JP2021112804A - 切削工具用のシャンク、切削工具及び切削加工方法 - Google Patents

切削工具用のシャンク、切削工具及び切削加工方法 Download PDF

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Abstract

【課題】手持ち式の工具回転装置に切削工具を簡易に着脱できるようにしつつ、狭隘部であるか否かを問わず共通の切削工具で穿孔やリーマ加工等の切削加工を行える切削工具用シャンクを提供する。【解決手段】切削工具のボディ2を工具回転装置のチャックで保持するための円筒状又は円柱状の切削工具用のシャンク3であって、ボディの端部を接合するための接合5部と、接合部と一体化され、チャックで保持するための保持部6とを有し、保持部は、チャック側の端面からシャンクの長さ方向に第1の距離D1だけ離れた第1の位置P1に形成され、第1のチャックに着脱するための第1の着脱構造7Aと、チャック側の端面からシャンクの長さ方向に第1の距離よりも短い第2の距離D2だけ離れた第2の位置P2に形成され、第1のチャックよりもシャンクを差し込む長さが短い第2のチャックに着脱するための第2の着脱構造7Bとを有する。【選択図】図1

Description

本発明の実施形態は、切削工具用のシャンク、切削工具及び切削加工方法に関する。
従来、手持ち式の工具回転装置にドリルやリーマ等の切削工具を取り付けて穿孔等の切削加工を行う方法が知られている(例えば特許文献1参照)。典型的な手持ち式の工具回転装置にはチャックが設けられ、ドリルやリーマ等の切削工具のシャンクが工具回転装置のチャックに交換可能に保持される。
シャンクとチャックで構成されるツーリングシステムのうち、できるだけ少ない段取りで切削工具を交換できるようにした簡易な構造を有するシャンクとチャックが知られている(例えば非特許文献1参照)。このシャンクとチャックはクイックチェンジシャンク及びクイックチェンジシャンク用チャックという名称で流通している。
クイックチェンジシャンク及びクイックチェンジシャンク用チャックには、A−TYPEとB−TYPEがある。A−TYPEは通常の切削加工用の仕様であり、A−TYPEのクイックチェンジシャンク及びチャックはそれぞれQAシャンク及びQAチャックと呼ばれて流通している。一方、B−TYPEは狭隘部における切削加工用の仕様であり、B−TYPEのクイックチェンジシャンク及びチャックはそれぞれQBシャンク及びQBチャックと呼ばれて流通している。
図11は従来のQAシャンクの正面図であり、図12は図11に示す従来のQAシャンクの側面に半径方向に向かって形成される3つの止まり孔の位置における横断面図である。
図11及び図12に示すように、A−TYPEのクイックチェンジシャンクであるQAシャンクの寸法を含む形状は規格化されている。具体的には、QAシャンクは、円柱の側面に長さ方向が円柱の周方向となるように環状の溝を設け、かつ環状の溝の底面に等間隔に3つの止まり孔を深さ方向が円柱の半径方向となるように設けた形状を有している。
このような形状を有するQAシャンクは、3つのスチールボールを備えたQAチャックに着脱することができる。すなわち、正三角形の頂点となる位置に配置された3つのスチールボールをQAシャンクの半径方向にスライドさせ、QAシャンクに形成される3つの止まり孔にそれぞれ3つのスチールボールを挿入及び退避させることによって、QAシャンクをQAチャックに着脱することができる。
典型的なチャックは回転させて工具を保持することが必要であるのに対して、QAチャックは、エアカプラのように長さ方向にスライドする部材をスライドさせてスチールボールの位置を変化させるのみで、容易にQAシャンクを着脱することができる。
図13は従来のQBシャンクの正面図である。
図13に示すように、B−TYPEのクイックチェンジシャンクであるQBシャンクの寸法を含む形状も規格化されている。QBシャンクの長さは、QAシャンクの長さに比べて短い。このため、QBシャンクに設けられる3つの止まり孔の各中心軸の端面からの距離も、QAシャンクに設けられる3つの止まり孔の各中心軸の端面からの距離よりも短くなっている。QBシャンクの長さ及びQBシャンクの長さ方向における3つの止まり孔の位置以外のQBシャンクの形状についてはQAシャンクと同様である。
QBシャンクの長さはQAシャンクの長さよりも短いため、QBチャックの長さもQAチャックの長さより短くなる。このため、長さが短いQBチャックを典型的なコーナードリルのホルダとして採用することができる。すなわち、QBシャンク及びQBチャックを、狭隘部における切削加工用のシャンク及びチャックとして用いることができる。
実開平02−135108号公報
、[令和1年7月18日検索]、インターネット<URL:http://www.magnavon.com/catalog/quick>、MAGNAVON INDUSTRIESカタログ
