以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。尚、以下において参照する各図面では互いに共通する部材に同一符号を付しており、それらについての重複する説明は省略する。
図1は、本発明の一実施形態である支持装置1を用いた天井吊り下げ物100の支持構造を示す斜視図であり、図2は、その側面図である。図1に示すXYZ三次元座標系は、XY平面を水平面とし、Z方向を鉛直方向とする座標系であり、図2を含む他の図においても共通する座標系である。本実施形態の支持装置1は、天井吊り下げ物100を天井空間に吊り下げた状態で支持する装置である。本実施形態では、天井吊り下げ物100として、隠蔽式の空気調和機110を例示する。隠蔽式の空気調和機110は、天井スラブなどの天井構造と天井パネルとの間の天井空間に隠蔽された状態で設置される空気調和機である。
空気調和機110は、内部に熱交換器が設けられた平面視略矩形状の箱形ユニットであり、空気調和機本体120と、フィルタユニット130と、吹出ユニット140と、吸気ユニット150とがY方向に沿って直列に組み付けられる構成である。具体的に説明すると、空気調和機本体120の吸気側(後方側)にはフィルタユニット130が接続され、フィルタユニット130は空気調和機本体120と一体構造となる。尚、空気調和機本体120は、予めフィルタユニット130が一体形成されたものであっても構わない。また、フィルタユニット130の更に吸気側(後方側)には、吸気ユニット150が接続される。また、空気調和機本体120の吹出側(前方側)には吹出ユニット140が接続される。つまり、この空気調和機110は、後方側に設けられている吸気ユニット150から空気を吸い込み、空気調和機本体120の内部の熱交換機で熱交換を行ってから前方側に設けられている吹出ユニット140から熱交換された空気を吹き出すように構成される。ただし、フィルタユニット130の吸気側には、吸気ユニット150が接続されないこともある。その場合、空気調和機110は、フィルタユニット130から空気を吸い込み、空気調和機本体120の内部の熱交換機で熱交換を行ってから前方側に設けられている吹出ユニット140から熱交換された空気を吹き出す。尚、吹出ユニット140の吹出口には、図示を省略する送風ダクトなどが接続される。
空気調和機本体120の内部には上述した熱交換機やファンなどが設けられる。そのため、空気調和機110における空気調和機本体120の重量割合が大きい。そこで空気調和機本体120の左側面には、前後方向両端の下部近傍位置に、吊りボルトなどのボルト部材9の下端部を接続するための一対の取付片121,121が設けられている。また、空気調和機本体120の右側面にも、同様に、前後方向両端の下部近傍位置に、図示を省略する一対の取付片121,121が設けられている。例えば、空気調和機本体120の左右両側面に設けられる一対の取付片121,121は、空気調和機本体120の前後方向(Y方向)において互いに同じ位置に設けられる。
本実施形態の支持装置1は、上記のような概略箱形形状を成す空気調和機110の外面に対して装着固定される。以下、支持装置1の詳細について説明する。
図1に示すように、支持装置1は、空気調和機110の天井吊り下げ物の上面を左右方向(X方向)に横断するように配置される一対の第1フレーム部材10と、第1フレーム部材10の上方位置において空気調和機110の上面を前後方向(Y方向)に横断するように配置される一対の第2フレーム部材20と、第1フレーム部材10及び第2フレーム部材20が互いに直交した状態で、且つ、第1フレーム部材10及び第2フレーム部材20を互いに上下方向に所定間隔を隔てた状態となるように第1フレーム部材10と第2フレーム部材20とを相互に連結するフレーム連結部材30と、下端部が第2フレーム部材20に連結され、上端部が天井構造に接続される吊りボルト40と、吊りボルト40の上端部に予め取り付けられる天井取付金具50と、を備えている。
一対の第1フレーム部材10は、その左右両端部が空気調和機本体120の左右両側面において取付片121の上方位置となるように設置される。そのため、一対の第1フレーム部材10は、Y方向に所定間隔を隔てて互いに平行な状態で空気調和機本体120の上面に配置される。
図3は、第1フレーム部材10の一構成例を示す図である。第1フレーム部材10は、例えば断面L型のアングル鋼材(山形鋼)によって構成され、平板部11と縦板部12とを有している。
平板部11の左右両端部には、空気調和機本体120の取付片121に取り付けられるボルト部材9の上端部を取り付けるための取付部13が設けられる。例えば、取付部13は、例えばボルト部材9を挿通可能な孔として形成される。尚、取付部13は、空気調和機本体120の様々な幅寸法に適合させるため、ボルト部材9を挿通可能な孔を複数箇所に形成したものであっても構わない。また、取付部13は、丸孔ではなく、第1フレーム部材10の長手方向に沿って形成した長孔として形成し、長孔の任意の位置にボルト部材9を固定できるようにしても良い。
