JP2021123550A - シイタケ廃菌床由来揮発性物質を含有する抗菌剤 - Google Patents

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久美子 大▲崎▼
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亨 石原
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Yu Muto
悠 武藤
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Abstract

【課題】ヒトや動物に対して安全で、かつ有効な抗菌剤を提供する。【解決手段】3−オクタノンまたはその誘導体を含む抗菌剤。【選択図】なし

Description

本発明は、3−オクタノンまたはその誘導体を含む抗菌剤に関する。
現在使用されている抗菌剤の多くは、安全性の面から選択性の高い抗菌物質が主流で抗菌スペクトラムが狭く、耐性菌の出現などの問題も生じている。菌類が生産する抗菌物質は、すでに抗生物質として農薬や医薬等に利用されているが、そのほとんどは不揮発性の物質である。しかし、不揮発性の抗菌物質は、作物や環境に残留し、環境汚染を引き起こす可能性があり、安全性の面から問題が多い。一方、揮発性の抗菌物質は、通気の少ない場所での使用が好ましいので、使用条件は限定されるものの効果が隅々まで行き渡り、通気によって容易に拡散、消失することから、安全面、健康面および環境面からも優れた特徴を持つと考えられる。
菌類(きのこ類)は自然界において、他の微生物(菌類、細菌など)と競争・拮抗して生息していることから、周囲に拡散する揮発性の抗菌物質を生産していると考えられていた。きのこ類が生産する揮発性物質については、これまで医学・薬学の分野で研究が行われており、ヒトの健康増進などに関与する幾つかの生理活性物質が報告されている。抗菌作用に着目した研究としては、ブナシメジにより生産される揮発性抗菌物質を利用した病害防除の例がある(特許文献1参照)。しかし、他のきのこにより生産される揮発性抗菌物質の同定は行われていなかった。
特許第6304817号公報
ヒトや動物に対して安全で、健康面および環境面からも優れた特徴を持ち、かつ優れた抗菌剤を提供することが本発明の解決すべき課題であった。
本発明者らは、上記課題を解決せんと鋭意研究を重ね、シイタケ廃菌床が強力な植物病害防除効果を有することを見いだした。そして、その原因物質が3−オクタノンまたはその誘導体であると同定し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は以下のものを提供する。
(1)3−オクタノンまたはその誘導体を含む抗菌剤。
(2)植物病害防除資材である(1)記載の抗菌剤。
(3)3−オクタノンを含む(1)または(2)に記載の抗菌剤。
(4)1−オクテン−3−オールを含む(1)または(2)に記載の抗菌剤。
本発明によって、シイタケが生産する植物病害防除物質が3−オクタノンまたはその誘導体であると同定された。3−オクタノンは香水の成分や食品香料として広く用いられている。3−オクタノンの誘導体である1−オクテン−3−オールは、多くの食用きのこに含まれる香気物質であり、香料の原料としても使用される。これらの化合物は安全性が高いものである。これらの物質は揮発性であるため、本発明の抗菌剤の効果は、空間の隅々まで行き渡る。しかもこれらの物質は通気によって容易に拡散、消失することから、本発明の抗菌剤は安全面、健康面および環境面からも優れた特徴を持つ。さらに、本発明の抗菌剤は、高い抗菌効果を有する。
図1は、シイタケ廃菌床処理によるキャベツ黒すす病に対する病害抑制効果を示すグラフである。***は、t検定を行った結果、0.1%水準(p<0.001)で有意差があることを示す。n.s.は、t検定を行った結果、5%水準(p<0.05)で有意差がないことを示す。 図2は、シイタケ廃菌床から放出される揮発性物質の網羅的GC−MS解析結果を示すチャートである。保持時間約22分のところに3−オクタノンのピークが見られる。 図3は、3−オクタノン処理によるキャベツ黒すす病に対する病害抑制効果を示すグラフである。図中、DW処理区は蒸留水処理区を示す。***は、t検定を行った結果、0.1%水準(p<0.001)で有意差があることを示す。 図4は、3−オクタノン処理によるトマト灰色かび病に対する病害抑制効果を示すグラフである。図中、DW処理区は蒸留水処理区を示す。