JP2021116314A - 粘接着剤組成物 - Google Patents

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穂奈美 山根
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Abstract

【課題】保持力および剥離強度の高い粘接着剤組成物を提供すること。【解決手段】芳香族ビニル化合物由来の構造単位を有する重合体と、粘着付与樹脂とを含有する粘接着剤組成物であって、前記重合体が、前記芳香族ビニル化合物由来の構造単位として、単環の芳香族炭化水素および単環の芳香族複素環からなる群から選ばれる単環を少なくとも2つ有する多環芳香族ビニル単量体から構成される多環芳香族ビニル単量体単位を有する粘接着剤組成物が提供される。【選択図】なし

Description

本発明は、粘接着剤組成物に関するものである。
ホットメルト粘接着剤は、短時間で固化することから、種々の製品を効率的に接着させることが可能であり、しかも、溶剤を必要としないことから、人体への安全性が高い粘接着剤であるので、様々な分野で用いられている。たとえば、食品、衣料、電子機器、化粧品などの紙、ダンボール、フィルムの包装用の封緘用接着剤、紙おむつや生理用品などの衛生用品を製造する際には、それらを構成するための部材を接着させるための接着剤として、また、粘着テープやラベルの粘着層を構成する粘着剤として、ホットメルト粘接着剤が使用されている。
ホットメルト粘接着剤として、たとえば、特許文献1では、芳香族ビニル重合体ブロックおよび共役ジエン重合体ブロックを有する特定のブロック共重合体、および、特定の石油樹脂を含有するホットメルト粘接着剤組成物が提案されている。一方で、粘接着剤用途に用いた場合に重要となる保持力および剥離強度のさらなる向上が望まれている。
また、特許文献2には、イソプロペニルナフタレンから成る末端ブロック、少なくとも1種の共役ジオレフィンのポリマーから成る中央ブロック、及び、ビニルナフタレン、スチレン、及び環置換アルキルスチレンブロックより成る群から選ばれる少なくとも一員のポリマーから成る第2の末端ブロックから構成されるトリブロックポリマーが開示されている。一方で、特許文献2によれば、このようなポリマーを粘接着剤用途に用いることについては、全く開示されておらず、粘接着剤用途に用いた場合に重要となる保持力および剥離強度についても、全く検討されていない。
特開2019−178241号公報 特開昭63−77913号公報
本発明は、このような実状に鑑みてなされたものであり、保持力および剥離強度の高い粘接着剤組成物を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記目的を達成すべく検討を行ったところ、特定の多環芳香族ビニル単量体単位を有する重合体と、粘着付与樹脂とを含有する粘接着剤組成物によれば、高い保持力および剥離強度を実現できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明によれば、芳香族ビニル化合物由来の構造単位を有する重合体と、粘着付与樹脂とを含有する粘接着剤組成物であって、前記重合体が、前記芳香族ビニル化合物由来の構造単位として、単環の芳香族炭化水素および単環の芳香族複素環からなる群から選ばれる単環を少なくとも2つ有する多環芳香族ビニル単量体から構成される多環芳香族ビニル単量体単位を有する粘接着剤組成物が提供される。
本発明の粘接着剤組成物において、前記重合体が、共役ジエン単量体単位をさらに有することが好ましい。
本発明の粘接着剤組成物において、前記重合体が、前記多環芳香族ビニル単量体単位を有する多環芳香族ビニル重合体ブロックと、前記共役ジエン単量体単位を有する共役ジエン重合体ブロックとを有するブロック共重合体であることが好ましい。
本発明の粘接着剤組成物において、前記粘着付与樹脂の軟化点が、70〜140℃であることが好ましい。
本発明の粘接着剤組成物において、可塑剤をさらに含有することが好ましい。
本発明の粘接着剤組成物は、ホットメルト粘接着剤組成物であることが好ましい。
本発明によれば、保持力および剥離強度の高い粘接着剤組成物を提供することができる。
本発明の粘接着剤組成物は、芳香族ビニル化合物由来の構造単位を有する重合体と、粘着付与樹脂とを含有し、
前記重合体が、前記芳香族ビニル化合物由来の構造単位として、単環の芳香族炭化水素および単環の芳香族複素環からなる群から選ばれる単環を少なくとも2つ有する多環芳香族ビニル単量体から構成される多環芳香族ビニル単量体単位を有するものである。
以下、本発明の粘接着剤組成物の各成分について説明する。
<芳香族ビニル化合物由来の構造単位を有する重合体>
本発明で用いる芳香族ビニル化合物由来の構造単位を有する重合体は、芳香族ビニル化合物由来の構造単位として、単環の芳香族炭化水素および単環の芳香族複素環からなる群から選ばれる単環を少なくとも2つ有する多環芳香族ビニル単量体から構成される多環芳香族ビニル単量体単位を有するものである。
多環芳香族ビニル単量体単位を構成するために用いられる多環芳香族ビニル単量体としては、単環の芳香族炭化水素および単環の芳香族複素環からなる群から選ばれる単環を少なくとも2つ有するものである。なお、本発明で用いる多環芳香族ビニル単量体は、単環の芳香族炭化水素のみを2つ以上有していても、単環の芳香族複素環のみを2つ以上有していても、単環の芳香族炭化水素と単環の芳香族複素環とを、それぞれ1つ以上ずつ有していてもよい。また、多環芳香族ビニル単量体単位中に2つ以上存在する単環は、縮合することで縮合環を形成していてもよいし、縮合環を形成しないものであってもよいが、得られる粘接着剤組成物の保持力および剥離強度をより高めることができるという観点より、2つ以上存在する単環は縮合して存在することが好ましい。
多環芳香族ビニル単量体を構成する、単環の芳香族炭化水素としては、たとえば、ベンゼン環、および置換基を有するベンゼン環等が挙げられる。また、置換基としては、メチル基、プロピル基、t−ブチル基等のアルキル基、フッ素、塩素、臭素等のハロゲン基等が挙げられる。
また、多環芳香族ビニル単量体を構成する、単環の芳香族複素環としては、たとえば、オキサジアゾール環、オキサゾール環、オキサゾロピラジン環、オキサゾロピリジン環、オキサゾロピリダジル環、オキサゾロピリミジン環、チアジアゾール環、チアゾール環、トリアジン環、ピラノン環、ピラン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピロール環等が挙げられる。
多環芳香族ビニル単量体としては、特に限定されないが、たとえば、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン、1,1−ジフェニルエチレン等が挙げられる。これらの中でも、得られる粘接着剤組成物の保持力および剥離強度をより高めることができるという観点より、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレンが好ましく、2−ビニルナフタレンがより好ましい。
また、本発明で用いる芳香族ビニル化合物由来の構造単位を有する重合体は、多環芳香族ビニル単量体単位を少なくとも含有するものであればよいが、多環芳香族ビニル単量体単位に加えて、共役ジエン単量体単位をさらに有するものであることが好ましい。
多環芳香族ビニル単量体単位および共役ジエン単量体単位を有する重合体としては、多環芳香族ビニル単量体と、共役ジエン単量体と、必要に応じて用いられるこれらと共重合し得る他の単量体とのランダム、ブロック、グラフト等の共重合体、およびこのような共重合体の水添物等が挙げられる。これらの中でも、得られる粘接着剤組成物の保持力および剥離強度をより高めることができるという観点より、多環芳香族ビニル単量体単位を有する多環芳香族ビニル重合体ブロックと、共役ジエン単量体単位を有する共役ジエン重合体ブロックとを有するブロック共重合体であることが好ましい。
本発明においては、このような多環芳香族ビニル重合体ブロックと共役ジエン重合体ブロックとを有するブロック共重合体として、下記一般式(I)で表されるブロック共重合体Aや、下記一般式(II)で表されるブロック共重合体Bを好適に用いることができ、中でも、下記一般式(I)で表されるブロック共重合体Aを用いることが好ましい。
Ar1−D1−Ar2 (I)
Ar3−D2 (II)
(上記一般式(1)、(II)中、Ar1、Ar2、およびAr3は、多環芳香族ビニル重合体ブロックであり、D1およびD2は、共役ジエン重合体ブロックである。)
ブロック共重合体Aは、下記一般式(I)で表される2つの多環芳香族ビニル重合体ブロックと、1つの共役ジエン重合体ブロックとを有するトリブロック共重合体である。
Ar1−D1−Ar2 (I)
(上記一般式(I)中、Ar1およびAr2は、それぞれ多環芳香族ビニル重合体ブロックであり、D1は、共役ジエン重合体ブロックである。)
