JP2021113373A - フィラメントの製造方法 - Google Patents

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【課題】外層の厚さが薄いフィラメントを安定的に製造可能な、フィラメントの製造方法を提供する。【解決手段】内層が外層で被覆された構成のフィラメントの製造方法であって、被覆工程を備え、前記被覆工程では、押出機のスクリューを回転させることによって前記押出機から押し出した外層樹脂組成物を用いて前記内層を被覆する前記外層を形成し、前記スクリューは、[スクリューピッチP/スクリュー直径D]の値が0.1〜0.9である、方法。【選択図】図1

Description

本発明は、熱溶融式3Dプリンタにおいて利用可能なフィラメントの製造方法に関する。
特許文献1に開示されている3Dプリンタ用フィラメント(線条樹脂成形体)では、内層(第1層)と、これを被覆する外層(第2層)を備え、外層の物性が内層と異なっている。このようなフィラメントを用いることによって、3Dプリントにおける機械適性や品質を向上させることが可能になっている。
特開2016−193602号公報
ところで、3Dプリントの目的によっては、外層の厚さをできるだけ薄くしたい場合がある。外層の厚さは、外層を形成するための樹脂組成物を押出機から押し出す速度を低下させることによって薄くすることが可能である。樹脂組成物の押出速度を低下させる方法としては、スクリューの回転速度を低下させる方法が挙げられるが、スクリューの回転速度を低くすると樹脂組成物の押出速度が不安定化し、その結果、外層の厚さにばらつきが生じてしまう場合があることが分かった。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、外層の厚さが薄いフィラメントを安定的に製造可能な、フィラメントの製造方法を提供するものである。
本発明によれば、内層が外層で被覆された構成のフィラメントの製造方法であって、被覆工程を備え、前記被覆工程では、押出機のスクリューを回転させることによって前記押出機から押し出した外層樹脂組成物を用いて前記内層を被覆する前記外層を形成し、前記スクリューは、[スクリューピッチ/スクリュー直径]の値が0.1〜0.9である、方法が提供される。
図1に示すスクリューピッチP及びスクリュー直径Dから算出される[スクリューピッチP/スクリュー直径D]の値(以下、「P/D値」)は、1に設定されるのが一般的であるが、本発明では、P/D値を0.1〜0.9という比較的低い値に設定している。P/D値を低くすると、スクリューの1回転当たりの樹脂組成物の押出量が少なくなることに加え、スクリューの回転速度を低下させた場合にも樹脂組成物の押出速度が不安定化されにくくなる。このため、本発明によれば、外層を形成するための樹脂組成物の押出速度を低下させやすく、外層の厚さが薄いフィラメントを安定的に製造可能である。
以下、本発明の種々の実施形態を例示する。以下に示す実施形態は互いに組み合わせ可能である。
好ましくは、前記記載の方法であって、前記スクリューの回転数は、0.1〜4.0rpmである、方法である。
好ましくは、前記記載の方法であって、前記被覆工程では、前記内層を構成する内層樹脂組成物と、前記外層樹脂組成物を押出ヘッドから共押出することによって前記内層を前記外層で被覆する、方法である。
好ましくは、前記記載の方法であって、前記フィラメントは、[前記外層の平均厚さ/前記フィラメントの平均直径]の値が0.1〜3%である、方法である。
押出機のシリンダ内のスクリューのスクリューピッチP及びスクリュー直径Dの説明図である。 本発明の第1実施形態のフィラメント10を示し、図2Aは斜視図であり、図2Bは断面図である。 本発明の第1実施形態のフィラメント10を製造するための製造ライン30を示し、図3Aは正面図であり、図3Bは平面図である。 図3A中の金型32の分解斜視図である。 本発明の第2実施形態のフィラメント10を製造するための製造ライン30を示す、図3Bに対応する平面図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。また、各特徴について独立して発明が成立する。
1.第1実施形態
1−1.フィラメント10の構成
図2に示すように、フィラメント10は、内層21と、これを被覆する外層22を有する。外層22は、内層21とは異なる材料で構成される。フィラメント10は、線状であり、内層21は、好ましくは円柱状であり、外層22は、好ましくは円筒状である。
