクトン、δ−オクタノラクトン、ε−オクタノラクトン、δ−ノナラクトン、ε−ノナラクトン、ε−デカノラクトン等の環状エステル類(ラクトン類)、並びに、それらのカルボニル基に隣接するメチレン基の水素が炭素数1〜4のアルキル基によって置換された化合物を挙げることができる。
アルコキシアルキルアミド類としては、例えば、3−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド、3−メトキシ−N,N−ジエチルプロピオンアミド、3−メトキシ−N,N−メチルエチルプロピオンアミド、3−エトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド、3−エトキシ−N,N−ジエチルプロピオンアミド、3−エトキシ−N,N−メチルエチルプロピオンアミド、3−n−ブトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド、3−n−ブトキシ−N,N−ジエチルプロピオンアミド、3−n−ブトキシ−N,N−メチルエチルプロピオンアミド、3−n−プロポキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド、3−n−プロポキシ−N,N−ジエチルプロピオンアミド、3−n−プロポキシ−N,N−メチルエチルプロピオンアミド、3−iso−プロポキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド、3−iso−プロポキシ−N,N−ジエチルプロピオンアミド、3−iso−プロポキシ−N,N−メチルエチルプロピオンアミド、3−tert−ブトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド、3−tert−ブトキシ−N,N−ジエチルプロピオンアミド、3−tert−ブトキシ−N,N−メチルエチルプロピオンアミド、等を例示することができる。
環状アミド類としては、ラクタム類が挙げられ、例えば、2−ピロリドン、1−メチル−2−ピロリドン、1−エチル−2−ピロリドン、1−プロピル−2−ピロリドン、1−ブチル−2−ピロリドン、等のピロリドン類などが挙げられる。これらは凝集剤の溶解性や、後述する樹脂粒子の皮膜化を促進させる点で好ましく、特に2−ピロリドンがより好ましい。
また、アルコキシアルキルアミド類として、下記一般式(1)で表される化合物を用いることも好ましい。
−O−CHCH−(C=O)−NR ・・・(1)
上記式(1)中、Rは、炭素数1以上4以下のアルキル基を示し、R及びRは、それぞれ独立にメチル基又はエチル基を示す。「炭素数1以上4以下のアルキル基」は、直鎖状又は分岐状のアルキル基であることができ、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、iso−ブチル基、tert−ブチル基であることができる。上記式(1)で表される化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。
式(1)で表される化合物の機能としては、例えば、低吸収性記録媒体上に付着させた白色インクの表面乾燥性及び定着性を高めることが挙げられる。特に、上記式(1)で表される化合物は、塩化ビニル系樹脂を適度に軟化・溶解する作用に優れている。そのため、上記式(1)で表される化合物は、塩化ビニル系樹脂を含有する被記録面を軟化・溶解して、低吸収性記録媒体の内部に白色インクを浸透させることができる。このように白色インクが低吸収性記録媒体に浸透することで、白色インクが強固に定着し、かつ、白色インクの表面が乾燥しやすくなる。したがって、得られる画像は、表面乾燥性及び定着性に優れたものとなりやすい。
また、上記式(1)中、Rは、炭素数1のメチル基であることがより好ましい。上記式(1)において、Rがメチル基である化合物の標準沸点は、Rの炭素数が2以上4以下のアルキル基である化合物の標準沸点と比較して低い。そのため、上記式(1)において、Rがメチル基である化合物を用いると、付着領域の表面乾燥性(特に高温多湿環境下で記録された場合の画像の表面乾燥性)を一層向上できる場合がある。
上記式(1)で表される化合物を用いる場合の含有量は、白色インクの全質量に対して、特に限定されないが、5質量%以上50質量%以下程度であり、8質量%以上48質量
%以下であることが好ましい。上記式(1)で表される化合物の含有量が上記範囲にあることで、画像の定着性及び表面乾燥性(特に高温多湿環境下で記録された場合の表面乾燥性)を一層向上できる場合がある。
多価アルコールとしては、1,2−アルカンジオール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール(別名:プロパン−1,2−ジオール)、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ヘプタンジオール、1,2−オクタンジオール等のアルカンジオール類)、1,2−アルカンジオールを除く多価アルコール(ポリオール類)(例えば、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール(別名:1,3−ブチレングリコール)、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチルペンタン−2,4−ジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン等)等が挙げられる。
多価アルコール類は、アルカンジオール類とポリオール類に分けることができる。アルカンジオール類は、炭素数5以上のアルカンのジオールである。アルカンの炭素数は好ましくは5〜15であり、より好ましくは6〜10であり、更に好ましくは6〜8である。好ましくは1,2−アルカンジオールである。
ポリオール類は炭素数4以下のアルカンのポリオールか、炭素数4以下のアルカンのポリオールの水酸基同士の分子間縮合物である。アルカンの炭素数は好ましくは2〜3である。ポリオール類の分子中の水酸基数は2以上であり、好ましくは5以下であり、より好ましくは3以下である。ポリオール類が上記の分子間縮合物である場合、分子間縮合数は2以上であり、好ましくは4以下であり、より好ましくは3以下である。多価アルコール類は、1種単独か又は2種以上を混合して使用することができる。
アルカンジオール類及びポリオール類は、主に浸透溶剤及び/又は保湿溶剤として機能することができる。しかし、アルカンジオール類は浸透溶剤としての性質が強い傾向があり、ポリオール類は保湿溶剤としての性質が強い傾向がある。
白色インクが有機溶剤を含む場合、有機溶剤を一種単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。また、有機溶剤の、白色インク全質量に対する合計の含有量は、例えば、5質量%以上50質量%以下であり、10質量%以上45質量%以下が好ましく、15質量%以上40質量%以下がより好ましく、20質量%以上40質量%以下がさらに好ましい。有機溶剤の含有量が上記範囲内にあることで、濡れ拡がり性と乾燥性のバランスがさらによく、さらに高画質な画像を形成しやすい。
また、白色インクは、上記例示した有機溶剤のうち、標準沸点が150.0℃以上280.0℃以下の有機溶剤を含有することがより好ましい。このようにすれば、形成される画像の乾燥、定着がより早い記録を行うことができる。
さらに、白色インクは、標準沸点が280.0℃超のポリオール類の有機溶剤を1.0質量%を超えて含有しないようにすることがより好ましい。白色インクにおける、標準沸点が280℃を越えるポリオール類の有機溶剤の含有量は、白色インクの全質量に対して5質量%以下であることが好ましく、より好ましくは3質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下、特に好ましくは0.5質量%以下、より特に好ましくは0.1質量%以下である。標準沸点が280℃を越えるポリオール類の有機溶剤の含有量の下限は0質量%で
もよい。
このようにすれば、形成される画像の乾燥が良好となり、より早い記録を行うことができ、記録媒体との密着性も向上できる。さらには、白色インクは、標準沸点が280.0℃超の有機溶剤(ポリオール類に限らず)を上記の範囲とすることも、より好ましい。標準沸点が280℃を越える有機溶剤としては、例えば、グリセリン、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられる。
(界面活性剤)
白色インクは、界面活性剤を含有してもよい。界面活性剤は、白色インクの表面張力を低下させ記録媒体との濡れ性を向上させる機能を備える。界面活性剤の中でも、例えば、アセチレングリコール系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、及びフッ素系界面活性剤を好ましく用いることができる。
アセチレングリコール系界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、サーフィノール104、104E、104H、104A、104BC、104DPM、104PA、104PG−50、104S、420、440、465、485、SE、SE−F、504、61、DF37、CT111、CT121、CT131、CT136、TG、GA、DF110D(以上全て商品名、エア・プロダクツ&ケミカルズ社製)、オルフィンB、Y、P、A、STG、SPC、E1004、E1010、PD−001、PD−002W、PD−003、PD−004、EXP.4001、EXP.4036、EXP.4051、AF−103、AF−104、AK−02、SK−14、AE−3(以上全て商品名、日信化学工業社製)、アセチレノールE00、E00P、E40、E100(以上全て商品名、川研ファインケミカル社製)が挙げられる。
