JP2021118196A - 電磁波遮蔽材、及びその製造方法 - Google Patents

電磁波遮蔽材、及びその製造方法 Download PDF

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Hirotomo Katano
博友 片野
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嗣夫 渡邊
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Masaru Ueno
大 上野
隆史 上田
Takashi Ueda
隆史 上田
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Abstract

【課題】狭帯域の共振周波数を有する電磁波遮蔽材であって、容易に共振周波数を変更することができ、特定の周波数の電磁波を選択的且つ精度良く遮蔽することができる、電磁波遮蔽材を提供する。【解決手段】本発明の選択的電磁波遮蔽材は、周波数x(GHz)の電磁波を選択的に遮蔽する電磁波遮蔽材であって、比誘電率εrの基材表面に、閉ループからなり、下記式(1)を満たす全周L(mm)を有する導電パターンの複数個が互いに接することなく配置されてなる。【数1】【選択図】図1

Description

本発明は、電磁波遮蔽材及びその製造方法に関する。
近年、無線LANを搭載した携帯端末の利用が増大している。無線LANを搭載した携帯端末は、利便性に優れるが、盗聴や不正アクセス等のセキュリティ上のリスクを有する。また、無線LANから発生する電磁波が人体に悪影響を与える問題や、周囲の電子機器を誤動作させる問題も生じている。
セキュリティ上のリスクを回避するため、無線LANの電磁波が建物の壁を透過するのを遮蔽することが求められている。さらに、無線LANを使用したデータ通信の電波は遮蔽しても、携帯電話の電波は遮蔽しないなど、特定の周波数帯の電波を選択的に遮蔽することが求められている。
特許文献1には、低誘電体からなる基板上に、正三角形の配線パターンが、正位置と逆位置に交互に配置された電磁波遮蔽材が記載されている。そして、前記正三角形の全周の長さを、遮蔽すべき特定の周波数の電磁波の波長に等しく形成することが記載されている。
また、特許文献2には、配線パターン(例えば、逆Y字形や十字形など)が、固体誘電体からなる基材層の両面に、前記基材層の面に対して垂直な方向から視て略重なる位置に配置された構成の、電磁波遮蔽材が記載されている。
特開2000−68675号公報 特開2008−252046号公報
特許文献1に記載の電磁波遮蔽材は、電磁波の波長と、正三角形の全周の長さを等しくすることにより、前記波長を有する特定の周波数の電磁波を選択的に遮蔽する方法であるが、基材の比誘電率は考慮していない。そして、基材の材料によって比誘電率は変動するため、基材の変更により、共振周波数は当然に変動するが、前記電磁波遮蔽材は、共振周波数が狭帯域であるので、許容誤差範囲が非常に狭く、共振周波数が設定値から少しでもずれると、遮蔽効果が著しく低下することが問題であった。
また、特許文献2に記載の電磁波遮蔽材では、前記電磁波遮蔽材は、広帯域の共振周波数を有するので、パターン形状や寸法、基材の厚み等にある程度の誤差を含んでいても、所定周波数での電磁波遮蔽効果を得ることができるが、特定の周波数のみを選択的に遮蔽することは困難であった。また、利用者の要望に応じて、共振周波数を適宜変更するには、基材層の厚み変更が必要であるが、これに伴い装置の設定変更が生じる等によりコストが嵩み、小ロットでの対応は困難であった。
従って、本発明の目的は、狭帯域の共振周波数を有する電磁波遮蔽材であって、容易に共振周波数を変更することができ、特定の周波数の電磁波を選択的且つ精度良く遮蔽することができる、電磁波遮蔽材を提供することにある。
