JP2021109966A - 硬化型組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】撥液性(特に撥水性)が良好な膜を形成でき、しかも保存安定性に優れ、保存後の組成物を用いて膜を形成するときの作業性に優れる硬化型組成物を提供する。【解決手段】炭素数6〜30のアルキル基を有する縮合物を含み、GPCクロマトグラフィーで得られたクロマトグラムから求めた微分分子量分布曲線において、標準ポリエチレングリコール換算の分子量が500以上2000以下となる範囲に、濃度分率が250000以上のピークを少なくとも1つ有する硬化型組成物。【選択図】図1
Description
本発明は、炭素数6〜30のアルキル基を有する縮合物を含む硬化型組成物に関する。
各種の表示装置、光学素子、半導体素子、建築材料、自動車部品、ナノインプリント技術等において、基材表面に液滴が付着することにより、基材の汚れや腐食、さらにこの汚れや腐食に由来する性能低下等の問題が生じることがある。そのため、これらの分野において、基材表面の撥水性および撥油性が良好であることが求められる。
撥水性および撥油性の皮膜を実現できる組成物としては、オルガノシロキサンを主成分とする組成物が知られている。例えば、特許文献1には、有機ケイ素基であるR1・Si基(R1は一価の炭化水素基)と官能性側鎖であるOR2基(R2は水素原子もしくはC1からC5のアルキル基あるいはアシル基)で構成される液状オルガノシロキサンの2種以上の組み合わせ化合物群である前駆体(A)と、架橋剤(B)との二者混合液組成物が開示されている。特許文献1には、架橋剤(B)をマロン酸ジエステル、アセチルアセトンなどのケト・エノール型互変異性化合物で予めブロッキングしておくことで、組成物の常温における保存安定性が向上することが記載されている。
上記組成物には保存安定性の一層の向上が求められており、保存後の組成物を用いて形成した膜について撥水性および撥油性が良好であることが求められる。また、保存後の組成物を用いて膜を形成するときの作業性が良好であることも求められる。
本発明の目的は、撥液性(特に撥水性)が良好な膜を形成でき、しかも保存安定性に優れ、保存後の組成物を用いて膜を形成するときの作業性に優れる組成物を提供することにある。
本発明は、以下の通りである。
[1] 炭素数6〜30のアルキル基を有する縮合物を含み、GPCクロマトグラフィーで得られたクロマトグラムから求めた微分分子量分布曲線において、標準ポリエチレングリコール換算の分子量が500以上2000以下となる範囲に、濃度分率が250000以上のピークを少なくとも1つ有することを特徴とする硬化型組成物。
[2] 前記微分分子量分布曲線において、前記標準ポリエチレングリコール換算の分子量が500以上800以下となる範囲に、濃度分率が200000以上のピークを少なくとも1つ有する[1]に記載の硬化型組成物。
[3] 式(a1)で表される有機ケイ素化合物(A)と、式(b1)で表される有機ケイ素化合物(B)の混合組成物である[1]または[2]に記載の硬化型組成物。
Ra1−Si(Xa1)3 (a1)
[式(a1)中、Ra1は炭素数6〜30の炭化水素基を表し、Xa1は加水分解性基を表す。]
Si(Rb1)b20(Xb1)4-b20 (b1)
[式(b1)中、Rb1は炭素数1〜5の炭化水素基を表し、Xb1は加水分解性基を表し、b20は0または1である。]
[4] 水(D)が混合されており、前記有機ケイ素化合物(A)に対する前記水(D)の質量比(D/A)が20以上である[3]に記載の硬化型組成物。
[5] 前記硬化型組成物のGPCクロマトグラフィーで得られたクロマトグラムにおいて、標準ポリエチレングリコール換算の分子量が500以上800以下となる低分子量成分(X)に対する標準ポリエチレングリコール換算の分子量が800超である高分子量成分(Y)の比(Y/X)が3.0以下である[1]〜[4]のいずれかに記載の硬化型組成物。
[6] 式(c1)で表される化合物(C1)が混合されている[1]〜[5]のいずれかに記載の硬化型組成物。
[式(c1)中、Ac1は、ヒドロキシ基または加水分解性基を表し、Ac1が複数存在する場合は複数のAc1がそれぞれ異なっていてもよく、Zc1は、炭化水素基、トリアルキルシリル基含有分子鎖、またはシロキサン骨格含有基を表し、Zc1が複数存在する場合は複数のZc1がそれぞれ異なっていてもよく、r1は、1〜3の整数を表し、Rc1は、式(c11)で表される基を表す。]
[式(c11)中、Rs2は、それぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基を表し、Rc11は、炭化水素基またはトリアルキルシリルオキシ基を表し、該炭化水素基またはトリアルキルシリルオキシ基に含まれる水素原子はフッ素原子に置換されていてもよく、Rc11が複数存在する場合は複数のRc11がそれぞれ異なっていてもよく、Ac11は、ヒドロキシ基または加水分解性基を表し、Ac11が複数存在する場合は複数のAc11がそれぞれ異なっていてもよく、Zs1は、−O−または2価の炭化水素基を表し、該2価の炭化水素基に含まれる−CH2−は−O−に置き換わっていてもよく、Ys1は、単結合または−Si(Rs2)2−Ls1−を表し、Ls1は2価の炭化水素基を表し、該2価の炭化水素基に含まれる−CH2−は−O−に置き換わっていてもよく、r2は、0〜3の整数を表し、r10は、1以上の整数を表し、*は結合手を表す。]
[7] 前記化合物(C1)が、式(c1−I)で表される化合物である[6]に記載の硬化型組成物。
[式(c1−I)中、nは、1〜60の整数を表す。]
[8] 溶剤(E)が混合されている[1]〜[7]のいずれかに記載の硬化型組成物。
[9] pKaが1以上5以下の弱酸(G)が混合されている[1]〜[8]のいずれかに記載の硬化型組成物。
[10] 撥液性膜形成用である[1]〜[9]のいずれかに記載の硬化型組成物。
[1] 炭素数6〜30のアルキル基を有する縮合物を含み、GPCクロマトグラフィーで得られたクロマトグラムから求めた微分分子量分布曲線において、標準ポリエチレングリコール換算の分子量が500以上2000以下となる範囲に、濃度分率が250000以上のピークを少なくとも1つ有することを特徴とする硬化型組成物。
[2] 前記微分分子量分布曲線において、前記標準ポリエチレングリコール換算の分子量が500以上800以下となる範囲に、濃度分率が200000以上のピークを少なくとも1つ有する[1]に記載の硬化型組成物。
[3] 式(a1)で表される有機ケイ素化合物(A)と、式(b1)で表される有機ケイ素化合物(B)の混合組成物である[1]または[2]に記載の硬化型組成物。
Ra1−Si(Xa1)3 (a1)
[式(a1)中、Ra1は炭素数6〜30の炭化水素基を表し、Xa1は加水分解性基を表す。]
Si(Rb1)b20(Xb1)4-b20 (b1)
[式(b1)中、Rb1は炭素数1〜5の炭化水素基を表し、Xb1は加水分解性基を表し、b20は0または1である。]
[4] 水(D)が混合されており、前記有機ケイ素化合物(A)に対する前記水(D)の質量比(D/A)が20以上である[3]に記載の硬化型組成物。
[5] 前記硬化型組成物のGPCクロマトグラフィーで得られたクロマトグラムにおいて、標準ポリエチレングリコール換算の分子量が500以上800以下となる低分子量成分(X)に対する標準ポリエチレングリコール換算の分子量が800超である高分子量成分(Y)の比(Y/X)が3.0以下である[1]〜[4]のいずれかに記載の硬化型組成物。
[6] 式(c1)で表される化合物(C1)が混合されている[1]〜[5]のいずれかに記載の硬化型組成物。
[式(c1)中、Ac1は、ヒドロキシ基または加水分解性基を表し、Ac1が複数存在する場合は複数のAc1がそれぞれ異なっていてもよく、Zc1は、炭化水素基、トリアルキルシリル基含有分子鎖、またはシロキサン骨格含有基を表し、Zc1が複数存在する場合は複数のZc1がそれぞれ異なっていてもよく、r1は、1〜3の整数を表し、Rc1は、式(c11)で表される基を表す。]
[式(c11)中、Rs2は、それぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基を表し、Rc11は、炭化水素基またはトリアルキルシリルオキシ基を表し、該炭化水素基またはトリアルキルシリルオキシ基に含まれる水素原子はフッ素原子に置換されていてもよく、Rc11が複数存在する場合は複数のRc11がそれぞれ異なっていてもよく、Ac11は、ヒドロキシ基または加水分解性基を表し、Ac11が複数存在する場合は複数のAc11がそれぞれ異なっていてもよく、Zs1は、−O−または2価の炭化水素基を表し、該2価の炭化水素基に含まれる−CH2−は−O−に置き換わっていてもよく、Ys1は、単結合または−Si(Rs2)2−Ls1−を表し、Ls1は2価の炭化水素基を表し、該2価の炭化水素基に含まれる−CH2−は−O−に置き換わっていてもよく、r2は、0〜3の整数を表し、r10は、1以上の整数を表し、*は結合手を表す。]
[7] 前記化合物(C1)が、式(c1−I)で表される化合物である[6]に記載の硬化型組成物。
[式(c1−I)中、nは、1〜60の整数を表す。]
[8] 溶剤(E)が混合されている[1]〜[7]のいずれかに記載の硬化型組成物。
[9] pKaが1以上5以下の弱酸(G)が混合されている[1]〜[8]のいずれかに記載の硬化型組成物。
[10] 撥液性膜形成用である[1]〜[9]のいずれかに記載の硬化型組成物。
本発明の硬化型組成物を用いれば、撥液性(特に撥水性)が良好な膜を提供できる。また、本発明の硬化型組成物は保存安定性に優れるため、保存後に膜を形成しても、得られた膜は優れた撥液性(特に撥水性)を有する。また、本発明の硬化型組成物を保存した後に膜を形成しても膜形成時の作業性は良好である。
本発明の硬化型組成物は、炭素数6〜30のアルキル基を有する縮合物を含み、GPCクロマトグラフィーで得られたクロマトグラムから求めた微分分子量分布曲線において、標準ポリエチレングリコール換算の分子量が500以上2000以下となる範囲に、濃度分率が250000以上のピークを少なくとも1つ有している。上記硬化型組成物を用いれば、撥液性(特に撥水性)が良好な膜を形成できる。また、本発明の硬化型組成物は、保存安定性に優れており、保存後に膜を形成しても、膜の性能はほとんど低下しない。また、本発明の硬化型組成物は、保存後に膜を形成するときの作業性に優れているため、膜の形成が容易である。なお、本明細書においてピークとは、GPCクロマトグラフィーで得られたクロマトグラムから求めた微分分子量分布曲線を描いたときの分布の極大値を意味し、例えば、図1に実線で示した曲線では、ポリエチレングリコール換算分子量Mが約600付近と約900付近に極大値が認められ、これらがピークを意味している。
上記硬化型組成物は、上記微分分子量分布曲線において、上記標準ポリエチレングリコール換算の分子量が500以上2000以下となる範囲に、濃度分率が250000以上のピークを2つ以上有しても良い。上記範囲に濃度分率が250000以上のピークを2つ以上有することによって、撥液性(特に撥水性)がより良好な膜を形成できる。上記範囲における濃度分率が250000以上のピークの数は、例えば、3つ以下が好ましい。
上記硬化型組成物は、上記微分分子量分布曲線において、上記標準ポリエチレングリコール換算の分子量が2000超となる範囲に、濃度分率が250000以上のピークを有さないことが好ましい。上記硬化型組成物が、上記範囲に濃度分率が250000以上のピークを有さないことによって、撥液性(特に撥水性)が良好な膜を形成でき、また保存後においても撥液性(特に撥水性)が良好な膜を形成でき、成膜時の作業性も良好となる。
