(第1実施形態)
以下、環境情報生成システムを歩行支援システムに適用した第1実施形態について説明する。
図1に示すように、歩行支援システム10は、インターネット等のネットワークを介して情報を送受信するように互いに接続された、歩行支援機器20と、サーバシステム(以下、「サーバ」という。)30と、施設端末40と、家族端末50とを備えている。歩行支援システム10は、例えば、歩行支援機器20を製造し、レンタル契約又はリース契約により有償で歩行支援機器20を貸し出し管理する管理会社や、当該管理会社から歩行支援機器20の貸し出し管理を業務委託された委託会社により管理運営される。歩行支援システム10は、例えば、高齢者や日本国の厚生労働省が定める要介護認定を受けた被介護者等の支援対象者(以下、「使用者」という。)が身体状態の改善を目的とした運動として、歩行運動を行うために使用される。本実施形態において、身体状態の改善とは、生活習慣の改善や、身体的な機能回復訓練による身体能力の改善や、トレーニングによる身体能力の改善のことである。
具体的には、歩行支援機器20は、歩行者である使用者と共に当該使用者が歩行する歩行路を移動するように用いられる機器であって、身体状態の改善を目的とした運動として、使用者の歩行運動を支援するための機器である。サーバ30は、歩行支援機器20を製造管理する管理会社が保有する、所謂、サーバコンピュータにより実現されるものであり、設置型サーバ又はネットワーク上に仮想的に構築されたクラウドサーバ等のことである。施設端末40は、使用者が身体状態の改善を目的として利用している支援施設が保有するコンピュータやタブレット端末等のことである。家族端末50は、使用者の家族が保有するコンピュータやタブレット端末等のことである。なお、歩行路は、歩行者が歩行することができる道のことであり、歩道以外にも、公園の園内等も含まれる。また、歩行路は、私道等、公的な場所以外を含んでいてもよい。
次に、歩行支援機器20について詳しく説明する。
歩行支援機器20は、歩行車21と、ウエアラブル端末22と、タブレット端末23とを備えている。歩行支援機器20では、歩行車21、ウエアラブル端末22、及びタブレット端末23の1つずつが基本的に一組みとなるようにペアリングして一の歩行支援機器20を構築するように用いられる。
図2に示すように、歩行車21は、フレーム90と、一対の前輪91と、一対の後輪92と、一対の持ち手93と、操作パネル94と、歩行車用制御部95と、バッテリ96とを備えている。
具体的には、フレーム90は、本体部97と、X方向(以下、「左右」という。)一対の脚部98と、左右一対の腕部99とを有している。本体部97は、左右に延びる一対の長辺及びZ方向(以下、「上下」という。)に延びる一対の短辺を有する枠状をなしている。一対の脚部98は、本体部97の一対の短辺の下端からY方向(以下、「前後」という。)にそれぞれ延びる一対の脚部98と、同じく短辺の上端から前後方向にそれぞれ延びる一対の腕部99とを有している。一対の脚部98と、一対の腕部99とは、本体部97から同一方向にそれぞれ延びている。本実施形態において、歩行車21は、本体部97から一対の脚部98及び腕部99がそれぞれ延びる側が後方となり、本体部97が前方となるように使用される。
一対の脚部98において、前方のそれぞれの部位には左右一対となるように前輪91がそれぞれ設けられているとともに、後方のそれぞれの部位には左右一対となるように後輪92がそれぞれ設けられている。本実施形態において、一対の前輪91は自在キャスタ等の非駆動輪であるとともに、一対の後輪92はベルト駆動等の駆動輪である。
一対の脚部98において、一対の後輪92の周辺のそれぞれの部位には、脚部98の左右外側にそれぞれ突出した出力軸を有する電動モータ101がそれぞれ内蔵されている。各電動モータ101は、出力軸が無端状の駆動ベルト102を介して対応する後輪92が有するプーリ部とそれぞれ接続されている。各電動モータ101のモータトルクが駆動ベルト102を介して対応する後輪92にそれぞれ伝達されることにより、一対の後輪92がベルト駆動される。本実施形態では、一対の後輪92がベルト駆動されることに伴う歩行車21の前方への移動を通じて、使用者の歩行運動を支援、すなわちアシストすることができる。
一対の脚部98にそれぞれ設けられた各電動モータ101の出力軸には、例えばロータリエンコーダ等の回転センサ100がそれぞれ設けられている。各回転センサ100は、一対の後輪92の単位時間当たりの回転数及び回転速度等をそれぞれ検出する。
一対の腕部99には、左右一対となるように持ち手93がそれぞれ設けられている。一対の持ち手93は、使用者の左手及び右手で把持されるグリップである。一対のうち一方である左側の持ち手93は歩行車21の前方を向いた使用者の左手で把持されるとともに、一対のうち一方である右側の持ち手93は歩行車21の前方を向いた使用者の右手で把持される。
一対の腕部99はそれぞれ中空の棒状をなしており、その上面には前後方向である長手方向に沿って連続的に延びるスリット103がそれぞれ設けられている。各スリット103には、当該スリット103内を移動可能なように一対の持ち手93の使用者に把持される側と反対側の一端がそれぞれ挿入されている。本実施形態において、一対の持ち手93は、これらを把持した状態での使用者の歩行運動に伴う前後方向の腕振り動作に合わせて、各スリット103に沿って前後方向にそれぞれ移動する。なお、使用者の腕振り動作を可能にする機構として、各スリット103を削除し、一対の持ち手93が一対の腕部99の中空の内側空間内を前後方向に摺動可能なようにそれぞれ挿入された構成であってもよい。
一対の持ち手93には、当該持ち手93に対して各スリット103に挿入された側から上方に向かうほど前方に離間するレバー状のブレーキレバー104がそれぞれ設けられている。各ブレーキレバー104は、対応する持ち手93に対して近接するように握り動作がなされると、図示しないブレーキワイヤを通じて対応する後輪92に制動力を発生させたり、対応する電動モータ101のモータトルクの出力を低下させたりする機能を有する。この場合、一対の後輪92の回転が停止や減速される。
操作パネル94は、本体部97の上側の長辺の右側の部位と、一対のうち右側の腕部99の前方の部位との間に跨るように設けられている。操作パネル94は、歩行車21の電源のオンオフ用のスイッチであったり、歩行車21の電源のオンオフ状態を表示したりする表示パネルであったりが設けられている。操作パネル94は、歩行車21を使用者が利用し易くするためのユーザインターフェースである。
歩行車用制御部95は、本体部97の下側の長辺の右側の部位に設けられている。なお、歩行車用制御部95は、例えば、図示しないCPU(Central Processing Unit)及びメモリをそれぞれ備えており、メモリに記憶されたプログラムをCPUが実行することによって、歩行車21についての各種処理が実行される。歩行車用制御部95は、歩行車21についての各種処理として、歩行車21の電源のオンオフ状態を切り替え制御するための処理や、操作パネル94の表示内容を制御するための処理や、各電動モータ101の駆動を制御するための処理や、ウエアラブル端末22やタブレット端末23と通信するための処理を実行する。
歩行車用制御部95が設けられている周辺の部位には、歩行車21の動きに伴う速度の変化である加速度を検出する加速度センサGが設けられている。本実施形態において、加速度センサGは、図1の方向に対応するように、前後方向を示す「Y軸」、左右方向を示す「X軸」、上下方向を示す「Z軸」として、検出軸を3本有する3軸センサである。
バッテリ96は、本体部97の下側の長辺の左側の部位に設けられている。バッテリ96は、例えば、充電可能な二次電池であり、操作パネル94の歩行車21の電源をオンする操作を通じて、操作パネル94や、歩行車用制御部95や、各電動モータ101に電力を供給する。
なお、本体部97の上側の長辺の左側の部位には、タブレット端末23を保持するためのタブレットホルダHLが上方に延びるように設けられている。タブレットホルダHLは、歩行車21の前後方向に厚みを有する矩形板状をなしており、歩行車21の後方側に設けられた設置面HLaに対してタブレット端末23が設置されることで、当該タブレット端末23を移動中等、使用中の歩行車21から落下させたりしないように保持する。使用者は、歩行車21の使用中、タブレットホルダHLにタブレット端末23を設置することにより、タブレット端末23を手に持つ等しなくても当該タブレット端末23の操作や表示内容の確認をしたりする。
次に、歩行車21の電気的構成について説明する。
図3に示すように、歩行車用制御部95には、操作パネル94と、各回転センサ100(左),100(右)、及び各電動モータ101(左),101(右)と、各電動モータ101に対応して設けられた各ブレーキレバー104(左),104(右)と、BLE通信部105と、加速度センサGとが接続されている。BLE通信部105は、近距離での無線通信として、例えば、Bluetooth(登録商標)、特に、BLE(Bluetooth Low Energy)を通じて、ウエアラブル端末22や、タブレット端末23との間で各種情報を送受信する通信機能を実現する。
歩行車用制御部95は、操作パネル94の操作に基づいて、歩行車21の電源のオンオフ状態を切り替え制御したり、各ブレーキレバー104の操作に基づいて各電動モータ101の制御量である電流の供給を制御することによって各電動モータ101の駆動を制御したり、バッテリ96の残量に基づいて操作パネル94の表示内容を制御したりする。
また、歩行車用制御部95は、各回転センサ100の検出結果に基づいて、例えば、後述する歩行支援システム10へのログイン許可からログアウトするまでの1回のログイン状態の間を1トリップとして、1トリップ中に使用者が歩行車21を使用して歩行運動した際の歩行速度と、歩行距離とに関する歩行情報を算出する。なお、本実施形態において、歩行速度は、1トリップ中の最大の速度として得られる。また、歩行車用制御部95は、1日(24時間)等、予め定めた単位時間を1トリップとして、歩行速度を算出するようにしてもよいし、歩行速度として平均の歩行速度を算出するようにしてもよい。
そして、歩行車用制御部95は、上記歩行支援システム10からログアウトする際や、ログイン状態の間に、上記歩行支援システム10へのログイン許可された際に、後述するペアリングを完了させたタブレット端末23に対して、算出した歩行情報をBLE通信部105を通じて送信する。
次に、ウエアラブル端末22について説明する。
ウエアラブル端末22は、使用者が手首に装着するリストバンド型のものである。ウエアラブル端末22は、近距離での無線通信として、例えば、Bluetooth、特に、BLEを通じて、歩行車21や、タブレット端末23との間で各種情報を送受信する通信機能を有している。また、ウエアラブル端末22は、歩行支援システム10を利用するための機能の他、時計機能等の他の機能を有していてもよい。
