JP2021127557A - 窒化アルミニウムファイバーシート及び高熱伝導性材料 - Google Patents

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幸治 中根
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章由 大越
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Abstract

【課題】窒化アルミニウムファイバーシート及び樹脂を含む高熱伝導性材料を提供する。【解決手段】窒化アルミニウム連続繊維からなり、比表面積が30m2/g以下である窒化アルミニウムファイバーシート。【選択図】なし

Description

本発明は、窒化アルミニウムファイバーシート及び高熱伝導性材料に関する。
近年、自動車や電機産業において電子機器の小型化や軽量化が進んでいる。一方で、発熱量の増加による熱暴走、熱疲労等が課題となっている。アルミニウム等に代表される金属は、高熱伝導性を有するが、重量、電気絶縁性の観点から課題がある。高熱伝導性樹脂材料は、高熱伝導性金属材料に比べて、軽量化、電気絶縁性の観点で優れ、置き換えが期待される。そこで、高熱伝導性であって電気絶縁性なフィラーを樹脂に複合することによる樹脂の熱伝導性の改善が広く検討されている。
樹脂の軽量性や加工性といった利点を維持するためには、熱伝導性フィラーを少量添加し、熱伝導経路を効率的に形成することが重要である。そのような観点から、熱伝導性フィラーの形状として粒子状、板状又は繊維状のものが検討されている。例えば、特許文献1には、異なる粒径を有する3つの高熱伝導性アルミナ粒子を複合した熱可塑性樹脂組成物が開示されている。また、特許文献2には、高熱伝導性無機繊維及び高熱伝導性無機粉末を複合した熱可塑性樹脂組成物が開示されている。特許文献3には、織物状のアルミナ繊維をシリコーンゴムで被覆した熱伝導材料について高熱伝導性と屈曲性が記載されている。
本発明者らは、連続繊維状の熱伝導性フィラーとしてアルミナファイバーの利用を報告している(非特許文献1、2、特許文献4)。ポリビニルアルコール(PVA)水溶液にベーマイト粒子を分散させた紡糸液を静電紡糸し、焼成によりPVAを除去することでアルミナファイバーが得られる。そして、アルミナファイバーを樹脂と複合したシートを高熱伝導性材料として利用する。また、連続繊維状の熱伝導性フィラーとしてマグネシアファイバーの利用を報告している(非特許文献3)。PVA水溶液にマグネシウムジエトキシドを加熱溶解させた紡糸液を静電紡糸し、焼成によりPVAを除去することでマグネシアファイバーが得られる。そして、マグネシアファイバーを樹脂と複合したシートを高伝導性材料として利用する。
窒化アルミニウムは、アルミナ及びマグネシア以上の高熱伝導度が期待される。特許文献5には、窒化アルミニウム繊維と樹脂とを複合した熱伝導性材料について熱伝導率が記載されているが、6W/mK以下であり不充分である。窒化アルミニウム繊維のアスペクト比が小さく短繊維であることから、有効な熱伝導経路を形成しないため低い熱伝導性となったと考えられる。熱伝導性向上のために長繊維でも良いことを記載しているが、樹脂との複合する場合はアスペクト比1,000以下が好ましいとしている。また、長繊維と樹脂複合体の具体例は示されていない。
特許文献6には、窒化アルミニウム繊維と樹脂を複合した熱伝導性材料について熱伝導率が記載されているが、5W/mK以下であり不充分である。無機繊維のアスペクト比が小さくウィスカー状(髭状)の短繊維であることから、有効な熱伝導経路を形成しないため低い熱伝導となったと考えられる。
特開平5−132576号公報 特開平8−283456号公報 特許第4343355号公報 国際公開第2018−135517号 特開2020−1981号公報 特開2018−154534号公報
Koji Nakane et al., SENI GAKKAISHI Vol. 71, No.1, 67 (2015) Koji Nakane et al., Journal of Textile Engineering, 65(4), 77-82 (2019) Koji Nakane et al., Journal of Materials Science: Materials in Electronics 30, 20566-20573(2019)
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、窒化アルミニウムファイバーシート及び樹脂を含む高熱伝導性材料を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、比表面積を30m2/g以下にした窒化アルミニウム連続繊維からなる高熱伝導性窒化アルミニウムファイバーシートを適度な量で樹脂と複合させた複合体が、熱伝導性に優れることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、下記窒化アルミニウムファイバーシート及び高熱伝導性材料を提供する。
1.窒化アルミニウム連続繊維からなり、比表面積が30m2/g以下である窒化アルミニウムファイバーシート。
2.前記窒化アルミニウム連続繊維が、アスペクト比が1,000を超えるものである1の窒化アルミニウムファイバーシート。
3.前記窒化アルミニウム連続繊維が、一定方向に配向した窒化アルミニウム連続繊維、無配向な不織布状窒化アルミニウム連続繊維及び三次元状に繋がった窒化アルミニウム連続繊維から選ばれる少なくとも1種からなる1又は2の窒化アルミニウムファイバーシート。
4.前記窒化アルミニウム連続繊維の平均繊維径が、90〜2,000nmである1〜3のいずれかの窒化アルミニウムファイバーシート。
5.前記窒化アルミニウム連続繊維の平均繊維径が、140〜1,000nmである4の窒化アルミニウムファイバーシート。
6.前記窒化アルミニウムファイバーシートの比表面積が20m2/g以下である1〜5のいずれかの窒化アルミニウムファイバーシート。
7.1〜6のいずれかの窒化アルミニウムファイバーシート及び樹脂を含む高熱伝導性材料であって、
