JP2021116322A - 着色分散液及び疎水性繊維の捺染方法 - Google Patents

着色分散液及び疎水性繊維の捺染方法 Download PDF

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Abstract

【課題】インクジェット捺染を用いた昇華転写染色において、演色性に優れた染色物を作製でき、昇華転写効率が高く、高濃度の染色物を得ることができる高品位な染色物を得ることができ、再分散性も良好な、インクジェット捺染インク用ブラック分散液の提供。【解決手段】(A)式(1)で表される化合物、(B)ポリオキシエチレンアリールフェニルエーテル系分散剤及びポリオキシエチレンアリールフェニルエーテルサルフェート系分散剤、を含む着色分散液。(R1はH又はニトロ基;R2、R3は各々独立に、C1〜C4アルコキシ基又はフェニル基で置換されても良い、C1〜C4アルキル基;R4はハロゲン原子;R2とR3は互いに連結して環を形成しても良い。)【選択図】なし

Description

(A)下記式(1)で表される化合物、(B)ポリオキシエチレンアリールフェニルエーテル系分散剤及びポリオキシエチレンアリールフェニルエーテルサルフェート系分散剤、を含む着色分散液、およびこれらが付着した記録メディア及び疎水性繊維の捺染方法に関する。
近年、インクジェットによる無製版印刷を行なう記録方法が提案され、布等を含めた繊維の捺染においてもインクジェット捺染が行われている。従来のスクリーン印刷等の捺染方法と比較して、インクジェット印刷による捺染は、無製版であること、省資源であること、省エネルギーであること、及び高精細表現が容易であること、等、様々な利点がある。ここでポリエステル繊維等の疎水性繊維布は、一般に水に不溶性の色材により染色される。従って、インクジェット記録方法により疎水性繊維を捺染するための水性インクとしては、一般に水不溶性色材を水中に分散し、分散安定性等の性能が良好な分散インクを用いる必要がある。ポリエステル繊維を代表とする疎水性繊維へのインクジェット捺染方式は、大きく分けると以下2つの方法に大別される。繊維へ直接インクを付与(プリント)した後、高温スチーミング等の熱処理によりインク中の染料を繊維に染着させるダイレクトプリント法と、中間記録媒体(専用の転写紙等)にインクを付与(プリント)した後、中間記録媒体のインク付与面と疎水性繊維を重ね合わせた後、熱により染料を中間記録媒体から繊維側へ転写させる昇華転写法である。
上記のうち昇華転写法は、のぼり旗等の捺染加工に主に用いられ、インク中には熱処理によるポリエステルへの転写適性に優れた易昇華型の染料が用いられる。加工工程としては、
(1)プリント工程:インクジェットプリンタにより染料インクを中間記録媒体に付与する工程、
(2)転写工程:熱処理により染料を中間記録媒体から繊維中に転写・染着させる工程、
の2工程が含まれ、市販の転写紙が広く使用できる為、繊維の前処理は必要とせず、また洗浄工程も省略されている。
昇華転写法に使用されているインクジェットインクは、主として水性インクが使用され、水不溶性である分散染料群及び油溶性染料群から選ばれる昇華性染料を、分散剤を用いて水中に微粒子分散安定化した着色分散液とし、これに、保湿剤(乾燥防止剤)として水溶性有機溶剤、表面張力調整剤として界面活性剤、その他添加剤(pH調整剤、防腐・防黴剤、消泡剤等)を用いて、粒度・粘度・表面張力・pH等の物理特性(物性)を最適化してインク化されている(特許文献1参照)。また、インクジェットプリントにおいて、プリントヘッドのノズルが配列されたプレートからインクを安定的に吐出できる事が重要であるが、水系インクにおいてはノズルプレート近傍でインク中の水分の蒸発によって引き起こされる吐出トラブルが起こり易い。上記吐出トラブルとしては、例えば、プレート上でインク組成物が付着乾燥した場合に、プリンタのクリーニング動作で速やかに除去する事ができずに、印刷中にインクの吐出不良(飛行曲がり等)を引き起こすことなどが挙げられる。こうした課題を解決するために、例えば、昇華性を有する染料を用いてブラックを表現する際、通常、複数の染料を組み合わせてブラックが表現される。これは単独の染料では黒色の色相としては十分ではなく、また濃度も低いことが多いためであり、複数の染料を組み合せることにより、良好なブラックの表現が可能となる。しかし、このような、昇華性を有する染料を複数組み合わせたブラックインクで布帛を染色した場合、布帛の種類により、光源の分光分布を変えた光を布帛に照射すると、布帛に表現された黒色の色相が異なる色に見える場合があった。例えば、蛍光灯のような長波長の光が少ない照明下では、良好な色を表現できていても、長波長の光が多い太陽光下では、赤みがかって見えたり、その逆に、太陽光の下では良好な色を表現できていても、蛍光灯の下では青みがかって見えることがあった。このように、照明光源による物の色の見え方に及ぼす特性を、一般に「演色性」といい、この演色性の影響による色相の変化が少ないブラックインクが求められていた。さらに、インクジェットインクには、良好な射出性も求められ、染料がインク中で不安定であったり、分散が不十分であったりすると、インクジェットヘッドにおける射出性が不安定になることも多く、特に、複数の染料を組み合せることにより、昇華性染料の種類と量が多くなるブラックインクでは、こうした吐出安定性やインクの保存安定性に問題があった。
一方、昇華転写方式における疎水性繊維の捺染方法では、インクジェットプリンタにて昇華転写インクを中間記録媒体(専用の転写紙等)に付与(プリント)し、中間記録媒体のインク付与(プリント)面と被染色対象物(ポリエステル繊維等)を重ね合わせた物を、熱圧着ローラーや熱プレス機等による熱圧着方式によって昇華性染料を被染色対象物に転写させている。商業用印刷においては、インクジェット印刷はより高速化しておりインクジェット用インクにも高速化に対応したインクの設計が求められている。また、昇華転写インク用の中間記録媒体としては、シリカ等の無機微粒子でインク受容層が表面に形成されており、多量のインクを付与できるように比較的に坪量が大きいインクジェット用の専用紙が一般的に挙げられるが、近年ではより坪量の小さい転写紙やインク受容層が少ない転写紙が用いられており、少ないインク量で高い転写効率、高い染色濃度が強く求められている。それに加えて、昇華転写条件によって黒色の色相がぶれず、昇華速度が均一なブラックインクが求められている。特許文献2には、捺染用分散染料インクに用いるインクジェット用ブラックインクであって、グリコールエーテルを含む水溶性有機溶剤と、アセトンに溶解した溶液の紫外可視分光吸収において、ある特定の波長域に極大吸収波長を有する第1〜4の分散染料を含有することを特長とするインクジェット用ブラックインクが記載されているが、ダイレクトプリント法における前処理したポリエステル繊維に直接付与するインクについては触れているが、昇華転写法で使用できる昇華性を有する染料に関わる技術検討まではされておらず、また、高濃度染色における均染性や染色性能については開示されていない。
WO2005/121263号 特許第6191234号公報
本発明は、インクジェット捺染を用いた昇華転写染色において、演色性に優れた染色物を作製でき、昇華転写効率が高く、高濃度の染色物を得ることができる高品位な染色物を得ることができ、再分散性に優れたインクジェット捺染インク用着色分散液を提供することを目的とするものである。
本発明者らは上記したような課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、(A)下記式(1)で表される化合物、(B)ポリオキシエチレンアリールフェニルエーテル系分散剤及びポリオキシエチレンアリールフェニルエーテルサルフェート系分散剤、を含む着色分散液が、上記課題を解決するものであることを見出し、本発明を完成させたものである。
即ち本発明は、以下の1)〜9)に関する。
1)
(A)下記式(1)で表される化合物、(B)ポリオキシエチレンアリールフェニルエーテル系分散剤及びポリオキシエチレンアリールフェニルエーテルサルフェート系分散剤、を含む着色分散液。
Figure 2021116322
(式(1)中、Rは水素原子またはニトロ基を示す。R、Rはそれぞれ独立に、C1〜C4アルコキシ基またはフェニル基で置換されても良い、C1〜C4アルキル基を示す。Rはハロゲン原子を示す。また、RとRは互いに連結して環を形成しても良い。)
2)
上記式(1)におけるRが塩素原子または臭素原子である、1)に記載の着色分散液。
3)
上記式(1)におけるRが水素原子、R、Rがそれぞれ独立に、C1〜C4アルコキシ基で置換されても良いC1〜C4アルキル基、Rが塩素原子である、1)に記載の着色分散液。
4)
さらに水溶性有機溶剤を含む1)〜3)のいずれか一項に記載の着色分散液。
5)
イエロー染料を1種と、アセトンに溶解した溶液の紫外可視分光吸収において、620nm以上700nm未満の波長域に極大吸収波長を有するブルー染料を1種と、アセトンに溶解した溶液の紫外可視分光吸収において、550nm以上620nm未満の波長域に極大吸収波長を有するブルー染料を1種と、をさらに含む1)〜4)のいずれか一項に記載の着色分散液。
6)
1)〜5)のいずれか一項に記載の着色分散液が付着した記録メディア。
7)
上記記録メディアが繊維である、6)に記載の記録メディア。
8)
上記繊維が、疎水性繊維である7)に記載の記録メディア。
9)
上記疎水性繊維が、ポリエステル又はポリエステルを含有する混紡繊維である、8)に記載の記録メディア。
本発明により、インクジェット捺染を用いた昇華転写染色において、演色性の影響による色相の変化が少ない染色物を作製でき、昇華転写効率が高く、高濃度の染色物を得ることができる高品位な黒色の染色物を得ることができ、再分散性に優れるインクジェット捺染インク用着色分散液が得られる。
