JP2021110685A - 超音波流量計 - Google Patents

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Abstract

【課題】超音波の送受信レベルを高め、計測精度の高めたコンパクトな超音波流量計を提供すること。【解決手段】被計測流体が流れる流路断面が矩形の計測流路2と、計測流路2に配置され、計測流路2を分割する仕切り板3と、仕切り板3により多層状に分割された層状流路5と、層状流路5の上流側と下流側に超音波信号の送受信が可能なように対向配置した一対の超音波センサ6,7と、超音波センサ6,7間の伝搬時間に基づいて被計測流体の流量を検出する流量計測部8と、を備え、超音波センサ6,7は、層状流路5内に突出した構成とする。【選択図】図1

Description

本発明は、計測流路を流動する流体に超音波を伝搬させて流体の流速を計測する超音波流量計に関するものである。
従来、この種の超音波流量計として、被計測流体が流れる計測流路に、ある角度を持って取付けられた一対の超音波送受波器を計測流路に開口する開口穴内に収納して設置し、この開口穴への被計測流体の流れ込みを低減させるために、開口穴には超音波透過口を有する開口穴封止手段を備えた第一の流入抑制体を計測流路面と面一に配置し、さらに被計測流体の流れ方向を整える方向規制部と流速分布の均一化あるいは流れの脈動を低減する変動抑制部とを備えるとともに前記方向規制部と前記変動抑制部を近傍に配置した第二の流入抑制体を設けたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
図5は、特許文献1に記載された超音波流量計の計測流路の断面を示したものであり、図6はこの超音波流量計の開口穴部の部分断面図である。
この超音波流量計では、計測流路101に開口する開口穴102、103内に、一対の超音波送受波器104、105を被計測流体の流動方向に対して所定の角度で互いに対向させて配置し、計測流路101と開口穴102、103との境界に超音波が通過可能な多数の微細な開口である超音波通過口107を多数持つ開口穴封止手段108で形成した第一の流入抑制体109を配置している。さらに、計測流路101の上流側には被計測流体の流れ方向を整える方向規制部110と流速分布の均一化あるいは流れの脈動を低減する変動抑制部111を接近して配置した第二の流入抑制体112を設けている。
このような構成により、第二の流入抑制体112により流れ方向および流速分布の均等化を促進して超音波送受波器104、105間の超音波伝搬路113での流れを安定化し、第一の流入抑制体109により開口穴102、103への流体の流れ込みを大幅に低減して、開口穴102、103内での渦を低減させ超音波の送受波時の超音波の減衰を少なくして超音波の受信レベルを高め、計測精度および流量計測できる上限値の向上と、超音波の受信レベル向上と流入抑制体による超音波の減衰改善とにより超音波送受波器の駆動入力を低減するようにしたものである。
特開2003−65817号公報
しかしながら、前記従来の構成では、超音波が伝搬する経路に第一の流入抑制体109を設けているため、超音波が通過可能な多数の微細な開口を持つ開口穴封止手段108であっても超音波の減衰を生じさせるため、超音波送受波器の送受信レベルを抑制させるという課題があった。
また、超音波伝搬路での流れを安定化させるため、計測流路の上流側に流れの乱れを抑制し安定させる整流手段を設けること、さらに開口穴を介して超音波送受波器を配置することなど、流路スペースが大きくなり流量計の小型化に課題があった。
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、超音波の送受信レベルを高め、計測精度の高めたコンパクトな超音波流量計を提供することを目的とするものである。
前記従来の課題を解決するために、本発明の超音波流量計は、被計測流体が流れる流路断面が矩形の計測流路と、前記計測流路に配置され、前記計測流路を分割する仕切り板と、前記仕切り板により多層状に分割された層状流路と、前記層状流路の上流側と下流側に超音波信号の送受信が可能なように対向配置した一対の超音波センサと、前記超音波センサ間の伝搬時間に基づいて前記被計測流体の流量を検出する流量計測部と、を備え、前記超音波センサは、前記層状流路内に突出したことで、流れを安定させた層状流路により超音波センサの前面での流れの偏流を抑制し、超音波の送受信レベルを高め、計測精度の高めた小型コンパクトな超音波流量計を実現できる。
