JP2021111885A - 差動増幅回路 - Google Patents

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泰三 巽
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Abstract

【課題】高周波特性を向上できる差動増幅回路を提供する。【解決手段】差動増幅回路は、第1ソース電流を差動入力信号に応じて第1電流と第2電流とに分配する差動対回路と、第2ソース電流を差動入力信号に応じて第3電流と第4電流とに分配する差動対回路と、第1電流と第3電流との和から差動出力信号の一方を生成する第1負荷回路と、第2電流と第4電流との和から差動出力信号の他方を生成する第2負荷回路と、第1負荷回路と各差動対回路との間に接続されるトランジスタと、第2負荷回路と各差動対回路との間に接続されるトランジスタとを備える。差動入力信号が増加するとき、第1電流及び第4電流が増加し、第2電流及び第3電流が減少する。差動入力信号が減少するとき、第2電流及び第3電流が増加し、第1電流及び第4電流が減少する。第1制御信号及び第2制御信号の一方が有意値に設定されるとき、他方は無意値に設定される。【選択図】図4

Description

本発明は、差動増幅回路に関する。
特許文献1には、利得可変型の増幅回路に関する技術が記載されている。特許文献2には、光受信装置に関する技術が記載されている。特許文献1,2に記載された回路は、それぞれエミッタ結合された第1および第2の差動トランジスタ対と、その共通エミッタ側に接続された第3の差動トランジスタ対と、第3の差動トランジスタ対の共通エミッタ端子に接続された電流源とを備える。
特開平10−276051号公報 特開2001−77646号公報
差動増幅回路は、増幅前の差動信号(一対の正相信号及び逆相信号)を入力する一対の入力端子と、増幅後の差動信号を出力する一対の出力端子とを有する。差動増幅回路を光送信器や光受信器に使用する場合、差動増幅回路は、接続先の回路が扱うディジタル信号の論理に応じて、非反転増幅と反転増幅とを選択して行うことが望ましい。特許文献1には、そのような信号極性反転機能を有する利得可変型の増幅回路が開示されている。
一方、近年の光通信システムでは通信量の増大に伴って信号の伝送速度が高速化しており、差動増幅回路においても良好な高周波特性が求められる。しかしながら、特許文献1に記載された回路では、一対の出力端子に複数のトランジスタが接続されるので、これらの出力端子に生じる対地容量が大きくなり、高周波特性の向上が妨げられるという問題がある。
本開示は、高周波特性を向上することができる差動増幅回路を提供することを目的とする。
一実施形態に係る差動増幅回路は、差動入力信号を増幅して差動出力信号を出力する差動増幅回路であって、第1制御信号に応じて第1ソース電流を供給する第1電流源と、差動入力信号に応じて第1ソース電流を第1電流と第2電流とに分配する第1差動対回路と、第2制御信号に応じて第2ソース電流を供給する第2電流源と、差動入力信号に応じて第2ソース電流を第3電流と第4電流とに分配する第2差動対回路と、第1電流と第3電流との和を電圧値に変換して差動出力信号のうち一方の信号を生成する第1負荷回路と、第2電流と第4電流との和を電圧値に変換して差動出力信号のうち他方の信号を生成する第2負荷回路と、第1負荷回路と第1差動対回路及び第2差動対回路との間に電気的に接続される第1カスケードトランジスタと、第2負荷回路と第1差動対回路及び第2差動対回路との間に電気的に接続される第2カスケードトランジスタと、を備える。差動入力信号が増加するときに、第1ソース電流に対して第1電流が増加するとともに第2電流が減少し、第2ソース電流に対して第4電流が増加するとともに第3電流が減少する。差動入力信号が減少するときに、第1ソース電流に対して第2電流が増加するとともに第1電流が減少し、第2ソース電流に対して第3電流が増加するとともに第4電流が減少する。第1制御信号が有意値に設定されるときは第2制御信号は無意値に設定され、第2制御信号が有意値に設定されるときは第1制御信号は無意値に設定される。
本開示によれば、高周波特性を向上することができる差動増幅回路を提供することが可能となる。
図1は、本開示の差動増幅回路を備える光送信モジュール1Aの構成を示すブロック図である。 図2は、本開示の差動増幅回路を備える光受信モジュール1Bの構成を示すブロック図である。 図3の(a)は、光送信モジュール1Aと送信信号処理回路9Aとの接続例を示す図である。図3の(b)は、光受信モジュール1Bと受信信号処理回路9Bとの接続例を示す図である。 図4は、一実施形態に係る差動増幅回路10Aの構成を示す回路図である。 図5は、制御信号Vccon1,Vccon2を生成する回路の一例を示す回路図である。 図6の(a)及び(b)は、電流源11,12の構成例を示す回路図である。 図7は、制御電流Igcon1,Igcon2を生成する回路の一例を示す回路図である。 図8は、可変抵抗素子51,52の具体例を示す回路図である。 図9は、図8に示された回路のFET51,52周りのノード電位の時間変化の例を示すグラフである。 図10は、図8に示された差動増幅回路10Aの一変形例を示す回路図である。 図11の(a)及び(b)は、図10に示された差動増幅回路10Bの動作を説明するためのグラフである。 図12は、図10に示された差動増幅回路10Bの変形例である。 図13は、比較例に係る差動増幅回路100の構成を示す回路図である。
[本開示の実施形態の説明]
最初に、本開示の実施形態を列記して説明する。一実施形態に係る差動増幅回路は、差動入力信号を増幅して差動出力信号を出力する差動増幅回路であって、第1制御信号に応じて第1ソース電流を供給する第1電流源と、差動入力信号に応じて第1ソース電流を第1電流と第2電流とに分配する第1差動対回路と、第2制御信号に応じて第2ソース電流を供給する第2電流源と、差動入力信号に応じて第2ソース電流を第3電流と第4電流とに分配する第2差動対回路と、第1電流と第3電流との和を電圧値に変換して差動出力信号のうち一方の信号を生成する第1負荷回路と、第2電流と第4電流との和を電圧値に変換して差動出力信号のうち他方の信号を生成する第2負荷回路と、第1負荷回路と第1差動対回路及び第2差動対回路との間に電気的に接続される第1カスケードトランジスタと、第2負荷回路と第1差動対回路及び第2差動対回路との間に電気的に接続される第2カスケードトランジスタと、を備える。差動入力信号が増加するときに、第1ソース電流に対して第1電流が増加するとともに第2電流が減少し、第2ソース電流に対して第4電流が増加するとともに第3電流が減少する。差動入力信号が減少するときに、第1ソース電流に対して第2電流が増加するとともに第1電流が減少し、第2ソース電流に対して第3電流が増加するとともに第4電流が減少する。第1制御信号が有意値に設定されるときは第2制御信号は無意値に設定され、第2制御信号が有意値に設定されるときは第1制御信号は無意値に設定される。
この差動増幅回路では、第1制御信号が有意値に設定されるときは第2制御信号は無意値に設定され、第2制御信号が有意値に設定されるときは第1制御信号は無意値に設定される。従って、第1ソース電流及び第2ソース電流のいずれか一方が選択的に流れる。第1ソース電流が流れる場合、第1差動対回路において、第1ソース電流が第1電流と第2電流とに分配される。これらの第1電流及び第2電流は、第1負荷回路及び第2負荷回路において差動出力信号に変換される。また、第2ソース電流が流れる場合、第2差動対回路において、第2ソース電流が第3電流と第4電流とに分配される。これらの第3電流及び第4電流もまた、第1負荷回路及び第2負荷回路において差動出力信号に変換される。
ここで、上記の差動増幅回路では、差動入力信号が増加すると、第1ソース電流に対して第1電流が増加するとともに第2電流が減少し、第2ソース電流に対して第4電流が増加するとともに第3電流が減少する。また、差動入力信号が減少すると、第1ソース電流に対して第2電流が増加するとともに第1電流が減少し、第2ソース電流に対して第3電流が増加するとともに第4電流が減少する。第1電流及び第3電流は、第1負荷回路において差動出力信号のうち一方の信号に変換される。第2電流及び第4電流は、第2負荷回路において差動出力信号のうち他方の信号に変換される。従って、上記の差動増幅回路によれば、差動入力信号の論理に対し、差動出力信号の論理を一致させることと変更する(反転する)ことが選択可能となる。
