図面を参照しながら、複数の実施形態を説明する。複数の実施形態において、機能的におよび/または構造的に対応する部分および/または関連付けられる部分には同一の参照符号、または百以上の位が異なる参照符号が付される場合がある。対応する部分および/または関連付けられる部分については、他の実施形態の説明を参照することができる。
第1実施形態
図1において、車両2は、保冷庫3を備えた冷凍車や冷蔵車などと呼ばれる移動体である。保冷庫3は、外部との熱のやり取りを低減するために、断熱性能の高い断熱パネルで構成されている。保冷庫3の内部には被冷却物が収蔵され、保冷庫3ごと被冷却物が目的地に低温輸送されることとなる。車両2は、低温輸送が必要な様々な被冷却物の輸送に用いることができる。車両2は、例えば、精密な温度管理が求められる医薬品の低温輸送に用いることができる。車両2は、例えば、冷蔵温度の維持が求められる農産物や畜産物などの低温輸送に用いることができる。車両2は、例えば、冷凍温度の維持が求められる冷凍食品などの低温輸送に用いることができる。
保冷庫3の内部は、庫内温度が設定温度付近を維持するように空調装置10によって温度制御される。空調装置10の一部をなす圧縮機11は、電動圧縮機11aとエンジン駆動圧縮機11bとを備えている。電動圧縮機11aは、電源制御ユニット41から電力が供給されて駆動する圧縮装置である。エンジン駆動圧縮機11bは、車両2の走行に用いるエンジンから動力を得て駆動する圧縮装置である。ただし、圧縮機11を電動圧縮機11aとエンジン駆動圧縮機11bとのどちらか一方で構成してもよい。また、圧縮機11を電動圧縮機11aとエンジン駆動圧縮機11b以外に別の圧縮装置を含んで構成してもよい。
保冷庫3には、保冷庫3の内部と外部との連通を切り替えるための保冷庫ドア3dが設けられている。保冷庫ドア3dは、左右に観音開き式に開閉するドアである。保冷庫ドア3dは、保冷庫3における空調装置10が設置されている位置とは反対側に設けられている。このため、保冷庫3内部は、空調装置10に近い前方部分と保冷庫ドア3dに近い後方部分とを有している。保冷庫3において、カーテンなどを用いて保冷庫3内部を前後に仕切ることで、保冷庫3の前方部分と後方部分とで温度差をつけることが可能である。
図2は、電動圧縮機11aを冷凍サイクル装置10rの圧縮機11として用いた場合の空調装置10付近を示す断面図である。圧縮機11として、エンジン駆動圧縮機11bを用いた場合には、電源制御ユニット41に代えて、エンジンからエンジン駆動圧縮機11bに動力が供給されて圧縮機11が駆動することとなる。
空調装置10は、圧縮機11と凝縮器12と膨張弁14と蒸発器15とを有する冷凍サイクル装置10rを備えている。圧縮機11は、気相冷媒を圧縮して気相冷媒を高温高圧の状態にする装置である。凝縮器12は、圧縮機11で圧縮された気相冷媒の温度を低下させるとともに、液相冷媒に凝縮させる装置である。凝縮器12は、冷媒と周囲の空気とを熱交換して周囲の空気を加熱する熱交換器である。
膨張弁14は、凝縮器12で凝縮された液相冷媒を膨張させて、温度と圧力が低く蒸発しやすい状態にする装置である。膨張弁14のような可変絞り弁の代わりに、キャピラリチューブやオリフィス等の固定絞りを用いて冷媒を減圧してもよい。膨張弁14は、減圧装置の一例を提供する。蒸発器15は、膨張弁14で膨張された液相冷媒を蒸発させる装置である。蒸発器15は、冷媒と周囲の空気とを熱交換して周囲の空気を冷却する熱交換器である。
冷凍サイクル装置10rは、圧縮機11から凝縮器12と膨張弁14までをつないで冷媒の流路を形成している高圧配管16を備えている。高圧配管16には、圧縮機11で圧縮されて膨張弁14で減圧されるまでの高圧冷媒が流れている。冷凍サイクル装置10rは、膨張弁14から蒸発器15と圧縮機11までをつないで冷媒の流路を形成している低圧配管17を備えている。低圧配管17には、膨張弁14で減圧されて圧縮機11で圧縮されるまでの低圧冷媒が流れている。高圧配管16と低圧配管17とによって、冷媒の流路が環状に形成されている。
高圧配管16のうち、凝縮器12から膨張弁14までの間には受液器13が設けられている。受液器13は、気相冷媒と液相冷媒とを分離する装置である。このため、受液器13よりも冷媒流れの下流に位置している膨張弁14には、液相冷媒のみが流れることとなる。
空調装置10は、圧縮機11を駆動した際に低温となる蒸発器15を周囲から区画する蒸発器ケース31を備えている。蒸発器ケース31は、断熱性能の高い断熱パネルを用いて構成されている。蒸発器ケース31は、保冷庫3の前壁3wの上部に設けられた開口部3hに嵌め込まれて固定されている。膨張弁14は、蒸発器ケース31の内部に位置している。
蒸発器ケース31の内部には、蒸発器ファン15fが設けられている。蒸発器ファン15fは、蒸発器15の周囲に空気を流して熱交換を促進させるための装置である。蒸発器ケース31には、内気吸い込み口32と内気吹き出し口33とが形成されている。内気吸い込み口32と内気吹き出し口33とは、蒸発器ケース31の内部と保冷庫3の内部とを連通している。蒸発器ファン15fが回転している際には、保冷庫3内部の空気である内気が内気吸い込み口32から蒸発器ケース31内部に吸い込まれる。蒸発器ファン15fが回転している際には、蒸発器ケース31内部の空気が内気吹き出し口33から保冷庫3内部に吹き出される。蒸発器ファン15fは、蒸発器15と熱交換した後の冷風を保冷庫3内部に送風する機能を備えている。
空調装置10は、圧縮機11を駆動した際に高温となる凝縮器12を周囲から区画する凝縮器ケース36を備えている。凝縮器ケース36は、蒸発器ケース31に隣接して蒸発器ケース31よりも前方に設けられている。言い換えると、凝縮器ケース36は、蒸発器ケース31の保冷庫3内部と連通している面とは反対の面に設けられている。
凝縮器ケース36の内部には、凝縮器ファン12fが設けられている。凝縮器ファン12fは、凝縮器12の周囲に空気を流して熱交換を促進させるための装置である。凝縮器ケース36には、外気吸い込み口37と外気吹き出し口38とが形成されている。外気吸い込み口37と外気吹き出し口38とは、凝縮器ケース36の内部と外部空間とを連通している。凝縮器ファン12fが回転している際には、外部空間の空気である外気が外気吸い込み口37から凝縮器ケース36内部に吸い込まれることとなる。凝縮器ファン12fが回転している際には、凝縮器ケース36内部の空気が外気吹き出し口38から外部空間に吹き出されることとなる。外気吸い込み口37は、車両2の走行中において、車両2の進行方向とは反対方向に流れる空気を凝縮器ケース36内部に吸い込む吸い込み口として機能する。
空調装置10は、除霜装置20を備えている。除霜装置20は、ホットガス配管21とホットガス弁22とを備えている。ホットガス配管21は、高圧配管16と蒸発器15とを接続する配管であって、凝縮器12を流れる前の高温高圧の気相冷媒を蒸発器15の内部に導く配管である。ホットガス弁22は、ホットガス配管21を流通可能な冷媒の流量を調整するための弁装置である。ホットガス弁22は、電気的に開度を調整可能な電磁弁である。
ホットガス弁22を開いた状態で圧縮機11を駆動することで、蒸発器15に高温高圧のガス冷媒を流すことができる。これにより、蒸発器15の表面に発生した霜を溶かして除霜することができる。また、除霜が必要ない場合には、ホットガス弁22を閉じることで、ホットガス配管21における冷媒の流れを遮断する。これにより、蒸発器15に凝縮器12と膨張弁14とを通過した低温低圧の液相冷媒を流すことができる。言い換えると、ホットガス弁22の開度を制御することで、蒸発器15を温度の高い状態と、温度の低い状態とに切り替えることができる。
除霜装置20は、ホットガス配管21とホットガス弁22を用いて、蒸発器15に高温高圧の気相冷媒を流す構成に限られない。除霜装置20は、例えば、蒸発器15の付近に備えた電気ヒータを採用可能である。この場合、ホットガス配管21やホットガス弁22を用いた場合に比べて、除霜装置20を小型に設計しやすい。また、電気ヒータの出力を制御することで、除霜能力を調整できる。このため、ホットガス配管21やホットガス弁22を用いた場合に比べて、除霜に要する時間を短くしやすい。除霜方法として、ホットガスを用いる方法と電気ヒータを用いる方法との2つの方法やその他の除霜方法を併用してもよい。
空調装置10は、電源制御ユニット41と電源ケーブル42を備えている。電源制御ユニット41は、車両2や空調装置10に供給する電力を制御する装置である。電源ケーブル42は、外部電源から電力供給を受けるための装置である。電源ケーブル42は、商用交流電源に接続可能に構成されている。電源制御ユニット41は、電源ケーブル42を用いて供給された交流電力を直流電力に変換する機能を備えている。電源制御ユニット41は、供給された電圧の大きさを昇圧あるいは降圧して所望の電圧に変換する機能を備えている。
空調装置10は、操作パネル51と庫内温度センサ52と外気温度センサ53とを備えている。操作パネル51は、空調運転における設定温度などを乗員が設定するための装置である。操作パネル51は、除霜ボタンを備えている。除霜ボタンは、除霜中であるか否かをランプの点灯によって乗員に報知する。除霜中に乗員が除霜ボタンを操作することで、除霜を強制的に停止させることができる。除霜していない状態で乗員が除霜ボタンを操作することで、除霜を開始させることができる。庫内温度センサ52は、保冷庫3内部の温度である庫内温度を計測するためのセンサである。庫内温度センサ52は、内気吸い込み口32の近傍に設けられている。庫内温度センサ52の設置位置や個数は上述の例に限られない。例えば、庫内温度センサ52を保冷庫3の前方部分と後方部分との2箇所に設けて、複数の庫内温度を計測してもよい。外気温度センサ53は、外部空間の温度である外気温度を計測するためのセンサである。外気温度センサ53は、外気吸い込み口37の近傍に設けられている。
図3において、制御部70は、操作パネル51と庫内温度センサ52と外気温度センサ53とに接続している。制御部70は、操作パネル51で入力された空調運転における設定温度などの情報を取得する。制御部70は、庫内温度センサ52で計測した庫内温度を取得する。制御部70は、外気温度センサ53で計測した外気温度を取得する。
制御部70は、位置検出装置54とドア開閉センサ55とキースイッチ56とに接続している。位置検出装置54は、GPSやGLONASSなどのGNSS(Global Navigation Satellite System)に用いられるGNSS受信機を備えている。位置検出装置54は、測位衛星から受信した測位信号をもとに、位置情報として車両2の現在位置を逐次検出する。現在位置は、緯度と経度を含む座標で表される。また、現在位置を示す座標に高度が含まれていてもよい。制御部70は、位置検出装置54で計測した現在位置を取得する。位置検出装置54は、車速センサやジャイロセンサや加速度センサといったGNSS受信機とは異なる方法で現在位置を検出する装置を採用してもよい。また、現在位置を検出可能な複数の装置を併用して位置検出装置54を構成してもよい。
ドア開閉センサ55は、保冷庫ドア3dが開閉の状態を検知するセンサである。制御部70は、ドア開閉センサ55で検知した保冷庫ドア3dの開閉の状態を取得する。制御部70は、例えば30秒ごとにドア開閉センサ55の検知結果を取得する。キースイッチ56は、車両2の状態をイグニッション状態とアクセサリ状態とオフ状態とに切り替えるためのスイッチである。制御部70は、キースイッチ56で切り替えた車両2の状態を取得する。