**は、t検定を行った結果、1%水準(p<0.01)で有意差があることを示す。 図5は、3−オクタノン処理によるキャベツ黒すす病菌に対する抗菌活性を示すグラフである。左図は胞子発芽率、右図は胞子発芽管の長さを示す。図中のアルファベットはANOVA多重比較検定を行った結果、異なるアルファベット間では5%水準(p<0.05)で有意差があることを示す。 図6は、3−オクタノン処理によるトマト灰色かび病菌に対する抗菌活性を示すグラフである。左図は胞子発芽率、右図は胞子発芽管の長さを示す。図中のアルファベットはANOVA多重比較検定を行った結果、異なるアルファベット間では5%水準(p<0.05)で有意差があることを示す。 図7は、1−オクテン−3−オール処理によるトマト灰色かび病菌に対する抗菌活性を示すグラフである。左図は胞子発芽率、右図は胞子発芽管の長さを示す。図中のアルファベットはANOVA多重比較検定を行った結果、異なるアルファベット間では5%水準(p<0.05)で有意差があることを示す。 図8は、1−オクテン−3−オール処理によるキュウリ炭疽病菌に対する抗菌活性を示すグラフである。左図は胞子発芽率、右図は胞子発芽管の長さを示す。図中のアルファベットはANOVA多重比較検定を行った結果、異なるアルファベット間では5%水準(p<0.05)で有意差があることを示す。 図9は、3−オクタノン処理によるAspergillus nigerに対する抗菌活性を示すグラフである。図は胞子発芽率を示す。図中のアルファベットはANOVA多重比較検定を行った結果、異なるアルファベット間では5%水準(p<0.05)で有意差があることを示す。
本発明は、1の態様において、3−オクタノンまたはその誘導体を含む抗菌剤を提供する。
本発明の抗菌剤は、揮発性物質である3−オクタノンまたはその誘導体によって抗菌効果を発揮するものである。本発明の抗菌剤は、有効成分である3−オクタノンまたはその誘導体を微生物に適用できるものであればいずれの形状であってもよく、いずれの態様にて使用してもよい。
3−オクタノンまたはその誘導体は下式(I):
Figure 2021123550
(I)

[式中、-----は一重結合または二重結合を表し、Aは酸素または水酸基を表し、炭素鎖上の1個以上の水素が、C1−6アルキル、ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、ニトロ、カルボキシル基などで置換されていてもよい]により表される化合物である。
1−6アルキル基は炭素数1〜6個のアルキル基をいい、メチル、メチル、プロピル、ブチル、ペンチルおよびヘキシル基、ならびにそれらの構造異性体を包含する。
式(I)の化合物はその構造異性体および立体異性体も包含する。
好ましい式(I)の化合物の例として、3−オクタノンおよび1−オクテン−3−オールが挙げられる。上述のように、3−オクタノンは香水の成分や食品香料として用いられており、ヒトや動物に対して安全性が高い。また、1−オクテン−3−オールは多くの食用きのこに含まれる成分であり、ヒトや動物に対して安全性が高い。
本明細書において、「抗菌」とは、微生物の感染、増殖、菌糸生育、胞子形成、胞子発芽などを防止、阻害、抑制または停止させること、ならびに微生物を死滅させることを包含する。
本発明の抗菌剤はいずれの微生物に対しても抗菌効果を示す。微生物は真菌、細菌および放線菌を包含する。真菌は糸状菌、酵母およびきのこを包含する。本発明の抗菌剤が適用されうる糸状菌はいずれの糸状菌であってもよく、例えばAspergillus、Penicillium、Acremonium、Trichoderma、Absidia、Mucor、Rhizopus、Rhizomucor、Fusarium、Neurospora、Cladosporium、および後で挙げる植物病原糸状菌などが挙げられるが、これらに限定されない。本発明の抗菌剤が適用されうる酵母はいずれの酵母であってもよく、例えばCandidaなどが挙げられるが、これらに限定されない。本発明の抗菌剤が適用されうる細菌はいずれの細菌であってもよく、例えばBacillus、Pseudomonas、Xanthomonas、Salmonella、Escherichia、Staphylococcus、Clostridium、および後で挙げる植物病原細菌などが挙げられるが、これらに限定されない。抗菌剤が適用されうる放線菌はいずれの放線菌であってもよく、例えばStreptomycesなどが挙げられるが、これらに限定されない。本発明の抗菌剤は広範な種類のカビに対して有効である。したがって、本発明の抗菌剤を抗カビ剤として用いてもよい。