加えて、上記の差動増幅回路では、第1負荷回路と第1差動対回路及び第2差動対回路との間に第1カスケードトランジスタが設けられ、第2負荷回路と第1差動対回路及び第2差動対回路との間に第2カスケードトランジスタが設けられている。従って、第1負荷回路側及び第2負荷回路側の各出力端子には、それぞれ一つのトランジスタのみ接続されれば足り、複数のトランジスタが接続される必要はない。よって、出力端子に生じる対地容量を低減し、当該差動増幅回路の高周波特性を向上することができる。
上記の差動増幅回路では、第1負荷回路及び第2負荷回路の各々が、互いに直列に接続された抵抗素子及びインダクタを含んでもよい。第1負荷回路及び第2負荷回路の各々が抵抗素子を含むことにより、第1電流ないし第4電流を、電圧信号である差動出力信号に容易に変換することができる。また、第1負荷回路及び第2負荷回路の各々がインダクタを含むことにより、差動増幅回路の出力特性に高周波ピーキング特性を付与し、高周波帯域での減衰を小さく抑えることができる。特に、上記の差動増幅回路では、出力端子に生じる対地容量が抑制されているので、大きなインダクタンスを有するインダクタを使用することができ、このような効果を顕著に奏することができる。
上記の差動増幅回路では、第1差動対回路が、第1トランジスタ及び第2トランジスタと、第1トランジスタの一方の電流端子と第1電流源との間に電気的に接続される第1抵抗素子と、第2トランジスタの一方の電流端子と第1電流源との間に電気的に接続される第2抵抗素子と、を含み、第2差動対回路が、第3トランジスタ及び第4トランジスタと、第3トランジスタの一方の電流端子と第2電流源との間に電気的に接続される第3抵抗素子と、第4トランジスタの一方の電流端子と第2電流源との間に電気的に接続される第4抵抗素子と、を含み、第1トランジスタ及び第4トランジスタの制御端子には差動入力信号のうち一方の信号が入力され、第2トランジスタ及び第3トランジスタの制御端子には差動入力信号のうち他方の信号が入力され、第1トランジスタの他方の電流端子は第1電流を出力し、第2トランジスタの他方の電流端子は第2電流を出力し、第3トランジスタの他方の電流端子は第3電流を出力し、第4トランジスタの他方の電流端子は第4電流を出力してもよい。例えばこのような構成により、第1差動対回路及び第2差動対回路を容易に実現することができる。
上記の差動増幅回路では、第1差動対回路が、第1トランジスタの一方の電流端子と第1抵抗素子との間の第1ノード、第2トランジスタの一方の電流端子と第2抵抗素子との間の第2ノード、及び、第1ノードと第2ノードとの間に電気的に接続される第1可変抵抗素子を更に含み、第2差動対回路が、第3トランジスタの一方の電流端子と第3抵抗素子との間の第3ノード、第4トランジスタの一方の電流端子と第4抵抗素子との間の第4ノード、及び、第3ノードと第4ノードとの間に電気的に接続される第2可変抵抗素子を更に含んでもよい。例えばこのような構成により、差動増幅回路の利得を可変にすることができる。
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の差動増幅回路の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。以下の説明では、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図1は、本開示の差動増幅回路を備える光送信モジュール1Aの構成を示すブロック図である。光送信モジュール1Aは、差動増幅回路を含むバッファ回路3と、出力回路4と、光変調素子5とを備える。バッファ回路3は、光送信モジュール1Aの外部から入力された差動信号である送信信号DtxP,DtxNを受け、送信信号DtxP,DtxNを増幅する。バッファ回路3の詳細な構成については後述する。
出力回路4は、光変調素子5に駆動信号Stxを提供して光変調素子5を駆動する。駆動信号Stxは、電流信号または電圧信号である。出力回路4は、差動入力端子4a,4bとシングル出力端子4cとを有する。差動入力端子4a,4bは、バッファ回路3と電気的に接続され、バッファ回路3から増幅後の送信信号DtxP,DtxNを受ける。出力回路4は、送信信号DtxP,DtxNに基づいて駆動信号Stxを生成する。
光変調素子5は、出力回路4から駆動信号Stxを受け、駆動信号Stxに応じた変調光信号Ltxを生成する。光変調素子5の一方の電極は電源電位線91に接続され、光変調素子5は電源電位線91からバイアス電圧の供給を受ける。光変調素子5の他方の電極は出力回路4と電気的に接続されている。なお、光変調素子5と電源電位線91との間のノードと基準電位線92との間には、ノイズ除去のためのキャパシタ93が接続されてもよい。光変調素子5としては、例えば直接変調レーザ、電界吸収型(EA)DFBレーザ、マッハツェンダー光変調器(MZM)等が用いられる。変調光信号Ltxは、送信光信号として光送信モジュール1Aの外部(例えば、光ファイバー)へ出力される。
図2は、本開示の差動増幅回路を備える光受信モジュール1Bの構成を示すブロック図である。光受信モジュール1Bは、受光素子6と、トランスインピーダンスアンプ(TIA)7と、差動増幅回路を含むバッファ回路8とを備える。受光素子6は、受信した変調光信号Lrxを電流信号Irxに変換する。受光素子6としては、例えばフォトダイオード(PD)、アバランシェフォトダイオード(APD)等が用いられる。受光素子6の一方の電極は電源電位線91に接続され、受光素子6は電源電位線91からバイアス電圧の供給を受ける。受光素子6の他方の電極はTIA7の入力端子と電気的に接続されている。なお、受光素子6と電源電位線91との間のノードと基準電位線92との間には、ノイズ除去のためのキャパシタ94が接続されてもよい。
TIA7は、受光素子6から出力される電流信号Irxを電圧信号Vrxに変換する。バッファ回路8は、一対の差動入力端子8a,8bと、一対の差動出力端子8c,8dとを有する。TIA7の出力端子はバッファ回路8の一方の入力端子8aと電気的に接続されており、他方の入力端子8bにはリファレンス電位発生回路9からリファレンス電位Vrefが入力される。バッファ回路8は、電圧信号Vrxに応じた差動信号である受信信号DrxP,DrxNを生成し、受信信号DrxP,DrxNを差動出力端子8c,8dから出力する。その後、受信信号DrxP,DrxNは、光受信モジュール1Bの外部(例えば、光受信器内の信号処理回路)へ出力される。
近年の光通信量の増大に伴い、光送信モジュール1A及び光受信モジュール1Bには例えば56Gbaudといった光電変換の変調速度が求められ、これらのバッファ回路3,8には例えば35〜50GHzといった高周波帯域特性が求められる。また、変調方式としては、PAM4等の多値変調が求められ、それに伴いバッファ回路3,8には高周波帯域における線形動作が求められる。更に、光変調素子5に供給されるべき適切な駆動信号Stxの振幅は温度や製造ばらつき等により変化し、また、光送信モジュール1Aの外部から入力される送信信号DtxP,DtxNは条件により異なるので、光送信モジュール1Aのバッファ回路3は利得可変機能を有してもよい。光受信モジュール1Bにおいても、変調光信号Lrxの振幅はファイバ伝送距離に依存して変化するので、バッファ回路8は利得可変機能を有してもよい。
また、光送信モジュール1Aにおいては、送信信号DtxP,DtxNの論理を変更可能であることが望ましい。同様に、光受信モジュール1Bにおいても、受信信号DrxP,DrxNの論理を変更可能であることが望ましい。光送信モジュール1A及び光受信モジュール1Bの接続先の信号処理回路の扱うディジタル信号の論理と光変調素子5または受光素子6の光電変換の特性との関係により、求められる論理が異なる場合があるからである。ここで、信号の論理を変更するとは、信号の論理を反転することを意味する。差動増幅回路の場合、反転増幅を行うことで信号の論理を反転することができる。例えば、光送信モジュール1Aにおいて、駆動信号Stxの論理値が0のときに光変調素子5が光信号Ltxの強度を大きくし、駆動信号Stxの論理値が1のときに光変調素子5が光信号Ltxの強度を小さくする場合、光信号Ltxの論理が送信信号DtxP,DtxNの論理と反対になってしまう。それを回避するためには、例えば出力回路4は反転増幅を行えばよい。あるいは、出力回路4の代わりにバッファ回路3が反転増幅を行ってもよい。ところで、光送信モジュール1Aにおいて、駆動信号Stxの論理値が0のときに光変調素子5が光信号Ltxの強度を小さくし、駆動信号Stxの論理値が1のときに光変調素子5が光信号Ltxの強度を大きくすると、光信号Ltxの論理は送信信号DtxP,DtxNの論理と一致する。このような場合は、バッファ回路3および出力回路4は非反転増幅を行えばよい。従って、バッファ回路3が非反転増幅と反転増幅とを選択して行えることでいずれの場合にも対応することができる。また、光受信モジュール1Bにおいても、バッファ回路8が非反転増幅と反転増幅とを選択して行えることで、光送信モジュール1Aと同様に、信号の論理を維持できる利便性が高まる。