内層21及び外層22は、それぞれ、内層樹脂組成物及び外層樹脂組成物によって構成される。内層樹脂組成物及び外層樹脂組成物は、それぞれ、熱可塑性樹脂を含み、添加剤を含んでもよい。内層樹脂組成物と外層樹脂組成物は、熱可塑性樹脂の組成、添加剤の種類、添加剤の添加量の少なくとも1つにおいて相違している。
熱可塑性樹脂としては、ABS樹脂、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテルなどの非晶性樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリエステル、ポリアミド、ポリビニルアルコールなどの結晶性樹脂、オレフィン系、スチレン系、ポリエステル系、ウレタン系の熱可塑性エラストマー、及びそれらの混合物などが挙げられる。
添加剤としては、カーボンブラック、炭素繊維、ガラス繊維、タルク、マイカ、ナノクレイ、マグネシウムなどの無機系の添加剤、酸化防止剤、滑剤、着色剤などが挙げられる。
外層22は、フィラメント10に対して、溶着性、造形性、導電性、バリア性などの機能性を付与するために設けられる。例えば、内層21の溶着性が良好でない場合には、内層21を構成する組成物よりも溶着性が良好である組成物を用いて外層22を形成することによって、フィラメント10の溶着性を向上させることができる。
3Dプリントの際には、3Dプリントヘッドに設けたギアをフィラメント10に食い込ませた状態でギアを回転させることによってフィラメント10をヘッド内で移送するが、内層21が軟質材料である場合には、ギアの回転に伴って内層21が変形してしまってフィラメント10を移送することができない場合がある。このような場合には、内層21を構成する組成物よりも硬質の組成物を用いて外層22を形成することによって、フィラメント10をギアで移送しやすくなって造形性が向上する。
フィラメント10に対して導電性を付与する場合には、導電性を有する組成物(例:カーボンなどの導電体を添加した樹脂)を用いて外層22を形成することによって、フィラメント10の全体に導電体を添加するよりも少ない量の導電体で導電性を発現させることができる。
内層21が酸素や水などによって劣化しやすい場合には、内層21を構成する組成物よりもバリア性が良好である組成物を用いて外層22を形成することによって、フィラメント10の溶着性を向上させることができる。一例では、内層21は、熱可塑性ウレタンで構成された形状記憶ポリマーであり、外層22は、PETG(シクロヘキサンジメタノールという素材を共重合したポリエチレンテレフタレート)である。
外層22は、上記のように種々の機能性を付与することができるが、外層22の分だけ、内層21の機能性が発現されにくくなる場合がある。例えば、内層21が形状記憶材料で構成されていて、外層22が形状記憶材料で構成されていない場合、外層22が厚くなるほど、フィラメント10の形状記憶性は低下する。また、外層22が薄くても外層22の機能が十分に発現される場合もある。
このような場合、外層22の厚さを薄くすることが望ましい。具体的には、[外層22の平均厚さTav/フィラメント10の平均直径Dav]の値(Tav/Dav値)が0.1〜3%であることが好ましい。Tav/Dav値が小さすぎると外層22の機能発現が不十分になりやすい。Tav/Dav値が大きすぎると内層21の機能発現が不十分になりやすい。Tav/Dav値は、具体的には例えば、0.1、0.5、1、1.5、2、2.5、3%であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。フィラメント10の平均直径Davは、例えば1〜3mmであり、具体的には例えば、1、1.5、2、2.5、3mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。フィラメント10の平均直径Davは、フィラメント10の長手方向に沿った10mm間隔の5点でフィラメント10の直径Daを測定し、測定値を平均することによって算出される。外層22の平均厚さTavは、例えば5〜60μmであり、具体的には例えば、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60μmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。外層22の平均厚さTavは、フィラメント10の長手方向に沿った10mm間隔の5点のそれぞれにおいて、90度間隔の4点で厚さTaを測定し、測定値を平均することによって算出される。
1−2.フィラメント10の製造方法
図3に示すように、フィラメント10の製造ライン30は、押出機31A,31B、金型32、サイジング装置33、水槽37、固定ローラ41、外径寸法測定装置42及び巻き取り装置43を含む。
