JPH0852617A - ガンリーマ - Google Patents

ガンリーマ

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Publication number
JPH0852617A
JPH0852617A JP18967494A JP18967494A JPH0852617A JP H0852617 A JPH0852617 A JP H0852617A JP 18967494 A JP18967494 A JP 18967494A JP 18967494 A JP18967494 A JP 18967494A JP H0852617 A JPH0852617 A JP H0852617A
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JP
Japan
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tool
cutting edge
blade
margin
rotation direction
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JP18967494A
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English (en)
Inventor
Yuichi Kodera
雄一 小寺
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Mitsubishi Materials Corp
Original Assignee
Mitsubishi Materials Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 工具本体11の先端に設けられた刃部14に
形成された切屑排出溝17の工具回転方向を向く壁面1
4Aの先端外周側の稜線部に切刃18が形成される一
方、刃部14の外周には工具回転方向後方側に順にマー
ジン部20とベアリング部21とパット部22とが形成
されている。このベアリング部21の工具回転方向後端
縁21Aを切刃18の位置から工具軸線Oを中心に工具
回転方向後方に180°〜190°の範囲内に配置し、
またマージン部20およびパット部22の工具周方向の
幅W20,W22を切刃18の外径Dに対してそれぞれ0.
005×D〜0.02×Dの範囲内に設定し、さらにマ
ージン部20、ベアリング部21、およびパット部22
の外周面に0.01/100〜0.02/100のバッ
クテーパを与える。 【効果】 数μm単位の極めて高い加工精度を得ること
ができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、特に深穴加工の仕上げ
工程等において、ドリル等により形成された下穴を所定
の寸法に拡径するガンリーマに関するものである。
【0002】
【従来の技術】この種のガンリーマとしては、例えば図
3および図4に示すようなものが一般的に知られてい
る。このガンリーマでは、軸状を呈する工具本体1の先
端に、超硬合金等の硬質材料から成る切刃チップ2がろ
う付けにより取り付けられて刃部3が設けられた構成と
されている。そして、この刃部3の外周には、工具本体
1の回転軸線O方向に沿って切屑排出溝4が形成され、
さらにこの切屑排出溝4の工具回転方向(図中白抜き矢
線方向)を向く壁面4Aの先端側および外周側の稜線部
に切刃5が形成されている。なお、図示の例において
は、上記壁面4Aの先端外周側の角部に、ダイヤモンド
やCBN(立方晶窒化硼素)を主成分とする超高硬度焼
結体6Aと超硬合金等の高硬度焼結体6Bとを積層して
成る層状焼結体6が、その超高硬度焼結体6Aの部分を
工具回転方向に向けて接合されており、上記切刃5はこ
の層状焼結体6の超高硬度焼結体6Aの部分に形成され
ている。
【0003】一方、この刃部3の外周には、上記切刃5
に沿って上記切屑排出溝4の工具回転方向後方に隣接す
るようにマージン部7が形成されるとともに、このマー
ジン部7の工具回転方向後方側には、ガイド部としてベ
アリング部8が形成されている。また、このベアリング
