JP2021123604A - 仮固定粘着シート - Google Patents

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Abstract

【課題】溶剤と接触することで被着体から容易に剥離し得る仮固定粘着シートを提供する。【解決手段】少なくとも一方の表面に高低差が0.5μm以上である凹部1が存在する粘着剤層(X)2を有し、溶剤接触剥離性を有する、仮固定粘着シート10。前記粘着剤層(X)2の表面の輪郭の一箇所から他の箇所まで連続的に結合した前記凹部1が存在する、前記仮固定粘着シート10。粘着剤層(X)2の凹部1が存在する表面の粘着力が、0.01〜12.00N/25mmである、仮固定粘着シート10。【選択図】図1

Description

本発明は、仮固定粘着シートに関する。より具体的には、溶剤との接触により自己剥離性を発現する仮固定粘着シートに関する。
粘着シートは、部材を半永久的に固定する用途だけでなく、建材、内装材、電子部品等を加工したり検査したりする際に対象となる部材を仮固定するために使用される場合がある。
一例として、半導体装置の製造過程では、半導体ウェハの加工や半導体チップのような電子デバイス用材料を使用する際に、仮固定用シートとして粘着シートが用いられている。このように、粘着シートを電子デバイス用材料等の被着体に貼付して使用した後、使用後の粘着シートを剥離する場合には、前記被着体に対して過度な負荷をかけずにできることが望ましい。
同様に、粘着シートを、例えば、保護フィルム等の保護材、壁紙、各種ラベル用途等としての使用等も挙げられる。被着体に貼付した粘着シートに対して負荷をかけずに、被着体から剥離することが可能になれば、粘着シートに起因して生じる被着体の汚染、変形、破損等の不具合の低減及び防止が期待できる。
このように、被着体に粘着シートを一時的に貼付して用いる場合、当該粘着シートには、貼付時における十分な粘着力の発現と、剥離時における優れた剥離性とが要求されている。
本明細書中、前述のとおり、粘着シートの貼付対象となる各種部材を半永久的に固定する用途だけでなく、一時的に固定するために用いられる粘着シートを、「仮固定粘着シート」とも称する。
例えば、特許文献1には、ホモポリマーのガラス転移温度が、それぞれ、特定の範囲を満たす(メタ)アクリレート及び脂環式(メタ)アクリレートと、光重合開始剤を含有することを特徴とする仮固定用接着剤組成物、並びに、当該仮固定用接着剤組成物を用いて、部材を仮固定し、該加工された部材を有機溶剤に浸漬して前記組成物の硬化体を取り外す、部材の仮固定方法が開示されている。
また、例えば、特許文献2には、脆質材料が両面に粘着剤層を有する両面粘着シートを介して硬質板に固定されたユニットを形成し、前記硬質板から脆質材料を剥離する工程を含む加工方法において、前記ユニットを前記粘着剤と不溶又は難溶の液体中に浸漬させて、両面粘着シートと脆質材料との界面、又は、両面粘着シートと硬質板との界面に前記液体を侵入させた後、前記ユニットの端部より脆質材料を剥がすことを特徴とする脆質材料の加工方法が開示されている。
特開2015−108044号公報 特開2003−338475号公報
ところで、近年、特許文献1及び2中に開示されているような粘着シートを各種製品の製造工程で用いる場合、生産性向上の観点から、前記粘着シートを溶剤等に浸漬した後、前記粘着シートを被着体から剥離するまでに要する時間の短縮化が求められている。
また、前述したような生産工程以外で使用される粘着シートにおいても、剥離時における作業性向上の観点等から、剥離処理時間の短縮化が要求されている。
このような観点から、本発明は、溶剤と接触することで被着体から容易に剥離し得る仮固定粘着シートを提供することを目的とする。
本発明者は、少なくとも一方の表面に凹部が存在する特定の粘着剤層(X)を有する仮固定粘着シートが前記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、下記[1]〜[9]を提供する。
[1] 少なくとも一方の表面に凹部が存在する粘着剤層(X)を有し、溶剤接触剥離性を有する、仮固定粘着シート。
[2] 前記凹部の高低差が0.5μm以上である、前記[1]に記載の仮固定粘着シート。
[3] 粘着剤層(X)を平面視した場合、粘着剤層(X)の表面の輪郭の一箇所から他の箇所まで連続的に結合した前記凹部が存在する、前記[1]又は[2]に記載の仮固定粘着シート。
[4] 粘着剤層(X)を溶剤中に浸漬させる前の前記粘着剤層(X)の凹部が存在する表面の粘着力が、0.01〜12.00N/25mmである、前記[1]〜[3]のいずれか1つに記載の仮固定粘着シート。
[5] 粘着剤層(X)が、アクリル系粘着剤組成物により形成される、前記[1]〜[4]のいずれか1つに記載の仮固定粘着シート。
[6] 基材を有する、前記[1]〜[5]のいずれか1つに記載の仮固定粘着シート。
[7] 電子デバイス用材料を支持体に仮固定することに用いる、前記[1]〜[6]のいずれか1つに記載の仮固定粘着シート。
[8] 前記電子デバイス用材料が、電子デバイス用ウェハである、前記[7]に記載の仮固定粘着シート。
[9] 電子デバイス用材料の加工及び/又は検査に用いられる、前記[1]〜[8]のいずれか1つに記載の仮固定粘着シート。
本発明によれば、溶剤と接触することで被着体から容易に剥離し得る仮固定粘着シートを提供できる。
本発明の仮固定粘着シートの構成の一例を示す断面模式図であって、粘着剤層(X)の表面に存在する凹部が判別できるような面で切断した断面模式図である。 本発明の仮固定粘着シートの構成の一例を示す断面模式図であって、粘着剤層(X)の表面に存在する凹部が判別できるような面で切断した断面模式図である。 本発明の仮固定粘着シートの構成の一例を示す断面模式図であって、粘着剤層(X)の表面に存在する凹部が判別できるような面で切断した断面模式図である。 本発明の仮固定粘着シートの構成の一例を示す断面模式図であって、粘着剤層(X)の表面に存在する凹部が判別できるような面で切断した断面模式図である。 実施例における仮固定粘着シートの溶剤(有機溶媒又は水)接触剥離性評価サンプルの断面模式図であって、粘着剤層(X)の表面に存在する凹部が判別できるような面で切断した断面模式図である。 本発明の仮固定粘着シートの一例を示す平面模式図である。 本発明の仮固定粘着シートの一例を示す平面模式図である。 本発明の仮固定粘着シートが有してもよい剥離材の構成の一例を示す断面模式図であって、剥離材の表面に存在する凸部が判別できるような面で切断した剥離材の断面模式図である。 本実施態様の一例である実施例1で作製した仮固定粘着シートの凹部の高低差及び幅を確認した際の走査型電子顕微鏡(SEM)画像の一例である。 本実施態様の一例である実施例1及び13で作製した仮固定粘着シートを作製する際に用いた剥離材1の凸部の高低差及び幅を確認した際の走査型電子顕微鏡(SEM)画像の一例である。 本実施態様の一例である実施例1で作製した仮固定粘着シートの凹部のパターン形状を確認した際の走査型電子顕微鏡(SEM)画像の一例である。 本実施態様の一例である実施例1及び13で作製した仮固定粘着シートを作製する際に用いた剥離材1の凸部のパターン形状を確認した際の走査型電子顕微鏡(SEM)画像の一例である。 本実施態様の一例である実施例13で作製した仮固定粘着シートの凹部の高低差及び幅を確認した際の走査型電子顕微鏡(SEM)画像の一例である。 本実施態様の一例である実施例13で作製した仮固定粘着シートの凹部のパターン形状を確認した際の走査型電子顕微鏡(SEM)画像の一例である。
[仮固定粘着シート]
本発明の仮固定粘着シートは、少なくとも一方の表面に凹部が存在する粘着剤層(X)を有し、溶剤接触剥離性を有する。
本明細書中、仮固定粘着シート(以下、単に「粘着シート」ともいう。)が溶剤との接触に起因して発現する自己剥離を「溶剤接触剥離」といい、そのような性質を「溶剤接触剥離性」というものとする。
本発明の一態様において、粘着シートが「溶剤接触剥離性」を有するか否かの判断は、例えば、前記粘着シートの粘着剤層(X)の凹部を有する表面を、平滑面を有する被着体に貼付後、前記被着体から剥離する際に、粘着剤層(X)を25℃の溶剤中に浸漬させることにより、25分未満の時間で前記仮固定粘着シートを前記被着体から自己剥離することが可能であるか否かにより判断され、25分未満の時間で自己剥離した場合は「溶剤接触剥離性」を有するものとする。
ここで、本明細書中、前記「自己剥離」とは、前記粘着シートを引き剥がす力を印加することなく、粘着シートが被着体から剥がれている状態となったり、剥がれ落ちたりすることを指し、また、そのような性質を「自己剥離性」というものとする。
また、本発明の一態様において、例えば、粘着シートが後述する「有機溶媒接触剥離性」又は「水接触剥離性」を有する場合、当該粘着シートは「溶剤接触剥離性」を有するものとする。
前記「溶剤」としては、粘着シートの用途に応じて適宜選択可能であるが、例えば、有機溶媒、又は水が挙げられる。
ここで、前記「有機溶媒」としては、粘着シートの用途に応じて適宜選択可能であるが、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、シクロヘキサン、n−ヘキサン、トルエン、キシレン、n−プロパノール、イソプロパノール等を好適に用いることができる。これらの中では、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、及び酢酸エチルからなる群より選ばれる1種以上をより好適に用いることができる。
また、本明細書中、前記粘着シートが有機溶媒との接触に起因して発現する「溶剤接触剥離性」を「有機溶媒接触剥離性」というものとする。
本発明の一態様において、粘着シートが「有機溶媒接触剥離性」を有するか否かの判断は、例えば、前記粘着シートの粘着剤層(X)の凹部を有する表面を、平滑面を有する被着体に貼付後、前記被着体から剥離する際に、粘着剤層(X)を25℃の前記有機溶媒中に浸漬させることにより、25分未満の時間で前記仮固定粘着シートを前記被着体から自己剥離することが可能であるか否かにより判断され、25分未満の時間で自己剥離した場合は「有機溶媒接触剥離性」を有するものとする。
また、本発明の一態様において、粘着シートが「有機溶媒接触剥離性」を有するか否かの判断は、例えば、前記粘着シートの粘着剤層(X)の凹部を有する表面を、平滑面を有する被着体に貼付後、前記被着体から剥離する際に、粘着剤層(X)を25℃のメチルエチルケトン中に浸漬させることにより、25分未満の時間で前記仮固定粘着シートを前記被着体から自己剥離することが可能であるか否かにより判断され、25分未満の時間で自己剥離した場合は「有機溶媒接触剥離性」を有するものとする。
本発明の一態様において、例えば、粘着シートが「有機溶媒接触剥離性」を有するか否かのより具体的な判断方法は、例えば、実施例に記載の方法で評価される有機溶媒接触剥離性評価により評価される。ここで、評価する粘着シートが両面粘着シートであって、一方の粘着剤層は有機溶媒接触剥離性を有する層、他方の粘着剤層は有機溶媒接触剥離性を有しない層とする態様である場合には、前記有機溶媒接触剥離性を有する層が、前述した評価により被着体から自己剥離すれば、当該粘着シートは有機溶媒接触剥離性を有するもの判断できる。
また、前記「水」には、本願の効果が奏される限り、水以外の液体又は固体を溶解させた「水溶液」の態様も含まれる。当該「水」としては、粘着シートの用途に応じて適宜選択可能であるが、水道水;イオン交換水、RO水、蒸留水等の純水;及び超純水;等を好適に用いることができ、純水及び超純水からなる群より選ばれる1種以上をより好適に用いることができる。
また、本明細書中、前記粘着シートが水との接触に起因して発現する自己剥離を「水接触剥離」といい、そのような性質を「水接触剥離性」というものとする。
本発明の一態様において、粘着シートが「水接触剥離性」を有するか否かの判断は、例えば、前記粘着シートの粘着剤層(X)の凹部を有する表面を、平滑面を有する被着体に貼付後、前記被着体から剥離する際に、粘着剤層(X)を25℃の前記水中に浸漬させることにより、25分未満の時間で前記仮固定粘着シートを前記被着体から自己剥離することが可能であるか否かにより判断され、25分未満の時間で自己剥離した場合は「水接触剥離性」を有するものとする。
また、本発明の一態様において、粘着シートが「水接触剥離性」を有するか否かの判断は、例えば、前記粘着シートの粘着剤層(X)の凹部を有する表面を、平滑面を有する被着体に貼付後、前記被着体から剥離する際に、粘着剤層(X)を25℃の純水中に浸漬させることにより、25分未満の時間で前記仮固定粘着シートを前記被着体から自己剥離することが可能であるか否かにより判断され、25分未満の時間で自己剥離した場合は「水接触剥離性」を有するものとする。
本発明の一態様において、粘着シートが「水接触剥離性」を有するか否かのより具体的な判断方法は、例えば、実施例に記載の方法で評価される水接触剥離性評価により評価される。ここで、評価する粘着シートが両面粘着シートであって、一方の粘着剤層は水接触剥離性を有する層、他方の粘着剤層は水接触剥離性を有しない層とする態様である場合には、前記水接触剥離性を有する層が、前述した評価により被着体から自己剥離すれば、当該粘着シートは水接触剥離性を有するもの判断できる。
また、「平滑面を有する被着体」とは、前記粘着シートが溶剤接触剥離性を有するか否かを規定する際に使用される被着体を規定しているに過ぎず、本発明の仮固定粘着シートの貼付対象となる被着体を規定しているわけではない。また、当該「平滑面を有する被着体」は、本発明の仮固定粘着シートを構成する一部ではない。
また、本発明の仮固定粘着シートの貼付対象となる被着体は、平滑面の有無は、特に限定されず、例えば、曲面からなる透光性の被着体であってもよい。
また、前記「平滑面を有する被着体」の「平滑面」とは、JIS B0601:2001で規定する中心線平均粗さ(Ra75)が0.1μm以下の面のことを意味する。当該被着体の材料は、特に制限は無いが、上記規定の平滑面を有する被着体としやすいとの観点及び目視又はデシタル顕微鏡で粘着剤層との界面も観察し易いという観点から、ガラスが好ましい。
また、本明細書中、「エネルギー線」とは、電磁波又は荷電粒子線の中でエネルギー量子を有するものを意味し、その例として、紫外線、放射線、電子線等が挙げられる。紫外線は、例えば、紫外線源として無電極ランプ、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、UV−LED等を用いることで照射できる。電子線は、電子線加速器等によって発生させたものを照射できる。これらの中では、紫外線を好適に用いることができる。
本発明で用いられる粘着剤層(X)(以下、単に「層(X)」ともいう。)が溶剤に接触すると、層(X)と溶剤との親和性に起因して層(X)と被着体との界面へ溶剤が浸入する効果と、層(X)自体が溶剤を取り込んで膨潤する効果により層(X)と被着体との界面に溶剤が浸入する効果とが複合的に作用することで自己剥離が生じると考えられる。
そして、本発明で用いられる層(X)は、前記凹部を有することから、当該凹部に沿って溶剤が浸入し、前記粘着シートを平面視した際、当該粘着シートの外縁部からだけではなく、前記凹部が存在する箇所からも層(X)と被着体との界面に容易に溶剤が侵入できる。また、当該凹部からの溶剤の侵入によって層(X)が溶剤により膨潤する時間も短縮される。その結果、前記粘着シートが被着体から自己剥離可能となる程度にまで層(X)と被着体との界面に溶剤が浸入する時間が著しく短縮され、溶剤接触剥離性が著しく向上すると考えられる。
このような観点から、層(X)を溶剤に接触させる方法としては、層(X)と被着体との界面が溶剤の液面よりも下部に位置するように層(X)を溶剤に浸漬することが好ましく、層(X)を平面視した際に少なくとも層(X)との外周に位置する前記凹部が溶剤中に浸るように層(X)を溶剤に浸漬することがより好ましく、層(X)の全体が溶剤中に浸るように層(X)を溶剤に浸漬することが更に好ましい。