シリコーン系界面活性剤としては、特に限定されないが、ポリシロキサン系化合物が好ましく挙げられる。当該ポリシロキサン系化合物としては、特に限定されないが、例えばポリエーテル変性オルガノシロキサンが挙げられる。当該ポリエーテル変性オルガノシロキサンの市販品としては、例えば、BYK−306、BYK−307、BYK−333、BYK−341、BYK−345、BYK−346、BYK−348(以上商品名、ビックケミー・ジャパン社製)、KF−351A、KF−352A、KF−353、KF−354L、KF−355A、KF−615A、KF−945、KF−640、KF−642、KF−643、KF−6020、X−22−4515、KF−6011、KF−6012、KF−6015、KF−6017(以上商品名、信越化学工業社製)、シルフェイスSAG002、005、503A、008(以上商品名、日信化学工業株式会社製)等が挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、フッ素変性ポリマーを用いることが好ましく、具体例としては、BYK−3440(ビックケミー・ジャパン社製)、サーフロンS−241、S−242、S−243(以上商品名、AGCセイミケミカル社製)、フタージェント215M(ネオス社製)等が挙げられる。
白色インクに界面活性剤を含有させる場合には、複数種を含有させてもよい。白色インクに界面活性剤を含有させる場合の含有量は、白色インクの全質量に対して、0.1質量%以上2質量%以下、好ましくは0.4質量%以上1.5質量%以下、より好ましくは、0.5質量%以上1.0質量%以下とすることができる。
(水)
本実施形態に係る記録方法で使用する白色インクは、水を含有してもよい。白色インクは水系白色インクであることが好ましい。水系とは主要な溶媒成分の1つとして水を含有
する組成物である。このようにすれば、環境負荷を低減した、臭気等の少ない記録を行うことができる。
水は、白色インクの主となる溶媒成分として含んでもよく、乾燥により蒸発飛散する成分である。水は、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水又は超純水のようなイオン性不純物を極力除去したものであることが好ましい。また、紫外線照射又は過酸化水素添加等により滅菌した水を用いると、インクを長期保存する場合にカビやバクテリアの発生を抑制できるので好適である。水の含有量は白色インクの総量に対して好ましくは45質量%以上であり、より好ましくは50質量%以上98質量%以下であり、さらに好ましくは55質量%以上95質量%以下である。
(ワックス)
白色インクは、ワックスを含有してもよい。ワックスは、白色インクによる画像に滑沢を付与する機能を備えるので、白色インクによる画像の剥がれ等を低減できる。
ワックスを構成する成分としては、例えばカルナバワックス、キャンデリワックス、みつろう、ライスワックス、ラノリン等の植物・動物系ワックス;パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレンワックス、ペトロラタム等の石油系ワックス;モンタンワックス、オゾケライト等の鉱物系ワックス;カーボンワックス、ヘキストワックス、ポリオレフィンワックス、ステアリン酸アミド等の合成ワックス類、α−オレフィン・無水マレイン酸共重合体等の天然・合成ワックスエマルジョンや配合ワックス等を単独あるいは複数種を混合して用いることができる。これらの中でも、後述する軟包装フィルムに対する定着性を高める効果により優れるという観点から、ポリオレフィンワックス(特に、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス)及びパラフィンワックスを用いることが好ましい。
ワックスとしては市販品をそのまま利用することもでき、例えば、ノプコートPEM−17(商品名、サンノプコ株式会社製)、ケミパールW4005(商品名、三井化学株式会社製)、AQUACER515、539、593(以上商品名、ビックケミー・ジャパン株式会社製)等が挙げられる。
また、記録方法に加熱工程等が含まれる場合に、ワックスが溶融しすぎて、その性能が低下することを抑制するという観点から、ワックスの融点は、好ましくは50℃以上200℃以下、より好ましくは融点が70℃以上180℃以下、さらに好ましくは融点が90℃以上150℃以下のワックスを用いることが好ましい。
ワックスは、エマルジョンあるいはサスペンションの形態で供給されてもよい。ワックスの含有量は、白色インクの全質量に対して、固形分換算で0.1質量%以上10質量%以下、より好ましくは0.5質量%以上5質量%以下、さらに好ましくは0.5質量%以上2質量%以下である。ワックスの含有量が上記範囲内にあると、上記ワックスの機能を良好に発揮できる。なお、白色インク及び後述する非白色インクの一方又は両方が、ワックスを含有すれば、画像に滑沢を付与する機能を十分に得ることができる。
(添加剤)
白色インクは、添加剤として、尿素類、アミン類、糖類等を含有してもよい。尿素類としては、尿素、エチレン尿素、テトラメチル尿素、チオ尿素、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等、及び、ベタイン類(トリメチルグリシン、トリエチルグリシン、トリプロピルグリシン、トリイソプロピルグリシン、N,N,N−トリメチルアラニン、N,N,N−トリエチルアラニン、N,N,N−トリイソプロピルアラニン、N,N,N−トリメチルメチルアラニン、カルニチン、アセチルカルニチン等)等が挙げられる。
アミン類としては、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン等が挙げられる。尿素類やアミン類は、pH調整剤として機能させてもよい。
糖類としては、グルコース、マンノース、フルクトース、リボース、キシロース、アラビノース、ガラクトース、アルドン酸、グルシトール(ソルビット)、マルトース、セロビオース、ラクトース、スクロース、トレハロース、及びマルトトリオース等が挙げられる。
(その他)
本実施形態に係る記録方法で使用する白色インクは、さらに必要に応じて、防腐剤・防かび剤、防錆剤、キレート化剤、粘度調整剤、酸化防止剤、防黴剤等の成分を含有してもよい。
1.1.3.白色インクの物性及び記録媒体へ付着させる方法
白色インク付着工程は、記録ヘッドを記録媒体に対して走査しながら白色インクを付着させる態様であれば、どのような方式で行われてもよい。例えば、記録ヘッドをインクジェットヘッドとし、インクジェットヘッドから白色インクを吐出することにより行うことができ、好ましい。このようにすれば、小型の装置で少量多種類の印刷を効率よく行うことができる。
白色インクが、記録媒体にインクジェット法により付着される場合には、白色インクの粘度は、20℃において、1.5mPa・s以上15mPa・s以下とすることが好ましく、1.5mPa・s以上7mPa・s以下とすることがより好ましく、1.5mPa・s以上5.5mPa・s以下とすることがより好ましい。白色インクが、インクジェット法によって記録媒体に付着される場合、所定の画像を効率的に記録媒体に形成することが容易である。
白色インクは、記録媒体への濡れ拡がり性を適切なものとする観点から、25℃における表面張力は、40mN/m以下、好ましくは38mN/m以下、より好ましくは35mN/m以下、さらに好ましくは30mN/m以下であることが好ましい。なお、表面張力の測定は、自動表面張力計CBVP−Z(協和界面科学社製)を用いて、25℃の環境下で白金プレートを組成物で濡らしたときの表面張力を確認することにより測定することができる。
1.2.非白色インク付着工程
非白色インク付着工程は、非白色インクを記録媒体へ付着させる工程である。以下、非白色インクの説明を行う。記録媒体への付着の手法については後述する。
1.2.1.非白色色材
非白色インクは、白色色材を含有する。非白色インクに含有される非白色色材は、前述の白色色材以外の色材のことを指す。非白色色材としては、例えば、染料、顔料等が挙げられる。非白色色材は、例えば、シアン、イエロー、マゼンタ、ブラックなどのカラー色材とすることが好ましい。
非白色色材は、染料及び顔料のいずれであってもよいし、混合物であってもよい。しかし染料及び顔料のうち、顔料を含むことが一層好ましい。顔料は、耐光性、耐候性、耐ガス性などの保存安定性に優れ、さらにその観点から有機顔料であることが好ましい。
具体的には、顔料は、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、アゾレーキ、キレートアゾ顔料などのアゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレン及びペリノン顔料、アントラキノン顔料
、キナクリドン顔料、ジオキサン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料などの多環式顔料、染料キレート、染色レーキ、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料、カーボンブラックなどが用いられる。上記顔料は、1種単独でも、2種以上併用して用いることもできる。さらに、非白色色材として、光輝性顔料を用いてもよい。
顔料の具体例としては、特に限定されないが、例えば、以下のものが挙げられる。
