JP2021110397A - 車両の変速制御装置 - Google Patents

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元樹 中村
宏幸 田中
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宏幸 田中
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智充 寺川
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卓也 社本
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Abstract

【課題】ドグ歯同士が噛み合う相対角度の検出誤差やバラツキが発生することを抑制可能な車両の変速制御装置を提供する。【解決手段】噛み合い式の係合機構を備えた車両の変速制御装置において、係合機構が係合している状態で、入力軸の回転角を検出し、その検出した入力軸の回転角に基づいて係合機構の入力側の回転角を算出し、さらに前記係合機構の入力側の回転角に基づいて出力軸の回転角を算出し、さらに前記出力軸の回転角に基づいて係合機構の出力側の回転角を算出し、かつ前記算出した係合機構の入力側の回転角と出力側の回転角とに基づいて係合機構におけるドグ歯の相対角度を算出する。【選択図】図3

Description

この発明は、所定の変速段を設定するための切替機構(係合機構)に噛み合い式の切替機構を用いた車両の変速制御装置に関するものである。
特許文献1には、ドグクラッチを備えた車両用変速機が記載されている。この特許文献1に記載された変速機は、第1シャフトに対して相対回転可能に支持された第1ギヤ(ドライブギヤ)と、第1シャフトに平行に配置された第2シャフトに対して相対回転可能に支持され、かつ前記第1ギヤに噛み合う第2ギヤ(ドリブンギヤ)と、前記第1ギヤに設けられたドグに噛み合うクラッチリングドグとを備えている。そして、そのクラッチリングドグを軸線方向に移動させることにより第1ギヤのドグに噛み合う係合状態と、その噛み合いを解く解放状態とを切り替えるように構成されている。また、この特許文献1に記載された変速機は、上記のドグ同士が噛み合うためのドグ歯同士の相対角度を検出するように構成されている。具体的には、第1シャフトの回転角を検出する回転角センサと、第2シャフトの回転角を検出する回転角センサとの検出値に基づいて前記相対角度を検出するように構成されている。
なお、特許文献2には、入力軸側の回転数を検出するセンサと、出力軸側の回転数を検出するセンサとを備え、それら各センサで検出された値に基づいて入力軸側と出力軸側とで相対回転が生じているか否かを判断するトルクの伝動システムが記載されている。
特開2017ー048802号公報 特開2016−166677号公報
上述の特許文献1に記載された変速機によれば、第1回転角センサと第2回転角センサとの二つの回転角センサの検出値に基づいてドグ歯同士が噛み合う相対角度を検出できるため、ドグ歯同士が干渉することを抑制できる、とされている。しかしながら、第1回転角センサまたは第2回転角センサに検出誤差が生じた場合、あるいは、第1回転角センサと第2回転角センサとの少なくとも一方のセンサがフェールした場合には、検出される相対角度の精度が低下し、ひいてはドグ歯同士が干渉するなどしてドグクラッチを係合できないおそれがある。なお、このような技術的課題は、特許文献2においても同様に生じる。したがって、上記のような相対角度の検出誤差を抑制して、ドグ歯同士の干渉を抑制するには未だ改善の余地があった。
この発明は上記の技術的課題に着目して考え出されたものであり、ドグ歯同士が噛み合う相対角度の検出誤差やバラツキが発生することを抑制可能な車両の変速制御装置を提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するために、この発明は、駆動力源と、前記駆動力源の出力側に設けられ、かつ変速比をステップ的に変化させる有段式の変速機と、少なくとも前記変速機を制御するコントローラとを備え、前記変速機は、入力軸と、出力軸と、所定のギヤ段を設定するための複数のドグ歯を備えた噛み合い式の係合機構とを有し、前記噛み合い式の係合機構の係合状態と解放状態とを切り替えることにより前記所定のギヤ段を設定するように構成された車両の変速制御装置において、前記コントローラは、前記係合機構が係合している状態で、前記入力軸の回転角を検出し、前記検出した前記入力軸の回転角に基づいて前記係合機構の入力側の回転角を算出し、前記算出した前記係合機構の入力側の回転角に基づいて前記出力軸の回転角を算出し、前記算出した前記出力軸の回転角に基づいて前記係合機構の出力側の回転角を算出し、かつ前記算出した前記係合機構の入力側の回転角と前記係合機構の出力側の回転角とに基づいて前記係合機構における前記ドグ歯の相対角度を算出するように構成されていることを特徴とするものである。
