JP2021126050A - リグナン類化合物をクローブ油に溶解して含有する組成物、及びセサミンの溶解性を高める方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】透明性が維持され、かつリグナン類化合物をクローブ油に高濃度に溶解して含有する組成物の提供。【解決手段】セサミン、セサモリンを含むリグナン類化合物をクローブ油に溶解して含有する組成物。【選択図】なし

Description

ゴマに含まれるセサミン、セサモリン等リグナン類化合物は、コレステロール低下作用(非特許文献1)、抗高血圧作用(非特許文献2,3)、抗酸化作用(非特許文献4)、肝臓保護作用(非特許文献5)、肝臓がん予防作用(非特許文献6)、乳がん発生抑制作用(非特許文献7)、免疫賦活作用(非特許文献8)などが報告されている。
セサミンは脂溶性であり、油脂類に溶解するといわれているが、実際には一般的な食用油には1%程度しか溶解しない。従って販売されているセサミン製剤は、セサミン含有量を減らすことで食用油脂に溶解させるか、セサミンを分散もしくは懸濁している。前者ではカプセル1粒あたりの成分含有量が低含量となり、後者ではカプセル内容液が不透明になるため外見が美しくなくなるため消費者への訴求力が下がる。前者の例として、サントリー株式会社の「セサミンEX」は透明な内容液のソフトカプセルが挙げられる。当該ソフトカプセルは、米胚芽油を用いて1粒370mgあたりセサミン3.3mgを溶解させ、カプセル内容液中におけるセサミンの配合割合は0.89%である。また、かどや製油株式会社の「ごまセサミン」も透明な内容液のソフトカプセルであり、ゴマ油を用いて1粒の内容液200mgあたりセサミン5mgを溶解させ、カプセル内容液には2.5%のセサミンが溶解している。後者の例としては、ニチエー株式会社の「黒ごま セサミン サプリメント90粒」が挙げられる。これは白色皮膜のソフトカプセルであり、ゴマ油に植物レシチンを用いて1粒200mgあたりセサミン15mgが懸濁している。また、株式会社オーガランドの「セサミンカプセル」は黄色皮膜のソフトカプセルであり、ゴマ油に乳化剤とミツロウを配合することで1粒200mgあたりセサミン10mgが懸濁している。
セサミンを溶解することができる食用油脂はMCTが広く知られている(特許文献1)。それに加え、セサミンと組み合わせることで体内移行度を上昇することを目的としてγ−オリザノールと米胚芽油(特許文献2)、エピガロカテキンガレート(特許文献3)、ケルセチン(特許文献4)を配合した例も存在する。しかしながら、これらの配合を用いてもカプセル内容液の透明性を保ったままでセサミン濃度を上げることは難しく、セサミンを含有するカプセル内容液を透明に保てる濃度はカプセル内容液中1〜2.5%程度であった。
そのため、カプセル1粒あたりの成分含有量が低含量となり、その結果経口接種するカプセル数が増加してコスト高の要因となると同時に、摂取カプセル数が多くなりすぎるため服用において利用者に負担を強いるものであった。
特許第5666760号 特許第6157463号 特許第5547891号 特許第5276316号
Lipid Res., 1991 Apr;32(4):629−38. Biol. Pharm. Bull., 1995 Jul;18(7):1016−9. Biol. Pharm. Bull., 1995 Sep;18(9):1283−5. Biofactors, 2004;21(1−4):191−6. Ann. Nutr. Metab., 1993;37:218−24. Proc. Am. Assoc. Cancer Res., 2000;41:459. Anticancer Res., 1992;12:1259. Biosci. Biotechnol. Biochem., 1994;59:1855−58.