具体的には、図3に示すように、ウエアラブル端末22は、心拍数センサ106を備えている。心拍数センサ106は、ウエアラブル端末22が装着された使用者の手首の血流を測定することにより、歩行車21を使用した際の使用者の心拍数を検出する。
心拍数センサ106には、上記BLEによる通信を可能にするBLE通信部107が接続されている。そして、心拍数センサ106で検出された心拍数は、上記歩行支援システム10にログイン状態の間、後述するペアリングを完了させたタブレット端末23に対して、BLE通信部105を通じて送信される。
次に、タブレット端末23について説明する。
タブレット端末23は、近距離での無線通信として、例えば、Bluetooth、特に、BLEを通じて、歩行車21や、ウエアラブル端末22との間で各種情報を送受信する通信機能や、上記ネットワークを通じて、サーバ30との間で各種情報を送受信する通信機能を有している。また、タブレット端末23は、歩行支援システム10を利用するための専用のアプリケーションがインストールされている他、ゲーム等の他のアプリケーションがインストールされていてもよく、汎用又は専用のタブレットである。
具体的には、図3に示すように、タブレット端末23は、当該タブレット端末23の表示画面である表示パネル108を備えている。表示パネル108は、歩行支援システム10を利用するためのアプリケーションの起動や、歩行支援システム10へのログイン、ログアウトするための各種メニュー画面を表示し、当該各種メニュー画面を使用者が指で直接触れることで操作することができる、例えば、静電式、感圧式、光学式で使用者の指が触れた位置を検出するタッチパネルである。また、表示パネル108は、歩行車21を使用して歩行運動した歩行時間や、歩行速度や、歩行距離や、歩行運動前、歩行運動後、及び歩行運動中の心拍数を表示したりする。
表示パネル108には、タブレット用制御部109が接続されている。タブレット用制御部109は、例えば、図示しない中央処理装置(CPU(Central Processing Unit))及びメモリをそれぞれ備えており、メモリに記憶されたプログラムをCPUが実行することによって、タブレット端末23についての各種処理が実行される。タブレット用制御部109は、タブレット端末23についての各種処理として、表示パネル108で使用者が指で触れた位置を検出するための処理や、表示パネル108の表示内容を制御するための処理や、歩行車21やウエアラブル端末22と通信するための処理や、サーバ30と通信するための処理を実行する。
タブレット用制御部109には、上記BLEによる通信を可能にするBLE通信部110と、上記ネットワークによる通信を可能にするネットワーク通信部111とが接続されている。タブレット用制御部109は、BLE通信部110を通じて、例えば、上記歩行支援システム10へのログイン時やログイン状態の間に、後述するペアリングを完了させた歩行車21で算出されてBLE通信部105を通じて送信される歩行情報を取得し、当該歩行情報を収集する。また、タブレット用制御部109は、BLE通信部110を通じて、例えば、上記歩行支援システム10へのログイン時やログイン状態の間に、後述するペアリングを完了させたウエアラブル端末22で検出されてBLE通信部107を通じて送信される心拍数を取得し、当該心拍数を収集する。また、タブレット用制御部109は、上記歩行支援機器20を構築するためのペアリングを要求するための情報であるペアリング要求をBLE通信部107を通じて歩行車21及びウエアラブル端末22に対して送信する。
そして、タブレット用制御部109は、歩行車21やウエアラブル端末22から収集した歩行情報や心拍数に基づいて、歩行車21を使用しての歩行運動の歩行時間や、歩行速度や、歩行距離や、歩行運動前、歩行運動後、歩行運動中の心拍数に関する情報、及び歩行支援機器20の位置情報である使用情報を算出する。本実施形態において、使用情報は、使用者が歩行支援機器20を使用しての外出中に収集して得られる情報であって、使用者によって歩行支援機器20、すなわち歩行車21が使用された結果、歩行支援機器20から得られる情報である。
また、タブレット用制御部109には、位置情報を検出する位置情報センサ120が接続されている。位置情報センサ120は、例えば、GPS(Global Positioning System)用の人工衛星からの測位信号を受信し、当該受信される測位信号に基づきタブレット端末23の現在の位置(緯度、経度)および方位を検出するGPSセンサである。位置情報センサ120は、これらタブレット端末23の位置及び方位から、タブレット端末の位置情報を生成する。タブレット用制御部109は、例えば、上記歩行支援システム10へのログイン時やログイン状態の間に、位置情報センサ120で生成された位置情報を取得し、当該位置情報を収集する。本実施形態において、位置情報は、タブレット端末23とペアリングして使用される歩行車21の現在の位置を示すとともに、当該歩行車21を使用中の使用者の位置を代替的に示すものである。
また、タブレット用制御部109は、例えば、上記歩行支援システム10へのログイン時やログイン状態の間に、サーバ30に対して、歩行車21やウエアラブル端末22から収集した歩行情報や心拍数や、これらに基づき算出される使用情報を、後述のログイン情報とともにネットワーク通信部111を通じて送信する。また、タブレット用制御部109は、サーバ30に対して、上記歩行支援システム10への後述のログイン許可をサーバ30に対して要求するための情報であるログイン情報をネットワーク通信部111を通じて送信する。また、タブレット用制御部109は、施設端末40及び家族端末50に対して、後述の徘徊情報をネットワーク通信部111を通じて送信する。
サーバ30は、上記ネットワークを通じて、歩行支援機器20のタブレット端末23と、施設端末40との間で各種情報を送受信する通信機能を有している。
具体的には、図4に示すように、サーバ30は、サーバ用制御部112を備えている。サーバ用制御部112は、例えば、図示しないCPU及びメモリをそれぞれ備えており、メモリに記憶されたプログラムをCPUが実行することによって、タブレット端末23についての各種処理が実行される。歩行支援システム10を管理運営するためにサーバ用制御部112が実行する各種処理については後で詳しく説明する。
サーバ用制御部112には、記憶部113と、上記ネットワークによる通信を可能にするネットワーク通信部114が接続されている。サーバ用制御部112は、ネットワーク通信部114を通じて、例えば、上記タブレット端末23からのログイン要求に伴い、当該タブレット端末23のログイン情報を取得し、RAMやROM等が採用される記憶部113の所定の格納領域に記憶する。また、サーバ用制御部112は、ネットワーク通信部114を通じて、例えば、タブレット端末23の後述のログイン許可時やログイン状態の間に、当該ログイン許可したタブレット端末23のネットワーク通信部111を通じて収集された使用情報を記憶部113の所定の格納領域に記録する。
サーバ用制御部112に接続された記憶部113には、歩行支援機器20が使用される際の環境である使用環境を提供する際に用いられる一次環境情報として、地上の位置毎に地図情報を対応付けて構築される地図データが記憶され、管理されている。地図データは、使用環境、すなわち外出中の使用者に対する歩行環境を提供するための基であり、素材となる情報である。このような使用環境として、本実施形態では、歩行支援機器20の使用時の安心感を向上できるような使用環境が提供される。
具体的には、記憶部113には、地上の位置毎に専用の記憶領域(以下、「位置個別領域」という。)が割り振られるとともに、位置個別領域が割り振られた地上の位置に関する地図情報が記憶され、管理されている。つまり、記憶部113には、地上の位置毎に地図情報を対応付けて構築される地図データが記憶されている。地図情報は、地上の位置についての住所、建物名、建物形状、道路名、道路形状、信号の位置等の地図提供会社等が作成済の基礎情報と、当該基礎情報に付加するように上記ネットワークを通じて得られる位置状態情報とを含んでいる。本実施形態において、位置状態情報は、位置情報が示す位置について、例えば、凹凸、傾斜、高低差、溝の有無等、当該位置で使用者が歩行支援機器20を使用して歩行した場合に歩行支援機器20の動きに変化を与える路面状態や、当該位置周辺の自動車、自転車、及び通行人の交通量や、当該位置周辺の天気を示す情報を含む情報である。また、位置状態情報は、位置情報が示す位置について、例えば、歩道幅や、当該位置を通過する際の歩行の負荷や、当該位置周辺の信号や横断歩道の有無等を示す情報や、使用者の歩行履歴を含む情報である。
図5には、一例として、外出中の使用者が歩行可能な領域である外出エリア(図中、短破線を付す)が示されている。外出エリアは、歩行支援機器20を使用しての外出中の使用者が通常歩行すると想定される位置情報を集めて構成された領域であって、当該使用者がこの領域から逸脱するように歩行すると当該使用者が徘徊していると想定される領域である。なお、徘徊には、使用者の記憶力の低下や判断力の低下によって歩き回ることもあれば、使用者が自身のいる場所や目的地が分からなくなり歩き回っていることもある。また、逸脱とは、外出エリアを構成する位置情報のいずれかと現在の使用者の位置情報とが一致していないことであり、使用者が外出エリアの内側から外側へと移動した場合に生じる。このような外出エリアは、使用者が歩行するなかで変遷する位置情報の軌跡となるように当該位置情報を集めて構成された歩行履歴(図中、「H1〜H3」の符号を付す)に基づいて、歩行履歴を含むように設定されている。歩行履歴とは、歩行支援機器20が歩行路を移動した際の移動履歴のことである。本実施形態の二次環境情報である外出エリアの生成については、後述する。
図4に示すように、サーバ用制御部112は、使用者が歩行支援機器20を使用して外出する際に、タブレット端末23に対して使用者が行う所定の操作に応じてタブレット端末23から送信される外出要求を受信すると、後述の個別領域に記録された使用者の歩行履歴に基づき生成した外出エリアをタブレット端末23に対して送信する。また、サーバ用制御部112は、歩行支援システム10へのログイン状態の間に、使用者が歩行支援機器20を使用しての外出中に、使用者の歩行履歴の基となる情報、すなわち位置情報センサ120で検出された位置情報を収集する。サーバ用制御部112は、位置情報に基づいて、使用者の歩行履歴を生成し、地図データを更新する。今回のログイン状態の間に収集した歩行履歴は、次回以降のログイン状態の間に用いる外出エリアの生成の際に用いられる。
以下、サーバ用制御部112が歩行支援システム10を管理運営するために実行する各種処理について詳しく説明する。
まず、使用者が歩行支援システム10にログインする際に、歩行車21、ウエアラブル端末22、タブレット端末23、及びサーバ30が実行する処理について説明する。以下では、歩行車21、ウエアラブル端末22、タブレット端末23、及びサーバ30は、それぞれの制御周期毎に周期処理を実行することによって、歩行支援システム10へのログイン許可するための処理の流れを説明する。