また、前記溶剤の温度は、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はないが、好ましくは0℃超100℃未満、より好ましくは4℃以上50℃未満、更に好ましくは5℃以上40℃以下である。本発明の一態様である粘着シートは、常温(25℃)の溶剤を用いた処理でも、十分な効果が得られる。すなわち、粘着シートと接触させる溶剤に対して、特に、加熱や冷却等の処理を行わない場合でも、溶剤接触剥離性を発現できることから、粘着シート使用時(剥離処理時)における作業性及び経済性にも優れる。
また、本発明の一態様である粘着シートは、後述する実施例に記載の方法で評価される溶剤(有機溶媒又は水)接触剥離性評価において、粘着シートを溶剤中に浸漬した際に被着体から自己剥離するまでに要する時間が、好ましくは20分以下、より好ましくは10分以下、更に好ましくは5分以下、より更に好ましくは1分以下、より更に好ましくは1分未満である。
また、本明細書中、好ましい数値範囲(例えば、含有量等の範囲)について、段階的に記載された下限値及び上限値は、それぞれ独立して組み合わせることができる。例えば、「好ましくは10以上、より好ましくは30以上、そして、好ましくは90以下、より好ましくは60以下」という記載から、「好ましい下限値(10)」と「より好ましい上限値(60)」とを組み合わせて、好適範囲を「10以上、60以下」とすることもできる。同様に、「好ましくは10〜90、より好ましくは30〜60」という記載から、「10〜60」とすることもできる。なお、特に言及しない限り、好ましい数値範囲として単に「10〜90」と記載する場合、10以上90以下の範囲を表す。
また、本明細書中、例えば、「(メタ)アクリル酸」とは、「アクリル酸」と「メタクリル酸」の双方を示し、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」と「メタクリレート」の双方を示し、「(メタ)アクリロイル基」とは、「アクリロイル基」と「メタクリロイル基」の双方を示し、他の類似用語も同様である。
また、本明細書中、粘着剤組成物中の「有効成分」とは、当該粘着剤組成物中に含まれる成分中、反応に直接関与しない溶媒(水や有機溶媒)を除いた常温(25℃)で液体の成分、及び常温(25℃)で固形である成分を指す。
以下に、本発明の実施態様に係る粘着シートの一例を、各図を用いて説明するが、本発明の粘着シートは、本発明の効果が発現する限り、以下の例に限定されるものではない。
図1〜図4は、それぞれ、本発明の粘着シートの構成の一例を示す、粘着シート10、20、30及び40の断面模式図であって、少なくとも一方の表面に凹部1が存在している層(X)2の、前記凹部1が判別できるような面で切断した断面模式図である。
例えば、図7の平面模式図に示す本発明の粘着シートの構成の一例である粘着シート70について、A−A線で切断した場合には、図1〜図4に示すような断面模式図が得られる。
本発明の粘着シートの一態様としては、例えば、図1に示す粘着シート10のように、層(X)2の単層からなる粘着シートが挙げられる。図1に示す粘着シートの場合、凹部1が存在する表面に、層(X)2を溶剤と接触させた際に剥離させたい被着体を貼付して用いることができる。また、図1に示す粘着シート10において、層(X)2の両方の表面に凹部1が存在する粘着シートとしてもよく(図示せず)、層(X)2の片側の露出面及び両方の露出面上に剥離材を設けてもよい(図示せず)。
また、本発明の粘着シートの一態様としては、例えば、図2に示す粘着シート20のように、基材3と、層(X)2とをこの順で積層した構造を有するものが挙げられる。基材3上に層(X)2を設けることで、粘着シートの形状安定性を向上させたり、粘着シートにコシを与えたりすることができることから、層(X)2から剥離材を除去する際や被着体から粘着シートを剥離する際の作業性を向上できる観点から好ましい。
図2に示す粘着シート20において、層(X)2の基材3と接する表面側に凹部1が存在する粘着シートとしてもよく(図示せず)、層(X)2の基材3側及び基材3とは反対側の両方の表面に凹部1が存在する粘着シートとしてもよく(図示せず)、層(X)2の基材3とは反対側の表面及び/又は基材3の層(X)2とは反対側の表面上に剥離材を設けてもよい(図示せず)。
また、本発明の粘着シートの一態様としては、例えば、図3に示す粘着シート30のように、基材3の両面に、層(X)2を積層した多層構造を有する両面粘着シートが挙げられる。図3に示す粘着シート30において2つの層(X)2は、互いに同一の層(X)2であっても、異なる層(X)2であってもよい。また、図3に示す粘着シート30においても、層(X)2の基材3と接する表面側に凹部1が存在する粘着シートとしてもよく(図示せず)、層(X)2の基材3側及び基材3とは反対側の両方の表面に凹部1が存在する粘着シートとしてもよい(図示せず)。
また、図3に示す粘着シート30において、2つの層(X)2のうちの一方を、表面に凹部1を有しない層(X)2以外のその他の粘着剤層としてもよい(図示せず)。
また、本発明の粘着シートの一態様としては、例えば、図4に示す粘着シート40のように、図3に示す粘着シート30において、層(X)2の基材3とは反対側の表面上(露出面)に、剥離材4−1及び剥離材4−2を設けてもよい。
図4中、剥離材4−1は、層(X)2の凹部1と対をなす凸部4aを有する剥離材であり、剥離材4−2は、凸部を有しない剥離材である。図4に示す粘着シート40において、剥離材として両方ともに剥離材4−1を用いてもよく、両方ともに剥離材4−2を用いてもよい。ただし、粘着シート40の保管及び/又は運搬時等に、層(X)2上の凹部1の形状を保持し易くする観点、並びに、後述する本発明の一態様である粘着シートの製造方法で説明するとおり、凹部1を形成し易くする観点からも、層(X)2の凹部1を有する表面には、層(X)2の凹部1と対をなす凸部4aを有する剥離材4−1を設けることが好ましい。図1〜図3に示す粘着シート10、20及び30において剥離材4を設ける場合も、同様である。
また、図5は、本願実施例における粘着シートの溶剤(有機溶媒又は水)接触剥離性評価サンプル100の断面模式図を示している。図5に示す粘着シート50は、粘着剤層(X)2と、基材3と、粘着剤層(X)以外の粘着剤層である粘着剤層(Z)(以下、単に「層(Z)」ともいう。)5とを、この順で積層した多層構造を有する両面粘着シートである。
図5に示す粘着シート50において、層(X)2の凹部1は、被着体(ガラス板)101に接した際にも被着体101とは接触せず、当該凹部1内に沿って溶剤が浸入するため、例えば、当該凹部1を有しない層(Z)5に比べて、層(X)2と被着体101との界面へ溶剤が侵入する時間及び層(X)2が溶剤により膨潤する時間が短縮できると考えられる。
また、図2に示す粘着シート20において、基材3と層(X)2とは、図2に示すように、直接積層していてもよく、基材3と層(X)2との間に、他の層を介して積層していてもよい。ここで、「直接積層」とは、例えば、図2に示す粘着シート20の場合、基材3と、層(X)2との間に、他の層を有さずに、2層が直接接触している構成を指す。
また、図3及び図4に示す粘着シート30及び40において、基材3と層(X)2とは、各図に示すように、3層が直接積層していてもよく、基材3といずれか一方の層(X)2との間、又は、基材3と両方の層(X)2との間に、他の層を介して積層していてもよい。
また、図5に示す粘着シート50において、層(X)2と基材3と層(Z)5とが、図5に示すように、3層が直接積層していてもよく、層(X)2と基材3との間、及び/又は、基材3と層(Z)5との間が、他の層を介して積層していてもよい。
また、例えば、図1〜図5中に示すように、層(X)2が有する凹部1に対して、凹部1が存在しない箇所は、相対的に層(X)2が有する凸部2aと称することもある。
<粘着剤層(X)>
前記粘着剤層(X)は、少なくとも一方の表面に凹部が存在する粘着剤層であり、好ましくは粘着性樹脂を含む粘着剤組成物により形成された層であり、より好ましくはアクリル系粘着剤組成物により形成された層である。
前記粘着性樹脂としては、例えば、ポリイソブチレン系樹脂等のゴム系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、オレフィン系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリビニルエーテル系樹脂等が挙げられ、これらの中では、好ましくはアクリル系樹脂である。
また、これらの粘着性樹脂が、2種以上の構成単位を有する共重合体である場合、当該共重合体の形態は、ブロック共重合体、ランダム共重合体、及びグラフト共重合体のいずれであってもよい。
これらの粘着性樹脂は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(凹部)
前記層(X)が有する「凹部」とは、層(X)の凹部を有する表面を被着体に貼付した際に、当該被着体と接触しないように意図的に設けられた凹みを指す。
層(X)を平面視した場合における凹部の形状としては、前記粘着シートの用途により、適宜選択可能であり、定形であってもよく、不定形であってもよい。
層(X)を平面視した場合における凹部の形状が定形である場合、例えば、三角形、四角形(長方形、正方形、台形を含む。)、五角形、六角形等の多角形;当該多角形の角の一部又は全部に微小の丸みをつけた(「角丸(R)をつけた」ともいう。)形状;真円、楕円等の円形;半円、半楕円、U字形等の半円形;その他少なくとも3つの線(直線、曲線を含む)で囲まれる閉じた領域で表される形状及びこれらを組み合わせた図形から選ばれる1種以上の形状(以下、「独立した凹部形状」ともいう。)が挙げられる。
また、層(X)を平面視した場合における凹部の形状としては、層(X)の凹部を有する表面の輪郭と接する凹部を形成していることが好ましく、層(X)の凹部を有する表面の輪郭の任意の一箇所から他の箇所(輪郭に限らず層(X)の凹部が存在する平面上の任意の箇所)まで連続的に結合している凹部(以下、「連続した凹部形状」ともいう。)を形成していることがより好ましく、層(X)の凹部を有する表面の輪郭の任意の一箇所から前記輪郭の他の箇所まで連続的に結合している凹部を形成していることが更に好ましく、層(X)の凹部を有する表面の任意の一辺から他の一辺まで連続的に結合した凹部を形成していることがより更に好ましい。
前記凹部が、連続した凹部形状であることで、層(X)を平面視した場合における層(X)の外縁部(輪郭部)からより中心部に向かって溶剤が浸入し易くなり、その結果、粘着シートの溶剤接触剥離性が更に向上するため好ましい。
そのため、例えば、層(X)を平面視して、層(X)の凹部を有する表面の輪郭で描かれる図形の重心と前記輪郭上の任意の一点とを結ぶ最短の直線(以下、「重心までの最短距離」ともいう。)を2等分した場合における重心側の線分上(重心を含む)に、前記連続した凹部の少なくとも一部が存在することが好ましく、重心までの最短距離を3等分した場合における最も重心側に近い線分上(重心を含む)に、前記連続した凹部の少なくとも一部が存在していることがより好ましく、重心までの最短距離を5等分した場合における最も重心側に近い線分上(重心を含む)に、前記連続した凹部の少なくとも一部が存在していることが更に好ましい。
また、層(X)を平面視して、層(X)の凹部を有する表面の輪郭で描かれる図形の重心と前記輪郭上の任意の一点とを結ぶ最長の直線(以下、「重心までの最長距離」ともいう。)を2等分した場合における重心側の線分上(重心を含む)に、前記連続した凹部の少なくとも一部が存在することが好ましく、重心までの最長距離を3等分した場合における最も重心側に近い線分上(重心を含む)に、前記連続した凹部の少なくとも一部が存在していることがより好ましく、重心までの最長距離を5等分した場合における最も重心側に近い線分上(重心を含む)に、前記連続した凹部の少なくとも一部が存在していることが更に好ましい。
更に、層(X)は、前記重心までの最短距離上の好ましい位置に少なくとも一部が存在する連続した凹部と、前記重心までの最長距離上の好ましい位置に少なくとも一部が存在する連続した凹部との両方を有することがより更に好ましい。この場合、前述した重心までの最短距離上において連続した凹部の一部が存在する好適な位置と、重心までの最長距離上において連続した凹部の一部が存在する好適な位置とは、それぞれ独立に組み合わせることができる。例えば、重心までの最短距離を2等分した場合における最も重心側に近い線分上(重心を含む)に凹部の少なくとも一部が存在している連続した凹部と、重心までの最長距離を5等分した場合における最も重心側に近い線分上(重心を含む)に凹部の少なくとも一部が存在している連続した凹部とが存在する態様であってもよい。そして、それらの中でも、前述した各凹部の態様において、より程度が好ましい態様同士を組み合わせた態様がより更に好ましい。すなわち、前記連続した凹部の少なくとも一部が、より前記重心に近い位置まで存在している態様同士の組み合わせであることがより更に好ましい。
前記連続した凹部形状としては、例えば、層(X)の凹部を有する表面の任意の一箇所から他の一箇所又は複数箇所を結ぶ直線、曲線、ジグザグ、波線等の線状の形状が挙げられる。これらの中では好ましくは直線で構成される形状が好ましく、当該形状としては、例えば、後述するストライプ状、格子状の凹部が挙げられる。層(X)上には、これらの連続した凹部形状から選ばれる少なくとも1種以上を所定の間隔を空けて交差しないように配置したり、互いに交差するように配置することで、例えば、図6に示すストライプ状、図7に示す格子状、その他の幾何学的模様として凹部を設けることもできる。この場合、図7に示す格子状のように、凹部1によって囲まれる領域6が形成されていてもよく、当該領域6の形状としては、前述した独立した凹部形状で説明した各形状と同様の形状が挙げられる。なお、当該領域6は、前記凸部2aでもある。
層(X)の表面上には、連続した凹部形状の一部が欠落して不連続な形状が存在していてもよく、連続した凹部形状と独立した凹部形状とが混在していてもよい。
層(X)を平面視した場合における凹部として取り得る各形状は、規則的に存在していてもよく、不規則に存在していてもよいが、図6又は7に示すようにパターン状に規則的に存在していることが好ましい。
なお、図7に示すような格子状の場合、同一の凹部形状(直線)が互いに交差して1つの凹部を形成しており、不連続となる箇所がないため、単一の凹部形状とみなすことができる。
また、層(X)を厚さ方向に切断した際の凹部の断面形状としては、切断面により変化する場合もあるため一概に特定することはできないが、例えば、三角形、四角形(長方形、正方形、台形を含む。)、五角形、六角形等の多角形;当該多角形の角の一部又は全部に微小の丸みをつけた(「角丸(R)をつけた」ともいう。)形状;半円、半楕円、U字形等の半円形;等が挙げられる。
前記凹部の高低差は、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はないが、好ましくは0.5μm以上であり、より好ましくは1.0μm以上、更に好ましくは3.0μm以上であり、そして、好ましくは50.0μm以下、より好ましくは30.0μm以下、更に好ましくは25.0μm以下、より更に好ましくは20.0μm以下である。
また、前記凹部の幅は、好ましくは150μm以下、より好ましくは100μm以下、更に好ましくは75.0μm以下、より更に好ましくは50.0μm以下、より更に好ましくは35.0μm以下である。また、前記凹部の幅の下限値は、特に制限はないが、好ましくは1.0μm、より好ましくは3.0μm、更に好ましくは5.0μmである。
凹部の高低差及び幅は、それぞれ、実施例に記載の方法を用いて測定される値である。
前記好適範囲として記載される値について、例えば、「凹部の高低差が0.5μm以上」である場合とは、0.5μm以上の高低差を有する箇所が、凹部のいずれかの部分で存在していればよく、当該凹部の全領域にわたって0.5μm以上の高低差を有している必要はない。同様に、層(X)上に形状の異なる凹部が複数存在する場合でも、いずれかの凹部が0.5μm以上の高低差を有する箇所を有していればよく、全ての凹部が0.5μm以上の高低差を有している必要はない。
