JP2021124537A - 画像観察装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】偏光を利用した接眼光学系におけるゴーストを低減する。【解決手段】画像観察装置101は、表示素子108,109と、入力画像に応じて表示素子に原画像を表示させる表示制御手段115と、表示素子からの光を射出瞳に導く接眼光学系OR1,OL1とを有する。接眼光学系は、表示素子から射出瞳に向かって順に配置された、第1の位相板111と、半透過反射面112と、レンズ104と、第2の位相板113と、第1の直線偏光を反射し、該第1の直線偏光の偏光方向に直交する偏光方向の第2の直線偏光を透過する偏光分離素子114とを含む。表示制御手段115は、入力画像に対する原画像の明るさのゲインを、表示素子の中心部より周辺部において低くする。【選択図】図1
Description
本発明は、表示素子に表示された画像を接眼光学系を介して観察可能な画像観察装置に関する。
上記のような画像観察装置としては、観察者の頭部に装着されるヘッドマウントディスプレイ(HMD)がある。このようなHMDにおいて広画角での画像提示を実現するために、偏光を利用して光路を折り畳む接眼光学系が用いられることがある。ただし、このような接眼光学系の軽量化のためにプラスチックレンズが使用されると、プラスチックレンズ内の複屈折によって光の偏光状態が乱れ、この結果、ゴーストが発生する。
特許文献1および特許文献2には、偏光を利用して広画角化された接眼光学系を有するHMDが開示されている。特許文献1のHMDでは、接眼光学系内の半透過型偏光板の透過軸の方向を観察者の両眼が並ぶ方向に一致させて輝度むらを低減している。また特許文献2のHMDでは、曲面形状の偏光素子を利用して広画角を実現している。
しかしながら、特許文献1には、接眼光学系のプラスチックレンズ内の複屈折によるゴーストの低減に関して、複屈折が小さいプラスチック材料を用いるとの記載しかない。また特許文献2には、接眼光学系のビネッティングにより周辺光量が低下することについては記載があるが、レンズの複屈折により発生するゴーストの低減に関する記載はない。
本発明は、偏光を利用した接眼光学系におけるゴーストを低減することができるようにした画像観察装置を提供する。
本発明の一側面としての画像観察装置は、表示素子と、入力画像に応じて表示素子に原画像を表示させる表示制御手段と、表示素子からの光を射出瞳に導く接眼光学系とを有する。接眼光学系は、表示素子から射出瞳に向かって順に配置された、第1の位相板と、半透過反射面と、レンズと、第2の位相板と、第1の直線偏光を反射し、該第1の直線偏光の偏光方向に直交する偏光方向の第2の直線偏光を透過する偏光分離素子とを含む。表示制御手段は、入力画像に対する原画像の明るさのゲインを、表示素子の中心部より周辺部において低くすることを特徴とする。
本発明によれば、偏光を利用した接眼光学系を有する画像観察装置においてゴーストを低減することができる。
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施例1である画像観察装置としてのHMD101の構成を示している。HMD101は、観察者の頭部に装着される。102は観察者の右眼、103は観察者の左眼である。表示レンズ104,105は右眼用接眼光学系OR1を構成し、表示レンズ106,107は左眼用接眼光学系OL1を構成する。各接眼光学系は、複数(2つ)の表示レンズにより構成された共軸の光学系である。右眼用接眼光学系OR1の射出瞳ER1には観察者の右眼102が配置され、左眼用接眼光学系OL1の射出瞳EL1には観察者の左眼103が配置される。
108は右眼用表示素子、109は左眼用表示素子である。各表示素子は、平板型の表示素子であり、本実施例では有機ELディスプレイパネルを用いている。図3は、HMD101とこれに接続されたパーソナルコンピュータ150の外観を示している。表示コントローラ(表示制御手段)115は、パーソナルコンピュータ150から供給される画像信号(以下、入力画像という)に対して所定のゲインを乗じて生成した原画像としての表示画像を表示素子108,109に表示させる。
接眼光学系OR1,OL1はそれぞれ、表示素子108,109からの光を射出瞳ER1,EL1に導くことで、表示画像の拡大虚像を観察者の右眼102と左眼103に投影する。これにより、観察者は、表示素子108,109上の表示画像(の虚像)を接眼光学系OR1,OL1を通して観察することができる。