しかしながら、QAシャンクをQBチャックに着脱することはできない。その理由は、QAシャンクの長さがQBチャックの挿入孔の深さよりも長く、QAシャンクの止まり孔の位置までQBチャックに差し込むことができないためである。逆に、長さが短いQBシャンクをQAチャックに取付けると剛性が不十分となり、切削工具の振れ幅が大きくなる。その結果、切削工具に欠けや破損が発生したり、被削材(ワーク)の加工品質が著しく劣化する場合がある。
従って、QAシャンクはQAチャックに、QBシャンクはQBチャックに、それぞれ取付けて使用することが必要である。また、典型的な工具回転装置にドリル等の切削工具を取付けて切削加工を行う場合には、コーナードリル等に切削工具を取付けて局所的な切削加工を行う場合に比べて切削抵抗が大きくなる加工条件で切削加工を行うことが加工効率の向上に繋がることから、剛性が確保されたQAシャンクを用いて切削工具を工具回転装置に取付けることが好ましい。つまり、あらゆる切削加工を行うためにQBシャンクとQBチャックを使用することは加工効率を向上させる観点から好ましくない。
このため、切削抵抗が小さくなる加工条件で切削加工を行わざるを得ない狭隘部と、切削抵抗が大きくなる加工条件で切削加工を行うべき狭隘部ではない部分の切削加工を行う場合には、コンパクトなQBシャンクを有する切削工具と、剛性が高いQAシャンクを有する切削工具の双方を準備することが必要となる。
そこで、本発明は、手持ち式の工具回転装置に切削工具を簡易に着脱できるようにしつつ、狭隘部であるか否かを問わず共通の切削工具で穿孔やリーマ加工等の切削加工を行えるようにすることを目的とする。
本発明の実施形態に係る切削工具用のシャンクは、切削工具のボディを工具回転装置のチャックで保持するための円筒状又は円柱状の切削工具用のシャンクであって、前記ボディの端部を接合するための接合部と、前記接合部と一体化され、前記チャックで保持するための保持部とを有し、前記保持部は、前記チャック側の端面から前記シャンクの長さ方向に第1の距離だけ離れた第1の位置に形成され、第1のチャックに着脱するための第1の着脱構造と、前記チャック側の端面から前記シャンクの長さ方向に前記第1の距離よりも短い第2の距離だけ離れた第2の位置に形成され、前記第1のチャックよりもシャンクを差し込む長さが短い第2のチャックに着脱するための第2の着脱構造とを有するものである。
また、本発明の実施形態に係る切削工具は、上述したシャンクと、先端に切れ刃を設ける一方、後端に前記シャンクを接合したボディとを有するものである。
また、本発明の実施形態に係る切削加工方法は、上述した切削工具で被削材を切削することによって製品又は半製品を製造するものである。
本発明の第1の実施形態に係るシャンクを有する切削工具の一例としてのドリルの正面図。 図1に示すドリルの切れ刃の形状を示す左側面図。 図1に示すドリルのシャンクに設けられる止まり孔の中心軸を含む断面における詳細寸法例を含む横断面図。 図1に示すシャンクの詳細寸法例を示す図。 図1に示すシャンクの別の詳細寸法例を示す図。 第2の実施形態に係るシャンクを有する切削工具の一例としてのドリルの正面図。 第3の実施形態に係るシャンクを有する切削工具の一例としてのドリルの切れ刃の第1の形状例を示す投影図。 第3の実施形態に係るシャンクを有する切削工具の一例としてのドリルの切れ刃の第2の形状例を示す投影図。 第3の実施形態に係るシャンクを有する切削工具の一例としてのドリルの切れ刃の第3の形状例を示す投影図。 第3の実施形態に係るシャンクを有する切削工具の一例としてのドリルの切れ刃の第4の形状例を示す投影図。 従来のQAシャンクの正面図。 図11に示す従来のQAシャンクの側面に半径方向に向かって形成される3つの止まり孔の位置における横断面図。 従来のQBシャンクの正面図。
本発明の実施形態に係る切削工具用のシャンク、切削工具及び切削加工方法について添付図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
(構成及び機能)
図1は本発明の第1の実施形態に係るシャンクを有する切削工具の一例としてのドリルの正面図、図2は図1に示すドリルの切れ刃の形状を示す左側面図、図3は図1に示すドリルのシャンクに設けられる止まり孔の中心軸を含む断面における詳細寸法例を含む横断面図、図4は図1に示すシャンクの詳細寸法例を示す図である。
切削工具の一例であるドリル1は、ボディ2とシャンク3で構成される。ボディ2もシャンク3も、ワークの材質に応じてダイス鋼や高速度鋼等のスチール或いは超硬等の所望の材料で構成することができる。もちろん、ダイヤモンド等でコーティングしても良い。
ボディ2の先端には切れ刃4が設けられる。一方、ボディ2の後端にシャンク3が接合される。シャンク3は、切削工具の一例であるドリル1のボディ2を手持ち式等の工具回転装置のチャックで保持するための円筒状又は円柱状の構成要素である。
従って、シャンク3の一端には、ボディ2の端部を接合するための接合部5が設けられ、シャンク3の他端には、工具回転装置のチャックで保持するための保持部6が設けられる。そして、接合部5と保持部6が一体化されることによってシャンク3が構成される。
