JP2021114099A - コア設計装置、コア設計方法、およびプログラム - Google Patents
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Abstract
Description
しかしながら、このような手法では、設計者の知見や経験に大きく依存する。そこで、数値解析を用いた最適化技術が開発されている。
尚、長さ、位置、大きさ、間隔等、比較対象が同じであることは、厳密に同じである場合の他、発明の主旨を逸脱しない範囲で異なるもの(例えば、設計時に定められる公差の範囲内で異なるもの)も含むものとする。
図1は、コア設計装置100の機能的な構成の一例を示す図である。図2は、コア設計装置100により行われるコア設計方法の一例を説明するフローチャートである。コア設計装置100のハードウェアは、例えば、CPU、ROM、RAM、HDD、および各種のインターフェースを備える情報処理装置、または、専用のハードウェアを用いることにより実現される。
図2のステップS201において、設定部110は、コアの設計対象領域であるデザイン領域の情報と、少なくとも1つの設計対象要素の情報と、設計対象要素以外のコアの要素の情報とを設定する。設計対象要素とは、コアの要素のうち、設計対象となる要素である。
また、本実施形態では、IPMSMの中心線に垂直に切った断面の2次元形状を設計する場合を例に挙げて説明する。図3において、IPMSMの中心線に垂直に切った断面は、x−y平面になる。
図3(a)に示す例では、デザイン領域は、鉄心の領域310の外縁で囲まれる領域であるものとする。図3(a)に示すように、鉄心の領域310の外縁の形状は、中心角が90°の環状扇形である。設定部110は、鉄心の領域310の外縁で囲まれる領域の座標を、デザイン領域の位置を示す情報として設定する。また、設定部110は、デザイン領域を識別する情報として、デザイン領域の各座標に対して識別情報ID1を設定する。
図3(b)に示す例では、設計対象要素の基本形状として2つの基本形状が設定される。設定部110は、設計対象要素の基本形状の領域330a、330bの座標を、設計対象要素の初期位置を示す情報として設定する。設計対象要素の初期位置を示す情報は、2つの基本形状毎に個別に設定される。設定部110は、設計対象要素の基本形状の領域330a、330bの各座標に対して設定されている識別情報ID1を、設計対象要素の領域を識別する識別情報ID3に変更する。
最初のステップS203においては、最適化計算部120は、乱数により、複数の写像の候補を導出する。2回目以降のステップS203においては、最適化計算部120は、遺伝的アルゴリズムに従って、既に導出されている写像の候補を更新する。
設計対象要素の数が1つである場合には、ステップS204において、1つの写像の候補が選択される。従って、ステップS205において、最適化計算部120は、当該1つの写像に含まれる成分a〜fの値を(1)式に与える。よって、(1)式は、1つだけ設定される。
図3(c)に示す例では、設計対象要素の領域は、図3(b)に示す設計対象要素の基本形状の領域330a、330bに対して線形写像が施された結果、設計対象要素の基本形状の領域330a、330bが、写像後の設計対象要素の領域340a、340bにそれぞれ変更される。
図4は、重なりの一例を説明する図である。
図4(a)は、同一種類の設計対象要素同士の重なりの一例を概念的に示す図である。
図4(a)の左図に示すように、写像後の複数の同一種類の設計対象要素の領域410a、410bの一部の領域が相互に重なる場合、ステップS207において、最適化計算部120は、図4(a)の右図に示すように、写像後の複数の設計対象要素の領域410a、410bの外縁で囲まれる1つの領域410cに、写像後の複数の設計対象要素の領域410a、410bを変更する。