凹部の高低差及び幅は、実施例に記載の方法を用いて測定される値である。例えば、図1に示す距離1hが凹部の高低差に該当する。また、図1、図6及び図7に示す距離1wが凹部の幅に該当する。なお、一例として、実施例に記載の方法を用いて撮影された走査型電子顕微鏡(SEM)の画像である図9及び13に示される凹部の断面画像を用いて説明すれば、図9及び13中の距離1hが凹部の高低差に該当し、距離1wが凹部の幅に該当する。
また、凹部の形状は、例えば、後述するように、当該凹部と対となる凸部を有する剥離材上に、前記粘着剤組成物を塗布し、乾燥させることによって、前記剥離材表面上の凸部形状を、層(X)の表面に転写させることによって形成することができる。
層(X)上に、凹部が複数存在する場合、複数の凹部の形状は互いに同一でも異なっていてもよく、その場合、凹部の高低差及び幅は、それぞれ独立に、いずれも同一であっても異なっていてもよい。
また、凹部の縁間距離は、好ましくは50.0μm以上、より好ましくは100μm以上、更に好ましくは150μm以上であり、より更に好ましくは200μm以上である。そして、好ましくは2,000μm以下、より好ましくは1,500μm以下、更に好ましくは1,000μm以下である。
例えば、凹部が複数存在する図6の場合、当該凹部の縁間距離とは、任意の1の凹部の縁と当該凹部と最も近い他の凹部の縁との距離のうち最短の距離を示し、図6中の距離7fを指す。
また、例えば、図7に示す格子状の凹部の場合、当該凹部の縁間距離とは、格子を形成している凹部の任意の1辺の縁と当該辺と対向する1辺の縁との距離のうち最短の距離を示し、図7中の距離7fを指す。
また、凹部と凹部との最短ピッチは、好ましくは50.0μm以上、より好ましくは100μm以上、更に好ましくは150μm以上であり、より更に好ましくは200μm以上である。そして、好ましくは2,000μm以下、より好ましくは1,500μm以下、更に好ましくは1,000μm以下である。
例えば、凹部が複数存在する図6の場合、当該凹部の最短ピッチとは、任意の1つの凹部の縁と縁との最短距離の中間点から、当該凹部と最も近い他の凹部の縁と縁との最短距離の中間点までの距離のうち最短の距離を示し、図6中の距離7pを指す。
また、例えば、図7に示す格子状の凹部の場合、当該凹部の最短ピッチとは、格子の1辺を形成している凹部部分の縁と縁との最短距離の中間点から、当該1辺と対向する1辺を形成している他の凹部部分の縁と縁との最短距離の中間点までの距離のうちの最短の距離を示し、図7中の距離7pを指す。
また、層(X)の凹部が存在する表面の粘着力は、粘着シートの用途に応じて適宜設定されるが、層(X)を溶剤中に浸漬させる前の状態において、好ましくは0.01〜12.00N/25mm、より好ましくは0.05〜6.00N/25mm、更に好ましくは0.08〜3.00N/25mmである。
なお、本明細書において、粘着剤層の粘着力は、層(X)を溶剤中に浸漬させる前の粘着力であり、具体的には実施例に記載の方法により測定された値を意味する。
層(X)の厚さは、好ましくは5〜150μm、より好ましくは8〜100μm、更に好ましくは12〜70μm、より更に好ましくは15〜50μmである。ただし、層(X)の厚さは凹部の高低差よりも厚いことが好ましい。
層(X)の厚さが5μm以上であれば、十分な粘着力が得られ易くなり、仮固定時における被着体からの意図しない剥離、被着体の位置ズレ等を抑制しやすくなる。一方、層(X)の厚さが150μm以下であれば、粘着シートの取り扱いを容易にしやすくなる。
(アクリル系粘着剤組成物)
本発明の一態様である粘着シートに用いることができる前記粘着剤組成物としては、本発明の効果を損なわない範囲において、特に限定されないが、アクリルポリマー(A)(以下、「成分(A)」ともいう。)と、架橋剤(B)(以下、「成分(B)」ともいう。)とを含むアクリル系粘着剤組成物であることが好ましい。
ここで、前記溶剤として、有機溶媒を用いる場合、前記アクリル系粘着剤組成物は、成分(A)である炭素−炭素二重結合を含む基の濃度が0mmol/g超であるアクリルポリマー(A1)(以下、「成分(A1)」ともいう。)と、成分(B)である成分(A1)を架橋する架橋剤(B1)(以下、「成分(B1)」ともいう。)とを含むアクリル系粘着剤組成物(R1)(以下、「組成物(R1)」ともいう。)であることが好ましく、組成物(R1)は、更に、光重合開始剤(C)(以下、「成分(C)」ともいう。)を含むことが好ましい。
以下、前記組成物(R1)に含まれる各成分について説明する。
〔成分(A1):炭素−炭素二重結合を含む基の濃度が0mmol/g超であるアクリルポリマー(A1)〕
成分(A1)は、側鎖に炭素−炭素二重結合を含む基を有するアクリルポリマーである。
前記組成物(R1)が、炭素−炭素二重結合を含む基の濃度が0mmol/g超であるアクリルポリマー(A1)を含むことで、得られる粘着シートの有機溶媒接触剥離性が向上する。これは、成分(A1)が炭素−炭素二重結合を含む基を有する場合、成分(A1)を含有する層(X)と被着体界面での界面接着強度が高くなり過ぎず、粘着シートの外縁部や凹部からの有機溶媒の侵入に起因する層(X)と被着体との界面への有機溶媒の侵入が十分に進行し易くなるためと考えられる。
一方、炭素−炭素二重結合を含む基の濃度が1.80mmol/g以下であると、層(X)の有機溶媒による膨潤が抑制されにくくなり、層(X)の有機溶媒による膨潤に起因する層(X)と被着体界面への有機溶媒の侵入が十分に進行し易くなるため好ましい。
このような観点から、成分(A)中、前記炭素−炭素二重結合を含む基の濃度は、好ましくは0.05mmol/g以上、より好ましくは0.10mmol/g以上、更に好ましくは0.20mmol/g以上であり、そして、好ましくは1.80mmol/g以下、より好ましくは1.50mmol/g以下、更に好ましくは1.30mmol/g以下である。
炭素−炭素二重結合を含む基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等が挙げられ、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
以下、本明細書中、「炭素−炭素二重結合を含む基」を、単に「炭素−炭素二重結合基」ともいう。
成分(A1)は、アルキル(メタ)アクリレート(am1)(以下、「単量体(am1)」ともいう。)に由来する構成単位(a1)(以下、「構成単位(a1)」ともいう。)を有する。
そして、成分(A1)は、好ましくは側鎖に炭素−炭素二重結合を含む基を有するアクリルポリマーであり、より好ましくは構成単位(a1)と、官能基を含有する単量体(am2)(以下、「単量体(am2)」ともいう。)由来の構成単位(a2)(以下、「構成単位(a2)」ともいう。)とを有するアクリル系共重合体(P)に、炭素−炭素二重結合基を有する重合性化合物(Q)を反応させた反応物であるアクリルポリマーである。
前記アクリル系共重合体(P)は、塊状重合、溶液重合、乳化重合等の公知の重合方法を用いて製造することができる。また、前記アクリル系共重合体(P)の形態は、ブロック共重合体、ランダム共重合体、及びグラフト共重合体のいずれであってもよい。
なお、本明細書中、特に言及しない限り、炭素−炭素二重結合基を有する重合性化合物(Q)は「単量体」に含めないものとする。
{アルキル(メタ)アクリレート(am1)}
前記単量体(am1)が有するアルキル基の炭素数としては、粘着特性の向上の観点から、好ましくは1〜24、より好ましくは1〜12、更に好ましくは2〜10、より更に好ましくは2〜8である。
なお、単量体(am1)が有するアルキル基は、直鎖アルキル基であってもよく、分岐鎖アルキル基であってもよい。
単量体(am1)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
単量体(am1)としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、及びイソオクチル(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる1種以上が好ましい。
これらの単量体(am1)は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記アクリル系共重合体(P)中の構成単位(a1)の含有量は、前記アクリル系共重合体(P)を構成する全構成単位100質量%中、好ましくは60〜99質量%、より好ましくは65〜98質量%、更に好ましくは70〜96質量%である。
なお、当該アクリル系共重合体(P)中の構成単位(a1)の含有量は、前記アクリル系共重合体(P)を重合する際に用いる全単量体100質量%中の前記単量体(am1)の含有量としても算出することができる。
また、成分(A1)中の構成単位(a1)の含有量は、成分(A1)を構成する全構成単位100質量%中、好ましくは40〜99質量%、より好ましくは50〜98質量%、更に好ましくは60〜96質量%である。
なお、当該成分(A1)中の構成単位(a1)の含有量は、成分(A1)を合成する際に用いる全単量体と重合性化合物(Q)との合計100質量%中の前記単量体(am1)の含有量としても算出することができる。
また、本発明の一態様で用いることができる単量体(am1)として、少なくとも炭素数2以上のアルキル(メタ)アクリレートを含むことが好ましい。
前記炭素数2以上のアルキル(メタ)アクリレートとしては、アルキル基の炭素数が4〜8であるアルキル(メタ)アクリレートがより好ましく、n−ブチル(メタ)アクリレートが更に好ましい。
本発明の一態様で用いることができる成分(A1)において、前記アクリル系共重合体(P)中の前記炭素数2以上のアルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位の含有量は、前記アクリル系共重合体(P)を構成する全構成単位100質量%中、好ましくは45〜99質量%、より好ましくは55〜98質量%、更に好ましくは65〜96質量%である。
なお、当該アクリル系共重合体(P)中の炭素数2以上のアルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位の含有量は、前記アクリル系共重合体(P)を重合する際に用いる全単量体100質量%中の前記炭素数2以上のアルキル(メタ)アクリレートの含有量としても算出することができる。
また、本発明の一態様で用いることができる成分(A1)において、成分(A1)中の前記炭素数2以上のアルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位の含有量は、成分(A1)を構成する全構成単位100質量%中、好ましくは35質量%以上、より好ましくは40質量%以上、更に好ましくは45質量%以上、より更に好ましくは50質量%以上であり、そして、好ましくは99質量%以下、より更に好ましくは98質量%以下、更に好ましくは96質量%以下である。
なお、当該成分(A1)中の炭素数2以上のアルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位の含有量は、成分(A1)を合成する際に用いる全単量体と重合性化合物(Q)との合計100質量%中の炭素数2以上のアルキル(メタ)アクリレートの含有量としても算出することができる。
{官能基を含有する単量体(am2)}
前記単量体(am2)としては、ヒドロキシ基、カルボキシ基、エポキシ基、アミノ基、シアノ基、窒素原子含有環基、アルコキシシリル基等の官能基を有する単量体が挙げられる。これらの中では、ヒドロキシ基含有単量体、カルボキシ基含有単量体、及びエポキシ基含有単量体から選ばれる1種以上が好ましく、ヒドロキシ基含有単量体及びカルボキシ基含有単量体から選ばれる1種以上がより好ましく、ヒドロキシ基含有単量体が更に好ましい。
ヒドロキシ基含有単量体としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;ビニルアルコール、アリルアルコール等の不飽和アルコール等が挙げられる。ヒドロキシ基含有単量体としては、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが好ましく、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及び4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートから選ばれる1種以上がより好ましく、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートが更に好ましい。
カルボキシ基含有単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸等のエチレン性不飽和モノカルボン酸;フマル酸、イタコン酸、マレイン酸、シトラコン酸等のエチレン性不飽和ジカルボン酸及びその無水物;2−(アクリロイルオキシ)エチルサクシネート、2−カルボキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、カルボキシ基含有単量体には、前記エチレン性不飽和ジカルボン酸の無水物、エチレン性不飽和ジカルボン酸の誘導体も含まれるものとする。成分(A)中の不飽和カルボン酸無水物に由来する基を加水分解することによっても、カルボキシ基を生成させることが可能であるためである。不飽和カルボン酸無水物としては、例えば、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水ナジック酸等の前述した各不飽和多価カルボン酸の無水物が挙げられる。
カルボキシ基含有単量体としては、エチレン性不飽和モノカルボン酸及びエチレン性不飽和ジカルボン酸から選ばれる1種以上が好ましく、エチレン性不飽和モノカルボン酸がより好ましく、(メタ)アクリル酸からなる群より選ばれる1種以上が更に好ましく、アクリル酸がより更に好ましい。
エポキシ含有単量体としては、エポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル及び非アクリル系エポキシ基含有単量体が挙げられる。エポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、β−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレート、3−エポキシシクロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、非アクリル系エポキシ基含有単量体としては、例えば、グリシジルクロトネート、アリルグリシジルエーテル等が挙げられる。
これらの単量体(am2)は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記アクリル系共重合体(P)中の構成単位(a2)の含有量は、前記アクリル系共重合体(P)を構成する全構成単位100質量%中、好ましくは1〜40質量%である。
構成単位(a2)を、成分(A1)を構成する前記アクリル系共重合体(P)を構成する全構成単位100質量%中、1質量%以上含むことで、得られる粘着シートの有機溶媒接触剥離性が向上するため好ましい。そして、前記構成単位(a2)を、前記アクリル系共重合体(P)を構成する全構成単位100質量%中、40質量%以下含むことで、ガラス転移温度を低く設定できて粘着力を向上できる観点から、好ましい。
このような観点から、当該アクリル系共重合体(P)中の構成単位(a2)の含有量は、より好ましくは2〜35質量%、更に好ましくは3〜30質量%、より更に好ましくは4〜20質量%である。
なお、当該アクリル系共重合体(P)中の構成単位(a2)の含有量は、前記アクリル系共重合体(P)を重合する際に用いる全単量体100質量%中の前記単量体(am2)の含有量としても算出することができる。
また、同様の観点から、成分(A1)中の構成単位(a2)の含有量は、成分(A1)を構成する全構成単位100質量%中、好ましくは1〜30質量%、より好ましくは2〜25質量%、更に好ましくは3〜20質量%、より更に好ましくは4〜15質量%である。
なお、当該成分(A1)中の構成単位(a2)の含有量は、成分(A1)を合成する際に用いる全単量体と重合性化合物(Q)との合計100質量%中の前記単量体(am2)の含有量としても算出することができる。