ブロック共重合体Aを構成する多環芳香族ビニル重合体ブロックAr1は、多環芳香族ビニル単量体単位を主たる構成単位とする重合体ブロックである。多環芳香族ビニル単量体単位を構成するために用いられる多環芳香族ビニル単量体としては、上述したものを用いることができる。
多環芳香族ビニル重合体ブロックAr1は、多環芳香族ビニル単量体単位以外の単量体単位を含んでいてもよい。多環芳香族ビニル重合体ブロックAr1に含まれ得る多環芳香族ビニル単量体単位以外の単量体単位を構成する単量体としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン,1,3−ペンタジエン等の共役ジエン単量体;スチレン、α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン等の単環芳香族ビニル単量体;が例示される。多環芳香族ビニル重合体ブロックAr1における多環芳香族ビニル単量体単位以外の単量体単位の含有量は、20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、実質的に0質量%であることが特に好ましい。すなわち、多環芳香族ビニル重合体ブロックAr1における多環芳香族ビニル単量体単位の含有量は、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、実質的に100質量%であることが特に好ましい。
多環芳香族ビニル重合体ブロックAr1の重量平均分子量(Mw(Ar1))は、特に限定されないが5,000〜100,000の範囲内であることが好ましく、6,000〜50,000の範囲内であることがより好ましく、7,000〜30,000の範囲内であることがさらに好ましく、8,000〜16,000の範囲内であることが特に好ましい。Mw(Ar1)を上記範囲とすることにより、得られる粘接着剤組成物の保持力および剥離強度をより高めることができる。
なお、本発明において、各重合体ブロック、ブロック共重合体およびブロック共重合体組成物の重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーの測定による、ポリスチレン換算の値として求めることができる。
ブロック共重合体Aを構成する共役ジエン重合体ブロックD1は、共役ジエン単量体単位を主たる構成単位とする重合体ブロックである。共役ジエン単量体単位を構成するために用いられる共役ジエン単量体としては、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)等の鎖状共役ジエン化合物が挙げられる。これらの中でも、得られる粘接着剤組成物の保持力および剥離強度をより高めるという観点より、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)が好ましい。
共役ジエン重合体ブロックD1は、共役ジエン単量体単位以外の単量体単位を含んでいてもよい。共役ジエン重合体ブロックD1に含まれ得る共役ジエン単量体単位以外の単量体単位を構成する単量体としては、スチレン、α−メチルスチレンなどの芳香族ビニル単量体、α,β−不飽和ニトリル単量体、不飽和カルボン酸または酸無水物単量体、不飽和カルボン酸エステル単量体、非共役ジエン単量体が例示される。共役ジエン重合体ブロックD1における共役ジエン単量体単位以外の単量体単位の含有量は、20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、実質的に0質量%であることが特に好ましい。すなわち、共役ジエン重合体ブロックD1における共役ジエン単量体単位の含有量は、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、実質的に100質量%であることが特に好ましい。
共役ジエン重合体ブロックD1の重量平均分子量(Mw(D1))は、特に限定されないが、20,000〜450,000の範囲内であることが好ましく、30,000〜400,000の範囲内であることがより好ましく、40,000〜350,000の範囲内であることがさらに好ましく、50,000〜300,000の範囲内であることが特に好ましい。Mw(D1)を上記範囲とすることにより、得られる粘接着剤組成物の保持力および剥離強度をより高めることができる。
ブロック共重合体Aを構成する、共役ジエン重合体ブロックD1のビニル結合含有量(全共役ジエン単量体単位において、1,2−ビニル結合と3,4−ビニル結合が占める割合)は、好ましくは1〜20モル%であり、より好ましくは2〜15モル%であり、さらに好ましくは3〜10モル%である。ビニル結合含有量を上記範囲とすることにより、得られる粘接着剤組成物の保持力および剥離強度をより高めることができる。
ブロック共重合体Aを構成する多環芳香族ビニル重合体ブロックAr2は、多環芳香族ビニル単量体単位を主たる構成単位とする重合体ブロックである。多環芳香族ビニル重合体ブロックAr2の多環芳香族ビニル単量体単位を構成するために用いられる多環芳香族ビニル単量体としては、上記多環芳香族ビニル重合体ブロックAr1と同様のものが挙げられる。
また、多環芳香族ビニル重合体ブロックAr2は、多環芳香族ビニル単量体単位以外の単量体単位を含んでいてもよく、多環芳香族ビニル重合体ブロックAr2に含まれ得る多環芳香族ビニル単量体単位以外の単量体単位を構成する単量体としては、上記多環芳香族ビニル重合体ブロックAr1と同様のものが挙げられ、その含有量も同様とすることができる。
多環芳香族ビニル重合体ブロックAr2の重量平均分子量(Mw(Ar2))は、ブロック共重合体Aを構成する多環芳香族ビニル重合体ブロックAr1の重量平均分子量(Mw(Ar1))より大きくてもよく、Mw(Ar1)と同程度であってもよい。本発明においては、多環芳香族ビニル重合体ブロックAr2の重量平均分子量(Mw(Ar2))の多環芳香族ビニル重合体ブロックAr1の重量平均分子量(Mw(Ar1))に対する比(Mw(Ar2)/Mw(Ar1)))が、0.14〜7の範囲内であることが好ましく、0.2〜5の範囲内であることがより好ましく、0.25〜4の範囲内であることがさらに好ましく、0.3〜3の範囲内であることが特に好ましい。上記重量平均分子量の比を上記範囲とすることにより、得られる粘接着剤組成物の保持力および剥離強度をより高めることができる。
多環芳香族ビニル重合体ブロックAr2の重量平均分子量(Mw(Ar2))は、特に限定されないが、5,000〜120,000の範囲内であることが好ましく、7,000〜100,000の範囲内であることがより好ましく、8,000〜48,000の範囲内であることがさらに好ましい。Mw(Ar2)を上記範囲とすることにより、得られる粘接着剤組成物の保持力および剥離強度をより高めることができる。
ブロック共重合体Aは、上述した多環芳香族ビニル重合体ブロックAr1、共役ジエン重合体ブロックD1、および多環芳香族ビニル重合体ブロックAr2からなるトリブロック共重合体であり、その重量平均分子量(Mw(A))は、70,000〜600,000の範囲内であることが好ましく、80,000〜550,000の範囲内であることがより好ましく、90,000〜500,000の範囲内であることがさらに好ましく、100,000〜450,000の範囲内であることがさらにより好ましく、150,000〜400,000の範囲内であることが特に好ましい。ブロック共重合体Aの重量平均分子量(Mw(A))を上記範囲とすることにより、得られる粘接着剤組成物の保持力および剥離強度をより高めることができる。
ブロック共重合体Aのピークトップ分子量(Mp(A))は、70,000〜600,000の範囲内であることが好ましく、80,000〜550,000の範囲内であることがより好ましく、90,000〜500,000の範囲内であることがさらに好ましく、100,000〜450,000の範囲内であることがさらにより好ましく、150,000〜400,000の範囲内であることが特に好ましい。ブロック共重合体Aのピークトップ分子量(Mp(A))を上記範囲とすることにより、得られる粘接着剤組成物の保持力および剥離強度をより高めることができる。
ブロック共重合体A中における、多環芳香族ビニル単量体単位含有量(ブロック共重合体を構成する全単量体単位に対する、多環芳香族ビニル単量体単位が占める割合)は、5〜60質量%の範囲内であることが好ましく、7〜55質量%の範囲内であることがより好ましく、8〜50質量%の範囲内であることがさらに好ましく、10〜30質量%の範囲内であることが特に好ましい。多環芳香族ビニル単量体単位含有量を上記範囲とすることにより、得られる粘接着剤組成物の保持力および剥離強度をより高めることができる。
なお、本発明においては、ブロック共重合体Aとして、実質的に単一の構成を有する1種のブロック共重合体Aのみからなるものであってもよいし、実質的に相異なる構成を有する2種以上のブロック共重合体Aによって構成されたものであってもよい。
ブロック共重合体Bは、下記一般式(II)で表わされる、1つの多環芳香族ビニル重合体ブロックと、1つの共役ジエン重合体ブロックとを有するジブロック共重合体である。
Ar3−D2 (II)