ボディ2の後端をシャンク3にろう付けすることによって、ボディ2の端部をシャンク3に接合する場合には、接合部5にボディ2の端部を挿入してろう付けするための止まり孔5Aが設けられる。すなわち、シャンク3の接合部5は、ボディ2側が開口端であり、保持部6及びチャック側が閉口端である中空の円筒構造となる。
一方、シャンク3の保持部6は、第1のチャックの一例であるQAチャックと、第2のチャックの一例であるQBチャックの双方に着脱できる構造を有している。すなわち、シャンク3の保持部6は、QAチャックに着脱するための第1の着脱構造7Aと、QBチャックに着脱するための第2の着脱構造7Bとを有する。
第1の着脱構造7Aは、QAチャック側の端面からシャンク3の長さ方向に第1の距離D1だけ離れた第1の位置P1に形成される。一方、第2の着脱構造7Bは、QBチャック側の端面からシャンク3の長さ方向に第1の距離D1よりも短い第2の距離D2だけ離れた第2の位置P2に形成される。これは、QBチャックにシャンク3を差し込む長さが、QAチャックにシャンク3を差し込む長さよりも短いためである。
QAチャックは、正三角形の3つの頂点の位置に移動可能に配置された3つの球体でシャンクを保持する構造を有する。従って、シャンク3の保持部6をQAチャックに着脱できるようにするためには、図11に示す従来のQAシャンクと同様の構造をシャンク3の保持部6に設けることが必要である。
具体的には、シャンク3をQAチャックに着脱するための第1の着脱構造7Aとして、図示されるように、QAチャック側の端面からシャンク3の長さ方向に第1の距離D1だけ離れた第1の位置P1において最も深くなり、かつ長さ方向がシャンク3の周方向となるように形成された第1の環状の凹み8Aと、シャンク3の半径方向をそれぞれの深さ方向とし、かつ第1の位置P1においてシャンク3の長さ方向に垂直となる第1の平面上において各中心軸が120°の角度差で等間隔となっている第1の3つの止まり孔9Aを、保持部6に設けることが必要である。
同様に、QBチャックも正三角形の3つの頂点の位置に移動可能に配置された3つの球体でシャンクを保持する構造を有する。従って、シャンク3の保持部6をQBチャックに着脱できるようにするためには、図13に示す従来のQBシャンクと同様の構造をシャンク3の保持部6に設けることが必要である。
具体的には、シャンク3をQBチャックに着脱するための第2の着脱構造7Bとして、図示されるように、QBチャック側の端面からシャンク3の長さ方向に第2の距離D2だけ離れた第2の位置P2において最も深くなり、かつ長さ方向がシャンク3の周方向となるように形成された第2の環状の凹み8Bと、シャンク3の半径方向をそれぞれの深さ方向とし、かつ第2の位置P2においてシャンク3の長さ方向に垂直となる第2の平面上において各中心軸が120°の角度差で等間隔となっている第2の3つの止まり孔9Bを、保持部6に設けることが必要である。
尚、図3は、第1の3つの止まり孔9Aの各中心軸を含む横断面及び第2の3つの止まり孔9Bの各中心軸を含む横断面の双方の形状を表している。図示された例では、製造容易化の観点から第2の3つの止まり孔9Bの位置が、第1の3つの止まり孔9Aの位置をシャンク3の中心軸方向にそれぞれ平行移動した位置となっているが、機能的にはシャンク3の中心軸方向への相対的な平行移動に加えて、シャンク3の中心軸を中心に相対的に回転移動させた位置となるように、第1の3つの止まり孔9Aの位置及び第2の3つの止まり孔9Bの位置を決定することができる。
第1の環状の凹み8A及び第1の3つの止まり孔9Aが形成される第1の位置P1と、QAチャック側におけるシャンク3の端面との間における第1の距離D1は、図4に示すように、従来のQAシャンクと同様に10.9mmとなる。他方、第2の環状の凹み8B及び第2の3つの止まり孔9Bが形成される第2の位置P2と、QBチャック側におけるシャンク3の端面との間における第2の距離D2は、図4に示すように、従来のQBシャンクと同様に3.3mmとなる。
シャンク3全体の長さLは、接合部5の長さL1と保持部6の長さL2を合わせた長さとなる。保持部6には、第1の環状の凹み8Aと第1の3つの止まり孔9Aがシャンク3の端面から第1の距離D1=10.9mmだけ離れた第1の位置P1に形成される一方、第2の環状の凹み8Bと第2の3つの止まり孔9Bがシャンク3の端面から第2の距離D2=3.3mmだけ離れた第2の位置P2に形成されるため、保持部6の長さL2は、少なくとも第1の距離D1=10.9mmに第1の環状の凹み8Aの一部の幅を加えた長さとなる。一方、接合部5の長さL1は、少なくともボディ2の端部を十分な強度で接合するために必要な長さとすることが肝要である。
そこで、ドリルのボディとシャンクとの接合強度を評価するために、実際にドリル1の試作品、図11に示す従来のQAシャンクを取付けたドリル及び図13に示す従来のQBシャンクを取付けたドリルにトルク試験機でトルクを掛ける試験を行った。その結果、従来のQAシャンクのろう付けの長さは、従来のQBシャンクのろう付けの長さよりも長いが、少なくともQBシャンクのろう付けの長さが確保できれば、ドリルのボディとシャンクとの接合強度が十分となり、トルク試験機でドリルの先端にトルクを掛けるとシャンクのろう付け部分よりも先にドリルのボディが折れるかシャンクがチャックに対して滑ることが確認された。