上記アルキル基の炭素数は、7以上が好ましく、より好ましくは8以上、更に好ましくは10以上であり、また20以下が好ましく、より好ましくは18以下であり、更に好ましくは12以下である。
上記アルキル基は、直鎖状であってもよいし、分岐鎖状であってもよく、直鎖状であることが好ましい。上記アルキル基としては、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基が好ましく、より好ましくはオクチル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基であり、更に好ましくはオクチル基、デシル基、ドデシル基である。
上記縮合物は、炭素数6〜30のアルキル基を有していればよく、例えば、有機ケイ素化合物の縮合物が好ましい。有機ケイ素化合物については後述する。
本発明の硬化型組成物は、基材に塗布した後、常温、常湿下で放置することによって硬化し、膜が形成され、該膜は、撥液性を有している。従って本発明の硬化型組成物は、撥液性膜形成用として用いることができる。
なお、微分分子量分布曲線は、分子量(M)ごとの濃度分率を示す曲線であり、分子量(M)は、GPCクロマトグラフィーで得られたクロマトグラムにおける溶出時間を、ポリエチレングリコール(標準品)の分子量に検量線で換算することで求まる値である。そしてGPCクロマトグラフィーで得られたクロマトグラムにおいて、所定の溶出時間(すなわち分子量(M))におけるピーク強度の全ピーク面積に対する割合を示す曲線Aを描き、この曲線Aの所定の分子量(M)での傾き(すなわち微分値。ただし、傾きを求める場合、横軸は分子量(M)の対数とする)を分子量(M)での濃度分率とする。
上記硬化型組成物は、上記微分分子量分布曲線において、上記標準ポリエチレングリコール換算の分子量が500以上800以下となる範囲に、濃度分率が200000以上のピークを少なくとも1つ有することが好ましい。上記範囲に濃度分率が200000以上のピークを1つ以上有することによって、硬化型組成物の保存安定性を一層向上させることができる。また、保存後であっても膜形成時の作業性に優れる。上記濃度分率が200000以上のピークの数は、例えば、2つ以下が好ましい。
上記硬化型組成物は、GPCクロマトグラフィーで得られたクロマトグラムにおいて、標準ポリエチレングリコール換算の分子量が500以上800以下となる低分子量成分(X)に対する標準ポリエチレングリコール換算の分子量が800超である高分子量成分(Y)の比(Y/X)が3.0以下であることが好ましい。比(Y/X)が3.0以下を満足することによって、硬化型組成物の保存安定性を一層向上させることができる。また、保存後であっても膜形成時の作業性に優れる。比(Y/X)は、2.8以下がより好ましく、更に好ましくは2.0以下、一層好ましくは1.5以下、特に好ましくは1.0以下であり、小さい方が好ましい。比(Y/X)の下限は、例えば、0.1以上であってもよい。
上記硬化型組成物は、下記式(a1)で表される有機ケイ素化合物(A)と、下記式(b1)で表される有機ケイ素化合物(B)の混合組成物であることが好ましい。
Ra1−Si(Xa1)3 (a1)
式(a1)中、Ra1は炭素数6〜30の炭化水素基を表し、Xa1は加水分解性基を表す。
Si(Rb1)b20(Xb1)4-b20 (b1)
式(b1)中、Rb1は炭素数1〜5の炭化水素基を表し、Xb1は加水分解性基を表し、b20は0または1である。
Ra1−Si(Xa1)3 (a1)
式(a1)中、Ra1は炭素数6〜30の炭化水素基を表し、Xa1は加水分解性基を表す。
Si(Rb1)b20(Xb1)4-b20 (b1)
式(b1)中、Rb1は炭素数1〜5の炭化水素基を表し、Xb1は加水分解性基を表し、b20は0または1である。
[有機ケイ素化合物(A)]
上記式(a1)において、Ra1で表される炭化水素基の炭素数は、7以上が好ましく、より好ましくは8以上、更に好ましくは10以上であり、また20以下が好ましく、より好ましくは18以下、更に好ましくは12以下である。
上記式(a1)において、Ra1で表される炭化水素基の炭素数は、7以上が好ましく、より好ましくは8以上、更に好ましくは10以上であり、また20以下が好ましく、より好ましくは18以下、更に好ましくは12以下である。
Ra1で表される炭化水素基は、飽和炭化水素基が好ましく、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基がより好ましく、直鎖状のアルキル基がさらに好ましい。アルキル基としては、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基が好ましく、より好ましくはオクチル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基であり、更に好ましくはオクチル基、デシル基、ドデシル基である。
上記式(a1)において、Xa1で表される加水分解性基としては、加水分解によりヒドロキシ基(シラノール基)を与える基が挙げられ、好ましくは炭素数1〜6のアルコキシ基、シアノ基、アセトキシ基、塩素原子、イソシアネート基等が挙げられる。3つのXa1は同一であっても異なっていてもよく、同一であることが好ましい。Xa1としては、炭素数1〜6(より好ましくは炭素数1〜4、更に好ましくは炭素数1または2)のアルコキシ基又はシアノ基が好ましく、炭素数1〜6(より好ましくは炭素数1〜4、更に好ましくは炭素数1または2)のアルコキシ基がより好ましく、全てのXa1が炭素数1〜6(より好ましくは炭素数1〜4、更に好ましくは炭素数1または2)のアルコキシ基であることがさらに好ましい。
有機ケイ素化合物(A)としては、Ra1が炭素数6〜18(より好ましくは炭素数8〜18、更に好ましくは炭素数8〜12)の直鎖状アルキル基であり、全てのXa1が同一の基であって、炭素数1〜6(より好ましくは炭素数1〜4、更に好ましくは炭素数1または2)のアルコキシ基であるものが好ましい。
有機ケイ素化合物(A)としては、具体的には、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、ヘプチルトリメトキシシラン、ヘプチルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ノニルトリメトキシシラン、ノニルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、ウンデシルトリメトキシシラン、ウンデシルトリエトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、トリデシルトリメトキシシラン、トリデシルトリエトキシシラン、テトラデシルトリメトキシシラン、テトラデシルトリエトキシシラン、ペンタデシルトリメトキシシラン、ペンタデシルトリエトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、ヘキサデシルトリエトキシシラン、ヘプタデシルトリメトキシシラン、ヘプタデシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン等が挙げられ、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、テトラデシルトリメトキシシラン、テトラデシルトリエトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、ヘキサデシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシランが好ましく、より好ましくは、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、ドデシルトリエトキシシランである。
有機ケイ素化合物(A)は、1種のみを用いてもよいし、複数を併用してもよい。
有機ケイ素化合物(A)の量は、硬化型組成物全体を100質量%としたとき、0.1質量%以上が好ましく、より好ましくは0.2質量%以上、さらに好ましくは0.3質量%以上であり、また、3質量%以下が好ましく、より好ましくは2質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下である。
[有機ケイ素化合物(B)]
上記式(b1)において、Rb1で表される炭化水素基は、飽和炭化水素基が好ましく、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基がより好ましく、直鎖状のアルキル基がさらに好ましい。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基が特に好ましい。
上記式(b1)において、Rb1で表される炭化水素基は、飽和炭化水素基が好ましく、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基がより好ましく、直鎖状のアルキル基がさらに好ましい。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基が特に好ましい。
上記式(b1)において、b20は0が好ましい。
上記式(b1)において、Xb1で表される加水分解性基としては、前記Xa1で表される加水分解性基と同様の基が挙げられ、好ましくは炭素数1〜6のアルコキシ基、シアノ基、アセトキシ基、塩素原子、イソシアネート基等が挙げられる。複数のXb1は同一であっても異なっていてもよく、同一であることが好ましい。Xb1としては、炭素数1〜6(より好ましくは炭素数1〜4)のアルコキシ基又はイソシアネート基が好ましく、炭素数1〜6(より好ましくは炭素数1〜4)のアルコキシ基がより好ましく、全てのXb1が炭素数1〜6(より好ましくは炭素数1〜4)のアルコキシ基であることがさらに好ましい。
有機ケイ素化合物(B)としては、b20が0であり、Xb1が炭素数1〜6(より好ましくは炭素数1〜4)であるアルコキシ基であるものが好ましい。
有機ケイ素化合物(B)としては、具体的には、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン(オルトケイ酸テトラエチル)、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン等が挙げられ、テトラメトキシシランまたはテトラエトキシシランが好ましい。
有機ケイ素化合物(B)は、1種のみを用いてもよいし、複数を併用してもよい。
有機ケイ素化合物(B)の量は、硬化型組成物全体を100質量%としたとき、0.1質量%以上が好ましく、より好ましくは0.2質量%以上、さらに好ましくは0.3質量%以上であり、また、3質量%以下が好ましく、より好ましくは2質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下である。
有機ケイ素化合物(A)と有機ケイ素化合物(B)の合計量は、硬化型組成物全体を100質量%としたとき、0.2質量%以上が好ましく、より好ましくは0.3質量%以上、さらに好ましくは0.4質量%以上、特に好ましくは0.6質量%以上であり、また、6質量%以下が好ましく、より好ましくは4質量%以下、さらに好ましくは2質量%以下、一層好ましくは1.5質量%以下、特に好ましくは1質量%以下である。
有機ケイ素化合物(A)に対する有機ケイ素化合物(B)のモル比(B/A)は、撥液性(特に、滑落性)を改善する観点から、0.01〜48が好ましい。モル比(B/A)は0.1以上がより好ましく、さらに好ましくは0.3以上、一層好ましくは0.5以上、特に好ましくは0.8以上である。また、モル比(B/A)は40以下がより好ましく、さらに好ましくは25以下、一層好ましくは10以下、より一層好ましくは8以下、特に好ましくは4以下、最も好ましくは1以下である。