本発明の超音波流量計は、仕切り板で計測流路を分割した矩形断面の層状流路内に超音波センサを突出させたことで、流れを安定させた層状流路により超音波センサの前面での流れの偏流を抑制し、超音波の送受信レベルを向上させて計測精度を高め、安定した計測が可能な汎用性が高い小型コンパクトな超音波流量計を構築することができる。
本発明の実施の形態1における超音波流量計の計測流路の断面図 図1における計測流路のA−A断面図 本発明の実施の形態1における仕切り板の構成図 本発明の実施の形態1における超音波センサの突出量と流量係数の特性図 従来の超音波流量計における超音波流量計の構成を示す断面図 従来の超音波流量計における開口穴部の構成を示す断面図
第1の発明は、被計測流体が流れる流路断面が矩形の計測流路と、前記計測流路に配置され、前記計測流路を分割する仕切り板と、前記仕切り板により多層状に分割された層状流路と、前記層状流路の上流側と下流側に超音波信号の送受信が可能なように対向配置した一対の超音波センサと、前記超音波センサ間の伝搬時間に基づいて前記被計測流体の流量を検出する流量計測部と、を備え、前記超音波センサは、前記層状流路内に突出したことにより、流れを安定させた層状流路により超音波センサの前面での流れの偏流を抑制し、超音波の送受信レベルを高め、計測精度の高めた小型コンパクトな超音波流量計を実現できる。
第2の発明は、第1の発明において、前記仕切り板は、前記超音波センサの前記層状流路内への突出部に沿って形成した切欠き部を有したことにより、矩形に分割された層状流路それぞれに対して超音波の分配割合が安定してなされ、計測流量値(計測値)から真の流量値(真値)を得るための補正係数である流量係数(=真値/計測値)の値が計測流量範囲での変化量を低減でき、計測精度を高めることができる。
第3の発明は、第1または2の発明において、前記突出部の前記層状流路へ突出量は、上流側の前記超音波センサの突出部が下流側の前記超音波センサの突出部よりも大きいことにより、流量係数(=真値/計測値)の値の計測流量範囲での変化量をより一層低減して計測精度を向上でき、さらに計測流量範囲の拡大が可能となり汎用性の高い流量計を実現できる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の
形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
実施の形態1について、図1〜図3を用いて説明する。
図1は、本発明の実施の形態1における超音波流量計の計測流路の断面図であり、図2は、本発明の実施の形態1における分割流路の詳細を示す断面図であり、図3は、本発明の実施の形態1における仕切り板の構成図ある。
図1、図2において、超音波流量計1は、被計測流体が流れる幅W高さHの断面矩形の計測流路2を備え、計測流路2は、被計測流体の流れ方向に沿って平行となるように配置した3つの仕切り板3(第1の仕切り板3a、第2の仕切り板3b、第3の仕切り板3c)により、幅W×高さHaの4つの分割流路4(矩形断面の第1の分割流路4a、第2の分割流路4b、第3の分割流路4c、第4の分割流路4d)に分割されている。そして、仕切り板3によりアスペクト比を高めた4つの分割流路4を積層することで、全体としてアスペクト比を大きくした層状流路5を形成している。
この層状流路5の上流側と下流側に超音波信号の送受信が可能なように対向配置した一対の超音波センサ6、7を距離Lで隔てるとともに流動方向に対して角度θ傾けて配置し、上流側の超音波センサ6と下流側の超音波センサ7は層状流路5の対向する壁面に配置し一般にZ字型と呼ばれる配置構成としている。さらに、上流側の超音波センサ6と下流側の超音波センサ7は層状流路5内に突出させたもので、その突出量は上流側の超音波センサ6では突出長さCa、下流側の超音波センサ7では突出長さCbとしたもので、この実施例ではCa>Cbとしている。
流量計測部8は、超音波センサ6、7と電気的に接続され、超音波信号の送受信、受信信号に基づく流速および流量の算出などを一括して演算するもので、この超音波流量計1の計測動作の制御を行う。