本実施例において、各接眼光学系の焦点距離は12mm、水平表示画角は45°、垂直表示画角は34°、対角表示画角は54°である。各接眼光学系における最も射出瞳側の面(後述する偏光分離素子114の射出瞳側の面)と各接眼光学系の射出瞳との距離であるアイレリーフE1は、18mmである。
本実施例における右眼用および左眼用接眼光学系ОR1,OL1は偏光を利用して光路を折り畳む光学系であり、その構成について右眼用接眼光学系ОR1を用いて説明する。図2に示すように、右眼用接眼光学系ОR1は、右眼用表示素子108から射出瞳ER1に向かって順に配置された偏光板110、第1のλ/4板(第1の位相板)111、表示レンズ105、表示レンズ104、第2のλ/4板(第2の位相板)113および偏光分離素子(以下、PBSという)114を有する。表示レンズ104における表示素子側の面には、半透過反射面としてのハーフミラー112が蒸着により形成されている。また第2のλ/4板113とPBS114は、表示レンズ104における射出瞳側の面上に積層されるように設けられている。
偏光板110、第1のλ/4板111、第2のλ/4板113およびPBS114はいずれも平板状に形成されている。偏光板110を透過する第1の直線偏光の偏光方向と第1のλ/4板111の遅相軸とは45°傾いており、偏光板110を透過する第1の直線偏光の偏光方向と第2のλ/4板113の遅相軸とは−45°(すなわち第1の直線偏光の偏光方向に対して第1のλ/4板111の遅相軸とは反対側に同角度だけ)傾いている。また偏光板110を透過する第1の直線偏光の偏光方向とPBS114を透過する第2の直線偏光の偏光方向とは互いに直交している。
右眼用表示素子108から出射した無偏光光は、偏光板110を透過して直線偏光となり、第1のλ/4板111を透過して円偏光となって表示レンズ105を透過する。さらに円偏光は、ハーフミラー112を透過した後、表示レンズ104を透過し、第2のλ/4板113を透過して第1の直線偏光になる。この第1の直線偏光は、PBS114を透過する偏光方向に対して直交する偏光方向を有するため、PBS114で反射して第2のλ/4板113を透過して円偏光となる。この円偏光は、表示レンズ104を透過した後、ハーフミラー112で反射し、再度、表示レンズ104を透過し、第2のλ/4板113を透過して第2の直線偏光になる。この第2の直線偏光は、PBS114を透過する偏光方向と一致する偏光方向を有するため、PBS114を透過して射出瞳ER1(右眼102)に導かれる。左眼用表示素子109から出射した光も、同様に左眼用接眼光学系OL1により射出瞳EL1(左眼103)に導かれる。
このように各接眼光学系を偏光を利用して光路を折り畳むように構成することで、各接眼光学系を光軸方向において薄型化することができ、かつ各接眼光学系の焦点距離を短くして広画角な画像の観察を可能とする。
HMDは、観察者が頭部に装着するために軽量であることが望ましい。このため、接眼光学系を構成する表示レンズや撮像光学系を構成する撮像レンズは硝子よりも比重が小さい樹脂により製作することが望ましい。このため、本実施例でも、表示レンズ104〜107は樹脂レンズとしている。また最も射出瞳側の表示レンズ104,106を表示素子側に向かって凸面を有する平凸レンズとして、該凸面にハーフミラー112を設けることで、接眼光学系を薄型化しつつ広画角化を実現している。さらに表示レンズ104,106の凸面を非球面形状とすることで、収差補正効果を高めている。また、表示レンズ105,107を樹脂製の両面非球面レンズとして、収差補正効果を高めている。
ただし、表示レンズ105,107は外径が小さく、重量への影響が小さいため、ガラスレンズとしてもよい。またHMD101の全体の重量が許容範囲であれば、表示レンズ104,106もガラスレンズとしてもよい。
本実施例のHMD101では、眼鏡を掛けている観察者でも装着できるように、アイレリーフは15mm以上であることが望ましい。一方、アイレリーフが長すぎると、表示レンズの外形が大きくなりHMDも大型化するため、アイレリーフは25mm以下であることが望ましい。すなわち、アイレリーフE1は、
15mm≦E1≦25mm (1)
なる条件を満足するとよい。
15mm≦E1≦25mm (1)
なる条件を満足するとよい。
また本実施例のHMD101では、図4に示すように、右眼102の眼球(瞳)が右眼用表示素子108の表示面の左右の端部を向いている(見ている)状態での右眼用接眼光学系OR1の射出瞳ER1′の位置、すなわちアイレリーフE1′を、図1に示すように眼球が表示面の中心部を向いている状態でのアイレリーフE1=18mmに眼球の回転半径10mmを加えた28mmに設定し、射出瞳径を6mmに設定している。左眼用接眼光学系OL1の射出瞳についても同様である。このように設定することで、表示面の左右の端部(同様に上下の端部)を観察するために眼球が回転した場合でも、眼球が向いた方向からの光が眼球に入射させることができる。
