JP2021112837A - 車両用スポイラの製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
接着剤を用いたスポイラは、アッパー部材とロア部材の外周部分等の平面に接着剤を塗布した後、両者を貼り合せて一体化する。ただ、接着剤による製法は、接着剤を塗布する平面を確保しなければならず、接着強度を高めるべく接着面積を多く稼ぐ必要がある。意匠形状によっては、平面の確保が難しい場合もでてくる。
こうしたことから、接着剤を用いたケースの改良発明がいくつか提案されている(例えば特許文献1)。
車両用スポイラにあっては、ボディとの隙間を小にして設置される。不必要に突出するアンカー接着部があると、スポイラの取付けで、該アンカー接着部がボデイ等に当たってしまい支障をきたす。アンカー接着部を形成して接着を終えた樹脂部材(本発明ではスポイラ)は、アンカー接着部と干渉する部分がボディ側に存在すると、取付けが難しくなって、作業性低下、さらに不良品扱いになってしまう問題を抱える。
本製法は、本体内面21b又は/及び主部内面31bに糊状ペースト4Aの接着剤4を塗布して双方を一体化するが、接着剤4と接する主部内面31bの部位に主部外面31a側へ貫通する透孔30を設け、一体化の際、透孔30へ接着剤4を浸入させる。さらに、透孔30に外方口30a側の孔径を大きく形成した図6のような拡孔部305、又は/及び第一型6の当て面61に図8のような凹穴62を設けており、アッパー部材2とロア部材3との一体化と並行して、拡孔部305又は/及び凹穴62の形になる接着剤4の樹脂化部42を成形する。透孔30へ浸入しロア部材3の外側に接着剤4がはみ出ても凹穴形状に成形制御し、取付けに支障ないスポイラを造る。
スポイラの製造方法に先立ち、アッパー部材2とロア部材3と圧着型Tとを準備する。
ロア部材3は、主部内面31b又は/及び本体内面21bに接着剤4を塗布し、硬化させて、アッパー部材2と一体化する。その一体化させる接着剤4(最終的に硬化膜41になる)に接する主部内面31bの部分に、主部外面31a側へ貫通する透孔30が形成される。さらに、該透孔30に、内方口30bよりも外方口30a側の孔径を大きく形成した拡孔部305が、通常設けられる(図6,図7)。拡孔部305を形成しない場合は、外方口30aと対向する圧着型Tの第一型6に、樹脂化部42の成形用凹穴62が設けられる(図8)。
一方、円形透孔30の部位では、図6のごとく内方口30bよりも外方口30a側の孔径を大きくした拡孔部305を設ける。透孔30の孔長のうち、拡孔部305の孔長が過半部以上を占める。さらに圧着型Tの第一型6に図8と同様の凹穴62を形成して、拡孔部305及び凹穴62の形になる接着剤4の樹脂化部42を成形する。凹穴62は、拡孔部305の拡孔出口305aをカバーして、これよりも一回り大きい穴口を有する。
一方、第一型6に凹穴62を形成しないときは、ロア部材主部31に必ず拡孔部305が形成される。拡孔部305の孔長は、硬化膜41の膜厚t41よりも長くする。凹穴62がなしで拡孔部305だけの場合は、拡孔部305の形になる樹脂化部42を成形することになり、透孔30の外方口30aでもある拡孔部305の拡孔出口305aと対向する前記当て面61の部分を平坦面等にして、拡孔出口305aを当て面61で塞ぐ圧着型Tを採用する。
本発明要部となる図4の透孔30周りでの変化を重点的に述べていく。図4の透孔30周りのスポイラ部分は、拡孔部305はなしにして当て面61に凹穴62を形成し、該凹穴62の形をした樹脂化部42が成形される箇所である。
透孔30の外方口30aと対向する当て面61の部分には、該外方口30aよりも穴口620が大きく且つ前記硬化膜41の膜厚t41よりも深い凹穴62が形成されている。具体的には、膜厚t41を約0.5mmにして、凹穴62の深さhを2mmほどに設定する。透孔30の外方口30a上にこれよりも大きな穴口620を有する凹穴62の空間を配して、透孔30周りの主部外面31aに、凹穴62を取り囲む当て面61が当接する。
