JP2021112717A - 吸着シート及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】難燃性及び加工性に優れた吸着シート及びその製造方法を提供する。【解決手段】本発明の吸着シートは、無機繊維と、無機吸着剤と、合成繊維と、有機天然繊維と、熱水溶解性樹脂とを含有し、前記熱水溶解性樹脂が前記有機天然繊維に付着しており、前記吸着シートの総質量に対して、前記吸着シートに含まれる有機物の含有量が8〜16質量%であり、前記吸着シートに含まれる無機物の含有量が84〜92質量%である。【選択図】なし

Description

本発明は、吸着シート及びその製造方法に関する。
従来、耐熱性に優れ、有機溶剤等の悪臭を吸着除去できる吸着シートが知られている。
例えば特許文献1には、吸着材、有機成分及び無機バインダーを含み、空気中300℃で30分間の加熱処理したときの重量減少が1%以下である吸着シートが開示されている。
特許文献2には、吸着材と、繊維径が3.0μm以下であり比重が3.0g/cm以下の無機繊維と、有機バインダーとを含有する吸着シートが開示されている。
特開平9−94422号公報 特開2004−249259号公報
しかしながら、引用文献1、2に記載の吸着シートは、加工性を必ずしも満足するものではない。そのため、例えば、デシカント空調機を構成するデシカントロータ用に吸着シートをコルゲート加工する際に、ひび割れ、破断等が生じる場合がある。
吸着シートの加工性を高めるには、吸着シート中の無機物の割合を減らし、有機物の割合を増やせばよいが、有機物の割合が多くなるほど吸着シートの難燃性が低下する傾向にある。逆に、吸着シートの難燃性を高めるには、吸着シート中の無機物の割合を増やし、有機物の割合を減らせばよいが、有機物の割合が少なくなるほど吸着シートの加工性が低下する傾向にある。このように、吸着シートの難燃性と加工性はトレードオフの関係にあり、難燃性と加工性を両立することは困難である。
本発明の目的は、難燃性及び加工性に優れた吸着シート及びその製造方法を提供することである。
本発明は、以下の態様を有する。
[1] 無機繊維と、無機吸着剤と、合成繊維と、有機天然繊維と、熱水溶解性樹脂とを含有する吸着シートであって、前記熱水溶解性樹脂が前記有機天然繊維に付着しており、前記吸着シートの総質量に対して、前記吸着シートに含まれる有機物の含有量が8〜16質量%であり、前記吸着シートに含まれる無機物の含有量が84〜92質量%である、吸着シート。
[2] 担持補助剤をさらに含有する、[1]の吸着シート。
[3] 前記無機繊維がガラス繊維である、[1]又は[2]の吸着シート。
[4] 前記合成繊維がポリエチレンテレフタレート繊維及びポリオレフィン繊維の少なくとも一方である、[1]〜[3]のいずれかの吸着シート。
[5] 前記有機天然繊維が木材パルプ及びワラパルプの少なくとも一方である、[1]〜[4]のいずれかの吸着シート。
[6] 前記吸着シートの総質量に対して、前記吸着シートに含まれる有機物の含有量が10〜14質量%であり、前記吸着シートに含まれる無機物の含有量が86〜90質量%である、[1]〜[5]のいずれかの吸着シート。
[7] デシカントロータ用である、[1]〜[6]のいずれかの吸着シート。
[8] 前記無機吸着剤がA型シリカゲル及びゼオライトの少なくとも一方である、[7]の吸着シート。
[9] [1]〜[8]のいずれかの吸着シートの製造方法であって、前記無機繊維と、前記合成繊維と、前記熱水溶解性樹脂とを水に離解分散させて第一の分散体を得る工程と、残りの材料を水に分散させて第二の分散体を得る工程と、前記第一の分散体と前記第二の分散体とを混合して抄造スラリーを得る工程と、抄紙機を用いて前記抄造スラリーを抄造し、保水率が65〜75質量%の湿体シートを得る工程と、圧縮率が0〜45%となるように前記湿体シートを圧縮し、圧縮シートを得る工程と、前記圧縮シートを乾燥して前記熱水溶解性樹脂を溶解させ、前記有機天然繊維に付着させる工程とを有する吸着シートの製造方法。
[10] 前記圧縮シートを70〜180℃で乾燥する、[9]の吸着シートの製造方法。
本発明によれば、難燃性及び加工性に優れた吸着シート及びその製造方法を提供できる。
「吸着シート」
本発明の吸着シートは、以下に示す無機繊維と、無機吸着剤と、合成繊維と、有機天然繊維と、熱水溶解性樹脂とを含有する。吸着シートは、以下に示す担持補助剤をさらに含有することが好ましい。
<無機繊維>
無機繊維は、難燃性を吸着シートに付与する成分である。
無機繊維としては、例えばガラス繊維、グラスウール、ロックウール繊維等の非晶質繊維;炭素繊維、活性炭繊維、アルミナ繊維等の多結晶繊維;石綿等の鉱物質;ステンレス繊維、銅繊維等の金属繊維などが挙げられる。これらの中でも、コストの観点から、非晶質繊維が好ましく、その中でも吸着シートの強度が高まる観点からガラス繊維がより好ましい。