次に、本実施例の接眼光学系OR1,OL1における不要光としてのゴースト光の発生について、図5を用いて説明する。ここでも、右眼用接眼光学系OR1を用いて説明するが、左眼用接眼光学系OL1についても同様である。
本実施例のように偏光を利用した接眼光学系OR1では、表示レンズ104,105内での複屈折や偏光板110、λ/4板111,113およびPBS114の偏光特性により、表示素子108から出射した光が、図1や図4に示す正規の光路を辿らず、図5に示すようにPBS114で反射することなくそのまま観察者の右眼102に導かれることがある。この光がゴースト光となる。このゴースト光は、第1のλ/4板111を透過した円偏光の光が表示レンズ105,104内の複屈折によって楕円偏光になり、第2のλ/4板113を透過した後の直線偏光の偏光方向が本来の方向に対して傾き、PBS114を透過して右眼102に導かれることで発生する。また、表示レンズ104,105内の複屈折がなくても、偏光板110、λ/4板111,113およびPBS114の偏光特性が良好でないとゴースト光が発生する。そして図5から分かるように、ゴースト光は観察される画像の中心付近に発生するため、観察者の違和感が大きい。
レンズ内の複屈折は、一般に、該レンズの中心部から周辺部にかけて大きくなる。図6(a)は、表示レンズ104内における中心(光軸)からの距離と複屈折の大きさとの関係を示す。図6(b)は、表示レンズ105における中心からの距離と複屈折の大きさとの関係を示す。これらの図から分かるように、表示レンズ104,105のいずれにおいても中心からの距離が大きくなるにつれて複屈折の大きさが増加する。このため、図5において表示素子108の中心部から出射したゴースト光は、複屈折が小さい表示レンズ104,105の中心部を通過するため、強度は小さい。一方、表示素子108の周辺部から出射したゴースト光は、複屈折が大きい表示レンズ104,105の周辺部を通過するため、強度が大きい。
そこで本実施例では、表示コントローラ115が、右眼用表示素子108の周辺部における入力画像に対する表示画像の明るさのゲインを、中心部のゲインよりも低くする。言い換えれば、例えば入力画像が均一の明るさの画像である場合に、表示素子108の周辺部での画像の明るさが中心部での画像の明るさよりも暗くなるようにゲインを設定する。具体的には、図7に示すように、表示素子108の中心(光軸)から端部までの距離、すなわち最大像高を100%像高とするとき、80%像高以上の周辺部の明るさが80%像高未満の中心部の明るさ100%より暗くなるようにゲインを設定する。この際、80%像高から100%像高(端部)にかけて徐々に明るさが低下し、100%像高にて明るさが中心部の20%になるようにゲインを設定する。
このように表示素子108の周辺部のゲインを中心部より低くすることで、表示素子108の周辺部から出射するゴースト光を低減することができる。表示素子108全体のゲインを均一にすると、正規の光路を辿る光(正規光)に対するゴースト光の割合は1.0%となる。これに対して、本実施例のように周辺部のゲインを中心部より低くすることで、正規光に対するゴースト光の割合を0.85%に低減することができる。左眼用表示素子109についても同様である。
なお、図7では、80%以上の像高における明るさ(ゲイン)を線形に低下させる場合を示しているが、明るさを低下させる像高は70%でなくてもよく、また周辺部の明るさを中心部より暗くするのであれば非線形に明るさを低下させてもよい。ただし、60%以上の像高における明るさを低下させることが望ましい。60%未満の像高における明るさを低下させると、暗い像高の領域が大きくなりすぎて、自然な画像観察ができなくなるためである。また、100%像高における明るさは、中心部の明るさの25%以下であることが望ましい。明るさが25%より大きいと、周辺部からのゴースト光に対する十分な低減効果が得られないためである。さらにゴースト光の低減効果を高めるためには、100%像高における明るさは中心部の明るさの5%以下であることが望ましい。
以上説明したように、本実施例によれば、観察者が注視することが多い表示素子108,109の中心部に比べて、観察者が注視することが少ない(気にしない)周辺部の明るさゲインを低くすることで、表示画像の中心付近に発生するゴースト光を低減して、より自然な画像観察を行うことができる。