ここで、接着剤4の種類は特に問わない。本実施形態で用いた接着剤4は一液湿気硬化型のウレタン接着剤4である。一液型でなくてもよいが、分子量が高く適度の粘性性を有し、また初期硬化が適度に早い接着剤4が好ましい。具体的には30,000〜1,000,000mPa・sの範囲のものがより好ましい。本体内面21b上に塗布した接着剤4が塗布域にとどまりやすく、透孔30を通って主部外面31aへのはみ出しを円滑にする。また、30秒程の短時間で接着剤4の初期硬化を完了させることができ、生産性を高める。完全硬化には時間がかかるが、初期硬化を終えれば、脱型後のハンドリングでもロア部材3とアッパー部材2が剥がれる心配はなくなる。
本実施形態は、主部内面31bの接着面になる外周部分311を囲む堰314が設けられている。圧着する図9から図10へ進む過程で、接着剤4が水平方向に広がろうとするが、堰314によって規制され、接着剤4は逃げ道となる透孔30を通って、凹穴62に円滑に充填される。堰314は、外周部分311を取り囲むよう主部内面31bから堤状に隆起し、接着剤4の接着域、いいかえれば硬化膜41の膜面411域を定める。堰314が本体内面21b、詳しくは外周部分211に塗布した接着剤4が必要以上に広がるのを制止する。該堰314の高さが接着剤4の硬化膜41に係る膜厚t41を決める(図11参照)。
アッパー部材2とロア部材3の圧着部位では、接着剤4の厚みが薄くなって、30秒ほどの短い時間経過で初期硬化の膜41ができ、双方を結合一体化させる。初期硬化段階の接着剤4は完全硬化には至ってないが、アッパー部材2,ロア部材3が一体化したスポイラ1は、脱型後のハンドリングに支障ない状態になっている。凹穴62の箇所でも完全硬化に至ってはないが、型閉め圧着が数十秒で成形された樹脂化部42の形が維持できる初期硬化状態になる。尚、上記樹脂化部42の成形に併せて、透孔30内の接着剤4も樹脂化する。
ロア部材3の図6に示す透孔30の箇所には、内方口30bよりも外方口30a側の孔径を大きくした拡孔部305が設けられる。また、第一型6には、外方口30aでもある拡孔部305の拡孔出口305aと対向する当て面61の部分に、図8と同じような凹穴62が設けられる。凹穴62は、該拡孔出口305aよりも穴口620が大きく、接着剤4の硬化膜41に係る膜厚t41よりも深く設定される。
図7の部位では、透孔30の外方口30a側に内方口30b側よりも孔径を大きくした拡孔部305を形成するのみで、第一型6に凹穴62を設けていない。拡孔部305の孔長は硬化膜41の膜厚t41よりも長く設定され、拡孔部305による樹脂化部42の樹脂厚t42は膜厚t41よりも厚くなる。また、主部外面31aに当て面61を当接させてロア部材3がセットされる第一型6であるが、拡孔出口305a (外方口30aでもある)と対向する当て面61の部分及びその周囲を平坦にして、これらが同一面上にある当て面61を有する第一型6とする。
尚、本実施形態はアッパー部材2に接着剤4を塗布してロア部材3と一体化させたが、ロア部材3に接着剤4を塗布してアッパー部材2と一体化させることもできる。また、本体内面21bの外周部分211に塗布した接着剤4に接する主部内面31bの外周部分311に透孔30を設けたが、透孔30は、外周部分311以外で接着剤4を塗布した領域のロア部材主部31に設けることができる。堰314をロア部材3に設けたが、アッパー部材2に設けてもよい。
また、凹穴62や拡孔部305の形の樹脂化部42に成形されると、特許文献1の形状が定まらないアンカー接着部とちがって、その形状が一定で、アンカー効果としての性能,品質が安定し、見栄えも良くなる。
さらに、透孔30の外方口30a側を大きくした拡孔部305を形成して、拡孔部305の形にだけになる接着剤4の樹脂化部42を成形すると、該樹脂化部42の露出面が主部外面31aより外方へ突き出さないようにできるので、樹脂化部42がスポイラ1の取付けを妨げることがない。ボディ7に接するようにしても本スポイラ1を取付けできる。
請求項3のように堰314を設けると、透孔30への接着剤4の浸入を促し、樹脂化部42の成形が容易になる。