(上記一般式(II)中、Ar3は多環芳香族ビニル重合体ブロックであり、D2は共役ジエン重合体ブロックである。)
ブロック共重合体Bを構成する多環芳香族ビニル重合体ブロックAr3は、多環芳香族ビニル単量体単位を主たる構成単位とする重合体ブロックである。多環芳香族ビニル重合体ブロックAr3の多環芳香族ビニル単量体単位を構成するために用いられる多環芳香族ビニル単量体としては、上記ブロック共重合体Aを構成する多環芳香族ビニル重合体ブロックAr1と同様のものが挙げられる。
また、多環芳香族ビニル重合体ブロックAr3は、多環芳香族ビニル単量体単位以外の単量体単位を含んでいてもよく、多環芳香族ビニル重合体ブロックAr3に含まれ得る多環芳香族ビニル単量体単位以外の単量体単位を構成する単量体としては、上記ブロック共重合体Aを構成する多環芳香族ビニル重合体ブロックAr1と同様のものが挙げられ、その含有量も同様とすることできる。
本発明においては、多環芳香族ビニル単量体単位および共役ジエン単量体単位を有する重合体として、ブロック共重合体Aとブロック共重合体Bとを組み合わせて用いる場合、ブロック共重合体Bの多環芳香族ビニル重合体ブロックAr3を構成する単量体単位を形成するために用いられる単量体の種類が、上記ブロック共重合体Aの多環芳香族ビニル重合体ブロックAr1を構成する単量体単位を形成するために用いられる単量体の種類と同じであることが好ましく、また、ブロック共重合体Bの多環芳香族ビニル重合体ブロックAr3を形成する各単量体単位の含有割合が、上記ブロック共重合体Aの多環芳香族ビニル重合体ブロックAr1を構成する各単量体単位の含有割合と実質的に同一であることが好ましい。ブロック共重合体Bの多環芳香族ビニル重合体ブロックAr3を構成する単量体単位と、ブロック共重合体Aの多環芳香族ビニル重合体ブロックAr1を構成する単量体単位とが実質的に同一であることにより、ブロック共重合体Aと、ブロック共重合体Bとの相溶性を高めることができ、これにより、得られる粘接着剤組成物の保持力および剥離強度をより高めることができる。
また、ブロック共重合体Bの多環芳香族ビニル重合体ブロックAr3は、その重量平均分子量(Mw(Ar3))が、ブロック共重合体Aの多環芳香族ビニル重合体ブロックAr1の重量平均分子量(Mw(Ar1))と実質的に同一であることが好ましい。なお、この際において、Mw(Ar3)と、Mw(Ar1)とが実質的に同じであると判断できるような関係にあればよいが、これらの重量平均分子量の比(Mw(Ar3)/Mw(Ar1))が、0.95〜1.05の範囲内であることが好ましく、0.98〜1.02の範囲内であることがより好ましく、1.00であることが特に好ましい。Mw(Ar3)と、Mw(Ar1)とが実質的に同一であることにより、ブロック共重合体Aと、ブロック共重合体Bとの相溶性を高めることができ、これにより、得られる粘接着剤組成物の保持力および剥離強度をより高めることができる。
ブロック共重合体Bを構成する共役ジエン重合体ブロックD2は、共役ジエン単量体単位を主たる構成単位とする重合体ブロックである。共役ジエン重合体ブロックD2の共役ジエン単量体単位を構成するために用いられる共役ジエン単量体としては、上記ブロック共重合体Aを構成する共役ジエン重合体ブロックD1と同様のものが挙げられる。
また、共役ジエン重合体ブロックD2は、共役ジエン単量体単位以外の単量体単位を含んでいてもよく、共役ジエン重合体ブロックD2に含まれ得る共役ジエン単量体単位以外の単量体単位を構成する単量体としては、上記ブロック共重合体Aを構成する共役ジエン重合体ブロックD1と同様のものが挙げられ、その含有量も同様とすることできる。
本発明においては、多環芳香族ビニル単量体単位および共役ジエン単量体単位を有する重合体として、ブロック共重合体Aとブロック共重合体Bとを組み合わせて用いる場合、ブロック共重合体Bの共役ジエン重合体ブロックD2を構成する単量体単位を形成するために用いられる単量体の種類が、上記ブロック共重合体Aの共役ジエン重合体ブロックD1を構成する単量体単位を形成するために用いられる単量体の種類と同じであることが好ましく、また、ブロック共重合体Bの共役ジエン重合体ブロックD2を形成する各単量体単位の含有割合が、上記ブロック共重合体Aの共役ジエン重合体ブロックD1を構成する各単量体単位の含有割合と実質的に同一であることが好ましい。ブロック共重合体Bの共役ジエン重合体ブロックD2を構成する単量体単位と、ブロック共重合体Aの共役ジエン重合体ブロックD1を構成する単量体単位とが実質的に同一であることにより、ブロック共重合体Aと、ブロック共重合体Bとの相溶性を高めることができ、これにより、得られる粘接着剤組成物の保持力および剥離強度をより高めることができる。
ブロック共重合体Bは、上述した多環芳香族ビニル重合体ブロックAr3、および共役ジエン重合体ブロックD2からなるジブロック共重合体であり、その重量平均分子量(Mw(B))、すなわち、ブロック共重合体B全体の重量平均分子量は、30,000〜400,000の範囲内であることが好ましく、35,000〜350,000の範囲内であることがより好ましく、40,000〜300,000の範囲内であることがさらに好ましく、45,000〜250,000の範囲内であることがさらにより好ましく、50,000〜200,000の範囲内であることが特に好ましい。ブロック共重合体Bの重量平均分子量(Mw(B))を上記範囲とすることにより、得られる粘接着剤組成物の保持力および剥離強度をより高めることができる。
ブロック共重合体Bの多環芳香族ビニル単量体単位含有量(ブロック共重合体Bを構成する全単量体単位に対する、多環芳香族ビニル単量体単位が占める割合)は、2〜50質量%の範囲内であることが好ましく、3〜45質量%の範囲内であることがより好ましく、4〜40質量%の範囲内であることがさらに好ましく、5〜35質量%であることが特に好ましい。多環芳香族ビニル単量体単位含有量を上記範囲とすることにより、得られる粘接着剤組成物の保持力および剥離強度をより高めることができる。
なお、本発明においては、ブロック共重合体Bとしては、実質的に単一の構成を有する1種のブロック共重合体Bのみからなるものであってもよいし、実質的に相異なる構成を有する2種以上のブロック共重合体Bによって構成されたものであってもよい。
また、本発明においては、ブロック共重合体Bが、ブロック共重合体Aを調製する際に、ブロック共重合体Aとともに、調製されたものとすることができる。具体的には、後述する製造方法において詳述するように、まず、ブロック共重合体Bを得た後、得られたブロック共重合体Bのうち一部について、さらに多環芳香族ビニル重合体ブロックAr2を結合させることで、ブロック共重合体Aを得るという方法により、ブロック共重合体Bと、ブロック共重合体Aとが同時に調製されたものとすることができる。
なお、本発明においては、多環芳香族ビニル単量体単位および共役ジエン単量体単位を有する重合体として、上述したブロック共重合体A、ブロック共重合体B、ブロック共重合体Aとブロック共重合体Bとを含有するブロック共重合体組成物等を用いることができる。このような、ブロック共重合体Aまたはブロック共重合体Bを用いる場合において、重合体成分は、ブロック共重合体Aまたはブロック共重合体Bのみからなるものであってもよいが、ブロック共重合体Aおよびブロック共重合体B以外の重合体を含んでいてもよい。また、ブロック共重合体Aとブロック共重合体Bとを含有するブロック共重合体組成物を用いる場合において、重合体成分は、ブロック共重合体Aおよびブロック共重合体Bのみからなるものであってもよいが、ブロック共重合体Aおよびブロック共重合体B以外の重合体を含んでいてもよい。このような、ブロック共重合体Aおよびブロック共重合体B以外の重合体の例としては、ブロック共重合体Aと異なる構成を有する芳香族ビニル−共役ジエン−芳香族ビニルトリブロック共重合体や放射状芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。重合体成分において、ブロック共重合体Aおよびブロック共重合体B以外の重合体が占める量は、20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましい。
また、ブロック共重合体A、ブロック共重合体B、および場合によって含有されうるブロック共重合体Aおよびブロック共重合体B以外の重合体を含む重合体成分において、当該重合体成分全体に対して多環芳香族ビニル単量体単位が占める割合(以下の記載において、「全体の多環芳香族ビニル単量体単位含有量」という場合がある)は、得られる粘接着剤組成物の保持力および剥離強度をより高めることができるという観点より、7〜50質量%の範囲内であることが好ましく、8〜40質量%の範囲内であることがより好ましく、9〜37質量%の範囲内であることがさらに好ましく、10〜35質量%の範囲内であることが特に好ましい。