本発明の抗菌剤が適用される微生物は、動物や植物の病原菌、悪臭などの環境汚染を引き起こす微生物、食品を腐敗または品質劣化させる微生物などであってもよい。したがって、本発明の抗菌剤を、動物の感染症の予防または治療、植物病害の防除、環境劣化の防止、食品の腐敗および品質劣化防止などに用いてもよい。
本発明の抗菌剤を植物病害防除資材として用いてもよい。植物病害防除資材は農薬であってもよい。菌類、細菌、ウイルスなど多くの植物病原菌が公知であり、それらにより引き起こされる植物病害も公知である。本発明の抗菌剤によって防除されうる植物病害の例としては、ナシ黒斑病(Alternaria alternata Japanese pear pathotype)、キャベツ黒斑病(Alternaria brassicae)、キャベツ黒すす病(Alternaria brassicicola)、キュウリ炭疽病(Colletotrichum lagenarium)、トマト灰色かび病(Botrytis cinerea)、トマト褐色輪紋病(Corynespora cassiicola)、リンゴ斑点落葉病(Alternaria mali)、コムギ斑点病(Bipolaris sorokiniaua)、キュウリ黒星病(Cladosporium cucumerinum)、カーネーションカーブラリア葉枯病(Curvularia inaequalis)、イネいもち病(Magnaporthe oryzae)、ナスすすかび病(Mycovellosiella nattrassii)、トマト葉かび病(Passalora fulva)、ミカン緑かび病(Penicillium digitatum)、ミカン青かび病(Penicillium expansum)、ダイズ茎疫病(Phytophthora sojae)、トマトすすかび病(Pseudocercospora fuligena)、セイヨウナシ褐色斑点病(Stemphylium vesicarium)、ネギ葉枯病(Stemphylium vesicarium)、ホウレンソウ白斑病(Stemphylium vesicarium)、リーキ葉枯病(Stemphylium vesicarium)、ナシ黒星病菌(Venturia nashicola)、トマト青枯病(Ralstonia solanacearum)、キウイフルーツかいよう病(Pseudomonas syringae pv. actinidiae)、ブロッコリー黒腐病(Xanthomonas campestris pv. campestris)、トマトかいよう病(Clavibacter michiganensis)などが挙げられるが、これらに限定されない(括弧内は病原菌)。なお、本明細書において植物病害の「防除」は、植物病原菌の感染、増殖、菌糸生育、胞子形成、胞子発芽などを防止、阻害、抑制または停止させて、あるいは植物病原菌を死滅させて、植物病害を予防、抑制または治癒することをいう。本明細書において、「適用」は、本発明の抗菌剤中の3−オクタノンまたはその誘導体を微生物に接触させることをいう。
本発明の抗菌剤を、ヒトなどの動物の感染症を治療または予防するための医薬組成物として用いてもよい。このような医薬組成物は、典型的には外用薬である。
本発明の抗菌剤中の3−オクタノンまたはその誘導体の量は、対象とする微生物の種類、使用場所などの使用環境、使用目的、望まれる抗菌効果または植物病害防除効果、植物の種類などに応じて適宜変更することができる。
3−オクタノンまたはその誘導体は、多くの種類の微生物に対して少量で強力な効果を発揮する。したがって、本発明の抗菌剤は、単独で幅広い用途に使用できる。しかしながら、本発明の抗菌剤中に他の抗菌物質が含まれていてもよく、本発明の抗菌剤と他の抗菌剤を併用してもよい。他の抗菌物質または抗菌剤は公知のものを適宜選択して用いることができる。
本発明の抗菌剤の形状、使用態様は特に限定されず、液体、半固体、固体のいずれであってもよい。例として、スプレー剤、散布用液剤、塗布用液剤、クリーム、ゲルなどが挙げられるがこれらに限定されない。本発明の抗菌剤が液体である場合は、ビン、カンまたはポリ容器などに入れてもよく、濾紙やフェルトなどに染み込ませて、3−オクタノンまたはその誘導体が徐々に揮発するようにしてもよい。3−オクタノンまたはその誘導体を分解可能なマイクロカプセルに入れて、マイクロカプセルの分解に伴ってこれらの成分が揮発するようにしてもよい。分解可能なマイクロカプセルは公知である。本発明の抗菌剤が半固体または固体の場合は、適当な担体に3−オクタノンまたはその誘導体を吸着または混練してもよい。3−オクタノンまたはその誘導体を溶解する溶媒は公知ものから選択できる。3−オクタノンまたはその誘導体を吸着または混練する担体も公知ものから選択できる。