制御部70は、除霜タイマ58と除霜温度センサ59とに接続している。除霜タイマ58は、前回の除霜タイミングからの経過時間を計測する。ここで、除霜タイミングとは、実際に蒸発器15の除霜を行ったタイミングではなく、除霜を開始するか否かを判定するタイミングのことである。このため、除霜タイミングであっても、除霜の必要がない場合や除霜が許可されていない場合には除霜を行わないことがある。制御部70は、除霜タイマ58で計測した前回の除霜タイミングからの経過時間を取得する。除霜温度センサ59は、蒸発器15の表面温度を計測する温度センサである。除霜温度センサ59は、例えば、蒸発器15の出口配管の温度を計測する。制御部70は、除霜温度センサ59で計測した蒸発器15の表面温度を取得する。
制御部70は、表示パネル45に接続されている。表示パネル45は、車両2の乗員に対して、空調運転に関する表示を行うための装置である。表示パネル45は、例えば空調装置10が適切に空調運転を行っているか否かを示す情報が表示される。
制御部70は、圧縮機11と電源制御ユニット41と凝縮器ファン12fと蒸発器ファン15fとホットガス弁22とに接続している。制御部70は、圧縮機11の駆動を制御して、冷凍サイクル装置10rを循環する冷媒の量を制御する。制御部70は、電源制御ユニット41の駆動を制御する。制御部70は、凝縮器ファン12fの駆動を制御して、凝縮器12の周囲に流れる空気の量を制御する。制御部70は、蒸発器ファン15fの駆動を制御して、蒸発器15の周囲に流れる空気の量を制御する。制御部70は、ホットガス弁22の開度を制御して、蒸発器15を除霜する状態と蒸発器15を除霜しない状態とに切り替える。
制御部70は、取得部71と設定部72と判定部73とを備えている。取得部71は、空調運転に関する様々な情報を取得する。取得部71は、例えば設定温度を取得する。取得部71は、例えば庫内温度を取得する。取得部71は、例えば外気温度を取得する。取得部71は、例えば車両2の現在位置を取得する。取得部71は、例えば保冷庫ドア3dの開閉の状態を取得する。取得部71は、例えば車両2がイグニッション状態かアクセサリ状態かオフ状態かを取得する。
設定部72は、蒸発器15の除霜を許可するか否かに関する様々な条件を設定する。判定部73は、蒸発器15の除霜を許可するか否かを判定する。言い換えると、判定部73は、取得部71で取得した車両2の情報に基づいて、設定部72で設定した条件を満たしているか否かを判定する。例えば、設定部72は、後に詳述するジオフェンス7を設定し、判定部73は、車両2の現在位置がジオフェンス7内か否かを判定する。
制御部70は、タイミング判定部78と温度判定部79とを備えている。タイミング判定部78は、除霜タイマ58で計測した除霜タイミングからの経過時間に基づいて現在のタイミングが除霜タイミングか否かを判定する。温度判定部79は、除霜温度センサ59で計測した蒸発器15の表面温度に基づいて除霜が必要か否かを判定する。
空調装置10の空調運転の一例を以下に説明する。図4は、空調運転による庫内温度の時間変化を示すグラフである。横軸は時間を示し、縦軸は温度を示している。設定温度が5℃、外気温が20℃程度である場合を例にグラフを示している。
空調運転を開始するタイミングであるTc0では、圧縮機11と凝縮器ファン12fと蒸発器ファン15fとを駆動することで冷却運転を開始している。これにより、外気温度相当の温度であった庫内温度が低下し、徐々に設定温度である5℃に近づくことになる。その後、設定温度よりも低い温度に設定されている冷却終了温度まで庫内温度が低下したことを検知して、圧縮機11と凝縮器ファン12fと蒸発器ファン15fとの駆動を停止することで冷却運転を停止する。冷却終了温度は、例えば3℃である。
冷却運転の停止中は、庫内温度よりも高い温度である外気温度の影響により徐々に庫内温度が上昇する。冷却運転の停止中には、必要に応じて蒸発器15が除霜される。その後、設定温度よりも高い温度に設定されている冷却開始温度まで庫内温度が上昇したことを検知した場合に、冷却運転を再開する。冷却開始温度は、例えば7℃である。冷却運転を再開するタイミングがTc1である。
その後も冷却運転の実行と停止を繰り返して、庫内温度が冷却終了温度から冷却開始温度までの温度範囲内に収まるように空調運転を行う。ただし、冷却負荷に応じて圧縮機11の回転数を適宜変化させるインバータ制御で空調装置10の空調運転を行ってもよい。この場合、冷却運転の実行と停止を繰り返すのではなく、庫内温度が設定温度を維持するように冷却能力を調整しながら冷却運転を実行し続けることとなる。
乗員によって操作パネル51が操作され、空調装置10の電源がオフされたタイミングがTeである。空調装置10の電源がオフされた後は、空調装置10による冷却運転を行わない。このため、庫内温度が冷却開始温度を超えて上昇し、外気温度に近い温度まで上昇することとなる。
蒸発器15の除霜に関する制御の一例を以下に説明する。図5において、乗員による操作パネル51の入力によって空調運転が開始されると、ステップS101で前回の除霜タイミングからの経過時間を取得する。除霜タイミングとは、除霜を開始する必要があるか否かを判断するタイミングのことである。除霜に関する制御を開始したタイミングが最初の除霜タイミングであり、その後、所定時間ごとに除霜タイミングが繰り返されることとなる。ただし、実際に除霜を実行している場合には、その除霜を終了したタイミングで除霜タイミングがリセットされる。言い換えると、除霜を終了したタイミングが除霜タイミングとなり、除霜を終了したタイミングからの経過時間を取得することとなる。前回の除霜タイミングからの経過時間を取得した後、ステップS102に進む。
ステップS102では、現在のタイミングが除霜タイミングか否かを判定する。前回の除霜タイミングからの経過時間が所定時間以上であれば、除霜タイミングであると判定する。一方、前回の除霜タイミングからの経過時間が所定時間未満であれば、除霜タイミングではないと判定する。ここで、所定時間は例えば60分である。ただし、所定時間は、上述の値に限られない。空調運転の設定温度が低い場合など蒸発器15表面に着霜しやすい状況では、所定時間を短く設定してこまめに除霜の要否を判定することが好ましい。除霜タイミングであると判定した場合には、ステップS111に進む。一方、除霜タイミングではないと判定した場合には、ステップS134に進む。
ステップS111では、車両2の現在位置を取得する。車両2の現在位置は、位置検出装置54によって検出できる。車両2の現在位置を取得した後、ステップS112に進む。ステップS111は、取得ステップの一例を提供する。
ステップS112では、車両2の現在位置がジオフェンス7外か否かを判定する。ここで、ジオフェンス7について、図6を用いて説明する。ジオフェンス7とは、指定領域8とその他の領域とを区画する情報である。言い換えると、ジオフェンス7で囲まれた内側の領域が指定領域8である。一方、ジオフェンス7の外側の領域は、その他の領域である。ジオフェンス7の形状は、任意の形状に設定可能であるが、例えば、円形に設定することができる。
ジオフェンス7は、経度と緯度によって中心位置を指定して、中心位置からの半径の大きさを指定することで設定できる。中心位置は、低温輸送における荷積地、途中経由地、目的地など被冷却物である荷物の搬入や搬出を行うことが予想される場所に設定できる。中心位置を目的地に設定し、半径を1kmに設定した場合には、ジオフェンス7は、目的地を中心とした半径が1kmの円として設定されることとなる。ただし、ジオフェンス7の設定方法は、上述の方法に限られず、任意の方法で設定可能である。
ジオフェンス7は、設定部72によってあらかじめ設定されている。設定されているジオフェンス7の数は、1つに限られない。荷積地、途中経由地、目的地など複数の地点のそれぞれにジオフェンス7を設定可能である。また、ジオフェンス7ごとに半径を変えてもよい。車両2の現在位置がジオフェンス7の内側か外側かによって、車両2における制御の内容を変更可能である。
図5において、車両2の現在位置がジオフェンス7外であれば、除霜を行っても問題ないと判断してステップS121に進む。一方、車両2の現在位置がジオフェンス7内であれば、除霜をすべきではないと判断してステップS134に進む。ジオフェンス7の半径が大きいほど、除霜をすべきではないと判断する領域が広いこととなる。ステップS112は、設定ステップを含む判定ステップの一例を提供する。
目的地を含んで設定されたジオフェンス7内で除霜をすべきではない理由の一例について説明する。車両2が目的地に到着した場合、被冷却物の搬入や搬出のために保冷庫ドア3dが開放されることが予想される。保冷庫ドア3dが開放されることで、保冷庫3の内部には外気が流入しやすく、庫内温度が上昇しやすい状態となる。言い換えると、一時的に被冷却物の温度が上昇しやすい状態となる。この状態では、被冷却物の温度が管理すべき設定温度から乖離しやすく、被冷却物の品質に影響を及ぼす場合がある。また、庫内温度と管理すべき設定温度との乖離が大きい場合には、検温で不合格となる可能性もある。したがって、目的地に到着した時点や目的地に到着する直前では、空調装置10が被冷却物を冷却可能な状態を維持することが好ましい。
蒸発器15の除霜中においては、蒸発器15の温度が高い状態となる。言い換えると、除霜中と除霜完了直後においては、蒸発器15の温度が高く、空調装置10が被冷却物を適切に冷却できない状態である。このため、目的地を中心位置に設定したジオフェンス7内で除霜を行わないことにより、目的地に到着する直前まで空調装置10が冷却可能な状態を維持できる。言い換えると、目的地における保冷庫ドア3dの開放を考慮して、適切な温度管理を行うことができる。このことが目的地を含んで設定されたジオフェンス7内で除霜をすべきではない理由の一例である。
ステップS121では、蒸発器15の外表面の温度である蒸発器温度を取得する。蒸発器温度は、除霜温度センサ59によって計測できる。蒸発器温度を取得した後、ステップS122に進む。
ステップS122では、蒸発器温度が除霜開始温度未満であるか否かを判定する。除霜開始温度は、例えば0℃である。蒸発器温度が除霜開始温度未満であれば、除霜が必要であると判断してステップS131に進む。一方、蒸発器温度が除霜開始温度以上であれば、除霜が必要ないと判断してステップS134に進む。
ステップS131では、蒸発器15の除霜を開始する。より詳細には、ホットガス弁22を開いた状態で圧縮機11を駆動する。これにより、蒸発器15に高温高圧の気相冷媒を流して蒸発器15の温度を上昇させ、蒸発器15の外表面に生じた霜を溶かす。除霜中は、蒸発器ファン15fを停止する。これにより、温度の高い蒸発器15によって加熱された空気が保冷庫3の内部に流れることを抑制できる。蒸発器15の除霜を開始した後、ステップS132に進む。ステップS131は、許可ステップの一例を提供する。
ステップS132では、除霜中の蒸発器15における蒸発器温度を取得する。除霜によって蒸発器15に加えられた熱は、霜が溶けて水に変化するための潜熱として消費され、除霜が完了すると、温度上昇するための顕熱として消費されることとなる。このため、除霜が完了することで除霜前に比べて蒸発器温度が高い状態となる。除霜中の蒸発器15における蒸発器温度を取得した後、ステップS133に進む。
