JP2021118283A - シリコン試料の酸素濃度評価方法 - Google Patents

シリコン試料の酸素濃度評価方法 Download PDF

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Abstract

【課題】シリコンウェーハ中の酸素濃度が0.5ppma以下である場合に酸素濃度を高感度で評価する方法を提供することを目的とする。【解決手段】酸素濃度が0.5ppma以下のシリコン試料中の酸素濃度を評価する方法であって、前記シリコン試料に電子線又は酸素以外のイオンビームを照射して前記シリコン試料中に空孔を含んだ欠陥を形成し、前記空孔を含んだ欠陥の準位密度をDLTS法にて測定し、前記空孔を含んだ欠陥の準位密度に基づいて前記シリコン試料中の酸素濃度を評価するシリコン試料の酸素濃度評価方法。【選択図】図1

Description

本発明は、シリコン試料の酸素濃度評価方法に関する。
パワーデバイス、CIS(CMOSイメージセンサー)用基板として用いられるシリコンウェーハでは、高ライフタイム化の要求があり、ライフタイム低下を避けるために低酸素化が求められている。例えば、パワーデバイスではチョクラルスキー(CZ)法より低酸素化が可能なフローティングゾーン(FZ)法により製造されたFZシリコンウェーハがよく用いられている。また、CIS用基板ではCZ法により育成されたCZシリコンウェーハ上に、低酸素であるエピタキシャル層を堆積させたエピタキシャルウェーハがよく用いられている。このような低酸素ウェーハの酸素濃度を正確に測定することは非常に重要である。
従来の酸素濃度測定方法として、FT−IR法(フーリエ変換赤外分光法)とSIMS法(二次イオン質量分析法)があるが、これらの方法は酸素濃度が一定の値を下回ると検出感度が悪くなる。その検出下限値は、FT−IR法では0.07(ppma−JEITA)、SIMS法では0.02(ppma)である。
ここで、シリコンウェーハ中の不純物濃度を高感度に測定する方法として、DLTS法(過渡容量分光法)がある。例えば、特許文献1にはシリコンウェーハに電子線照射で形成した伝導帯の下端の準位をEcとして、Ec−0.42eVの準位密度をDLTS法にて検出し、この準位密度を指標とした炭素濃度測定方法が開示されている。
特開2018−139242号公報
P.Pellegrino et al, Physical Review B, Vol 64, 195211
前述したように、シリコンウェーハ中の酸素濃度測定方法としてFT−IR法とSIMS法があるが、測定するシリコン試料中の酸素濃度が、FT−IR法で0.07(ppma−JEITA)、SIMS法で0.02(ppma)が限界であり、低酸素濃度で検出感度が悪くなる。そのため、FT−IR法、SIMS法における下限値以下の酸素濃度を感度よく評価する方法が検討されてきた。また、特許文献1には電子線照射で形成された不純物準位をDLTS法にて検出し、この準位密度を指標とした炭素濃度測定方法は開示されているが、酸素濃度測定方法は開示されていない。
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、シリコンウェーハ中の酸素濃度が低酸素濃度である0.5ppma以下、特にはFT−IR法やSIMS法における検出下限値以下である場合に酸素濃度を高感度で評価する方法を提供することを目的とする。
本発明は、上記目的を達成するためになされたものであり、酸素濃度が0.5ppma以下のシリコン試料中の酸素濃度を評価する方法であって、前記シリコン試料に電子線又は酸素以外のイオンビームを照射して前記シリコン試料中に空孔を含んだ欠陥を形成し、前記空孔を含んだ欠陥の準位密度をDLTS法にて測定し、前記空孔を含んだ欠陥の準位密度に基づいて前記シリコン試料中の酸素濃度を評価するシリコン試料の酸素濃度評価方法を提供する。