また縦板部12の左右両端部には、フレーム連結部材30や連結ボルト15を取り付けるための取付部14が設けられる。例えば、取付部14は、フレーム連結部材30を取り付けるためのボルトや、後述する連結ボルト15を挿通可能な複数の孔14aによって構成され、それら複数の孔14aが第1フレーム部材10の長手方向(X方向)に沿って所定間隔で形成されたものである。取付部14として複数の孔14aを第1フレーム部材10の長手方向に沿って設けることにより、第1フレーム部材10に対して第2フレーム部材20を連結する位置を第1フレーム部材10の長手方向に沿って調整することができる。例えば、空気調和機本体120の左右両側面に設けられている取付片121,121の上方位置に、配管やダクトなどの障害物が存在する場合、第1フレーム部材10に対してフレーム連結部材30を取り付ける位置をX方向に調整することで、上方の障害物を避けた位置に第2フレーム部材20を取り付けることが可能である。尚、取付部14は、第1フレーム部材10の長手方向に沿って形成した長孔として形成されるものであっても構わない。
このような第1フレーム部材10は、平板部11の左右両端部に設けられた取付部13に対してボルト部材9の上端部が接続される。すなわち、ボルト部材9は、その下端部が空気調和機本体120の左右両側面に設けられている取付片121に取り付けられ、その上端部が第1フレーム部材10の左右両端部に設けられた取付部13に接続される。具体的には、取付部13から上方に突出するボルト部材9の上端部に対してナットを装着し、そのナットを締め付けることにより、第1フレーム部材10は、平板部11の下面側を空気調和機本体120の上面に押し付けた状態で固定される。ボルト部材9の上端部に装着したナットを一定のトルクで締め付けることにより、第1フレーム部材10は、ボルト部材9からの軸力を受ける。この軸力は、第1フレーム部材10が空気調和機本体120の上面を押し付ける力として作用する。そのため、第1フレーム部材10は、ボルト部材9の上端部に装着されるナットが平板部11に対して一定のトルクで締着されることにより、空気調和機本体120の上面に接触した状態で固定されるのである。これにより、ボルト部材9の下部と上部の双方を空気調和機本体120の側面において固定することが可能であり、ボルト部材9の振れ止め効果を発揮する。
また、一対の第1フレーム部材10は、空気調和機110の前後方向(Y方向)に沿って配置される連結ボルト15によって相互に連結され、所定間隔を隔てた平行な状態を保持するように一体化される。例えば図1に示すように、連結ボルト15は、一対の第1フレーム部材10の左右両端部に対して1本ずつ接続される。
図1及び図2に示すように、一対の第1フレーム部材10を相互に連結する連結ボルト15は、一対の第1フレーム部材10の配置間隔よりも長く、フィルタユニット130が装着された空気調和機本体120の前後方向(Y方向)の長さと略同一又はそれよりも若干長い寸法を有している。つまり、連結ボルト15の両端は、フィルタユニット130が装着された空気調和機本体120の前後方向両端近傍位置まで延設される。そして、連結ボルト15の両端部には、空気調和機本体120の前面側及び後面側に係合する係合部材17が装着される。係合部材17は、例えば金属プレートに連結ボルト15を挿通可能な孔を設けた部材であり、金属プレートに設けた孔に連結ボルト15を挿通した状態で金属プレートの前後両側をナットで締め付けることにより、連結ボルト15に対する取付位置を固定することができる。この係合部材17は、空気調和機本体120の前面及び後面のそれぞれに係合することにより、第1フレーム部材10が空気調和機本体120の上面において前後方向(Y方向)に変位することを抑制することができる。そのため、仮に大規模地震が発生した場合であっても、第1フレーム部材10は、空気調和機本体120の上面において前後方向に相対振動することがないように固定される。
尚、本実施形態では、空気調和機本体120の左右両側面において下部近傍位置に一対の取付片121,121が設けられている。そのため、ボルト部材9は上下方向に所定値以上の長さを有することから、上述のように連結ボルト15によって一対の第1フレーム部材10を相互に連結しておくことが好ましい。これに対し、空気調和機本体120の左右両則面に設けられる一対の取付片121が空気調和機本体120の上部近傍位置に設けられることもある。そのような場合、ボルト部材9の上下方向の長さは所定値未満となる。ボルト部材9の長さが所定値未満となると、連結ボルト15を用いない場合であっても、第1フレーム部材10は前後方向に変位しない状態に固定される。そのため、一対の取付片121,121が空気調和機本体120の上部近傍位置にある場合には、連結ボルト15を用いて一対の第1フレーム部材10を相互に連結しない構成を採用しても良い。
第2フレーム部材20は、フレーム連結部材30によって第1フレーム部材10に連結され、第1フレーム部材10と直交する状態で空気調和機110の上方位置に設置される。この第2フレーム部材20は、その両端部が空気調和機110の前後方向(Y方向)の両端近傍位置まで延設される。すなわち、第2フレーム部材20の前方側端部は、吹出ユニット140の前方側端面よりも長くなるように延設され、後方側端部は、吸気ユニット150の後方側端面よりも長くなるように延設される。尚、空気調和機本体120に対して吸気ユニット150が装着されていない場合、第2フレーム部材20の後方側端部は、フィルタユニット130の後方側端面と同程度まで延設されたものであれば良い。
また一対の第2フレーム部材20は、互いに所定間隔を隔てて互いに平行な状態となるように設置される。例えば、一対の第2フレーム部材20の間隔は、天井構造に予め取り付けられるアンカーボルトなどの複数のボルト部材のX方向の設置間隔と略一致するように設置される。