この発明によれば、噛み合い式の係合機構におけるドグ歯同士の相対角度を一つの回転角センサの検出値に応じて算出するように構成されている。具体的には、係合機構が係合している状態で、一つの回転角センサ(例えば入力軸の回転角センサ)の値から入力軸の回転角度を検出し、かつその検出した値に基づいて係合機構の入力側の回転角を算出するように構成されている。また、その算出した係合機構の入力側の回転角に基づいて出力軸の回転角を算出し、さらに、その算出した出力軸の回転角に基づいて係合機構の出力側の回転角を算出するように構成されている。そして、それぞれ算出した係合機構における入力側の回転角と出力側の回転角とに基づいてドグクラッチの相対角度を算出するように構成されている。つまり、従来知られているように複数のセンサ値から相対角度を算出せずに、一つのセンサの値を用いて算出するように構成されている。
そのため、例えば前掲の特許文献1に記載された変速機のように、入力軸の回転角センサの値、および、出力軸の回転角センサの値とに基づいて噛み合い式の係合機構における相対角度を算出する場合に比べて、検出誤差やバラツキが発生することを抑制できる。つまり、そのような複数のセンサ値を用いた場合には、少なくとも各センサ値の誤差やバラツキが加算されて相対角度が算出されるものの、この発明の実施形態では、一つの回転角センサのみの値から相対角度を算出するように構成されているため、そのような誤差やバラツキが重畳することがない。そして、そのような検出誤差やバラツキを抑制できるから、精度良く相対角度を算出することが可能となる。また、精度が良い相対角度を算出できることにより、ドグ歯同士が干渉すること、ならびに、ドグクラッチが係合できないなどの不都合が発生することを抑制もしくは回避できる。
この発明で対象とする車両の一例を示す模式図である。 自動変速機の一例を説明するための図である。 この発明の実施形態における制御の一例を説明するためのフローチャートである。
この発明の実施形態を、図を参照して説明する。なお、以下に示す実施形態は、この発明を具体化した場合の一例に過ぎず、この発明を限定するものではない。
図1に、この発明の実施形態で制御対象にするハイブリッド車両の一例を模式的に示してある。また、この図1に示す例では、四輪駆動車(4WDあるいはAWDと称される)の例を示しており、ここに示す例は、エンジン1の動力を後輪2に伝達するいわゆるFR(フロントエンジン・リヤドライブ)車をベースとした四輪駆動車の例である。図1に示すハイブリッド車両(以下、車両と記す)Veは、動力源として、前述のエンジン(ENG)1、ならびに、後輪2にトルクを伝達可能な第1モータ(MG1)3、および、前輪4にトルクを伝達可能な第2モータ(MG2)5を備えている。また、車両Veは、他の主要な構成要素として、バッテリ(BAT)6、自動変速機(T/M)7、および、ECU(電子制御装置)8を備えている。なお、対象とする車両Veは、図1に示す車両に限られず、FF(フロントエンジン・フロントドライブ)車、MR(ミッドエンジン・リヤドライブ)車、あるいは、RR(リヤエンジン・リヤドライブ)車であってもよい。
エンジン1は、例えば、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどの内燃機関であり、出力の調整、ならびに、始動および停止などの作動状態が電気的に制御されるように構成されている。ガソリンエンジンであれば、スロットルバルブの開度、燃料の供給量または噴射量、点火の実行および停止、ならびに、点火時期などが電気的に制御される。ディーゼルエンジンであれば、燃料の噴射量、燃料の噴射時期、あるいは、EGR[Exhaust Gas Recirculation]システムにおけるスロットルバルブの開度などが電気的に制御される。