有機ケイ素化合物(A)に対する有機ケイ素化合物(B)のモル比(B/A)は、硬化型組成物の調製時に調整できる。また、有機ケイ素化合物(A)に対する有機ケイ素化合物(B)のモル比(B/A)は、硬化型組成物の分析結果から算出してもよい。なお、本明細書において、各成分のモル比、量または質量比の範囲を記載している場合、上記と同様に、該範囲は、硬化型組成物の調製時に調整できる。
上記硬化型組成物は、式(c1)で表される化合物(C1)が混合されていることが好ましい。化合物(C1)が混合されることによって膜形成時の作業性が向上する。また、微分分子量分布の濃度分率を所定値に制御しやすくなる。
式(c1)中、Ac1は、ヒドロキシ基または加水分解性基を表し、Ac1が複数存在する場合は複数のAc1がそれぞれ異なっていてもよく、Zc1は、炭化水素基、トリアルキルシリル基含有分子鎖、またはシロキサン骨格含有基を表し、Zc1が複数存在する場合は複数のZc1がそれぞれ異なっていてもよく、r1は、1〜3の整数を表し、Rc1は、式(c11)で表される基を表す。
式(c11)中、Rs2は、それぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基を表し、Rc11は、炭化水素基またはトリアルキルシリルオキシ基を表し、該炭化水素基またはトリアルキルシリルオキシ基に含まれる水素原子はフッ素原子に置換されていてもよく、Rc11が複数存在する場合は複数のRc11がそれぞれ異なっていてもよく、Ac11は、ヒドロキシ基または加水分解性基を表し、Ac11が複数存在する場合は複数のAc11がそれぞれ異なっていてもよく、Zs1は、−O−または2価の炭化水素基を表し、該2価の炭化水素基に含まれる−CH2−は−O−に置き換わっていてもよく、Ys1は、単結合または−Si(Rs2)2−Ls1−を表し、Ls1は2価の炭化水素基を表し、該2価の炭化水素基に含まれる−CH2−は−O−に置き換わっていてもよく、r2は、0〜3の整数を表し、r10は、1以上の整数を表し、*は結合手を表す。
上記化合物(C1)は、膜の硬化を抑制する化合物であり、例えば、成膜後の有機ケイ素化合物(A)と有機ケイ素化合物(B)に残っている加水分解性基間の縮合反応を抑制する作用を有する。有機ケイ素化合物(A)と有機ケイ素化合物(B)が混合された硬化型組成物を用いて成膜すると、得られた膜は、成膜後、硬化し続ける可能性があり、過度に硬化すると撥液性(特に撥水性)が劣化する虞がある。そこで本発明の硬化型組成物は、上記化合物(C1)が混合されることにより、得られた膜の過度な硬化を抑制でき、撥液性(特に撥水性)の劣化を抑制できる。
まず、上記式(c11)で表される基において、下記式(s2)で表される部分(以下、分子鎖(s2)と呼ぶ場合がある)について説明する。
分子鎖(s2)において、Rs2で表されるアルキル基の炭素数は1〜4が好ましく、より好ましくは1〜3、さらに好ましくは1〜2である。Rs2で表されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられ、メチル基又はエチル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
分子鎖(s2)において、r10は、1〜100の整数が好ましく、より好ましくは1〜80の整数、さらに好ましくは1〜60の整数、特に好ましくは1〜50の整数、最も好ましくは1〜30の整数である。
分子鎖(s2)において、Zs1又はLs1で表される2価の炭化水素基の炭素数は1〜10が好ましく、より好ましくは1〜6、さらに好ましくは1〜4である。前記2価の炭化水素基は、鎖状が好ましく、鎖状である場合、直鎖状、分岐鎖状のいずれであってもよい。また、前記2価の炭化水素基は、2価の脂肪族炭化水素基が好ましく、アルカンジイル基が好ましい。2価の炭化水素基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等のアルカンジイル基が挙げられる。
さらに、前記2価の炭化水素基に含まれる一部の−CH2−は−O−に置き換わっていてもよい。この場合連続する2つの−CH2−が同時に−O−に置き換わることはなく、Si原子に隣接する−CH2−が−O−に置き換わることはない。2つ以上の−CH2−が−O−に置き換わっている場合、−O−と−O−の間の炭素原子数は2〜4が好ましく、2または3がさらに好ましい。2価の炭化水素基の一部が−O−に置き換わった基としては、具体的には、(ポリ)エチレングリコール単位を有する基、(ポリ)プロピレングリコール単位を有する基等を例示できる。
分子鎖(s2)において、Zs1は−O−または2価の脂肪族炭化水素基であることが好ましく、より好ましくは−O−である。分子鎖(s2)において、Ys1は単結合であることが好ましい。分子鎖(s2)において、Zs1が−O−であり、Ys1が単結合であること、すなわち前記分子鎖(s2)は、ジアルキルシリルオキシ基の繰り返しのみからなることが好ましい。
分子鎖(s2)としては、下記式で表される分子鎖を挙げることができる。式中、r21は1以上の整数を表し、*は、ケイ素原子に結合する結合手を表す。r21は、上記r10と同じ数値範囲であり、好ましい範囲も同じである。
次に、上記式(c11)で表される基における分子鎖(s2)以外の部分について説明する。式(c11)中、Rc11は炭化水素基またはトリアルキルシリルオキシ基を表し、該炭化水素基又はトリアルキルシリルオキシ基に含まれる水素原子は、フッ素原子に置換されていてもよい。フッ素原子の置換数は、炭素原子の数をAとしたとき、1以上が好ましく、より好ましくは3以上であり、2×A+1以下が好ましい。
Rc11が炭化水素基である場合、その炭素数は1〜4が好ましく、より好ましくは1〜3、さらに好ましくは1または2である。Rc11が炭化水素基である場合、脂肪族炭化水素基が好ましく、アルキル基がより好ましい。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられる。
Rc11がトリアルキルシリルオキシ基である場合、トリアルキルシリルオキシ基を構成するアルキル基としては、その炭素数は1〜4が好ましく、より好ましくは1〜3、さらに好ましくは1または2である。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられる。トリアルキルシリルオキシ基を構成する3つのアルキル基は同一であっても異なっていてもよく、同一であることが好ましい。なお、トリアルキルシリルオキシ基は、トリアルキルシリル基のケイ素原子に酸素原子が結合している基を意味する。
式(c11)中、Ac11は、ヒドロキシ基または加水分解性基を表す。加水分解性基としては、加水分解によりヒドロキシ基(シラノール基)を与える基であればよく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4のアルコキシ基、アセトキシ基、塩素原子、イソシアネート基等を好ましく挙げることができる。Ac11は、炭素数1〜4のアルコキシ基がより好ましく、炭素数1または2のアルコキシ基が更に好ましい。
上記式(c11)で表されるRc1は、下記式(c11−1)または式(c11−2)で表される基が好ましい。
式(c11−1)中、Zs1、Rs2、Ys1、及びr10は、上記と同義であり、Rc13は、それぞれ独立に、炭化水素基またはトリアルキルシリルオキシ基を表し、該炭化水素基またはトリアルキルシリルオキシ基に含まれる水素原子はフッ素原子に置換されていてもよく、*はケイ素原子との結合手を表す。
式(c11−2)中、Rs2、及びr10は、それぞれ上記と同義であり、Ac12は、ヒドロキシ基または加水分解性基を表し、Ac12が複数存在する場合は複数のAc12がそれぞれ異なっていてもよく、Rc12は、炭化水素基を表し、Rc12が複数存在する場合は複数のRc12がそれぞれ異なっていてもよく、y12は、1〜3の整数を表す。*はケイ素原子との結合手を表す。
まず、式(c11−1)で表される基について説明する。式(c11−1)において、Rc13で表される炭化水素基としては、上記Rc11で説明した炭化水素基と同様のものが挙げられ、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、より好ましくは炭素数1〜3のアルキル基、さらに好ましくは炭素数1または2のアルキル基である。特に、Rc13が全て炭化水素基である場合、Rc13はアルキル基であることが好ましい。3つのRc13は、同一でも異なっていてもよく、同一であることが好ましい。Rc13が全て炭化水素基である場合、3つのRc13の合計の炭素数は9以下が好ましく、より好ましくは6以下、さらに好ましくは4以下である。3つのRc13のうち少なくとも1つがメチル基であることが好ましく、少なくとも2つがメチル基であることがより好ましく、3つのRc13全てがメチル基であることが特に好ましい。
式(c11−1)において、Rc13で表されるトリアルキルシリルオキシ基としては、上記Rc11で説明したトリアルキルシリルオキシ基と同様のものが挙げられ、好ましい範囲も同様である。式(c11−1)において、Rc13の少なくとも1つがトリアルキルシリルオキシ基であってもよく、Rc13の全てがトリアルキルシリルオキシ基であることも好ましい。
式(c11−1)で表される基は、下記式(s3−1)で表される基であることがより好ましく、下記式(s3−1−1)で表される基であることがさらに好ましい。また、式(c11−1)で表される基は、下記式(s3−2)で表される基であることも好ましく、下記式(s3−2−1)で表される基であることがさらに好ましい。
式(s3−1)及び(s3−1−1)中、Zs1、Rs2、Ys1、r10は上記と同義である。Rs3は、炭素数1〜4のアルキル基を表す。*はケイ素原子との結合手を表す。
式(s3−2)及び式(s3−2−1)中、Zs1、Rs2、Ys1、Rs3、r10は上記と同義である。*は、ケイ素原子との結合手を表す。
Rs3で表されるアルキル基の炭素数は1〜3が好ましく、より好ましくは1または2である。また、式(s3−1)、式(s3−1−1)、式(s3−2)、及び式(s3−2−1)中、−Si(Rs3)3に含まれるRs3の合計の炭素数は9以下が好ましく、より好ましくは6以下、さらに好ましくは4以下である。さらに、−Si(Rs3)3に含まれるRs3のうち、少なくとも1つがメチル基であることが好ましく、2つ以上のRs3がメチル基であることが好ましく、3つのRs3全てがメチル基であることが特に好ましい。
式(c11−1)で表される基としては、式(s3−I)で表される基が挙げられる。式(s3−I)中、Zs10、Rs20、n10、Ys10、Rs10は、下記表に示す組み合わせが好ましい。
上記表1、表2に示したn10は、好ましくは1〜30の整数である。
次に、式(c11−2)で表される基について説明する。式(c11−2)中、Ac12は、ヒドロキシ基または加水分解性基を表し、加水分解性基としては、加水分解によりヒドロキシ基(シラノール基)を与える基であればよく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4のアルコキシ基、アセトキシ基、塩素原子、イソシアネート基等を好ましく挙げることができる。Ac12は、炭素数1〜4のアルコキシ基またはヒドロキシ基が好ましく、炭素数1または2のアルコキシ基またはヒドロキシ基がより好ましい。Ac12が複数存在する場合、複数のAc12は同一でも異なっていてもよく、同一であることが好ましい。
式(c11−2)中、Rc12で表される炭化水素基としては、上記Rc11で説明した炭化水素基と同様の基が挙げられ、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、メチル基またはエチル基がより好ましく、メチル基がさらに好ましい。Rc12が複数存在する場合、複数のRc12は同一でも異なっていてもよく、同一であることが好ましい。
