JP2021115522A - セメント製造方法及びセメント製造設備 - Google Patents
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Abstract
【課題】セメントの品質に影響を及ぼさずに、セメント粉砕に要する消費エネルギーを低減する。【解決手段】竪型ミル5を予粉砕機として用いたセメント仕上げ設備において、竪型ミルへの供給物C2、又は竪型ミル内に水Wを添加する水添加装置6を備えるセメント製造設備1。水添加装置6に代えて竪型ミルへの供給物を水処理する水処理装置12と、水処理後の固形物から脱水する脱水装置13と、脱水物を竪型ミルに供給する供給装置を備えてもよい。竪型ミルの後段に、粉砕機としてチューブミル10を備えてもよい。水添加装置によって竪型ミルのテーブル5b上のローラ5cの噛み込み位置に水を添加することで、竪型ミルの内部に固結が発生することを防止することができる。【選択図】図1
Description
本発明は、セメント製造方法及びセメント製造設備に関し、特に、竪型ミルを予粉砕機として用いたセメント仕上げ工程において消費エネルギーを低減する技術に関する。
セメント仕上げ工程では、焼成工程で生成したクリンカに石膏及び必要に応じて添加物を配合した上で粉砕し、セメントを製造する。この際、ローラとテーブルを圧接しながらテーブルを回転させてクリンカを粉砕する竪型ミルを予粉砕機とし、後段にチューブ内でボールで摩擦力や衝撃力を与えてクリンカを粉砕するチューブミルを配置することで、セメントの品質を低下させずに消費エネルギーの低減を図っている(例えば、特許文献1〜3)。
上記特許文献1〜3に記載の発明では、セメント粉砕のエネルギー効率を向上させ、セメント粉砕に要する消費エネルギーの低減にある程度の効果を奏するものの、依然として多くのエネルギーがセメント粉砕に消費されている。そのため、さらに消費エネルギーを低減する技術の開発が求められていた。
そこで、本発明は、セメントの品質に影響を及ぼさずに、単位時間当たりのセメント生産量を増加させ、セメント粉砕に要する消費エネルギーをさらに低減することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、竪型ミルを予粉砕機として用いたセメント仕上げ工程において、前記竪型ミルへの供給物、又は前記竪型ミル内に水を添加することを特徴とする。
また、本発明は、竪型ミルを予粉砕機として用いたセメント仕上げ工程において、前記竪型ミルへの供給物を水処理し、水処理後の固形物から脱水し、脱水物を前記竪型ミルに供給することを特徴とする。
さらに、本発明は、竪型ミルを予粉砕機として用いたセメント仕上げ設備において、前記竪型ミルへの供給物、又は前記竪型ミル内に水を添加する水添加装置を備えることを特徴とする。
さらにまた、本発明は、竪型ミルを予粉砕機として用いたセメント仕上げ設備において、前記竪型ミルへの供給物を水処理する水処理装置と、水処理後の固形物から脱水する脱水装置と、脱水物を前記竪型ミルに供給する供給装置を備えることを特徴とする。
上記本発明のセメント製造方法及びセメント製造設備によれば、予粉砕機に投入するセメントクリンカに水を添加することなどで、後段の粉砕機の時産が増加し、単位時間当たりのクリンカ生産量を増加させることができ、セメント粉砕に要する消費エネルギーを低減することができる。
前記セメント製造設備において、竪型ミルの後段に、粉砕機としてチューブミルを設けてもよい。
また、前記水添加装置によって前記竪型ミルのテーブル上のローラの噛み込み位置に水を添加することで、竪型ミルの内部に固結が発生することを防止することができる。
以上のように、本発明によれば、セメントの品質に影響を及ぼさずにセメント粉砕に要する消費エネルギーを低減することができる。
次に、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明に係るセメント製造設備の一実施の形態を示し、このセメント製造設備1は、セメントキルンで焼成されたセメントクリンカ(以下「クリンカ」と略称する。)を冷却するクリンカクーラ2と、冷却されたクリンカを破砕するクラッシャ3と、クラッシャ3で破砕されたクリンカ及びチェーンコンベア2aで搬送されたクリンカC1を貯留するクリンカタンク4と、クリンカタンク4から排出されたクリンカC2を予粉砕するプレミル(予粉砕機)5と、プレミル5に水Wを添加する水添加装置6と、プレミル5で予粉砕されたクリンカC3を搬送するバケットエレベータ7と、バケットエレベータ7から排出されたクリンカを一時的に貯留するクリンカホッパ8と、クリンカホッパ8からのクリンカC4を石膏ホッパ9からの石膏Gと共に粉砕するセメントミル10等で構成される。