部8のさらに工具回転方向後方側には、切屑排出溝4の
工具回転方向側に隣接するように、第2のガイド部とし
てパット部9が形成されている。なお、これらマージン
部7とベアリング部8との間、およびベアリング部8と
パット部9との間は、これらマージン部7、ベアリング
部8、およびパット部9に対して工具内周側に僅かに凹
んで逃げが与えられた外周逃げ面10とされている。
【0004】このようなガンリーマでは、上記マージン
部7、ベアリング部8、およびパット部9の外周面は、
上記軸線Oを中心として切刃5の外径と等しい半径の略
円筒面状に形成されている。そして、切刃5により切削
された加工穴の内周がこれらマージン部7、ベアリング
部8、およびパット部9に擦られることによる、いわゆ
るバニシング効果により平滑な内周面が得られるととも
に、該マージン部7、ベアリング部8、およびパット部
9がこの加工穴の内周面に摺接しながら刃部3が前進す
るために、加工穴の中心軸に工具本体1の上記軸線Oが
一致するように刃部3が案内されることとなり、これに
よって刃部3の振れが抑えられて工具本体1の直進性が
確保され、精度の高い穴加工がなされるように図られて
いる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、近年、この
種の機械加工に対して、より一層の高精度化が求められ
るようになってきており、特に上述のようなガンリーマ
による加工は穴加工の仕上げ工程とされるため、仕上げ
面の面粗度、加工穴の真円度および拡大代などについ
て、μm単位の極めて高い精度が要求されるようになっ
てきている。
【0006】また、その一方で、このような穴加工が施
される被加工材についても、従来一般的であった鋼材か
らアルミニウム合金や焼結合金など、多種多様な材質が
その対象とされるようになってきている。しかしなが
ら、これらのアルミニウム合金や焼結合金より成る被加
工材を上述のようなガンリーマによって穴加工する場合
には、切刃5によって削り取られる際に被加工材が弾性
変形を起こして加工穴の内周が僅かに拡径し、この拡径
した穴の内周が切刃5が通過した直後に瞬時に縮径して
しまうことが知られている。そして、その後にマージン
部7、ベアリング部8、およびパット部9がこの内周に
摺接することとなるので、これらマージン部7、ベアリ
ング部8、パット部9は加工穴の内周面に締め込まれて
押圧されながら回転され、これによって加工穴の内周と
マージン部7、ベアリング部8、あるいはパット部9と
の間に溶着が生じたり、この溶着から加工穴の内周面に
むしれが発生したりして、加工の高精度化が著しく妨げ
られるという問題が惹起される。
【0007】本発明は、このような背景の下になされた
ものであって、鋼材等を被加工材とする場合は勿論、た
とえアルミニウム合金や焼結合金を被加工材とする穴加
工であっても、μm単位の極めて高精度の穴加工が可能
なガンリーマを提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】ここで、このような目的
を達成するために、本発明の発明者がガンリーマによる
穴加工について種々の実験を試みたところ、上述のよう
な被加工材の穴加工の高精度化には、特に工具本体の周
方向における切刃に対するベアリング部の位置、切刃の
外径に対するマージン部およびパット部の幅、およびこ
れらマージン部、ベアリング部、およびパット部の外周
面に与えられるバックテーパの大きさを最適に設定する
ことが重要であるという知見を得るに至った。
【0009】本発明は、このような知見に基づいて、軸
線回りに回転される工具本体の先端に設けられた刃部
に、上記軸線方向に沿って延びる切屑排出溝が形成さ
れ、この切屑排出溝の工具回転方向を向く壁面の先端外
周側の稜線部に切刃が形成される一方、上記刃部の外周
には、上記切屑排出溝の工具回転方向後方側に隣接する
マージン部と、このマージン部の工具回転方向後方に間
隔をおいて配置されるベアリング部と、このベアリング
部のさらに工具回転方向後方に間隔をおいて配置されて
上記切屑排出溝の工具回転方向側に隣接するパット部と
が形成されて成るガンリーマにおいて、上記ベアリング
部の工具回転方向後端の位置を、上記切刃の位置から上
記軸線を中心として工具回転方向後方に180°〜19
