JP2021113903A - 車両用表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】適正に表示を行うことができる車両用表示装置を提供することを目的とする。【解決手段】車両用表示装置1は、車両Vに搭載され表示光L1を出射する出射部3と、出射部3から出射された表示光L1を車両Vに設けられた反射面WSに向けて回折し当該反射面WSで予め想定される目視位置EP側に反射させるホログラム5とを備え、反射面WSは、水平方向に対する目視位置EP側の立ち上がり角度αが45°以下であり、かつ、目視位置EP側に反射させた表示光L1による表示像VIに対する目視位置EPにおける俯角βが0°より大きく、ホログラム5は、反射面WSの鉛直方向下側に位置し、反射面WSに向けて回折する表示光L1の出射角θoutが当該表示光L1の入射角θinより小さいことを特徴とする。【選択図】図1
Description
本発明は、車両用表示装置に関する。
車両に適用される従来の車両用表示装置として、例えば、特許文献1には、中間像形成光学部材と、表示デバイスと、HUD光学系とを有する車両用投影表示装置が開示されている。中間像形成光学部材は、光学レンズ、凸面鏡、および凹面鏡の少なくとも1つを含み、光を透過もしくは反射する面を有する。表示デバイスは、 表示像を含む光を中間像形成光学部材に向けて投射する。HUD光学系は、中間像形成光学部材により結像された中間像の光を、中間像形成光学部材を介して受光し、車両のウインドシールド、もしくはその近傍の光反射部材の反射面に導き、反射面で反射した光の表示像が所定のアイポイントで虚像として視認できるように投影する。そして、中間像形成光学部材は、中間像を平面に対して少なくとも一部分が湾曲した状態で結像する。
ところで、上述のような車両用表示装置は、例えば、低背化を実現しつつ、適正に表示を行うことができる構成が望まれている。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、適正に表示を行うことができる車両用表示装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係る車両用表示装置は、車両に搭載され表示光を出射する出射部と、前記出射部から出射された前記表示光を前記車両に設けられた反射面に向けて回折し当該反射面で予め想定される目視位置側に反射させるホログラムとを備え、前記反射面は、水平方向に対する前記目視位置側の立ち上がり角度が45°以下であり、かつ、前記目視位置側に反射させた前記表示光による表示像に対する前記目視位置における俯角が0°より大きく、前記ホログラムは、前記反射面の鉛直方向下側に位置し、前記反射面に向けて回折する前記表示光の出射角が当該表示光の入射角より小さいことを特徴とする。
また、上記車両用表示装置では、前記ホログラムは、表面が保護層によって保護されており、当該保護層の表面で反射した前記表示光が前記目視位置外に向かう位置関係で配置されるものとすることができる。
また、上記車両用表示装置では、前記ホログラムは、表面が保護層によって保護されており、当該保護層の表面で反射した外光が前記目視位置外に向かう位置関係で配置されるものとすることができる。
本発明に係る車両用表示装置は、出射部から出射されホログラムで反射面に向けて回折された表示光を当該反射面で目視位置側に反射させることで、当該反射面に対して表示光による表示を行うことができる。ここで、この車両用表示装置は、水平方向に対する目視位置側の立ち上がり角度が45°以下であり、かつ、目視位置側に反射させた表示光による表示像に対する目視位置における俯角が0°より大きくなる反射面に対して、上記表示光による表示を行うものである。このような構成にあって、車両用表示装置は、反射面の鉛直方向下側に位置するホログラムにおいて、反射面に向けて回折する表示光の出射角が当該表示光の入射角より小さくなるように構成される。この構成により、車両用表示装置は、上記のような反射面の立ち上がり角度、俯角となる幾何学的位置関係でホログラムを相対的に水平に近い姿勢で配置しても、反射面に対して目視位置から視認可能なように適正に表示光による表示を行うことができる。この結果、車両用表示装置は、低背化を図りつつ、適正に表示を行うことができる、という効果を奏する。