ブラック顔料としては、例えば、No.2300、No.900、MCF88、No.33、No.40、No.45、No.52、MA7、MA8、MA100、No.2200B等(以上、三菱化学社(Mitsubishi Chemical Corporation)製)、Raven 5750、Raven 5250、Raven 5000、Raven 3500、Raven 1255、Raven 700等(以上、コロンビアカーボン(Carbon Columbia)社製)、Rega1 400R、Rega1 330R、Rega1 660R、Mogul L、Monarch 700、Monarch 800、Monarch 880、Monarch 900、Monarch 1000、Monarch 1100、Monarch 1300、Monarch 1400等(キャボット社(CABOT JAPAN K.K.)製)、Color Black FW1、Color Black FW2、Color Black
FW2V、Color Black FW18、Color Black FW200、Color B1ack S150、Color Black S160、Color
Black S170、Printex 35、Printex U、Printex
V、Printex 140U、Special Black 6、Special Black 5、Special Black 4A、Special Black 4(以上、デグッサ(Degussa)社製)が挙げられる。
イエロー顔料としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー 1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、16、17、24、34、35、37、53、55、65、73、74、75、81、83、93、94、95、97、98、99、108、109、110、113、114、117、120、124、128、129、133、138、139、147、151、153、154、167、172、180が挙げられる。
マゼンタ顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド 1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、40、41、42、48(Ca)、48(Mn)、57(Ca)、57:1、88、112、114、122、123、144、146、149、150、166、168、170、171、175、176、177、178、179、184、185、187、202、209、219、224、245、又はC.I.ピグメントバイオレット 19、23、32、33、36、38、43、50が挙げられる。
シアン顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブルー 1、2、3、15、15:1、15:2、15:3、15:34、15:4、16、18、22、25、60、65、66、C.I.バットブルー 4、60が挙げられる。
また、マゼンタ、シアン、及びイエロー以外の顔料としては、特に限定されないが、例えば、C.I.ピグメント グリーン 7,10、C.I.ピグメントブラウン 3,5,25,26、C.I.ピグメントオレンジ 1,2,5,7,13,14,15,16,24,34,36,38,40,43,63が挙げられる。
パール顔料としては、特に限定されないが、例えば、二酸化チタン被覆雲母、魚鱗箔、酸塩化ビスマス等の真珠光沢や干渉光沢を有する顔料が挙げられる。
メタリック顔料としては、特に限定されないが、例えば、アルミニウム、銀、金、白金、ニッケル、クロム、錫、亜鉛、インジウム、チタン、銅などの単体又は合金からなる粒子が挙げられる。
また、染料としては、例えば、直接染料、酸性染料、食用染料、塩基性染料、反応性染料、分散染料、建染染料、可溶性建染染料、反応分散染料等の通常インクジェット記録に使用する各種染料を使用することができる。
非白色色材は、分散媒中に安定的に分散又は溶解できることが好適であり、必要に応じて分散剤を使用して分散させてもよい。分散剤としては、上述の白色インクの白色色材の分散性を向上させるために用いると同様の分散剤を挙げることができる。
非白色色材の含有量は、非白色インクの全質量に対して、好ましくは0.3質量%以上20質量%以下であり、より好ましくは0.5質量%以上15質量%以下である。さらには、1〜10質量%が好ましく、2〜7質量%がより好ましい。
非白色色材に顔料を採用する場合の顔料粒子の体積平均粒子径は、10nm以上300nm以下が好ましく、30nm以上250nm以下がより好ましく、50nm以上250nm以下がさらに好ましく、70nm以上200nm以下が特に好ましい。さらには、80〜150nmが好ましい。非白色色材の体積平均粒子径は前述の体積平均粒子径の確認方法で初期状態として測定するものである。体積平均粒子径が上記範囲の場合、所望の色材を入手しやすい点や、色材の特性などを好ましいものにし易い点で好ましい。
1.2.2.その他の成分
非白色インクは、非白色色材の他に、樹脂粒子、有機溶剤、界面活性剤、水、ワックス、添加剤、樹脂分散剤、防腐剤・防かび剤、防錆剤、キレート化剤、粘度調整剤、酸化防止剤、防黴剤等の成分を含有してもよい。
非白色インクは、色材以外の成分は、白色インクと同様のものであって、白色インクとは独立したものにすることができる。これらの成分は、いずれも上述の白色インクと同様のものにしても良く、「白色インク」を「非白色インク」と読み替えることにより、詳細な説明を省略する。
非白色インクは、白色インクと同様に、水系インクであることがより好ましい。このようにすれば、環境負荷を低減した、臭気等の少ない記録を行うことができる。
また、非白色インクは、白色インクと同様に、標準沸点が150.0℃以上280.0℃以下の有機溶剤を含有することが好ましい。これにより、画像の定着がより早い記録を行うことができる。
さらに、非白色インクは、白色インクと同様に標準沸点が280.0超の有機溶剤を1.0質量%を超えて含有しないことが好ましい。これにより画像の乾燥がより早い記録を行うことができ、画像の密着性の向上も期待できる。
1.2.3.非白色インクの物性及び記録媒体へ付着させる方法
非白色インク付着工程は、記録ヘッドを記録媒体に対して走査しながら非白色インクを
付着させる態様であれば、どのような方式で行われてもよいが、記録ヘッドをインクジェットヘッドとし、インクジェットヘッドから非白色インクを吐出することにより行うことがより好ましい。このようにすれば、小型の装置で少量多種類の印刷を効率よく行うことができる。非白色インクの粘度、表面張力等は、白色インクと同様であるので説明を省略する。
1.3.記録媒体
本実施形態に係る記録方法で画像を形成する記録媒体は、非白色の記録媒体である。記録媒体はインクを吸収する記録面を有するものであっても有しないものであってもよい。したがって記録媒体としては、特に制限はなく、例えば、非白色の、紙、フィルム、布等の液体吸収性記録媒体、印刷本紙などの液体低吸収性記録媒体、非白色の、金属、ガラス、高分子等の液体非吸収性記録媒体などが挙げられる。本実施形態の記録方法の優れた効果は、液体低吸収性又は液体非吸収性の非白色の記録媒体に対して画像を記録する場合により顕著となる。記録媒体が、低吸収性又は非吸収性記録媒体である場合には、例えば埋まりの良好な画像をより容易に形成できる。
液体低吸収性又は液体非吸収性の記録媒体とは、インクを全く吸収しない、又はほとんど吸収しない性質を有する記録媒体を指す。定量的には、液体非吸収性又は液体低吸収性の記録媒体とは、「ブリストー(Bristow)法において接触開始から30msec1/2までの水吸収量が10mL/m以下である記録媒体」を指す。このブリストー法は、短時間での液体吸収量の測定方法として最も普及している方法であり、日本紙パルプ技術協会(JAPAN TAPPI)でも採用されている。試験方法の詳細は「JAPAN TAPPI紙パルプ試験方法2000年版」の規格No.51「紙及び板紙−液体吸収性試験方法−ブリストー法」に述べられている。これに対して、液体吸収性の記録媒体とは、液体非吸収性及び液体低吸収性に該当しない記録媒体のことを示す。なお、本明細書では、液体低吸収性及び液体非吸収性を、単に低吸収性及び非吸収性と称することがある。
液体非吸収性の記録媒体としては、例えば、紙等の基材上にプラスチックがコーティングされているもの、紙等の基材上にプラスチックフィルムが接着されているもの、吸収層(受容層)を有していないプラスチックフィルム等が挙げられる。ここでいうプラスチックとしては、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。
また、液体低吸収性の記録媒体としては、例えば、表面に液体低吸収性の塗工層が設けられた記録媒体が挙げられる。例えば塗工紙と呼ばれるものである。例えば、基材が紙であるものとしては、アート紙、コート紙、マット紙等の印刷本紙が挙げられ、基材がプラスチックフィルムである場合には、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン等の表面に、ポリマー等が塗工されたもの、シリカ、チタン等の粒子がバインダーとともに塗工されたものが挙げられる。
記録媒体としては、液体吸収性の記録媒体も用いることができる。液体吸収性の記録媒体は、上述の「ブリストー(Bristow)法において接触開始から30msec1/2までの水吸収量が10mL/m超である記録媒体」を指す。