y12は、1または3であることが好ましい。
式(c11−2)で表される基としては、式(s3−II)で表される基が挙げられる。式(s3−II)中、Ac0、Rs22、n20、y0、Rc0は、下記表に示す組み合わせが好ましい。
上記表3に示したn20は、好ましくは1〜30の整数である。
次に、式(c1)について説明する。式(c1)におけるAc1は、ヒドロキシ基または加水分解性基を表し、加水分解性基としては、加水分解によりヒドロキシ基(シラノール基)を与える基であればよく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4のアルコキシ基、アセトキシ基、塩素原子、イソシアネート基等を好ましく挙げることができる。Ac1は、炭素数1〜4のアルコキシ基が好ましく、炭素数1または2のアルコキシ基がより好ましい。Ac1が複数存在する場合、複数のAc1は同一でも異なっていてもよく、同一であることが好ましい。
式(c1)におけるZc1は、炭化水素基、トリアルキルシリル基含有分子鎖、またはシロキサン骨格含有基を表す。
Zc1が炭化水素基である場合、その炭素数は1〜4が好ましく、より好ましくは1〜3、さらに好ましくは1または2である。Zc1が炭化水素基である場合、脂肪族炭化水素基が好ましく、アルキル基がより好ましい。該アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられ、メチル基またはエチル基がさらに好ましく、特に好ましくはメチル基である。
トリアルキルシリル基含有分子鎖とは、トリアルキルシリル含有基が分子鎖の末端に結合した構造を有する1価の基を意味する。Zc1がトリアルキルシリル基含有分子鎖である場合、上述の式(c11−1)で表される基であり、かつRc13が全て炭化水素基である場合にはRc13がアルキル基である基が好ましい。
また、Zc1がシロキサン骨格含有基である場合、前記シロキサン骨格含有基は、シロキサン単位(Si−O−)を含有する1価の基であり、Rc1を構成する原子数よりも少ない数の原子で構成されるものであることが好ましい。これにより、シロキサン骨格含有基は、Rc1よりも長さが短いか、立体的な広がり(かさ高さ)が小さな基となる。シロキサン骨格含有基には、2価の炭化水素基が含まれていてもよい。
シロキサン骨格含有基は、下記式(s4)で表される基であることが好ましい。
式(s4)中、Rs2は上記と同義であり、それぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基を表す。
Rs5は、炭化水素基又はヒドロキシ基を表し、該炭化水素基に含まれる−CH2−は、−O−に置き換わっていてもよく、該炭化水素基に含まれる水素原子は、フッ素原子に置換されていてもよい。
Zs2は、−O−又は2価の炭化水素基を表し、該2価の炭化水素基に含まれる−CH2−は、−O−に置き換わっていてもよい。
Ys2は、単結合又は−Si(Rs2)2−Ls2−を表す。Ls2は、2価の炭化水素基を表し、該2価の炭化水素基に含まれる−CH2−は、−O−に置き換わっていてもよい。
r40は、0〜5の整数を表す。*は、ケイ素原子との結合手を表す。
式(s4)中、Rs5で表される炭化水素基としては、上記Rc11で説明した炭化水素基と同様の基が挙げられ、脂肪族炭化水素基が好ましく、アルキル基がより好ましい。炭素数は1〜4であることが好ましく、より好ましくは1〜3、さらに好ましくは1または2である。
Zs2又はLs2で表される2価の炭化水素基としては、上記Zs1で表される2価の炭化水素基と同様の基が挙げられ、炭素数は1〜10が好ましく、より好ましくは1〜6、さらに好ましくは1〜4である。また、Zs2又はLs2で表される2価の炭化水素基は、2価の脂肪族炭化水素基が好ましく、直鎖状又は分岐鎖状のアルカンジイル基がさらに好ましい。
r40は、1〜5の整数が好ましく、より好ましくは1〜3の整数である。
シロキサン骨格含有基の原子数の合計は、100以下が好ましく、より好ましくは50以下、さらに好ましくは30以下であり、10以上が好ましい。また、Rc1の原子数とシロキサン骨格含有基の原子数の差は、10以上が好ましく、より好ましくは20以上であり、1000以下が好ましく、より好ましくは500以下、さらに好ましくは200以下である。
シロキサン骨格含有基としては、具体的には、下記式で表される基が挙げられる。
式(c1)におけるr1は1〜3の整数を表し、2または3が好ましく、より好ましくは3である。
式(c1)で表される化合物(C1)としては、下記式(c1−1)で表される化合物、すなわち、式(c1)におけるRc1が式(c11−1)で表される基であって、式(c1)におけるr1が3である化合物が挙げられる。
式(c1−1)中、Ac1、Zs1、Rs2、Ys1、Rc13、及びr10は、それぞれ上記と同義である。
式(c1−1)で表される化合物の中でも、下記式(I−1)で表される化合物が好ましく、式(I−1−1)で表される化合物がより好ましい。また、式(c1−1)で表される化合物は、下記式(I−2)で表される化合物であってもよく、好ましくは式(I−2−1)で表される化合物である。
式(I−1)及び式(I−1−1)中、Ac1、Zs1、Rs2、Ys1、Rs3、r10は、それぞれ上記と同義である。
式(I−2)及び式(I−2−1)中、Ac1、Zs1、Rs2、Ys1、Rs3、r10は、それぞれ上記と同義である。
式(c1−1)で表される化合物は、具体的には、式(I−I)で表される化合物が挙げられる。式(I−I)中、Aa20、Zs10、Rs20、n10、Ys10、Rs10は、下記表に示す組み合わせが好ましい。
上記表4−1、表4−2、表5−1、表5−2に示したn10は、好ましくは1〜30の整数である。
上記式(I−I)で表される化合物の中でも式(I−I−26)で表されるものがより好ましい。すなわち、化合物(C1)は、下記式(c1−I)で表される化合物が好ましい。
式(c1−I)中、nは、1〜60の整数を表す。
nは、より好ましくは2以上の整数、更に好ましくは3以上の整数であり、より好ましくは50以下の整数、更に好ましくは45以下の整数、特に好ましくは30以下の整数、最も好ましくは25以下の整数である。
式(c1−1)で表される化合物の合成方法の例としては、特開2017−201009号公報に記載の方法が挙げられる。
式(c1)で表される化合物(C1)としては、信越化学工業株式会社製の「X−24−9011」などを用いることができる。下記式で表される信越化学工業株式会社製の「X−24−9011」は、片側の末端にのみトリメトキシシリル基を有し、他方の末端はヒドロキシ基及び加水分解性基を有しておらず、かつ構造中にシロキサン結合を含む化合物であり、式(c1)で表すと、r1が3であり、Ac1がメトキシ基を表し、Rc1が式(c11−1)で表される基である化合物であり、重量平均分子量は3400である。
式(c1)で表される化合物(C1)としては、式(c1−2)で表される化合物、すなわち、式(c1)におけるRc1が式(c11−2)で表される基であって、式(c1)におけるZc1が炭化水素基である化合物も挙げられる。
式(c1−2)中、Ac1、Rs2、Ac12、Rc12、r1、r10、及びy12は、それぞれ上記と同義であり、Zc12は、炭化水素基を表し、Zc12が複数存在する場合は複数のZc12がそれぞれ異なっていてもよい。
式(c1−2)中、Ac1及びAc12は、同一でも異なっていてもよく、同一であることが好ましい。
Zc12で表される炭化水素基としては、上記Zc1で説明した基と同様のものが挙げられ、メチル基またはエチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。Zc12及びRc12は、同一でも異なっていてもよく、同一であることが好ましい。
r1及びy12はそれぞれ、1または3が好ましい。r1とy12とは同一でも異なっていてもよく、同一であることが好ましい。
式(c1−2)で表される化合物としては、Rs2がメチル基であり、r10が1〜60の整数を表し、Ac1及びAc12が炭素数1〜2のアルコキシ基またはヒドロキシ基であり、Zc12及びRc12がメチル基またはエチル基であり、r1及びy12が同一で1〜3の整数を表す化合物を用いることが好ましい。
式(c1−2)で表される化合物としては、具体的には、式(I−II)で表される化合物が挙げられる。式(I−II)中、Ac00、Zc0、Rs22、n20、y0、Ac0、Rc0は、下記表に示す組み合わせが好ましい。
式(c1−2)で表される化合物としては、化合物(I−II−1)〜(I−II−3)、(I−II−13)〜(I−II−15)が好ましく、より好ましくは化合物(I−II−3)、化合物(I−II−13)または化合物(I−II−14)である。
式(c1)で表される化合物(C1)としては、Gelest社製の「DMS−S12」や信越化学工業株式会社製の「KR−410」なども用いることができる。Gelest社製の「DMS−S12」は、上記表6に示した式(I−II−3)においてn20が4〜7である化合物である。信越化学工業株式会社製の「KR−410」は、上記表6に示した式(I−II−14)においてn20が10である化合物である。
式(c1)で表される化合物(C1)としては、式(c1−1)で表される化合物、または式(c1−2)で表される化合物であることが好ましく、より好ましくは式(c1−1)で表される化合物である。
化合物(C1)は、1種のみを用いてもよいし、複数を併用してもよい。
化合物(C1)の量は、硬化型組成物の全体を100質量%としたとき、0.01質量%以下が好ましく、より好ましくは0.005質量%以下、さらに好ましくは0.002質量%以下であり、0.00001質量%以上が好ましく、より好ましくは0.00005質量%以上、さらに好ましくは0.0001質量%以上である。
有機ケイ素化合物(A)に対する化合物(C1)のモル比(C1/A)は、0.00001以上が好ましく、より好ましくは0.00005以上、さらに好ましくは0.0001以上であり、0.005以下が好ましく、より好ましくは0.001以下である。
有機ケイ素化合物(A)及び有機ケイ素化合物(B)の合計に対する化合物(C1)の質量比[C1/(A+B)]は、0.058以下が好ましく、より好ましくは0.01以下、さらに好ましくは0.001以下であり、0.0001以上が好ましく、より好ましくは0.0003以上、さらに好ましくは0.0005以上である。
有機ケイ素化合物(A)、有機ケイ素化合物(B)及び化合物(C1)の合計量は、硬化型組成物の全体を100質量%としたとき、0.01質量%以上が好ましく、より好ましくは0.1質量%以上、さらに好ましくは0.3質量%以上、一層好ましくは0.4質量%以上、特に好ましくは0.6質量%以上であり、10質量%以下が好ましく、より好ましくは4質量%以下、さらに好ましくは2質量%以下、一層好ましくは1.5質量%以下、特に好ましくは1質量%以下である。
上記硬化型組成物は、水(D)が混合されていてもよい。
水(D)の量は、硬化型組成物の全体を100質量%としたとき、0.1質量%以上が好ましく、より好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは3質量%以上、よりさらに好ましくは5質量%以上、一層好ましくは10質量%以上、特に好ましくは15質量%以上、最も好ましくは20質量%以上であり、50質量%以下が好ましく、より好ましくは40質量%以下、さらに好ましくは35質量%以下、特に好ましくは30質量%以下である。
水(D)の量は、有機ケイ素化合物(A)に対して、質量比(D/A)で、20以上が好ましい。質量比(D/A)は、より好ましくは25以上、更に好ましくは30以上である。質量比(D/A)の上限は、例えば、150以下であり、好ましくは120以下、より好ましくは100以下、一層好ましくは80以下、特に好ましくは70以下である。
