以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1は本発明の一実施の形態における部品装着装置1を示している。図1に示すように、部品装着装置1は、基台11、基板搬送部12、テープフィーダ13、装着ヘッド14、ヘッド移動機構15および部品カメラ16を備えており、上流工程側から送られてきた基板KBに部品BHを装着して下流工程側に搬出する部品装着作業を繰り返し実行する。本実施の形態では、説明の便宜上、作業者OPから見た左右方向をX軸方向、作業者OPから見た前後方向をY軸方向とし、上下方向をZ軸方向とする。また、Y軸方向のうち、作業者OPの手前側を後前、その反対側を手前側と称する場合もある。
図1において、基板搬送部12は、基台11上をX軸方向に延びた一対のベルトコンベア12aを備えている。基板搬送部12は一対のベルトコンベア12aを同時に作動させることで基板KBをX軸方向に搬送し、所定の作業位置に基板KBを位置決めする。テープフィーダ13は、基台11の手前側に連結されたフィーダ台車FDに取り付けられている。テープフィーダ13は、部品BHを収納したキャリアテープCTを搬送して部品BHを部品供給位置13K(図1)に供給する。
キャリアテープCTは図2に示すように、リールRLに巻き付けられた状態で供給される。キャリアテープCTは図3(図3は図2における領域AR1の拡大図)にも示すように、ベーステープBTの上面にトップテープTTが貼り付けられた構成となっている。ベーステープBTは長手方向に一列に並んで設けられた複数のポケットPTを有しており、各ポケットPTには部品BHが収納されている。トップテープTTはベーステープBTに貼り付けられることで、各ポケットPTから部品BHが脱落するのを防止している。ベーステープBTには、テープフィーダ13が有する後述の3つのスプロケット(搬送スプロケット35、位置決めスプロケット36および排出スプロケット38。図4参照)の外周ピンが係合する送り孔KHの列が、ポケットPTの列に平行に設けられている(図3)。
図1において、装着ヘッド14は下向きに延びた複数のノズル14Nを備えている(図4も参照)。ヘッド移動機構15は例えば直交座標ロボットから成り、装着ヘッド14を水平面内で移動させる。装着ヘッド14は、テープフィーダ13が部品供給位置13Kに供給した部品BHをノズル14Nの下端に吸着してピックアップする。
図1において、部品カメラ16は撮像視野を上方に向けた姿勢で基台11に取り付けられている。部品カメラ16は、装着ヘッド14がノズル14Nによりピックアップした部品BHを下方から撮像する。
図1において、部品装着装置1は制御装置17を備えている。制御装置17は、基板搬送部12、各テープフィーダ13、装着ヘッド14、ヘッド移動機構15および部品カメラ16の各動作の制御を行う。制御装置17には入出力パネルPNが接続されている。作業者OPは入出力パネルPNを通じて制御装置17に入力操作を行うことができる。一方、制御装置17は、入出力パネルPNを通じて作業者OPに必要な情報と必要な操作指示とを与えることができる。
制御装置17は、部品装着作業を行うときには、先ず、基板搬送部12を作動させて上流工程側から基板KBを受け取り、所定の位置に基板KBを位置決めする。基板KBを位置決めしたらテープフィーダ13を作動させて部品供給位置13Kに部品BHを供給させつつ、ヘッド移動機構15を作動させて、装着ヘッド14に部品移載動作を繰り返し行わせる。部品移載動作は、テープフィーダ13が供給する部品BHをノズル14Nに吸着させる動作と、吸着した部品BHを部品カメラ16に撮像させる動作と、部品カメラ16による部品BHの撮像結果に基づいて部品BHを基板KBに装着させる動作とから成る。
テープフィーダ13による部品BHの供給動作と装着ヘッド14による部品移載動作を繰り返し実行することによって基板KBに装着すべき部品BHが全て装着されたら、制御装置17は基板搬送部12を作動させて、基板KBを下流工程側に搬出する。これにより基板KBの1枚当たりの部品装着作業が終了する。
次に、テープフィーダ13の構成および動作について説明する。図4に示すように、テープフィーダ13は、キャリアテープCTの搬送路21Lが形成されたフレーム21、フレーム21に設けられて搬送路21L内のキャリアテープCTを搬送するテープ搬送機構22、カバー部材23およびトップテープ送り機構24を備えている。本実施の形態では、Y軸方向において、テープフィーダ13のテープ入口21Kがある側を上流側と定義し、テープ排出通路21Tがある側を下流側と定義する。また、キャリアテープCTの下流側の端を後端と定義し、上流側の端を前端と定義する。