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
[実施形態]
図1に示す本実施形態に係る車両用表示装置1は、車両Vに適用され、いわゆるヘッドアップディスプレイ(HUD:Head Up Display)を構成するものである。車両用表示装置1は、例えば、車両Vのダッシュボードに設けられたインストルメントパネル内に搭載される。車両用表示装置1は、車両VのウインドシールドWS等に向けて表示光L1を出射し当該ウインドシールドWSで目視位置EP側に向けて反射する表示像VIによって運転者DR等に種々の可視情報を提示するものである。車両用表示装置1は、ウインドシールドWSに映る表示像VIによって車両Vに関する車両情報を目視位置EPで目視可能に表示する。
図1に示す本実施形態に係る車両用表示装置1は、車両Vに適用され、いわゆるヘッドアップディスプレイ(HUD:Head Up Display)を構成するものである。車両用表示装置1は、例えば、車両Vのダッシュボードに設けられたインストルメントパネル内に搭載される。車両用表示装置1は、車両VのウインドシールドWS等に向けて表示光L1を出射し当該ウインドシールドWSで目視位置EP側に向けて反射する表示像VIによって運転者DR等に種々の可視情報を提示するものである。車両用表示装置1は、ウインドシールドWSに映る表示像VIによって車両Vに関する車両情報を目視位置EPで目視可能に表示する。
ここで、目視位置(アイポイント)EPは、典型的には、車両VにおけるいわゆるアイレンジER内に設定されるアイボックスEB内に位置するものとして予め想定される。アイレンジERとは、「自動車の運転者アイレンジ」であり、車両Vに応じて予め定まる運転者DRの視点が位置する領域に相当する。アイレンジERは、典型的には、車両Vにおいて運転者DRの目の位置の分布を統計的に表したものであり、例えば、運転者DRが運転席に座った状態で所定割合(例えば、95%)の運転者DRの目の位置が含まれる領域に相当する。アイボックスEBは、アイレンジER内に位置し、かつ、運転者DRが運転席に座った状態で運転しながら表示像VIを適正に視認可能である空間領域として予め想定される。
また、ウインドシールドWSは、車両Vにおいて、車両用表示装置1から出射された表示光L1を上記目視位置EP側に反射させる反射面を構成するものである。ウインドシールドWSは、少なくとも可視光域成分の光(可視光線)を透過する光透過性の透過部材である。ここで、可視光域成分の光とは、人が視認できる可視光領域の波長成分の光であり、例えば、波長が360〜830nmの範囲の成分の光である。本実施形態のウインドシールドWSは、車両Vが水平面に位置した状態で、立ち上がり角度αが45°以下(α≦45°)であり、かつ、表示像VIに対する目視位置EPにおける俯角βが0°より大きくなる(β>0°)ように構成されている。ここで、立ち上がり角度αとは、水平方向に対するウインドシールドWSの目視位置EP側の立ち上がりの角度である。一方、俯角βとは、ウインドシールドWSによって目視位置EP側に反射させた表示光L1による表示像VIに対する目視位置EPにおける俯角であり、典型的には、目視位置EPから水平面の下側にある表示像VIを見る視線と、水平面とが成す角度である。ここでは、ウインドシールドWSは、典型的には、車両Vの車両前後方向Xの前部に設けられ、いわゆるフロントガラスとも呼ばれる。
そして、本実施形態の車両用表示装置1は、上記のようなウインドシールドWSの立ち上がり角度α、俯角βとなる幾何学的位置関係において、光学系にホログラム5を適用したものである。この構成により、本実施形態の車両用表示装置1は、低背化を実現しつつ、ウインドシールドWSに対して適正に表示光L1による表示像VIの表示を行うことができるように構成されたものである。