図4(b)の左図に示すように、写像後の異なる種類の複数の設計対象要素の領域420a、420bの領域が相互に重なる場合、ステップS207において、最適化計算部120は、図4(b)の右図に示すように、相互に重なる領域を、優先順位が最も高い設計対象要素の領域420aとし、優先順位が低い設計対象要素の領域420bから当該相互に重なる領域を除いた領域420cを、優先順位が低い設計対象要素の領域420bの領域とする。最適化計算部120は、当該相互に重なる領域の各座標に対して、優先順位が最も高い設計対象要素を識別する識別情報ID3のみを設定し、その他の識別情報ID3を消去する。例えば、フラックスバリアに加えて永久磁石も設計対象要素とする場合には、永久磁石の優先順位をフラックスバリアの優先順位よりも高くすることができる。この場合、図4(b)に示す例では、フラックスバリアの領域が領域420cとなり、永久磁石の領域が420aになる。優先順位は、コアの設計指針や、設計対象要素の属性等により予め設定される。
図4(c)に示すように、写像後の設計対象要素430aの一部の領域が、設計対象要素以外の所定のコアの要素(永久磁石の領域320)の一部の領域と、設計対象要素以外の所定のコアの要素を跨がずに重なる場合、ステップS207において、最適化計算部120は、図4(c)の右図に示すように、写像後の設計対象要素の領域430aの領域から、設計対象要素以外の所定のコアの要素と重なる領域を除いた領域430bを、当該設計対象要素の領域とする。また、最適化計算部120は、当該相互に重なる部分の各座標に対して設定された設計対象要素を識別する識別情報ID3を消去する。
図4(d)に示すように、写像後の設計対象要素440aの一部の領域が、設計対象要素以外の所定のコアの要素(永久磁石の領域320)の一部の領域と、設計対象要素以外の所定のコアの要素を跨がって重なる場合、ステップS207において、最適化計算部120は、図4(d)の右図に示すように、写像後の設計対象要素の領域440aの領域から、設計対象要素以外の所定のコアの要素と重なる領域を除いた複数の領域440b、440cを、当該設計対象要素の領域とする。また、最適化計算部120は、当該相互に重なる部分の各座標に対して設定された設計対象要素を識別する識別情報ID3を消去する。
設計対象要素の数が増えることを抑制するため、ステップS207において、最適化計算部120は、複数の領域440b、440cのうちの1つのみを選択してもよい。例えば、最適化計算部120は、複数の領域440b、440cのうち最も大きい領域を選択し、その他の領域を消去してもよい。
図5の左図に示すように、写像後の設計対象要素の領域510aの一部の領域が、デザイン領域(鉄心の領域310)からはみ出す場合、ステップS207において、最適化計算部120は、写像後の設計対象要素の領域510aの領域から、デザイン領域からはみ出している領域を除いた領域510bを、当該設計対象要素の領域とする。
電気機器の特性としては、例えば、ロータの平均トルク、コアの鉄損、IPMSMの効率等が挙げられる。このように電気機器の特性は、電気機器を構成する部品の特性を含む概念である。本実施形態では、最適化計算部120は、設計対象領域が変更されたコアを励磁したときにコアに生じる磁束密度ベクトルBを、有限要素法による数値解析を行うことにより計算し、計算した結果に基づいて、ロータの平均トルクを電気機器の特性として導出する。
(2)式および(3)式を連立して解いて、ベクトルポテンシャルAとスカラーポテンシャルφを求めた後、(4)式、(5)式から、磁束密度ベクトルBと渦電流ベクトルJeが計算される。
最適化計算部120は、各微小領域における磁束密度ベクトルBに基づいて、各微小領域におけるトルクを計算し、計算したトルクに基づいて、平均トルクを導出する。ここでは、トルクFは、例えば、以下の(6)式によりマックスウェル応力であるものとして計算することができる。
以上が図2のフローチャートによる処理である。
本計算例では、図6(a)に示すコアに対してフラックスバリアを追加することを、本実施形態で説明した手法により行った。図6(a)は、電気学会のベンチマークモデルであるD1モータであり、非特許文献3に記載されているものである。
デザイン領域は、鉄心の領域の外縁で囲まれている領域とした。
図6(a)において、コアのデザイン領域内の領域であって、永久磁石よりも外周側の領域に、設計対象要素であるフラックスバリアの基本形状として8個の円形状の領域を設定した。
図6(a)に示すコアでは、ピーク値が5.5A、進角が20°の励磁電流で励磁したときの平均トルクは0.79Nmであった。これに対し、図6(b)に示すコアでは、当該励磁電流で励磁したときの平均トルクは1.22Nmであった。このように、図6(b)に示すコアの平均トルクは、図6(a)に示すコアの平均トルクよりも、約54%向上した。また、図6(b)に示すように、フラックスバリアは、ある程度固まって分布しており、フラックスバリアが極端に複雑な形状になることを回避できた。