前記窒化アルミニウムファイバーシートが、高熱伝導性材料中15〜80体積%含まれる高熱伝導性材料。
8.前記窒化アルミニウムファイバーシートが、前記高熱伝導性材料中20〜75体積%含まれる7の高熱伝導性材料。
9.前記高熱伝導性材料がシート状である7又は8の高熱伝導性材料。
10.前記高熱伝導性材料がシート状であり、その厚さが20〜2,000μmである9の高熱伝導性材料。
11.前記高熱伝導性材料がシート状であり、その厚さが40〜1,500μmである10の高熱伝導性材料。
12.前記樹脂が、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、スチレン樹脂及びシリコーン樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種である7〜11のいずれかの高熱伝導性材料。
13.熱伝導率が、7.0W/mK以上である7〜12のいずれかの高熱伝導性材料。
14.ファイバーに平行方向の熱伝導率が、10.0W/mK以上である13の高熱伝導性材料。
15.前記高熱伝導性材料が、電気絶縁性であり、前記高熱伝導性材料の表面抵抗値が、1×1013Ω/□以上である7〜14のいずれかの高熱伝導性材料。
本発明の高熱伝導性材料は、適度な量の窒化アルミニウム連続繊維を含むため熱伝導性に優れる。
本発明における静電紡糸法を示す概略説明図である。 実施例1−1で得られた窒化アルミニウムファイバーシートAのX線回折図である。 実施例1−3で得られた窒化アルミニウムファイバーシートCのX線回折図である。 実施例1−4で得られた窒化アルミニウムファイバーシートDのX線回折図である。 実施例1−5で得られた窒化アルミニウムファイバーシートEのX線回折図である。 実施例1−8で得られた窒化アルミニウムファイバーシートHのX線回折図である。 実施例2−2で得られたシートB1の走査型電子顕微鏡写真である。 実施例2−6で得られたシートC3の走査型電子顕微鏡写真である。
[窒化アルミニウムファイバーシート]
本発明の窒化アルミニウムファイバーシートは、窒化アルミニウム連続繊維(以下、窒化アルミニウムファイバーともいう。)からなるものである。
前記窒化アルミニウムファイバーは、その比表面積が30m2/g以下であるが、25m2/g以下であることが好ましく、20m2/g以下であることがより好ましい。比表面積を小さくすることで、より高い熱伝導性を得ることができる。なお、本発明において、比表面積は、窒素吸着法(BET法)による測定値である。
前記窒化アルミニウムファイバーは、窒化アルミニウム以外の成分を含んでもよい。窒化アルミニウム以外の成分としては、炭素、酸化カルシウム、アルミナ、マグネシア、酸化イットリウム、酸化セレン、酸化鉄、及び酸化ケイ素等が挙げられる。窒化アルミニウム以外の成分を含む場合、その含有量は、窒化アルミニウムファイバー中、5質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましく、0.1質量%以下がより好ましい。
前記窒化アルミニウムファイバーは連続繊維であり、繊維長÷繊維径で表されるアスペクト比が、1,000を超えるものが好ましく、2,000以上のものがより好ましい。特に、繊維長が長いため両末端が識別できなくなり、アスペクト比が求められない連続繊維であることが好ましい。窒化アルミニウムファイバーが樹脂と複合された場合は、複合体を裁断すると窒化アルミニウムファイバーも裁断される。
前記窒化アルミニウムファイバーは、その平均繊維径が、90〜2,000nmであることが好ましく、140〜1,000nmであることがより好ましい。平均繊維径が前記範囲であれば、樹脂との複合が容易に達成される。なお、本発明において平均繊維径は、窒化アルミニウムファイバーの走査型顕微鏡写真から、画像解析ソフトを用いて求めた値である。また、前記窒化アルミニウムファイバーは、非多孔質であることが好ましい。
前記窒化アルミニウムファイバーは、一定方向に配向した状態、窒化アルミニウムファイバーが無配向な不織布状又は三次元状に繋がった状態でシート化していることが好ましい。この場合、織物状に織る工程が必要ないため、簡便に製造できる。
[窒化アルミニウムファイバーシートの製造方法]
本発明の窒化アルミニウムファイバーシートの製造方法は、
(1)アルミニウム源及び水溶性高分子を含む分散液からアルミニウム源を含むファイバーシートを作製する工程、及び
(2)作製したアルミニウム源含有ファイバーシートを窒素雰囲気下において焼成する工程
を含む。
[工程(1)]
工程(1)は、アルミニウム源及び水溶性高分子を含む分散液からアルミニウム源及び水溶性高分子を含むファイバーシートを作製する工程である。
前記アルミニウム源としては、ベーマイト、アルミナ、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、シュウ酸アルミニウム、水酸化アルミニウム等が好ましく、特にベーマイト粒子及びアルミナゾルが好ましい。また、アルミニウム源のかわりに、窒化アルミニウム粒子を原料として窒化アルミニウムファイバーを得ることもできる。
前記ベーマイト粒子としては、特に限定されないが、例えば、サソール社製「DISPERAL」及び「DISPAL」、河合石灰(株)製「セラシュール」(登録商標)、大明化学工業(株)製「ベーマイト粉体」等が挙げられる。また、アルミナゾル粒子としては、特に限定されないが、例えば、日産化学工業(株)製アルミナゾル「AS-200」、「AS-550」、「AS-520」、川研ファインケミカル(株)製アルミナゾル「10A」、「10C」、「10D」、「A2」、「CSA-110A」、「F-1000」、「F-3000」、多木化学(株)製バイラール(登録商標)「Al-L7」、「Al-ML15」、「Al-C20」、「AS-l10」等が挙げられる。前記アルミニウム源としてベーマイト粒子又はアルミナゾル粒子を使用する場合、その一次粒子径は、紡糸液中での分散安定性及び焼成時の焼結性の観点から、2〜200nmが好ましく、5〜100nmがより好ましい。なお、本発明において一次粒子径は、レーザー回折法による測定値である。前記アルミニウム源は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。前記アルミニウム源の含有量は、分散液中1〜40質量%が好ましく、2〜30質量%がより好ましく、3〜20質量%がより一層好ましい。