このようなシリコン試料の酸素濃度評価方法によれば、シリコンウェーハ中の酸素濃度が0.5ppma以下、特には0.02ppma以下である場合に酸素濃度を高感度で評価する方法を提供することができる。
このとき、酸素濃度が既知のシリコン試料を予め用意し、前記酸素濃度が既知のシリコン試料に電子線又は酸素以外のイオンビームを照射して前記酸素濃度が既知のシリコン試料中に空孔を含んだ欠陥を形成し、前記空孔を含んだ欠陥の準位密度をDLTS法にて測定し、測定した前記準位密度と前記酸素濃度が既知のシリコン試料の前記酸素濃度との検量線を作成し、前記検量線に基づいてシリコン試料中の酸素濃度を評価することが好ましい。
このように検量線を作成することで、シリコン試料中の酸素の絶対濃度を算出することができる。
このとき、前記酸素濃度が既知のシリコン試料の酸素濃度は、SIMS法もしくはFT−IR法で求めた酸素濃度であることが好ましい。
このように、SIMS法もしくはFT−IR法は、シリコン試料の酸素濃度が検出下限値以上であれば精度よく酸素濃度を測定することができるため、検量線を作成するのに適している。
このとき、前記空孔を含んだ欠陥の準位密度は、伝導帯の下端の準位をEcとして、Ec−0.17eVの密度であることが好ましい。
このような準位を指標とすることで、シリコン試料中の酸素濃度をより精度よく評価することができる。
このとき、前記空孔を含んだ欠陥の準位密度は、伝導帯の下端の準位をEcとして、Ec−0.42eVの密度であることが好ましい。
このような準位を指標とすることで、酸素濃度が特に低いシリコン試料中の酸素濃度をより精度よく評価することができる。
このとき、前記空孔を含んだ欠陥の準位密度は、伝導帯の下端の準位をEcとして、DLTS法にてEc−0.17eVの準位密度の深さ分布を測定し、前記Ec−0.17eVの準位密度の深さ分布からシリコン試料の酸素濃度の深さ分布を評価することが好ましい。
このようにすれば、シリコン試料の表層数μmの酸素濃度の深さ分布を取得することができる。
このとき、酸素濃度が既知のシリコン試料の準位密度を測定し、測定した前記準位密度と前記酸素濃度が既知のシリコン試料の前記酸素濃度との検量線を作成し、前記検量線に基づいて前記酸素濃度の深さ分布を評価することが好ましい。
このように検量線を作成することで、シリコン試料の表層数μmの酸素濃度の深さ分布を算出することができる。
以上のように、本発明のシリコン試料の酸素濃度評価方法によれば、0.5ppma以下、特にはFT−IR法やSIMS法における検出下限値以下の低い酸素濃度を高感度に評価することができる。そのため、シリコン試料のバルクだけでなく、表層の酸素濃度も評価することができる。また、検量線を作成することで、シリコン試料中の酸素の絶対濃度を算出することができる。
本発明のシリコン試料の酸素濃度評価方法の一例を示した図である。 酸素濃度が13.5ppmaと0.042ppmaのシリコン試料にそれぞれ電子線を照射した後のDLTSスペクトルを示した図である。 SIMS法により測定した酸素濃度と本発明のEc−0.17eV、Ec−0.42eVの準位密度との関係を示した図である。 SIMS法により測定した酸素濃度の深さ分布と、本発明のEc−0.17eVの準位密度の深さ分布を検量線を用いて換算した酸素濃度の深さ分布とを示した図である。 実施例2のEc−0.17eVの準位密度の深さ分布から算出した酸素濃度の深さ分布と、比較例3のSIMS法により測定した酸素濃度の深さ分布とを示した図である。
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
上述のように、0.5ppma以下、特にはFT−IR法やSIMS法における検出下限値以下の低い酸素濃度を高感度に評価することができる方法が求められていた。