図4は、第2フレーム部材20の一構成例を示す図である。第2フレーム部材20は、第1フレーム部材10と同様、例えば断面L型のアングル鋼材によって構成され、平板部と縦板部とを有している。第2フレーム部材20は、例えば、支持フレーム23と、その支持フレーム23の前後方向両端部のそれぞれに連結される補助フレーム21,22とを備えて構成される。
支持フレーム23は、フレーム連結部材30によって第1フレーム部材10に連結されるL型のフレーム部材である。この支持フレーム23の前後方向両端部には、補助フレーム21,22を連結するための連結部20a,20bが設けられている。例えば、連結部20a,20bは、支持フレーム23と補助フレーム21,22とを相互に固定するためのボルト24を挿通可能な孔として形成される。
また支持フレーム23の平板部の所定位置には、フレーム連結部材30を取り付けるための取付部26と、吊りボルト40を取り付けるための取付部27とが設けられる。これら取付部26,27は、例えばボルトを挿通可能な孔として形成される。尚、支持フレーム23の平板部には、取付部26,27となる孔を、第2フレーム部材20の長手方向(Y方向)に沿って所定間隔で複数箇所に設けるようにしても良い。平板部の複数箇所に取付部26,27を設けることにより、第2フレーム部材20に対する吊りボルト40の取付位置や、第1フレーム部材10に対する連結位置を適宜調整することが可能となる。そのため、天井空間に存在する配管やダクトなどの障害物を避けた位置に第2フレーム部材20を取り付けることが可能であり、更には障害物を避けた位置に吊りボルト40を取り付けることが可能となる。
また、取付部26,27を複数箇所に設けることにより、天井構造にデッキプレートが配置されている場合であっても、デッキプレートの山部の位置に適合するように吊りボルト40を取り付けることができるようになる。そのため、従来のように高所作業を行ってデッキプレートに支持構造350(図14参照)を設置する必要がなく、作業効率が向上する。
尚、取付部26,27は、ボルトを挿通可能な丸孔として設けるものに限られず、例えば第2フレーム部材20の長手方向に長孔として形成されたものであっても構わない。また、取付部26,27を丸孔として設ける場合は、電動ドリルなどを用いれば施工現場でも簡単に穿孔形成することが可能であるため、工場出荷時には取付部26,27としての丸孔をそれぞれ1つずつ設けたものであっても構わない。
補助フレーム21は、支持フレーム23の前方側端部に接続されるL型のフレームである。補助フレーム21の一方の端部には、支持フレーム23を連結するための連結部21aが設けられている。例えば、連結部21aは、支持フレーム23と補助フレーム21とを相互に固定するためのボルト24を挿通可能な孔として形成される。また、補助フレーム21の他方の端部には、吹出ユニット140の前方端部を吊り下げ支持するボルト29を取り付けるための取付部21bが設けられる。例えば、取付部21bは、ボルト29を挿通可能な孔として形成される。
補助フレーム22は、支持フレーム23の後方側端部に接続されるL型のフレームである。補助フレーム22の一方の端部には、支持フレーム23を連結するための連結部22aが設けられている。例えば、連結部22aは、支持フレーム23と補助フレーム22とを相互に固定するためのボルト24を挿通可能な孔として形成される。また、補助フレーム22の他方の端部には、吸気ユニット150の後方端部を吊り下げ支持するボルト29を取り付けるための取付部22bが設けられる。例えば、取付部22bは、ボルト29を挿通可能な孔として形成される。
吹出ユニット140や吸気ユニット150は、外形サイズが統一されていないため、補助フレーム21,22に設けられる取付部21b,22bは、様々なサイズに適合できるようにするため、複数箇所に設けておくようにしても良い。また、補助フレーム21,22は、支持フレーム23の長手方向にスライド可能とし、第2フレーム部材20の前後方向両端側に延設する長さを調整できるようにしても構わない。
第2フレーム部材20は、支持フレーム23の両端部に対して補助フレーム21,22を、ボルト24とナット25とを用いて連結することにより構成される。このように第2フレーム部材20を、複数のフレーム部材で構成することにより、支持装置1を施工現場へ搬送するときには第2フレーム部材20を分解した状態で搬送することができるため、搬送効率に優れている。ただし、第2フレーム部材20は、必ずしも複数のフレーム部材によって構成されるものに限定されず、1本のフレーム部材によって構成されるものであっても構わない。
また、上記のような第2フレーム部材20は、取付部26に対してフレーム連結部材30が取付られることにより、図1に示すように、空気調和機110の上面から所定高さの位置に設置される。そして第2フレーム部材20は、前後方向に延設された両端部の取付部21b,22bに対してボルト29が取り付けられ、そのボルト29によって吸気ユニット150の後方端部及び吹出ユニット140の前方端部を支持する。
例えば、吸気ユニット150の後方端部には、図1に示すように、ボルト29を取り付ける取付片153が設けられている。また、吹出ユニット140の前方端部にも、ボルト29を取り付けるための取付片143が設けられている。ボルト29の下部は、それら取付片153,143に挿通され、先端にナットが装着される。また、取付片153,143の下面と、ナットとの間には、ゴムなどの弾性部材によって構成される防振部材28が介挿される。そのため、空気調和機110の稼働中に発生する振動は、防振部材28によって吸収され、ボルト29に伝わることがなくなる。