この全体の多環芳香族ビニル単量体単位含有量は、重合体成分を構成する各重合体の多環芳香族ビニル単量体単位含有量を勘案し、各重合体の配合量を調節することにより、容易に調節することが可能である。なお、全ての重合体成分が、多環芳香族ビニル単量体単位および共役ジエン単量体単位のみにより構成されている場合であれば、Rubber Chem. Technol.,45,1295(1972)に記載された方法に従って、各重合体をオゾン分解し、次いで水素化リチウムアルミニウムにより還元すれば、共役ジエン単量体単位部分が分解され、多環芳香族ビニル単量体単位部分のみを取り出せるので、容易に全体の多環芳香族ビニル単量体単位含有量を測定することができる。
また、重合体成分全体としての重量平均分子量(Mw)、すなわち、上述したブロック共重合体A、ブロック共重合体B、および場合によって含有されうるブロック共重合体Aおよびブロック共重合体B以外の重合体からなる重合体成分全体の重量平均分子量は、70,000〜500,000の範囲内であることが好ましく、75,000〜450,000の範囲内であることがより好ましく、80,000〜400,000の範囲内であることがさらに好ましい。
上述したブロック共重合体Aは、常法にしたがって製造することが可能であり、最も一般的な製造法としては、多環芳香族ビニル単量体、共役ジエン単量体、次いで多環芳香族ビニル単量体の順に逐次的に重合して重合体ブロックを形成する方法を挙げることができる。また、アニオンリビング重合法により、多環芳香族ビニル単量体、および共役ジエン単量体の順に逐次的に重合して重合体ブロックを形成し、カップリング剤を反応させてカップリングを行う方法を用いてもよい。また、この際に、多環芳香族ビニル単量体、および共役ジエン単量体以外の単量体を重合させる場合には、このような単量体は、多環芳香族ビニル単量体、あるいは、共役ジエン単量体とともに重合系に添加し、共重合させる方法を採用すればよい。
多環芳香族ビニル単量体、共役ジエン単量体、次いで多環芳香族ビニル単量体の順に逐次的に重合して重合体ブロックを形成する方法としては、たとえば、下記の(1)〜(4)の工程からなる製造方法を好適に挙げることができる。
(1):溶媒中で重合開始剤を用いて、多環芳香族ビニル単量体を重合する工程
(2):上記(1)の工程で得られる活性末端を有する多環芳香族ビニル重合体を含有する溶液に、共役ジエン単量体を添加する工程
(3):上記(2)の工程で得られる溶液に、多環芳香族ビニル単量体を添加し、ブロック共重合体Aを形成する工程
(4):上記(3)の工程で得られる溶液から、重合体成分を回収する工程
上記の製造方法では、まず、溶媒中で重合開始剤を用いて、多環芳香族ビニル単量体を重合する(工程(1))。用いられる重合開始剤としては、一般的に多環芳香族ビニル単量体と共役ジエン単量体とに対し、アニオン重合活性があることが知られている有機アルカリ金属化合物、有機アルカリ土類金属化合物、有機ランタノイド系列希土類金属化合物などを用いることができる。有機アルカリ金属化合物としては、分子中に1個以上のリチウム原子を有する有機リチウム化合物が特に好適に用いられ、その具体例としては、エチルリチウム、n−プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、ヘキシルリチウム、フェニルリチウム、スチルベンリチウム、ジアルキルアミノリチウム、ジフェニルアミノリチウム、ジトリメチルシリルアミノリチウムなどの有機モノリチウム化合物や、メチレンジリチウム、テトラメチレンジリチウム、ヘキサメチレンジリチウム、イソプレニルジリチウム、1,4−ジリチオ−エチルシクロヘキサンなどの有機ジリチウム化合物、さらには、1,3,5−トリリチオベンゼンなどの有機トリリチウム化合物などが挙げられる。これらのなかでも、有機モノリチウム化合物が特に好適に用いられる。
重合開始剤として用いる有機アルカリ土類金属化合物としては、たとえば、n−ブチルマグネシウムブロミド、n−ヘキシルマグネシウムブロミド、エトキシカルシウム、ステアリン酸カルシウム、t−ブトキシストロンチウム、エトキシバリウム、イソプロポキシバリウム、エチルメルカプトバリウム、t−ブトキシバリウム、フェノキシバリウム、ジエチルアミノバリウム、ステアリン酸バリウム、エチルバリウムなどが挙げられる。また、他の重合開始剤の具体例としては、ネオジム、サマリニウム、ガドリニウムなどを含むランタノイド系列希土類金属化合物/アルキルアルミニウム/アルキルアルミニウムハライド/アルキルアルミニウムハイドライドからなる複合触媒や、チタン、バナジウム、サマリニウム、ガドリニウムなどを含むメタロセン型触媒などの有機溶媒中で均一系となり、リビング重合性を有するものなどが挙げられる。なお、これらの重合開始剤は、1種類を単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
重合開始剤の使用量は、目的とする分子量に応じて決定すればよく、特に限定されないが、使用する全単量体100gあたり、好ましくは0.01〜20ミリモル、より好ましくは0.05〜15ミリモル、さらに好ましくは0.1〜10ミリモルである。
重合に用いる溶媒は、重合開始剤に不活性なものであれば特に限定されるものではなく、たとえば、鎖状炭化水素溶媒、環式炭化水素溶媒またはこれらの混合溶媒が使用される。鎖状炭化水素溶媒としてはn−ブタン、イソブタン、1−ブテン、イソブチレン、トランス−2−ブテン、シス−2−ブテン、1−ペンテン、トランス−2−ペンテン、シス−2−ペンテン、n−ペンタン、イソペンタン、neo−ペンタン、n−ヘキサンなどの、炭素数4〜6の鎖状アルカンおよびアルケンを例示することができる。また、環式炭化水素溶媒の具体例としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族化合物;シクロペンタン、シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素化合物;を挙げることができる。これらの溶媒は、1種類を単独で使用しても2種以上を混合して使用してもよい。
重合に用いる溶媒の量は、特に限定されないが、重合反応後の溶液における全ブロック共重合体の濃度が、好ましくは5〜60質量%、より好ましくは10〜55質量%、さらに好ましくは15〜50質量%になるように設定する。
また、各重合体ブロックの構造を制御するために、重合に用いる反応器にルイス塩基化合物を添加してもよい。このルイス塩基化合物としては、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテルなどのエーテル類;N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、キヌクリジンなどの第三級アミン類;カリウム−t−アミルオキシド、カリウム−t−ブチルオキシドなどのアルカリ金属アルコキシド類;トリフェニルホスフィンなどのホスフィン類などが挙げられる。これらのルイス塩基化合物は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられ、本発明の目的を損なわない範囲で適宜選択される。
重合反応時にルイス塩基化合物を添加する時期は特に限定されず、目的とする各ブロック共重合体の構造に応じて適宜決定すればよい。たとえば、重合を開始する前に予め添加してもよいし、一部の重合体ブロックを重合してから添加してもよく、さらには、重合を開始する前に予め添加した上で一部の重合体ブロックを重合した後さらに添加してもよい。
重合反応温度は、好ましくは10〜150℃、より好ましくは15〜130℃、さらに好ましくは20〜90℃である。重合に要する時間は条件によって異なるが、好ましくは48時間以内、より好ましくは0.5〜10時間である。重合圧力は、上記重合温度範囲で単量体および溶媒を液相に維持するのに充分な圧力の範囲で行えばよく、特に限定されない。
以上のような条件で、溶媒中で重合開始剤を用いて、多環芳香族ビニル単量体を重合することにより、活性末端を有する多環芳香族ビニル重合体を含有する溶液を得ることができる。この活性末端を有する多環芳香族ビニル重合体は、ブロック共重合体Aの多環芳香族ビニル重合体ブロックAr1を構成することとなるものである。したがって、この際用いる多環芳香族ビニル単量体の量は、多環芳香族ビニル重合体ブロックAr1の目的とする重量平均分子量に応じて決定される。
次の工程は、以上のようにして得られる活性末端を有する多環芳香族ビニル重合体を含有する溶液に、共役ジエン単量体を添加する工程である(工程(2))。この共役ジエン単量体の添加により、活性末端から共役ジエン重合体鎖が形成され、活性末端を有する多環芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体を含有する溶液が得られる。この際用いる共役ジエン単量体の量は、得られる共役ジエン重合体鎖が、目的とするブロック共重合体Aの共役ジエン重合体ブロックD1の重量平均分子量を有するように決定される。