本発明者は、電子線などの粒子線で形成される不純物準位が、シリコン試料中に存在する不純物(例えば酸素や炭素)に強く依存することに着想を得た。すなわち、シリコン試料中の酸素濃度に依存して密度が変化する不純物準位が存在すると考え、粒子線で形成される不純物準位密度と酸素濃度との関係を鋭意検討した。
その結果、本発明者は、DLTS法を用いて測定されるシリコンのバンドギャップ内の不純物準位の中で、酸素濃度が高いほど準位密度が高くなる空孔を含んだ不純物準位と、酸素濃度が高いほど準位密度が低くなる空孔を含んだ不純物準位が存在することを見出した。
本発明者は、以上を踏まえて上記課題について鋭意検討を重ねた結果、酸素濃度が0.5ppma以下のシリコン試料中の酸素濃度を評価する方法であって、前記シリコン試料に電子線又は酸素以外のイオンビームを照射して前記シリコン試料中に空孔を含んだ欠陥を形成し、前記空孔を含んだ欠陥の準位密度をDLTS法にて測定し、前記空孔を含んだ欠陥の準位密度に基づいて前記シリコン試料中の酸素濃度を評価するシリコン試料の酸素濃度評価方法により、シリコンウェーハ中の酸素濃度が0.5ppma以下、特にはFT−IR法やSIMS法における検出下限値以下である場合に酸素濃度を高感度で評価する方法を提供することができることを見出し、本発明を完成した。
以下、図面を参照して説明する。
図1は本発明のシリコン試料の酸素濃度評価方法の一例を示した図である。
図1のS1のように、酸素濃度を評価したいシリコン試料を用意する。例えば、シリコン単結晶インゴットから切り出されたシリコン試料であれば、形状に制限はなく、大きさが数cmのシリコンチップでも構わない。具体的にはポリッシュドウェーハやエピタキシャルウェーハ、アニールウェーハ等が挙げられる。
次に、S2のように、酸素濃度を評価したいシリコン試料に電子線又は酸素以外のイオンビームを照射する。これにより、シリコン試料中に酸素と相関がある空孔を含んだ欠陥を形成することができる。電子線照射量は、例えば、5.0×1013〜5.0×1015(electrons/cm)の範囲、イオンビームのドーズ量は、例えば、1.0×1011〜1.0×1013(atoms/cm)の範囲とすることができる。電子線照射量、イオンビームドーズ量ともにこの範囲内にすることで、照射量、ドーズ量が少な過ぎて目的の不純物準位が形成されない等の問題をより有効に防ぐことができる。また、照射量、ドーズ量が多過ぎてシリコン格子が乱れ、結晶性が低下し、目的の不純物準位が検出できなくなることをより有効に防ぐことができる。尚、酸素のイオンビームでは、照射される酸素イオンが不純物準位の形成に影響を与えてしまい、評価するシリコン試料中の酸素濃度に影響が生じるため、酸素以外のイオンビームを用いる必要がある。
次にS3のように、DLTS法を用いて空孔を含んだ欠陥の準位密度を測定する。ここで、本発明を見出した経緯について説明する。特に、電子線もしくはイオンビームの照射により形成された、空孔を含んだ欠陥の準位密度の測定方法とこれを測定する理由について、以下に詳述する。
まず、本発明で用いたDLTS法について説明する。DLTS法は、通常、ショットキー接合を形成する金属電極をウェーハ表面に形成し、裏面にはオーミック接合を持つ金属電極を形成する。2つの電極間に逆バイアスを印加し、生じた空乏層内の静電容量変化の温度依存性を取得すると、不純物が形成するエネルギー準位に応じた温度で静電容量変化がピークを形成する。そのピーク位置の静電容量変化から不純物準位密度を算出できる。
続いて、電子線もしくはイオンビームの照射により形成される、空孔を含んだ不純物準位について説明する。シリコン試料にイオン注入や電子線照射処理を行うと、格子位置のシリコンが弾き出され、空孔と格子間シリコンが生成する。その中でも特に空孔を含んだ不純物準位が形成されることが知られている。例えば、非特許文献1では、Ec−0.17eVと空孔酸素複合体の不純物準位、Ec−0.42eVと空孔空孔複合体か空孔リン複合体、もしくはこの両者の準位が混在している不純物準位、Ec−0.32eVと空孔酸素水素複合体の不純物準位等、特定の準位と不純物や空孔に関する報告例がある。