液体吸収性の記録媒体としては、記録媒体の表面に液体を吸収する受容層が設けられていることによって液体吸収性の記録媒体になっているものが挙げられる。例えば、インクジェット用紙(インクジェット専用紙)などが挙げられる。液体を吸収する受容層としては、液体吸収性の樹脂、液体吸収性の無機微粒子などから構成された層が挙げられる。
液体吸収性の記録媒体としては、記録媒体の基材そのものが液体吸収性である記録媒体も挙げられる。例えば、繊維からなる布帛、パルプを成分とする紙などが挙げられる。紙としては、普通紙、厚紙、ライナー紙などが挙げられる。ライナー紙は、クラフトパルプ、古紙などの紙から構成されるものが挙げられる。
本実施形態の記録方法は、非白色の記録媒体へ行われる。非白色の記録媒体としては、透明な記録媒体(透明記録媒体)が挙げられる。透明な記録媒体は、無色透明、着色(有色)透明であってもよい。また、透明は半透明も含む。これらは、目視による透光性を有する記録媒体である。また可視光透光性の記録媒体である。このような場合には、本実施形態の記録方法で、記録媒体の片面に形成した画像を、両面側から良好に視認することができる。
及び/又は、非白色の記録媒体としては、非白色の有色な記録媒体(非白色な有色記録媒体)が挙げられる。非白色な有色な不透明な記録媒体や、非白色の有色な透明な記録媒体などが挙げられる。この場合も本実施形態の記録方法によって、視認性や埋まり、画質差低減などの画質の良好な画像を容易に形成できる。非白色の有色記録媒体は、上述の透明な記録媒体でもよいし、透明な記録媒体ではないものでもよい。透明な記録媒体ではないものは、目視による透光性を有さない記録媒体である。また可視光不透光性の記録媒体である。ここで非白色の有色は、白色以外の有色である。
1.4.白色インク付着工程と非白色インク付着工程の関係
本実施形態の記録方法では、白色インク付着工程及び非白色インク付着工程を、記録ヘッドを記録媒体に対して走査させて行う。これらの工程は、後述するインクジェット記録装置を用いて容易に行うことができる。
走査は、インクを記録媒体へ付着させる記録ヘッドを、記録媒体に対して相対的に位置を異ならせつつ、インク組成物を記録媒体へ付着させる動作である。走査により、記録媒体へのインクの付着が行われる。走査は、記録媒体に対して記録ヘッドを移動させながら行っても良いし、記録ヘッドに対して記録媒体を移動させながら行ってもよい。どちらも、記録ヘッドの記録媒体に対する走査である。走査を主走査ともいう。
記録ヘッドとしては、記録媒体にインクを付着させることができるものであればよく、限られるものではないが、例えば、インクジェットヘッドの他に、ドットインパクトヘッド、熱転写ヘッドなどが挙げられる。
白色インク付着工程と、非白色インク付着工程とは、同一の走査で、記録媒体の同一の領域に対して行われる。ここで、同一の走査とは、後述するようなシリアル型のインクジェット記録装置の場合、主走査方向における記録ヘッドの走査の1回のことを指し、例えば、主走査方向で記録媒体の同じ領域を記録ヘッドが往復して複数回の走査が行われる場合には、往路又は復路の一方(1回の走査)を指す。したがって、白色インク付着工程及び非白色インク付着工程が同一の走査で行われるとは、1回の記録ヘッドの走査の間に両工程が行われることを指す。
例えば、後述する図4に示すようなインクジェットヘッドを用いて、ノズル列N1から白色インクを吐出し、ノズル列N2から非白色インクを吐出して走査を行う場合、ノズル列N1とノズル列N2は、主走査方向MSに投影したときに、副走査方向SSにおいて重なる部分を有している。この場合、インクジェットヘッドの1回の走査により、白色インクと非白色インクが、記録媒体の同一の領域に付着されることとなる。上記の例の場合、同一の領域は、白色インクを吐出するノズル列N1と、非白色インクを吐出するノズル列
N2を、主走査方向MSに投影したときに、ノズル列N1とノズル列N2が、副走査方向SSにおいてお互いに重なる部分である。
本実施形態の記録方法では、白色インク付着工程と非白色インク付着工程とにより、白色インク及び非白色インクの両者を付着させた領域が記録媒体上に形成される。そして当該領域において、単位面積当たりの、白色色材の付着量Aと非白色色材の付着量Bの質量比(A/B)が、0.03以上0.99以下であるように行われる。付着量は単位面積あたりの質量であり、質量比(A/B)は付着量の質量比である。
本実施形態の記録方法は、記録媒体の白色インク及び非白色インクを付着させた領域において、質量比(A/B)が、0.03以上0.99以下である領域を少なくとも有すればよい。
特に、白色インク及び非白色インクを付着させた記録媒体の領域において、単位面積当たりの、非白色色材の付着量Bが最も多い領域(付着量Bが最大値である領域)において、質量比(A/B)が、0.03以上0.99以下としてもよく、好ましい。この場合、付着量Bが多く視認性が特に必要である領域において、視認性の優れた画像とすることができ好ましい。
この場合、例えば、白色インク及び非白色インクを付着させた記録媒体の領域のうち、付着量Bが記録における最大値ではない領域では、質量比(A/B)は、必ずしも、0.03以上0.99以下でなくともよいが、0.03以上0.99以下又は0.99超としても良く好ましい。特に0.99超とすることが好ましい。この場合、付着量Bが最大値ではない領域、つまり、付着量Bが最大値よりも少ない領域において、白色インクと非白色インクとの混合がより良好となり、このような領域であっても視認性の良好な画像を形成することができ、また、質量比(A/B)が0.99より多いことにより、付着量Bが最大値よりも少ない領域において、埋まりがより優れ好ましい。
さらには、白色インク及び非白色インクを付着させた領域において、付着量Bが、付着量Bの最大値の40〜100質量%である領域に亘って、質量比(A/B)が、0.03以上0.99以下であることがより好ましい。
また、白色インク及び非白色インクを付着させた領域において、付着量Bが、付着量Bの最大値の40質量%未満である領域に亘って、質量比(A/B)が、0.03以上0.99以下又は0.99超とすることが好ましい。
1.5.付着量
記録媒体の、白色色材と非白色色材を付着させた領域において、白色色材の付着量Aは、0.1mg/inch以下が好ましく、0.05mg/inch以下がより好ましく、0.04mg/inch以下がさらにより好ましく、0.03mg/inch以下がよりさらに好ましい。また該付着量は、0.005mg/inch以上が好ましく、0.01mg/inch以上がより好ましく、0.02mg/inch以上がさらに好ましい。特に、白色色材と非白色色材を質量比(A/B)が0.03以上0.99以下で付着させた領域において、付着量Aを上記範囲とすることが好ましい。
また、記録媒体の、白色色材と非白色色材を付着させた領域において、記録媒体に対して付着される白色インクの付着量は、0.1mg/inch以上であることが好ましく、0.3mg/inch以上であることがより好ましく、0.5mg/inch以上であることがさらに好ましい。また該付着量は、15.0mg/inch以下であることが好ましく、10.0mg/inch以下であることがより好ましい。特に、白色色
材と非白色色材を質量比(A/B)が0.03以上0.99以下で付着させた領域において、付着量を上記範囲とすることが好ましい。
このような領域が形成されることにより、得られる画像の画質をさらに高めることができる。本実施形態の記録方法において、上記の白色色材の付着量Aや白色インク組成物の付着量は、上記領域において、これらの付着量が上記範囲である領域を少なくとも有すればよいものである。好ましくは、上記領域における、非白色インクの付着量が最大の領域や非白色色材Bの付着量が最大の領域において、これらの付着量が上記範囲であることがより好ましい。
なお、上記領域における、非白色インクの付着量が最大の領域における非白色インクの付着量は、3mg/inch以上が好ましく、5mg/inch以上がより好ましい。また、20mg/inch以下が好ましく、15mg/inch以下がより好ましく、12mg/inch以上がさらに好ましい。
また、上記領域における、非白色色材の付着量が最大の領域における非白色色材の付着量Bは、0.1mg/inch以上が好ましく、0.2mg/inch以上がより好ましい。また、1mg/inch以下が好ましく、0.5mg/inch以下がより好ましく、0.4mg/inch以上がさらに好ましい。
また、白色色材と非白色色材を付着させた領域において、記録媒体に対して付着される白色インクの付着量は、一定としてもよいし、場所により異ならせても良い。特に、非白色インクの付着量に応じて場所により異ならせてもよく、上記の白色色材の付着量の比の好ましい範囲になるように、非白色インクの付着量に応じて場所により異ならせてもよい。
また、白色インク付着工程及び非白色インク付着工程でそれぞれ記録ヘッドから吐出される白色インクの最大のインク滴質量が、吐出される非白色インクの最大のインク滴質量と比べ、2倍以下が好ましく、1倍以下がより好ましく、1倍未満(小さくすること)がさらにより好ましい。さらには、0.8倍以下が好ましく、0.5倍以下がより好ましい。下限は、0.1倍以上が好ましく、0.3倍以上がより好ましい。
このようにすることで白色インクと非白色インクとの混合の効率がより向上し、得られる画像における面内の画質差をさらに向上できる。
ここでインク滴質量は、記録ヘッドから吐出される1つのインク滴の質量である。インクのドット質量ともいう。
白色インクの最大のインク滴質量の非白色インクの最大のインク滴質量に対する差(白色インクの最大のインク滴質量−非白色インクの最大のインク滴質量)は、10ng以下が好ましく、5ng以下がより好ましく、0ng以下がさらに好ましく、0ng未満がより好ましく、−5ng以下が特に好ましい。また、限るものではないが−30ng以上が好ましく、−20ng以上が好ましく、−10ng以上が好ましい。