第1モータ(MG1)3は、エンジン1の出力側に配置されている。第1モータ3は、少なくとも、エンジン1が出力するエンジントルクを受けて駆動されることにより電気を発生する発電機としての機能を有している。この発明の実施形態における車両Veでは、第1モータ3は、電力が供給されることにより駆動されてモータトルクを出力する電動機としての機能も有している。すなわち、第1モータ3は、発電機能を有するモータ(いわゆる、モータ・ジェネレータ)であり、例えば、永久磁石式の同期モータ、あるいは、誘導モータなどによって構成されている。第1モータ3には、インバータ(図示せず)を介して、バッテリ6が接続されている。したがって、第1モータ3を発電機として駆動し、その際に発生する電気をバッテリ6に蓄えることができる。また、バッテリ6に蓄えられている電気を第1モータ3に供給し、第1モータ3を電動機として駆動してモータトルクを出力することもできる。
第2モータ(MG2)5は、少なくとも、電力が供給されることにより駆動されてモータトルクを出力する電動機としての機能を有している。この発明の実施形態における車両Veでは、第2モータ5は、外部からトルクを受けて駆動されることによって電気を発生する発電機としての機能も有している。すなわち、第2モータ5は、上記の第1モータ3と同様に、発電機能を有するモータ(いわゆる、モータ・ジェネレータ)であり、例えば、永久磁石式の同期モータ、あるいは、誘導モータなどによって構成されている。第2モータ5には、インバータ(図示せず)を介して、バッテリ6が接続されている。したがって、バッテリ6に蓄えられている電気を第2モータ5に供給し、第2モータ5を電動機として駆動してモータトルクを出力することができる。また、第2モータ5は、前輪4に対して動力伝達可能に連結されている。したがって、前輪4から伝達されるトルクによって第2モータ5を発電機として駆動し、その際に発生する回生電力をバッテリ6に蓄えることもできる。さらに、第1モータ3および第2モータ5は、インバータを介して、互いに電力の授受が可能なように接続されている。例えば、第1モータ3で発生した電気を、直接、第2モータ5に供給し、第2モータ5でモータトルクを出力することも可能である。
バッテリ6は、上記の第1モータ3および第2モータ5で発生した電気を蓄える蓄電装置であり、第1モータ3および第2モータ5に対して、それぞれ、電力の授受が可能なように接続されている。したがって、上記のように第1モータ3で発生した電気をバッテリ6に蓄えることができる。また、バッテリ6に蓄えた電気を第1モータ3に供給し、第1モータ3を駆動することができる。同様に、上記のように第2モータ5で発生した電気をバッテリ6に蓄えることができる。また、バッテリ6に蓄えた電気を第2モータ5に供給し、第2モータ5を駆動することができる。なお、蓄電装置としては、図1に示すようなバッテリ6に限らず、例えば、キャパシタ(コンデンサ)であってもよい。
自動変速機7は、図1に示すようにエンジン1と同一の軸線上に配置され、かつ第1モータ3の出力側に配置されており、エンジン1および第1モータ3と後輪2との間であっって、かつデファレンシャル装置9を介してトルクを伝達する変速機構である。自動変速機7は、要は、入力回転数の出力回転数に対する比率を適宜に変更できる機構であって、複数の変速比をステップ的に設定することができる。図1に示す例では、係合機構(切替機構)10を係合もしくは解放させることにより駆動トルクの伝達経路を変えて変速を実行するように構成された有段式の自動変速機(例えば前進8速)によって構成されている。上記の係合機構10は、図1に示す例ではドグ歯を有する噛み合い式の係合機構(以下、ドグクラッチと記す)10により構成されている。
ドグクラッチ10は、従来知られているように入力側要素と出力側要素とのそれぞれにドグ歯が設けられた円環状の部材である。また、入力側要素および出力側要素には周方向に所定間隔を空けて複数のドグ歯がそれぞれ形成されている。そして、ドグクラッチ10は、入力側要素のドグ歯と出力側要素のドグとが噛み合う係合状態と、入力側要素のドグ歯と出力側要素のドグ歯とが噛み合わない解放状態とに切り替わる。