押出機31A,31Bは、原料樹脂組成物を溶融混練し、これを連続的に金型32へと供給するもので、例えばスクリューが内蔵されるシリンダ、原料投入用のホッパ31a,31b、射出ノズル等を備えて構成されている。押出機31A,31Bは、好ましくは、直交して配置される。押出機31A,31Bのスクリューは、特に限定されないが、好ましくは、単軸スクリューである。
押出機31Aは、シリンダ内のスクリューを回転させることによって内層樹脂組成物を溶融混練して射出ノズルから金型32に押し出しし、押出機31Bは、外層樹脂組成物を溶融混練して射出ノズルから金型32に押し出す。押出機31A,31Bから押し出された内層樹脂組成物と外層樹脂組成物は、金型32で合流し、芯となる内層21の周囲が外層22で被覆される。
外層22の厚さを低減するためには、押出機31Bからの外層樹脂組成物の押出速度を低減する必要がある。P/D値が1であるスクリューを有する一般的な押出機においてもスクリューの回転数を下げることによって押出速度を低減することができるが、このようなスクリューの回転数を例えば4rpm以下にまで低減すると、シリンダ内の樹脂組成物に十分な圧力が加わらず、その結果、押出速度が安定しないという問題が生じることが分かった。このため、P/D値が1であるスクリューを有する一般的な押出機を用いた場合、Tav/Dav値が0.1〜3%であるような極薄の外層22を有するフィラメント10を安定して製造することが困難であった。
一方、本実施形態では、押出機31Bとして、P/D値が0.1〜0.9という比較的低い値であるスクリューを有する押出機を用いる。P/D値を低くすると、スクリューの1回転当たりの樹脂組成物の押出量が少なくなることに加え、スクリューの回転速度を低下させた場合にもシリンダ内の樹脂組成物に加わる圧力が極端に低下せず、その押出速度が不安定化されにくくなることが分かった。このため、このようなP/D値のスクリューを有する押出機から外層樹脂組成物を少量ずつ押し出すことによって、Tav/Dav値が0.1〜3%であるような極薄の外層22を有するフィラメント10を安定して製造することができることが分かった。
押出機31BのスクリューのP/D値は、0.1〜0.9であり、好ましくは、0.4〜0.8であり、具体的には例えば、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。また、押出機31Bのスクリューの回転速度は、例えば、0.1〜4.0rpmであり、具体的には例えば、0.1、0.5、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0rpmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
なお、押出機31Aは、押出機31Bのように少量吐出を行う必要がないので、押出機31Aとしては、例えばP/D値が1であるスクリューを有する一般的な押出機を用いることができる。
金型32は、押出機31からの溶融樹脂を水平方向に押し出すものであり、ここから押し出された溶融樹脂が冷却されてフィラメント10となる。金型32としては、例えば図4に示すような多層金型を使用すればよい。本例の多層金型は、3つの金型部材32A,32B,32Cを組み合わせたものであり、各金型部材32A,32B,32Cは、それぞれ中央流路N1,N2,N3を有している。
金型部材32Bは、前記中央流路N2を囲んで内部に円形金型部CBを有するとともに、この円形金型部CBの周囲に4つの貫通流路R1,R2,R3,R4を有する。貫通流路R1,R2,R3,R4は、それぞれ金型部材32Bを厚さ方向で貫通する形で形成されている。円形金型部CBは、その中央に中央流路N2が形成されるとともに、円形面が金型部材32Bの金型面から後退する形で形成されている。
金型部材32Cは、前記中央流路N3を囲んで円環状流路CRを有するとともに、円環状流路CRの外側に半円形状の中間通路HRを有する。この半円形状の中間通路HRは、180°対称位置で円環状流路CRと接続されている。さらに、金型部材32Cは、この中間通路HRの1箇所に接続される材料供給通路Xを有する。円環状流路CRは、前記金型部材32Bの貫通流路R1,R2,R3,R4と対向する。
前記3つの金型部材32A,32B,32Cを組み合わせた金型32では、内層樹脂組成物は、押出機31Aから押し出され、金型部材32Cの中央流路N3へと供給され、金型部材32Bの中央流路N2、金型部材32Aの中央流路N1を経て、金型32から引き出される。一方、外層樹脂組成物は、押出機31Bから押し出され、金型部材32Cの材料供給通路Xへと供給される。ここから供給された原料樹脂組成物は、半円形状の中間通路HRを通って円環状流路CRへ流れ込み、円環状流路CRに対向して設けられた金型部材32Bの各貫通流路R1,R2,R3,R4へと供給される。貫通流路R1,R2,R3,R4へと供給された原料樹脂材料は、金型部材32Aの金型面とこれから後退する形で形成される円形金型部CBとの間の空間へと流れ込み、円形金型部CBに設けられた中央流路N2から引き出される内層21の周面を被覆する。