ステップS133では、蒸発器温度が除霜終了温度以上か否かを判定する。除霜終了温度は、例えば3℃である。蒸発器温度が除霜終了温度以上であれば、除霜が完了していると判断してステップS134に進む。蒸発器温度が除霜終了温度未満であれば、除霜が完了していないと判断してステップS132に戻り、蒸発器温度が除霜終了温度以上になるまで除霜を継続する。
ステップS134では、蒸発器15の除霜を終了する。言い換えると、除霜が開始されていない場合には、現在の除霜を行わない状態を維持する。一方、除霜が開始されている場合には、除霜を行わない状態に移行する。除霜を行わない状態に移行する場合には、ホットガス弁22を閉じた状態で圧縮機11を駆動する。これにより、蒸発器15に凝縮器12で凝縮され、膨張弁14で膨張された低温低圧の液相冷媒を流して蒸発器15の温度を低下させる。この時、蒸発器ファン15fは除霜終了後、蒸発器温度が低下するまでの間は停止することが好ましい。これにより、低温になる前の蒸発器15によって加熱された空気が保冷庫3の内部に流れることを抑制できる。また、除霜を行わない状態に移行した場合には、除霜タイミングをリセットし、除霜を行わない状態に移行したタイミングを新たな除霜タイミングとする。このため、次にステップS101に戻った場合には、除霜中の状態から除霜を行わない状態に移行したタイミングであるステップS134のタイミングを前回の除霜タイミングとして、経過時間を取得することとなる。除霜を終了した後、ステップS141に進む。ステップS134は、不許可ステップの一例を提供する。
ステップS141では、空調オフか否かを判定する。言い換えると、空調要求の有無を判定する。例えば、操作パネル51の操作によって、空調装置10の電源がオフされた場合には空調オフの状態となる。空調オフとする方法は、上述の方法に限られない。例えば、キースイッチ56がオフ状態となった場合に空調オフとしてもよい。例えば、管理者による遠隔操作で空調オフとしてもよい。空調オフであれば、蒸発器15の除霜に関する制御を含む空調制御を終了する。一方、空調オンすなわち空調要求のある状態であれば、ステップS101に戻って一連の制御を繰り返す。
上述した実施形態によると、空調システム1は、車両2の現在位置を含む情報に基づいて除霜装置20による除霜を許可するか否かを制御する制御部70を備えている。このため、車両2の現在位置が除霜をすべきでない位置、すなわち庫内温度の上昇が予想される位置であれば、除霜を不許可とすることができる。したがって、庫内温度の上昇が予想される位置やその直前の位置で、空調装置10による冷却運転が可能な状態とすることができる。よって、保冷庫ドア3dの開放のタイミングと、蒸発器15が除霜中で冷却できないタイミングが重なることを抑制しやすい。以上により、保冷庫3の庫内温度が設定温度から大きく乖離することを抑制した空調システム1を提供できる。
制御部70は、車両2の現在位置がジオフェンス7外である場合には除霜装置20による除霜を許可する。さらに、車両2の現在位置がジオフェンス7内である場合には除霜装置20による除霜を許可しない。このため、ジオフェンス7を用いて除霜を停止したい領域を設定することで、車両2の現在位置がジオフェンス7内であれば除霜を自動で停止できる。また、車両2の現在位置がジオフェンス7外であれば除霜を自動で再開できる。したがって、乗員による除霜を許可するか否かの煩雑な操作を抑制できる。
制御部70は、ジオフェンス7と車両2の現在位置との2つの情報を比較することで、容易に除霜を許可するか否かを判定できる。言い換えると、車両2の走行ルートや渋滞状況などの複雑な情報を考慮せずに、除霜を許可するか否かを判定できる。このため、制御部70での処理をシンプルにして、車両2の走行によって刻々と変化する現在位置に対応して、除霜を許可するか否かを短い間隔で判定できる。したがって、ジオフェンス7内に進入したにもかかわらず、現在位置の判定を行わずに除霜が許可された状態が継続してしまう時間を短くしやすい。
空調装置10の空調制御方法は、車両2の現在位置が除霜を許可しない条件を満たしているか否かを判定する判定ステップを備えている。さらに、除霜を許可しない条件が満たされていると判定した場合に除霜を許可しない不許可ステップを備えている。このため、あらかじめ予想されている保冷庫ドア3dを開放するタイミングでの除霜を抑制できる。したがって、保冷庫ドア3dの開放のタイミングと、蒸発器15が除霜中で冷却できないタイミングが重なることを抑制しやすい。よって、保冷庫3の庫内温度が設定温度から大きく乖離することを抑制した空調制御方法を提供できる。
空調装置10の空調制御方法は、車両2の現在位置がジオフェンス7外である場合に、除霜装置20による除霜を許可する許可ステップを備えている。さらに、車両2の現在位置がジオフェンス7内である場合に除霜装置20による除霜を許可しない不許可ステップを備えている。このため、ジオフェンス7を用いて除霜を停止したい領域を設定することで、車両2の現在位置がジオフェンス7内であれば除霜を自動で停止できる。また、車両2の現在位置がジオフェンス7外であれば除霜を自動で再開できる。したがって、乗員による除霜を許可するか否かの煩雑な操作を抑制できる。
空調装置10の空調制御を行うための空調制御プログラムは、車両2の現在位置が除霜を許可しない条件を満たしているか否かを判定する処理を備えている。さらに、除霜を許可しない条件が満たされていると判定した場合に除霜を許可しない処理を備えている。このため、あらかじめ予想されている保冷庫ドア3dを開放するタイミングでの除霜を抑制できる。したがって、保冷庫ドア3dの開放のタイミングと、蒸発器15が除霜中で冷却できないタイミングが重なることを抑制しやすい。よって、保冷庫3の庫内温度が設定温度から大きく乖離することを抑制した空調制御プログラムを提供できる。
第2実施形態
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。この実施形態では、制御部70が履歴記憶部274を備えており、除霜が不許可となった履歴に基づいて除霜を制御している。
図7において、制御部70は、履歴記憶部274を備えている。履歴記憶部274は、除霜が許可されなかったことを示す情報である不許可履歴を記憶する機能を有している。不許可履歴には、不許可となった日時の情報が含まれている。履歴記憶部274は、不許可履歴を記憶した状態で日時の新しい不許可履歴を取得すると、古い不許可履歴を新たな不許可履歴に更新して記憶する。
蒸発器15の除霜に関する制御の一例を以下に説明する。図8において、乗員による操作パネル51の入力によって空調運転が開始されると、ステップS201で前回の除霜タイミングからの経過時間を取得する。前回の除霜タイミングからの経過時間を取得した後、ステップS202に進む。
ステップS202では、現在のタイミングが除霜タイミングか否かを判定する。前回の除霜タイミングからの経過時間が所定時間以上であれば、除霜タイミングであると判定する。一方、前回の除霜タイミングからの経過時間が所定時間未満であれば、除霜タイミングではないと判定する。除霜タイミングであると判定した場合には、ステップS211に進む。一方、除霜タイミングではないと判定した場合には、ステップS203に進む。ステップS202は、タイミング判定ステップの一例を提供する。
ステップS203では、不許可履歴の有無を判定する。履歴記憶部274に不許可履歴が記憶されていれば、速やかに除霜の要否を判定すべきであると判断して、ステップS211に進む。一方、不許可履歴が記憶されていなければ、ステップS234に進む。ステップS203は、履歴判定ステップの一例を提供する。
ステップS211では、蒸発器15の外表面の温度である蒸発器温度を取得する。蒸発器温度は、除霜温度センサ59によって計測できる。蒸発器温度を取得した後、ステップS212に進む。
ステップS212では、蒸発器温度が除霜開始温度未満であるか否かを判定する。蒸発器温度が除霜開始温度未満であれば、除霜が必要であると判断してステップS221に進む。一方、蒸発器温度が除霜開始温度以上であれば、除霜が必要ないと判断してステップS234に進む。ステップS212は、温度判定ステップの一例を提供する。
ステップS221では、車両2の現在位置を取得する。車両2の現在位置は、位置検出装置54によって検出できる。車両2の現在位置を取得した後、ステップS222に進む。ステップS221は、取得ステップの一例を提供する。
ステップS222では、車両2の現在位置がジオフェンス7外か否かを判定する。車両2の現在位置がジオフェンス7外であれば、除霜を行っても問題ないと判断してステップS223に進む。一方、車両2の現在位置がジオフェンス7内であれば、除霜をすべきでないと判断してステップS224に進む。ステップS222は、設定ステップを含む判定ステップの一例を提供する。
ステップS223では、不許可履歴を削除する。不許可履歴を削除したことで、蒸発器15の除霜が必要であるが除霜が許可されていない状態が解消されたことを示すこととなる。不許可履歴を削除した後、ステップS231に進む。ステップS223は、履歴削除ステップの一例を提供する。
ステップS231では、蒸発器15の除霜を開始する。蒸発器15の除霜を開始した後、ステップS232に進む。ステップS231は、許可ステップの一例を提供する。
ステップS232では、除霜中の蒸発器15における蒸発器温度を取得する。除霜中の蒸発器15における蒸発器温度を取得した後、ステップS233に進む。
ステップS233では、蒸発器温度が除霜終了温度以上か否かを判定する。蒸発器温度が除霜終了温度以上であれば、除霜が完了していると判断してステップS234に進む。蒸発器温度が除霜終了温度未満であれば、除霜が完了していないと判断してステップS221に戻る。これにより、再び現在位置を取得して、現在位置がジオフェンス7外か否かを判定する。このため、車両2がジオフェンス7内に進入するか、蒸発器温度が除霜終了温度以上になるまで除霜を継続することとなる。
ステップS224では、不許可履歴を記憶する。言い換えると、蒸発器15の除霜が必要であるが、現在位置がジオフェンス7内であり、除霜が許可されていない状態であることを記憶する。不許可履歴を記憶した後、ステップS234に進む。ステップS224は、履歴記憶ステップの一例を提供する。
ステップS234では、蒸発器15の除霜を終了する。言い換えると、除霜が開始されていない場合には、現在の除霜を行わない状態を維持する。一方、除霜が開始されている場合には、除霜を行わない状態に移行する。また、除霜を行わない状態に移行した場合には、除霜タイミングをリセットし、除霜を行わない状態に移行したタイミングを新たな除霜タイミングとする。このため、次にステップS201に戻った場合には、除霜中の状態から除霜を行わない状態に移行したタイミングであるステップS234のタイミングを前回の除霜タイミングとして、経過時間を取得することとなる。除霜を終了した後、ステップS241に進む。除霜中に車両2がジオフェンス7内に進入した場合も、除霜を終了することになる。このため、車両2がジオフェンス7内の中心位置である目的地に到達する前に空調装置10による冷却運転を再開しやすい。ステップS234は、不許可ステップの一例を提供する。
ステップS241では、空調オフか否かを判定する。言い換えると、空調要求の有無を判定する。空調オフであれば、蒸発器15の除霜に関する制御を含む空調制御を終了する。一方、空調オンすなわち空調要求のある状態であれば、ステップS201に戻って一連の制御を繰り返す。