<<第1の変形例>>
本実施形態では、デザイン領域が、鉄心の領域310の外縁で囲まれる領域である場合を例に挙げて説明した。このようにすると、図6(b)に示すように、フラックスバリアが鉄心の外周部に達する虞がある。ロータにおいてフラックスバリアが鉄心の外周部に達すると、ロータの回転によりロータが受ける遠心力によりロータが壊れる虞がある。そこで、鉄心の領域のうち、鉄心の端部およびその近傍の領域を除く領域を、デザイン領域としてもよい。このようにすれば、複雑な計算を行うことなく、電気機器の仕様を満たさないコアが設計されることを抑制することができる。
また、コアの設計の際に考慮する電気機器の特性等によっては、電磁場解析を行わずに、応力解析のみを行ってもよい。
本実施形態では、線型写像を行う場合を例に挙げて説明した。しかしながら、写像は非線型写像であってもよい。設計対象要素の基本形状に対して非線型写像を施すことにより、形状の表現力を高めることができる。この場合、写像は、位相同型の写像とするのが好ましい。設計対象要素の基本形状の数が、最初に設定した設計対象要素の基本形状の領域よりも増えることを抑制することができるからである。
本実施形態では、最適化問題のアルゴリズムとして、遺伝的アルゴリズムを用いる場合を例に挙げて説明した。しかしながら、最適化問題のアルゴリズムは、遺伝的アルゴリズムに限定されない。遺伝的アルゴリズム以外のメタヒューリスティクス手法を用いてもよい。メタヒューリスティクス手法を用いれば、最適解が局所解として計算されることを抑制することができると共に、斬新な形状が得られ易くなるので好ましい。しかしながら、勾配法等のメタヒューリスティクス手法以外の最適化問題のアルゴリズムを用いてもよい。
本実施形態では、IPMSMのロータを設計する場合を例に挙げて説明した。しかしながら、設計対象のコアは、IPMSMのロータのコアに限定されない。例えば、かご型誘導モータのロータのコアを設計対象としてもよい。この場合、コアを構成する鉄心に埋め込まれる導体バーを設計対象要素とすることができる。また、ステータのコアを設計対象としてもよい。この場合、例えば、ステータのコアを構成する鉄心のティースの先端部分の凹部の空間を設計対象要素とすることができる。この他、モータ以外の回転電機である発電機のロータ・ステータのコアを設計対象要素としてもよいし、また、変圧器のコアを設計対象としてもよい。
尚、以上説明した本発明の実施形態は、コンピュータがプログラムを実行することによって実現することができる。また、前記プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体及び前記プログラム等のコンピュータプログラムプロダクトも本発明の実施形態として適用することができる。記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いることができる。
また、以上説明した本発明の実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
Claims (14)
- 最適化問題のアルゴリズムを用いて、コアの形状の設計に関する計算を行うコア設計装置であって、
前記コアの設計対象領域であるデザイン領域に対し、前記コアの要素のうち、設計対象の要素である設計対象要素として少なくとも1つの設計対象要素の基本形状を設定する設定手段と、
前記設定手段により設定された前記設計対象要素の基本形状を変形および移動させるために前記設計対象要素の基本形状に対して施す写像の最適解を、前記最適化問題のアルゴリズムを用いて計算する最適化計算手段と、を有し、
前記最適化計算手段は、前記写像が施された前記設計対象要素を含む前記コアを有する電気機器を動作させたときの前記電気機器の特性を示す値が、前記最適化問題のアルゴリズムにおいて最大または最小とされるときの前記写像を、前記設計対象要素の基本形状に対して施す写像の最適解として計算することを特徴とするコア設計装置。 - 前記設定手段は、前記設計対象要素の内部に、当該設計対象要素以外の前記要素が含まれない形状を、当該設計対象要素の基本形状として設定することを特徴とする請求項1に記載のコア設計装置。
