JP2021109220A - 薄肉鋳片の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
冷却ドラム間から下方に製出された薄肉鋳片は、湾曲部で湾曲され、薄肉鋳片を上下方向に挟持するピンチロールを有する搬送部によって略水平方向に搬送され、必要に応じてインラインミルによって圧延され、コイラーによって巻き取られる。
また、鋳造開始時点においては、鋳造条件が安定していないため、ダミーシートに連結するように形成された薄肉鋳片の強度が不足し、ダミーシートを引き出した際に薄肉鋳片が破断するといったトラブルが発生し、鋳造を開始できないことがあった。
さらに、鋳造中に搬送部等でトラブルが発生した場合には、鋳造を一時的に中断した後に再開することができず、鋳造自体を中止する必要があった。
ここで、ダミーシートを使用せずに、鋳造を開始するためには、冷却ドラム間から引き出された薄肉鋳片を搬送部に直接送り込む必要がある。しかしながら、鋳造開始時には、鋳造条件が安定していないため、薄肉鋳片には非定常部が形成されることになる。この非定常部においては、端部のバリや表面の凹凸等があるため、搬送部にそのまま送り込むことは非常に困難であった。
通常、薄板の切断には、シャー等の切断装置が用いられるが、冷却ドラムの直下での薄肉鋳片は高温で脆弱であり、さらに、張力が付与されていないことから、既存の切断装置によって安定して切断することができず、薄肉鋳片の幅方向に延在する直線的な切断端を形成することができなかった。
これにより、非定常部を除去した薄肉鋳片を搬送部へ送り込むことができ、安定して鋳造を行うことが可能となる。
また、地金を巻き込むことによって前記冷却ドラム間隔を一時的に離間させているので、通常のドラム反力の制御を実施することで板厚肥大部の形成及び定常部の鋳造を安定して行うことができ、設備コストが大幅に増大することはない。
溶融金属プール部の幅方向端部の湯面近傍は、冷却ドラム、サイド堰、外気へ放熱されることから温度が低下しやすい領域であるため、地金を比較的容易に発生させることができ、応答性良く板厚肥大部を形成することが可能となる。
この場合、前記溶融金属プール内に地金発生材を投入することで確実に地金を発生することができる。
この場合、前記薄肉鋳片と同じ成分の金属材を溶融金属プール部に投入することで、溶融金属の温度を局所的に低下させ、地金を発生させることができる。そして、前記薄肉鋳片と同じ成分の金属材であるため、薄肉鋳片の組成に影響がない。
この場合、前記溶融金属プール内の前記溶融金属を局所的に冷却することによって、確実に地金を発生することができる。
この場合、液化ガスを前記溶融金属プール内へ滴下することで、溶融金属を局所的に冷却し、地金を確実に発生させることが可能となる。
ここで、本実施形態において製造される薄肉鋳片1は各種組成の鋼からなり、例えば、0.001〜0.01%C極低炭鋼、0.02〜0.05%C低炭鋼、0.06〜0.4%C中炭鋼、0.5〜1.2%C高炭鋼、SUS304鋼に代表されるオーステナイト系ステンレス鋼、SUS430鋼に代表されるフェライト系ステンレス鋼、3.0〜3.5%Si方向性電磁鋼、0.1〜6.5%Si無方向性電磁鋼等(なお、%は、質量%)が挙げられる。
また、本実施形態では、製造される薄肉鋳片1の幅が500mm以上2000mm以下の範囲内、厚さが1mm以上5mm以下の範囲内とされている。
なお、本実施形態では、湾曲部17は、冷却ドラム11の下方側に製出された薄肉鋳片1をそのまま湾曲させて搬送部20へと接続する「湾曲形」とされている。また、湾曲部17には、薄肉鋳片1を搬送装置へと案内する鋳片ガイド部18が配設されている。
ここで、ピンチロール21は、回転駆動する駆動ロールとされており、搬送ロール22は、薄肉鋳片1の移動に伴って回転する従動ロールとされている。
また、一対の冷却ドラム11,11の上方には、溶鋼プール部13に供給される溶鋼5を保持するタンディッシュ14と、このタンディッシュ14から溶鋼プール部13へと溶鋼5を供給する浸漬ノズル15と、が配置されている。
なお、一対の冷却ドラム11,11の上方には、溶鋼プール部13の湯面を覆うようにチャンバー16が設けられている。
この溶鋼プール部13の表面近傍における溶鋼5の流動は、図3に示すように、浸漬ノズル15から冷却ドラム11の周面に向けて流れ、冷却ドラム11の周面に沿って一対のサイド堰12側へとそれぞれ流れていく。そして、冷却ドラム11とサイド堰12の接触点においては、溶鋼5の流動のデッドゾーンとなっており、溶鋼5が十分に流動せずに停滞する領域(停滞域)Dとなる。
そこで、本実施形態では、冷却ドラム11,11の下方側で、薄肉鋳片1を切断して非定常部を排除する。
そして、図4(a)に示すように、薄肉鋳片1の自重により、人工ホットバンド3の部分で薄肉鋳片1が切断される。
そして、図4(c)に示すように、薄肉鋳片1をピンチロール21,21で挟持して搬送することになる。
このような場合には、図5(a)に示すように、まず、鋳造を一旦中断する際に、溶鋼プール部13内に地金を発生させ、この地金を一対の冷却ドラム11,11間に巻き込ませることによって、薄肉鋳片1に人工ホットバンド3を形成し、薄肉鋳片1の自重により、人工ホットバンド3の部分で薄肉鋳片1を切断しておく。