また、図1に示すように、上記の自動変速機7と上述のエンジン1および第1モータ3との間には、選択的にトルクの伝達および遮断を行うクラッチ機構K1が設けられている。したがって、この発明の実施形態における車両Veは、クラッチ機構K1を解放することにより、駆動系統からエンジン1および第1モータ3を切り離すことができ、それとは反対にクラッチ機構K1を係合することにより、駆動系統とエンジン1および第1モータ3とを連結することができる。つまり、車両Veは、エンジン1を停止した状態で、第2モータ5が出力するモータトルクを前輪4に伝達して駆動力を発生させるEV走行モード、クラッチ機構K1を解放した状態でエンジン1を運転し、エンジントルクで第1モータ3を駆動して発電させるとともに、第2モータ5のモータトルクを前輪4に伝達して駆動力を発生させるシリーズHV走行モード、クラッチ機構K1を係合した状態でエンジン1を運転し、エンジントルクおよび第2モータ5(ならびに第1モータ3)のモータトルクを後輪2および前輪4に伝達して駆動力を発生させるパラレルHV走行モードのいずれかの走行モードを設定して走行することが可能である。
ECU8は、この発明の実施形態における「コントローラ」に相当し、図1に示す例では、主に、自動変速機7、エンジン1、第1モータ3、第2モータ5、および、クラッチ機構K1などを制御する。そのECU8は、例えばマイクロコンピュータを主体にして構成される電子制御装置であり、各種センサから検出または算出されたデータが入力される。その入力されるデータは、入力軸7aの回転角センサ(レゾルバ)で検出された入力軸7aの回転角、出力軸7bの回転角センサ(レゾルバ)で検出された出力軸の回転角である。その他、例えば車速、アクセル開度、車輪速などのデータが入力される。また、ECU8は、入力された各種データおよび予め記憶させられているデータや計算式等を使用して演算を行い、その演算結果を制御指令信号として出力し、自動変速機7などをそれぞれ制御するように構成されている。
ここで、上記の自動変速機7について、より詳細に説明する。上述したように、この発明の実施形態における自動変速機7は、入力側要素のドグ歯と出力側要素のドグ歯とを係合させることにより所定の変速段を設定するように構成され、シームレスな変速を可能とするドグクラッチ10が複数設けられている。具体的には、図2に示すように、自動変速機7は、入力軸7aと出力軸7bとの間で所定の変速段を形成する各ギヤ段を備えている。その各ギヤ段は、この発明の実施形態では、第1速ギヤ段ないし第8速ギヤ段であり、各ギヤ段を形成するための各ギヤ対、すなわち第1速ギヤ対11、第2速ギヤ対12、第3速ギヤ対13、第4速ギヤ対14、第5速ギヤ対15、第6速ギヤ対16、第7速ギヤ対17、ならびに、第8速ギヤ対18が設けられている。
第1速ギヤ対11は、第1速ギヤ11aと、その第1速ギヤ11aとに噛み合う出力ギヤ19とから構成されている。また第1速ギヤ11aには、後述する変速段を切り替えるための切替機構20に噛み合うドグ歯が形成されている。同様に第2速ギヤ対12ないし第8速ギヤ対18についても各ギヤ(すなわち第2速ギヤ12a、第3速ギヤ13a、第4速ギヤ14a、第5速ギヤ15a、第6速ギヤ16a、第7速ギヤ17a、第8速ギヤ18a)が設けられ、それぞれ出力ギヤ19,21,22,23に噛み合うように構成されている。また、同様に第2速ギヤ12aないし第8速ギヤ18aは、切替機構20(切替機構20aないし切替機構20d)に噛み合うドグ歯が形成されている(図示せず)。
また、この自動変速機7は、上述の第1速ギヤ11aないし第8速ギヤ18aにそれぞれ設けられたドグ歯と噛み合ってドグクラッチ10を形成する切替機構(DDR)20を複数備えている。第1切替機構20aは、軸線方向で第1速ギヤ11aと第3速ギヤ13aとの間に配置され、出力軸7bと第1速ギヤ11aまたは第3速ギヤ13aとを選択的に係合あるいは解放するクラッチである。具体的には、第1切替機構20aは、第1速ギヤ11aに設けられたドグ歯あるいは第3速ギヤ13aに設けられたドグ歯に噛み合う駆動ドグを備え、第1速ギヤ11aまたは第3速ギヤ13aと出力軸7bとが一体的に回転する状態と、第1速ギヤ11aおよび第3速ギヤ13aと出力軸7bとが相対回転する状態とを切り替え可能なように構成されている。第1速ギヤ11aと出力軸7bとが一体的に回転する状態に切り替えられると、第1速ギヤ段(1st)が成立し、第3速ギヤ13aと出力軸7bとが一体的に回転する状態に切り替えられると、第3速ギヤ段(3rd)が成立する。