また、前記アクリル系共重合体(P)は、単量体(am1)及び(am2)以外のその他の単量体(am3)(以下、「単量体(am3)」ともいう。)に由来の構成単位(a3)(以下、「構成単位(a3)」ともいう。)を有していてもよい。
単量体(am3)としては、例えば、単量体(am1)及び(am2)以外の官能基含有単量体;エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン類;塩化ビニル、ビニリデンクロリド等のハロゲン化オレフィン類;ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等のジエン系単量体類;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イミド(メタ)アクリレート等の環状構造を有する(メタ)アクリレート;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリロイルモルホリン、N−ビニルピロリドン等が挙げられる。これらの単量体(am3)を用いる場合、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記アクリル系共重合体(P)中の構成単位(a1)及び(a2)の合計含有量は、前記アクリル系共重合体(P)を構成する全構成単位100質量%中、好ましくは80〜100質量%、より好ましくは85〜100質量%、更に好ましくは90〜100質量%、より更に好ましくは95〜100質量%である。
当該構成単位(a1)及び(a2)の合計含有量は、前記アクリル系共重合体(P)を重合する際に用いる全単量体100質量%中の前記単量体(am1)及び(am2)の合計含有量としても算出することができる。
{炭素−炭素二重結合基を有する重合性化合物(Q)}
前記炭素−炭素二重結合基を有する重合性化合物(Q)(以下、単に「重合性化合物(Q)」ともいう。)としては、炭素−炭素二重結合基と、アクリル系共重合体(P)の(am2)成分由来の構成単位(a2)中の官能基と反応し得る置換基(以下、単に「反応性置換基」ともいう。)とを有する化合物である。
炭素−炭素二重結合基としては、前述のとおり、(メタ)アクリロイル基が好ましい。また、重合性化合物(Q)は、炭素−炭素二重結合基を1分子あたり1〜5個有する化合物であることが好ましい。
重合性化合物(Q)における反応性置換基としては、単量体(am2)が有する官能基に応じて適宜変更すればよいが、例えば、イソシアネート基、カルボキシ基、エポキシ基等が挙げられ、反応性等の観点から、イソシアネート基が好ましい。重合性化合物(Q)は、イソシアネート基を有すると、例えば、単量体(am2)の官能基がヒドロキシ基である場合に、アクリル系共重合体(P)に容易に反応することが可能になる。
重合性化合物(Q)としては、例えば、(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、メタ−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート、(メタ)アクリロイルイソシアネート、アリルイソシアネート、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸等が挙げられる。これらの重合性化合物(Q)は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも、上記反応性置換基として好適なイソシアネート基を有しており、且つ主鎖と炭素−炭素二重結合基との距離が適当となる化合物であるとの観点から、(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネートが好ましい。
重合性化合物(Q)は、アクリル系共重合体(P)における単量体(am2)由来の官能基全量(1当量)のうち、好ましくは0.15〜0.95当量、より好ましくは0.20〜0.90当量、更に好ましくは0.25〜0.80当量、より更に好ましくは0.30〜0.60当量が官能基に反応される。
成分(A1)の質量平均分子量(Mw)は、本発明の効果が発現する限り、特に限定されるものではないが、得られる粘着シートが有機溶媒接触前の十分な粘着性と、より良好な有機溶媒接触剥離性とを発現し易くする観点から、好ましくは10万〜300万、より好ましくは20万〜200万、更に好ましくは30万〜100万である。
当該質量平均分子量(Mw)の値は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定される標準ポリスチレン換算の値であり、具体的には実施例に記載の方法に基づいて測定される値である。
成分(A1)のガラス転移温度(Tg)は、本発明の効果が発現する限り、特に限定されるものではないが、得られる粘着シートが有機溶媒接触前の十分な粘着性と、より良好な有機溶媒接触剥離性とを発現し易くする観点から、好ましくは−20℃以下、より好ましくは−25℃以下、更に好ましくは−35℃以下、より更に好ましくは−40℃以下である。
当該ガラス転移温度(Tg)の値は、Foxの式を用いて算出される値である。
前記組成物(R1)中の成分(A1)の含有量は、得られる粘着シートが有機溶媒接触前の十分な粘着性と、より良好な有機溶媒接触剥離性とを発現し易くする観点から、前記アクリル系粘着剤組成物の全量(有効成分100質量%)中、好ましくは80〜99.8質量%、より好ましくは85〜99質量%、更に好ましくは90〜98質量%である。
当該成分(A1)の含有量は、前記組成物(R1)を調製する際に配合する全成分100質量%中の成分(A1)の配合量としても算出することができる。以下、前記組成物(R1)が含む成分(B1)、並びに必要に応じて含有する成分(C)及びその他成分の含有量についても同様である。
〔成分(B1):架橋剤〕
成分(B1)は、成分(A1)を架橋する架橋剤である。成分(B1)としては、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アジリジン系架橋剤、金属キレート系架橋剤が挙げられる。これらの中では、イソシアネート系架橋剤が好ましい。イソシアネート系架橋剤を使用すると、例えば、成分(A1)がヒドロキシ基を有する場合、架橋剤が成分(A1)を優先的に架橋する。
前記アクリル系粘着剤組成物は、例えば、塗布後に加熱されることで、成分(B1)によって架橋される。
成分(B1)として用い得るイソシアネート系架橋剤としては、ポリイソシアネート化合物が挙げられる。
ポリイソシアネート化合物の具体例としては、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート;イソホロンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂環族ポリイソシアネート;等が挙げられる。また、これらのビウレット体、イソシアヌレート体、更にはエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ヒマシ油等の低分子活性水素含有化合物との反応物であるアダクト体等も挙げられる。これらの中では、トリレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネートの多価アルコール(例えば、トリメチロールプロパン等)アダクト体が好ましい。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
成分(B1)として用い得るエポキシ系架橋剤としては、例えば、1,3−ビス(N,N’−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン、エチレングリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンジグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルアミン等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
成分(B1)として用い得る金属キレート系架橋剤としては、例えば、アルミニウム、鉄、銅、亜鉛、スズ、チタン、ニッケル、アンチモン、マグネシウム、バナジウム、クロム、ジルコニウム等の多価金属にアセチルアセトン、アセト酢酸エチル、トリス(2,4−ペンタンジオネート)等が配位した金属キレート系化合物等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
成分(B1)として用い得るアジリジン系架橋剤としては、例えば、ジフェニルメタン−4,4’−ビス(1−アジリジンカーボキサミド)、トリメチロールプロパントリ−β−アジリジニルプロピオネート、テトラメチロールメタントリ−β−アジリジニルプロピオネート、トルエン−2,4−ビス(1−アジリジンカーボキサミド)、トリエチレンメラミン、ビスイソフタロイル−1−(2−メチルアジリジン)、トリス−1−(2−メチルアジリジン)フォスフィン、トリメチロールプロパントリ−β−(2−メチルアジリジン)プロピオネート、ヘキサ〔1−(2−メチル)−アジリジニル〕トリフォスファトリアジン等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記組成物(R1)中の成分(B1)の含有量は、得られる粘着シートが有機溶媒接触前の十分な粘着性と、より良好な有機溶媒接触剥離性とを発現し易くする観点から、前記成分(A1)の全量(有効成分100質量部)に対して、好ましくは0.1〜10質量部、より好ましくは0.5〜8質量部、更に好ましくは1〜8質量部、より更に好ましくは3〜7質量部である。
〔成分(C):光重合開始剤〕
前記組成物(R1)は、光重合開始剤(以下、「成分(C)」ともいう。)を含有することが好ましい。前記組成物(R1)は、光重合開始剤を含有することで、紫外線等によるエネルギー線照射による硬化が進行しやすくなる。
成分(C)としては、例えば、アセトフェノン、2,2−ジエトキシベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジフェニサルファイド、テトラメチルチウラムモノサルファイド、ベンジルジメチルケタール、ジベンジル、ジアセチル、1−クロルアントラキノン、2−クロルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパノン−1,2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1,2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニル−フォスフィンオキサイド等の低分子量重合開始剤、オリゴ{2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン}等のオリゴマー化された重合開始剤などが挙げられる。これらの中では、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンが好ましい。
これらは、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記組成物(R1)中の成分(C)の含有量は、得られる粘着シートがエネルギー線照射後、有機溶媒接触前の十分な粘着性と、より良好な有機溶媒接触剥離性とを発現し易くする観点から、前記成分(A1)の全量(有効成分100質量部)に対して、好ましくは0.1〜10質量部、より好ましくは1〜8質量部、更に好ましくは2〜6質量部である。
〔前記組成物(R1)におけるその他の添加剤〕
前記組成物(R1)は、本発明の効果を損なわない範囲において、前述の成分(A1)、成分(B1)、成分(C)以外に、その他の添加剤を含有していてもよい。
その他の添加剤としては、例えば、成分(A1)以外の樹脂成分、界面活性剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、難燃剤、導電剤、帯電防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、着色剤、可塑剤等が挙げられる。
前記組成物(R1)が、その他の添加剤を含む場合、それぞれの含有量は、前記組成物(R1)100質量%中、好ましくは0.01〜20質量%、より好ましくは0.01〜10質量%、更に好ましくは0.01〜5質量%、より更に好ましくは0.01〜2質量%である。
成分(A1)以外の樹脂成分とは、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリエステル系樹脂;等が挙げられる。
また、前記溶剤として、水を用いる場合、前記アクリル系粘着剤組成物は、成分(A)であるカルボキシ基を有するアクリルポリマー(A2)(以下、「成分(A2)」ともいう。)と、成分(B)である成分(A2)を架橋する架橋剤(B2)(以下、「成分(B2)」ともいう。)と、中和剤(D)(以下、「成分(D)」ともいう。)とを含むアクリル系粘着剤組成物(R2)(以下、「組成物(R2)」ともいう。)であることが好ましい。
以下、前記組成物(R2)に含まれる各成分について説明する。
〔成分(A2):カルボキシ基を有するアクリルポリマー(A2)〕
成分(A2)は、カルボキシ基を有するアクリルポリマーである。
前記組成物(R2)が、カルボキシ基を有するアクリルポリマー(A2)を含むことで、得られる粘着シートの水接触剥離性が向上する。これは、前記層(X)の親水性に起因して層(X)と被着体との界面へ水が浸入する効果の向上と、層(X)自体が水を取り込んで膨潤する効果(以下、「水膨潤性」ともいう。)が向上して、層(X)と被着体界面への水の侵入が十分に進行し易くなるためと考えられる。
{アルキル(メタ)アクリレート(am1)}
成分(A2)は、アルキル(メタ)アクリレート(am1)(以下、「単量体(am1)」ともいう。)に由来する構成単位(a1)(以下、「構成単位(a1)」ともいう。)を有する。
成分(A2)の原料として用い得る単量体(am1)が有するアルキル基の炭素数としては、粘着特性の向上の観点から、好ましくは1〜24、より好ましくは1〜12、更に好ましくは2〜10、より更に好ましくは4〜8である。
なお、単量体(am1)が有するアルキル基は、直鎖アルキル基であってもよく、分岐鎖アルキル基であってもよい。
成分(A2)の原料として用い得る単量体(am1)としては、例えば、成分(A1)に係る単量体(am1)で前述した各種アルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。それらの中では、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、及びイソオクチル(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる1種以上が好ましく、n−ブチル(メタ)アクリレート及び2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる1種以上がより好ましく、n−ブチル(メタ)アクリレートが更に好ましい。
これらの単量体(am1)は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
成分(A2)中の構成単位(a1)の含有量は、成分(A2)を構成する全構成単位100質量%中、好ましくは45〜99質量%、より好ましくは55〜98質量%、更に好ましくは65〜96質量%、より更に好ましくは75〜94質量%、より更に好ましくは80〜90質量%である。
なお、当該構成単位(a1)の含有量は、成分(A2)を重合する際に用いる全単量体100質量%中の前記単量体(am1)の含有量としても算出することができる。
{カルボキシ基含有単量体(am4)}
また、成分(A2)としては、好ましくは、カルボキシ基含有単量体(am4)(以下、「単量体(am4)」ともいう。)由来の構成単位(a4)(以下、「構成単位(a4)」ともいう。)を有するアクリルポリマーである。
単量体(am4)としては、例えば、成分(A1)に係る単量体(am2)で前述した各種カルボキシ基含有単量体が挙げられる。