従って、少なくとも従来のQBシャンクのろう付けの長さを確保できれば、図1に示すシャンク3の長さが従来のQBシャンクの長さよりも長かったとしても、ボディ2の端部を十分な強度で接合することができると考えられる。従来のQBシャンクの工具軸AX方向におけるろう付けの長さは5mmである。
そこで、図1に示すシャンク3を、銀ろう等のろう材を用いたろう付けによってボディ2と接合し、かつシャンク3の接合部5には、ボディ2の端部をろう付けするための止まり孔5Aを、深さLDが5mm以上となるように設けることができる。これにより、ボディ2の後端と、シャンク3の接合部5との間においてろう付けを行う範囲を、シャンク3の長さ方向において5mm以上の範囲とし、回転切削加工を行う上で、十分な接合強度を確保することができる。
そうすると、接合部5の長さL1は、少なくとも5mmの深さの止まり孔5Aを、止まり孔5Aの底面の厚さが確保できる程度の長さとなる。そこで、図4に例示されるように、シャンク3全体の長さLを、ボディ2との接合強度を確保しつつ、QAチャック及びQBチャックの双方に着脱できるように、19mmに決定することができる。
この場合、QAチャック及びQBチャックにシャンク3をセットした場合に、QAチャック及びQBチャックからのシャンク3の突き出し長さが短くなり、狭隘部の孔加工においてワークとの干渉を回避する観点から有利となる。換言すれば、シャンク3を含むドリル1のQAチャック及びQBチャックからの突き出し長さを短くし、ワークとの干渉を起きにくくすることができる。そのための、シャンク3全体の長さLの最小長さは図4に例示されるように19mmとなる。
他方、シャンク3全体の長さLを変えて行った試作試験の結果、表1に示すように、シャンク3全体の長さLを短くすると、切れ刃4の振れ幅が大きくなることが確認された。
Figure 2021112804
具体的には、シャンクからの突き出し長さが85mmとなるようにドリルのボディを、長さが約10mmの従来のQBシャンク、長さが19mmの図4に示すシャンク3、長さを24mmとした図1に示すシャンク3、長さが28mmの従来のQAシャンクにそれぞれろう付けしてボール盤にセットし、各ドリル先端における振れ幅をダイヤルゲージで測定した。
その結果、表1に示すように、長さが10mmである従来のQBシャンクの場合には振れ幅が1.7mm、長さが19mmのシャンク3の場合には振れ幅が0.8mm、長さが24mmのシャンク3の場合には振れ幅が0.6mm、長さが28mmである従来のQAシャンクの場合には振れ幅が0.5mmとなった。
従って、図4に例示される長さLを19mmとしたシャンク3を取付けたドリル1で、従来のQAシャンクを取付けたドリルと同じ切削抵抗が生じる切削条件で切削加工を行うと、従来のQAシャンクを取付けたドリルで切削加工を行う場合に比べて、切れ刃4の振れ幅が大きくなる。切れ刃4の振れ幅が大きくなると、切れ刃4に欠損が生じるリスクが大きくなる。
このため、従来のQAシャンクを取付けたドリルと同程度に切れ刃4の欠損リスクを低減させて工具寿命を確保する観点からは、シャンク3の長さLをQAシャンクの長さと同じく28mmにすることが適切であると考えられる。
図5は図1に示すシャンク3の別の詳細寸法例を示す図である。
図4はシャンク3の長さLを最小長さである19mmとした例を示しているのに対して、図5はシャンク3の長さLを、切れ刃4の振れ幅を小さくし、欠損リスクを低減できるように従来のQAシャンクの長さに合わせて28mmにした例を示している。図4に例示されるように、シャンク3の長さLを19mmにすればワークとの干渉を起こりにくくできる一方、図5に例示されるようにシャンク3の長さLを28mmにすれば、切れ刃4の欠損リスクを低減することができる。
また、シャンク3の長さLを19mmと28mmとの間における長さとし、ワークとの干渉回避と、切れ刃4の欠損リスクの低減を重要度に応じてバランスさせるようにしても良い。従って、シャンク3全体の長さLを19mm以上28mm以下の範囲とすることができる。シャンク3の長さLを19mmよりも長くする場合には、シャンク3の長さLを長くした分だけ止まり孔5Aの深さLDを5mmよりも深くしてろう付けによるボディ2の接合強度を向上させても良いし、逆にろう付けの労力を低減するために、止まり孔5Aの深さLDを5mmとしても良い。
一方、シャンク3全体の長さLのみならず、切れ刃4の形状を好適化することによっても、切れ刃4の欠損リスクを低減し、工具寿命を増加させることができる。換言すれば、切れ刃4の形状を好適化することによって切れ刃4の欠損リスクを低減すれば、シャンク3全体の長さLを短くしても、切れ刃4の欠損リスクの増加を抑えることができる。