上述した実施形態によると、制御部70は、不許可履歴が記憶されていない場合には、タイミング判定部78で所定時間が経過したと判定した後に、温度判定部79での判定を開始する。また、制御部70は、不許可履歴が記憶されている場合には、タイミング判定部78の判定結果によらず、温度判定部79での判定を開始する。このため、除霜を不許可とした条件が解消された場合に、速やかに除霜の要否を判定できる。したがって、蒸発器15の外表面に着霜しているか否かを素早く判定して、必要に応じて除霜することができる。よって、蒸発器15の外表面に着霜のない熱交換効率が良好な状態を長く確保しやすい。
空調装置10の空調制御方法は、履歴判定ステップを備えている。履歴判定ステップは、不許可履歴の有無を判定する。不許可履歴が記憶されていない場合には、タイミング判定ステップで所定時間が経過したと判定した後に、温度判定ステップでの判定を開始する。また、不許可履歴が記憶されている場合には、タイミング判定ステップの判定結果によらず、温度判定ステップでの判定を開始する。このため、除霜を不許可とした条件が解消された場合に、速やかに除霜の要否を判定できる。したがって、蒸発器15の外表面に着霜しているか否かを素早く判定して、必要に応じて除霜することができる。よって、蒸発器15に着霜のない熱交換効率が良好な状態を長く確保しやすい。
第3実施形態
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。この実施形態では、空調システム1が空調用通信装置360とサーバ380とを備えている。空調システム1は、車両2に搭載された空調用通信装置360を用いて、外部のサーバ380と通信する。この通信によって、サーバ380から除霜開始信号または除霜停止信号を受ける。
図9において、車両2には、操作パネル51と庫内温度センサ52と外気温度センサ53が設けられている。車両2には、位置検出装置54とドア開閉センサ55とキースイッチ56が設けられている。車両2には、除霜タイマ58と除霜温度センサ59とが設けられている。車両2には、圧縮機11と電源制御ユニット41と凝縮器ファン12fと蒸発器ファン15fとホットガス弁22とが設けられている。
車両2には、制御部70と空調用通信装置360とが設けられている。空調用通信装置360は、空調装置10の空調運転に関する情報を車両2の外部に設けられたサーバ380と通信するための装置である。空調用通信装置360は、送信部361と受信部362とを備えている。送信部361は、制御部70から取得した空調運転に関する情報、および位置検出装置54、ドア開閉センサ55、キースイッチ56のそれぞれの状態の情報を、一定時間ごとにサーバ380に送信する機能を有する。送信部361の送信間隔は、例えば30秒である。受信部362は、空調運転に関する情報を一定時間ごとにサーバ380から受信する機能を有する。より詳細には、受信部362は、サーバ380内の信号出力部385における信号の有無を確認し、信号がある場合には、受信した信号を制御部70に伝えることとなる。信号は、例えば除霜開始信号や除霜停止信号などの信号である。受信部362の受信間隔は、例えば30秒である。空調用通信装置360は、受信すべき信号の有無によらず、空調運転に関する信号を取得するためにサーバ380内の信号出力部385との通信を所定時間ごとに繰り返し行う。制御部70は、空調用通信装置360に接続している。制御部70は、空調用通信装置360を制御して、外部との通信を行う。空調用通信装置360は、車両2に搭載された車載器である。
空調システム1は、車両2の外部に設けられたサーバ380と管理者用端末390とを備えている。サーバ380は、制御部70の一部を構成している。サーバ380は、公衆通信網に接続されている。サーバ380は、空調用通信装置360から送信される情報を、公衆通信網を介して取得する。また、サーバ380は、公衆通信網を介して、空調用通信装置360に情報を送信する。
サーバ380は、例えばプロセッサ、メモリ、I/O、これらを接続するバスを備えるマイクロコンピュータ(以下、マイコン)を主体として構成される。サーバ380は、メモリに記憶された制御プログラムを実行することで、各種の処理を実行する。ここで言うところのメモリは、コンピュータによって読み取り可能なプログラムおよびデータを非一時的に格納する非遷移的実体的記憶媒体(non-transitory tangible storage medium)である。また、非遷移的実体的記憶媒体は、半導体メモリまたは磁気ディスクなどによって実現される。
サーバ380は、1つのサーバ装置からなるものであってもよいし、複数のサーバ装置からなっているものであってもよい。サーバ380は、クラウド上に配置されたサーバ装置であってもよい。
サーバ380は、設定部382と判定部383と信号出力部385とを備えている。設定部382は、管理者用端末390内のWEBブラウザ391からの指示を受け、蒸発器15の除霜を許可するか否かに関する様々な条件を設定する。判定部383は、蒸発器15の除霜を許可するか否かを判定する。言い換えると、判定部383は、取得部71で取得した車両2の情報に基づいて、設定部382で設定した条件を満たしているか否かを判定する。信号出力部385は、判定部383で判定した判定結果を保持する。ここで、判定結果とは、除霜開始信号や除霜停止信号などの信号のことである。信号出力部385は、空調用通信装置360内の受信部362からの問い合わせに応じて、空調用通信装置360内の受信部362に判定結果を送信する。信号出力部385は、空調用通信装置360内の受信部362に判定結果を送信した後、保持していた判定結果を削除する。
管理者用端末390は、サーバ380に接続されている。管理者用端末390は、サーバ380を介して取得した空調運転に関する情報を表示する。管理者用端末390は、サーバ380で判定した空調運転に関する情報を表示する。管理者用端末390は、WEBブラウザ391を備えている。WEBブラウザ391は、空調運転に関する情報を管理者に対して表示する表示画面として機能する。
管理者用端末390は、サーバ380の設定部382における除霜を許可しない条件を更新する。例えば、ジオフェンス7の情報を追加することで除霜を許可しない条件を増やす。あるいは、ジオフェンス7の情報を削除することで除霜を許可しない条件を減らす。WEBブラウザ391は、除霜を許可しない条件を管理者が更新可能な操作画面として機能する。
蒸発器15の除霜に関する車両2側の制御の一例を以下に説明する。図10において、乗員による操作パネル51の入力によって空調運転が開始されると、ステップS101で前回の除霜タイミングからの経過時間を取得し、ステップS102に進む。ステップS102では、現在のタイミングが除霜タイミングか否かを判定する。前回の除霜タイミングからの経過時間が所定時間以上であれば、除霜タイミングであると判定して、ステップS121に進む。一方、前回の除霜タイミングからの経過時間が所定時間未満であれば、除霜タイミングではないと判定して、ステップS141に進む。除霜タイミングではないと判定した場合、ステップS141に進むため、除霜を行わない状態が維持されることとなる。
ステップS121では、蒸発器15の外表面の温度である蒸発器温度を取得し、ステップS122に進む。ステップS122では、蒸発器温度が除霜開始温度未満であるか否かを判定する。蒸発器温度が除霜開始温度未満であれば、除霜が必要であると判断してステップS131に進む。一方、蒸発器温度が除霜開始温度以上であれば、除霜が必要ないと判断してステップS141に進む。蒸発器温度が除霜開始温度以上であると判定した場合、ステップS141に進むため、除霜を行わない状態が維持されることとなる。
ステップS131では、蒸発器15の除霜を開始する。より詳細には、ホットガス弁22を開いた状態で圧縮機11を駆動する。これにより、蒸発器15に高温高圧の気相冷媒を流して蒸発器15の温度を上昇させ、蒸発器15の外表面に生じた霜を溶かす。除霜中は、蒸発器ファン15fを停止する。これにより、温度の高い蒸発器15によって加熱された空気が保冷庫3の内部に流れることを抑制できる。蒸発器15の除霜を開始した後、ステップS391に進む。
ステップS391では、制御部70が空調用通信装置360内の受信部362に問い合わせを行い、サーバ380から送られた除霜開始信号や除霜停止信号などの信号を取得する。サーバ380から送られた信号を取得した後、ステップS392に進む。
ステップS392では、取得した信号の中に、除霜停止信号が含まれているか否かを判定する。除霜停止信号がない場合には、除霜を継続してもよいと判断してステップS132に進む。一方、除霜停止信号がある場合には、除霜を停止する必要があると判断してステップS134に進む。
ステップS132では、除霜中の蒸発器15における蒸発器温度を取得し、ステップS133に進む。ステップS133では、蒸発器温度が除霜終了温度以上か否かを判定する。蒸発器温度が除霜終了温度以上であれば、除霜が完了していると判断してステップS134に進む。蒸発器温度が除霜終了温度未満であれば、除霜が完了していないと判断してステップS391に戻り、除霜停止信号を取得するか、蒸発器温度が除霜終了温度以上になるまで除霜を継続する。
ステップS134では、蒸発器15の除霜を終了する。言い換えると、除霜中の状態から除霜を行わない状態に移行する。また、除霜タイミングをリセットし、除霜を行わない状態に移行したタイミングを除霜タイミングとする。蒸発器15の除霜を終了した後、ステップS141に進む。ステップS141では、空調オフか否かを判定する。空調オフであれば、蒸発器15の除霜に関する制御を含む空調制御を終了する。一方、空調オンすなわち空調要求のある状態であれば、ステップS101に戻って一連の制御を繰り返す。
蒸発器15の除霜に関するサーバ380側の制御の一例を以下に説明する。サーバ380を用いて空調装置10の空調運転を管理している状態では、サーバ380が車両2側からの信号を受信可能な状態である。この状態において、車両2側から送信された信号を受信することで、サーバ380側での除霜に関する制御フローが開始される。例えば、空調用通信装置360が30秒ごとにデータを送信ししている場合には、サーバ380が30秒ごとにデータを受信することとなる。この場合、サーバ380側では、30秒ごとに最新のデータに基づいて後述する制御フローが繰り返されることとなる。
図11において、空調用通信装置360から送信された信号をサーバ380が受信して除霜に関する制御を開始すると、ステップS301で受信データを記憶する。受信データには、例えば除霜装置20が除霜を行っているか否かを示す情報が含まれる。除霜を行っているか否かを示す情報としては、ホットガス弁22の開度の情報を利用可能である。すなわち、ホットガス弁22が開いたことを検知した場合には、除霜が開始されたと判断できる。一方、ホットガス弁22が閉じていることを検知した場合には、除霜中ではないと判断できる。ただし、除霜温度センサ59で計測した蒸発器温度を取得してもよい。この場合、蒸発器温度が除霜終了温度未満であれば、除霜中であるとみなし、除霜終了温度以上であれば除霜中ではないとみなせる。このように、除霜装置20が実際に除霜を行っているか否かではなく、蒸発器15の除霜が必要な状態か否かを判断してもよい。