以下、本発明について詳細に説明する。本明細書においては実施例等を含めて、特に断りの無い限り「部」及び「%」は、いずれも質量基準である。また、本明細書において「C.I.」とは、「カラーインデックス」を意味する。
上記着色分散液は、上記式(1)で表される化合物を少なくとも1種以上含む。
式(1)中、Rは水素原子またはニトロ基を示す。R、Rはそれぞれ独立に、C1〜C4アルコキシ基またはフェニル基で置換されても良い、C1〜C4アルキル基を示す。Rはハロゲン原子を示す。また、RとRは互いに連結して環を形成しても良い。
上記C1〜C4アルコキシ基またはフェニル基で置換されても良い、C1〜C4アルキル基としては、C1〜C4アルキル基、C1〜C4アルコキシ基で置換されたC1〜C4アルキル基、フェニル基で置換されたC1〜C4アルキル基が挙げられる。
上記C1〜C4アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基等の直鎖アルキル基、iso−プロピル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等の分鎖アルキル基、シクロブチル基等の環状アルキル基が挙げられる。
上記C1〜C4アルコキシ基で置換されたC1〜C4アルキル基としては、例えば、メトキシメチル基、メトキシエチル基、メトキシプロピル基、メトキシブチル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基、エトキシプロピル基、エトキシブチル基、ブトキシブチル基等が挙げられる。
上記フェニル基で置換されたC1〜C4アルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等が挙げられる。
上記ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、塩素原子または臭素原子であることが好ましく、塩素原子であることがさらに好ましい。
上記式(1)におけるRとRは互いに連結して環を形成しても良い。RとRは互いに連結して形成する環としては、例えば、ピペリジン環、ピペラジン環、モルホリン環等が挙げられ、ピペリジン環を形成することが好ましい。
上記式(1)において、Rが水素原子、R、Rがそれぞれ独立にC1〜C4アルコキシ基で置換されても良いC1〜C4アルキル基、Rが塩素原子の組合せが好ましく、Rが水素原子、R、Rがそれぞれ独立にメトキシ基で置換されても良いエチル基、Rが塩素原子の組合せがさらに好ましく、Rが水素原子、R、Rの両方がメトキシエチル基、Rが塩素原子の組合せ、Rが水素原子、R、Rがそれぞれエチル基、Rが塩素原子の組合せ、Rが水素原子、R、Rのいずれか一方がメトキシエチル基であり他方がエチル基、Rが塩素原子の組合せ、が極めて好ましい。
また、上記以外として、Rが水素原子、R、Rが互いに連結してモルホリン環を形成、Rが塩素原子の組合せ、Rが水素原子、R、Rが互いに連結してピペリジン環を形成、Rが塩素原子の組合せ、Rが水素原子、R、Rのいずれか一方がiso−プロピル基であり他方がエチル基、Rが塩素原子の組合せ、Rが水素原子、R、Rがいずれもエチル基、Rが臭素原子の組合せ、Rが水素原子、R、Rのいずれか一方がベンジル基であり他方がエチル基、Rが塩素原子の組合せ、であることも好ましい。
上記式(1)で表される化合物は、例えば、下記式(2)で表される化合物を常法によりジアゾ化し、得られたジアゾ化合物と下記式(3)で表される化合物とを常法によりカップリング反応させることで得ることができる。下記式(2)及び(3)における、R〜Rは上記式(1)におけるものと同じである。
Figure 2021116322
上記のようにして得られた上記式(1)で表される化合物は、必要に応じて、例えば、酸析、塩析、懸濁精製、及び晶析等公知の方法により精製することができる。
上記式(1)で表される化合物を含む上記着色分散液中、上記式(1)で表される化合物は、1種単独、あるいは2種以上を組合せて用いることが可能であり、2種以上を組合せて用いる場合、それらの質量比は任意に設定可能である。
分散染料は、その極大吸収波長から、ブルー系染料、シアン系染料、レッド系染料、イエロー系染料、オレンジ系染料等に分類される。ブラックの色調を得るためには、これら染料を混合して使用することが好ましい。極大吸収波長が異なる分散染料を組み合わせることで、短波長側から長波長側までのすべての領域において分光吸収の強度の分布が少なくなり、ブラックの色相を有した演色性の影響が少ないインクを作ることができる。上記着色分散液は、上記式(1)で表される化合物に加え、イエロー系染料、ブルー系染料を含むことにより、良好なブラックの色相を有する着色分散液とすることができる。特に、上記式(1)で表される化合物に加え、イエロー系染料を1種と、アセトンに溶解した溶液の紫外可視分光吸収において、620nm以上700nm未満の波長域に極大吸収波長を有するブルー系染料を1種と、アセトンに溶解した溶液の紫外可視分光吸収において、550nm以上620nm未満の波長域に極大吸収波長を有するブルー系染料を1種と、を含むことが好ましい。
[イエロー系染料について]
上記イエロー系染料としては、一般的にイエロー系の色相を有する染料であれば特に限定はないが、水不溶性イエロー系染料であることが好ましく、水不溶性イエロー系染料のなかでも、分散染料系イエロー系染料または油溶性染料系イエロー系染料であることがさらに好ましく、C.I.Disperse Yellow系染料、C.I.Solvent Yellow系染料であることがより好ましい。C.I.Disperse Yellow系染料としては、例えば、C.I.Disperse Yellow 3、7、8、23、39、51、54、60、64、71、79、82、86等が挙げられる。C.I.Solvent Yellow系染料としては、例えば、C.I.Solvent Yellow 114、163等が挙げられる。これら染料は単独あるいは複数を組み合わせて用いることが可能である。上記イエロー系染料としては、C.I.Disperse Yellow 7、54、C.I.Solvent Yellow 114を用いることが好ましく、C.I.Disperse Yellow 54を用いることが特に好ましい。
[ブルー系染料について]
上記ブルー系染料としては、一般的にブルー系の色相を有する染料であれば特に限定はないが、水不溶性ブルー系染料であることが好ましく、水不溶性ブルー系染料のなかでも、分散染料系ブルー系染料または油溶性染料系ブルー系染料であることがさらに好ましく、C.I.Disperse Blue系染料、C.I.Solvent Blue系染料であることがより好ましい。C.I.Disperse Blue系染料としては、例えば、C.I.Disperse Blue 3、5、19、26、26:1、35、55、56、58、60、64、64:1、72、72:1、81、81:1、91、95、108、131、141、145、334、359、360、336等が挙げられる。C.I.Solvent Blue系染料としては、例えば、C.I.Solvent Blue 3、36、63、83、105、111等が挙げられる。これら染料は単独あるいは複数を組み合わせて用いることが可能である。上記ブルー系染料としては、C.I.Disperse Blue 60、72、334、359、360であることが好ましく、C.I.Disperse Blue 359、360であることがさらに好ましく、C.I.Disperse Blue 359と360を組み合わせて用いることがより好ましい。該C.I.Disperse Blue 360は、上記アセトンに溶解した溶液の紫外可視分光吸収において、550nm以上620nm未満の波長域に極大吸収波長を有するブルー系染料であり、該C.I.Disperse Blue 359は、上記、アセトンに溶解した溶液の紫外可視分光吸収において、620nm以上700nm未満の波長域に極大吸収波長を有するブルー系染料である。
上記着色分散液における、上記式(1)で表される化合物と上記イエロー系染料と上記ブルー系染料、の合計の含有割合は、任意で設定することが可能であるが、着色分散液総質量に対し、いずれも質量基準(質量%)で通常1〜20%、好ましくは2〜15%、より好ましくは3〜10%である。
[着色分散液に含んでも良いその他染料について]
上記着色分散液は、上記式(1)で表される化合物、上記イエロー系染料、上記ブルー系染料以外に、その他染料を含んでいても良い。該その他染料としては、例えば、乾熱処理に対する染色堅ろう度試験方法[JIS L 0879:2005](2010年 確認、平成17年1月20日 改定、 財団法人日本規格協会 発行)、「ISO 105−P01, Textiles−Tests for colour fastness−PartP01:Colour fastness to dry heat(excluding pressing)」における、感熱処理試験(C法)汚染(ポリエステル)の試験結果が、好ましくは3−4級以下、より好ましくは3級以下、の染料が挙げられる。そのような公知の染料のうち、C.I.番号を有する染料としては、例えば、以下の染料が挙げられる。
上記その他染料における、その他のイエロー系染料としては、例えば、C.I.Disperse Yellow系染料及びC.I.Solvent Yellow系染料で、上記イエロー系染料として例示したもの以外のものが挙げられる。これら染料は単独あるいは複数を組み合わせて用いることができる。
上記その他染料における、その他のブルー系染料としては、例えば、C.I.Disperse Blue系染料及びC.I.Solvent Blue系染料で、上記ブルー系染料として例示したもの以外のものが挙げられる。これら染料は単独あるいは複数を組み合わせて用いることができる。