また同様に、第2速ギヤ12aと第4速ギヤ14aとの間に第2切替機構20bが設けられ、この第2切替機構20bを制御することにより出力軸7bと第2速12aギヤまたは第4速ギヤ14aとを選択的に係合あるいは解放するように構成されている。具体的には、第2切替機構20bは、第2速ギヤ12aに設けられたドグ歯あるいは第4速ギヤ14aに設けられたドグ歯に噛み合う駆動ドグを備え、第2速ギヤ12aまたは第4速ギヤ14aと出力軸7bとが一体的に回転する状態と、第2速ギヤ12aおよび第4速ギヤ14aと出力軸7bとが相対回転する状態とを切り替え可能なように構成されている。第2速ギヤ12aと出力軸7bとが一体的に回転する状態に切り替えられると、第2速ギヤ段(2nd)が成立し、第4速ギヤ14aと出力軸7bとが一体的に回転する状態に切り替えられると、第4速ギヤ段(4th)が成立する。
また同様に、第5速ギヤ15aと第7速ギヤ17aとの間に第3切替機構20cが設けられ、この第3切替機構20cを制御することにより出力軸7bと第5速ギヤ15aまたは第7速ギヤ17aとを選択的に係合あるいは解放するように構成されている。具体的には、第3切替機構20cは、第5速ギヤ15aに設けられたドグ歯あるいは第7速ギヤ17aに設けられたドグ歯に噛み合う駆動ドグを備え、第5速ギヤ15aまたは第7速ギヤ17aと出力軸7bとが一体的に回転する状態と、第5速ギヤ15aおよび第7速ギヤ17aと出力軸7bとが相対回転する状態とを切り替え可能なように構成されている。第5速ギヤ15aと出力軸7bとが一体的に回転する状態に切り替えられると、第5速ギヤ段(5th)が成立し、第7速ギヤ17aと出力軸7bとが一体的に回転する状態に切り替えられると、第7速ギヤ段(7th)が成立する。
また同様に、第6速ギヤ16aと第8速ギヤ18aとの間に第4切替機構20dが設けられ、この第4切替機構20dを制御することにより出力軸7bと第6速ギヤ16aまたは第8速ギヤ18aとを選択的に係合あるいは解放するように構成されている。具体的には、第4切替機構20dは、第6速ギヤ16aに設けられたドグ歯あるいは第8速ギヤ18aに設けられたドグ歯に噛み合う駆動ドグを備え、第6速ギヤ16aまたは第8速ギヤ18aと出力軸7bとが一体的に回転する状態と、第6速ギヤ16aおよび第8速ギヤ18aと出力軸7bとが相対回転する状態とを切り替え可能なように構成されている。第6速ギヤ16aと出力軸7bとが一体的に回転する状態に切り替えられると、第6速ギヤ段(6th)が成立し、第8速ギヤ18aと出力軸7bとが一体的に回転する状態に切り替えられると、第8速ギヤ段(8th)が成立する。
なお、上記の切替機構20の軸線方向への移動は図示しないアクチュエータにより制御される。また、上述の各切替機構(DDR)20aないし20dのより詳細な説明は、本願出願人により、特願2016−179963において説明しているため、ここではその説明を省略する。また、図2に示す例では、第1速から第2速へ変速する際の動作を示しており、すなわち第2速ギヤ12aを係合させることで第1速ギヤ11aが解放される。また、図2に示す符号24,25はそれぞれ回転角センサ(レゾルバ)を示し、符号24は、入力軸7aの回転角センサを示し、符号25は、出力軸7bの回転角センサを示している。
上述したような所定の変速段を設定するための切替機構20にドグクラッチを用いた自動変速機7は、ドグ歯同士の干渉を抑制するために、相対角度を検出する。例えば、前掲の特許文献1では、入力軸の回転角と出力軸の回転角とをそれぞれ検出し、その検出したセンサ値に基づいて、相対角度を検出するように構成されている。一方、回転角センサは、不可避的な検出誤差やバラツキが生じ、そのような検出誤差やバラツキが比較的大きい場合には、ドグ歯同士が干渉するなどしてドグクラッチを係合できないことがある。そこで、この発明の実施形態では、そのようなドグ歯同士の干渉を回避もしくは抑制するために、相対角度の検出誤差やバラツキが発生することを抑制するように構成されている。以下、ECU8で実行される制御例について説明する。
図3は、その制御の一例を示すフローチャートであり、この図3に示す制御例では、入力軸7aの回転角センサ24の検出値のみを用いて、目標の変速段の駆動ドグと被駆動ドグとの相対角度θを検出するように構成されている。具体的には、先ず、出力軸角度を検出する(ステップS1)。これは、ドグクラッチ10の入力側と出力側との相対角度θ、すなわちドグ歯同士の相対角度を検出するための前提のステップである。この出力軸角度は出力軸7bに設けられた回転角センサ25によって検出される。