図4において、フレーム21は、全体として前後方向(Y軸方向)と上下方向(Z軸方向)とに広がった形状を有しており、搬送路21Lはフレーム21の上流側から下流側に向かって形成されている。詳細には、搬送路21Lは、フレーム21の上流端部に開口したテープ入口21Kから下流方向に延びた後、フレーム21のY軸方向の中間部から斜め上方に延びている。そして更に、フレーム21の上部を上方に露出する状態で下流方向に延びた後、フレーム21の下流端部において、テープ排出通路21Tとしてフレーム21の外部に開口するようになっている。
図4において、フレーム21の上流側上部には、キャリアテープCTのベーステープBTから剥離させたトップテープTTを回収(収容)するトップテープ回収領域21Sが形成されている。フレーム21の下部にはフィーダ台車FDに連結される連結部21Rが設けられている。
図5(図5は図4における領域AR2の拡大図)に示すように、テープ搬送機構22は、フレーム21の下流側領域に設けられている。テープ搬送機構22は、駆動モータ31、駆動ギヤ32、減速ギヤ33、第1中間ギヤ34、搬送スプロケット35、位置決めスプロケット36、第2中間ギヤ37および排出スプロケット38を備えている。
駆動モータ31はフレーム21の下流側下方に設置されており、駆動ギヤ32は駆動モータ31の駆動軸に取り付けられている。駆動モータ31は駆動ギヤ32を正逆いずれの方向にも回転させることができる。
減速ギヤ33は駆動ギヤ32によって駆動され、駆動モータ31の回転を減速するとともにトルクを増大させて第1中間ギヤ34に伝達する。第1中間ギヤ34は、搬送スプロケット35と位置決めスプロケット36の双方に噛合しており、搬送スプロケット35と位置決めスプロケット36をそれぞれ同方向に回転させる。
搬送スプロケット35は搬送路21Lの中間部の斜め上方に延びた箇所の下方に設置されており、その外周ピンは搬送路21L内を通るようになっている。位置決めスプロケット36は搬送スプロケット35の下流側上方(搬送路21Lのほぼ水平に延びた箇所の下方)に配置されており、その外周ピンは搬送路21L内を通るようになっている。排出スプロケット38は位置決めスプロケット36の下流側(搬送路21Lのほぼ水平に延びた箇所の下方)に配置されており、その外周ピンは搬送路21L内を通るようになっている。
第2中間ギヤ37は位置決めスプロケット36によって駆動され、排出スプロケット38を搬送スプロケット35および位置決めスプロケット36と同方向に回転させる。このようにテープ搬送機構22は、駆動モータ31の回転動力によって、搬送スプロケット35、位置決めスプロケット36および排出スプロケット38を同方向に回転させる構成となっている。
上記のように、搬送スプロケット35、位置決めスプロケット36および排出スプロケット38それぞれの外周ピンは搬送路21L内を通るようになっているため、搬送路21L内のキャリアテープCTは、同方向に回転する3つのスプロケット(搬送スプロケット35、位置決めスプロケット36および排出スプロケット38)によって、フレーム21の上流側から下流側(図4では左側から右側)へ向かう方向(「下流方向」と称する)、あるいはフレーム21の下流側から上流側(図4では右側から左側)へ向かう方向(「上流方向」と称する)へ搬送される。なお、各スプロケット(搬送スプロケット35、位置決めスプロケット36、排出スプロケット38)は、回転しながら外周ピンをキャリアテープCTの送り孔KHに係合させることでキャリアテープCTを搬送する。
図4、図5および図6(図6は領域AR1を斜め上方から見た図)に示すように、フレーム21のY軸方向の中間部の上部(搬送スプロケット35の上方)にはシャフト部材41が設けられている。このシャフト部材41はフレーム21の横方向(X軸方向)に延びており、カバー部材23の後端部を枢支している。このためカバー部材23はシャフト部材41を枢支軸として、フレーム21に対して閉じた姿勢となる位置(「閉位置」と称する。図7(a))と、フレーム21に対して開いた姿勢となる位置(「開位置」と称する。図7(b))の間で揺動自在である。
カバー部材23が閉じた(閉位置に位置させた)状態では、位置決めスプロケット36と排出スプロケット38それぞれの上方領域と、搬送スプロケット35の下流側の一部の上方領域が、カバー部材23によって覆われる。一方、カバー部材23を開いた(開位置に位置させた)状態では、シャフト部材41よりも上流側の搬送路21Lが上方に露出する。このようにカバー部材23は、フレーム21に対して揺動して搬送路21Lの一部の領域を開閉する構成となっている。カバー部材23が開位置に位置した状態では、図7(b)および図8に示すように、カバー部材23の根元(シャフト部材41の近傍)に、搬送路21Lの中間部に開口する開口部である搬送路中間開口42が形成される。