先に述べた通り、カプセル内容液の透明性を保ったままセサミン、セサモリン等リグナン類化合物を高濃度に溶解させることができないため、セサミン粉末を分散もしくは懸濁させてセサミンを多量に含有させた外観不透明な組成物とするか、或いは1粒当たりのセサミン含有量を減らしてセサミンを溶解させた透明な組成物とするかのいずれかの方法を取らざるを得なかった。すなわち、透明かつ摂取すべき粒数を減らすために、透明性を維持しつつ1粒当たりのセサミンを高濃度に溶解させた組成物、カプセル剤が求められている。
様々な溶媒のスクリーニングを実施し、セサミン、セサモリン等リグナン類化合物を高濃度に溶解させ、かつ結晶化しない溶媒としてクローブ油を見出すことが出来、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、下記の通りである。
(1)セサミン、セサモリンを含むリグナン類化合物をクローブ油に溶解して含有する組成物。
(2)前記組成物中に溶解したセサミンの濃度が2質量%〜25質量%である、(1)に記載の組成物。
(3)(1)又は(2)に記載の組成物を含有する飲食品。
(4)カプセル剤の形態である、(3)に記載の飲食品。
(5)セサモリンにより、クローブ油中におけるセサミンの溶解性を高める方法。
本発明組成物は、従来の分散及び懸濁して製剤化した製剤や食用油に溶解させて製剤化した製剤より、カプセル内容液の透明度を維持したままカプセル1粒あたりの成分摂取量を増加させて、経口摂取するカプセル数を減らすことができる。またこれにより、カプセル加工費を削減することができる。
<リグナン類化合物>
本発明においては、リグナン類化合物とはフェニルプロパノイドの一種であり、植物由来ジベンジルブタン骨格に由来するポリフェノール化合物である。リグナン類化合物はアカゴマ(亜麻仁)やゴマ、アブラナ属野菜から抽出され、場合によっては精製されたものを用いることができる。例としてセサミノール、ピノレジノール、シリンガレシノール、セサミン、セサモリン、ラリシレシノール、セコイソラリシレシノール、マタイレシノール、ヒドロキシマタイレシノールが挙げられる。
上述のように、ゴマに含まれるセサミン、セサモリン等リグナン類化合物は、コレステロール低下作用、抗高血圧作用、抗酸化作用、肝臓保護作用、肝臓がん予防作用、乳がん発生抑制作用、免疫賦活作用などが報告されている。現在販売されている多くのセサミン含有ソフトカプセルは、1日のセサミン摂取量を10〜15mgと設定している。実際、セサミンを10mgとビタミンEを配合するソフトカプセルを、疲労を強く感じる人に8週間継続摂取したところ、疲労、美容、睡眠に関して有意な改善が認められ、LDL oxidation lag timeが高まり血中の抗酸化性が高まるとの報告がある。(Glob. J. Health Sci.,2015;7:1−10)。
<セサミン>
セサミンはゴマ油やサンショウに多く含有するリグナン類化合物であり、次に示す構造式を持つ。

Figure 2021126050
<セサモリン>
セサモリンはセサミンと同様にゴマ油やサンショウに多く含有するリグナン類化合物であり、次に示す構造式を持つ。

Figure 2021126050
<ゴマ抽出物>
本発明リグナン類化合物含有組成物(以下、単に「本発明組成物」ともいう。また「リグナン類化合物をクローブ油に溶解して含有する組成物」、「カプセル内容液組成物」、「上清組成物」も、「本発明リグナン類化合物含有組成物」に含まれる。)におけるリグナン類化合物として、セサミン、セサモリンを使用する場合、ゴマ油等の食品由来の素材から抽出及び/又は精製により得られるセサミン類濃縮物、例えばゴマ抽出物を用いるのが好ましい。
ゴマ種子におけるセサミン、セサモリン濃度は既報(Bull. Natl. Inst. Crop Sci., 2008;9:27−61)に記載されている。当該文献より引用すると、ゴマ種子に含まれるセサミン:セサモリン濃度比は品種によって異なる。例えば、ゴマ抽出物セサミン90(COACH BOUEKI社)におけるセサミン・セサモリン濃度は、セサミン82.3%、セサモリン1.6%、SP−080A(Arjuna Natural Extracts社(アルヴァ、インド))は、セサミン67.5%、セサモリン18.4%、SP−811(Arjuna Natural Extracts社(アルヴァ、インド))は、セサミン39.7%、セサモリン46.5%である。
<クローブオイル>
本発明において、リグナン類化合物はクローブ油(クローブオイル)に溶解して使用する。