また、同様に入力軸角度を検出する(ステップS2)。このステップも上記のステップS1と同様にドグ歯同士の相対角度θを検出するためのステップである。この入力軸角度は入力軸7aに設けられた回転角センサ24によって検出される。なお、このステップS2および上記のステップS1は同時に実行されてもよく、あるいは、このステップの順序は反対であってもよい。
ついで、ステップS1で検出した出力軸角度に基づいて、ドグクラッチ10の出力側角度、および、出力側回転数を算出する(ステップS3)。具体的には、このドグクラッチ10の出力側角度および出力側回転数は、ステップS1で検出した値にギヤ比を乗算することにより求めることができる。なお、この出力軸角度および回転数は、各ギヤ段毎に算出する。
また、同様にステップS2で検出した入力軸角度に基づいて、ドグクラッチ10の入力側角度、および、入力側回転数を算出する(ステップS4)。具体的には、このドグクラッチ10の入力側角度および入力側回転数は、ステップS2で検出した値にギヤ比を乗算することにより求めることができる。また、同様に各ギヤ段毎に設けれたドグクラッチ10における入力軸角度および回転数を算出する。なお、このステップS4のドグクラッチ10の入力側角度の算出を、図2では実線の矢印を用いて示している。また、このステップS4および上記のステップS3は同時に実行されてもよく、あるいは、このステップの順序は反対であってもよい。
ついで、ドグクラッチ10における入力側回転数と出力側回転数との差回転数を算出する(ステップS5)。これは、ドグクラッチ10が係合しているか否かを判断するためのステップであり、ステップS4とステップS3とにより算出したドグクラッチの入力側回転数から出力軸側の回転数を減算することにより差回転数を算出する(差回転数=入力側回転数ー出力側回転数)。
そして、その算出した差回転数がドグクラッチの係合を許容することが可能な所定の回転数α未満か否かを判断する(ステップS6)。つまり、ドグ歯同士が干渉しないで係合可能か否かを判断する。
したがって、このステップS6で肯定的に判断された場合、すなわちドグクラッチ10の入力側回転数と出力側回転数との差回転数がα未満であると判断された場合には、ドグクラッチは係合状態であると判断される(ステップS7)。
ついで、ドグクラッチ10を係合した状態で、入力軸7aの回転角センサ24の値を用いて出力軸角度を算出する(ステップS8)。具体的には、ステップS4で算出したドグクラッチ10の入力側角度に現在のギヤ段のギヤ比を乗算する(ドグクラッチ入力側角度×現在のギヤ比)。つまり、ドグクラッチ10を係合した状態で、入力軸7aの回転角センサ24によって検出された値に基づいて再度、出力軸角度を算出するように構成されている。言い換えれば、この出力軸角度は、一つの回転角センサ(入力軸7aの回転角センサ24)に基づいて算出される。
ついで、上記ステップS8で算出した出力軸角度に基づいてドグクラッチ10の出力側角度を算出する(ステップS9)。具体的には、ステップS8で算出した出力軸角度にギヤ比を乗算する(出力軸角度(出力軸位置差分)×ギヤ比)。つまり、上述のステップS3で算出したドグクラッチ10の出力側角度を、入力軸7aの回転角センサ24によって検出された値に基づいて算出した出力軸角度に応じて、再度、算出するように構成されている。言い換えれば、このドグクラッチ10の出力側角度は一つの回転角センサ(入力軸センサ)に基づいて算出される値である。なお、このステップS9のドグクラッチ10の出力側角度の算出、および、上記のステップS8の出力軸角度の算出を、図2では破線の矢印を用いて示している。
そして、ステップS4で算出したドグクラッチ10の入力側角度とステップS9で算出した出力側角度とに応じて、ドグクラッチ10の相対角度θを算出する。具体的には、以下の式によって算出される。
相対角度θ=MOD((入力側角度ー出力側角度)/(360/歯数))
なお、上記の式でMODとは、左辺を右辺で割った際の余りを演算する演算子である。したがって、その余りが相対角度θとなる。
一方、上述のステップS6で否定的に判断された場合、すなわちドグクラッチ10の差回転数がα以上であると判断された場合には、非係合の状態であると判断する(ステップS11)。そして、その場合には、従来知られているように、入力軸7aのセンサ値(すなわち回転角センサ24で検出した値)および出力軸7bのセンサ値(すなわち回転角センサ25で検出した値)に基づいて相対角度θを算出する。なお、この場合の相対角度θを算出する計算式は上記の式と同様である。つまり、上記の式の入力軸角度がステップS4で算出した値となり、出力軸角度がステップS3で算出した値となる。