図4、図5および図6において、カバー部材23のY軸方向の中間部には、カバー部材23が閉位置に位置した状態で部品供給位置13Kの上方に開口する部品取出口43が設けられている。また、カバー部材23の部品取出口43よりも上流側の位置には、搬送路21L内を搬送されるキャリアテープCTのベーステープBTから剥離させたトップテープTTをフレーム21の外部に引き出すための引出口44が設けられている。
搬送路21Lを下流方向に搬送されるキャリアテープCTは、部品供給位置13Kに到達する前に引出口44からトップテープTTが引き出される。このためベーステープBTに設けられたポケットPTは部品供給位置13Kに到達した時点で上方に露出した状態となり、装着ヘッド14は、カバー部材23の部品取出口43を通じて、部品供給位置13Kに位置した部品BHをノズル14Nにより吸着して取り出すことが可能である(図4)。
図6および図7(a),(b)において、カバー部材23における引出口44の上流側の位置には、トップテープ挿入口45が設けられている。このトップテープ挿入口45には、引出口44から引き出されたトップテープTTの先端部が挿入される(詳細は後述)。
図6および図7(a),(b)において、トップテープ挿入口45と引出口44の間には、回転軸をカバー部材23の横方向(X軸方向)に設けたローラ部材46がカバー部材23の上面側に露出して設けられている。カバー部材23の下面側には、カバー部材23が閉位置に位置した状態で、搬送路21L上のキャリアテープCTを上方から押さえるテープ押さえ47が設けられている。
図7(b)および図8に示すように、フレーム21における搬送路中間開口42の近傍位置にはテープ挿入ガイド48が設けられている。テープ挿入ガイド48は長さが比較的短いキャリアテープCTの後端を挿入する場合に用いられるものであり(後述)、フレーム21から上方に延びた垂直部48aと、垂直部48aの上端から水平方向内側に向けて張り出した水平部48bを備えている。テープ挿入ガイド48は、カバー部材23を開いた(開位置に位置させた)状態において、露出した状態となる。
図5および図9(図9は図5における領域AR3を反対側の面から見た側面図)に示すように、トップテープ送り機構24は、第1伝達ギヤ51、第2伝達ギヤ52、第3伝達ギヤ53、第1のローラ54、第2のローラ55、第3のローラ56および手動操作部57を備えている。搬送スプロケット35がキャリアテープCTを下流側へ進行させる方向に回転している場合には、その搬送スプロケット35の回転が、第1伝達ギヤ51と同軸のドラムを介して、第1伝達ギヤ51に伝達される。
図5および図9において、第2伝達ギヤ52は第1伝達ギヤ51と噛合しており、第3伝達ギヤ53は第2伝達ギヤ52と噛合している。このため第3伝達ギヤ53は、第1伝達ギヤ51と同方向に回転する。第3伝達ギヤ53には前述のシャフト部材41の一端側が連結されており、シャフト部材41は第3伝達ギヤ53と一体に回転するようになっている。
図10は図5における領域AR4の拡大図であり、図11は図10における矢視V1−V1から見た断面斜視図である。図12(a)は図11における矢視V2−V2から見た断面図であり、図12(b)は図11における矢視V3−V3から見た断面図である。図10および図11に示すように、第1のローラ54はフレーム21の横方向(X軸方向)に貫通して延びる中空部54Hを有しており、シャフト部材41はその中空部54Hに遊嵌状態で挿通されている(図11)。
第1のローラ54の中空部54Hには、内面の断面が円形となる部分(図12(a)に示す断面の部分)と、内面の断面が矩形となる部分(図12(b)に示す断面の部分)があり、シャフト部材41にも、外面の断面が円形となる部分(図12(a)に示す断面の部分)と、外面の断面が矩形となる部分(図12(b)に示す断面の部分)とがある。中空部54Hの内面の断面が円形となる部分とシャフト部材41の外面の断面が円形となる部分とは互いに対向しており、その間には弾性部材66が介装されている(図11および図12(a))。
本実施の形態では、弾性部材66は環状の部材(Oリング)から構成されており、シャフト部材41の外面の断面が円形となる部分に外嵌されている(図12(a))。弾性部材66は、図11に示すように、シャフト部材41の軸方向に2つ(すなわち複数)配置されており、シャフト部材41に対する第1のローラ54の姿勢の安定が図られている。このように第1のローラ54は弾性部材66を介してシャフト部材41に支持され、第3伝達ギヤ53と同軸に配置されている。