具体例として、図1及び図2に例示されるように、切れ刃4の先端角を、先端において0°よりも大きく180°未満とし、先端側から後端側に向かって連続的に減少させることができる。他方、切れ刃4の逃げ面10と切削後におけるワークの表面とのなす角度である切れ刃4の逃げ角を、先端側から後端側に向かって連続的に減少させ、かつ切れ刃4の最大径位置において逃げ角が形成されるように切れ刃4の形状を設計することができる。
そうすると、ドリル1は、ワークの材質がガラス繊維強化プラスチック(GFRP:Glass Fiber Reinforced Plastics)や炭素繊維強化プラスチック(CFRP:Carbon Fiber Reinforced Plastics)等の繊維強化プラスチック(FRP:Fiber Reinforced Plastics)及び金属のいずれであっても穿孔可能なドリルとなる。すなわち、金属及びFRPの少なくとも一方からなるワークをドリル1で穿孔することによって、良好な品質で孔を設けた製品又は半製品を製造することが可能となる。尚、FRPは複合材とも呼ばれる。
そのメカニズムは以下の通りである。切れ刃4の先端における先端角が0°よりも大きく180°未満であるドリル1、すなわち、フラットドリルやろうそく研ぎドリルではないドリル1の切れ刃4の先端角を、工具軸AX方向に向かって後端側に連続的に減少させると欠損が発生し易い角が切れ刃4の稜線に生じないため欠損が生じるリスクを低減させることができる。
加えて、FRPを穿孔する場合にデラミネーション(層間剥離)の発生を低減できる。これは、ドリル1の先端側における相対的に大きな先端角を有する切れ刃4によるFRPの穿孔によってデラミネーションが一時的に発生しても、後方に続く相対的に小さな先端角を有する切れ刃4による穿孔では切削抵抗が小さくなり、デラミネーションが除去されるためである。
また、工具軸AXに平行な投影面上における切れ刃4の稜線の形状が放物線に近づく程、工具軸AX方向の単位長さ当たりの稜線が切削するワークの体積が均一となる。このため、切れ刃4全体に亘って切削抵抗を均一にできるという効果が得られる。切れ刃4全体に亘る切削抵抗を均一にできれば、FRPの穿孔時におけるデラミネーションやバリの発生のみならず、切れ刃4の摩耗を低減することが可能となる。
一方、工具軸AXに平行な投影面上における切れ刃4の稜線の形状を楕円に近づけると、工具軸AX方向の単位長さ当たりの稜線が切削するワークの体積を切れ刃4の後方程一定の割合で減少させることができる。このため、回転半径が異なることから切削速度が相対的に速い切れ刃4の後方における摩耗が、切削速度が相対的に遅い切れ刃4の前方における摩耗よりも先に進行してしまう事態を回避し、切れ刃4全体に亘る摩耗の進行の度合いを均一にできるという効果が得られる。切れ刃4全体に亘る摩耗の進行の度合いを均一にできれば、切れ刃4の寿命を向上させることができる。
従って、重視する効果に応じて投影面上における切れ刃4の稜線の形状を放物線又は楕円に近づけることができる。もちろん、投影面上において一部が楕円に近い形状となり、別の一部が放物線に近い形状となるように切れ刃4の稜線の形状を決定することもできる。
尚、工具軸AXに平行な投影面上における切れ刃4の稜線の形状を放物線又は楕円とすると、切れ刃4の先端における先端角が180°となってしまうため、切れ刃4の先端における先端角がワークの穿孔に好ましい角度で形成されるように、切れ刃4の稜線の形状を決定することが必要である。そこで、例えば、図1に例示されるように切れ刃4の稜線の先端付近のみ、投影面上において直線となるように切れ刃4の稜線の形状を決定することができる。
他方、切れ刃4の逃げ角を徐々に減少させると、切れ刃4の耐摩耗性を向上できるという効果が得られる。これは、切れ刃4の逃げ角を連続的に滑らかに減少させると、摩耗し易い角が切れ刃4の逃げ面に生じないためである。また、先端角が0°となった切れ刃4の最大径位置において逃げ角を形成すると、切れ刃4の先端側で加工した孔の内面に最大径位置の切れ刃4が平行に当たるため、バリを発生させることなくリーマ仕上げを行うことができる。その結果、ワークに良好な品質で孔を加工することができる。尚、切れ刃4の最大径位置における逃げ角は、切れ刃4の欠けや摩耗防止の観点から15°未満とすることが好ましい。
切れ刃4のすくい角、すなわち切れ刃4のすくい面11と、ワークの切削方向となる切れ刃4の回転方向に垂直な面とのなす角度については、ワークの材質に応じて決定することができる。切れ刃4のすくい角を0°、すなわち切れ刃4のすくい面をワークの切削面に対して垂直にすると、FRPを穿孔する際にデラミネーションを発生し難くする効果が得られる。これは、切れ刃4にすくい角を設けなければFRPが細かく削れ、FRPに含まれる繊維のほころびを低減できるためである。従って、FRPに加工する孔の品質を良好にすることを重視する場合には、切れ刃4のすくい角をゼロにすることができる。
逆に、切れ刃4にすくい角を設けると、金属を穿孔する際の穿孔条件を好適化することができる。従って、金属に加工する孔の品質を良好にすることを重視する場合には、切れ刃4にすくい角を設けるようにしても良い。尚、図2に示す例では、切れ刃4のすくい角が0°となっている。すなわち、切れ刃4にすくい角が設けられていない。