例えば、表示光の光路を形成する従来の非球面ミラー等は、典型的には、幾何光学(スネルの法則)に基づくため、表示光(光線)の入射角と反射角とが同等になる。このため、従来の車両用表示装置は、像の表示画角やアイボックスEBのサイズ、車両用表示装置を設置するスペース等が決定した時点で、要求される非球面ミラーの大きさ、光路の高さ等が決まってしまう傾向にある。この結果、従来の車両用表示装置は、像の表示範囲を大きくしようとすると必然的に非球面ミラーの外形、ひいては車両用表示装置の外形が大きくなってしまう傾向にある。
これに対して、本実施形態の車両用表示装置1に適用されるいわゆる反射型のホログラム5は、表示光L1(光線)の出射方向を任意の角度に調整することができる。このことを利用し、本実施形態の車両用表示装置1は、表示デバイス(出射部3)の出射光線(表示光L1)をホログラム5によって、幾何光学に基づく出射角よりも小さくなる角度で回折させる。これにより、本実施形態の車両用表示装置1は、例えば、従来から使用されていた拡大用の非球面ミラーを、設置角度が非球面ミラーよりも水平に近いホログラム5によって置き換えることができる。この結果、本実施形態の車両用表示装置1は、光路の高さが非球面ミラー使用時と比較して、相対的に低くなり、車両用表示装置1の外形を低背化することが可能となる。以下、各図を参照して車両用表示装置1の構成について詳細に説明する。
なお、本実施形態の車両用表示装置1が適用される車両Vは、上記のようにウインドシールドWSの立ち上がり角度αが45°以下の車両であれば、一般的な乗用車両、各種輸送車両、各種作業車両等のいずれであってもよい。また、ウインドシールドWSの立ち上がり角度αの下限値は、少なくても0°より大きく(α>0°)、典型的には、車両Vとして実用上問題ない範囲であればよい。同様に、目視位置EPにおける俯角βの上限値は、ウインドシールドWSと目視位置EPとの幾何学的位置関係に基づき車両Vとして実用上問題ない範囲であればよい。
また、以下の説明では、車両用表示装置1が適用される車両Vにおいて、「車両前後方向X」とは、典型的には、車両Vの全長方向に相当し、さらに言えば、車両Vの前後直進方向に沿った方向に相当する。「車両幅方向Y」とは、典型的には、車両Vの全幅方向に相当し、車両Vの車両左右方向に相当する。「車両高さ方向Z」とは、典型的には、車両Vの車高方向に相当する。第1方向である車両前後方向Xと第2方向である車両幅方向Yと第3方向である車両高さ方向Zとは、相互に直交し、車両Vが水平面に位置する状態で、車両前後方向X、車両幅方向Yが水平方向に沿い、車両高さ方向Zが鉛直方向に沿う。また、以下の説明では、車両前後方向Xにおいて、車両Vが前進する側を「前側」、車両Vが後進する側を「後側」という場合がある。車両幅方向Yにおいて、車両前後方向Xの前側に向かって左側を「左側」、車両前後方向Xの前側に向かって右側を「右側」という場合がある。車両高さ方向Zにおいて、鉛直方向上側を「上側」、鉛直方向下側を「下側」という場合がある。以下の説明で用いる各方向は、特に断りのない限り、各部が相互に組み付けられた状態での方向を表すものとする。
具体的には、本実施形態の車両用表示装置1は、図1に示すように、車両前後方向Xに対してウインドシールドWSと目視位置EPとの間で、かつ、ウインドシールドWSの鉛直方向下側に位置して配置される。車両用表示装置1は、反射面を構成するウインドシールドWSに表示光L1を出射し当該ウインドシールドWSで目視位置EP側に反射した表示光L1による表示像VIをウインドシールドWSに表示することで、車両Vに関する車両情報を表示する。車両用表示装置1が表示する車両情報は、例えば、車両の速度、走行用動力源の出力回転数、積算走行距離、冷却水温、燃料残量、バッテリ蓄電量、各種の警告灯、シフトポジション、方向指示方向、ナビゲーション情報等を含んでいてもよい。加えて、車両用表示装置1が表示する車両情報は、目視位置EPからウインドシールドWS越しに目視される背景に重畳させて表示する車両Vの周辺の注意対象情報(例えば、歩行者、周辺車両、障害物、荷物等に関する情報)等を含んでいてもよい。