図11および図12(b)に示すように、中空部54Hの内面の断面が矩形となる部分とシャフト部材41の外面の断面が矩形となる部分は、シャフト部材41が回転していない状態では離間した状態となっている。ここで、第3伝達ギヤ53が駆動されてシャフト部材41が回転すると、シャフト部材41は外面の一部(外面の断面が矩形に形成された部分)を中空部54Hの内面の一部(内面の断面が矩形に形成された部分)に当接させて、第1のローラ54を回転させる(図13(a)→図13(b)→図13(c))。このように本実施の形態において、シャフト部材41は、テープ搬送機構22の動力(詳細には駆動モータ31の動力)を受けて駆動され、第1のローラ54は、シャフト部材41の回転が伝達されて駆動されるローラ(すなわち駆動ローラ)となっている。
図7(a),(b)および図10において、第2のローラ55と第3のローラ56はそれぞれカバー部材23に取り付けられており、それぞれ第1のローラ54と外接(噛合)している。すなわち、第2のローラ55と第3のローラ56はそれぞれ、第1のローラ54によって回転させられるローラ(すなわち従動ローラ)となっている。
図5および図9において、搬送スプロケット35が正方向、すなわちキャリアテープCTを下流側へ進行させる方向(これらの図中に示す矢印R1)に回転すると、第1伝達ギヤ51および第2伝達ギヤ52を介して第3伝達ギヤ53と第1のローラ54が搬送スプロケット35とは反対の方向(図9中および図10中に示す矢印R2)に回転する。また、第2のローラ55と第3のローラ56はそれぞれ、第1のローラ54とは反対の方向に回転する(図10中に示す矢印R3および矢印R4)。
図5および図9において、手動操作部57は第1伝達ギヤ51の下流側に設けられている。手動操作部57は外周歯を有した円盤状の部材であり、第1伝達ギヤ51と外接(噛合)している。手動操作部57の上端部は、フレーム21の上部の一部に形成された切欠部21D(図9)から上方に露出しており、その露出した手動操作部57の上端部を下流方向へ送り動作させることができる(図9中に示す矢印F)。作業者OPが手動操作部57の上端部を下流方向へ送り動作すると、第1伝達ギヤ51、第2伝達ギヤ52、第3伝達ギヤ53およびシャフト部材41を介して、第1のローラ54が、搬送スプロケット35を正方向に回転させたときと同じ方向に回転する。
手動操作部57の操作は、駆動モータ31が作動しておらず、搬送スプロケット35が駆動モータ31によって駆動されていない状態で行われる。この状態で手動操作部57を下流方向へ送り動作した場合、第1伝達ギヤ51と隣接するドラムとの間にはスリップクラッチが設けられているので、搬送スプロケット35は回転せず、停止状態を維持する。
図10において、カバー部材23には、第1のローラ54と第2のローラ55の間の上方領域を覆うローラカバー61が設けられている。ローラカバー61の下面には、第1のローラ54の外周形状に応じた曲面形状のテープガイド面62が形成されている。
図10および図11において、カバー部材23のテープ押さえ47の第2のローラ55の下方の位置には、第2のローラ55の外周形状に応じた曲面形状を有するガイド面63が形成されている。テープ押さえ47の上流側の端部には、上流側に向かって尖った尖部64が形成されている。尖部64は搬送路21L内に位置しており、後述するように、搬送路21L内を下流側に通過するキャリアテープCTからトップテープTTを剥離するきっかけとなる。エアによって持ち上げられたトップテープTTの先端が尖部64にガイドされて第1のローラ54と第2のローラ55の間に進入し、第1のローラ54と第2のローラ55によってトップテープTTが巻き取られることによりトップテープTTはキャリアテープCTから剥離される。
このように本実施の形態において、第1のローラ54と第2のローラ55から成る2つのローラは、搬送路21Lの上方に設けられ、テープ搬送機構22によって搬送路21L内を搬送されるキャリアテープCTのベーステープBTからトップテープTTを挟んだ状態で送り動作を行う剥離部となっている。
図10において、フレーム21内の第1のローラ54の下方の位置には、搬送路21Lに向かって上方に開口するエア吹出口71が設けられている。エア吹出口71にはエア通路72を介してエア吹付部73が接続されている。エア吹付部73は制御装置17から制御されて動作し、エア通路72およびエア吹出口71を通じて搬送路21L内に下方からエアを吹き出させる。エア通路72は、テープフィーダ13内部の任意の箇所に設けられる。
図10において、フレーム21内のエア吹出口71よりも下流側の位置には搬送路21Lに開口する操作片通路81が上下方向に延びて設けられている。操作片通路81内には操作片82が上下方向に収容されている。