なお、表示コントローラ115をHMD101の外部にコントロールユニットとして設け、パーソナルコンピュータ150から入力画像を受けたコントロールユニットから有線または無線通信により表示画像の信号をHMD101に送信できるようにしてもよい。
ここで、各接眼光学系に糸巻き型の歪曲収差がある場合には、表示コントローラ115は、入力画像に対して糸巻き型の歪曲収差をキャンセル(補正)するための画像処理としての歪補正処理を行ってもよい。この場合、表示コントローラ115は、まず図14(a)に示す矩形の均一の明るさの入力画像に対して、図14(b)に示すように周辺部の明るさを暗くするようにゲインを設定する。その後、図14(c)に示すように、周辺部を暗くした原画像に対する歪補正処理を行い、歪補正処理後の原画像を表示画像として表示素子に表示する。接眼光学系に糸巻き型の歪曲収差がある場合には、図14(c)に示すように歪補正処理後の表示画像の周辺部は補正前よりも暗くなる。このため、表示素子の周辺部からのゴースト光をより低減することができる。
レンズ内の複屈折は、該レンズを樹脂材料を用いて金型成形により製造した際に発生し易く、該レンズの偏肉比が大きいほど金型成形後の冷却時にレンズの薄い部分と厚い部分との冷え方の差が大きくなることで複屈折が大きくなる。
本実施例のように広画角で薄型の接眼光学系OR1では、最も光学パワーが大きい反射面(ハーフミラー112)を有する表示レンズ104の偏肉比が大きくなる。表示レンズ104の光学有効領域における偏肉比は2.0である。偏肉比は、1.5以上、4.0以下であることが望ましい。偏肉比が1.5未満である場合には、表示レンズ104の光学パワーを小さくして該表示レンズ104の曲率半径が大きくなるか厚みが大きくなる。表示レンズ104の光学パワーを小さくすると広画角化を実現できなくなったり、光学パワーが大きいレンズを追加する必要が生じて接眼光学系OR1の薄型化が不可能となったりする。また表示レンズ104の厚みが大きくなると、接眼光学系OR1の薄型化を実現できない。一方、偏肉比が4.0より大きい場合には、表示レンズ104の複屈折が大きくなり過ぎて、ゴースト光の強度が増す。
接眼光学系OR1の厚さL1を、PBS114における射出瞳側の面から表示素子108までの距離とすると、厚さL1は13mmであり、厚さL1とアイレリーフE1=18mmとの比L1/E1は0.72である。この値はアイレリーフの長さと接眼光学系の薄型化とを両立するために、
0.60≦L1/E1≦1.00 (2)
なる条件を満足することが望ましい。L1/E1が0.60より小さいと、アイレリーフが長くなりすぎて表示レンズの外径が大きくなり、HMD101も大型化するので、好ましくない。しかも、外径が大きいほど表示レンズ104の複屈折が大きくなるため、ゴースト光の強度が増す。一方、L1/E1が1.00より大きいと、接眼光学系が厚くなってHMD101が大型化するとともに、アイレリーフが短すぎて観察者に圧迫感を与えたり眼鏡を掛けている観察者が装着できなくなったりするため、好ましくない。
0.60≦L1/E1≦1.00 (2)
なる条件を満足することが望ましい。L1/E1が0.60より小さいと、アイレリーフが長くなりすぎて表示レンズの外径が大きくなり、HMD101も大型化するので、好ましくない。しかも、外径が大きいほど表示レンズ104の複屈折が大きくなるため、ゴースト光の強度が増す。一方、L1/E1が1.00より大きいと、接眼光学系が厚くなってHMD101が大型化するとともに、アイレリーフが短すぎて観察者に圧迫感を与えたり眼鏡を掛けている観察者が装着できなくなったりするため、好ましくない。
また本実施例において、接眼光学系OR1の最大対角半画角θ1は27°である。このとき、E1×tanθ1=9.2mmである。この値はアイレリーフの長さと接眼光学系の広画角化を両立するために、
8mm≦E1×tanθ1≦20mm (3)
なる条件を満足することが望ましい。E1×tanθ1が8mmより小さいと、アイレリーフが短すぎて観察者に圧迫感を与えたり眼鏡を掛けている観察者が装着できなくなったりするため、好ましくない。また接眼光学系の表示画角が狭すぎて、臨場感のある自然な画像の観察ができない。一方、E1×tanθ1が20mmより大きいと、アイレリーフが長くなりすぎて表示レンズ104の外径が大きくなり、HMD101も大型化するので、好ましくない。しかも、外径が大きいほど表示レンズ104の複屈折が大きくなるため、ゴースト光の強度が増す。