一例として、図2は、酸素濃度が13.5ppmaのシリコン試料と、0.042ppmaのシリコン試料に電子線を照射した後のDLTSスペクトルを示した図である。酸素濃度はSIMS法で測定し、電子線は加速電圧2(MV)、照射量2.5×1014(electrons/cm)で照射処理した。
Ec−0.17eVの準位密度は、酸素濃度13.5ppmaの試料の方が高く、逆にEc−0.42eVの準位密度は酸素濃度0.042ppmaの方が高いことが分かる。Ec−0.17eVの準位は空孔酸素複合体に関連する準位であり、酸素が関与した不純物準位である。したがって、酸素濃度が高い13.5ppmaの試料の方がEc−0.17eVの準位は形成されやすく、その結果Ec−0.17eVの準位密度が高くなっている。
Ec−0.42eVの準位は、空孔空孔複合体か空孔リン複合体、もしくはこの両者の準位が混在している準位であると言われており、酸素が関与しない不純物準位である。酸素濃度が低いと、Ec−0.17eVの準位が形成されにくくなり、その結果、酸素が関与しないEc−0.42eVの準位が形成されやすくなる。以上の理由により、酸素濃度が低い0.042ppmaの試料の方が、Ec−0.42eVの準位密度が高くなっている。
このように、電子線照射で発生する空孔を含んだ欠陥の不純物準位は、シリコン試料中の酸素濃度を反映する。したがって、S4のように、測定した不純物準位を指標とすることでシリコン試料中の酸素濃度を評価できる。ただし、照射量が多いほど電子線照射で発生する不純物準位密度は高くなるため、酸素濃度を評価する際には、同一の照射量でこれら不純物準位密度を評価する必要がある。
尚、図2にはその他の不純物準位としてEc−0.32eVの準位も検出されている。Ec−0.32eVは空孔酸素水素複合体に関する不純物準位であり、酸素が関与した不純物準位ではあるため指標とすることはできるが、Ec−0.17eVやEc−0.42eVの準位と比較すると準位密度が低い。さらに、発明者が複数のシリコン試料で調査したところ、どの水準でもEc−0.17eVの準位の方がEc−0.32eVの準位よりピークが鋭く、準位密度が高かった。そのため、酸素が関与した不純物準位の指標には、Ec−0.17eVの準位を用いるのが好ましい。
続いて、本発明で評価可能な酸素濃度の範囲を説明する。図3は、SIMS法により測定した酸素濃度と本発明に係るEc−0.17eV、Ec−0.42eVの準位密度との関係を示した図である。Ec−0.17eV、Ec−0.42eVの準位密度について、加速電圧2(MV)、照射量2.5×1014(electrons/cm)で電子線照射処理した後の酸素濃度が異なるシリコン試料をDLTS法により測定を行った。SIMS法で測定した酸素濃度が0.024ppmaから0.36ppmaの範囲では、酸素濃度が高いほど、Ec−0.17eVの準位密度は高くなり、逆にEc−0.42eVの準位密度は低くなる傾向を示した。対して、SIMS法で測定した酸素濃度が0.6ppma以上の範囲では、Ec−0.17eV、Ec−0.42eVのどちらの準位密度も酸素濃度に依存せず、ほぼ一定の準位密度であった。これは、SIMS法で測定した酸素濃度が0.6ppma以上の範囲では、試料中の酸素が過剰過ぎて、電子線により発生した空孔の大半がEc−0.17eVの準位の形成に消費され、DLTS法による測定ではEc−0.17eVの準位密度を有意差として検出できないことがその理由であると考えられる。以上より、本発明の酸素濃度の測定範囲は、0.5ppma以下とする必要があることが分かる。一方、SIMS法で限界だった0.02ppma以下であっても、本発明の検量線を外挿することでより低酸素のものでも測定可能であることが分かる。