記録における白色インクの最大のインク滴質量、非白色インクの最大のインク滴質量、は、それぞれ独立して、30ng以下が好ましく、25ng以下がより好ましく、20ng以下がさらに好ましく、15ng以下がよりさらに好ましく、10ng以下が特に好ましい。また、最大のインク滴質量は、独立して3ng以上が好ましく、5ng以上がより好ましく、10ng以上がさらに好ましく、15ng以上が特に好ましく、20ng以上としてもよい。
上述のように、白色インク付着工程及び非白色インク付着工程は1回の走査で行われるが、1回の走査のうち同一の領域の同一の場所に対して白色インク及び非白色インクが着弾するタイミングは、異なる場合もあるが、非常に微小な時間差である。ただし、1回の走査のうち同一の領域の同一の場所に対して白色インク及び非白色インクが着弾する順序は、特に限定されない。
本実施形態の記録方法を行う場合、後述するインクジェット記録装置のように、記録ヘッドの走査(主走査)と、当該走査の方向に交差する方向に、記録ヘッドと記録媒体の相対的な位置を変える副走査と、を繰り返し行うことにより記録を行ってもよい。交互に繰り返し行うことにより記録を行ってもよい。また、主走査の後の副走査において、記録ヘッドのノズル列の長さよりも短い長さを副走査方向に移動させ、次の主走査で前回の主走査で走査した領域を走査してもよい。この場合、1回の走査で記録ヘッドのノズル列によりインクの付着が行われる領域に対し、別の走査でさらにインクの付着が行われる。つまり、1回の走査で記録ヘッドのノズル列が対向した記録媒体の領域に対し、別の走査でさらに記録ヘッドのノズル列が対向する。
副走査は、記録媒体を記録ヘッドに対して移動させて行っても良いし、記録ヘッドを記録媒体に対して移動させて行っても良い。
このように、記録において、記録媒体の、記録ヘッドの1回の走査でインクが付着する走査領域に対して、該インクをさらに別の走査で付着させるような領域が存在してもよい。つまり同じ領域に対し2回以上の走査が行われる領域が存在してもよい。なお、同じ領域に対し走査が行われる回数を、走査の回数(走査数、パス数)という。
記録ヘッドの副走査方向の長さを、記録媒体の副走査方向における1回の副走査の距離で割った数が、走査の回数に相当する。走査の回数はインク当たりの数である。走査の回数は1以上であり、2以上が好ましく、4以上がより好ましい。また限るものではないが20以下が好ましく、15以下がより好ましく、10以下がさらに好ましい。走査の回数が上記範囲以上の場合、濃度ムラ低減や画質差低減がより優れ好ましい。走査の回数が上記範囲以下の場合、印刷速度がより優れ好ましい。
本実施形態の記録方法は、上記のように走査する場合、記録ヘッドの白色インクを吐出するノズルと非白色インクを吐出するノズルを適切に配置して吐出を制御することにより、1の主走査での記録媒体の記録領域内で、白色インクが先に着弾した領域と、非白色インクが先に着弾した領域とを形成することができる。
このようにすれば、画像において白色インクと非白色インクとの混合がより向上する場合があり、画像の表裏での視認性の差を小さくすることができる(詳細は実施例の説明を参照)。
また、従来は、透明な記録媒体に、非白色インク層と白色インク層を、別々の走査により同じ場所に重ねて記録する場合に、非白色インク層の視認性を向上させるために白色インク層の背景隠蔽性を高めると、白色インク層側からの非白色インクの画像の視認性はさらに悪くなることがあったのに対し、本実施形態の記録方法は、記録媒体の何れの側から視認しても、画像の視認性が優れる。
1.6.その他の工程
本実施形態の記録方法は、白色インク、及び、非白色インクをそれぞれ記録媒体へ付着させる工程を有する。しかし、必要に応じさらに、他の白色インク、及び、他の非白色イ
ンクの1種以上を記録媒体へ付着させる工程を含んでいてもよい。この場合、これらの工程の順序及び回数には制限はなく、必要に応じて適宜に行うことができる。さらに、本実施形態の記録方法は、記録媒体を加熱する工程(後加熱工程)を備えてもよい。
2.インクジェット記録装置
本実施形態のインクジェット記録装置は、記録媒体を搬送する搬送手段と、白色色材を含む白色インク及び非白色色材を含む非白色インクを吐出して記録媒体に付着させる記録ヘッドと、記録媒体に対して記録ヘッドを走査させる走査手段と、搬送手段、記録ヘッド及び走査手段を制御する制御部と、を有する。
以下、本実施形態に係る記録方法を実施できるインクジェット記録装置の一例をについて図面を参照しながら説明する。
図1は、インクジェット記録装置を模式的に示す概略断面図である。図2は、図1のインクジェット記録装置1のキャリッジ周辺の構成の一例を示す斜視図である。図1、2に示すように、インクジェット記録装置1は、記録ヘッド2と、IRヒーター3と、プラテンヒーター4と、加熱ヒーター5と、冷却ファン6と、プレヒーター7と、送風ファン8と、キャリッジ9と、プラテン11と、キャリッジ移動機構13と、搬送手段14と、制御部CONTを備える。インクジェット記録装置1は、図2に示す制御部CONTにより、インクジェット記録装置1全体の動作が制御される。
記録ヘッド2は、白色インクと非白色インクとを記録ヘッド2のノズルから吐出して付着させることにより記録媒体Mに記録を行う構成である。本実施形態において、記録ヘッド2は、シリアル式の記録ヘッドであり、記録媒体Mに対して相対的に主走査方向に複数回走査して白色インクと非白色インクとを記録媒体Mに付着させる。記録ヘッド2は図2に示すキャリッジ9に搭載される。記録ヘッド2は、キャリッジ9を記録媒体Mの媒体幅方向に移動させるキャリッジ移動機構13の動作により、記録媒体Mに対して相対的に主走査方向に複数回走査される。媒体幅方向とは、記録ヘッド2の主走査方向である。主走査方向への走査を主走査ともいう。
またここで、主走査方向は、記録ヘッド2を搭載したキャリッジ9の移動する方向である。図1においては、矢印SSで示す記録媒体Mの搬送方向である副走査方向に交差する方向である。図2においては、記録媒体Mの幅方向、つまりS1−S2で表される方向が主走査方向MSであり、T1→T2で表される方向が副走査方向SSである。なお、1回の走査で主走査方向、すなわち、矢印S1又は矢印S2の何れか一方の方向に走査が行われる。そして、記録ヘッド2の主走査と、記録媒体Mの搬送である副走査を複数回繰り返し行うことで、記録媒体Mに対して記録する。
記録ヘッド2に白色インクや非白色インクを供給するカートリッジ12は、独立した複数のカートリッジを含む。カートリッジ12は、記録ヘッド2を搭載したキャリッジ9に対して着脱可能に装着される。複数のカートリッジのそれぞれには非白色インクや白色インクが充填されており、カートリッジ12から各ノズルに白色インクや非白色インクが供給される。なお、本実施形態においては、カートリッジ12はキャリッジ9に装着される例を示しているが、これに限定されず、キャリッジ9以外の場所に設けられ、供給管(図示せず)によって各ノズルに供給される形態でもよい。また、白色インクが吐出されるノズルや非白色インクが吐出されるノズルは、カートリッジ12の配置とともに適宜に設計することができる。
記録ヘッド2の吐出には従来公知の方式を使用することができる。本実施形態では、圧電素子の振動を利用して液滴を吐出する方式、すなわち、電歪素子の機械的変形によりイ
ンク滴を形成する吐出方式を使用する。
インクジェット記録装置1は、記録ヘッド2からのインクや非白色インクの吐出時に記録媒体Mを加熱するためのIRヒーター3及びプラテンヒーター4を備える。本実施形態において、乾燥工程で記録媒体Mを乾燥する際には、IRヒーター3、送風ファン8、プラテンヒーター4、プレヒーター7等の乾燥機構を用いることができる。インク付着時に記録媒体に付着したインクに行う乾燥工程を一次乾燥工程ともいう。
なお、IRヒーター3を用いると、記録ヘッド2側から赤外線の輻射により放射式で記録媒体Mを加熱することができる。これにより、記録ヘッド2も同時に加熱されやすいが、プラテンヒーター4等の記録媒体Mの裏面から加熱される場合と比べて、記録媒体Mの厚みの影響を受けずに昇温することができる。また、温風又は環境と同じ温度の風を記録媒体Mにあてて記録媒体M上のインクや非白色インクを乾燥させる各種のファン(例えば送風ファン8)を備えてもよい。
プラテンヒーター4は、記録ヘッド2によって吐出された非白色インクや白色インクが記録媒体Mに付着された時点から早期に乾燥することができるように、記録ヘッド2に対向する位置において記録媒体Mを、プラテン11を介して加熱することができる。プラテンヒーター4は、記録媒体Mを伝導式で加熱可能なものであり、上述した通り本実施形態の記録方法では、必要に応じて用いられ、用いる場合には、記録媒体Mの表面温度が40.0℃以下となるように制御することが好ましい。
インク付着工程において、乾燥機構により記録媒体に付着したインクを乾燥する乾燥工程を備えない、又は比較的低温で乾燥工程を行うこととしてもよい。この場合、記録媒体に付着したインクの乾燥の、迅速さが抑えられることにより、埋まりなどがより優れ好ましい。
インク付着工程時に、乾燥機構により記録媒体Mを乾燥する、又は乾燥しない場合において、記録媒体Mの表面温度の上限は45.0℃以下であることが好ましく、40.0℃以下であることがより好ましく、38.0℃以下であることがさらにより好ましく、35.0℃以下であることが特に好ましい。さらには30℃以下が好ましく、28℃以下が好ましく、25℃以下が好ましい。また、記録媒体Mの表面温度の下限は20℃以上が好ましく、25.0℃以上であることが好ましく、28.0℃以上であることがより好ましく、30.0℃以上であることがさらに好ましく、32.0℃以上であることが特により好ましい。 また、前述するような乾燥機構で記録媒体を加熱しない温度としてもよく、好ましい。