本実施形態において、使用者又は使用者の関係者は、歩行支援システム10を利用するにあたり、当該歩行支援システム10への所定の登録行為を必要としている。なお、使用者の関係者は、使用者の親戚等を含む家族の他、利用している支援施設の職員等、使用者の登録行為を代理できる人を含む。
サーバ用制御部112に接続された記憶部113には、使用者の登録行為により使用者毎に専用の登録情報であるログイン情報とともに、専用の記憶領域(以下、「個別領域」という。)が割り振られるとともに、個別領域で登録行為の対象となる使用者に関する各種情報が記録され、管理される。所定の登録行為の際は、使用者の氏名及び住所やメールアドレス等の連絡先、使用者の関係者の氏名及び住所やメールアドレス等の連絡先、使用者が利用している支援施設の施設名称を含む個別情報の提供を必要とする。これら個別情報は、使用者の登録行為により確保された個別領域に対して、所定の登録行為の完了に伴い使用者毎にそれぞれ設定する登録名及びセキュリティ用のパスワードであるログイン情報とともに記録され、管理される。
使用者は、所定の登録行為の完了後、歩行支援システム10、すなわち歩行支援機器20を利用している支援施設にて、当該支援施設のタブレット端末23の表示パネル108の操作を通じて、歩行支援システム10を利用するためのアプリケーションを起動させる。
この場合、図6に示すように、タブレット端末23において、タブレット用制御部109は、歩行支援システム10を利用するためのアプリケーションの起動に伴い、歩行支援システム10へのログインするためのメニュー画面であるログイン画面を表示させる(ステップS11)。続いて、タブレット用制御部109は、ログイン情報が入力されたか否かを判断し(ステップS12)、ログイン情報が入力されるまでの間(ステップS12:NO)、ステップS12の処理を繰り返し実行する。
タブレット用制御部109は、ログイン情報が入力されたことを判断する場合(ステップS12:YES)、ステップS12にて入力されたログイン情報をサーバ30に対して送信するとともに、歩行支援機器20を構築するべくペアリング要求を歩行車21及びウエアラブル端末22に対して送信する(ステップS13)。この場合、タブレット用制御部109は、タブレット端末23の個体を識別できる個体識別情報を合わせてサーバ30に対して送信する。タブレット端末23は、基本的に予め定められた歩行車21やウエアラブル端末22とペアリングされるため、上記個体識別情報によって歩行車21やウエアラブル端末22の個体をそれぞれサーバ30にて識別することができる。
歩行車21において、歩行車用制御部95は、タブレット端末23が送信したペアリング要求を受信すると、当該タブレット端末23を通信相手とし、他の近距離に存在するタブレット端末23を通信相手としないように互いを認証するペアリング処理を実行する(ステップS31)。ステップS31にて、ウエアラブル端末22は、歩行車用制御部95と同様、タブレット端末23が送信したペアリング要求を受信すると、当該タブレット端末23を通信相手とし、他の近距離に存在するタブレット端末23を通信相手としないように互いを認証するペアリング処理を実行する。歩行車用制御部95及びウエアラブル端末22は、ペアリング要求を送信したタブレット端末23との間で、互いを認証してペアリングを完了させると、その旨を示す情報としてペアリング完了を、ペアリング要求を送信したタブレット端末23に対して送信する。
一方、サーバ30において、サーバ用制御部112は、タブレット用制御部109が送信したログイン情報を受信すると、当該ログイン情報が登録されているログイン情報と一致するか否かを判断する(ステップS21)。サーバ用制御部112は、ステップS21で受信したログイン情報が登録されているログイン情報と一致する場合(ステップS21:YES)、歩行支援システム10へのログイン許可することを示すログイン許可情報を生成する(ステップS22)。この場合、サーバ用制御部112は、記憶部113の個別領域に対して、使用者に関する各種情報を記録や更新できるように、使用者の歩行支援システム10へのログイン許可を完了させ、生成したログイン許可情報をタブレット端末23に対して送信する(ステップS24)。
一方、サーバ用制御部112は、ステップS21で受信したログイン情報が登録されているログイン情報と一致しない場合(ステップS21:NO)、歩行支援システム10へのログイン許可しないことを示すログイン不許可情報を生成する(ステップS23)。この場合、サーバ用制御部112は、使用者の歩行支援システム10へのログイン許可を完了させないで、生成したログイン不許可情報をタブレット端末23に対して送信する(ステップS24)。
タブレット端末23において、タブレット用制御部109は、ペアリング要求を送信した相手である歩行車21及びウエアラブル端末22が送信したペアリング完了を受信し、サーバ30が送信したログイン許可情報を受信すると、歩行支援システム10へのログイン許可を示すログイン後画面を表示パネル108に画像表示させる(ステップS14)。なお、タブレット用制御部109は、ペアリング要求を送信した相手である歩行車21及びウエアラブル端末22が送信したペアリング完了を受信しない、又はサーバ30が送信したログイン不許可情報を受信すると、ログイン許可されなかった旨を使用者に把握させることのできるエラー画面を表示パネル108に画像表示させる。
次に、使用環境を提供するための基となる地図データを生成するためにサーバ30が実行する処理について説明する。本実施形態では、サーバ30は、地図データのうち、使用者の歩行履歴を更新するようにしている。サーバ30のサーバ用制御部112は、使用環境を提供するための基となる地図データを更新するための処理を制御周期毎に実行する。
図7に示すように、サーバ用制御部112は、各種情報を上記ネットワークを通じて取得する(ステップS41)。本実施形態において、ステップS41で取得される各種情報には、歩行支援機器20にて収集された使用情報を上記ネットワークを通じて取得したものもあれば、歩行支援機器20以外から得られる情報を上記ネットワークを通じて取得したものも含まれている。
ステップS41で取得される使用情報には、タブレット端末23の位置情報センサ120で検出された位置情報と紐付けられた状態で、加速度センサGの検出結果に関する情報が含まれている。また、ステップS41で取得される使用情報には、他に、タブレット端末23の位置情報センサ120で検出された位置情報と紐付けられた状態で、心拍数センサ106で検出された心拍数の検出結果に関する情報が含まれている。また、ステップS41で取得される各種情報には、タブレット端末23の位置情報センサ120で検出された位置情報が含まれている。サーバ用制御部112は、今回のログイン状態の間に収集した位置情報を集めることによって構成された位置情報の軌跡から歩行履歴を生成することができる。歩行履歴は外出エリアを生成するための基となる情報であって、外出エリアは歩行支援機器20の使用時の安心感を向上できるような使用環境を提供するための基となる情報である。サーバ用制御部112は、このような位置情報が示す位置の歩行路の状態を示す情報に基づいて、当該位置の歩行路を評価することで、位置状態情報を生成する。本実施形態において、位置状態情報は、歩行支援機器20が使用された結果、当該機器から得られる機器取得情報である。また、本実施形態において、サーバ用制御部112が実行するステップS41の処理は、機器取得情報収集ステップに相当する処理を含んでいる。
歩行支援機器20以外から上記ネットワークを通じて得られる情報としては、自動車、自転車、及び通行人の交通量や、天気や、溝や、歩道幅や、障害物の有無等を示す情報が含まれている。歩行支援機器20以外から上記ネットワークを通じて得られる情報は、それぞれが対応する位置を示す位置情報と紐付けられている。歩行支援機器20以外からの情報は、例えば、ソーシャル・ネットワーキング・サービス等の投稿型のインターネットサービスや、道路管理会社が提供するインターネットサービスや、気象予報会社が提供するインターネットサービス等から取得される。サーバ用制御部112は、このような位置情報が示す位置についての各種情報に基づいて、当該位置の歩行路を評価することで、位置状態情報を生成することができる。このような位置状態情報は、歩行支援機器20以外のネットワークから得られる情報である。
サーバ用制御部112は、記憶部113の位置個別領域について、位置個別領域が示す位置とステップS41で位置情報センサ120から検出された位置情報が示す位置とを照合し、更新対象となる位置個別領域を特定する(ステップS42)。なお、本実施形態において、サーバ用制御部112が実行するステップS42の処理と、後述のステップS43の処理とは、一次環境情報生成ステップ、すなわちデータ更新ステップに相当する。
サーバ用制御部112は、ステップS42で特定した更新対象となる位置個別領域に対して、当該位置個別領域が割り振られた位置に対応する位置情報に紐付けられた位置状態情報を記憶することで、地図データを更新する(ステップS43)。このようにして更新された地図データは、使用環境を提供するための基となる一次環境情報である。本実施形態において、地図データは、特に歩行支援機器20が使用された結果、当該機器から得られる情報を含んで更新されることから、歩行支援機器20が移動する歩行路について評価した情報を集めた歩行路用の地図データといえる。地図データは、各端末で視覚的に表示すると、各位置についての地図情報が散りばめられて表示することができる情報である。地図データには、歩行支援機器20の使用時の安心感を向上できるような使用環境を提供するのに利用されない情報も含まれている。歩行支援機器20の使用時の安心感を向上できるような使用環境を提供するための基となる外出エリアを生成する際には、地図データから、提供する使用環境に必要な情報として、使用者の歩行履歴の情報が抽出されて利用されることになる。地図データから抽出された使用者の歩行履歴に基づいて、二次環境情報として外出エリアが生成される。
次に、ログイン許可の完了後、使用者が歩行支援機器20を使用しての外出中に実行する処理である後述の図8に示す処理の実行に先立って、使用者が歩行支援機器20を使用して外出する際に、タブレット端末23及びサーバ30で実行される処理について説明する。
図6に示すように、タブレット用制御部109は、歩行支援機器20を使用して外出する際にタブレット端末23に対して行う所定の操作が入力されたか否かを判断し(ステップS15)、当該所定の操作が入力されるまでの間(ステップS15:NO)、ステップS15の処理を繰り返し実行する。
タブレット用制御部109は、使用者が歩行支援機器20を使用して外出する際にタブレット端末23に対して行う所定の操作が入力されたことを判断する場合(ステップS15:YES)、外出要求をサーバ30に対して送信する(ステップS16)。