0°の範囲内に配置し、また上記マージン部およびパッ
ト部の工具周方向の幅を、上記切刃の外径Dに対してそ
れぞれ0.005×D〜0.02×Dの範囲内に設定
し、さらに上記マージン部、ベアリング部、およびパッ
ト部の外周面に、上記工具本体の基端側に向けて0.0
1/100〜0.02/100のバックテーパを与えた
ことを特徴とする。
【0010】
【作用】このような構成のガンリーマにおいて、まず工
具本体の周方向における切刃に対するベアリング部の位
置については、このベアリング部の工具回転方向後端の
位置が、切刃の位置から上記軸線を中心として工具回転
方向後方に180°の位置よりも工具回転方向側にある
と、軸線を挟んで切刃の反対側にベアリング部が存在し
なくなり、このため切刃に作用する切削力のうち特に工
具の径方向に作用する背分力によって刃部に振れが生じ
てしまい、穴精度の劣化を招いてしまう。その一方で、
このベアリング部の後端の位置が、切刃の位置から工具
回転方向後方に190°を越えるほど後方側すぎると、
ベアリング部の周方向の幅が大きくなって加工穴内周と
の接触面積が増大し、これに伴い摩擦抵抗および摩擦熱
も増大して溶着を引き起こす結果となる。
【0011】また、マージン部またはパット部の工具周
方向の幅が、切刃の外径Dに対して0.005×Dを下
回るほど小さいと、これらマージン部やパット部による
上述のバニシング効果が奏功されなかったり、刃部の案
内性が損なわれたりする。その一方で、これらマージン
部またはパット部の周方向の幅が切刃の外径Dに対して
0.02×Dを上回るほど大きいと、上記ベアリング部
の場合と同様に、これらマージン部またはパット部と加
工穴の内周との摩擦抵抗や摩擦熱が増大して溶着が発生
し易くなる。
【0012】さらに、これらマージン部、ベアリング
部、およびパット部の外周面が完全な円筒面状であった
り、あるいはバックテーパが与えられていても、その大
きさが0.01/100を下回るほど小さいと、やはり
マージン部、ベアリング部、およびパット部と加工穴と
の接触が大きくなりすぎ、摩擦抵抗および摩擦熱の増加
から溶着を引き起こして加工面精度の劣化を招いてしま
う。また、逆にこのバックテーパ量が0.02/100
を上回るほど大きいと、マージン部、ベアリング部、お
よびパット部による刃部の案内性が損なわれて不安定と
なり、振れが生じ易くなってしまう。これは、特に、後
述するブッシュが工具本体に備えられていない場合によ
り顕著となる。
【0013】なお、このようなガンリーマにおいては、
加工効率を向上させるために切刃を2枚刃としたものも
提案されているが、このような2枚刃のガンリーマでは
両切刃が軸線Oに対して正確に対称位置に形成されてい
ないと、切刃に作用する切削力のバランスが崩れて真円
度等の劣化を招くおそれがある。このため、本発明のよ
うに、特に高い加工精度の達成を目的とする場合には、
切刃は一枚刃とされるのが望ましい。なお、加工効率の
向上のために多刃化を図るのならば、3枚刃とするのが
好ましい。また、刃部の直進性を向上させて加工面精度
の一層の安定化を図るには、工具本体の刃部の基端側
に、刃部を案内するブッシュを設けることが望ましい。
【0014】さらに、このようなガンリーマ等による穴
加工では、刃部と加工穴との潤滑や切粉の排出、あるい
は切刃や加工穴の切削部位の冷却等のために、刃部側に
切削油剤を供給しながら加工を行うことが多いが、特に
切刃に向けてこの切削油剤を集中的に供給して切刃や加
工穴の切削部位の効率的な冷却を図るには、上記工具本
体にその基端側から刃部に向けて切削油剤を供給する供
給路を形成し、この供給路の先端を上記切屑排出溝内に
開口するように形成するのが望ましい。さらにまた、切
刃に高い強度と耐摩耗性とを与えるには、上記切屑排出
溝の壁面の先端外周側の角部に、超高硬度焼結体と高硬
度焼結体とを積層して成る層状焼結体を、超高硬度焼結
体の部分を工具回転方向側に向けて接合し、上記切刃を
この超高硬度焼結体上に形成するのが望ましい。
【0015】
【実施例】図1および図2は、本発明の一実施例を示す
ものである。これらの図において工具本体11は、軸状
のシャンク12の先端に、超硬合金等の硬質材料から成
る軸状の切刃チップ13がろう付けにより取り付けられ
て、刃部14が設けられた構成となっている。また、こ