温度が上記範囲以下の場合、記録ヘッド2内の白色インクや非白色インクの乾燥及び組成変動を抑制でき、記録ヘッド2の内壁に対する樹脂粒子等の溶着が抑制される。また、埋まりや、発色や、画質差などがより優れ好ましい。また、温度が上記範囲以上の場合、記録媒体M上で白色インクや非白色インクを早期に固定することができ、画質を向上させることができる。なお、上記温度は、インク付着工程時の、記録媒体表面の記録ヘッドと対向する場所における最高温度である。
加熱ヒーター5は、記録媒体Mに付着されたインクを乾燥及び固化させる、つまり、二次加熱又は二次乾燥用のヒーターである。加熱ヒーター5は、後加熱工程に用いることができる。加熱ヒーター5が、画像が記録された記録媒体Mを加熱することにより、インク中に含まれる水分等がより速やかに蒸発飛散して、インク中に含まれる樹脂によってインク膜が形成される。このようにして、記録媒体M上においてインク膜が強固に定着又は接着して造膜性が優れたものとなり、優れた高画質な画像が短時間で得られる。加熱ヒータ
ー5による記録媒体Mの表面温度の上限は120.0℃以下であることが好ましく、100.0℃以下であることがより好ましく、90.0℃以下であることがさらに好ましい。また、記録媒体Mの表面温度の下限は60.0℃以上であることが好ましく、70.0℃以上であることがより好ましく、80.0℃以上であることがさらに好ましい。温度が前記範囲にあることにより、高画質な画像が短時間で得られる。なお、上記温度は、記録中の、記録媒体の二次加熱を受ける部分の最高温度である。
インクジェット記録装置1は、冷却ファン6を有していてもよい。記録媒体Mに記録されたインクを乾燥後、冷却ファン6により記録媒体M上のインクを冷却することにより、記録媒体M上に密着性よくインク塗膜を形成することができる。
また、インクジェット記録装置1は、記録媒体Mに対してインクが付着される前に、記録媒体Mを予め加熱するプレヒーター7を備えていてもよい。
キャリッジ9の下方には、記録媒体Mを支持するプラテン11と、キャリッジ9を記録媒体Mに対して相対的に移動させるキャリッジ移動機構13と、記録媒体Mを副走査方向に搬送するローラーである搬送手段14を備える。キャリッジ移動機構13と搬送手段14の動作は、制御部CONTにより制御される。
図3は、インクジェット記録装置1の機能ブロック図である。制御部CONTは、インクジェット記録装置1の制御を行うための制御ユニットである。インターフェース部101(I/F)は、コンピューター130(COMP)とインクジェット記録装置1との間でデータの送受信を行うためのものである。CPU102は、インクジェット記録装置1全体の制御を行うための演算処理装置である。メモリー103(MEM)は、CPU102のプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものである。CPU102は、ユニット制御回路104(UCTRL)により各ユニットを制御する。なお、インクジェット記録装置1内の状況を検出器群121(DS)が監視し、その検出結果に基づいて、制御部CONTは各ユニットを制御する。
搬送ユニット111(CONVU)は、インクジェット記録の副走査(搬送手段)を制御するものであり、具体的には、記録媒体Mの搬送方向及び搬送速度を制御する。具体的には、モーターによって駆動される搬送ローラーの回転方向及び回転速度を制御することによって記録媒体Mの搬送方向及び搬送速度を制御する。
キャリッジユニット112(CARU)は、インクジェット記録の主走査(パス)(走査手段)を制御するものであり、具体的には、記録ヘッド2を主走査方向に往復移動させるものである。キャリッジユニット112は、記録ヘッド2を搭載するキャリッジ9と、キャリッジ9を往復移動させるためのキャリッジ移動機構13とを備える。
ヘッドユニット113(HU)は、記録ヘッド2のノズルからの白色インク又は非白色インクの吐出量を制御するものである。例えば、記録ヘッド2のノズルが圧電素子により駆動されるものである場合、各ノズルにおける圧電素子の動作を制御する。ヘッドユニット113により各インク付着のタイミング、白色インクや非白色インクのドットサイズ、質量等が制御される。また、キャリッジユニット112及びヘッドユニット113の制御の組合せにより、1走査あたりの非白色インクや白色インクの付着量が制御される。
乾燥ユニット114(DU)は、IRヒーター3、プレヒーター7、プラテンヒーター4、加熱ヒーター5等の各種ヒーターの温度を制御する。
上記のインクジェット記録装置1は、記録ヘッド2を搭載するキャリッジ9を主走査方
向に移動させる動作(主走査)と、搬送動作(副走査)とを交互に繰り返す。このとき、制御部CONTは、各パスを行う際に、キャリッジユニット112を制御して、記録ヘッド2を主走査方向に移動させるとともに、ヘッドユニット113を制御して、記録ヘッド2の所定のノズル孔から白色インクや非白色インクの液滴を吐出させ、記録媒体Mに白色インクや非白色インクの液滴を付着させる。また、制御部CONTは、搬送ユニット111を制御して、搬送動作の際に所定の搬送量(送り量)にて記録媒体Mを搬送方向に搬送させる。
本実施形態の記録方法では、制御部CONTが、白色インク及び非白色インクを、走査手段による同一の走査で、記録媒体Mの同一の領域に対して付着させ、記録媒体Mの同一の領域で、単位面積当たりの、白色色材の付着量Aと非白色色材の付着量Bの質量比(A/B)が、0.03以上0.99以下となるように付着させるように制御する。
インクジェット記録装置1では、主走査(パス)と副走査(搬送動作)が繰り返されることによって、複数の液滴(ドット)を付着させた記録領域が徐々に搬送される。そして、加熱ヒーター5により、記録媒体Mに付着させた液滴を乾燥させて、画像が完成する。その後、完成した記録物は、巻き取り機構(図示なし)によりロール状に巻き取られたり、フラットベット機構(図示なし)で搬送されたりしてもよい。
このようなインクジェット記録装置によれば、白色インクと非白色インクとを混合しつつ記録媒体に対して画像を記録することができる。これにより視認性の良好な画像を得ることができる。また得られる画像の視認性は、表面、裏面ともに良好であり、例えば、透明な記録媒体の表面に対して記録を行った場合、記録媒体の裏面側からの視認性も良好とすることができる。さらに、白色インクと非白色インクとを同一の走査で付着できるので、記録速度を向上することができる。
記録装置は、上述の例のように、主走査と副走査とにより行うシリアル式の記録装置とすることができる。一方、記録装置は、図1において、記録ヘッド2が、記録媒体の記録幅以上の長さになっており、記録媒体を搬送させつつ行う1回の走査により記録を行うライン式の記録装置としても良い。
3.実施例等
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。以下、「部」「%」は、特に記載のない限り、質量基準である。なお評価は、特に断りが無い場合は、温度25.0℃、相対湿度40.0%の環境下で行った。
3.1.インクの調製
表1の組成になるように各成分を容器に入れて、マグネチックスターラーで2時間混合及び攪拌した後、さらに、直径0.3mmのジルコニアビーズを充填したビーズミルにて分散処理を行うことにより十分に混合した。1時間攪拌してから、5.0μmのPTFE製メンブランフィルターを用いて濾過することで、非白色インクBk1、非白色インクC1、白色インクW1及び白色インクW2を得た。表1中の数値は、質量%を示す。水はイオン交換水を用い、各インクの質量がそれぞれ100質量%となるように添加した。
Figure 2021130209
表1に示す成分のうち、カーボンブラックは、No.33(三菱化学社製)を用いた。「P.B.15:3」は、C.I.ピグメントブルー15:3を示す。二酸化チタンは、タイペーク CR−50−2(石原産業社製)を用いた。「ジョンクリル(登録商標)537J」は、BASFジャパン株式会社から入手した樹脂粒子(アクリル系樹脂)である。「SAG503A」は、日信化学工業株式会社から入手したシリコーン系界面活性剤である。
なお、顔料は、事前に、表中には記載しないスチレン・アクリル系の水溶性樹脂である顔料分散剤と顔料を、質量比が顔料:顔料分散剤=2:1で水に混合して攪拌して顔料分散液を調製し、これをインクの調製に用いた。
3.2.記録試験
インクジェット記録装置はセイコーエプソン株式会社製SC−S80650を改造して用いた。記録ヘッドは図4のようなノズル列配置とした。ノズル列あたりのノズル密度は600npiとしノズル数600個とした。図1、2のような記録装置として構成した。
インク当たりのパス数(走査回数)を表2、表3中の値にした。つまり1回の副走査の長さを約ノズル列の長さ/パス数とした。これは記録媒体のある部分への記録に要するパス数である。例えば2パス記録であれば1回の副走査の長さがノズル列の長さの約2分の1として、記録媒体のある部分へ2パスで記録した。インク付着工程において、乾燥機構は使用せず、インク付着工程の記録媒体表面温度を25℃とした。
記録媒体は、ルミラーS10(TOREY社製、PETシート)を用いた。
記録パターンにおける単位面積当たりの白色インク及び非白色インクの最終的な付着量を表中の値となるようにし、各パスごとの付着量がほぼ均等になるようにドットを均等に間引いて各パスを記録した。またインク当たりの記録解像度は600×600dpiとした。表2、表3には、1ドット(インク滴)あたりのインク質量を記載した。記録後インクジェット記録装置から排出して常温で1日放置した。