これらの無機繊維は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
無機繊維の平均繊維長は、0.5〜10mmが好ましく、3〜6mmがより好ましい。無機繊維の平均繊維長が上記下限値以上であれば、吸着シートの骨材となることでシート強度確保に有効となる。無機繊維の平均繊維長が上記上限値以下であれば、長繊維の絡みによる地合いの悪化を防止できる。
無機繊維の平均繊維長は、顕微鏡でランダムに選択した20本の無機繊維の長手方向の長さを測定した値の相加平均値である。無機繊維が直線状でない場合には、繊維に沿った曲線の長さとする。
無機繊維の平均繊維径は、4.0〜13.0μmが好ましく、4.5〜9.0μmがより好ましい。無機繊維の平均繊維径が上記下限値以上であれば、骨材効果及び絡み合いにより強度的に有利となる。無機繊維の平均繊維径が上記上限値以下であれば、繊維本数が不足することがなく、その結果、地合いが粗くなることを防げる。
無機繊維の平均繊維径は、顕微鏡で撮像された吸着シートの任意の20箇所における垂直断面に基づいて、無機繊維の長手方向に垂直な断面積を公知の計算手法で算出し、当該断面積と同一面積を有する真円の直径を算出することにより導かれた面積径の相加平均値である。
<無機吸着剤>
無機吸着剤は、有機溶剤等の悪臭や湿気等を吸着除去する性能を吸着シートに付与する成分である。
無機吸着剤としては、例えばA型シリカゲル、B型シリカゲル、ゼオライト(モレキュラーシーブ及びハスクレイを含む)、活性炭、クレーなどが挙げられる。これらの中でも、吸着シートをデシカントロータ用として用いる場合、デシカントロータ用吸収シートで要求される低湿側の吸着性に優れる観点において、A型シリカゲル、ゼオライト(モレキュラーシーブ或いはハスクレイなど)が好ましく、A型シリカゲルがより好ましい。
これらの無機吸着剤は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
<合成繊維>
合成繊維は、引裂き強度を高め、加工性を吸着シートに付与する成分である。
合成繊維としては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)繊維、ポリオレフィン繊維(例えばポリエチレン(PE)繊維、ポリプロピレン(PP)繊維等)、アクリル繊維などが挙げられる。これらの中でも、骨材となる芯成分とバインダーとなる鞘成分を有する芯鞘繊維が存在する観点から、PET繊維、ポリオレフィン繊維が好ましく、PET繊維がより好ましい。
これらの合成繊維は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
合成繊維の平均繊維長は、0.5〜10mmが好ましく、3〜6mmがより好ましい。合成繊維の平均繊維長が上記下限値以上であれば、吸着シートの骨材として引裂き強度をより高める効果を発揮できる。合成繊維の平均繊維長が上記上限値以下であれば、長繊維の絡み込みによる地合いの悪化を防止できる。
合成繊維の平均繊維長は、無機繊維の平均繊維長と同様にして求めた値である。
合成繊維の平均繊維径は、3〜20μmが好ましく、9〜13μmがより好ましい。合成繊維の平均繊維径が上記下限値以上であれば、繊維本数の過多による有機物の表面積増大(すなわち燃焼時の発生ガス増大)による難燃性の悪化を防止できる。合成繊維の平均繊維径が上記上限値以下であれば、繊維本数の過少による強度低下や地合いの悪化を防止できる。
合成繊維の平均繊維径は、無機繊維の平均繊維径と同様にして求めた値である。
<有機天然繊維>
有機天然繊維は、加工強度を高め、加工性を吸着シートに付与する成分である。また、有機天然繊維は、無機吸着剤を担持させる担体であるとともに、後述する熱水溶解性樹脂が付着する繊維でもある。
有機天然繊維は、無機吸着剤を担持しやすくする観点から、フィブリル化されていることが好ましい。
有機天然繊維としては、植物質、動物質などが挙げられる。
植物質としては、木材パルプ、木材パルプ以外の天然繊維(例えば木綿、ワラ、竹、エスパルト、バガス、リンター、マニラ麻、亜麻、麻、黄麻、雁皮等)などが挙げられる。なお、本発明においては、アセテート繊維、ビスコースレーヨン等の半合成繊維も植物質に含まれるものとする。
動物質としては、羊毛、絹などが挙げられる。
これらの中でも、親水性と水への分散性に優れる観点から、ヒドロキシ基(OH基)を有するものが好ましく、植物質がより好ましく、木材パルプ、ワラパルプがさらに好ましく、木材パルプが特に好ましい。
これらの有機天然繊維は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