本発明の抗菌剤の具体的使用態様の例としては、室内に設置する(置く、吊す等)、室内に噴霧する、建物の壁や床、手すりやドアノブなどに塗布または散布する、マイクロカプセルに入れてタオルなどの布に付着させる等が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の抗菌剤が植物病害防除資材である場合の使用態様としては、植物近傍の土壌に置く、植物の周囲に置くまたは吊す、あるいは噴霧等により植物に直接適用する等が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の抗菌剤を、開閉可能な窓やスリットが付いた容器に入れて効能をコントロールしてもよい。
本発明の抗菌剤を、閉鎖系、開放系いずれにおいて使用してもよい。好ましくは、本発明の抗菌剤を閉鎖系で使用する。本発明の抗菌剤を屋外で使用してもよい。好ましくは、本発明の抗菌剤を屋内で使用する。店舗、ホール、乗り物、テント、倉庫、事務室、会議室、居室、寝室、キッチン、食堂、トイレ、風呂場などで本発明の抗菌剤を使用してもよい。本発明の抗菌剤を、抗菌効果が望まれる物品の入った容器中で使用してもよい。本発明の抗菌剤が植物病害防除資材である場合は、本発明の抗菌剤を田畑や林野などの開放系で使用してもよく、温室、ハウス、フード、テント、植物工場、農作物の貯蔵倉庫、農作物出荷用コンテナなどの閉鎖系で使用してもよい。本発明の抗菌剤を閉鎖系で使用すると、揮発性である3−オクタノンまたはその誘導体が空間の隅々まで行き渡るので効果的である。3−オクタノンまたはその誘導体は揮発性であるため、通気によって容易に拡散、消失し、残留しないという特徴も有する。そのため、本発明の抗菌剤は、ヒトや動物に対して安全で、健康面、環境面でも優れた特徴を有する。
本発明の抗菌剤を洗剤、石けん、シャンプー、リンス、歯磨き、化粧品、入浴剤などに混合してもよい。したがって、本発明は、本発明の抗菌剤を含む洗剤、石けん、シャンプー、リンス、歯磨き、化粧品、入浴剤などを提供する。
本発明は、さらなる態様において以下を提供する。
3−オクタノンまたはその誘導体を配合することを特徴とする、抗菌剤の製造方法。
3−オクタノンまたはその誘導体を微生物に適用することを特徴とする、抗菌方法。
本明細書において上で定義した以外の用語は、当該分野において通常に認識されている意味に解され、例えば、化学、生化学、医薬、農薬、菌学、微生物学、農林業などの分野の教科書、辞書、論文等に使用されている意味に解される。
実施例1 シイタケ廃菌床から放出される揮発性物質の網羅的GC−MS解析
シイタケ廃菌床、シイタケ菌床、アラゲキクラゲ廃菌床、ナメコ廃菌床、乾燥シイタケ、生シイタケ、シイタケ菌糸体を材料として用いた。
各サンプル1gを容器に密閉し、ウォーターバスで60℃、10分間加熱して揮発処理を行った。揮発した気体をGC−MS分析した。
その結果、シイタケ廃菌床から3−オクタノンが特異的に検出された(図2)。3−オクタノンは生シイタケ、シイタケ菌糸体および乾燥シイタケからも検出された。3−オクタノンは、シイタケ菌床、アカキクラゲ廃菌床、ナメコ廃菌床からは検出されなかった。
実施例2 3−オクタノン処理によるキャベツ黒すす病に対する病害抑制効果
3−オクタノン原液300μLを濾紙にアプライし、すべて密閉ポリ容器内(15L)に揮発したと仮定した場合の気中濃度が15ppmとなるように処理した。3−オクタノンをアプライした濾紙およびキャベツ黒すす病菌接種苗を密閉ポリ容器(15L)に入れ、接種2〜3日後に葉の病斑数を計測し、単位面積当たりの病斑数を算出した。結果を図3に示す。3−オクタノン処理により、キャベツ黒すす病の発病がほぼ完全に抑制された。
実施例3 3−オクタノン処理によるトマト灰色かび病に対する病害抑制効果
3−オクタノン原液100μLを濾紙にアプライし、すべて密閉ポリ容器内(15L)に揮発したと仮定した場合の気中濃度が5ppmとなるように処理した。3−オクタノンをアプライした濾紙およびトマト灰色かび病菌接種苗を密閉ポリ容器(15L)に入れ、接種5日後に発病程度を観察し、発病度を算出した。結果を図4に示す。3−オクタノン処理により、トマト灰色かび病の発病が約50%抑制された。