8mm≦E1×tanθ1≦20mm (3)
なる条件を満足することが望ましい。E1×tanθ1が8mmより小さいと、アイレリーフが短すぎて観察者に圧迫感を与えたり眼鏡を掛けている観察者が装着できなくなったりするため、好ましくない。また接眼光学系の表示画角が狭すぎて、臨場感のある自然な画像の観察ができない。一方、E1×tanθ1が20mmより大きいと、アイレリーフが長くなりすぎて表示レンズ104の外径が大きくなり、HMD101も大型化するので、好ましくない。しかも、外径が大きいほど表示レンズ104の複屈折が大きくなるため、ゴースト光の強度が増す。
また、外光によるゴースト光を低減して観察する画像のコントラストを高めるために、PBS114と各接眼光学系の射出瞳との間に偏光板を配置してもよい。
さらに本実施例では、図2に示すように、第2のλ/4板113とPBS114が積層されるように形成された表示レンズ104の射出瞳側の面を平面としている。これはアイレリーフを長くすることと、接眼光学系を薄型化することを両立するためである。この面が射出瞳に向かって凹形状を有すると、その周辺部でのアイレリーフを確保するために表示レンズ104が厚くなる。また、この面が射出瞳に向かって凸形状を有すると、表示レンズ104のレンズコバ部の厚さを確保するためにレンズが厚くなる。
本実施例で説明した式(1)〜(3)で示した条件については、後述する実施例2において同様である。また、本実施例で説明した好ましいレンズの材料や形状、偏肉比等についても、実施例2において同様である。
なお、表示素子として、直線偏光を出射する液晶ディスプレイパネルを用いてもよい。この場合、偏光板110が不要となり、接眼光学系およびHNDのさらなる薄型化が可能となる。これについても、実施例2において同様である。
図8は、本発明の実施例2であるHMD201の構成を示している。202は観察者の右眼、203は観察者の左眼である。表示レンズ204,205は右眼用接眼光学系OR2を構成し、表示レンズ206,207は左眼用接眼光学系OL2を構成する。各接眼光学系は、2つの表示レンズにより構成された共軸の光学系である。右眼用接眼光学系OR2の射出瞳ER2には観察者の右眼202が配置され、左眼用接眼光学系OL2の射出瞳EL2には観察者の左眼203が配置される。
208は右眼用表示素子、209は左眼用表示素子である。各表示素子は、平板型の表示素子であり、本実施例では有機ELディスプレイパネルを用いている。表示コントローラ(表示制御手段)215は、不図示のパーソナルコンピュータから供給される入力画像に対して所定のゲインを乗じて生成した原画像としての表示画像を表示素子208,209に表示させる。
接眼光学系OR2,OL2はそれぞれ、表示素子208,209からの光を射出瞳ER2,EL2に導くことで、表示素子208,209に表示された表示画像の拡大虚像を観察者の右眼202と左眼203に投影する。これにより、観察者は、表示素子208,209に表示された表示画像(の虚像)を接眼光学系OR2,OL2を通して観察することができる。
本実施例において、各接眼光学系の焦点距離は13mm、水平表示画角は60°、垂直表示画角は60°、対角表示画角は78°である。各接眼光学系における最も射出瞳側の面(後述する偏光分離素子214の射出瞳側の面)と各接眼光学系の射出瞳との距離であるアイレリーフE2は、20mmである。
本実施例における右眼用および左眼用接眼光学系ОR2,OL2も、実施例1と同様に、偏光を利用して光路を折り畳む光学系であり、その構成について右眼用接眼光学系ОR2を用いて説明する。図9に示すように、右眼用接眼光学系ОR2は、右眼用表示素子208から射出瞳ER2に向かって順に配置された偏光板210、第1のλ/4板211、表示レンズ205、表示レンズ204、第2のλ/4板213およびPBS214を有する。表示レンズ204における表示素子側の凸面には、半透過反射面としてのハーフミラー212が蒸着により形成されている。また第2のλ/4板213とPBS214は、表示レンズ204における射出瞳側の面上に積層されるように設けられている。
偏光板210、第1のλ/4板211、第2のλ/4板213およびPBS214はいずれも平板状に形成されている。偏光板210を透過する第1の直線偏光の偏光方向と第1のλ/4板211の遅相軸とは45°傾いており、偏光板210を透過する第1の直線偏光の偏光方向と第2のλ/4板213の遅相軸とは−45°傾いている。また偏光板210を透過する第1の直線偏光の偏光方向とPBS214を透過する第2の直線偏光の偏光方向とは互いに直交している。