のシャンク12の基端部には、当該工具本体11を工作
機械の主軸端等に装着するためのドライバー部15が設
けられている。なお、このシャンク12の内部には、工
具本体11の回転軸線Oに沿って上記ドライバー部15
の基端面から先端側に向けて、切削油剤の供給路16が
形成されている。
【0016】上記刃部14の外周には、上記軸線Oに直
交する断面において略V字型をなして外周側に開口する
1条の切屑排出溝17が、該軸線Oに平行に刃部14の
先端から基端側に向けて形成されており、この切屑排出
溝17の工具回転方向(図中白抜き矢線方向)を向く壁
面17Aの先端外周側の稜線部に、切刃18が形成され
ている。なお、この切刃18が形成される上記壁面17
Aは、本実施例では上記軸線Oを含む平面内に配置され
るように形成されている。そして、シャンク12に形成
された上記切削油剤の供給路16は、その先端が切刃チ
ップ13内にまで延設されてこの切屑排出溝17の後端
側の壁部17Bに開口され、該切屑排出溝17内に連通
するようになされている。
【0017】また、本実施例では、上記壁面17Aの先
端外周側の角部に、この壁面17Aから一段凹むように
して1/4円形の凹部17Cが形成されており、この凹
部17Cに、ダイヤモンドやCBNを主成分とする超高
硬度焼結体19Aと超硬合金等の高硬度焼結体19Bと
を積層して成る層状焼結体19が、その超高硬度焼結体
19Aの部分を工具回転方向に向け、高硬度焼結体19
Bの部分がろう付けされることにより接合されている。
ここで、上記超高硬度焼結体19Aの部分の工具回転方
向を向く面19aおよび工具外周側を向く面19bは、
それぞれ上記壁面17Aおよび後述するマージン部の外
周面にそれぞれ面一に形成されており、上記切刃18
は、この層状焼結体19の超高硬度焼結体19Aの部分
において、上記面19aの辺稜部に形成されている。
【0018】一方、刃部14の外周には、切屑排出溝1
7の工具回転方向後方に連なり、上記切刃18の工具外
周側の部分に沿って軸線O方向に平行に延びるようにマ
ージン部20が形成されている。このマージン部20
は、その外周面が工具基端側に向かうに従い工具内周側
に向けて僅かに傾斜する略円筒面状とされて、この外周
面にバックテーパが与えられるように形成されており、
このバックテーパ量は、本実施例では0.01/100
とされている。また、このマージン部20の工具周方向
における幅W20は、本実施例では切刃18の外径Dに対
して0.01×Dとされている。
【0019】さらに、このマージン部20の工具回転方
向後方には、該マージン部20から周方向に間隔をおい
てベアリング部21が形成されている。このベアリング
部21もマージン部20と同様、その外周面が0.01
/100のバックテーパが与えられた略円筒面状とされ
ており、軸線O方向に平行に延びるように形成されてい
る。ここで、このベアリング部21の工具回転方向にお
ける後端縁21Aは、工具周方向において軸線Oを挟ん
で切刃18の反対側の位置よりも工具回転方向後方側に
位置するように配置されており、本実施例ではこの後端
縁21Aは、切刃18の位置から軸線Oを中心として工
具回転方向後方に185°の位置に配されるようになさ
れている。
【0020】さらにまた、このベアリング部21のさら
に工具回転方向後方には、やはり該ベアリング部21か
ら工具周方向に間隔をおいて、切屑排出溝17の工具回
転方向側の稜線部に沿って軸線O方向に平行に延びるよ
うに、パット部22が形成されている。このパット部2
2もまた上記マージン部20やベアリング部21と同
様、その外周面が0.01/100のバックテーパが与
えられた略円筒面状とされており、その工具周方向の幅
22は、マージン部20と同様、本実施例では切刃18
の外径Dに対して0.01×Dに設定されている。ま
た、このパット部22は、上記マージン部20に対して
は、軸線Oを中心として該マージン部20の工具回転方
向側に略90°の位置に配置されている一方、ベアリン
グ部21に対しては、軸線Oを挟んで該ベアリング部2
1の工具回転方向前端縁21Bの反対側の位置よりも工
具回転方向後方側に位置するように配置されている。
【0021】なお、工具周方向において刃部14の外周
の上記マージン部20とベアリング部21の前端縁21