水槽37は、フィラメント10の搬送方向に沿って長い箱状に形成される。フィラメント10は、水槽37の一端の壁から水槽37内に導入され、水槽37の他端の壁から導出される。水槽37には、フィラメント10を浸漬させ、フィラメント10を冷却する水37aが貯留される。
サイジング装置33は、水槽37の一端の壁の内側に配置されており、フィラメント10の断面を真円にし、かつ、フィラメント10の外径寸法を所定の寸法に均一化させる機能を有する。
固定ローラ41は、サイジング装置33を経て水槽37内においてフィラメント10の姿勢を安定させ、かつ、巻き取り装置43側に向けてフィラメント10を搬送する。
外径寸法測定装置42は、水槽37で冷却されたフィラメント10の外径寸法を測定する。巻き取り装置43は、外径寸法測定装置42を経たフィラメント10を挟んで下流側に搬送する上下一対の巻き取りローラ43aと、巻き取りローラ43aの下流側に配置され、フィラメント10を巻き取る巻き取り軸43cを有するボビン巻き取り機43bとを備える。
次に、この製造ライン30を用いてフィラメント10を製造する方法について説明する。フィラメント10を製造する方法は、押出工程、サイジング工程、冷却工程、寸法測定工程及び巻き取り工程を含む。
図3に示すように、押出工程では、押出機31においてホッパ31aから投入された樹脂ペレットを溶融し、溶融した樹脂を金型32から押し出す。この際、内層21を押し出すとともに内層21を被覆するように外層22を押し出して多層化構造のフィラメント10を押し出す。この例では、金型32から、外径(符号D1で示す)が2.2mmのフィラメント10が押し出される。
サイジング工程では、サイジング装置33において、フィラメント10が均一な外径に形成される。この例では、外径D1が2.2mmのフィラメント10が、サイジング装置33を通過することにより、その外径(符号D2で示す)が搬送方向において1.80mmに均一化される。
冷却工程では、外径(符号D2で示す)が1.80mmのフィラメント10が、水槽37を通過することにより冷却され、フィラメント10の外径(符号D3で示す)が1.75mmに縮径される。
寸法測定工程では、フィラメント10の外径を測定し、測定値が適正な大きさであるか否かを判定する。この例では、フィラメント10の外径が1.75mmを中心とした所定の規格幅の範囲内であるか否かを判定する。フィラメント10の外径が規格幅の範囲外である場合、外径が規格幅の範囲内になるように、各製造条件を見直す。
巻き取り工程では、フィラメント10の外径が規格の範囲内である場合、巻き取り装置43の巻き取りローラ43aでボビン巻き取り機43bに送り、巻き取り軸43cにフィラメント10の連続体を巻き取っていく。所定長さのフィラメント10が巻き取り軸43cに巻き取られたら、新しい巻き取り軸43cにフィラメント10を巻き取るようにする。
以上の工程によって、巻き取り軸43cに巻かれたフィラメント10を製造することができる。
2.第2実施形態
第1実施形態では、内層21は、押出機31Aから押し出された内層樹脂組成物で構成したが、本実施形態では、内層21は、連続繊維で構成される。連続繊維とは、フィラメント10の長手方向に沿って連続的に延在する繊維である。連続繊維は、フィラメント1の全長に渡って設けられることが好ましい。連続繊維は、1本の繊維であってもよく、複数本の繊維の束であってもよい。連続繊維としては、造形時に溶融しない連続強化繊維と、造形時に溶融する連続樹脂繊維の少なくとも一方を含むものが挙げられる。連続強化繊維としては、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維(スチール繊維等)等の無機繊維、アラミド繊維等の有機繊維が挙げられる。連続樹脂繊維としては、第1実施形態において列挙した熱可塑性樹脂の繊維が挙げられる。このような構成のフィラメント10においても、第1実施形態と同様に、外層22を薄くすることが望ましい場合がある。
本実施形態のフィラメント10は、図5に示す製造ライン30を用いて製造することができる。本実施形態の製造ライン30は、押出機31Aの代わりに連続繊維ロール45を備え、金型32の代わりに連続繊維被覆金型46を備える点以外は、第1実施形態と同様である。