記憶する受信データは、除霜装置20が除霜を行っているか否かを示す情報に限られない。受信データには、例えば車両2の現在位置の情報が含まれる。受信データには、例えば保冷庫ドア3dの開閉情報が含まれる。受信データには、例えばキースイッチ56によって車両2がどの状態にあるかを示す情報が含まれる。受信データには、例えば庫内温度の情報が含まれる。受信データには、例えば外気温度の情報が含まれる。受信データには、例えば蒸発器温度の情報が含まれる。受信データを記憶した後、ステップS302に進む。ステップS301は、取得ステップの一例を提供する。
ステップS302では、ジオフェンス7の設定を読み込む。ジオフェンス7を設定した後、ステップS305に進む。ステップS302は、設定ステップの一例を提供する。
ステップS305では、車両2の現在位置がジオフェンス7内か否かを判定する。車両2の現在位置がジオフェンス7内であれば、除霜をすべきではないと判断してステップS311に進む。一方、車両2の現在位置がジオフェンス7外であれば、除霜を行っても問題ないと判断してステップS321に進む。ステップS305は、判定ステップの一例を提供する。
ステップS311では、除霜装置20が除霜中か否かを判定する。除霜装置20が除霜中であれば、現在の除霜を停止すべきであると判断して、ステップS312に進む。一方、除霜装置20が除霜中でなければ、サーバ380側で信号を出力する必要がないと判断してステップS341に進む。
ステップS312では、除霜停止信号を出力する。言い換えると、現在の除霜を許可しない。このため、ホットガス弁22を閉じて、蒸発器15の除霜を停止する。より詳細には、信号出力部385からホットガス弁22を閉じさせる信号である除霜停止信号を出力する。空調用通信装置360内の受信部362は、一定時間ごとに信号出力部385における信号の有無を確認して除霜停止信号を受信する。このため、空調用通信装置360内の受信部362に問い合わせた制御部70が受信部362から除霜停止信号を受信して、ホットガス弁22を閉じる。制御部70が除霜停止信号を受信する工程は、図10のステップS391に相当する。制御部70がホットガス弁22を閉じる工程は、図10のステップS134に相当する。ホットガス弁22は、一度開いてから再び閉じることになるが、ホットガス弁22を開いてから閉じるまでの時間は極めて短い時間である。このため、実質的に除霜機能が発揮される前に除霜が停止されることとなる。信号出力部385は、空調用通信装置360内の受信部362が除霜停止信号を受信した後、信号出力部385に保持している除霜停止信号を削除する。除霜を不許可とした後、ステップS341に進む。ステップS312は、信号出力ステップを含む不許可ステップの一例を提供する。
ステップS321では、除霜停止信号を出力しない。言い換えると、現在の除霜を許可する。より詳細には、信号出力部385がホットガス弁22を閉じさせる信号である除霜停止信号を出力しない。仮に、除霜停止信号を出力していた場合には、信号出力部385に保持されている除霜停止信号を削除して除霜停止信号を出力しない状態とする。仮に、除霜停止信号を出力していない場合には、除霜停止信号を出力しない状態を維持する。このため、除霜中であればホットガス弁22が開いた状態を維持して、蒸発器15の除霜を継続する。除霜中でなければ、除霜のためにホットガス弁22を開くことができる状態とする。除霜を許可した後、ステップS341に進む。ステップS321は、許可ステップの一例を提供する。
ステップS341では、除霜装置20の状態をWEBブラウザ391に表示する。言い換えると、除霜装置20による除霜を許可しているか、除霜を許可していないかを表示する。これにより、管理者が設定どおりに除霜の許可と不許可とが切り替えられているかを把握することができる。除霜装置20の状態をWEBブラウザ391に表示した後、蒸発器15の除霜に関する制御を含むサーバ380側の空調制御を終了する。ただし、車両2側からの信号を受信することで、サーバ380側での除霜に関する制御フローが再び開始される。このため、サーバ380側では、車両2側からの信号を受信するたびに除霜に関する一連の制御フローが繰り返されることとなる。
上述した実施形態によると、空調システム1は、サーバ380と空調用通信装置360とを備えている。また、サーバ380は、判定部383が除霜を許可しないと判定した場合に、除霜を許可しないことを示す信号を車両2に出力する信号出力部385を備えている。このため、サーバ380側で、除霜を許可するか否かの判定を行い、車両2側の除霜を制御することができる。したがって、車両2の現在位置を含む情報から除霜を許可するか否かを判定する機能を車両2の外部に設けることができる。よって、サーバ380側で除霜を許可するか否かの判定を高速に行い、除霜を適切に制御することができる。
空調用通信装置360は、車両2の現在位置を示す信号と、除霜装置20の状態を示す信号とを送信する送信部361を備えている。空調用通信装置360は、送信部361で送信した信号に基づいてサーバ380で生成された除霜装置20の除霜を許可するか否かを示す信号を受信する受信部362を備えている。このため、サーバ380側で、除霜を許可するか否かの判定を行い、車両2側の除霜を制御することができる。したがって、車両2の現在位置を含む情報から除霜を許可するか否かを判定する機能を車両2の外部に設けることができる。よって、サーバ380側で除霜を許可するか否かの判定を高速に行い、除霜を適切に制御することができる。
空調装置10の空調制御方法は、判定ステップで除霜装置20による除霜を許可しないと判定した場合に、除霜装置20による除霜を許可しないことを示す信号を車両2に出力する信号出力ステップを備えている。このため、サーバ380側で、除霜を許可するか否かの判定を行い、車両2側の除霜を制御することができる。したがって、車両2の現在位置を含む情報から除霜を許可するか否かを判定する機能を車両2の外部に設けることができる。よって、サーバ380側で除霜を許可するか否かの判定を高速に行い、除霜を適切に制御することができる。
サーバ380側で複数の車両2に対して除霜を許可するか否かを個別に判定して、車両2ごとに除霜に関する信号を出力できる。このため、車両2ごとにジオフェンス7などの除霜を許可しない条件を設定するのではなく、サーバ380側で除霜を許可しない条件を一括して管理できる。したがって、複数の車両2を用いて低温輸送を行う場合に、除霜の管理を容易に行うことができる。
管理者用端末390を用いてジオフェンス7を更新することができる。このため、車両2ごとに操作パネル51などを操作してジオフェンス7を更新する必要がない。したがって、ジオフェンス7の更新における操作ミスを低減して、複数の車両2の除霜を正確に管理しやすい。
信号出力部385は、除霜を許可する場合に、ホットガス弁22を閉じる信号を出力せず、除霜を許可しない場合に、ホットガス弁22を閉じる信号を出力する。このため、除霜を許可する場合にホットガス弁22を開く信号を出力し、除霜を許可しない場合にホットガス弁22を閉じる信号を出力する構成に比べて、信号出力部385が信号を出力する回数を少なくすることができるとともに、通信コストを低減できる。
第4実施形態
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。この実施形態では、制御部70の一部を構成しているサーバ380が履歴記憶部484を備えており、除霜が不許可となった履歴である不許可履歴に基づいて除霜を制御している。
図12において、サーバ380は、履歴記憶部484を備えている。履歴記憶部484は、除霜が許可されなかったことを示す情報である不許可履歴を記憶する機能を有している。不許可履歴には、不許可となった日時の情報が含まれている。履歴記憶部484は、不許可履歴を記憶した状態で日時の新しい不許可履歴を取得すると、古い不許可履歴を新たな不許可履歴に更新して記憶する。不許可履歴は、除霜を開始してから除霜を強制的に停止させたことを示す情報である除霜停止履歴を含む。不許可履歴は、除霜の開始を許可しないことを示す情報を含む。除霜停止履歴は、不許可履歴の一例を提供する。
蒸発器15の除霜に関する車両2側の制御は、例えば図10に示す制御と同様の制御を採用可能である。蒸発器15の除霜に関するサーバ380側の制御の一例を以下に説明する。図13において、空調用通信装置360から送信された信号をサーバ380が受信して除霜に関する制御を開始すると、ステップS401で受信データを記憶し、ステップS402に進む。ステップS401は、取得ステップの一例を提供する。
ステップS402では、ジオフェンス7の設定を読み込む。ジオフェンス7を設定した後、ステップS405に進む。ステップS402は、設定ステップの一例を提供する。
ステップS405では、車両2の現在位置がジオフェンス7内か否かを判定する。車両2の現在位置がジオフェンス7内であれば、除霜をすべきではないと判断してステップS411に進む。一方、車両2の現在位置がジオフェンス7外であれば、除霜を行っても問題ないと判断してステップS421に進む。ステップS405は、判定ステップの一例を提供する。
ステップS411では、除霜装置20が除霜中か否かを判定する。除霜装置20が除霜中であれば、現在の除霜を停止すべきであると判断して、ステップS412に進む。一方、除霜装置20が除霜中でなければ、サーバ380側で信号を出力する必要がないと判断してステップS441に進む。
ステップS412では、除霜停止信号を出力する。言い換えると、現在の除霜を許可しない。より詳細には、信号出力部385からホットガス弁22を閉じさせる信号である除霜停止信号を出力する。空調用通信装置360内の受信部362は、一定時間ごとに信号出力部385における信号の有無を確認して除霜停止信号を受信する。このため、空調用通信装置360内の受信部362に問い合わせた制御部70がホットガス弁22を閉じさせる信号である除霜停止信号を受信して、ホットガス弁22を閉じる。制御部70が除霜停止信号を受信する工程は、図10のステップS391に相当する。制御部70がホットガス弁22を閉じる工程は、図10のステップS134に相当する。信号出力部385は、空調用通信装置360内の受信部362が除霜停止信号を受信した後、信号出力部385に保持している除霜停止信号を削除する。除霜を不許可とした後、ステップS413に進む。ステップS412は、信号出力ステップを含む不許可ステップの一例を提供する。
ステップS413では、履歴記憶部484に除霜停止履歴を記憶する。除霜停止履歴が記憶されている場合、ジオフェンス7内で除霜を開始したが、除霜停止信号によって除霜が強制的に停止させられた状態であることを示す。言い換えると、現在は除霜が許可されていないが、蒸発器15の除霜を実行すべき状態にあることを示している。履歴記憶部484に除霜停止履歴を記憶した後、ステップS441に進む。ステップS413は、履歴記憶ステップの一例を提供する。
ステップS421では、除霜停止信号を出力しない。言い換えると、現在位置での除霜を許可する。除霜を許可した後、ステップS422に進む。ステップS421は、許可ステップの一例を提供する。
ステップS422では、履歴記憶部484に除霜停止履歴が記憶されているか否かを判定する。除霜停止履歴が記憶されている場合には、速やかに除霜を開始すべきと判断して、ステップS423に進む。一方、除霜停止履歴が記憶されていない場合には、除霜を開始する必要はないと判断して、ステップS441に進む。
ステップS423では、除霜装置20が除霜中か否かを判定する。除霜装置20が除霜中であれば、サーバ380側で信号を出力する必要がないと判断して、ステップS432に進む。一方、除霜装置20が除霜中でなければ、サーバ380側で信号を出力する必要があると判断して、ステップS431に進む。