より具体的には、車両用表示装置1は、筐体2と、出射部3と、反射ミラー4と、ホログラム5とを備える。車両用表示装置1は、出射部3から出射された表示光L1を、反射ミラー4、ホログラム5等の光学系を介してウインドシールドWSに向けて出射し当該ウインドシールドWSで表示光L1を目視位置EP側に反射させることで、ウインドシールドWSに表示像VIを表示させる。
筐体2は、出射部3、反射ミラー4、ホログラム5等を内部に収容するものである。筐体2は、例えば、絶縁性の合成樹脂等によって形成される。筐体2は、例えば、複数の部材が組み合わせられることで中空箱状に形成され、この中空状の内部空間部に出射部3、反射ミラー4、ホログラム5等を収容する。筐体2は、この他、車両用表示装置1の各部の動作を制御する制御回路基板等も内部に収容する。
そして、筐体2は、車両高さ方向Zの上側の面に、光路開口部2aが形成される。光路開口部2aは、筐体2の内外を連通する。光路開口部2aは、出射部3が出射した表示光L1を筐体2の外部に導出するための光路開口を構成する。さらに言えば、光路開口部2aは、筐体2の内部からウインドシールドWSに向かう表示光L1を当該筐体2の外部に導出する。ここでは、筐体2は、光路開口部2aが車両高さ方向Zの上側を向いており、かつ、当該光路開口部2aが透明カバー部材2bによって覆われている。透明カバー部材2bは、少なくとも出射部3が出射した表示光L1を透過する光透過性の部材によって構成される。
出射部3は、車両Vに搭載され表示光L1を出射可能な表示デバイスである。出射部3は、筐体2の内部に設けられる。出射部3が出射する表示光L1は、ウインドシールドWSに表示させる表示像VIを表す光であり、少なくとも可視光域成分の光を含む。出射部3は、表示光L1を出射するデバイスとして、例えば、レーザプロジェクタ、薄型の液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、光インジケータ、蛍光表示管等を用いることができる。ここでは、出射部3は、筐体2の内部において、車両前後方向Xの後側でかつ車両高さ方向Zの下側の位置に設けられる。そして、出射部3は、出射する表示光L1の光軸方向が車両前後方向Xのやや前側でかつ車両高さ方向Zの略直上側を向くように筐体2の内部に支持され、表示光L1を車両前後方向Xのやや前側でかつ車両高さ方向Zの略直上側に向けて出射(投射)する。
反射ミラー4は、出射部3が出射した表示光L1の光路を変更する光路変更光学系を構成する光学素子である。反射ミラー4は、出射部3から出射された表示光L1をホログラム5に向けて全反射する。反射ミラー4は、いわゆる平面ミラーであってもよいし、拡大ミラーであってもよいし、自由曲面ミラーであってもよい。拡大ミラーは、凹面、又は、凸面のミラーとして形成され、反射する前の表示光L1が表す像と比較して反射した後の表示光L1が表す像が相対的に大きくなるように当該像を拡大して反射するものである。また、自由曲面ミラーは、球面、放物面と異なり、光軸に対して非対称な形状のミラーとして形成され、非球面ミラーとも呼ばれる。つまり、自由曲面ミラーは、凹面、又は、凸面で、かつ、光軸に対して非対称な形状のミラーとして形成される。自由曲面ミラーは、ウインドシールドWSの表面形状や反射ミラー4、ホログラム5等の各光学反射系の幾何学的な位置関係等に応じた形状に形成される。そして、自由曲面ミラーは、表示光L1を反射する際に、最終的にウインドシールドWSに映る表示光L1が表す表示像VIが所望の形状となるように光学的に歪みを補正して反射する。ここでは一例として、反射ミラー4は、平面ミラーを構成するものとして図示しているがこれに限らない。
反射ミラー4は、筐体2の内部に設けられる。ここでは、反射ミラー4は、筐体2の内部において、車両前後方向Xの後側でかつ車両高さ方向Zの上側で当該車両高さ方向Zに沿って出射部3と対向する位置に設けられる。そして、反射ミラー4は、反射する表示光(反射光)L1の光軸方向が車両前後方向Xの略前側を向くように筐体2の内部に支持され、表示光L1を車両前後方向Xの略前側に向けて反射する。