なお、表には、各例で用いた白色インク及び非白色インクの種類、白色インク及び非白色インクの付着量、白色色材及び非白色色材の付着量、色材の付着量の質量比(A/B)(白色/非白色)、インク滴の質量(ドット質量)、特定の記録領域あたりの記録を行った際のパス数を記載した。
図4に示すように、記録ヘッドの5列のノズル列に対してN1〜N5の番号を付す。表中、「白色インク付着方法」の欄に、「同時」とあるのは、1回のパス(走査)で白色インク及び非白色インクを記録媒体に付着させたことを示す。
また、表中、「白色インク列配置」の欄において、「左端」とあるのは、N1に白色インク、N2に非白色(Bk)インク、N3に非白色(C)インクを充填したことを示す。この場合には、記録ヘッドが主走査方向に往復して双方向印刷され、1回のパス(走査)ごとに交互に白色インク及び非白色インクの着弾順が入れ替わるようにした。
表中、「白色インク列配置」の欄において、「中央」とあるのは、N3に白色インク、N2及びN4に非白色(Bk)インク、N1及びN5に非白色(C)インクを充填したことを示す。この場合には、記録ヘッドが主走査方向に往復して双方向印刷し、非白色インクは、パスごとに交互にN1及びN2、又は、N4及びN5を使用し、どのパスもパス内における白色インクと非白色インクの着弾順が、パス間で同じとなるようにした。
表中、「白色インク列配置」の欄において、「両端」とあるのは、N2に非白色(Bk)インク、N3に非白色(C)インク、N1及びN4に白色インクを充填したことを示す。この場合には、記録ヘッドが主走査方向に往復して双方向印刷し、白色インクは、パスごと交互にN1、又は、N4を使用し、どのパスもパス内における白インクと非白色インクの着弾順が、パス間で同じとなるようにした。
また、表中、「白色インク付着方法」の欄に、「先打ち」とあるのは、「左端」の例と同様のノズル列へのインクの充填にしたが、白色インクのみ使用して白色パターンを記録してから、記録媒体を巻き戻して、白色パターンの上に重ねて非白色パターンを記録した。すなわち同一の走査で白色インク及び非白色インクを付着させなかった場合を示す。
3.3.評価方法
3.3.1.印刷速度
記録媒体のある部分への記録に要したパス数に基づいて、以下の基準で評価した結果を表に記載した。
S:2パス以内
A:4パス以内
B:6パス以内
C:6パスより多い
3.3.2.埋まりの評価(画質)
記録媒体上にBk1とW1又はW2とを混合したパターンを記録した。印刷物のカラーパターンの色抜け度合(透明記録媒体であるので遮蔽性)を目視で確認した。色抜けは画像が透けて見えるか否かに着目した。以下の基準で評価した結果を表に記載した。なお、
先打ちの例では、色抜けは、非白色インクにより記録した非白色画像側から見た時に、非白色インクにより記録した非白色画像が透けており、非白色画像の下にある白色画像が見えかどうかに着目した。
S:インクが十分に広がり、目視、拡大鏡で色抜けが確認できない
A:インクが程良く広がり、目視で色抜け抜けが確認できない
B:インクの広がりが不十分であり、目視で僅かに色抜けが確認できる
C:インクの広がりが不十分であり、目視で色抜けが確認でき目立つ
3.3.3.発色の評価(視認性)
記録媒体上に、C1とW1又はW2とのベタ印刷した領域、及び、Bk1とW1又はW2とのベタ印刷した領域を、領域の端の境界で接触させたパターンを印刷し、黒色紙に張り付けた後、その境界の識別のしやすさを目視で確認した。以下の基準で評価した結果を表に記載した。視認性の評価である。
S:白っぽさが見られず、境界を容易に識別することができる
A:白っぽさが見られず、境界を識別することができる
B:白っぽさが見られず、注意深く観察すれば、境界を識別することができる
C:境界を識別することが困難、又は、識別ができるが画像が白っぽい。
Z:非白色画像側から見て境界を識別することが容易にできる。ただし印刷した記録物を裏側(白色画像側)を表にして黒色紙に張り付けた場合は、境界を識別することができない。
3.3.4.濃度ムラの評価(画質)
メディア上にBk1とW1又はW2とを付着させたパターンを記録した。印刷物の濃度均一性(濃度ムラ)を目視で確認した。以下の基準で評価した結果を表に記載した。
S:濃度ムラがなく均一な画像が得られているもの
A:濃度ムラがなく良好な画像が得られているもの
B:濃度ムラがない画像が得られているもの
C:不均一な濃度ムラが目視で確認されたもの
3.3.5.面内画質差の評価(画質)
記録媒体上にBk1とW1又はW2とを付着させたパターンを記録した。記録面から30cm離れて観察した場合と、1m離れて観察した場合とで目視により評価した。記録面側のパターン内(面内)において場所により色の違う部分が見えるかどうかを評価した。以下の基準で評価した結果を表に記載した。
S:30cmの距離で違いを識別できない
A:30cmの距離で違う部分があるが1mの距離では違いを識別できない
B:1mの距離で違う部分が識別できる
C:1mの距離で違う部分が識別でき、当該部分が筋状に見られる
3.3.6.表裏画質差の評価(画質)
記録媒体上にBk1とW1又はW2とを付着させたパターンを記録した。記録部分の表面又は記録媒体側から30cm離れて観察した場合と、1m離れて観察した場合とで目視により評価した。表裏両方からみて、表裏間で違って見えるかどうかを確認した。以下の基準で評価した結果を表に記載した。
S:30cmの距離で表裏の違いを識別できない
A:30cmの距離で表裏の違いが識別されるが、1mの距離では違いを識別できない
B:1mの距離で表裏の違いがわかる
C:1mの距離で表裏の違いが明らかであり一方の面が白い
Figure 2021130209
Figure 2021130209
3.4.評価結果
白色インク付着工程と、非白色インク付着工程と、を行い、これらの工程を、同一の走査で、非白色記録媒体の同一の領域に対して行い、白色インク及び非白色インクを付着させた領域において、単位面積当たりの、白色色材の付着量Aと非白色色材の付着量Bの質量比(A/B)が、0.03以上0.99以下である実施例では、いずれも埋まりと発色が優れた。
これに対し、そうではない比較例は、いずれも埋まりと発色の何れかが劣った。
実施例1〜3から、白/非白の色材付着量比が、小さい方が濃度ムラや画質差などがより優れ、大きい方が埋まりがより優れた。
実施例1、4、5から、白インク滴質量が、小さい方が埋まりや濃度ムラ低減や画質差低減がより優れた。
実施例1、6、7から、パス内における白インクと非白色インクの着弾順が、パス間で入れ替わらないようにする方が、面内画質差の低減により優れ、パス間で入れ替わるよう
にするほうが、表裏の画質差の低減がより優れた。
実施例1、8、10から、パス数が、多い方が濃度ムラ低減や画質差低減がより優れ、少ない方が印刷速度がより優れた。
実施例1、9から、白インクの色材含有量が少ない方が埋まりや画質差低減がより優れ、多い方が濃度ムラ低減により優れた。
比較例1は、左端と同じインク列配置で、白インクを使用せず非白色インクだけを用いて記録した。比較例1、3から、白インクを用いない又は白色色材の付着量比が少なすぎる場合、埋まりと視認性が劣った。
比較例2から、白色色材の付着量比が多すぎる場合、視認性が劣った。
参考例1、2は、非白色画像を見た時に非白色画像の下にある白色画像が見え、非白色画像の埋まりが劣った。非白色画像側から見た場合の視認性は劣らなかった。なお、インク当たりの走査数を同じとした同時打ちと比べた場合、走査数が2倍必要となってしまった。
なお、表中には記載しなかったが、実施例1において、インク付着工程においてプラテンヒーターを作動して記録媒体の表面温度を40℃として、同様に行ったところ、埋まりや画質差がやや劣った。このことから、インク付着工程の記録媒体の表面温度が低い方が好ましいことが判った。
また、記録媒体を、上記のPETシートに事前に茶色に着色して不透明にしたものを用いて、実施例1と同様にして記録を行ったところ、同様に優れた埋まりや視認性が得られた。
上述した実施形態及び変形例は一例であって、これらに限定されるわけではない。例えば、各実施形態及び各変形例を適宜組み合わせることも可能である。
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成、例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
上述した実施形態及び変形例から以下の内容が導き出される。
記録方法の一態様は、
記録媒体に記録を行う記録方法であって、
前記記録媒体が、非白色記録媒体であり、
白色色材を含む白色インクを前記記録媒体に付着する白色インク付着工程と、
非白色色材を含む非白色インクを前記記録媒体に付着する非白色インク付着工程と、を備え、
前記白色インク付着工程及び前記非白色インク付着工程を、記録ヘッドを前記記録媒体に対して走査させて行い、
前記白色インク付着工程と、前記非白色インク付着工程とを、同一の走査で、前記記録媒体の同一の領域に対して行い、
前記白色インク付着工程と前記非白色インク付着工程とにより、前記白色インク及び前記非白色インクを付着させた領域において、単位面積当たりの、前記白色色材の付着量Aと前記非白色色材の付着量Bの質量比(A/B)が、0.03以上0.99以下である。
この記録方法によれば、白色インクと非白色インクとを混合しつつ記録媒体に対して画像を記録することができる。これにより視認性が良好で画質の良い画像を得ることができる。埋まりも優れる。また得られる画像の画質は、表面、裏面ともに良好であり、例えば、透明な記録媒体の表面に対して記録を行った場合、記録媒体の裏面側からの視認性も良好とすることができる。さらに、白色インクと非白色インクとを同一の走査で付着できるので、記録速度を向上することができる。