前記アルミニウム源は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。前記アルミニウム源の含有量は、分散液中0.5〜40質量%が好ましく、1〜30質量%がより好ましく、2〜20質量%がより一層好ましい。
前記水溶性高分子としては、例えば、PVA、PVA誘導体、セルロース、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリル酸塩、ポリ酢酸ビニルエマルション、ポリビニルピロリドン、エチレン酢酸ビニル共重合体エマルション等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。前記水溶性高分子の含有量は、分散液中3〜20質量%が好ましく、4〜15質量%がより好ましく、5〜10質量%がより一層好ましい。
前記分散液に使用し得る溶媒としては、前記水溶性高分子を溶解し、アルミニウム源を分散できる水がよい。更に、水に溶解する溶媒を2種以上混合してもよい。水に混合可能な溶媒としては、例えば、アセトン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、エチルメチルケトン(MEK)、イソブチルメチルケトン(MIBK)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ブチルセロソルブ、テトラヒドロフラン(THF)、1,4−ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、シクロヘキサノン、乳酸エチル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、γ−ブチロラクトン、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸等が挙げられる。その他の溶媒を含む場合、その含有量は、前記水溶性高分子が溶解し得る限り特に限定されない。
前記ファイバーシートは、前記分散液を用いて、静電紡糸法、凍結乾燥法又は乳化法によって作製することが好ましい。
静電紡糸法によるファイバーシートの作製方法について説明する。図1は、本発明における静電紡糸法を示す概略説明図である。静電紡糸法は、電圧供給装置1により電圧を印加された金属ノズル2からアースされたコレクタ3に紡糸液を射出する。紡糸液が飛散中に溶媒は揮発し、固形分がファイバー状にコレクタ3に集積する方法である。静電紡糸法は、電界紡糸法あるいはエレクトロスピニング法とも呼ばれる。
静電紡糸法は、市販の装置で行うことができる。紡糸条件は適宜選択され、例えば、紡糸距離4(金属ノズル−ファイバー捕集コレクタ間距離)が5〜30cm、金属ノズルとファイバー捕集コレクタ間の印加電圧が5〜50kV、紡糸液射出量が0.1〜5.0mL/時間とすることができる。ファイバー捕集コレクタ3は、ドラム状や平板状のものを用いることができる。ドラム状ファイバー捕集コレクタを用いると、ドラムを高速回転させることにより金属ノズルから射出されたファイバーがドラムに巻き取られ、ファイバーが一定方向に配向したシートを得ることができる。ドラム状ファイバー捕集コレクタの回転数は、例えば50〜5,000回転/分で使用される。平板状ファイバー捕集コレクタを使用した場合又はドラム状ファイバー捕集コレクタを低速回転で使用した場合は、無配向なファイバーからなる不織布状のシートが得られる。
[工程(2)]
工程(2)は、工程(1)で作製したアルミニウム源と水溶性高分子とを含むファイバーシートを窒素雰囲気下で焼成した後、大気雰囲気下において再焼成を行い、窒化アルミニウムファイバーシートを作製する工程である。
焼成は、電気炉、ガス炉等の焼成炉を用いて行うことができる。また、焼成は、窒素雰囲気下で行い、水溶性高分子由来の炭素成分の消失、及びアルミナが窒化アルミニウムに還元される条件が好ましい。アルミニウム源は水溶性高分子由来の炭素により窒素還元され窒化アルミニウムとなる。アルミナと炭素成分の混合物を窒素下に焼成を行い、窒化アルミニウムを得る方法は一般に還元窒化法と呼ばれる。
焼成温度は、高い熱伝導性を得るために窒化アルミニウムファイバーシートの比表面積を減少させられる温度が好ましく、1,450℃以上が好ましい。焼成温度の上限は、特に限定されないが、窒化アルミニウムが溶融しない温度以下であることが好ましく、2,200℃以下が好ましいが、繊維形状を維持するために1,600℃以下がより好ましい。なお、焼成温度に達するまでは、20℃/分以下の昇温速度で昇温させることが好ましい。昇温速度としては、15℃/分以下がより好ましく、10℃/分以下がより好ましい。昇温速度が前記範囲であれば、水溶性高分子由来の炭素成分の消失と、窒化アルミニウムの比表面積減少と無孔化が進む。
窒素雰囲気下の焼成時間は、3時間以上が好ましく、5時間以上がより好ましく、10時間以上がより一層好ましい。焼成時間の上限は特に限定されないが、好ましくは30時間、より好ましくは20時間である。
窒素雰囲気下の焼成に続き、大気雰囲気下において再焼成を行う。再焼成温度は700℃以下が好ましく、600℃以下がより好ましい。前記温度範囲であれば、窒化アルミニウムの再酸化を防ぎ、水溶性高分子由来の炭素消失が進む。
再焼成時間は、1時間以上が好ましく、3時間以上がより好ましく、5時間以上がより一層好ましい。再焼成時間の上限は特に限定されないが、好ましくは20時間、より好ましくは10時間である。
焼成時間及び再焼成時間が前記範囲であれば、窒化アルミニウムの生成が進み、水溶性高分子由来の炭素成分の消失及び窒化アルミニウムの比表面積減少と無孔化とが進む。
窒化アルミニウムファイバーは、その平均繊維径が90〜2,000nmであることが好ましく、140〜1,000nmであることがより好ましい。平均繊維径が前記範囲であれば、樹脂との複合が容易に達成され、樹脂表面の平滑性を損なうこともない。