本発明の他の目的は、遮蔽したい電磁波の周波数に応じて、特定の共振周波数を有する電磁波遮蔽材を容易に作り分けることができる、電磁波遮蔽材の製造方法を提供することにある。
本発明者等は上記課題を解決するため鋭意検討した結果、比誘電率εrの基材表面に、閉ループからなり、下記式(1)を満たす全周L(mm)を有する導電パターンの複数個を、互いに接することなく配置して得られる成形体は、周波数x(GHz)の電磁波を選択的に、且つ精度良く遮蔽することができること、及び、導電パターンの全周Lを変更するだけで、容易に遮蔽できる電磁波の周波数を変更することができることを見いだした。本発明はこれらの知見に基づいて完成させたものである。
すなわち、本発明は、周波数x(GHz)の電磁波を選択的に遮蔽する電磁波遮蔽材であって、比誘電率εrの基材表面に、閉ループからなり、下記式(1)を満たす全周L(mm)を有する導電パターンの複数個が互いに接することなく配置されてなる、選択的電磁波遮蔽材を提供する。
Figure 2021118196
本発明は、また、前記導電パターンの複数個が縦横に均等配置され、隣接する2個の導電パターンの重心間距離は、前記隣接する2個の導電パターンの間隙距離が0となる距離を超え、且つ前記隣接する2個の導電パターンを、当該導電パターンの閉ループ内面積が4倍になるように拡大した場合に、拡大された導電パターンの間隙距離が0となる距離の範囲内である、前記選択的電磁波遮蔽材を提供する。
本発明は、また、導電パターンが円形導電パターンである前記選択的電磁波遮蔽材を提供する。
本発明は、また、導電パターンの線幅が30μm以上である前記選択的電磁波遮蔽材を提供する。
本発明は、また、基材の厚みが0.01〜10mmである前記選択的電磁波遮蔽材を提供する。
本発明は、また、基材が、プラスチック、ゴム、木材、ガラス、セラミックス、紙、又は布製基材である前記選択的電磁波遮蔽材を提供する。
本発明は、また、前記選択的電磁波遮蔽材を含む建築材料を提供する。
本発明は、また、前記選択的電磁波遮蔽材を備えた送受信アンテナを提供する。
本発明は、また、平均一次粒子径が20nm〜100μmの金属粒子を含むインクを用いて、比誘電率εrの基材表面に、閉ループからなり、下記式(1)を満たす全周L(mm)を有するパターンを複数個印字し、その後、印字されたパターンを60℃以上の温度で焼成して、前記選択的電磁波遮蔽材を得る、選択的電磁波遮蔽材の製造方法を提供する。
Figure 2021118196
本発明は、また、複数個のパターンを、比誘電率εrの基材表面に、隣接する2個のパターンの重心間距離が、前記隣接する2個のパターンの間隙距離が0となる距離を超え、且つ前記隣接する2個のパターンを、当該パターンの閉ループ内面積が4倍になるように拡大した場合に、拡大されたパターンの間隙距離が0となる距離の範囲内となるよう、縦横に均等に印字する前記選択的電磁波遮蔽材の製造方法を提供する。
本発明の電磁波遮蔽材は、遮蔽したい電磁波の周波数に応じた全周の閉ループからなる導電パターンが、2個以上、互いに接することなく配置された構成を有するため、前記周波数の電磁波を選択的に、且つ精度良く遮蔽することができる。
また、本発明の電磁波遮蔽材は、導電パターンの全周の長さを変更するだけで、遮蔽できる電磁波の周波数を変更することができるので、遮蔽したい電磁波の周波数に応じた電磁波遮蔽材を、小ロットから、製造することができる。
そして、本発明の電磁波遮蔽材を、例えば、壁材、床材、天井材等の建築材料として使用すれば、無線LANの電磁波が建物の外部へ漏洩するのを遮蔽することができ、セキュリティ上のリスクを回避することが可能となる。また、プライベートなネットワークを構築する手段としてローカル5Gが知られているが、本発明の電磁波遮蔽材はローカル5Gのセキュリティ向上にも有用である。更に、前記電磁波遮蔽材の共振周波数を無線LANの電磁波の周波数に限定すると、携帯電話の電磁波は通過させつつ、無線LANの電磁波を遮蔽することができ、利便性を確保することができる。