つぎに、この発明の実施形態における作用について説明する。上述したように、この発明の実施形態では、ドグクラッチ10の相対角度θを算出する際に、ドグクラッチ10が係合状態である場合に、入力軸7aの回転角センサ24の値からドグクラッチ10の入力側角度および出力側角度を算出し、その算出した入力側角度と出力側角度に応じて相対角度θを算出するように構成されている。つまり、従来知られているような複数のセンサ値から相対角度を算出せずに、一つのセンサの値を用いて算出するように構成されている。そのため、例えば前掲の特許文献1に記載された変速機のように、入力軸7aの回転角センサ24の値、および、出力軸7bの回転角センサ25の値に応じて相対角度を算出する場合に比べて、検出誤差やバラツキが発生することを抑制できる。つまり、そのような複数のセンサ値を用いた場合には、少なくとも各センサ値の誤差やバラツキが加算されて相対角度が算出されるものの、この発明の実施形態では、一つの回転角センサのみの値から相対角度θを算出するように構成されているため、そのような誤差やバラツキが重畳することがない。そして、そのような検出誤差やバラツキを抑制できるから、精度の良い相対角度θを算出(あるいは検出)することが可能となる。また、精度が良い相対角度θを算出できることにより、ドグ歯同士が干渉すること、ならびに、ドグクラッチ10が係合できないなどの不都合が発生することを抑制もしくは回避できる。
以上、この発明の実施形態について説明したが、この発明は上述した例に限定されないのであって、この発明の目的を達成する範囲で適宜変更してもよい。上述した実施形態では、係合状態である場合に入力軸7aの回転角センサ24の値のみに基づいて相対角度θを算出するように構成したものの、これに替えて出力軸7bの回転角センサ25の値のみに基づいて相対角度θを算出してもよい。また、自動変速機7として前進8速の例を示したが、自動変速機7は、これに限られず少なくとも複数の変速段を設定できる有段自動変速機であればよい。また、上述の実施形態では、駆動力源としてエンジンとモータとを備えたハイブリッド車両を対象として説明したものの、これに限られず、エンジンのみを駆動力源とした車両、あるいは、モータのみを駆動力源とした車両に適用されてもよい。つまり、ドグクラッチを備えた有段自動変速機を搭載した車両であればよい。
1 エンジン(ENG)
2 後輪
3 第1モータ(MG1)
4 前輪
5 第2モータ(MG2)
7 自動変速機
7a 入力軸
7b 出力軸
8 ECU(電子制御装置)
9 デファレンシャル装置
10 ドグクラッチ(係合機構)
20a,20b,20c,20d 切替機構
24 回転角センサ(入力軸)
25 回転角センサ(出力軸)
Ve 車両

Claims (1)

  1. 駆動力源と、前記駆動力源の出力側に設けられ、かつ変速比をステップ的に変化させる有段式の変速機と、少なくとも前記変速機を制御するコントローラとを備え、
    前記変速機は、入力軸と、出力軸と、所定のギヤ段を設定するための複数のドグ歯を備えた噛み合い式の係合機構とを有し、前記噛み合い式の係合機構の係合状態と解放状態とを切り替えることにより前記所定のギヤ段を設定するように構成された車両の変速制御装置において、
    前記コントローラは、
    前記係合機構が係合している状態で、前記入力軸の回転角を検出し、
    前記検出した前記入力軸の回転角に基づいて前記係合機構の入力側の回転角を算出し、
    前記算出した前記係合機構の入力側の回転角に基づいて前記出力軸の回転角を算出し、
    前記算出した前記出力軸の回転角に基づいて前記係合機構の出力側の回転角を算出し、かつ前記算出した前記係合機構の入力側の回転角と前記係合機構の出力側の回転角とに基づいて前記係合機構における前記ドグ歯の相対角度を算出するように構成されている
    ことを特徴する車両の変速制御装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2023112322A1 (ja) * 2021-12-17 2023-06-22 ヤマハ発動機株式会社 変速制御装置

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