実施例4 3−オクタノン処理によるキャベツ黒すす病菌に対する抗菌活性
ヘキサンで希釈した3−オクタノン1mLを濾紙にアプライし、すべてシャーレ内(100mL)に揮発したと仮定した場合の気中濃度が1、5、10、50ppmとなるように処理した。胞子懸濁液はスライドガラス上に50μLずつ3カ所にアプライした。3−オクタノンをアプライした濾紙をシャーレ底面に固定し、キャベツ黒すす病菌胞子懸濁液をアプライしたスライドガラスをシャーレ蓋に固定した。濾紙が上になるようにして1日置いた後、胞子発芽率および胞子発芽管の長さを測定した。結果を図5に示す。10ppmおよび50ppmの3−オクタノンで胞子発芽が抑制され、すべての濃度のオクタノンで胞子発芽管伸長が抑制された。50ppmの3−オクタノンで胞子発芽および胞子発芽管伸長が大幅に抑制された。
実施例5 3−オクタノン処理によるトマト灰色かび病菌に対する抗菌活性
ヘキサンで希釈した3−オクタノン1mLを濾紙にアプライし、すべてシャーレ内(100mL)に揮発したと仮定した場合の気中濃度が1、5、10、50ppmとなるように処理した。胞子懸濁液はスライドガラス上に50μLずつ3カ所にアプライした。3−オクタノンをアプライした濾紙をシャーレ底面に固定し、トマト灰色かび病菌胞子懸濁液をアプライしたスライドガラスをシャーレ蓋に固定した。濾紙が上になるようにして1日置いた後、胞子発芽率および胞子発芽管の長さを測定した。結果を図6に示す。50ppmの3−オクタノンで胞子発芽および胞子発芽管伸長が大幅に抑制された。
実施例6 1−オクテン−3−オール処理によるトマト灰色かび病菌に対する抗菌活性
ヘキサンで希釈した1−オクテン−3−オール1mLを濾紙にアプライし、すべてシャーレ内(100mL)に揮発したと仮定した場合の気中濃度が1、5、10、50ppmとなるように処理した。胞子懸濁液はスライドガラス上に50μLずつ3カ所にアプライした。1−オクテン−3−オールをアプライした濾紙をシャーレ底面に固定し、トマト灰色かび病菌胞子懸濁液をアプライしたスライドガラスをシャーレ蓋に固定した。濾紙が上になるようにして1日置いた後、胞子発芽率および胞子発芽管の長さを測定した。結果を図7に示す。50ppmの1−オクテン−3−オールで胞子発芽が抑制された。また、全ての濃度の1−オクテン−3−オールで胞子発芽管伸長が抑制された。50ppmの1−オクテン−3−オールで胞子発芽および胞子発芽管伸長が大幅に抑制されることが明らかとなった。
実施例7 1−オクテン−3−オール処理によるキュウリ炭疽病菌に対する抗菌活性
ヘキサンで希釈した1−オクテン−3−オール1mLを濾紙にアプライし、すべてシャーレ内(100mL)に揮発したと仮定した場合の気中濃度が1、5、10、50ppmとなるように処理した。胞子懸濁液はスライドガラス上に50μLずつ3カ所にアプライした。1−オクテン−3−オールをアプライした濾紙をシャーレ底面に固定し、キュウリ炭疽病菌胞子懸濁液をアプライしたスライドガラスをシャーレ蓋に固定した。濾紙が上になるようにして1日置いた後、胞子発芽率および胞子発芽管の長さを測定した。結果を図8に示す。全ての濃度の1−オクテン−3−オールで胞子発芽および胞子発芽管伸長が抑制された。なお、50ppmの1−オクテン−3−オールで胞子発芽および胞子発芽管伸長が大幅に抑制されることが明らかとなった。
実施例8 3−オクタノン処理によるAspergillus nigerに対する抗菌活性
ヘキサンで希釈した3−オクタノン1mLを濾紙にアプライし、すべてシャーレ内(100mL)に揮発したと仮定した場合の気中濃度が40、81、420ppmとなるように処理した。胞子懸濁液はスライドガラス上に50μLずつ3カ所にアプライした。3−オクタノンをアプライした濾紙をシャーレ底面に固定し、Aspergillus niger胞子懸濁液をアプライしたスライドガラスをシャーレ蓋に固定した。濾紙が上になるようにして1日置いた後、胞子発芽率を測定した。結果を図9に示す。420ppmの3−オクタノンで胞子発芽が大幅に抑制された。
本発明は、農林業、園芸、農薬、日用品、医薬品など、様々な分野において利用可能である。

Claims (4)

  1. 3−オクタノンまたはその誘導体を含む抗菌剤。
  2. 植物病害防除資材である請求項1記載の抗菌剤。
  3. 3−オクタノンを含む請求項1または2記載の抗菌剤。
  4. 1−オクテン−3−オールを含む請求項1または2記載の抗菌剤。
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