尚、空気調和機110に吸気ユニット150が存在しない場合、第2フレーム部材20は、前方端部において吹出ユニット140だけを支持すれば良い。
次に図5は、フレーム連結部材30の一構成例を示す図である。図5(a)は、フレーム連結部材30を正面側から視た図であり、図5(b)は、フレーム連結部材30を背面側から視た図である。フレーム連結部材30は、第2フレーム部材20の取付部26に取り付けられる支持ボルト33と、第1フレーム部材10に接続され、第1フレーム部材10から立設する縦板部31と、縦板部31の上部に設けられ、支持ボルト33を挿通する孔34が形成された横板部32と、横板部32の孔34に装着され、支持ボルト33の下部に連結される防振部材35と、を備えている。
縦板部31の下部には、縦板部31を第1フレーム部材10の縦板部12に固定するためのボルト孔31aが設けられると共に、第1フレーム部材10の縦板部12の上端部に係合する係合部31bが設けられる。例えば、係合部31bは、上方に延びる縦板部31の左右両側に設けられており、第1フレーム部材10の上端部に係合する。そのため、縦板部31は、下部に設けられた係合部31bを第1フレーム部材10の縦板部12の上端部に係合させると共に、ボルト孔31aを第1フレーム部材10の縦板部12に設けられている取付部14の複数の孔14aのうちの一つの孔14aに適合させ、ボルトとナットを用いて締着することにより、第1フレーム部材10に固定される。このとき、係合部31bが第1フレーム部材10の縦板部12の上端部に係合しているため、ボルトとナットが締め付けられるときに縦板部31がボルトを中心に回転してしまうことがなく、鉛直姿勢を良好に保持することができる。尚、縦板部31の左右両側にリブを設けて強度を増したものを採用しても良い。
横板部32の孔34に装着される防振部材35は、横板部32に孔34に固定されるコイルバネ36と、コイルバネ36の下部に接合するワッシャー37と、支持ボルト33の下部に装着されるナット38とを備えて構成される。尚、ナット38は、支持ボルト33の頭部として支持ボルト33に一体的に設けられたものであっても構わない。コイルバネ36は、支持ボルト33の外周面に接触することがない状態に配置され、その下部がナット38(又は支持ボルト33の頭部)支持ボルト33によって支持される。つまり、支持ボルト33は、コイルバネ36を含む防振部材35を介して横板部32及び縦板部31に連結される。
支持ボルト33は、その上方に突出した部分が第2フレーム部材20の平板部に設けられている取付部26の孔に挿通される。支持ボルト33の上部には、2つのナット39a,39bが装着される。ナット39bは、第2フレーム部材20の平板部の下面側に配置されるナットである。またナット39aは、第2フレーム部材20の平板部の上面側に配置されるナットである。それら2つのナット39a,39bで第2フレーム部材20の平板部を挟み込むことにより、支持ボルト33は、第2フレーム部材20を所定高さ位置に支持することができる。
また、第2フレーム部材20の取付部27に取り付けられる吊りボルト40の下部にも上記と同様に2つのナットが装着される。吊りボルト40の下部は、それら2つのナットで第2フレーム部材20の平板部を挟み込むことにより、第2フレーム部材20に固定される。
このように支持装置1は、第1フレーム部材10と第2フレーム部材20とを相互に連結するフレーム連結部材30に、防振部材35が配置されている。そのため、空気調和機110の稼働中に発生する振動は、防振部材35によって吸収され、第2フレーム部材20に伝わることがなくなる。そのため、支持装置1が天井構造に設置されると、第2フレーム部材20が天井構造に対して固定され、第1フレーム部材10及び空気調和機110が防振部材35,28を介して第2フレーム部材20に支持された状態となる。
図6は、吊りボルト40の上端部に予め取り付けられる天井取付金具50の一構成例を示す図である。図6に示すように、天井取付金具50は、吊りボルト40の上端部に装着される金属製部材であり、概略コ字状の形態を有している。すなわち、天井取付金具50は、平板部51と、平板部51の両側において互いに平行な状態で立設する一対の側板部52とを有する。例えば、平板部51は長方形状に形成される。また、平板部51には、円形状の第1の孔54と、その第1の孔54に隣接し、平板部51の長手方向に沿って形成される長孔状の第2の孔55とが形成される。第1の孔54は、例えば吊りボルト40の上端部を挿通する孔であり、吊りボルト40の外径よりも若干大きい内径の孔である。第2の孔55は、天井構造に取り付けられるアンカーボルトやインサートに装着されるボルトなどのボルト部材を挿通するための孔であり、それらボルト部材の直径よりも若干大きい内幅の長孔である。
尚、上記とは反対に、第1の孔54に対して天井構造に取り付けられるアンカーボルトやインサートに装着されるボルトなどを挿通し、第2の孔55に対して吊りボルト40の上端部を挿通するようにしても良い。また、第1の孔54と第2の孔55は、必ずしも区分けした状態に形成する必要はないため、第1の孔54と第2の孔55とを連通させた長孔状の1つの取付孔を形成し、その1つの取付孔に対し、天井構造に取り付けられるボルト部材と吊りボルト40との双方を挿通するようにしても良い。