連続繊維ロール45は、連続繊維45aが巻かれたロールであり、連続繊維ロール45から連続繊維45aを巻き戻すことによって、連続繊維45aを金型46に供給することができる。
金型46は、連続繊維45aの周面を、押出機31Bから押し出された外層樹脂組成物で被覆するように構成されている。
第1実施形態で説明したように、押出機31Bは、外層樹脂組成物を少量ずつ押し出すことができるように構成されているので、本実施形態においても、押出機31Bから押し出された樹脂組成物で、連続繊維45aで構成された内層21を被覆することによって、Tav/Dav値が0.1〜3%であるような極薄の外層22を有するフィラメント10を安定して製造することができる。
第1実施形態の製造ライン30において、押出機31Bの動作条件を表1に示すように設定して、フィラメント10を製造した。押出機31Aについては、P/D=1.0のスクリューを有する押出機を用い、シリンダ内の樹脂圧が14.2MPaとなる条件でスクリューを回転させた。内層樹脂組成物としては、ポリウレタン系形状記憶ポリマー(型式:MM-3520、(株)SMPテクノロジーズ製)を用い、外層樹脂組成物としては、PETG(型式:GN401、イーストマンケミカル社製)を用いた。
実施例1〜2では、スクリューの回転数をそれぞれ1.3rpmと3.2rpmという低い値に設定したが、シリンダ内の樹脂圧が極端に低下することがなかった。比較例1では、スクリューの回転数を4.5rpmにしたところ、シリンダ内の樹脂圧が、実施例に比べて大幅に低くなってしまった。比較例2では、シリンダ内の樹脂圧が実施例と同程度になるようにスクリューの回転数を増大させた。
得られたフィラメント10について、フィラメント10の平均直径Dav及び外層22の平均厚さTavを測定し、Tav/Dav値を算出した。その結果、表1に示す。
また、以下の基準に従ってフィラメントの造形性を評価した。その結果を表1に示す。
○:平均直径Davを求める際に測定した5点での直径Daの全てが1750μm±100μmの範囲内であった。
×:平均直径Davを求める際に測定した5点での直径Daのうちの1点以上が1750μm±100μmの範囲外であった。
Figure 2021113373
表1に示すように、実施例1〜2では、Tav/Dav値が非常に小さいフィラメント10が得られた。また、これらのフィラメントは造形性が良好であった。
比較例1では、Tav/Dav値が実施例よりも大きく且つフィラメント10の造形性が良好でなかった。比較例2では、Tav/Dav値が実施例よりも大幅に大きかった。
以上より、P/D値が0.1〜0.9であるスクリューを有する押出機から押し出した外層樹脂組成物を用いて外層22を形成することにより、外層22の厚さが薄いフィラメント10を安定的に製造できることが分かった。
10 :フィラメント
21 :内層
22 :外層
30 :製造ライン
31A :押出機
31B :押出機
31a :ホッパ
31b :ホッパ
32 :金型
32A :金型部材
32B :金型部材
32C :金型部材
33 :サイジング装置
37 :水槽
37a :水
41 :固定ローラ
42 :外径寸法測定装置
43 :巻き取り装置
43a :巻き取りローラ
43b :ボビン巻き取り機
43c :巻き取り軸
45 :連続繊維ロール
45a :連続繊維
46 :連続繊維被覆金型
CB :円形金型部
CR :円環状流路
HR :中間通路
N1 :中央流路
N2 :中央流路
N3 :中央流路
R1 :貫通流路
R2 :貫通流路
R3 :貫通流路
R4 :貫通流路
X :材料供給通路

Claims (4)

  1. 内層が外層で被覆された構成のフィラメントの製造方法であって、
    被覆工程を備え、
    前記被覆工程では、押出機のスクリューを回転させることによって前記押出機から押し出した外層樹脂組成物を用いて前記内層を被覆する前記外層を形成し、
    前記スクリューは、[スクリューピッチ/スクリュー直径]の値が0.1〜0.9である、方法。
  2. 請求項1に記載の方法であって、
    前記スクリューの回転数は、0.1〜4.0rpmである、方法。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の方法であって、
    前記被覆工程では、前記内層を構成する内層樹脂組成物と、前記外層樹脂組成物を押出ヘッドから共押出することによって前記内層を前記外層で被覆する、方法。
  4. 請求項1〜請求項3の何れか1つに記載の方法であって、
    前記フィラメントは、[前記外層の平均厚さ/前記フィラメントの平均直径]の値が0.1〜3%である、方法。
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