ステップS431では、信号出力部385が除霜開始信号を出力する。除霜開始信号は、除霜装置20による除霜を開始させる信号である。より詳細には、ホットガス弁22を開かせ、圧縮機11を駆動する信号である。ただし、除霜開始信号に代えて、温度判定開始信号を出力することで、除霜を開始するきっかけを与えてもよい。空調用通信装置360内の受信部362は、一定時間ごとに信号出力部385における信号の有無を確認して除霜開始信号を受信する。このため、空調用通信装置360内の受信部362に問い合わせた制御部70が除霜開始信号を受信して、ホットガス弁22を開き、圧縮機11を駆動する。制御部70がホットガス弁22を開き、圧縮機11を駆動する工程は、図10のステップS131に相当する。信号出力部385は、空調用通信装置360内の受信部362が除霜開始信号を受信した後、信号出力部385に保持している除霜開始信号を削除する。信号出力部385が除霜開始信号を出力した後、ステップS432に進む。ステップS431は、信号出力ステップの一例を提供する。
ステップS432では、除霜停止履歴を削除する。除霜停止履歴を削除したことで、蒸発器15の除霜が必要であるが除霜が許可されていない状態が解消されたことを示すこととなる。除霜停止履歴を削除した後、ステップS441に進む。ステップS432は、履歴削除ステップの一例を提供する。
ステップS441では、除霜装置20の状態をWEBブラウザ391に表示する。その後、蒸発器15の除霜に関する制御を含むサーバ380側の空調制御を終了する。ただし、車両2側からの信号を受信することで、サーバ380側での除霜に関する制御フローが再び開始される。このため、サーバ380側では、車両2側からの信号を受信するたびに除霜に関する一連の制御フローが繰り返されることとなる。
上述した実施形態によると、信号出力部385は、不許可履歴が記憶され、かつ、判定部383が除霜装置20による除霜を許可すると判定した場合に、除霜装置20による除霜を開始する信号を出力する。このため、除霜を不許可とした条件が解消された場合に、速やかに除霜を開始できる。したがって、蒸発器15を素早く除霜することができる。よって、蒸発器15に着霜のない熱交換効率が良好な状態を長く確保しやすい。
空調装置10の空調制御方法は、不許可履歴が記憶され、かつ、判定ステップで除霜装置20による除霜を許可すると判定した場合に、除霜装置20による除霜を開始する信号を出力する信号出力ステップを備えている。このため、除霜を不許可とした条件が解消された場合に、速やかに除霜を開始できる。したがって、蒸発器15を素早く除霜することができる。よって、蒸発器15に着霜のない熱交換効率が良好な状態を長く確保しやすい。
第5実施形態
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。この実施形態では、第1ジオフェンス507aと第2ジオフェンス507bとの2つのジオフェンス507を設定して除霜を制御している。また、第2ジオフェンス507bに進入したことを記憶する進入記憶部586を備えている。
図14において、サーバ380は、進入記憶部586を備えている。進入記憶部586は、後述する第2ジオフェンス507b内に進入したことを示す情報である第2ジオフェンス進入履歴を記憶する機能を有している。
蒸発器15の除霜に関する車両2側の制御は、例えば図10に示す制御と同様の制御を採用可能である。蒸発器15の除霜に関するサーバ380側の制御の一例を以下に説明する。図15において、空調用通信装置360から送信された信号をサーバ380が受信して除霜に関する制御を開始すると、ステップS501で受信データを記憶し、ステップS502に進む。ステップS501は、取得ステップの一例を提供する。
ステップS502では、ジオフェンス507の設定を読み込む。ジオフェンス507は、第1ジオフェンス507aと第2ジオフェンス507bとを備えている。ジオフェンス507を設定した後、ステップS505に進む。ステップS502は、設定ステップの一例を提供する。
ジオフェンス507の設定について、以下に説明する。図16において、ジオフェンス507は、第1ジオフェンス507aと第2ジオフェンス507bとの2つの区画を備えている。第1ジオフェンス507aと第2ジオフェンス507bとは、互いに中心位置が等しく、半径が異なっている。第1ジオフェンス507aの半径は、第2ジオフェンス507bの半径よりも大きい。第1ジオフェンス507aの半径は、例えば2kmであり、第2ジオフェンス507bの半径は、例えば50mである。第2ジオフェンス507bは、第1ジオフェンス507aよりも内側に位置している。
第1ジオフェンス507aで囲まれた内側の領域が第1指定領域508aである。一方、第1ジオフェンス507aの外側の領域は、その他の領域である。第2ジオフェンス507bで囲まれた内側の領域が第2指定領域508bである。言い換えると、指定領域508は、第1指定領域508aと第2指定領域508bとの2つの領域を備えている。第2指定領域508bは、第1指定領域508aよりも狭い領域である。第1指定領域508aは、第2指定領域508bを含む領域である。
車両2が中心位置に立ち寄る場合、車両2は、第1ジオフェンス507a外から第1ジオフェンス507a内に進入してから第2ジオフェンス507b内に進入することになる。その後、中心位置での被冷却物の搬入出を行い、第2ジオフェンス507bを退出してから第1ジオフェンス507aを退出することとなる。
ステップS505では、車両2の現在位置が第1ジオフェンス507a内か否かを判定する。車両2の現在位置が第1ジオフェンス507a内であれば、除霜を許可すべきか否かにさらなる判定が必要と判断してステップS506に進む。一方、車両2の現在位置が第1ジオフェンス507a外であれば、除霜を行っても問題ないと判断してステップS509に進む。ステップS505は、判定ステップの一例を提供する。
ステップS506では、車両2の現在位置が第2ジオフェンス507b内か否かを判定する。車両2の現在位置が第2ジオフェンス507b内であれば、除霜をすべきではないと判断してステップS507に進む。一方、車両2の現在位置が第2ジオフェンス507b外であれば、除霜を許可すべきか否かにさらなる判定が必要と判断してステップS508に進む。ステップS506は、判定ステップの一例を提供する。
ステップS507では、第2ジオフェンス507b内に車両2が進入したことを記憶する。第2ジオフェンス進入履歴には、第2ジオフェンス507b内に車両2が進入した日時の情報が含まれている。第2ジオフェンス507b内に車両2が進入したことを記憶した後、ステップS511に進む。
ステップS508では、第2ジオフェンス507b内に車両2が進入した履歴があるか否かを判定する。車両2の現在位置が第1ジオフェンス507a内であっても、第2ジオフェンス507b内から退出してきた場合には、ジオフェンス507の中心位置での被冷却物の搬入出が完了した後の状態であると推測できる。このため、しばらく保冷庫ドア3dが開放される可能性が低い状態であると考えられる。したがって、第1ジオフェンス507a外に退出するのを待たずに、除霜を許可してもよいと判断できる。第2ジオフェンス507bに進入した履歴があれば、第2ジオフェンス507b内から退出した結果、現在位置が第1ジオフェンス507a内であると判断してステップS521に進む。
一方、車両2の現在位置が第1ジオフェンス507a内であって、第1ジオフェンス507a外から進入してきた場合には、ジオフェンス507の中心位置での被冷却物の搬入出を行う前の状態であると推測できる。このため、保冷庫ドア3dが開放される可能性が高い状態であると考えられる。したがって、除霜を許可すべきではないと判断できる。よって、第2ジオフェンス507bに進入した履歴がなければ、第1ジオフェンス507a外から進入した結果、現在位置が第1ジオフェンス507a内であると判断してステップS511に進む。このように、車両2の現在位置が第1ジオフェンス507aと第2ジオフェンス507bとの間である場合には、第2ジオフェンス507bへの進入履歴の有無によって除霜を許可するか否かの判断が分かれることとなる。
ステップS509では、第2ジオフェンス507b内への車両2の進入履歴を削除する。これにより、次に第1ジオフェンス507a外から第1ジオフェンス507a内に進入した場合には、進入履歴が記憶されていない状態となる。第2ジオフェンス507b内への車両2の進入履歴を削除した後、ステップS521に進む。
ステップS511では、除霜装置20が除霜中か否かを判定する。除霜装置20が除霜中であれば、現在の除霜を停止すべきであると判断して、ステップS512に進む。一方、除霜装置20が除霜中でなければ、サーバ380側で信号を出力する必要がないと判断してステップS541に進む。
ステップS512では、除霜停止信号を出力する。言い換えると、現在の除霜を許可しない。より詳細には、信号出力部385から除霜停止信号を出力する。空調用通信装置360内の受信部362は、一定時間ごとに信号出力部385における信号の有無を確認して除霜停止信号を受信する。このため、空調用通信装置360内の受信部362に問い合わせた制御部70がホットガス弁22を閉じさせる信号である除霜停止信号を受信して、ホットガス弁22を閉じる。制御部70が除霜停止信号を受信する工程は、図10のステップS391に相当する。制御部70がホットガス弁22を閉じる工程は、図10のステップS134に相当する。信号出力部385は、空調用通信装置360内の受信部362が除霜停止信号を受信した後、信号出力部385に保持している除霜停止信号を削除する。除霜を不許可とした後、ステップS513に進む。ステップS512は、信号出力ステップを含む不許可ステップの一例を提供する。
ステップS513では、履歴記憶部484に除霜停止履歴を記憶する。除霜停止履歴には、除霜停止信号を出力した日時の情報が含まれている。履歴記憶部484に除霜停止履歴を記憶した後、ステップS541に進む。ステップS513は、履歴記憶ステップの一例を提供する。
ステップS521では、除霜停止信号を出力しない。言い換えると、現在の除霜を許可する。除霜を許可した後、ステップS522に進む。ステップS521は、許可ステップの一例を提供する。
ステップS522では、履歴記憶部484に除霜停止履歴が記憶されているか否かを判定する。除霜停止履歴が記憶されている場合には、速やかに除霜を開始すべきと判断して、ステップS523に進む。一方、除霜停止履歴が記憶されていない場合には、除霜を開始する必要はないと判断して、ステップS541に進む。
ステップS523では、除霜装置20が除霜中か否かを判定する。除霜装置20が除霜中であれば、サーバ380側で信号を出力する必要がないと判断して、ステップS532に進む。一方、除霜装置20が除霜中でなければ、サーバ380側で信号を出力する必要があると判断して、ステップS531に進む。
ステップS531では、信号出力部385が除霜開始信号を出力し、ステップS532に進む。空調用通信装置360内の受信部362は、一定時間ごとに信号出力部385における信号の有無を確認して除霜開始信号を受信する。このため、空調用通信装置360内の受信部362に問い合わせた制御部70が除霜開始信号を受信して、ホットガス弁22を開き、圧縮機11を駆動する。制御部70がホットガス弁22を開き、圧縮機11を駆動する工程は、図10のステップS131に相当する。信号出力部385は、空調用通信装置360内の受信部362が除霜開始信号を受信した後、信号出力部385に保持している除霜開始信号を削除する。ステップS531は、信号出力ステップの一例を提供する。ステップS532では、除霜停止履歴を削除する。除霜停止履歴を削除した後、ステップS541に進む。ステップS532は、履歴削除ステップの一例を提供する。