上記その他染料における、その他のオレンジ系染料としては、例えば、C.I.Disperse Orange 1、1:1、5、7、11、13、20、23、25、25:1、29、33、56、73、76、113、114、123、147;C.I.Solvent Orange 60、67等が挙げられる。これら染料は単独あるいは複数を組み合わせて用いることができる。
上記その他染料における、その他のブラウン系染料としては、例えば、C.I.Disperse Brown 1、3、22、26、27;等が挙げられる。これら染料は単独あるいは複数を組み合わせて用いることができる。
上記その他染料における、その他のレッド系染料としては、例えば、C.I.Disperse Red 4、11、50、53、55、55:1、59、60、65、70、75、92、93、146、158、190、190:1、207、239、240、364;C.I.Solvent Red 146;C.I.Vat Red 41;等が挙げられる。これら染料は単独あるいは複数を組み合わせて用いることができる。
上記その他染料における、その他のバイオレット系染料としては、例えば、C.I.Disperse Violet 8、11、17、23、26、27、28、29、36、57、63;等が挙げられる。これら染料は単独あるいは複数を組み合わせて用いることができる。
上記各染料は、粉末状あるいは塊状の乾燥色材でも、ウエットケーキやスラリーでも良く、色材合成中や合成後に色材粒子の凝集を抑える目的として、界面活性剤等の分散剤が少量含有されたものであっても良い。市販の染料には、工業染色用、樹脂着色用、インキ用、トナー用、インクジェット用などのグレードがあり、製造方法、純度、粒径等がそれぞれ異なる。粉砕後の凝集性を抑えるには色材としてはより粒子の小さいものが好ましく、また分散安定性及びインクの吐出精度への影響からできるだけ不純物などの少ないものが好ましい。染料においてはブルー系染料を主体にイエロー系染料、オレンジ系染料及びレッド系染料を配合することでブラック用の色材として用いることができる。また色調調整の範囲内で他の水不溶性色材を少量含んでも良い。
上記着色分散液は、ポリオキシエチレンアリールフェニルエーテル系分散剤及びポリオキシエチレンアリールフェニルエーテルサルフェート系分散剤を含む。
上記、ポリオキシエチレンアリールフェニルエーテル系分散剤、ポリオキシエチレンアリールフェニルエーテルサルフェート系分散剤としては、具体的には、ポリオキシエチレンモノスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンテトラスチリルフェニルエーテルなどのスチリルフェノール化合物、ポリオキシエチレンモノベンジルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンジベンジルフェニルエーテル、ポリオキシエチレントリベンジルフェニルエーテルなどのベンジルフェノール化合物、ポリオキシエチレンクミルフェニルエーテルなどのクミルフェノール化合物、ポリオキシエチレンナフチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンビフェニルエーテル、ポリオキシエチレンフェノキシフェニルエーテル等が例示される。これらは、単独あるいは複数を組合せて使用できる。好ましくは、ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンジベンジルフェニルエーテル、ポリオキシエチレントリベンジルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンクミルフェニルエーテルである。ここで、ポリオキシエチレン基の繰り返し単位数bは、1〜30の整数であり、好ましくは15〜30の整数である。bが1以上の整数であると、水性溶媒や他の添加剤との相溶性に優れることとなり、30以下の整数であると、粘度が高くなりすぎないため好適である。これらはアリールフェノール化合物とも呼称される。
このようなアリールフェノール化合物としては、下記に記載されるものが例示される。スチリルフェノール化合物としては、例えば、第一工業製薬(株)製 ノイゲン EAシリーズ、東邦化学工業(株)製 TS−2000、TS−2600、SM−174N等の市販品を使用することができる。また、ベンジルフェノール化合物としては、例えば、花王(株)製 エマルゲン B−66等の市販品を使用でき、クミルフェノール化合物としては、例えば、日本乳化剤(株)製 ニューコール CMP系等の市販品を使用することができる。
ポリオキシエチレンアリールフェニルエーテル系分散剤としては、例えば、パイオニンD−6112、パイオニンD−6115、パイオニンD−6120、パイオニンD−6131、パイオニンD−6512、タケサーフD−6413、DTD−51、パイオニンD−6112、パイオニンD−6320(いずれも竹本油脂社製)、TS−1500、TS−2000、TS−2600、SM−174N(いずれも東邦化学社製)、エマルゲンA60、エマルゲンA90、エマルゲンA500(花王)等が挙げられ、これらは単独あるいは複数を組合せて用いることが可能である。ポリオキシエチレンアリールフェニルエーテルサルフェート系分散剤としては、例えば、SM−57、SM−130、SM−210(いずれも東邦化学社製)が挙げられ、これらは単独あるいは複数を組合せて用いることが可能である。
上記着色分散液は、さらに上記ポリオキシエチレンアリールフェニルエーテル系分散剤及び上記ポリオキシエチレンアリールフェニルエーテルサルフェート系分散剤以外のその他の分散剤、水を含むことが好ましい。
上記その他の分散剤としては、例えば、スチレン−(メタ)アクリル共重合体あるいは芳香族スルホン酸のホルマリン縮合物又はその塩を用いることが可能である。上記スチレン−(メタ)アクリル共重合体は、スチレン系モノマーと(メタ)アクリル系モノマーの共重合体である。なお本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」及び/又は「メタクリル」の意味を表す。これら共重合体の具体例としては、(α−メチル)スチレン−アクリル酸共重合体、(α−メチル)スチレン−アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、(α−メチル)スチレン−メタクリル酸共重合体、(α−メチル)スチレン−メタクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、(α−メチル)スチレン−(無水)マレイン酸共重合体、アクリル酸エステル−(無水)マレイン酸共重合体、(α−メチル)スチレン−アクリル酸エステル−(無水)マレイン酸共重合体、アクリル酸エステル−アリルスルホン酸エステル共重合体、アクリル酸エステル−スチレンスルホン酸共重合体、(α−メチル)スチレン−メタクリルスルホン酸共重合体、ポリエステル−アクリル酸共重合体、ポリエステル−アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、ポリエステル−メタクリル酸共重合体、ポリエステル−メタクリル酸−アクリル酸共重合体エステル;等が挙げられる。これらの中では芳香族炭化水素基を含む化合物がスチレンのものが好ましい。なお、(α−メチル)スチレンとは、本明細書においてα−メチルスチレン、及びスチレンを含む意味として用いる。上記着色分散液においては、上記その他の分散剤が、スチレン−(メタ)アクリル共重合体、芳香族スルホン酸のホルマリン縮合物又はその塩、からなる群から選択される分散剤を少なくとも1種類を含むものが好ましい。上記着色分散液中、その他の分散剤の含有率は、通常1〜36%、好ましくは1〜30%、より好ましくは1〜20%、さらに好ましくは1〜15%である。
上記その他の分散剤の具体例としては、JoncrylRTM 52J、57J、60J、63J、70J、JDX−6180、HPD−196、HPD96J、PDX−6137A、6610、JDX−6500、JDX−6639、PDX−6102B、PDX−6124、67、678、680、682、683、690(BASF製)等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。なお本明細書において上付きのRTMは登録商標を意味する。
上記その他の分散剤は、重量平均分子量が、1,000〜20,000である場合が好ましく、2,000〜19,000が更に好ましく、5,000〜17,000が特に好ましい。上記スチレン−アクリル酸系共重合体の重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミッションクロマトグラフ)法で測定する。また、分散剤として用いられるスチレン−(メタ)アクリル共重合体の酸価は50〜250mgKOH/gである場合が好ましく、100〜250mgKOH/gがさらに好ましく、150〜250mgKOH/gである場合が特に好ましい。酸価が小さくなりすぎると、水に対する樹脂の溶解性が悪くなり、特に着色剤が分散性染料の場合、分散安定化力が劣る傾向にあり、酸価が大きくなりすぎると水性媒体との親和性が強くなり、印字後の画像ににじみが発生し易い傾向があり好ましくない。樹脂の酸価は、樹脂1gを中和するのに要するKOHのmg数を表し、JIS−K3054に従って測定する。さらに、分散剤として用いられるスチレン−(メタ)アクリル共重合体のガラス転位温度は45℃〜135℃である場合が好ましく、55℃〜120℃がさらに好ましく、60〜110℃が特に好ましい。
上記着色分散液における、好ましいその他の分散剤であるスチレン−(メタ)アクリル共重合体の具体例としては、Joncryl 67(重量平均分子量=12,500、酸価=213mgKOH/g)、678(重量平均分子量=8,500、酸価=215mgKOH/g)、682(重量平均分子量=1,700、酸価=230mgKOH/g)、683(重量平均分子量=4,900、酸価=215mgKOH/g)、690(重量平均分子量=16,500、酸価=240mgKOH/g)等が挙げられ、Joncryl 678であることがより好ましい。