また、窒化アルミニウムファイバーシートの厚みは、10〜2,000μmが好ましく、20〜1,500μmがより好ましく、40〜1,000μmがより一層好ましい。
[高熱伝導性材料]
本発明の高熱伝導性材料は、前記窒化アルミニウムファイバーシート及び樹脂を含む。前記樹脂としては、例えば、PVA、PVA誘導体、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリビニルピロリドン、ポリウレタンエラストマー等のポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、ポリフッ化ビニリデン等のポリオレフィン系樹脂、ポリメチルメタクリレート等の(メタ)アクリル樹脂、ポリエチレンサクシネート/アジペート等のポリエステル樹脂、ポリスチレン、ハイインパクトポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、メタクリル酸メチル−スチレン共重合体等のポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、ポリカーボネート系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリ乳酸、ポリ−3−ヒドロキシ酪酸、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンオキシド、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリグルコール酸、変性でんぷん、酢酸セルロース、三酢酸セルロース等のセルロース誘導体、キチン、キトサン、リグニン等が挙げられる。これらのうち、PVA、PVB、ポリスチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂等が好ましい。前記樹脂は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明の高熱伝導性材料における窒化アルミニウムファイバーシートの含有量の下限は、10体積%であるが、15体積%がより好ましい。また、その上限は、75体積%であるが、70体積%がより好ましい。前記範囲で窒化アルミニウムファイバーシートを含むことで、高い熱伝導性が得られる。
本発明の高熱伝導性材料は、高い熱伝導性を有する。具体的には、熱伝導率が、7.0W/mK以上とすることができ、好ましくは10W/mK以上、より好ましくは13W/mK以上とすることができる。
本発明の高熱伝導性材料は、電気絶縁性の高熱伝導性粒子を含むことができる。このような高熱伝導性粒子としては、例えば、窒化アルミニウム、アルミナ、マグネシア、シリカ、窒化ホウ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素、炭化ホウ素、ダイヤモンド等が挙げられる。前記高熱伝導性粒子は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明の高熱伝導性材料は、窒化アルミニウム以外の無機繊維を含むことができる。無機繊維としては、例えばガラス繊維、アルミナ繊維、マグネシア繊維、シリカ繊維、セラミック繊維、炭化ケイ素繊維、岩石繊維が挙げられる。前記無機繊維は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明の高熱伝導性材料は、電気絶縁性であることが好ましい。具体的には、表面抵抗値が、1×1011Ω/□以上とすることができ、好ましくは1×1012Ω/□以上、より好ましくは1×1013Ω/□以上とすることができる。
[高熱伝導性材料の製造方法]
本発明の高熱伝導性材料は、前記窒化アルミニウムファイバーシートに樹脂溶液を含浸させ、窒化アルミニウムファイバーと樹脂との複合体を形成させることにより製造することができる。なお、窒化アルミニウムファイバーシートは、前記複合体中1枚のみが含まれていてもよく、複数枚が含まれていてもよい。
得られる複合体が高熱伝導性を示すためには、適度に窒化アルミニウムファイバーを含む必要がある。前記樹脂溶液中の樹脂濃度は、40質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、20質量%以下がより一層好ましい。樹脂濃度が40質量%を超えると、特に、50質量%以上であると、樹脂溶液中の樹脂の割合が多いため、複合体中の樹脂の含有量が多く、窒化アルミニウムファイバーは低含有量となり、高熱伝導性を示さないことがある。なお、前述した樹脂は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
前記樹脂溶液に用いる溶媒としては、前記樹脂を溶解し得るものであれば特に限定されない。例えば、水、アセトン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、MEK、MIBK、PGME、PGMEA、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ブチルセロソルブ、THF、1,4−ジオキサン、DMF、DMAc、NMP、シクロヘキサノン、乳酸エチル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、γ−ブチロラクトン、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸等が挙げられる。前記溶媒は、1種単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
焼成した窒化アルミニウムファイバーシートに樹脂溶液を含浸させる方法としては、樹脂を溶解させた溶液を滴下する方法、モノマーを溶解させた溶液を滴下し、後の加熱工程でモノマーを反応させる方法等が挙げられる。
焼成した窒化アルミニウムファイバーシートに樹脂溶液を含浸させた後、必要に応じて減圧を行い、加熱して溶媒の除去と樹脂の硬化とを行うことで複合体を得ることができる。このとき、減圧は、樹脂が隙間なく含浸できる限り必要はないが、減圧をする場合は1,000Pa以下にすることが好ましく、100Pa以下にすることがより好ましい。加熱は、溶媒を除去し樹脂の硬化を行うことができ、かつ樹脂が熱分解しない限り特に限定されないが、通常100〜140℃で行うことが好ましく、110〜130℃で行うことがより好ましい。また、加熱時間は、通常30分以上が好ましく、1時間以上がより好ましい。