本発明の選択的電磁波遮蔽材の一例を示す模式図である。 本発明の選択的電磁波遮蔽材が、基材表面に有する、隣接する2個の導電パターン(直径:r)と、その重心間距離(D)及び間隙距離(h)を示す模式図(1)と、隣接する2個の導電パターンの間隙距離が0となる場合の重心間距離(Dmin)を示す模式図(2)と、隣接する2個の導電パターンの閉ループ内面積を4倍になるように拡大した場合であって、拡大された導電パターン(直径:2r)の間隙距離が0となる場合の重心間距離(Dmax)を示す模式図(3)である。 実施例1〜3で得られたパターン基板の電磁波遮蔽性を示す図である。 実施例4で得られたパターン基板の電磁波遮蔽性を示す図である。 実施例5で得られたパターン基板の電磁波遮蔽性を示す図である。
[選択的電磁波遮蔽材]
本発明の選択的電磁波遮蔽材は、周波数x(GHz)の電磁波を選択的に遮蔽する電磁波遮蔽材である。尚、前記周波数xは、例えば0.1〜300GHz、好ましくは0.5〜200GHz、特に好ましくは1〜100GHzである。本発明の選択的電磁波遮蔽材は、比誘電率εrの基材表面に、閉ループからなり、下記式(1)を満たす全周L(mm)を有する導電パターンの複数個が互いに接することなく配置されてなる。
Figure 2021118196
前記全周L(mm)は、周波数x(GHz)の電磁波の選択性をより向上する効果が得られる点において、下記式(1-1)を満たすことが好ましく、下記式(1-2)を満たすことが特に好ましい。
Figure 2021118196
尚、導電パターンの全周の長さ(L)は、閉ループの外周の長さと内周の長さの平均値である。
閉ループからなる導電パターンのパターン形状としては、例えば、円形、楕円形、多角形(例えば、三角形、四角形、六角形等)、台形、星形、ハート型等が挙げられる。なかでも、周波数x(GHz)の電磁波を選択的に且つ精度良く遮蔽できる点で、円形が好ましい。
導電パターンの線幅は、例えば30μm以上(例えば30〜500μm)であり、なかでも30〜400μmであることが、視界の邪魔にならず、周囲との調和を損なわない点で好ましい。
導電パターンの配置方法としては、特に制限がないが、なかでも、より高精度の遮蔽効果が得られる点において、同じ形状の導電パターンの複数個を均等に配置することが好ましく、特に、縦横に均等に配置することが好ましい。
隣接する2個の導電パターンの距離は、近すぎて導電パターン同士が接すると周波数x(GHz)の電磁波を選択的に遮蔽することが困難となる。一方、前記距離が開きすぎると、周波数x(GHz)の電磁波を精度良く遮蔽することが困難となり、周波数x(GHz)の電磁波の漏洩割合が上昇する傾向がある。そのため、隣接する2個の導電パターンは特定の重心間距離にて配置することが好ましい。
均等配置された導電パターンの、隣接する2個の導電パターンの重心間距離(D)としては、前記隣接する2個の導電パターンの間隙距離(h)が0となる距離を超え、且つ前記隣接する2個の導電パターンを、当該導電パターンの閉ループ内面積が4倍(より好ましくは、2.5倍)になるように拡大した場合に、拡大された導電パターンの間隙距離(h)が0となる距離の範囲内であることが好ましい。
尚、前記2個の導電パターンの間隙距離(h)とは、第1の導電パターン上の一点と第2の導電パターン上の一点との距離のうち、最も短い距離である(図2の(1)参照)。
特に導電パターンが円形導電パターンである場合、均等配置された導電パターンの間隔は、隣接する2個の円形導電パターンの重心間距離(若しくは、中心点間距離)(D)が、前記円の直径(r)の1倍を超え、2倍以下であることが好ましく(r<D≦2r)、より好ましくは前記円の直径の1倍を超え、1.5倍以下である(r<D≦1.5r)。