上記着色分散液は、上記式(1)で表される化合物、任意で含む上記イエロー系染料、任意で含む上記ブルー系染料、及び上記その他染料の分散または溶解時に、上記分散剤に加え、2種類以上のスチレン−アクリル共重合体を使用して作製することが可能である。
上記式(1)で表される化合物、任意で含む上記イエロー系染料、任意で含む上記ブルー系染料、及びその他染料の分散は、例えば以下の方法で行うことができる。スチレン−アクリル共重合体を水溶性有機溶剤に投入し、温度を90−120℃に昇温してスチレン−アクリル共重合体溶解液を作製し、そこへアルカリ性化合物及び水を投入して、温度を下げて乳化(エマルション又はマイクロエマルション)液とし、作製されたエマルション液と上記式(1)で表される化合物、任意で含む上記イエロー系染料、任意で含む上記ブルー系染料、及びその他染料を混合、分散を行う。
上記芳香族スルホン酸のホルマリン縮合物又はその塩は、芳香族スルホン酸とホルマリンの縮合反応によって得られる陰イオン性の界面活性剤である。「その塩」としては、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩等の塩が挙げられる。上記芳香族スルホン酸のホルマリン縮合物又はその塩は、芳香族スルホン酸のホルマリン縮合物又はその塩若しくはそれらの混合物(以下、特に断りのない限り「スルホン酸のホルマリン縮合物」と記載したときは、「その塩、もしくはそれらの混合物」も含む意味を有する)等が好ましい。例えば、クレオソート油スルホン酸、クレゾールスルホン酸、フェノールスルホン酸、β−ナフタレンスルホン酸、β−ナフトールスルホン酸、β−ナフタリンスルホン酸とβ−ナフトールスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、クレゾールスルホン酸、2−ナフトール−6−スルホン酸、リグニンスルホン酸等のホルマリン縮合物が挙げられる。これらの中では、クレオソート油スルホン酸、β−ナフタレンスルホン酸、リグニンスルホン酸、メチルナフタレンスルホン酸の各ホルマリン縮合物が好ましい。これらは様々な商品名の市販品として入手することができる。その一例として、β−ナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物としてはデモールN、クレオソート油スルホン酸のホルマリン縮合物としてはデモールC;特殊芳香族スルホン酸のホルマリン縮合物としてはデモールSN−B(いずれも花王株式会社製);等が挙げられる。クレオソート油スルホン酸のホルマリン縮合物としては、ラベリンWシリーズ、メチルナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物としては、ラベリンANシリーズ(いずれも第一工業製薬株式会社製)、等が挙げられる。これらの中ではデモールN、ラベリンANシリーズ、ラベリンWシリーズが好ましく、デモールN、ラベリンWがより好ましく、ラベリンWがさらに好ましい。リグニンスルホン酸としては、例えばバニレックスN、バニレックスRN、バニレックスG、パールレックスDP(いずれも日本製紙株式会社製)等が挙げられる。これらの中ではバニレックスRN、バニレックスN、バニレックスGが好ましい。
上記着色分散液は、さらに水溶性有機溶剤を含むことができる。
上記水溶性有機溶剤としては、例えば、グリコール系溶剤、多価アルコール類、ピロリドン類等を挙げることができる。グリコール系溶剤としては、グリセリン、ポリグリセリン(#310、#750、#800、)、ジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン、ペンタグリセリン、ヘキサグリセリン、ヘプタグリセリン、オクタグリセリン、ノナグリセリン、デカグリセリン、ウンデカグリセリン、ドデカグリセリン、トリデカグリセリン、テトラデカグリセリン等の化合物、及びこれらの混合物が挙げられる。多価アルコール類としては、例えばアルコール性水酸基を2〜3個有するC2〜C6多価アルコール及び、ジ又はトリC2〜C3アルキレングリコール若しくは繰り返し単位が4以上で、分子量20,000程度以下のポリC2〜C3アルキレングリコール、好ましくは液状のポリアルキレングリコール等が挙げられる。それらの具体例としてはエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、チオジグリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、1,3−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール等の多価アルコール類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン等が挙げられ、グリセリン又はジグリセリンのいずれかを少なくとも含むことが好ましい。また、水に溶解して湿潤剤としての役割をする化合物等も、便宜上本発明では水溶性有機溶剤に含めるものとし、例えば尿素、エチレン尿素及び糖類等が挙げられる。保存安定性を考慮すると、着色剤が分散染料や油溶性染料である場合、それらの溶解度が小さい溶剤が好ましく、これらの中でも特にグリセリンと、グリセリン以外の溶剤(好ましくはグリセリン以外の多価アルコール)とを併用するのが好ましい。上記着色分散液の総質量中における、水溶性有機溶剤の総含有量は、5〜50%であり、10〜40%添加するのが好ましい。
上記着色分散液は、さらに添加剤を含むことができる。
上記添加剤としては、例えば、防腐剤、界面活性剤、pH調整剤、キレート試薬、防錆剤、水溶性紫外線吸収剤、水溶性高分子化合物、粘度調整剤、色素溶解剤、褪色防止剤、酸化防止剤、水等が挙げられる。
上記防腐剤としては、例えば、有機硫黄系、有機窒素硫黄系、有機ハロゲン系、ハロアリルスルホン系、ヨードプロパギル系、N−ハロアルキルチオ系、ニトリル系、ピリジン系、8−オキシキノリン系、ベンゾチアゾール系、イソチアゾリン系、ジチオール系、ピリジンオキシド系、ニトロプロパン系、有機スズ系、フェノール系、第4アンモニウム塩系、トリアジン系、チアジン系、アニリド系、アダマンタン系、ジチオカーバメイト系、ブロム化インダノン系、ベンジルブロムアセテート系、無機塩系等の化合物が挙げられる。有機ハロゲン系化合物の具体例としては、例えばペンタクロロフェノールナトリウムが挙げられ、ピリジンオキシド系化合物の具体例としては、例えば2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウムが挙げられ、イソチアゾリン系化合物の具体例としては、例えば、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンマグネシウムクロライド、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンカルシウムクロライド、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンカルシウムクロライド等が挙げられる。その他の防腐防黴剤の具体例として、無水酢酸ソーダ、ソルビン酸ソーダ又は安息香酸ナトリウム、アーチケミカル社製、商品名プロクセルRTMGXL(S)やプロクセルRTMXL−2(S)等が挙げられる。
上記界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系、シリコーン系等の公知の界面活性剤が挙げられる。アニオン界面活性剤としては、アルキルスルホン酸塩、アルキルカルボン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、N−アシルアミノ酸及びその塩、N−アシルメチルタウリン塩、アルキル硫酸塩ポリオキシアルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、ロジン酸石鹸、ヒマシ油硫酸エステル塩、ラウリルアルコール硫酸エステル塩、アルキルフェノール型燐酸エステル、アルキル型燐酸エステル、アルキルアリールスルホン酸塩、ジエチルスルホ琥珀酸塩、ジエチルヘキルシルスルホ琥珀酸塩、ジオクチルスルホ琥珀酸塩等が挙げられる。その市販品の具体例としては、例えば、いずれも第一工業製薬社製のハイテノールLA−10、LA−12、LA−16、ネオハイテノールECL−30S、ECL−45などが挙げられる。カチオン界面活性剤としては、2−ビニルピリジン誘導体、ポリ4−ビニルピリジン誘導体等が挙げられる。両性界面活性剤としては、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ポリオクチルポリアミノエチルグリシン、イミダゾリン誘導体等が挙げられる。ノニオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等のエーテル系;ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル、ソルビタンラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンステアレート等のエステル系;2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール等のアセチレングリコール(アルコール)系;日信化学社製、商品名サーフィノール104、105、82、465、オルフィンSTG等;ポリグリコールエーテル系(例えばSIGMA−ALDRICH社製のTergitol 15−S−7等);等が挙げられる。