以上の方法によって、窒化アルミニウムファイバーシートを含む窒化アルミニウムファイバーシートと樹脂との複合体を製造することができる。前記複合体の厚みは、20〜4,000μmが好ましく、30〜3,000μmが好ましく、40〜1,500μmがより好ましい。
本発明の高熱伝導性材料は、放熱材料として利用でき、例えば、放熱シート、放熱テープ、放熱回路基板、放熱筐体、放熱封止剤、ヒートシンク、ヒートパイプ等の放熱部材用の柔軟性放熱材料として好適に利用できる。また、これらの放熱部材は、例えば、LED、パワー半導体、CPU、リチウムイオン電池等のデバイスに好適に利用できる。更に、これらの放熱デバイスは、例えば、携帯電話、スマートフォン、デジタルカメラ、テレビ、ハードディスクレコーダー、タブレットパソコン、ノートパソコン、デスクトップパソコン等のデジタル家電製品、ハイブリッド自動車、電気自動車、燃料電池自動車等の次世代自動車、家庭用照明、産業用照明、車載用照明等の次世代照明装置、太陽電池、燃料電池、地熱発電等の次世代発電装置、水電解による水素製造等次世代エネルギーキャリア製造装置等に好適に利用できる。
以下、製造例、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記実施例に限定されない。
以下の例において、試料の調製及び物性の分析に用いた装置及び条件は、以下のとおりである。
(1)静電紡糸法:インフュージョンポンプ(シリンジポンプ):(有)メルクエスト製FP-1000、高圧電源:松定プレシジョン(株)製HR-40R0.75
(2)走査型電子顕微鏡:(株)キーエンス製VE-9800、又は(株)日立ハイテクノロジーズ製Miniscope TM3000
(3)X線回折装置:(株)リガク製MiniFlex 2(Niフィルター、CuKα線、30kV、15mA)
(4)熱重量分析装置:BRUKER社製TG-DTA 2000SA
(5)熱拡散率測定装置:(株)ベテル製サーモウェーブアナライザーTA-35
(6)比表面積測定装置:マイクロトラック・ベル(株)製BELSORP-mini II
(7)超絶縁抵抗計:日置電機株式会社製SM-8200
(8)焼成炉:高温ガス置換炉:アサヒ理化製作所社製AHRF-50KC-32P
また、以下の例において、用いた試薬は、以下のとおりである。
・PVA:ポリビニルアルコール、富士フィルム和光純薬(株)製(平均重合度:1,500、ケン化度:99%)
・10質量%PVA水溶液:前記ポリビニルアルコールを蒸留水に溶解して作製した。
・ベーマイト粉末:サソール社製DISPERAL P2(アルミナ成分72%、一次粒子径20nm)
・アルキルシリケートシリカ:多摩化学工業株式会社製シリケート40
・酸化イットリウム:関東化学株式会社試薬酸化イットリウム
・PVB:ポリビニルブチラール、(株)クラレ製モビタール
・エタノール:純正化学(株)製
・PUエマルション:ポリウレタンエマルション、第一工業製薬(株)製スーパーフレックス300、固形分30質量%
・シリコーン樹脂:信越化学工業(株)製KR-112、固形分70質量%
・トルエン:東京化成工業(株)製
・トリグリシジルイソシアヌレート:日産化学(株)製TEPIC
・フェノールノボラック樹脂:DIC(株)製フェノライトTD213
・NMP:純正化学(株)製
・2−エチル−4−メチルイミダゾール:関東化学(株)製
以下の例において、窒化アルミニウムファイバーの平均繊維径は、窒化アルミニウムファイバーの走査型顕微鏡写真から画像解析ソフト「Adobe Photoshop CS3」を用いて、繊維径を10箇所測定したものの平均値である。窒化アルミニウムファイバーの平均繊維長は、窒化アルミニウムファイバーの走査型顕微鏡写真から画像解析ソフト「Adobe Photoshop CS3」を用いて、繊維長を10箇所測定したものの平均値である。窒化アルミニウムファイバーのアスペクト比は、アスペクト比=繊維長÷繊維径により計算から求めた。
[1]窒化アルミニウムファイバーシートの製造
[実施例1−1]
10質量%PVA水溶液10.0質量部に、アルミニウム源としてベーマイト粉末0.598質量部を添加し、攪拌して分散させた。得られた水分散液2mLを紡糸液とし、先端に金属ノズルが取り付けられたシリンジ内に充填した。ファイバー捕集のコレクタとしては、直径15cmの回転ドラムを使用した。金属ノズルとドラムコレクタとを電圧供給装置に電気的に接続した。電圧供給装置により、ドラムコレクタ側をアースとして金属ノズル側に20kVの電圧を印加した。金属ノズルとドラムコレクタとの距離は、15cmに調整した。ドラムコレクタは、毎分4,000回転で回転させた。シリンジから押出速度1.0mL/hにて紡糸液を回転するドラムコレクタに向けて射出することにより、PVAとベーマイトとからなるファイバーを回転するドラムコレクタ上に形成させ、アルミニウム源を含むファイバーシートを得た。
前記アルミニウム源を含むファイバーシートを電気炉内に入れ、窒素雰囲気下(流量3.5L/分)、昇温速度10℃/分にて、焼成温度1,500℃まで昇温した。1,500℃で10時間焼成した後、600℃まで放冷し大気下600℃で5時間再焼成を行った。室温まで冷却することにより、窒化アルミニウムファイバーシートAを得た。窒化アルミニウムファイバーシートAのX線回折図を、図2に示す。
窒化アルミニウムファイバーシートA中の窒化アルミニウムファイバーの平均繊維径は、170nmであった。窒化アルミニウムファイバーシートAの比表面積は20.9m2/gであった。また、窒化アルミニウムファイバーの繊維長が長いため両末端が識別できず、アスペクト比は算出できなかった。
[実施例1−2]
窒素雰囲気下の焼成時間を4時間とした以外は、製造例1と同様の方法で窒化アルミニウムファイバーBを作製した。窒化アルミニウムファイバーシートFのX線回折図から窒化アルミニウムファイバーの生成が確認された。