ホログラム5は、出射部3が出射した表示光L1の光路を変更する光路変更光学系を構成する光学素子である。ホログラム5は、出射部3から出射され反射ミラー4で反射された表示光L1をウインドシールドWSに向けて回折し当該ウインドシールドWSで目視位置EP側に反射させる。
本実施形態のホログラム5は、いわゆる反射型のホログラム(HOE:Holographic Optical Element)である。ホログラム5は、所望の回折特性を有する干渉縞が施された透明な膜である。ホログラム5は、透明な膜に干渉縞を記録させた際の光と同等の波長、入射角の光が当該干渉縞に対して照射されると、当該干渉縞によって当該光を所望の回折特性に応じた特定の方向に回折する作用を呈する。つまり、ホログラム5は、反射ミラー4と対向する面に入射する光を、干渉縞に応じた回折特性で回折させ、当該回折させた回折光を当該反射ミラー4と対向する面から出射する。ホログラム5は、典型的には、出射部3から出射され反射ミラー4で反射された表示光L1をウインドシールドWSに向かう回折光として出力し、かつ、ウインドシールドWSで反射した表示光L1をアイレンジERに集光させる回折特性を有している。
本実施形態のホログラム5は、筐体2の内部に設けられる。ここでは、ホログラム5は、筐体2の内部において、車両前後方向Xの前側で当該車両前後方向Xに沿って反射ミラー4と対向する位置に設けられる。ホログラム5は、回折する表示光(回折光)L1の光軸方向が車両前後方向Xのやや後側でかつ車両高さ方向Zの略直上側を向くように筐体2の内部に支持され、表示光L1を車両前後方向Xのやや後側でかつ車両高さ方向Zの略直上側に向けて回折する。
より具体的には、本実施形態のホログラム5は、筐体2の内部において、ウインドシールドWSの車両高さ方向Zの下側、すなわち、ウインドシールドWSの鉛直方向下側に位置する。
そして、本実施形態のホログラム5は、図1、図2に示すように、車両幅方向Yに沿って視た車幅方向視において、このウインドシールドWSに向けて回折する表示光L1の出射角θoutが当該表示光L1の入射角θinより小さい(θout<θin)。言い換えれば、このホログラム5は、当該ホログラム5に対して入射する表示光(入射光)L1の入射角θinと当該ホログラム5から出射される表示光(出射光)L1の出射角θoutとの和が90°未満(θin+θout<90°)となる回折特性を有している。
つまり、本実施形態のホログラム5は、反射ミラー4と対向する面に入射角θinで表示光L1が入射すると、当該表示光L1を入射角θinより小さい出射角(回折角)θoutでウインドシールドWSに向けて回折し出射する回折特性を有している。そして、出射角θoutは、当該ホログラム5の回折特性においては、ホログラム5で回折した表示光L1がウインドシールドWSで反射し目視位置EP側(典型的にはアイレンジER側)に向かうように定められている。言い換えれば、本実施形態のホログラム5は、ウインドシールドWSの立ち上がり角度αが45°以下で、かつ、目視位置EPにおける俯角βが0°より大きくなるように各部が配置された構成において、上記のような回折特性を有する干渉縞が施されたものである。
ここでは、ホログラム5は、この回折特性により、上述したように、表示光L1を車両前後方向Xのやや後側でかつ車両高さ方向Zの略直上側に向けて回折することとなる。ホログラム5で回折した表示光L1は、筐体2の内部から光路開口部2a、及び、透明カバー部材2bを介して筐体2の外部に導出されウインドシールドWSに向かう。そして、ウインドシールドWSで反射した表示光L1は、目視位置EP側に向かう。