本発明の硬化型組成物には、上述した成分の他に、溶剤(E)、触媒(F)、及びpKaが1以上5以下の弱酸(G)の少なくとも1種が混合されていることが好ましい。
[溶剤(E)]
溶剤(E)としては、アルコール系溶剤、エーテル系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アミド系溶剤等の親水性有機溶剤が挙げられる。これらの溶剤は1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。アルコール系溶剤としては、例えば、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール等が挙げられる。エーテル系溶剤としては、例えば、ジメトキシエタン、ジオキサン等が挙げられる。ケトン系溶剤としては、例えば、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。エステル系溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル等が挙げられる。アミド系溶剤としては、例えば、ジメチルホルムアミド等が挙げられる。これらの中でも、溶剤(E)は、アルコール系溶剤が好ましく、2−プロパノールまたはエタノールがより好ましい。
溶剤(E)としては、アルコール系溶剤、エーテル系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アミド系溶剤等の親水性有機溶剤が挙げられる。これらの溶剤は1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。アルコール系溶剤としては、例えば、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール等が挙げられる。エーテル系溶剤としては、例えば、ジメトキシエタン、ジオキサン等が挙げられる。ケトン系溶剤としては、例えば、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。エステル系溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル等が挙げられる。アミド系溶剤としては、例えば、ジメチルホルムアミド等が挙げられる。これらの中でも、溶剤(E)は、アルコール系溶剤が好ましく、2−プロパノールまたはエタノールがより好ましい。
溶剤(E)は、硬化型組成物を塗布して膜を形成する基材の材質に合わせて調整してもよく、例えば有機系材料の基材を用いる場合はケトン系溶剤を用いることが好ましく、無機系材料の基材を用いる場合はアルコール系溶剤を用いることが好ましい。
溶剤(E)の量は、硬化型組成物の全体を100質量%としたとき、10質量%以上が好ましく、より好ましくは20質量%以上、さらに好ましくは30質量%以上、特に好ましくは40質量%以上、最も好ましくは60質量%以上であり、95質量%以下が好ましく、より好ましくは90質量%以下、さらに好ましくは85質量%以下、よりさらに好ましくは80質量%以下である。
[触媒(F)]
触媒(F)としては、塩化水素(但し、通常、塩酸として用いる)、リン酸、硝酸等の無機酸;マレイン酸、マロン酸、ギ酸、安息香酸、フェニル酢酸、ブタン酸、2−メチルプロパン酸、プロパン酸、2,2−ジメチルプロパン酸、酢酸等のカルボン酸化合物(有機酸);アンモニア、アミン等の塩基性化合物;アルミニウムエチルアセトアセテート化合物等の有機金属化合物等を用いることができる。触媒(F)としては、無機酸、有機酸等の酸性化合物を用いることが好ましく、より好ましくは無機酸であり、さらに好ましくは塩化水素(塩酸)である。触媒(F)は、1種のみを用いてもよいし、複数を併用してもよい。
触媒(F)としては、塩化水素(但し、通常、塩酸として用いる)、リン酸、硝酸等の無機酸;マレイン酸、マロン酸、ギ酸、安息香酸、フェニル酢酸、ブタン酸、2−メチルプロパン酸、プロパン酸、2,2−ジメチルプロパン酸、酢酸等のカルボン酸化合物(有機酸);アンモニア、アミン等の塩基性化合物;アルミニウムエチルアセトアセテート化合物等の有機金属化合物等を用いることができる。触媒(F)としては、無機酸、有機酸等の酸性化合物を用いることが好ましく、より好ましくは無機酸であり、さらに好ましくは塩化水素(塩酸)である。触媒(F)は、1種のみを用いてもよいし、複数を併用してもよい。
触媒(F)の量は、硬化型組成物の全体を100質量%としたとき、0.00001質量%以上が好ましく、より好ましくは0.0001質量%以上、さらに好ましくは0.0002質量%以上であり、0.01質量%以下が好ましく、より好ましくは0.005質量%以下、さらに好ましくは0.003質量%以下、よりさらに好ましくは0.001質量%以下である。
触媒(F)の量は、有機ケイ素化合物(A)及び有機ケイ素化合物(B)の合計に対して、質量比[F/(A+B)]で、好ましくは0.00001以上、より好ましくは0.00005以上、さらに好ましくは0.0001以上であり、好ましくは0.03以下、より好ましくは0.02以下、さらに好ましくは0.01以下、特に好ましくは0.001以下である。
[pKaが1以上5以下の弱酸(G)]
上記触媒(F)として、リン酸またはカルボン酸化合物以外の触媒が用いられる場合、本発明の硬化型組成物は、pKaが1以上5以下の弱酸(G)が混合されていることが好ましい。これにより、硬化型組成物がゲル化して保存安定性が損なわれることを抑制できる。
上記触媒(F)として、リン酸またはカルボン酸化合物以外の触媒が用いられる場合、本発明の硬化型組成物は、pKaが1以上5以下の弱酸(G)が混合されていることが好ましい。これにより、硬化型組成物がゲル化して保存安定性が損なわれることを抑制できる。
弱酸(G)のpKaは、好ましくは4.3以下、より好ましくは4.0以下、よりさらに好ましくは3.5以下である。なお弱酸(G)のpKaは、例えば、1以上である。弱酸(G)が複数のpKaを有する場合、最も小さいpKaに基づいてpKaの範囲の属否を判断する。
弱酸(G)は、無機酸、有機酸のいずれであってもよく、例えば、カルボン酸化合物、リン酸化合物などが挙げられる。弱酸(G)は、1種でもよく、2種以上を組み合わせてもよい。
カルボン酸化合物は、少なくとも1つのカルボキシ基を有する化合物を意味し、1価のカルボン酸化合物、多価カルボン酸化合物(カルボキシ基を2つ以上有するカルボン酸化合物)のいずれであってもよいが、多価カルボン酸化合物が好ましい。上記多価カルボン酸化合物としては、2つのカルボキシ基が直接結合しているシュウ酸であるか、または2価の炭化水素基の両末端にカルボキシ基が結合し、該炭化水素基の主鎖(最長直鎖)の炭素数が1〜15(より好ましくは炭素数1〜5、さらに好ましくは炭素数1〜4、さらにより好ましくは炭素数1〜3、特に好ましくは炭素数1または2)である多価カルボン酸化合物(特にジカルボン酸、トリカルボン酸、またはテトラカルボン酸)がより好ましい。
前記2価の炭化水素基は直鎖状でも分岐鎖状でもよく、脂肪族炭化水素基でも芳香族炭化水素基であってもよく、また飽和炭化水素基でも不飽和炭化水素基でもよく、また該炭化水素基の両末端以外の炭素原子には、ヒドロキシ基やカルボキシ基が結合していてもよい。
カルボン酸化合物としては、例えば、シュウ酸(pKa=1.27)、マロン酸(pKa=2.60)、コハク酸(pKa=3.99)、マレイン酸(pKa=1.84)、フマル酸(pKa=3.02)、グルタル酸(pKa=4.13)、アジピン酸(pKa=4.26)、ピメリン酸(pKa=4.71)、酒石酸(pKa=2.98)、リンゴ酸(pKa=3.23)、フタル酸(pKa=2.89)、イタコン酸(pKa=3.85)、ムコン酸(pKa=3.87)、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸(pKa=4.51)、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸(pKa=3.69)、2,7−ナフタレンジカルボン酸(pKa=3.72)、4,4’−ビフェニルジカルボン酸(pKa=3.77)等のジカルボン酸;クエン酸(pKa=2.90)、アコニット酸(pKa=2.8)、トリメリット酸(pKa=2.52)、トリメシン酸、ビフェニル−3,4’,5−トリカルボン酸(pKa=3.36)、トリカルバリル酸(pKa=3.49)等のトリカルボン酸;ブタンテトラカルボン酸(pKa=3.25)等のテトラカルボン酸;等が挙げられる。
カルボン酸化合物は、より好ましくはシュウ酸であるか、炭素数が1〜3(特に炭素数が1または2)の飽和または不飽和の直鎖状炭化水素基の両末端にカルボキシ基が結合したジカルボン酸、またはトリカルボン酸である。上記カルボン酸化合物は、具体的には、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、グルタル酸、トリカルバリル酸などが好ましく、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、トリカルバリル酸がより好ましい。
カルボン酸化合物は、分子内に少なくとも1つのカルボキシ基を有する重合体であってもよい。該重合体としては、例えば、側鎖にカルボキシ基を有する構造単位を含む重合体が挙げられ、側鎖に2種以上のカルボキシ基を有する構造単位を含んでいてもよい。分子内に少なくとも1つのカルボキシ基を有する重合体としては、カルボキシ基を有する(メタ)アクリル系重合体、カルボキシ基を有するポリエステル重合体、カルボキシ基を有するポリオレフィン重合体等が挙げられる。
上記カルボン酸化合物は、分子量が1000以下であることが好ましく、500以下がより好ましい。分子量は、50以上であることが好ましく、80以上がより好ましく、90以上が更に好ましい。
上記カルボン酸化合物は、下記式(g1)で表される化合物が好ましい。
上記式(g1)中、Rg1およびRg2は、それぞれ独立して、カルボキシ基及び/又はヒドロキシ基を有していてもよい炭素数1〜10の2価の脂肪族炭化水素基、カルボキシ基を有していてもよい炭素数6〜10の2価の芳香族炭化水素基、または単結合を表す。Rg3およびRg4は、それぞれ独立して、カルボキシ基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、カルボキシ基、または水素原子を表す。g10は、0または1である。
Rg1およびRg2で表される炭素数1〜10の2価の脂肪族炭化水素基は、直鎖状であってもよいし、分岐鎖状であってもよいし、環状であってもよく、具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等のアルカンジイル基等が挙げられる。
Rg1およびRg2で表される炭素数6〜10の2価の芳香族炭化水素基としては、フェニレン基等が挙げられる。
Rg1およびRg2で表される2価の脂肪族炭化水素基は、カルボキシ基及び/又はヒドロキシ基を有していてもよく、2価の芳香族炭化水素基は、カルボキシ基を有していてもよい。
Rg1は、単結合であるか、またはカルボキシ基を有していてもよい炭素数1〜10の2価の脂肪族炭化水素基が好ましく、Rg1は、単結合であるか、またはカルボキシ基を有していてもよい炭素数1〜10の2価の直鎖状の脂肪族炭化水素基がより好ましい。Rg2は、単結合であることが好ましい。
Rg3およびRg4で表される炭素数1〜10のアルキル基は、直鎖状であってもよいし、分岐鎖状であってもよいし、環状であってもよく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられる。