Bとの間、およびベアリング部21の後端縁21Aとパ
ット部22との間の部分は、これらマージン部20、ベ
アリング部21、およびパット部22の外周面に対し工
具内周側に僅かに凹んで刃部14の外周逃げ面14A,
14Bとされており、穴加工時にこれら外周逃げ面14
A,14Bと加工穴の内周との間に間隙(オイルクリア
ランス)が画成されるようになされている。また本実施
例では、上記シャンク12の先端外周部において、軸線
O方向に切刃18の基端側の位置と、この位置の工具周
方向反対側の位置とに、軸線O方向に沿って凹溝23,
23が形成されており、これらの凹溝23,23に超硬
合金より成るブッシュ24,24が装入されて固着さ
れ、ガイドブッシュ部25が設けられている。ここで、
これらのブッシュ24,24の外周面は、軸線Oと同軸
で切刃18の外径Dと等しい径の円筒面状に形成されて
いる。
【0022】このような構成の本実施例のガンリーマを
用いて、アルミニウム合金より成る被加工材および焼結
合金より成る被加工材に、種々の加工条件の下で穴加工
を施す試験を行った。この穴加工試験により得られた結
果、すなわち加工穴の穴精度を、該加工穴の面粗度、真
円度、および拡大代について、加工条件とともに表1に
示す。ただし、これらの穴加工試験においては、工作機
械側から上記切削油剤の供給路16を介して、油性の切
削油剤を20kg/cm2の突出圧力で供給しながら加工を行
った。
【0023】
【0024】表1の結果より、本実施例のガンリーマに
よれば、いずれの加工条件においても数μm程度の極め
て高い穴精度で加工を行うことが可能であることが解
る。これは、本発明によって工具本体11の周方向にお
ける切刃18に対するベアリング部21の位置、切刃1
8の外径Dに対するマージン部20およびパット部22
の幅W20,W22の大きさ、およびこれらマージン部2
0、ベアリング部21、パット部22の外周面に与えら
れるバックテーパの大きさが最適に設定されたことによ
るものと判断される。なお、ここで表1において拡大代
についての結果が負の値となっているのは、上述したよ
うに被加工材であるアルミニウム合金や焼結合金の弾性
変形によって加工穴の収縮が生じたためである。
【0025】ここで、本実施例では、工具本体11の周
方向におけるベアリング部21の工具回転方向後端縁2
1Aの位置が、切刃18の位置から軸線Oを中心として
工具回転方向後方に185°の位置に設定されている
が、これが切刃18の位置から180°よりも工具回転
方向側にあると、軸線Oを挟んで切刃18の反対側にベ
アリング部21が存在しなくなり、このため切刃18に
作用する切削力のうち特に工具の径方向に作用する背分
力によって刃部14に振れが生じて、穴精度の劣化を招
いてしまう。また、逆にこのベアリング部21の後端縁
21Aの位置が、切刃18の位置から工具回転方向後方
に190°を越えるほど後方側すぎると、ベアリング部
21の周方向の幅が大きくなって加工穴内周との接触面
積が増大し、これにより摩擦抵抗や摩擦熱も増大して溶
着を引き起こす結果となる。このため、このベアリング
部21の工具回転方向後端縁21Aの位置は、切刃18
の位置から軸線Oを中心として工具回転方向後方に18
0°〜190°の範囲内に配置されるべきである。
【0026】また、本実施例ではマージン部20および
パット部22の工具周方向の幅W20,W22が、それぞれ
切刃18の外径Dに対して0.01×Dに設定されてい
るが、これらが切刃18の外径Dに対して0.005×
Dを下回るほど小さいとマージン部20やパット部22
が加工穴の内周を擦ることによるバニシング効果が奏功
されなかったり、刃部14の案内性が損なわれたりす
る。その一方で、逆にこれらマージン部20やパット部
22の幅W20,W22が切刃18の外径Dに対して0.0
2×Dを上回るほど大きいと、上述のベアリング部21
の場合と同様に加工穴の内周との摩擦抵抗や摩擦熱が増
大して溶着が発生し易くなる。従って、これらマージン
部20およびパット部22の工具周方向の幅W20,W22
は、それぞれ切刃18の外径Dに対して0.005×D
〜0.02×Dの範囲内に設定されるべきである。
【0027】さらにまた、本実施例ではこれらマージン
部20、ベアリング部21、およびパット部22の外周