計測流路2の上流側には、入口接続部9を設け、計測流路2の下流側には出口接続部10を設けて、入口接続部9および出口接続部10を介して外部の配管(図示せず)に接続して被計測流体を流動させるものである。
図3に示すように、層状流路5内への超音波センサ6、7の突出に対して、仕切り板3には層状流路5内に突出した超音波センサ6、7と接触しない程度の僅かな距離を隔てて形成した切欠き部11が形成されている。切欠き部11の大きさは超音波センサの突出量に応じて変わるもので、ここでは上流側の切欠き部11aを下流側の切欠き部11bよりも大きく形成している。
この切欠き部11は超音波センサ6、7の外形先端側に設けた平面状の送受波面12に近接する部分である超音波分割面13と、超音波センサ6、7の外形側面である円筒状の側壁部14に近接する部分である仕切り面15で形成している。
次に、本発明の超音波流量計の動作について説明する。
被計測流体は、入口接続部9に接続された配管(図示せず)から計測流路2に流入し、通路の断面形状の急変により流れは乱れるが、仕切り板3により断面のアスペクト比を大きくした層状流路5では4つの分割流路4にほぼ均等に分流されて流動する。分割流路4では流れが急速に安定した二次元流れに移行し、超音波が伝搬する領域に流入する。
被計測流体の流れは、超音波センサ6、7の突出部で、超音波センサ6の円筒状の側壁部14や超音波センサ7の平面状の送受波面12に直接衝突する流れが生じるが、仕切り板3の切欠き部11に超音波センサ6、7との隙間を十分小さくするように形成した仕切り面15および超音波分割面13により、隣接する他の分割流路4への流出が抑制され、超音波センサ6、7の送受波面12の前面での流れの偏流を抑制した二次元流れが継続される。このようにして超音波が伝搬する領域を通過した被計測流体は、仕切り板3が無い部分の計測流路2から出口接続部10を通って下流側に接続された配管(図示せず)に流出する。
アスペクト比を高めた層状流路5では、小さな流量域から大きな流量域に亘って流れの二次元流れである層流化がなされ、安定した流れ状態を維持して計測流量域の拡大がなされる。
以上のように流動している被計測流体に対して、流量計測部8により超音波センサ6、7を制御して流量計測を行うもので、流量計測部8は一方の超音波センサ6あるいは7から超音波信号を発信し、他方の超音波センサ7あるいは6で受信して伝搬時間を計測し、逆方向への伝搬時間を同様に計測することを繰り返し行い、上流側から下流側への伝搬時間と下流側から上流側への伝搬時間の差である伝搬時間差で被計測流体の流速を計測し、流路の断面積から流量を計測する。
超音波センサ6、7の送受波面12に直面する仕切り板3の超音波分割面13により各分割流路4(第1の分割流路4a、第2の分割流路4b、第3の分割流路4c、第4の分割流路4d)への超音波信号の分配の安定化がなされる。
なお、以上のように計測した計測値は真の流量値(真値)と僅かな誤差が生じる。従って、流量計を生産し商品化する時は、計測流量範囲において真の流量値(真値)と流量計での計測流量値(計測値)が所定の誤差範囲に入るように補正する必要がある。この流量の補正の際、様々な流量に対する流量係数(=真値/計測値)が計測流量範囲において変化が小さい場合は補正する流量点を少なくして間の流量での補正値を補間して設定することが可能となるので、流量係数の変化が小さいことが望まれる。(なお、流量係数が1でフラットであれば器差補正の必要がないことは言うまでもない。)
図4は、供試の超音波流量計1と流量を正確に計測する基準流量計(図示せず)を直列に接続し、超音波センサの突出の大きさ(突出量)による流量係数(=真値/計測値)Kを計測した実験結果を示した特性図である。
図4において、
(a)は上流側の突出長さCaと下流側の突出長さCbは、Ca=Cb=0mmとして、いずれも突出しない状態としたものである。
(b)はCa=Cb=6mmと大きく突出させたものである。
(c)は上流側の突出長さCaを(b)よりも小さくし、Ca=2mm<Cb=6mmとしたものである。
(d)は下流側の突出長さCaを(b)よりも小さくし、Ca=6mm>Cb=2mmとしたものである。
なお、上記寸法は、本願発明の効果を検証するための実験における一例であり、この寸法に限定されるものではない。