請求項4のように穴底を平坦面に形成すると、樹脂化部42の天面421を平らにできる。よって、樹脂化部42が邪魔することなく、該天面421に例えば両面テープPの別部材を貼着し、該両面テープPを介してボディ7に本スポイラ1を貼着結合させることができる。
請求項5のように、拡孔出口305a周りに在る主部外面31aの部分と、拡孔部305の形になる樹脂化部42の天面421と、を平坦面に形成し且つ同一面上になるようにすると、樹脂化部42を含めてその周りが平坦な同一面になるので、該平坦面への別部材の貼着が容易になる。樹脂化部天面421を含めて主部外面31aに、例えば両面テープPの別部材を貼着し、該両面テープPを介してボディ7にスポイラ1を密着結合させることができる(図7)。樹脂化部421の分だけスポイラ1が浮き上がることもない。
請求項7のように、上向きにした本体内面21bに接着剤4を塗布した後、ロア部材3の主部内面31bを下向きにして、アッパー部材2とロア部材3とを圧着し一体化すると、一体化させる接着剤硬化膜41の初期硬化が順調に進む。上向きにしたロア部材3の主部内面31bに接着剤4を塗布した後、アッパー部材2の本体内面21bを下向きにして、両者を圧着し一体化すると、透孔30に接着剤4が先に浸入した場合、一体化させる接着剤4の硬化膜41の形成に遅れがでるが、こうした事態を回避できる。
2 アッパー部材
21b 本体内面
3 ロア部材
30 透孔
30a 外方口
305 拡孔部
305a 拡孔出口
31a 主部外面
31b 主部外面
314 堰
4 接着剤
41 樹脂化部
6 第一型
61 当て面(主部用当て面)
62 凹穴
63 離型コーティング層
Claims (7)
- アッパー部材の本体内面と、ロア部材の主部内面と、を接着剤で貼り合せて一体化する車両用スポイラの製造方法であって、
前記ロア部材の主部外面に当て面を当接させてセットした第一型を備え、
前記本体内面と該主部内面とを一体化させる接着剤に接する該主部内面の部位に主部外面側へ貫通する透孔を設け、さらに該透孔に外方口側の孔径を大きく形成した拡孔部、又は/及び該外方口と対向する前記当て面の部分に、該外方口よりも穴口が大きく且つ前記一体化させる接着剤の硬化膜に係る膜厚よりも深い凹穴、を設けて、
前記本体内面又は前記主部内面に接着剤を塗布した後、双方の内面を近づけ、さらに該接着剤が前記透孔に浸入し前記拡孔部又は/及び前記凹穴に充填されるように、貼り合わせて、前記アッパー部材と前記ロア部材とを圧着し一体化すると共に、該拡孔部又は/及び該凹穴の形になる接着剤の樹脂化部を成形することを特徴とする車両用スポイラの製造方法。 - 前記拡孔部の前記接着剤と接する前記当て面の部分、又は前記凹穴の形になる前記接着剤と接する前記凹穴の穴壁面に、離型コーティング層を設けた請求項1記載の車両用スポイラの製造方法。
- 前記主部内面又は前記本体内面に堤状に隆起し、該主部内面又は該本体内面に塗布した前記接着剤が広がるのを規制して、前記硬化膜の膜面域を設定する堰を設けた請求項1又は2に記載の車両用スポイラの製造方法。
- 前記凹穴の穴底を平坦面に形成した請求項1乃至3のいずれか1項に記載の車両用スポイラの製造方法。
- 前記凹穴をなくし、前記拡孔部の拡孔出口周りに在る前記主部外面の部分と、該拡孔部の形になる前記樹脂化部の天面と、を平坦面に形成し且つ同一面上になるようにした請求項1乃至3のいずれか1項に記載の車両用スポイラの製造方法。
- 前記ロア部材をセットした前記第一型の前記凹穴に係る穴底と対向する該ロア部材の前記主部外面に窪みを形成した請求項4記載の車両用スポイラの製造方法。
- 前記アッパー部材を上向きにした前記本体内面に、接着剤を塗布した後、前記ロア部材の前記主部内面を下向きにして、双方の内面を近づけ、さらに貼り合わせて、前記アッパー部材と前記ロア部材とを圧着し一体化する請求項1乃至6のいずれか1項に記載の車両用スポイラの製造方法。
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