右眼用表示素子208から出射した無偏光光は、偏光板210を透過して直線偏光となり、第1のλ/4板211を透過して円偏光となって表示レンズ205を透過する。さらに円偏光は、ハーフミラー212を透過した後、表示レンズ204を透過し、第2のλ/4板213を透過して第1の直線偏光になる。この第1の直線偏光は、PBS214を透過する偏光方向に対して直交する偏光方向を有するため、PBS214で反射して第2のλ/4板213を透過して円偏光となる。この円偏光は、表示レンズ204を透過した後、ハーフミラー212で反射し、再度、表示レンズ204を透過し、第2のλ/4板213を透過して第2の直線偏光になる。この第2の直線偏光は、PBS214を透過する偏光方向と一致する偏光方向を有するため、PBS214を透過して射出瞳ER2(右眼202)に導かれる。左眼用表示素子209から出射した光も、同様に左眼用接眼光学系OL2により射出瞳EL2(左眼203)に導かれる。
本実施例でも、実施例1と同様に、各接眼光学系を偏光を利用して光路を折り畳むように構成することで、各接眼光学系を薄型化することができ、かつ各接眼光学系の焦点距離を短くして広画角な画像の観察を可能とする。
また本実施例でも、各接眼光学系において、2つの表示レンズを接合して、その光軸方向の厚さを13.5mmと薄型化している。そして、前述したように接眼光学系のアイレリーフE2として20mmを確保している。2つの表示レンズを接合レンズとすることで、HMD201の本体によって表示レンズを保持しやすくなる。
さらに本実施例でも、表示レンズ204〜207は樹脂レンズであり、かつ表示レンズ204〜207を非球面レンズとして収差補正効果を高めている。
また表示レンズ204,205を接合レンズとしているため、ハーフミラー212を表示レンズ205のうち射出瞳側の面に設けてもよい。この場合でも、ハーフミラー212が設けられた面は表示素子208に向かって凸面である。
また本実施例のHMD201では、右眼202の眼球(瞳)が表示素子208の表示面の左右の端部を向いている(見ている)状態での右眼用接眼光学系OR2の射出瞳の位置、すなわちアイレリーフを、図8に示すように眼球が表示面の中心部を向いている状態でのアイレリーフE2=20mmに眼球の回転半径10mmを加えた30mmに設定し、射出瞳径を6mmに設定している。左眼用接眼光学系OL2の射出瞳についても同様である。このように設定することで、表示面の左右の端部(同様に上下の端部)を観察するために眼球が回転した場合でも、眼球が向いた方向からの光が眼球に入射させることができる。
図10に示すように、本実施例の接眼光学系OR2,OL2においても、実施例1と同様の理由によってゴースト光が発生する。図11(a)は、表示レンズ204内における中心(光軸)からの距離と複屈折の大きさとの関係を示す。図11(b)は、表示レンズ205における中心からの距離と複屈折の大きさとの関係を示す。これらの図から分かるように、表示レンズ204,205のいずれにおいても中心からの距離が大きくなるにつれて複屈折の大きさが増加する。図12(a)は、本実施例におけるゴースト光の表示画角全体での強度分布(色が濃い部分ほどゴースト光の強度が大きい)を示し、図12(b)は表示画角の対角方向でのゴースト光の強度分布を示す。
これらの図12(a)、(b)から分かるように、図10において右眼用表示素子208の中心部から出射したゴースト光は、複屈折が小さい表示レンズ204,205の中心部を通過するため、強度は小さい。一方、表示素子208の周辺部から出射したゴースト光は、複屈折が大きい表示レンズ204,205の周辺部を通過するため、強度が大きい。しかも、実施例1に比べて、本実施例の方が表示画角が大きく、各表示レンズの外径が大きくて複屈折が大きいため、ゴースト光の強度が大きい。
そこで本実施例では、表示コントローラ215が、右眼用表示素子208の周辺部における入力画像に対する表示画像の明るさのゲインを、中心部のゲインよりも低くする。言い換えれば、例えば入力画像が均一の明るさの画像である場合に、表示素子208の周辺部での画像の明るさが中心部での画像の明るさよりも暗くなるようにゲインを設定する。具体的には、図13に示すように、70%像高以上の周辺部の明るさが70%像高未満の中心部の明るさ100%より暗くなるようにゲインを設定する。この際、70%像高から最大像高である100%像高(端部)にかけて徐々に明るさが低下し、100%像高にて明るさが0%になるようにゲインを設定する。