一対の側板部52は、平板部51の長手方向において中央部よりも両端部の高さが高くなっており、この両端部が天井スラブやデッキプレートなどの天井構造に対して当接する接合部53として形成される。側板部52の長手方向中央部が両端部の接合部53よりも低くなることにより、接合部53が天井構造に当接した状態であっても高さの低い中央部を窓として天井取付金具50の内側の状態を目視で確認することが可能であるという利点がある。また、デッキプレートが山部と谷部とを有する波形形状であり、且つ、山部の中央にインサート装着用の溝部が形成されている場合、側板部52の中央に高さの低い部分を設けておくことで、天井取付金具50をデッキプレートの溝部に干渉させることなく、接合部53をデッキプレートの下面に当接させた状態に設置することができるという利点もある。
このような天井取付金具50は、ロングナット58とナット59とを用いて吊りボルト40の上端部に取り付けられる。すなわち、吊りボルト40の上端部にまずロングナット58を装着し、ロングナット58の上端から吊りボルト40の先端を突出させた状態とし、その突出した先端を、天井取付金具50の第1の孔54に挿通してナット59を装着する。これにより、天井取付金具50が吊りボルト40の上端部に仮止めされた状態となる。ここで、一対の側板部52に設けられる接合部53の高さHは、少なくともナット59の高さ寸法以上であれば良い。ただし、天井取付金具50がインサートに装着されるボルトに取り付けられることを想定すれば、接合部53の高さHは、天井構造から下方に突出した状態となるインサートの高さ寸法よりも高くなるように予め設計しておくことが好ましい。
ロングナット58は、軸方向(鉛直方向)に所定長さを有しており、吊りボルト40の雄螺子と螺合する雌螺子を有している。天井取付金具50は、ロングナット58が吊りボルト40に取り付けられた状態で平板部51の下面がロングナット58の上面に支持される。天井取付金具50において吊りボルト40が挿通される第1の孔54は吊りボルト40の外径よりも若干大きいため、天井取付金具50は、第1の孔54に対して吊りボルト40が挿通された状態になると、吊りボルト40の軸回りに回動可能な状態となる。そして天井取付金具50が吊りボルト40から抜け落ちてしまうことを防止するために、吊りボルト40の先端にはナット59が取り付けられる。尚、ナット59は、吊りボルト40の先端から抜け落ちないようにするための緩み止め機能や抜け止め機能を有するものを用いることが好ましい。
上記のように天井取付金具50は、吊りボルト40の上端部に対し、ロングナット58とナット59とで平板部51が挟み込まれることによって取り付けられる。ロングナット58が天井取付金具50の下面に対してきつく締着されていない状態のとき、上述したように天井取付金具50は、吊りボルト40の軸回りに回動可能である。つまり、天井取付金具50は仮止め状態のとき、吊りボルト40の軸周りに回動する。これに対し、ロングナット58が天井取付金具50の下面に対してきつく締着された状態になると、天井取付金具50はロングナット58とナット59とに挟まれた状態で固定されるため、吊りボルト40の軸回りに回動しない状態となる。
上記のように構成される支持装置1は、各構成部材を分解した状態で施行現場に搬入可能であり、天井構造に設置する高所作業を行う前に予め床面上で空気調和機110に対する組み付け作業が行われる。そして支持装置1を空気調和機110に組み付ける作業が行われた後に、支持装置1を組み付けた空気調和機110を天井構造の近傍位置まで持ち上げ、支持装置1を天井構造から垂下するアンカーボルトなどのボルト部材に取り付ける作業が行われる。以下、このような作業の手順について説明する。
空気調和機110に支持装置1を組み付ける床面作業では、最初に空気調和機本体120の左右両側面に設けられている取付片121に対してボルト部材9を取り付けた後、そのボルト部材9の上端部に第1フレーム部材10を取り付ける。このとき、第1フレーム部材10の平板部11を固定するためのナットを所定トルク以上で締め付けることにより、ボルト部材9の振れ止め効果を発揮させることができる。
次に連結ボルト15を用いて一対の第1フレーム部材10を相互に連結し、連結ボルト15の両端部に係合部材17を取り付ける。係合部材17を、空気調和機本体120の前面及び後面のそれぞれに係合させることにより、第1フレーム部材10を空気調和機本体120の上面において位置決めすることができる。尚、一対の第1フレーム部材10を相互に連結する必要がない場合、連結ボルト15を取り付ける工程は省略可能である。
続いて、第1フレーム部材10の取付部14に対してフレーム連結部材30を取り付け、更にフレーム連結部材30の支持ボルト33に対して第2フレーム部材20を取り付ける。尚、第2フレーム部材20において、支持フレーム23の両端部に対して補助フレーム21,22を接続する作業は、フレーム連結部材30に第2フレーム部材20を取り付けた後に行うようにしても良いし、フレーム連結部材30に第2フレーム部材20を取り付ける前に行うようにしても良い。そして第2フレーム部材20に対して吊りボルト40を取り付け、吊りボルト40の上端部に天井取付金具50を取り付ける。尚、吊りボルト40を第2フレーム部材20に取り付ける前に、吊りボルト40の上端部に対して先に天井取付金具50を取り付けておいても良い。