サーバ30において、サーバ用制御部112は、タブレット用制御部109が送信した外出要求を受信すると、位置個別領域に記憶された使用者の歩行履歴に基づき、外出エリアを生成し(ステップS25)、当該外出エリアをタブレット端末23に対して送信する(ステップS26)。サーバ30は、地図データから、歩行支援機器20が使用される際の使用時の安心感を向上できるような使用環境を提供するのに必要な使用者の歩行履歴を抽出して、当該歩行履歴に基づいて外出エリアを生成するようにしている。ステップS25において、サーバ用制御部112は、例えば図5に示した歩行履歴H1〜H3を全て含むように、過去のログイン状態の間に収集した歩行履歴に基づいて、今回のログイン状態の間に用いる外出エリアを生成している。具体的には、サーバ用制御部112は、歩行履歴を構成する複数の位置情報について、個々の位置情報を中心とした所定半径の円内の領域を繋げて得られる領域を外出エリアとして生成している。所定半径は、歩行支援機器20を使用して外出する使用者が通常歩行していて逸脱することのないと考えられる距離に設定されている。なお、本実施形態において、外出エリアは、例えば、歩行履歴上の歩行路のみの領域とする等、種々の方法で生成することができる。本実施形態において、サーバ用制御部112が実行するステップS25の処理は、二次環境情報生成ステップに相当する。
また、タブレット用制御部109は、上述の外出要求をサーバ30に対して送信(ステップS16)した後、二次環境情報を収集する二次環境情報収集ステップとして、サーバ用制御部112から送信された外出エリアを取得する(ステップS17)。このように、タブレット端末23は、ログイン許可の完了後、歩行支援機器20を使用して外出する際に、外出エリアを取得するようにしている。
次に、使用者が歩行支援機器20を使用しての外出中に収集して得られる位置情報に対してタブレット端末23が実行する処理について説明する。以下の処理は、タブレット端末23のタブレット用制御部109によって、制御周期毎に実行される。以下の処理は、タブレット端末23がサーバ30に外出要求を送信したことによって外出エリアを取得した後に実行される。
図8に示すように、タブレット用制御部109は、位置情報センサ120で検出された位置情報を取得する(ステップS51)。本実施形態において、タブレット用制御部109が実行するステップS51の処理は、位置情報収集ステップに相当する。
タブレット用制御部109は、外出要求をサーバ30に対して送信したことによって取得した外出エリアから上記ステップS51で取得した位置情報が逸脱しているか否かを判定する(ステップS52)。ステップS52において、タブレット用制御部109は、外出エリアを構成する位置情報と、ステップS51で取得した位置情報とが一致するか否かを判定する。本実施形態において、タブレット用制御部109が実行するステップS52の処理と、以下のステップS53の処理とは、処理実行ステップに相当する。
タブレット用制御部109は、外出要求をサーバ30に対して送信したことによって取得した外出エリアから上記ステップS51で取得した位置情報が逸脱していない場合(ステップS52:NO)、すなわち当該外出エリアを構成する位置情報と上記ステップS51で取得した位置情報とが一致している場合、使用者が徘徊していないと判断して、当該処理を終了する。
タブレット用制御部109は、外出要求をサーバ30に対して送信したことによって取得した外出エリアから上記ステップS51で取得した位置情報が逸脱している場合(ステップS52:YES)、すなわち当該外出エリアを構成する位置情報と上記ステップS51で取得した位置情報とが一致していない場合、使用者が徘徊していると判断する。この場合、タブレット用制御部109は、使用者が徘徊していることを通知するための情報である徘徊情報を生成する(ステップS53)。タブレット用制御部109は、ステップS53において徘徊情報を生成した場合、当該徘徊情報を、施設端末40や、家族端末50に対して送信する。
以下、使用者が歩行支援機器20を使用しての外出中、タブレット端末23や、施設端末40や、家族端末50で表示される表示内容について説明する。
タブレット用制御部109は、使用者が歩行支援機器20を使用しての外出中、徘徊情報を生成した場合、使用者が徘徊していることを通知する表示内容となるように表示パネル108の表示内容を制御する。
この場合、図9(a)に示すように、タブレット端末23の表示パネル108には、使用者(「Aさん」)、歩行車21の個体(「1号機」)を特定する画像と、歩行支援機器20の現在の位置周辺の地図を特定する画像と、外出エリアに戻ることを促すための画像とからなる表示内容が画像表示される。なお、タブレット端末23の表示パネル108には、このような外出エリアに戻ることを促す画像として、例えば、「道に迷っていませんか。戻るにはUターンして下さい」等のメッセージ画像を画像表示する。
また、タブレット端末23は、徘徊情報を生成した場合、サーバ30を通じて個別情報に含まれる使用者の家族の連絡先や使用者の利用している支援施設の連絡先を特定し、当該連絡先に対して登録されている施設端末40や家族端末50の電子メールのメールアドレス宛に徘徊情報を送信する。
この場合、図9(b)に示すように、施設端末40や、家族端末50が徘徊情報を受信した場合、施設端末40の表示画面である表示パネル40aや、家族端末50の表示画面である表示パネル50aには、使用者の徘徊(「Aさんが徘徊しています」)を通知する内容の電子メールが画像表示される。
本実施形態の作用を説明する。
本実施形態によれば、サーバ用制御部112は、各種情報を上記ネットワークを通じて取得するステップS41の処理を実行している。サーバ用制御部112は、使用環境を提供するための基となる地図データを更新するステップS42、S43の処理を実行している。これらの処理の実行を通じて、歩行履歴を付加して構築することで、歩行支援機器20が使用される際の使用環境を提供する際に用いられる一次環境情報として地図データを生成することができる。このような地図データを基とすれば、歩行支援機器20が使用される際の使用時の安心感を向上できるような使用環境を提供するのに必要な使用者の歩行履歴を抽出することができるようになる。そして、サーバ用制御部112は、地図データから抽出された使用者の歩行履歴に基づき、外出エリアを生成するステップS25の処理を実行するようにしている。これにより、二次環境情報として外出エリアを生成することができる。
本実施形態の効果を説明する。
(1)本実施形態では、地図データに付加される情報として、使用時の安心感を向上できるような使用環境を提供するのに必要な歩行履歴を含むことによって、使用環境を提供する際に歩行履歴を考慮することができるようになり、歩行支援機器20が使用される際の使用環境として所望の使用環境を提供するのに役立てることができる。所望の使用環境としては、例えば、歩行支援機器20の使用時の安心感を向上できるような使用環境を提供することができる。このため、歩行支援機器20が使用される際に所望の使用環境を提供することのできる仕組みを構築することができる。
(第2実施形態)
次に、環境情報生成システムを歩行支援システムに適用した第2実施形態について説明する。なお、既に説明した実施形態と同一構成等は、同一の符号を付す等して、その重複する説明を省略する。
本実施形態では、使用環境として、歩行支援機器20の使用時の安全性を向上できるような使用環境が提供される。具体的には、使用者が歩行支援機器20を使用しての外出中、歩行の安全性を確保する上で適さない地点(以下、「注意地点」という。)に向かうことが抑制されるようにした使用環境を提供するものである。本実施形態において、二次環境情報は、注意地点を把握できるように示す情報である注意地点マップである。
図4に示すように、サーバ30において、サーバ用制御部112は、タブレット用制御部109が送信した外出要求を受信すると、二次環境情報としての注意地点マップをタブレット端末23に対して送信する。
使用環境を提供するための基となる地図データを生成するためにサーバ30が実行する処理によって生成された地図データには、歩行支援機器20の使用時の安全性を向上できるような使用環境を提供するのに利用されない情報も含まれている。歩行支援機器20の使用時の安全性を向上できるような使用環境を提供するための基となる注意地点マップを生成する際には、地図データから、提供する使用環境に必要な情報として、例えば悪路であることや、段差路であること等を示す情報が抽出されて利用されることになる。地図データから抽出された情報に基づいて、二次環境情報として注意地点マップが生成される。
次に、位置状態情報を生成するためにサーバ30が実行する処理について説明する。サーバ30のサーバ用制御部112は、位置状態情報を生成するための処理を制御周期毎に実行する。ここでは、位置状態情報の生成の一例として、加速度センサGの検出結果に基づいた位置状態情報の生成について説明する。加速度センサGの検出結果からは、例えば、歩行支援機器20が、悪路を移動したこと、傾斜路を移動したこと、段差路を移動したこと、段差に衝突したこと、転倒したこと等の情報を算出することができる。サーバ用制御部112は、これらの情報に基づいて、位置状態情報を生成する。
図10(a)は、上下への振動を繰り返す凹凸を有する歩行路である悪路を歩行支援機器20が通過した場合の加速度センサGの検出結果を示している。この場合、歩行支援機器20は、上下への振動を繰り返す結果、当該振動が「Z軸」の連続的な上下変化として現れ、「X軸」及び「Y軸」のいずれにおいても定常的な変化としてしか現れないことになる。サーバ用制御部112は、例えば、加速度センサGの検出結果が「Z軸」の連続的な上下変化として現れることに基づいて、紐付けられた位置情報が示す位置が悪路であることを判断できる。サーバ用制御部112は、「Z軸」の連続的な上下変化の大きさに基づいて、悪路の凹凸の大きさを推定することができる。例えば、歩行支援機器20の転倒が発生しやすいような大きい凹凸がある場合には、位置状態情報として、位置情報が示す位置について、転倒が発生しやすいことを示す情報を生成する。当該位置状態情報は、使用時の安全性を向上できるような使用環境を提供するのに必要な情報として、注意地点マップの生成時に抽出される注意地点を示す情報である。
図10(b)は、歩行支援機器20が前後左右いずれかに傾斜を有する歩行路である傾斜路を歩行支援機器20が通過した場合の加速度センサGの検出結果を示している。この場合、歩行支援機器20は、歩行支援機器20が傾斜した状態で移動する結果、加速度センサGの検出結果が「Y軸」及び「X軸」が定常的な傾きを示すことになる。サーバ用制御部112は、例えば、加速度センサGの検出結果が「Y軸」及び「X軸」が定常的な傾きを示すものであることに基づいて、紐付けられた位置情報が示す位置が傾斜路であることを判断できる。サーバ用制御部112は、加速度センサGの検出結果における「Y軸」及び「X軸」が定常的な傾きの大きさに基づいて、傾斜路の傾斜の大きさを推定することができる。例えば、歩行支援機器20の転倒が発生しやすいような大きい傾斜路がある場合には、位置状態情報として、位置情報が示す位置について、転倒が発生しやすいことを示す情報を生成する。当該位置状態情報は、使用時の安全性を向上できるような使用環境を提供するのに必要な情報として、注意地点マップの生成時に抽出される注意地点を示す情報である。