次にS4工程での不純物準位を指標とした酸素濃度評価方法を説明する。Ec−0.17eVの準位を指標とする場合は、準位密度が低いほど低酸素濃度と判断できる。また、Ec−0.42eVの準位を指標とする場合は、準位密度が高いほど、低酸素濃度と判断できる。したがって、後述する検量線を用いなくとも、複数水準のサンプル間の酸素濃度の大小関係は評価することができる。
以上のように本発明によれば、シリコンウェーハ中の酸素濃度が0.5ppma以下の低酸素である場合に酸素濃度を高感度で評価することができる。
DLTS法で検出される不純物準位密度と、従来法のSIMS法やFT−IR法の酸素濃度と比較することはできないが、検量線を作成することで、絶対濃度を算出することができる。検量線を作成するために、酸素濃度が既知のシリコン試料を予め用意する。この酸素濃度が既知のシリコン試料の酸素濃度は、SIMS法やFT−IR法にて測定されることが好ましい。この酸素濃度が既知のシリコン試料の酸素濃度と、酸素濃度が0.5ppma以下の範囲でEc−0.17eVやEc−0.42eVの準位密度から検量線を作成する。この検量線を用いることで、DLTS法にて測定した準位密度をSIMS法やFT−IR法で得られる酸素濃度に換算することができる。
図3には、Ec−0.17eVおよびEc−0.42eVの準位密度とSIMS法で得られた0.5ppma以下の酸素濃度との検量線を示している。どちらの準位も相関係数Rが高いことが分かる。Ec−0.17eVの準位の方がEc−0.42eVの準位よりRの値が高く、Ec−0.17eVは酸素が関与する不純物準位であることから、本発明の酸素濃度評価に用いる空孔を含んだ欠陥の準位密度の第1の指標としては、Ec−0.17eVの準位であることが最も望ましい。Ec−0.17eVの準位が検出されなかった場合などは、第2の指標としてEc−0.42eVの準位を用いることもできる。
Ec−0.17eVは空孔酸素複合体の準位であることから、0.5ppma以下の範囲であれば、酸素濃度が高いほど準位密度が高くなり、酸素濃度と正の相関が認められる。したがって、この準位を指標とすることで酸素濃度を評価できる。尚、伝導帯の下端の準位をEcとする。
Ec−0.42eVは空孔空孔複合体か空孔リン複合体、もしくはこの両者が混在した準位であると言われており、酸素が関与した不純物準位ではない。しかし、酸素濃度が低いほどこの準位密度が高くなるため、指標として用いることができる。これは、酸素濃度が低いほど、上述した酸素が関与したEc−0.17eVの準位が形成されにくく、逆に酸素が関与しないEc−0.42eVの準位が形成されやすいためである。
ところで、DLTS法の測定深さは空乏層幅に依存し、逆方向電圧により制御することができる。上述した通常のDLTS法では、逆方向電圧を固定し、温度掃引で静電容量を測定することで様々な不純物準位を測定できる。一方、準位(即ち測定温度)を固定し、逆方向電圧を変えながら測定することで、空乏層内の準位密度の深さ分布を取得することもできる。したがって、前記Ec−0.17eVの準位密度の深さ分布を取得し、指標とすることでシリコン試料中の酸素濃度の深さ分布を評価することもできる。
さらに、検量線を用いることで、DLTS法にて測定したEc−0.17eVの準位密度の深さ分布と従来法のFT−IR法やSIMS法の酸素濃度の深さ分布とを比較でき、シリコン試料中の酸素の絶対濃度の深さ分布を算出できる。図4にはエピタキシャルウェーハをSIMS法により測定した酸素濃度の深さ分布と、本発明に係るEc−0.17eVの準位密度の深さ分布を検量線を用いて換算した酸素濃度の深さ分布とを示している。Ec−0.17eVの準位密度の深さ分布から換算した酸素濃度の深さ分布と、SIMS法で得られた酸素濃度の深さ分布とがほぼ一致していることが分かる。このように、DLTS法では表層数μmの酸素濃度の深さ分布を取得することもできる。
尚、Ec−0.42eVは酸素を含まない不純物に関する準位であるため、深さ分布測定には適用することができない。