Rg3は、水素原子であることが好ましい。Rg4は、水素原子であることが好ましい。
上記式(g1)で表される化合物は、下記式(g2)で表される化合物であることがさらに好ましい。下記式(g2)中、g20は、0〜2の整数である。
g20は、1が好ましい。
カルボン酸化合物は、1種であってもよく、2種以上を組み合わせてもよい。
リン酸化合物としては、例えば、オルトリン酸(pKa=1.83);ピロリン酸(pKa=1.57)、トリポリリン酸(pKa=0.71)、テトラポリリン酸(pKa=0.33)、トリメタリン酸、十酸化四リン、メタリン酸などのポリリン酸などが挙げられる。これらの中でもオルトリン酸が好ましい。リン酸化合物は1種であってもよく、2種以上を組み合わせてもよい。
弱酸(G)の量は、硬化型組成物の全体を100質量%としたとき、0.00001質量%以上が好ましく、より好ましくは0.00005質量%以上、さらに好ましくは0.0001質量%以上、特に好ましくは0.0005質量%以上、最も好ましくは0.001質量%以上であり、また3質量%以下が好ましく、より好ましくは1質量%以下、さらに好ましくは0.1質量%以下、よりさらに好ましくは0.05質量%以下、特に好ましくは0.03質量%以下である。
本発明の硬化型組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲で、酸化防止剤、防錆剤、紫外線吸収剤、光安定剤、防カビ剤、抗菌剤、生物付着防止剤、消臭剤、顔料、難燃剤、帯電防止剤等、各種の添加剤等のその他の成分が混合されていてもよい。
本発明の硬化型組成物は、基材に撥液性を付与するための撥液性膜を製造する組成物として用いることができる。即ち、本発明の硬化型組成物は、撥液性膜形成用組成物として用いることができる。
本発明の硬化型組成物は、上述した成分を混合することによって製造でき、特に、有機ケイ素化合物(A)と有機ケイ素化合物(B)の混合温度は、微分分子量分布の濃度分率を所定値にする観点では、25℃未満とすることが好ましく、より好ましくは24℃以下、更に好ましくは20℃以下、特に好ましくは15℃以下、最も好ましくは10℃以下である。混合温度の下限は、例えば、0℃以上であればよい。
上述した成分のうち、有機ケイ素化合物(A)、有機ケイ素化合物(B)、および化合物(C1)を用い、有機ケイ素化合物(A)および有機ケイ素化合物(B)を混合した後に化合物(C1)を混合する場合は、化合物(C1)を混合するまでは25℃未満とすることが好ましく、化合物(C1)を混合した後は25℃以上としてもよい。
有機ケイ素化合物(A)、有機ケイ素化合物(B)、および化合物(C1)を同時に混合するか、化合物(C1)を存在させた後に有機ケイ素化合物(A)および有機ケイ素化合物(B)を混合する場合は、混合温度は25℃以上であってもよい。
本発明の硬化型組成物を用いて基材に撥液性を付与する方法としては、撥液性を付与したい基材の表面に、本発明の硬化型組成物を用いて撥液性膜を形成する方法が好ましい。本発明の硬化型組成物を用いて撥液性膜を基材の表面に形成する方法としては、本発明の硬化型組成物を基材と接触させ、その状態で空気中で静置する方法を採用できる。
本発明の硬化型組成物を基材と接触させる方法としては、手塗り(布等に硬化型組成物を染み込ませ、基材に硬化型組成物を塗りこむ方法。塗り込む際は、基材上を複数回往復させることが好ましい。)、スピンコーティング法、ディップコーティング法、かけ流し(スポイトなどを用いて基材に硬化型組成物をそのままかけて塗布する方法)、霧吹き(霧吹きを用いて基材に硬化型組成物を塗布する方法)、あるいはこれらを組み合わせた方法などが挙げられる。
本発明の硬化型組成物を基材と接触させた状態で、空気中、常温で静置(例えば10分〜48時間、好ましくは10時間〜48時間)することで、硬化型組成物が硬化し、基材上に膜を形成できる。得られた膜を更に乾燥させることも好ましい。膜の厚さは、1nm以上が好ましく、より好ましくは1.5nm以上であり、上限は例えば50nm以下であり、20nm以下であってもよい。膜の厚さが一定以上であることで良好な撥液性(特に撥水性)を安定して示すことが期待できるため好ましい。
本発明の硬化型組成物を接触させる基材の材質としては、有機系材料、無機系材料が挙げられる。有機系材料としては、例えば、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン樹脂、アクリル−スチレン共重合樹脂、セルロース樹脂、ポリオレフィン樹脂等の熱可塑性樹脂;フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂等の熱硬化性樹脂;等が挙げられる。無機系材料としては、例えば、セラミックス;ガラス;鉄、シリコン、銅、亜鉛、アルミニウム等の金属;前記金属を含む合金;等が挙げられる。
本発明の硬化型組成物を接触させる基材の形状は、平面、曲面のいずれでもよいし、多数の面が組み合わさった三次元的構造でもよい。
本発明の硬化型組成物を接触させる基材は、予め易接着処理が施されていてもよい。易接着処理としては、例えば、コロナ処理、プラズマ処理、紫外線処理等の親水化処理が挙げられる。また、樹脂、シランカップリング剤、テトラアルコキシシラン等によるプライマー処理が施されていてもよいし、基材にポリシラザンなどのガラス膜が予め塗布されていてもよい。
本発明の硬化型組成物を用いて得られる膜は、撥液性(特に撥水性)に優れている。膜の撥水性は後述する実施例の測定法に従って評価できる。
膜表面の水に対する接触角は、例えば、80°以上であり、好ましくは90°以上、より好ましくは98°以上、さらに好ましくは100°以上、よりさらに好ましくは105°以上、特に好ましくは106°以上である。上限は特に限定されないが、例えば120°以下である。
膜表面の水に対する接触角ヒステリシス(滑落角)は、例えば、20°以下であり、好ましくは18°以下、より好ましくは17°以下、更に好ましくは16°以下である。下限は特に限定されないが、例えば10°以上である。
膜表面における水滴の滑落速度は、例えば、50mm/秒以上であり、好ましくは60mm/秒以上、より好ましくは70mm/秒以上、さらに好ましくは80mm/秒以上である。上限は特に限定されないが、例えば150mm/秒以下である。
本発明の硬化型組成物は、保存安定性に優れており、保存後に膜を形成しても得られる膜の性能は、調製直後の硬化型組成物を用いて形成した膜の性能と比べて殆ど劣化しない。
保存後の硬化型組成物を用いて形成した膜の水に対する接触角は、例えば、80°以上であり、好ましくは90°以上、より好ましくは98°以上、さらに好ましくは100°以上、よりさらに好ましくは105°以上である。上限は特に限定されないが、例えば120°以下である。
保存後の硬化型組成物を用いて形成した膜の水に対する接触角ヒステリシス(滑落角)は、例えば、20°以下であり、好ましくは19°以下、より好ましくは18.5°以下である。下限は特に限定されないが、例えば10°以上である。
保存後の硬化型組成物を用いて形成した膜における水滴の滑落速度は、例えば、50mm/秒以上であり、好ましくは60mm/秒以上、より好ましくは70mm/秒以上である。上限は特に限定されないが、例えば150mm/秒以下である。
本発明の硬化型組成物は、保存後であっても膜の形成が容易で、作業性が良好であり、例えば、手塗りで膜を形成しても拭上性が良好である。
本発明の硬化型組成物を用いることで、撥液性(特に撥水性)に優れた膜を提供できる。また、本発明の硬化型組成物は、保存後においても成膜時の作業性を悪化させることなく、撥液性(特に撥水性)に優れた膜を提供できる。
本発明の硬化型組成物を用いて得られた膜は、例えば、建築材料、自動車部品、工場設備などに有用である。本発明の硬化型組成物は、特に各種車両用ガラスや建築物の窓ガラスに塗布することによって撥液性を向上させることができ、少なくともガラスの片側面に、本発明の硬化型組成物から得られた膜が形成された車両用ガラスが好適に用いられる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。本発明は以下の実施例によって制限を受けるものではなく、前記および後記の趣旨に適合し得る範囲で変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
(実施例1)
有機ケイ素化合物(A)としてn−デシルトリメトキシシラン2.17×10-3mol、有機ケイ素化合物(B)としてオルトケイ酸テトラエチル(テトラエトキシシラン)2.17×10-3molを、イソプロピルアルコール(2−プロパノール)2.417mlに溶解させ、15℃で10分撹拌した。得られた溶液に0.01M塩酸を1.073ml滴下し、15℃で1時間撹拌した。得られた溶液に、イソプロピルアルコールで質量比10倍に希釈したマロン酸溶液を0.392ml滴下した後、15℃で2時間撹拌し、試料溶液1を作製した。試料溶液1を5.000ml、イソプロピルアルコールを74.866ml、水を20.000ml、化合物(C1)として上記表4−2に示した(I−I−26)におけるn10の平均が24である化合物(以下、化合物1と表記する)をイソプロピルアルコールで質量比100倍に希釈した溶液を0.134ml混合し、塗布溶液1を作製した。
有機ケイ素化合物(A)としてn−デシルトリメトキシシラン2.17×10-3mol、有機ケイ素化合物(B)としてオルトケイ酸テトラエチル(テトラエトキシシラン)2.17×10-3molを、イソプロピルアルコール(2−プロパノール)2.417mlに溶解させ、15℃で10分撹拌した。得られた溶液に0.01M塩酸を1.073ml滴下し、15℃で1時間撹拌した。得られた溶液に、イソプロピルアルコールで質量比10倍に希釈したマロン酸溶液を0.392ml滴下した後、15℃で2時間撹拌し、試料溶液1を作製した。試料溶液1を5.000ml、イソプロピルアルコールを74.866ml、水を20.000ml、化合物(C1)として上記表4−2に示した(I−I−26)におけるn10の平均が24である化合物(以下、化合物1と表記する)をイソプロピルアルコールで質量比100倍に希釈した溶液を0.134ml混合し、塗布溶液1を作製した。
(実施例2)
実施例1において塗布溶液を作製するにあたり、試料溶液1を3.333ml、イソプロピルアルコールを76.577ml、水を20.000ml、上記化合物1をイソプロピルアルコールで質量比100倍に希釈した溶液を0.089mlに変更して塗布溶液2を作製した。
実施例1において塗布溶液を作製するにあたり、試料溶液1を3.333ml、イソプロピルアルコールを76.577ml、水を20.000ml、上記化合物1をイソプロピルアルコールで質量比100倍に希釈した溶液を0.089mlに変更して塗布溶液2を作製した。
(実施例3)
有機ケイ素化合物(A)としてn−デシルトリメトキシシラン2.17×10-3mol、有機ケイ素化合物(B)としてオルトケイ酸テトラエチル(テトラエトキシシラン)2.17×10-3molを、イソプロピルアルコール(2−プロパノール)2.417mlに溶解させ、10℃で10分撹拌した。得られた溶液に0.01M塩酸を1.073ml滴下し、10℃で1時間撹拌した。得られた溶液に、イソプロピルアルコールで質量比10倍に希釈したマロン酸溶液を0.392ml滴下した後、10℃で2時間撹拌し、試料溶液2を作製した。試料溶液2を5.000ml、イソプロピルアルコールを74.866ml、水を20.000ml、上記化合物1をイソプロピルアルコールで質量比100倍に希釈した溶液を0.134ml混合し、塗布溶液3を作製した。