図10(c)は、歩行支援機器20が高低差の大きい段差を有する歩行路である段差路を歩行支援機器20が通過した場合の加速度センサGの検出結果を示している。この場合、歩行支援機器20は、歩行支援機器20が段差を超えるように移動する結果、加速度センサGの検出結果が「Z軸」の一の大きなピークを有する変化として現れ、「Y軸」及び「X軸」のいずれにおいても定常的な変化としてしか現れないことになる。サーバ用制御部112は、例えば、加速度センサGの検出結果が「Z軸」の一の大きなピークを有する変化として現れ、「Y軸」及び「X軸」のいずれにおいても定常的な変化としてしか現れないことに基づいて、紐付けられた位置情報が示す位置が段差路であることを判断できる。サーバ用制御部112は、加速度センサGの検出結果における「Z軸」のピークの大きさに基づいて、段差の大きさを推定することもできる。例えば、歩行支援機器20の転倒が発生しやすいような大きい段差がある場合には、位置状態情報として、位置情報が示す位置について、転倒が発生しやすいことを示す情報を生成する。当該位置状態情報は、使用時の安全性を向上できるような使用環境を提供するのに必要な情報として、注意地点マップの生成時に抽出される注意地点を示す情報である。
図10(d)は、歩行支援機器20が段差に衝突した場合の加速度センサGの検出結果を示している。この場合、歩行支援機器20は、段差に衝突して前後及び上下に大きく衝撃を発生する結果、当該衝撃が「Y軸」及び「Z軸」の一の大きなピークを有する変化として現れ、「X軸」において定常的な変化としてしか現れないことになる。サーバ用制御部112は、例えば、加速度センサGの検出結果が「Y軸」及び「Z軸」の一の大きなピークを有する変化として現れ、「X軸」において定常的な変化としてしか現れないことに基づいて、紐付けられた位置情報が示す位置で段差に衝突したことを判断できる。サーバ用制御部112は、例えば、過去に歩行支援機器20の段差への衝突が頻発している場合には、位置状態情報として、位置情報が示す位置について、段差への衝突が生じやすいことを示す情報を生成する。段差への衝突は、歩行支援機器20の転倒にも繋がりかねない前兆である。このため、当該位置状態情報は、使用時の安全性を向上できるような使用環境を提供するのに必要な情報として、注意地点マップの生成時に抽出される注意地点を示す情報である。
図10(e)は、歩行支援機器20が転倒した場合の加速度センサGの検出結果を示している。この場合、歩行支援機器20は、転倒して前後に小さく衝撃と、左右に大きく衝撃を発生する結果、当該衝撃が「Y軸」の比較的に小さく短い変化として現れ、「X軸」の一の大きなピークを有する変化として現れる。この場合、さらに横転することで、加速度センサGの本来左右の加速度を検出する「X軸」が上下の加速度を検出し、本来上下の加速度を検出する「Z軸」が左右の加速度を検出することになり、この影響が「X軸」の所定の重力分(図中「1G」)の加速度を検出すると、「Z軸」で所定の重力分の加速度を検出しなくなるように反映される。サーバ用制御部112は、例えば、加速度センサGの検出結果が「Y軸」の比較的に小さく短い変化として現れ、「X軸」の一の大きなピークを有する変化として現れることに基づいて、紐付けられた位置情報が示す位置で歩行支援機器20が転倒したことを判断できる。サーバ用制御部112は、例えば、過去に歩行支援機器20の転倒が頻発している場合には、位置状態情報として、位置情報が示す位置について、転倒が生じやすいことを示す情報を生成する。当該位置状態情報は、使用時の安全性を向上できるような使用環境を提供するのに必要な情報として、注意地点マップの生成時に抽出される注意地点を示す情報である。
次に、位置状態情報の生成の一例として、上記ネットワークを通じて取得された歩行路周辺の交通量に基づいた位置状態情報の生成について説明する。サーバ用制御部112は、当該位置周辺における交通量が多い場合には、位置状態情報として、位置情報が示す位置について、交通量が多く歩行に注意を要することを示す情報を生成する。当該位置状態情報は、使用時の安全性を向上できるような使用環境を提供するのに必要な情報として、注意地点マップの生成時に抽出される注意地点を示す情報である。
次に、タブレット端末23及びサーバ30が実行する処理について説明する。
図11に示すように、二次環境情報を生成する二次環境情報生成ステップとして、サーバ用制御部112は、タブレット用制御部109が送信した外出要求を受信すると、注意地点を把握できるように示す情報である注意地点マップを生成し(ステップS27)、当該注意地点マップをタブレット端末23に対して送信する(ステップS28)。サーバ30は、ステップS27で生成される注意地点マップの生成に際して、地図データから、歩行支援機器20が使用される際の使用時の安全性を向上できるような使用環境を提供するのに必要な情報を抽出して、抽出した情報に基づいて注意地点マップを生成するようにしている。抽出される情報としては、凹凸、傾斜、溝の有無等、当該位置で使用者が歩行支援機器20を使用して歩行した場合に歩行支援機器20の動きに変化を与える路面状態や、当該位置周辺の交通量等の情報が挙げられる。ステップS27で生成される注意地点マップは、外出要求があった歩行支援機器20を有している支援施設周辺について、注意地点を集めて構成されている。なお、サーバ用制御部112は、ログイン情報に基づいて、外出要求があった歩行支援機器20を有している支援施設の位置を特定する。注意地点は、例えば、歩行路またはその周辺について、歩行を困難にする凹凸や傾斜や段差があったり、歩行の妨げになるほど交通量が多かったり、歩行に向かない天気であったりする地点のことである。
タブレット用制御部109は、上述の外出要求をサーバ30に対して送信(ステップS16)した後、二次環境情報を収集する二次環境情報収集ステップとして、サーバ用制御部112から送信された注意地点マップを取得する(ステップS18)。このように、タブレット端末23は、ログイン許可の完了後、歩行支援機器20を使用して外出する際に、注意地点マップを取得するようにしている。
次に、使用者が歩行支援機器20を使用しての外出中に収集して得られる位置情報に対してタブレット端末23が実行する処理について説明する。以下の処理は、タブレット端末23のタブレット用制御部109によって、制御周期毎に実行される。以下の処理は、タブレット端末23がサーバ30に外出要求を送信したことによって注意地点マップを取得した後に実行される。
図12に示すように、使用者の目的地を示す情報である目的地情報を収集する目的地情報収集ステップとして、タブレット用制御部109は、今回の外出中の使用者の目的地を設定するべく当該目的地を示す情報である目的地情報が入力されているか否かを判断する(ステップS71)。
位置情報を収集する位置情報収集ステップとして、タブレット用制御部109は、目的地情報が入力されている場合(ステップS71:YES)、位置情報センサ120で検出された位置情報を取得する(ステップS72)。
続いて、現在の位置から目的地までの経路のうち注意地点を避けるような第1経路を通知する表示パネル108に対して当該第1経路の情報を提供する処理実行ステップとして、タブレット用制御部109は、サーバ30を通じて取得した注意地点マップに基づいて、上記第1経路を示す経路情報を生成する(ステップS73)。ステップS73において、タブレット用制御部109は、上記ステップS71で取得した目的地情報に示される目的地と、上記ステップS72で取得した位置情報に示される現在の位置との間を結ぶ経路として、注意地点マップを参照しながら当該注意地点マップに示される注意地点を避けるように経路を抽出する。なお、ステップS73において、タブレット用制御部109は、上記ステップS71で入力されている目的地情報に示される目的地と、上記ステップS72で取得した位置情報に示される現在の位置との間を結ぶ経路として、注意地点マップに関係なく、例えば、最短となるように最短経路を抽出し、上記第1経路とは別の経路を示す経路情報として当該最短経路を示す経路情報を生成する。
一方、位置情報を収集する位置情報収集ステップとして、タブレット用制御部109は、目的地情報が入力されていない場合(ステップS71:NO)、位置情報センサ120で検出された位置情報を取得する(ステップS74)。
続いて、使用者が注意地点に向かっていることを通知する機能を有する表示パネル108に対して注意地点に向かっている旨の情報である警告情報を提供する処理実行ステップとして、タブレット用制御部109は、サーバ30を通じて取得した注意地点マップに基づいて、使用者が注意地点に向かっているか否かを判定する(ステップS75)。ステップS75において、タブレット用制御部109は、上記ステップS74で取得した位置情報に示される現在の位置が注意地点に近付いているか否かを判定する。
タブレット用制御部109は、使用者が注意地点に向かっていない場合(ステップS75:NO)、すなわち使用者の現在の位置が注意地点から離れていて、近付いていない場合、当該処理を終了する。
タブレット用制御部109は、使用者が注意地点に向かっている場合(ステップS75:YES)、すなわち使用者の現在の位置が注意地点に近付いている場合、使用者が当該注意地点に向かっていることを示す情報である警告情報を生成する(ステップS76)。
以下、使用者が歩行支援機器20を使用しての外出中、タブレット端末23で表示される表示内容について説明する。
タブレット用制御部109は、使用者が歩行支援機器20を使用しての外出中、上記ステップS73の処理で経路情報を生成している場合、上記第1経路を通知することに対する使用者からの要求として、当該要求のための使用者による操作があることを条件として、上記ステップS73の処理で生成した経路情報のうち上記第1経路を示す経路情報に基づき当該第1経路を通知する表示内容となるように表示パネル108の表示内容を制御する。一方、上記第1経路を通知することに対する使用者からの要求として、当該要求のため使用者による操作がなく、例えば、上記最短経路を通知することに対する使用者からの要求のための使用者による操作があることを条件として、上記ステップS73の処理で生成した経路情報のうち上記最短経路を示す経路情報に基づき当該最短経路が通知される。この場合、タブレット用制御部109は、上記ステップS75や上記ステップS76の処理を合わせて実行するようにしてもよい。
つまり、経路の通知として上記第1経路が通知される場合、上記ステップS73で生成した経路情報のうち上記最短経路を示す経路情報は、生成はされたものの使用者に経路を通知する機能で使用されないことになる。一方、通路の通知として上記最短経路が通知される場合、上記ステップS73で生成した経路情報のうち上記第1経路を示す経路情報は、生成はされたものの使用者に経路を通知する機能で使用されないことになる。なお、歩行支援システム10の仕様としては、目的地情報が設定される場合に基本的に上記第1経路を通知する仕様としてもよい。