操作片82は、操作片通路81内を、上端部を搬送路21L内に突出させる位置(「突出位置」と称する)と、上端部を搬送路21L内に突出させない位置(「非突出位置」と称する)との間で移動自在である。操作片82は付勢手段83によって突出位置の側に付勢されている。このため、操作片通路81の直上にキャリアテープCTが位置していない状態では、操作片82は付勢手段83によって上方に付勢されてその上端部を搬送路21L内に突出させて突出位置に位置するが(図10)、操作片通路81の直上にキャリアテープCTが位置した状態では、操作片82の上端部がキャリアテープCTによって操作片通路81内に押し込まれて非突出位置に位置する。
図10において、操作片通路81内における操作片82の位置の情報は、操作片位置検出部84によって検出されて、制御装置17に送信される。制御装置17は、操作片位置検出部84から送信される操作片82の位置の情報に基づいて、キャリアテープCTが操作片通路81の直上に位置した状態であるか否か、すなわち操作片通路81の直上の位置におけるキャリアテープCTの有無を判断する。このように操作片通路81が設けられている位置はキャリアテープCTの有無を検出しようとする位置であり、この位置(尖部64よりも上流側の位置)を以下、「テープ検出位置」と称する。
テープフィーダ13にキャリアテープCTをセットする場合、作業者OPは、カバー部材23をフレーム21に対して開いた(開位置に位置させた)状態で、リールRLから引き出したキャリアテープCTの前端をフレーム21のテープ入口21Kから下流側に向けて挿入する。そして、更にキャリアテープCTを下流側へ送り、キャリアテープCTの前端が搬送路中間開口42から下流側へ突き出るようにする。そして、搬送路中間開口42から下流側へ突き出たキャリアテープCTのベーステープBTからトップテープTTを剥ぎ取り、その剥ぎ取ったトップテープTTの先端部(前端部)を、カバー部材23の引出口44を通してカバー部材23の上面側に引き出す。そして、その引出口44を通して引き出したトップテープTTの先端部を、カバー部材23の上面側からトップテープ挿入口45に挿入する(図14)。
トップテープTTの先端部をトップテープ挿入口45に挿入すると、トップテープTTの先端部は、カバー部材23のテープ押さえ47に形成されたガイド面63に沿って移動し、第1のローラ54と第2のローラ55との接触部(噛合部)に入り込む(図15)。このときカバー部材23のテープ押さえ47が備えるガイド面63は、トップテープ挿入口45に挿入されたトップテープTTの先端部を、第1のローラ54と第2のローラ55の間に案内するトップテープ案内ガイドとして機能する。
トップテープ挿入口45から挿入したトップテープTTの先端部が第1のローラ54と第2のローラ55との接触部に入り込んだら、作業者OPは、カバー部材23をフレーム21に対して閉じる(図16。図中に示す矢印M)。これによりカバー部材23に連結されている第2のローラ55と第3のローラ56はそれぞれ第1のローラ54に接触した状態を維持しつつ、第1のローラ54の周りを公転しながら自転(図16では、第1のローラ54の周りを時計回り方向に公転しながら矢印R3および矢印R4で示す時計回り方向に自転)する。
上記のように、第2のローラ55が第1のローラ54の周りを公転しながら自転することで、トップテープTTの先端部は、第1のローラ54と第2のローラ55によって挟み込まれて上方に搬送される。このときトップテープTTが搬送される方向はトップテープTTがベーステープBTから剥離される方向(図16では第1のローラ54と第2のローラ55の間を下方から上方に向かう方向)であり、このようにトップテープTTがベーステープBTから剥離される第1のローラ54および第2のローラ55の回転方向を、以下、「剥離方向」と称する。このようにしてトップテープTTの先端部が第1のローラ54と第2のローラ55によって挟み込まれた状態となると、トップテープTTの回収準備は終了となる。
このように、本実施の形態におけるテープフィーダ13は、テープ搬送機構22によって搬送路21L内を搬送されるキャリアテープCTのベーステープBTから剥離されたトップテープTTを挟んだ状態で送り動作を行う2つのローラ(第1のローラ54および第2のローラ55)有するトップテープ送り機構24を備えており、カバー部材23を開位置から閉位置へ揺動させると2つのローラが相対移動してトップテープTTの先端部を挟み込むようになっている。詳細には、第1のローラ54はフレーム21に取り付けられており、第2のローラ55はカバー部材23に取り付けられて第1のローラ54に外接しており、カバー部材23を開位置から閉位置へ揺動させると第2のローラ55が第1のローラ54の周りを公転しながら自転してトップテープTTの先端部を第1のローラ54との間に挟み込むようになっている。このためトップテープTTの回収準備作業において、2つのローラの間隔を広げてトップテープTTを挟み込む等の面倒な作業は不要である。