面に、工具本体11の基端側に向けて0.01/100
のバックテーパが与えられているが、これらの外周面が
軸線Oを中心とする完全な円筒面状であったり、あるい
はバックテーパが与えられたとしても、その大きさが
0.01/100を下回るほど小さい場合には、やはり
マージン部20、ベアリング部21、あるいはパット部
22と加工穴との接触が大きくなりすぎてしまい、摩擦
抵抗および摩擦熱の増加から溶着を引き起こして加工面
精度の劣化を招いてしまう。その一方で、このバックテ
ーパ量が0.02/100を上回るほど大きいと、これ
らマージン部20、ベアリング部21、およびパット部
22による刃部14の案内性が損なわれて該刃部14が
不安定となり、振れが生じ易くなってやはり加工精度の
劣化を招いてしまう。このため、これらマージン部2
0、ベアリング部21、およびパット部22の外周面に
与えられるバックテーパは、0.01/100〜0.0
2/100の範囲内に設定されるべきである。
【0028】なお、本実施例のガンリーマは、刃部14
に1条の切屑排出溝17が形成され、この切屑排出溝1
7の工具回転方向を向く壁面17Aの先端側および工具
外周側の稜線部に一の切刃18が形成された、いわゆる
一枚刃のガンリーマであるが、この種のガンリーマにお
いては加工効率の向上を図るために、2枚刃や3枚刃な
ど複数の切刃を形成したものも提案されている。しかし
ながら、このうち2枚刃のガンリーマでは、両切刃が軸
線Oに対して正確に対称位置に形成されていないと、切
刃に作用する切削力のバランスが崩れ、特に真円度につ
いて10μm以上の加工誤差を生じるおそれがある。こ
のため、本発明のように、特に数μm程度の高い加工精
度の達成を目的とする場合には、切刃18は一枚刃とさ
れるのが望ましい。なお、このような高い精度をある程
度維持しつつ、加工効率の向上のために多刃化を図るの
ならば、2枚刃よりはむしろ3枚刃とするのが好まし
い。
【0029】また、本実施例では工具本体11のシャン
ク12の先端部にブッシュ24,24が設けられてガイ
ドブッシュ部25とされており、これらブッシュ24,
24が加工穴内に挿入されてその内周面に摺接しながら
刃部14を案内することにより、刃部14の直進性をさ
らに向上させて、加工面精度の一層の安定化を図ること
ができる。しかも本実施例では、上述のように軸線Oを
挟んで切刃18の反対側、すなわちマージン部20の反
対側にベアリング部21が存在しているのに加え、パッ
ト部22の反対側にもベアリング部21が延在してお
り、これら加工穴の内周に摺接するマージン部20、ベ
アリング部21、およびパット部22が工具周方向およ
び径方向にバランスをとって配されている。従って、本
実施例によれば、刃部14自体にも高い直進性を与える
ことができ、これと上記ガイドブッシュ部25との相乗
効果によって加工面精度を一層安定させることが可能と
なる。
【0030】さらに本実施例では、工具本体11のシャ
ンク12内に、その基端側から刃部14に向けて切削油
剤を供給する供給路16が形成されており、この供給路
16の先端は刃部14の切屑排出溝17内に開口するよ
うに形成されているため、工作機械側から給送された切
削油剤はこの供給路16を通って切屑排出溝17内に吐
出し、その先端の切刃18および加工穴内周の切削部位
に向けて供給されることとなる。従って、本実施例によ
れば、切刃18に向けて切削油剤を集中的に供給して切
刃18や加工穴の切削部位の効率的な冷却を図ることが
でき、より確実に溶着を防止するとともに切刃18の摩
耗や欠損をも抑制することが可能となる。また、こうし
て切刃18に集中的に供給される切削油剤により、加工
時に切刃18により生成される切粉を速やかに取り除く
ことができるため、この切粉がマージン部20等と加工
穴の内周との間に噛み込まれて加工面粗度を劣化させる
ような事態をも未然に防止できるという利点も得られ
る。
【0031】さらにまた、本実施例では、切屑排出溝1
7の工具回転方向を向く壁面17Aの先端外周側の角部
に、超高硬度焼結体19Aと高硬度焼結体19Bとを積
層して成る層状焼結体19が接合され、上記切刃18は
このうちダイヤモンドやCBNを主成分とする超高硬度
焼結体19Aの部分に形成されている。このため、本実
施例においては、この切刃18自体にに高い強度と耐摩