単量体(am4)としては、エチレン性不飽和モノカルボン酸及びエチレン性不飽和ジカルボン酸から選ばれる1種以上が好ましく、エチレン性不飽和モノカルボン酸がより好ましく、(メタ)アクリル酸からなる群より選ばれる1種以上が更に好ましく、アクリル酸がより更に好ましい。
これらの単量体(am4)は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
成分(A2)は、構成単位(a4)を、成分(A2)を構成する全単量体100質量%中、0.1〜20質量%含有することがより好ましい。
構成単位(a4)を、成分(A2)を構成する全構成単位100質量%中、0.1質量%以上含むことで、得られる粘着シートの水接触剥離性が向上するため好ましい。そして、前記構成単位(a4)を、成分(A2)を構成する全構成単位100質量%中、20質量%以下含むことで、ガラス転移温度を低く設定できて粘着力を向上できる観点から好ましい。このような観点から、成分(A2)を構成する全構成単位100質量%中、構成単位(a4)の含有量は、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1質量%以上であり、そして、より好ましくは15質量%以下、更に好ましくは10質量%以下、より更に好ましくは5質量%以下である。
なお、当該構成単位(a4)の含有量は、成分(A2)を重合する際に用いる全単量体100質量%中の前記単量体(am4)の含有量としても算出することができる。
{ヒドロキシ基含有単量体(am5)}
また、成分(A2)としては、好ましくは、ヒドロキシ基を含有する単量体(am5)(以下、「単量体(am5)」ともいう。)由来の構成単位(a5)(以下、「構成単位(a5)」ともいう。)を有するアクリルポリマーである。
単量体(am5)としては、例えば、成分(A1)に係る単量体(am2)で前述した各種ヒドロキシ基含有単量体が挙げられる。
単量体(am5)としては、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが好ましく、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及び4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる1種以上がより好ましく、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートが更に好ましい。
これらの単量体(am5)は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
成分(A2)は、構成単位(a5)を、成分(A2)を構成する全単量体100質量%中、1〜30質量%含有することがより好ましい。
構成単位(a5)を、成分(A2)を構成する全構成単位100質量%中、1質量%以上含むことで、得られる粘着シートの水接触剥離性が向上するため好ましい。そして、前記構成単位(a5)を、成分(A2)を構成する全構成単位100質量%中、30質量%以下含むことで、ガラス転移温度を低く設定できて粘着力を向上できる観点から好ましい。このような観点から、成分(A2)を構成する全構成単位100質量%中、構成単位(a5)の含有量は、より好ましくは3質量%以上、更に好ましくは6質量%以上、より更に好ましくは9質量%以上であり、そして、より好ましくは25質量%以下、更に好ましくは20質量%以下、より更に好ましくは15質量%以下である。
なお、当該構成単位(a5)の含有量は、成分(A2)を重合する際に用いる全単量体100質量%中の前記単量体(am5)の含有量としても算出することができる。
成分(A2)において、前記構成単位(a1)、(a4)及び(a5)の合計含有量は、成分(A2)を構成する全構成単位100質量%中、好ましくは80〜100質量%、より好ましくは85〜100質量%、更に好ましくは90〜100質量%、より更に好ましくは95〜100質量%、より更に好ましくは98〜100質量%である。
当該構成単位(a1)、(a4)及び(a5)の合計含有量は、成分(A2)を重合する際に用いる全単量体100質量%中の前記単量体(am1)、(am4)及び(am5)の合計含有量としても算出することができる。
成分(A2)は、前記単量体(am1)、(am4)及び(am5)以外のその他の単量体(am6)(以下、「単量体(am6)」ともいう。)に由来の構成単位(a6)(以下、「構成単位(a6)」ともいう。)を有していてもよい。
単量体(am6)としては、例えば、アミノ基含有単量体、置換アミノ基含有単量体、エポキシ基含有単量体、シアノ基含有単量体、アルコキシシリル基含有単量体等の単量体(am4)及び(am5)以外の官能基含有単量体;エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン類;塩化ビニル、ビニリデンクロリド等のハロゲン化オレフィン類;ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等のジエン系単量体類;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イミド(メタ)アクリレート等の環状構造を有する(メタ)アクリレート;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリロイルモルホリン、N−ビニルピロリドン等が挙げられる。これらの単量体(am6)を用いる場合、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
アミノ基又は置換アミノ基含有単量体としては、例えば、2−アミノエチル(メタ)アクリレート、2−アミノエチル(メタ)アクリルアミド、N−メチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−メチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
エポキシ基含有単量体としては、例えば、成分(A1)に係る単量体(am2)で前述した各種エポキシ基含有単量体が挙げられる。
また、前記単量体(am4)を用いる方法以外の成分(A2)中にカルボキシ基を導入する方法として、前記単量体(am1)の単独重合体又は前記単量体(am1)以外の単量体との共重合体を重合した後、当該単独重合体又は共重合体を部分的にケン化して、成分(A2)中にカルボキシ基を導入する方法を用いることもできる。この場合、成分(A2)中でケン化されずに残る構成単位(a1)の含有量が、前述した成分(A2)中の構成単位(a1)の含有量となるように調整することが好ましく、その好適な含有量も同様である。
成分(A2)は、塊状重合、溶液重合、乳化重合等の公知の重合方法を用いて製造することができる。
また、これらの成分(A2)が、2種以上の構成単位を有する共重合体である場合、当該共重合体の形態は、ブロック共重合体、ランダム共重合体、及びグラフト共重合体のいずれであってもよい。
成分(A2)の質量平均分子量(Mw)は、本発明の効果が発現する限り、特に限定されるものではないが、得られる粘着シートが水接触前の十分な粘着性と、より良好な水接触剥離性とを発現し易くする観点から、好ましくは10万〜300万、より好ましくは20万〜200万、更に好ましくは30万〜100万である。
当該質量平均分子量(Mw)の値は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定される標準ポリスチレン換算の値であり、具体的には実施例に記載の方法に基づいて測定される値である。
前記組成物(R2)中の成分(A2)の含有量は、得られる粘着シートが水接触前の十分な粘着性と、より良好な水接触剥離性とを発現し易くする観点から、前記組成物(R2)の全量(有効成分100質量%)中、好ましくは75〜95質量%、より好ましくは80〜92質量%、更に好ましくは85〜90質量%である。
当該成分(A2)の含有量は、前記組成物(R2)を調製する際に配合する全成分100質量%中の成分(A2)の配合量としても算出することができる。以下、前記組成物(R2)が含む成分(B2)、成分(D)及びその他成分の含有量についても同様である。
〔成分(B2):架橋剤〕
成分(B2)としては、成分(A2)と反応し、架橋構造を形成する化合物であり、成分(A2)が有するカルボキシ基の一部又は全部と反応し、成分(A2)を架橋する化合物であることが好ましい。
前記組成物(R2)が、成分(B2)を含まない場合、前記層(X)の水膨潤性が十分に得られなくなる。
粘着剤層(X)は、後述するように、成分(A2)と成分(B2)とに由来する架橋構造、及び、成分(A2)と成分(C)とに由来する塩状部位を有する層となることで、優れた水接触剥離性を発現できると考えられる。
成分(B2)としては、例えば、エポキシ系架橋剤、メチロール系架橋剤、金属キレート系架橋剤、アジリジン系架橋剤等が挙げられる。これらの中では、エポキシ系架橋剤及び金属キレート系架橋剤から選ばれる1種以上が好ましく、エポキシ系架橋剤がより好ましい。
成分(B2)として用い得るエポキシ系架橋剤としては、例えば、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、フタル酸ジグリシジルエステル、ダイマー酸ジグリシジルエーテル、ジグリセロールトリグリシジルエーテル、ソルビトールテトラグリシジルエーテル、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンジグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルアミン等が挙げられる。
成分(B2)として用い得る金属キレート系架橋剤としては、例えば、架橋剤(B1)に係る説明で前述した各種金属キレート系化合物が挙げられる。
これらの成分(B2)は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記組成物(R2)中の成分(B2)の含有量は、得られる粘着シートが水接触前の十分な粘着性と、より良好な水接触剥離性とを発現し易くする観点から、前記成分(A2)の全量(有効成分100質量部)に対して、好ましくは0.05〜10質量部、より好ましくは0.1〜9質量部、更に好ましくは1〜8質量部、より更に好ましくは4〜8質量部、より更に好ましくは6〜8質量部である。
〔成分(D):中和剤〕
前記組成物(R2)が、中和剤(D)を含むことで、層(X)の水膨潤性が向上して、得られる粘着シートの水接触剥離性が向上する。
中和剤(D)は、前記成分(A2)が有するカルボキシ基の一部又は全部と反応し、当該反応部位が部分的に塩のような部位(以下、「塩状部位」ともいう。)を形成するものと考えられる。そして、成分(A2)のカルボキシ基と成分(D)とで形成される塩状部位、及び、成分(A2)と前述した架橋剤(B2)とで形成される架橋構造によって、層(X)の親水性及び水膨潤性が向上し、層(X)が優れた水接触剥離性を発現すると考えられる。
成分(D)としては、本発明の効果が発現する限り、種々の塩基性化合物を用いることができ、好ましくは、アミン化合物が挙げられる。
前記アミン化合物としては、例えば、アンモニア、アルカリ性を示すアンモニウム塩及びモノエチルアミン、モノエタノールアミン等の第一級アミン化合物;ジエチルアミン、ジエタノールアミン等の第二級アミン化合物;トリエチルアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジメチルホルムアミドジエチルアセタール、N,N,N−トリメチルエチレンジアミン、N−メチルジエタノールアミン、N,N−ジエチルヒドロキシルアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン等の第三級アミン化合物;ジアミン、ポリエチレンイミン等の1分子中に複数の窒素原子を有するアミノ化合物、ピリジン等の環式アミノ化合物;等のようにアルカリ性を示す有機アミノ化合物が挙げられる。アミン化合物としては、好ましくは第三級アミン化合物である。
また、前述したとおり、成分(D)が、成分(A2)中のカルボキシ基と塩状部位を形成した際に、より良好な親水性を付与できると考えられることから、前記アミン化合物の中では、ヒドロキシ基含有アミン化合物がより好ましい。成分(D)がヒドロキシ基含有アミン化合物である場合、成分(D)に由来するヒドロキシ基によって、層(X)が水をより取り込みやすくなり、層(X)の水膨潤性がより向上すると考えられる。このような観点から、成分(D)としては、更に好ましくはヒドロキシ基含有第三級アミン化合物が挙げられ、より更に好ましくはトリエタノールアミンが挙げられる。
これらの中和剤(D)は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記組成物(R2)中の成分(D)の含有量は、得られる粘着シートが良好な水接触剥離性を発現し易くする観点から、前記成分(A2)の全量(有効成分100質量部)に対して、好ましくは0.05〜10質量部、より好ましくは0.1〜9質量部、更に好ましくは1〜8質量部、より更に好ましくは4〜8質量部であり、より更に好ましくは6〜8質量部である。
〔前記組成物(R2)におけるその他の添加剤〕
前記組成物(R2)は、本発明の効果を損なわない範囲において、前述の成分(A2)、(B2)及び(D)以外に、その他の添加剤を含有していてもよい。
その他の添加剤としては、例えば、成分(A2)以外の樹脂成分、界面活性剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、難燃剤、導電剤、帯電防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、着色剤、可塑剤等が挙げられる。
これらの添加剤を含む場合、それぞれの含有量は、前記組成物(R2)100質量%中、好ましくは0.01〜20質量%、より好ましくは0.01〜10質量%、更に好ましくは0.01〜5質量%、より更に好ましくは0.01〜2質量%である。
成分(A2)以外の樹脂成分とは、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリエステル系樹脂;等が挙げられる。
<基材>
本発明の一態様で用いることができる基材の形成材料としては、例えば、樹脂、金属、紙材、等が挙げられ、粘着シートの用途に応じて適宜選択することができる。
基材に用いられる樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体等のビニル系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリスチレン;アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体;三酢酸セルロース;ポリカーボネート;ポリウレタン、アクリル変性ポリウレタン等のウレタン樹脂;ポリメチルペンテン;ポリスルホン;ポリエーテルエーテルケトン;ポリエーテルスルホン;ポリフェニレンスルフィド;ポリエーテルイミド、ポリイミド等のポリイミド系樹脂;ポリアミド系樹脂;アクリル樹脂;フッ素系樹脂等が挙げられる。
これらの中でも、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂が好ましい。
前記樹脂を形成材料として用いた基材としては、前記樹脂を含有する樹脂フィルム又は樹脂シートが挙げられる。
前記金属としては、例えば、アルミニウム、スズ、クロム、チタン等が挙げられる。
前記紙材としては、例えば、薄葉紙、中質紙、上質紙、含浸紙、コート紙、アート紙、硫酸紙、グラシン紙、無塵紙等が挙げられる。
これらの形成材料は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
2種以上の形成材料を組み合わせた基材としては、紙材をポリエチレン等の熱可塑性樹脂でラミネートしたもの、樹脂を含有する樹脂フィルム又はシートの表面に金属層を形成したもの等が挙げられる。
金属層の形成方法としては、例えば、金属を真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等のPVD法により蒸着する方法、金属箔を一般的な粘着剤を用いて貼付する方法等が挙げられる。