ステップS541では、除霜装置20の状態をWEBブラウザ391に表示する。その後、蒸発器15の除霜に関する制御を含むサーバ380側の空調制御を終了する。ただし、車両2側からの信号を受信することで、サーバ380側での除霜に関する制御フローが再び開始される。このため、サーバ380側では、車両2側からの信号を受信するたびに除霜に関する一連の制御フローが繰り返されることとなる。
上述した実施形態によると、サーバ380を含む制御部70は、車両2が第2ジオフェンス507b内から第2ジオフェンス507b外に退出した後は、車両2の現在位置が第1ジオフェンス507a内であっても除霜を許可する。このため、第1ジオフェンス507aを退出するまで除霜を許可しない構成に比べて、素早く除霜を許可できる。したがって、除霜が必要な場合であっても除霜が許可されず、熱交換効率の悪化した状態で冷却運転が継続されてしまうことを抑制しやすい。言い換えると、蒸発器15の熱交換効率が良好な状態を長く確保しやすい。
空調装置10の空調制御方法は、車両2が第2ジオフェンス507b内から第2ジオフェンス507b外に退出した後は、車両2の現在位置が第1ジオフェンス507a内であっても除霜を許可する許可ステップを備えている。このため、第1ジオフェンス507aを退出するまで除霜を許可しない構成に比べて、素早く除霜を許可できる。したがって、除霜が必要な場合であっても除霜が許可されず、熱交換効率の悪化した状態で冷却運転が継続されてしまうことを抑制しやすい。言い換えると、蒸発器15の熱交換効率が良好な状態を長く確保しやすい。
第6実施形態
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。この実施形態では、ジオフェンス7内における保冷庫ドア3dの開閉に基づいて除霜を制御する。
図17において、サーバ380は、開閉記憶部687を備えている。開閉記憶部687は、ジオフェンス7内で保冷庫ドア3dが開いてから閉じた際に、閉じたタイミングの時刻であるドア閉時刻を記憶している。ここで、ドア閉時刻は、ジオフェンス7内での保冷庫ドア3dの閉時刻である。このため、ジオフェンス7外で保冷庫ドア3dを開いてから閉じた時刻は閉時刻に含まれない。また、ドア閉時刻は、保冷庫ドア3dが開いてから閉じたタイミングの時刻である。このため、ジオフェンス7内に車両2が進入してから保冷庫ドア3dの閉状態が維持されている場合には、ドア閉時刻が存在しないこととなる。
開閉記憶部687は、ドア閉時刻を記憶した状態で、日時の新しいドア閉時刻を取得すると、古いドア閉時刻を記憶した状態で、新たなドア閉時刻を追加して記憶する。言い換えると、ジオフェンス7内で保冷庫ドア3dが複数回開閉された場合には、複数回のドア閉時刻が開閉記憶部687に記憶される。ただし、ドア閉時刻を記憶した状態で、日時の新しいドア閉時刻を取得した場合に、古いドア閉時刻を新たなドア閉時刻で更新して記憶してもよい。言い換えると、ジオフェンス7内で保冷庫ドア3dが複数回開閉された場合には、直近のドア閉時刻のみが開閉記憶部687に記憶されるようにしてもよい。
蒸発器15の除霜に関する車両2側の制御は、例えば図10に示す制御と同様の制御を採用可能である。蒸発器15の除霜に関するサーバ380側の制御の一例を以下に説明する。図18において、空調用通信装置360から送信された信号をサーバ380が受信して除霜に関する制御を開始すると、ステップS601で受信データを記憶する。受信データには、車両2の現在位置の情報が含まれている。受信データには、ドア閉時刻の情報が含まれている。受信データを記憶した後、ステップS602に進む。ステップS601は、取得ステップの一例を提供する。ステップS601は、ドア閉時刻取得ステップの一例を提供する。
ステップS602では、ジオフェンス7の設定を読み込む。ジオフェンス7を設定した後、ステップS605に進む。ステップS602は、設定ステップの一例を提供する。
ステップS605では、車両2の現在位置がジオフェンス7内か否かを判定する。車両2の現在位置がジオフェンス7内であれば、除霜を許可すべきか否かにさらなる判定が必要と判断してステップS606に進む。一方、車両2の現在位置がジオフェンス7外であれば、除霜を行っても問題ないと判断してステップS609に進む。ステップS605は、判定ステップの一例を提供する。
ステップS606では、ジオフェンス7内での直近のドア閉時刻から所定時間が経過しているか否かを判定する。所定時間は、例えば10分である。直近のドア閉時刻から所定時間が経過していなければ、除霜を許可すべきではないと判断してステップS611に進む。一方、直近のドア閉時刻から所定時間が経過していれば、再び保冷庫ドア3dが開放される可能性が低く、除霜を許可すべきであると判断してステップS621に進む。ステップS606は、判定ステップの一例を提供する。
ステップS611では、除霜装置20が除霜中か否かを判定する。除霜装置20が除霜中であれば、現在の除霜を停止すべきであると判断して、ステップS612に進む。一方、除霜装置20が除霜中でなければ、サーバ380側で信号を出力する必要がないと判断してステップS641に進む。
ステップS612では、除霜停止信号を出力する。言い換えると、現在の除霜を許可しない。より詳細には、信号出力部385から除霜停止信号を出力する。空調用通信装置360内の受信部362は、一定時間ごとに信号出力部385における信号の有無を確認して除霜停止信号を受信する。このため、空調用通信装置360内の受信部362に問い合わせた制御部70がホットガス弁22を閉じさせる信号である除霜停止信号を受信して、ホットガス弁22を閉じる。制御部70が除霜停止信号を受信する工程は、図10のステップS391に相当する。制御部70がホットガス弁22を閉じる工程は、図10のステップS134に相当する。信号出力部385は、空調用通信装置360内の受信部362が除霜停止信号を受信した後、信号出力部385に保持している除霜停止信号を削除する。除霜を不許可とした後、ステップS613に進む。ステップS612は、信号出力ステップを含む不許可ステップの一例を提供する。
ステップS613では、履歴記憶部484に除霜停止履歴を記憶する。除霜停止履歴には、除霜停止信号を出力した日時の情報が含まれている。履歴記憶部484に除霜停止履歴を記憶した後、ステップS641に進む。ステップS613は、履歴記憶ステップの一例を提供する。
ステップS609では、開閉記憶部687に記憶されているドア閉時刻を削除する。これにより、次にジオフェンス7内に進入した場合には、ドア閉時刻が記憶されていない状態となる。ドア閉時刻を削除した後、ステップS621に進む。
ステップS621では、除霜装置20による除霜を許可する。車両2の現在位置がジオフェンス7内であっても、ドア閉時刻から所定時間が経過している場合には、ジオフェンス7の中心位置での被冷却物の搬入出が完了した後の状態であると推測できる。このため、しばらく保冷庫ドア3dが開放される可能性が低い状態であると考えられる。したがって、ジオフェンス7外に退出するのを待たずに、除霜を許可してもよいと判断できる。除霜を許可した後、ステップS622に進む。ステップS621は、許可ステップの一例を提供する。
ステップS622では、履歴記憶部484に除霜停止履歴が記憶されているか否かを判定する。除霜停止履歴が記憶されている場合には、速やかに除霜を開始すべきと判断して、ステップS623に進む。一方、除霜停止履歴が記憶されていない場合には、除霜を開始する必要はないと判断して、ステップS641に進む。
ステップS623では、除霜装置20が除霜中か否かを判定する。除霜装置20が除霜中であれば、サーバ380側で信号を出力する必要がないと判断して、ステップS632に進む。一方、除霜装置20が除霜中でなければ、サーバ380側で信号を出力する必要があると判断して、ステップS631に進む。
ステップS631では、信号出力部385が除霜開始信号を出力し、ステップS632に進む。空調用通信装置360内の受信部362は、一定時間ごとに信号出力部385における信号の有無を確認して除霜開始信号を受信する。このため、空調用通信装置360内の受信部362に問い合わせた制御部70が除霜開始信号を受信して、ホットガス弁22を開き、圧縮機11を駆動する。制御部70がホットガス弁22を開き、圧縮機11を駆動する工程は、図10のステップS131に相当する。信号出力部385は、空調用通信装置360内の受信部362が除霜開始信号を受信した後、信号出力部385に保持している除霜開始信号を削除する。ステップS631は、信号出力ステップの一例を提供する。ステップS632では、除霜停止履歴を削除する。除霜停止履歴を削除した後、ステップS641に進む。ステップS632は、履歴削除ステップの一例を提供する。
ステップS641では、除霜装置20の状態をWEBブラウザ391に表示する。その後、蒸発器15の除霜に関する制御を含むサーバ380側の空調制御を終了する。ただし、車両2側からの信号を受信することで、サーバ380側での除霜に関する制御フローが再び開始される。このため、サーバ380側では、車両2側からの信号を受信するたびに除霜に関する一連の制御フローが繰り返されることとなる。
上述した実施形態によると、サーバ380を含む制御部70は、ドア閉時刻から現在時刻までの経過時間が所定時間以上である場合には、車両2の現在位置がジオフェンス7内であっても除霜を許可する。このため、ジオフェンス7を退出するまで除霜を許可しない構成に比べて、素早く除霜を許可できる。したがって、除霜が必要な場合であっても除霜が許可されず、熱交換効率の悪化した状態で冷却運転が継続されてしまうことを抑制しやすい。言い換えると、蒸発器15の熱交換効率が良好な状態を長く確保しやすい。
空調装置10の空調制御方法は、ドア閉時刻から現在時刻までの経過時間が所定時間以上である場合には、ジオフェンス7内であっても除霜を許可する許可ステップを備えている。このため、ジオフェンス7を退出するまで除霜を許可しない構成に比べて、素早く除霜を許可できる。したがって、除霜が必要な場合であっても除霜が許可されず、熱交換効率の悪化した状態で冷却運転が継続されてしまうことを抑制しやすい。言い換えると、蒸発器15の熱交換効率が良好な状態を長く確保しやすい。
第7実施形態
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。この実施形態では、現在位置に基づいて算出される到着予想時間が除霜不許可時間よりも短いか否かで除霜を許可するか否かを判定する。
蒸発器15の除霜に関する車両2側の制御は、例えば図10に示す制御と同様の制御を採用可能である。また、この実施形態における空調システム1全体のブロック構成は、例えば図9に示す構成と同様の構成を採用可能である。蒸発器15の除霜に関するサーバ380側の制御の一例を以下に説明する。図19において、空調用通信装置360から送信された信号をサーバ380が受信して除霜に関する制御を開始すると、ステップS701で受信データを記憶する。受信データには、例えば車両2の緯度や経度や高度といった現在位置の情報が含まれる。受信データには、例えば車両2の速度の情報が含まれてもよい。受信データを記憶した後、ステップS702に進む。ステップS701は、取得ステップの一例を提供する。