本発明組成物において用いるクローブオイルは、その由来や形態、製造方法等によって、何ら制限されるものではない。
例えば、クローブオイルはSyzygium aromaticumの葉や蕾を水蒸気蒸留して得られるが、同種の植物の異なる部位やフトモモ属の近種の植物から得られるオイルも含まれる。
<リグナン類化合物含有組成物>
本発明組成物はリグナン類化合物をクローブ油に溶解して含有する組成物であり、リグナン類化合物は、好ましくはセサミン及びセサモリンである。
本発明組成物は、組成物中に、セサミンを組成物全体に対し好ましくは2〜25質量%、より好ましくは3〜20質量%含有する。従来は、セサミンを溶解して含有する組成物を透明に保てるセサミン濃度は当該組成物中1〜2.5質量%程度であったが、リグナン類化合物を溶解させる溶媒としてクローブ油を選択することで、組成物中のセサミン濃度を高めることができる。
<リグナン類化合物含有組成物の調製方法>
ゴマ抽出物をクローブ油に混合し、好ましくは75〜100 ℃、 5〜15分、より好ましくは85℃、10分間で加熱しながら溶解させる。その後、溶液を水で室温まで冷却し、一晩静置した後、静置後のサンプルについて15℃、10000rpmで5分間遠心分離し、得られた上清が本発明におけるリグナン類化合物含有組成物である。
このリグナン類化合物含有組成物に含まれるセサミン、セサモリン濃度(質量%)は、液体クロマトグラフ法(LC)により定量する。
<リグナン類化合物含有組成物及び飲食品>
本発明の組成物は、飲食品(機能性食品、健康補助食品、栄養機能食品、特別用途食品、特定保健用食品、栄養補助食品、食事療法用食品、健康食品、サプリメント等)及び医薬品の形態で提供することが好適である。本発明の組成物を飲食品として提供する場合、その形態は、錠剤、カプセル剤、粉末剤、顆粒剤、ドリンク剤(溶液剤及び懸濁液剤が含まれる)等の健康食品の形態で提供することも、清涼飲料、茶飲料、ヨーグルトや乳酸菌飲料等の乳製品、調味料、加工食品、デザート類、菓子(例えば、ガム、キャンディ、ゼリー)等の形態で提供することも可能であるが、これらに限定されない。
本発明の組成物は、その効果を損なわない限り、セサミン類、クローブ油の他に、任意の所望成分を配合してもよい。例えば、ビタミンD、ビタミンEなどのビタミン類、DHA、EPA等の油脂類、ミネラル類、ホルモン、栄養成分、香料などの生理活性成分のほか、製剤化において配合される防腐剤、安定化剤、抗酸化剤等を適宜配合することができる。
<透明性評価>
本発明の組成物を用いると、リグナン類化合物(特にゴマ抽出物)を高濃度で溶解し、かつ透明な溶液を作成することができる。透明性の評価は全光線透過法、曇り度(ヘイズ)法、透視時計を用いる透視度法等、濁度を用いる方法、または分光光度計を用いた透過度を評価する手法を用いてもよい。本発明の組成物はセサミン濃度を高く保ったうえで上記の手法で測定した透明性が既存のセサミン濃度が低いカプセル内容液、例えばセサミンEXや小林製薬のセサミンと同程度であるという特徴がある。また、リグナン類化合物を含む組成物を透明被膜のソフトカプセルに充填する場合、内容液が透明であれば外見が美しくなり、消費者への訴求が向上するという利点があるため、透明性は重要である。
透明性を紫外・可視分光光度計の750 nmの透過度で評価した場合、本発明の組成物の透明性は、好ましくは750 nm透過度が80%以上、特に好ましくは95%以上である。
以下、実施例に沿ってさらに説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
(溶解性試験)
1.実験材料の調製
ゴマ抽出物はCOACH BOUEKI社より購入したセサミン90、Arjuna Natural Extracts社(アルヴァ、インド)より調達したSP−080A又はSP−811を用いた。尚、各製品におけるセサミン・セサモリン濃度は表1の通りである。
Figure 2021126050
クローブオイルは、PT Indesso Aroma社より、Eugenia caryophyllataの葉の水蒸気蒸留品を購入し、実験に用いた。
MCTは英和トレーディング社(日本、東京)よりElaeis guineensisの果実圧搾品を購入し、実験に用いた。
米胚芽油は築野ライフサイエンス株式会社より「米胚芽油」を購入し、使用した。
ゴマ油は竹本油脂株式会社より「太白胡麻油」を購入し、使用した。
2.溶解性試験の評価方法
遠心後上清のセサミンの溶解性の評価は以下に定める4段階(◎、〇、△、×)で行った。

◎: セサミン濃度が10質量%以上
〇: セサミン濃度が3質量%以上10質量%未満