木材パルプとしては、例えば針葉樹高歩留り未晒クラフトパルプ(HNKP;N材)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP;N材、NB材)、広葉樹未晒クラフトパルプ(LUKP;L材)、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP、L材)等の化学パルプ;グランドウッドパルプ(GP)、プレッシャーライズドグランドウッドパルプ(PGW)、サーモメカニカルパルプ(TMP)等の機械パルプ;デインキングパルプ(DIP)、ウェイストパルプ(WP)等の古紙パルプやセミケミカルパルプ(CP)などが挙げられる。
これらの木材パルプは、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
有機天然繊維の平均繊維長は、0.2〜3.5mmが好ましく、0.5〜2.5mmがより好ましい。有機天然繊維の平均繊維長が上記下限値以上であれば、後述の第二の分散工程にて形成される凝集フロックが小さくなりすぎず、抄紙時にワイヤー抜け分が少なく、収率の損失を抑えられる。有機天然繊維の平均繊維長が上記上限値以下であれば、凝集フロックが大きくなりすぎるのを抑制できる。
有機天然繊維の平均繊維長は、無機繊維の平均繊維長と同様にして求めた値である。
有機天然繊維の平均繊維径は、10〜30μmが好ましく、15〜25μmがより好ましい。有機天然繊維の平均繊維径が上記下限値以上であれば、後述の第二の分散工程にて形成される凝集フロックが小さくなりすぎず、抄紙時にワイヤー抜け分が少なく、収率の損失を抑えられる。有機天然繊維の平均繊維径が上記上限値以下であれば、物理的な担持性の向上により無機吸着剤を担持しやすくなる。
有機天然繊維の平均繊維径は、無機繊維の平均繊維径と同様にして求めた値である。
<熱水溶解性樹脂>
熱水溶解性樹脂は上述した有機天然繊維に付着している。有機天然繊維は耐熱性が低い成分である。特に、フィブリル化された有機天然繊維は比表面積が大きく、加熱により可燃性ガスが発生しやすい。その結果、ガスと酸素との反応点が増加するため、燃えやすくなる傾向にある。
しかし、本発明の吸着シートにおいては、熱水溶解性樹脂が有機天然繊維に付着しているので、熱水溶解性樹脂と有機天然繊維の各々の合算比表面積が、前記の付着効果により縮小すると考えられ、前記可燃性ガスの燃焼時の瞬間的な発生が減少することから、吸着シートの難燃性が向上する。有機天然繊維の耐熱性が高まる理由は定かではないが、熱水溶解性樹脂が有機天然繊維に付着することで、有機天然繊維の比表面積が小さくなり、その結果、有機天然繊維の耐熱性が高まると考えられる。
また、熱水溶解性樹脂が有機天然繊維に付着していることで、吸着シートの引張強度が向上する。
本発明において、「熱水溶解性樹脂が有機天然繊維に付着している」とは、有機天然繊維の表面に熱水溶解性樹脂が付着していること、及び/又は、有機天然繊維に熱水溶解性樹脂が含浸していること、を意味する。
また、本発明において「熱水溶解性樹脂」とは、常圧下、60℃以上の熱水中で溶解を開始する樹脂のことである。
このような熱水溶解性樹脂としては、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、デンプンなどが挙げられる。これらの中でも、繊維状の熱水溶解性樹脂として入手しやすい観点から、PVA、EVOHが好ましく、PVAがより好ましい。
これらの熱水溶解性樹脂は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
なお、上述した合成繊維及び後述の有機微細繊維は、常圧下、60℃以上の熱水中で溶解を開始しない繊維である。
<担持補助剤>
担持補助剤は、無機吸着剤の有機天然繊維への担持性を高める成分である。
担持補助剤としては、上述した無機繊維、合成繊維、有機天然繊維及び熱水溶解性樹脂以外の微細繊維が挙げられる。
このような微細繊維としては、無機微細繊維、有機微細繊維が挙げられる。
無機微細繊維としては、例えばチタン酸カリウム繊維、ウォラストナイト等の単結晶繊維などが挙げられる。
有機微細繊維としては、マイクロフィブリルセルロースなどが挙げられる。
これらの中でも、吸着シートの難燃性がより向上する観点から、無機微細繊維が好ましく、チタン酸カリウム繊維がより好ましい。
これらの微細繊維は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