比誘電率εrの基材表面に配置される導電パターンの個数は、前記基材の表面積に応じて適宜選択できる。なかでも、導電パターンは、基材の一方の面全体に亘って均一に配置されることが、高精度の遮蔽効果が得られる点において好ましく、基材の一方の面の表面積における、前記面に配置された全導電パターンの閉ループ内の面積の合計の占める割合が、例えば30%以上(好ましくは40%以上、特に好ましくは50%以上)となるような個数の導電パターンが配置されることが好ましい。
前記基材としては非導電性基材が好ましい。
前記基材の比誘電率εrは例えば10.0以下(好ましくは9.0以下、特に好ましくは8.0以下)の範囲である。尚、前記基材の比誘電率εrの下限値は、例えば1.0、好ましくは1.5である。比誘電率εrがより小さい基材を使用すれば、導電パターンの全周を小さくすることができ、例えば本発明の選択的電磁波遮蔽材を、送受信アンテナを保護する保護材として使用する場合には、保護材を小型化することが可能となる。
前記基材は、無孔基材であってもよく、有孔基材であってもよい。例えば、基材の、導電パターンの閉ループの内側に該当する部分が打ち抜かれた、有孔基材を使用すれば、電磁波の遮蔽性を損なうことなく、通気性を確保することができる。
前記基材を形成する材料としては、プラスチック、ゴム、木材、ガラス、セラミックス、紙、布(織布、不織布を含む)等が挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
前記プラスチックとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレンなどのポリオレフィン系樹脂;ABS樹脂、AAS樹脂、ACS樹脂、AES樹脂、AXS樹脂、PAN樹脂、AS樹脂等のアクリロニトリル系樹脂;テフロン(登録商標)等のフッ素樹脂;PVC樹脂、PET樹脂、PBT樹脂、PPS樹脂、PEEK樹脂、PPO樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。
前記ゴムとしては、例えば、天然ゴム、イソブチレン・イソプレンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、エチレン・プロピレンゴム、シリコーンゴムなどが挙げられる。
前記基材を形成する材料としては、なかでもプラスチックが、可とう性を備え、割れにくく、且つ軽量で持ち運びが容易である点で好ましい。
前記基材の表面には、コロナ放電処理、プラズマ放電処理等の表面処理が施されていてもよい。
前記基材の厚みは、例えば0.01〜10mmであり、用途に応じて適宜選択することができる。
導電パターンは、前記基材の表面に導電性インクを用いて印字(或いは、描画)することにより形成することができる。
前記導電性インクは、少なくとも金属粒子と分散媒とを含む。
前記金属粒子としては、導電性を有する金属であれば良く、例えば、金、銀、銅、ニッケル、アルミニウム、ロジウム、コバルト、ルテニウム等が挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
前記金属粒子の平均一次粒子径は、例えば20nm〜100μm、好ましくは20nm〜70μmである。
前記金属粒子は、その表面に、金属粒子の凝集を防止する修飾部を有していてもよい。
前記分散媒は、前記金属粒子を分散する分散媒であり、常温、常圧下で液体の分散媒(液体分散媒)が好ましい。前記分散媒としては、例えば、アルコール、炭化水素、エーテル、エステル等が挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
前記導電性インクは、更に、バインダーを含んでいてもよい。バインダーを含有することにより、導電性インクの基材表面への密着性を向上することができる。前記バインダーとしては、例えば、アクリル系樹脂、セルロース樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
前記バインダーの含有量は、金属粒子100重量部に対して、例えば0.1〜4重量部である。
前記導電性インクがバインダーを含有する場合は、硬化触媒及び/又は硬化剤を含むことが好ましい。