このように表示素子208の周辺部のゲインを中心部より低くすることで、表示素子208の周辺部から出射するゴースト光を低減することができる。表示素子208全体のゲインを均一にすると、正規の光路を辿る光(正規光)に対するゴースト光の割合は3.0%となる。これに対して、本実施例のように周辺部のゲインを中心部より低くすることで、正規光に対するゴースト光の割合を2.1%に低減することができる。左眼用表示素子209についても同様である。
本実施例のように表示画角が大きいと、外径が大きい表示レンズ205の周辺部と中心部での複屈折の差が大きい。このため、表示素子208の周辺部を暗くすることで、ゴースト光を低減する効果が大きい。また表示画角が大きいため、周辺部の明るさを暗くすることが観察者の気になりにくい。
なお、図13では、70%以上の像高における明るさ(ゲイン)を低下させる場合を示しているが、明るさを低下させる像高は70%でなくてもよい。ただし、実施例1と同様に、60%以上の像高における明るさを低下させることが望ましい。また、最大像高での明るさは25%以下であることが望ましく、さらにゴースト光の低減効果を高めるためには5%以下であることが望ましい。
以上説明したように、本実施例でも、観察者が注視することが多い表示素子208,209の中心部に比べて、観察者が注視することが少ない(気にしない)周辺部の明るさゲインを低くすることで、表示画像の中心付近に発生するゴースト光を低減して、より自然な画像観察を行うことができる。
各接眼光学系に糸巻き型の歪曲収差がある場合に、表示コントローラ215が周辺部の明るさを低下させた原画像に対して歪補正処理を行うことは、実施例1と同じである。
本実施例でも、右眼用接眼光学系OR2は広画角で薄型であるため、最も光学パワーが大きい反射面(ハーフミラー212)を有する表示レンズ204の偏肉比が大きくなる。表示レンズ204,205を接合しているため、表示レンズ205における表示レンズ204との接合面の曲率半径が短く、表示レンズ205の偏肉比も大きくなる。本実施例では、表示レンズ204の光学有効領域における偏肉比は3.6であり、表示レンズ205の光学有効領域における偏肉比は2.8である。
また右眼用接眼光学系OR2の厚さL2をPBS214の射出瞳側の面から右眼用表示素子208までの距離とすると、厚さL2は13.5mmであり、厚さL2とアイレリーフE2の比、L2/E2は0.68である。
本実施例において、右眼用接眼光学系OR2のアイレリーフE2は20mmであり、最大対角半画角θ2は39°である。このとき、E2×tanθ2=16.2mmであり、式(6)の条件を満足している。上記偏肉比、L2/E2およびE2×tanθ2については左眼用接眼光学系OL2についても同じである。
また、本実施例でも、外光によるゴースト光を低減して観察する画像のコントラストを高めるために、PBS214と各接眼光学系の射出瞳との間に偏光板を配置してもよい。
以上説明した各実施例は代表的な例にすぎず、本発明の実施に際しては、各実施例に対して種々の変形や変更が可能である。
101,201 HMD
108,208 右眼用表示素子
109,209 左眼用表示素子
115,215 表示コントローラ
OR1,2 右眼用接眼光学系
OL1,2 左眼用接眼光学系
108,208 右眼用表示素子
109,209 左眼用表示素子
115,215 表示コントローラ
OR1,2 右眼用接眼光学系
OL1,2 左眼用接眼光学系
Claims (15)
- 表示素子と、
入力画像に応じて前記表示素子に原画像を表示させる表示制御手段と、
前記表示素子からの光を射出瞳に導く接眼光学系とを有し、
前記接眼光学系は、前記表示素子から前記射出瞳に向かって順に配置された、
第1の位相板と、
半透過反射面と、
レンズと、
第2の位相板と、
第1の直線偏光を反射し、該第1の直線偏光の偏光方向に直交する偏光方向の第2の直線偏光を透過する偏光分離素子とを含み、
前記表示制御手段は、前記入力画像に対する前記原画像の明るさのゲインを、前記表示素子の中心部より周辺部において低くすることを特徴とする画像観察装置。 - 前記レンズが樹脂レンズであることを特徴とする請求項1に記載の画像観察装置。
- 前記表示制御手段は、前記表示素子における最大像高の60%以上の像高において、60%未満の像高よりも前記ゲインを低くすることを特徴とする請求項1または2に記載の画像観察装置。
- 前記表示制御手段は、前記表示素子における最大像高における前記ゲインを、該表示素子の中心部における前記ゲインの25%以下にすることを特徴とする請求項1から3まのいずれか一項に記載の画像観察装置。
- 前記接眼光学系が糸巻き型の歪曲収差を有し、