上記のように構成される車両用表示装置1は、出射部3から出射された表示すべき情報に応じた表示光L1が反射ミラー4によってホログラム5に向けて反射される。車両用表示装置1は、反射ミラー4で反射された表示光L1がホログラム5によって上記のような回折特性でウインドシールドWSに向けて回折される。そして、車両用表示装置1は、ホログラム5で回折された表示光L1が光路開口部2a、及び、透明カバー部材2bを介してウインドシールドWSに至り、ウインドシールドWSによって目視位置EP側に反射される。この構成により、車両用表示装置1は、表示光L1による表示像VIが当該ウインドシールドWSに表示される。
この表示像VIは、ウインドシールドWSで目視位置EP側に反射した表示光L1による反射像であり、目視位置EPから視認可能ないわゆる虚像である。このようにして、車両用表示装置1は、ウインドシールドWSに表示光L1によって車両情報に関する表示像VIを虚像表示することができる。
車両用表示装置1は、車両Vに据え付けられた状態で、このようにウインドシールドWSで反射した表示光L1が目視位置EPに至り、表示像VIに対する目視位置EPにおける俯角βが0°より大きくなるように各部の幾何学的位置関係や光学系が調整されている。
またここでは、ホログラム5は、表示光L1をアイレンジERに集光させる回折特性を有している。例えば、図1に示すように、アイレンジERに向かう表示光L1の幅は、ウインドシールドWSからアイレンジERへ向かうに従って狭くなる。これにより、本実施形態の車両用表示装置1は、目視位置EPにおいて、表示像VIを拡大させて視認させることができる。
なお、本実施形態のホログラム5は、図2に示すように、表面が保護層5a、5bによって保護されている。本実施形態のホログラム5は、主面(干渉縞が設けられた回折面)の両面がそれぞれ保護層5a、5bによって保護されている。言い換えれば、ホログラム5は、保護層5aと保護層5bとの間にホログラム層として封止されている。保護層5a、5bは、ホログラム5の主面を熱、衝撃等から保護する層であり、少なくとも出射部3が出射した表示光L1を透過する光透過性の部材によって構成される。
そして、本実施形態のホログラム5は、図2、図3に示すように、当該保護層5a等の表面で反射した表示光(反射光)L1が目視位置EP外、典型的には、アイレンジER外に向かう位置関係で配置される。
ここで、出射部3から出射され反射ミラー4によってホログラム5側に向けて反射された表示光L1は、ホログラム5で回折する成分(図中実線で図示)とは別に、保護層5a等の表面で正反射する成分(図中点線で図示)が含まれる。この保護層5aの表面での反射は、幾何光学(スネルの法則)に基づく。このため、当該保護層5aの表面によって反射された表示光L1の反射角θrefは、ホログラム5、及び、保護層5aに対する表示光L1の入射角θinと同等となる。つまり、保護層5aは、ホログラム5、及び、保護層5aに入射角θinで表示光L1が入射すると、当該表示光L1を入射角θinと同等の反射角θrefで正反射する。
本実施形態のホログラム5は、上記のような保護層5aの表面反射による表示光L1の正反射成分を踏まえて、保護層5a等の表面で反射しウインドシールドWSで反射した表示光L1がアイレンジER外に向かう位置関係、設置角度となるように配置される。つまり、本実施形態のホログラム5は、保護層5a等の表面で反射した表示光L1がアイレンジER外に向かうように配置された上で、このように配置された状態で、上記で説明したような回折特性を有するように構成される。
この構成により、車両用表示装置1は、ホログラム5の保護層5a等の表面で正反射した表示光L1が目視位置EPに届かないようにすることができる。この結果、車両用表示装置1は、ホログラム5で回折され拡大された表示光L1による表示像VIとは別に、保護層5a等の表面で正反射した表示光L1による表示像(いわゆるゴースト)が重複して視認されてしまうことを抑制することができる。
またさらに、本実施形態のホログラム5は、図2、図4に示すように、保護層5a等の表面で反射した外光L2が目視位置EP外、典型的には、アイレンジER外に向かう位置関係で配置される。
保護層5aは、筐体2の外部から光路開口部2a、及び、透明カバー部材2bを介して外光L2が入射すると、外光L2が表面で正反射する。図4中に範囲Tで示す領域は、保護層5aの表面で正反射した外光L2が照射される範囲の一例である。