微細繊維の平均繊維長は、200μm未満が好ましく、10〜20μmがより好ましい。微細繊維の平均繊維長が上記上限値未満であれば、粒子径が1μm以下の微細粒子が明確に存在するような幅広な粒度分布を有する無機吸着剤を用いる場合でも、後述する第二の分散工程において高分子凝集剤を添加したときに微細繊維が絡み込むことで担持率が高まり、収率低下を防止できる。
微細繊維の平均繊維長は、無機繊維の平均繊維長と同様にして求めた値である。
微細繊維の平均繊維径は、1μm未満が好ましく、0.1〜0.5μmがより好ましい。微細繊維の平均繊維径が上記上限値未満であれば、粒子径が1μm以下の微細粒子が明確に存在するような幅広な粒度分布を有する無機吸着剤を用いる場合でも、後述する第二の分散工程において高分子凝集剤を添加したときに微細繊維が絡み込むことで担持率が高まり、収率低下を防止できる。
微細繊維の平均繊維径は、無機繊維の平均繊維径と同様にして求めた値である。
<任意成分>
吸着シートは、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、無機繊維、無機吸着剤、合成繊維、有機天然繊維、熱水溶解性樹脂及び担持補助剤以外の成分(任意成分)を含有してもよい。
任意成分としては、例えば界面活性剤、分散剤、増粘剤、消泡剤、乾燥紙力増強剤、湿潤紙力増強剤等の添加剤などが挙げられる。
これらの任意成分は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
<含有量>
吸着シートに含まれる有機物の含有量は、吸着シートの総質量に対して8〜16質量%であり、10〜14質量%が好ましい。
また、吸着シートに含まれる無機物の含有量は、吸着シートの総質量に対して84〜92質量%であり、86〜90質量%が好ましい。
有機物の含有量が上記下限値以上であり、無機物の含有量が上記上限値以下であれば、吸着シートの加工性に優れる。有機物の含有量が上記上限値以下であり、無機物の含有量が上記下限値以上であれば、吸着シートの難燃性に優れる。
なお、吸着シートに含まれる有機物とは、合成繊維、有機天然繊維、熱水溶解性樹脂である。吸着シートが担持補助剤として有機微細繊維を含む場合、有機微細繊維も有機物に該当する。
吸着シートに含まれる無機物とは、無機繊維、無機吸着剤である。吸着シートが担持補助剤として無機微細繊維を含む場合、無機微細繊維も無機物に該当する。
吸着シートに含まれる無機物の含有量は、吸着シートに含まれる全ての有機物が灰になるまで吸着シートを燃焼させ、燃焼後の残渣に含まれる灰分を取り除き、残った無機物の質量を測定し、燃焼前の吸着シートの質量に対する無機物の質量の割合を百分率で求めた値である。無機物の含有量と有機物の含有量の合計が100質量%となる。
なお、吸着シートの製造に用いた材料の仕込み量と、上記の方法で求められる無機物及び有機物の含有量とは、概ね一致する。
無機繊維の含有量は、吸着シートの総質量に対して10〜35質量%が好ましく、13〜21質量%がより好ましい。無機繊維の含有量が、上記下限値以上であれば吸着シートの難燃性がより向上し、上記上限値以下であれば吸着シートの加工性がより向上する。
無機吸着剤の含有量は、吸着シートの総質量に対して40〜75質量%が好ましく、50〜70質量%がより好ましい。無機吸着剤の含有量が、上記下限値以上であれば吸着シートの吸着性が充分に得られ、上記上限値以下であれば吸着シートの加工性がより向上する。
合成繊維の含有量は、吸着シートの総質量に対して1〜8質量%が好ましく、2〜6質量%がより好ましい。合成繊維の含有量が、上記下限値以上であれば吸着シートの加工性がより向上し、上記上限値以下であれば吸着シートの難燃性がより向上する。
有機天然繊維の含有量は、吸着シートの総質量に対して2〜10質量%が好ましく、3〜8質量%がより好ましい。有機天然繊維の含有量が上記範囲内であれば、吸着シートの難燃性がより向上する。特に、有機天然繊維の含有量が上記下限値以上であれば、吸着シートの加工性もより向上する。
熱水溶解性樹脂の含有量は、吸着シートの総質量に対して1〜8質量%が好ましく、2〜6質量%がより好ましい。熱水溶解性樹脂の含有量が、上記下限値以上であれば吸着シートの難燃性がより向上し、上記上限値以下であれば吸着シートの製造工程中にドライヤーやカンバスへの付着性を防止できる。
担持補助剤の含有量は、吸着シートの総質量に対して3〜20質量%が好ましく、4〜6質量%がより好ましい。担持補助剤の含有量が上記下限値以上であれば、無機吸着剤の有機天然繊維の担持性がより向上する。担持補助剤の含有量が上記上限値以下であれば、コストを抑えられる。
<厚さ>
吸着シートの厚さは、150〜300μmが好ましく、180〜240μmがより好ましい。
吸着シートの厚さは、JIS P 8118:1988「紙及び板紙−厚さ及び密度の試験方法」に準拠して測定することができる。
<製造方法>
吸着シートは、湿式抄造法により製造できる。以下、吸着シートの製造方法の一例を説明する。