- 前記最適化計算手段は、前記設計対象要素の基本形状に対して前記写像を施した結果、前記設計対象要素の一部が、当該設計対象要素と種類が異なる他の所定の要素と重なる場合、当該設計対象要素が当該他の所定の要素と重ならないように、当該写像が施された前記設計対象要素を変更し、当該変更した前記設計対象要素を含む前記コアを有する前記電気機器を動作させたときの前記電気機器の特性を示す値を計算することを特徴とする請求項1または2に記載のコア設計装置。
- 前記最適化計算手段は、前記設計対象要素の基本形状に対して前記写像を施した結果、前記設計対象要素の一部が、当該設計対象要素と同一種類の他の前記設計対象要素と重なる場合、当該重なる複数の前記設計対象要素を1つの前記設計対象要素とし、当該1つの前記設計対象要素を含む前記コアを有する前記電気機器を動作させたときの前記電気機器の特性を示す値を計算することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のコア設計装置。
- 前記設定手段は、同一の種類の前記設計対象要素の基本形状として、複数の基本形状を設定することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のコア設計装置。
- 前記設定手段は、複数種類の前記設計対象要素の基本形状を設定することを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載のコア設計装置。
- 前記写像は、線型写像であることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載のコア設計装置。
- 前記写像は、位相同型の写像であることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載のコア設計装置。
- 前記最適化計算手段は、前記設計対象要素の基本形状に対して施す写像の最適解を、メタヒューリスティクス手法を用いて計算することを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載のコア設計装置。
- 前記最適化計算手段は、前記写像が施された前記設計対象要素を含む前記コアを励磁したときに前記コアに生じる磁束密度ベクトルを、数値解析を行うことにより計算し、計算した結果に基づいて、前記電気機器の特性を示す値を計算することを特徴とする請求項1〜9の何れか1項に記載のコア設計装置。
- 前記最適化計算手段は、前記写像が施された前記設計対象要素を含む前記コアに外力が働くときに前記コアに生じる応力ベクトルを、数値解析を行うことにより計算し、計算した結果に基づいて、前記電気機器の特性を示す値を計算することを特徴とする請求項1〜10の何れか1項に記載のコア設計装置。
- 前記設計対象要素は、回転電機のロータにおけるフラックスバリアおよび永久磁石の少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項1〜11の何れか1項に記載のコア設計装置。
- 最適化問題のアルゴリズムを用いて、コアの形状の設計に関する計算を行うコア設計方法であって、
前記コアの設計対象領域であるデザイン領域に対し、前記コアの要素のうち、設計対象の要素である設計対象要素として少なくとも1つの設計対象要素の基本形状を設定する設定工程と、
前記設定工程により設定された前記設計対象要素の基本形状を変形および移動させるために前記設計対象要素の基本形状に対して施す写像の最適解を、前記最適化問題のアルゴリズムを用いて計算する最適化計算工程と、を有し、
前記最適化計算工程は、前記写像が施された前記設計対象要素を含む前記コアを有する電気機器を動作させたときの前記電気機器の特性を示す値が、前記最適化問題のアルゴリズムにおいて最大または最小とされるときの前記写像を、前記設計対象要素の基本形状に対して施す写像の最適解として計算することを特徴とするコア設計方法。 - 請求項1〜12の何れか1項に記載のコア設計装置の各手段としてコンピュータを機能させることを特徴とするプログラム。
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