上記シリコーン系界面活性剤としては、例えば、ポリエーテル変性シロキサン、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン等が挙げられる。市販品の具体例としては、例えば、いずれもビックケミー社製の、BYK−347(ポリエーテル変性シロキサン);BYK−345、BYK−348(ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン)等が挙げられる。フッ素系界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸化合物、パーフルオロアルキルカルボン酸系化合物、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、及びパーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物等が挙げられる。市販品の具体例としては、例えば、Zonyl TBS、FSP、FSA、FSN−100、FSN、FSO−100、FSO、FS−300、Capstone FS−30、FS−31(DuPont社製);PF−151N、PF−154N(オムノバ社製)等が挙げられる。
上記pH調整剤としては、調製される上記着色分散液に悪影響を及ぼさずに、溶液のpHをおおよそ5〜11の範囲に制御できるものであれば任意の物質を使用することができる。その具体例としては、例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン等のアルカノールアミン;水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物;水酸化アンモニウム(アンモニア水);、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩;酢酸カリウム等の有機酸のアルカリ金属塩;ケイ酸ナトリウム、リン酸二ナトリウム等の無機塩基等が挙げられ、トリエタノールアミンが好ましい。
上記キレート試薬の具体例としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、ウラシル二酢酸ナトリウム等があげられる。
上記防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオグルコール酸アンモニウム、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、四硝酸ペンタエリスリトール又はジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト等があげられる。
上記水溶性紫外線吸収剤としては、例えばスルホン化したベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾ−ル系化合物、サリチル酸系化合物、桂皮酸系化合物、トリアジン系化合物が挙げられる。
上記水溶性高分子化合物としては、ポリビニルアルコール、セルロース誘導体、ポリアミン又はポリイミン等があげられる。
上記粘度調整剤としては、水溶性有機溶剤の他に、水溶性高分子化合物が挙げられ、例えば、ポリビニルアルコール、セルロース誘導体、ポリアミン、ポリイミン等が挙げられる。
上記色素溶解剤としては、例えば、尿素、ε−カプロラクタム、エチレンカーボネート等が挙げられる。
上記褪色防止剤は、画像の保存性を向上させる目的で使用される。褪色防止剤としては、各種の有機系及び金属錯体系の褪色防止剤を使用することができる。有機系としては、ハイドロキノン類、アルコキシフェノール類、ジアルコキシフェノール類、フェノール類、アニリン類、アミン類、インダン類、クロマン類、アルコキシアニリン類、及びヘテロ環類等が挙げられる。金属錯体系としては、ニッケル錯体、亜鉛錯体等が挙げられる。
上記酸化防止剤としては、例えば、各種の有機系及び金属錯体系の褪色防止剤を使用することができる。前記有機系の褪色防止剤の例としては、ハイドロキノン類、アルコキシフェノール類、ジアルコキシフェノール類、フェノール類、アニリン類、アミン類、インダン類、クロマン類、アルコキシアニリン類、複素環類等が挙げられる。
上記着色分散液は、水を含むことができる。用いうる水は、イオン交換水、蒸留水等の不純物が少ないものが好ましい。また、上記着色分散液に対してメンブランフィルター等を用いた精密濾過を行うことができる。上記着色分散液をインクジェット捺染インク用として使用するときは、ノズルの目詰まり等を防止する目的で、精密濾過を行うことが好ましい。精密濾過に使用するフィルターの孔径は通常1μm〜0.1μm、好ましくは0.8μm〜0.1μmである。
上記着色分散液において、上記添加剤として、防腐剤、界面活性剤、pH調整剤からなる群から選択されるいずれか少なくとも1つを含むことが好ましい。
上記着色分散液は、さらに、樹脂エマルションを含んでいても良い。
上記樹脂エマルションとしては、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、スチレンブタジエン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ポリビニル樹脂(例:塩化ビニル、酢酸ビニル、ポリビニルアルコール等)、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂、又はアミノ材料(メラニン樹脂、ユリア樹脂、尿素樹脂、メラニンホルムアルデヒド樹脂等)から形成されたエマルションがある。また、それらエマルションは2種以上の樹脂から構成されていても良い。さらに2種以上の樹脂がコア/シェル構造を形成した形態の複合樹脂であっても良い。それら樹脂エマルションの中でも上記着色分散液に使用するには、ウレタン樹脂が好ましい。
上記ウレタン樹脂は、ラテックス(エマルション)の形で販売されていることも多く、その多くは固形分が30〜60%での乳化液である。その具体例としては、例えば、パーマリンUA−150、200、310、368、3945、ユーコートUX−320(以上、三洋化成株式会社製)、ハイドランWLS−201、210、HW−312Bのラテックス(以上、DIC株式会社製)、スーパーフレックス150、170、470(以上、第一工業製薬株式会社製)、等が挙げられる。これらのうち、ポリカーボネート系ウレタン樹脂としては、例えば、パーマリンUA−310、3945、ユーコートUX−320、等が挙げられる。これらのうち、ポリエーテル系ウレタン樹脂としては、例えば、パーマリンUA−150、200、ユーコートUX−340、等が挙げられる。これらウレタン樹脂は単独で使用することも、併用することもできる。
上記ウレタン樹脂のエマルションは、SP値(溶解度パラメータ)が8〜24(cal/cm1/2である場合が好ましく、8〜17(cal/cm1/2がさらに好ましく、8〜11が特に好ましい。なお、ウレタン樹脂のSP値はFedors法によって計算される。また、ウレタン樹脂エマルション中の樹脂が酸性基を有していた場合、この酸性基を中和してエマルションを作製している場合には中和前の樹脂のSP値を用いる。
上記ウレタン樹脂エマルションが、カルボン酸、スルホン酸、水酸基等の酸性基を有する場合、それら酸性基は、アルカリ塩化されていても良い。アルカリ塩化は、例えば以下方法で行うことが可能である。酸性基を有するウレタン樹脂エマルションを水に投入し撹拌して水溶液を調製し、該水溶液にアルカリ性化合物を加え、pHを6.0−12.0に調整した液を作製する方法などが挙げられる。
上記アルカリ性化合物としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物、水酸化ベリリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム及び水酸化ストロンチウム等のアルカリ土類金属の水酸化物やトリエチルアミン等が挙げられる。これらアルカリ性化合物は任意の1種類のみを使用しても良く、あるいは、2種類以上を組み合わせて使用しても良い。
上記式(1)で表される化合物は、粉末状あるいは塊状の乾燥色材でも、ウエットケーキやスラリーでも良く、化合物合成中や合成後に粒子の凝集を抑える目的として、界面活性剤等の分散剤が少量含有されたものであっても良い。
上記着色分散液と、該着色分散液と異なる色相を有する着色分散液と、を含む着色分散液セットも本願発明に含まれる。また、上記式(1)表される化合物、あるいは、上記着色分散液の少なくともいずれかが付着した記録メディア、上記着色分散液あるいは上記着色分散液セットを用いた捺染方法も本願発明に含まれる。
上記着色分散液を調製する方法としては、例えば、上記各構成要素を混合する方法等が挙げられる。各構成要素を混合する順番は特に制限されない。
上記着色分散液は、高速での吐出応答性の点から、25℃における粘度が、E型粘度計にて測定した場合の値が、通常3〜20mPa・s程度であることが好ましい。また、表面張力は、プレート法にて測定した場合の値が、通常20〜45mN/mの範囲が好ましい。これら各値は、使用するプリンタの吐出量、応答速度、着色分散液滴飛行特性などを考慮し、適切な値になるように調整することが好ましい。