以上のように、電子線もしくは酸素以外のイオンビームを照射して発生させた空孔を含んだ欠陥の準位密度をEc−0.17eV及びEc−0.42eVの準位密度として指標とすることで、シリコン試料中の酸素濃度を高感度に測定することができる。
以下、実施例を挙げて本発明について詳細に説明するが、これは本発明を限定するものではない。
(比較例1)
CZ法もしくはFZ法で引き上げた、酸素濃度がそれぞれ異なるn型のシリコン試料を4水準用意した。試料1〜3がFZ法、試料4がCZ法により育成されたシリコンウェーハである。用意したシリコン試料の酸素濃度をSIMS法にて測定した。その結果を表1に示す。
Figure 2021118283
表1に示すように、酸素濃度は(低)試料1<試料2<試料3<試料4(高)となった。比較例1の酸素濃度は、試料1はSIMS法の検出下限値0.02ppma以下であったため検出できず、試料2が0.025ppma、試料3が0.21ppma、試料4が3.2ppmaであった。次に、上記試料1〜4を用いて本発明の評価方法について検証を行った(実施例1、比較例2)。
(実施例1)
実施例1として比較例1の試料1から3と同水準のシリコン試料を用意した。次に、加速電圧2(MV)、照射量2.5×1014(electrons/cm)で電子線照射処理した後、フッ酸にてシリコン試料表面の酸化膜を除去した。試料の表面にはショットキー電極として金を蒸着し、裏面にはオーミック電極としてガリウムを刷り込んだ。そして、DLTS法にて試料のEc−0.17eVとEc−0.42eVの準位密度を評価した。また、予め作成しておいた図3の検量線を用いて、準位密度を酸素濃度に換算した。その結果を表2に示す。
Figure 2021118283
表2に示すように、酸素濃度は(低)試料1<試料2<試料3(高)となった。Ec−0.17eVとEc−0.42eVのどちらの準位密度から換算した酸素濃度も同等の酸素濃度であった。ただ、上述したように第1の指標としてより好ましいのはEc−0.17eVの準位であることから、実施例1の酸素濃度はEc−0.17eVの準位密度から算出したものを採用する。この場合、実施例1の酸素濃度は、それぞれの試料の準位密度から、試料1が0.011ppma、試料2が0.024ppma、試料3が0.23ppmaとなる。
試料2、3では、実施例1と比較例1の酸素濃度が同等であることから本発明の妥当性が示された。
実施例1より、本発明では試料1の酸素濃度は0.011ppmaと求まっていることから、従来法のSIMS法では検出できない微量の酸素を本発明に係る手法を用いることで評価可能であることが分かる。
(比較例2)
続いて、比較例2として比較例1の試料4と同水準のシリコン試料を用意し、シリコン試料の処理を実施例1と同様に行った。そして、DLTS法にて試料のEc−0.17eVとEc−0.42eVの準位密度を評価した。また、予め作成しておいた図3の検量線を用いて、準位密度を酸素濃度に換算した。その結果を表2に示す。
比較例2の試料4の酸素濃度を見ると、比較例1と比較例2で大きな乖離が見られた。
SIMS法にて測定した酸素濃度が3.2ppmaであることから、試料4の酸素濃度が本発明の適用範囲外であるためこのような結果が得られた。
(実施例2)
Ec−0.17eVの酸素濃度分布を検証するため、試料としてシリコンエピタキシャルウェーハを用意し、実施例1と同様の電子線照射処理を施した。DLTS法にてEc−0.17eVの準位密度の深さ分布を測定し、実施例1と同じ図3の検量線で酸素濃度の深さ分布へ換算した。その結果を図5に示す。図5によると、試料の表面側で酸素濃度が低くなる分布が得られたことが分かる。これは、試料がエピタキシャル成長する時の酸素の外方拡散挙動を反映しているためと考えられる。
(比較例3)
続いて、実施例2の結果を検証するため、実施例2と同じ水準のエピタキシャルウェーハを試料としてSIMS法で評価した。その結果を図5に示す。図5によると、試料のバルク側で酸素濃度が高く、表面側で低い傾向があることが分かる。特に表面から5μmまでの領域はSIMS法の検出下限値以下の酸素濃度であり、酸素濃度を正確に測定することができなかった。