△: セサミン濃度が1質量%以上3質量%未満
×: セサミン濃度が1質量%未満
(LC−MS分析法)
サンプル中のセサミン・セサモリン濃度はUPLC−MSシステム(LCMS−8050、株式会社島津製作所)を定量した。
セサミンの定量は以下の条件で行った。カラムはShim−pack XR−ODSII (2.0 mm I.D × 75 mm, particle size; 2.2 μm、株式会社島津製作所)を用いた。流速は0.2 mL/分とした。移動相はメタノール:5 mM酢酸アンモニウム水溶液、4:1の混合溶液を用いた。保持時間は2.25分であった。注入溶液量は1μLとした。ESI−MS測定は以下の条件で行った。ドリフト電圧は2.5 kVとした。イオン化モードはポジティブモードとした。イオン源温度は100℃とした。脱溶媒ガス流量は10L/分、脱溶媒温度は100℃とした。衝突誘起解離ガスは270 kPaのアルゴンガスを用い、衝突エネルギーは11 eVとした。化合物の同定には多重反応モニタリングを用い、[M+NH4+=m/z 372.20から[M+NH4−C752−H2O]+=m/z 372.20への遷移を追跡した。
セサモリンの定量は、以下に記載する箇所以外は上記のセサミンの定量法と同じ手法を用いた。移動相はメタノール:5 mM酢酸アンモニウム水溶液、4:1から1:0まで2.5分で線形的に濃度を変化させ、その後2.51分で4:1まで戻した。保持時間は2.55分であった。ESIの導入はMS/MSを用いた。ドリフト電圧は4.0 kVとした。イオン源温度は225℃、脱溶媒温度は150℃とした。アルゴンガスの衝突エネルギーは27 eVとした。化合物の同定には多重反応モニタリングを用い、[M+NH4+=m/z 388.20から[M−C12125+H]+=m/z 135.00への遷移を追跡した。
(例1)
表2に示す組成比で、表1に示すゴマ抽出物A〜Cのいずれかを精油(クローブオイル)に混合し、85℃で10分間加熱しながら溶解させた。なお、配合時の配合組成物に含まれるセサミン、セサモリンの組成(理論値)を表1に基づき算出し、表2に示した。
その後、得られた溶液を水で室温まで冷却し、一晩静置した。静置中に沈殿が生じたサンプルが存在したため、溶液を15℃、10000rpmで5分間、多目的遠心機CAX−371(株式会社トミー精工)を用いて遠心分離し、上清に含まれるセサミン、セサモリン濃度(質量%)をUPLC−MSシステム(LCMS−8050、株式会社島津製作所)により定量した。その結果を表3に示す。
Figure 2021126050
Figure 2021126050
セサミン:セサモリンの濃度比に依存することなく、溶媒としてクローブオイルを使用することでセサミンの溶解度を高めることができ、最大19.0質量%まで上清組成物にセサミンを溶解させることができた。
(参考例1)
表4に示す組成比でゴマ抽出物とMCTを混合するほかは上記例1と同様の処理を行った。MCTは英和トレーディング社(日本、東京)より購入した。
配合時の配合組成物に含まれるセサミン、セサモリンの組成(理論値)を表4に、上清に含まれるセサミン、セサモリン濃度(LCによる測定結果)を表5に示す。
Figure 2021126050
Figure 2021126050
遠心後上清中のセサミン:セサモリンの濃度比を約1:1とすることで、セサミンを溶解する能力が低い油脂のMCTを用いても、セサミンを4.4質量%まで溶解して含有するカプセル内容液組成物を調製することができた。
(比較例1)
表6に示す組成比でゴマ抽出物とMCTを混合するほかは上記例1と同様の処理を行った。
配合時の配合組成物に含まれるセサミン、セサモリンの組成(理論値)を表6に、上清に含まれるセサミン、セサモリン濃度(LCによる測定結果)を表7に示す。
Figure 2021126050
Figure 2021126050
配合組成物中に、セサミンの含有量が高いゴマ抽出物製品AやBを、セサモリンの含有量がセサミン含有量を上回るゴマ抽出物製品C(参考例1)と同量用いても、遠心後上清中のセサミン:セサモリンの濃度比が1:1未満の場合、MCTはセサミンをカプセル内容液組成物中に2質量%以上の濃度で溶解することができなかった。
上述のように、配合組成物中のゴマ抽出物濃度が30質量%以下ではセサミン:セサモリンの濃度比に依存することなく、溶媒としてクローブオイルを使用することでカプセル内容液組成物中のセサミンの溶解度を19.0質量%まで高めることができた(表3)。