有機ケイ素化合物(A)としてn−デシルトリメトキシシラン2.17×10-3mol、有機ケイ素化合物(B)としてオルトケイ酸テトラエチル(テトラエトキシシラン)2.17×10-3molを、イソプロピルアルコール(2−プロパノール)2.417mlに溶解させ、10℃で10分撹拌した。得られた溶液に0.01M塩酸を1.073ml滴下し、10℃で1時間撹拌した。得られた溶液に、イソプロピルアルコールで質量比10倍に希釈したマロン酸溶液を0.392ml滴下した後、10℃で2時間撹拌し、試料溶液2を作製した。試料溶液2を5.000ml、イソプロピルアルコールを74.866ml、水を20.000ml、上記化合物1をイソプロピルアルコールで質量比100倍に希釈した溶液を0.134ml混合し、塗布溶液3を作製した。
(実施例4)
実施例3において塗布溶液を作製するにあたり、試料溶液2を3.333ml、イソプロピルアルコールを76.577ml、水を20.000ml、上記化合物1をイソプロピルアルコールで質量比100倍に希釈した溶液を0.089mlに変更して塗布溶液4を作製した。
実施例3において塗布溶液を作製するにあたり、試料溶液2を3.333ml、イソプロピルアルコールを76.577ml、水を20.000ml、上記化合物1をイソプロピルアルコールで質量比100倍に希釈した溶液を0.089mlに変更して塗布溶液4を作製した。
(実施例5)
有機ケイ素化合物(A)としてn−デシルトリメトキシシラン2.17×10-3mol、有機ケイ素化合物(B)としてオルトケイ酸テトラエチル(テトラエトキシシラン)2.17×10-3molを、イソプロピルアルコール(2−プロパノール)2.417mlに溶解させ、5℃で10分撹拌した。得られた溶液に0.01M塩酸を1.073ml滴下し、5℃で1時間撹拌した。得られた溶液に、イソプロピルアルコールで質量比10倍に希釈したマロン酸溶液を0.392ml滴下した後、5℃で2時間撹拌し、試料溶液3を作製した。試料溶液3を5.000ml、イソプロピルアルコールを74.866ml、水を20.000ml、上記化合物1をイソプロピルアルコールで質量比100倍に希釈した溶液を0.134ml混合し、塗布溶液5を作製した。
有機ケイ素化合物(A)としてn−デシルトリメトキシシラン2.17×10-3mol、有機ケイ素化合物(B)としてオルトケイ酸テトラエチル(テトラエトキシシラン)2.17×10-3molを、イソプロピルアルコール(2−プロパノール)2.417mlに溶解させ、5℃で10分撹拌した。得られた溶液に0.01M塩酸を1.073ml滴下し、5℃で1時間撹拌した。得られた溶液に、イソプロピルアルコールで質量比10倍に希釈したマロン酸溶液を0.392ml滴下した後、5℃で2時間撹拌し、試料溶液3を作製した。試料溶液3を5.000ml、イソプロピルアルコールを74.866ml、水を20.000ml、上記化合物1をイソプロピルアルコールで質量比100倍に希釈した溶液を0.134ml混合し、塗布溶液5を作製した。
(実施例6)
実施例5において塗布溶液を作製するにあたり、試料溶液3を3.333ml、イソプロピルアルコールを76.577ml、水を20.000ml、上記化合物1をイソプロピルアルコールで質量比100倍に希釈した溶液を0.089mlに変更して塗布溶液6を作製した。
実施例5において塗布溶液を作製するにあたり、試料溶液3を3.333ml、イソプロピルアルコールを76.577ml、水を20.000ml、上記化合物1をイソプロピルアルコールで質量比100倍に希釈した溶液を0.089mlに変更して塗布溶液6を作製した。
(実施例7)
実施例4において塗布溶液を作製するにあたり、化合物(C1)として、化合物1の代わりに上記表5−1に示した(I−I−51)におけるn10の平均が9である化合物(以下、化合物2と表記する)を用いたこと以外は、実施例4と同じ条件で塗布溶液7を作製した。
実施例4において塗布溶液を作製するにあたり、化合物(C1)として、化合物1の代わりに上記表5−1に示した(I−I−51)におけるn10の平均が9である化合物(以下、化合物2と表記する)を用いたこと以外は、実施例4と同じ条件で塗布溶液7を作製した。
(実施例8)
実施例4において塗布溶液を作製するにあたり、化合物(C1)として、化合物1の代わりに上記表5−1に示した(I−I−51)におけるn10の平均が45である化合物(以下、化合物3と表記する)を用いたこと以外は、実施例4と同じ条件で塗布溶液8を作製した。
実施例4において塗布溶液を作製するにあたり、化合物(C1)として、化合物1の代わりに上記表5−1に示した(I−I−51)におけるn10の平均が45である化合物(以下、化合物3と表記する)を用いたこと以外は、実施例4と同じ条件で塗布溶液8を作製した。
(実施例9)
実施例4において塗布溶液を作製するにあたり、化合物(C1)として、化合物1の代わりに上記表5−2に示した(I−I−76)におけるn10の平均が3である化合物(以下、化合物4と表記する)を用いたこと以外は、実施例4と同じ条件で塗布溶液9を作製した。
実施例4において塗布溶液を作製するにあたり、化合物(C1)として、化合物1の代わりに上記表5−2に示した(I−I−76)におけるn10の平均が3である化合物(以下、化合物4と表記する)を用いたこと以外は、実施例4と同じ条件で塗布溶液9を作製した。
(実施例10)
実施例4において塗布溶液を作製するにあたり、化合物(C1)として、化合物1の代わりに上記表4−2に示した(I−I−26)におけるn10の平均が3である化合物(以下、化合物5と表記する)を用いたこと以外は、実施例4と同じ条件で塗布溶液10を作製した。
実施例4において塗布溶液を作製するにあたり、化合物(C1)として、化合物1の代わりに上記表4−2に示した(I−I−26)におけるn10の平均が3である化合物(以下、化合物5と表記する)を用いたこと以外は、実施例4と同じ条件で塗布溶液10を作製した。
(実施例11)
実施例4において塗布溶液を作製するにあたり、化合物(C1)として、化合物1の代わりに信越化学工業株式会社製の「X−24−9011」を用いたこと以外は、実施例4と同じ条件で塗布溶液11を作製した。
実施例4において塗布溶液を作製するにあたり、化合物(C1)として、化合物1の代わりに信越化学工業株式会社製の「X−24−9011」を用いたこと以外は、実施例4と同じ条件で塗布溶液11を作製した。
(実施例12)
実施例4において塗布溶液を作製するにあたり、化合物(C1)として、化合物1の代わりに信越化学工業株式会社製の「KR−410」を用いたこと以外は、実施例4と同じ条件で塗布溶液12を作製した。
実施例4において塗布溶液を作製するにあたり、化合物(C1)として、化合物1の代わりに信越化学工業株式会社製の「KR−410」を用いたこと以外は、実施例4と同じ条件で塗布溶液12を作製した。
(実施例13)
実施例4において塗布溶液を作製するにあたり、化合物(C1)として、化合物1の代わりにGelest社製の「DMS−S12」を用いたこと以外は、実施例4と同じ条件で塗布溶液13を作製した。
実施例4において塗布溶液を作製するにあたり、化合物(C1)として、化合物1の代わりにGelest社製の「DMS−S12」を用いたこと以外は、実施例4と同じ条件で塗布溶液13を作製した。
(実施例14)
有機ケイ素化合物(A)としてn−オクチルトリメトキシシラン2.08×10-3mol、有機ケイ素化合物(B)としてオルトケイ酸テトラエチル(テトラエトキシシラン)2.08×10-3molを、イソプロピルアルコール(2−プロパノール)2.456mlに溶解させ、5℃で10分撹拌した。得られた溶液に0.01M塩酸を1.073ml滴下し、5℃で1時間撹拌した。得られた溶液に、イソプロピルアルコールで質量比10倍に希釈したマロン酸溶液を0.348ml滴下した後、5℃で2時間撹拌し、試料溶液4を作製した。試料溶液4を5.000ml、イソプロピルアルコールを74.866ml、水を20.000ml、上記化合物1をイソプロピルアルコールで質量比100倍に希釈した溶液を0.134ml混合し、塗布溶液14を作製した。
有機ケイ素化合物(A)としてn−オクチルトリメトキシシラン2.08×10-3mol、有機ケイ素化合物(B)としてオルトケイ酸テトラエチル(テトラエトキシシラン)2.08×10-3molを、イソプロピルアルコール(2−プロパノール)2.456mlに溶解させ、5℃で10分撹拌した。得られた溶液に0.01M塩酸を1.073ml滴下し、5℃で1時間撹拌した。得られた溶液に、イソプロピルアルコールで質量比10倍に希釈したマロン酸溶液を0.348ml滴下した後、5℃で2時間撹拌し、試料溶液4を作製した。試料溶液4を5.000ml、イソプロピルアルコールを74.866ml、水を20.000ml、上記化合物1をイソプロピルアルコールで質量比100倍に希釈した溶液を0.134ml混合し、塗布溶液14を作製した。
(実施例15)
有機ケイ素化合物(A)としてn−ドデシルトリメトキシシラン2.04×10-3mol、有機ケイ素化合物(B)としてオルトケイ酸テトラエチル(テトラエトキシシラン)2.05×10-3molを、イソプロピルアルコール(2−プロパノール)2.456mlに溶解させ、5℃で10分撹拌した。得られた溶液に0.01M塩酸を1.073ml滴下し、5℃で1時間撹拌した。得られた溶液に、イソプロピルアルコールで質量比10倍に希釈したマロン酸溶液を0.352ml滴下した後、5℃で2時間撹拌し、試料溶液5を作製した。試料溶液5を5.000ml、イソプロピルアルコールを74.866ml、水を20.000ml、上記化合物1をイソプロピルアルコールで質量比100倍に希釈した溶液を0.134ml混合し、塗布溶液15を作製した。
有機ケイ素化合物(A)としてn−ドデシルトリメトキシシラン2.04×10-3mol、有機ケイ素化合物(B)としてオルトケイ酸テトラエチル(テトラエトキシシラン)2.05×10-3molを、イソプロピルアルコール(2−プロパノール)2.456mlに溶解させ、5℃で10分撹拌した。得られた溶液に0.01M塩酸を1.073ml滴下し、5℃で1時間撹拌した。得られた溶液に、イソプロピルアルコールで質量比10倍に希釈したマロン酸溶液を0.352ml滴下した後、5℃で2時間撹拌し、試料溶液5を作製した。試料溶液5を5.000ml、イソプロピルアルコールを74.866ml、水を20.000ml、上記化合物1をイソプロピルアルコールで質量比100倍に希釈した溶液を0.134ml混合し、塗布溶液15を作製した。
(実施例16)
有機ケイ素化合物(A)としてn−デシルトリメトキシシラン2.17×10-3mol、有機ケイ素化合物(B)としてオルトケイ酸テトラエチル(テトラエトキシシラン)2.17×10-3molを、イソプロピルアルコール(2−プロパノール)2.417mlに溶解させ、22℃で10分撹拌した。得られた溶液に0.01M塩酸を1.073ml滴下し、22℃で1時間撹拌した。得られた溶液に、イソプロピルアルコールで質量比10倍に希釈したマロン酸溶液を0.392ml滴下した後、22℃で2時間撹拌し、試料溶液16を作製した。試料溶液16を5.000ml、イソプロピルアルコールを74.866ml、水を20.000ml、化合物(C1)として上記表4−2に示した(I−I−26)におけるn10の平均が24である化合物1をイソプロピルアルコールで質量比100倍に希釈した溶液を0.134ml混合し、塗布溶液16を作製した。
有機ケイ素化合物(A)としてn−デシルトリメトキシシラン2.17×10-3mol、有機ケイ素化合物(B)としてオルトケイ酸テトラエチル(テトラエトキシシラン)2.17×10-3molを、イソプロピルアルコール(2−プロパノール)2.417mlに溶解させ、22℃で10分撹拌した。得られた溶液に0.01M塩酸を1.073ml滴下し、22℃で1時間撹拌した。得られた溶液に、イソプロピルアルコールで質量比10倍に希釈したマロン酸溶液を0.392ml滴下した後、22℃で2時間撹拌し、試料溶液16を作製した。試料溶液16を5.000ml、イソプロピルアルコールを74.866ml、水を20.000ml、化合物(C1)として上記表4−2に示した(I−I−26)におけるn10の平均が24である化合物1をイソプロピルアルコールで質量比100倍に希釈した溶液を0.134ml混合し、塗布溶液16を作製した。