前記記録方法の態様において、
前記記録ヘッドがインクジェットヘッドであり、前記白色インク付着工程及び前記非白色インク付着工程を、前記インクジェットヘッドから前記白色インク及び前記非白色インクを吐出することにより行ってもよい。
この記録方法によれば、小型の装置で少量多種類の印刷を効率よく行うことができる。
前記記録方法の態様において、
前記インクジェットヘッドから吐出される前記白色インクの最大のインク滴質量が、吐出される前記非白色インクの最大のインク滴質量よりも小さくてもよい。
この記録方法によれば、白色インクと非白色インクとの混合の効率がより向上し、得られる画像における面内の画質差をさらに向上できる。
前記記録方法の態様において、
前記走査と、前記走査の方向に交差する方向に、前記記録ヘッドと前記記録媒体の相対的な位置を変える副走査と、を繰り返し行うことにより記録を行ってもよい。
この記録方法によれば、白色インクと非白色インクとをさらに効率よく混合することができる。
前記記録方法の態様において、
前記白色インク及び前記非白色インクを付着させた領域において、単位面積当たりの、前記非白色色材の付着量Bが最も多い領域において、前記質量比(A/B)が、0.03以上0.99以下であってもよい。
この記録方法によれば、白色インクと非白色インクとをさらに効率よく混合することができ、さらに視認性の良い画像を形成することができる。
前記記録方法の態様において、
前記記録媒体の、前記記録ヘッドの1回の走査で走査が行われる走査領域に対して、前記白色インク及び前記非白色インクを、それぞれ2回以上の走査により付着させてもよい。
この記録方法によれば、白色インク及び非白色インクの着弾順序の異ならせることができ、画像において白色インクと非白色インクとの混合がより向上する場合があり、画像の表裏での視認性の差を小さくすることができる。
前記記録方法の態様において、
前記白色インクの前記白色色材の含有量が、1.0質量%以上20.0質量%以下であってもよい。
この記録方法によれば、白色インクの白色色材の含有量が抑制できるので、白色インクの沈降回復性を良好とできる。また、白色インクの白色色材濃度が小さいことにより、非白色インクとの混合をより効率よく進行する。
前記記録方法の態様において、
前記白色インク及び前記非白色インクが、それぞれ水系インクであってもよい。
この記録方法によれば、環境負荷を低減した臭気等の少ない記録を行うことができる。
前記記録方法の態様において、
前記白色インク及び前記非白色インクが、それぞれ標準沸点が150.0℃以上280.0℃以下の有機溶剤を含有してもよい。
この記録方法によれば、画像の定着がより早い記録を行うことができる。
前記記録方法の態様において、
前記白色インク及び前記非白色インクが、それぞれ標準沸点が280.0超の有機溶剤を1.0質量%を超えて含有しなくてもよい。
この記録方法によれば、画像の乾燥がより早い記録を行うことができる。
前記記録方法の態様において、
前記非白色記録媒体が低吸収性又は非吸収性記録媒体であってもよい。
この記録方法によれば、埋まりの良好な画像をより容易に形成できる。
前記記録方法の態様において、
前記非白色記録媒体は、透明記録媒体、非白色の有色記録媒体のいずれかであってもよい。
この記録方法によれば、画質の良好な画像をより容易に形成できる。
インクジェット記録装置の一態様は、
記録媒体を搬送する搬送手段と、
白色色材を含む白色インク及び非白色色材を含む非白色インクを吐出して前記記録媒体に付着させる記録ヘッドと、
前記記録媒体に対して前記記録ヘッドを走査させる走査手段と、
前記搬送手段、前記記録ヘッド及び前記走査手段を制御する制御部と、
を有し、
前記制御部が、
前記白色インク及び前記非白色インクを、
前記走査手段による同一の走査で、前記記録媒体の同一の領域に対して付着させ、
前記同一の領域で、単位面積当たりの、前記白色色材の付着量Aと前記非白色色材の付着量Bの質量比(A/B)が、0.03以上0.99以下となるように付着させる。
このインクジェット記録装置によれば、白色インクと非白色インクとを混合しつつ記録媒体に対して画像を記録することができる。これにより視認性の良好な画像を得ることが
できる。また得られる画像の視認性は、表面、裏面ともに良好であり、例えば、透明な記録媒体の表面に対して記録を行った場合、記録媒体の裏面側からの視認性も良好とすることができる。さらに、白色インクと非白色インクとを同一の走査で付着できるので、記録速度を向上することができる。
1…インクジェット記録装置、2…記録ヘッド、2a…ノズル面、3…IRヒーター、4…プラテンヒーター、5…加熱ヒーター、6…冷却ファン、7…プレヒーター、8…送風ファン、9…キャリッジ、11…プラテン、12…カートリッジ、13…キャリッジ移動機構、14…搬送手段、101…インターフェース部、102…CPU、103…メモリー、104…ユニット制御回路、111…搬送ユニット、112…キャリッジユニット、113…ヘッドユニット、114…乾燥ユニット、121…検出器群、130…コンピューター、CONT…制御部、MS…主走査方向、SS…副走査方向、M…記録媒体

Claims (13)

  1. 記録媒体に記録を行う記録方法であって、
    前記記録媒体が、非白色記録媒体であり、
    白色色材を含む白色インクを前記記録媒体に付着する白色インク付着工程と、
    非白色色材を含む非白色インクを前記記録媒体に付着する非白色インク付着工程と、を備え、
    前記白色インク付着工程及び前記非白色インク付着工程を、記録ヘッドを前記記録媒体に対して走査させて行い、
    前記白色インク付着工程と、前記非白色インク付着工程とを、同一の走査で、前記記録媒体の同一の領域に対して行い、
    前記白色インク付着工程と前記非白色インク付着工程とにより、前記白色インク及び前記非白色インクを付着させた領域において、単位面積当たりの、前記白色色材の付着量Aと前記非白色色材の付着量Bの質量比(A/B)が、0.03以上0.99以下である、記録方法。
  2. 請求項1において、
    前記記録ヘッドがインクジェットヘッドであり、前記白色インク付着工程及び前記非白色インク付着工程を、前記インクジェットヘッドから前記白色インク及び前記非白色インクを吐出することにより行う、記録方法。
  3. 請求項2において、
    前記インクジェットヘッドから吐出される前記白色インクの最大のインク滴質量が、吐出される前記非白色インクの最大のインク滴質量よりも小さい、記録方法。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれか一項において、
    前記走査と、前記走査の方向に交差する方向に、前記記録ヘッドと前記記録媒体の相対的な位置を変える副走査と、を繰り返し行うことにより記録を行う、記録方法。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれか一項において、
    前記白色インク及び前記非白色インクを付着させた領域において、単位面積当たりの、前記非白色色材の付着量Bが最も多い領域において、前記質量比(A/B)が、0.03以上0.99以下である、記録方法。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれか一項において、
    前記記録媒体の、前記記録ヘッドの1回の走査で走査が行われる走査領域に対して、前記白色インク及び前記非白色インクを、それぞれ2回以上の走査により付着させる、記録方法。
  7. 請求項1ないし請求項6のいずれか一項において、
    前記白色インクの前記白色色材の含有量が、1.0質量%以上20.0質量%以下である、記録方法。
  8. 請求項1ないし請求項7のいずれか一項において、
    前記白色インク及び前記非白色インクが、それぞれ水系インクである、記録方法。
  9. 請求項1ないし請求項8のいずれか一項において、
    前記白色インク及び前記非白色インクが、それぞれ標準沸点が150.0℃以上280.0℃以下の有機溶剤を含有する、記録方法。
  10. 請求項1ないし請求項9のいずれか一項において、
    前記白色インク及び前記非白色インクが、それぞれ標準沸点が280.0℃超の有機溶剤を1.0質量%を超えて含有しない、記録方法。
  11. 請求項1ないし請求項10のいずれか一項において、
    前記非白色記録媒体が低吸収性又は非吸収性記録媒体である、記録方法。
  12. 請求項1ないし請求項11のいずれか一項において、
    前記非白色記録媒体は、透明記録媒体、非白色の有色記録媒体のいずれかである、記録方法。
  13. 記録媒体を搬送する搬送手段と、
    白色色材を含む白色インク及び非白色色材を含む非白色インクを吐出して前記記録媒体に付着させる記録ヘッドと、
    前記記録媒体に対して前記記録ヘッドを走査させる走査手段と、
    前記搬送手段、前記記録ヘッド及び前記走査手段を制御する制御部と、
    を有し、
    前記制御部が、
    前記白色インク及び前記非白色インクを、
    前記走査手段による同一の走査で、前記記録媒体の同一の領域に対して付着させ、
    前記同一の領域で、単位面積当たりの、前記白色色材の付着量Aと前記非白色色材の付着量Bの質量比(A/B)が、0.03以上0.99以下となるように付着させる、インクジェット記録装置。
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