このように、工具寿命の改善と良好な品質で孔を加工できるように形状が特殊化された切れ刃4を有するボディ2を、シャンク3と接合することにより、シャンク3の長さ等の形状に自由度を持たせることが可能となるのみならず、QAチャックやQBチャック等の剛性やシャンク3の差し込み長さが異なるチャックでシャンク3を保持しても、ワークに良好な品質で孔を加工することが可能となる。
以上のような切削工具用のシャンク3並びにシャンク3を取付けたドリル1に代表される切削工具は、QAチャック及びQBチャック等の剛性及び差し込み長さが異なる複数のチャックのいずれでも保持できるように、従来のQAシャンクに形成される第1の着脱構造7Aと、従来のQBシャンクに形成される第2の着脱構造7Bの双方を設けたものである。
(効果)
このため、シャンク3を用いれば、手持ち式の工具回転装置に切削工具を簡易に着脱できるようにしつつ、狭隘部であるか否かを問わず共通の切削工具で穿孔やリーマ加工等の切削加工を行うことが可能となる。具体的には、シャンク3を取付けた切削工具であれば、QAチャックとQBチャックの両方に取付けることができる。このため、QAチャック用の切削工具と、QBチャック用の切削工具をそれぞれ製作せずに、共通の切削工具を使用することができる。
加えて、シャンク3とボディ2の接合方法や切れ刃4の形状を適切に決定することによって、剛性や差し込み長さが異なるQAチャックとQBチャックでドリル1を保持しても、ワークに良好な品質で孔加工を行うことが可能となるのみならず、ドリル1の工具寿命の低下も回避することができる。
実際に、図1に示すシャンク3を有する直径が0.1935inchのドリル1を回転数が2900rpm程度の手持ち式の工具回転装置に取付けて、穿孔板と穿孔ブッシュで位置決めされた厚さが12.6mmのCFRPに10箇所程度の孔を加工する試験を行った。その結果、良好な精度及び品質で孔を加工できることが確認された。
(第2の実施形態)
図6は第2の実施形態に係るシャンクを有する切削工具の一例としてのドリルの正面図である。
図6に示された第2の実施形態におけるドリル1Aは、切れ刃4を含むボディ2の形状が第1の実施形態におけるドリル1と相違する。第2の実施形態におけるドリル1Aの他の構成及び作用については第1の実施形態におけるドリル1と実質的に異ならないためドリル1Aの正面図のみ図示し、同一の構成又は対応する構成については同符号を付して説明を省略する。
第2の実施形態におけるドリル1Aの切れ刃4は、第1の切れ刃4A、第2の切れ刃4B及びマージン4Cを有する。第1の切れ刃4Aは、切れ刃4の先端側に形成され、ワークに下孔を穿孔するための切れ刃である。一方、第2の切れ刃4Bは、第1の切れ刃4から後端側に離れた位置に形成されることによって下孔のリーマ加工を行うための切れ刃である。従って、第2の切れ刃4Bは、リーマ刃である。
第1の切れ刃4Aは、第1の実施形態における切れ刃4と同様に、先端において0°よりも大きく180°未満である先端角が先端側から後端側に向かって連続的に減少する一方、逃げ角も先端側から後端側に向かって連続的に減少する形状を有している。このため、第1の実施形態で説明したメカニズムによって、FRP及び金属のいずれを穿孔する場合であっても、工具の摩耗を図りつつワークに下孔を加工することができる。
他方、リーマ刃として機能する第2の切れ刃4Bの最大径位置には逃げ角が形成される。このため、第1の実施形態で説明したメカニズムと同様に、第1の切れ刃4Aで加工した下孔の内面に最大径位置の第2の切れ刃4Bが平行に当たるため、バリを発生させることなくリーマ仕上げを行うことができる。その結果、FRP及び金属のいずれを穿孔する場合であっても、ワークに良好な品質で孔を加工することができる。
加えて、第1の切れ刃4Aと第2の切れ刃4Bとの間には、第1の切れ刃4Aで加工された下孔に挿入されることによって第2の切れ刃4Bの振れを低減させるマージン4Cが形成される。このため、第2の切れ刃4Bで孔のリーマ仕上げ加工を行う際における第2の切れ刃4Bの振れを防止することができる。
更に第2の切れ刃4Bの後端側に、第2の切れ刃4Bと連続するマージン20を設けることもできる。そうすると、第2の切れ刃4Bの前方にあるマージン4Cと、第2の切れ刃4Bの後方にあるマージン20で、第2の切れ刃4Bの両側から第2の切れ刃4Bの振れを抑止することができる。
その結果、ドリル1Aのシャンク3を、剛性及び差し込み長さが異なるQAチャック及びQBチャックのいずれに取付けても、孔のリーマ仕上げ加工時における第2の切れ刃4Bの振れ幅を飛躍的に低減することができる。このため、シャンク3の長さを、例えば、図4に例示されるように短くしても、第1の切れ刃4A及び第2の切れ刃4Bの欠損リスクを低減しつつ、良好な品質で孔を加工することが可能となる。