本実施形態の吸着シートの製造方法は、以下に示す工程を有する。
(第一の分散工程)
第一の分散工程は、吸着シートを構成する材料のうち、無機繊維と、合成繊維と、熱水溶解性樹脂と、必要に応じて任意成分とを水に離解分散させて第一の分散体を得る工程である。
熱水溶解性樹脂の形状としては、繊維状、繊維状以外の形状(例えば粒子状、ペレット状、粉体状等)が挙げられるが、抄造しやすい観点から繊維状の熱水溶解性樹脂を用いることが好ましい。
第一の分散体は、例えば水に無機繊維と、合成繊維と、熱水溶解性樹脂と、必要に応じて任意成分とを添加して、撹拌混合することで得られる。これにより、無機繊維と、合成繊維と、熱水溶解性樹脂と、必要に応じて任意成分とが水に分散した第一の分散体が得られる。
第一の分散体の水分量は、第一の分散体の総質量に対して98.5〜99.9質量%が好ましく、99.5〜99.9質量%がより好ましい。
(第二の分散工程)
第二の分散工程は、残りの材料、すなわち吸着シートを構成する材料のうち、第一の分散工程で用いなかった材料を水に分散させて第二の分散体を得る工程である。
上述した吸着シートを構成する材料のうち、無機吸着剤及び有機天然繊維と、必要に応じて担持補助剤及び任意成分が残りの材料である。
第二の分散体は、例えば水に無機吸着剤と、有機天然繊維と、必要に応じて担持補助剤及び任意成分の少なくとも一方とを添加して、撹拌混合することで得られる。これにより、無機吸着剤と、有機天然繊維と、必要に応じて担持補助剤及び任意成分の少なくとも一方とが水に分散した第二の分散体が得られる。
第二の分散体の水分量は、第二の分散体の総質量に対して95.0〜99.5質量%が好ましく、96.0〜98.0質量%がより好ましい。
例えばA型シリカゲルなどがアルカリ環境下で変質することが危惧される場合、第二の分散体の水質をpH3.5〜6.5、好ましくはpH4.0〜5.0に保持することが好ましい。このような観点から、残りの材料と酸とを併用することが好ましい。具体的には、残りの材料と酸とを水に添加して撹拌混合することが好ましい。
酸としては、例えばクエン酸、硫酸、塩酸などが挙げられる。或いは、硫酸アルミニウムなどの凝集剤などでも上記のpH調整範囲であれば代用可能である。
また、残りの材料と、必要に応じて酸とを水に添加して撹拌混合した後に、高分子凝集剤を添加することが好ましい。高分子凝集剤を添加することで、無機吸着剤及び有機天然繊維が凝集して凝集フロック(集合体)を形成する。凝集フロックが形成されることで、無機吸着剤が有機天然繊維に保持(担持)しやすくなる。
高分子凝集剤としては、例えばカチオン型或いはアニオン型或いはノニオン型のポリアクリルアミド、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリビニルアミジン、ポリダドマック、ポリアミン、ジシアンジアミド、ポリエチレンイミンなどが挙げられる。
(スラリーの調製工程)
スラリーの調製工程は、第一の分散体と第二の分散体とを混合して抄造スラリーを得る工程である。
第一の分散体と第二の分散体とを混合する方法としては特に限定されない。
抄造スラリーの水分量は、抄造スラリーの総質量に対して99.7〜99.95質量%が好ましく、99.9〜99.94質量%がより好ましい。
(抄造工程)
抄造工程は、抄紙機を用いて抄造スラリーを抄造し、保水率が65〜75質量%の湿体シートを得る工程である。
抄紙機としては、一般の抄紙技術に適用される抄紙機であれば特に限定されないが、例えば長網抄紙機、短網抄紙機、円網抄紙機、傾斜式抄紙機、ツインワイヤー抄紙機、これらの中から同種又は異種の抄紙機を組み合わせてなるコンビネーション抄紙機などが挙げられる。
抄造工程では、得られる湿体シートの保水率、すなわち湿体シートの水分量が、湿体シートの総質量に対して65〜75質量%になるように、脱水することが好ましい。湿体シートの保水率が上記下限値以上であれば、後述の乾燥工程において熱水溶解性樹脂を充分に溶解させ、強度を発現させることが可能となる。湿体シートの保水率が上記上限値以下であれば、過剰の水分で湿体シートの強度不足によるワイヤー剥離トラブルを防止できる。
湿体シートの保水率は、吸引サクション、或いは、有機天然繊維のフィブリル度合いによる保水性或いは配合量により制御できる。具体的には、湿体シートの脱水を弱くする、有機天然繊維のフィブリル度合いを高くする、或いは有機天然繊維の添加量を多くすると、湿体シートの保水率は高くなる傾向にあり、湿体シートの脱水を強くする、或いは、有機天然繊維のフィブリル度合いを低くする、或いは有機天然繊維の添加量を少なくすると、湿体シートの保水率は低くなる傾向にある。
(圧縮工程)
圧縮工程は、圧縮率が0〜45%となるように前記湿体シートを圧縮し、圧縮シートを得る工程である。