ステップS702では、除霜不許可時間の設定を読み込む。除霜不許可時間とは、被冷却物を搬入出することが予想される地点である目的地の到着時刻からさかのぼって除霜を許可しない時間のことである。除霜不許可時間を10分に設定した場合、次に目的地に到着することが予想される時刻の10分前から除霜を許可しない状態となる。除霜不許可時間を設定した後、ステップS703に進む。ステップS702は、設定ステップの一例を提供する。
ステップS703では、車両2の現在位置に基づいて、到着予想時間を算出する。到着予想時間とは、現在位置から目的地に到着するまでにかかると予想される時間である。到着予想時間は、現在位置から目的地までの距離と、車両2の速度から算出することができる。到着予想時間の算出に当たっては、渋滞状況などを考慮してもよい。また、到着予想時間を算出する代わりに、到着予想時間を車両2に搭載されているナビゲーション装置から取得してもよい。到着予想時間を算出した後、ステップS703に進む。ステップS703は、取得ステップの一例を提供する。
ステップS705では、ステップS703で算出した到着予想時間が、ステップS702で読み込んだ除霜不許可時間よりも短いか否かを判定する。到着予想時間が除霜不許可時間よりも短ければ、除霜による庫内温度の上昇と保冷庫ドア3dの開放による庫内温度の上昇とが重なる可能性が高いと判断できる。このため、到着予想時間が除霜不許可時間よりも短ければ、除霜をすべきではないと判断してステップS311に進む。一方、到着予想時間が除霜不許可時間よりも長ければ、除霜による庫内温度の上昇と保冷庫ドア3dの開放による庫内温度の上昇とが重なる可能性が低いと判断できる。このため、到着予想時間が除霜不許可時間よりも長ければ、除霜を行っても問題ないと判断してステップS321に進む。ステップS705は、判定ステップの一例を提供する。ステップS311以降、およびステップS321以降のフローは、上述の実施形態と同様である。
上述した実施形態によると、制御部70は、到着予想時間が除霜不許可時間よりも長い場合には除霜装置20による除霜を許可する。一方、到着予想時間が除霜不許可時間よりも短い場合には除霜装置20による除霜を許可しない。このため、あらかじめ予想されている保冷庫ドア3dを開放するタイミングでの除霜を抑制できる。したがって、保冷庫ドア3dの開放のタイミングと、蒸発器15が除霜中で冷却できないタイミングが重なることを抑制しやすい。よって、保冷庫3の庫内温度が設定温度から大きく乖離することを抑制した空調システム1を提供できる。
空調装置10の空調制御方法は、到着予想時間が除霜不許可時間よりも短い場合に、除霜装置20による除霜を許可しない不許可ステップを備えている。このため、あらかじめ予想されている保冷庫ドア3dを開放するタイミングでの除霜を抑制できる。したがって、保冷庫ドア3dの開放のタイミングと、蒸発器15が除霜中で冷却できないタイミングが重なることを抑制しやすい。よって、保冷庫3の庫内温度が設定温度から大きく乖離することを抑制した空調制御方法を提供できる。
現在位置と目的地との距離に基づいて算出される到着予想時間から、除霜を許可するか否かを判定している。このため、高速道路の使用の有無や渋滞状況などの情報を含んで到着予想時間を算出することで、より正確に除霜を許可すべきか否かを判定できる。
到着予想時間から除霜を許可するか否かを判定している。このため、目的地に到着して次の目的地を設定した後は、速やかに除霜が許可されている状況を実現しやすい。したがって、除霜が許可されている時間を長く確保して、蒸発器15の熱交換効率が良好な状態を長く確保しやすい。
到着予想時間ではなく、到着予想時刻を算出して、除霜不許可時刻を設定してもよい。例えば、目的地への到着予想時刻が11時30分である場合、除霜不許可時刻を到着予想時刻の10分前である11時20分に設定できる。この場合、現在時刻が11時20分以降であれば、目的地に到着するまでの間、除霜を不許可とすることとなる。
第8実施形態
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。この実施形態では、現在位置を推定可能な情報である車両状態が除霜不許可状態を満たすか否かで除霜を許可するか否かを判定する。
蒸発器15の除霜に関する車両2側の制御は、例えば図10に示す制御と同様の制御を採用可能である。また、この実施形態における空調システム1全体のブロック構成は、例えば図9に示す構成と同様の構成を採用可能である。蒸発器15の除霜に関するサーバ380側の制御の一例を以下に説明する。図20において、空調用通信装置360から送信された信号をサーバ380が受信して除霜に関する制御を開始すると、ステップS801で受信データを記憶する。受信データには、例えば保冷庫ドア3dの開閉を示す情報が含まれる。受信データには、例えば車両2がイグニッション状態とアクセサリ状態とオフ状態とのいずれの状態にあるかを示す車両状態の情報が含まれる。受信データを記憶した後、ステップS802に進む。ステップS801は、取得ステップの一例を提供する。
ステップS802では、除霜不許可時間の設定を読み込む。除霜不許可状態とは、被冷却物を搬入出していることが予想される車両状態のことである。除霜不許可状態の一例は、保冷庫ドア3dの開状態である。これは、被冷却物の搬入出以外の場面では、保冷庫ドア3dを開放することがないと予想されることによる。言い換えると、保冷庫ドア3dが開状態であることから、車両2の現在位置が被冷却物の搬入出を行ういずれかの位置であることが推定できる。
除霜不許可状態の他の一例は、キースイッチ56の操作による車両2のオフ状態である。これは、被冷却物の搬入出以外の場面では、車両2をオフ状態とすることがないと予想されることによる。言い換えると、車両2がオフ状態であることから、車両2の現在位置が被冷却物の搬入出を行ういずれかの位置であることが推定できる。キースイッチ56の操作による車両2のアクセサリ状態を除霜不許可状態に含めてもよい。除霜不許可状態を設定した後、ステップS802に進む。ステップS801は、設定ステップの一例を提供する。
ステップS805では、ステップS801で記憶した車両状態がステップS802で読み込んだ除霜不許可状態を満たすか否かを判定する。車両状態が除霜不許可状態を満たしていれば、除霜による庫内温度の上昇と保冷庫ドア3dの開放による庫内温度の上昇とが重なる可能性が高いと判断できる。このため、除霜をすべきではないと判断してステップS311に進み、除霜を不許可とする。一方、車両状態が除霜不許可状態を満たしていなければ、除霜による庫内温度の上昇と保冷庫ドア3dの開放による庫内温度の上昇とが重なる可能性が低いと判断できる。このため、除霜を行っても問題ないと判断してステップS321に進み、除霜を許可する。ステップS805は、判定ステップの一例を提供する。ステップS311以降、およびステップS321以降のフローは、上述の実施形態と同様である。
除霜不許可状態として保冷庫ドア3dの開状態を設定した場合、保冷庫ドア3dの閉状態では除霜を許可し、保冷庫ドア3dの開状態では除霜を許可しないこととなる。除霜不許可状態を複数設定してもよい。例えば、保冷庫ドア3dの開状態と、キースイッチ56の操作による車両2のオフ状態とを除霜不許可状態に設定できる。この場合、保冷庫ドア3dが閉状態、かつ、車両2がオン状態の場合には除霜を許可する。一方、保冷庫ドア3dが開状態、または、車両2がオフ状態の場合には除霜を許可しない。
上述した実施形態によると、制御部70は、車両状態が除霜不許可状態を満たさない場合には除霜装置20による除霜を許可する。一方、車両状態が除霜不許可状態を満たす場合には除霜装置20による除霜を許可しない。このため、被冷却物の搬入出を行うタイミングでの除霜を抑制できる。したがって、保冷庫ドア3dの開放のタイミングと、蒸発器15が除霜中で冷却できないタイミングが長時間にわたって重なることを抑制しやすい。よって、保冷庫3の庫内温度が設定温度から大きく乖離することを抑制した空調システム1を提供できる。
空調装置10の空調制御方法は、車両状態が除霜不許可状態を満たす場合に、除霜装置20による除霜を許可しない不許可ステップを備えている。このため、被冷却物の搬入出を行うタイミングでの除霜を抑制できる。したがって、保冷庫ドア3dの開放のタイミングと、蒸発器15が除霜中で冷却できないタイミングが長時間にわたって重なることを抑制しやすい。よって、保冷庫3の庫内温度が設定温度から大きく乖離することを抑制した空調制御方法を提供できる。
車両状態から除霜を許可するか否かを判定している。このため、保冷庫ドア3dが開かれる、あるいは、キースイッチ56の操作によって車両2が走行不可能なオフ状態になるなど、車両状態から車両2の現在位置が被冷却物の搬入出を行う可能性のある位置か否かを推定できる。したがって、車両状態から車両2の現在位置が被冷却物の搬入出を行う可能性のない位置であると判断した後は、速やかに除霜を許可しやすい。したがって、除霜が許可されている時間を長く確保して、蒸発器15の熱交換効率が良好な状態を長く確保しやすい。
他の実施形態
この明細書および図面等における開示は、例示された実施形態に制限されない。開示は、例示された実施形態と、それらに基づく当業者による変形態様を包含する。例えば、開示は、実施形態において示された部品および/または要素の組み合わせに限定されない。開示は、多様な組み合わせによって実施可能である。開示は、実施形態に追加可能な追加的な部分をもつことができる。開示は、実施形態の部品および/または要素が省略されたものを包含する。開示は、1つの実施形態と他の実施形態との間における部品および/または要素の置き換え、または組み合わせを包含する。開示される技術的範囲は、実施形態の記載に限定されない。開示されるいくつかの技術的範囲は、請求の範囲の記載によって示され、さらに請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内での全ての変更を含むものと解されるべきである。
明細書および図面等における開示は、請求の範囲の記載によって限定されない。明細書および図面等における開示は、請求の範囲に記載された技術的思想を包含し、さらに請求の範囲に記載された技術的思想より多様で広範な技術的思想に及んでいる。よって、請求の範囲の記載に拘束されることなく、明細書および図面等の開示から、多様な技術的思想を抽出することができる。
本開示に記載の制御部およびその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された1つないしは複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサを構成する専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の装置およびその手法は、専用ハードウェア論理回路により、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の装置およびその手法は、コンピュータプログラムを実行するプロセッサと1つ以上のハードウェア論理回路との組み合わせにより構成された1つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。