そして、鋳造を再開する。このとき、鋳造が安定するまでの非定常部を切断して除去するため、溶鋼プール部13内に地金を発生させ、この地金を一対の冷却ドラム11,11間に巻き込ませることによって、薄肉鋳片1に人工ホットバンド3を形成し、薄肉鋳片1の自重により、人工ホットバンド3の部分で薄肉鋳片1を切断する。
図3に示すように、溶鋼プール部13において溶鋼5が十分に流動せずに停滞する停滞域Dでは、冷却ドラム11、サイド堰12、湯面から熱が奪われるため、溶鋼5の温度が低下して地金が発生しやすい傾向にある。
このため、本実施形態では、停滞域Dとなる、溶鋼プール部13の幅方向端部から30mm以内の領域において地金を発生させることが好ましい。
地金発生材としては、薄肉鋳片1と同じ成分の金属材、高融点金属、アルミナウール等の耐火物、これらの複合材を用いることができる。これらの地金発生材を溶鋼プール部13に投入すると、投入した部分の溶鋼5が地金発生材の周面で凝固して地金が発生することになる。
なお、地金発生材は、溶鋼プール部13の幅方向端部から30mm以内の領域に投入することが好ましい。
例えば、液化ガスを滴下したり、冷却ガスを吹き付けたりすることにより、溶鋼プール部13内の溶鋼5を局所的に冷却し、地金を発生させることが可能となる。
なお、溶鋼5の冷却は、溶鋼プール部13の幅方向端部から30mm以内の領域において実施することが好ましい。
なお、冷却ドラム11の反力の変動値の下限値については、人工ホットバンド3により薄肉鋳片1が確実に切断できる範囲内であればよく、特に下限は設けないが、通常は0.5tonf以上であることが好ましい。
これにより、非定常部を除去した薄肉鋳片1を搬送部20へ送り込むことができ、安定して鋳造を行うことが可能となる。
また、地金を巻き込むことによって一対の冷却ドラム11,11の間隔を広げているので、通常のドラム反力の制御を実施することで人工ホットバンド3の形成及び定常部の鋳造を安定して行うことができ、設備コストが大幅に増大することはない。
ここで、液化ガスによって溶鋼プール部13内の溶鋼5を冷却する構成とした場合には、地金を確実に発生させることが可能となる。
冷却ドラムの直径:800mm
冷却ドラムの幅:1000mm
薄肉鋳片の厚み:2.5mm
鋳造速度:50mpm
地金発生材として、幅20mm、厚さ0.7mm、長さ30mmの低炭素鋼フープを、片方の冷却ドラムの両端部から25mmの位置に同時添加し、地金を発生させ、この地金を冷却ドラム間に巻き込ませることによって人工ホットバンドを形成した。
その結果、冷却ドラムの下方において、薄肉鋳片は自重によって切断された。切断面は、薄肉鋳片の幅方向に沿って直線状となった。
冷却ドラムとサイド堰の接点から30mm以内の溶鋼表面(4隅)に、20ccの液体Arを滴下することで、地金を発生させ、この地金を冷却ドラム間に巻き込ませることによって人工ホットバンドを形成した。
その結果、冷却ドラムの下方において、薄肉鋳片は自重によって切断された。切断面は、薄肉鋳片の幅方向に沿って直線状となった。
3 人工ホットバンド
5 溶鋼(溶融金属)
11 冷却ドラム
12 溶鋼プール部(溶融金属プール部)
20 搬送部
Claims (6)
- 回転する一対の冷却ドラムと一対のサイド堰によって形成された溶融金属プール部に溶融金属を供給し、前記冷却ドラムの周面に凝固シェルを形成・成長させて薄肉鋳片を製造し、この薄肉鋳片を挟持するピンチロールを備えた搬送部によって搬送する薄肉鋳片の製造方法であって、
前記薄肉鋳片を切断する際に、前記溶融金属プール部内に地金を発生させ、この地金を一対の冷却ドラム間に巻き込ませることによって、前記冷却ドラム間隔を一時的に離間させることで、前記薄肉鋳片に板厚肥大部を形成し、前記一対の冷却ドラムの下方側において、前記薄肉鋳片の自重により前記板厚肥大部で前記薄肉鋳片を切断し、
切断後に鋳造される前記薄肉鋳片を前記ピンチロールによって挟持して搬送することを特徴とする薄肉鋳片の製造方法。 - 前記溶融金属プール部の幅方向端部から30mm以内の領域において、前記地金を発生させることを特徴とする請求項1に記載の薄肉鋳片の製造方法。
- 前記溶融金属プール内に地金発生材を投入することで地金を生成させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の薄肉鋳片の製造方法。
- 前記地金発生材は、前記薄肉鋳片と同じ成分の金属材であることを特徴とする請求項3に記載の薄肉鋳片の製造方法。
- 前記溶融金属プール内の前記溶融金属を局所的に冷却することにより地金を発生させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の薄肉鋳片の製造方法。
- 液化ガスによって前記溶融金属プール内の前記溶融金属を冷却することを特徴とする請求項5に記載の薄肉鋳片の製造方法。
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