これらの基材の中でも、樹脂フィルム又はシートが好ましく、ポリエステル系樹脂からなるフィルム又はシートがより好ましく、ポリエチレンテレフタレート(PET)から構成されるフィルム又はシートが更に好ましい。
また、基材上に積層される他の層との層間密着性を向上させる観点から、基材の一方の表面又は両方の表面に対し、基材の表面に対して、酸化法や凹凸化法等の表面処理を施してもよい。
酸化法としては、例えば、コロナ放電処理法、プラズマ処理法、クロム酸酸化(湿式)、火炎処理法、熱風処理法、オゾン照射処理法、紫外線照射処理法、紫外線−オゾン処理法等が挙げられる。また、凹凸化法としては、例えば、サンドブラスト法、溶剤処理法等が挙げられる。
また、基材の一方又は両方の表面上には、必要に応じて、プライマー層、目止め層等を設けてもよい。
プライマー層を構成する成分としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステルウレタン系樹脂、アクリル系樹脂等が挙げられ、これらの樹脂は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
目止め層は、基材と、基材に隣接する層との密着性を更に向上させるために、又は、基材が紙基材等の柔軟すぎる基材の場合に、剛性を付与するために設けられる。当該目止め層としては、特に制限はないが、例えば、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリスチレン系樹脂等を主成分として、必要に応じ、クレー、シリカ、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化亜鉛等のフィラーを添加したもの等からなる層が挙げられる。
これらその他の層を有する場合、その厚さは、それぞれ独立に、好ましくは、0.05〜30μm、より好ましくは0.1〜5μm、更に好ましくは0.1〜1μm、より更に好ましくは0.1〜0.5μmである。
なお、本発明で用いることができる基材には、本発明の効果を損なわない範囲において、所望により、基材用添加剤として、例えば、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、着色剤等が含有されていてもよい。
基材の厚さは、粘着シートの用途に応じて適宜設定されるが、取扱性及び経済性の観点から、好ましくは5〜250μm、より好ましくは10〜200μm、更に好ましくは25〜150μmである。
<剥離材>
本発明の一態様で用いることができる剥離材としては、両面剥離処理をされた剥離シートや、片面剥離処理をされた剥離シート等が用いられ、例えば、剥離材用の基材上に剥離剤を塗布したもの等が挙げられる。
剥離材用基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂等のポリエステル樹脂フィルム、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂等のポリオレフィン樹脂フィルム等のプラスチックフィルム等が挙げられる。
剥離剤としては、例えば、シリコーン系樹脂、オレフィン系樹脂、イソプレン系樹脂、ブタジエン系樹脂等のゴム系エラストマー、長鎖アルキル系樹脂、アルキド系樹脂、フッ素系樹脂等が挙げられる。
そして、前述したとおり、粘着剤層(X)上の凹部を形成する目的から、前記剥離処理面に凸部形状が形成されている剥離材(以下、「凸部を有する剥離材」ともいう。)が好ましく、粘着シートの保管時等に前記層(X)の凹部形状を維持し易くする観点から、前記剥離処理面に前記層(X)の凹部と対になる凸部が形成されている剥離材であることがより好ましい。
なお、本明細書で規定される「凸部」とは、高低差を有する隆起部を指す。
当該凸部の形状は、例えば、エンボス処理によって、エンボスロール周面に刻印されている形状を剥離面上に転写することによって形成することができる。
また、例えば、スクリーン印刷法等の印刷技術を利用して、前記凸部を形成することもできる。
また、前記凸部の形状としては、例えば、前記層(X)の凹部と対になる形状が挙げられ、その好適な態様は、前記層(X)の凹部に係る説明において好適な態様として説明した凹部と対になる形状であることから、ここでの詳細な説明は省略する。
また、例えば、「層(X)を厚さ方向に切断した際の凹部の断面形状」及び「層(X)を平面視した場合における凹部の形状」の好適な態様は、同様に、「剥離材を厚さ方向に切断した際の凸部の断面形状」及び「剥離材を平面視した場合における凸部の形状」の好適な態様と同様である。
また、剥離材の表面に存在する「凸部の高低差及び幅」の好適範囲としては、前述した層(X)の表面に存在する「凹部の高低差及び幅」を形成できる凸部の高低差及び幅ということもできる。同様に、剥離材の表面に存在する「凸部の麓間距離及び最短ピッチ」の好適範囲としては、前述した層(X)の表面に存在する「凹部の縁間距離及び最短ピッチ」を形成できる凸部の麓間距離及び最短ピッチということもできる。
そのため、前記「凸部の高低差及び幅」並びに「凸部の麓間距離及び最短ピッチ」の好適範囲は、本発明の効果を損なわない限り特に制限されるものではないが、それぞれ、例えば、次に示す範囲であってもよい。
前記凸部の高低差は、好ましくは0.5μm以上であり、より好ましくは1.0μm以上、更に好ましくは3.0μm以上であり、そして、好ましくは50.0μm以下、より好ましくは30.0μm以下、更に好ましくは25.0μm以下、より更に好ましくは20.0μm以下である。
同様に、前記凸部の幅は、好ましくは150μm以下、より好ましくは100μm以下、更に好ましくは75.0μm以下、より更に好ましくは50.0μm以下、より更に好ましくは35.0μm以下、より更に好ましくは30.0μm以下である。また、前記凹部の幅の下限値は、特に制限はないが、好ましくは1.0μm、より好ましくは3.0μm、更に好ましくは5.0μmである。
当該凸部の高低差及び幅は、実施例に記載の方法を用いて測定される値である。例えば、図8に示す距離4hが凸部4aの高低差に該当する。また、図8に示す距離4wが凸部の幅に該当する。なお、一例として、実施例に記載の方法を用いて撮影された走査型電子顕微鏡(SEM)の画像である図10に示される凸部4aの断面画像を用いて説明すれば、図10中の距離4hが凸部の高低差に該当し、距離4wが凸部の幅に該当する。
また、凸部の麓間距離は、好ましくは50.0μm以上、より好ましくは100μm以上、更に好ましくは150μm以上であり、より更に好ましくは200μm以上である。そして、好ましくは2,000μm以下、より好ましくは1,500μm以下、更に好ましくは1,000μm以下である。
例えば、図6の凹部を凸部に置き換えて説明すると(図6を剥離材の凸部を有する表面と仮定した場合)、当該凸部の麓間距離とは、任意の凸部の麓と当該凸部と最も近い凸部の麓との距離のうち最短の距離を示し、図6中の距離7fを指す。
また、例えば、図7に示す格子状の凹部を凸部に置き換えて説明すると(図7を剥離材の凸部を有する表面と仮定した場合)、当該凸部の麓間距離とは、格子を形成している凸部の任意の1辺の麓と当該辺と対向する1辺の麓との距離のうち最短の距離を示し、図7中の距離7fを指す。
また、凸部と凸部との最短ピッチは、好ましくは50.0μm以上、より好ましくは100μm以上、更に好ましくは150μm以上であり、より更に好ましくは200μm以上である。そして、好ましくは2,000μm以下、より好ましくは1,500μm以下、更に好ましくは1,000μm以下である。
例えば、図6の凹部を凸部に置き換えて説明すると(図6を剥離材の凸部を有する表面と仮定した場合)、当該凸部の最短ピッチとは、任意の1つの凸部の麓と麓との最短距離の中間点から、当該凸部と最も近い他の凸部の麓と麓との最短距離の中間点までの距離のうち最短の距離を示し、図6中の距離7pを指す。
また、例えば、図7に示す格子状の凹部を凸部に置き換えて説明すると(図7を剥離材の凸部を有する表面と仮定した場合)、当該凸部の最短ピッチとは、格子の1辺を形成している凸部部分の麓と麓との最短距離の中間点から、当該1辺と対向する1辺を形成している他の凸部部分の麓と麓との最短距離の中間点までの距離のうちの最短の距離を示し、図7中の距離7pを指す。
なお、一例として、実施例に記載の方法を用いて撮影された走査型電子顕微鏡(SEM)の画像である図12に示される凸部4aを平面視した画像を用いて説明すれば、図12中の距離4pが凸部の最短ピッチに該当し、距離4wが凸部の幅に該当する。
剥離材の厚さは、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はないが、好ましくは5〜250μm、より好ましくは30〜200μm、更に好ましくは50〜150μmである。
また、前記粘着シートの総厚(各層の合計厚さ。但し、剥離材は除く。)は、粘着シートの用途に応じて適宜設定されるが、好ましくは30μm以上、より好ましくは70μm以上、更に好ましくは95μm以上であり、そして、好ましくは300μm以下、より好ましくは200μm以下、更に好ましくは170μm以下、より更に好ましくは150μm以下である。
<その他の粘着剤層(Z)>
本発明の一態様である粘着シートとしては、本発明の効果を損なわない範囲において、前述の層(X)以外のその他の粘着剤層(Z)を有していてもよい。
当該粘着シートの一態様としては、例えば、前述したように、図3に示す粘着シート30において、2つの層(X)2のうちの一方が、表面に凹部1を有しない層(X)2以外のその他の粘着剤層(Z)である態様が挙げられる。また、図5に示す粘着シート50の態様が挙げられる。
当該層(X)以外のその他の粘着剤層(Z)としては、粘着シートの用途に応じて適宜選択することができ、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はない。その他の粘着剤層(Z)が含有する粘着性樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリイソブチレン系樹脂等のゴム系樹脂、ポリエステル系樹脂、オレフィン系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリビニルエーテル系樹脂等が挙げられる。
これらの粘着性樹脂は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、これらの粘着性樹脂が、2種以上の構成単位を有する共重合体である場合、当該共重合体の形態は、ブロック共重合体、ランダム共重合体、及びグラフト共重合体のいずれであってもよい。
また、本発明の一態様である粘着シートが、粘着剤層(Z)を有する場合、当該粘着剤層(Z)の露出面上に、前述した剥離材を設けてもよい。
[仮固定粘着シートの製造方法]
前記仮固定粘着シートの製造方法としては、少なくとも一方の表面に凹部が存在する粘着剤層(X)を形成できる限り、特に制限はないが、好ましくは、少なくとも、以下の工程(1)及び工程(2)を有する製造方法が挙げられる。
工程(1):凸部を有する剥離材上の当該凸部が存在する表面上に、粘着剤組成物を塗布して、塗膜を形成する工程
工程(2):工程(1)で形成された塗膜を乾燥し、前記剥離材側の表面に凹部が存在する粘着剤層(X)を形成して、仮固定粘着シートを得る工程
なお、以下の説明中、粘着剤層(X)、剥離材及び基材の態様、層(X)を形成する粘着剤組成物の態様及びその好適な態様であるアクリル系粘着剤組成物の態様、並びに得られる仮固定粘着シートの態様は、前記仮固定粘着シートの欄で説明した態様と同様であり、それらの好適な態様も同様であるため、詳細な説明は省略する。
工程(1)において、凸部を有する剥離材を用いることで、工程(2)で前記粘着剤組成物からなる塗膜が乾燥されて粘着剤層(X)が形成する過程で、当該凸部形状が、層(X)の表面上に転写され、層(X)の凹部を形成することができる。
凸部を有する剥離材上に前記粘着剤組成物を塗布する際には、前記粘着剤組成物に、更に有機溶媒を配合して、前記粘着剤組成物の溶液の形態として用いてもよい。
用いる有機溶媒としては、例えば、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、シクロヘキサン、n−ヘキサン、トルエン、キシレン、n−プロパノール、イソプロパノール等が挙げられる。
なお、これらの有機溶媒は、前記粘着剤組成物中に含まれる各成分の製造時に使用された有機溶媒をそのまま用いてもよいし、それ以外の1種以上の有機溶媒を加えてもよい。
前記粘着剤組成物の溶液は、前記剥離材上に、公知の塗布方法により塗布して塗膜を形成することができる。
塗布方法としては、例えば、スピンコート法、スプレーコート法、バーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法等が挙げられる。
工程(2)では、工程(1)で形成された塗膜を乾燥する。前述のとおり、当該塗膜が乾燥されて粘着剤層(X)が形成する過程で、層(X)の凹部が形成される。
工程(2)における乾燥温度は、層(X)を形成できる限り、特に制限はないが、好ましくは80〜150℃、より好ましくは90〜140℃、更に好ましくは95〜130℃である。また、乾燥時間は、層(X)を形成できる限り、特に制限はないが、好ましくは30秒〜5分間、より好ましくは1分〜3分間である。
[仮固定粘着シートの用途]
本発明の一態様である仮固定粘着シートは、溶剤接触剥離性を有するものであり、被着体への貼付時には十分な粘着力を有しながらも、被着体から剥離する際には、溶剤と接触させることにより短時間で自己剥離させることが可能なため、溶剤と接触可能な被着体を用いる限り、あらゆる用途に適用可能である。
前記被着体としては、特に限定されないが、前記仮固定粘着シートが溶剤接触剥離性を有し、被着体にかかる負荷を低減できる観点から、その好適な一態様として脆性材料が挙げられ、当該脆性材料の好適例としては、後述する電子デバイス用ウェハ等が挙げられる。
また、前記仮固定粘着シートが溶剤接触剥離性を有し、仮固定粘着シートに起因して生じる被着体の汚染、変形、破損等の不具合を抑制、防止することが期待できる観点から、被着体の好適な一態様としては電子デバイス用材料が挙げられる。
前記電子デバイス用材料としては、例えば、半導体チップ等の電子デバイス用チップ、半導体ウェハ等の電子デバイス用ウェハ、化合物半導体、半導体パッケージ等の電子デバイス用パッケージ、電子部品、サファイア基板、ディスプレイ、パネル用基板等が挙げられる。これらの中では、電子デバイス用ウェハがより好ましい。
同様に、本発明の一態様である仮固定粘着シートは、例えば、前述したような、電子デバイス用材料の製造工程等において好適に用いることができる。このような使用態様における粘着シートとしては、具体的には、例えば、電子デバイス用ウェハ等の被着体をダイシングする際に用いられるダイシングシート、電子デバイス用ウェハ等の被着体を研削する工程に用いられるバックグラインドシート、電子デバイス用ウェハ等の被着体を貼付したバックグラインドシートを支持するための支持体を仮固定するために用いる仮固定シート、ダイシングによって個片化された電子デバイス用チップ等の被着体同士の距離を拡大させるために用いられるエキスパンドテープ、電子デバイス用チップ等の被着体の表裏を反転させるために用いられる転写テープ、検査対象物を検査するための仮固定用シート等が好適な例として挙げられる。
したがって、本発明の一態様である仮固定粘着シートは、電子デバイス用材料の加工及び/又は検査に好適に用いることができる。
また、本発明の一態様である仮固定粘着シートは、前述のとおり、自己剥離性を有し、粘着シートに起因して生じる被着体の汚染、変形、破損等の不具合を抑制、防止することが期待できる。そのため、本発明の一態様である仮固定粘着シートの用途としては、電子デバイス用材料以外にも、例えば、ウィンドーフィルム等の保護フィルム用途、壁紙、ラッピングフィルム等の保護・意匠性付与用途、リターナブルラベル等の各種ラベル用途、一時的な掲示物等を貼付する際の使用等、種々の用途が挙げられる。