図3の(a)は、光送信モジュール1Aと送信信号処理回路9Aとの接続例を示す図である。送信信号処理回路9Aは、送信データDtxを入力する端子9aと、送信データDtxに基づいて生成した送信信号DtxP,DtxNを出力する差動の端子9b,9cとを有する。端子9b,9cは、差動信号伝送路95を介して光送信モジュール1Aと電気的に接続される。また、図3の(b)は、光受信モジュール1Bと受信信号処理回路9Bとの接続例を示す図である。受信信号処理回路9Bは、受信信号DrxP,DrxNを入力する差動の端子9d,9eと、受信信号DrxP,DrxNに基づいて生成した受信データDrxを出力する端子9fとを有する。端子9d,9eは、差動信号伝送路96を介して光受信モジュール1Bと電気的に接続される。なお、図中の符号Fは光信号伝送用の光ファイバである。
次に、上述したバッファ回路3,8に用いられる差動増幅回路の例を詳細に説明する。図4は、一実施形態に係る差動増幅回路10Aの構成を示す回路図である。差動増幅回路10Aは、差動入力信号Vin(図1及び図2の送信信号DtxP及び電圧信号Vrxに相当)、VinB(図1及び図2の送信信号DtxN及びリファレンス電位Vrefに相当)を増幅して、差動出力信号Vout,VoutBを出力する。差動入力信号Vin,VinBは互いに相補的であり、差動出力信号Vout,VoutBもまた互いに相補的である。以降の説明において、信号Vinを正相信号、信号VinBを逆相信号と称することがある。正相信号と逆相信号とは、相補的な関係にある。例えば、正相信号が増加するとき逆相信号は減少し、正相信号が減少するとき逆相信号は増加する。正相信号と逆相信号は、同じ振幅を有し、例えば、一方がピーク値(最大値)に達するとき他方はボトム値(最小値)に達する。逆相信号の位相は、正相信号の位相と180°ずれている。
図4に示すように、差動増幅回路10Aは、第1電流源11及び第2電流源12を備える。第1電流源11は、差動増幅回路10Aの内部で生成されるか又は外部から入力される第1制御信号Vccon1を受け、第1制御信号Vccon1に応じた大きさの第1ソース電流J1を供給する。同様に、第2電流源12は、差動増幅回路10Aの内部で生成されるか又は外部から入力される第2制御信号Vccon2を受け、第2制御信号Vccon2に応じた大きさの第2ソース電流J2を供給する。
第1制御信号Vccon1の論理と、第2制御信号Vccon2の論理とは互いに反転している。すなわち、第1制御信号Vccon1が有意値(例えば、0または1の論理値を有する2値ディジタル値の1に相当する値)を有しており第1電流源11が或る大きさの第1ソース電流J1を供給する間、第2制御信号Vccon2は無意値(例えば、前述の2値ディジタル値の0に相当する値)となり第2電流源12は第2ソース電流J2を供給しない(ほぼゼロとなる)。また、第2制御信号Vccon2が有意値を有しており第2電流源12が或る大きさの第2ソース電流J2を供給する間、第1制御信号Vccon1は無意値となり第1電流源11は第1ソース電流J1を供給しない(ほぼゼロとなる)。このように、第1制御信号Vccon1と第2制御信号Vccon2とは互いに相反した関係を有する。なお、第1電流源11及び第2電流源12としては周知の電流源回路を用いることができる。
図5は、制御信号Vccon1,Vccon2を生成する回路の一例を示す回路図である。この回路は、差動増幅回路10Aの一部を構成してもよく、差動増幅回路10Aの外部に設けられてもよい。この回路は、集積回路61と、一対のFET62,63とを有する。集積回路61は、電流源11,12のベース電位(もしくはゲート電位)を発生させる回路である。集積回路61は、電流値制御端子61a及び電位出力端子61bを有する。電流値制御端子61aにはソース電流J1,J2の大きさを制御するための信号Sciが差動増幅回路10Aの外部から入力される。集積回路61は、該信号Sciに応じた大きさの電位を電位出力端子61bから出力する。FET62,63は、集積回路61の電位出力端子61bに対して互いに並列に接続される。FET62,63の制御端子には、それぞれ制御電圧Vcon1,Vcon2が入力される。第1制御信号Vccon1を有意値、第2制御信号Vccon2を無意値とする場合、制御電圧Vcon1がオン(例えば、FET62がNチャネル型のとき高電位)、制御電圧Vcon2がオフ(例えば、FET63がNチャネル型のとき低電位)とされる。逆に、第1制御信号Vccon1を無意値、第2制御信号Vccon2を有意値とする場合、制御電圧Vcon1がオフ(FET62がNチャネル型のとき低電位)、制御電圧Vcon2がオン(FET63がNチャネル型のとき高電位)とされる。
なお、FET62の集積回路61とは反対側(第1電流源11側)の電流端子と基準電位線92との間には、抵抗素子64が接続されている。抵抗素子64は、FET62がオフ状態とされた場合に制御信号Vccon1を基準電位に落とすためのシャント抵抗である。同様に、FET63の集積回路61とは反対側(第2電流源12側)の電流端子と基準電位線92との間には、抵抗素子65が接続されている。抵抗素子65は、FET63がオフ状態とされた場合に制御信号Vccon2を基準電位に落とすためのシャント抵抗である。シャント抵抗を設けることによって、FET62(63)をオフ状態にしたときに、第1制御信号Vccon1(第2制御信号Vccon2)をより確実に無意値とすることができる。
図6の(a)及び(b)は、電流源11,12の構成例を示す回路図である。図6の(a)に示される回路は、ヘテロバイポーラトランジスタ(HBT)81と、抵抗素子82と、キャパシタ83とを有する。HBT81と抵抗素子82とは互いに直列に接続され、一例では抵抗素子82がHBT81の一方の電流端子(例えばエミッタ)と基準電位線92との間に接続される。その場合、キャパシタ83がHBT81のベースと基準電位線92との間に接続される。抵抗素子82はソース電流J1,J2の大きさを決定するための抵抗要素であり、キャパシタ83は、制御信号Vccon1、Vccon2を、高周波的に基準電位線92に短絡して接地するための容量である。この回路では、HBT81のベースに制御信号Vccon1(またはVccon2)が印加され、該制御信号に応じた大きさのソース電流J1(またはJ2)がHBT81の他方の電流端子(例えばコレクタ)から出力される。例えば、制御信号Vccon1(またはVccon2)が大きくなるにつれて、ソース電流J1(またはJ2)は大きくなる。制御信号Vccon1、Vccon2は、所定の値に設定された後は一定値に保たれるが、周囲の信号から電磁界的な影響を受けてノイズが重畳される場合がある。キャパシタ83が高周波成分を有するノイズを基準電位線92に逃がすことにより、ソース電流J1,J2がノイズによって変動するのを抑制する。
図6の(b)に示される回路は、FET84と、キャパシタ85とを有する。FET84の一方の電流端子(例えばFET84がNチャネル型のときはソース)は、基準電位線92に接続される。キャパシタ85は、FET84の制御端子(ゲート)と基準電位線92との間に接続される。この回路では、FET84の制御端子(ゲート)に制御信号Vccon1(またはVccon2)が印加され、該制御信号に応じた大きさのソース電流J1(またはJ2)がFET84の他方の電流端子(例えばFET84がNチャネル型のときはソース)から出力される。
再び図4を参照する。差動増幅回路10Aは、第1差動対回路21及び第2差動対回路22を更に備える。第1差動対回路21及び第2差動対回路22は、電源電位線91と基準電位線92との間で、互いに並列に接続されている。
第1差動対回路21は、差動入力信号Vin,VinBに応じて第1ソース電流J1を第1電流J11と第2電流J12とに分配する。本実施形態の第1差動対回路21は、第1トランジスタ211、第2トランジスタ212、第1抵抗素子213及び第2抵抗素子214を有する。抵抗素子213は、トランジスタ211の一方の電流端子(例えばエミッタ)と第1電流源11との間に電気的に接続される。抵抗素子214は、トランジスタ212の一方の電流端子(例えばエミッタ)と第1電流源11との間に電気的に接続される。抵抗素子213,214の抵抗値は、同じ値に設定され、例えば50Ωである。第1トランジスタ211、第2トランジスタ212は、一対のトランジスタであり、同じトランジスタ構造を有し、同じ電気的特性を有することが好ましい。