上記疎水性繊維の捺染方法は、2つの種類に大別される。1つ目の方法は、ダイレクトプリント又はダイレクト捺染等と呼称される方法であり、前記着色分散液の液滴を、インクジェット方式のプリンタにより疎水性繊維に付着させることにより、文字及び絵柄等の画像情報を疎水性繊維に形成する工程Aと、前記工程Aにより付着させた着色分散液の液滴中の昇華性染料を熱により繊維に固着させる工程Bと、繊維中に残存する未固着の昇華性染料を洗浄する工程Cと、の3工程を少なくとも含む、疎水性繊維の捺染方法である。工程Bは、一般的には公知のスチーミング又はベーキングによって行われる。スチーミングとしては、例えば高温スチーマーで通常170〜180℃、通常10分程度;また、高圧スチーマーで通常120〜130℃、通常20分程度;それぞれ疎水性繊維を処理する方法により、昇華性染料を繊維に染着する(湿熱固着とも呼称される)方法が挙げられる。ベーキング(サーモゾル)としては、例えば通常190℃〜210℃、通常60秒〜120秒程度、疎水性繊維を処理する方法により、昇華性染料を繊維に染着する(乾熱固着とも呼称される)方法が挙げられる。工程Cは、得られた繊維を、温水、及び必要に応じて水により洗浄する工程である。洗浄に使用する温水や水は、界面活性剤を含んでもよい。洗浄後の繊維を、通常50〜120℃で、5〜30分乾燥することも好ましく行われる。2つ目の方法は、昇華転写プリント、昇華転写捺染等と呼称される方法であり、上記着色分散液または上記着色分散液セットの液滴を、インクジェット方式のプリンタにより中間記録媒体に付着させることにより、文字及び絵柄等の記録画像を得た後、該中間記録媒体における、着色分散液の液滴の付着面に疎水性繊維を接触させ、熱処理することにより、中間記録媒体に記録された文字、絵柄等の記録画像を疎水性繊維に転写する、疎水性繊維の捺染方法である。中間記録媒体としては、中間記録媒体に付着した着色分散液中の昇華性染料が、その表面で凝集せず、且つ疎水性繊維へ記録画像の転写を行うときに、染料の昇華を妨害しないものが好ましい。そのような中間記録媒体の一例としては、シリカ等の無機微粒子で着色分散液受容層が表面に形成されている紙が挙げられ、インクジェット用の専用紙等を用いることができる。中間記録媒体から疎水性繊維へ、記録画像を転写するときの熱処理としては、通常190〜200℃程度での乾熱処理が挙げられる。
上記捺染方法は、にじみ等を防止する目的で、繊維の前処理工程をさらに含んでもよい。この前処理工程としては、1種類以上の糊材、アルカリ性物質、還元防止剤及びヒドロトロピー剤を少なくとも含む水溶液を、着色分散液を付着させる前の繊維に付与する工程が挙げられる。前処理を施す工程としては、糊剤、アルカリ性物質、還元防止剤及びヒドロトロピー剤を含む前処理剤の水溶液を前処理液として用い、繊維を前処理液に含浸させて付与するのが好ましい。上記糊剤としては、グアー、ローカストビーン等の天然ガム類、澱粉類、アルギン酸ソーダ、ふのり等の海藻類、ペクチン酸等の植物皮類、メチル繊維素、エチル繊維素、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の繊維素誘導体、カルボキシメチル澱粉等の加工澱粉、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸エステル等の合成糊等があげられる。好ましくはアルギン酸ソーダがあげられる。
上記アルカリ性物質としては、例えば無機酸または有機酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属の塩、並びに加熱した際にアルカリを遊離する化合物が挙げられ、無機又は有機の、アルカリ金属水酸化物及びアルカリ金属塩が好ましく、ナトリウム化合物及びカリウム化合物等が挙げられる。具体例としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム等のアルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸ナトリウム等の無機化合物のアルカリ金属塩、蟻酸ナトリウム、トリクロル酢酸ナトリウム等の有機化合物のアルカリ金属塩;等が挙げられる。好ましくは、炭酸水素ナトリウムが挙げられる。上記還元防止剤としては、メタニトロベンゼンスルホン酸ナトリウムが好ましい。上記ヒドロトロピー剤としては、尿素、ジメチル尿素等の尿素類等があり、好ましくは尿素が挙げられる。上記糊剤、アルカリ性物質、還元防止剤、及びヒドロトロピー剤は、いずれも単一の化合物を使用してもよいし、それぞれ複数の化合物を併用してもよい。前処理液の総質量中における各前処理剤の混合比率は、例えば、いずれも質量基準で、糊剤が0.5〜5%、炭酸水素ナトリウムが0.5〜5%、メタニトロベンゼンスルホン酸ナトリウムが0〜5%、尿素が1〜20%、残部が水である。前処理剤のセルロース系繊維への付与は、たとえばパディング法が挙げられる。パディングの絞り率は40〜90%程度が好ましく、より好ましくは60〜80%程度である。
上記記録メディアは、着色分散液受容層を有するものと、有さないものとに大別される。前記インクジェット記録方法に用いる記録メディアとしては、これらのいずれも好ましい。具体的な記録メディアとしては、例えば、紙、フィルム、繊維や布(ポリエステル、セルロース、ナイロン、羊毛等)、皮革、カラーフィルター用基材等が挙げられる。着色分散液受容層は、着色分散液を吸収してその乾燥を早める等の作用を目的として、記録メディアに設置される。着色分散液受容層は、例えば前記の記録メディアにカチオン系ポリマーを含浸又は塗工する方法;着色分散液中の色素を吸収できる無機微粒子を、ポリビニルアルコールやポリビニルピロリドン等の親水性ポリマーと共に、記録メディアの表面に塗工する方法;等により設置される。前記着色分散液中の色素を吸収し得る無機微粒子としては、多孔質シリカ、アルミナゾル、及び特殊セラミックス等が挙げられる。このような着色分散液受容層を有する記録メディアは、通常インクジェット専用紙、インクジェット専用フィルム、光沢紙、光沢フィルム等と呼ばれる。市販されているインクジェット専用紙としては、例えば、キヤノン株式会社製、商品名プロフェッショナルフォトペーパー等が挙げられる。また、着色分散液受容層を有さない紙としては普通紙等が挙げられる。市販されている普通紙としては、例えば、プレーンペーパーコピー(PPC)用紙等が挙げられる。
上記着色分散液は、上記記録メディアのうち繊維に対しても極めて好適に記録を行うことができる。繊維の種類は特に制限されないが、疎水性繊維が好ましい。疎水性繊維としては、例えば、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、トリアセテート繊維、ジアセテート繊維、ポリアミド繊維、及びこれらの繊維を2種類以上用いた混紡繊維等が挙げられる。また、これらの繊維とレーヨン等の再生繊維;及び、これらの繊維と、木綿、絹、及び羊毛等の天然繊維との混紡繊維も、本明細書においては疎水性繊維に含まれ、ポリエステル繊維又はポリエステル繊維を含有する混紡繊維であることが好ましい。
繊維の中には、着色分散液受容層を有するものも知られており、そのような繊維も好適に使用することができる。着色分散液受容層を有する繊維は公知の方法で調製することも、また、市販品として入手することもできる。着色分散液受容層の材質や構造等は特に限定されず、目的等に応じて適宜使用することができる。
上記着色分散液を、記録メディアに付着させる方法は特に制限されず、公知の全ての方法(例えば各種の筆記具、及びインクジェット記録等)を使用することができる。記録メディアとして繊維を使用するときは、サイズプレス法、コーテイング法等を含む表面塗工染色方法、又は内添染色方法等も使用できる。また、前記の化合物は昇華性を有するため、昇華転写染色方法も好ましく使用できる。
上記疎水性繊維の具体例としては、例えば、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、トリアセテート繊維、ジアセテート繊維、ポリアミド繊維、及びこれらの繊維を2種類以上用いた混紡繊維等が挙げられる。また、これらとレーヨン等の再生繊維、木綿、絹、羊毛等の天然繊維との混紡繊維も、本明細書においては疎水性繊維に含まれる。これらの疎水性繊維としては、着色分散液受容層(滲み防止層)を有するものも知られており、そのような疎水性繊維も同様に含まれる着色分散液受容層の形成方法は公知技術であり、着色分散液受容層を有する繊維も市販品として入手が可能である。着色分散液受容層の材質や構造等は、特に限定されず、目的等に応じて適宜使用することができる。上記疎水性繊維の捺染方法により得られる、染色された疎水性繊維も本願発明に含まれる。
上記着色分散液は、各種分野において使用することができるが、筆記用水性インク、水性印刷インク、情報記録インク、捺染等に好適であり、インクジェット捺染用インクとして用いることが特に好ましい。
本発明の着色分散液は、長期間保存後の固体析出、物性変化、色変化等もなく、保存安定性に優れる。また、インクジェットプリンタヘッドへの初期充填性が良好であり、連続印刷安定性も良好である。更に、印刷後の用紙上の画像の滲みが無く鮮明な画像を得ることが可能である。これらに加え、本発明の着色分散液で染色した染色物は、染色濃度が高く、且つ均染性、耐光性に優れ、高品位な黒色の色相を有する。更に、イエロー、オレンジ、マゼンタ、シアン染料等をそれぞれ含む着色分散液と併用することにより、各種堅牢性に優れ、保存性の優れたフルカラーのインクジェット捺染が可能である。このように、本発明の着色分散液は、吐出安定性に極めて優れることから、特にインクジェット捺染インク用として好適である。特に、染色濃度の値が、下記染色濃度評価において1.39以上の数値であり、下記染色性評価において染色部分と白地部分の境界部に黄色の滲みや汚染が見られず、境界部が鮮明に再現され、下記演色性評価1において60%dutyの色差が2.1未満の数値であり、かつ、下記演色性評価2において60%dutyの色差が2.6未満の数値である場合、染色濃度が高く、染色性且つ演色性に優れた黒色となり、より良好な黒色捺染物が得られるため、着色分散液としてより優れる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、実施例により限定されるものではない。実施例において特に断りがない限り、「部」は質量部を、「%」は質量%をそれぞれ意味する。
[調製例1]