更に、本発明の一態様である仮固定粘着シートが、前述した連続した凹部形状を有する層(X)を有する粘着シートである場合、被着体へ貼付する際のエア抜け性や外観が要求される用途、例えば、識別用、装飾用、塗装マスキング用、金属板等の表面保護用等にも好適に用いることができる。より具体的には、例えば、塗装代替テープ;マーキングフィルム;及び車両貼付用テープ(例えば、自動車の外装や内装を装飾する装飾用テープ、ブラックアウトテープ等);などにも好適に用いることができる。
また、本発明の一態様である仮固定粘着シートを、例えば、両面粘着シートとして使用する場合、単層の粘着剤層のみからなる粘着シートの構成であって前記凹部が層(X)の片側の表面にしか存在しない場合、又は、2つの粘着剤層を有し、片側の表面にのみ凹部を有する層(X)が存在する態様である場合、当該凹部を有する表面をどちらの被着体に貼付して用いるかは、適宜、選択することが可能である。例えば、層(X)を、より低い負荷で剥離したい被着体側に貼付してもよく、また、例えば、もう1層の粘着剤層が層(X)とは別の目的で設けられているその他の粘着剤層である場合(例えば、より低汚染性である粘着剤層である場合等)には、各層の効果に合わせて、それぞれの被着体に対する貼付面を選択すればよい。
例えば、本発明の一態様である仮固定粘着シートを、両面粘着シートとして、被着体に対する加工及び検査に用いる場合、被着体の加工性及び検査性を向上させる観点から、両面の粘着剤層のいずれか一方の粘着剤層に被着体を貼付し、いずれか他方の粘着剤層に支持体を貼付することができる。この場合、前述したとおり、いずれか一方の粘着剤層として層(X)を用いればよく、両方の粘着剤層を層(X)としてもよい。
被着体が粘着シートを介して支持体に固定されることによって、被着体に対して加工及び検査から選択される1以上を施す際に、被着体の振動、位置ズレ、及び被着体が脆性材料等の脆弱な被着体である場合の破損等を抑制し、加工精度及び加工速度並びに検査精度及び検査速度を向上させることができるため好ましい。
この時、いずれか一方の粘着剤層のみを層(X)とする両面粘着シートを用いる場合、加工及び/又は検査の対象物となる被着体の種類、加工及び/又は検査方法の種類等に応じて、加工及び/又は検査の対象物となる被着体を層(X)側に貼付し、支持体をもう一方の粘着剤層に貼付して用いてもよく、また、支持体を層(X)側に貼付し、加工及び/又は検査の対象物となる被着体をもう一方の粘着剤層に貼付して用いてもよい。
両面に互いに異なる層(X)を有する両面粘着シートを用いる場合も、同様に、どちらの層(X)を加工及び/又は検査の対象物となる被着体に貼付して用いてもよい。
前記加工及び/又は検査の対象物となる被着体としては、前述のとおり、電子デバイス用材料であることが好ましい。したがって、例えば、本発明の一態様である仮固定粘着シートを、両面粘着シートとして、前記電子デバイス用材料の加工及び/又は検査に用いる場合、電子デバイス用材料を支持体に仮固定するために好適に用いることができる。
前記支持体の材質は、加工及び/又は検査の対象物となる被着体の種類、加工及び/又は検査方法の種類等に応じて、機械強度、耐熱性等の要求される特性を考慮の上、適宜選択すればよい。
例えば、本発明の一態様である仮固定粘着シートを、両面粘着シートとして、前記電子デバイス用材料の加工及び/又は検査に用いる場合、前記支持体の材質としては、例えば、SUS等の金属材料;ガラス、シリコンウェハ等の非金属無機材料;エポキシ樹脂、ABS樹脂、アクリル樹脂、エンジニアリングプラスチック、スーパーエンジニアリングプラスチック、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂等の樹脂材料;ガラスエポキシ樹脂等の複合材料等が挙げられ、これらの中でも、SUS、ガラス、シリコンウェハが好ましい。
前記エンジニアリングプラスチックとしては、例えば、ナイロン、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等が挙げられる。
前記スーパーエンジニアリングプラスチックとしては、例えば、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等が挙げられる。
また、本発明の一態様である仮固定粘着シートを、両面粘着シートとして、前記電子デバイス用材料の加工及び/又は検査に用いる場合、前記支持体は、貼付する粘着剤層の粘着表面の全面に貼付されることが好ましい。そのため、粘着剤層の粘着表面に貼付される側の支持体の表面の面積は、粘着剤層の粘着表面の面積以上であることが好ましい。また、粘着剤層の粘着表面に貼付される側の支持体の面は平面状であることが好ましい。
支持体の形状は、特に限定されないが、板状であることが好ましい。
支持体の厚さは、要求される特性を考慮して適宜選択すればよいが、好ましくは20μm以上50mm以下、より好ましくは60μm以上20mm以下である。
本発明について、以下の実施例により具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例における物性値は、以下の方法により測定した値である。
<質量平均分子量(Mw)>
ゲル浸透クロマトグラフ装置(東ソー株式会社製、製品名「HLC−8020」)を用いて、下記の条件下で測定し、標準ポリスチレン換算にて測定した値を用いた。
(測定条件)
・カラム:「TSK guard column HXL−L」、「TSK gel G2500HXL」、「TSK gel G2000HXL」、及び「TSK gel G1000HXL」(いずれも東ソー株式会社製)を順次連結したもの
・カラム温度:40℃
・展開溶媒:テトラヒドロフラン
・流速:1.0mL/分
<ガラス転移温度(Tg)>
成分(A)のガラス転移温度(Tg)は、Foxの式を用いて算出される値を用いた。
<基材層及び剥離材の厚さ>
定圧厚さ測定器(株式会社テクロック製、型番:「PG−02J」、標準規格:JIS K6783−1994、Z1702−1994、Z1709−1995に準拠)を用いて測定した。
なお、エンボスされている剥離材の厚さは、当該剥離材の平滑な表面から、エンボスされている表面の凸部が形成されている箇所までの距離となる。例えば、図8に示す距離4tが、剥離材の厚さに該当する。
<粘着シート中の各層の厚さ>
実施例及び比較例で作製した粘着シートの粘着剤層(X1)及び粘着剤層(X2)の、基材層の表面と平行な面(凹部が形成されていない箇所に該当)に対して垂直方向に切断した厚さ方向における断面を、走査型電子顕微鏡(株式会社日立製作所製、製品名「S−4700」)を用いて観察し、粘着剤層(X1)及び粘着剤層(X2)のそれぞれの厚さを測定した。
また、粘着剤層(X)の厚さは、当該粘着剤層の基材に接する表面から、基材とは反対側の表面の凹部が形成されていない箇所までの距離とした。
例えば、図1に示す距離2tが、層(X)の厚さに該当する。
また、後述する粘着剤層(Z)の厚さも同様に測定した。
<層(X)の凹部の高低差、幅及び最短ピッチ>
実施例及び比較例で作製した粘着シートの粘着剤層(X)(層(X1)及び層(X2))の基材とは反対側の面に存在する凹部の高低差及び幅は、走査型電子顕微鏡(株式会社日立製作所製、製品名「S−4700」)を用いて粘着シートの断面を観察し、走査型電子顕微鏡用の画像解析ソフトの計測機能を利用して測定した。
なお、図9及び13に、それぞれ、実施例1及び13で層(X1)上の凹部の高低差を測定した際のSEM画像を示す。実施例1の場合、その高低差及び幅の値は、図9に示す1h及び1wの距離に該当する。実施例13の場合、その高低差及び幅の値は、図13に示す1h及び1wの距離に該当する。
また、図11及び14に、それぞれ、実施例1及び13で層(X1)上の凹部の最短ピッチを測定した際のSEM画像を示す。実施例1及び13の場合、それぞれ、その最短ピッチの値は、図11及び14に示す7pの距離に該当する。なお、図11及び14に示される1wは凹部の幅に該当する。
<剥離材の凸部の高低差、幅及び最短ピッチ>
実施例で用いた剥離材の粘着剤層側の面に存在する凸部の高低差及び幅は、走査型電子顕微鏡(株式会社日立製作所製、製品名「S−4700」)を用いて断面を観察して、走査型電子顕微鏡用の画像解析ソフトの計測機能を利用して測定した。
なお、図10に、剥離材1の凸部の高低差等を測定した際のSEM画像を示す。剥離材1の凸部の高低差及び幅の値は、それぞれ、図10に示す4h及び4wの距離に該当する。
また、図12に、剥離材1の凸部の最短ピッチを測定した際のSEM画像を示す。剥離材1の凸部の最短ピッチの値は、図12に示す4pの距離に該当する。なお、図12に示される4wは凸部の幅に該当する。
<粘着シートの有機溶媒接触剥離性評価>
後述する実施例1〜12及び比較例1〜5で作製した粘着シートにおいて、それぞれ、粘着剤層(X2)を、次のとおり形成した凹部を有しない粘着剤層(Z)に置き換えた有機溶媒接触剥離性評価用の各両面粘着シートを作製した。
具体的には、粘着剤層(Z)用のアクリルポリマーとして、n−ブチルアクリレート77質量部と、メチルメタクリレート20質量部と、2−ヒドロキシエチルアクリレート3質量部とを共重合してなるアクリル系共重合体(Tg=−33℃、質量平均分子量=50万)を用意した。
次に、当該アクリル系共重合体100質量部に、架橋剤としてトリメチロールプロパンアダクトトリレンジイソシアネート(東ソー株式会社製、製品名「コロネート(登録商標)L」)を5質量部(有効成分比)添加してアクリル系粘着剤組成物を調製し、更に、トルエンを配合して希釈し、30分間撹拌を行ってアクリル系粘着剤組成物の溶液を調製した。
次に、後述する剥離材4の剥離処理面上に、前記アクリル系粘着剤組成物の溶液を、アプリケーターを用いて塗布し、乾燥温度100℃で2分間、乾燥させて凹部を有しない粘着剤層(Z)を厚さが20μmとなるように形成した。
そして、後述する実施例1〜12及び比較例1〜5と同様にして作製した粘着剤層(X1)とPET基材とからなる積層体のPET基材の露出面上に、当該粘着剤層(Z)の露出面を貼合して、有機溶媒接触剥離性評価用の両面粘着シートを作製した。
作製した有機溶媒接触剥離性評価用の各両面粘着シートを、それぞれ、縦(MD)50mm×横(TD)50mmの大きさに切断した試験片を作製した。
また、ガラス板(株式会社コーニング製、製品名「イーグルXG(登録商標)」、サイズ:長さ50mm×幅50mm×厚さ2mm)を2枚用意した。
そして、粘着剤層(X1)側の剥離材のみを除去し、表出した粘着剤層(X1)の表面に、前記ガラス板のうち1枚を、卓上ラミネータ(フジプラ株式会社製、製品名「LPD3212」)を用いて23℃、ラミネート速度300mm/分の条件で圧着して貼り合わせた。
続いて、粘着剤層(Z)側の剥離材4も除去し、表出した粘着剤層(Z)の表面に、前記ガラス板のうち残りの1枚を、真空ラミネータ(ニッコー・マテリアルズ株式会社製、製品名「V−130」)を用いて60℃、0.2MPa、30秒間の条件で圧着して貼り合わせた。
その後、紫外線照射装置(リンテック株式会社製、製品名「RAD−2000m/12」)を用いて、照度180mW/cm、積算光量300mJ/cmの条件で粘着剤層(X1)上のガラス板の表面側からガラス板を通して、層(X1)側に紫外線を照射し硬化させ、有機溶媒接触剥離性評価サンプルを作成した。
得られた有機溶媒接触剥離性評価サンプルを、25℃のメチルエチルケトン(MEK)中に、層(X1)側が上側を向くように浸漬させて、層(X1)側に貼付したガラス板の全面が自己剥離するまでの時間を計測した。なお、メチルエチルケトンを入れた透明容器中に評価サンプルを平置きしても、自己剥離したガラス板と層(X1)との間に有機溶剤が浸入して、評価サンプルの剥離箇所と未剥離箇所とで屈折率に差が生じるため、透明容器の外からでも自己剥離の有無を目視で確認することが可能であった。
ここで、MD方向のMDとは、Machine Directionの略記であり、MD方向は粘着シート成型時の長尺方向を意味する。また、TD方向のTDとは、Transverse Directionの略記で、TD方向は粘着シート成型時の幅方向を意味する。ここで、粘着シートにおける「MD方向」とは、粘着剤層(X1)を形成する際の粘着剤組成物を塗布した方向を指す。
得られた結果を下記表1に示す。
<粘着シートの水接触剥離性評価>
前述の有機溶媒接触剥離性評価用の両面粘着シートの作製方法で記載した方法と同様の方法を用いて、後述する実施例13〜15及び比較例6〜7で作製した粘着シートにおいて、それぞれ、粘着剤層(X2)を、前述の凹部を有しない粘着剤層(Z)(厚さ20μm)に置き換えた水接触剥離性評価用の各両面粘着シートを作製した。作製した水接触剥離性評価用の各両面粘着シートを、それぞれ、縦(MD)50mm×横(TD)50mmの大きさに切断した試験片を作製した。
また、ガラス板(株式会社コーニング製、製品名「イーグルXG(登録商標)」、サイズ:長さ50mm×幅50mm×厚さ2mm)を2枚用意した。
そして、粘着剤層(X1)側の剥離材のみを除去し、表出した粘着剤層(X1)の表面に、前記ガラス板のうち1枚を、卓上ラミネータ(フジプラ株式会社製、製品名「LPD3212」)を用いて23℃、ラミネート速度300mm/分の条件で圧着して貼り合わせた。
続いて、粘着剤層(Z)側の剥離材4も除去し、表出した粘着剤層(Z)の表面に、前記ガラス板のうち残りの1枚を、真空ラミネータ(ニッコー・マテリアルズ株式会社製、製品名「V−130」)を用いて60℃、0.2MPa、30秒間の条件で圧着して貼り合わせ、水接触剥離性評価サンプルを作成した。
得られた水接触剥離性評価サンプルを、25℃の純水の水槽中に、層(X1)側が上側を向くように浸漬させて、層(X1)側に貼付したガラス板の全面が自己剥離するまでの時間を計測した。なお、水槽中に評価サンプルを平置きしても、自己剥離したガラス板と層(X1)との間に水が浸入して、評価サンプルの剥離箇所と未剥離箇所とで屈折率に差が生じるため、水槽の外からでも自己剥離の有無を目視で確認することが可能であった。
ここで、当該評価方法における粘着シートにおける「MD方向」とは、粘着剤層(X1)を形成する際の前記粘着剤組成物を塗布した方向を指す。
得られた結果を下記表2に示す。
<粘着剤層(X1)の粘着力>
実施例及び比較例で作製した粘着シートと同様にして、それぞれ、粘着剤層(X2)を形成しない片面粘着シートを粘着力評価用サンプルとして作成した。当該評価サンプルを、それぞれ、縦(MD)300mm×横(TD)25mmの大きさに切断した試験片を作製した。
そして、粘着剤層(X1)上の剥離材を除去し、表出した粘着剤層(X1)の表面を、シリコンミラーウェハのミラー面に対し、JIS Z0237:2000に基づき2kgのゴムローラーで貼付して貼り合わせた。
その後、23℃、50%RH(相対湿度)の環境下で20分間静置した後、JIS Z0237:2000に基づき、180°引き剥がし法により、引張速度300mm/分にて粘着剤層(X1)をシリコンミラーウェハから引き剥がし、粘着剤層(X1)の粘着力を測定した。
なお、実施例1〜12及び比較例1〜5で作製した粘着シートにおける当該粘着力は、下記表1中、紫外線照射前の粘着力を指す。
(紫外線照射後の粘着力)
実施例1〜12及び比較例1及び2で作製した粘着シートについては、粘着剤層(X1)に紫外線を照射した後の粘着力も、以下の方法により測定した。
上記紫外線照射前の試験片と同様にして試験片を作製し、粘着剤層(X1)の表面を前記シリコンミラーウェハのミラー面に対し、同様の条件で貼付して貼り合わせた。その後、23℃、50%RH(相対湿度)の環境下で20分間静置した後、紫外線照射装置(リンテック株式会社製、製品名「RAD−2000m/12」)を用いて、照度180mW/cm、積算光量300mJ/cmの条件で、PET基材側から粘着剤層(X1)に紫外線を照射した。
その後、23℃、50%RH(相対湿度)の環境下で20分間静置した後、JIS Z0237:2000に基づき、180°引き剥がし法により、引張速度300mm/分にて粘着剤層(X1)をシリコンミラーウェハから引き剥がし、紫外線照射後の粘着剤層(X1)の粘着力を測定した。
[粘着シートの製造]
<基材及び剥離材>
以下に示す各略称は、それぞれ、以下の材料を表す。
・PET基材:ポリエチレンテレフタレートフィルム、東洋紡株式会社製、商品名「コスモシャイン(登録商標)」、品番「A4300」、厚さ 50μm