セサミンとセサモリンは相互に溶解性を向上すると考えられる。セサミン濃度とセサモリン濃度の合計は遠心後上清のセサミン:セサモリンが約3.5:1である場合と比較して、約1:1である場合の方が高い上昇率である。例えば、遠心後上清C-2、C-5、C-8中のセサミン・セサモリンの合計の濃度はそれぞれ17.1%、20.9%、24.3%であるに対し(表3)、遠心後上清C-3、C-6、C-9中のセサミン・セサモリンの合計の濃度はそれぞれ16.4%、20.6%、25.2%であった(表3)。従って、配合組成物中のゴマ抽出物濃度が30質量%超えに上昇した場合、遠心後上清のセサミン:セサモリンが約1:1である場合の方がセサミン・セサモリンの合計の濃度が高くなり、結果、遠心後上清中のセサミンの濃度も更に高くなると推定できる。
上記の推論は、MCTの溶解度試験の結果(参考例1と比較例1)からも示唆され、より高濃度にゴマ抽出物をクローブオイルに溶解する場合はカプセル内容液組成物中のセサモリン濃度が高い方が、セサミンの溶解度が上がると考えられる。
(比較例2)
表8に示す組成比で、ゴマ抽出物Cと米胚芽油を混合するほかは上記例1と同様の処理を行った。
配合時の配合組成物に含まれるセサミン、セサモリンの組成(理論値)を表8に、上清に含まれるセサミン、セサモリン濃度(LCによる測定結果)を表9に示す。
Figure 2021126050
Figure 2021126050
米胚芽油はセサミンをカプセル内容液組成物中に0.08質量%以上の濃度で溶解することができなかった。
(比較例3)
表10に示す組成比でゴマ抽出物Cとゴマ油を混合するほかは上記例1と同様の処理を行った。
配合時の配合組成物に含まれるセサミン、セサモリンの組成(理論値)を表10に、上清に含まれるセサミン、セサモリン濃度(LCによる測定結果)を表11に示す。
Figure 2021126050
Figure 2021126050
ゴマ油はセサミンをカプセル内容液組成物中に0.2質量%以上の濃度で溶解することができなかった。
(例2)
(透明性評価試験)
1.透明性評価試験の評価方法
溶解性試験で調製したソフトカプセル内容液組成物C−3、C−6、C−9を紫外・可視分光光度計(HITACHI U−3900 Spectrophotometer)を用いた紫外・可視吸光度測定を行い、上記バイアル瓶中の溶液及び溶媒の透明度を定量した。透明度は750 nmの透過度を用いて評価した。
これらのソフトカプセル内容液組成物の透明性評価は以下に定める4段階(◎、〇、△、×)で行った。

◎: 750 nm透過度が95%以上
〇: 750 nm透過度が80%以上
△: 750 nm透過度が60%以上80%未満
×: 750 nm透過度が60%未満
溶解性試験で調製したソフトカプセル内容液組成物C−3、C−6、C−9の透明性試験の結果を表12に示す。
Figure 2021126050
次に対照品として、セサミンを溶解させているタイプのソフトカプセル(サントリー株式会社、セサミンEX)の内容液(対照例1)とセサミンを溶解させているタイプのソフトカプセル(小林製薬株式会社、小林製薬のセサミン)の内容液(対照例2)を用い、これら内容液の750 nmの可視光の透過度を測定し、上記と同様の基準で透明性評価を行った。結果を表13に示す。
Figure 2021126050
本発明に係るカプセル内容液組成物C−3、C-6、C−9は、サントリーのセサミンEXや小林製薬のセサミンよりも高濃度にカプセル内容液中にセサミンを溶解させ、かつこれら対照品と同程度の透明性を示した。
(比較例4)
セサミンを、乳化剤とミツロウを用いて基材油に乳化懸濁させているタイプのソフトカプセル(株式会社オーガランドの「セサミンカプセル」)の内容液の750 nmの可視光の透過度は測定不能であった。
本発明を用いることによりカプセル内容液の透明度を維持したままカプセル1粒あたりの成分摂取量を増加させて、経口摂取するカプセル数を減らすことができる。またこれにより、カプセル加工費を削減することができ、生産コストを抑えることができる。

Claims (5)

  1. セサミン、セサモリンを含むリグナン類化合物をクローブ油に溶解して含有する組成物。
  2. 前記組成物中に溶解したセサミンの濃度が2質量%〜25質量%である、請求項1に記載の組成物。
  3. 請求項1又は2に記載の組成物を含有する飲食品。
  4. カプセル剤の形態である、請求項3に記載の飲食品。
  5. セサモリンにより、クローブ油中におけるセサミンの溶解性を高める方法。
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