窒化アルミニウムファイバーシートB中の窒化アルミニウムファイバーの平均繊維径は、200nmであった。窒化アルミニウムファイバーシートBの比表面積は23.7m2/gであった。また、窒化アルミニウムファイバーの繊維長が長いため両末端が識別できず、アスペクト比は算出できなかった。
[実施例1−3]
10質量%PVA水溶液10.0質量部に、アルミニウム源としてベーマイト粉末0.598質量部、及びシリケート40 0.022質量部を添加し、攪拌して分散させた。得られた水分散液2mLを紡糸液とし、実施例1−1と同様の方法で窒化アルミニウムファイバーCを作製した。窒化アルミニウムファイバーシートCのX線回折図を、図3に示す。
窒化アルミニウムファイバーシートC中の窒化アルミニウムファイバーの平均繊維径は、190nmであった。窒化アルミニウムファイバーシートCの比表面積は25.1m2/gであった。また、窒化アルミニウムファイバーの繊維長が長いため両末端が識別できず、アスペクト比は算出できなかった。
[実施例1−4]
窒素雰囲気下の焼成時間を20時間とした以外は、実施例1−3と同様の方法で窒化アルミニウムファイバーDを作製した。窒化アルミニウムファイバーシートDのX線回折図を、図4に示す。
窒化アルミニウムファイバーシーD中の窒化アルミニウムファイバーの平均繊維径は、200nmであった。窒化アルミニウムファイバーシートDの比表面積は17.7m2/gであった。また、窒化アルミニウムファイバーの繊維長が長いため両末端が識別できず、アスペクト比は算出できなかった。
[実施例1−5]
10質量%PVA水溶液10.0質量部に、アルミニウム源としてベーマイト粉末0.598質量部、シリケート40 0.022質量部、及び酸化イットリウム0.0054質量部を添加し、攪拌して分散させた。得られた水分散液2mLを紡糸液とし、実施例1−1と同様の方法で窒化アルミニウムファイバーEを作製した。窒化アルミニウムファイバーシートEのX線回折図を、図5に示す。
窒化アルミニウムファイバーシートE中の窒化アルミニウムファイバーのアスペクト比は、繊維長が長いため両末端が識別できず、算出できなかった。
[実施例1−6]
ファイバー捕集のコレクタを、ドラムコレクタから平板状コレクタにかえた以外は、実施例1−1と同様の方法で窒化アルミニウムファイバーFを作製した。窒化アルミニウムファイバーシートFのX線回折図から窒化アルミニウムファイバーの生成が確認された。
窒化アルミニウムファイバーシートF中の窒化アルミニウムファイバーの平均繊維径は、190nmであった。窒化アルミニウムファイバーシートFの比表面積は18.0m2/gであった。また、窒化アルミニウムファイバーの繊維長が長いため両末端が識別できず、アスペクト比は算出できなかった。
[実施例1−7]
焼成温度を1,450℃で10時間とした以外は、実施例1−1と同様の方法で窒化アルミニウムファイバーシートGを得た。窒化アルミニウムファイバーシートGのX線回折図から窒化アルミニウムファイバーの生成が確認された。
窒化アルミニウムファイバーシートG中の窒化アルミニウムファイバーのアスペクト比は、繊維長が長いため両末端が識別できず、算出できなかった。
[実施例1−8]
10質量%PVA水溶液10.0質量部に、アルミニウム源としてベーマイト粉末0.598質量部、及び酸化イットリウム0.022質量部を添加し、攪拌して分散させた。得られた水分散液2mLを紡糸液とし、実施例1−1と同様の方法で窒化アルミニウムファイバーHを作製した。窒化アルミニウムファイバーシートHのX線回折図を、図6に示す。窒化アルミニウムファイバーシートHの比表面積は12.4m2/gであった。
窒化アルミニウムファイバーシートH中の窒化アルミニウムファイバーのアスペクト比は、繊維長が長いため両末端が識別できず、算出できなかった。
[比較例1−1]
窒素下の焼成条件を1,400℃で10時間とした以外は、製造例1と同様の方法で、ファイバーシートIを得た。ファイバーシートIのX線回折図から、窒化アルミニウムは得られなかった。焼成温度が低く、窒素による還元が進まなかったと考えられる。
[比較例1−2]
大気下の再焼成条件を800℃で10時間とした以外は、製造例1と同様の方法で、ファイバーシートJを得た。ファイバーシートJのX線回折図から、窒化アルミニウムの生成は確認されず、アルミナが確認された。再焼成温度が高く、酸素により窒化アルミニウムがアルミナに再酸化されたと考えられる。
[2]高熱伝導性材料の製造
以下の例において、複合シート中の窒化アルミニウムファイバーシート含有量(体積%)は、熱重量分析計を用いて10℃/分で500℃まで昇温することにより、複合シート中の窒化アルミニウムファイバーシート含有量を質量%として計測し、この値と窒化アルミニウムと樹脂の比重とから計算して得られた値である。
[実施例2−1]
PVBをエタノールに固形分5.0質量%になるよう溶解し、窒化アルミニウムファイバーシートA24.9質量部に当該PVB溶液136質量部を含浸させた。真空下、120℃で水の除去を行い、窒化アルミニウムファイバーシートAとPVBとのシート状複合体であるシートA1を得た。シートA1の厚さは、114μmであった。
シートA1について、熱重量分析計を用いて10℃/分で500℃まで昇温することにより、シートA1中の窒化アルミニウムファイバーシート含有量を計測した。シートA1中の窒化アルミニウムファイバーシート含有量は、54体積%であった。
シートA1の走査型電子顕微鏡観察から、シートA1において、窒化アルミニウムファイバーは連続繊維であり、長繊維が一定方向に配向した状態で複合されていたことを確認した。
[実施例2−2]
PVBをエタノールに固形分5.0質量%になるよう溶解し、窒化アルミニウムファイバーシートB24.5質量部に当該PVB溶液200質量部を含浸させた。真空下、120℃で水の除去を行い、窒化アルミニウムファイバーシートAとPVBとのシート状複合体であるシートB1を得た。シートB1の厚さは、106μmであった。
実施例2−1と同様の測定法からシートB1中の窒化アルミニウムファイバーシート含有量は、45体積%であった。
シートB1の走査型電子顕微鏡写真を図7に示す。シートB1において、窒化アルミニウムファイバーは連続繊維であり、長繊維が一定方向に配向した状態で複合されていた。