・剥離材1:エンボス面にシリコーン剥離処理を施したフィルム、厚さ 139μm(凸部高さを含む)、エンボスパターン 斜格子、パターンの最短ピッチ 250μm、凸部の断面形状 V字型、凸部高さ 9μm、凸部幅 20μm
・剥離材2:エンボス面にシリコーン剥離処理を施した樹脂層を有する剥離紙、厚さ 143μm(凸部高さを含む)、エンボスパターン 平行斜線、パターンの最短ピッチ 700μm、凸部の断面形状 U字型、凸部高さ 23μm、凸部幅 71μm
・剥離材3:エンボス面にシリコーン剥離処理を施した樹脂層を有する剥離紙、厚さ 142μm(凸部高さを含む)、エンボスパターン 波線、凸部の断面形状 U字型、凸部高さ 22μm、凸部幅 98μm
・剥離材4:片面にシリコーン剥離処理を施したポリエチレンテレフタレートフィルム、製品名「SP−PET381031」、厚さ 38μm、エンボス処理なし。
<有機溶媒剥離性を有する粘着シートの製造及び評価>
実施例1
n−ブチルアクリレート(以下、「BA」とも略称する。)95.5質量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート(以下、「2HEA」とも略称する。)4.5質量部を共重合してなるアクリル系共重合体(P)に、メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(以下、「MOI」とも略称する。)を、2HEAのヒドロキシ基(1当量)に対して付加率が0.33当量となるように付加して得たアクリル系共重合体(炭素−炭素二重結合基の濃度=0.13mmol/g、Tg=−52℃、質量平均分子量=50万)をアクリルポリマー(A1)として用意した。
なお、前記炭素−炭素二重結合基の濃度は、次のとおり算出した。
まず、BAの分子量128g/mol、2HEAの分子量116g/mol、MOIの分子量を155g/molとする。そして、BA及び2HEAからなるアクリル系共重合体(P)100gに対して付加させたMOIのモル数は、2HEAのモル数が、4.5(g)/116(g/mol)=0.039(mol)であり、当該2HEAのヒドロキシ基に対して付加率が0.33当量であるので、0.039(mol)×33%=0.013(mol)と計算される。当該モル数におけるMOIの質量は、0.013(mol)×155(g/mol)=2.0(g)である。すなわち、BA及び2HEAからなるアクリル系共重合体(P)100gに対してMOIを2.0g付加させたことになるので、得られるアクリルポリマー(A1)の質量は102.0gとなる。結果、当該アクリルポリマー(A1)中にMOIは0.013(mol)含まれるので、当該アクリルポリマー(A1)中における前記炭素−炭素二重結合基の濃度を、0.013(mol)/102.0(g)=0.13×10−3(mol/g)=0.13(mmol/g)と算出した。以下、実施例2以降の例でも同様に算出した。
次に、アクリルポリマー(A1)100質量部に、架橋剤としてトリメチロールプロパンアダクトトリレンジイソシアネート(東ソー株式会社製、製品名「コロネート(登録商標)L」)を5質量部(有効成分比)、光重合開始剤としての1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(IGM Resins社製、製品名「オムニラッド(登録商標)184」)を3質量部(有効成分比)添加してアクリル系粘着剤組成物を調製し、更に、トルエンを配合して希釈し、30分間撹拌を行ってアクリル系粘着剤組成物の溶液を調製した。
次に、前記剥離材1のエンボス面上に、前記アクリル系粘着剤組成物の溶液を、アプリケーターを用いて塗布し、乾燥温度100℃で2分間、乾燥させて第1の粘着剤層(X1)を形成した。更に、粘着剤層(X1)の露出面に、前記PET基材を貼り合わせて積層した。
また、別途、用意した前記剥離材1のエンボス面上に、前記アクリル系粘着剤組成物の溶液を用いて、前記と同様にして第2の粘着剤層(X2)を形成した。
そして、前記粘着剤層(X1)に貼り合わせたPET基材の露出面上に、当該粘着剤層(X2)の露出面を貼合して、粘着剤層(X)を両面に有する粘着シートを得た。
実施例2〜12、及び比較例1〜5
それぞれ、アクリルポリマーとして、表1に示す組成のアクリルポリマーに変えたこと、及び剥離材の種類と粘着剤層の厚さとを表1に示すものに変えたこと以外は、実施例1と同様にして、表1に示す各粘着シートを得た。ただし、比較例1及び2のアクリル系粘着剤組成物の調製については、表1に示す組成のアクリルポリマーを用い、かつ、前記光重合開始剤を添加しないこと以外は、実施例1と同様にしてアクリル系粘着剤組成物の溶液を調製した。
なお、表1中の「MMA」とは、メチルメタクリレートの略称である。
実施例1〜12及び比較例1〜5で得られた各粘着シートを前述の評価方法を用いて評価した。結果を下記表1に示す。
Figure 2021123604
表1より、実施例1〜12の粘着シートは、有機溶媒接触剥離性に優れ、比較例1〜5の粘着シートと比べて、有機溶媒に浸漬後、当該粘着シートが被着体から自己剥離するまでの時間が大幅に短縮されていることが確認された。また、実施例1〜12の粘着シートでは、有機溶媒に浸漬する前の状態(紫外線照射後)でも、被着体を保持するために十分な粘着力を有することも確認できた。
実施例1〜12の粘着シートは、粘着剤層(X)(層(X1)及び層(X2))を形成するアクリル系粘着剤組成物が、炭素−炭素二重結合基の濃度が0mmol/g超であるアクリルポリマー(A)を含むことで、各粘着剤層(X)が有機溶媒により膨潤し易くなり、各粘着剤層(X)と被着体との界面に有機溶媒が浸入し易くなって、有機溶媒接触剥離性が向上していると考えられる。
更に、実施例1〜12の粘着シートは、粘着剤層(X)(層(X1)及び層(X2))の被着体との貼付面に凹部を有するため、当該粘着シートを平面視した場合、有機溶媒に浸漬した際に前記凹部に沿って、前記粘着シートの外縁部から前記粘着シートの中央部まで有機溶媒が容易に侵入することが可能になる。
これらの理由から、実施例1〜12の粘着シートは、比較例1〜5の粘着シートと比べて、有機溶媒接触剥離するまでの時間が著しく短縮されたものと考えられる。
一方、比較例1及び2の粘着シートは、粘着剤層(X)(層(X1)及び層(X2))の貼付面に凹部が存在するが、各粘着剤層(X)を形成するアクリル系粘着剤組成物が、炭素−炭素二重結合基の濃度が0mmol/g超であるアクリルポリマー(A)を含まないため、層(X)が有機溶媒により膨潤しにくく、有機溶媒接触剥離するまでの時間が長くなる結果となったと考えられる。
また、比較例3〜5の粘着シートは、粘着剤層(層(X1)及び層(X2))の貼付面に凹部が存在しないため、当該粘着シートを有機溶媒に浸漬した後、各粘着剤層と被着体との界面には、前記粘着シートの外縁部からしか有機溶媒は侵入することができない。そのため、前記粘着シートが被着体から自己剥離可能となる程度にまで各粘着剤層と被着体との界面に有機溶媒が浸入するまでの時間を要したものと考えられる。
また、実施例1〜12の粘着シートについて、前記有機溶媒接触剥離性評価で作成した評価サンプルをMEK中に浸漬する前に、光学デジタル顕微鏡(株式会社キーエンス製、製品名「デジタルマイクロスコープVHX−5000」)を用いて、粘着剤層(X1)及び(X2)の表面を平面視(倍率:100倍)した。その結果、実施例1〜12の粘着シートの粘着剤層(X1)及び(X2)は両方ともに、表面の輪郭の任意の一箇所から前記輪郭の他の箇所まで連続的に結合した前記凹部が複数存在することも確認された。そして、当該連続的に結合した前記凹部は、前記粘着剤層(X)の表面の任意の一辺から他の一辺まで連続的に結合した凹部を形成していることも確認できた。
また、実施例1の粘着シートの粘着剤層(X)の表面に形成された凹部の最短ピッチは250μmであり、実施例11の粘着シートの粘着剤層(X)の表面に形成された凹部の最短ピッチは700μmであることも確認できた。
<水接触剥離性を有する粘着シートの作成及び評価>
(アクリル系粘着剤組成物の調製)
製造例1
カルボキシ基を有するアクリルポリマー(A2)であるアクリル系共重合体(n−ブチルアクリレート(BA)/2−ヒドロキシエチルアクリレート(2HEA)/アクリル酸(AAc)=85/12/3(質量比)からなる原料単量体に由来の構成単位を有するアクリル系共重合体、質量平均分子量(Mw):40万)100質量部(有効成分比)に対して、中和剤(B2)としてトリエタノールアミンを7質量部、及び、架橋剤(D)としてエポキシ系架橋剤(ナガセケムテックス株式会社製、製品名「デナコール(登録商標) EX−810」)7質量部(有効成分比)を配合してアクリル系粘着剤組成物を調製し、更に、トルエンを配合して希釈し、均一に撹拌して、アクリル系粘着剤組成物の溶液を調製した。
製造例2
トリエタノールアミンを配合しなかったこと以外は、製造例1と同様にして、アクリル系粘着剤組成物の溶液を調製した。
実施例13
前記剥離材1のエンボス面上に、製造例1で調製したアクリル系粘着剤組成物の溶液を、アプリケーターを用いて塗布し、乾燥温度100℃で2分間、乾燥させて第1の粘着剤層(X1)を形成した。更に、粘着剤層(X1)の露出面に、前記PET基材を貼り合わせて積層した。
また、別途、用意した前記剥離材1のエンボス面上に、製造例1で調製したアクリル系粘着剤組成物の溶液を用いて、前記と同様にして第2の粘着剤層(X2)を形成した。
そして、前記粘着剤層(X1)に貼り合わせたPET基材の露出面上に、当該粘着剤層(X2)の露出面を貼合して、粘着剤層(X)を両面に有する粘着シートを得た。
実施例14及び15、並びに比較例6
それぞれ、剥離材として、下記表2に示す剥離材を用いたこと、及び、粘着剤層(X1)及び(X2)の各厚さを変更したこと以外は、実施例13と同様にして、下記表2に示す各粘着シートを得た。
比較例7
粘着剤層(X1)及び(X2)を形成する粘着剤組成物として、製造例2で調製した粘着剤組成物を用いたこと以外は、実施例13と同様にして粘着シートを得た。
実施例13〜15及び比較例6〜7で得られた各粘着シートを前述の評価方法を用いて評価した。結果を下記表2に示す。
Figure 2021123604
表2より、実施例13〜15の粘着シートは、水接触剥離性に優れ、比較例6及び7の粘着シートと比べて、水に浸漬後、当該粘着シートが被着体から自己剥離するまでの時間が大幅に短縮されていることが確認された。また、水に浸漬する前の状態で、被着体を保持するために十分な粘着力を有することも確認された。
実施例13〜15の粘着シートは、粘着剤層(X)(層(X1)及び層(X2))の被着体との貼付面に凹部を有するため、当該粘着シートを平面視した場合、水に浸漬した際に前記凹部に沿って、前記粘着シートの外縁部から前記粘着シートの中央部まで水が容易に侵入することが可能となる。その結果、水接触剥離するまでの時間が著しく短縮されたものと考えられる。
一方、比較例6では、粘着剤層(層(X1)及び層(X2))の貼付面に凹部が存在しないため、当該粘着シートを水に浸漬した後、各粘着剤層と被着体との界面には、前記粘着シートの外縁部からしか水は侵入することができない。そのため、前記粘着シートが被着体から自己剥離可能となる程度にまで粘着剤層と被着体との界面に水が浸入するまでに長時間を要したものと考えられる。
また、比較例7では、粘着剤層(X)(層(X1)及び層(X2))の貼付面に凹部が存在するが、各粘着剤層(X)を形成する粘着剤組成物が中和剤(D)を含まないため、実施例13〜15の粘着シートと比べて、水接触剥離するまでの時間が長くなる結果となった。
この結果は、実施例13〜15の粘着シートが有する粘着剤層(X)が成分(A2)、(B2)及び(D)を含む粘着剤組成物から形成された層であることで、層(X)の水膨潤性が向上し、より一層、粘着剤層(X)と被着体との界面に水が浸入し易くなり、水接触剥離性が向上していることを示していると考えられる。
また、実施例13の粘着シートの粘着剤層(X)の表面に形成された凹部の最短ピッチは250μmであり、実施例14の粘着シートの粘着剤層(X)の表面に形成された凹部の最短ピッチは700μmであることも確認できた。
また、実施例13〜15の粘着シートについて、前記水接触剥離性評価で作成した評価サンプルを水槽に浸漬する前に、光学デジタル顕微鏡(株式会社キーエンス製、製品名「デジタルマイクロスコープVHX−5000」)を用いて、粘着剤層(X1)及び(X2)の表面を平面視(倍率:100倍)した。その結果、実施例13〜15の粘着シートの粘着剤層(X1)及び(X2)は両方ともに、表面の輪郭の任意の一箇所から前記輪郭の他の箇所まで連続的に結合した前記凹部が複数存在することも確認された。そして、当該連続的に結合した前記凹部は、前記粘着剤層(X)の表面の任意の一辺から他の一辺まで連続的に結合した凹部を形成していることも確認できた。
本発明の一態様である仮固定粘着シートは、被着体への貼付時には十分な粘着力を有しながらも、被着体から剥離する際には、溶剤と接触させることにより短時間で自己剥離させることが可能なため、剥離時に用いる溶剤と接触可能な被着体を用いる限り、あらゆる用途に適用可能である。
例えば、前述したような、電子デバイス用材料の製造工程等において用いる各種の仮固定用粘着シートとして好適に用いることができる。
また、本発明の一態様の仮固定粘着シートは、電子デバイス用途以外にも、例えば、前述したウィンドーフィルム等の保護フィルム用途、壁紙、ラッピングフィルム等の保護・意匠性付与用途、リターナブルラベル等の各種ラベル用途、一時的な掲示物等を貼付する際の使用等、種々の用途が挙げられる。
更に、本発明の一態様の仮固定粘着シートが、前述した連続した凹部形状を有する粘着剤層(X)を有する仮固定粘着シートである場合、例えば、前述した識別用、装飾用、塗装マスキング用、金属板等の表面保護用等にも好適に用いることができる。
10、20、30、40、50、60、70 仮固定粘着シート
100 実施例における仮固定粘着シートの溶剤接触剥離性評価サンプル
101 被着体(ガラス板)
1 粘着剤層(X)の表面に存在する凹部
1h 粘着剤層(X)の表面に存在する凹部の高低差
1w 粘着剤層(X)の表面に存在する凹部の幅
2 粘着剤層(X)
2a 粘着剤層(X)が有する凸部
2t 粘着剤層(X)の厚さ
3 基材
4 剥離材
4−1 第1の剥離材
4−2 第2の剥離材
4a 剥離材が有する粘着剤層(X)の凹部と対をなす凸部
4h 剥離材が有する凸部の高低差
4w 剥離材が有する凸部の幅
4t 剥離材の厚さ
4p 剥離材が有する凸部の最短ピッチ
5 粘着剤層(X)以外の粘着剤層(Z)
6 凹部1によって囲まれる領域
7f 凹部1の縁間距離
7p 凹部1の最短ピッチ

Claims (9)

  1. 少なくとも一方の表面に凹部が存在する粘着剤層(X)を有し、溶剤接触剥離性を有する、仮固定粘着シート。
  2. 前記凹部の高低差が0.5μm以上である、請求項1に記載の仮固定粘着シート。
  3. 粘着剤層(X)を平面視した場合、粘着剤層(X)の表面の輪郭の一箇所から他の箇所まで連続的に結合した前記凹部が存在する、請求項1又は2に記載の仮固定粘着シート。
  4. 粘着剤層(X)を溶剤中に浸漬させる前の前記粘着剤層(X)の凹部が存在する表面の粘着力が、0.01〜12.00N/25mmである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の仮固定粘着シート。
  5. 粘着剤層(X)が、アクリル系粘着剤組成物により形成される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の仮固定粘着シート。
  6. 基材を有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の仮固定粘着シート。
  7. 電子デバイス用材料を支持体に仮固定することに用いる、請求項1〜6のいずれか1項に記載の仮固定粘着シート。
  8. 前記電子デバイス用材料が、電子デバイス用ウェハである、請求項7に記載の仮固定粘着シート。
  9. 電子デバイス用材料の加工及び/又は検査に用いられる、請求項1〜8のいずれか1項に記載の仮固定粘着シート。
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