前記導電性インクは、更にまた、分散剤、表面エネルギー調整剤、可塑剤、レベリング剤、消泡剤等の添加剤を必要に応じて含有することができる。
本発明の電磁波遮蔽材によれば、遮蔽したい周波数の電磁波を精度良く遮蔽でき、前記周波数の電磁波の漏洩を防止することができる。そのため、本発明の電磁波遮蔽材を、壁材、床材、天井材等の建築材料に貼り合わせれば、建築材料に電磁波遮蔽効果を付与することができ、前記建築材料を用いれば、建築物のセキュリティを向上することができる。また、プライベートなネットワークを構築する手段としてローカル5Gが知られているが、本発明の電磁波遮蔽材によって、ローカル5Gが利用する周波数の電磁波が漏洩するのを防止すれば、ローカル5Gのセキュリティを向上することもできる。
特定の周波数の電磁波を発生するレーダーについて、前記特定の周波数の電磁波に対応した本発明の電磁波遮蔽材を、レーダーの送受信アンテナの所定の位置、例えば、所定の角度から入射される電波の受信アンテナへの供給を制限する位置、に配置すれば、レーダーに受信される電波のノイズを低減することができ、検出精度を向上させることができる。
尚、本明細書では、レーダーに受信される電波のノイズを低減するよう、送受信アンテナの所定位置に電磁波遮蔽材を配置することを、「送受信アンテナを保護する」と称する。
例えば、ミリ波に対応した本発明の電磁波遮蔽材を使用して、車両の衝突防止ミリ波レーダーの送受信アンテナを保護すれば、レーダーに受信される電波のノイズを低減することができ、検出精度を向上させることができる。
[選択的電磁波遮蔽材の製造方法]
本発明の選択的電磁波遮蔽材は、例えば、平均一次粒子径が20nm〜100μmの金属粒子を含むインクを用いて、比誘電率εrの基材表面に、閉ループからなり、下記式(1)を満たす全周L(mm)を有するパターンを複数個印字し、その後、印字されたパターンを60℃以上の温度で焼成する工程を経て製造することができる。
前記インクとしては、上述の導電性インクを好ましく使用できる。
前記比誘電率εrの基材としては、上述の基材を好ましく使用できる。
前記インクを用いて基材表面にパターンを印字する方法としては、例えば、スクリーン印刷法、マスク印刷法、オフセット印刷法、インクジェット印刷法、フレキソ印刷法、グラビア印刷法、スタンピング法等が挙げられる。なかでも、スクリーン印刷法が、安価且つ簡便にパターンを印字することができる点で好ましい。
パターンを印字した後は、印字されたパターンを焼成すれば、インクに含まれる金属粒子同士が融着して、導電パターンが形成できる。焼成温度は60℃以上であり、好ましくは80℃以上である。焼成温度の上限は、例えば500℃である。
本発明の選択的電磁波遮蔽材の製造方法によれば、遮蔽したい電磁波の周波数に応じた全周を有するパターンを印字して、焼成することにより、簡便に、前記電磁波を精度良く遮蔽できる電磁波遮蔽材が得られる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
調製例1(銀インクの調製)
硝酸銀(和光純薬工業(株)製)とシュウ酸二水和物(和光純薬工業(株)製)から、シュウ酸銀(分子量:303.78)を得た。
500mLフラスコに前記シュウ酸銀40.0g(0.1317mol)を仕込み、これに、60gのn−ブタノールを添加し、シュウ酸銀のn−ブタノールスラリーを調製した。このスラリーに、30℃で、n−ブチルアミン(分子量:73.14、東京化成工業(株)製試薬)115.58g(1.5802mol)、2−エチルヘキシルアミン(分子量:129.25、和光純薬工業(株)製試薬)51.06g(0.3950mol)、及びn−オクチルアミン(分子量:129.25、東京化成工業(株)製試薬)17.02g(0.1317mol)のアミン混合液を滴下した。滴下後、30℃で1時間撹拌して、シュウ酸銀とアミンの錯形成反応を進行させた。シュウ酸銀−アミン錯体の形成後に、110℃にて1時間加熱して、シュウ酸銀−アミン錯体を熱分解させて、濃青色の、表面修飾銀ナノ粒子を含む懸濁液を得た。