以上の第2の実施形態におけるドリル1Aは、ドリル1Aの切れ刃4及び切れ刃4の後方の少なくとも一方にマージン4C、20を形成することによって、ドリル1Aのシャンク3を、剛性及び差し込み長さが異なるQAチャック及びQBチャックのいずれに取付けても、ドリル1Aの切れ刃4の振れ幅が大きくならないようにしたものである。このため、第2の実施形態によれば、共通の形状を有するシャンク3をQAチャック及びQBチャックの双方に取付けることによって生じる切れ刃4の振れ幅の拡大という弊害を一層回避することができる。その結果、ドリル1Aの欠損リスクの一層の低下と、穿孔品質の一層の向上を図ることができる。
(第3の実施形態)
図7は第3の実施形態に係るシャンクを有する切削工具の一例としてのドリルの切れ刃の第1の形状例を示す投影図、図8は第3の実施形態に係るシャンクを有する切削工具の一例としてのドリルの切れ刃の第2の形状例を示す投影図、図9は第3の実施形態に係るシャンクを有する切削工具の一例としてのドリルの切れ刃の第3の形状例を示す投影図、図10は第3の実施形態に係るシャンクを有する切削工具の一例としてのドリルの切れ刃の第4の形状例を示す投影図である。
図7乃至図10に示された第3の実施形態におけるドリル1Bは、切れ刃4の形状が第1の実施形態におけるドリル1と相違する。第3の実施形態におけるドリル1Bの他の構成及び作用については第1の実施形態におけるドリル1と実質的に異ならないため切れ刃4の投影図のみ図示し、同一の構成又は対応する構成については同符号を付して説明を省略する。
図7乃至図10は、ドリル1Bの切れ刃4を回転させて工具軸AXに平行な投影面上に投影して得られる形状を示している。図7乃至図10に例示されるように、切れ刃4の先端角及び逃げ角を、ドリル1Bの先端側から後端側に向かって連続的に減少させる代わりに、断続的に減少させても良い。その場合、ドリル1Bは複数の先端角を有する多角ドリルとなる。
具体例として、図7に例示されるように工具軸AXに平行な投影面上において、工具軸AXの投影線を中心として線対称な単一の放物線を基準線RLとし、各両端の位置が単一の放物線上となっている6本以上の複数の線分を連結した、工具軸AXの投影線を中心に線対称な折れ線が切れ刃4の稜線の投影線となるように切れ刃4の形状を決定することができる。この場合、切れ刃4は、少なくとも3つ以上の先端角α1、α2、α3を有する3段以上の多段切れ刃となる。尚、基準線RLを放物線から楕円に置き換えても良い。
或いは、図8に例示されるように工具軸AXに平行な投影面上において、工具軸AXの投影線を中心として線対称な単一の放物線を基準線RLとし、それぞれ単一の放物線に接する8本以上の複数の線分を連結した、工具軸AXの投影線を中心に線対称な折れ線が切れ刃4の稜線の投影線となるように切れ刃4の形状を決定することができる。この場合、切れ刃4は、少なくとも4つ以上の先端角α1、α2、α3、α4を有する4段以上の多段切れ刃となる。尚、基準線RLを放物線から楕円に置き換えても良い。
別の例として、図9に例示されるように工具軸AXに平行な投影面上において、工具軸AXの投影線を中心として線対称な2本の楕円を基準線RLとし、各両端の位置が工具軸AXの投影線に近い側の2本の楕円上となっている6本以上の複数の線分を連結した、工具軸AXの投影線を中心に線対称な折れ線が切れ刃4の稜線の投影線となるように切れ刃4の形状を決定することができる。この場合、切れ刃4は、少なくとも3つ以上の先端角α1、α2、α3を有する3段以上の多段切れ刃となり、図9に示す例では、4つの先端角α1、α2、α3、α4が形成されている。尚、基準線RLを2本の楕円から2本の放物線に置き換えても良い。
更に別の例として、図10に例示されるように工具軸AXに平行な投影面上において、切れ刃4の稜線の投影線となる折れ線を構成する複数の線分の一部を放物線や楕円等の基準線RLに接する線分とし、他の一部を両端が基準線RL上にある線分としても良い。図10に示す例では、切れ刃4の最大の先端角α1を形成する稜線の投影線が工具軸AXの投影線を中心として線対称な単一の放物線又は楕円からなる基準線RLに接する2本の線対称な線分となっており、その他の先端角α2、α3、α4を形成する稜線の投影線が、各両端が基準線RL上にある線対称な線分となっている。
尚、工具軸AXに平行な投影面上において切れ刃4の稜線の投影線を構成する線分の一部を円弧等の曲線に置き換えても良い。例えば、線分と線分との間を円弧で連結すれば、切れ刃4の形状を角の無い滑らかな形状にすることができる。その場合、切れ刃4に欠けが生じるリスクを低減し、工具寿命を長くすることができる。
先端における最大の先端角を形成する稜線の投影線を構成する線分を除く全ての線分を円弧等の曲線に置き換えたものは、第1の実施形態で例示したドリル1の切れ刃4の一例に相当する。特に、先端における最大の先端角を形成する切れ刃4の稜線の投影線のみが線分となり、他の稜線の部分の投影線が異なる半径を有する円弧を滑らかに連結した曲線となるように、切れ刃4の稜線の形状を決定することが設計及び製造の容易化の観点から実用的である。
以上の第3の実施形態によれば、切れ刃4の各稜線の形状を単純化し、製造労力及び製造コストを低減することができる。もちろん、第2の実施形態におけるドリル1Aの切れ刃4を構成する第1の切れ刃4Aの形状を図7乃至図10に例示されるように単純化しても良い。
(他の実施形態)