[エマルション液の調製]
25%水酸化ナトリウム 6部、イオン交換水 54部、プロピレングリコール 20部へJoncryl 678(BASF社製)20部を投入し、90−120℃に昇温して5時間撹拌することにより、Joncryl 678のエマルション液を得た。
[調製例2]
[Y54分散液の調製]
昇華性染料としてカヤセットイエローAG(日本化薬株式会社製、C.I.Disperse Yellow 54)30部、上記Joncryl 678のエマルション液 60部、プロクセルGXL 0.2部、サーフィノール104PG50 0.4部、イオン交換水 24部からなる混合物を、0.2mm径ガラスビーズを用いてサンドミルにて、冷却下、約15時間分散化処理を行った。得られた液にイオン交換水 60部、Joncryl 678のエマルション液 30部を加えて染料含有量を15%に調整した後、ガラス繊維濾紙GC−50(ADVANTEC社製、フィルターの孔径0.5μm)で濾過することによりY54分散液を得た。
[調製例3]
[Bw27分散液の調製]
昇華性染料としてC.I.Disperse Brown 27を30部、上記Joncryl 678のエマルション液 60部、プロクセルGXL 0.2部、サーフィノール104PG50 0.4部、イオン交換水 24部からなる混合物を、0.2mm径ガラスビーズを用いてサンドミルにて、冷却下、約15時間分散化処理を行った。得られた液にイオン交換水 60部、Joncryl 678のエマルション液 30部を加えて染料含有量を15%に調整した後、ガラス繊維濾紙GC−50(ADVANTEC社製、フィルターの孔径0.5μm)で濾過することによりBw27分散液を得た。
[調製例4]
[B359分散液の調製]
昇華性染料としてC.I.Disperse Blue 359を30部、上記Joncryl 678のエマルション液 60部、プロクセルGXL 0.2部、サーフィノール104PG50 0.4部、イオン交換水 24部からなる混合物を、0.2mm径ガラスビーズを用いてサンドミルにて、冷却下、約15時間分散化処理を行った。得られた液にイオン交換水 60部、Joncryl 678のエマルション液 30部を加えて染料含有量を15%に調整した後、ガラス繊維濾紙GC−50(ADVANTEC社製、フィルターの孔径0.5μm)で濾過することによりB359分散液を得た。
[調製例5]
[B360分散液の調製]
昇華性染料としてC.I.Disperse Blue 360を30部、上記Joncryl 678のエマルション液 60部、プロクセルGXL 0.2部、サーフィノール104PG50 0.4部、イオン交換水 24部からなる混合物を、0.2mm径ガラスビーズを用いてサンドミルにて、冷却下、約15時間分散化処理を行った。得られた液にイオン交換水 60部、Joncryl 678のエマルション液 30部を加えて染料含有量を15%に調整した後、ガラス繊維濾紙GC−50(ADVANTEC社製、フィルターの孔径0.5μm)で濾過することによりB360分散液を得た。
[調製例6]
[R60分散液の調製]
昇華性染料としてカヤセットレッドB(日本化薬株式会社製、C.I.Disperse Red 60)30部、上記Joncryl 678のエマルション液 60部、プロクセルGXL 0.2部、サーフィノール104PG50 0.4部、イオン交換水 24部からなる混合物を、0.2mm径ガラスビーズを用いてサンドミルにて、冷却下、約15時間分散化処理を行った。得られた液にイオン交換水 60部、Joncryl 678のエマルション液 30部を加えて染料含有量を15%に調整した後、ガラス繊維濾紙GC−50(ADVANTEC社製、フィルターの孔径0.5μm)で濾過することによりR60分散液を得た。
[調製例7]
[Or25分散液の調製]
昇華性染料としてC.I.Disperse Orange 25を30部、上記Joncryl 678のエマルション液 60部、プロクセルGXL 0.2部、サーフィノール104PG50 0.4部、イオン交換水 24部からなる混合物を、0.2mm径ガラスビーズを用いてサンドミルにて、冷却下、約15時間分散化処理を行った。得られた液にイオン交換水 60部、Joncryl 678のエマルション液 30部を加えて染料含有量を15%に調整した後、ガラス繊維濾紙GC−50(ADVANTEC社製、フィルターの孔径0.5μm)で濾過することによりOr25分散液を得た。
[調製例8]
[Or60分散液の調製]
昇華性染料としてC.I.Solvent Orange 60を30部、上記Joncryl 678のエマルション液 60部、プロクセルGXL 0.2部、サーフィノール104PG50 0.4部、イオン交換水 24部からなる混合物を、0.2mm径ガラスビーズを用いてサンドミルにて、冷却下、約15時間分散化処理を行った。得られた液にイオン交換水 60部、Joncryl 678のエマルション液 30部を加えて染料含有量を15%に調整した後、ガラス繊維濾紙GC−50(ADVANTEC社製、フィルターの孔径0.5μm)で濾過することによりOr60分散液を得た。
[調製例9]
(工程1)下記式(13)で表される化合物の合成
DMF30部中に、m−クロロアニリン6.4部、炭酸カリウム13.8部、パラトルエンスルホン酸2−メトキシエチル8.0部を加えて、110℃に加熱し、6時間反応させた。60℃に冷却し、得られた反応液に水100部を加え、トルエン50部で3回抽出を行った。得られた有機層を1%塩酸水100部で3回、水100部で1回洗浄した後、エバポレーターにて、トルエンを留去し、油状物5.5部を得た。
次にDMF30部中に、得られた油状物5.5部、炭酸カリウム4.4部、ヨードエタン7.0部を加えて、110℃に加熱し、6時間反応させた。60℃に冷却し、得られた反応液に水100部を加え、トルエン50部で3回抽出を行った。得られた有機層を水100部で2回洗浄した後、エバポレーターにて、トルエンを留去し、下記式(13)で表される化合物5.5部を得た。
Figure 2021116322
(工程2)下記式(14)で表される化合物の合成
氷水50部中に、p−ニトロアニリン8.2部、35%塩酸18.8部を加えて、0〜10℃にて30分撹拌した。同温度にて、40%亜硝酸ナトリウム10.9部を添加し、1時間撹拌した。得られた反応液に式(13)の化合物10部を加え、pH2.0〜pH2.5、0〜10℃で2時間、pH3.0〜pH3.5、0〜10℃で2時間反応を実施した。反応終了後、濾過し、水洗することで、式(14)で表される化合物9.3部を得た。
Figure 2021116322
[調製例10]
(工程1)下記式(9)で表される化合物の合成
DMF30部中に、m−クロロアニリン6.4部、炭酸カリウム13.8部、ヨードエタン18.7部を加えて、100℃に加熱し、6時間反応させた。60℃に冷却し、得られた反応液に水100部を加え、トルエン50部で3回抽出を行った。得られた有機層を水100部で3回水洗した後、エバポレーターにて、トルエンを留去、乾燥することにより、下記式(9)で表される化合物10部を得た。
Figure 2021116322
(工程2)下記式(10)で表される化合物の合成
氷水50部中に、p−ニトロアニリン8.2部、35%塩酸18.8部を加えて、0〜10℃にて30分撹拌した。同温度にて、40%亜硝酸ナトリウム10.9部を添加し、1時間撹拌した。得られた反応液に式(9)の化合物10部を加え、pH2.0〜pH2.5、0〜10℃で2時間、pH3.0〜pH3.5、0〜10℃で2時間反応を実施した。反応終了後、濾過し、水洗することで、式(10)で表される化合物15.0部を得た。
Figure 2021116322
[調製例11]
(工程1)下記式(11)で表される化合物の合成
DMF30部中に、m−ブロモアニリン8.6部、炭酸カリウム13.8部、ヨードエタン18.7部を加えて、100℃に加熱し、6時間反応させた。60℃に冷却し、得られた反応液に水100部を加え、トルエン50部で3回抽出を行った。得られた有機層を水100部で3回水洗した後、エバポレーターにて、トルエンを留去、乾燥することにより、下記式(11)で表される化合物11部を得た。
Figure 2021116322
(工程2)下記式(12)で表される化合物の合成
氷水50部中に、p−ニトロアニリン8.2部、35%塩酸18.8部を加えて、0〜10℃にて30分撹拌した。同温度にて、40%亜硝酸ナトリウム10.9部を添加し、1時間撹拌した。得られた反応液に式(11)の化合物11部を加え、pH2.0〜pH2.5、0〜10℃で2時間、pH3.0〜pH3.5、0〜10℃で2時間反応を実施した。反応終了後、濾過し、水洗することで、式(12)で表される化合物14.0部を得た。
Figure 2021116322
[調製例12]
(工程1)下記式(21)で表される化合物の合成
アセトン30部中に、m−クロロアニリン12.7部、トリエチルアミン10.6部を加えて、30分撹拌した。この液に40℃以下で塩化ベンゾイル14.8部を滴下し、30〜40℃で1時間反応した。反応液を氷水700部に滴下し、濾過、水洗することで、式(21)の化合物34.6部をウエットケーキとして得た。得たウエットケーキを乾燥し、式(21)の化合物22.6部を得た。
Figure 2021116322
(工程2)下記式(22)で表される化合物の合成
脱水THF90部中に、式(21)の化合物22.6部を加えて、30分撹拌した。この液に30℃以下でボラン−THF錯体(0.93mol/l)140部を1時間かけて滴下し、30〜40℃で1時間、50〜60℃で4時間反応した。反応液に水30部を1時間かけて滴下し、1時間撹拌した。この反応液を濃縮することで、式(22)の化合物21.2部を得た。
Figure 2021116322
(工程3)下記式(23)で表される化合物の合成