得られた懸濁液を冷却し、これにメタノール(和光純薬工業(株)製試薬、特級)120gを加えて撹拌し、その後、遠心分離により表面修飾銀ナノ粒子を沈降させ、上澄み液を除去した。表面修飾銀ナノ粒子に対して、次に、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル120gを加えて撹拌し、その後、遠心分離により表面修飾銀ナノ粒子を沈降させ、上澄み液を除去した。このようにして、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルを含む湿った状態の表面修飾銀ナノ粒子を得た。SII社製TG/DTA6300を用いた熱天秤の結果から、湿潤状態の表面修飾銀ナノ粒子全量(100重量%)において表面修飾銀ナノ粒子の含有量は90重量%であった。すなわち、湿潤状態の表面修飾銀ナノ粒子に、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルが7.67重量%含まれていた。
テルソルブTHA−70(2−(4−ヒドロキシ−4−メチルシクロヘキシル)−2−プロピル=アセタート、1−メチル−4−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)シクロヘキサン−1−イル=アセタート、2−(4−アセトキシ−4−メチルシクロヘキサン−1−イル)プロパン−2−イル=アセタートの混合物、215g)、及びエチルセルロース(12g)を加えて、オイルバス(100rpm)で3時間撹拌し、その後、自転公転式混練機(倉敷紡績(株)製、マゼルスターKKK2508)で撹拌混練(2分間×3回)して液Aを調製した。
得られた湿潤状態の表面修飾銀ナノ粒子(プロピレングリコールモノブチルエーテルを10重量%含む)30gに液Aを9.13g加え、自転公転式混練機(倉敷紡績(株)製、マゼルスターKKK2508)で撹拌(2分間×3回)混練して、黒灰色の銀インク(1)を得た。
調製例2(基材の調製1)
PP樹脂ペレット(サンアロマーPMB60A、サンアロマー社製)を、射出成形機(α−150iA、ファナック(株)製)を用いて、成形温度220℃、金型温度50℃で成形して、平板状の成形体(縦×横×厚み=150mm×150mm×2mm、PPの比誘電率:2.3)を得た。
調製例3(基材の調製2)
ABS樹脂ペレット(AT−05、日本エイアンドエル(株)製)を、射出成形機(α−150iA、ファナック(株)製)を用いて、成形温度230℃、金型温度50℃で成形して、平板状の成形体(縦×横×厚み=150mm×150mm×2mm、ABSの比誘電率:3)を得た。
銀インク(1)のPET基板への密着性をクロスカット試験により評価した。
ガラス板に貼り付けたPETフィルムに、銀インク(1)を数g塗布し、ホットポレートを用いて80℃、100℃、又は120℃で、30分間乾燥させて、銀塗膜を形成させた。
得られた銀塗膜を1碁盤目状に100マスの切り込みを入れ、粘着テープ(ニチバン製セロテープ(登録商標)、18mm×35m、粘着力:4.0N/10mm)を貼り合わせ、引き剥がすクロスカット試験を行った。
その結果、80℃では100マスのうち72マスが剥がれず保持された。100℃及び120℃では、100マスのうち100マス全てが剥がれず保持された。
以上より、銀インク(1)を利用すれば、密着性に優れた銀塗膜が得られることがわかった。
実施例1
PET基板(150mm×150mm×0.1mm、PETの比誘電率:3)を固定し、PET基板表面に、インクジェット法により、調製例1で得られた銀インク(1)を吐出して、複数の円形パターンを縦横均等に印字した。
その後、PET基板表面に形成された円形パターンを120℃で30分間加熱して、焼成させた。これにより、円形導電パターンを有する基板(本明細書では「パターン基板」と称する場合がある)を得た。