作業者は、上記の作業を行うとき、設計上予め定められている空気調和機110の設置位置に基づき、天井空間に存在する障害物や、デッキプレートの山部の位置などを確認し、第1フレーム部材10に対してフレーム連結部材30を取り付ける位置や、フレーム連結部材30に対して第2フレーム部材20を取り付ける位置、第2フレーム部材20に対して吊りボルト40を取り付ける位置などを適宜調整する。つまり、支持装置1は、天井空間に存在する障害物を避けることができる位置に吊りボルト40を取り付けることが可能であり、またデッキプレートの山部のピッチに対応する位置に吊りボルト40を取り付けることが可能である。
上記のように、空気調和機110に対して支持装置1を組み付ける作業は、床面上に空気調和機110を設置した状態で行うことが可能であるため、作業者にとって作業しやすく、効率的に支持装置1を組み付けることができる。
空気調和機110に支持装置1が組み付けられると、空気調和機110は、図7に示すように、昇降装置250に載置される。そして昇降装置250が矢印F1で示すように上昇駆動されることにより、支持装置1が組み付けられた空気調和機110が天井スラブなどの天井構造200の近傍位置まで持ち上げられる。天井構造200には、予めアンカーボルトなのボルト部材210が取り付けられている。作業者は、天井構造200から垂下するボルト部材210の位置と、支持装置1の上端に装着される天井取付金具50の位置とが合致するように昇降装置250を床面上で位置合わせし、昇降装置250を上昇駆動する。ただし、天井取付金具50は、吊りボルト40の軸周りに回動可能であり、ボルト部材210の位置が多少ずれていても天井取付金具50の第2の孔55にボルト部材210を取り付けることが可能であるため、作業者は、ボルト部材210の位置と、天井取付金具50の位置とを厳密に位置合わせする必要はない。
そして支持装置1の天井取付金具50の第2の孔55にボルト部材210を挿入し、ボルト部材210の先端にナットを装着して締着することにより、天井取付金具50が支持装置1及び空気調和機110を支持した状態で天井構造200に取り付けられる。その後、天井取付金具50の下部に装着されているロングナット58が天井取付金具50の下面に対して締着されることにより、天井取付金具50と吊りボルト40とが相互に固定され、支持装置1は、空気調和機110を支持した状態で天井構造200に設置される。
図8は、デッキプレート201が設けられた天井構造200に支持装置1を取り付けた状態を示す図である。デッキプレート201は、山部202と谷部203とが所定間隔で形成された波形形状を有している。このようなデッキプレート201に支持装置1を取り付ける場合、吊りボルト40は、デッキプレート201の山部202に取り付けることが必要である。本実施形態の支持装置1は、第2フレーム部材20に対する吊りボルト40の取り付け位置を第2フレーム部材20の長手方向(Y方向)の任意の位置に取り付け可能である。そのため、空気調和機110を設計上予め定められた位置に設置したとき、空気調和機本体120の側面に設けられている一対の取付片121,121の上方位置にデッキプレート201の山部202が存在していない場合であっても、第2フレーム部材20に対して吊りボルト40を取り付ける際に、デッキプレート201の山部202の位置に適合する位置に吊りボルト40を予め取り付けておくことにより、図8に示すように吊りボルト40の上端部をデッキプレート201の山部202に設けられたボルト部材210に対して固定することができる。それ故、作業者にとっては、高所作業が軽減され、作業効率に優れているという利点がある。
図8では、デッキプレート201の山部202と谷部203がY方向に沿って連続している場合を例示したが、山部202と谷部203がX方向に沿って連続している場合も同様である。すなわち、支持装置1は、第1フレーム部材10に対するフレーム連結部材30の取付位置をX方向に沿って調整可能であるため、山部202と谷部203とがX方向に沿って連続している場合には第2フレーム部材20が山部202の下方に位置するようにフレーム連結部材30を取り付ければ良い。
このように本実施形態の支持装置1は、吊りボルト40の取付位置をXY平面内で調整することができるため、空気調和機本体120の側面に設けられた一対の取付片121,121の上方に障害物が存在する場合であっても空気調和機110を設計上予め定められた適切な位置に設置することが可能であり、しかも一対の取付片121,121の上方位置にデッキプレート201の山部202が存在しない場合であっても吊りボルト40の取付位置を調整することにより、山部202に対して吊りボルト40の上端部を固定することが可能である。
また、上記のように構成される支持装置1は、例えば天井構造200に設置された後であっても、空気調和機110の高さ位置を簡単に微調整することが可能である。図9は、空気調和機110の高さ調整機能を例示する図である。支持装置1が天井構造200に取り付けられた後、空気調和機110の高さ位置の微調整を行う場合、作業者は、図9に示すように、第2フレーム部材20の下面側に配置されているナット39bを予め緩めておく。その状態で、作業者は、電動工具に装着したビットを第2フレーム部材20の上面側に位置するナット39aに嵌め込み、電動工具を作動させることでナット39aを支持ボルト33の軸周り(R方向)に回転させる。例えばナット39aを右回り方向に回転させると、支持ボルト33が上昇する。これに伴い、空気調和機110が上方に移動する。また、ナット39aを左周り方向に回転させると、支持ボルト33が下降する。これに伴い、空気調和機110が下方へ移動する。つまり、支持装置1は、第2フレーム部材20の上面側に配置されている4つのナット39aをR方向に回転させることにより、空気調和機110の高さ位置を微調整することができるのである。そして空気調和機110の高さ位置が決まれば、第2フレーム部材20の下面側のナット39bを締め付けることにより、支持ボルト33と第2フレーム部材20とを固定することができる。