(比較例1)
有機ケイ素化合物(A)としてn−デシルトリメトキシシラン1.84×10-4mol、有機ケイ素化合物(B)としてオルトケイ酸テトラエチル(テトラエトキシシラン)4.79×10-3molを、イソプロピルアルコール(2−プロパノール)2.5mlに溶解させ、室温(25℃)で20分撹拌した。得られた溶液に0.01M塩酸を1.4ml滴下した後、調液開始から24時間撹拌し、比較試料溶液1を作製した。比較試料溶液1をイソプロピルアルコールで体積比30倍に希釈し、塗布溶液17を作製した。
有機ケイ素化合物(A)としてn−デシルトリメトキシシラン1.84×10-4mol、有機ケイ素化合物(B)としてオルトケイ酸テトラエチル(テトラエトキシシラン)4.79×10-3molを、イソプロピルアルコール(2−プロパノール)2.5mlに溶解させ、室温(25℃)で20分撹拌した。得られた溶液に0.01M塩酸を1.4ml滴下した後、調液開始から24時間撹拌し、比較試料溶液1を作製した。比較試料溶液1をイソプロピルアルコールで体積比30倍に希釈し、塗布溶液17を作製した。
各塗布溶液の組成を表7−1〜表7−3に示す。なお、表7−1〜表7−3に示したイソプロピルアルコールの量は、塗布溶液全体を100質量%としたときの値を示す。
得られた塗布溶液1〜17について、GPCクロマトグラフィー分析を行い、重量平均分子量(Mw)を求めた。また、得られたクロマトグラムに基づいて、標準ポリエチレングリコール換算の分子量が500以上800以下となる低分子量成分(X)に対する標準ポリエチレングリコール換算の分子量が800超である高分子量成分(Y)の面積比(Y/X)を算出した。算出結果を下記表8−1または表8−2に示す。
また、得られたクロマトグラムから微分分子量分布曲線を求めた。求めた微分分子量分布曲線を図1〜図5に示す。横軸は標準ポリエチレングリコール換算の分子量、縦軸は濃度分率を示している。図1は、実施例1、3、5で得られた塗布溶液1、3、5の微分分子量分布曲線である。図2は、実施例2、4、6で得られた塗布溶液2、4、6の微分分子量分布曲線である。図3は、実施例7で得られた塗布溶液7の微分分子量分布曲線である。図4は、実施例14、15で得られた塗布溶液14、15の微分分子量分布曲線である。図5は、実施例16で得られた塗布溶液16の微分分子量分布曲線、および比較例1で得られた塗布溶液17の微分分子量分布曲線である。なお、実施例8〜13で得られた塗布溶液8〜13の微分分子量分布曲線の結果は、塗布溶液7の微分分子量分布曲線の結果とほぼ同じであったため、塗布溶液7の微分分子量分布曲線の結果を代表として示した。
次に、得られた塗布溶液1〜17を、大気圧プラズマ処理によって表面を活性化させたガラス基板5cm×5cm(ソーダライムガラス、トップ面)上に不織布を用いて手塗りで塗布した。塗布した塗布溶液は、0.5mlとした。塗布後、余剰分をマイクロファイバークロスで拭き上げた。塗布後、24時間、常温、常湿下で放置して硬化させることにより、ガラス基板上に膜を形成した。得られたガラス基板上の膜について、下記の方法で評価した。
[接触角の測定]
接触角測定装置として協和界面科学社製のDM700を用い、液滴法で、膜表面の水に対する接触角を測定した。液滴法の解析方法はθ/2法とし、水液量は3.0μLとした。
接触角測定装置として協和界面科学社製のDM700を用い、液滴法で、膜表面の水に対する接触角を測定した。液滴法の解析方法はθ/2法とし、水液量は3.0μLとした。
[滑落角の測定]
接触角測定装置として協和界面科学社製のDM700を用い、滑落法で、膜表面の水に対する接触角ヒステリシス(滑落角)を測定し、膜表面の動的撥水特性を評価した。滑落法の解析方法は接線法とし、水滴量は30μLとした。傾斜方法は連続傾斜とし、滑落検出は滑落後とした。移動判定は前進角とし、滑落判定距離は0.25mmとした。
接触角測定装置として協和界面科学社製のDM700を用い、滑落法で、膜表面の水に対する接触角ヒステリシス(滑落角)を測定し、膜表面の動的撥水特性を評価した。滑落法の解析方法は接線法とし、水滴量は30μLとした。傾斜方法は連続傾斜とし、滑落検出は滑落後とした。移動判定は前進角とし、滑落判定距離は0.25mmとした。
[滑落速度の測定]
膜表面に水を滴下し、膜表面における水滴の滑落速度を測定し、膜表面の撥水性を評価した。具体的には、接触角測定装置として協和界面科学社製のDM700を用い、25°に傾けたガラス基板上に形成した膜表面に20μLの水を滴下し、水滴が、初期滴下位置から15mm滑落するまでの時間を測定し、膜表面における水滴の滑落速度(mm/秒)を算出した。
膜表面に水を滴下し、膜表面における水滴の滑落速度を測定し、膜表面の撥水性を評価した。具体的には、接触角測定装置として協和界面科学社製のDM700を用い、25°に傾けたガラス基板上に形成した膜表面に20μLの水を滴下し、水滴が、初期滴下位置から15mm滑落するまでの時間を測定し、膜表面における水滴の滑落速度(mm/秒)を算出した。
上記接触角、滑落角、滑落速度の測定結果を、初期の撥水性として下記表8−1または表8−2に示す。
次に、得られた塗布溶液1〜17を50℃で1ヶ月保持した。保持後、上記実施例1と同様にしてガラス基板上に膜を形成し、得られたガラス基板上の膜について、上記の方法で接触角、滑落角、滑落速度を測定した。保持後における接触角、滑落角、滑落速度の測定結果を、保持後の撥水性として下記表8−1または表8−2に示す。
また、塗布溶液を塗布後、余剰分をマイクロファイバークロスで拭き上げる際におけるマイクロファイバークロスと拭き上げ面との間に感じられる感触に基づいて下記の基準で拭上性を官能評価した。マイクロファイバークロスは、J&M社製のものを用いた。余剰分の拭き上げは、拭き上げ面が目視で透明になったことが確認できるまで行った。拭上性の評価結果を下記表8−1または表8−2に示す。
[拭上性の評価基準]
0点:抵抗を感じない。
1点:最表面の余剰分を除去する間、弱い抵抗を感じる。
2点:最表面の余剰分を除去する間および除去した後に、弱い抵抗を感じる。
3点:最表面の余剰分を除去する間および除去した後に、強い抵抗を感じる。
0点:抵抗を感じない。
1点:最表面の余剰分を除去する間、弱い抵抗を感じる。
2点:最表面の余剰分を除去する間および除去した後に、弱い抵抗を感じる。
3点:最表面の余剰分を除去する間および除去した後に、強い抵抗を感じる。
本発明で規定する要件を満足する硬化型組成物である上記塗布溶液1〜16は、GPCクロマトグラフィーで得られたクロマトグラムから求めた微分分子量分布曲線において、標準ポリエチレングリコール換算の分子量が500以上2000以下となる範囲に、濃度分率が250000以上のピークを少なくとも1つ有している。このピークは、炭素数6〜30のアルキル基を有する縮合物に起因すると考えられる。
上記塗布溶液1〜16を用いて得られた膜は、接触角が大きく、滑落角が小さく、滑落速度が大きく、撥水性が良好であった。また、上記塗布溶液1〜16を50℃で1ヶ月保持してから形成した膜についても、接触角が大きく、滑落角が小さく、滑落速度が大きく、撥水性が良好であり、上記塗布溶液1〜16は、保存安定性に優れることが分かった。また、上記塗布溶液1〜16を50℃で1ヶ月保持してから膜を形成しても拭上性が良好で、作業性に優れることが分かった。
一方、上記塗布溶液17は、本発明で規定する要件を満足しない硬化型組成物であり、塗布溶液17は、GPCクロマトグラフィーで得られたクロマトグラムから求めた微分分子量分布曲線において、標準ポリエチレングリコール換算の分子量が500以上2000以下となる範囲に、濃度分率が250000以上のピークが存在していなかった。また、塗布溶液17を用いて得られた膜は、接触角が大きく、滑落角が小さく、滑落速度が大きく、撥水性が良好であったが、塗布溶液17を50℃で1ヶ月保持してから形成した膜については、滑落角が大きく、滑落速度がゼロとなり、撥水性が悪く、保存安定性を改善できていなかった。また、塗布溶液17を50℃で1ヶ月保持してから形成した膜は、拭上性が悪く、作業性も改善できなかった。
Claims (10)
- 炭素数6〜30のアルキル基を有する縮合物を含み、
GPCクロマトグラフィーで得られたクロマトグラムから求めた微分分子量分布曲線において、標準ポリエチレングリコール換算の分子量が500以上2000以下となる範囲に、濃度分率が250000以上のピークを少なくとも1つ有することを特徴とする硬化型組成物。 - 前記微分分子量分布曲線において、前記標準ポリエチレングリコール換算の分子量が500以上800以下となる範囲に、濃度分率が200000以上のピークを少なくとも1つ有する請求項1に記載の硬化型組成物。
- 式(a1)で表される有機ケイ素化合物(A)と、
式(b1)で表される有機ケイ素化合物(B)の混合組成物である請求項1または2に記載の硬化型組成物。
Ra1−Si(Xa1)3 (a1)
[式(a1)中、
Ra1は炭素数6〜30の炭化水素基を表し、
Xa1は加水分解性基を表す。]
Si(Rb1)b20(Xb1)4-b20 (b1)
[式(b1)中、
Rb1は炭素数1〜5の炭化水素基を表し、
Xb1は加水分解性基を表し、
b20は0または1である。] - 水(D)が混合されており、
前記有機ケイ素化合物(A)に対する前記水(D)の質量比(D/A)が20以上である請求項3に記載の硬化型組成物。 - 前記硬化型組成物のGPCクロマトグラフィーで得られたクロマトグラムにおいて、標準ポリエチレングリコール換算の分子量が500以上800以下となる低分子量成分(X)に対する標準ポリエチレングリコール換算の分子量が800超である高分子量成分(Y)の比(Y/X)が3.0以下である請求項1〜4のいずれかに記載の硬化型組成物。
- 式(c1)で表される化合物(C1)が混合されている請求項1〜5のいずれかに記載の硬化型組成物。
[式(c1)中、
Ac1は、ヒドロキシ基または加水分解性基を表し、Ac1が複数存在する場合は複数のAc1がそれぞれ異なっていてもよく、
Zc1は、炭化水素基、トリアルキルシリル基含有分子鎖、またはシロキサン骨格含有基を表し、Zc1が複数存在する場合は複数のZc1がそれぞれ異なっていてもよく、
r1は、1〜3の整数を表し、
Rc1は、式(c11)で表される基を表す。]
[式(c11)中、
Rs2は、それぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基を表し、
Rc11は、炭化水素基またはトリアルキルシリルオキシ基を表し、該炭化水素基またはトリアルキルシリルオキシ基に含まれる水素原子はフッ素原子に置換されていてもよく、Rc11が複数存在する場合は複数のRc11がそれぞれ異なっていてもよく、
Ac11は、ヒドロキシ基または加水分解性基を表し、Ac11が複数存在する場合は複数のAc11がそれぞれ異なっていてもよく、
Zs1は、−O−または2価の炭化水素基を表し、該2価の炭化水素基に含まれる−CH2−は−O−に置き換わっていてもよく、
Ys1は、単結合または−Si(Rs2)2−Ls1−を表し、Ls1は2価の炭化水素基を表し、該2価の炭化水素基に含まれる−CH2−は−O−に置き換わっていてもよく、
r2は、0〜3の整数を表し、
r10は、1以上の整数を表し、
*は結合手を表す。] - 溶剤(E)が混合されている請求項1〜7のいずれかに記載の硬化型組成物。
- pKaが1以上5以下の弱酸(G)が混合されている請求項1〜8のいずれかに記載の硬化型組成物。
- 撥液性膜形成用である請求項1〜9のいずれかに記載の硬化型組成物。
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