ここで、前述したように、第1のローラ54とその第1のローラ54の駆動軸であるシャフト部材41との間には弾性部材66が介装された状態となっている。このため第1のローラ54はシャフト部材41に対し、シャフト部材41の半径方向への若干の移動が可能であり、トップテープTTは第1のローラ54と第2のローラ55との間に入り込むことが可能である。そして、第1のローラ54と第2のローラ55との間にトップテープTTが入り込んだあとは、弾性部材66が第1のローラ54を第2のローラ55に付勢する力によって、トップテープTTは第1のローラ54と第2のローラ55の間にしっかりと挟み込まれた状態となる。
このように本実施の形態におけるテープフィーダ13のトップテープ送り機構24は、キャリアテープCTのベーステープBTから剥離されたトップテープTTを挟んだ状態で送り動作を行う2つのローラ(第1のローラ54と第2のローラ55)のうちの一方のローラ(第1のローラ54)が、そのローラを支持するシャフト部材41との間に弾性部材66が介装された構成となっており、これにより2つのローラによるトップテープTTの保持性を確保しつつも、必要に応じて2つのローラの間に隙間を形成することができる。
作業者OPは、上記のように、カバー部材23を開位置から閉位置に揺動させることで、ベーステープBTから剥離させたトップテープTTの先端部を第1のローラ54と第2のローラ55との間に挟み込ませたら、手動操作部57の上端を下流方向(図9の矢印Fの方向)に操作する。これにより第1のローラ54と第2のローラ55はトップテープTTをベーステープBTから剥離させる方向(剥離方向)に回転し、トップテープTTは第1のローラ54と第2のローラ55の接触部(噛合部)の上方に向けて更に搬送される。
手動操作部57の操作によって更に上方に搬送されたトップテープTTは、ローラカバー61のテープガイド面62にガイドされて第1のローラ54の外周に沿って進んだ後、第1のローラ54と第3のローラ56の接触部(噛合部)入り込む。第3のローラ56は第1のローラ54によって第1のローラ54の回転方向(図17中に示す矢印R2)とは反対の方向(図17中に示す矢印R3および矢印R4)に回転するので、トップテープTTの先端部は、第1のローラ54と第3のローラ56によって挟み込まれた状態で上流側、すなわちトップテープ回収領域21S内に進む(図17)。これによりカバー部材23の引出口44から上流側に引き出されたトップテープTTに適度なテンションを与えたら、作業者OPは手動操作部57の操作を終了する。
手動操作部57の操作によってトップテープTTに適度なテンションを与えたら、作業者OPは、入出力パネルPNから所要の操作を行い、制御装置17を通じて部品装着装置1に部品装着動作を開始させる。制御装置17は、部品装着装置1に部品装着動作を行わせる場合にはテープフィーダ13に指令信号を送り、キャリアテープCTが搬送路21L内を下流方向に搬送されるように駆動モータ31を正方向に間欠回転させる。これにより搬送スプロケット35、位置決めスプロケット36および排出スプロケット38が同期して間欠回転し、キャリアテープCTは搬送路21L内をピッチ送りされる。このとき搬送スプロケット35はキャリアテープCTを位置決めスプロケット36に受け渡し、位置決めスプロケット36はキャリアテープCTを排出スプロケット38に受け渡すように動作する。
駆動モータ31の間欠回転によるキャリアテープCTのピッチ送り間隔は、キャリアテープCTにおけるポケットPTの間隔に対応しており、キャリアテープCTが搬送路21L上で停止した位置において、ポケットPTがカバー部材23の部品取出口43の下方に位置する。このため装着ヘッド14はノズル14Nによって、部品取出口43から部品BHを吸着して取り出すことができる。
キャリアテープCTは、ポケットPTが部品取出口43の下方(すなわち部品供給位置13K)を通過した後は、フレーム21の前端部のテープ排出通路21Tを通ってテープフィーダ13の外部に排出される(図4)。排出スプロケット38はテープ排出通路21Tの入口の近傍に設けられているため、キャリアテープCTの後尾部も確実にテープ排出通路21Tから排出させることができる。
一方、カバー部材23のトップテープ挿入口45に差し込まれたトップテープTTは、トップテープ送り機構24によって上流側に搬送される。具体的には、第1のローラ54が回転することによって、第1のローラ54と第2のローラ55との間、更には第1のローラ54と第3のローラ56との間に挟み込まれた状態で搬送される。これにより引出口44から引き出されたトップテープTTは上流側に引っ張られ、ベーステープBTからトップテープTTが剥離される。