耗性とを与えることが可能であり、上述の切削油剤の供
給路16によって切刃18の摩耗や欠損が抑えられるこ
ととも相俟って、該切刃18の寿命、すなわち当該ガン
リーマの工具寿命の延長を図ることが可能となる。
【0032】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、工
具周方向における切刃に対するベアリング部の位置、切
刃の外径に対するマージン部およびパット部の幅、およ
びこれらマージン部、ベアリング部、およびパット部の
外周面に与えられるバックテーパの大きさを最適に設定
することにより、ガンリーマによる穴加工の高精度化を
図ることが可能となり、特にアルミニウム合金や焼結合
金から成る被加工材に対しても、数μm単位の極めて高
い加工精度を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す工具先端側からの正面
図である。
【図2】図1に示す実施例の側面図である。
【図3】従来のガンリーマを示す工具先端側からの正面
図である。
【図4】図3に示す従来例の先端部の側面図である。
【符号の説明】
11 工具本体 12 シャンク 14 刃部 16 切削油剤の供給路 17 切屑排出溝 18 切刃 19 層状焼結体 19A 超高硬度焼結体 19B 高硬度焼結体 20 マージン部 21 ベアリング部 21A ベアリング部21の工具回転方向後端縁 22 パット部 24 ブッシュ 25 ガイドブッシュ部 O 工具本体11の回転軸線 D 切刃18の外径 W20 ベアリング部20の工具周方向の幅 W22 パット部22の工具周方向の幅

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軸線回りに回転される工具本体の先端に
    設けられた刃部に、上記軸線方向に沿って延びる切屑排
    出溝が形成され、この切屑排出溝の工具回転方向を向く
    壁面の先端外周側の稜線部に切刃が形成される一方、上
    記刃部の外周には、上記切屑排出溝の工具回転方向後方
    側に隣接するマージン部と、このマージン部の工具回転
    方向後方に間隔をおいて配置されるベアリング部と、こ
    のベアリング部のさらに工具回転方向後方に間隔をおい
    て配置されて上記切屑排出溝の工具回転方向側に隣接す
    るパット部とが形成されて成るガンリーマにおいて、 上記ベアリング部の工具回転方向後端の位置が、上記切
    刃の位置から上記軸線を中心として工具回転方向後方に
    180°〜190°の範囲内に配置され、また上記マー
    ジン部およびパット部の工具周方向の幅が、上記切刃の
    外径Dに対してそれぞれ0.005×D〜0.02×D
    の範囲内に設定され、さらに上記マージン部、ベアリン
    グ部、およびパット部の外周面には、上記工具本体の基
    端側に向けて0.01/100〜0.02/100のバ
    ックテーパが与えられていることを特徴とするガンリー
    マ。
  2. 【請求項2】 上記切刃が一枚刃であることを特徴とす
    る請求項1に記載のガンリーマ。
  3. 【請求項3】 上記工具本体には、上記刃部の基端側
    に、上記刃部を案内するブッシュが設けられていること
    特徴とする請求項1または請求項2に記載のガンリー
    マ。
  4. 【請求項4】 上記工具本体には、基端側から上記刃部
    に向けて切削油剤を供給する供給路が形成されており、
    この供給路の先端は上記切屑排出溝内に開口するように
    形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項
    3のいずれかに記載のガンリーマ。
  5. 【請求項5】 上記切屑排出溝の壁面の先端外周側の角
    部には、超高硬度焼結体と高硬度焼結体とを積層して成
    る層状焼結体が、上記超高硬度焼結体の部分を工具回転
    方向側に向けて接合されており、上記切刃は上記超高硬
    度焼結体上に形成されていることを特徴とする請求項1
    ないし請求項4のいずれかに記載のガンリーマ。
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