圧縮率は0〜45%であり、15〜35%が好ましい。圧縮率が上記下限値以上であれば、繊維間に形成されている極端に大きな空隙を減らし、均質性を高めることができる。吸着シートをデシカントロータ用として用いる場合、デシカントロータに組み込まれるハニカム濾材の、通気時の圧力損失を低下させるために、吸湿シートの厚さが制限される場合がある。前記の圧縮率はそのような場合、乾燥後のシートの厚さが小さくなる方向に制御することが可能となる。圧縮率が上記上限値以下であれば、前記乾燥後のシート厚さが大きくなる方向に制御することが可能となる。
圧縮率は、圧縮時の圧力を調整することにより制御でき、圧力が高いほど圧縮率が高くなる傾向にある。圧縮時の圧力は特に限定されないが、0〜0.4MPaが好ましい。
圧縮率は、下記式(1)より求められる。
圧縮率(%)={(圧縮前の湿体シートの厚さ−圧縮後の湿体シートの厚さ)/圧縮前の湿体シートの厚さ}×100 ・・・(1)
なお、「圧縮後の湿体シートの厚さ」とは、圧縮シートの厚さのことである。
圧縮工程でも、湿体シートが脱水される。圧縮シートの保水率、すなわち圧縮シートの水分量は、圧縮シートの総質量に対して55〜70質量%が好ましく、60〜65質量%がより好ましい。圧縮シートの保水率が上記下限値以上であれば、後述の乾燥工程において熱水溶解性樹脂を充分に溶解させ、強度を発現させることが可能となる。圧縮シートの保水率が上記上限値以下であれば、乾燥工程において、煮沸による面荒れなどによる強度低下を防げる。
圧縮シートの保水率は、圧縮時の圧力を調整することにより制御でき、圧力が高いほど保水率が低くなる傾向にある。
(乾燥工程)
乾燥工程は、圧縮シートを乾燥して熱水溶解性樹脂を溶解させ、有機天然繊維に付着させ、吸着シートを得る工程である。
圧縮シートの乾燥方法としては、ヤンキードライヤー、ロータリードライヤー、ハンドドライヤー、エアードライヤー、シリンダードライヤー、サクションドラムドライヤー、赤外方式ドライヤーなどを用いた乾燥方法が挙げられる。これらの中でも、特にヤンキードライヤーなどの接触式ドライヤーが好ましい。熱風式の非接触式ドライヤーなどは、風量と温度によっては、圧縮シート中の水分が熱水にとなる前に、乾燥中に水分が失われて熱水溶解性樹脂が充分に溶解せず、強度発現が不充分となることがある。
圧縮シートの乾燥温度は、圧縮シート中の水分が、熱水溶解性樹脂が溶解を開始する温度の熱水、すなわち60℃以上の熱水となる温度であり、熱水溶解性樹脂の種類に応じて決定すればよい。例えば熱水溶解性樹脂としてPVAを用いる場合、接触式ドライヤーの乾燥温度は70〜180℃が好ましく、120〜140℃がより好ましい。熱水溶解性樹脂としてEVOHを用いる場合、乾燥温度は110〜150℃が好ましく、125〜140℃がより好ましい。熱水溶解性樹脂としてデンプンを用いる場合、乾燥温度は70〜180℃が好ましく、100〜140℃がより好ましい。乾燥温度が上記下限値以上であれば、圧縮シート中の水分が、熱水溶解性樹脂が溶解を開始する温度の熱水となる。乾燥温度が上記上限値以下であれば、過加熱による変色、乾熱融着によるカンバスへの付着や転写不良が発生する可能性がある場合にこれらを防げる。
乾燥前の圧縮シート中の熱水溶解性樹脂は繊維状、粒子状等の形状を維持しているが、圧縮シートを所定の温度で乾燥すると、圧縮シート中の水分が60℃以上の熱水となり、熱水溶解性樹脂が溶解して有機天然繊維に付着する。
乾燥工程で得られた吸着シートは、必要に応じてロール等に巻き取られる。
<作用効果>
以上説明した本発明の吸着シートは、乾燥前には、合成繊維、熱水溶解性樹脂及び有機天然繊維の主に3成分で構成された有機物繊維の表面が、乾燥後には、熱水溶解性樹脂が付着した有機天然繊維と合成繊維の主に2成分で構成された有機物繊維の表面となり、配合される有機物の重量割合の割には、有機物表面積が少ない状況となる。吸着シートが燃焼する場合は、有機物表面から可燃性ガスが発生するため、有機物表面積が小さい程、瞬間的な可燃性ガス発生量が少なく難燃効果が高いと考えられる。すなわち、有機物重量の割に有機物表面積の少ない本発明の吸着シートは、難燃性に優れると考えられる。しかも、本発明の吸着シートは難燃性に優れるので、過度に無機物の割合を増やす必要がなく、有機物の割合が充分であるため、加工性にも優れる。
このように、本発明の吸着シートは難燃性及び加工性に優れるので、デシカントロータ用の吸着シートとして好適である。
以下、本発明を実施例および比較例によりさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
各種測定・評価は以下の方法で行った。
「測定・評価」
<難燃性の評価>