ここで、両者を比較すると、酸素濃度に乖離があるようにも見えるが、これはSIMS法の装置由来のバックグラウンドが上乗せされているからである。表面から5μmまでは、このバックグラウンドが支配的で、酸素濃度は0.02ppmaでほぼ一定値となっている。そこでこの影響を除外するため、バックグラウンド分の0.02ppmaを元のプロファイルから引いたところ、特に表面から4〜5μmの領域で、実施例2の酸素濃度の深さ分布と類似していた。
SIMS法では、表面から2〜4μmの領域において酸素濃度は検出下限値以下であるため、酸素濃度の深さ分布を正確に測定できていないが、本発明では、表面から2〜4μmの領域で酸素濃度が減少する挙動を捉えることができている。このように、DLTS法では表層数μmの準位密度の深さ分布を測定できるので、検量線を用いることで表層数μmの酸素濃度の深さ分布を取得することもできることが分かる。
以上より、本発明の酸素濃度評価方法によれば、従来法のSIMS法では検出できない微量の酸素濃度を評価できることが示された。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。

Claims (7)

  1. 酸素濃度が0.5ppma以下のシリコン試料中の酸素濃度を評価する方法であって、
    前記シリコン試料に電子線又は酸素以外のイオンビームを照射して前記シリコン試料中に空孔を含んだ欠陥を形成し、前記空孔を含んだ欠陥の準位密度をDLTS法にて測定し、前記空孔を含んだ欠陥の準位密度に基づいて前記シリコン試料中の酸素濃度を評価することを特徴とするシリコン試料の酸素濃度評価方法。
  2. 酸素濃度が既知のシリコン試料を予め用意し、前記酸素濃度が既知のシリコン試料に電子線又は酸素以外のイオンビームを照射して前記酸素濃度が既知のシリコン試料中に空孔を含んだ欠陥を形成し、前記空孔を含んだ欠陥の準位密度をDLTS法にて測定し、測定した前記準位密度と前記酸素濃度が既知のシリコン試料の前記酸素濃度との検量線を作成し、前記検量線に基づいてシリコン試料中の酸素濃度を評価することを特徴とする請求項1に記載のシリコン試料の酸素濃度評価方法。
  3. 前記酸素濃度が既知のシリコン試料の酸素濃度は、SIMS法もしくはFT−IR法で求めた酸素濃度であることを特徴とする請求項2に記載のシリコン試料の酸素濃度評価方法。
  4. 前記空孔を含んだ欠陥の準位密度は、伝導帯の下端の準位をEcとして、Ec−0.17eVの密度であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のシリコン試料の酸素濃度評価方法。
  5. 前記空孔を含んだ欠陥の準位密度は、伝導帯の下端の準位をEcとして、Ec−0.42eVの密度であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のシリコン試料の酸素濃度評価方法。
  6. 前記空孔を含んだ欠陥の準位密度は、伝導帯の下端の準位をEcとして、DLTS法にてEc−0.17eVの準位密度の深さ分布を測定し、前記Ec−0.17eVの準位密度の深さ分布からシリコン試料の酸素濃度の深さ分布を評価することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のシリコン試料の酸素濃度評価方法。
  7. 酸素濃度が既知のシリコン試料の準位密度を測定し、測定した前記準位密度と前記酸素濃度が既知のシリコン試料の前記酸素濃度との検量線を作成し、前記検量線に基づいて前記酸素濃度の深さ分布を評価することを特徴とする請求項6に記載のシリコン試料の酸素濃度評価方法。
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