この場合、図13(a)に示すように、タブレット端末23の表示パネル108には、使用者(「Aさん」)、歩行車21の個体(「1号機」)を特定する画像と、第1経路を特定する画像と、第1経路を通るように使用者に促すための画像とからなる表示内容が画像表示される。なお、タブレット端末23の表示パネル108には、このような第1経路を通るように使用者に促すための画像として、例えば、「右に曲がって下さい」等のメッセージ画像を画像表示する。
また、タブレット用制御部109は、使用者が歩行支援機器20を使用しての外出中、警告情報を生成した場合、注意地点に向かっていることを通知する表示内容となるように表示パネル108の表示内容を制御する。
この場合、図13(b)に示すように、タブレット端末23の表示パネル108には、使用者(「Aさん」)、歩行車21の個体(「1号機」)を特定する画像と、注意地点を特定する画像と、当該注意地点に使用者が向かわないように促すための画像とからなる表示内容が画像表示される。なお、タブレット端末23の表示パネル108には、このような注意地点に使用者が向かわないように促すための画像として、例えば、「この先の地点は、歩行支援機器を使用しての歩行に向きません。迂回して下さい」等のメッセージ画像を画像表示する。
本実施形態の作用を説明する。
本実施形態によれば、サーバ用制御部112は、各種情報を上記ネットワークを通じて取得するステップS41の処理を実行している。サーバ用制御部112は、使用環境を提供するための基となる地図データを更新するステップS42、S43の処理を実行している。これらの処理を通じて、位置状態情報を付加して構築することで、歩行支援機器20が使用される際の使用環境を提供する際に用いられる一次環境情報として地図データを生成することができる。このような地図データを基とすれば、歩行支援機器20が使用される際の使用時の安全性を向上できるような使用環境を提供するのに必要な情報を抽出することができるようになる。そして、サーバ用制御部112は、地図データから抽出された情報に基づいて、注意地点を把握できるように示す情報である注意地点マップを生成するステップS27の処理を実行している。これにより、二次環境情報として、注意地点マップを生成することができる。
本実施形態の効果を説明する。
(2)本実施形態では、地図データに付加される情報として、使用時の安全性を向上できるような使用環境を提供するのに必要な各種情報を含むことによって、使用時の安全性を向上できるような使用環境を提供するのに必要な情報を抽出することができるようになる。これにより、抽出した情報を考慮することができるようになり、歩行支援機器20が使用される際の使用環境として所望の使用環境を提供するのに役立てることができる。所望の使用環境としては、例えば、現在の位置から目的地までの経路のうち注意地点を避けるような第1経路が通知される使用環境や、使用者が注意地点に向っている場合に、その旨が使用者に通知される使用環境を提供することができる。このため、歩行支援機器20が使用される際に所望の使用環境を提供することのできる仕組みを構築することができる。
(3)地図データに付加される情報は、歩行支援機器20以外からも得ることができるようになる。したがって、地図データに付加される情報の情報量を増やすことができ、上記歩行支援機器20が使用される際の使用環境として提供できる使用環境の充実化を図るのに効果的である。
(第3実施形態)
次に、環境情報生成システムを歩行支援システムに適用した第3実施形態について説明する。なお、既に説明した実施形態と同一構成等は、同一の符号を付す等して、その重複する説明を省略する。
本実施形態では、使用環境として、歩行支援機器20を使用して歩行することによる身体状態の改善について効率を向上できるような使用環境が提供される。具体的には、使用者が歩行支援機器20を使用しての外出中、歩行を通じて使用者に対して負荷を与えることができる地点(以下、「負荷地点」という。)が経路に組み込まれるようにした使用環境を提供するものである。本実施形態において、二次環境情報は、負荷地点を把握できるように示す情報である負荷地点マップである。負荷地点は、位置情報が示す位置について、例えば、凹凸、傾斜、溝の有無等、当該位置で使用者が歩行支援機器20を使用して歩行した場合に歩行支援機器20の動きに変化を与える路面状態を示す情報である位置状態情報に基づいて設定されている。
また、本実施形態では、歩行支援機器20を使用して外出することに対して使用者の意欲が高まるようにした使用環境を提供するものである。
次に、位置状態情報を生成するためにサーバ30が実行する処理について説明する。サーバ30のサーバ用制御部112は、位置状態情報を生成するための処理を制御周期毎に実行する。ここでは、位置状態情報の生成の一例として、加速度センサGの検出結果に基づいた位置状態情報の生成について説明する。
図10(b)に示すように、サーバ用制御部112は、加速度センサGの検出結果における「Y軸」及び「X軸」が定常的な傾きの大きさに基づいて、傾斜路の傾斜の大きさを推定する。例えば、傾斜路がある場合には、位置状態情報として、位置情報が示す位置について、歩行の負荷があることを示す情報を生成する。当該位置状態情報は、歩行支援機器20を使用して歩行することによる身体状態の改善について効率を向上できるような使用環境を提供するのに必要な情報として、負荷地点マップの生成時に抽出される負荷地点を示す情報である。
図10(c)に示すように、サーバ用制御部112は、加速度センサGの検出結果における「Z軸」のピークの大きさに基づいて、段差の大きさを推定する。例えば、段差がある場合には、位置状態情報として、位置情報が示す位置について、歩行の負荷があることを示す情報を生成する。当該位置状態情報は、歩行支援機器20を使用して歩行することによる身体状態の改善について効率を向上できるような使用環境を提供するのに必要な情報として、負荷地点マップの生成時に抽出される負荷地点を示す情報である。
次に、位置状態情報の生成の一例として、心拍数センサ106の検出結果に基づいた位置状態情報の生成について説明する。
サーバ用制御部112は、当該位置における心拍数の増加が大きい場合には、位置状態情報として、位置情報が示す位置について、心拍数の増加が大きく歩行の負荷があることを示す情報を生成する。当該位置状態情報は、使用時の安全性を向上できるような歩行環境を提供するのに必要な情報として、注意地点マップの生成時に抽出される注意地点を示す情報である。当該位置状態情報は、歩行支援機器20を使用して歩行することによる身体状態の改善について効率を向上できるような使用環境を提供するのに必要な情報として、負荷地点マップの生成時に抽出される負荷地点を示す情報である。
図4に示すように、サーバ30において、サーバ用制御部112は、タブレット用制御部109が送信した外出要求を受信すると、二次環境情報としての負荷地点マップ及び歩行履歴をタブレット端末23に対して送信する。また、サーバ用制御部112は、記憶部113に記憶した使用情報の各種情報を読み出して、当該各種情報に基づいて歩行運動時の負荷を指数で示す生理的コスト指数であるPCI(Physiological Cost Index)を演算し、記憶部113の対応する個別領域の内容を更新している。PCIは、一般的に用いられる演算である、[歩行後心拍数(拍/分)−安静時心拍数(拍/分)]/歩行速度(m/分)を用いて[拍/m]の次元の値として算出される。本実施形態では、「歩行後心拍数」として使用情報のなかから歩行運動後心拍数を用いているとともに、「安静時心拍数」として使用情報のなかから歩行運動前心拍数を用いている。なお、記憶部113の個別領域には、PCIの履歴として算出した、例えば、使用者の登録行為がなされてからのPCIがそれぞれ記憶されている。サーバ30において、サーバ用制御部112は、タブレット用制御部109が送信した外出要求を受信すると、記憶部113の個別領域に記録された使用者のPCIをタブレット端末23に対して送信する。
本実施形態において、サーバ用制御部112は、上記第2実施形態で注意地点として取得している位置状態情報を、負荷地点として置き換えて収集する。この位置状態情報は、歩行支援機器20にて収集されるものもあれば、歩行支援機器20以外の上記ネットワークを通じて収集されるものもあることは上記第2実施形態と同様である。また、サーバ用制御部112は、使用環境を提供するための基となる情報を収集するべく上記第1実施形態と同様、歩行履歴を収集する。
図14に示すように、二次環境情報を生成する二次環境情報生成ステップとして、サーバ用制御部112は、タブレット用制御部109が送信した外出要求を受信すると、負荷地点マップを生成し(ステップS29)、当該負荷地点マップ、歩行履歴、使用者のPCIをタブレット端末23に対して送信する(ステップS30)。ステップS27で生成される負荷地点マップの生成に際して、地図データから、歩行支援機器20を使用して歩行することによる身体状態の改善について効率を向上できるような使用環境を提供するのに必要な情報を抽出して、抽出した情報に基づいて負荷地点マップを生成するようにしている。抽出される情報としては、凹凸、傾斜、当該位置で使用者が歩行支援機器20を使用して歩行した場合に歩行支援機器20の動きに変化を与える路面状態や、心拍数等の情報が挙げられる。ステップS29で生成される負荷地点マップは、外出要求があった歩行支援機器20を有している支援施設周辺について、負荷地点を集めて構成されている。なお、サーバ用制御部112は、ログイン情報に基づいて、外出要求があった歩行支援機器20を有している支援施設の位置を特定する。負荷地点は、例えば、歩行路またはその周辺について、歩行を通じて使用者に負荷を与えることができる凹凸や傾斜や段差があったりする地点のことである。
タブレット用制御部109は、上述の外出要求をサーバ30に対して送信(ステップS16)した後、二次環境情報を収集する二次環境情報収集ステップとして、サーバ用制御部112から送信された負荷地点マップ及び歩行履歴を取得するとともに(ステップS19)、使用者の歩行能力を示す歩行能力情報を収集する歩行能力情報収集ステップとして、使用者のPCIを取得する(ステップS20)。このように、タブレット端末23は、ログイン許可の完了後、歩行支援機器20を使用して外出する際に、負荷地点マップ、歩行履歴、使用者のPCIを取得するようにしている。
次に、使用者が歩行支援機器20を使用しての外出中に収集して得られる位置情報に対してタブレット端末23が実行する処理について説明する。以下の処理は、タブレット端末23のタブレット用制御部109によって、制御周期毎に実行される。以下の処理は、タブレット端末23がサーバ30に外出要求を送信したことによって負荷地点マップ、歩行履歴、及び使用者のPCIを取得した後に実行される。
図15に示すように、使用者の目的地を示す情報である目的地情報を収集する目的地情報収集ステップとして、タブレット用制御部109は、今回の外出中の使用者の目的地を示す情報である目的地情報が入力されているか否かを判断する(ステップS81)。