DMF70部中に、式(22)の化合物21.2部、炭酸カリウム22.7部、ヨードエタン34.7部を加えて、100℃に加熱し、6時間反応させた。60℃に冷却し、得られた反応液に水250部を加え、トルエン200部で3回抽出を行った。得られた有機層を水200部で3回水洗した後、エバポレーターにて、トルエンを留去、乾燥することにより、下記式(23)で表される化合物24.7部を得た。
Figure 2021116322
(工程4)
下記式(24)で表される化合物の合成
氷水50部中に、p−ニトロアニリン8.2部、35%塩酸18.8部を加えて、0〜10℃にて30分撹拌した。同温度にて、40%亜硝酸ナトリウム10.9部を添加し、1時間撹拌した。得られた反応液に式(23)の化合物12.3部を加え、pH2.0〜pH2.5、0〜10℃で2時間、pH3.0〜pH3.5、0〜10℃で2時間反応を実施した。反応終了後、濾過し、水洗することで、式(24)で表される化合物14.7部を得た。
Figure 2021116322
[実施例1]
[着色分散液1の調製]
上記式(14)で表される化合物を15部、TS−1500を4.5部、SM−57を4.5部、プロクセルGXL 0.1部、サーフィノール104PG50を0.2部、イオン交換水 75.7部からなる混合物を、0.2mm径ガラスビーズを用いてサンドミルにて、冷却下、約15時間分散化処理を行った。ガラス繊維濾紙GC−50(ADVANTEC社製、フィルターの孔径0.5μm)で濾過することにより着色分散液1を得た。
[実施例2〜7、比較例1〜2]
[着色分散液2〜9の調製]
表1に示すような上記式(1)で表される化合物の種類、量、及び分散剤の量に変更した以外は、実施例1と同様にして着色分散液2〜9を得た。
下記表1中の略号は、それぞれ以下を表す。
TS−1500:ポリオキシエチレンアリールフェニルエーテル系分散剤(東邦化学工業株式会社製)
SM−57:ポリオキシエチレンアリールフェニルエーテルサルフェート系分散剤(東邦化学工業株式会社製)
JC678:ジョンクリル 678 (BASFジャパン株式会社製)
Figure 2021116322
[インクの調製]
[実施例8]
上記調製例3で得たY54分散液を6部、上記実施例1で得た着色分散液1を25部、上記調製例2で得たB359分散液を6部、調製例5で得たB360分散液8を18部、を混合し、グリセリンを15部、プロピレングリコールを10部、プロクセルGXL(ロンザ社製)を0.1部、BYK−348(ビックケミージャパン製)を0.8部、TEA−80(純正化学株式会社製)を0.1部、メトキシグリコールを5.0部、イオン交換水14.0部を加えて撹拌した後、5μmのフィルターにより濾過して、実施例1のインク1を得た。
[実施例9〜14、比較例3〜7]
表2に示すような着色分散液の種類、量、及びイオン交換水の量に変更した以外は、実施例8と同様にしてインク2〜12を得た。
Figure 2021116322
上記のようにして調製した各着色分散液及びインクを用いて、以下の各評価試験を行った。結果を上記表1、2中に示す。
[インクで印刷した中間記録媒体とそれを用いた昇華転写捺染]
調製した各インクを、インクジェットプリンタ(EPSON株式会社製、商品名PX−504A)に充填し、中間記録媒体としてTRANSJET Eco II 8385(95g/m)を用いて、100%Dutyあるいは25%Dutyの単色ベタ画像を印刷した中間記録媒体をそれぞれ得た。得られた各中間記録媒体のインク付着面とポリエステル布(帝人トロピカル)とを重ね合わせた後、卓上自動平プレス機(アサヒ繊維機械株式会社製:AF−65TEN)を用いて200℃×30秒の条件にて熱処理することによって、昇華転写染色方法により染色された染色物をそれぞれ得た。得られた各染色物について、下記の評価を行った。
[演色性1:D65光源とF2光源の色差]
分光測色計「eXact(X−rite社製)」を用いて、200℃×30秒の条件にて熱処理することによって、昇華転写染色方法により染色された25%Dutyの単色ベタの各染色物の色相L*a*b*を測定した。測色は視野角2°、ステータスIの条件を使用して、D65光源とF2光源における各Lの値を得た。得られた各光源のLの値から色差△ED65−F2を下記(式1)から求め、以下の評価基準に従って評価した。
評価結果を上記表2に示す。

△ED65−F2=[(L D65−L F2+(a D65−a F2+(b D65−b F21/2 (式1)

[評価基準]
A:色差△ED65−F2が1.0以上4.5未満。
B:色差△ED65−F2が4.5以上5.0未満。
C:色差△ED65−F2が5.0以上。

[演色性2:D65光源とA光源の色差]
分光測色計「eXact(X−rite社製)」を用いて、200℃×30秒の条件にて熱処理することによって、昇華転写染色方法により染色された25%Dutyの単色ベタの各染色物の色相L*a*b*を測定した。測色は視野角2°、ステータスIの条件を使用して、D65光源とA光源における各Lの値を得た。得られた各光源のLの値から色差△ED65−Aを下記(式2)から求め、以下の評価基準に従って評価した。
評価結果を上記表2に示す。

△ED65−A=[(L D65−L )+(a D65−a )+(b D65−b )]1/2 (式2)

[評価基準]
A:色差△ED65−Aが1.0以上3.5未満。
B:色差△ED65−Aが3.5以上4.0未満。
C:色差△ED65−Aが4.0以上。

[発色性:シグマK/S値]
分光測色計「eXact(X−rite社製)」を用いて、200℃×30秒の条件にて熱処理することによって、昇華転写染色方法により染色された100%Dutyの単色ベタの各染色物の染色濃度を測定した。測色はD65光源、視野角2°、ステータスIの条件で行った。各染色布の400〜700nmにおける反射率Rラムダを測色し、Kubelka−Munkの式:K/S=(1−Rラムダ)2/2RラムダによりK/S値を算出した。そして、各波長におけるK/S値の合計であるシグマK/S値を算出し、以下の基準で染色濃度を評価した。シグマK/S値が大きい方が、染色濃度が高いことを示すため、品質が優れる。
評価結果を上記表2に示す。
[評価基準]
A:シグマK/S値が470以上
B:シグマK/S値が450以上470未満
C:シグマK/S値が430以上450未満
[再分散性]
上記各実施例、及び比較例の着色分散液、インクをそれぞれガラスシャーレの上に25μLの滴下のせ、60℃の恒温恒湿機で1時間乾燥させた。
乾燥後、室温で10mLのイオン交換水を滴下し、再分散するか否かを目視にて観察し、下記4段階の基準で評価した。
残渣が無くあるいは少なく再分散するインクほど、乾燥後の目詰まりを解消し易いため優れている。A、B又はCの場合、再分散性は良好と、Dの場合、不良と評価した。結果を上記表1、2に示す。
[評価基準]
A:残渣無く、全てが再分散した。
B:残渣が少し残るが、ほとんどが再分散している。
C:残渣は多く残るが、多少再分散している。
D:まったく再分散しない。
上記表2の結果から明らかなように、実施例1〜7の着色分散液は比較例1、2の着色分散液に対し、再分散性に優れる。また、上記表3の結果から明らかなように、実施例1〜7の着色分散液を用いた実施例8〜14のインクは、比較例3〜7のインクに比べ、再分散性に優れ、なおかつ演色性と発色性も高く、高品位の黒色を示していることが分かる。また、本発明に係る式(1)で表される染料を含む着色分散液は、転写効率が高く、染色濃度が高い優れた色調の染色物が得られることから、各種記録用インク、特にインクジェット捺染用インクとして極めて有用であることを示している。
本発明の着色分散液は、再分散性に優れ、昇華転写効率が高く、高い染色濃度が得られる。また、演色性にも優れる染色物を得ることがき、各種捺染用インク、特にインクジェット捺染用インクとして要求される印刷適性を保つ事ができるため、とりわけ昇華転写用インクジェット捺染用ブラックインクとして極めて有用である。

Claims (9)

  1. (A)下記式(1)で表される化合物、(B)ポリオキシエチレンアリールフェニルエーテル系分散剤及びポリオキシエチレンアリールフェニルエーテルサルフェート系分散剤、を含む着色分散液。
    Figure 2021116322
    (式(1)中、Rは水素原子またはニトロ基を示す。R、Rはそれぞれ独立に、C1〜C4アルコキシ基またはフェニル基で置換されても良い、C1〜C4アルキル基を示す。Rはハロゲン原子を示す。また、RとRは互いに連結して環を形成しても良い。)
  2. 上記式(1)におけるRが塩素原子または臭素原子である、請求項1に記載の着色分散液。
  3. 上記式(1)におけるRが水素原子、R、Rがそれぞれ独立に、C1〜C4アルコキシ基で置換されても良いC1〜C4アルキル基、Rが塩素原子である、請求項1に記載の着色分散液。
  4. さらに水溶性有機溶剤を含む請求項1〜3のいずれか一項に記載の着色分散液。
  5. イエロー染料を1種と、アセトンに溶解した溶液の紫外可視分光吸収において、620nm以上700nm未満の波長域に極大吸収波長を有するブルー染料を1種と、アセトンに溶解した溶液の紫外可視分光吸収において、550nm以上620nm未満の波長域に極大吸収波長を有するブルー染料を1種と、をさらに含む請求項1〜4のいずれか一項に記載の着色分散液。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の着色分散液が付着した記録メディア。
  7. 上記記録メディアが繊維である、請求項6に記載の記録メディア。
  8. 上記繊維が、疎水性繊維である請求項7に記載の記録メディア。
  9. 上記疎水性繊維が、ポリエステル又はポリエステルを含有する混紡繊維である、請求項8に記載の記録メディア。
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