[実施例2−3]
PVBをエタノールに固形分5.0質量%になるよう溶解し、窒化アルミニウムファイバーシートC25.1質量部に当該PVB溶液137質量部を含浸させた。真空下、120℃で水の除去を行い、窒化アルミニウムファイバーシートCとPVBとのシート状複合体であるシートC1を得た。シートC1の厚さは、154μmであった。
実施例2−1と同様の測定法からシートC1中の窒化アルミニウムファイバーシート含有量は、54体積%であった。
シートC1の走査型電子顕微鏡観察から、シートC1において、窒化アルミニウムファイバーは連続繊維であり、長繊維が一定方向に配向した状態で複合されていたことを確認した。
[実施例2−4]
PVBをエタノールに固形分5.0質量%になるよう溶解し、窒化アルミニウムファイバーシートD25.5質量部に当該PVB溶液170質量部を含浸させた。真空下、120℃で水の除去を行い、窒化アルミニウムファイバーシートDとPVBとのシート状複合体であるシートD1を得た。シートD1の厚さは、130μmであった。
実施例2−1と同様の測定法からシートD1中の窒化アルミニウムファイバーシート含有量は、47体積%であった。
シートD1の走査型電子顕微鏡観察から、シートD1において、窒化アルミニウムファイバーは連続繊維であり、長繊維が一定方向に配向した状態で複合されていたことを確認した。
[実施例2−5]
PVBをエタノールに固形分7.5質量%になるよう溶解し、窒化アルミニウムファイバーシートC24.8質量部に当該PVB溶液205質量部を含浸させた。真空下、120℃で水の除去を行い、窒化アルミニウムファイバーシートCとPVBとのシート状複合体であるシートC2を得た。シートC2の厚さは、128μmであった。
実施例2−1と同様の測定法からシートC2中の窒化アルミニウムファイバーシート含有量は、35体積%であった。
シートC2の走査型電子顕微鏡観察から、シートC2において、窒化アルミニウムファイバーは連続繊維であり、長繊維が一定方向に配向した状態で複合されていたことを確認した。
[実施例2−6]
PVBをエタノールに固形分2.5質量%になるよう溶解し、窒化アルミニウムファイバーシートC24.7質量部に当該PVB溶液110質量部を含浸させた。真空下、120℃で水の除去を行い、窒化アルミニウムファイバーシートCとPVBとのシート状複合体であるシートC3を得た。シートC3の厚さは、189μmであった。
実施例2−1と同様の測定法からシートC3中の窒化アルミニウムファイバーシート含有量は、73体積%であった。
シートC3の走査型電子顕微鏡写真を図8に示す。シートC3において、窒化アルミニウムファイバーは連続繊維であり、長繊維が一定方向に配向した状態で複合されていた。
[実施例2−7]
PVBをエタノールに固形分20質量%になるよう溶解し、窒化アルミニウムファイバーシートF22.0質量部に当該PVB溶液110質量部を含浸させた。真空下、120℃で水の除去を行い、窒化アルミニウムファイバーシートFとPVBとのシート状複合体であるシートF1を得た。シートF1の厚さは、120μmであった。
実施例2−1と同様の測定法からシートF1中の窒化アルミニウムファイバーシート含有量は、25体積%であった。
シートF1の走査型電子顕微鏡観察からシートF1において、窒化アルミニウムファイバーは連続繊維であり、長繊維が無配向な状態で複合されていた。
[実施例2−8]
PVAを蒸留水に固形分10質量%になるよう溶解し、窒化アルミニウムファイバーシートHに当該PVA溶液を含浸させた。真空下、120℃で水の除去を行い、窒化アルミニウムファイバーシートHとPVAとのシート状複合体であるシートH1を得た。シートH1の厚さは、60μmであった。
シートH1について、熱重量分析計を用いて10℃/分で500℃まで昇温することにより、シートH1中の窒化アルミニウムファイバーシート含有量を計測した。シートH1中の窒化アルミニウムファイバーシート含有量は、25体積%であった。
[実施例2−9]
シリコーン樹脂をトルエンで7分の1に希釈した溶液(固形分10質量%)を調製し、窒化アルミニウムファイバーシートH25.0質量部に当該希釈溶液240.0質量部を含浸させた。150℃でトルエンの除去とシリコーン樹脂の加熱硬化とを行い、窒化アルミニウムファイバーシートHとシリコーン樹脂とのシート状複合体であるシートH2を得た。シートH2の厚さは、110μmであった。また、シートH2中の窒化アルミニウムファイバーシート含有量は、25体積%と計算された。
[実施例2−10]
PUエマルションを3分の1にエタノールで希釈した溶液(固形分10質量%)を調製し、窒化アルミニウムファイバーシートHに当該希釈溶液を含浸させた。真空下、120℃で水の除去を行い、窒化アルミニウムファイバーシートHとPUとのシート状複合体であるシートH3を得た。シートH3の厚さは、59μmであった。
シートH3について、熱重量分析計を用いて10℃/分で500℃まで昇温することにより、シートH3中の窒化アルミニウムファイバーシート含有量を計測した。シートH3中の窒化アルミニウムファイバーシート含有量は、27体積%であった。
[実施例2−11]
ガラス容器に、トリグリシジルイソシアヌレート5.0質量部、フェノールノボラック樹脂5.2質量部及びNMP92.0質量部を加え、60℃で加熱攪拌した。該NMP溶液を室温に冷却し、2−エチル−4−メチルイミダゾール0.050質量部を添加し、攪拌することで、固形分10質量%のNMP溶液を作製した。窒化アルミニウムファイバーシートH27.0質量部に当該NMP溶液340質量部を含浸させた。100℃で5分間、その後180℃で1時間加熱することで、窒化アルミニウムファイバーシートとエポキシ樹脂のシート状複合体であるシートH4を得た。シートH4の厚さは、41μmであった。また、シートH4中の窒化アルミニウムファイバーシート含有量は、25体積%と計算された。
[比較例2−1]
PVAを蒸留水に固形分10質量%になるよう溶解し、シリコーンシート上に滴下した。室温で一晩乾燥させた後、120℃で水の除去とPVAの加熱硬化とを行い、窒化アルミニウムファイバーシートを含まないPVAシートK1を得た。シートK1の厚さは109μmであった。