次の工程では、以上のようにして得られる溶液に、多環芳香族ビニル単量体を添加する(工程(3))。溶液に多環芳香族ビニル単量体を添加すると、活性末端を有する多環芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体の末端から、多環芳香族ビニル重合体鎖が形成される。この多環芳香族ビニル重合体鎖は、ブロック共重合体Aの多環芳香族ビニル重合体ブロックAr2を構成することとなるものである。したがって、この際用いる多環芳香族ビニル単量体の量は、多環芳香族ビニル重合体ブロックAr2の目的とする重量平均分子量に応じて決定される。この多環芳香族ビニル単量体を添加する工程により、ブロック共重合体Aを構成することとなる、多環芳香族ビニル−共役ジエン−多環芳香族ビニルトリブロック共重合体が形成され、その結果、ブロック共重合体Aを含有する溶液が得られる。なお、この多環芳香族ビニル単量体を添加する工程の前に、活性末端を有する多環芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体を含む溶液に、共役ジエン単量体を添加してもよい。このように共役ジエン単量体を添加すると、添加しない場合に比べて、ブロック共重合体Aの共役ジエン重合体ブロックD1の重量平均分子量を大きくすることができる。
次の工程では、以上のようにして得られる溶液から、目的とする重合体成分を回収する(工程(4))。回収の方法は、常法に従えばよく、特に限定されない。例えば、反応終了後に、必要に応じて、水、メタノール、エタノール、プロパノール、塩酸、クエン酸などの重合停止剤を添加し、さらに必要に応じて、酸化防止剤などの添加剤を添加してから、溶液に直接乾燥法やスチームストリッピングなどの公知の方法を適用することにより、回収することができる。スチームストリッピングなどを適用して、重合体成分がスラリーとして回収される場合は、押出機型スクイザーなどの任意の脱水機を用いて脱水して、所定値以下の含水率を有するクラムとし、さらにそのクラムをバンドドライヤーあるいはエクスパンション押出乾燥機などの任意の乾燥機を用いて乾燥すればよい。
以上のようにして、上述したブロック共重合体Aを得ることができる。
また、上述したブロック共重合体Aと、ブロック共重合体Bとを含有するブロック共重合体組成物の製造方法としては、特に限定されない。たとえば、従来の重合法に従って、それぞれのブロック共重合体を別個に製造し、それらを混練や溶液混合などの常法に従って混合することにより、製造することができるが、たとえば、次に述べるような製造方法が挙げられる。
すなわち、上記のブロック共重合体Aの製造方法において、工程(2)の後に、上記(3)の工程に代えて、上記工程(2)で得られる活性末端を有する多環芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体を含有する溶液に、重合停止剤を、活性末端を有する多環芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体の活性末端に対して1モル当量未満となるように添加し、ブロック共重合体Bを形成する工程(工程(3−1))、工程(3−1)において得られた溶液に、多環芳香族ビニル単量体を添加し、失活せずに残存させた活性末端を有する多環芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体の末端から、多環芳香族ビニル重合体鎖が形成させることで、多環芳香族ビニル−共役ジエン−多環芳香族ビニルトリブロック共重合体(すなわち、ブロック共重合体A)を形成させる工程(工程(3−2))を採用することにより、ブロック共重合体Aとブロック共重合体Bとを含有するブロック共重合体組成物を製造することができる。活性末端を有する多環芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体を含有する溶液に重合停止剤と添加すると、活性末端を有する多環芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体の活性末端が一部失活し、その結果、多環芳香族ビニル−共役ジエンジブロック共重合体であるブロック共重合体Bが形成されることとなる。
この工程(3−1)で添加される重合停止剤は、特に限定されず、従来公知の重合停止剤を特に制限無く用いることができる。特に好適に用いられる重合停止剤としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロパノールなどのアルコールが挙げられる。
この工程(3−1)で添加される重合停止剤の量は、活性末端を有する多環芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体の活性末端に対して、1モル当量未満となる量とするものであり、これにより、次の工程である工程(3−2)において、ブロック共重合体Aを形成するために、溶液中に活性末端を有する多環芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体を残存させることができる。重合停止剤の量は、重合体の活性末端に対して0.10モル当量〜0.90モル当量であることが好ましく、0.15モル当量〜0.70モル当量であることがより好ましい。なお、この工程で添加される重合停止剤の量は、ブロック共重合体Bの量を決定するものであるので、重合停止剤の量は、目的とするブロック共重合体成分の組成に応じて決定すればよい。
重合停止反応の反応条件は特に限定されず、通常は前述の重合反応条件と同様の範囲で設定すればよい。
以上のようにして、上述したブロック共重合体Aと、ブロック共重合体Bとを含有するブロック共重合体組成物を得ることもできる。
また、本発明においては、多環芳香族ビニル重合体ブロックと共役ジエン重合体ブロックとを有するブロック共重合体として、上記一般式(I)で表わされるブロック共重合体Aと、下記一般式(III)で表されるブロック共重合体Cとを含有するブロック共重合体組成物を使用してもよい。
(Ar4−D3)−X (III)
(上記一般式(III)中、Ar4は、多環芳香族ビニル重合体ブロックであり、D3は、共役ジエン重合体ブロックであり、Xは単結合またはカップリング剤の残基であり、nは2以上の整数である。)
ブロック共重合体Cを構成する多環芳香族ビニル重合体ブロックAr4は、多環芳香族ビニル単量体単位を主たる構成単位とする重合体ブロックである。多環芳香族ビニル重合体ブロックAr4の多環芳香族ビニル単量体単位を構成するために用いられる多環芳香族ビニル単量体としては、上記ブロック共重合体Aを構成する多環芳香族ビニル重合体ブロックAr1と同様のものが挙げられる。
また、多環芳香族ビニル重合体ブロックAr4は、多環芳香族ビニル単量体単位以外の単量体単位を含んでいてもよく、多環芳香族ビニル重合体ブロックAr4に含まれ得る多環芳香族ビニル単量体単位以外の単量体単位を構成する単量体としては、上記ブロック共重合体Aを構成する多環芳香族ビニル重合体ブロックAr1と同様のものが挙げられ、その含有量も同様とすることできる。
ブロック共重合体Cを構成する多環芳香族ビニル重合体ブロックAr4は、その重量平均分子量(Mw(Ar4))としては、特に限定されないが、ブロック共重合体Aを構成する多環芳香族ビニル重合体ブロックAr1の重量平均分子量(Mw(Ar1))と同様の範囲において、適宜調整することができる。
ブロック共重合体Cを構成する共役ジエン重合体ブロックD3は、共役ジエン単量体単位を主たる構成単位とする重合体ブロックである。共役ジエン重合体ブロックD3の共役ジエン単量体単位を構成するために用いられる共役ジエン単量体としては、上記ブロック共重合体Aを構成する共役ジエン重合体ブロックD1と同様のものが挙げられる。
また、共役ジエン重合体ブロックD3は、共役ジエン単量体単位以外の単量体単位を含んでいてもよく、共役ジエン重合体ブロックD3に含まれ得る共役ジエン単量体単位以外の単量体単位を構成する単量体としては、上記ブロック共重合体Aを構成する共役ジエン重合体ブロックD1と同様のものが挙げられ、その含有量も同様とすることできる。
ブロック共重合体Cを構成する共役ジエン重合体ブロックD3は、その重量平均分子量(Mw(D3))としては、特に限定されないが、ブロック共重合体Aを構成する共役ジエン重合体ブロックD1の重量平均分子量(Mw(D1))と同様の範囲において、適宜調整することができる。
ブロック共重合体Aとブロック共重合体Cとを含有するブロック共重合体組成物の製造方法としては、特に限定されないが、たとえば、上述したブロック共重合体Aとブロック共重合体Bとを含有するブロック共重合体組成物の製造方法における、工程(3−1)において、重合停止剤に代えて、カップリング剤を使用する方法などが挙げられる。