得られたパターン基板について、下記式(2-1)(2-2)(2-3)から、遮蔽する電磁波の周波数x(GHz)を算出した。下記式中、εrは基材の比誘電率を示し、Lは円形パターン円周(mm)を示す。
Figure 2021118196
また、得られたパターン基板について、以下の方法で電磁波遮断効果を評価した。結果を図3及び表1に示す。
<電磁波遮蔽性評価方法>
上下方向に正対させた一対のアンテナの間に、得られたパターン基板を配置した。
この状態にて、下側のアンテナから電磁波を放射して、パターン基板を通過した電磁波を上側のアンテナで受信して、下記式(3)から電磁波遮蔽性を求めた。
電磁波遮蔽性(dB)=20log(1/|S21|) (3)
尚、前記式(3)中のS21は透過減衰率を示し、以下の式から算出される。
21=(透過電界強度)/(入射電界強度)
実施例2〜5
下記表に記載の通り条件を変更した以外は実施例1と同様に行って、パターン基板を得た。
また、得られたパターン基板の電磁波遮蔽性を実施例1と同様の方法で評価した。結果を図3〜5及び表1に示す。
Figure 2021118196
実施例1〜5で得られたパターン基板では、狙った周波数の電磁波を確実に且つ高精度に遮蔽できることがわかった。
1 選択的電磁波遮蔽材
2 比誘電率εrの基材
3 円形導電パターン
r 円形導電パターンの直径
Dmin 隣接する2個の導電パターンの重心間距離の最小値
Dmax 隣接する2個の導電パターンの重心間距離の最大値

Claims (10)

  1. 周波数x(GHz)の電磁波を選択的に遮蔽する電磁波遮蔽材であって、比誘電率εrの基材表面に、閉ループからなり、下記式(1)を満たす全周L(mm)を有する導電パターンの複数個が互いに接することなく配置されてなる、選択的電磁波遮蔽材。
    Figure 2021118196
  2. 前記導電パターンの複数個が縦横に均等配置され、隣接する2個の導電パターンの重心間距離は、前記隣接する2個の導電パターンの間隙距離が0となる距離を超え、且つ前記隣接する2個の導電パターンを、当該導電パターンの閉ループ内面積が4倍になるように拡大した場合に、拡大された導電パターンの間隙距離が0となる距離の範囲内である、請求項1に記載の選択的電磁波遮蔽材。
  3. 導電パターンが円形導電パターンである、請求項1又は2に記載の選択的電磁波遮蔽材。
  4. 導電パターンの線幅が30μm以上である、請求項1〜3の何れか1項に記載の選択的電磁波遮蔽材。
  5. 基材の厚みが0.01〜10mmである、請求項1〜4の何れか1項に記載の選択的電磁波遮蔽材。
  6. 基材が、プラスチック、ゴム、木材、ガラス、セラミックス、紙、又は布製基材である、請求項1〜5の何れか1項に記載の選択的電磁波遮蔽材。
  7. 請求項1〜6の何れか1項に記載の選択的電磁波遮蔽材を含む建築材料。
  8. 請求項1〜6の何れか1項に記載の選択的電磁波遮蔽材を備えた送受信アンテナ。
  9. 平均一次粒子径が20nm〜100μmの金属粒子を含むインクを用いて、比誘電率εrの基材表面に、閉ループからなり、下記式(1)を満たす全周L(mm)を有するパターンを複数個印字し、その後、印字されたパターンを60℃以上の温度で焼成して、請求項1〜6の何れか1項に記載の選択的電磁波遮蔽材を得る、選択的電磁波遮蔽材の製造方法。
    Figure 2021118196
  10. 複数個のパターンを、比誘電率εrの基材表面に、隣接する2個のパターンの重心間距離が、前記隣接する2個のパターンの間隙距離が0となる距離を超え、且つ前記隣接する2個のパターンを、当該パターンの閉ループ内面積が4倍になるように拡大した場合に、拡大されたパターンの間隙距離が0となる距離の範囲内となるよう、縦横に均等に印字する、請求項9に記載の選択的電磁波遮蔽材の製造方法。
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