トランジスタ211の制御端子(ベース)には、差動入力信号Vin,VinBのうち一方の信号(正相信号)Vinが入力される。トランジスタ212の制御端子(ベース)には、差動入力信号Vin,VinBのうち他方の信号(逆相信号)VinBが入力される。そして、トランジスタ211の他方の電流端子(例えばコレクタ)は、差動入力信号Vin,VinBに応じた第1電流J11を出力する。トランジスタ212の他方の電流端子(例えばコレクタ)は、差動入力信号Vin,VinBに応じた第2電流J12を出力する。第1電流J11および第2電流J12と差動入力信号Vin,VinBとの関係については後述する。
第2差動対回路22は、差動入力信号Vin,VinBに応じて第2ソース電流J2を第3電流J21と第4電流J22とに分配する。本実施形態の第2差動対回路22は、第3トランジスタ221、第4トランジスタ222、第3抵抗素子223及び第4抵抗素子224を有する。抵抗素子223は、トランジスタ221の一方の電流端子(例えばエミッタ)と第2電流源12との間に電気的に接続される。抵抗素子224は、トランジスタ222の一方の電流端子(例えばエミッタ)と第2電流源12との間に電気的に接続される。抵抗素子223,224の抵抗値は、同じ値に設定され、例えば50Ωである。トランジスタ221、第4トランジスタ222は、一対のトランジスタであり、同じトランジスタ構造を有し、同じ電気的特性を有することが好ましい。
トランジスタ222の制御端子(ベース)には、差動入力信号Vin,VinBのうち一方の信号(正相信号)Vinが入力される。トランジスタ221の制御端子(ベース)には、差動入力信号Vin,VinBのうち他方の信号(逆相信号)VinBが入力される。そして、トランジスタ221の他方の電流端子(例えばコレクタ)は、差動入力信号Vin,VinBに応じた第3電流J21を出力する。トランジスタ222の他方の電流端子(例えばコレクタ)は、差動入力信号Vin,VinBに応じた第4電流J22を出力する。第3電流J21および第4電流J22と差動入力信号Vin,VinBとの関係については後述する。
なお、図ではトランジスタ211,212,221,222がNPN型のバイポーラトランジスタとして示されているが、これらのトランジスタはPNP型のバイポーラトランジスタであってもよく、或いは電界効果トランジスタ(FET)であってもよい。トランジスタ211,212,221,222は、同じトランジスタ構造を有し、同じ電気的特性を有することが好ましい。
上記の構成を有する差動対回路21,22において、差動入力信号の値(Vin,VinB)が増加するとき、第1電流J11及び第4電流J22は増加し、第2電流J12及び第3電流J21は減少する。逆に、差動入力信号の値(Vin,VinB)が減少するとき、第2電流J12及び第3電流J21は増加し、第1電流J11及び第4電流J22は減少する。ところで、第1電流J11および第2電流J12は、それぞれソース電流J1から配分されるため、最小値は0であり、最大値はソース電流J1と等しくなる。例えば、差動入力信号の値(Vin,VinB)が所定の正値より大きくなるとき、第1電流J11の大きさはソース電流J1の大きさと等しくなり、第2電流J12の大きさは0となる。また、差動入力信号の値(Vin,VinB)が所定の負値より小さくなるとき、第1電流J11の大きさは0となり、第2電流J12の大きさはソース電流J1の大きさと等しくなる。同様に、第3電流J21および第4電流J22は、それぞれソース電流J2から配分されるため、最小値は0であり、最大値はソース電流J2と等しくなる。例えば、差動入力信号の値(Vin,VinB)が所定の正値より大きくなるとき、第4電流J22の大きさはソース電流J2の大きさと等しくなり、第3電流J21の大きさは0となる。また、差動入力信号の値(Vin,VinB)が所定の負値より小さくなるとき、第4電流J22の大きさは0となり、第3電流J21の大きさはソース電流J1の大きさと等しくなる。このように、差動入力信号の値(Vin,VinB)が所定の範囲(所定の負値以上、所定の正値以下の範囲)より大きくなるか、あるいは小さくなるときに、第1電流J11、第2電流J12、第3電流J21、および第4電流J22は、一定値となり変化しなくなる。このような状態で差動対回路21,22が動作するとき、飽和動作という。また、所定の範囲内において、第1電流J11、第2電流J12、第3電流J21、および第4電流J22が差動入力信号の値(Vin,VinB)に比例して変化するとき、差動対回路21,22は線形増幅動作をしているという。
差動増幅回路10Aは、第1負荷回路31及び第2負荷回路32を更に備える。第1負荷回路31は、第1電流J11と第3電流J21との和(J11+J21)を電圧値に変換して、差動出力信号Vout,VoutBのうち一方の信号(正相信号)Voutを生成する。第2負荷回路32は、第2電流J12と第4電流J22との和(J12+J22)を電圧値に変換して、差動出力信号Vout,VoutBのうち他方の信号(逆相信号)VoutBを生成する。
本実施形態の第1負荷回路31は、互いに直列に接続された抵抗素子311及びインダクタ312を含む。第1負荷回路31の一端は電源電位線91に接続され、抵抗素子311はインダクタ312と電源電位線91との間に接続される。同様に、本実施形態の第2負荷回路32は、互いに直列に接続された抵抗素子321及びインダクタ322を含む。第2負荷回路32の一端は電源電位線91に接続されており、抵抗素子321はインダクタ322と電源電位線91との間に接続される。
差動増幅回路10Aは、第1カスケードトランジスタ41及び第2カスケードトランジスタ42(以下、それぞれトランジスタ41,42とする)を更に備える。トランジスタ41は、第1負荷回路31と差動対回路21,22との間に電気的に接続される。具体的には、トランジスタ41の一方の電流端子(例えばエミッタ)は、トランジスタ211,221の他方の電流端子(例えばコレクタ)と電気的に接続され、トランジスタ41の他方の電流端子(例えばコレクタ)は、第1負荷回路31の他端(電源電位線91とは逆側の端)と電気的に接続される。また、トランジスタ42は、第2負荷回路32と差動対回路21,22との間に電気的に接続される。具体的には、トランジスタ42の一方の電流端子(例えばエミッタ)は、トランジスタ212,222の他方の電流端子(例えばコレクタ)と電気的に接続され、トランジスタ42の他方の電流端子(例えばコレクタ)は、第2負荷回路32の他端(電源電位線91とは逆側の端)と電気的に接続される。トランジスタ41,42の制御端子(ベース)には、共通の直流電圧Vdc1が入力される。
なお、図ではトランジスタ41,42がNPN型のバイポーラトランジスタとして示されているが、これらのトランジスタはPNP型のバイポーラトランジスタであってもよく、或いはFETであってもよい。トランジスタ41、42は、一対のトランジスタであり、同じトランジスタ構造を有し、同じ電気的特性を有することが好ましい。
第1負荷回路31と第1カスケードトランジスタ41との間のノードN5は、差動増幅回路10Aの一方の出力端子に接続される。この出力端子からは、信号Voutが出力される。また、第2負荷回路32と第2カスケードトランジスタ42との間のノードN6は、差動増幅回路10Aの他方の出力端子に接続される。この出力端子からは、信号VoutBが出力される。信号Voutは、差動出力信号Vout,VoutBの正相信号であり、信号VoutBは、差動出力信号Vout,VoutBの逆相信号である。
差動対回路21,22は、可変抵抗素子51,52をそれぞれ有する。可変抵抗素子51,52は、差動増幅回路10Aの利得を可変とする為に設けられる。可変抵抗素子51は、ノードN1とノードN2との間に接続される。ノードN1は、トランジスタ211と抵抗素子213との間のノードである。ノードN2は、トランジスタ212と抵抗素子214との間のノードである。また、可変抵抗素子52は、ノードN3とノードN4との間に接続される。ノードN3は、トランジスタ221と抵抗素子223との間のノードである。ノードN4は、トランジスタ222と抵抗素子224との間のノードである。可変抵抗素子51,52は、差動増幅回路10Aの内部で生成されるか又は外部から入力される制御電流Igcon1,Igcon2によって電流制御される。すなわち、可変抵抗素子51,52それぞれの抵抗値は、差動増幅回路10Aの外部から入力される制御電流Igcon1,Igcon2それぞれの大きさに応じて変化する。