位置情報を収集する位置情報収集ステップとして、タブレット用制御部109は、目的地情報が入力されている場合(ステップS81:YES)、位置情報センサ120で検出された位置情報を取得する(ステップS82)。
現在の位置から目的地までの経路のうち歩行を通じて使用者に対して負荷を与えることができる経路、かつ歩行支援機器20を使用して外出することに対して使用者の意欲を高めることのできる経路である最適経路の経路情報を提供する処理実行ステップとして、タブレット用制御部109は、下記の処理を実行する。具体的には、タブレット用制御部109は、サーバ30を通じて取得した負荷地点マップ及び歩行履歴に基づいて、上記最適経路を示す経路情報を生成する(ステップS83)。
ステップS83において、タブレット用制御部109は、上記ステップS81で入力されている目的地情報に示される目的地と、上記ステップS82で取得した位置情報に示される現在の位置との間を結ぶ経路のうち負荷地点マップを参照しながら使用者のPCIを向上させる最適経路として第2経路を抽出する。この場合、例えば、使用者に対しては、PCIが高いほど多くの負荷を与えて当該PCIを向上させるような経路を抽出したり、PCIが高いなかでもそもそもの身体能力が低い使用者に対しては、単に歩行するだけでもPCIの向上に繋がるので無理に負荷を与えないような経路を抽出したりする。このように最適経路を抽出する際に、タブレット用制御部109は、さらに上記第2経路のなかで、歩行履歴を参照しながら外出に対して使用者に新鮮さを感じさせる最適経路として第3経路を優先的に抽出する。なお、ステップS83において、タブレット用制御部109は、上記ステップS81で入力されている目的地情報に示される目的地と、上記ステップS82で取得した位置情報に示される現在の位置との間を結ぶ経路として、負荷地点マップ及び歩行履歴と関係なく、例えば最短となるように最短経路を抽出し、上記最適経路とは別の経路を示す経路情報として当該最短経路を示す経路情報を生成する。
一方、位置情報を収集する位置情報収集ステップとして、タブレット用制御部109は、目的地情報が入力されていない場合(ステップS81:NO)、位置情報センサ120で検出された位置情報を取得する(ステップS84)。
続いて、処理実行ステップとして、タブレット用制御部109は、サーバ30を通じて取得した負荷地点マップ及び歩行履歴に基づいて、上記最適経路を示す経路情報を生成する(ステップS85)。ステップS85において、タブレット用制御部109は、上記ステップS84で取得した位置情報に示される現在の位置から出発して当該現在の位置まで戻ってくるまでの経路のうち上記ステップS83と同様にして経路を抽出する。
以下、使用者が歩行支援機器20を使用しての外出中、タブレット端末23で表示される表示内容について説明する。
タブレット用制御部109は、使用者が歩行支援機器20を使用しての外出中、上記ステップS83、S85の処理で経路情報を生成している場合、上記最適経路を通知することに対する使用者からの要求として、当該要求のための使用者による操作があることを条件として、上記ステップS83、S85の処理で生成した経路情報のうち上記最適経路を示す経路情報に基づき当該最適経路を通知する表示内容となるように表示パネル108の表示内容を制御する。一方、上記最適経路を通知することに対する使用者からの要求として、当該要求のため使用者による操作がなく、例えば、上記最短経路を通知することに対する使用者からの要求のための使用者による操作があることを条件として、上記ステップS83、S85の処理で生成した経路情報のうち上記最短経路を示す経路情報に基づき当該最短経路が通知される。
つまり、経路の通知として上記最適経路が通知される場合、上記ステップS83、S85で生成した経路情報のうち上記最短経路を示す経路情報は、生成はされたものの使用者に経路を通知する機能で使用されないことになる。一方、通路の通知として上記最短経路が通知される場合、上記ステップS73で生成した経路情報のうち上記最適経路を示す経路情報は、生成はされたものの使用者に経路を通知する機能で使用されないことになる。なお、歩行支援システム10の仕様としては、目的地情報が設定される場合に基本的に上記最適経路を通知する仕様としてもよい。
この場合、図16(a)に示すように、タブレット端末23の表示パネル108には、使用者(「Aさん」)、歩行車21の個体(「1号機」)を特定する画像と、最適経路を特定する画像と、当該最適経路を通るように使用者に促すための画像とからなる表示内容が画像表示される。なお、タブレット端末23の表示パネル108には、このような最適経路を通るように使用者に促すための画像として、例えば、「この先、坂道です。トレーニングするには直進して下さい」等のメッセージ画像を画像表示する。
本実施形態の作用を説明する。
本実施形態によれば、サーバ用制御部112は、各種情報を上記ネットワークを通じて取得するステップS41の処理を実行している。サーバ用制御部112は、使用環境を提供するための基となる地図データを更新するステップS42、S43の処理を実行している。これらの処理を通じて、位置状態情報を付加して構築することで、歩行支援機器20が使用される際の使用環境を提供する際に用いられる一次環境情報として地図データを生成することができる。このような地図データを基とすれば、歩行支援機器20を使用して歩行することによる身体状態の改善について効率を向上できるような使用環境を提供するのに必要な情報を抽出することができるようになる。そして、サーバ用制御部112は、地図データから抽出された情報に基づいて、負荷地点を把握できるように示す情報である負荷地点マップを生成するステップS27の処理及び歩行履歴を生成する処理を実行している。これにより、二次環境情報として、負荷地点マップ及び歩行履歴を生成することができる。
本実施形態の効果を説明する。
(4)本実施形態では、地図データに付加される情報として、歩行支援機器20を使用して歩行することによる身体状態の改善について効率を向上できるような使用環境を提供するのに必要な情報を含むことによって、身体状態の改善について効率を向上できるような使用環境を提供するのに必要な情報を抽出することができるようになる。これにより、抽出した情報を考慮することができるようになり、歩行支援機器20が使用される際の使用環境として所望の使用環境を提供するのに役立てることができる。所望の使用環境としては、例えば、現在の位置から目的地までの経路のうち歩行を通じて使用者に対して負荷を与えることができる経路、かつ歩行支援機器20を使用して外出することに対して使用者の意欲を高めることのできる経路である最適経路が使用者に通知される使用環境を提供することができる。このため、歩行支援機器20が使用される際に所望の使用環境を提供することのできる仕組みを構築することができる。
なお、上記各実施形態は次のように変更してもよい。また、以下の他の実施形態は、技術的に矛盾しない範囲において、互いに組み合わせることができる。
・上記各実施形態において、二次環境情報は、歩行する際の楽しみを与える上で適した地点(以下、「娯楽地点」という。)を把握できるように示す情報である娯楽地点マップであってもよい。このような娯楽地点は、位置情報が示す位置について、例えば、名所、景観、店舗、娯楽施設、工事中、日時、行事等を示す情報である位置状態情報に基づいて設定されている。この場合、サーバ30において、記憶部113の所定領域には、娯楽地点マップが記憶されている。また、タブレット用制御部109は、サーバ30を通じて取得した娯楽地点マップに基づいて経路を示す経路情報を生成する。
・歩行支援機器20を使用して外出することに対して使用者の意欲を高めることのできる最適経路としては、例えば、歩行支援機器20による外出中の使用者の歩行の快適性を高めることのできる経路であったり、歩行支援機器20による外出中の使用者を楽しませることのできる経路であったりが考えられる。つまり、上記各実施形態の他、上述の使用者の快適性を高めたり、使用者を楽しませたりすることのできる経路を通知する機能を実現する実施形態は、歩行支援機器20を使用して外出することに対して使用者の意欲を高める観点では有効である。
・上記第1実施形態において、サーバ30のサーバ用制御部112は、タブレット用制御部109が送信した外出要求を受信したときに外出エリアを生成したが、歩行履歴が更新されたときに外出エリアを生成するようにしてもよいし、所定期間毎に外出エリアを生成するようにしてもよい。すなわち、サーバ用制御部112は、タブレット用制御部109が外出要求を送信するよりも前に、二次環境情報としての外出エリアを生成するようにしてもよい。これは、第2及び第3実施形態でも同様である。
・上記各実施形態において、機器取得情報収集ステップ、一次環境生成ステップ、及び二次環境情報生成ステップとして、サーバ30が実行する各種処理をタブレット端末23や施設端末40で実行するようにしてもよい。例えば、図6に示すステップS25、図7に示すステップS41〜S43、図11に示すステップS27、図14に示すステップS29の各種処理をタブレット端末23が実行するようにしてもよい。この場合、タブレット端末23が環境情報生成システムを構築する。また、図6に示すステップS25、図7に示すステップS41〜S43、図11に示すステップS27、図14に示すステップS29の各種処理を施設端末40が実行するようにしてもよい。この場合、施設端末40が環境情報システムを構築する。また、機器取得情報収集ステップに相当するステップS41、S61の処理及び一次環境情報生成ステップに相当するステップS42、S43の処理を施設端末40が、二次環境情報生成ステップに相当するステップS25、S27、S29の処理をタブレット端末23がそれぞれ実行するようにしてもよい。この場合、タブレット端末23と、施設端末40とが協働して環境情報生成システムを構築する。これにより、サーバ30を構成から削除した環境情報生成システムを構築することができる。
・上記第3実施形態において、タブレット用制御部109は、最適経路を示す経路情報を生成する際、当該最適経路として第2経路及び第3経路のいずれかの経路を抽出することができればよい。
・上記第3実施形態では、目的地情報を入力できる機能を削除することもできる。この場合、タブレット用制御部109が実行する処理のうち、目的地情報を収集する処理であるステップS81の処理を削除すればよい。この場合、タブレット用制御部109は、現在の位置からランダムに経路を抽出したり、現在の位置から出発して当該現在の位置まで戻ってくるまでの経路のうち、上記ステップS83と同様にして経路を抽出したりすればよい。
・上記第3実施形態では、目的地情報が入力されている場合、すなわちステップS81:YESの場合にのみ最適経路が抽出されるようにしてもよい。
・上記第2実施形態において、タブレット用制御部109は、注意地点マップに基づいて、現在の位置から目的地までの経路のうち注意地点を避けるような第1経路を通知する機能、すなわちステップS73の処理、及び使用者が注意地点に向かっていることを通知する機能、すなわちステップS75、S76の処理のいずれかを有していればよい。