このように本実施形態の支持装置1は、第1フレーム部材10に取り付けられるフレーム連結部材30が、第2フレーム部材20を第1フレーム部材10の上方位置で支持するように構成であるため、第2フレーム部材20と第1フレーム部材10との間隔を簡単に調整することが可能であり、空気調和機110の高さ調整を行い易いという利点がある。
また、天井構造200から空気調和機110を設置する距離が長くなる場合には、それに応じて吊りボルト40の長さを長くすれば良い。この場合、吊りボルト40の長さが所定長さを超えると、地震発生時に吊りボルト40が大きく振動し、それに応じて空気調和機110が大きく振れる。そのような振動を防止するため、吊りボルト40が所定長さを超える場合には、互いに隣り合う吊りボルト40に対して補強材となるブレースを予め配置しておくことが好ましい。
図10は、吊りボルト40に対してブレース70を配置した支持装置1の構成例を示す斜視図であり、図11は、その側面図である。図10及び図11に示す支持装置1は、一対の第2フレーム部材20から上方に突出する4本の吊りボルト40のうち、互いに隣り合う2本の吊りボルト40の間に2本のブレース70を交叉配置したものである。例えば、4本の吊りボルト40の上端近傍位置には、ブレース70の上部を接続するブレース連結金具71が取り付けられ、そのブレース連結金具71に対してブレース70の上部が固定される。また、ブレース70の下部は、ブレース固定金具72,73によって第2フレーム部材20や吊りボルト40の下端部に固定される。
特に、XZ平面内に配置されるブレース70の下部は、第2フレーム部材20から下方に突出する吊りボルト40の先端部にブレース固定金具73を用いて固定される好ましい。ブレース70の固定位置を第2フレーム部材20の上側に設けるよりも、第2フレーム部材20の下側に設けることにより、より高い振れ止め効果を得ることができるからである。
また、YZ平面に配置されるブレース70の下部は、ブレース固定金具72と第2フレーム部材20との間に挟み込まれた状態で1つのボルトで固定される。ブレース70の下部を1つのボルトを締め付けることによって固定できるようにすることで作業効率を向上させることができる。
図10及び図11に示すように、床面上での作業で4本の吊りボルト40のそれぞれに対してブレース70を予め交叉配置しておくことにより、高所作業でブレース70を設置する作業を行わなくて済むため、作業性がより一層向上する。そしてブレース70が交叉配置された吊りボルト40の上端部に天井取付金具50を予め床面作業で取り付けておく点は、上述した通りである。
また、隣り合う2本の吊りボルト40の間に梁などの障害物が存在する場合には、図10及び図11に示したように2本の吊りボルト40の間にブレース70を交叉配置することができない場合がある。そのような場合には、障害物の近傍位置において2本の吊りボルト40の間に剛性部材を配置し、その剛性部材を利用してブレース70を配置すれば良い。
図12は、剛性部材80を用いてブレース70を取り付けた支持装置1を例示する側面図である。例えば、図12に示すように天井構造200に梁などの障害物280が存在し、2本の吊りボルト40の間にブレース70を交叉配置することができない場合、支持装置1を床面作業で組み付けるとき、障害物280を挟む状態に位置する2本の吊りボルト40の間に、金属プレートなどによって構成される剛性部材80を取り付ける。剛性部材80は、その両端が吊りボルト40の所定高さ位置に固定され、2本の吊りボルト40の間を横断するように取り付けられる。このような剛性部材80は、障害物280の近傍位置に取り付けられることが好ましい。剛性部材80は、それ自体で2本の吊りボルト40の振れ止め効果を発揮する。ただし、より好ましくは、図12に示すように剛性部材80に対してブレース70を更に取り付けることである。そのとき、ブレース70の一端を、上述したブレース固定金具72を用いて剛性部材80の平面に固定することにより、簡単にブレース70を取り付けることができる。
また、剛性部材80から上方に配置するブレース70は、図12に示すように天井構造200に別途取り付けたボルト部材220に対してブレース固定金具73を用いて取り付けるようにしても良い。ただし、この場合、剛性部材80から上方に配置するブレース70の取付作業は、高所作業として行う必要がある。また、吊りボルト40に取り付けられているブレース連結金具71にブレース70の上端部を取り付けるようにしても良い。この場合は、床面作業で全てのブレース70を支持装置1に予め組み付けておくことができる。
以上のように本実施形態の支持装置1は、概略箱形形状の互いに平行な左右両側面にボルト部材9を取り付けるための取付片121が設けられた空気調和機110を、天井空間に吊り下げた状態で支持するように構成される。この支持装置1は、空気調和機110の上面を左右方向(X方向)に横断するように配置され、両端部に取付片121に取り付けられるボルト部材9が連結されることにより空気調和機110の上面に対して固定される第1フレーム部材10と、空気調和機110の上面を前後方向(Y方向)に横断するように配置される第2フレーム部材20と、第1フレーム部材10と第2フレーム部材20とが互いに直交し、且つ、第1フレーム部材10と第2フレーム部材20とが上下方向に所定間隔を隔てた状態で第1フレーム部材10と第2フレーム部材20とを相互に連結するフレーム連結部材30と、下端部が第2フレーム部材20に連結され、上端部が天井構造200に接続される吊りボルト40と、を備えている。