プレミル5は、図2に示すように、シュート5aと、モータによって回転するテーブル5bと、シュート5aからテーブル5b上に供給されるクリンカを予粉砕する複数のローラ5c等を備える竪型ローラミルであって、CKPローラミル等を用いることができる。
水添加装置6は、プレミル5の内部又はプレミル5にクリンカC2を投入する経路4a等に水Wを添加するために設けられる。水Wの添加は、ホースやシャワーを介して行われる。水Wが拡散してしまうため、噴霧は好ましくない。
セメントミル10には、水平に回転するドラムに、被粉砕物と金属ボール(媒体)を投入し、ボールとの衝突、ボールとドラム壁面との摩砕及び衝撃によって被粉砕物を連続的に粉砕するチューブミルを用いることが好ましい。
次に上記構成を有するセメント製造設備1の動作について説明する。
セメントキルンで焼成されたクリンカをクリンカクーラ2に投入して冷却する。冷却したクリンカC1をクラッシャ3で破砕した後、チェーンコンベア2aで搬送されたクリンカと共にクリンカタンク4に貯留する。
次に、クリンカタンク4から排出したクリンカC2をプレミル5で予粉砕する。ここで、水添加装置6により、プレミル5の内部又はプレミル5へのクリンカC2の輸送経路4aに水Wを添加する。輸送経路4aに水Wを添加する場合には、クリンカC2がプレミル5に投入される直前にクリンカC2に水が付着していればよい。水添加装置6から添加する水Wに加え、収縮低減剤、減水剤、油、強度増進剤(アルカリ金属塩)及び粉砕助剤等の薬剤を同時に添加してもよい。また、プレミル5にクリンカC2と共に、石灰石やスラグ等の混合材を供給する場合には、これらの輸送経路に水Wを添加してもよく、これらがプレミル5に投入される直前に水が付着していればよい。さらに、含水した混合材や添加剤のケーキ、あるいはスラリーをプレミル5に投入してもよい。
上記水Wの添加により、単位時間当たりのセメント生産量を増加させ、セメント製造に要する消費エネルギーを低減することができる。尚、水Wの添加量や添加位置の詳細は後述する。
プレミル5で予粉砕されたクリンカC3をバケットエレベータ7で搬送し、クリンカホッパ8に一時的に貯留した後、クリンカC4をセメントミル10に供給して粉砕する。セメントミル10には、クリンカC4に加え、石膏ホッパ9から石膏Gを投入する。尚、プレミル5で予粉砕され、バケットエレベータ7で搬送されたクリンカC4の一部をプレミル5に戻して循環させてもよい。
次に、本発明に係るセメント製造方法の試験例について説明する。
図3に示すように、プレミル5のP1の位置(シュート5aの近傍のテーブル5bの上方約270mm)から水Wを500L/h(1.99L/t−cli)添加した場合を実施例1とし、水Wを添加しない場合を比較例1として、プレミル5やセメントミル10(図1参照)の時間当たりの生産量(時産)や、クリンカ1トン当たりの電力消費量(電力原単位)等を測定した。セメントミル10出口の粉体は、ブレーン3000cm2/gを目標とした。測定結果を表1に示す。また、表2に、各ミル入口出口の粉体の粒径等を示す。表2における平均粒径は、累積重量50%通過径を示す。プレミル5のテーブル径は2200mm、ローラ幅は580mm、ローラ径は1500mmである。水は径25mmのホースにて投入した。
実施例1は、比較例1に比べ、プレミル5出口の粉体粒度が粗いにもかかわらず、セメントミル10の時産が2%増加し、プレミル5とセメントミル10の合計の電力原単位が5%低下した。
図3に示すように、プレミル5のP2の位置(シュート5aの近傍のテーブル5bの上方約180mm)に水Wを100L/h(0.35L/t−cli)添加した場合を実施例2とし、同位置に水Wを300L/h(1.12L/t−cli)添加した場合を実施例3とし、同位置に水Wを500L/h(1.92L/t−cli)添加した場合を実施例4とし、プレミル5のP3の位置(テーブル5b上のローラ5cの噛み込み位置、すなわち、テーブル5bが回転することによってテーブル5bの表面とローラ5cの表面に挟まれることとなる位置の上方約180mm)に水Wを318L/h(1.20L/t−cli)添加した場合を実施例5とし、水Wを添加しない場合を比較例2、3として、プレミル5やセメントミル10の時産や、電力原単位等を測定した。測定結果を表1に示し、比較例2、3と実施例2〜5の予粉砕機散水率と時産比率の関係を図4に示す。また、表2に、各ミル入口出口の粉体の粒径等を示す。表2における平均粒径は、累積重量50%通過径を示す。
表1及び図4から、実施例2を除く実施例3、4、5は、比較例2、3よりもセメントミル10の時産が増加し、電力原単位が低下している。また、セメントミル10の出口の精粉の粒径を比較しても、実施例と比較例で同程度となっている。上記結果により、水Wの添加量は、クリンカ1トン当たり1〜2Lとすることが好ましいことが判る。