・上記第2実施形態では、歩行支援機器20を使用しての外出中において、一旦取得された注意地点マップが適用されている領域を更新できるようにしてもよい。この場合、タブレット用制御部109は、一旦注意地点マップを取得した後、例えば、当該注意地点マップが適用されている領域から位置情報が逸脱しそうな場合に当該位置情報が示す位置周辺の注意地点マップを再取得するようにしてもよい。また、タブレット用制御部109は、外出中に所定時間毎に注意地点マップを取得して更新するようにしてもよい。これは、第3実施形態でも同様である。
・上記第3実施形態において、負荷地点は、例えば、位置情報が示す位置について、当該位置の風向、風量等の天気、気候等に基づいて設定してもよい。
・上記第3実施形態において、タブレット用制御部109は、図15のステップS83、S85の処理において、PCIに代えて、歩行距離や歩行速度の他、歩幅の情報であったり、腕振りの情報であったり、連続歩行時間であったりする、歩行支援機器20から取得可能な情報を用いることができる。
・上記第2実施形態では、上記第1経路を抽出する際、最短距離や所要時間等の条件を加える機能を付加してもよい。この場合、タブレット用制御部109は、上記条件に基づいて、複数の経路を抽出し、その抽出したなかから注意地点を避けるような経路を選択するようにしてもよい。なお、タブレット用制御部109は、注意地点を避けるような経路がない場合には、その抽出したなかで最も安全と考えられる経路を上記第1経路として通知すればよい。
・上記第1実施形態において、外出エリアは、歩行履歴に基づいて特定されるものであったが、使用者が自身で外出エリアを設定することができたり、使用者の関係者が外出エリアを設定することができたりしてもよい。
・上記第2実施形態において、注意地点マップとして、使用者が自身で避けたい注意地点を設定することができたり、使用者の関係者が避けたい注意地点を設定することができたりしてもよい。これは、第3実施形態についても同様である。
・上記第2及び第3実施形態において、凹凸、傾斜、溝の有無等を検出する方法としては、加速度センサGの検出結果を用いることに限らず、例えば、振動センサの検出結果や、カメラ画像を画像解析した結果を用いることもできる。
・上記各実施形態において、タブレット端末23のタブレット用制御部109が、処理実行ステップとして、図8に示すステップS52、S53、図12に示すステップS73、S75、S76、図15に示すステップS83、S85の処理を実行するようにしたが、これらの処理をサーバ30や施設端末40で実行するようにしてもよい。この場合、第1実施形態において、サーバ30や施設端末40がステップS17、S51〜S53に相当する処理を実行することを通じて、位置情報収集ステップと、二次環境情報収集ステップと、処理実行ステップとを実行するように構成すればよい。一方、タブレット用制御部109は、サーバ30から徘徊情報を受信したか否かに基づいて処理実行ステップを実行するように構成すればよい。また、本変形例において、使用者の徘徊を画像表示を通じて通知するタブレット端末23は、使用環境提供機能部に相当する。これは、第2及び第3実施形態についても同様である。なお、第1実施形態については、タブレット端末23及びサーバ30の代わりに、家族端末50で処理実行ステップを実行するように構成してもよい。
・上記第2実施形態において、タブレット用制御部109は、目的地情報が入力されて目的地の設定がなされた場合にその時の位置情報が示す位置から目的地までの第1経路の経路情報を最初に生成するようにしてもよい。その後、タブレット用制御部109は、最初に生成した第1経路に基づき経路の通知を実行するようにしてもよい。これは、第3実施形態についても同様である。
・上記各実施形態において、タブレット端末23が有している記憶部に対して一次環境情報及び二次環境情報を記憶しておくことで、歩行支援機器20を使用しての外出中において、サーバ30から各種情報を取得しないようにしてもよい。この場合、タブレット用制御部109は、記憶部に記憶している一次環境情報及び二次環境情報に基づいて、使用環境を提供するための処理を実行すればよい。本変形例では、タブレット端末23としては、上記ネットワークを通じて各種情報を送受信する機能を有さないものを用いることができる。
・上記各実施形態において、サーバ用制御部112は、上記ネットワークを通じて、歩行支援機器20以外から得られる情報を取得しないようにしてもよい。
・上記各実施形態において、記憶部113に記憶された地図データでは、提供する使用環境に必要な地図情報が地上の位置毎に対応付けられていればよい。例えば、第1実施形態では、地図情報として少なくとも使用者の歩行履歴が含まれていればよい。また、第2実施形態では、地図情報として少なくとも注意地点マップを生成するのに必要な悪路であることや、段差路であること等を示す情報が含まれていればよい。また、第3実施形態では、地図情報として少なくとも負荷地点マップを生成するのに必要な凹凸、傾斜、溝の有無等の情報や使用者の歩行履歴が含まれていればよい。
・上記各実施形態において、基礎情報に位置状態情報の一部が含まれていてもよい。この場合、例えば、基礎情報には、凹凸、傾斜、高低差等の位置状態情報が、地図提供会社等が作成済の情報として含まれる。
・上記各実施形態において、歩行支援システム10へのログイン時には、タブレット端末23へのログイン情報の入力に代えて、使用者の顔を認証してログイン情報とする顔認証システムや、使用者の指紋を認証してログイン情報とする指紋認証システムを採用してもよい。
・上記各実施形態において、位置情報センサ120は、歩行車21や、ウエアラブル端末22に設けてもよく、歩行支援機器20が有していればよい。また、加速度センサGは、ウエアラブル端末22や、タブレット端末23に設けてもよく、歩行支援機器20が有していればよい。
・上記各実施形態において、位置情報センサ120は、GPSセンサに限らず、歩行支援機器20が起動された地点からの前輪91及び後輪92の回転数から現在地を推定するようにしてもよい。この場合、位置情報センサ120は、歩行支援機器20が起動された地点として、例えば歩行支援機器20を有している支援施設の位置を用いる。
・上記各実施形態において、歩行支援機器20は、ウエアラブル端末22を構成から外し、心拍数センサ106を歩行車21が備えるようにしてもよい。また、歩行支援機器20は、タブレット端末23を構成から外し、当該タブレット端末23の機能を歩行車21が備えるようにしてもよい。この場合、歩行支援機器20は、ウエアラブル端末22を構成から外し、歩行車21のみを備えるようにしてもよい。
・上記各実施形態において、歩行車21と、ウエアラブル端末22と、タブレット端末23とは、Wi−Fi(登録商標)、すなわちIEEE802.11aやIEEE802.11g等のいずれかの規格の無線LANを通じて各種情報を送受信してもよい。この場合、タブレット端末23は、支援施設に設けられた無線LANを経由して上記ネットワークに接続されたり、使用者が所有するスマートフォンに設けられた無線LANを経由して上記ネットワークに接続されたりする。
・上記各実施形態において、タブレット端末23や、施設端末40や、家族端末50で画像表示させる内容は、それぞれの内容が表そうとする意図を反映できる範囲で適宜変更してもよい。例えば、第1実施形態において、図9(c)に示すように、施設端末40や、家族端末50が徘徊情報を受信した場合、施設端末40の表示画面である表示パネル40aや、家族端末50の表示画面である表示パネル50aには、使用者の現在の位置を特定する地図画像とからなる表示内容を画像表示するようにしてもよい。また、図16(b)に示すように、タブレット端末23の表示パネル108には、最適経路を通るように使用者に促すための画像として、例えば、「右方向は以前に通った経路です。直進して下さい」等のメッセージ画像を画像表示するようにしてもよい。
・上記第1実施形態において、タブレット端末23では、表示パネル108による徘徊を通知する内容の画像表示に代えて、徘徊を通知する内容の音声が出力されるようにしてもよい。これは、第2及び第3実施形態についても同様である。
・上記各実施形態において、サーバ30は、コンピュータプログラムを実行する1つ以上のプロセッサ、あるいは各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する特定用途向け集積回路等の1つ以上の専用ハードウェア回路、あるいは上記プロセッサ及び上記専用ハードウェア回路の組み合わせを含む回路として構成されているコンピュータである。上記コンピュータは、CPU及びメモリを含んでいる。メモリには、RAMやROM等が採用されている。メモリは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。メモリ、言い換えるとコンピュータ可読媒体には、汎用または専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体によって構成してもよい。上記コンピュータの構成は、歩行車21の歩行車用制御部95、ウエアラブル端末22、タブレット端末23の他、施設端末40、家族端末50についても同様である。
・上記各実施形態は、使用者の歩行運動を支援する歩行支援機器20に限らず、歩行路を移動する無人搬送車等の機器を用いたシステムに適用することができる。
次に、上記実施形態及び変形例から把握できる技術的思想を以下に追記する。
歩行者が歩行する歩行路を移動するように用いられる機器が使用された結果、当該機器から得られる情報である機器取得情報を当該機器の地上の位置を示す情報である位置情報と紐付けて収集する機器取得情報収集ステップと、前記機器取得情報収集ステップで収集された前記機器取得情報について、当該機器取得情報に紐付けられた前記位置情報と、前記地上の位置毎に地図情報を対応付けて構築されるとともに前記機器が使用される際の環境である使用環境を提供する際に用いられる地図データの位置とを照合し、当該照合した位置に対応する前記地図情報として付加して前記地図データを更新するデータ更新ステップと、を含むことが好ましい。
上記構成によれば、データ更新ステップの処理の実行を通じて、機器取得情報に基づいて機器が使用される際の使用環境を提供する際に用いられる地図データを更新して生成することができる。このような地図データを基とすれば、提供しようとする使用環境に必要な地図情報を抽出することができるようになる。この場合、地図情報として、例えば、上記機器の移動履歴や、歩行路の凹凸、傾斜、溝の有無等、移動した際に上記機器の動きに変化を与える路面状態や、歩行路周辺の交通量や、歩行路周辺の天気を示す情報が対応付けられていれば、これらを必要に応じて抽出することができるようになる。したがって、機器取得情報に基づき地図情報が付加されることで更新される地図データを用いては、機器が使用される際の使用環境として所望の使用環境を提供することのできる仕組みを構築することができる。