本実施形態のホログラム5は、上記のような保護層5aの表面反射による外光L2の正反射成分も踏まえて、保護層5a等の表面で反射した外光L2がアイレンジER外に向かう位置関係、設置角度となるように配置される。つまり、本実施形態のホログラム5は、保護層5a等の表面で反射した表示光L1、及び、当該外光L2がアイレンジER外に向かうように配置された上で、このように配置された状態で、上記で説明したような回折特性を有するように構成される。
この構成により、車両用表示装置1は、保護層5a等の表面で正反射した外光L2が目視位置EPに届かないようにすることができ、当該外光L2がゴーストとして視認されてしまうことを抑制することができる。
以上で説明した車両用表示装置1は、出射部3から出射されホログラム5でウインドシールドWSに向けて回折された表示光L1を当該ウインドシールドWSで目視位置EP側に反射させることで、当該ウインドシールドWSに対して表示光L1による表示を行うことができる。ここで、この車両用表示装置1は、立ち上がり角度αが45°以下であり、かつ、目視位置EPにおける俯角βが0°より大きくなるウインドシールドWSに対して、上記表示光L1による表示を行うものである。
このような構成にあって、車両用表示装置1は、ウインドシールドWSの鉛直方向下側に位置するホログラム5において、ウインドシールドWSに向けて回折する表示光L1の出射角θoutが当該表示光L1の入射角θinより小さくなるように構成される。この構成により、車両用表示装置1は、上記のようなウインドシールドWSの立ち上がり角度α、俯角βとなる幾何学的位置関係でホログラム5を相対的に水平に近い姿勢で配置しても、ウインドシールドWSに対して目視位置EPから視認可能なように適正に表示光L1による表示を行うことができる。言い換えれば、車両用表示装置1は、上記のような立ち上がり角度αを有するウインドシールドWSに対して俯角βが0°より大きくなるように表示光L1による表示像VIの虚像表示を行った上で、ホログラム5を相対的に水平に近い姿勢でレイアウトとすることができる。
この構成により、車両用表示装置1は、図1に示すように、例えば、ホログラム5のかわりに幾何光学(スネルの法則)に基づいた従来の非球面ミラー100を用いて光学系を構成した場合等と比較して、相対的に車両高さ方向Zの厚みを抑制することができる。言い換えれば、車両用表示装置1は、上記のような立ち上がり角度αを有するウインドシールドWSに対して俯角βが0°より大きくなるように表示像VIの虚像表示を行うことができるような光学系の幾何学的位置関係を、より低背化した上で適正に実現することができる。この結果、車両用表示装置1は、低背化を図りつつ、適正に表示を行うことができる。
さらに、以上で説明した車両用表示装置1は、ホログラム5の保護層5aの表面で反射した表示光L1が目視位置EP外に向かう位置関係となるようにホログラム5が配置される。この結果、車両用表示装置1は、保護層5aの表面で正反射した表示光L1によるゴーストの発生を抑制することができ、表示像VIの視認性を向上することができる。なお、車両用表示装置1は、保護層5bの表面反射による表示光L1の正反射成分に対しても同様の構成とすることで、同様にゴーストの発生を抑制することができる。この点で、車両用表示装置1は、より適正に表示を行うことができる。
また、以上で説明した車両用表示装置1は、ホログラム5の保護層5aの表面で反射した外光L2が目視位置EP外に向かう位置関係となるようにホログラム5が配置される。この結果、車両用表示装置1は、保護層5aの表面で正反射した外光L2によるゴーストの発生を抑制することができ、表示像VIの視認性を向上することができる。なお、車両用表示装置1は、保護層5bの表面反射による外光L2の正反射成分に対しても同様の構成とすることで、同様にゴーストの発生を抑制することができる。この点でも、車両用表示装置1は、より適正に表示を行うことができる。