トップテープ送り機構24によって上流側に搬送されたトップテープTTは、トップテープ回収領域21S内に貯められていく(図4)。第1のローラ54は前述したように、搬送スプロケット35、位置決めスプロケット36および排出スプロケット38と同様に駆動モータ31によって駆動されるので、トップテープTTの回収搬送動作は、キャリアテープCTの搬送動作と連動して行われる。ここで、引出口44とトップテープ挿入口45との間のトップテープTTは、カバー部材23に設けられた前述のローラ部材46に当接してローラ部材46を転動させながら上流側に移動する。
このように本実施の形態におけるテープフィーダ13では、第1のローラ54は、搬送スプロケット35、位置決めスプロケット36および排出スプロケット38と同様に、テープ搬送機構22の動力を受けて駆動されるようになっており、ひとつの動力源(駆動モータ31)によって、キャリアテープCTの搬送とトップテープTTの回収とがなされるようになっている。上述のように、テープ入口21Kから挿入されたキャリアテープCTを上流から下流へ搬送して部品BHを供給するモードを「通常動作モード」という。
ところで、本実施の形態におけるテープフィーダ13では、長さが比較的短いキャリアテープCT(以下、「短テープCT0」と称する)であっても部品供給に、用いることができるようになっており、以下にその説明を行う。
テープフィーダ13により短テープCT0を用いて部品供給を行う場合には、作業者OPは先ず、カバー部材23をフレーム21に対して開いて開位置に位置させる(図7(a)→図7(b))。カバー部材23を開くとカバー部材23の揺動支持であるシャフト部材41の下流側に搬送路中間開口42が形成され、テープ挿入ガイド48が露出する。
作業者OPは、短テープCT0をテープフィーダ13にセットする場合には、その短テープCT0に、トップテープTTの先端部がベーステープBTの前端よりも所定長さ(例えば5〜20mm程度)だけ長いトップテープ突出部TSが形成されるようにしておく。そして、入出力パネルPNから、短テープCT0を用いた部品供給を行う旨の操作を行った後、短テープCT0の後端を搬送路中間開口42から上流側に向けて挿入する(図18。図中に示す矢印SN)。このとき作業者OPは、短テープCT0の後端が、テープ挿入ガイド48の水平部48bの下方を通るようにすることにより、短テープCT0の後端を容易に搬送路21L内に挿入することができる。
上述のように、入出力パネルPNから、短テープCT0を用いた部品供給を行う旨の操作を行うと、制御装置17は「テープセットモード」へ移行する。以下に、テープセットモードにおけるテープフィーダ13の動作を説明する。
作業者OPは、搬送路中間開口42から短テープCT0の後端を搬送路21L内に挿入したら、カバー部材23を閉じる(図19。図中に示す矢印M)。これにより搬送路21Lに挿入した短テープCT0は、カバー部材23のテープ押さえ47によって搬送路21Lに押さえつけられ、それまで突出位置にあった操作片82は短テープCT0により下方に押されて非突出位置に移動する(図19中に示す矢印Y1)。
このような操作片82の移動(突出位置から非突出位置への移動)は操作片位置検出部84によって検出され、これにより制御装置17は短テープCT0が搬送路21L内に挿入された状態を検知する。制御装置17は、搬送路21L内に短テープCT0が挿入された状態を検知したら、駆動モータ31を作動させて、短テープCT0を上流側に搬送させる方向(逆方向)に搬送スプロケット35を回転させる(図20中に示す矢印R5)。これにより短テープCT0は搬送路21L上を上流方向に搬送される(図20中に示す矢印KS1)。詳細には、短テープCT0(すなわちキャリアテープCT)の前端を尖部64近傍の剥離位置よりも上流まで移動させる。
短テープCT0が搬送路21L上を上流方向に搬送され、短テープCT0の前端(ベーステープBTの前端)がテープ検出位置を通り過ぎて操作片82が短テープCT0によって押圧されなくなると、それまで非突出位置に位置していた操作片82は突出位置に復帰する(図20中に示す矢印Y2)。このような操作片82の移動情報を受けた制御装置17は、短テープCT0の前端(ベーステープBTの前端)がエア吹出口71よりも上流側(図20では左側)に位置した状態となるタイミングで、搬送スプロケット35の回転を停止させる。そして、入出力パネルPNに、部品供給が可能になった旨の通知を行う。このように本実施の形態において、操作片82は、テープ搬送機構22によって上流方向に搬送されるキャリアテープCTの前端が搬送路21L上のテープ検出位置を通過したことを検出する検出手段となっている。
なお、操作片位置検出部84は、上流側へ移動するキャリアテープCTの先端(前端)が通過するタイミングを検出して、制御装置17は、このタイミングの検出結果に基づいてキャリアテープCTの搬送方向を上流方向から下流方向に切り替えるようにしても構わない。