トランジスタ211,212(221,222)のエミッタ抵抗が抵抗素子213,214(223,224)の抵抗値と比較して十分に小さい場合、数式(1)に示すように、差動増幅回路10Aの利得Gaは、負荷回路31(32)のインピーダンスZLと、トランジスタ41,42のエミッタ側の抵抗との比で表される。なお、R3は抵抗素子213,214(223,224)の抵抗値であり、R5は可変抵抗素子51(52)の抵抗値である。
Figure 2021111885

例えば、可変抵抗素子51(52)の抵抗値R5が1000Ω〜50Ωの範囲で可変であれば、最大8.7dB(2.7倍)までの利得可変が可能となる。
図7は、制御電流Igcon1,Igcon2を生成する回路の一例を示す回路図である。この回路は、差動増幅回路10Aの一部を構成してもよく、差動増幅回路10Aの外部に設けられてもよい。この回路は、集積回路71と、一対のFET72,73とを有する。集積回路71は、可変抵抗制御用の電流を発生させる回路である。集積回路71は、利得制御端子71a及び電流出力端子71bを有する。利得制御端子71aには可変抵抗素子51,52の抵抗値を制御するための信号Scgが差動増幅回路10Aの外部から入力される。集積回路71は、該信号Scgに応じた大きさの電流を電流出力端子71bから出力する。FET72,73は、集積回路71の電流出力端子71bに対して互いに並列に接続される。FET72,73の制御端子には、それぞれ制御電圧Vcon3,Vcon4が入力される。制御電流Igcon1をオン、制御電流Igcon2をオフとする場合、制御電圧Vcon3がオン(例えば、FET72がPチャネル型のとき低電位)、制御電圧Vcon4がオフ(例えば、FET73がPチャネル型のとき高電位)とされる。逆に、制御電流Igcon1をオフ、制御電流Igcon2をオンとする場合、制御電圧Vcon3がオフ(例えば、FET72がPチャネル型のとき高電位)、制御電圧Vcon4がオン(例えば、FET73がPチャネル型のとき低電位)とされる。なお、このように、制御電流Igcon1および制御電流Igcon2を互いに相反するように設定する場合、第1制御信号Vccon1を有意値とするときに制御電流Igcon1をオンにし、第2制御信号Vccon2を有意値とするときに制御電流Igcon2をオンにするという関係になるように制御する。
なお、この例では可変抵抗素子51,52それぞれに対し制御電流Igcon1,Igcon2それぞれを入力しているが、可変抵抗素子51,52に対して共通の制御電流を入力してもよい。可変抵抗素子51,52の抵抗値を同じ値に制御する場合であっても、利得可変機能を実現することができる。
以上の構成を備える差動増幅回路10Aの動作について説明する。或る動作モードでは、第1制御信号Vccon1及び制御電流Igcon1をオン状態とし、第2制御信号Vccon2及び制御電流Igcon2をオフ状態とする。この場合、第1差動対回路21には第1ソース電流J1が流れるが、第2差動対回路22には第2ソース電流J2は流れない。従って、第1差動対回路21のみ動作可能となり、第1ソース電流J1が第1電流J11と第2電流J12とに分配される。また、動作可能な第1差動対回路21について、制御電流Igcon1によって可変抵抗素子51の抵抗値が設定される。このとき、第2ソース電流J2は流れないため、第3電流J21と第4電流J22はいずれも0となっている。そして、差動入力信号の値(Vin,VinB)に対応する信号Voutが、第1電流J11に基づいて第1負荷回路31において生成され、差動入力信号の値(Vin,VinB)に対応する信号VoutBが、第2電流J12に基づいて第2負荷回路32において生成される。具体的には、第1差動対回路21が線形増幅動作を行うとき、差動入力信号の値(Vin,VinB)が増加(減少)すると、信号Voutの電位は低下(上昇)し、信号VoutBの電位は上昇(低下)する。従って、差動出力信号の値(Vout,VoutB)は、差動入力信号の値(Vin,VinB)の増加に対して減少し、差動入力信号の値(Vin,VinB)の減少に対して増加する。これは、第1差動対回路21が反転増幅を行っていることに相当する。すなわち、差動出力信号の値(Vout,VoutB)を差動入力信号の値(Vin,VinB)で割った利得の値は、−Gaとなる。第2差動対回路22は、第1差動対回路21の動作に影響しないため、このときの利得−Gaの大きさ(絶対値)は、可変抵抗素子51の抵抗値に応じて決まる。また、別の動作モードでは、第2制御信号Vccon2及び制御電流Igcon2をオン状態とし、第1制御信号Vccon1及び制御電流Igcon1をオフ状態とする。この場合、第2差動対回路22には第2ソース電流J2が流れるが、第1差動対回路21には第1ソース電流J1は流れない。従って、第2差動対回路22のみ動作可能となり、第2ソース電流J2が第3電流J21と第4電流J22とに分配される。また、動作可能な第2差動対回路22について、制御電流Igcon2によって可変抵抗素子52の抵抗値が設定される。このとき、第1ソース電流J1は流れないため、第1電流J11と第2電流J12はいずれも0となっている。そして、差動入力信号の値(Vin,VinB)に対応する信号VoutBが、第4電流J22に基づいて第2負荷回路32において生成され、差動入力信号の値(Vin,VinB)に対応する信号Voutが、第3電流J21に基づいて第1負荷回路31において生成される。
具体的には、第2差動対回路22が線形増幅動作を行うとき、差動入力信号の値(Vin,VinB)が増加(減少)すると、信号VoutBの電位は低下(上昇)し、信号Voutの電位は上昇(低下)する。従って、差動出力信号の値(Vout,VoutB)は、差動入力信号の値(Vin,VinB)の増加に対して増加し、差動入力信号の値(Vin,VinB)の減少に対して減少する。これは、第1差動対回路21が非反転増幅を行っていることに相当する。すなわち、差動出力信号の値(Vout,VoutB)を差動入力信号の値(Vin,VinB)で除算した値は、Gaとなる。第1差動対回路21は、第2差動対回路22の動作に影響しないため、このときの利得Gaの大きさ(絶対値)は、可変抵抗素子52の抵抗値に応じて決まる。
このように、或る動作モードでは、差動入力信号Vin,VinBが反転増幅されて差動出力信号Vout,VoutBが生成される。例えば、差動入力信号Vin,VinBが2値ディジタル信号で0または1の論理値を持つ場合、差動入力信号Vin,VinBが0のとき、差動出力信号Vout,VoutBは1となり、差動入力信号Vin,VinBが1のとき、差動出力信号Vout,VoutBは0となる。また、差動入力信号Vin,VinBが4値PAM信号の場合で論理値0、1、2、3を取り得る場合、差動入力信号Vin,VinBの論理値をm(mは0、1、2、3のいずれかの値)としたとき、差動出力信号Vout,VoutBの論理値n(nは0、1、2、3のいずれかの値)はn=3−mとなる。また、別の動作モードでは、差動入力信号Vin,VinBが非反転増幅されて差動出力信号Vout,VoutBが生成される。従って、本実施形態の差動増幅回路10Aでは、差動入力信号Vin,VinBの論理に対し、差動出力信号Vout,VoutBの論理を一致させることと変更する(反転する)ことが選択可能となる。
ここで、差動増幅回路10Aの周波数特性について説明する。差動増幅回路10Aの動作帯域は、主にインダクタ312,322のインダクタンスとノードN5,N6が有する対地容量との積によって決まる。すなわち、カットオフ周波数fcは下記の数式(2)により算出される。なお、数式中においてLaはインダクタ312,322のインダクタンスであり、CaはノードN5,N6が有する対地容量である。
Figure 2021111885
また、このカットオフ周波数以下の周波数において、抵抗素子311及びインダクタ312からなる負荷のインピーダンスZLは、下記の数式(3)により算出される。抵抗素子321及びインダクタ322からなる負荷のインピーダンスも同様である。
Figure 2021111885

数式(3)に示すように、インピーダンスZLは周波数とともに増大する。従って、本実施形態の差動増幅回路10Aは高周波側での利得増加、すなわち高周波ピーキングの特性を有する。故に、図3に示された差動信号伝送路95,96での高周波信号の減衰を補償することができる。