吸着シートを幅13mm、長さ13cmの短冊状に切断し、試験片とした。
市販の簡易ライターの炎の高さを20mmに調整し、空気中、試験片の長手方向の下端部に炎の上半分(10mm)を10秒間あて、燃焼試験を行った。燃焼試験後の試験片の燃焼部について目視にて観察し、以下の評価基準にて難燃性を評価した。「〇」と「△」を合格とする。
〇:燃焼部の到達が下端部から5cm以下。
△:燃焼部の到達が下端部から5cm超、10cm以下。
×:燃焼部の到達が下端部から10cm超。
<加工性の評価>
ピッチ3mmのラックギアとピニオンギアとがかみ合った間に、吸着シートを通過させてコルゲート形状に加工した。なお、ギア温度は、吸着シートに含まれる熱水溶解性樹脂及び有機天然繊維の種類に応じて、150〜190℃の間で最適な温度に設定した。
加工後の吸着シートの状態を目視にて観察し、以下の評価基準にて加工性を評価した。「〇」と「△」を合格とする。
〇:コルゲート形状がきれいに保持されている。
△:コルゲート形状の型崩れが僅かにみられる。
×:コルゲート形状の型崩れがはっきりとみられる。
<総合評価>
総合評価は、難燃性と加工性の結果に基づき、以下の基準に従って行った。
◎:全ての結果が「〇」の場合。
〇:「×」は含まず、「〇」と「△」のみの場合。
×:「×」を1つでも含む場合。
「実施例1」
吸着シート中の各材料の含有量が表1に示す値となるように、無機繊維としてガラス繊維(ユージー基材株式会社製、商品名「ECE06」、平均繊維長6mm、平均繊維径6.5μm)と、繊維状の熱水溶解性樹脂としてPVA繊維(株式会社クラレ製、商品名「VPB105−1」、平均繊維長3mm、平均繊維径10.5μm)と、合成繊維としてPET繊維(帝人株式会社製、商品名「TJ04CN」、平均繊維長5mm、平均繊維径12.5μm)とを水に離解分散させ、水分量が99.6質量%の第一の分散体を得た。
別途、吸着シート中の各材料の含有量が表1に示す値となるように、無機吸着剤としてA型シリカゲルと、有機天然繊維として木材パルプ(針葉樹パルプ、平均繊維長2.1mm、平均繊維幅25μm)と、担持補助剤としてチタン酸カリウム繊維(平均繊維長15μm、平均繊維径0.4μm)と、酸としてクエン酸(COFCO Biochemical(AnHui)社製)とを水に添加して撹拌混合した後、高分子凝集剤としてアニオン型ポリアクリルアミド(栗田工業株式会社製、商品名「ハイホルダーC503」)を添加して、無機吸着剤、有機天然繊維及び担持補助剤を凝集化させ、水分量が97.0質量%の第二の分散体を得た。なお、酸の添加量は無機吸着剤、有機天然繊維及び担持補助剤の合計100質量部に対して、5.5質量部とし、高分子凝集剤の添加量は無機吸着剤、有機天然繊維及び担持補助剤の合計100質量部に対して、0.3質量部とした。
第一の分散体と第二の分散体とを質量比27:1で混合し、水分量が99.94質量%の抄造スラリーを得た。
抄紙機として傾斜ワイヤー型抄紙機を用い、ワイヤー歩留りが90%以上となるように調整しながら抄造スラリーを抄造し、保水率が65質量%の湿体シートを得た。
圧縮率が35%となるように得られた湿体シートをプレスロールにて圧縮し、水分量が55質量%の圧縮シートを得た。圧縮時の圧力は0.4MPaに設定した。
ヤンキードライヤーを用い、圧縮シートを140℃で乾燥して熱水溶解性樹脂を溶解させ、熱水溶解性樹脂が有機天然繊維に付着した、厚さ160μmの吸着シートを得た。
得られた吸着シートについて、難燃性及び加工性を評価した。結果を表1に示す。
「実施例2〜11、比較例1〜3、5、7」
各材料の種類と吸着シート中の含有量を表1〜3に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして吸着シートを製造し、難燃性及び加工性を評価した。結果を表1〜3に示す。
なお、実施例6では、無機繊維としてロックウール(ラピナス社製、商品名「Lapinus RS470−T」、平均繊維長650μm、平均繊維径約9μm)を用いた。実施例7では、無機吸着剤としてモレキュラーシーブ(合成ゼオライト)(ユニオン昭和株式会社製、商品名「モレキュラーシーブ13X」)を用いた。実施例8では、合成繊維としてPE繊維(三井化学株式会社製、商品名「SWP・EST2」、平均繊維長0.9mm、平均繊維径約10μm)を用いた。実施例9では、有機天然繊維としてワラパルプ(平均繊維長0.6mm、平均繊維径10μm)を用いた。実施例10では、熱水溶解性樹脂としてEVOH繊維(株式会社クラレ製、商品名「S−030」、平均繊維長5mm、平均繊維径約8μm)を用いた。
「比較例4」