なお、上述した本発明の実施形態に係る車両用表示装置は、上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。本実施形態に係る車両用表示装置は、以上で説明した実施形態、変形例の構成要素を適宜組み合わせることで構成してもよい。
ホログラム5によって回折された表示光L1を目視位置EP側に向けて反射する反射面は、ウインドシールドWSであるものとして説明したがこれに限らず、例えば、ウインドシールドWSとは別体に設けられたコンバイナ等であってもよい。
1 車両用表示装置
2 筐体
2a 光路開口部
2b 透明カバー部材
3 出射部
4 反射ミラー
5 ホログラム
5a、5b 保護層
DR 運転者
EB アイボックス
EP 目視位置
ER アイレンジ
L1 表示光
L2 外光
V 車両
VI 表示像
WS ウインドシールド(反射面)
X 車両前後方向
Y 車両幅方向
Z 車両高さ方向
α 立ち上がり角度
β 俯角
θin 入射角
θout 出射角
θref 反射角
2 筐体
2a 光路開口部
2b 透明カバー部材
3 出射部
4 反射ミラー
5 ホログラム
5a、5b 保護層
DR 運転者
EB アイボックス
EP 目視位置
ER アイレンジ
L1 表示光
L2 外光
V 車両
VI 表示像
WS ウインドシールド(反射面)
X 車両前後方向
Y 車両幅方向
Z 車両高さ方向
α 立ち上がり角度
β 俯角
θin 入射角
θout 出射角
θref 反射角
Claims (3)
- 車両に搭載され表示光を出射する出射部と、
前記出射部から出射された前記表示光を前記車両に設けられた反射面に向けて回折し当該反射面で予め想定される目視位置側に反射させるホログラムとを備え、
前記反射面は、水平方向に対する前記目視位置側の立ち上がり角度が45°以下であり、かつ、前記目視位置側に反射させた前記表示光による表示像に対する前記目視位置における俯角が0°より大きく、
前記ホログラムは、前記反射面の鉛直方向下側に位置し、前記反射面に向けて回折する前記表示光の出射角が当該表示光の入射角より小さいことを特徴とする、
車両用表示装置。 - 前記ホログラムは、表面が保護層によって保護されており、当該保護層の表面で反射した前記表示光が前記目視位置外に向かう位置関係で配置される、
請求項1に記載の車両用表示装置。 - 前記ホログラムは、表面が保護層によって保護されており、当該保護層の表面で反射した外光が前記目視位置外に向かう位置関係で配置される、
請求項1又は請求項2に記載の車両用表示装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020006573A JP2021113903A (ja) | 2020-01-20 | 2020-01-20 | 車両用表示装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020006573A JP2021113903A (ja) | 2020-01-20 | 2020-01-20 | 車両用表示装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2021113903A true JP2021113903A (ja) | 2021-08-05 |
Family
ID=77077634
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2020006573A Pending JP2021113903A (ja) | 2020-01-20 | 2020-01-20 | 車両用表示装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2021113903A (ja) |
-
2020
- 2020-01-20 JP JP2020006573A patent/JP2021113903A/ja active Pending
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