差動信号伝送路95,96は例えば3ミリメートルないし50ミリメートル程度の伝送線路であり、ある周波数より高い高周波領域では信号振幅が減衰(ロス)する。PAM4などの多値信号伝送において、送信信号処理回路9Aから光送信モジュール1Aまでの高周波振幅の減衰は、送信信号のS/Nの劣化を意味する。同様に、光受信モジュール1Bから受信信号処理回路9Bまでの高周波振幅の減衰もまた、受信信号の劣化の要因になる。これら差動信号伝送路95,96での高周波振幅の減衰を補償するために、バッファ回路3,8に高周波領域の利得を上昇させるピーキング特性を付与することは、光送信モジュール1Aおよび光受信モジュール1Bの伝送特性の向上に繋がるので好ましい。
ここで、差動増幅回路の比較例について説明する。図13は、比較例に係る差動増幅回路100の構成を示す回路図である。この差動増幅回路100は、特許文献1に記載された方式に基づいて考えられたものであって、差動入力信号Vin,VinBの論理に対し、差動出力信号Vout,VoutBの対応する論理を変更する(反転する)ことが可能となっている。
具体的には、差動増幅回路100は、図4の第2電流源12を備えておらず、第1電流源11のみ備える。また、差動増幅回路100は、図4の第2差動対回路22を備えておらず、第1差動対回路21のみ備える。その代わりに、差動増幅回路100は、カスケードトランジスタ41,42に加えて、更にカスケードトランジスタ43,44を備える。トランジスタ43のエミッタは、トランジスタ212のコレクタと電気的に接続され、トランジスタ43のコレクタは、第1負荷回路31と電気的に接続される。トランジスタ44のエミッタは、トランジスタ211のコレクタと電気的に接続され、トランジスタ44のコレクタは、第2負荷回路32と電気的に接続される。トランジスタ43,44のベースには、共通の直流電圧Vdc1Bが入力される。
或る動作モードでは、直流電圧Vdc1をカスケードトランジスタ41,42がオン状態となるように高電位とし、直流電圧Vdc1Bをカスケードトランジスタ43,44がオフ状態となるように低電位とする。この場合、トランジスタ211を流れる第1電流J11は第1負荷回路31を通り、トランジスタ212を流れる第2電流J12は第2負荷回路32を通る。これにより、差動入力信号Vin,VinBが反転増幅されて差動出力信号Vout,VoutBが生成される。これに対し、別の動作モードでは、直流電圧Vdc1Bをカスケードトランジスタ43,44がオン状態となるように高電位とし、直流電圧Vdc1をカスケードトランジスタ41,42ががオフ状態となるように低電位とする。この場合、トランジスタ211を流れる第1電流J11は第2負荷回路32を通り、トランジスタ212を流れる第2電流J12は第1負荷回路31を通る。これにより、差動入力信号Vin,VinBが非反転増幅されて差動出力信号Vout,VoutBが生成される。
このように、或る動作モードでは、差動出力信号Vout,VoutBの論理は、差動入力信号Vin,VinBの論理に対して反転される。また、別の動作モードでは、。差動出力信号Vout,VoutBの論理は、差動入力信号Vin,VinBの論理と一致する。従って、比較例に係る差動増幅回路100においても、差動入力信号Vin,VinBの論理に対し、差動出力信号Vout,VoutBの論理を変更する(反転する)ことと一致させることが選択可能となる。
しかしながら、比較例に係る差動増幅回路100は、次のような課題を有する。この差動増幅回路100において、数式(2)に示される、ノードN5が有する対地容量Caは、下記の数式(4)のように各容量値の和で表される。
Figure 2021111885

但し、Cbc1はトランジスタ41のコレクタ・ベース間容量であり、例えば10〜40fFである。Ccg1はトランジスタ41とインダクタ312とを接続する引き出し配線が有する対基準電位の寄生容量であり、例えば5〜20fFである。Cbc3はトランジスタ43のコレクタ・ベース間容量であり、例えば10〜40fFである。Ccg3は、トランジスタ43とインダクタ312とを接続する引き出し配線が有する対基準電位の寄生容量であり、例えば5〜20fFである。CL1nは差動出力信号Voutの出力端子から外部回路への接続配線の寄生容量であり、例えば5〜20fFである。Cinbuffは、外部回路の入力端子が有する対地容量であり、例えば5〜20fFである。また、数式(2)において、インダクタ312,322のインダクタンスLaは、例えば50pH〜500pHである。
数式(2)により算出されるカットオフ周波数fcは、例えば56Gbaudであれば45GHz以上が望ましい。Cbc1=Cbc3=20fF、Ccg1=Ccg3=10fF、CL1n=10fF、Cinbuff=10fFである場合、Ca=80fFであり、カットオフ周波数fcを45GHz以上とするにはインダクタンスLaを150pH未満とする必要がある。しかし、差動信号伝送路95,96(図3を参照)での高周波振幅の減衰を補償するに際し、インダクタンスLaは大きい方が望ましく、150pH以上の値を選択できることが求められる。従って、差動増幅回路100のカットオフ周波数fcを十分に高くするとともに差動信号伝送路95,96での高周波振幅の減衰を十分に補償することが困難となり、光送信モジュール1Aおよび光受信モジュール1Bの所望の伝送特性を実現できなくなる。
本実施形態の差動増幅回路10Aにおいて、ノードN5が有する対地容量Caは、下記の数式(5)で表される。なお、ノードN6が有する対地容量Caもこれと同様である。
Figure 2021111885

数式(4)と比較して寄生容量Cbc3,Ccg3が無く、対地容量Caは大きく減少する。Cbc1、Ccg1、CL1n、及びCinbuffが上記と同じ値であれば、Ca=50fFとなり、上記の比較例(80fF)に対して大きく減少する。そして、カットオフ周波数fcを45GHz以上とする際に、インダクタンスLaを250pHまで増加させることができる。よって、本実施形態によれば、高周波ピーキングをより増加させて、差動信号伝送路95,96での高周波振幅の減衰をより効果的に補償することができる。
すなわち、本実施形態の差動増幅回路10Aでは、第1負荷回路31と差動対回路21,22との間にトランジスタ41が設けられ、第2負荷回路32と差動対回路21,22との間にトランジスタ42が設けられている。従って、第1負荷回路31側及び第2負荷回路32側の各出力端子には、それぞれ一つのトランジスタのみ接続されれば足り、複数のトランジスタが接続される必要はない。よって、出力端子に生じる対地容量を低減し、差動増幅回路10Aの高周波特性を向上することができる。
また、本実施形態の差動増幅回路10Aでは、第1負荷回路31が、互いに直列に接続された抵抗素子311及びインダクタ312を含んでおり、第2負荷回路32が、互いに直列に接続された抵抗素子321及びインダクタ322を含んでいる。負荷回路31,32がそれぞれ抵抗素子311,321を含むことにより、第1電流J11ないし第4電流J22を、電圧信号である差動出力信号Vout,VoutBに容易に変換することができる。また、負荷回路31,32がインダクタ312,322を含むことにより、差動増幅回路10Aの出力特性に高周波ピーキング特性を付与し、高周波帯域での減衰を小さく抑えることができる。特に、本実施形態の差動増幅回路10Aでは、ノードN5,N6に生じる対地容量Caが抑制されているので(数式(5)を参照)、大きなインダクタンスを有するインダクタを使用することができ、このような効果を顕著に奏することができる。
次に、可変抵抗素子51,52の具体例について詳細に説明する。図8は、可変抵抗素子51,52の具体例を示す回路図である。この例では、可変抵抗素子51,52はFETであり、更に抵抗素子53,55及びキャパシタ54,56が設けられている。FET51の一方の電流端子はノードN1と電気的に接続され、FET51の他方の電流端子はノードN2と電気的に接続される。FET52の一方の電流端子はノードN3と電気的に接続され、FET52の他方の電流端子はノードN4と電気的に接続される。FET51,52は、例えばNチャンネル型FETである。なお、FET51,52は、例えば、一方の電流端子と他方の電流端子とを入れ替えても同じ電気的特性を示すこと(対称性を有すること)が好ましい。FET51,52が対称性を有するとき、可変抵抗素子として一方の電流端子(例えば、ソース)と他方の電流端子(例えば、ドレイン)とは機能および電気特性において等価として扱ってもよい。