さらに、プレミル5への水Wの添加によるセメントの強度、流動性、凝結等、セメントの品質への影響は確認されなかった。
尚、実施例1では、図3におけるシュート5aの袴部に固結が生じ、実施例2〜4では、水添加装置6の散水直下部に固結が生じた。そこで、プレミル5のP3の位置(テーブル5b上)に水Wを添加したところ、固結が生じなくなった。
次に、本発明に係るセメント製造設備の他の実施形態について、図5を参照しながら説明する。
このセメント製造設備11は、図1に示したセメント製造設備1の水添加装置6に代え、塩素バイパスダストBの脱塩素を行うための水処理装置(浮遊選別装置等)12と、水処理後のスラリーSを脱水する脱水装置13とを備え、他の構成要素は、図1に示したセメント製造設備1と同じである。
セメント製造設備11によれば、セメント焼成装置の塩素バイパスから回収した塩素バイパスダストBを水処理装置12で水処理して塩素バイパスダストBに含まれる塩素(水溶性塩素化合物)を溶解し、塩素が溶解したスラリーSを脱水装置13で脱水する。脱水処理によってスラリーSをケーキCAと塩素の水溶液であるろ液Fに分離し、ケーキCAをプレミル5に投入してクリンカC2と共に粉砕する。
上記のように、水添加装置6を設置せずに、ある程度の水分を有する、塩素バイパスダストBの水処理後のケーキCAをプレミル5に投入しても、セメントミル10での粉砕を含む単位時間当たりのセメント生産量を増加させ、セメント製造に要する消費エネルギーを低減することができる。尚、脱水ケーキを投入する場合には、フィルタープレスを用いると固結等が生じたり、搬送トラブルが発生し運転管理が容易ではない。そこで、スラリーを沈降分離や遠心分離等することで上澄み液を除去し、スラリー状の脱水物とすると実施例1に示す水添加装置6で投入することができる。スラリー状の脱水物とし、先端がホースである水添加装置6を用いると、簡易な装置を用いることができ、容易に運転が可能であるので好ましい。
水洗処理により脱塩素を行ったバイオマス灰の脱水物、浮遊選別によりカーボン除去を行ったフライアッシュの脱水物、HMX処理により鉛を除去した残渣の脱水物等、水を使用した処理を行った後の脱水物であればプレミル5に投入しても同様の効果を奏する。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上述した本発明の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。
1 セメント製造設備
2 クリンカクーラ
2a チェーンコンベア
3 クラッシャ
4 クリンカタンク
5 プレミル
5a シュート
5b テーブル
5c ローラ
6 水添加装置
7 バケットエレベータ
8 クリンカホッパ
9 石膏ホッパ
10 セメントミル
11 セメント製造設備
12 水処理装置
13 脱水装置
B 塩素バイパスダスト
C1〜C4 クリンカ
CA ケーキ
F ろ液
G 石膏
S スラリー
W 水
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Claims (6)
- 竪型ミルを予粉砕機として用いたセメント仕上げ工程において、前記竪型ミルへの供給物、又は前記竪型ミル内に水を添加することを特徴とするセメント製造方法。
- 竪型ミルを予粉砕機として用いたセメント仕上げ工程において、前記竪型ミルへの供給物を水処理し、水処理後の固形物から脱水し、脱水物を前記竪型ミルに供給することを特徴とするセメント製造方法。
- 竪型ミルを予粉砕機として用いたセメント仕上げ設備において、
前記竪型ミルへの供給物、又は前記竪型ミル内に水を添加する水添加装置を備えることを特徴とするセメント製造設備。 - 竪型ミルを予粉砕機として用いたセメント仕上げ設備において、
前記竪型ミルへの供給物を水処理する水処理装置と、
水処理後の固形物から脱水する脱水装置と、
脱水物を前記竪型ミルに供給する供給装置を備えることを特徴とするセメント製造設備。 - 前記竪型ミルの後段に、粉砕機としてチューブミルを備えることを特徴とする請求項3又は4に記載のセメント製造設備。
- 前記水添加装置は、前記竪型ミルのテーブル上のローラの噛み込み位置に水を添加することを特徴とする請求項3、4又は5に記載のセメント製造設備。
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2020
- 2020-01-27 JP JP2020010622A patent/JP2021115522A/ja active Pending
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