図4に示した実験結果で判るように、超音波センサ6、7を層状流路5に突出させない場合は図4(a)のように流量係数Kが約1〜1.3程度と大きく変化し、しかも、値のうねりも大きく見られる。これに対して超音波センサ6、7を層状流路5に突出させた場
合は、図4(b)のように流量係数Kが約1〜1.14程度に変化量が低減し、さらに値のうねりも大幅に低減しなだらかな変化となっている。
このため、従来例に示した流れの整流手段(第二の流入抑制体、開口穴封止手段)や開口穴を設けないため小型コンパクトができるだけでなく、補正する流量点を少なくして生産性を向上でき、補正の簡単な計測精度を高めた超音波流量計を実現できる。また、超音波センサの前には従来例に示した開口穴封止手段を配置しないため、構成の簡素化で低コスト化でき、その上、超音波の減衰を少なくして送受信レベルを高めることができ、高感度化あるいは省電力化が可能となり、利便性を高めた超音波流量計を実現できる。
矩形に分割された層状流路それぞれに対して超音波の分配割合が安定してなされるため、流量係数の計測流量範囲での変化量を低減でき、計測精度を高めることができる。
さらに、図4(c)のように、図4(b)に対して上流側の超音波センサ6の突出長さCaを小さくした場合(Ca=2mm<Cb=6mm)は流量係数Kが約0.9〜1.05程度に変化量が悪化し、しかも値のうねりも大きくなる。
これに対して、図4(d)のように、図4(b)に対して下流側の超音波センサ7の突出長さCbを小さくした場合(Ca=6mm>Cb=2mm)は流量係数Kが約0.9〜1.0程度に変化量が低減し、さらに値のうねりも大幅に低減しなだらかな変化となっている。ここで、Caの長さはCbに対して、約70%突出したものであるが、突出量を30%〜80%にしてもよい。
このため、流量係数Kの計測流量範囲での変化量のより一層低減となだらかな変化を実現して計測精度を向上できる。さらに、図4(d)では、図4(b)のように上流側および下流側の超音波センサ6、7を層状流路5に大きく突出させた場合に較べて、斜めに配置した平面状の送受波面12に流れが衝突する下流側の超音波センサ7の突出の大きさを小さくしたので、流れの圧力損失や流れの乱れを小さくできるため、計測流量範囲の拡大が可能となり汎用性の高い流量計を実現できる。
さらに、複数の仕切り板3を設けてより多くの分割流路4を積層した層状流路5とすることで、計測可能な流量域を大流量側に拡大することができ、計測流量範囲のより一層の拡大が可能となり汎用性、利便性の高い流量計を実現できる。
以上、本発明の実施の形態によると、流量係数の流量変化に対して値の変化が少なく、なだらかに変化するフラットな特性を得ることで、生産時に補正する流量点の数を低減して生産性を高め、この条件を流量計測部8に組込むことで計測精度を高めることができる。
以上のように、本発明の超音波流量計は、仕切り板で計測流路を分割した矩形断面の層状流路内に超音波センサを突出させて計測流路を形成したもので、構成を簡素化して小型化・低コストでき、流量真値を求めるための流量係数が流量変化に対してフラットな特性が可能となり、計測精度の高い安定した計測が可能な小型で汎用性の高い超音波流量計を構築することができる。
1 超音波流量計
2 計測流路
3 仕切り板
5 層状流路
6、7 超音波センサ
8 流量計測部
11 切欠き部

Claims (3)

  1. 被計測流体が流れる流路断面が矩形の計測流路と、
    前記計測流路に配置され、前記計測流路を分割する仕切り板と、
    前記仕切り板により多層状に分割された層状流路と、
    前記層状流路の上流側と下流側に超音波信号の送受信が可能なように対向配置した一対の超音波センサと、
    前記超音波センサ間の伝搬時間に基づいて前記被計測流体の流量を検出する流量計測部と、を備え、
    前記超音波センサは、前記層状流路内に突出したことを特徴とする超音波流量計。
  2. 前記仕切り板は、前記超音波センサの前記層状流路内への突出部に沿って形成した切欠き部を有したことを特徴とする請求項1記載の超音波流量計。
  3. 前記突出部の前記層状流路へ突出量は、上流側の前記超音波センサの突出部が下流側の前記超音波センサの突出部よりも大きいことを特徴とする請求項1または2記載の超音波流量計。
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