抵抗素子53及びキャパシタ54は、FET51のゲートとノードN7との間において、互いに並列に接続される。ノードN7は、抵抗素子213,214と第1電流源11との間のノードである。同様に、抵抗素子55及びキャパシタ56は、FET52のゲートとノードN8との間において、互いに並列に接続される。ノードN8は、抵抗素子223,224と第2電流源12との間のノードである。抵抗素子53,55の抵抗値は、例えば500Ω〜10kΩの範囲内である。キャパシタ54,56の容量値は、例えば20fF〜500fFの範囲内である。
FET51のゲートには制御電流Igcon1の入力端子が接続され、FET52のゲートには制御電流Igcon2の入力端子が接続される。抵抗素子53は、ノードN7を基準電位として制御電流Igcon1に応じた電圧をFET51のゲートに発生させる。抵抗素子55は、ノードN8を基準電位として制御電流Igcon2に応じた電圧をFET52のゲートに発生させる。キャパシタ54,56は、これらの電圧に含まれるノイズを抵抗素子53,55を流れないようにバイパスして除去するために設けられる。
この回路において、FET51のゲート・ソース間電圧Vgs1、及びFET52のゲート・ソース間電圧Vgs2は、それぞれ次の数式(6)、(7)によって表される。但し、R53,R55はそれぞれ抵抗素子53,55の抵抗値であり、Igcon1,Igcon2はそれぞれ制御電流Igcon1,Igcon2の電流値であり、VN1,VN2,VN3,VN4,VN7,VN8はそれぞれノードN1,N2,N3,N4、N7,N8の電位である。なお、ここでは、VN1<VN2およびVN4<VN3である場合を想定している。
Figure 2021111885

Figure 2021111885

このように、制御電流Igcon1,Igcon2によってFET51,52のゲート・ソース間電圧Vgs1,Vgs2が制御され、FET51,52のソース・ドレイン間の抵抗値(オン抵抗)を可変とすることができる。なお、FET51,52のゲート・ソース間の閾値電圧は、例えば0.1〜0.6Vである。また、ノードN7(N8)とノードN1(N4)との電位差は、抵抗素子213,214(223,224)の抵抗値とソース電流J1(J2)の電流値とによって決定される。差動増幅回路10Aの線形動作を保つため、例えば、この電位差は単相入力振幅の1.5倍〜2倍程度に設定される。
図9は、図8に示された回路のFET51,52周りのノード電位の時間変化の例を示すグラフである。動作状態としては、第1制御信号Vccon1がオン、第2制御信号Vccon2がオフの状態(すなわち第1差動対回路21が動作し、第2差動対回路22が休止している状態)である。また、差動増幅回路10Aの外部から入力振幅Vinppの差動入力信号Vin,VinBが入力されているものとする。図中のグラフG1は入力信号Vinを表し、グラフG2は入力信号VinBを表す。なお、ここでは差動入力信号Vin,VinBを多値信号ではなく2値を有するNRZ(non return to zero)信号としている。グラフG3は高利得設定時のFET51のゲート電位であり、グラフG4は低利得設定時のFET51のゲート電位である。グラフG5〜G7は、それぞれノードN7,N1,N2の電位である。差動入力信号Vin,VinBの電位に対して、ノードN1,N2の電位は、トランジスタ211,212のベース・エミッタ間電位の分だけ低下する。また、第1差動対回路21は線形性を保つためにリミッティング動作は行わず、そのためノードN7の電位がノードN1,N2の電位よりも低くなるように第1ソース電流J1が設定されている。
低利得に設定する場合、制御電流Igcon1の電流値を低くして0μAに近づけ、FET51のゲート電位をノードN7の電位とほぼ一致させる。FET51のゲート電位は、ノードN1の電位VN1とノードN7の電位VN7との差(VN1−VN7)、及びノードN2の電位VN2とノードN7の電位VN7との差(VN2−VN7)のうち低い方を基準電位(ソース電位)として考える。低利得設定時、FET51のゲート電位閾値電圧以下となるように制御電流Igcon1の電流値を設定し、FET51は高抵抗(例えば1000Ω)となり、差動増幅回路10Aの利得は低くなる。これに対し、高利得に設定する場合、制御電流Igcon1の電流値を例えば80μA程度の高い値に設定し、FET51のゲート電位を上昇させる。これにより、ゲート電位が閾値電位(例えば0.3V)をある程度超えると、FET51は低抵抗(例えば50Ω)となり、差動増幅回路10Aの利得が高くなる。ところで、制御電流Igcon1は、第1電流源11に流れ込み、第1ソース電流J1の一部となり、その分だけ第1差動対回路に供給されて増幅動作に寄与する分は減少する。また、制御電流Igcon2は、第2電流源12に流れ込み、第2ソース電流J2の一部となり、その分だけ第2差動対回路に供給されて増幅動作に寄与する分は減少する。しかし、例えば、第1ソース電流J1および第2ソース電流J2の値を数十mAに設定する場合、制御電流Igcon1、Igcon2を数十μA程度に設定すれば、差動出力信号Vout,VoutBの振幅に与える影響を、無視できる程度に抑えることができる。
なお、このグラフでは第2制御信号Vccon2がオフ状態(低電位、例えば0V)であり第2差動対回路22は休止しているので、ノードN8,N3,N4の各電位は互いにほぼ等しく、その電位は差動入力信号Vin,VinBのうち高い方の電位とほぼ等ししい。図中には、ノードN8,N3,N4の電位を破線のグラフG8として示している。また、制御電流Igcon2の電流値もほぼ0μAに設定されるので、FET52のゲート電位もまた、ノードN8,N3,N4の電位とほぼ等しくなる。
ここで、FET51,52のゲート電位を上記のような電流制御ではなく電圧制御とし、それぞれのゲート電位を互いに共通とした場合、低利得設定時には休止側FET(FET52)のゲート電位は動作側のノードN7の電位付近にまで低下することになる。これに対し、休止側のノードN8,N3,N4の電位は、差動入力信号Vin,VinBのうち高い方の電位とほぼ等しい。従って、休止側のFET52のゲート・ソース間およびゲート・ドレイン間に対し、絶対値の大きな負の電圧が印加されることとなる。例えば、トランジスタ221,222のベース・エミッタ間電圧が0.9Vであり、差動入力信号Vin,VinBの入力振幅Vinppが0.4Vである場合、休止側のFET52のゲート・ソース間およびゲート・ドレイン間には少なくとも−1.3Vより低い電圧が印加される。
ゲート電圧について正負を問わず1.0V以上の耐圧を得るためには、例えばゲート酸化膜を厚く、ゲート長を長くすることが必要とされる。その場合、FETの相互コンダクタンスgmが低下するので、相互コンダクタンスgmを維持するために同じ抵抗可変範囲であってもゲート幅をより大きくする必要が生じ、寄生容量が大きくなる。故に、FETの高周波特性が劣化し、ひいては差動増幅回路10Aの高周波特性が劣化することとなる。これに対し、上記のような電流制御方式によれば、このような高周波特性の劣化を回避することができる。
(第1変形例)
図10は、図8に示された差動増幅回路10Aの一変形例を示す回路図である。この差動増幅回路10Bは、図8に示された差動増幅回路10Aの構成に加えて、抵抗素子13,16と、ダイオード14,15,17,18とを更に備える。抵抗素子13及びダイオード14,15は、FET51のゲート電位の上昇を抑制するための回路要素である。抵抗素子13及びダイオード14,15はFET51のゲートと基準電位線92との間において互いに直列に接続されている。より具体的には、ダイオード14,15はアノードをFET51のゲート側に向け、カソードを基準電位線92側に向けて順方向に接続されており、抵抗素子13はダイオード14,15とFET51のゲートとの間に接続されている。同様に、抵抗素子16及びダイオード17,18は、FET52のゲート電位の上昇を抑制するための回路要素である。抵抗素子16及びダイオード17,18はFET52のゲートと基準電位線92との間において互いに直列に接続されている。より具体的には、ダイオード17,18はアノードをFET52のゲート側に向け、カソードを基準電位線92側に向けて順方向に接続されており、抵抗素子16はダイオード17,18とFET52のゲートとの間に接続されている。
図11の(a)及び(b)は、図10に示された差動増幅回路10Bの動作を説明するためのグラフである。図11の(a)は、第1制御信号Vccon1及び制御電流Igcon1を、信号極性の変更のためにオン状態からオフ状態へスイッチしたときの第1ソース電流J1及び制御電流Igcon1の時間変化を示す。図中、グラフG11は第1ソース電流J1を表し、グラフG12は制御電流Igcon1を表す。