各材料の種類と吸着シート中の含有量を表3に示すように変更し、高分子凝集剤の添加量を無機吸着剤、有機天然繊維及び担持補助剤の合計100質量部に対して、1.0質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして吸着シートを製造し、難燃性及び加工性を評価した。結果を表3に示す。
「比較例6」
各材料の種類と吸着シート中の含有量を表3に示すように変更し、高分子凝集剤の添加量を無機吸着剤、有機天然繊維及び担持補助剤の合計100質量部に対して、1.0質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして吸着シートを製造しようとしたが、シート化できなかったため、難燃性及び加工性は評価できなかった。
Figure 2021112717
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表1〜3の結果から明らかなように、各実施例で得られた吸着シートは、難燃性及び加工性に優れていた。
対して、各比較例で得られた吸着シートは、難燃性及び加工性にいずれかに劣っていた。
具体的には、無機物の含有量が84質量%未満である比較例1、2の吸着シートは、難燃性に劣っていた。
熱水溶解性樹脂を含まない比較例3の吸着シートは、難燃性に劣っていた。
有機天然繊維を含まない比較例4の吸着シートは、加工性に劣っていた。なお、比較例4の場合、無機吸着剤を担持する担体である有機天然繊維を用いなかったため、ワイヤー歩留りを確保するために高分子凝集剤の添加量を実施例1の場合よりも増やして凝集を強める必要があった。その結果、凝集フロック(集合体)が大きくなりすぎ、地合いが悪化し、不均一な外観となった。
合成繊維を含まない比較例5の吸着シートは、加工性に劣っていた。
無機繊維を用いなかった比較例6の場合、ワイヤー歩留りを確保するために高分子凝集剤の添加量を比較例4の場合よりも増やして凝集をさらに強める必要があった。その結果、凝集フロック(集合体)が比較例4の場合よりもさらに大きくなり、シート化できなかった。
無機物の含有量が92質量%超である比較例7の吸着シートは、加工性に劣っていた。

Claims (10)

  1. 無機繊維と、無機吸着剤と、合成繊維と、有機天然繊維と、熱水溶解性樹脂とを含有する吸着シートであって、
    前記熱水溶解性樹脂が前記有機天然繊維に付着しており、
    前記吸着シートの総質量に対して、前記吸着シートに含まれる有機物の含有量が8〜16質量%であり、前記吸着シートに含まれる無機物の含有量が84〜92質量%である、吸着シート。
  2. 担持補助剤をさらに含有する、請求項1に記載の吸着シート。
  3. 前記無機繊維がガラス繊維である、請求項1又は2に記載の吸着シート。
  4. 前記合成繊維がポリエチレンテレフタレート繊維及びポリオレフィン繊維の少なくとも一方である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の吸着シート。
  5. 前記有機天然繊維が木材パルプ及びワラパルプの少なくとも一方である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の吸着シート。
  6. 前記吸着シートの総質量に対して、前記吸着シートに含まれる有機物の含有量が10〜14質量%であり、前記吸着シートに含まれる無機物の含有量が86〜90質量%である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の吸着シート。
  7. デシカントロータ用である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の吸着シート。
  8. 前記無機吸着剤がA型シリカゲル及びゼオライトの少なくとも一方である、請求項7に記載の吸着シート。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の吸着シートの製造方法であって、
    前記無機繊維と、前記合成繊維と、前記熱水溶解性樹脂とを水に離解分散させて第一の分散体を得る工程と、
    残りの材料を水に分散させて第二の分散体を得る工程と、
    前記第一の分散体と前記第二の分散体とを混合して抄造スラリーを得る工程と、
    抄紙機を用いて前記抄造スラリーを抄造し、保水率が65〜75質量%の湿体シートを得る工程と、
    圧縮率が0〜45%となるように前記湿体シートを圧縮し、圧縮シートを得る工程と、
    前記圧縮シートを乾燥して前記熱水溶解性樹脂を溶解させ、前記有機天然繊維に付着させる工程とを有する吸着シートの製造方法。
  10. 前記圧縮シートを70〜180℃で乾燥する、請求項9に記載の吸着シートの製造方法。
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