[比較例2−2]
シリコーン樹脂をトルエンで7分の1に希釈したトルエン溶液(固形分10質量%)を調製し、シリコーンシート上に滴下した。室温で一晩乾燥させた後、150℃でトルエンの除去とシリコーン樹脂の加熱硬化とを行い、窒化アルミニウムファイバーシートを含まないシリコーンシートK2を得た。シートK2の厚さは111μmであった。
[比較例2−3]
PUエマルションを3分の1に希釈した水溶液(固形分10質量%)を調製し、シリコーンシート上に滴下した。室温で一晩乾燥させた後、150℃でトルエンの除去とPUの加熱硬化とを行い、窒化アルミニウムファイバーシートを含まないPUシートK3を得た。シートK3の厚さは126μmであった。
[比較例2−4]
PVBをエタノールに固形分10重量%になりよう溶解した水溶液を調製し、シリコーンシート上に滴下した。室温で一晩乾燥させた後、120℃でエタノールの除去とPVBの加熱硬化とを行い、窒化アルミニウムファイバーシートを含まないPVBシートK4を得た。シートK4の厚さは105μmであった。
[3]高熱伝導性材料の評価
[実施例3−1〜3−11]
実施例2−1〜2−11で得られたシートについて、熱拡散率測定装置を用いて、熱拡散率を測定した。熱拡散率から熱伝導率への計算は、窒化アルミニウムの比重3,300kg/m3、窒化アルミニウムの比熱725J/kg℃、PVBの比重1,100kg/m3、PVBの比熱1,968J/kg℃、PU樹脂の比重1,200kg/m3、PU樹脂の比熱1,900J/kg℃、PVAの比重1,250kg/m3、PVAの比熱1,968J/kg℃、シリコーン樹脂の比重1,060kg/m3、シリコーン樹脂の比熱1,200J/kg℃、エポキシ樹脂の比重1,400kg/m3、エポキシ樹脂の比熱1,400J/kg℃を用いた。シートにおけるそれぞれの含有量からシートの比重と比熱の計算を行った。
実施例2−1〜2−11で得られたシートについて、熱拡散率の測定及び熱伝導率の計算を行った。表1に、ファイバーに平行方向の熱伝導率(4箇所の平均値)、ファイバーに直角方向の熱伝導率(4箇所の平均値)、無配向なファイバーが複合されたシートの平面方向の熱伝導率(4か所の平均)、シート厚さ方向の熱伝導率(6箇所の平均値)を示す。
Figure 2021127557
表1に示した結果より、本発明の高熱導電性材料は、7.0W/mK以上の高熱伝導率を示した。
[比較例3−1〜3−4]
比較例2−1〜2−4で得られたシートについて、熱拡散率の測定及び熱伝導率の計算を行った。表2に、シートの平面方向の熱伝導率(4か所の平均)、シート厚さ方向の熱伝導率(6箇所の平均値)を示す。
Figure 2021127557
[実施例4−1]
実施例2−1で得られたシートについて超絶縁抵抗計を用いて体積抵抗率の測定を行った。得られた体積抵抗率(3回の平均値)は、1.0×1015Ω・cmであった。PVBと窒化アルミニウムはいずれも電気絶縁性であることから、複合体も充分な電気絶縁性を示したと考えられる。
1 電圧供給装置
2 金属ノズル
3 ドラム型コレクタ
4 紡糸距離

Claims (15)

  1. 窒化アルミニウム連続繊維からなり、比表面積が30m2/g以下である窒化アルミニウムファイバーシート。
  2. 前記窒化アルミニウム連続繊維が、アスペクト比が1,000を超えるものである請求項1記載の窒化アルミニウムファイバーシート。
  3. 前記窒化アルミニウム連続繊維が、一定方向に配向した窒化アルミニウム連続繊維、無配向な不織布状窒化アルミニウム連続繊維及び三次元状に繋がった窒化アルミニウム連続繊維から選ばれる少なくとも1種からなる請求項1又は2記載の窒化アルミニウムファイバーシート。
  4. 前記窒化アルミニウム連続繊維の平均繊維径が、90〜2,000nmである請求項1〜3のいずれか1項記載の窒化アルミニウムファイバーシート。
  5. 前記窒化アルミニウム連続繊維の平均繊維径が、140〜1,000nmである請求項4記載の窒化アルミニウムファイバーシート。
  6. 前記窒化アルミニウムファイバーシートの比表面積が20m2/g以下である請求項1〜5のいずれか1項記載の窒化アルミニウムファイバーシート。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項記載の窒化アルミニウムファイバーシート及び樹脂を含む高熱伝導性材料であって、
    前記窒化アルミニウムファイバーシートが、高熱伝導性材料中15〜80体積%含まれる高熱伝導性材料。
  8. 前記窒化アルミニウムファイバーシートが、前記高熱伝導性材料中20〜75体積%含まれる請求項7記載の高熱伝導性材料。
  9. 前記高熱伝導性材料がシート状である請求項7又は8記載の高熱伝導性材料。
  10. 前記高熱伝導性材料がシート状であり、その厚さが20〜2,000μmである請求項9記載の高熱伝導性材料。
  11. 前記高熱伝導性材料がシート状であり、その厚さが40〜1,500μmである請求項10記載の高熱伝導性材料。
  12. 前記樹脂が、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、スチレン樹脂及びシリコーン樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項7〜11のいずれか1項記載の高熱伝導性材料。
  13. 熱伝導率が、7.0W/mK以上である請求項7〜12のいずれか1項記載の高熱伝導性材料。
  14. ファイバーに平行方向の熱伝導率が、10.0W/mK以上である請求項13記載の高熱伝導性材料。
  15. 前記高熱伝導性材料が、電気絶縁性であり、前記高熱伝導性材料の表面抵抗値が、1×1013Ω/□以上である請求項7〜14のいずれか1項記載の高熱伝導性材料。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN115850966A (zh) * 2022-11-25 2023-03-28 郑州博凯利生态工程有限公司 一种高耐磨纳米复合纤维刹车片填充母料及制备方法

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