前記表示コントローラは、前記中心部より前記周辺部において前記ゲインを低くした後に、前記原画像に対して前記歪曲収差を補正する画像処理を行うことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の画像観察装置。 - 前記半透過反射面が前記レンズに設けられており、
前記レンズのうち前記半透過反射面が設けられた面が、前記表示素子に向かって凸面であることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の画像観察装置。 - 前記半透過反射面が前記レンズに設けられており、
前記レンズのうち前記半透過反射面が設けられた面が非球面であることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の画像観察装置。 - 前記接眼光学系に含まれる1または複数のレンズのうち最も射出瞳側のレンズが前記表示素子に向かって凸面を有する平凸レンズであることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の画像観察装置。
- 前記半透過反射面が前記レンズに設けられており、
前記レンズの光学有効領域における偏肉比が、1.5以上、4.0以下であることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の画像観察装置。 - 前記接眼光学系のアイレリーフEは、
15mm≦E≦25mm
なる条件を満足することを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の画像観察装置。 - 前記接眼光学系の厚さLと前記接眼光学系のアイレリーフEとが、
0.6≦L/E≦1.0
なる条件を満足することを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の画像観察装置。 - 前記接眼光学系のアイレリーフEと前記接眼光学系の最大の対角半画角θとが、
8mm≦E×tanθ≦20mm
なる条件を満足することを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載の画像観察装置。 - 前記第1の直線偏光の偏光方向に対して、前記第1の位相板の遅相軸と前記第2の位相板の遅相軸とが互いに反対側に傾いていることを特徴とする請求項1から12のいずれか一項に記載の画像観察装置。
- 前記接眼光学系は、前記偏光分離素子と前記射出瞳との間に、前記第2の直線偏光を透過する偏光板を含むことを特徴とする請求項1から13のいずれか一項に記載の画像観察装置。
- 前記表示素子から無偏光光が出射し、
前記接眼光学系は、前記表示素子と前記第1の位相板との間に、前記第1の直線偏光を透過する偏光板を有することを特徴とする請求項1から14のいずれか一項に記載の画像観察装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020015847A JP2021124537A (ja) | 2020-01-31 | 2020-01-31 | 画像観察装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2020015847A JP2021124537A (ja) | 2020-01-31 | 2020-01-31 | 画像観察装置 |
Publications (1)
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JP2021124537A true JP2021124537A (ja) | 2021-08-30 |
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Family Applications (1)
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JP2020015847A Pending JP2021124537A (ja) | 2020-01-31 | 2020-01-31 | 画像観察装置 |
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2020
- 2020-01-31 JP JP2020015847A patent/JP2021124537A/ja active Pending
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