カップリング剤としては、特に限定されず、2官能以上の任意のカップリング剤を用いることができる。2官能のカップリング剤としては、たとえば、ジクロロシラン、モノメチルジクロロシラン、ジメチルジクロロシランなどの2官能性ハロゲン化シラン;ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシランなどの2官能性アルコキシシラン;ジクロロエタン、ジブロモエタン、メチレンクロライド、ジブロモメタンなどの2官能性ハロゲン化アルカン;ジクロロスズ、モノメチルジクロロスズ、ジメチルジクロロスズ、モノエチルジクロロスズ、ジエチルジクロロスズ、モノブチルジクロロスズ、ジブチルジクロロスズなどの2官能性ハロゲン化スズ;ジブロモベンゼン、安息香酸、CO、2―クロロプロペンなどが挙げられる。3官能のカップリング剤としては、たとえば、トリクロロエタン、トリクロロプロパンなどの3官能性ハロゲン化アルカン;メチルトリクロロシラン、エチルトリクロロシランなどの3官能性ハロゲン化シラン;メチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシランなどの3官能性アルコキシシラン;などが挙げられる。4官能のカップリング剤としては、たとえば、四塩化炭素、四臭化炭素、テトラクロロエタンなどの4官能性ハロゲン化アルカン;テトラクロロシラン、テトラブロモシランなどの4官能性ハロゲン化シラン;テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランなどの4官能性アルコキシシラン;テトラクロロスズ、テトラブロモスズなどの4官能性ハロゲン化スズ;などが挙げられる。5官能以上のカップリング剤としては、例えば、1,1,1,2,2−ペンタクロロエタン,パークロロエタン、ペンタクロロベンゼン、パークロロベンゼン、オクタブロモジフェニルエーテル、デカブロモジフェニルエーテルなどが挙げられる。これらのカップリング剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
なお、工程(3−1)において、カップリング剤とともに、重合停止剤を併用する方法などにより、ブロック共重合体Aと、ブロック共重合体Cとに加えて、上記一般式(II)で表わされるブロック共重合体Bをさらに含有するものとすることができる。あるいは、上記一般式(II)で表わされるブロック共重合体Bを含有するブロック共重合体組成物と混合することにより、ブロック共重合体Bをさらに含有するものとしてもよい。
<粘着付与樹脂>
本発明の粘接着剤組成物は、上述した芳香族ビニル化合物由来の構造単位を有する重合体と、粘着付与樹脂とを含有してなるものである。
本発明で用いる粘着付与樹脂の種類は、特に限定されず、たとえば、ロジン;不均化ロジン、二量化ロジンなどの変性ロジン類;グリコール、グリセリン、ペンタエリスリトールなどの多価アルコールとロジンまたは変性ロジン類とのエステル化物;テルペン系樹脂;C5系石油樹脂;C9系石油樹脂;C5/C9系石油樹脂などの脂肪族系、芳香族系、脂環族系または脂肪族−芳香族共重合系の炭化水素樹脂またはこれらの水素化物;フェノール樹脂;クマロン−インデン樹脂などを粘着付与樹脂として使用することができ、なかでも、脂肪族系、芳香族系、脂環族系または脂肪族−芳香族共重合系の炭化水素樹脂またはこれらの水素化物が好適に用いられ、とりわけ、脂環族系の炭化水素樹脂または脂環族系の炭化水素樹脂の水素化物が特に好適に用いられる。なお、粘着付与樹脂は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明で用いる粘着付与樹脂の軟化点は、特に限定されないが、10〜160℃であることが好ましく、20〜150℃であることがより好ましく、70〜140℃であることがさらに好ましく、80〜120℃であることが特に好ましい。軟化点がこの範囲にある粘着付与樹脂を用いることにより、得られる粘接着剤組成物は、保持力および剥離強度により優れたものとなる。
本発明の粘接着剤組成物における粘着付与樹脂の含有量は、特に限定されないが、重合体成分100質量部に対して、50〜400質量部であることが好ましく、60〜350質量部であることがより好ましく、70〜300質量部であることがさらに好ましい。粘着付与樹脂の含有量がこの範囲にあることにより、得られる粘接着剤組成物は、保持力および剥離強度により優れたものとなる。
本発明の粘接着剤組成物には、芳香族ビニル化合物由来の構造単位を有する重合体および粘着付与樹脂以外に、必要に応じて酸化防止剤を添加することができる。その種類は特に限定されず、たとえば、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールなどのヒンダードフェノール系化合物;ジラウリルチオプロピオネートなどのチオジカルボキシレートエステル類;トリス(ノニルフェニル)ホスファイトなどの亜燐酸塩類;を使用することができる。酸化防止剤の使用量は、特に限定されないが、重合体成分100質量部に対し、好ましくは10質量部以下であり、より好ましくは0.5〜5質量部である。なお、酸化防止剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、本発明の粘接着剤組成物は、可塑剤をさらに含有していることが好ましく、可塑剤としては、粘接着剤組成物に添加される、従来公知の可塑剤が使用できる。具体的には、芳香族系、パラフィン系またはナフテン系のプロセスオイル;ポリブテン、ポリイソブチレンなどの液状重合体;等が挙げられる。可塑剤は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。本発明の粘接着剤組成物中における、可塑剤の含有割合は、重合体成分100質量部に対して、好ましくは500質量部以下であり、より好ましくは300質量部以下であり、さらに好ましくは100質量部以下である。可塑剤を上記含有割合で含有させることにより、得られる粘接着剤組成物は、保持力および剥離強度により優れたものとなる。
なお、本発明の粘接着剤組成物が、芳香族ビニル化合物由来の構造単位を有する重合体および粘着付与樹脂に加えて、可塑剤をさらに含有するものである場合には、これらの含有割合は、以下の通りであることが好ましい。すなわち、芳香族ビニル化合物由来の構造単位を有する重合体の含有割合は、好ましくは10〜70質量%であり、より好ましくは13〜65質量%、さらに好ましくは15〜60質量%である。また、粘着付与樹脂の含有割合は、好ましくは20〜80質量%であり、より好ましくは25〜80質量%、さらに好ましくは30〜75質量%である。可塑剤の含有割合は、好ましくは65質量%以下であり、より好ましくは60質量%以下、さらに好ましくは55質量%以下である。芳香族ビニル化合物由来の構造単位を有する重合体の含有割合、粘着付与樹脂の含有割合、および可塑剤の含有割合を上記範囲とすることにより、粘接着剤組成物の保持力および剥離強度をより高めることができる。
また、本発明の粘接着剤組成物は、ワックス、熱安定剤、紫外線吸収剤、充填剤など、その他の配合剤を添加することができる。なお、本発明の粘接着剤組成物は、溶剤を含まない、無溶剤の組成物であることが好ましい。
本発明で用いる粘接着剤組成物に配合され得るワックスは、特に限定されず、たとえば、ポリエチレンワックス、エチレン酢酸ビニル共重合体ワックス、酸化ポリエチレンワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、Fischer−Tropshワックス、酸化Fischer−Tropshワックス、水素添加ひまし油ワックス、ポリプロピレンワックス、副産ポリエチレンワックス、水酸化ステアラミドワックスなどを用いることができる。ワックスは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。粘接着剤組成物におけるワックスの含有量は、特に限定されないが、重合体成分100質量部に対し、好ましくは10〜200質量部であり、より好ましくは20〜150質量部である。
本発明の粘接着剤組成物を得るにあたり、上記した芳香族ビニル化合物由来の構造単位を有する重合体、粘着付与樹脂、およびさらに必要に応じて添加されるその他の成分を混合する方法は特に限定されず、たとえば、それぞれの成分を溶剤に溶解し均一に混合した後、溶剤を加熱などにより除去する方法、各成分をニーダーなどで溶融混合する方法などを挙げることができる。混合をより効率的に行う観点からは、これらの方法のなかでも溶融混合が好適である。なお、溶融混合を行う際の温度は、特に限定されるものではないが、好ましくは100〜200℃の範囲である。
本発明の粘接着剤組成物は、上記した芳香族ビニル化合物由来の構造単位を有する重合体を含有しているため、保持力および剥離強度の高いものである。したがって、本発明の粘接着剤組成物は、このような特性を活かし、種々の部材の接着に適用することが可能であり、しかも、保持力および剥離強度の高い接着を行うことができるものである。本発明の粘接着剤組成物は、ホットメルト粘接着剤組成物として好適に用いることができ、たとえば、各種の粘着テープやラベルの粘着剤として好適に使用される。具体的には、粘着テープやラベルを構成するシート状の基材上に、本発明の粘接着剤組成物からなる粘着剤層を形成することで、基材と、本発明の粘接着剤組成物からなる粘着剤層とからなる、粘着テープやラベルとして好適に使用される。
以下に、実施例および比較例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。なお、「部」および「%」は、特に断りのない限り質量基準である。
各種の測定については、以下の方法に従って行った。