このような構成を有する支持装置1は、床面作業で比較的簡単に空気調和機110に組み付けが可能である。また、支持装置1は、空気調和機110を支持するボルト部材9の上端部を第1フレーム部材10に接続して固定する。そのため、ボルト部材9に軸力を作用させた状態でボルト部材9を固定することができ、仮に大規模地震が発生したとしてもボルト部材9が振動してしまうことを良好に防止することが可能であり、空気調和機110の振動も抑制することができる。それ故、地震発生時に、空気調和機110に接続される冷媒配管や送風ダクトなどの接続部の破損を抑制することが可能であり、地震が収まった後、直ぐに空気調和機110を正常稼働させることができる。
また、上記構成を有する支持装置1は、第1フレーム部材10よりも下方に、ボルト部材9以外の部材を配置しないため、空気調和機110の左右両側面に設けられる冷媒配管などの接続部の近傍位置や、フィルタユニット130の開閉扉の近傍位置などに邪魔な部材を配置しない構成となっている。そのため、例えば空気調和機110のメンテナンス時に支持装置1が邪魔になるようなことはなく、メンテナンス作業をスムーズに行うことができるという利点もある。
また、支持装置1は、フレーム連結部材30に防振部材35が設けられおり、また第2フレーム部材20の両端部も防振部材28を介して吸気ユニット150及び吹出ユニット140を支持するように構成されている。そのため、空気調和機110が稼働するときに、空気調和機110の振動が天井構造200に伝搬することを防止することが可能である。
以上、本発明に関する好ましい実施形態を説明したが、本発明は、上記実施形態において説明したものに限定されるものではない。すなわち、本発明には、上記各実施形態において説明したものに種々の変形例を適用したものの含まれる。
例えば、上記実施形態では、天井吊り下げ物100の一例として隠蔽式の空気調和機110を例示した。しかし、上述した支持装置1を使用して吊り下げ可能な物体は、必ずしも空気調和機に限られない。すなわち、上述した支持装置1は、概略箱形形状を有する物体であれば、どのような物体であっても天井構造200に吊り下げた状態で良好に支持することができる装置である。
また、上記実施形態では、第1フレーム部材10と第2フレーム部材20との間に防振部材35は配置する例を説明したが、これに限られるものではない。例えば、防振部材35は、吊りボルト40と第2フレーム部材20との接続部に配置しても良い。ただし、吊りボルト40と第2フレーム部材20との接続部に防振部材35を配置すると、地震発生時に第2フレーム部材20が大きく振れることになり、それに伴って天井吊り下げ物100の振れ幅も大きくなる。そのため、地震発生時における天井吊り下げ物100の振れ幅を小さくするためには、上記実施形態で説明したように、第1フレーム部材10と第2フレーム部材20との間に防振部材35を配置することが好ましい。
上記目的を達成するため、第1に、本発明は、概略箱形形状の互いに平行な左右両側面にボルト部材を取り付けるための取付片が設けられた天井吊り下げ物を、天井空間に吊り下げた状態で支持する支持装置であって、前記天井吊り下げ物の上面を左右方向に横断するように配置され、両端部に前記取付片に取り付けられた前記ボルト部材が連結されることにより前記天井吊り下げ物の上面に対して固定される第1フレーム部材と、前記天井吊り下げ物の上面を前後方向に横断するように配置される第2フレーム部材と、前記第1フレーム部材と前記第2フレーム部材とが互いに直交し、且つ、前記第1フレーム部材と前記第2フレーム部材とが上下方向に所定間隔を隔てた状態で前記第1フレーム部材と前記第2フレーム部材とを連結するフレーム連結部材と、下端部が前記第2フレーム部材に連結され、上端部が天井構造に接続される吊りボルトと、を備え、前記第1フレーム部材に対する前記フレーム連結部材の取付位置が、前記第1フレーム部材の長手方向に沿って調整可能であることを特徴とする構成である。
第2に、本発明は、概略箱形形状の互いに平行な左右両側面にボルト部材を取り付けるための取付片が設けられた天井吊り下げ物を、天井空間に吊り下げた状態で支持する支持装置であって、前記天井吊り下げ物の上面を左右方向に横断するように配置され、両端部に前記取付片に取り付けられた前記ボルト部材が連結されることにより前記天井吊り下げ物の上面に対して固定される第1フレーム部材と、前記天井吊り下げ物の上面を前後方向に横断するように配置される第2フレーム部材と、前記第1フレーム部材と前記第2フレーム部材とが互いに直交し、且つ、前記第1フレーム部材と前記第2フレーム部材とが上下方向に所定間隔を隔てた状態で前記第1フレーム部材と前記第2フレーム部材とを連結するフレーム連結部材と、下端部が前記第2フレーム部材に連結され、上端部が天井構造に接続される吊りボルトと、を備え、前記第2フレーム部材に対する前記吊りボルトの取付位置が、前記第2フレーム部材の長手方向に沿って調整可能であることを特徴とする構成である。
第3に、本発明は、上記第2の構成を有する支持装置において、前記第1フレーム部材に対する前記フレーム連結部材の取付位置が、前記第1フレーム部材の長手方向に沿って調整可能であることを特徴とする構成である。