以上、特定の実施形態について記載したが、記載された実施形態は一例に過ぎず、発明の範囲を限定するものではない。ここに記載された新規な方法及び装置は、様々な他の様式で具現化することができる。また、ここに記載された方法及び装置の様式において、発明の要旨から逸脱しない範囲で、種々の省略、置換及び変更を行うことができる。添付された請求の範囲及びその均等物は、発明の範囲及び要旨に包含されているものとして、そのような種々の様式及び変形例を含んでいる。
例えば、上述した各実施形態では、ドリル1、1Aが直刃ドリルである場合の例を示しているが、ツイスト(ねじれ)ドリルとしても良い。また、上述した各実施形態では、切削工具が特殊な形状を有するドリル1、1Aである場合について説明したが、切削工具が単純な形状を有するドリルや他の特殊な形状を有するドリルである場合はもちろん、切削工具が単純なリーマ、エンドミル或いはサイドカッタ等の回転切削工具である場合においても、同様にリーマ刃等の切れ刃を先端に形成したボディとシャンク3で回転切削工具を構成することができる。
1、1A、1B ドリル
2 ボディ
3 シャンク
4 切れ刃
4A 第1の切れ刃
4B 第2の切れ刃
4C マージン
5 接合部
5A 止まり孔
6 保持部
7A 第1の着脱構造
7B 第2の着脱構造
8A 第1の環状の凹み
8B 第2の環状の凹み
9A 第1の止まり孔
9B 第2の止まり孔
10 逃げ面
11 すくい面
20 マージン
AX 工具軸
D1 第1の距離
D2 第2の距離
P1 第1の位置
P2 第2の位置
RL 基準線
L シャンクの長さ
L1 接合部の長さ
L2 保持部の長さ
LD 止まり孔の深さ
α1、α2、α3、α4 先端角

Claims (10)

  1. 切削工具のボディを工具回転装置のチャックで保持するための円筒状又は円柱状の切削工具用のシャンクであって、
    前記ボディの端部を接合するための接合部と、
    前記接合部と一体化され、前記チャックで保持するための保持部と、
    を有し、
    前記保持部は、
    前記チャック側の端面から前記シャンクの長さ方向に第1の距離だけ離れた第1の位置に形成され、第1のチャックに着脱するための第1の着脱構造と、
    前記チャック側の端面から前記シャンクの長さ方向に前記第1の距離よりも短い第2の距離だけ離れた第2の位置に形成され、前記第1のチャックよりもシャンクを差し込む長さが短い第2のチャックに着脱するための第2の着脱構造と、
    を有する切削工具用のシャンク。
  2. 前記第1の着脱構造は、正三角形の3つの頂点の位置に移動可能に配置された第1の3つの球体でシャンクを保持する構造を有する前記第1のチャックに着脱できるように、
    前記第1の位置において最も深くなり、かつ長さ方向が前記シャンクの周方向となるように形成された第1の環状の凹みと、
    前記シャンクの半径方向をそれぞれの深さ方向とし、かつ前記第1の位置において前記シャンクの長さ方向に垂直となる第1の平面上において各中心軸が120°の角度差で等間隔となっている第1の3つの止まり孔と、
    を有する一方、
    前記第2の着脱構造は、正三角形の3つの頂点の位置に移動可能に配置された第2の3つの球体でシャンクを保持する構造を有する前記第2のチャックに着脱できるように、
    前記第2の位置において最も深くなり、かつ長さ方向が前記シャンクの周方向となるように形成された第2の環状の凹みと、
    前記シャンクの半径方向をそれぞれの深さ方向とし、かつ前記第2の位置において前記シャンクの長さ方向に垂直となる第2の平面上において各中心軸が120°の角度差で等間隔となっている第2の3つの止まり孔と、
    を有する請求項1記載の切削工具用のシャンク。
  3. 前記第1の距離を10.9mmとする一方、前記第2の距離を3.3mmとした請求項2記載の切削工具用のシャンク。
  4. 前記接合部の長さと前記保持部の長さを合わせた前記シャンク全体の長さを19mm以上28mm以下とした請求項3記載の切削工具用のシャンク。
  5. 前記接合部は、前記ボディの端部を挿入してろう付けするための止まり孔を有する請求項1乃至4のいずれか1項に記載の切削工具用のシャンク
  6. 前記ろう付けするための止まり孔の深さを5mm以上とした請求項5記載の切削工具用のシャンク。
  7. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載のシャンクと、
    先端に切れ刃を設ける一方、後端に前記シャンクを接合したボディと、
    を有する切削工具。
  8. 前記ボディの前記後端を前記シャンクにろう付けした請求項7記載の切削工具。
  9. 前記ろう付けを行う範囲を、前記シャンクの長さ方向において5mm以上の範囲とした請求項8記載の切削工具。
  10. 請求項7乃至9のいずれか1項に記載の切削工具で被削材を切削することによって製品又は半製品を製造する切削加工方法。
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