〔ブロック共重合体、ブロック共重合体組成物、ならびに、ブロック共重合体中の芳香族ビニル重合体ブロック、および共役ジエン重合体ブロックのピークトップ分子量(Mp)、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、および分子量分布(Mw/Mn)〕
トリブロック共重合体およびブロック共重合体組成物について、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)分析し、標準ポリスチレン換算のピークトップ分子量(Mp)、数平均分子量(Mn)、および重量平均分子量(Mw)を求め、また、これらの結果より、分子量分布(Mw/Mn)を求めた。
なお、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー分析は、流速0.35ml/分のテトラヒドロフランをキャリアとする高速液体クロマトグラフィによりポリスチレン換算分子量として求めた。装置は、東ソー社製「HLC8320」、カラムは、昭和電工社製「Shodex KF−404HQ」を3本連結したもの(カラム温度40℃)、検出器は、示差屈折計および紫外検出器を用い、分子量の較正は、ポリマーラボラトリー社製の標準ポリスチレン(500から300万)の12点で実施した。
なお、トリブロック共重合体とともにジブロック共重合体が得られた比較例2においては、得られたジブロック共重合体についても、ピークトップ分子量(Mp)、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)を測定した。
〔ブロック共重合体中の芳香族ビニル重合体ブロックおよび共役ジエン重合体ブロックの重量平均分子量(Mw)〕
重合1段目における反応溶液を少量サンプリングして得られた重合体について、上記と同様の条件でゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー分析し、トリブロック共重合体中の芳香族ビニル重合体ブロック(Ar1)の重量平均分子量(Mw(Ar1))を求めた。
また、重合2段目における反応溶液を少量サンプリングして得られた共重合体について、上記と同様の条件でゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー分析し、重合2段目における共重合体の標準ポリスチレン換算の重量平均分子量を求めた。そして、得られた重合2段目における共重合体の重量平均分子量から、芳香族ビニル重合体ブロックの重量平均分子量(Mw(Ar1))を引くことにより、トリブロック共重合体中の共役ジエン重合体ブロック(D1)の重量平均分子量(Mw(D1))を求めた。
さらに、トリブロック共重合体の重量平均分子量から、重合2段目における重合体の重量平均分子量を引くことにより、トリブロック共重合体中の芳香族ビニル重合体ブロック(Ar2)の重量平均分子量(Mw(Ar2))を求めた。
なお、比較例2において、芳香族ビニル重合体ブロックAr2の重量平均分子量は、芳香族ビニル重合体ブロックAr1の重量平均分子量と同量である。また、トリブロック共重合体の重量平均分子量から、芳香族ビニル重合体ブロックAr1およびAr2の重量平均分子量を引くことにより、共役ジエン重合体ブロックD1の重量平均分子量を求めた。
トリブロック共重合体とともにジブロック共重合体が得られた比較例2においては、得られたジブロック共重合体についても、共役ジエン重合体ブロック(D2)の重量平均分子量(Mw(D2))を測定した。また、ジブロック共重合体中の芳香族ビニル重合体ブロック(Ar3)の重量平均分子量(Mw(Ar3))は、トリブロック共重合体中の芳香族ビニル重合体ブロック(Ar1)の重量平均分子量と同量である。
〔全重合体中のトリブロック共重合体の含有割合〕
上記のゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーにより得られたチャートの各重合体に対応するピークの面積比から、全重合体中のトリブロック共重合体の含有割合を求めた。
〔各単量体の重合転化率〕
重合1段目、重合2段目、および重合3段目におけるそれぞれの反応溶液について、重クロロホルムを溶剤とするH−NMRを測定することにより、各単量体の重合転化率を求めた。
〔ブロック共重合体中の芳香族ビニル単量体単位含有割合〕
トリブロック共重合体を含有する溶液について、重クロロホルムを溶剤とするH−NMRを測定することにより、ブロック共重合体中の芳香族ビニル単量体単位(2−ビニルナフタレン単量体単位、スチレン単量体単位)含有割合を求めた。
なお、トリブロック共重合体とともにジブロック共重合体が得られた比較例2においては、得られたジブロック共重合体についても、芳香族ビニル単量体単位含有割合を測定した。
〔ビニル結合の含有割合〕
ジブロック共重合体を含有する溶液について、重クロロホルムを溶剤とするH−NMR測定を行った。そして、ポリ(イソプレン)のすべての二重結合に由来するピークの積分値と、ポリ(1,2−イソプレン)の二重結合に由来するピークの積分値と、ポリ(3,4−イソプレン)の二重結合に由来するピークの積分値とから、イソプレン重合体ブロック中におけるビニル結合の含有割合(モル%)を求めた。
〔粘接着剤組成物のループタック〕
得られた粘接着剤組成物を、25μmのPETフィルムに厚み20〜30μmとなるように溶融塗布して、粘着剤層を形成した塗布シートを得た。次いで、この塗布シートを裁断して、粘着剤層を形成した試験片を得た。このようにして得られた試験片を用いて、PSTC−16(米国粘着テープ委員会によるループタック試験法)に準じて、被着体としてステンレス鋼板を使用し、試験速度が300mm/分、接着部が25×25mm、温度23℃にて測定することにより、常温でのループタック(N/25mm)を評価した。
〔粘接着剤組成物の保持力〕
上記にて得られた粘着剤層を形成した試験片を、PSTC−107 Procedure A(米国粘着テープ委員会による保持力試験法)に準じ、被着体としてステンレス鋼板を使用して、接着部10×25mm、負荷1000±5g、温度50℃にて、剥がれるまでの時間(分)により、保持力を評価した。値が大きいものほど、保持力に優れる。
〔粘接着剤組成物の剥離強度〕
上記にて得られた粘着剤層を形成した試験片を、PSTC−101(米国粘着テープ委員会による180°剥離接着試験法)に準じて、被着体としてステンレス鋼板を使用して、引張速度300mm/min、温度23℃で測定することにより、常温での剥離強度(N/m)を評価した。値が大きいものほど、接着力に優れる。
〔実施例1〕
窒素雰囲気下、乾燥し、窒素で置換された耐圧反応器に、トルエン246gおよびn−ブチルリチウム0.83ミリモルを添加した。その後、2−ビニルナフタレンの25%トルエン溶液36gを添加した。添加終了後、25℃で1時間重合反応を行うことで、2−ビニルナフタレン重合体を含有する溶液を得た(重合1段目)。得られた反応溶液を少量サンプリングして、GPC測定およびH−NMR測定に用いた。また、このときの2−ビニルナフタレンの重合転化率は100%であった。
次いで、反応器にイソプレン82gを添加した。添加終了後、50℃に昇温して1時間重合反応を行うことで、[2−ビニルナフタレン]−[イソプレン]ジブロック共重合体を含有する溶液を得た(重合2段目)。得られた反応溶液を少量サンプリングして、GPC測定およびH−NMR測定に用いた。なお、このときのイソプレンの重合転化率は100%であった。また、イソプレン重合体ブロック中におけるビニル結合の含有割合は、8.2モル%であった。
次いで、50〜60℃を保つように温度制御しながら、反応器に、エチレングリコールジメチルエーテル0.0415ミリモル、および2−ビニルナフタレンの25%トルエン溶液36gを添加した。添加終了後、1.5時間重合反応を行うことで、[2−ビニルナフタレン(Ar1)]−[イソプレン(D1)]−[2−ビニルナフタレン(Ar2)]トリブロック共重合体を含有する溶液を得た(重合3段目)。このときの2−ビニルナフタレンの重合転化率は100%であった。また、得られた全重合体中における、トリブロック共重合体の含有割合は100%であった。
最後に、重合停止剤として、メタノール12ミリモルを添加して、混合することにより、重合反応を完了させた。
以上のようにして得られた反応溶液100部(重合体成分を25部含有)に、酸化防止剤として、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール0.3部を加えて混合し、混合溶液を少量ずつ85〜95℃に加熱された温水中に滴下して溶媒を揮発させて析出物を得て、この析出物を粉砕し、85℃で熱風乾燥することにより、トリブロック共重合体(α1)を回収した。また、得られた反応溶液の一部を取り出し、トリブロック共重合体(α1)のピークトップ分子量、数平均分子量、重量平均分子量、分子量分布、トリブロック共重合体(α1)中の芳香族ビニル単量体単位含有割合を求めた。結果を表1に示す。