入出力パネルPNに部品供給が可能になった旨の表示がなされたら、作業者OPは、入出力パネルPNから動作開始の操作を行う。制御装置17は、入出力パネルPNから動作開始の操作がなされたことを検知したら、駆動モータ31を作動させ、搬送スプロケット35を正方向に回転させる(図21中に示す矢印R1)。これにより第1のローラ54と第2のローラ55は剥離方向に回転し(図21中に示す矢印R2および矢印R3)、第3のローラ56も第2のローラ55と同方向に回転する(図21中に示す矢印R4)。これにより短テープCT0は、搬送路21L上を下流方向に搬送される。このように本実施の形態において、テープ搬送機構22は、検出手段である操作片82によりキャリアテープCTの前端がテープ検出位置を上流方向に通過したことが検出された後、キャリアテープCTを下流方向に搬送するようになっている。
搬送スプロケット35が正方向に回転することによって短テープCT0は搬送路21L上を下流方向に搬送されると(図21中に示す矢印KS2)、トップテープ突出部TSは、エア吹出口71から吹き出されたエアによって、搬送路21Lから離れる方向(上方)に押し上げられる。このため、トップテープ突出部TSは尖部64の上側を通って第1のローラ54と第2のローラ55の接触部(噛合部)に近づき、剥離方向に回転している第1のローラ54と第2のローラ55によって挟み込まれる(図22)。そして、エアがトップテープ突出部TSを吹き上げることができるタイミングで短時間だけ吹き出され、第1のローラ54と第2のローラ55の回転によってトップテープTTが引き込まれることで、トップテープTTがベーステープBTから剥離される。
搬送スプロケット35によって更に短テープCT0が下流方向に搬送されると、短テープCT0の前端(ベーステープBTの前端)は操作片82を突出位置から非突出位置へ押し込みつつ下流方向へ進行する。一方、トップテープ突出部TSを含むトップテープTTの先端部は、第1のローラ54と第2のローラ55によって挟み込まれた状態でベーステープBTから剥離される方に搬送され、更に、第1のローラ54と第3のローラ56によって挟み込まれた状態で上流方向に搬送されて、トップテープ回収領域21S内に送られる(図23)。以後、短テープCT0は搬送スプロケット35から位置決めスプロケット36へ、更に排出スプロケット38へ受け渡されて、最終的にはテープ排出通路21Tからフレーム21の外部に排出される。
このように本実施の形態におけるテープフィーダ13では、搬送路21Lの中間部に開口する開口部である搬送路中間開口42からキャリアテープCT(短テープCT0)の後端が挿入されると、テープ搬送機構22がキャリアテープCTを上流方向に搬送した後、下流方向に搬送して、第1のローラ54と第2のローラ55の回転によって、トップテープTTを剥離させるようになっている。このため比較的長さの短い短テープCT0であっても通常のキャリアテープCTを搬送するときの搬送路21Lをそのまま使用することが可能である。
以上説明したように、本実施の形態におけるテープフィーダ13では、テープ搬送機構22によって搬送路21L内を搬送されるキャリアテープCTのベーステープBTから剥離されたトップテープTTを挟んだ状態で送り動作を行う2つのローラ(第1のローラ54および第2のローラ55)を有するトップテープ送り機構24を備えており、2つのローラのうちの一方である第1のローラ54はその第1のローラ54を支持するシャフト部材41との間に弾性部材66が介装された構成となっており、これにより2つのローラによるトップテープTTの保持性を確保しつつも、必要に応じて2つのローラの間に隙間を形成することができる。このため従来のように一方のローラを他方のローラに付勢するばね部材は不要であり、トップテープ送り機構24のサイズを小さくすることができるので、テープフィーダ13全体の小型化を図ることができる。
これまで本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上述したものに限定されず、種々の変形等が可能である。例えば、上述の実施の形態において示したテープ搬送機構22の構成は一例であり、搬送路21L上のキャリアテープCTを搬送することができるようになっていれば、他の構成を備えていても構わない。また、上述の実施の形態では、トップテープ送り機構24を構成する2つのローラ(第1のローラ54および第2のローラ55)のうちの一方(第1のローラ54)についてのみ、そのローラを支持するシャフト部材41との間に弾性部材66が設けられた構成となっていたが、2つのローラのそれぞれについて、そのローラを支持するシャフト部材との間に弾性部材66が設けられた構成となっていてもよい。また、短テープCT0におけるトップテープ突出部TSはトップテープTTそのものでなくてもよく、トップテープTTの前端に貼り付けた細長いフィルム部材等であってもよい。