グラフG11,G12に示すように、制御電流Igcon1が第1ソース電流J1よりも小さい状態でスイッチングを終える場合、ノードN1の電位は図11の(b)の実線グラフG21のように推移し、トランジスタのベース・エミッタ間電圧に相当する0.8V程度上昇する(図中の矢印A)。しかし、制御電流Igcon1のオフタイミングが第1制御信号Vccon1のオフタイミングより僅かでも遅れ、制御電流Igcon1が第1ソース電流J1よりも大きくなった場合(図11の(a)の一点鎖線部分)、制御電流Igcon1と第1ソース電流J1との差電流がトランジスタ211,212のエミッタから入力されることとなる。これは、トランジスタ211,212のベース・エミッタ間に生じるダイオードに対して、逆方向の電流を供給することに相当する。故に、エミッタ電位は大きく上昇し(図11の(b)の一点鎖線部分B)、トランジスタ211,212、並びに第1電流源11を構成するトランジスタの動作に悪影響を及ぼすおそれを生じる。このとき、ノードN1の電位はノードN2の電位およびFET51のゲート電位とほぼ等しくなるが、本変形例において追加されたダイオード14,15が順方向にオンすることにより、その電位上昇が抑えられる(図11の(b)の一点鎖線部分C)。なお、このような作用は、抵抗素子16及びダイオード17,18においても同様である。
図12は、図10に示された差動増幅回路10Bの変形例である。この例では、抵抗素子13及びダイオード14,15を含む直列回路の一端を、FET51のベースではなくノードN7に接続している。同様に、抵抗素子16及びダイオード17,18を含む直列回路の一端を、FET52のベースではなくノードN8に接続している。このような構成であっても、上記と同様の作用効果を奏することができる。なお、抵抗素子13及びダイオード14,15を含む直列回路を流れる電流は、第1ソース電流J1よりも十分小さくなるように設定されることが好ましい。同様に、抵抗素子16及びダイオード17,18を含む直列回路を流れる電流は、第2ソース電流J2よりも十分小さくなるように設定されることが好ましい。
本発明による差動増幅回路は、上述した実施形態及び変形例に限られるものではなく、他に様々な変形が可能である。例えば、上記実施形態の負荷回路31,32はそれぞれインダクタ312,322を含んでいるが、これらのインダクタ312,322を省いてもよい。また、上記実施形態では利得可変機能のために可変抵抗素子51,52が設けられているが、利得可変機能が不要である場合には、可変抵抗素子51,52を省いてもよい。
1A…光送信モジュール、1B…光受信モジュール、3,8…バッファ回路、4…出力回路、4a,4b…差動入力端子、4c…シングル出力端子、5…光変調素子、6…受光素子、7…TIA、8…バッファ回路、8a,8b…差動入力端子、8c,8d…差動出力端子、9…リファレンス電位発生回路、9A…送信信号処理回路、9B…受信信号処理回路、10A,10B…差動増幅回路、11…第1電流源、12…第2電流源、13,16…抵抗素子、14,15,17,18…ダイオード、21…第1差動対回路、22…第2差動対回路、31…第1負荷回路、32…第2負荷回路、41…第1カスケードトランジスタ、42…第2カスケードトランジスタ、43,44…カスケードトランジスタ、51,52…可変抵抗素子(FET)、53,55…抵抗素子、54,56…キャパシタ、61…集積回路、61a…電流値制御端子、61b…電位出力端子、62,63…FET、64,65…抵抗素子、71…集積回路、71a…利得制御端子、71b…電流出力端子、72,73…FET、81…HBT、82…抵抗素子、83,85…キャパシタ、84…FET、91…電源電位線、92…基準電位線、93,94…キャパシタ、95,96…差動信号伝送路、211…第1トランジスタ、212…第2トランジスタ、213…第1抵抗素子、214…第2抵抗素子、221…第3トランジスタ、222…第4トランジスタ、223…第3抵抗素子、224…第4抵抗素子、311,321…抵抗素子、312,322…インダクタ、Drx…受信データ、DrxP,DrxN…受信信号、Dtx…送信データ、DtxP,DtxN…送信信号、Igcon1,Igcon2…制御電流、Irx…電流信号、J1…第1ソース電流、J11…第1電流、J12…第2電流、J2…第2ソース電流、J21…第3電流、J22…第4電流、Lrx,Ltx…変調光信号、N1〜N8…ノード、Stx…駆動信号、Vccon1…第1制御信号、Vccon2…第2制御信号、Vdc1,Vdc1B…直流電圧、Vin,VinB…差動入力信号、Vinpp…入力振幅、Vout,VoutB…差動出力信号、Vref…リファレンス電位、Vrx…電圧信号、ZL…インピーダンス。

Claims (4)

  1. 差動入力信号を増幅して差動出力信号を出力する差動増幅回路であって、
    第1制御信号に応じて第1ソース電流を供給する第1電流源と、
    前記差動入力信号に応じて前記第1ソース電流を第1電流と第2電流とに分配する第1差動対回路と、
    第2制御信号に応じて第2ソース電流を供給する第2電流源と、
    前記差動入力信号に応じて前記第2ソース電流を第3電流と第4電流とに分配する第2差動対回路と、
    前記第1電流と前記第3電流との和を電圧値に変換して前記差動出力信号のうち一方の信号を生成する第1負荷回路と、
    前記第2電流と前記第4電流との和を電圧値に変換して前記差動出力信号のうち他方の信号を生成する第2負荷回路と、
    前記第1負荷回路と前記第1差動対回路及び前記第2差動対回路との間に電気的に接続される第1カスケードトランジスタと、
    前記第2負荷回路と前記第1差動対回路及び前記第2差動対回路との間に電気的に接続される第2カスケードトランジスタと、
    を備え、
    前記差動入力信号が増加するときに、第1ソース電流に対して前記第1電流が増加するとともに前記第2電流が減少し、第2ソース電流に対して前記第4電流が増加するとともに前記第3電流が減少し、前記差動入力信号が減少するときに、第1ソース電流に対して前記第2電流が増加するとともに前記第1電流が減少し、第2ソース電流に対して前記第3電流が増加するとともに前記第4電流が減少し、
    前記第1制御信号が有意値に設定されるときは前記第2制御信号は無意値に設定され、前記第2制御信号が有意値に設定されるときは前記第1制御信号は無意値に設定される、差動増幅回路。
  2. 前記第1負荷回路及び前記第2負荷回路の各々は、互いに直列に接続された抵抗素子及びインダクタを含む、請求項1に記載の差動増幅回路。
  3. 前記第1差動対回路は、
    第1トランジスタ及び第2トランジスタと、
    前記第1トランジスタの一方の電流端子と前記第1電流源との間に電気的に接続される第1抵抗素子と、
    前記第2トランジスタの一方の電流端子と前記第1電流源との間に電気的に接続される第2抵抗素子と、
    を含み、
    前記第2差動対回路は、
    第3トランジスタ及び第4トランジスタと、
    前記第3トランジスタの一方の電流端子と前記第2電流源との間に電気的に接続される第3抵抗素子と、
    前記第4トランジスタの一方の電流端子と前記第2電流源との間に電気的に接続される第4抵抗素子と、
    を含み、
    前記第1トランジスタ及び前記第4トランジスタの制御端子には前記差動入力信号のうち一方の信号が入力され、
    前記第2トランジスタ及び前記第3トランジスタの制御端子には前記差動入力信号のうち他方の信号が入力され、
    前記第1トランジスタの他方の電流端子は前記第1電流を出力し、
    前記第2トランジスタの他方の電流端子は前記第2電流を出力し、
    前記第3トランジスタの他方の電流端子は前記第3電流を出力し、
    前記第4トランジスタの他方の電流端子は前記第4電流を出力する、請求項1または請求項2に記載の差動増幅回路。
  4. 前記第1差動対回路は、前記第1トランジスタの一方の電流端子と前記第1抵抗素子との間の第1ノード、前記第2トランジスタの一方の電流端子と前記第2抵抗素子との間の第2ノード、及び、前記第1ノードと前記第2ノードとの間に電気的に接続される第1可変抵抗素子を更に含み、
    前記第2差動対回路は、前記第3トランジスタの一方の電流端子と前記第3抵抗素子との間の第3ノード、前記第4トランジスタの一方の電流端子と前記第4抵抗素子との間の第4ノード、及び、前記第3ノードと前記第4ノードとの間に電気的に接続される第2可変抵抗素子を更に含む、請求項3に記載の差動増幅回路。
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