得られたトリブロック共重合体(α1)100部を攪拌翼型混練機に投入し、これに、粘着付与樹脂として、C5系石油樹脂(商品名「クイントン R100」、日本ゼオン社製、軟化点:96℃)100部、可塑剤として、プロセスオイル(商品名「Sunpure N100」、日本サン石油社製)20部、および酸化防止剤(商品名「イルガノックス1010」、ペンタエリトリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート]、BASF社製)1部を添加して系内を窒素ガスで置換したのち、160〜180℃で1時間混練することにより、粘接着剤組成物を調製した。混錬に際しては、まず、トリブロック共重合体(α1)と、粘着付与樹脂とを160〜180℃で溶融混合し、次いで、酸化防止剤を添加し、最後に、溶融混合の後期において、プロセスオイルを添加して、160〜180℃にて溶融混合を継続することで、粘接着剤組成物を調製した(後述する各比較例においても同様。)。そして、得られた粘接着剤組成物について、保持力および剥離強度の測定を行った。結果を表1に示す。なお、得られた粘接着剤組成物のループタックは、13.5N/25mmであった。
〔比較例1〕
窒素雰囲気下、乾燥し、窒素で置換された耐圧反応器に、シクロヘキサン300g、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン0.013ミリモル、およびスチレン9gを添加した。その後、n−ブチルリチウム0.866ミリモルを添加した。添加終了後、50℃で1時間重合反応を行うことで、スチレン重合体を含有する溶液を得た(重合1段目)。得られた反応溶液を少量サンプリングして、GPC測定およびH−NMR測定に用いた。また、このときのスチレンの重合転化率は100%であった。
次いで、50〜60℃を保つように温度制御しながら、反応器に、イソプレン82gを添加した。添加終了後、1時間重合反応を行うことで、[スチレン]−[イソプレン]ジブロック共重合体を含有する溶液を得た(重合2段目)。得られた反応溶液を少量サンプリングして、GPC測定およびH−NMR測定に用いた。なお、このときのイソプレンの重合転化率は100%であった。また、イソプレン重合体ブロック中における1,2−ビニル結合の含有割合は、8.0モル%であった。
次いで、50〜60℃を保つように温度制御しながら、反応器に、スチレン9gを添加した。添加終了後、1.5時間重合反応を行うことで、[スチレン(Ar1)]−[イソプレン(D1)]−[スチレン(Ar2)]トリブロック共重合体を含有する溶液を得た(重合3段目)。このときのスチレンの重合転化率は100%であった。また、得られた全重合体中における、トリブロック共重合体の含有割合は100%であった。
最後に、重合停止剤として、メタノール12ミリモルを添加して、混合することにより、重合反応を完了させた。
以上のようにして得られた反応溶液100部(重合体成分を25部含有)に、酸化防止剤として、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール0.3部を加えて混合し、混合溶液を少量ずつ85〜95℃に加熱された温水中に滴下して溶媒を揮発させて析出物を得て、この析出物を粉砕し、85℃で熱風乾燥することにより、トリブロック共重合体(α2)を回収した。また、得られた反応溶液の一部を取り出し、実施例1と同様に各測定を行った。結果を表1に示す。
そして、トリブロック共重合体(α1)100部に代えて、得られたトリブロック共重合体(α2)100部を使用した以外は、実施例1と同様にして、粘接着剤組成物を調製し、同様に評価を行った。結果を表1に示す。なお、得られた粘接着剤組成物のループタックは、15.8N/25mmであった。
〔比較例2〕
窒素雰囲気下、乾燥し、窒素で置換された耐圧反応器に、シクロヘキサン300g、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン0.02ミリモル、およびスチレン14.3gを添加した。その後、n−ブチルリチウム1.3ミリモルを添加した。添加終了後、50℃で1時間重合反応を行うことで、スチレン重合体を含有する溶液を得た(重合1段目)。得られた反応溶液を少量サンプリングして、GPC測定およびH−NMR測定に用いた。また、このときのスチレンの重合転化率は100%であった。
次いで、50〜60℃を保つように温度制御しながら、反応器にイソプレン85.7gを添加した。添加終了後、1時間重合反応を行うことで、[スチレン]−[イソプレン]ジブロック共重合体を含有する溶液を得た(重合2段目)。得られた反応溶液を少量サンプリングして、GPC測定およびH−NMR測定に用いた。なお、このときのイソプレンの重合転化率は100%であった。また、イソプレン重合体ブロック中における1,2−ビニル結合の含有割合は、8.0モル%であった。
次いで、反応器に、2官能のカップリング剤として、ジメチルジクロロシラン0.487ミリモルを添加して、混合することにより、[スチレン]−[イソプレン]ジブロック共重合体のうちの一部をカップリングさせて、[スチレン(Ar1)]−[イソプレン(D1)]−[スチレン(Ar2)]トリブロック共重合体を形成し、[スチレン(Ar1)]−[イソプレン(D1)]−[スチレン(Ar2)]トリブロック共重合体、および、[スチレン(Ar3)]−[イソプレン(D2)]ジブロック共重合体を含有する溶液を得た。また、得られた全重合体中における、トリブロック共重合体の含有割合は75%であった。
最後に、重合停止剤として、メタノール10ミリモルを添加して、混合することにより、重合反応を完了させた。
以上のようにして得られた反応溶液100部(重合体成分を25部含有)に、酸化防止剤として、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール0.3部を加えて混合し、混合溶液を少量ずつ85〜95℃に加熱された温水中に滴下して溶媒を揮発させて析出物を得て、この析出物を粉砕し、85℃で熱風乾燥することにより、ブロック共重合体組成物(α3)を回収した。そして、得られた反応溶液の一部を取り出し、実施例1と同様に、ブロック共重合体組成物(α3)中のトリブロック共重合体について、各測定を行った。また、ブロック共重合体組成物(α3)中のジブロック共重合体のピークトップ分子量、数平均分子量、重量平均分子量、分子量分布、ブロック共重合体組成物(α3)中のジブロック共重合体中の芳香族ビニル単量体単位含有割合も求めた。結果を表1に示す。なお、得られたブロック共重合体組成物(α3)全体としてのピークトップ分子量(Mp)は225,000、数平均分子量(Mn)は173,000、重量平均分子量(Mw)は197,000、分子量分布(Mw/Mn)は1.14であった。
そして、トリブロック共重合体(α1)100部に代えて、得られたブロック共重合体組成物(α3)100部を使用した以外は、実施例1と同様にして、粘接着剤組成物を調製し、同様に評価を行った。結果を表1に示す。なお、得られた粘接着剤組成物のループタックは、19.1N/25mmであった。
Figure 2021116314
表1より、芳香族ビニル化合物由来の構造単位を有する重合体と、粘着付与樹脂とを含有する粘接着剤組成物であって、前記重合体が、前記芳香族ビニル化合物由来の構造単位として、単環の芳香族炭化水素および単環の芳香族複素環からなる群から選ばれる単環を少なくとも2つ有する多環芳香族ビニル単量体から構成される多環芳香族ビニル単量体単位を有する粘接着剤組成物によれば、高い保持力および剥離強度を有するものであった(実施例1)。
一方、芳香族ビニル化合物由来の重合体として、単環の芳香族炭化水素および単環の芳香族複素環からなる群から選ばれる単環を少なくとも2つ有する多環芳香族ビニル単量体からなる多環芳香族ビニル単量体単位を有しないものを用いた場合は、得られる粘接着剤組成物は、保持力および剥離強度の低いものであった(比較例1,2)。

Claims (6)

  1. 芳香族ビニル化合物由来の構造単位を有する重合体と、粘着付与樹脂とを含有する粘接着剤組成物であって、
    前記重合体が、前記芳香族ビニル化合物由来の構造単位として、単環の芳香族炭化水素および単環の芳香族複素環からなる群から選ばれる単環を少なくとも2つ有する多環芳香族ビニル単量体から構成される多環芳香族ビニル単量体単位を有する粘接着剤組成物。
  2. 前記重合体が、共役ジエン単量体単位をさらに有する請求項1に記載の粘接着剤組成物。
  3. 前記重合体が、前記多環芳香族ビニル単量体単位を有する多環芳香族ビニル重合体ブロックと、前記共役ジエン単量体単位を有する共役ジエン重合体ブロックとを有するブロック共重合体である請求項2に記載の粘接着剤組成物。
  4. 前記粘着付与樹脂の軟化点が、70〜140℃である請求項1〜3のいずれかに記載の粘接着剤組成物。
  5. 可塑剤をさらに含有する請求項1〜4のいずれかに記載の粘接着剤組成物。
  6. ホットメルト粘接着剤組成物である請求項1〜5のいずれかに記載の粘接着剤組成物。
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